06 タモリはいつまでウキウキウォッチングできるか

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・07 私は高岡早紀のファンだった、そしてまた明日も……。
・05 「萌え」に歴史あり 第1回(!?)「キックオフ」
一気に下まで行きたい

・06 タモリはいつまでウキウキウォッチングできるか

・もう20年もやってんだよなあ
82年10月から「笑ってる場合ですよ!」に引き継がれるカタチで始まった(……んだよな確か)フジテレビお昼のバラエティ番組「笑っていいとも!」は、放送期間があまりに長期にわたっているせいもあり、実にさまざまな批判・評価の目にさらされてきたと言っていい。
似たような長寿番組はいくつかあるが、「笑い」を目的とした番組であることがそれだけのツッコミが可能となった大きな理由だろう。

しかし、そのツッコミも先人の努力によってパターン化されてきている。

・タモリはもともと得体の知れない夜の芸人だったのに、日和ってつまらなくなった(80年代によく言われた)。
・人気番組「いいとも」のレギュラーになることはそれなりの意味があったのに、最近はそのセレクトもいいかげんになっている(ケント・デリカットやサンコンなどは「いいとも」からタレントになった人々)。
・タモリは「テレフォンショッキング」でゲストに接するときに「顔ちっちゃいね〜」と「髪きった?」とすぐ言う→コージー富田の出現
・タモリは、ゲストで芸人が出てきて芸を披露すると、必ず対抗して自分も何かをやろうとする。
・タモリは、変なしゃべり方のシロウトが出てくると必ずそれをマネする。そして、それを次のコーナーにまでひきずり、他のレギュラーメンバーが止めるというパターンがある。
・タモリはすぐ料理の話をする。
・タモリはときどきカツラネタをやる。
・タモリはコージー富田と共演したがらない。

とっさに思いついたのはそこら辺だろうか。で、故・ナンシー関が「番組の司会者が本来『家長』的役割を担うとするならば、タモリは『いいとも』内で家族内の『おじいちゃん』的役割におさまろうとする傾向がある」(大意)と指摘していた。
これは本当にそうで、「シロウトのものまねで暴走するタモリを止める他のレギュラー陣」というパターンは、まさにそんな感じ。
で、タモリがそういう役割を選択しているのは「そっちの方が楽」だからだろうと思う。タレントの資質にもよるが、その方が飽きられないという計算もあるのだろう。小倉智昭とかさんまとは対極に位置する司会姿勢かもしれない。

・「老人」か大物タレントか
しかし、「いいとも」において、最近そういうタモリの「老人性」のようなものがゆらいでいるように感じる。具体的に言うと、レギュラー陣がタモリを妙に持ち上げる瞬間がだんだん目立つようになってきた。
本来つっこんでほしいところで、持ち上げてしまうのだ。

たとえば「タモリの人形付きマイク」を持ってきた人がいて、それをタモリが持って人形と一緒にポーズをとるシーンがあった。普通なら「気持ち悪い〜」とでも言って欲しいところだと思うが、はしのえみが「なんだか豪華ですよ。タモリさんが二人いるみたいで」と言っていた。そのリアクションはなんだか違うだろうと思った。
他にも、久本雅美司会の「犯人はだれだ!?」とかいう、シークレットゲストを関係者(主にマネージャーなど)の証言によって当てるというコーナーで、毎回タモリが回答とは何の関係もなくそのマネージャーの似顔絵を描くのだが、これに対してみんあんが褒めちぎるのだ。「うまい〜!」とか「似てる〜!」とか。

そしてきわめつけは、女性タレントがふだんとはまったく違うメイクをして写真を撮り、それを見てそのタレントがだれだか当てるクイズがある。あるいは、顔の型をとってそれでタレントを当てるというのもある。そのどちらかでのことだが、そこで正解するとタモリがレギュラー陣の脇の下にキスしてやる、とかいう意味不明のシチュエーションがあった。
まあこの時点ですでにたいして面白くないんだが、普通ならそれをいやがるのがまともなリアクションだろう。

ところが、それを何週か続けているうちに「タモさんに脇の下にキスしてもらうことは栄誉」みたいな価値観になってた。さらに仰天したのは、レギュラーの矢沢心が、時間がなくて正解したのにタモリに脇の下にキスをしてもらえず、

「ワキチュッチュは〜!? ねえ、ワキチュッチュは〜!?」と、脇の下を誇示してタモリにせまったのである。進行のためにそのコメントを微妙に流すタモリ。そして時間が来たのでなんとなく終わるコーナー。

しかしだなあ、若い娘がタモリに脇の下をキスされて大喜び、というシチュエーションは、いくらなんでもムリがありすぎないか!? まあもともとリアクション困難な奇行を毎週続けてるタモリのやけくそ具合も問題があると思うが、とくに女性レギュラー陣に「タモリを持ち上げていいものやら落としていいものやら」という、「PRIDE」的に言えば立ち技で殴る蹴るから入るか、タックルしてテイクダウンをとってから攻めるかというような、とまどいがなんとなく見えるような気がする。

タモリは「ぜったいに反省しない、CM撮りがあったらぜったいに自分からアイディアを出したりダメ出しをしたりしない」と公言している。本当かどうかは確かめることはできないが、タモリ主演のCMで、たとえば明石家さんまの「♪しあわせって何だっけ何だっけ……」のような強いインパクトを残すものが皆無であることを考えると、本当かもしれない。
しかし、昨今のレギュラー陣にはダメ出しをすべきではないのか。「もっと自分を突っ込め。持ち上げるな」と。ツッコミを遠慮されるようになったら、お笑い芸人としてはオシマイだと思う。……というわけで、「矢沢心ワキチュッチュ事件」は、番組内価値観を混同させかねないほど危険なものであった。
もし、レギュラー陣全員が微妙にタモリを持ち上げるようになったとき、そのときこそが「いいとも」の終焉だろうと勝手に思っている。

余談だが、三瓶ゲストのときの、三瓶が「さんぺいの、ちょっと面白い話!」ってやるときに割り込んでくるタモリはものすごくウザい。
あと、極楽とんぼの太った方は劇的につまらない。「ザ・定番ショー」で、オチとなる回答の順番の最後を与えられていない(加藤が最初の方で、最後はゲストタレント)のも他のレギュラーに比べると珍しいできごとだ。「めちゃイケ」みたいのの方が得意なんだろうとは思うけど、石塚や伊集院光など、「頭の回転の速いデブタレ」というイメージから、あの人だけはずれてる。そういう意味では孤高のデブタレだと思う。

われながら超どうでもいい話だが、今回はネタもないのでおしまい。
(02.1006)



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