つれづれなるマンガ感想文12月前半

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「つれづれなるマンガ感想文」11月後半
「つれづれなるマンガ感想文」12月後半
一気に下まで行きたい



【映画】・「ミニモニ。じゃ(THE)ムービー お菓子な大冒険!」(監督:ヒグチしんじ、脚本:永田優子、2002、東映)
【映画】・「仔犬ダンの物語」(監督:わからん、脚本:わからん、2002、東映)
・「週刊少年チャンピオン」2+3号(2003、秋田書店)
【DVD】映画・「バタアシ金魚」(監督・脚本:松岡錠司、1991、シネセゾン、1997、日本ビクター)
【アニメ】・「陸上防衛隊まおちゃん」 第24話「紫のユリのひと」
・「娘。物語」(4) 田中利花、神崎裕(2002、講談社)
・「バキ」(14) 板垣恵介(2002、秋田書店)
・「バキ」(15) 板垣恵介(2002、秋田書店)

・「放課後セブン」(下) 村正みかど(2002、ヒット出版社)
【CD】・「愛のナース・カーニバル」 BON−BON BRANCO(2002、日本コロムビア)
・「週刊ヤングジャンプ」52号(2002、集英社)
・「週刊ヤングジャンプ」1号(2003、集英社)
・「ウォーB組」8月号(2002、マガジンマガジン)
・「ウォーB組」9月号(2002、マガジンマガジン)
・「ウォーB組」10月号(2002、マガジンマガジン)
・「ウォーB組」11月号(2002、マガジンマガジン)
・「ウォーB組」12月号(2002、マガジンマガジン)
・「ウォーB組」1月号(2003、マガジンマガジン)
【テレビ】・「おはスタ」(2002、テレビ東京)
・「ハロー! モーニング」(テレビ東京)
【アニメ】・「陸上防衛隊まおちゃん」 第23話「幸せを防衛しよう」
・「週刊少年チャンピオン」53号(2002、秋田書店)
・「週刊少年チャンピオン」1号(2003、秋田書店)
・「週刊少年チャンピオン」51号(2002、秋田書店)
・「週刊少年チャンピオン」52号(2002、秋田書店)
【CD】・「STAR ARTS」 KAGAMI(2002、ワーナー・ミュージック・ジャパン)
・「ホーリーランド」(1)〜(4) 森恒二(2001〜2002、白泉社)
・「BUBKA」1月号(2003、コアマガジン)
・「ハロー! モーニング」(テレビ東京)
・「ミニモニ。やるのだぴょん!」Vol.2 もりちかこ(2002、小学館)
・第1回ハロプロ楽曲大賞2002






【映画】・「ミニモニ。じゃ(THE)ムービー お菓子な大冒険!」(監督:ヒグチしんじ、脚本:永田優子、2002、東映)

公式ページ

映画「仔犬ダンの物語」と合わせて公開されている、モーニング娘。がらみのアニメ映画。

・あらすじ
ミニモニ。の面々は、ミニモニ。タウンでミニモニ。カフェというケーキ屋さんをやっている。食べる人がみんな幸せになれる、すごくおいしいケーキ屋さん。
明日は開店2周年パーティ。その前夜、辻・加護のつまみ食い、キャッツ・アイみたいな格好でケーキの美味しさの秘密を探りに来た高橋愛、そして女王・ナカジェリーヌ29世の部下の妖精たちが入り乱れ、警報機が鳴って大騒ぎに。
妖精の魔法の粉(よくわからん)を浴びたミニモニ。の4人と高橋愛は、全員小さくなってしまう。
普通のケーキはすべて石に変え、巨大なお城型ケーキを魔法で自分の城に変えてしまったナカジェリーヌ29世に会って元の姿に戻してもらうため、ミニモニ。+高橋愛は妖精たちの手引きでケーキのお城に向かうのだが……。

・感想
コレが、いろんな意味で面白い映画。最初から最後まで全部CGで、出演者が実写の場合でも背景はすべてCG。それだけではもはやめずらしくもないが、CG化したミニモニ。のキャラデザインは新しく起こしたものだし、それでいて今までのミニモニ。が主役のマンガやアニメの世界観を引き継ぎ、実写のミニモニ。たちがミニモちゃんたち(ミニモニ。のマスコットであり、ミニモニ。タウンの住人)と共演するさまはなかなか感動的。

小さくなってからは、全員CGに声をアテるかっこうになる。
CGでつくられたお菓子のお城やお菓子の兵隊などはデザインもかわいくて、とてもよくできている。
これにどれくらいの手間ひまがかかるのか、知識として私にわからないのがちょっと悔しいのだが。

幽閉されたミニモニ。たち4人を救い出すため、城に潜入したキャッツ・アイみたいな高橋愛は、「おいしいものが大嫌いなナカジェリーヌ29世に閉じ込められていた」という冷蔵庫の冷蔵おじさん(声:滝口順平)と出会う。
この冷蔵おじさんというのは、冷蔵庫に顔が描いてあって手足が付いているファンタジックな生き物で、突然出てきたキャラクターのわりには面白い役割を果たす。「映画版ドラえもん」で毎回登場する、異世界側の主人公に対応すると言っていい。
本作そのものが、1時間くらいで「コンパクトにまとめられた『映画版ドラえもん』」という感じの作品なのだが。

他にも、至るところにミニモニ。の曲が散りばめられていたり、まあそれは一種の宣伝だとしても、この映画のためにリリースされた曲「お菓子つくっておっかすぃ〜!」と「げんき印の大盛りソング」も、既存のPVをそのまま流すのではなく、多少変化させてきちんと新作として流していたりと、いわゆる「子供だまし感」がなくて好感が持てた。

シュークリームが合体した巨大怪物を食い止めて「ここはわしが食い止めるから、早く行け!」みたいなことを言う冷蔵おじさんの言葉に、後ろ髪をひかれる思いで脱出するミニモニ。の4人、しかし一人だけ高橋愛は戻っておじさんに加勢する……など、少年マンガ魂をくすぐるシーンがあったり、まあアソビっぽいんだけど飽きない趣向がこらされている。

本作は、単なるスペシャル企画ではない。ミニモニ。から矢口が脱退し、高橋が加入、さらに矢口はハロー!プロジェクトキッズの子供たちの新ユニットに参加するという「オトナの事情」をファンタジックにまとめ上げようという、そんなムリなことやるなら最初からやらなければいいじゃん、な役割を担っている。
ラストはそのようなかたちに持って行かれるのだが、まあどういうふうになるかは見てのお楽しみ。

それにしても、普通だったらトシをとらないのが子供に人気のキャラの鉄則だが、それを守れないのが生身の人間がらみの企画の辛いところ。しかし、さらにその上に持っていって、その流れをファンタジックなお話に帰結させようというあたり、なかなかねえ、考えていると思いましたよ。これを見て、子供が納得するかどうかはわからないですけどね。

最後の最後には「NG集」があって、真っ先に思い出すのは「モンスターズ・インク」の疑似CG集のマネだろうということなんだが、ここらもひとひねりあって、楽しいことになってます。
(02.1214)



【映画】・「仔犬ダンの物語」(監督:わからん、脚本:わからん、2002、東映)

公式ページ

アニメ映画「ミニモニ。じゃ(THE)ムービー お菓子な大冒険!」と合わせて公開されている、モーニング娘。がらみの映画。

・あらすじ
両親の離婚問題で、東京から祖父の元に転校してきた少女、真生(まお)。
ある日、真生は同じ学校に通う千香が、コンビニで牛乳を万引きするところを目撃してしまう。
それは、彼女が拾った目の見えない仔犬のためだった。千香が住む団地では規則で犬を飼うことは禁止されているため、「ダン」と名付け隠れて飼っていたのだ。
団地の自治会長・古澤(柄本 明)に見つかり、ダンを処分するように言われるが、そんなことはできない。ダンのために必死な千香の姿に、真生を始め、古澤の娘・弥生(安倍なつみ)や、千香の弟が通う幼稚園の西田先生(保田 圭)、西田先生の友達で女子サッカーチームのコーチ・佐紀(飯田圭織)や理砂(吉澤ひとみ)たちも一緒にダンの里親探しを始めるのだった。
佐紀の紹介で、ダンはやさしい里親に引き取られたが、千香はどうしてもダンをあきらめきれず、遠く離れた里親の家に会いに行ってしまう。ダンも千香に慣れている様子。ダンと千香を引き離すことはできない……そう感じた真生と古澤の娘・弥生の説得に、古澤もダンを飼うことを許してくれた。

さっそくダンの小屋を作ることになり、古澤を手伝いにさまざまな人々が集まって小屋作りをしていると、ダンを飼うことに反対する大人たちがやって来た……。

・感想
おそらく、当HPを覗いている人は、こういう「愛と感動のどうたらこうたら」みたいな映画はあまり見ないのでは。少なくとも、当HPの管理人である私は見ません。
「ミニモニ。」見に行ったら、くっついていた感じ。

だが、「愛と感動のお涙ちょうだいだから」というだけでバッサリ斬るのものどうかと思う。結論から言えば、この作品はあまり面白くはない。だが、面白くないのは「愛と感動のお涙ちょうだいだから」ではない。

まず、登場人物の一人ひとりの結びつき、本来なら仔犬ダンを通して、関わらなかった人々が人間的に結びついていく過程というのがきちんと描き込まれていない。
真生と千香の出会いすら、劇的ではないのだ。どこかグダッとしている。悪役の自治会長(柄本明)も中途半端だし、転校生の真生と対立する意地悪女生徒グループが改心するさまもなんだかグダグダである。
正直、一生懸命やっている子役には悪いが、どの子も演技がうまくない。NHK教育の「虹色定期便」がすごいドラマに見えるほどだ。が、それを割り引いても、演出に難があると言わざるを得ない。

裏読みをすると、都会で人権意識を学んだ女の子が、持ち前の気の強さからイナカの人々を啓蒙して回るような内容なのだが、そこら辺も不徹底である。もっとも、「都会から来た気の強い子」真生が「仔犬をかわいがりはするが、いかにも気の弱そうな」千香とコンビで行動するのはメリハリがあるし、真生の少し教育映画から逸脱するくらいの気の強さは面白いと言えば面白いのだが。

モー娘。の出演に関しては、ほぼ全員が脇役と言っていい。物語の要所要所に顔を出す、隠れキャラみたいな扱いである(CMの打ち方にも難ありだと思うが、この映画は実質、ハロー! プロジェクトキッズが主役である)。
前述のとおり、役の上で必ずしも知り合いではなかったモー娘。メンバーたちが、仔犬ダンを通じて友達になるという展開には描き込みが足りないが、本作が今後地方の公民館で上映される教育映画のような扱いなら、お客に足を運ばせる理由にはなるだろう。

ラストにモー娘。の未発表の新曲のPVが見られるのが「特典」。モー娘。のメンバーの顔が画面にアップになって、後ろにいる人が前にいる人を荒っぽく押しのけて次々と自分のパートを歌っていく、という演出が面白い。
(02.1215)



・「週刊少年チャンピオン」2+3号(2003、秋田書店)

「スナッチャー窃」高木章次は、爆弾魔との戦いの後編。前編以上の興奮はなかったが、意外とキッチリしていて面白い。
近年の同誌に載ったSFアクションものの中では、いちばんちゃんとしているのではないか。「スクライド」なんてムチャクチャだったからなあ。面白かったけど。
チャンピオンに自粛コードみたいなものがあるのかはわからんが、残虐描写を露骨に描かないのも、この作品の場合はドぎつくならない効果を上げていると思う。

「フェイクランナー」満富宏文は、前後編読みきりの後編。ヴァーチャルゲームをやっていた宗一は、どういうトラブルか、そのゲームの役割と融合し、現実化して「バークウェア」という西欧ファンタジー的異世界にやってきてしまう。
他のゲームプレイヤーも次々にバークウェアにやってきていて、悪のかぎりを尽くしていることも多い。そんな中、宗一は逃亡中のお姫様・アルスタシアを護衛することになるが……という話の後編。

うーん、失望もしなかったが、いかにも新連載のプレゼン的作品というか。基本設定の謎や、他の地球人たちがどういう心情でバークウェアにいるのかなどの説明がまったくつかないまま終わってしまっている。少年ジャンプでも、何度か長編になりうる読みきりが載って、人気を計ってから新連載となるケースがあるが、設定そのものを説明しない、っていうのはないんじゃないかと思う。
少年チャンピオンの場合、そこまでシステムがきっちりしていないような気もするし、これっきりだったら作者にも読者にとってもあんまりだなあ、と思ったのは確か。
ただ、長編になると設定の説明などはどうにでもなる、とも言えるので、連載になったらなったでいろいろむずかしいとは思うが。
「面白さ」を秘めた作品ではあった。
(02.1213)



【DVD】映画・「バタアシ金魚」(監督・脚本:松岡錠司、1991、シネセゾン、1997、日本ビクター) [amazon]

高校生のカオル(筒井道隆)は、水泳部のソノコ(高岡早紀)にひと目惚れ。泳げもしないのにオリンピック出場宣言をし、根拠のない自信でソノコにせまるカオルと、反発しながらも一途さに気持ちが揺れ動くソノコの恋愛(?)映画。
むろん、望月峯太郎原作のマンガの映画化である。

原作は人気作品であり、80年代後半の雰囲気を伝えるという意味でもマンガ史的に重要ではない作品ではないし、原作ファンには本作に対する不満がないではないと思う。
が、私にとっては「バタアシ金魚」と言えば圧倒的に映画だ。

原作は、後になって読んだが、「まじめにやる」ことを茶化しながらも最終的にはまじめに帰結する、かと思えばやっぱりまじめ方向にはいかない……といった風な、いかにも80年代的なエクスキューズが多すぎると感じた。
しかも、そんな展開でありつつも物語の大枠はスポ根水泳ものになっており、……まあ「過渡期的作品」と言ってしまえばそれで終わってしまう気もするが、とにかく読んでいてちょっとイラッとしたことは確かだ。

今さらこんなこと書くのもヤボな気がするが、当時いわゆる「大きな物語」が失われていたとか何とか言われていた頃、「大きな物語があるかのように」振る舞う、いや本当に信じている少年の暴走、というところに個人的な興味があったのだが、原作はそこら辺の問題に真摯に付き合いすぎたという印象だ。
本作の方が、映画としてまとめちゃったぶん、カオルの暴走ぶりがきわだって描かれていたと思う。

本作は青春映画としてよくできているが、やはり高岡早紀の魅力を抜きにして語ることはできない。
アイドルミーハーを長年やっていると気づくのだが、人によって違うとは思うが私の場合、本当に普通に「ファン」でいられたのはやはり少年〜青年時代でしかない。
だって「アイドル」って、その年頃に向けて供給されてんだから。よほどの妄想力でもないかぎり、三十過ぎて十代のアイドルにマジファンになるのはなかなかむずかしいことのように思われる。
そういう意味では、真のアイドルファンとしての自分は、もはや永遠に失われました。

さらにアイドルミーハーをやっていて気づくのは、目当てのアイドルが出ているというだけで、駄作のドラマや映画に付き合わされることの苦痛である。
まあそういう苦痛すら快楽に変えてしまう人もいるのかもしれないが、たとえば後藤真希目当てでドラマ「やんパパ」(未見だが、つまらないらしい)を見ている人とか、大変だろうと思う。私が今もし二十代で、後藤のファンであっても、たぶん見ない。

今後、だれかのファンになっても、そのドラマや映画がつまらなそうだったら、別にもうチェックしない。

それらの問題点を加味した場合、本作は希有なデキになっている。映画としてもいいし、アイドルファンとしても堪能できる。

しかし、DVDを買ったものの、まだ全部見ていない。このDVD、チャプター機能がついていないのだ。そんなDVDソフトがあるとは、初めて知った。これじゃあ、早送りや巻き戻しがビデオより面倒である。(ファンにとっては)最高のアイドル映画なのに、見たいシーンをチョイスできないのは残念だ。
よくDVDってオマケ映像が魅力、とかいうけど、そういうのもいっさい付いていない。全体的にそっけない。何とかしてほしかった。

ちなみに「芸能人は歯が命」の高岡早紀&東幹久コンビは、この映画で共演している。という含みであのCMを思い出すと、なんだかちょっと面白い。
(02.1213)



【アニメ】・「陸上防衛隊まおちゃん」 第24話「紫のユリのひと」

遅刻ギリギリで登校して来たまおは、校門で転んだとき、胸のクローバーバッジを紛失してしまう。 これではまおは変身できない。バッジは、エイリアンであるゆり子が拾っていた。
そんなおり、タツノコ型エイリアンが飛来。 みそらとシルヴィアは二人だけで出動するが、ピンチにおちいる。みーくん(戦車)に乗って現場にかけつけたまおもピンチに。
そのとき、クローバーバッジを使って変身したゆり子が登場。「紫のユリの人」を名乗り、エイリアンを倒してしまう……。

なんか、あらすじを書くのがむなしいが、実際見るとわりと面白かったんですよ。ただ、「3人揃わないとエイリアンを転送できない」という設定にも関わらず、「紫のユリの人」が一人でエイリアンを転送してしまうのはおかしいと思った。
(02.1213)



・「娘。物語」(4) 田中利花、神崎裕(2002、講談社) [bk1] [amazon]

「なかよし」連載。モーニング娘。オフィシャルストーリー。
前巻が、「五期メンバーに先輩たちが語って聞かせるというかたちで、初期モー娘。の軌跡を描く」というパターンだった。それと、後半は五期メンの紺野メインの話。

とうとう、この巻あたりから五期メンを一人ひとり主役の回が描かれねばならなくなった。「描かれねばならない」というのは、シロウト目に見ても「落ちこぼれの赤点合格」とされた紺野を覗く残りの3人は、作品が雑誌掲載時に個性が確立されているとは言い難かったから。
本作で「初期モー娘。」のエピソードが描かれたのは、五期メンバーの知名度がある程度読者に浸透するまでの時間かせぎ的意味あいもあったと思われるが、それにしてもまだ個性がハッキリしていなかったのだ。

で、Story13新垣メインの話。やっぱりキツい。
「モーニング娘。」に憧れまくった新垣が、新曲「Mr.Moonlight」のダンスがうまくできずに悩む。
まあこのテのグループの芸能モノは全部同じパターンで、

心理的プレッシャー(あるいは慢心)、自分だけ仲間に立ち後れているという焦り→だれかの励まし→気づき→成長

という過程を経ることが多い。

この「心理的プレッシャー」は、「前に出る気持ち」が出せなかったり、周りが見えていなかったりといろいろだが、この話の場合、新垣の問題点が何なのかがまったくハッキリしていない。したがって「気づき」のカタルシスがいまひとつない結果になっている。ちなみに励ますのは新垣憧れの安倍なつみ。

Story14高橋愛メインの話。これもやっぱりキツい。というか、迷走すら感じさせるエピソードだ。
ここでも高橋愛が、プレッシャーから自分の得意な歌の実力が出しきれず、つんく♂の期待に応えられないシーンが出てくるが(ちなみに「そうだ! We're ALIVE」)、その意味は最後までいまひとつ不明瞭なままだ。

励まし役は石川梨華だが、これも苦しい。おそらくこの当時、高橋愛に励ましの言葉を言えそうな先輩格(しかも他のメンバーのエピソードとカブらないような)が見つからなかったのだろう。視聴者(読者)にとって、高橋と石川はまったくと言っていいほど接点がないし、「実はとても仲がいいのでは……」という描き方も、今回はできていない。
つんく♂に「大事なことがわかっていない」と言われたことについて、高橋は石川に相談するが、石川はキョトンとした顔で「わたしにもわかんない」と言い放つ。これは石川のキャラをよく理解しているやりとりだとは思うが、それだけに「迷走」の感がつきまとうエピソードだった。

現実世界では、本人は一生懸命やっているのに謎かけのようなダメ出しをされることは、むしろわりとあるような気がするが、マンガなんだからその辺はもう少し整合性をつけてほしいと思った。が、「この時期はしょうがないだろう」と思えるほどに当時の五期メンバーにはキャラクターがなかったのである。

Story15Story17はそれぞれ、ミュージカル「モーニングタウン」と新曲「Do it! Now」のエピソード。ミュージカルは五期メンバーを励まそうとする四期と、「今はほおっておくしかない」と言う三期以上のメンバーの意見の違いとかが描かれていてちょっと面白い。
「Do it! Now」ではかなりイイ位置を割り当てられた紺野と高橋がプレッシャーに耐えかねてまた落ち込んだりするが、励まし役は一見クールで、作中ではやっぱりクールな後藤真希。
作品としてそれなりのまとまりは、ある。

問題はStory16小川麻琴のエピソードである。アルバム収録曲「初めてのロックコンサート」の語りの部分を割り当てられた小川が、コンサート直前でプレッシャーによりパニックになるという出だしだが、その理由が「五期メンバーの中で自分がいちばん遅れているのではないか」という悩みからであった。シャレにならん。
もともと、五期の中では即戦力、エース級だと見なされていた小川が、1年経って逆にいちばん目立たない存在になってしまっていた、ということをドラマにしているのだが、実際本当にそうなんだからシャレにならないですよ。しかも、励まし役は保田

まあこのエピソードが書かれた頃は、保田卒業の報は入っていなかったにしろ、決してアイドル的にカワイイとは言いがたいが各方面でがんばった結果、キャラを確立していった保田に励まされては、(マンガの中の話ではあるが)歌や踊りで勝負したかった小川の内心いかばかりであろうか。
そもそも作中での小川の焦りの原因は、歌でも踊りでもなく他の五期メンバーに比べて「キャラがない」ということなのだから、芸事というのもたいへんである。しかも作中で小川は「キャラがない」ことを「まだまだ自分の努力が足りないからだ」と、質的なものではなく量的なものに還元してしまい、焦り地獄に入っていく。この過程は物語としてよくできているだけに、現実世界の小川が痛々しく見えてくる。

「優等生ゆえに焦る」という、ちょうど紺野と正反対の役割をマンガの中でふられたにすぎないのだが、それが現実とシンクロしてしまっているところに、現在進行形の物語、かつモー娘。というグループの恐さ(面白さ)があるということなのだろう。

ちなみに、自分の3巻の感想はここ

ところで、新垣に禅問答のようなダメ出しをして、本作では非常に厳しい振り付けの先生として描かれている夏まゆみ先生だが、何年も前、吉本興業の若手にダンスを教えていて、いっこうにまじめに覚えないナイナイの矢部に毒づかれて泣かされたことがあるそうである。ナイナイの番組で言っていた。
このエピソードは、おそらく当時の夏先生が振り付け師としては格下であったということと、現在格上になったということを同時に表している。その後、番組の企画で矢部が夏先生に謝罪に行くという展開になったが、やはり人に頭を下げさせるには、社会的地位をあげるかテロしかないのかもしれんね。人間って、哀しいね。
(02.1212)



・「バキ」(14) 板垣恵介(2002、秋田書店)[bk1] [amazon]
・「バキ」(15) 板垣恵介(2002、秋田書店)[bk1] [amazon]

14巻は、烈海王VSドイル。
15巻は、愚地独歩、愚地克巳VSドイル、愚地克巳とドイルのやりとりはなかなか感動的。
ここらあたり、ずっとドイル編が続く。「編」といっても、本作ではもはや「一人を倒してから、また一人」というパターンではなくなっている。これはもしかしたら、山田風太郎から80年代ジャンプくらいまでで確立された少年マンガの戦いパターンへの挑戦かもしれない。「ジョジョ」とともに。

(12)〜(13)の感想

(02.1212)



・「放課後セブン」(下) 村正みかど(2002、ヒット出版社) [amazon]

COMIC阿ロ云(あうん)連載。成年コミック。セブンブリッジに似たカードゲーム「セブン」。それは上がると、相手を思い通りに犯すことができる悪魔のゲーム。
それの達人である「放課後セブン」と、美少女・二ノ宮ほたるの悪魔との戦いを描いた下巻。

出てからちょっと遅れましたが、下巻です。
基本的に、いい意味ですごくいいかげんなマンガなんだが、要所要所はおさえていて、終盤近くなって復活した魔王ゼロのエピソードなんかも面白い。
とにかく男はみんな絶倫で、女はみんなスケベでかわいくって巨乳で、読んでるとイヤなこと忘れる。浮き世を忘れる別天地(byホテルニュー岡部)。

まあ異論はあるかもしれないけど、こういうのがHマンガの基本だと思っています私は。

上巻の感想

(02.1212)



【CD】・「愛のナース・カーニバル」 BON−BON BRANCO(2002、日本コロムビア) [amazon]

デビューシングルの「愛 WANT YOU!!」→感想)および「だって、女の子なんだもん!」→感想)の(私の中での)衝撃から数カ月、リリースされてから探し回ったBON−BON BRANCOのサードシングル。やっと渋谷のツタヤでゲットしましたよ。

ひとことで言うとラテン・ディスコというらしい(音楽の細かいことがよくわからん私の、印象批評は苦しい!)。しかしナチュラルでプリミティヴであるという私のラテンイメージとは異なり、細っこい女の子たちが、「いかにもキカイでつくった」というサウンドに歌い合わせ、踊る。それがとてもカッコいい。

「ナース・カーニバル」というタイトルだから何だろうと思ったら、歌詞に多少「病院」的な比喩がこめられた、がんばれソング。もうちょっと「うまいっ!」っていう感じのあてはめがあれば良かったとは思うが、ANNAのヴォーカルの力強さに圧倒されていればそれでいいという感じ。

しかし、ジャケの写真ではもうちょっとナースらしさを出して欲しかった。ちょっと中途半端かな。このポーズで、完全にみんなナースのかっこうだったらメチャクチャカッコいいと思うんだけど。

カップリングは、ANNAだけではなく他の子たちも歌唱パートを受け持ち、コミカルな感じをさらに全面に打ち出したユニットの挨拶代わり的な曲。アイドルっぽくてイイし、歌詞も「元気な女の子の恋愛」を表現していていいんじゃないかと。

デビューから3枚シングルを聞いてみて、最初は「SPEEDの寛子みたいな歌唱法だなあ、似てるなあ」と思ったが、ANNAの声はhiroより骨太で、サードシングルでは今までより個性を打ち出してきている。個人的にはBOYSTYLE、day after tomorrow、イエロージェネレーションなどのガールポップと比べてももっともヴォーカルに勢いがあると感じている。
そもそもSPEEDの「裏魅力」というのは、たかだか中学1年かそこら(当時)の島袋寛子が、その完成途上(のように聞こえる)声質で苦しそうに高音を出すときにかき立てられる「聞く側」の嗜虐心の発現にあったのだが(三分の二くらい嘘)、ANNAにはそうしたところはいっさいない。

かといって、「ディーバ」、「歌姫」と言われる、歌ってる本人はアメリカのどっかを思い浮かべているのかもしれないが、聞いている私には北関東のパチンコ屋のだだっぴろい駐車場や、中学の同級生が二十歳過ぎてもバイトしているカラオケ店、あるいは段ボール単位で本を万引きするガキのやるせなさなどを思い浮かべる歌い方とは違う(もちろん、そうしたところから出発する歌唱法があったっていいわけだが)。

カップリング曲を聴いてみると、ANNAは(それが機材で誤魔化したのではないかぎり)かなりの高音が出るらしいので、こういう勢いのある人にはどんどん出てきてほしい……のだが、CD屋にぜんぜん売ってないんだよ! もうちょっと売り出し方とか、がんばってほしい。

・BON−BON BRANCO

・ボンブラTV

(02.1211)



・「週刊ヤングジャンプ」52号(2002、集英社)

ヤンジャン、10年くらい前に、まあ私の好みだけど「ちょっと単純なマンガが多すぎない?」っていう時代があった。しかもひとつの作品が長いし、作家の入れ替わりも少なかった。でも「すげー売れてる」っていう評判だけがあって。まあ「読め」って言われたら読んじゃってたんだけどね。

たとえば、その頃からの作品というと「高校鉄拳伝タフ」猿渡哲也がある。この作品、灘神影流という拳法を学ぶキー坊という少年が主人公のマンガだが、次々に上乗せしていく感じで必殺技が出てきて、「灘神影流」っていう拳法の体系が見えにくい。
「修羅の門」はそうした架空の拳法の体系にこだわっていたし、「グラップラー刃牙」の刃牙は我流だったが、「灘神影流」は読むたびに古来から伝わる必殺級の新しい技が出てきていた。物語はその「必殺技」の完成とか、敵側が必殺技を出して来たらその打開という方向にばかり進んでいくため、物語の構造も単純で食い足りなかった。
でも、逆に言えばいつ読んでも内容がある程度掴めるということでもある。ものすごく読みやすいのだ。

同誌は、なんだか他にもそういうのばっかりで、読みやすいわりに微妙な作品が多くて個人的にイライラしていたが(まあ「変」とかね、そういう話題作みたいのもあったけど)、最近のヤンジャンは何となく雰囲気が変わった気がする。でも気のせいかもしれない。

「トーキョーグラフィティ」井上三太は不定期連載らしい。第5話。「グラフィティ」ってのは、渋谷とかによくある、スプレーで描かれたグネグネしたらくがきみたいなやつ。HIOHOP文化の一要素だと言われている。
で、グラフィティって根本的に違法ってこともあるし、今のHIPHOPって「どうせガイジンのマネじゃねえか」っていうツッコミがすごくされてると思う。HIOHOP文化って他メディアに移した場合その「ガイジンのマネ」っていう部分が目立っちゃうし、ハナから違法なことを肯定することにもなってしまうのでなかなかにむずかしいと思うのだが、本作の場合、コレが見事にクリヤされてるんだよな〜。
たぶん「グラフィティ」っていうのが身近にある世界に、作者が直接触れているからだろうと思うんだけど。気負いがないというか。作中の登場人物もそうだけど。スノッブな感じもまったくしない(「悪役」みたいな感じでスノッブな人間は出てくる)。これはまったく希有なことだ。

本作は、グラフィティやってるラブと、突然「日本のディーバ」としてブレイクし始めたガールフレンドの桃子との恋愛がストーリーの基本になっているらしい。で、この二人の心の動きとかも表現が面白い。
たとえば、桃子のマネージャーが車の中で「自作の、ユーミンのベストテープ」をかける。気負ったヒップホップのマンガなら「ダサさの象徴」として描かれるところだが、そうではない。何となくそれに耳を傾ける桃子は、なかなか会えないラブのことを連想する。それと同時に、歌詞に現れる「ペイブメント」という言葉に「『ペイブメント』ってなんだろう……?」と考えていたりする。
いちいち説明するのはメンドクサイからしないが、表現が多義的になってる。

それと、井上三太は描く女の子がかわいくなってきた。昔は井上三太の描く女の子は全員、チャラとか小柳ゆきみたいな顔をしていた。コギャルの生態を描いたりするときには威力を発揮したが、メジャー誌で人気をとるには辛いだろう。実際「かわいい女の子を描けるようになれ」と言われてたらしいし。
というわけで、桃子がとてもかわいく描かれている。

「東京ナンパすとりーと」みやすのんきは、今までのお話がまったくわからないまま読んだが、とにかくすばらしくくだらない。
要するに、「アイドルが卓球をして、負けた方が脱いでいく」というバラエティ番組の内容を丹念に追っていくだけなのだ。くだらない。くだらなすぎる。でもいまだにこういうことやってるのはすごいと思う。偉い。
女の子が服を脱ぐときに、いちいち恥ずかしそうな顔をしているのもたいへん重要だ。プロマンガ家はともかく、同人作家などでこういう基本ができてない人が多いんだよ! 乳首にトーン貼る前に、まず表情だろ、表情(余談)!
(02.1211)



・「週刊ヤングジャンプ」1号(2003、集英社)

「コーリュー」江川達也は、新連載。 加藤めぐみは、茨城から名古屋に単身引っ越してきた女の子。しかし、下宿先のアパートは不法入国の外国人たちがたくさん群れ集い、いきなり大家さんに管理人を依頼されて……という話。
同時にドラマ化もされて、主役の女の子は酒井若菜が演じるらしい。江川達也のことだから、どうせ説教臭いマンガになるに決まってる。他の人はどう思うか知らないが、江川達也のマンガは非常に説教臭いと思う。作風に「啓蒙」の意志が感じられる。その姿勢は否定はしないが、なんか「そんなこと言われてもなぁ……」みたいなのが、個人的には多い。
同じような「啓蒙系」のマンガ家として小林よしのりがいる。彼の場合、一見みんなが「ええー」と疑問の声をあげるような主張をブチ上げておいて、注目を集めてから説き出すという印象がある。主張自体が突飛なところに魅力と反発を買う原因がある。
江川達也の場合は、別に特別なことを言っているわけではない(でも、作者はそのことを強く訴えたいらしい)のが特徴と言えば特徴だと思う。

「和音 −かずね−」きたがわ翔は、65ページの読みきり。創作活動にいきづまった老作曲家が、駅のホームでふと耳にした着メロのメロディが耳から離れず、盗作して発表してしまう。
その着メロを使っていた少年と再会した作曲家は、罪悪感と彼の才能を認めたことから家に呼び、いろいろ聞いているうちにその才能の発露の理由がわかってくる、という話。

気弱でかわいらしい少年が、作曲家の家で思わず彼の作品に口を出してしまい、はっと気づいて「す……すいませえん 僕 何だかとても失礼な事を……!!」と言いつつ、作曲家が「君ならどう作る?」とか聞いてくるシーンはあまりにベタで笑ってしまった。
設定や展開自体はとても面白いのに、感動しかかると非常にベタなシーンや、主人公の作曲家が自分の心情を全部ネームで説明してしまうシーンがあったりと興ざめするところがあるが、65ページ一気に読ませる面白さは、ある。

「エルフェンリート」岡本倫は、やっぱり面白いじゃないですか。かなりマジ方向で。でも最後のページは、ちょっと「ゴールデンラッキー」みたいだなと思った。
(02.1211)



・「ウォーB組」8月号(2002、マガジンマガジン)

突然ですが、BON-BON BLANCOの新曲が売ってないんですよ。渋谷と新宿のタワレコに行ったんだけど、そもそも扱ってさえいないらしい。なぜタワレコにこだわるかというと、ポイントがもらえるからです。

さて、7月号以来、本誌の感想が当HPに帰ってきた!! ……とか言って、私がサボっていただけなんですけどね。7月号でリンク切れになってた、大沢舞子のプロフィルもちゃんと直しておきましたよ。
所属事務所がスターダストってことは高岡早紀と一緒だな……と思っていたら、夫婦で所属しているはずの早紀嬢だけ名前がない。
で、調べたら東京シックスプロダクションというところに移籍していた。ゴシップ記事のサイトを見たら「ママ役しか来なくなったので事務所を変えた」ということだったが、確かに写真を見ると若々しいイメージで売ろうとしているような気がする。事務所移籍なんて、私はアサヒ芸能とか東スポ以上の知識を持たないんだが、関連会社を見ると「レディバード」っていうのは確かかつての早紀嬢の所属先なんで、別に深い意味はなく「イメージを変えるため」というのもあながち間違いではないんだろう。「NEW」の表示のところに坂上香織の名前が見えたりしてるしね。

……とまあ勘ぐっても何も得るところのないことはやめて、8月号の感想。
まず巻頭グラビアは伊織。きっと同じクラスになっても、テストまぎわに「ノート貸してくれ」とかしか行って来ない、私と接点がぜんっぜんない人になると思う。でもすごいキレイですよね。これですぐに大ブレイクってわけでもないから、芸能界ってキビシイなあ。

「御毒味番段十郎」杉友カヅヒロが新連載。不況にあえぐ日本経済の最後の砦・財金コンツェルンの会長、財金金吾郎の命を守るため、あらゆるものを毒味する毒光段十郎の物語。
金吾郎が狙いを付けた若い女子社員まで「お毒味」をするというHマンガ。

「フラッパー」海生那智は、読みきり(今さら紹介しても仕方ない気がするが……5カ月くらい前の掲載だし)。
「カラダで仕事をとっている」などの悪いウワサを立てられている巨乳タレント・向井美菜子ちゃん。同情したADに彼女がせまってきて……!?

ゴシップ雑誌で一時期書き立てられた、「小向美奈子淫乱説」に基づいて描かれたHマンガ。

「VIRUS〜ウィルス〜」前田千石は最終回。男性が絶滅した惑星からやってきた美少女二人が、精子を得るために地球人の男とHする、という話だが、設定が(このテの雑誌にしては)ややこしいので、SF的なオチがあるのかと思ったら何もなかったことにかえって驚いた。

「ぼくとメス犬」野田ゆうじは、連載第9回。外見上は全裸に首輪だけの美少女にしか見えないメス犬・すずなをプレゼントされたケンイチは、すずなを家に待たせて同級生たちとプールに行くが、昨日から帰ってこない姉のことが気になってまったく楽しむことができない。
その頃、姉は謎の組織に捕らわれ、拷問されていた。続く。
(02.1210)



・「ウォーB組」9月号(2002、マガジンマガジン)

まず巻頭グラビアは大城美和。小塚毅之撮影の写真集は力が入っていてなおかつエロエロなものだったが、このグラビアを見るとカメラマンの力だけでなく、この人自身がよい方向に変わっていっていることがわかる。ちなみにグラビア撮影は小池伸一郎。

桃井望(変死してしまったAV女優)のヌードグラビアが載っていてドキリとする。

「ぼくとメス犬」野田ゆうじは、前号の続き。ケンイチと、ケンイチを好いているクラスメートとの会話、一方姉は拷問に耐え続けている。

他にうらまっく、杉友カヅヒロ、橘セブンなどが執筆。
(02.1210)



・「ウォーB組」10月号(2002、マガジンマガジン)

まず巻頭グラビアは根本はるみ(この公式プロフィル、色気なさすぎ)だが、好きな人には悪いが現時点でまったく興味がわかない。数々の青年マンガ雑誌のグラビアを席巻しているのも、いまだに理解できない。
個人的には、本当に乳しか自己主張がないように感じられる。売り方のコンセプトにしても、今のところMEGUMIとほとんど変わらない。まあ、今後MEGUMIの売り方の方が変化はするだろうけど。

マンガは前田千石、ToWeR、杉友カヅヒロ、児島未生。
(02.1210)



・「ウォーB組」11月号(2002、マガジンマガジン)

巻頭グラビア、緑川のりこ

「ぼくとメス犬」野田ゆうじは、連載第11回。なぜかよくおちる連載ですな……。今回は、ケンイチが「メス犬」であるすずなを散歩に連れ出すが、あやしげな男たちに取り囲まれる。
姉がなぜ拷問されているかの謎は、まだ明らかにならない。

あとは杉友カヅヒロの連載、氏賀Y太のグログロ読みきり。
(02.1210)



・「ウォーB組」12月号(2002、マガジンマガジン)

巻頭グラビア、内田さやか

わたし的には、最強の名に値するグラビア(撮影:西條彰仁)。まあ「しゃべっているところを見てガッカリ」ということはよくあるんで、このグラビア限定ということにしときますが、内田さやかって人は大城美和同様、今がいちばん変化が激しくて、どんどんキレイになっていく時期だと思いますね。
ファースト写真集、表紙だけ見たけど、まだすごく子供っぽいんですよ。で、セカンドがまた印象が違う。ですんで、これからの人だと見ました。

本誌は、ここでバックナンバーが買えるようです。

マンガは、梅玉奈部が喪服未亡人もの、海生那智が「乙葉」ならぬ「音羽」が出てくる読みきり「カントリーガール」「御毒味番段十郎」杉友カヅヒロは連載第5回、うらまっくは読みきり。
(02.1210)



・「ウォーB組」1月号(2003、マガジンマガジン)

やっと、現在発売中の雑誌に追いついた。
表紙の写真のピンがいちじるしく甘いが、これでいいのだろうか。

巻頭グラビア、森下千里

「仮面ライダー龍騎」に、浅野めぐみ役としてレギュラー出演中だそうだ。見てないのでわからん。それより 「アイドル刑事SS」に、アイドル刑事シアンとしてレギュラー出演中という方が気になる! そういえば、最近「アイドル刑事」見てなかったからな〜。
元レースクイーンというだけあって、スレンダーなカラダに出るところは出ているという、「キレイなおねえさん系」の人。まぁ私の場合、「魔震(デビル・クェイク)」後の新宿で闇の帝王にでもならないかぎり、謁見すらかなわぬだろう。どうせみんな押尾にヤられちゃえばいいんだ! そうだそうだ!

あと、伊藤かなのセクシーグラビアも載っている。以前、「おはガール」として、「伊藤なつ、かな」という双子の美少女姉妹として活躍していた彼女(元ねずみっ子クラブだったというが、それはさすがに覚えてない)。その頃は、まだまだ「子役」という感じだった。しかし、いつの間にか成長して一人でセクシー系で再登場。
子供の頃を知ってるだけに、なんだか見ていていいしれぬ罪悪感があるんですが……。

「ぼくとメス犬」野田ゆうじは、連載第12回。路上に集まってきた男たちに犯されるメス犬・すずなを守ってやることができないケンイチは激しい敗北感に襲われる。

ついに単行本化決定、第1巻はなぜかタイトルが変わって「ぼくとすずなのいた夏」。12月16日発売。

「御毒味番段十郎」杉友カヅヒロは、手コキの達人の女が現れ、性闘技マンガになる気配。

他に、児島未生の不定期連載、橘セブンの読みきり。
(02.1210)



【テレビ】・「おはスタ」(2002、テレビ東京)

公式ページ

火曜日は「音楽」がテーマの日。何週間か前から新レギュラーで、元「T&Cボンバー」の稲葉というヒトが「アッチュ王女」として出演している。「e-karaヘッドセット」(ヘッドホン形状のカラオケ機械)のPRコーナーで、「モーニング娘。」の振り付けの一部を毎回レクチャーする、というもの。ちなみに今日は「Do it Now!」でした。

なぜ「王女」かというと、それまで火曜日レギュラーだったパパイヤ鈴木扮する「パパイーヤ王子」に対応してるんですね、たぶん。

おはガールフルーツポンチのミニドラマ、謎の覆面バトン集団「ブラックポンチ」が出現、勝負を挑まれる。ぎゃっはっは。こういうのを望んでいたんですよ。1年遅かったなぁ(私の中で)。一人は当然、前おはガールのウチリサだが、他の4人はだれなんだろう?
(02.1210)



・「ハロー! モーニング」(テレビ東京)

公式ページ

「宴会ゲーム対決」ということで、メンバーが「たたいてかぶってジャンケンポン」や「変装にらめっこ」などの他愛ないゲームに興じる。まあそれなりに面白いんだけどね。 「ハロモニ。劇場 〜バスが来るまで〜」が復活。げー、なんで復活すんだよ!! やめてくれよ!!と思っていたが、ハロープロジェクトキッズ(ハロプロのガキ路線の一環として選ばれた、映画「仔犬ダンの物語」などに出演しているおガキさまたち)の数人が出るということで、「ハロモニ。劇場〜昼下がりのモーママたち〜」のキャラクターとミックスされる特別版。

イシカワ、ヨシザワ、ナカザワ、ゴトウなどは「モーママ」のキャラクター、アベナツミが「安倍かわもち」という「バス〜」に出てきた小学生役、ヤスダはその友達の小学生の女の子役。あとオガワが「モーママ」に出てきた「北の国から」のタナカクニエ役。それと、イイダが子持ちの工藤静香役(「モーママ」に登場)。
お話自体はみごとなまでに何もないのだが、いかにそれぞれがそれぞれのキャラクターを演じきるかがまあ見どころと言えば見どころ。
ナカザワは、オガワの田中邦衛のマネがツボに入ってしまったらしく、前回もそうだったが過剰に笑いすぎ。というか、笑いをこらえて涙を流している。その、笑いをこらえるさまをカメラが撮る。
古いたとえで恐縮ですが、片岡鶴太郎がおでんを食べるシーンの逆パターンですな。

「かっぱの花道」にも、ハロープロジェクトキッズがゲスト出演。それにしても彼女ら、所在ないよな〜。今後、どういう扱いになるのかな〜。

あと、今後1時間枠になるそうです。

以下はぜんぜん関係ない話。
DVDプレイヤーを買ったはいいのだが、きちんと見ようと思っていたDVDソフトを紛失。半日段ボールなどをひっくり返して探したが、見つからなかった。そもそも、「ここら辺にあるだろう」とあたりをつけておいたものがそこにない、ということ自体が最近非常に増えた。そうなると、もうあり場所の記憶をたどることができない。健忘症だと思う。

それと、なくなった原因のひとつはそのソフトがCDと同じ大きさのケースに入っていたから。
現在、映画のDVDソフトでも、音楽CDと同サイズのケースのものと、細長いプラスチックのケースのものと2種類がある。コストの問題がなければ、デザインや形状に関してまだ混乱があると思う。
音楽の8センチシングルが発売された当時、「半分に折って保管しよう」みたいなのがあった。8センチCDの入っていない、下部のプラスチック部分をへし折って取り外し、紙のケースを半分に折れば大きさが半分になる、というようなことらしかったが、結果的にその路線は大失敗だったと思う。
だってなくすから。小さすぎて。

……というわけで、DVDも今後は音楽のものなどは除いて(どうせお店の棚に収納しにくくて不評になるだろうし)、細長いケースに統一してもらいたい。

さらに関係ない話だが、部屋に本が増えすぎて収納できなくなり、本を落ち着いて読むスペースすら確保できなくなってしまった。
それと、サン●スの弁当は何度食ってもクドいと思った。

さらにさらに関係ない話。
先日、友人と飲みに行って、店に入る前、「DVDプレイヤー買ったんだけど、コードの接続がうまくいかなくて、買ったお店に電話で問い合わせた」という話をしたら、その相手が「自分は今、仕事で苦情処理係をしている。それで非常にめんどくさい客を相手にしているので、そういう話はしてほしくなかった」と言ってきた。
こっちにしてみれば、出会っていきなり言われた「はあ?」な話なので「そんなの、おれが知るかよ。言われなければわかるわけないじゃん。出会い頭にそういうこと言われても」と軽く言ったら、 「そんなこと言ったら、こっちも知るか、って感じですよね」と言ってきた。

被害妄想な私は、私のDVDプレイヤーばなしを「知るか」と言ってきたのかと思ったがここは一歩ひいて、その苦情を言ってきた顧客の話の内容が「知るか」なのかと思ってやんわり問いただしたら、黙っていた。
さすがにムカッと来たので、こちらがややケンカ腰になったら、「今日の新田さんはやけにからみますねえ」とか言ってきた。
なんという官僚的な! 自分がからんでおいて、それに対してこっちが文句を言うと、逆にこちらからからんだことにされるのだ。で、相手は被害者になるというわけ。
まあ、前にも一度同じようなことされたんだけどさ。

やっぱり、彼はいいかげん、ものすごくブサイクな人と結婚して、因習でドロドロしていて近親相姦を繰り返していて根本敬の描くような人々がたくさんいる、「何十人殺し」みたいのが過去にあって、それを村人全員でひた隠しにしているような村で、ヘドロまみれのムツゴロウとか食いながら生活した方がいいと思う。
それが人生の修行だ。彼にとっての。うん(津川雅彦のような口調で)。

みんなは、こんな大人にならないようにしような。
(02.1208)



【アニメ】・「陸上防衛隊まおちゃん」 第23話「ごめんね、みーくん」

犬吠埼灯台を狙い、巨大なくじら型エイリアンが出現。まおたち3人もピンチに。すると、まおのバッジが輝き、それに共鳴したかのようにみーくん(戦車)が空を飛んでくる。くじら型エイリアンに捨て身の体当たりをするみーくん。
まおの胸中に、みーくんとの思い出が走馬燈のようにかけめぐるのだった。

どうでもよすぎる回だが、人を食った演出は変わらない。そろそろシリーズも終盤。
(02.1208)



・「週刊少年チャンピオン」53号(2002、秋田書店)

「恐怖症博士〜ドクタ−・フォ−ビア〜」高橋葉介が最終回。人々のさまざまな「恐怖」を取り除いてくれる博士の話。
2、3話しか読まないうちに終わっちゃったけど、こういう寓話的な話ってわりと好きでした。
(02.1206)



・「週刊少年チャンピオン」1号(2003、秋田書店)

「バキ」板垣恵介は、しばらくまったく忘れられていたヤツが登場。シコルスキー、バキにやられてリタイヤかと思ったらまた出てきて、単なるかませ犬になってない? 対戦相手が交替した時点でもう終わってるでしょう。……と言いつつ裏をかかれる場合がある作品なので油断はできないが。

近未来ドロボーもの、「スナッチャー窃」高木章次。出入りしていた骨董屋のジイサンが爆弾魔に襲われ死亡。宝にしていた刀も盗まれる。彼らを捕まえ、宝を取り戻そうとする窃。
おお、なんかわりと面白いですよ。追跡の仕方とか、いろいろと。

「フェイクランナー」満富宏文は24ページ読みきり、前編。ヴァーチャルゲームをやった地球人が、そのゲームの役割と融合し、現実化して「バークウェア」という西欧ファンタジー的異世界に次々とやってくる。
ゲームと同じ能力が使える彼らは「プレイヤー」と言われ、その特殊能力を使って乱暴をはたらき、バークウェアの住人から恐れられていた。
追われているザペルの姫・アルスタシアは、プレイヤーでありながら、凶悪化したプレイヤーを倒す男・宗一と出会う。二人の危険な道行きを描く。

上記の設定だけで24ページ、さらに人間ドラマも盛り込んでいて実にきっちりしている。かなりネームを練り込んだと見た。ヴァーチャルゲームを元ネタにしたマンガとしては(これに類似するSF小説からのパクリなどでなければ)、非常なオリジナリティを感じる。いくらでも膨らませることができる基本設定だ。

後編、それを存分に活かすことができるか、ちょっと注目。
(02.1206)



・「週刊少年チャンピオン」51号(2002、秋田書店)

過去ログを見たら、34号以来ひさびさのレビュー。もう出たの4週間前だけどね。

「スナッチャー窃」高木章次は、新連載。未来世界を舞台にした「キャッツ・アイ」とか「ルパン三世」みたいなドロボーもの。未来っぽく、防犯システムに「プラグイン」したりする。
SF的設定を導入した探偵ものや泥棒ものは、トリックにツメが甘いものが多くどうしても中途半端になりがちだ。そういえば富沢ひとしの「備前屋十兵衛」もそこら辺がネックだった。同じチャンピオンでやっていた「パクリコン」も微妙だった。そこら辺をうまくクリヤしてがんばってほしい。

「TWO(ツー)突風」藤井良樹、旭凛太郎は、ストリートものというか、チーマーケンカもの。連載第4回。今回初めて読むが、この原作者ってあのブルセラの記事とか書いていたライターの人? まあいいや。
ケンカのシーンをどうさばくかが個人的な興味かな……。今さら、目に平気で指を入れるってだけじゃクールの表現にはなりませんぜ。かといってそれ以上残酷でもまた別の物語になっちゃうし。

「しゅーまっは」伯林は最終回。ラストシーンで作中の美少女総登場という感じだが、後から考えるといちおう「美少女マンガ」の範疇に入る作品だったのか。そういえばそうだな。

後はおおひなたごうを除けば、米原秀幸や小沢利雄(ペンネームが漢字に?)、高橋葉介など、面白いことは面白いんだけど、実質的には連載が継続しているような印象の作品が多いと思いました。
(02.1205)



・「週刊少年チャンピオン」52号(2002、秋田書店)

「アクメツ」田畑由秋、余湖裕輝は、第9話。これは初めて読んだんで、よくわからん。ただ、この作者って、「コミックマスターJ」を読んだときにふと思ったけど「普通のストーリーマンガの姿をまとったメチャクチャのためのメチャクチャ」をしているふうに思えるんだよなァ。しかも、何か訴えるものがありそうで実は何もない、みたいな。よくわからんけど。

「曲芸王子」みさき速は、読みきり。56ページ。
大金持ちの少年から「人を殺したら金をやる」と言われてせっぱ詰まった少女のもとに現れたサーカスの花形、上総祐司が、少女を救おうと奮闘する。
この人、「特攻天女」のときから思ってたけど、心理描写とかお話のもって行き方がものすごく泥臭い。つまらないとか破綻があるとかじゃなくて、とにかく泥臭いのだ。
それにハマれば本当に気持ちいい物語を毎回堪能することができるし、それにハマれなければまあ縁がなかったということで。本作も、サーカスの曲芸をトリックに利用するだろうなとは思ってたけど、そこまでの持って行き方がはなはだモッタラしていた。

これ、人気があったら新連載になるのかなぁ。別にいいけど、もうちょっと目新しい人を入れてほしい。
(02.1205)



【CD】・「STAR ARTS」 KAGAMI(2002、ワーナー・ミュージック・ジャパン) [amazon]

テクノです。「Tokyo Disco Music All night long」が、もうあんまりCDを聞かなくなった私でも知っているくらいヒットしたKAGAMIの2枚組アルバム。あ、それとこの人は三瓶のデビューシングルを手がけてもいますね。

1枚目の方はイイと思う。「Tokyo Disco Music All night long」も入っているし。問題は2枚目の方で、公式サイトとか見ると「内容は秘密」みたいなことが書いてあるからどうしようかと思ったけど、でも書くけど、コレって1枚目の曲をぜんぶ逆回しかそれに近い加工をしてつなげたんですよね?

意味がサッパリわからない。
とにかく、逆回しだか何だかわからないが耳障りな処理がされていて、それがノンストップで60分続く……らしい(15分くらい早送りして聞いたら、それだけではない加工がされてはいたけど)なぜなのか。なんだかぜんぜん良くなかったです。

それと、CDケースの体裁について言いたいんだけど、まずCDケースって、名称を知らないが「このナントカがついにリリース!」とか書いてある紙がはっつけてあるでしょ。本の帯みたいに。このCDケース、開くとコレを収納する部分がどこにもない。
まあそんなことをするのは悪しきコレクター根性だからいらないとしよう。今度はCDケースを開いてCDを取り出すと、CDのカタチの丸い紙がハラリと落ちる。
そして、その紙に曲目が書いてある! だったら捨てるわけにはいかない。CDを取り出すたびにこの紙がハラリと落ちる。それを拾い上げて、CDケースに装着する。
これがメンドクサイことこのうえない。
2枚組だから、もう1枚紙が付いていて、これもまたすぐハラリと落ちるのだがこっちにはどうもエンジニアとかスタッフ関係の名前が書いてあるらしい。やはり捨てるわけには行かない。

正直言って、これは相当ヒドい装丁……CDの場合何というのか? デザインだと思う。
前々から、このCDに限らず一般的にCDのデザインや利便性には不満を感じてきた。
まず基本的に、何年のいつリリースされたかが目を懲らさないとわからないものが多い。ヘタをすると、いくら見てもわからないようなものもある。また、インディーズなども含めると、レコード会社の名前が非常にわかりにくいところに書いてあるものもけっこうある。
そしてスタッフの名前を異常に小さい文字で、しかも英語で書く。
まあガイジンとのつき合いがたくさんあるのかもしれないけど、CDではないがクラブのフライヤーでぜっったいガイジンが入ってきそうにないものでも全部英語表記で、その中の地図まで英語表記だとちょっと滑稽さすら漂う。見やすいものをわざわざ見にくくしている。

DJミックスCDの場合は、どんな曲が使われたかもハッキリ表記していないものもあった。もちろん、あまりにグチャグチャに混ぜる場合、表記そのものが無意味な場合もあるが、DJが一種の編集作業で手練のテクが必要である以上、ネタ元を晒してもなんら問題はないはずだし、何より記録としての意味が半減してしまう。

書籍でも、デザインに凝りすぎてわかりにくくなっているものがたまにあるが、CDの場合「アート」というイメージが強いのか「いいかげんにしろ」というくらい妙なものがあるのは、何とかしてほしいと思った。
(02.1205)



・「ホーリーランド」(1)〜(4) 森恒二(2001〜2002、白泉社) [bk1] [amazon]

ヤングアニマル連載。いじめられっ子でひきこもりがちの高校生・神代ユウは、下北沢の街でヤンキーをボクシングのワン・ツーパンチで倒してしまう。「ヤンキー狩りボクサー」のウワサは広まり、ユウは「街」という自分自身の居場所を確保するためにも、ケンカを続けなければならなくなってしまう。
梶原一騎調の路上ケンカ解説がときおり入る、内向系ヤンキーケンカもの。

前から気になっていたので、とりあえず出ているぶんを読んだ。いじめられっ子の少年が、いじめられるがゆえに内向していき、社会から阻害されているという精神的苦痛から逃避するために、自室で何万回というボクシングのパンチの練習をする、という設定は面白い。
気弱な青年や普通の青年が、ある日超人的な力を得てしまい、悪の組織に追われたりしているうちに成長していくというSFマンガがあるが、あれをSF的設定なしでやるとこうなるのかもしれない。

ときおり入るケンカ解説も面白いし、「路上のケンカは先制攻撃した方が勝ち」とミもフタもないことを言っておきながら、格闘技っぽい対マンが行われたり、ケンカした相手と知り合い以上友達未満になってしまうくだりなどもきっちりしていて良い。

この作品内におけるケンカ術の信憑性には、議論があるようだ。これを時代考証やSF考証になぞらえて「ケンカ考証」、バトル考証と言ってもいい。かつてのU系や、プライドやアルティメットなどの総合格闘技系の議論も似たようなものだと思うが、結論から言うと「これが正しい」という答えは出ないと思う。
また、答えを出さない、あるいはさまざまな答えがあることを認めないかぎり、こうしたことどものエンタテインメント化(ケンカを娯楽化してはマズいから、あくまでも一種のシミュレーションととらえるが)の明日はない。
なぜなら、そうしたことは突き詰めていくと、きわめて普遍性のない個人的な話におとしこまれてしまうからである。

現実のケンカなんてとてもじゃないがカンベンしてほしい私としては、ある事態にどう対処するかという技術的なことは、物語内でそれらしくあればいい。こうした「ケンカ談義」でガッカリさせられるのは常にそれが経験則を離れないからで、語り手がよほどある種の「大物」でないかぎり、あるいは親しい者同士での飲み会での話でないかぎり、話してもしょうがないだろうと言う気がする。
格闘技や武道と違い、ケンカ話はいちじるしくえげつなさがつきまとう。だから、それについて語るときも言いしれぬ「ダメ感」が漂う。それを自覚している者は品位を保てるが、そうでなければ本当にただの自慢話でしかなくなってしまう。

本作は、主人公を必要以上に内省的な、素直でバカ正直な少年と設定したことで、そうした品のなさからは救われている。
もうひとつは、救われない孤独な少年の唯一の外界との接点が「ケンカ」であるという不幸な設定が生きているということ。これがバンドやスポーツならもっとさわやかな話になるのだろうが、コトがケンカであるだけに、主人公の行く末が不透明で作品全体に緊張感が漂っている。

主人公の性格設定(内向的でキレると恐い、みたいな)は近頃流行りと言えば流行りで、そんなやつが格闘技やケンカを身に着けて行く過程に違和感を覚える人もいるかもしれない。が、広義の格闘術の場合、何にもしないで強いやつは最初から興味がなく、やはり興味を持つのは弱い者だろうから、まったくありえない話ではない。
もうちょっと展開に目鼻がついてから、まとめて感想を書いてみたい作品。
(02.1204)



・「BUBKA」1月号(2003、コアマガジン)

公式ページ

2年間くらい、毎月買ってました。ごった煮的な紙面構成が面白くて。しかし、10月号くらいからリニューアルされていろいろコラムの連載などが終わり、先月号の藤本美貴がハジケて遊んでる写真スクープもきちんと見なかった。いやまあ興味はないんですが。
確か根本敬の連載も終わっちゃったし。

昔、月刊OUTがアニメブームに乗ってアニメ雑誌になったように、一時期のクイック・ジャパンがエヴァ特集ばかりやっていたように、最近ではハロプロ中心の雑誌になっている。

でも今月の巻頭は「矢沢心ニャンニャン写真」。これどうなんですか? もともとホンネキャラみたいな人じゃないですか。だからマイナスの影響もゼロだと思うし、ファンもそうでない人も「見たい」とも思わないんじゃないかなあ。
ただ、こういうのが水面下で出回ってるかと思うと、恐いですけどね。そういうことを、暗に示す意味はあるのかも。

「ごまっとう」に関する座談会は、想像どおり。「ここは自分と考え方違うなー」とか思って、やっと評価軸みたいのが見えてきた気が、自分の中ではする(他人にとって超どうでもいい話だが)。やっぱり、個人的にはエンターテインメント業界における「弱肉強食」ドラマってあんまり好きじゃないんですよね。
これを繰り返していくと、いずれはニヒリズムに陥るような気がするし。梶原一騎の暗黒時代みたいになる気がするんですよ。
ベタなたとえだけど、「千枚CD」とか見てると秋元康のやってることってジャイアント馬場的なプロレスで、ハロプロのやってることって猪木的なプロレスだと思う。
次々と変化を繰り返していくしかないという。それでこのまま行けるのか、ってことですよね。まあ、見てるだけの人間の勝手な言いぐさですけどね。

マンガとしては、辛酸なめ子と、あとインナミリサという人がモー娘。関連の「がんばれタブチくん」的なマンガを描いている(これ、わりとマンガとしてキチンとしているんだけど「イラスト」っていう表記だということはこの作者はマンガ家専業ではないのか……?)。

宇多丸(ライムスターの人)のCDレビューは、いつも変に技巧に走らず、的を射ていてうまいですね。この雑誌内では、楽曲重視担当という役割を一身に担ってる感じで。まとめて読みたいです。

あ、あと町山智浩の連載が始まった。

「メディアのドヤ街ジャンクジャンクション」っていうカラー記事があった。第20回、って初見なんだけど……私がボケッとしていただけか。今回、当時の連合赤軍を扱ったきわめてキワモノ的な雑誌が載っているんだけどコレがスゴイ。
「人民裁判」イラスト/生頼範義って……迫力ありすぎだよ!!(注:一時期、「幻魔大戦」などの濃いイラストを描きまくっていた人) 週刊サンケイ臨時増刊らしいんだけど。
この残虐さは、後の「新カラテ地獄変」(週刊サンケイ連載)に通底する何かがあるような。
(02.1202)



・「ハロー! モーニング」(テレビ東京)

公式ページ

なんとなく「感想を書かなければ……」(とくに「かっぱの花道」)という気にさせられていたが、今週は別に書かなくてもいいかな、と。
「クイズに答えた人がおいしいものが食べられる」というやつで。これはまあ、とりあえず当サイトでは説明の必要ないかな、と思う。私が書くとベタになりすぎてしまいそうな気がして。面白かったけど、見た人がその場で楽しめればいいわけで。後から説明しても、面白さが伝わりにくいし……。

「ミニモニ。かっぱの花道!」は、今週もやっていた。本編もむちゃくちゃですばらしかったんだけど、ラストシーンで、ナイアガラの滝みたいなやつが画面いっぱいに映ってオワリ、というのがシュールだった。

ところでぜんぜん話は変わって「MUSIX!」ですが、視聴率がふるわない、と雑誌に書いてあったがやっぱり前半のクイズはいろんな意味でアナクロだと思うよ。
先週も、確かゲスト解答者が伊集院光と青田典子だもん……。その前は上島竜兵と篠原ともえ。いったいどういう組み合わせなのか……。
普通出ないですよ、2002年の暮れもおしせまって「伊集院と青田典子」っていうの。他のクイズ番組かなんかから借りてきてるんじゃないのかなー?
(02.1202)



・「ミニモニ。やるのだぴょん!」Vol.2 もりちかこ(2002、小学館) [bk1] [amazon]

「ちゃお」などに連載。ミニモニ。の4人が活躍するギャグマンガ。4コマが中心。
カラーページ、シール、クイズ、占いなどの付いたふろく感覚が楽しい。
本作では「モー娘。」内のユニットとしてではなく、おとぎの世界(?)のミニモニ。ハウスで暮らす4人がメルヘンチックに描かれている(しかし、テレビに出たりコンサートをしたりはしているらしい。矛盾?)。

自分の1巻の感想を読み返したら、ここに書いた「ミカ評」と同じことを書いていた。まあ急に変節するのもどうかと思うが、自分で自分が書いたことを忘れちゃったんですな。

本作の中で「また来年もいっしょに(花火を)見ようね」などと、実にさりげなく書いてあるが、まさか矢口がミニモニ。を脱退するとは作者も編集者もこの頃は思わなかったのであろう。
(02.1202)



・第1回ハロプロ楽曲大賞2002

エスロピさんの企画、「第1回ハロプロ楽曲大賞2002」(専用スレ)。

2001年12月1日〜2002年11月30日までにリリースされたハロプロ関連楽曲の中から、好きな曲を5曲選ぶという企画。
半可通の私のような人間でも参加してよさそうだったし、楽しそうなので投稿してみました。
以下、(個人的)順位です。ベタかも?

1位 ミニハムずの愛の唄(ミニモニ。)
2位 Do it!Now(モーニング娘。)
3位 。桃色片想い。(松浦亜弥)
4位 さぁ! 恋人になろう(メロン記念日)
5位 特等席(後藤真希)

・選考理由
個人的に、出だしから勢いがある曲が好きなんですよね。それでメッセージ性もそんなになくて、ただひたすらに自分を自慢しているような曲が、なぜか好きだったりします。

「ミニハムずの愛の唄」はまさにそういう曲で、とにかく歌詞と歌い方がめちゃくちゃカッコいい。曲もいいけど。歌唱指導の勝利という感じがすごくする。アニメ映画「ハム太郎」の中のアイドルユニットの曲という設定ですが、なにげに歌詞が「♪ホントは恋愛禁止なの」と、「なんてったってアイドル」的アイドル自己言及すらをちょいとまぶしてあるところもニクいなあと。
昔の日本映画には、ムリヤリなタイアップでとつじょ劇中でぜんっぜん知らない歌手が歌い出すシーンがあったりしますが、それを今さらできるってのもミニモニ。ならではだと思います。

「Do it!Now」は、これも歌い出しがカッコいい。CD聞くとそうでもないんだけど、テレビで歌ってるところを見るとカッコいいです。個人的にメッセージ性が強すぎる歌はあまり好きではないんですが「♪それがかな〜り普通でも〜」というくだりがイイなと。「普通」っていうのを激情を訴える感じで歌うのがイイんですよ。

「。桃色片想い。」は、やっぱり松浦さんの昨年からの曲だといちばんイイかなと。
歌い出しも、もう一気に爆発する感じ。おっさん世代としては、全体的にデビューまもない松田聖子なんかをほうふつとさせる曲調なんですよね。でも、単にノスタルジーじゃなくてちゃんと今のテイスト出てるんですよねえ。ボキャが乏しくてスイマセン。

「さぁ! 恋人になろう」は、なんでタイトルが「愛のボタンを連打! 連打!」にならなかったんでしょうかね? それだけが心残りです。前作に引き続いて、メロンの印象がマイナス1000からプラス200くらいになりました。これもものすごく勢いある曲ですね。

最後の「特等席」は、勢いって感じではないアイドルソングですが、つんく♂のアイドル歌謡の作詞者としての非凡さは認めざるを得ないと感じさせました。けっきょくアイドル楽曲(厳密に言えば、ハロプロをアイドルと思わない人もいると思いますが)ってのは「男の思い描く少女趣味」を体現させるという意味合いが強い。
そういう意味でもつんく♂の凄さを、私が感じた曲。
もうひとつは、後藤真希って人が、ASAYANとかハロプロのことをよく知らないと今まで魅力がストレートに伝わってこない人のように感じてたんですよね。イチローはだれでもすごいと思うけど、アントニオ猪木とかヒクソン・グレーシーのすごさはもうちょっと踏み込んでいかないとわからないというような感じで。
でも、たまたまCDシングル買って聞いたら、あーそうか、こういうの表現できるんだ、と思って。脱退でずいぶん行く末を心配されるようなテキストも読んだんですけど、オレ宇宙内ではこの人はむしろこれからの人じゃないか、と感じた曲です。
(02.1201)

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