2003年9月上旬


9/10(水)……メガ休部

【雑誌】スーパージャンプ 9/24 No.19 集英社 B5中

 徳弘昌也「狂四郎2030」。いつもながら面白い。狂四郎に会って我を忘れる志乃、それを利用するまほろばの面々……。水面下での腹の探り合いの様子に読みごたえあり。あと柿崎正澄の読切「終わらない歌」も掲載。バンドで一発当てようと都会に出た青年の挫折、かつての恋人との苦い再会、再出発を描いた青春物語。手堅いし正統派な描き手ではあると思うけれども、なんかもう一つトンガったものが欲しいような気はする。

【雑誌】ビッグコミック 9/25 No.18 小学館 B5中

 次号で1000号め。あ、そうか。999号だから松本零士「銀河鉄道999」の新作が掲載されてるのか。すぐ気づけよって感じー。岡崎二郎「アフター0 Neo」。今回は遺伝子操作により人間の子供そっくりになったペット用サルと、その企画者夫婦のエピソード。人間と動物を分かつものは何かというテーマには興味深いものが。

【雑誌】週刊少年サンデー 9/24 No.41 小学館 B5平

 満田拓也「MAJOR」。「異国の地に単身降り立った主人公は荷物を盗まれる」の法則発動。井上和郎「美鳥の日々」はなぜかスキー編。雪山を舞台に、綾瀬さんがセイジにアタック。脇役の中でも綾瀬さんは好感度の高いキャラであるだけに次回も楽しみ。

【雑誌】週刊少年マガジン 9/24 No.41 講談社 B5

 コージィ城倉による野球漫画「おれはキャプテン」がスタート。中学生ながら、将来スポーツライターになるためのステップとして、冷徹な計算のもとにとくにやる気は出さずクールに野球部に所属していた少年・霧隠主将(きりがくれ・かずまさ)が主人公。しかし、顧問の先生の教育的指導により突然キャプテンに任命されたことで、彼のスタンスは一変する。最初はノックもできなかった主将だったが、もともと持っていた野球理論を駆使して部を独自の方向に導いていき始める。すべて計算ずくで進める主将の姿は意外と凄みがある。最初は地味〜に始まるのだが、ページをめくるごとになんだかんだ読者を物語に引き込んでいくコージィ城倉の剛腕ぶりはやはり大したもの。

【雑誌】コミックゼロサム 10月号 一賽舎/スタジオDNA B5平

 購入するのは久しぶり……と一瞬思ったが、山名沢湖読切目当てに7月号は買っていた。とはいえあんまりチェックしていなかっただけに、連載モノについては分からないものが多い。単行本で買っているオオシマヒロユキ+猪原大介「学園ノイズ」、おがきちか「Landreaall」はついていけた。「学園ノイズ」は単行本1巻で読んだときよりも熱血で盛り上がっているように見受けられたのが、2巻が楽しみ。あと読切、宇仁田ゆみ「T*SS」はさすがに分かる。やたら背のちっちゃい20歳女性と、対照的にデッカい女子中学生のおともだち物語。凸凹しているけど仲の良いさまが微笑ましくて気持ちいい作品。ただせっかく身長差があるという設定なのだから、もう少しデフォルメしてその差をより強調しちゃったほうが絵ヅラ的には楽しかったかも。

 で、全体的にいうとレベルは高めで完成された雑誌だとは思うけど、俺の趣味ではないかなーという印象。読む作品と読まない作品がはっきり分かれそうなので、継続して購入するかはそのときの気分しだいといったところ。分厚くて重い&背表紙が固いので、持ち運びにも向いてないしね。

【雑誌】メガキューブ Volume31 コアマガジン B5平

 これが最終号。結局最後までメガストア増刊のまま、独立創刊は果たせなかった。10月10日からは新雑誌メガプラスにリニューアルされるそうで、お値段も680円に下がる模様。予告されている執筆陣は以下のとおり。パッと見たところあんまり変わってないかな。

 で、最終号では、みずきえいむ「ボンジュール!!妹塾」が良かった。「魁!!男塾」のパロディ的な作品で、妹ネタをやっている。民明書房ネタもあって楽しいねえ。ほしのふうた「きのこと山猫」。うーん、かわいいファンタジーでございますなー。「どんぐりと山猫」をモチーフに、ちっちゃな女の子がやま猫ちゃん(少女型)による、どのきのこが一番優れているかを競う裁判につき合わされるというお話。きのこがにゅるにゅるして触手系。健康的で明るく楽しく、かつHでもあるという、ほしのふうたらしい持ち味がよく出た1本。町田ひらく「アダム達とイブ」。人類の祖先たる類人猿たちが、突然変異的に現れた現代人類的少女を犯す。町田ひらくはエロティクスとかよりも、こういう美少女漫画雑誌で描いたほうが映えるような気がする。周りを美少女漫画絵に囲まれていたほうが、あの乾いた画風が目立つので。

【メガプラス予告執筆陣】琴義弓介、山文京伝、天織龍樹、すえひろがり、きお誠児、みずきえいむ、士崎雅雪、林家志弦、新貝田鉄矢郎、みこくのほまれ、REN、巴天舞、のぞみ侑海、金目鯛ぴんく、平木直利、ちとせ凜、えむあ、いぬぶろ……他


9/9(火)……プリン斬り

▼最近の俺は守りに入っちょる! というわけで、ここしばらく読む雑誌がすっかり固定化しちゃってて新しいモノにチャレンジしてないなーと常々思っていた。いつの間にか全然チェックしていなくて、不如意になっているエリアが増えてしまっているような気がすごくする。でも仕事もあるし、漫画以外のものにチャレンジしたほうがいいんじゃないか……などと自分に言い訳はしていたが、自分のことだから新しいメディアへのチャレンジはどうせ長続きしない。だからぐだぐだいわずに今は読んだほうがたぶんいい、とか思った。といっても無茶をしてもしょうがないので、これからしばらくの間、購入雑誌が5冊より少なく未読単行本がたまっていない日に限り、普段読んでない雑誌を1冊ないし2冊くらいずつ読んでみようという計画「チャレンジ2003」を立案、実行に移すことにした。そんなわけで本日はその第一弾としてゼロサムを買ってきたのだが、酔っ払って寝てしまったので結局読めなかった。よわっちー。クソよわっちー。

▼未読物
【雑誌】コミックゼロサム 10月号 一賽舎/スタジオDNA B5平

【雑誌】イブニング 9/23 No.14 講談社 B5中

 やはり「恋風」がないと寂しいよ!……と思っている人はきっと多いに違いない。三田紀房「スカウト誠四郎」は最終回。ここで終わっちゃうのはちょっと中途半端かなあという気もするのだが、モーニングで週刊連載が始まっちゃったのでちと厳しかったかな。そういえばこの人はヤンマガでも週刊連載やってるし、仕事してるよなーと思う。しかもどの作品もコンスタントに読めるし。

【雑誌】ヤングチャンピオン 9/23 No.19 秋田書店 B5中

 井荻寿一「魔月館奇譚」が第一部完。11月20日に単行本1巻が発売で、来春から毎号連載化とのこと。井荻寿一描くところの女性は好みなので、毎号になるのはけっこううれしい。

【雑誌】漫画アクション 9/23 No.36 双葉社 B5中

 今月末で休刊のはずなんだけど、あまりそういう気配を感じさせないなあ……。ロドリゲス井之介「リーマン戦記 独身3」なんかは10月10日からテレビ朝日系でドラマ化されちゃうらしいし。ちなみに出演者としては遠藤章造(ココリコ)、山本圭壱(極楽とんぼ)、山崎樹範がアナウンスされている。

【雑誌】漫画サンデー 9/23 No.36 実業之日本社 B5中

 作:和気一作+画:倉科遼の新連載「女優」がスタート。日本映画界に燦然と輝く大物女優・浅倉瞳の生涯を女の情念たっぷりに描いていくという作品になるようだ。ちなみに「浅倉瞳」で検索をかけてみたところ、1980年代後半にそういう名前のグラビアアイドルさんがいたようだけど、たぶんその人のことではないと思う。

【単行本】「映画に毛が3本!」 黒田硫黄 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 黒田硫黄による映画評連載。こういうレビューっていいよなあ。個人的にレビューってのは「読者にそのレビュー対象を見させたり読ませたりしてなんぼ」と思っている。その評を読んで「あ、これ見てえ、読みてえ!」と思わせるような。黒田硫黄、それから同じくアッパーズに描いている榎本俊二「映画ににぎりっ屁」の映画評は、かなり高い頻度でそういう気持ちにさせてくれる。面白い映画は面白い映画なりに、つまらない映画はつまらない映画なりに。こういった評を頼りにして映画見て、たとえハズレだったとしても、それはそれでいいと思うんすよ。なにがしかの経験にはなるだろうし。あと黒田硫黄の映画に接する切り口、語り口も面白いので、映画を見る見ないはともかく1冊の本として楽しめるのも良いです。

【単行本】「プルンギル −青の道−」5巻 作:江戸川啓視+画:クォン・カヤ 新潮社 B6 [bk1][Amzn]

 これにて最終巻。日韓両国を股にかけた猟奇殺人事件の捜査を手がけた二人の刑事の物語。両国の歴史的背景を真っ向から見据えて、読みごたえのあるハードなドラマを展開しており、たいへん読みごたえのある作品だった。最後のほうはちょっと急ぎ気味で、セリフによる説明が多くなっちゃった感はあるけれども、おどろおどろしい凄惨な殺人のイメージで序盤を引っ張り、踏み込めば踏み込むほど謎が深まっていくハラハラ感、いい具合にスケールが大きくなっていくストーリー展開など、全体としてはとても面白く読めた。個人的には朝鮮半島の歴史にも興味が出てきた。あと、主役である二人の刑事、日本側の猪瀬、韓国側の姜青道のアツい、男同士の友情物語になっているのも良かった。二人ともいい男だなあ。この二人が、両国の国民性の違いを端的に浮き彫りにしていくさまも面白かったし。ただ韓国側については知らないけど、猪瀬さんみたいな土性骨の据わった男は今の日本にはあんまりいないよな……と思えてしまうのはちょっと寂しかったり。この作品は映画化しても面白いかもしれないっすね。


9/8(月)……電気利用代減

【雑誌】エース桃組 2003Autumn 角川書店 B5平

 後ろのほう5分の1くらいは読める。大和田秀樹、平野耕太、しけたみがの、サムシング吉松あたりはいいのだ。でもこの雑誌の本題である、前のほうの女の子漫画がどれもピンと来ない〜。確かにきれいどころがまとまってはいるんだけど、突出した作風の人が少ない。かといって地道に読ませるストーリーを持った手堅い作品というのも見当たらない。やっぱせっかく思いきったコンセプトの雑誌なのだから、個人的にはもっとこう、バッときてグッときてガッとくるようなインパクトのある作品が読みたい。

【雑誌】ヤングキング 10/6 No.19 少年画報社 B5中

 読切、大和田秀樹「ビーチできゅ〜」は超強力女子によるビーチバレーギャグ。思い切りのいいギャグ回しでスカッと読ます。ヤングキングの混沌とした誌面にもよくマッチしている。読切ではジェームスほたても登場。最近この人は精力的に仕事をしてますなあ。「いただき☆ティーチャー」は、お見合いに向けて料理修行中の女教師と、彼女の料理の味見役を頼まれた料亭の息子である男子生徒が、先生の家でHな雰囲気になっちゃう……というお話。むっちむちな女体描写は相変わらずエロっちい。一般誌だとやりすぎなくらいにツユだくな感じです。よかよか。

 連載では小野寺浩二「それいけ!!ぼくらの団長ちゃん」がいい具合。団長ちゃんたちの学年が引退時期を迎えようとするが……? まあなんにせよ最終回は近いのかもしれない。吉野ケイイチ「チキンデイズ」。最近絵が洗練されてきているような。新たに成田君にモーションをかけてくる女の子が出現して、またしても恋愛模様は混戦気味。いやーオーソドックスなラブコメだなあ。和むぜ〜。

【雑誌】近代麻雀オリジナル 10月号 竹書房 B5中

 最近オリジナルは企画モノがアツい。新人漫画家が高レートマンション麻雀に送り込まれる気の毒な連載「ウラセン」は、なんだか連載継続となってしまったらしい。不憫な……。それから有名雀士がネット麻雀・東風荘に登場する赤峰亮介「東風荘の鉄人」は、今回が来賀友志で、次号は卓上の舞姫・二階堂亜樹が登場。なんか漫画のほうのノリもかなりハッチャけててタイヘンだー。まあネット麻雀は画面が地味なんで、このくらい過剰に演出するほうがいいかも。二階堂亜樹にはぜひ「覇王」コスプレをしてきてもらいたい。ばいーん。それからゴールドに続いてこっちでもいでえいじによる編集部・秋氏漫画「かっぱがれ 失われた1千万を求めて──。」がスタート。なんか最近、秋氏はやけに強いらしい。漫画にすると勝つというジンクスを利用しようとしてるのかもしれない。

 作:末田雄一郎+画:幡地英明「ナデシコ」は、雀荘を経営している女子高生の撫子とその父ちゃんによるホーム麻雀ドラマといったところ。麻雀漫画雑誌はいろんな人が登場するなあ。あと梶原崇のショートギャグ漫画「暴牌一発」も始まっている。梶原崇といえばヤンマガ系の雑誌で「ゾンビ忍者バクチカ」「超起動下半身国家KIPIGUY」「黒竜の城」などを描いていた人。麻雀部のバカ部長が、下品な振る舞いをしつつ校内麻雀大会を勝ち抜いていくというギャグ漫画。濃い目の作風はやはり好みではある。

【雑誌】ヤングマガジン 9/22 No.41 講談社 B5中

 蓮古田二郎「しあわせ団地」が掲載。今回ははじめではなく、さなえのダメっぷりが際立つ。やはりこの二人は似合いの夫婦なり。高田裕三の医療漫画「ブッキングライフ」はひっそり最終回。「3×3 EYES」があんまりにも長く続いたせいで、ヤンマガだと高田裕三はデフォルトで飛ばしモードな人がけっこういるかもしれないなーなどと思ったりもする。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 9/22 No.41 小学館 B5中

 柏木ハルコ「鬼虫」は2話め。外部から隔絶された孤島で暮らす人々。そこにある日流れ着いた女性は、かつて海で遭難したトラゴという女性の実姉にそっくりだった。彼女の漂着がきっかけで、平穏だった島の暮らしが揺らぎ始める。設定が大がかりであるっぽいわりに、お話としては今のところ地味。しかし引き込まれる。なんだか本気で物語を描こうとしているなという雰囲気が伝わってくるし、作画からも気合いが感じ取れる。今後も楽しみ。小田扉「団地ともお」。ともおの頭悪さが毎回楽しい。いいガキんちょだ……。そばにいたらウザったいかもしれないが。作:雁屋哲+画:花咲アキラ「美味しんぼ」。山岡の知り合いに、いつも始めて買った車がクーペ9だということを自慢する劇画原作者がいるらしい。雁屋という人ではないかと推測。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 9/22 No.41 集英社 B5平

 新連載、内水融「戦国乱破伝」が巻頭カラーでスタート。生まれつきはえているしっぽを駆使した特殊な戦闘術「蠍法」でもって戦う乱破、つまり忍者ですな、の少年が戦国の世を駆け回るというアクションもの。こぎれいな絵柄でまとまってはいるんだけど、ジャンプの場合、似たような作品が多めなので線の細さが気になってしまうところ。うーんちと弱いかな。和月伸宏「武装錬金」は好調を維持。ヒロインの斗貴子の、強さとかわいさのバランスがちょうどいい具合でとれているのが良いのではないかと。バルキリースカートも別に露出度は高いわけじゃないとフェティッシュなところがあるし。

【雑誌】FEEL YOUNG 10月号 祥伝社 B5平

 この雑誌は凄いなあ……。何が凄いって不幸な女性っぷりが。元々そういう漫画ばっかりなんだけど、今度は内田春菊のエッセイ漫画である「ほんとに建つのかな」にまでその波が。なんかもう内田春菊が「離婚したい」とかいってさめざめと泣くのだ。ほかのはフィクションだけど、これは実話だけにズーンとくる。これだからエッセイ漫画や育児漫画は気が抜けない。まあこれでちゃんと最後には問題が解決してめでたしめでたしとなれば、お話としてはドラマチックでいいんだろうけどね。ていうか俺は他人の不幸なんか共有したくないんだ……。もっとワクワクするような楽しい漫画も載せやがれー、ムキー!

 とかいいつつも雑誌全体でいえば、実力派な作家さんが揃っていて面白いのだ。ジョージ朝倉、南Q太、魚喃キリコ、宇仁田ゆみ、青木光恵……作家ラインナップ的に意外性はないんだけどしっかり読ませる。こいずみまり「ガーデンオブエデン」は最終回。暗い話のようでもあり明るい話のようでもあり、しれっと終わっていく呼吸は独特。不思議な感触だったけど面白うございました。あと今号から高口里純「新・花のあすか組!」が連載開始。

【雑誌】YOUNG YOU 10月号 集英社 B5平

 今号で目立ったのは読切2本。まず東村アキコ「のまれちまうぜシュガーウェーブ」。地味〜で妄想がちなOLさんと、会社出入りの電器屋の青年との恋物語。OLさんの恋心が空回りし続ける様子が見ていて楽しい作品。坂井久仁江「スイート・ビター・ホーム」は、一人暮らしのサラリーマンが自分の部屋に帰ると、そこには見知らぬ女性が……というちょっとミステリアスな出だしからスタート。彼女は姿は見えるが触ることはできない幽霊のような存在だったが、一緒の空間にいるうちになんだか親近感が沸いてきて、その後真相が明かされるという展開。ストーリー運びは軽やかで、後味良くきれいにまとまっている。安定感のある作品。

【雑誌】COMIC夢雅 10月号 桜桃書房 B5平

 ダーティ・松本「エロ魂!」がやっぱり素晴らしい。とくに今回は早見純。ただオナニーしているだけではあるんだけど、ダーティ・松本のセリフ回しが格好良すぎ。待望の単行本1巻は10月に発売決定。氏賀Y太「真・現代猟奇伝」は女子高生コンクリ詰め殺人事件編の2回め。この事件については何度見てもドス黒い気分になるなあ。今回は扉ページに「真・現代猟奇伝の企画意図について」という断り書きがあるが、きっと読者の抵抗も大きかったんだろうと思う。個人的には下手に言い訳しないほうが良かったような気もするが……。まあこれに限らず、全体にレイプものが多く、後味が殺伐とした作品の比率が多い雑誌ではあります。山咲梅太郎「一線 〜ボーダーライン〜」。オーソドックスな兄&ロリ妹のエロものだが、妹さんがごくスタンダードにかわいいと思った。


9/7(日)……蒸気王物語

伊勢炭焼水こんろ大(アミ、敷板付) ▼調理器具ってなんか見てると欲しくなっちゃうんだよねー。というわけで今度は水こんろなるものを注文してしまったー。要するに室内用の炭焼きこんろとでもいうべきもので、二重構造になっていて下の器に水を入れるので机が焦げないし煙も少なく、室内でも使えるという。これが届けば酒飲み人生が、また一つ豊かなものとなるに違いない。肉や魚や野菜やきのこを思うさまあぶってやるぞう。届くのがとても楽しみ。

▼夏コミティアと秋コミティアは間隔が短め。だから今回は早く読むぞ……とか思い、ちょっとだけ読む。でもきっと読み終わりは秋コミティア直前になってしまうに違いない。

2003年8月31日コミティア購入分
【同人誌】「譫妄童話」 kashmir <lowlife>
【同人誌】「ヒトクイ」 <プロパガンダユニオン>
【同人誌】「あすなひろし作品集3 青年漫画(1)」 あすなひろし
【同人誌】「憂貧局短編集」 志賀彰 <憂貧局>
【同人誌】「Tableau4.5」 志賀彰 <憂貧局>
【同人誌】「防風林の奥」 弘岳粟高 <あわたけ>
【同人誌】「菊男ちゃんの真っ赤なバダバダがキラリ☆」 鵜匠カシヲ <赤色オレンヂ>
【同人誌】「WIRELESS 3」
【同人誌】「口裂け女」 守安啓行 <ドクキノコ>
【同人誌】「ボヘミちゃん」 滝口和 <ドクキノコ>
【同人誌】「インデコ」 <ドクキノコ>
【同人誌】「すがわらまんが集」 すがわらひろゆき <チーム光速船ハンサム団>

【単行本】「上京物語」 うらまっく 実業之日本社 B6 [bk1][Amzn]

 いつもながら手堅いなあ。父母が離婚したのを契機に、東京で暮らす姉を頼って上京してきた女の子・まゆが主人公。ところがまゆの姉・ちなこは風俗店に勤務していて、ヒモの男・ダンジと同居しており、純真すぎるまゆは世界の違いに戸惑う。でも3人で一緒に暮らすうち、お互いの良いところがしだいに見えてくる……というストーリー。ちょっと手慣れすぎてるかなという気がしないでもないけど、可愛くて純情な少女をまず出して、そこに困難な状況を呈示。でもって主人公の成長もあって後味良く締めくくるという手際はやはり鮮やか。こういうコンスタントに平均点以上の仕事をしている作家さんというのは、貴重な存在だと思うしけっこう好きだったりする。


9/6(土)……硬え巨牛

▼おおむね未読物
【雑誌】ファウスト Vol.1 講談社 新書判 [bk1]

 最近どうにも活字力が弱まっている自分。入手したけど読んでいない小説がぼこぼこたまっている今、これも未読のままにしないように気をつけたい。ちなみになぜ「おおむね未読」かといえば、巻末の漫画TAGRO「DON'T TRUST OVER 30」は読んだから。33歳になっていちおう食えてはいるものの、道に迷い続けている漫画家さんの独白物語。やりたいこととやれることの乖離、過ぎていく時間、募る無力感……といった息苦しい物事を描いていく物語は身にしみるものが。でもラストは少し開放されるものがあって後味は悪くない。この本唯一の漫画ながら、32ページとけっこうなボリュームで読みごたえがあった。

 ところで、講談社はミステリの原作資産と漫画家さんとのコネクション、両方を持った出版社なので、ガチンコな推理小説漫画雑誌「コミックファウスト」とか出すといいんじゃないかなーとちょっと思った。ちまたに出ている「ミステリー××」っていう漫画雑誌って、意外と推理モノはきちんとやってなかったりするしおおむね女性向けだったりするので、性別不問でミステリー漫画をガチンコで読める漫画雑誌が一冊あるといいなあとか思ったりします。

【雑誌】ミステリーボニータ 10月号 秋田書店 A5平

 小田ひで次「ミヨリの森」は、森がらみの問題が片づいたと思ったら、今度はミヨリの家族問題がクローズアップされる。次号で最終回らしい。単行本にまとまるといいなあ。

【雑誌】MUJIN 10月号 ティーアイネット B5平

 甘詰留太「サンキュー♥錦織くん!!」。やっぱりこの人はいいですな。先生とラブラブの女の子が、疲れて淡白になっている先生を燃えさせようと、同級生とのH話を始める……というお話。しっかりエロくて締めくくりはアツアツ。こういうノロケたお話、それからノボせたキャラクターを描かせると本当にうまい。あと今号ではどうでもいいことなんだけど、小邑紗希の作者コメント、「ああワキ毛が描きたい」の一言にちょっと笑った。確かにこの人は毛を描くのが好きそう。こういうこだわりのある人って好き。

【雑誌】コミックPOT 10月号 メディアックス B5平

 木静謙二「かてきょスペシャル」は、「かてきょ」の二人が結ばれてから1年後のお話。といってもまあ以前と同じようにやってばっかりな日々なわけだが。巨乳&メガネでねっちりしたエロ描写。やっぱりこの人の作品はキャッチーだ。高橋くるみ「おかしな2人」。いつもながらにお肉ぷりっぷり。華やかで充実したエロシーンが持ち味。大きなお尻と大きなお乳が健康的だ。ゴージャス宝田「結婚しようかお兄ちゃん」。お兄ちゃんにモーションをかけてくる女の子を目撃して、やきもちを焼いてしまったランドセル世代の妹ちゃん。せめてもの証として結婚式ごっこをしようと持ちかける妹ちゃんの姿が健気。ロリロリな妹とのラブラブH。ここにはファンタジーがありますよ。結婚式ごっこというのもなんだか夢の具現化って感じでよろしいじゃないですか。犬星「ナイス家庭教師」。積極的な女生徒にいいようにされる家庭教師のあんちゃん。絵柄がフレッシュで、少女のイタズラっぽい表情もいい具合に描けている。しろみかずひさ「夢想花」は3話めで、次号が最終回となる模様。ガチンコな純愛物語がどのような結末を迎えるのか楽しみ。

【単行本】「かみちゃまかりん」1巻 コゲどんぼ 講談社 新書判 [bk1][Amzn]

 親御さんはすでに亡く、母の姉の家に預けられ不遇な生活を送っている少女・花梨。大事にしていたペットのしーちゃんも死んで打ちひしがれているときに、彼女は不思議な少年と出会い、それがきっかで神さまとしての能力が目覚めていく……ってなストーリー。少女漫画雑誌「なかよし」で連載中のドタバタファンタジーストーリー。コゲどんぼらしく、キラキラした絵と崩した絵を目まぐるしく使い分けながらお話は進行。まだお話は序盤なのでどう進むかはよく分からないが、絵を崩したときの思いっ切りの良さとかは楽しい。

【単行本】「アゴなしゲンとオレ物語」13巻 平本アキラ 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 下品ギャグだが安定。時折キラッと光るネタもあるし。今回はコンボイケーキバトル編がいい。ゲンの秘められた過去も明かされた。それにしてもコンボイケーキってどんな味なんだ……。

【単行本】「賭博破戒録カイジ」10巻 福本伸行 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 地獄パチンコ「沼」編がクライマックス目前。いよいよカイジたちの手の内も明かされて、後は打つべし打つべし。追い詰められた帝愛カジノ・一条のうろたえっぷりとか、相変わらず面白い。ギャンブルをする側のアクションが少なく、漫画的には描きにくい分野であろうパチンコでもしっかり読ませてしまうあたり、やっぱり福本伸行ってうまいなあと思う。

【単行本】「ナンバーファイブ」4巻 松本大洋 小学館 B5 [bk1][Amzn]

 虹組がどうして今の形になったかという過去のエピソードを中心とした第4巻。うーん、ちょっと展開としてはスローダウンしちゃったかなあ。この人は月刊ベースよりも週刊ベースのほうがいい作品描くんじゃないかなあという気がする。もう少しスピード感が欲しい。

【単行本】「怪奇大盛!!肉子ちゃん」2巻 児嶋都 マガジン・ファイブ A5 [bk1][Amzn]

 凄く目方のある謎の女の子、肉子ちゃんが、いろんなところで人々を幸せにしたりしなかったりというギャグ漫画。楳図かずお的で濃い目な絵柄だが、ギャグのほうは意外と爆発感よりも安定感志向。わりとコンスタントに楽しめます。


9/5(金)……彼女はハムと梅

▼青木雄二が肺癌で亡くなられたとのこと。享年58歳。この人の利殖がらみの話は「本当にアテになるんかいな?」って感じで見ていたけれども(だってこの人って漫画でイッパツ当てて金持ちになったんであって、財テクとかで儲けたってわけじゃないでしょ? どちらかといえば温泉掘り当てたとかそういう話に近いと思う)、漫画についてはなんだかなんだで残したものは大きい。後継作家も作ったし、漫画界に青木雄二の遺伝子は今も息づいている。58歳での死去ということで「やっぱり金よりも健康だよな」と一瞬考えそうになったが、他人のことについて分かったような口をきくのは自分の主義に合わないのでやめた。そんなもんは人それぞれ、ケースバイケース。

▼このところ完璧に昼夜が逆転してて、昼の3時ごろに寝て8時くらいに起きてきてそのままずっと仕事したりご飯食べたり踏台昇降したりといった生活をしていたのだが、今日は昼タイムが忙しかったため眠ることができず、夜の11時くらいになってから寝て朝6時くらいに起きた。これで生活パターンが普通に戻るといいのだが。そういえば「今日は夜の11時くらいに寝て朝6時くらいに起きた」っていうのはヘンな言い方だな。正確には寝たのが昨日の夜11時で、起きたのは今日の朝6時だ。でもこの日記を書いているのは9月6日だから、9月5日の日記で「起きたのは今日の朝6時」と書くのは間違ってる。「起きたのは明日の朝6時」と書くのが正しい……のか? ちなみにその後、踏台昇降をひとしきりやって風呂入って9時から12時くらいまで二度寝した。

【雑誌】コミックフラッパー 10月号 メディアファクトリー B5平

 柳沼行「ふたつのスピカ」アニメ化決定(NHK-BS2で11月1日)ということで、今回はアニメ版のキャラクター画が公開されている。でもこれ、原作のストックもあんまりあるわけでなし、大丈夫なんかなあという気はちょっとする。ちなみにキャラクター画のほうは、アスミがちょっと違う感じかなあとか思った。なんとなく天気予報のお姉さんをやってそうなルックスだなと思った。でもアニメのほうは見てみたい。そして台を踏もうと思う。小原愼司「二十面相の娘」。一般社会に戻されたチコ。今回は女学校に通わされておりますが、やはりこのレベルだと、同級生より役者が数段上。鮮やかな美少女っぷりが際立つ。いい女になれよ……。岡本一広「トランスルーセント 彼女は半透明」は4話め。うーん、いいね、この人は。いよいよ透明病が進んだ白山さんの姿が切ない。「あたし……本当にここにいるのかなあ…」というセリフが印象的。そしてラストの爽やかさ、暖かさが心に浸みる。

【雑誌】ビッグコミックオリジナル 9/20 No.18 小学館 B5中

 手塚治虫「鉄腕アトム 地上最大のロボット」から題材をとった浦沢直樹の新連載、「PLUTO」(プロデュース:長崎尚志+監修:手塚眞+協力:手塚プロダクション)が月イチでスタート。まず最初はスイス林野庁所属の山岳ロボットの破壊と、ドイツで起きた殺人事件の関連性が、刑事ロボットであるゲジヒトによってほのめかされる……という展開。「鉄腕アトム」というからもっとロボットらしいロボットがガシガシ出てくるのかと思いきや、ノリは「MONSTER」あたりとすごく近い。なるほどなあと思ったし、しっかり物語に引き込まれた。浦沢直樹の語りのうまさに改めて感心。福本伸行「最強伝説黒沢」。最高。チンピラに襲われてボコボコにされた黒沢さんの脳裏を横切ったものは……。黒沢さんの脳裏をよぎる想念の抜群な情けなさ、そしてその後の処理など、本当に素晴らしい。これが黒沢さん最強化のためのきっかけとなったりする……のかなあ?

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 9/19 No.19 小学館 B5中

 乃木坂太郎「医龍」(原案:永井明)は巻頭カラーで引き続き盛り上がり中。非常にドラマチックでキレがいい。IKARING「パラダイスなヤツら」(原作:山田ゴメス)は後編。ケーブルのエロ専門弱小TV局を舞台にしたドタバタストーリー。うーん普通の出来かなあ。IKARINGならではの味はいまいち出ていなかったような。

【雑誌】コミックバンチ 9/19 No.40 新潮社 B5中

 坂本タクマ「屈辱er大河原上」は、マナー教室で苦戦中。大河原上っていつも思うけど、意外に素直な人だと思う。正直者が屈辱にまみれる世の中に、憤りを感じずにはいられない、というほどでもない。

【雑誌】花とゆめ 9/20 No.19 白泉社 B5平

 中条比紗也「花ざかりの君たちへ」。ようやく瑞稀が男のふりして学校に潜り込んでいたという秘密が明らかに……という感じ。そろそろ最終回が近いかな。成平こうじろう「文字伝心」は新人賞のHMC第331回で優秀賞を受賞した読切。詩人の青年と、文字の読めない少女の恋愛ストーリー。「好き」という気持ちを伝えたいという素直さに好感が持てる作品。

【雑誌】桃姫 10月号 富士美出版 B5平

 島本晴海「ちゅ〜♥ぺっと」2話め。ソープ嬢のイチゴちゃんと主人公のラブラブHストーリーという感じかな。あともう一人、主人公のことを好きであるらしきおでこちゃんなめがねっ娘もいい感じ。最近のこの人の作品はなんかすごくラブラブしてていい雰囲気。ムサシマルは桃姫初登場。「Sweetish Temptation」。なんかすごいHなサービスをしてくれるファミレスが実は……というお話。相変わらず絵のキレが良くうまいが、お話の面でもう一押し欲しいという印象は変わらず。


9/4(木)……たいそうアリバイ貧乏

【雑誌】キングダム 10月号 少年画報社 B5中

 きくち正太「私のアイザック」。シリーズ連載開始。田舎の小さな、でも非常に美しい川のそばに住み「水辺の達人」と異名をとる娘さんが、鮮やかに川の幸をゲットして東京モンの度肝を抜くというストーリー。きくち正太らしい「小股の切れ上がったイキな女」モノ。この人はこういう作品をいっぱい描いてきたんで若干食傷気味ではあるが、川という要素が加わった分新鮮味はあり、「いつもの」感は薄れているかなーという気もする。米餅昭彦「けい×どろ」。今回はおまわりさんが立ち小便じいさんと追っかけっこ。最後はきれいにシメてるけど、途中のやりすぎ感はさすが。

【雑誌】モーニング 9/18 No.40 講談社 B5中

 待望の菅原雅雪「暁星記」第3部が始まった。と思ったら、初っぱなからいきなり意表を衝く展開。うーんそうきましたか。それにしてもガンダルフ、ラダガストか……。菅原雅雪も「指輪物語」好きなのかな。澤井健「LACALACA」は新連載。第一話はカラー8P。死んだ者がガイコツとなって戻ってくるメキシコの地で、生きているガイコツたちに囲まれながら、愛する夫の帰りを待つ女性が描かれる。この人の漫画は久々に読んだが、「イオナ」とかのころと比べてずいぶん作風を大人っぽく変えて来ている。面白くなるかはまだ未知数だが、何はともあれ今後の展開に注目。次回は10月2日発売号掲載といのこと。

 MANGA OPEN大賞受賞作、佐藤豪「FLOW」。普通に抱かれているイメージとは異なる、超激流な三途の川で、生にしがみつこうとする人々のお話。劇画色強めな骨太で濃いめの絵柄で、お話のほうも気合いが入っている。今すぐモーニングとかでやるには、ほんのちょい絵柄を丸めたほうがいいかなという気はしたけど、即戦力として行けそうなタイプ。絵柄的には麻雀劇画誌とかにも合いそう。うめ「ちゃぶだいケンタ」。ケンタとサワは夏休みで家出中。今回の〆のあたりとか、トキメいててええ感じですなあ。

【雑誌】ヤングサンデー 9/18 No.40 小学館 B5中

 小田原ドラゴン「小田原ドラゴンくえすと!」。前回に続く汁男優取材編はたいへん面白かった。いやー、世の中いろいろな人がいるのですなあ、などと月並みな感想を抱いてしまった。

【雑誌】ヤングジャンプ 9/18 No.40 集英社 B5中

 新連載、作:戸塚啓+画:岡村賢二「フットボールほど素敵な商売はない!!」がスタート。ビール会社で良心的な営業マンとして活動していた主人公・宅間が、グループ企業のプロサッカーチームに、フロントとして出向させられることになる。というわけでサッカーチーム作り漫画といった感じになりそう。このところの漫画シーンを見ていると、ちょっと変わったスタンスのスポーツ漫画が増えてきたなと感じる。スペリオール掲載の「ボールパークへようこそ」はプロ野球チームの広報、イブニングの「スカウト誠四郎」はプロ野球スカウト、スピリッツの「ロープボール」はオリジナルスポーツを題材としたスポーツビジネス漫画……とこれまでとは違った視点からスポーツの世界を切り取ろうとした漫画が出てきている。なんかそういうトレンドとかあるんだろうか。

 スポーツものといえばもう一つ。今号には元阪神タイガースの選手で、今は打撃コーチを勤める和田豊が原作を、紅林直が漫画化した「虎の意地」も掲載されている。あんまり面白くはなかったが、まあ時事ネタということで。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 9/18 No.40 秋田書店 B5平

 最近「無敵看板娘」が表紙の号が増えてきたような。それはそうと今号で一番笑ったのが水島新司「ドカベンプロ野球編」の最終ページ。ダイエー西武の首位攻防戦。川崎のファインプレーに湧く福岡ドームで、両チームの選手も観客も気づかないままに、ものすごいドジなことが……というヒキ。いくらなんでもそれは誰か気づくと思いますよ、水島先生……。おおひなたごう「フェイスガード虜」は、いよいよ謎スポーツ「アンビリーバボー体操」の大会が始まる。早く各選手の謎演技の数々が見たい。能田達規「ORANGE」。今回はなんかミカンがやけに美人さんに描かれている。ここのところ厳しい展開が続いていたので、そんな中でこういうのもまたよろしいですな。瀬口たかひろ「恋愛出世絵巻 えん×むす」は、最終ページでけっこうびっくりな展開。どうなるんでありましょうか。


9/3(水)……斯く恋慕

▼昨日の日記の加藤理絵「灰色の乙女たち」[bk1][Amzn]の項で、Amazonとbk1の著者名表記が間違っていたと書いたけど、bk1はかなり速攻で直してくれて感心した。メールを送ったのが3日朝の7時半くらい、修正したという返事が来たのが11時ちょい過ぎ。こういうところの対応の早さは偉いですな。

【雑誌】マンガ・エロティクスF Vol.23 太田出版 A5平 [bk1][Amzn]

 この前出たエロティクス2003よりも、こっちのほうがずいぶん面白く感じた。作家さんの力量的にはエロティクス2003も負けてはいないが、エフのほうには「おなじみの人」でない人がちらほらいて、雑誌としてより動いていると思う。

 まず今回は、読切で鬼頭莫宏が登場。「誕生日の棺」。一人の美しい女性が電話口で話した「私が殺されているんです」という謎めいた言葉から始まり、彼女に異常なまでの執着を抱いている別居状態の夫へ話が及ぶ。夫の行状は妄執にあふれているが、男としては確かにちょっと理解できるし、ともすれが惹かれてしまいそうなところではある。鬼頭莫宏らしい、ちょいと変態的な味付けが生きている。志村貴子「どうにかなる日々」はオムニバス連載9話め。一つ部屋に同居する女性二人のお話。片方は昔からそちらの趣味があったが、かつてパートナーだった女性にフラれた経験もあり、現在の同居人から拒まれることを極端に恐れていた。でも同居人のほうは実はけっこう満更でもなくて……。いつもながらこの人はお話の落とし方がすごくうまい。途中までの話運びも巧みだったけど、最後でもう一段コツーンと行かれました。

 比古地朔弥の読切「かくれんぼ」は、申し分のない人格者の夫を持つ妻の秘めごとを淫靡に描いた作品。なかなかに色っぽくラストのドキリとする締めくくりも上々。なお比古地朔弥は、11月中旬に短編集が出る予定とのこと。中村明日美子「Jの総て」は新連載。ひどく美しく生まれた男の子の、性の遍歴を描いていくお耽美なストーリー。初っぱなから艶めかしいムードが漂っていて、なかなか読みごたえのあるお話になりそう。よしながふみ「愛がなくても喰ってゆけます。」。今回はYなが先生とゲイの男のお話なのだが、個人的にはそれよりも作中に出てくる寿司の数々がえらくうまそうでうらやましかった。あー食いたいな。よしながふみ漫画の登場人物は、うまそうにモノを食うねえ。このほかの執筆陣も藤原薫、近藤ようこ、安彦麻理絵と、味のあるメンツが揃ってます。というわけで今号は満足。

【雑誌】週刊少年サンデー 9/17 No.40 小学館 B5平

 満田拓也「MAJOR」。ついに吾郎がアメリカへ出発。「MAJOR」というタイトルを冠しておきながら、ここに来るまでに出した単行本冊数はすでに46巻。でもアメリカに行ってもメジャーに昇格するまではけっこう時間がかかったりするのかもしれませんなあ。それいしても清水さんはいつものことながら置いてけぼりにされている。不憫な。いちおうヒロインであり、高校野球編では吾郎くんチームに弟まで供出したのに……。まあ個人的には吾郎ママのほうが好きだけどねー。

【雑誌】週刊少年マガジン 9/17 No.40 講談社 B5平

 「妹は思春期」の氏家卜全がショートギャグ連載を開始。「女子大生家庭教師濱中アイ」。男子中学生の家庭教師をするにはエロによる教育的指導が有効。そう信じ込んだ純情女子大生の、間違いだらけの家庭教師生活をのんびり描いていく作品。この人らしく設定のわりに地味めで、わりと罪のない展開。

【単行本】「のはらのはらの」 雁須磨子 大洋図書 B6 [bk1][Amzn]

 雁須磨子はおもしれいなあ。これは田舎の高校生男子二人の恋物語。うだるような暑さの中、なかなかバスのこないバス停でへたばっていた西戸崎は、彼を介抱してくれた学校の先輩・糸島のことをなんだかとてもかわいいと思ってしまう。糸島はちょうど腰を痛めて野球部を退部、ヒマだったのでなんだかんだ西戸崎とつるむようになっていく。そこから二人の間柄はどんどん接近していくのだが……。

 と、このように書くとなんだかホモ街道一直線のガチンコな作品のように思えるかもしれないが、そうでもないあたりが雁須磨子。なんだか二人とものんびりほわほわしてて、好き合う気持ちが高まっていくという緊張感が全然ないのが味。すごく自然というか天然というか。糸島の野球仲間とかも、西戸崎との関係には気づいているのだけど、その受け入れ方がとにかくのんき。なんでまあこんなにこの人たちはぽえーっとしているのだろう。その様子を眺めているのは無性に楽しい。こういう天然な味は雁須磨子ならでは。「のはらのはらの」というなんだかよく分からんタイトルからして、最初は「はらの君」という人を主人公にしようとしていたけど、ネームを切っていたらそのことをすっかり忘れてしまってそのままだったというんだからヘンだ。不思議な作家さんです。

【単行本】「つっぱり桃太郎」1巻 漫(もも)画太郎 集英社 B6 [bk1][Amzn]

 現在ヤングジャンプで連載中。桃太郎が鬼退治をしてから100年後、再び桃の中から男の子が出現。それを拾った老夫婦が彼を育てるが、この桃太郎はとんでもない不良に育ち、改心したら改心したでバレリーナになるとかいいだす。でも結局はやっぱり村が襲われたことに復讐するため、鬼退治に出かけちゃったりはするのだが。えーと改めて読んでみて思ったけど、今のところ漫(もも)画太郎にしては、ノーマルに物語を作っているほうなのではないかと。意外に大人しい。その分ちゃんとまとまってはいるが、桃太郎のキャラがまだ弱いかなー。今後もう少し激しくぶっ飛んでいってほしいところ。


9/2(火)……灰色の地へ這い入ろう

【雑誌】ヤングマガジンUppers 9/16 No.18 講談社 B5中

 あの男が帰ってきた! というわけで押川運太郎「不死身deフジナミ」が掲載。今回は前編。フジナミが今度は世界進出。ということでアフガンに出かけてって商売したりしております。新井英樹「シュガー」。今回も面白い〜。中尾会長全盛期のビデオを見たリンが、そのファイトに魂を奪われる。中尾会長カッコよすぎるぜ。今回のファイト模様なんて本来は主人公にやらせたいくらいの華麗さだと思う。それを過去エピソードでバシバシ使っちゃうってのはなんとも豪勢ですなあ。

【雑誌】漫画アクション 9/16 No.35 双葉社 B5中

 今月30日発売号で休刊予定だが、まだ新連載が始まっている。東條さち子「ホープ」(監修:田中慈雄)。とある青年医師を主役とした医者ドラマ。今回は延命措置や食事制限を拒み、人生に満足しながら死を迎えた老婆を主人公がみつめるというお話。一色まことっぽい絵柄できっちりまとまった作品。わたべ淳「ライジング」。新球を身につけて旋風を巻き起こすモモコだが、百戦錬磨の相手チームは相棒の捕手・カオルのほうを揺さぶってくる。戦術面での駆け引きも出てきておもしろい。バロン吉元「三面大黒天」(原作:KAZU)は、バロン先生の描く今どきの若者像がハジけてて素晴らしい。

【雑誌】漫画サンデー 9/16 No.35 実業之日本社 B5中

 画:幸野たけ志+作:矢島正雄「下町の太陽」が最終回。矢島正雄原作作品は人間ドラマがシブくてわりと好きだが、この作品については若干軽めだったかな。最近医者モノは流行りのジャンルで力作もけっこうあっただけに、比べてしまうとちと安めだったかも。

【雑誌】コミックメガストアH 10月号 白夜書房 B5平

 きのした順市「ぶるみゆ」。なんか肉付きのいいおっぱい大きな女の子が、体操服姿でぷるんぷるんしながら走っているところから始まります。とか思ったらこの娘さんは6年生なのかー。ぷにぷに丸っこい体つきがボリュームあってなかなかいい塩梅。りゅうとひさし「うみねこ亭へいらっしゃい!」。描線にキレがあって、女の子のくりくりした目にも特徴があってうまい。この人はやんちゃな男キャラもしっかり描けているし、エロなし作品でもけっこう行けるんじゃないすかね。

【単行本】「灰色の乙女たち」1巻 加藤理絵 スクウェアエニックス B6 [bk1][Amzn]

 以前ステンシルで読切を見て気になっていた人で、この前掲示板のほうでも話が出てたということもあり購入。で、一読、なかなか良いものでありました。母親が死去し、気の弱い父親はそれを悲しんで引きこもり状態を続ける中、バイトで家計を支えて健気に暮らす女子高生・ミサキの物語。というとなんかいじましすぎるようだが、ミサキ自身はわりとぴんしゃんした元気者なのでそこまでシリアス一辺倒ってわけじゃない。幼なじみのアキラと仲良くしつつ日常は淡々とすぎるが、今度は父親が家出してしまってミサキの精神状態は不安定に。そこに現われたのがなんだか頼れる雰囲気を持った同じ学校の男子・春原くんで……。

 作画自体はまだ完全にできあがってるわけじゃないけれども、淡くて爽やかで、どこかぬほーっとした暖かみもあり。軽やかにテンポ良くお話は進行するんだけど、ミサキがいつもは気丈なだけにふと見せる弱さ、もろさがスポッとツボにはまって印象に残る。日常の楽しげな描写と、センチメンタルなシーンでの透明感がいい具合にマッチしてて気持ち良く読めます。なんとなく創作少女系というか、そこらへん好きな人には響くものがあるんではないかと。表紙見てピンときたら買っちゃっていいんじゃないでしょうか。表紙画像はちっちゃいけどいちおうステンシルコミックスの既刊案内のページにあります。ところでAmazonもbk1も著者名が「加藤理恵」になっちゃってるなー。←と、ここで呟いていても始まらないので両書店にはデータベース修正依頼メールとか出してみました。


9/1(月)……三方硫黄だ

▼そういえば昨日のコミティアのとき、1000円札をあまり持っていなかったので東京流通センター内のコンビニにある銀行ATMで9000円ほどお金をおろしたのだが、2000円札×4+1000円札×1という組み合わせで出てきてちょっとびっくりした。でもまあ即売会で使うときは5000円札よりも2000円札のほうが便利ではあった。

【雑誌】近代麻雀 10/1 vol.452 竹書房 B5中

 作:阿佐田哲也+画:原恵一郎「麻雀放浪記 凌ぎの哲」。今回は哲がやけにカッコいいね。仕掛け方もうまいし。それにしても達磨はやけにパワフル。筋肉もりもりだー。ちまちま麻雀やってないでぶん殴って金を強奪したほうが良いのではないかと思った。天獅子悦也「むこうぶち」(原案:安藤満)。江崎復活編が盛り上がってはいるんだけど、なんか最終ページの柱に「次号、死闘決着!!」とかあるんですが……。そんなにあっさり片づいちゃうんだろうか。

【雑誌】ビジネスジャンプ 9/15 No.19 集英社 B5中

 作:周良貨+画:能田茂「監査役野崎修平」は最終回。そして次号から新連載「頭取野崎修平」が始まるらしい。島耕作みたい……。尾玉なみえ「アイドル地獄変」。どんどんアイドルという設定はどうでも良くなって来ているが、地味に面白くなってると思う。今回はひろ子がエセ医者になってなんか適当なことをしまくるというお話。脇役キャラが無駄に濃いのがいい。

【雑誌】ヤングマガジン 9/15 No.40 講談社 B5中

 流行歌をモチーフにして複数人の作家が読切を描くという連作シリーズ「平成歌謡漫画大全集」の8作目として、大和田秀樹が登場。曲は「桃色片想い」。でも内容は昔気質なヤクザの秘めた恋心という感じの男っぽい話になっているというミスマッチをギャグにしている。アップダウンが激しくて勢いのあるお話はいかにも大和田秀樹らしい。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 9/15 No.40 小学館 B5中

 柏木ハルコの新連載「鬼虫」がスタート。いつとも分からぬむかしの物語。絶海の孤島で原始的な生活を営んでいた村落で、一人の娘が海に落ちて遭難してしまう。その娘が数年経ち、再び島に戻ってくるが……。えーとまだプロローグ段階なのでお話的にはどういう方向に進むかは全然分からない。ただお話としてはシリアスで、大きめな展開をしそうな気配。まずはしばらく注目していきたいところ。小田扉「団地ともお」。夏休みだというのに団地でラジオ体操をしてばかりなともお。なんだか今回のともおはちょっぴり不憫だが、基本的にはとても平和で思わず笑ってしまう。あと山本英夫「ホムンクルス」はやぱり面白いなあ。組長とのからみはいちおう一段落。トレパネーションによって目覚めた名越の能力も、その全体の形がぼんやりと見えてきた感じ。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 9/15 No.40 集英社 B5平

 今号で目立ったのは読切作品2本。武井宏之「エキゾチカ」は、タイトルのイメージとは裏腹に車バトル漫画。自分の世代的には「スーパーカー」って言葉のほうがなじみがあるんだけど、最近は「エキゾチックカー」っていうんですか? なんかやたらとカッチョよくて輝いていたエンツォ・フェラーリとかの車がバトルするのである。主人公はちっこいクルマ屋の息子で、カリカリにチューンしたオンボロ車で「一番速ェマン」を目指すむこうみずなにーちゃん樫巻アキ。元気があっていいんではないでしょうか。それから大亜門「超便利マシーンスピンちゃん」も掲載。表紙の絵を見たときは一瞬萌え系かなと思ったが、わりとベタなボケ&ツッコミ系のギャグ漫画だった。マッドサイエンティストの爺さんに作られた少女型のロボットが、老人さんを介護するようなことになって、その過程でドタバタと騒動が起きるというお話。テンポはいいしギャグの出来も悪くないと思う。

【雑誌】ポプリクラブ 10月号 晋遊舎 B5中

 今号は井ノ本リカ子の連載がお休みなんでちょいと寂しいなー。へかとんも載ってないし。そんな中で楽しみはやっぱりパニックアタック「すてきな恋のみつけかた」かな。「大人になる呪文」ほどの威力はないけれども、毎度楽しく煩悩ふりまくドタバタをやってます。

【単行本】「トラや」1巻 南Q太 太田出版 A5 [bk1][Amzn]

 細身の優男なにーちゃんであるけんちゃんと、その彼女のトラの、仲睦まじい恋愛ライフを描いたほのぼの漫画。幸せそうで微笑ましくていいですな。正直いうとあんまりきれいきれいに恋愛してて「くそー」と思わないでもないが、こういう本を読んで幸せな恋愛したい気分を高めてアグレッシブに現実に臨んでいくのもよろしいのではないでしょうか。南Q太作品にはもっとエッジなものをつい求めてしまいがちなところではあるのだけど、そういうのばっかだと歯ごたえありすぎだし、いつもとおんなじっていうイメージになっちゃうしなーというところもある。でも漫画としてはやっぱうまい。ところで今ちょっと気になったのだが、この本って帯に「恋愛編」って書いてあるんだよね。じゃあ次は「恋愛じゃない編」とかになったりするんだろうか、そしたらキツいな……とか不吉な想像をしたりもした。まあ副題が「TORA&KEN'S HAPPY LOVELY LIFE!」なんでそんなことにはならないだろうけど。たぶん続巻は普通に「同棲編」だの「結婚編」だの「子育て編」とかになっていくんじゃないかなーと思います。

【単行本】「おさんぽ大王」7巻 須藤真澄 エンターブレイン A5 エンターブレイン A5 [bk1][Amzn]

 須藤真澄としては最長連載。7巻全89話も続いた本作品もこの巻にて最終回。最後はなぜか今までやらないでとっておいた、いかにも須藤真澄らしいあの土地で締めくくり。まあ正直いっちゃえば須藤真澄については、もっとファンタジーファンタジーした作品のほうが読みたいなあという希望はあるのだけど、現在の作風で初期作品のようなキレが出るかどうかは微妙なところ。それよりもこういう安定路線のほうがええのかもなあとか思ったりもした。


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