2003年4月上旬


4/10(木)……歯グキ連夜〜

▼引き続きサーバー移行に伴うこまごまとした作業。いちおうOHPについてはだいたい完了したと思うけど、何かヘンなとことかありましたらご指摘いただけると助かります。

▼未読物
【単行本】「春よ、来い」10巻 咲香里 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「ワイルドリーガー」8巻 渡辺保裕 新潮社 B6 [bk1][Amzn]

【雑誌】ビッグコミック 4/25 No.8 小学館 B5中

 創刊35周年ということで現金5000円または特製QUOカードのプレゼント企画あり。

 巻頭カラーは山本おさむの新連載「天上の弦」。たった一人で「東洋のストラディヴァリウス」と呼ばれるほどのバイオリンを作り上げた職人・陳昌鉉の生涯を描いていく物語で、前作「聖」に続く実録人物モノ。韓国で生まれて日本で育ち、さらに西洋の楽器を西洋人以上の品質で作り上げた人物ということで、なかなか読みごたえのある作品となりそう。岡崎二郎「鉄腕アトム2003」。アトムの10倍の演算能力を持つ究極のロボット「マン」が、ロボットの自立を促すウイルスをまき散らしパニックを起こす。そんな中で思いもよらない存在が重要な役割を果たす。もちろん岡崎版アトムなのだが、手塚アトムの枠組みを踏まえつつもきっちり自分らしいお話を作り上げているのはこの人らしい熟達の技。アトムはいつも人間のために行動する。しかしアトムの盲目的なまでの人間への信頼は果たして本当に正しいのか。実際、人間は身勝手だし、そこまでして人間に尽くすアトムにさえ裏切り行為を働く。確かに事件は鮮やかに解決するのだけど、人間というものに対する問いは読者に残される重い話でもある。なお、岡崎二郎はNo.10から「アフター0 Neo」を隔号、つまり月イチで連載開始予定。

【雑誌】モーニング 4/24 No.19 講談社 B5中

 今号は読切が多くて楽しいなあ。まずは前号に引き続いて掲載された青木幸子「いただきます」。今回は過去の記憶にとらわれて料理に対し神経質になっていた男が、月代さんの作るおそうざいによって癒されるというお話。料理と人情モノのドラマのからませ方がうまい。そして料理のほうもこれまた非常においしそう。上品で暖かい絵柄も見ていて気持ちいい。征平「中華屋の娘」は、タイトルどおり流行らない町の中華料理屋の娘が主人公。彼の父親は料理の腕はすごくマズいが、人の死期が分かるという特殊能力の持ち主で、その能力を必要とするブローカー的人物からの臨時収入により生活を支えている。というとなんか超能力モノっぽいが、別にその能力を使ってなんかするというのが目的ってわけでもなく淡々と家族の日常を描く。シンプルな絵柄といいスローペースな話運びといい、独特の味があってなかなか面白い。

 石川雅之「神の棲む山」は日本の中世が舞台の短編。龍が棲むということでそれを狙う武者たちが集まる山。そこで人生に絶望していた刀鍛冶の男が出会った不思議な女武者。和風の「剣と魔法」ファンタジーといったところ。お話としては短編一本で終わらすとちと物足りない感もあるけど、きっちりとまとまっているし画力も高い。坪山タンゴ「夜の散歩」は、扁桃腺の手術で入院することになった小学4年生の女の子とお医者さん、それから女の子が病院になじめなくて脱け出したさいに出会った不思議な女性によるファンタジー。親しみやすい絵柄、ハートフルなお話で暖かい読後感を残してくれる作品。

 で、連載作品。うえやまとち「クッキングパパ」ではもうすぐ800回になろうという連載の中でもかなり大きな変革が。夢子さんが髪を切ってしまったのだ! これはちょっとショック。前のほうが好きだった……。うめ「ちゃぶだいケンタ」はテスト@塾編が最高潮。意外と白熱してて面白い。佐藤秀峰「ブラックジャックによろしく」はいつもながらにヘヴィな読みごたえ。強力なストーリー牽引力でぐいぐい読ます。

【雑誌】ヤングサンデー 4/24 No.19 小学館 B5中

 今号は一色登希彦「ダービージョッキー」(原案:武豊+構成:工藤晋)が良かった。これまで上杉が待望していた瞬間がついに到来。その瞬間のパーッと目の前が開けるような、ドラマチックな展開にゾクゾクさせられた。一色登希彦は力のある描き手だなあと改めて思った。

【雑誌】ヤングジャンプ 4/24 No.19 集英社 B5中

 巻頭カラーは清野とおる。いきなり怪しい雰囲気が漂う。というわけで新連載「ハラハラドキドキ」。平凡な高校生男子がクラスメートにそそのかされて、土手でハトにエサをやっている奇怪なババアにちょっかいを出したところ、ババアの魔力で腹に人面瘡がとりついてしまう。ど根性ガエルよろしきその存在に悩まされる日常が始まるといった感じの出だし。「青春ヒヒヒ」同様、アクの強い作品となっていきそうで楽しみにしてます。山花典之「妹 あかね」。焦らしに焦らしてついに……という展開に突入。焦らされ続けたほうがこの作品の場合いいかも、という気も若干する。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 4/24 No.19 秋田書店 B5平

 「オバコブラ」を描いていた園田ともひろの新連載がスタート。「はぐヤン!とんじる」。父親の命により市民に好かれるヤンキーを目指す男・左とんじるの青春。でも仲間にその志がバレると「はぐれヤンキー」になってしまう、そんな恐怖にさらされながら彼の日常は続いていく。ヤンキーをコミカルに描いたギャグとして地味に面白くなりそうな予感。「オバコブラ」もけっこう好きだったんだけど、トボけてはいるけどあくまでオシャレ方向に行かないところがいいと思う。というか「はぐれヤンキー」という概念はなかなか優秀だと思った。言葉としていい。ちょっと使ってみたい。

 能田達規「ORANGE」は巻中カラー。地元の大声援により選手たちもヒートアップ。こういうのがホーム&アウェイの魅力。燃えるし泣ける。おおひなたごう「フェイスガード虜」では、エロ本の大いなる力について語られる。あと女ちゃんの奔放な振る舞いとか。八神健「ななか6/17」。うわー、切ねえ。雨宮さんの稔ニに対する訴えかけしかり、最終コマのななかの笑顔しかり。物語は最後の一丁場という感じか。

【雑誌】メガキューブ Volume26 コアマガジン B5平

 今号は面白かった。玉置勉強「暗い部屋」は、行方不明になった少女が暗い部屋の中でいやらしいオヤジどもに調教されていく様子を描いた凌辱系の作品。こってりやっててなかなかエロい。田沼雄一郎「G街奇譚」は久々の登場。探偵・マ織青蛾シリーズの最新作。青蛾が連続通り魔殺人を捜査する中で出会った少女との悲しい物語。大時代的な雰囲気がいつもながらに良好。えーと名前なんだっけ、助手のお嬢さまの活躍がなかったのはちょっと残念。

 ほしのふうた「窓のなか」は、少女が道を挟んで向こうにある暗い窓の向こうに見せつけるようにオナニーをしていたところ、相手から紙飛行機に乗せて「もっと見せて」などといったメッセージが送られて来る。無邪気な絵柄なのに妙にエロい、ほしのふうたならではの味が存分に発揮されている。みかん(R)「きみがいいの」は、かつてセックスフレンドだった男に彼女ができて、あきらめてほかの男とつき合うようになっていた女の子が、そやつが別れたと聞いて動揺。久しぶりにHしてしまう……というお話。素直に振る舞えない恋心がしっかり描かれているし、作画も相変わらず雰囲気あっていい。道満晴明「ポンヌキ」は、ポケモンみたいなモンスターを連れていて彼とすごく仲良くしている女の子のお話。本来はバトルさせて成長させていくのが目的のモンスターなんだけど、友達として彼のことを思いやりながら暮らしている様子には暖かみが。ちょっともの寂しい雰囲気も漂う優しいお話。そういえばこの人、メガキューブは漫画では初登場らしい。

 湊谷俊作「兄妹輪舞曲」。テストの成績が悪かったことを父親になじられて、そのうっぷんを小学生の妹にブツける兄。でも妹は兄のことを一心に慕うのであった、というお話。この人の瑞々しい画風はけっこう好き。あと新連載、REN「歪」。うーん、こりゃなんというかたしかに歪んでますなあ。学校では自分に告白してきた女の子をみんなで凌辱して写真まで撮って脅迫するような男が、隣に住む幼なじみには気持ち一つ告げられない。前半部の鬼畜な展開と、幼なじみがらみのラスト数ページの骨抜きラブコメっぷりのアンバランスさにちょっと驚かされる。こういうのって素でやってるんだろうか。それだと凌辱ってものがあまりにも軽くなりすぎるような気がするんだが。

【単行本】「Tokyo Pop」 井上眞改 司書房 A5 [Amzn]

 不定期にふらりとドルフィン誌上とかに現れては、スタイリッシュな絵柄のまったりした漫画を描いていく井上眞改。この作品は、流星学園という学校でなんだかよく分からん活動をしている解決(怪傑)部に所属するかわいい女の子3人と、生徒会からカイケツブにスパイとして送り込まれたけど3人に捕まってペットにさせられた美少年1名が織り成すのんびり学園モノ。なんかカイケツブのリーダー的存在のシブヤとあやせはレズ関係にあったり、ちょっとHな要素はあったりするけど、別にその比率は高くない。とくに事件が起こるわけでもなく、カイケツブが何をやってるのかもよく分からぬまま平和に学園生活は進行。エイケン部みたいなものかしら。井上眞改のスタイリッシュで流麗、ちょいヌルめな描線と、これまたヌルいまったり学園ムードを楽しむ作品。読んでてなんとなく気持ちいい。

【単行本】「全日本妹選手権!!」4巻 堂高しげる 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 萌えをネタに使ってはいるのだけど、実際の登場キャラには意外と誰にも萌えないような……とちらっと思った。個人的には普通にドタバタギャグ漫画として面白いと思う。まあオタクネタとかはいろいろてんこ盛りで、誇張した描写も多いけど、そういうのってギャグ漫画にはつきものだと思うし。なんかいろいろやってやろうと毎回仕掛けてくる姿勢なんかは好きだし、けっこうネタもヒネってて楽しい。


4/9(水)……ヤバそな死

▼サーバー移転のさいのドメインネームサーバー設定を間違えちゃって、しばらくアクセスできない状態になってました。どうもすみません。もしつながらない間にpicnic.toのアドレス宛にメールを送ろうとした方がいらっしゃいましたら、お手数ですが再送お願いします。DNS設定は新規登録にせよ変更にせよ、設定が反映されるまでにすぐさま対応ってわけにいかないのがもどかしい……。

【雑誌】スーパージャンプ 4/23 No.9 集英社 B5中

 作:武内伸+画:本庄敬「−ラーメン人物伝− 一杯の魂スペシャル」が掲載。今回や支那そばやの佐野実という人。で、それに合わせて、佐野実が超豪華な素材を使いまくって作る特製ラーメンの独占食事会の参加者募集が行われている。第一次審査は、10問のラーメンカルトクイズによる選抜と、「どのくらい本気でこのラーメンを食べてみたいか」をテーマに作文を書くという課題による選抜が行われる模様。自信がある人はチャレンジしてみるといいのではないかと。

【雑誌】週刊少年サンデー 4/23 No.19 小学館 B5平

 作:坂田信弘+画:万乗大智「DANDOH!! Xi」が最終回。さすがにタイトル変えて続編……というのはもうなさそうな、きれいな締めくくり。河合克敏「モンキーターン」。波多野の「Vモンキー」を巡って、丁々発止な展開。読みごたえあって面白い。やっぱり必殺技が出てくると盛り上がる。しかもその必殺技が、難度は高そうだけど実際に不可能ではなさそうという技なのがいい。橋口たかし「焼きたて!!ジャぱん」。最終ページのサービスカットの挿入っぷりの強引さにちょっと笑った。

【雑誌】週刊少年マガジン 4/23 No.19 講談社 B5平

 森川ジョージ「はじめの一歩」。勇気を振り絞った結果、新しい世界を獲得した板垣がこのところとてもかっこいい。スピード感と力強さがしっかり両立。

【単行本】「マニマニ」 宇仁田ゆみ 祥伝社 A5 [bk1][Amzn]

 イッツソーキュート! 宇仁田ゆみがFEEL YOUNGで描いている恋愛モノのオムニバス形式なストーリー。第一話は東京での仕事をやめて実家に戻ってきた初音というねーちゃんが主人公。久々に田舎に戻ってみたら、昔っから自分になついていた近所の歳下のコがけっこういい男に育っててびっくり……というところから生まれるラブストーリーを描いている。んでもってそれ以降のお話は、彼女たち近辺の人たちへ主役がバトンタッチされていきそれぞれの恋愛模様を描いていく。で、最後は初音たちのエピソードにまた戻ってくるという感じ。恋人たち、それから恋人がいない女子男子といった人たちの想いが、暖かく可愛らしく描けていて読んでいて楽しい。ラストがハッピーエンドできれいに締めくくられているのもマル。読後感を良好にしてくれている。なお、現在発売中のFEEL YOUNG 5月号に、初音の二人の姉を描いた「マニマニ」番外編も掲載されている。こっちもいいお話なんで興味を持った人はぜひどうぞ。ところで帯に浅田弘幸が推薦の言葉を書いているのだが、「彼女と一緒にヤロウ共も読むと吉!」とかいってる。ひどいや。彼女のいない男子が読んでも面白いですよ。

【単行本】「ササメケ」3巻 ゴツボ×リュウジ 角川書店 B6 [bk1][Amzn]

 君の手がささめいてるぜ! いえーい。というわけで第3巻。これまでFWとして才能まかせの個人プレーばかり続けていたらくいちが、左サイドを体験することによって新たな視野を獲得し、多少チーム全体を見たプレーを始めたりするこの巻。「サッカーをしている奴らとそれを取り巻く面々」を描いた学園モノとして楽しい出来。スタイリッシュな絵柄もいつもながら好感度が高いし、シャレっ気も十分。ただサッカー漫画としてのカタルシスはちょっと足りない。これはハッキリいって画面作りがうまくないからで、もう少しフィールドを俯瞰した上からのカットを入れたり、アングルを動かさないとまつり先輩やららくいちやらのプレーの凄さや気持ち良さがいまいち伝わらないと思う。とくにp.162〜163、まつり先輩がハーフウェイラインから超ロングループシュートを決めるあたりなんかそう感じた。ちょっと視点を上からにして、ボールの軌跡とかを描くだけでずいぶん違うと思うんだけど……。こういったところはやっぱりメジャー少年誌の人はうまい。

【単行本】「妖魅変成夜話」3巻 岡野玲子 平凡社 A5 [bk1][Amzn]

 昔の中国を舞台にした、のほほんと楽しい仙界コメディ。秀才で堅物な役人だが美人には滅法弱く、なぜか妖怪にはモテモテの役人・李成潭が、皇帝直属の双竜舞台を率いる龍玉将軍に使役されて超常現象の調査をいろいろやらされる。その過程で美人に誘惑されて、幽霊娘にとりつかれたりまあボケナスなことをいろいろしでかしてしまうというお話。筆描きの美しい、そして落ち着いたタッチでゆったり雅にちょいとヘンなお話を展開する手腕はこの人ならでは。「陰陽師」は最近話が高尚すぎちゃってよく分からない領域に入ってきてるけど、こっちは親しみやすくて気楽に読める。


4/8(火)……肝とロールパン

▼ちょっと前にちらっと書いたとおり、picnic.toドメイン用のサーバーマシンを変更。で、現在環境移行作業が進行中。といっても別にURLの変更とかはないので、ブックマークやリンク先はこれまで通り「http://picnic.to/~ohp/」のままでOKです。何をいうてるんだか分からないという人は、要するに「しばたが陰でこそこそ何かやっているが、俺には関係のないことだぜ」などと思っていてくださってかまいません。新サーバーマシンに慣れないうちは多少不具合が出るかもしれないですが、その点についてはご容赦ください。

 まだドメインとマシンのIPアドレスの対応がインターネット全体には行き渡っていないようで、http://picnic.to/にアクセスしても旧サーバーにつながっちゃうようだけど、コンテンツについてはたぶんインターネット全体にドメイン情報が行き渡るであろう10日から11日くらいまでは新旧サーバーともに更新するつもり。「http://picnic.to/」にアクセスして白バックだったら接続先は新サーバー、黒バックだったら旧サーバーです。もし今までウチに対してIPアドレス直打ちでリンク張ったりブックマーク登録してた方がいらっしゃいましたら、この機会に「http://picnic.to/~ohp/」にするか「http://210.143.111.46/~ohp/」に変更していただければと思います。

 このマシン変更でCPU:233MHz→1.1GHz、メモリ:64MB→512MB、HDD:2.5GB→40GBとなるので、ずいぶんアクセス速度とか変わると思います。最近ちとスペック的に窮屈に感じるようになっていたので、だいぶ余裕が出た。これでpicnic.toサーバーはあと10年戦える。かどうかは知らない。

【雑誌】YOUNG YOU 5月号 集英社 B5平

 榛野なな恵「Papa told me」がテレビドラマ化ということで連載再開&これまでの連載の中から3話分をより抜きした特別小冊子が付属。「パンテオン」はPTM連載再開に伴って、しばらくお休み。個人的には「パンテオン」が最近かなり盛り上がってきたので、ここでの連載長期中断はおあずけをくらった気分。どうせドラマは観ないし……。羽海野チカ「ハチミツとクローバー」は今ごろクリスマス話。安定していい。それにしても山田さんたちは冬でもけっこう薄着だ。若ぇもんは元気でいいねえ。

【雑誌】FEEL YOUNG 5月号 祥伝社 B5平

 宇仁田ゆみ「アンチカガミコント」は、「マニマニ」番外編という位置づけの読切作品。あー、こういうお話は好きだな。ランとカンナの双子の姉妹、かたやランは女も惚れるゴツくて豪快な女、かたやカンナは恋多き派手で高めな女。パッと見は正反対で、いつも喧嘩しているように見えるけれども、実はすごく仲良かったりする姉妹の絆を描いた作品。個人的にはどっちのキャラにも好感が持てた。なんというか最近年を重ねるごとに気が短くなってましてな、グジグジめそめそしたキャラより、この二人みたいなキップのいいサバサバした気性のキャラにより惹かれるようになっていたりする。ジョージ浅倉「ハートを打ちのめせ!」もいい。中学を卒業し別々の高校に行くことになりそうな、いつもの根岸さん&荒井くんのカップル。自分の離れたくないという気持ちをどう表現したらいいか分からない根岸は、荒井に以前やったように殴り合わないかと申し出る。なんかよく分からないけど拳を交わせば分かる、ような気がする。その若々しい勢いに惚れた。

 藤原薫「シェリ・リリィのすべて」。自分の愛する娘の肉体のスペアとして、その複製である少女を塔の一室で育て続けている男。結局のところスペアのパーツに過ぎない複製の彼女に対し、男は娘にはできないような性的でサディスティックな行為を強要し続ける。藤原薫の絵柄は硬質で繊細ながら、やっている内容はかなりエロティック。局部へのピアッシングなどもあり。でもけしてそれが作品全体の気高さを損なうことがないのは、この人の作品が持つ独自の雰囲気のおかげ。実に美しい。こいずみまり「ガーデンオブエデン」。人形のようにキレイな容姿の持ち主である真島さん、彼女にそっくりな少女をずっと絵にし続けていた坂井。坂井は真島さんに自分の描いた絵を見せ、じょじょに彼ら二人の間の因縁が描かれていく。ノリは軽めなところもあるものの、今後深い展開も待っていそう。楽しみ。

 青木光恵「スウィートデリシャス」。愛されまくりでコトエリさんもすっかり安定。やっぱりこの人の描く女性はすごくかわいい。ムチプリ。安野モヨコ「監督不行届」。楽しいほのぼの夫婦日常漫画。庵野カントクのキャラが立っていることもあり、なんてことない日常でも面白く読めたりします。有間しのぶ「モンキー・パトロール」は2本立て。一瞬「4コマ漫画なんだから2本立てといわれてもなあ」とか思ったんだけど、2本めはモリタの学生時代のお話ということで、いつもの「モンキー・パトロール」とはだいぶ趣が違った。

【雑誌】ヤングチャンピオン 4/22 No.9 秋田書店 B5中

 井荻寿一「魔月館奇譚」。いわくありげな館に下宿することになった主人公。今回は美人管理人の月子さん以外の隣人たちも登場。これでスタンダードな美人ヒロインタイプ、おねえさま系、ロリ系と揃った。井荻ギャルはやっぱりいいが、この中ではスタンダードに管理人さんが一番キレイだと思う。丸尾末広「ハライソ〜笑う吸血鬼2〜」。主人公の毛利くんによって吸血鬼化した同級生の少女・留奈だが、吸血鬼の世界に染まりきることに逡巡する。とかいってる間に、うさんくさいおっさんとか変態的なキャラも登場して猟奇度が増している。いろいろお話が動いていて楽しい。

【雑誌】漫画アクション 4/22 No.16 双葉社 B5中

 山崎さやか「東京家族」。ほのぼのするなあ。今回は小学生であるのぞみ&のぞむのエピソード。吉村の息子である国彦が同じクラスになって、子供っぽいいやがらせをのぞみに仕掛けてくる。微笑ましい。この作品において、壮に対してコンプレックスを抱き続ける吉村とその周辺人物たちはいつもなかなかいい味出してる。わたべ淳の女子社会人ソフトボール漫画「ライジング」。今回も熱血。コンスタントに読める安定株連載となってきた。

【雑誌】漫画サンデー 4/22 No.15 実業之日本社 B5中

 新田たつお「静かなるドン」。秋野が久しぶりに日本へ戻ってくるも、彼女は昔の彼女ならず。というわけでちょっと怪しげな雲行き。気楽にするする読めてちゃんと面白い。

【雑誌】近代麻雀オリジナル 5月号 竹書房 B5中

 片山まさゆき「スーパーヅガン!アダルト」ではイラク戦争がネタに。ブッシュみたいな人たちと豊臣が勝負。やっぱり時事ネタを麻雀とからませてゴロゴロ転がす腕は天下一品。下らないけど面白い。うういずみは近代麻雀オリジナル初登場。読切「ジンガイ麻狂!!ゴンザレス」(原作:青木健生)が掲載。これなかなか面白かった。とある雀荘にバイクで乗りつけてやってきた、腰まで届く長い髪、太い眉毛と厚い唇のやたら暑苦しいゴンザレスと名乗る男が、過剰なノリでほかのメンツを圧倒。リーチするたびに「RYEEEEEECH」などと奇声を上げ、やたら騒々しい麻雀を打つ。馬鹿馬鹿しくてわけの分からない勢いがあって楽しかった。個人的には連載でもいいと思う。


4/7(月)……二軍もあり

▼アニメ「アストロボーイ・鉄腕アトム」第1話。これは面白かった。作画品質は高いし、何より「絵が動く」ってことの楽しさを感じさせてくれた。演出も細やかだし第1話としての締め方もいい。金も人もいっぱいつぎ込んだんだろうなあということが伺えるクオリティ。この作品のおかげでほかのところに人が回らなくなっちゃうんじゃ……などと心配したくもなるような出来だったが、まあそんなことまで視聴者が気にする必要もあるまいて。

 個人的には、手塚作品の中ではアトムはすごく好きな部類ではない。なんといってもアトムというキャラがあんまし魅力的じゃないよなーと思う。ディズニーでいうミッキーみたいなもので、シンボルとしてはキャッチーだけど優等生的でどこか食い足りないところがある。サブキャラも、必要不可欠なのって天馬博士とお茶ノ水博士とウランちゃんくらいで、ほかはいまいち存在感がないような気がする。でも制作側としては料理のしがいはそれなりにある素材かもしれない。アトムというキャラのイメージはみんな持っているだろうけれども、実際に漫画原作をちゃんと全部しっかり読み込んでいる人は、作品の知名度のわりにあんまり多くはないと思う。だからオリジナルの脚本で自由にいじっても「原作と違う」とかいわれる心配は少ないし、「人間とロボットの共生」「科学の未来」といったところを押さえておけば、多少深めなテーマをやってもオッケーっていう雰囲気はあるし。

 世の中のアトム便乗商売とかについてはよく知らないのでどうでもいいんだけど、とりあえず個人的にはブームの尻馬に乗って楽しめるおいしそうな部分をつまみ食いしていくつもり。そっちのほうが得だと思うんで。何はともあれ、春の新作アニメの中ではいちおう一番期待してます。今春は、ほかの新作がいまいち弱そうっぽい感じもするし……。

【雑誌】アーリーモーニング(モーニング5/21増刊) 講談社 B5中

 新人15人だけの増刊(といっても本誌掲載歴のある人も多いが)。「マンガでメシが食いたいッ!!」というアオリ文句が力強い。モーニング本誌も力のある新人がちょくちょく読切で掲載される本だが、それだけに新人の層は厚い。爆発的なパワーを感じさせるというタイプの人はいなかったが、しっかり読みごたえのある作品を描いている人が多い。たぶんかなりの作品が単行本に収録されないと思うのでぜひ買いましょう。売上が上がれば次号も出るかもしれないので、俺にとって都合がいい。

 まずは表紙も描いている室井大資の「マーガレット」。この人については、モーニング 2000年3/19 No.13に掲載されたMANGA OPEN大賞受賞作「海岸列車」(感想は2000年2月24日の日記に記載)がかなりの秀作で印象に残っている。今回の作品は、今どき珍しい子だくさん家庭に生まれたことを恥じていた女の子が、テレビ取材が来たことをきっかけに大家族のイヤなところを改めて痛感してしまって鬱々とした気持ちになるが……というお話。着実にお話を進めていろんな思いを呑み込みながら、最後は暖かく締めるストーリー運びはなかなかうまい。あと今回は絵が「ゴリラーマン」のころのハロルド作石っぽくなっているなーと思った。

 高見知行「定年退職の日」。うまい。会社ではあまり存在感がないまま定年退職していった一人の男。しかし彼は通勤電車の中では、常に乗客の顔をスケッチしていることで知られる名物おじさんだった。そんな男に、ある日一人の少女が語りかける。かつてその電車で通勤していた時分の父をモデルに絵を描いたことがあるのではないかと。悩み事を抱えた女の子、定年退職した後やることもなくて途方に暮れている初老の男、二人の人生を交差させて読後感良好な物語を作る腕前はなかなかのもの。高見知行には商業誌、同人誌と何作か読んでいるけど、作風が非常に安定感があるし実直な作品作りにも好感が持てる。

 ツジトモ「GHOST」。これもいい話。名探偵シュレイダーを主人公とした人気小説の作家であるハワード氏を、陰で支える秘書のオリビエ。しかし最近のシュレイダーシリーズのストーリーは、ほとんどがオリビエによる発案でハワード自身はそれを文章化しているだけに近かった。その状況にハワードはたいへんな良心の呵責を感じており、それを打ち明けられたオリビエも苦悩する。洋風な感じの描線を駆使した時分のスタイルがちゃんとあって、ラスト近辺の盛り上げ方もけっこう良かった。後味のいいキレのある短編。

 佐藤ひろむ「ゆきあかり」。父母が別居して離れ離れになった、姉弟が久しぶりに会う。一緒に映画を観たりしてちょっとデートっぽい。シンプルだが優しい雰囲気の絵柄と、ちょっと切なさまじりなストーリー作りが印象的。ヒネた小学生の少女・あきの日常を描いた小川春奈「遠足よりもおやつを買う事が大切だ」は、ちょっと気の利いた作品。自然にさらっと描いた感じの表情の描き方とかがいいなと思う。この人はギャグ方向に振っても行けるかもしれない。桝田道也「モチコミュニケーション」。編集部に持ち込みに行った新人漫画家が、ヘンな担当さんに当たってしまって一苦労するというお話。4月22日に単行本「浅倉家騒動記」1巻が発売と、すでに本誌でもそれなりに実績を積んでいる人だけあってさすがにキッチリ仕上げている。ってな感じで、読める作品がけっこうあって楽しい本だった。

【執筆陣】室井大資、ポテチ次郎、泉川徹也、桝田道也、松全太郎、佐藤ひろむ、高見知行、竹本真、高橋亮、稲田恭明、ツジトモ、新伊秀策、山田貴博、小川春奈、久保保久

【雑誌】ヤングマガジン 4/21 No.19 講談社 B5中

 山本マサユキ「ガタピシ車でいこう!!迷走編」は今回2色カラー。色っぽいけど部屋を整理できないゴミ女・麗子ちゃんが今回のメイン。この人の描く女性はやっぱいい。2色でそれがより映える。やっぱり2色印刷って好きだなー。安達哲「バカ姉弟」。ついに二人が幼稚園に入園。こうやってみんな型にハメられていくんだ……そうでもないか。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 4/21 No.19 小学館 B5中

 山本英夫「ホムンクルス」。読ませます。今回は自動車内でホームレス生活をやっている主人公の名越に対し、違法な手術を持ちかけてきた男の語りが印象的。クセのあるサブキャラの存在感が増してきて、いい具合にアヤしさが漂っている。これからもどんどん面白くなりそう。作:雁屋哲+画:花咲アキラ「美味しんぼ」は引き続き高知編。後出ししたほうが勝つという料理漫画のセオリーどおり、やはり雄山優勢な感じ。でも最近の傾向からいって、やっぱり引き分けっすかね。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 4/21 No.19 集英社 B5平

 荒木飛呂彦「ジョジョの奇妙な冒険 PART6 ストーンオーシャン」が最終回。途中からいまいち話をちゃんと追っかけられなくなっていたので、まあ仕方ないかなーという気がする。「絵をうまく描こうとしすぎると模様みたいになってしまう」といった旨のことを黒田硫黄がいってたけど、ここ数年の荒木飛呂彦にはわりとそんなイメージがある。ちゃんと読めば面白いんだけど、そこに至るまでの敷居がちと高い。蔵人健吾「サンタ」が新連載。かつて世界中を荒らし回った魔神の能力を受け継ぐ、108匹の獣人を倒し世界制服をすることを目標に主人公の「謎の少年」サンタが冒険を繰り広げるというお話。なんだかいかにもジャンプっぽい作りという印象。河下水希「いちご100%」。今回は真中くんと東城さんのデート。なんかやっぱいまいちこの二人ってうまく噛み合ってないような気はしますな。あと新キャラも登場。映画方面でのライバル役という感じか。最終的にこの娘とくっついたりしたらみんな絶望だ。

【雑誌】ミステリーボニータ 5月号 秋田書店 A5平

 小田ひで次「ミヨリの森」が目当て。今回が2話め。都会から田舎に引っ越してきた少女・ミヨリは、近くのうっそうとした森の中で不思議な精霊たちと出会う。森の精霊たちは、まだ赤ん坊だった時分からミヨリを知っているというが……。この作品、ミヨリちゃんがなかなかイマドキの美少女っぽくていいです。あと丁寧な自然描写。この人ならではの細かい描線の積み重ねで、暖かい質感の画面を作り出している。正直なところ、750ページのサイコロ本は持ち運ぶのも読み通すのもちとツラいものはあるんだけど、この作品のためだけでも買っちゃおうかなあという気にはなる。単行本になるかどうか分かんないし。まあタイム涼介「おねがい♥こっくりどん」も載ってるからいっかー。

【雑誌】MUJIN 5月号 ティーアイネット B5平

 甘詰留太「奥様の休日♥」。単行本「奥さまは少女」でおなじみな、年の差アツアツ夫婦(といっても少女と成人男性)のお話。いや〜、このシリーズはアツアツで好きだな。今回は休みということでイチャイチャしまくろうと意気込んでいた満子奥さまが、仕事を家に持ち帰ってきたダンナさんにブチ切れ。でもやっぱり結局はアッツアツのラブラブHが展開される。ラストの満子ちゃんのオノロケしまくりな表情とかすごくいいなあ。板場広し「巨乳は誰のもの?」。なんかいいタイトルだな……バカっぽくて。出張でほったらかしにされた弟の奥さんと主人公がやっちゃうというお話。他愛ないストーリーではあるんだけど、板場広しのフットワークの軽い作風はやっぱり見てて楽しい。


4/6(日)……フルゴン屋探偵の事件簿

▼いうまでもなく、「フルゴン」は吉田戦車「伝染るんです。」に出てくるアレです。

▼春の新作アニメの第1話を2本視聴。「金色のガッシュベル!!」は手堅いアニメ化だなという印象。原作の最初のほうはとくにテンションが高いあたりなのだが、アニメ版も頑張っているけれども原作のほうの熱気には及ばずといったところ。でも逆に日常シーンのほうは、動く楽しさもあってけっこうイケそうだなという感じ。「デ・ジ・キャラットにょ」も見た。これはかわいくてフツーに楽しい。おやつでも食べながら気楽に見るといいと思う。「鉄腕アトム」は録画はしてあるんだけど、ちと時間がたりなかったのまた明日。ちらっとだけ見たけどオープニングが、そーらーをこーえてーじゃないのはちと物足りないような。でも本編の出来自体はけっこう良さそうな気配。

▼未読物
【雑誌】ミステリーボニータ 5月号 秋田書店 A5平
▼早売り(7日)
【雑誌】アーリーモーニング(モーニング5/21増刊) 講談社 B5中

 アーリーモーニングは新人ばっかり15人を集めた増刊。といっても表紙も描いている室井大資をはじめ、本誌掲載歴のある人が多いけれども。感想は7日の日記で書きます。

(アーリーモーニング執筆陣)室井大資、ポテチ次郎、泉川徹也、桝田道也、松全太郎、佐藤ひろむ、高見知行、竹本真、高橋亮、稲田恭明、ツジトモ、新伊秀策、山田貴博、小川春奈、久保保久

【雑誌】花とゆめ 4/20 No.9 白泉社 B5平

 羅川真里茂「しゃにむにGO」。今まで地味だった部長・ウチ君こと大河内の見せ場。頑張った者が最後の最後に報われるという、熱血な展開がとても良かった。スポーツ漫画はやっぱりこうでなくちゃ。岡崎呼人「ベルの女」。もう少し磨いていく必要はあると思うけど、シンプルですっきりスタイリッシュな若々しい絵柄がわりといい感じ。

【単行本】「賭博破戒録カイジ」9巻 福本伸行 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 地獄パチンコ「沼」編も大詰め。カイジの戦略もだいぶ見えてきて、あとはもう一押し。パチンコという、身体のアクションが少なくギャンブルものの中でもかなり盛り上げにくいジャンルでも、力技でぐいぐい読ませちゃうあたりはさすが福本伸行。

【単行本】「彼岸島」1〜2巻 松本光司 講談社 B6 [bk1][Amzn:1巻/2巻

 さびれた商店街に住み、いつも集まってはワイワイやっていた幼なじみたち。彼らはメンバー間、とくに紅一点的存在であったユキを巡って多少のもやもやしたものはあったものの、平凡に暮らしていた。そこにミステリアスな一人の美女がやってくるまでは。彼女と森と海しかない小さな村からやってきたのだが、なぜか主人公・明の失踪した兄の免許証を携えてきた。そして彼女は彼とその仲間たちを村へと誘う。しかしそこは血に飢えた吸血鬼のひしめく地獄のような土地だった……というのが大まかなストーリー。

 「クーデタークラブ」で見せた、力強く物語を引っ張っていきガンガン盛り上げていく手腕は健在。緊張感のサバイバルホラーを描いている。ただ「クーデタークラブ」のときのほうがドキドキする感じは強かったとは思う。あちらは非日常がどんどん日常を侵食してくる過程がスリリングで良かったんだけど、「彼岸島」は最初っから非日常領域に踏み込んじゃってる分、今後の展開でさらなる仕掛けが必要になってきそうだなと思った。

【単行本】「どんまい!」4巻 作:矢島正雄+画:若狭たけし 集英社 B6 [bk1][Amzn]

 これにて最終巻。良い作品でした。老人介護という現場で奮闘する、ドジだけど人に元気を与えてくれる魅力を持ったホームヘルパーの女性、里見優を主人公に描かれる人間ドラマ。老人介護という現在とてもホットな現場を舞台とした物語は、人間が生きるということについて考えさせられるものをいっぱい持っていって読みごたえがあった。こういうお話を描かせたら当代きっての名手であるところの原作者・矢島正雄によるしっかりしたドラマ作りも生きていて、なかなかに感動的なドラマとなっている。正直けっこう泣けた。

 あと主人公・里見優の献身的な介護が、「彼女ほどのエネルギーがなければできないモノ」であることを、作中で素直に認めている点も良かった。超人的なスーパーヒーローがいてその人が難事件を解決めでたしめでたしわーいわーいというのはフィクションとしては痛快だろうけど、現実ではそういうことは起きないし、仮に起きたとしてもそこで終わらない。無私の奉仕をシステマチックに供給するのは難しい。ならばどうしたらいいのか。そういう問いも読者につきつけてくる。とはいえ若狭たけしの元気かつ爽やかな作画のおかげで、じめじめしないで読める点も評価したい。

【単行本】「金魚屋古書店出納帳」1巻 芳崎せいむ 少年画報社 A5 [bk1][Amzn]

 マンガのことならなんでも知ってる素敵な古本屋さん、金魚屋古書店に通う人たちのドラマを暖かく綴った作品。非常に端整に作られてて、かつ本を大事に思う気持ちも伝わってくる佳作。たぶん本好きなら全員、とはいわないけどかなりの人が古書店という空間が好きであるに違いない。それだけに最近、新古書店問題がなんだかんだいわれて昔のようには接しにくくなってきたのは残念に思っている人も多いんじゃないだろうか。この作品の持つ優しい雰囲気は、そういう人の心も解きほぐしてくれるんではないかと思う。「こういう古書店が現在の市場で生き残り得るだろうか……」と切ない気持ちもまた抱いてはしまうかもしれないけど、そういう儚さもあるだけにかけがえのない空間であるという想いは募る。

 個人的なことをいうと、最近はほとんど古書店に行っていない。新刊のほうで手一杯なので古書まで漁ってる余裕がないというのがその主な理由。古本、新刊、どちらにも等量の時間を配分することはできない。ならばどちらか一方を選ぶか、それとも新刊に使っている時間を古本方向に割り振るか。そういう選択肢の中で、現在自分は新刊を選んでいる。古い本にも自分の知らない素晴らしい世界があることはもちろん分かっているし、一度読んだ本をまた丹念に読み返す楽しみも当然ある。でもまだ「今の漫画」についていけてるうちは、そっちを優先したいという気持ちが強い。新しい魅力を持った漫画が出てくる可能性ってものはまだまだ信じている、あるいは信じようとしているので、しばらくはこっちにいさせてもらおうと思ってます。古本発掘や再読の楽しみは、もう少し年をとってからのお楽しみに残しておくつもり。もっと年とってから今ため込んでる漫画を読み返したら、きっと楽しいだろうなあ。……などと、自分の読書スタンスについても振り返ってみちゃう1冊でもある。良心的ないい本ですよ。

【単行本】「なんてっ探偵アイドル」12巻 北崎拓 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 ここのところサービスシーンを増やしにかかっているな〜という印象。作家が開き直ったか編集部の方針なのか知らないけど、とくにEpisode 39「キッドナップ・ツアー」あたりから露出度がグンと高まっている。そういえば12巻は表紙もわりとサービス度高し。お話自体はいつもどおり、いろいろ事件があってその中でトリコロールの3人組たちがきゃあきゃあいって楽しく読める。ただこういう娘さんたちは、殺人事件にはからまないでほしいなあとも思う。


4/5(土)……代理に言うアル

▼未読物
【単行本】「賭博破戒録カイジ」9巻 福本伸行 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「彼岸島」1〜2巻 松本光司 講談社 B6 [bk1][Amzn:1巻/2巻
【単行本】「どんまい!」4巻 作:矢島正雄+画:若狭たけし 集英社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「金魚屋古書店出納帳」1巻 芳崎せいむ 少年画報社 A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「なんてっ探偵アイドル」12巻 北崎拓 小学館 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「ボクと彼女の秘密」 矢凪まさし 大都社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「ロン先生の虫眼鏡」全10巻 作:光瀬龍+画:加藤唯史 秋田書店 新書判 [bk1]

 「ロン先生の虫眼鏡」は、OHP月極アンケート3月分「むしやどうぶつたちのせかい」のおかげで久々に読みたくなってきたので購入。なんと新刊である。第1巻の初版が1978年、10巻が1981年。秋田書店は自前でデカい倉庫を持っているので過去の在庫もけっこう残っているのだという話を聞いたことがあるけれども、まさかこんなものまで揃いであるとは……。しかも最近ではネット書店を使えばそれがWebで手軽に検索でき、ポンと気軽に買えてしまう。大したもんですなあ。

【雑誌】コミックフラッパー 5月号 メディアファクトリー B5平

 表紙には大リニューアル号と書いてある。のだが、いまいちリニューアルという感じはしない。新連載が3本あるけど、この雑誌は今までも半分くらい読切とかいう号があったんで、すごく変わったっていう印象はないんだよね。表紙も今までどおり「超少女明日香」だし。でもこういうのは書いたモン勝ちなので個人的にはオッケー。それで1冊でも2冊でも余分に売れるんならいいじゃありませんか。別にウソ書いてるわけじゃないし。

 さて新連載の中で最注目は小原愼司「二十面相の娘」。読切で2本発表された作品が連載化。怪人二十面相に拾われて養われた娘が怪盗としての技を受け継いでいく……というのが読切版の内容だったけど、今回はまず怪人二十面相と少女の初の邂逅から始まる。読切版とはちょっと変えてきてるかな。昭和初期という舞台設定、漂うロマンチシズム、愛敬のあるキャラ……と引き寄せられる要素は一杯。読切のほうも面白かったことだし期待してます。

 新連載はもう2本。谷澤史紀「すいむ。」(原作:夏秋望)。表紙にうたわれているキャッチフレーズは「スクール水着で恋をしよう!」。幼なじみの中学生少年少女。あいは水泳部所属の元気な女の子で、直樹はサッカー部の健全な男子。二人ともお互いのことを心憎からず思っているわけだが、なんだかあいに予知能力が目覚めてしまったようで波乱の予感……という出だし。谷澤史紀の描く爽やかな青春模様は好感度が高い。とはいえこういう雰囲気重視な作品を描くには、もう少し技量が欲しいような気もしてしまう。画力もそうだけど演出力も。まあこれから連載を続けてどんどん描いていけば、きっとそこらへんは上達していくんじゃないかとは思うけれども。いのうえさきこ「ナリワイタイムス」も新連載。いつもの元気ないのうえテイストって感じかなー。

 作:富野由悠紀+画:中村嘉宏「OVERMANキングゲイナー」。相変わらず連載ぺースは超遅いです。もうDVDにも抜かれました。それはともかく今回はサラの尻、股間の描写にグッときた。エロい。石黒正数「Present for me」。砂漠の真ん中で壊れかけたロボットと、無口な少女のひとときの出会いを描いたお話。絵は十分うまくて完成度高いし、話運びも非常に落ち着いている。この人はもうそろそろ読切掲載形式は卒業して、レギュラー化すべきときでしょう。それは浅見淳にもいえることだけど。岡本一広「translucent2 彼女は半透明」は3月号に掲載された作品の続編(3月号の感想は2/5の日記参照)。身体が見えなくなってしまう「透明病」という病にかかってしまった少女が主人公の物語。今回は彼女についてではなく、そのクラスメートで美人で何をやっても目立ってしまう大河内さんというお嬢さまがメインなお話。技量的にはまだ不安定な感じもするけど、素直で爽やかな作風には好感を持っている。頑張ってほしい。

【雑誌】ビッグコミックオリジナル 4/20 No.8 小学館 B5中

 深巳琳子「沈夫人の料理人」が久々に掲載だが、やはりいつもの調子でタノシイお話に仕上がっている。それまでは退屈そうな顔をしてたのに、李三が門番に因縁をつけられたと聞かされたときにパッと顔を輝かせる沈夫人の表情がいい。福本伸行「最強伝説黒沢」。今回も黒沢はツイてなさすぎる。せっかくの休日だというのに。そういえばほかの連載は最終ページが「次号→9号4月19日(土)発売」なのに、この作品だけ「…………………………次号。」となっているのもちょっと笑える。

【雑誌】桃姫 5月号 富士美出版 B5平

 THE SEIJI「小芥子」。母子相姦モノなんだけど、こけし職人のお母さんが、旋盤にこけしを装着してオナニーしてたりというシーンに思わず笑った。島本晴海「気持ちいい場所」。毎度ラブラブ風味が心地よい作品。それにしても今回のメインキャラであるハルは胸がデカい。あおのだいおー「恋する2人の42cm」は、ちっちゃな女先輩とデカい男後輩の身長差ありまくりカップルのお話。こちらも微笑ましい。ひねもすのたり「魅惑の大禿」。年齢を重ねても外見が子供のまま成長しないという体質のため、ずっと孤独だった女性が、かつての同級生と再会してくっつくというお話。最初は悲しい調子で始まり、暖かく締めくくるお話は読後感がなかなか良好。

 そしてMARO「リヴァース」。この人の言語感覚は本当に独特だ。「いいところのお嬢さんが浮浪者にフライドチキンで犯される姿なんてめったに見れるもんじゃないぜ」。その通りだ! 「ザー汁がたっぷりかかったチキンだ」「栄養いっぱいでお肌にもいい効果があるかもな」「ザーメンフードは今流行のグルメなんだぜ」。おい、そこのチンピラ、キミたちセンスありすぎです。

【雑誌】ヤングヒップ 5月号 ワニマガジン B5中

 ポン貴花田「カウチポテトラバーズ」。会社の同僚の男女が、レンタルビデオ屋さんのAVコーナーでばったり。お互いAVマニアであることが発覚し、それが縁でHに突入。まあたいへんストレートにエロ男子の都合のいい妄想を具現化した作品といえるのだが、ポン貴花田の肉感的だがそこそこ品のある絵柄はその読後感を気持ちのいいものにしてくれている。幸せなラブラブ物語でええんとちゃいますかーという感じ。この人の作品はけっこう好きなんですな。でも「カウチポテト」は死語だと思う。ナイロン「急性シスターコンプレックス」。生意気だった姉が階段から落ちたショックで幼児退行して、甘えん坊になってしまうというお話。なんだか新人らしいがけっこううまい。華のある瑞々しい絵柄だが、けっこう描線はシャープで、例えばお姉さんが階段から落ちるシーンなんかはスペースをダイナミックに使ってインパクトのある画面に仕上げている。けっこう注目していきたい感じの人だ。

【雑誌】コミックPOT 5月号 メディアックス B5平

 EB110SS「マッスル先生」は3話め。筋肉もりもり先生が子供たちとHしまくり。最後はなんかプロレスごっことかで終わってて、すごく無邪気というかなんというか。楽しいですね。たぶん小暮マリコと同じ人なんじゃないかなーの高橋くるみ「スマイル2」後編。先生と双子姉妹のラブストーリー。H度は高くて華やかだけど、お話は詰めが若干甘いかな。木静謙二「8Mile」。4月26日発売の単行本「かてきょ」の作業で忙しかったそうで、エロシーンだけの抜粋みたいな8ページだけのお話。でもこれは十分使えると思う。この人は本当におくちが好きなんだろうなーといつも思う。猫玄「シス☆ブラ」。タイトルどおり兄妹モノ。なかなか楽しいお話に仕上がってますな。しろみかずひさ「恋愛失格」は、普通に恋愛できなくて、弟に性欲の処理をねだる姉の麻理果の物語。最近の近親相姦モノに対するアンチテーゼ的なものもあるのかもしれない。

【単行本】「いちご100%」4巻 河下水希 集英社 新書判 [bk1][Amzn]

 物凄い勢いで読む者をトキメかせまくる恋愛物語。平凡で夢見がち男の子一人と、それを取り囲む美少女四人。それぞれの女の子にそれぞれの良さがあって、あっちにも惹かれるしこっちにも惹かれる。各人との距離は近づいて来てて、しかもパワーバランスはふらふらしながら保たれてて……という状態。「俺は東城さん派」「いや北大路さんだろ」、そんなことをいったところで読者はあくまで読者。別に自分が誰かを選べるわけでもないし、真中くんの行動を左右できるわけでもない。でもついついこの娘がいいあの娘がいいと考えてしまう。作品内でこういう男女関係が続くかぎり、読者の悶々とした甘ったるいむずがゆさも続くのだ。トキメかせまくると同時に生殺しまくり。「でもどうせ漫画の中の出来事であって、俺には一生こういう場面は来ないのだろう……」と考えるとちょっとダークだが、そういうネガティヴな感情がさし挟まる隙があんまりないくらいに次々とトキメかせてくれるのでそれはオッケー。たまりませんな!

【単行本】「ORANGE」8巻 能田達規 秋田書店 新書判 [bk1][Amzn]

 面白いです、アツいです。プロサッカーFリーグ2部から1部昇格を目指す弱小クラブ「オレンジ」。エースストライカー若松は、司令塔の青島が故障する中チームの大黒柱として奮闘するが、そこに降って湧いた代表招集問題。若松の代表派遣を拒否した元女子高生オーナー蜜柑に、世間はバッシングを浴びせる。クラブチームが一歩一歩駆け上がっていく中で考えられる、さまざまな障害を物語に織り込んでお話が作られており、気分は否が応でも盛り上がる。アツいぜ2部リーグ。個人的には横浜フリューゲルスが解散して、サポーターの尽力によって設立された横浜FCにけっこう肩入れしていたので、その気持ちも蘇ってきて感慨深いものもある。まあそういう事情を抜きにしても面白いサッカードラマとなっているので、サッカー好きはぜひどうぞ。


4/4(金)……妻幼児

総貿という会社が販売している、IDE機器をUSB2.0ポートに接続するためのアダプタ「UD200」を購入(参考:Akiba2Go!の記事)。これは単純に「IDEコネクタをUSB2.0に変換する」ためのモノだが、接続したデバイスに電力を供給するためのACアダプタも付いているところに惚れた。つまり内蔵用のATAPIのCD-ROMドライブや、3.5インチHDDも簡単に外付けで接続できる。2.5インチ→3.5インチ変換アダプタも付いているので、ノートPC用のHDDを接続するのもOK。職業柄、ちょっとの間だけHDDを接続して中身を吸い出したいとか、廃棄する旧型HDDの中身を完全消去するために一時的に接続したいなどという用事がけっこう多いので、こういうのが一つあるとすごく便利なのだ。デバイスはむきだしで使用するので余計な手間もないし。ちなみにお値段は秋葉原価格で5980円。

【雑誌】ヤングアニマル増刊 嵐 5/18 Vol.13 白泉社 B5

 エロ漫画出身者がいろいろ頑張っておりますのう。というわけで、今号ではまず甘詰留太「年上ノ彼女」が新連載。平凡な大学生男子・努が主人公。子供のころ、地元にある大きな屋敷の蔵の中で和服姿の少女にHなことをされた体験がトラウマになっている彼は、現在でも時折そのときのことが夢に出てきたりして、それ以外のシチュエーションだとインポという困った状態に陥っていた。で、そんな彼が所属する児童文学同好会にやってきた新入生。童顔だが自分より年上の彼女は、その夢の中の少女にそっくりな容貌の持ち主であった……というところから始まるラブHストーリーという感じ。まだキャラクターの顔見せ段階ではあるけれども、いつもながらに描写の密度が高くて熱気がある。というわけで今後の展開にも期待だー。

 加賀美ふみをは2回めの登場。順調なステップアップ。今回の「あたしの部屋へようこそ」は、彼氏とHはいつもしてるけど、自分の部屋を見せるのは恥ずかしい……という微妙な女心を可愛らしく描いた作品。初々しさに満ちたラブラブHっぷりが気持ちいい。たいへん曖昧な言い方をあえていたしますれば、呼んでいると思わずほにゃほにゃ〜とした気分になる作品。

 私屋カヲル「さくら咲いちゃえ♥」は、キレイなハッピーエンドで最終回。愛情たっぷりで幸せな締めくくりでございました。単行本は夏頃発売予定とのこと。無論購入予定。月子「ベッドタウン」。とある団地の一室で、戻らない画家の男を待ち続ける女。シャープで艶やかな描線で、一人の女性の狂気を描写。なかなかカッコイイ作風。西川魯介「野蛮の園」。高専の図書室に図書委員長出現。眼鏡といえばやはりコレ。風情がありますなあ。

【雑誌】キングダム 5月号 少年画報社 B5中

 前号では休載だった志村貴子「ラヴ・バズ」だが、今号はちゃんと掲載。しかも巻中カラー。今回は藤かおるの再デビュー戦。現在の自分の力量を悟ったかおるの巻き返しはあるか? もしかして今後熱血な展開になったりして……。アキヨシカズタカ「Monkey Magic」。原付きでの120km/hを目指してユキはやる気満々。元気一杯でなかなか楽しい。単行本1巻も5月9日に発売決定。

【雑誌】コミックバンチ 4/18 No.18 新潮社 B5中

 こせきこうじ「株式会社大山田出版仮編集部員 山下たろ〜くん」。今回は思わず笑ってしまった。北野のくわえている爪楊枝にあんな由来があったとは……。凄すぎるよ、日本の伝統技術。あと作:小林ユウ+画:木ノ花さくや「エンカウンター」の特別企画ページとして、ナスカの地上絵とかメキシコのパレンケ遺跡の宇宙人レリーフとかオーパーツとか、ムーみたいなことをやっているのもスゴイと思った。いったい何を狙っているのだバンチ編集部……。

 渡辺保裕「ワイルドリーガー」。さっそく作中に桑田の投球理論を組み込んでいるところが、作者の野球マニアっぷりを示している。作:江戸川啓視+画:クォン・カヤ「プルンギル −青の道−」。予感的中。ネタバレになるので詳しいことは書きませんが。


4/3(木)……鶏卵部

▼師走の翁「花花世界」がギミックスで動く漫画化される模様。ちょっと気になるところ。発売日は4月11日とのこと。

【雑誌】モーニング 4/17 No.18 講談社 B5中

 青木幸子「いただきます」第一話。これはなかなか良作。小さいながらも心のこもった料理を出す、おそうざい屋の月代さんとその娘の星子の日常を描く。おそうざいがそれぞれ美味しそうで、それを作る月代さんの天然な朗らかさも良い。上品な絵柄と後味の良いお話作りで、きれいにまとまった一作。次号にも登場予定とのこと。島耕作みたいな脂っこい作品がある一方、絵柄的には完全に女性誌向けっぽいこういう作品も貪欲に取り入れる、そういう姿勢がこの雑誌の強さだと思う。王欣太「蒼天航路」。今回は、馬超の右へ左への斬撃の軌跡がそのまんまコマの仕切り線になっている画面構成がカッコ良かった。でもわりと馬超の負けぶりはあっさりしてたかな。敗因・勝因がいまいち分かりにくかったような。

【雑誌】ヤングサンデー 4/17 No.18 小学館 B5中

 石川優吾「格闘美神 武龍」。相撲部屋に出稽古に行ったランが、本物の関取の逆鱗に触れてボコボコにされていく。今回は痛そうなシーンが多くて、なかなか読みごたえがあった。

【雑誌】ヤングジャンプ 4/17 No.18 集英社 B5中

 きたがわ翔「HOTMAN2003」が開始。要するに「HOTMAN」が復活した。あのどこかインチキくさいエンゾ男と可愛い娘さんたちが繰り広げるホームドラマである。やっぱりきたがわ翔は絵がうまいなー。なお「HOTMAN」は、4月10日(木)からTBS系で連続ドラマ化されるとのこと。高橋ツトム「スカイハイ」。新シリーズになってからけっこう面白く来ていると思う。1話完結パターンだったときは、なんか展開が安易なようにも感じられたけど、続きモノになってグッと良くなってきた。あとヒロインのマイ、その母親の城丸あやめと、女性キャラに凜とした美しさがあるのがいい。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 4/17 No.18 秋田書店 B5平

 八神健「ななか6/17」は100回記念。いよいよ最終局面が近づいており、雨宮さんも稔ニに対して大攻勢をしかけてきた。さてどうなる。……ところで今号にはアニメ版のDVD-BOX「ななか6/17めもりーふぁいる」[Amzn]の発売情報も掲載されているのだが、DVD-BOXにはテレビ版では放映されなかった、雨宮さんと稔二のデートの回が収録されるらしい。ガーン。けっこうおいしそうな回じゃんか……。

 佐渡川準「無敵看板娘」。お花見編ということで酒を飲んだ美輝がおしとやかモードに突入。こうしていると可愛いが、こういう美輝はちょっといかんとも思う。馬場民雄「虹色ラーメン」。うーん、カレーラーメンってわりとポピュラーにある食品だと思うんだけど。カップヌードルだってカレー味は定番だし。能田達規「ORANGE」。アツい。面白い。今年は久々に横浜FCの試合も観に行きたいなと思った。

【単行本】「まよなか」 冬野さほ ブルース・インターアクションズ A4 [Amzn]

 もう完全に「漫画」という枠には収まりきらなくなっちゃった感のある、冬野さほの最新作品集。子供たちの奔放で何ものにもとらわれない思考の世界がだだ漏れな感じながら、しっかりファンタジーになっちゃっている。すごくキュート。そしてすごく自由。読むんじゃない、感じるんだ、といった趣の1冊。

【単行本】「Rough&Ready」 森山塔 フランス書院 B6 [bk1][Amzn]

 森山塔のわりと古めの作品集再発本。表題作の「ラフ&レディ」のほか、「とらわれペンギン」「私はピアノ」「Mopping Up」「私、かわいそう」を収録。まあもうすでにここらへんの作品を読んでビックリといったことはないんだけど、森山塔って昔っからうまかったんだなということはよく分かる。絵柄的にはさすがにもう古いが、内容的には古びてない。山本直樹もしくはほかの誰かが、今風の絵で「とらわれペンギン」あたりをリメイクしてみるってのも面白いかも。

【単行本】「BURAIKEN」 唐沢なをき エンターブレイン B6 [bk1][Amzn]

 こちらも再発本。旧版のデータはこちらをどうぞ。雑学うんちくをこねくり回して混乱させるという魔剣を用いて、血煙今日四郎が理不尽にばっさばっさと敵を斬りまくり。さらに女とやりまくり。エンターテインメントしつつそれなりにまとまっていて、唐沢なをき作品の中でもかなり好きな部類。新装版には描き下ろし14ページも収録されている。


4/2(水)……なんちゅうかこんちゅうか

▼OHP月極アンケート3月分「むしやどうぶつたちのせかい」は投票締め切りました。有名どころで手塚治虫「ジャングル大帝」なんかが出なかったりしましたな。そういえば有名な作品ではあるけど漫画で読んだことはほとんどないな。動物モノの漫画で一番有名な漫画と考えると……もしかして「PEANUTS」(チャールズ・M・シュルツ)ってことになるのかな。

【単行本】「こんちゅう稼業」 秋山亜由子 青林工藝舎 A5 [bk1][Amzn]

 小さき虫たちをいとおしみ、そこから実に素敵なファンタジーを紡ぎ出す描き手、「虫愛づる姫君」秋山亜由子の単行本第2弾。この単行本も素晴らしい。短編集だが、虫たちの描写はリアルなものありコミカルなものあり。表紙からして後ろ姿のこおろぎが、横笛を吹いているという構図。画風はとても上品で細やか。一つ一つの描線が非常に丁寧で、本当に虫たちに愛情込めて描いてるんだなあということが伝わってくる。第一単行本の「虫けら様」[bk1][Amzn](感想はオスマン2002年5月の日記より参照)と併せてお勧め。

【単行本】「一生懸命機械 全」 吉田戦車 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 最初のバージョンでは全2巻だった「一生懸命機械」が、1冊になって復活。漫画の内容自体は変わっていないが、吉田戦車のコラム文に少々書き足しがあったりするのがうれしい。妙に健気だったりひねくれてたりしながら、自分の仕事に対してこだわりを持ち続ける機械たちの活躍は、今見てもやっぱり楽しい。世の中の機械がみなこうだったら……不便極まりないだろうなあ。パソコンに「こんなエロ動画ばかりでなく、たまには表計算もさせてくだせえ」とかいわれたり。

【雑誌】週刊少年サンデー 4/16 No.18 小学館 B5平

 藤田和日郎「からくりサーカス」。今回は泣かせる展開。いい顔描くなあ。で、次号からは新展開。いよいよ勝と鳴海の合流とかもあるかな。ともあれ先はまだまだ長そうだ。作:坂田信弘+画:万乗大智「DAN DOH!! Xi」は、いよいよ次回最終回。どうするんだ、彼らの恋の行方は!? もしかしてまたタイトル変わって続くなんてことはないよね。とりあえず最終回はパンチラ祭り希望。田中モトユキ「鳳ボンバー」もそろそろ最終回近いかも?とか思うんだけどどうじゃろう。まあそれはともかく今回はなかなかノリノリな展開だった。そういえばこの作品って、もう45話やってるけどまだレギュラーシーズン始まってないんだよね。

【雑誌】週刊少年マガジン 4/16 No.18 講談社 B5平

 赤松健「魔法先生ネギま!」。ドッジボール編の後編。ドタバタしてて楽しいですな。しかしコレ、出てくるクラスのみんなが全員捨てキャラじゃないから、判型の小さな単行本で読んだら物凄いゴチャゴチャ感になるんだろうなあ。というわけで雑誌読み向きな作品といえるかもしれない。

【雑誌】コミックメガストアH Vol.6 コアマガジン B5平

 5月1日発売の次号から月刊化。執筆陣もてこ入れが行われてきているようで、次号ではEB110SS、ジェームスほたてetc……といったところも参加。そして個人的にすごくうれしーのが、あの超ビッグスケール凌辱漫画の描き手・柿ノ本歌麿が登場するらしいこと。桜桃書房がエロ漫画雑誌を出さなくなって、どこに行くのかが最も気になっていた作家だけに、ここで定着してくれるとうれしい。

 巻頭のANI「厠の女」は、16ページフルカラー漫画。シャープな絵柄はなかなか達者。そしてそれより目をひくのが内容。女教師が男子便所に忍び込んでオナニーしているという、女教師モノではよくあるパターンなのだが、エロシーンで出てくる男子生徒のモデルが男塾の人たちらしいこと。奥義ネタとかもあったりしてけっこう楽しい。米倉けんご「お姉ちゃんの制服」は、お姉ちゃんが大好きで、彼女の部屋にしょっちゅう忍び込んでは服の匂いとか嗅いでオナニーしている少年が主人公。んでもって当然、それをお姉ちゃんに見つかってHシーンになだれ込み……と展開する。最近長編では重めな話の多い米倉けんごだけど、こういう軽い短編もちょくちょく描いてってほしいなあ。


4/1(火)……小鬼の買い軽視

【雑誌】ヤングマガジンUppers 4/15 No.8 講談社 B5中

 創刊5周年。最近ひところの元気さが若干かげってきたかなーという印象もあるんだけど、ここ数年で創刊した青年誌の中では頑張ってる部類だと思う。

 今号ではまず咲香里「春よ、来い」が最終回。とりあえずハッピーエンド。いろいろと書いてきたけど、なんだかんだいって好きな作品だった。主人公タカシの無軌道な女遍歴の模様は、呆れつつも気軽に楽しんで読んでいた。咲香里はこの後、次号で読切(前後編)を描いたのち、1か月後に新連載をスタートさせる予定とのこと。まがりひろあき「魔女っ娘つくねちゃん」は新連載。はた迷惑な魔女っ娘の日常を描いていくというショートギャグ漫画。テイストとしては「魔術っ子!!海堂くん」にわりと近いかなあ。作画はけっこうかわいくて一見ほのぼの、でも実はちょっぴりブラックといった味付け。個人的にはギャグの毒はもうちょっと強めなほうが好み。「あしたをひらくほのぼの即死ものがたり」というキャッチや予告カットから抱いた印象よりも、だいぶフツーだなとか思ってしまった。新井英樹「シュガー」。リンと会長の掛け合いが見てて面白い。やたら騒がしい奴と天然な二人がなかなかいいコンビ。

【雑誌】近代麻雀 5/1 vol.436 竹書房 B5中

 天獅子悦也「むこうぶち」(原案:安藤満)。いきなり若手プロ雀士たちの勉強会のシーンということで、わりと高度っぽい「何を切る?」的な内容がいろいろと語られる。んでもって後半は、安永が若手二人を傀の元へ送り出すという展開に。鼻っ柱の強そうな若手二人を見てると、かわいそうになーという気分になった。ウンチクから始まって実践編と流れていく展開は読みごたえあって面白い。

【雑誌】ビジネスジャンプ 4/15 No.9 集英社 B5中

 作:山田真哉+画:高野洋の読切「会計士萌ちゃん」が掲載。女子大生ながら公認会計士の資格を持っているバイタリティあふれる女の子・萌ちゃんの活躍を描くという作品で、「青年誌初の”会計コミック”」をうたっている。初かどうかは知らないけど確かにレアな題材ではある。高野洋の親しみやすい絵柄はわりと好きなので、けっこう楽しんで読んだ。尾玉なみえ「アイドル地獄変」は2話め。美男アイドルデュオが登場。分かりやすいぶっ飛んだ面白さというよりも、じんわりおかしいっていう感じになっていきそうな気配。

【雑誌】漫画アクション 4/15 No.14 双葉社 B5中

 細野不二彦がゲストで登場。読切「用心某」。普段は気の利かないおっさんにしか見えないキャバクラのボーイ、某栄一郎。しかしその実、彼は凄い経歴の持ち主で、いざってときに頼れる男だったのだ……という感じのお話。今回はかなり俗っぽいお話だが、さすがに仕事人、手堅くまとめている。鮮やかなお手並み。新連載「新桃源郷の人々」は青木雄二原作作品。作画は佐藤量が担当。まず第1回めは夜逃げ屋の手を借りてトンズラここうとしている印刷会社の社長一家の様子を描く。青木雄二系の作品はこのほかにもいくつかあるけど、これはかなり忠実に青木絵をトレースしている感じ。隅々までキッチリキッチリ描かれ過ぎてて、個人的には違和感さえ覚えたほど。それにしても青木雄二原作の作品は、どうしてもこの手の絵じゃないといけないんだろうか……。

【雑誌】漫画サンデー 4/15 No.14 実業之日本社 B5中

 春のスペシャルゲストということで、藤子不二雄Aの「踊ルせぇるすまん」が掲載。いつもながらにドーンとかいうております。作:倉科遼+画:勘崎順次「愛と復讐の挽歌」は、復讐のためなら女もヤクザもどんどん利用。とてもベタな展開だと思うが、徹底しているので良いと思う。

【雑誌】ポプリクラブ 5月号 晋遊舎 B5中

 最近好きな作家さんがけっこう描いてて気に入っている雑誌。そして今号からはパニックアタックが新連載「すてきな恋のみつけかた」を開始〜。ユメもチボーもない引きこもり浪人生の部屋に、ある日机の引き出しの中からちっちゃな女の子がやってくる。実は彼女は、23世紀の未来からこの浪人生の子孫が億離婚できた「猫耳型」ロボ子だったのだー、というもう初っぱなからかなりダメ人間万歳的な展開。初回8ページで1回も脱がない。この人らしい、陽気な萌えバカ日誌が展開されそうで楽しみ。

 井ノ本リカ子「プリティサイズ」は3話め。可愛くてHなラブラブストーリーが展開中。柔らかい絵柄で描かれた女の子が初々しくてよろしいです。なぎさわゆう「だってアイドルだもん」。こっちもラブラブ。アイドルになってしまった女の子と、その幼なじみの男の子のラブ&Hという感じ。峠比呂「若妻どきどき女王サマ!」。明るく瑞々しい絵柄が好感度高し。ドタバタコメディ+Hという感じで微笑ましいストーリー作りも読みやすくて良い。

【単行本】「つゆダク」3巻 朔ユキ蔵 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 今回もアイドルたちの性処理要員としての露崎の活躍が続く。エロ時代のぶっ飛んだ作風は抑えて、週刊青年誌のちょいエロ系部門を着実にこなしている。もちろん個人的にはエロ系のころに描いていた激しく衝動的な作品群のほうが好きではあるが、女の子はフツーに可愛いし手堅く読める作品ではあると思う。


ページの一番上へ