つれづれなるマンガ感想文12月前半

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一気に下まで行きたい



・「女子アナの王道」(1) 久寿川なるお(2001、少年画報社)
・「週刊少年チャンピオン」2+3号(2001、秋田書店)
・「流れ星はるか+」 夢ノ二(2001、大都社)
・「バキ」(11) 板垣恵介(2001、秋田書店)
・「どろろん艶靡ちゃん」 永井豪(2001、三和出版)
・「レモン・ピープル ベストセレクション1982-1988」(2001、久保書店)
・「ボボボーボ・ボーボボ」(3) 澤井啓夫(2001、集英社)
【同人誌】・「唐沢俊一・眠田直『トゥーン大好き!』」(2001、WARMACHINE)
【同人誌】・「十一月の四畳半」(2001、オレンヂつくりもの)






・「女子アナの王道」(1) 久寿川なるお(2001、少年画報社) [bk1] [amazon]

女子アナの王道

たぶんヤングコミック連載。入社2年目の女子アナ・王道茜(おうみち・あかね)は、局のイメージキャラクターとして大抜擢される。彼女の人気の秘密、それは「無意識に男を喜ばせる女」だからだった!! というエッチなマンガ。

何というんですかね。「一見清純でカワイイ女の子が、実はスケベでいろんな人とHしてしまう」というパターンのマンガは多いんだけど、本作は読者にも「無意識に男を喜ばせる女」であることがあらかじめ開示されてるってとこが新味というか。だからなぜか服が脱げちゃったり、裸を見られちゃったりというのはすべてがヒロインの天然性に起因するので、説明不能の「お約束」にはない奇妙な説得力がある。
意地悪なライバルが登場するのも予想どおりなんだけど、茜の幼なじみである伊勢咲子が茜の「天然性」に常に敗北する、ワイルドぶってるが根は気弱な小心者、という設定は深い。そしてカワイイ。ときには茜以上に。

まあリクツはどうでもよくて、2、3話読んでみて絵柄とエロの志向が合ったらぜひ読むべき、合わなかったらそれはもう縁がないというタイプのマンガ。

……しかし最近、Hマンガのレビューばっかり書いてんなあ私。疲れてんのかな……。

・「女子アナの王道」(2) 久寿川なるお(2003、少年画報社)感想

(01.1215)



・「週刊少年チャンピオン」2+3号(2001、秋田書店)

「キリエ 〜吸血聖女〜」杉村麦太は、連載第2回。西部劇時代の吸血鬼の話。どうも初回から、連載の途中からを見せられているようでいまいちお話が見えず、評価としてはまだ保留。実際どこかでやっていた作品らしいが。
「刀真」石渡洋二が最終回。たぶん短期集中で予定どおりだったのではないかと思われる。今まで奪った変形刀を利用したり、「人の手に入らない刀」の正体が明らかになったりと充分に盛り上がったラストだったと思う。絵が細かすぎて見にくかったのが少々残念。
(01.1215)



・「流れ星はるか+」 夢ノ二(2001、大都社)

成年コミックの短編集。実はよく知らなかったんだが、みんなが買ってそうだったので買った。みんなってだれだ!?
要するにこの作者が大石まさるだといこうことなんですな? ものすごくかわいい絵、かわいい女の子、キレイな絵。シチュエーションは、宇宙だったり近所だったり、近所に色っぽい妖精が現れたり。ほとんどが和姦だが、そうでない場合もわずかながらある。男女の組み合わせも、想像以上にバリエーションがあった。
個人的には、あまりにもかわいすぎるのと出てくる女の子が少女っぽすぎるので、エロい気分になるのがむずかしい。あ、でもオマケページみたいのではずっと体液グチョグチョ描写がスグレていて、「こっちのがいいや」っていう人がいるかも。何にしても、260ページ以上あって作者のファンの人には嬉しい1冊だろう。
(01.1213)



・「バキ」(11) 板垣恵介(2001、秋田書店)

「アンチェイン」と呼ばれる死刑囚・オリバ登場から対シコルスキー戦の終わりまで。かなりの急展開が楽しめる1冊。バキも久しぶりに(?)でてきて活躍。……っつーくらいしか書くことがないなァ。続きモノは何書いてもネタバレになりかねんし。
(01.1213)



・「どろろん艶靡ちゃん」 永井豪(2001、三和出版)

どろろん艶靡ちゃん

月刊ヤングマン(すでに休刊)連載。「どろろんえん魔くんには実はモデルがあった!!」という出だしで始まるこのマンガ、えん魔くんのモデルは閻魔大王の姪・艶靡ちゃん、雪子姫のモデルは雪子ヒゲ(雪子姫のかっこうをしているヒゲのオヤジ)、カパエルのモデルはカパコ(メスの妖怪?)。要するに全部男女逆なワケだ。

そして艶靡ちゃんはシャポじい風の帽子とマントの他は全裸!! そして全裸の理由は「もちろんサービス」、それと「けっこう仮面と張り合いたい」という艶靡ちゃんの希望だそうです。
「そ〜れ〜が艶靡ちゃん でろでろばあ〜〜たらベロベロばあ〜〜と……なめちゃうわァ〜〜ン」(←主題歌らしい)

毎回、オリジナル妖怪を退治するのが基本路線。この妖怪がパロディっぽくてダジャレ満載で、実に力が抜ける。でも個人的には好きだ。永井豪、「すっかりつまらなくなった」と言われたりもするし、まあ往年のルサンチマンを煮えたぎらせるような作風はなくなってしまったものの、私は本作のような脱力路線でまだ何かやってくれると思ってるんですけどねえ。
(01.1206)



・「レモン・ピープル ベストセレクション1982-1988」(2001、久保書店)

レモン・ピープル

美少女マンガ雑誌「レモン・ピープル」の、文字どおりベストセレクション。吾妻ひでおとか阿乱霊とかちみもりをとか平野俊弘とか早坂未紀とか。
80年代にひたりたい! と思って購入しましたよ。時期的なこともあるにせよ、レモンピープルって「美少女マンガ」誌ではあるけどエロマンガ誌とはいいがたい特異な雑誌だったと思う。その辺は巻末の米沢嘉博の解説に詳しい。
その言葉を借りればロリコンマンガとは「マンガでSEXを描くことではなく、マンガの中にエロスを見つけ出すために機能した」ものであり、そこにはある種の見識やルールがあったのだが「美少女マンガ」として一般化していくうちに(時代的には80年代半ば)その特殊性は失われた。で、かつての「ロリコンマンガ」のテイストをある程度保持していたのが「レモン・ピーブル」だ、ということらしいです。

「ロリコンマンガ」の特殊性を考えていくと、巻頭の吾妻ひでお「みかちゃんのぱんつ」なんて、とても不思議なマンガに思えてくる。
絵本風の構成で、カモノハシにぱんつをとられた小学生のみかちゃんがそれを追いかけて不思議な冒険をする、というものなんだけど、内容そのものも絵本風なんだよね。まあ子供に見せても何ら問題ないと思う。ところがこれって100パーセント、子供じゃない人に向けて描かれたものでしょ。じゃあ隠された意味があって、大人にだけわかる巧妙にエロスが組み込まれているといった複雑な構造をしているかというと、そうでもない。
じゃあまったくそのまま、単なる「絵本」かというとやっぱり吾妻ひでお的なエロスは感じるという。ここら辺が、「ロリコンマンガはマンガの中のエロスを見つけるために機能した」っていうことの一面ではないかと思う。

本誌はアニメ、特撮、少女マンガなどから明確に影響を受けてる表現法とか、パロディの手法とかを作品群から見ることができて懐かしい。その中には今読むと違和感があるものもあるし、そうでないものもある。マンガの中に特撮やアニメのパターンを取り入れる、なんてのは当時は特殊なモノだったが現在は一般化しているといえる。
米沢嘉博の巻末解説では、当時からオタクっぽいマンガの1パターンとして存在していた「戦う美少女」の系譜について簡単に触れられているが、なるほどと思ったのは「戦う美少女」ではなく「戦う美女」について書いていることだ。要するに009ノ1や女囚さそりや、峰不二子について。確かに彼女らの系譜についてきちんとおさえないことには、おそらく「戦闘美少女」の分析は片手落ちとなるだろう。

当時を振り返るマンガ家たちのコメントがついているが、早坂未紀は現在所在が掴めないという。当時の美少女マンガ家の中でも、かがみ・あきらなどと並んで評価されていたと思うので、残念だ。
で、実は当時の美少女マンガから一定の評価を得てマンガ家やアニメーターや、とにかくソッチ関係の仕事を続けている場合もあるが、ホントに気になるのはやめてしまった人たちなのだ個人的に。
さまざまな事情があるだろう。ちょっと描いてみて大変そうだからやめてしまったとか、あるいはもっと好きなことを見つけて移っていった人もいるだろう。もちろん挫折した人もいると思う。
そういう無数のドロップ・アウトを経て、現在があると思うと気になるんだな。いや、それはどんな業界でも珍しくないことだけど、受け手と送り手がシャッフルされ、つくられていったのが「美少女マンガ」だと感じるだけに、今残っていない人の生き方とかも、気になるということなんだけど。
(01.1206)



・「ボボボーボ・ボーボボ」(3) 澤井啓夫(2001、集英社)

週刊少年ジャンプ連載。ボーボボと仲間たちが「毛狩り隊」と戦うマンガ。そのジャンプシステムを徹底的に破壊しつくす展開には1〜2巻で非常に衝撃を受けた。んだが、今回ちょっとパワーダウンか……? これは感覚的なものなのでどこがどうとは言えないんだが、感じたことだけを言えば「頭で考えてるっぽいギャグが多い」ということかなあ。「考えすぎ」というか。
もちろん、「メルヘンチック遊園地」とか「魔攻破邪神ザルビオス」とか、個人的に面白いと思うところはあるんだけど……。連載開始から盛り上がりすぎたぶん、壁というかスランプに入っているのかもしれんし、このままこういう路線で行くのかもしれん。「ヘッポコ丸薔薇をくわえて復活」ってのはさあ……いくら何でもメチャクチャすぎるだろ。いや、それはすばらしいんだけど。すごく微妙な線を走りすぎてる。それだけに、期待もしてる。
・2巻の感想

(01.1205)



【同人誌】

・「唐沢俊一・眠田直『トゥーン大好き!』」(2001、WARMACHINE)

海外(主にアメリカ)のアニメについて語った本。
要するに、最近だと「パワーパフガールズ」とか、昔だと「チキチキマシン猛レース」とか「スヌーピーとチャーリーブラウン」とか……。
「ハンナ・バーベラのアニメは今見るとつまんない」というショッキングな事実も描かれてる(笑)。「チキチキマシン」はマシな方で、「幽霊城のドボチョン一家」ってダジャレ小話みたいのを直訳してるんで日本語で聞いてもなんだかよくわからないらしい。
それにしても、「ドボチョン一家」に「かわいい魔女サブリナ」が出てたとか、まったく忘れてた。「ペネロッピー絶体絶命」のペネロッピーが「チキチキ」のミルクちゃんだというのは覚えてたけど……。あと「幽霊城のドボチョン一家」と「ドボチョン一家の幽霊旅行」は別のアニメ会社がつくってたとか書いてある。知らなかった。私の記憶だと、両方「ドボチョンドロドロ……」っていう日本でつくったおんなじ主題歌使ってた。そして歌詞だけ違ってた。ややこしい。

また例によって自分のこと書きますが(笑)、アメリカのアニメって昔やたらと再放送していて、幼稚園から小学校低学年くらいまで、面白いとかつまんないとか全然判断しないで思考停止して見てました。
「コレはつまんない回だなあ」とか、なぜかぜんぜん思わなかった。「ドボチョン一家」も、オバケのキャラだけで見てた記憶がある。後は「弱虫クルッパー」に毎回出てくるハンバーガーがうまそうだとか、学園生活がオシャレっぽいなとか(何のアニメだったかは忘れてしまった)、なんでアメリカのアニメはしゃべるときに首をカクカク上下に動かすのかとか、そういう興味で見てたなあとか思い出しました。

あと、本書ではまったく知らないアメリカのアニメがたくさん紹介してある。コレを見て驚くのは、「アニメ」というのをアニメ一般と認識して、研究・調査していく姿勢ですよね。資料もほとんどないらしいし。大半の人は「懐かしい」とか「面白い」で終わってしまうところを一歩踏み出す。これが普通、なかなかできないんですよね。

今「マンガ」っていうと1コママンガとかが無意識に除外されてるのとか、ホントはおかしいっちゃおかしいんですよね。あ、そのために「コミック」って呼称する場合があるのかな。そんなことを思いました。
(01.1203)



【同人誌】

・「十一月の四畳半」(2001、オレンヂつくりもの)

主に山川直人、鵜匠カシヲ、三五千波、天野春彦坊。
四人が四畳半について、4ページ半の短編を描く、という企画のもとに作製された本。
ちょっと1本が短いかな、と思うが、同一テーマの短編集としてはつくり込んだ印象があってイイと思いました。創作モノの醍醐味があります。
山川直人氏のあとがきで自分は「ゴールデン街で飲んで、マンガについて熱く語ってあげくは殴り合いのケンカをしそうな人」というイメージがあるが、そういう人間ではないと語っている。すいません、私もマンガを読んでなんとなくそんなイメージを抱いてました……。
(01.1202)

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