【雑誌】百合姫S Vol.2 一迅社 B5平 [Amzn]
百合姫のいくぶん男の子向けバージョン第2号。今号では、高木信孝の新連載「カシオペアドルチェ」がスタート。ドールハウスの見習いとして入ることになった女の子、アンナ=モルモックが主人公。新人として歓迎された彼女だったが、歓迎会ではいきなり先輩店員さん2人から熱きベーゼを受けてしまったり、なんだかもうたいへんなことに。とりあえず賑やかで楽しそうな出だし。まあお話としてここからどう発展させていくかは分からないけど、ドールハウスだけに自分たち用の衣装とかも作ったりしてイチャイチャするんじゃないでしょうか。
あらきかなお「やっぱりアイドル」は、新人アイドル3人組の女の子が他愛なくイチャつくほのぼのかわいいお話。あらきかなおは「乙女はお姉さまに恋してる」の漫画版も描いてるだけに、この手の作品は手慣れたもんでなかなか達者。藤枝雅「乙女色Stay Tune」は声優女子の話。こちらもまたアツアツでよろし。
吉富昭仁「sketch」。部活で絵を描いている女の子と、彼女に自分の絵を描いてほしいと依頼した友達女子の物語。モデルをやってる友達女子は、先輩女子に言い寄られているのだが……。秘められた恋が成就する、ハッピーエンドなお話に仕上がってて後味は上々。最近の吉富昭仁は萌え系だの、エロ系だの、百合系だので、開き直った面白さを発揮してますなー。
椿あす「ハニークラッシュ」。幽霊少女のみつが好きな人・まどかに彼氏ができてしまい、みつはそれをなんとかしようとするが、まどかは全然それを意にも介さず。またまどかのおともだちである恭子の告白も眼中になしといった状態。みつと恭子は結果的に共同戦線的な状態になっているが、残された者同士、いいムードになってきそうな感じもある。まあほのぼのドタバタしててけっこう良い。
袴田めら「黒い瞳の魔女」。告白してきた後輩女子の深い目の色に魅せられてしまった先輩女子の物語。こちらはなかなかしっとりした感じの百合物語を展開している。ちょっぴり色っぽい感じがするところもいいですね。
【雑誌】COMICリュウ 11月号 徳間書店 B5平 [Amzn][定期購読:7andy]
創刊1周年でDVD付き(銀河英雄伝説のアニメ劇場版入り)で、判型も今までのB5中とじからB5平とじに。個人的には気軽に読めて、ノドの部分まで開きやすい中とじのほうが好きだけど、まあこの手の雑誌は平とじのほうがそれらしいかな。
今号で目をひいたのは、初登場ナヲコの新連載「なずなのねいろ」。ひょんなことから三味線ひきの少女・なずなと親しくなったギター少年が、その影響で津軽三味線を習い始める……という内容。三味線少女のなずながちんまりした、日本人形のようなかわいらしさを発揮。ほんわか暖かいストーリーでなかなか楽しくなりそう。あと今号では画:奥田ひとし+作:今野仁「ホムラ!」、黄島点心「くままごと」、釣巻和「くおんの森」も始まっている。釣巻和の品の良い、キレのある描線はなかなか好感が持てる。
アサミ・マート「木造迷宮」。センセーの教え子だった女の子が訪ねてきて、メイド服姿で頑張っちゃうというお話。この女の子は少々ガサツだが元気のイイ娘さんで、見ていて楽しい。あと試しにメイド服姿を来てみたヤイさんがかわいいですのう。石黒正数「ネムルバカ」は安定して面白い。トボけているようでいながら、けっこう読ませる青春ストーリーにもなっているところが巧み。
読切、富村ガゼル「淡水人魚」。主人公の前に、死んだはずのばあちゃんの若いころの姿であると言い張る女の子が現れる。そして主人公は、彼女と一緒にダムに沈んだばあちゃんの故郷を訪れることになるが……。けっこう達者な絵柄で、お話のほうもハートフルで後味が良い。新人賞である龍神賞の第1回で、銅龍賞を受賞した作品。
【雑誌】ウルトラジャンプ 10月号 集英社 B5平 [Amzn][定期購読:出版社]
すでにあちこちでいわれているとおり、作:佐藤大輔+画:伊藤悠「皇国の守護者」が連載終了。この作品が終わっちゃうらしいという噂は聞いていて、「なんとかならんもんだろうか」と思っていたのだが、なんともならなかった模様。本作については自分も連載当初からすごく惚れ込んでいて、書評やらせてもらう機会があったときとか、ことあるごとにプッシュしてきただけにすごく残念。作画的にもストーリー的にも素晴らしかったんですけどねえ。これはあくまで個人的な憶測だけど、よっぽどのことがない限り、再開はまずないだろうと思ってます。雑誌を変えて……というのも難しいんじゃないかなあ。
ただ現在の伊藤悠は、ちゃんとした物語さえあれば、いくらでも面白い作品を描けるだけの実力はすでに身につけていると思う。なので今回の件で気落ちせず、ぜひ早いとこ次回作を見せてほしい。きっとこの人なら、次も面白い作品を描いてくるはず。願わくばそれがなるべく早く、そして「皇国の守護者」を上回る面白いモノになりますように。
諸星大二郎「未来歳時記 シンジュク埠頭」。東京のかなりの部分が水没し、シンジュクやシブヤが漁港となった時代の物語。この時代、人間にさまざまな生物の遺伝子が混ざったりしていたが、その中でリアル人魚も出現しているという噂が絶えない。そんな中で埠頭近辺に出没するようになった人魚の少女と、彼女に恋した少年、そして人魚をつけ狙う怪しい男の物語を描いていく。相変わらず諸星大二郎の発想、着眼点は独特なものがあり、ぐいと読ませる力を持っている。やっぱり面白いんだよなー。
【雑誌】月刊サンデーGX 10月号 小学館 B5平 [Amzn][定期購読:出版社]
高橋慶太郎「ヨルムンガンド」がやはり面白い。とくに大きくお話が動いてなくても、ココをはじめとしたキャラが魅力的なんで、それを追いかけてるだけでもけっこう楽しく読める。今回はワインかっくらって顔を赤くしたココの表情がいいなあ。あと陽気婢「眠れる惑星」が、けっこうお話が煮詰まってきた。「次号、クライマックス」ってことは最終回なのかな。
【雑誌】チャンピオンRED 11月号 秋田書店 B5平 [Amzn]
新連載、ともぞカヲル「デッド・ソウル・リボルバー」が開始。ゴスロリ調の黒衣を着た女の子が、デッカい銃で妖怪を倒して回るといった感じのバトルアクションもの。まあよくある感じといえばよくある感じだけど、その分手堅く行くかな? 高遠るい「ミカるんX」はプレ連載を経て連載開始。プレ連載見ると女学校百合モノかなと思ったが、なんか巨大変身ヒロインものだった……。感じとしては「UGアルティメットガール」に近いですかねえ。
八神健「どきどき魔女神判!」。今回は主人公・アクジの幼なじみ娘であるマリアが大活躍。アクジに恋する彼女は昔から魔女志望だったのだが……。彼に好かれようといろいろ暴走しちゃったり、アクジに神判をさせようとするマリアの必死ぶりがかわいい。あとエロっちい描写もやはり健在。作:藤見泰高+画:カミムラ晋作「ベクター・ケースファイル」。今回はミツバチとハチミツのお話だが、本当に突然ハチミツを使ったレズプレイが始まるあたりがスゴいと思った。そのシーンに稲穂はからまないけど無駄にエロい。
読切、大熊由護「妹ドーメイ」は、兄のことが好きすぎる妹たちが集まって兄を観察するクラブのお話。兄をほかの女にモテさせまいと必死で頑張っちゃう妹がかなり馬鹿。絵のほうはけっこう萌え系でかわいく、画面の使い方にはダイナミックなものがある。わりと面白かった。
【雑誌】月刊ヤングキング 11月号 少年画報社 B5中 [Amzn]
ポン貴花田「こまタン」がいいです。ものすごい舌技を持つ男、通称こまタンがさまざまな女を落としたり癒したり。女を骨抜きにする、ねっとりしたキスシーンがなんともエロっちくてそそられる。挿入シーンに頼らずともしっかりエロくできる、練れた描写が光る。
スエカネクミコ「プリティマニア」は、顔目当てでメガネ男子の御所川原に近づいたミヤコにライバル出現。実は御所川原には婚約者がいて、ミヤコに激しい攻撃を加えてくるのだった〜というネタ。オタク男を取り合って、カワイイ系とカッコイイ系の美女2人が争うさまが実に滑稽。今回も楽しうございました。
▼この期間の週刊誌、月2雑誌はあらかた感想書いちゃっているので、日記の日付については豪快にすっ飛ばさせていただきます。ようやく実際の日付に追いつく目途が立ってきたかな……。
(書いた日:2007/09/24)
【雑誌】ヤングアニマル 9/28 No.18 白泉社 B5中
東雲太郎「キミキス」。今回のキスシーンは実に濃厚で甘ったる〜くて良かった。祇条さんとの距離はどんどん縮まるばかりで、恋愛ムードもどんどん高まる。いい感じですねえ。作:原田重光+画:瀬口たかひろ「オレたま」は、増刊嵐のほうから出張掲載。小悪魔エリスと主人公・航太が、エッチの一歩手前まで行ったときのお話。というわけで出張掲載らしい、サービスシーンたっぷりな回でした。
【雑誌】ビッグコミックスペリオール 9/28 No.19 小学館 B5中
新井英樹「キーチ!」がかなりこたえる内容。認知症によりどんどんボケが進んでいく老母の看病と仕事で疲れ果て、共に死を選ぶことを選択した男の、それまでの生活が描かれる。看病のため安定した職業に就けず、ろくな生活保護も受けられない彼と老母の生活はしだいに困窮の度を強め、ついには生活費も底をついて川原の草で飢えをしのがねばならない状態に。最近この手の話には無条件で弱い。自分の親や、自分の老後とかを考えるとやっぱりねえ……。あと新井英樹の描写もこれがまた胸にこたえるものとなっていて、ズシンと来る。ヘビーだ。
【雑誌】ビッグコミック 10.17増刊号 小学館 B5中
星里もちるの読切「パパと呼ばれたい」が掲載。仕事をしつつ、シングルマザーの女性と交際しているアニメーターが主役。子供向けのアニメを作っていた彼だが、本業でうまい演出ができず、なおかつ相手の女性の連れ子の気持ちも分らず落ち込むが……。心温まる仕事+ホームドラマに仕上がっていて、きっちり読ませる出来映え。あと、主人公のアニメーターが「芝田」という名字で、いい感じにこなれたママさんに「好きです!」とかいわれるのはいいことだと思う。
【雑誌】Beth Vol.06 講談社 A5平
この号は部活マンガ特集。といってもインタビューとか文字ベースの記事が中心で、漫画のほうで部活やってるのは、岩岡ヒサエ「オトノハコ」程度だけど。「オトノハコ」は合唱部の青春物語をほのぼのやっててなかなか楽しい。キャラクターがちまちましてかわいらしいのに好感が持てる。
【雑誌】快楽天BEAST 10月号 ワニマガジン B5中 [Amzn]
さめだ小判「桃園学園男子寮にようこそっ!」は3話め。主人公はかわいい彼女とラブラブだが、昔彼女と仲が良かったらしい男の話を聞いて嫉妬。相変わらず達者な絵柄でヒロインさんがとても魅力的。そろそろ発売予定の単行本「BEASTIE GIRLS」[Amzn]は、今月のエロ漫画では期待の1冊。
Cuvie「アナザサイド」。主人公の住むアパートに、地元で仲の良かった女の子が越してくる。そして主人公が彼女と痴話ゲンカしたときに、その娘さんが迫ってきて……という内容。年下の妹分的な存在のエッチとラブストーリーを初々しく、トキメキたっぷりに描いてて相変わらずの安定感であります。いーむす・アキ「いとしのみゆ先生♥」は最終回。ラストはラブラブできれいにハッピー・エンド。かわいくてけっこうエッチでもあり、楽しめる作品だった。
奴隷ジャッキー「ご主人さまサマ!」は、天然でツンデレの女の子・まよちゃんが、彼氏のが店長をやってるメイド喫茶でバイトさせられ、いいように遊ばれちゃう……という内容。まあ彼氏とツンデレ彼女は非常にラブラブで、皆さんの前でもそれをご披露しちゃうほどなのだが、ただのラブコメに終わらないところが奴隷ジャッキーらしいところで。まよちゃんの天然ぶりをいじりまくって、ノリノリで楽しんじゃうストーリーが面白い。ぶっとび感もほどほどなので、この人の作品にしては間口は広いほうではないかと。
あと今号では、MARO「ABILITY〜蘇る野獣の血脈〜」。上司によってエロ行為を仕込まれた天才システムエンジニア女を、タージマハルで已月竜司がコマす! 今回は最初のほうで思わず笑ってしまった。彼女がガンジス河のほとりで上司とセックスするのだが、その後ろでは牛が呑気にモーッとか鳴いてて絵ヅラ的に間抜けだし、「私が出したらお前もガンジス河に黄金水をぶちまけるんだ!」とかいうセリフも馬鹿馬鹿しい。だいぶ調子が出てきましたな。
【雑誌】コミックメガストア 10月号 コアマガジン B5平 [Amzn][定期購読:Fujisan]
おりもとみまな「みさお MY LOVE」がイカれてて面白かった。小学生のみさおちゃんは、真性のロリコンである兄と関係していたのだが、マンションからの転落事故でロリコンの心を失ってしまう。そんな兄を見て悲しんでいたみさおちゃんのために、彼女に片想い中の少年が一肌脱ぐ。その手段とは、彼が女装して兄に迫ってロリコン魂を取り戻させるというものだった……という内容。男なのに頑張って兄ちんこをほおばったりするし、尻まで使って本来は恋のライバルであるロリコン兄を復活させようとする、何考えてるんだねチミは的行動が見てて楽しい。今回は非常にノリが良かった。
F4U「ありがとうマリーさん」。いやー、エロくていいですな。無敵番長とともに学校のワル共を仕切っていた番長の彼女のマリーさん。しかし番長が入院したことで抑えがきかなくなった三下どもを大人しくするために、肉体奉仕で食い止めようとする……という内容。ちんこの描写とかがねちっこくエロシーンがハードなだけでなく、最初はイヤイヤやっていた彼女が、三下どものセックスの前にヘロヘロにされていく様子は、寝取られ感十分でシチュエーション的にもエロい。自分的にはかなりグッと来ました。
御免なさい「夏休みが終わったら」後編。兄と妹のセックスを描いたロリ系漫画。この人の、線が細い独特のタッチはすごく好きだし、ロリロリ美少女たちもかわいい。まだ作品数はそんなにストックないとは思うけど、早く単行本出てほしいところではあります。最近のロリ系の人の中でもかなりの有望株だと思う。ロリ系では佐々原憂樹「佐和ちゃんのウソ」も達者です。線がキレイだし、日に焼けた元気な娘さんも良い。
【雑誌】COMIC RIN 10月号 茜新社 B5平 [Amzn][定期購読:7andy]
上連雀三平「わたしを有明へつれてって!」がついに最終回。最後はわりとしめやかに終わった感じだけど、やっぱりところどころでヘンなことやってるなあ。なんといっても扉ページからして、尾道の美しい情景を描いてるように見えて、家の屋根のうえで主役二人がさりげなくセックスしてるし……。あとさらりとこともなげに淫語とか口走ってる呼吸もこの人ならでは。単行本はいつになりますかのう。まとめて読んだらさらに面白そう。
草野紅壱「恋愛とセックスと僕と彼女」は、告白以来、返事は保留しているものの態度の変わったツンデレ娘さんの様子がなんともかわいくてええです。態度はツンツンしてるけど、やたら顔を赤らめて意識しまくりな様子が微笑ましい。LEE「すきつき」。引越先のお部屋で少女の幽霊にとりつかれてしまったあんちゃんのお話。幽霊だけどさわったりエッチをすることは可能。やたらベタベタ甘えてくる女の子さんがいつもながらにかわいい。
【雑誌】コミックビーム 10月号 エンターブレイン B5平 [Amzn][定期購読:出版社]
朝倉世界一の新連載「デボネアドライブ」が開始。デッカい外車で移動入浴サービスをやってる二人組が、自動車事故で家で娘のバイクを壊しちゃったことがきっかけで、3人の風変わりな共同生活が始まっていくという出だし。「ファンシー・ロードコミック」とあるので、今後は旅に出るって感じでしょうか。それぞれキャラは人が良さげで、爽やかな雰囲気はある。
タイム涼介「アベックパンチ」。ついにスポーツアベックにおける、ヒラマサの相棒となりそうな女が登場。ヒラマサの豪快すぎるキャラクターがイイ。こういう剛直で頭の悪いキャラ、すごく好きなんですよ。「三国志」でいえば呂布とか、「水滸伝」でいえば黒旋風李逵とか。昔はキレ者系のキャラが好きだったんだけど、年をとるにつれてこういう剛直系キャラのほうがグッとくるようになりました。
三宅乱丈「イムリ」は読みごたえがあって面白いなあ。今回はイムリの道具の話がいろいろ出てきたが、まだまだ謎は山のようにありそう。神秘的で土俗的で、すごく興味をそそられる。森薫「エマ番外編」。今回は4コマ漫画形式でやってきた。けっこうほのぼのと、ちゃんと4コマ漫画してます。あと最後は執事萌えで締めくくるあたりもうまいなと思った。唐沢なをき「漫画家超残酷物語」は、少女漫画界の大御所作家と、現在の看板人気作家の醜い戦いを面白おかしく描写。またしてもヤバげなネタだけど、それでも軽く読ませちゃうあたり素晴らしい。
カイトモアキの読切「脅迫状」。志村貴子「放浪息子」の代原の模様。「放浪息子」は好きだけど、自分はカイトモアキも好きなんで、まあ良しとする。「脅迫状」のほうは、会社の金を横領して逃げたOLが、元上司を呼び出して、金の隠し場所まで同行するというストーリー。じっとり粘着質な、女の濃い愛情・執着を描いた物語が印象に残る。絵柄も濃い。あと宮田紘次の読切「うたたね姫」は、6ページとちょっと短いけど、自然でちょいゆるめな感じの絵柄が好感度高い。もっと長いのも読みたいっすね。
【雑誌】イブニング 9/25 No.19 講談社 B5中
新連載、上西淳二「イタダキッ!」がスタート。六本木最強といわれるキャバ嬢・美江の痛快サクセスストーリーといった感じのお話。彼女はNo.1になるためならどんな苦労も惜しまない。日々ジムで肉体を鍛錬し、エステでマッサージを受け、さらに外国の客をゲットするため英会話学校にも通うという徹底ぶり。しかしある日そんな彼女からNo.1の地位を奪う女が登場し、ライバル心がメラメラ……といった出だし。最初としてはインパクトがあるし、まずまずの滑り出しといったところ。
寺沢大介「喰いタン」。相変わらず馬鹿馬鹿しいなあ。今回の事件も「なんでそんな回りくどいことを……」といいたくなる強引なものだったし。まあこの作品の場合、そこがいいんですが。あと新人漫画家奮闘記である小熊隼人「まんがバカ幸福論」は、雑誌の後ろのほうで地味に面白いと思う。
【雑誌】ヤングチャンピオン 9/25 No.19 秋田書店 B5中
新連載、加藤マユミ「腐しぎの国のリンゴ姫」。タイトルから分るとおり、今流行りの腐女子ネタのドタバタコメディ。会社ではバリバリの美人OLとして活躍中のヒロイン・リンが実は腐女子。その職場に彼女の過去を知るオタク派遣社員がやってきて、その弱みをネタに、リンにコスプレイヤーとして活躍するよう要求する。正直なところ、ちょっとコスプレ時のキャラがぶっ飛びすぎてるし、腐女子もオタクもリアルではない。そういう意味ではオタク的にはNGな作品かもしれないけど、まあ一般誌だとこんなもんでしょうなあ……と思わせる内容ではある。
【雑誌】スーパージャンプ 9/26 No.19 集英社 B5中
作:早川光+画:橋本孤蔵「渡職人残侠伝 慶太の味」が本領を発揮。今回は幼いころの思い出のかき氷の味を再現することに挑む坂巻。しかし、昔そのかき氷を作ってくれたおばあちゃんが使っていたシロップの隠し味が、なかなか分からずに苦悶する。そして一人海辺にたたずむ坂巻は、やおら服を脱ぎ出し褌一丁で海へザッパーン! その衝撃で褌がほどける中、坂巻はついに答えを見出すのだった。まったく意味もない豪快な脱ぎっぷり、そして褌が外れてまろび出た男根部を隠す魚影。もう男過ぎてたまらんです。あと「お前は野草になれ…」とか念じてるくせして、海へダイブする思考回路も素晴らしい。やはり坂巻という男は一味違う。
徳弘正也「バンパイア」はいつもながら読ませる。人の手によって作られた、新たなマリアの偶像の誕生と、兵士たちの狂喜する姿にゾッとする怖さがある。玉越博幸「ケ・セラ・セラ」はわりと好調。ベタな妹モノながら、ラブコメとしてまずまずよくできてるんでは。兄と仲の良いアシスタントねーちゃんも、妹のヤキモチ喚起剤としてしっかり機能しているし。杉本ふぁりなの読切「ビデオガール」。アダルトビデオの現場でADやってる女の子が、女優さんのアクシデントにより、AVデビューすることになり……という軽いノリのHコメディ。まあまあエッチで手堅い仕事といったところ。
【雑誌】別冊マーガレット 10月号 集英社 B5平 [Amzn]
中原アヤの新連載「ときめき学園王子組」。初回は学園で「ぴかぴか王子」と呼ばれるモテモテ美少年と、その世話役的なことをやっている幼なじみ少女がメインのお話。顔はいいけどちゃんとネクタイ結べなかったり、けっこうだらしないところもある王子だが、外っツラがいいのでモテモテ。そんな彼をみてヤキモキする幼なじみ女子だが……ってな感じでお話を展開。途中ライバルキャラも出してお話を盛り上げ、ラストでラブラブに、後味良く締めくくる。キャラが見てて楽しいし、構成も巧みだし、さすがにうまいなーと感心させられる。お話的には毎回「王子」と呼ばれるキャラが出てきて、一話完結形式で展開していく感じになりそう。
河原和音「高校デビュー」は、城宝姉弟の出現で、ヨウと晴菜の仲がモメる。「恋愛カタログ」の笹錦さん的なキャラである城宝姉が、ねちっこい活躍をしててなんだかタイヘン。まあ結局は元サヤだとは思うけど、それが遅いか早いか、あとは城宝さんが今後も話にからんでくるかが気になるところ。
【雑誌】comic天魔 10月号 茜新社 B5平 [Amzn]
まぐろ帝國の新連載「あいらんど」がスタート。記憶喪失の主人公・六郎が目覚めてみると、彼を「お兄ちゃん」と呼び、セックスを迫ってくる少女が一人。さらにその姉で、記憶喪失前は彼と関係があったらしき女の子もいてほかにも謎の奥さまやメイドさんも登場。まだお話のほうは全然どうなるか分らないけど、肉親同士の肉体関係をねっちょり濃い目に描いていくって感じかなあ。とりあえず続きを待つ。
エレクトさわる「無題 no title」も第1話。父親に呼ばれて屋敷に戻ってきた青年・キースだが、そこで初めて出会ったメイドのナナリーにほのかな好意を抱く。しかしナナリーは父親と肉体関係があるのだった……といった感じ。セックスシーンは乳がだっぷんだっぷんでボリューム感があり、性器描写もゴツゴツを執拗に描き込み。また吹き出す液体も実に大量で、舌づかいとかもねちっこいものがある。エロ描写については濃厚そのもの。こちらもお話的にはなんともいえないが、まずはインパクトのある滑り出しとなった。
けものの「ぐる〜みんぐっ!! にゃんにゃん」。ともすれば兄を襲っちゃうほどの強烈な兄ラバーである妹と、彼女に流される兄とのドタバタエッチコメディ。このシリーズはすでに何回かやってるけど、妹さんがエネルギッシュで見てて面白いし、結局はラブラブになっちゃうお話も楽しくて好感度が高い。まだ続くようで先も楽しみ。シャチカマボコ「妹!」もタイトルどおり妹モノ。吊り目でおでこの広い妹さんがかわいいですのう。
柚木’N「図書室の彼女」はタイトルどおり図書委員さんがヒロイン。というわけで、まあありがちではあるがめがねっ娘。ちと地味めなルックスが好ましい。ラブコメとしてもトキメキがあってよろしいんじゃないでしょうか。
【単行本】「ユウタイノヴァ」1巻 押見修造 講談社 B6 [bk1][Amzn]
「アヴァンギャルド夢子」「デビルエクスタシー」の押見修造の最新作。1日に何分かだけ、幽体離脱できるようになった大学生・ハルが主人公。彼はその能力を使って、夜な夜な高校のときにつき合っていた元カノの私生活を覗き見るといったことをしていたのだが、ある日に出会った、同じように幽体離脱できる少女によって「幽体離脱中のセックスがすごくキモチイイ」ということを教えられるが……。
おそらくこの作品の本題となるのは、めくるめく幽体離脱セックス体験にあると思うが、この巻ではまだその行為についてはまだ描かれていない。しかし二つの幽体がどろどろトロけて、境界が曖昧になって混じり合うようなシーンは示されており、これから出てくるであろうセックスシーンの快楽描写をかいま見せる。ちょっとサガノヘルマーを思わせるものがあるが、こっちのほうが絵にクセがない分キャッチー。
押見修造は「デビルエクスタシー」は個人的にイマイチだったけど、「アヴァンギャルド夢子」はなかなかぶっ飛んだ面白さがあったし、けっこう期待している。才能はある人だと思うし、今回はネタ的にも面白そうなんで期待している。
【単行本】「SOIL」6巻 カネコアツシ エンターブレイン B6 [bk1][Amzn]
まとめて読むとすごく面白い。そいるニュータウンという住宅街で次々と起きる事件を追う物語だが、ちょっと謎に近づいたかと思うと、さらに謎がどんどん増えていくという物語構造がなかなか凄い。これだけ謎が増えてくると、物語自体が把握できなくなったり破綻しそうなもんだけど、この作品については常に一定のまとまりと緊張感を保ったまま、ミステリアスな雰囲気が拡大していくというなかなか大したことをやっている。おそらく謎の真相がすべてつまびらかにされることはないんだろうけど、それでも過程が十分楽しめるのでOKです。今後も楽しみ。