2008年1月下旬


1/31(木)……ナマコ胃

▼また1周遅れになっちゃいました(今2/8夜)。すんませんです。

【雑誌】モーニング 2/14 No.9 講談社 B5中

 かわすみひろし「営業の牧田です。」。落ち込み気味の志保を元気づけようと、牧田が初めて「本気のデート」を申し込むが……。牧田の学生時代からの女友達・志保が今回もいい。普段は非常にざっくばらんな飲み仲間として牧田に接していた彼女が、ふと見せる女としての顔にドキッとさせられる。うーむ、やっぱりかわすみひろしの描く女性はイイ。なんとも恋愛感情をくすぐられるじゃありませんか。

 田中誠「実録!関東昭和軍」は最終回いっちょ前。卒業生送別試合での新旧エース、山楝蛇vs.一葉の模様は、お互いの意地と先輩後輩の絆が感じられて、たいへん爽やかでありました。次が最終回ってのは残念ではありますが、高校野球について作者が描きたかった部分はけっこう出せていたんじゃないでしょうか。

【雑誌】ヤングサンデー 2/14 No.9 小学館 B5中

 山口かつみのプロ野球選手実録ストーリーシリーズ、「福岡ソフトバンクホークス 川崎宗則物語」が掲載。次はこの人かなーと思っていたので「やっぱりな」という感じだった。内容のほうは相変わらず手堅い作りでソツがない。小久保、松中、カズミ、杉内、川崎とやったんで、次やるとしたら和田あたり? このほかでビッグネームといえば新垣がいるけど、この人はほかの選手と比べると取り扱いの難しい要因がいくつかあるしなあ。まあその分ドラマチックといえなくもないけど。馬原とかはちと地味かな。

【雑誌】ヤングジャンプ 2/14 No.9 集英社 B5中

 甲斐谷忍「LIAR GAME」の番外編。本編の主人公である秋山が大学生だったころのお話。本編の時点でものすごい頭のキレを見せる秋山だが、この番外編の時点ではまだ大学4年生。その頃の秋山は犯罪心理学を取り扱うゼミに所属していたのだが、彼の才能はそのゼミの教授との出会いによって本格化したのであった……といったところ。秋山の新たな、というほどではないけど、これまで描かれなかった側面が描かれていてまずまず面白い。まあ読み終えた後で振り返ってみると、学生の時点ですでに秋山は天才性を見せており、「教授との出会いによって目覚めた」って感じでもないんですけどね。

 岡本倫「ノノノノ」。入寮してガチホモの先輩と同室にされ、窮地に陥った悠太だったが……というところから始まる今回。なんだかものすごくアクロバチックな展開を見せてますなあ。対ホモ先輩の反撃ぶりといい、その後の顛末といい。いちおうスキーのジャンプ話はちゃんとやっていこうという気配は感じるけど、それ以外の部分でも「らしさ」を見せている。こういうちょい過剰なところが面白いです。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 2/14 No.9 秋田書店 B5平

 読切、武狼ひろみ「派遣♥サディスティクス」。なんかすごいなあ。扉ページの煽り文句からして「欲望耐久式超巨乳漫画♥」だし。お話のほうは、間違って女性専門の派遣会社に登録されちゃった主人公男子が、「ハレンチな不祥事を起こさなければ」という条件で女性ばかりの職場に派遣されるが……という内容。派遣先の給食センターのおねえちゃんが、意味もなく汗とかで全身ヌレスケになったり、乳の間に卵を落としちゃって黄身を取り出せとかいわれたり、とにかく不自然な展開の連発。このどうしようもなく強引なエロ展開が、いかにも少年漫画雑誌エロだなあと微笑ましい気分になった。絵柄が最近の萌え漫画風ではなく、垢抜けない味わいである点もいかにも感を増幅させている。ムチャではあるけどちょっと憎めない。

 板垣恵介「範馬刃牙」。ピクルの圧倒的な肉体を前に技巧を捨てることを決意した烈海王だが、やはり染みついた技はなかなか抜けず。前回のラストを見て、「これどうするんだろう?」と期待したんだけど、わりとあっさり元の闘い方に戻っちゃいそうでちと残念。アレを極めてみたら、それはそれで面白そうなんだけどなあ。

 梅田阿比「フルセット!」。今回は女子バレー部娘たちがやけにかわいかった。自分も合宿につれてけーと火野に対して迫る灯ちゃんもいいが、名前忘れたけど男子バレー部のあんちゃんと恋仲になりそうな気配のおねえちゃんもけっこうカワイイ。合宿地にいた新キャラのヘンな娘にも注目。作:青山広美+画:山根和俊「GAMBLE FISH」。勝負が決着してニッコリ微笑み合う、兎夢と阿鼻谷がステキです。ところで今回の相手だった花咲さんも、勝負の後は兎夢にメロメロになっちゃったりするんですかねえ。

【単行本】「生活」1巻 福満しげゆき 青林工藝舎 A5 [bk1][Amzn]

 続き物ストーリー「生活」と、「デビュー作」とされている「娘味」を収録した作品集。

 「生活」のほうは、街角バイオレンスものとでもいいますか。コンビニでバイトをやってる青年と、彼が町で偶然出会った内気そうだけど衝動的な行為を繰り返す少年が、悪い奴に天誅を下す活動を開始。実際にやることは、悪い奴を縛り上げて橋とかに吊るし上げるというもの。最初は二人だけだったが、そこに若者をハンマーで殴ることを趣味的にやっていた定年間近のサラリーマンのおじさんや、彼らの行為に興味を持った女子高生も参加。そして天誅行為は世間に波紋を巻き起こしていき、新たな参加者が続々増えて、当初のメンバーの手を離れていく。

 といった感じでお話は展開していくのだが、福満しげゆきの地味な作風はそのままに、案外アクションものとして面白い。緩急が効いていて妙にスピード感があるし、とくにトンカチおじさんは秀逸。すごく大人しそうな顔のおじさんが、無表情に、うだうだやってる若者をトンカチでガッツンガッツン殴りまくるさまは妙に胸がすくものがある。あとお話としても、しみったれた人たちが憂さ晴らし的にやっていた課外活動みたいなのが、だんだん本人たちの意志を離れて大きくなっていっちゃう様子に緊張感があって面白い。なお本作は「1巻」とはなっているものの、今のところ連載は止まっている。モーニングとアクションがある状況では難しいと思うけど、手が空いたらまた続きを描いてほしい。

 「娘味」のほうは、スプラッター風味の小編。息子に人肉で作った料理を食わせ続ける母と、息子である主人公少年&ガールフレンドの物語。というとすごくホラーっぽいけど、おどろおどろしいというよりは、不思議な触感が持ち味の作品。このころの福満しげゆきは、今ほど丸っこい絵柄ではなく、非常に不安げな感じの描線が特徴。現在の絵柄も好きだけど、初期のほうの絵も味があってこれはこれでいいです。

【単行本】「マンゴーの涙」 小玉ユキ 小学館 新書判 [bk1][Amzn]

 「羽衣ミシン」「坂道のアポロン」などで現在メキメキ頭角を現している小玉ユキの過去作品集。収録作は「マンゴーの涙」「白い花の刺繍」「ROVER」「玉子王子」「憂鬱ヤマラージ」「Kakigori」。アジアン系のラブストーリーあり、女同士の友情モノあり、ちょっと不思議なファンタジーありと、作品ごとにお話はけっこうバラエティに富んでいる。現在と比べると作画はまだ少し固めだけれど、楚々とした感じでありながら、ちょっと色気も感じさせる画風はやっぱり魅力がある。

 お話の中では、ベトナムに住む男女のラブストーリーである「マンゴーの涙」「白い花の刺繍」、それからホームレスとして自由に生きている女性・顕とその友達のハチヤさんの友情物語である「ROVER」あたりが個人的には好みです。

【単行本】「モノノ怪」1巻 蜷川ヤエコ 白泉社 B6 [bk1][Amzn]

 昨年テレビアニメが放送された「モノノ怪」のアニメ版。アニメのほうは和風でありながら異国的でもある絢爛たる絵作りが特徴的な作品だったが、漫画版にもその特徴は完璧とはいわないまでも引き継いでいる。蜷川ヤエコの作画は独特の艶めかしさがあるし、なかなかに美しい。ただ漫画だと画面が動かないので、その点はこの作品の漫画化としてはちとツライかな。アニメでは、お札に書かれている紋様がぐにゃーりと変型したりとかいったシーンとかが、けっこう面白い映像表現になってたんで。

【単行本】「みどり姫」 かわかみじゅんこ 祥伝社 A5 [bk1][Amzn]

【単行本】「100%オレンジピンク」 かわかみじゅんこ 宙出版 A5 [bk1][Amzn]

 かわかみじゅんこ2冊。最近はエッセー系の漫画が多かったりするかわかみじゅんこだけど、この2冊はいずれもストーリー漫画の短編を集めたもの。個人的にはこの人はストーリー漫画のほうが好きだなあ。エッセー系も面白いっちゃ面白いんだけど、やっぱストーリー漫画のほうがより「この人でなければ描けない」ってものを感じる。

 収録作品は以下に示す通りだけど、いずれも独特のフレッシュな感じがあって面白い。女性たちのゆらゆらうつろう心の内を、かわかみじゅんこ独特のセンスですくい上げたお話たちが印象に残る。なんかすりガラスを通しているんだけど、それでも輪郭がハッキリ分かるほどの輝きを、対象物が放っているような感じとでも申しましょうか……。自分の大ざっぱな言葉ではうまく表現できないんだけど、とてもきれいだなあと思います。

「みどり姫」収録作:「きのこハンター」「ニュース」「ハートの夏休み」「マキシマウ」「江ノ島心中」「パジャマで海へ」「みどり姫」「月のはんたい側」
「100%オレンジピンク」収録作:「100%オレンジピンク」「オトコのコ オンナのコ」「お母さんもきっと知ってる」「すり鉢日記」

【単行本】「ダメ姉って呼ばないで!」 新居さとし 幻冬舎コミックス B6 [bk1][Amzn]

 4コマをメインとした作品集。表題作「ダメ姉って呼ばないで!」のほか、「きのこの里」「あけぼの学園防衛愛好会」「曙中学校忍者部」を収録。この中ではやっぱり「ダメ姉って呼ばないで!」が面白い。デザイン会社勤務で一人暮らししていた妹・絹子の元に、無職の姉・麻子が転がり込む。そして働く気がまったくないダメ姉と、ツッコミ型の妹のまったりドタバタライフが営まれていく。

 今では4コマ系の作品はけっこうこなす新居さとしだけど、この作品が4コマ初連載だったそうで。カラッと明るく勢いのある作風は、4コマ漫画にもよく合うし、キャラの行動も見てて楽しい。とくにダメ姉・麻子のしょうもない行動の数々は、ニヤッとさせられるものあり。親しみやすい作風で、きっちり面白い。

【単行本】「なまコイ」1巻 作:雨宮ひとみ+画:中臣亮 幻冬舎コミックス B6 [bk1][Amzn]

 たぶんエロ漫画では「ムサシマル」として活躍している作家さんと同一人物ではないかなあといわれる中臣亮が、コミックバーズで描いている作品。

 大学に通うときはしっかりオシャレして、「王子」とさえ呼ばれているメガネ男子・真神次太郎が主人公。彼は外ヅラはかっこいいものの、内面はかなりなオタク。そんな彼の部屋に、ある日謎の美少女・ミウが転がり込んできて、彼の二重生活は崩壊の危機に陥る……というところから始まるラブコメ。中臣亮の絵はキレ味が良くて相変わらず達者。ただストーリーのほうは今のところ、この手のオタク系の漫画としてはフツーって感じかなあ。読めばそこそこ楽しいけれども、「すごく面白い」ってほどではない。美少女キャラにもう少しインパクトが欲しいところか。

【単行本】「花のいろ」 すえひろがり 実業之日本社 B6 [bk1][Amzn]

 憧れの先輩女子・藍子を目当てで映研に入った女の子・茜。その映研では、代々女の子同士のエッチシーンを収めたビデオおよびDVDを作る習慣があり、藍子に見初められた茜は彼女と百合百合エロ関係を結ぶようになる。そして映研がらみでは、そのほかにも女の子同士が成立していて……という具合に展開される学園百合エロストーリー。

 男性向けエロではすでにベテラン作家であるすえひろがりだが、女の子同士のお話もかなりうまい。しなやかなボディラインの女の子たちが、しんねりとからみ合う様子は、エロくてきれい。これでヌクかといえば個人的にはそういう感じではないんだけど、雰囲気自体はエロティックっていうか官能的。過剰な描き込みはしないけど、しっとりした描線が実に心地よくて、すごく華のある作品に仕上がっている。

 この人は、こういう「普通のようでありながら、ちょっと変わった風習のまかり通っている世界」を描くのがすごくうまい。ちゃんと一般社会の中で成立しなくもなさそうであり、まさに「どこにでもありそうで、どこにもないような世界」となっている。なんかこれはこれですごく良いファンタジーであるな、と思うのです。あと百合のほうも適度なしっとり感。下品にならずにエロさを醸し出す腕前は大したもの。


1/30(水)……クイズ狂のひめごと

【雑誌】ヤングキングアワーズ 3月号 少年画報社 B5平 [Amzn]

 二宮ひかる「シュガーはお年頃♥」。ケーコちゃんが最近ご執心のおともだち、アサミのことを好いてるらしき少年が出てきて、なんだか甘酸っぱかった。思春期少年少女の思惑を、ときに楽しく、ときに切なく描いててなかなか楽しいです。ちょいと奔放っぽいけど周囲のバランスなども考えつつ行動するケーコの様子が見ていて楽しい。あー、あとこの娘さんは乳がデカいのも良いです。

 水上悟志「惑星のさみだれ」。精霊アニマとかいう女子キャラが出てきて皆さん大騒ぎ。それはともかく、最近は姫であるさみだれが、夕日のことをだんだん意識するようになっている様子がほんのり甘くていい。そういうシーン自体はさほど多くはないんだけど、さりげなく紛れ込んだラブコメ風味が心に潤いを与えてくれるっつーわけですばい。

【雑誌】コミックバーズ 3月号 幻冬舎コミックス B5平 [Amzn][定期購読:出版社

 奥瀬サキの新連載「ドロネコ9」が開始。といっても今回はほんのさわりのところだけで、すごい貧乏生活をしているらしき女の子・白波さんが登場して……ってところでおしまい。この時点ではなんとも評価しがたいので、もうちょっと話が動いてから判断といったところか。

 さかもと麻野はバーズ初登場。シリーズ読切「ぼくたちの王国」を開始。「地下」と呼ばれる区画に隔離されて暮らす、ツノと人間の及ばぬ異能力の持ち主である子供たちの物語。彼・彼女らは地上に住む人間たちに、その能力をいいように使われているが、地下の仲間たちはこれはこれで楽しく暮らしている。主人公少年と、彼のことが好きであるらしいガールフレンドさんの姿が微笑ましく描かれていて、なかなか後味の良いお話。とくにこのガールフレンドさんの、主人公にメロメロである様子が楽しかったりする。絵のほうも華があって瑞々しくてけっこういいです。

 あびゅうきょ『「非」絶望の世界』。影男シリーズもいよいよ最終局面に。事態はどんどん盛り上がってきてました。話が進み影男のやるべきことがハッキリしてくるにつれて緊迫感が増し、「なんだかすごいことになってきたな」って感じが強まってきた。影男、そして世界がどうなるのかとても気になる。次回エピソードでいよいよ影男シリーズも完結とのこと。どういう結論が示されるのが、すごく楽しみです。

 読切、ホコ「いつか」。久しぶりに再会した旧友たちが今の自分やこれまでのことについて語り合う。脂の抜けた感じのちょいとコジャレた絵柄で、地味ながらも味わいのあるお話を展開。男友達同士の会話劇にほの暖かさや、しみじみとした情感があってなかなか良かったです。

【雑誌】週刊少年サンデー 2/13 No.9 小学館 B5平

 読切、桐幡歩「鬼月」が掲載。時は平安あたり? 足に鎖をつけられてとある屋敷内に閉じ込められて、その力でもって訪れる人々の腕をつないだりといった、怪我を直す仕事をしている少女・飛翔の物語。彼女は外の世界を一度見てみたいと願うが、そこに一人の若者が訪れる。藤田和日郎にちょっと似たタッチで、線をだいぶ細くした感じ。物語は少女の気持ちが切なくて、ビターな後味を残す。まだ荒削りながら、タッチのわりに力強さがない点は惜しいけど、お話としてはまずまず読ませるものはある。もう少し描き慣れてこなれてくれば、って感じかな。あと井上和郎「あいこら」は次回で最終回だそうです。

【雑誌】週刊少年マガジン 2/13 No.9 講談社 B5平

 吉河美希「ヤンキー君とメガネちゃん」は修学旅行編に突入。生徒会の面々は、まとまりはないけどめいめい楽しそうに行動していて微笑ましい。あと今回も、品川くんに片想い中であるらしい凜風がちょっと気になったり。小林尽「スクールランブル」。二人で並んで歩く天満と烏丸だが、その距離は近いようで遠いようで……。楽しげではあるけどしんしんと切なくもあり。その様子を見守るお友達連中の会話からも、学園生活のいろいろなものがゴールに近づきつつあるんだなーとしんみりさせられる回でした。

【雑誌】エンジェル倶楽部 3月号 エンジェル出版 B5平 [Amzn][定期購読:Fujisan

 舞原マツゲ「乙女心は複雑怪奇?」。深夜のファミレスで、男性客×1と、ウエイトレス×2がくんずほぐれつのセックス。相変わらずピチピチしたボリューム感のある肉体描写をしていてしっかりエロい。ぱっつんぱっつんでてらてらした乳や、隆々としたつやつやのちんこなどの描写がストレートにエロい。

 鬼塚たくと「女の華道、悪の道」。悪の組織で戦闘員のバイトをやることになったママさんが、正義の味方をどうにかするためエロボディを駆使した誘惑技をマスターせんとする。むっちんむっちしんしたママさんの身体がエロっちくて好み。あと黒くてツルツルした戦闘員のコスチュームも、むちむちぶりをさらに強調していて良い感じ。

 大波耀子「−Pleiades−」。ずっと好きだった憧れのお姉さんが結婚するということで傷心の少年。しかし彼女のほうも年下の少年への想いを心に秘めていて……。甘くて切ないお話作りでしっかり読ませてくれる作品。この人は毎回きっちりまとめてきますねえ。

 あとHG茶川「若宮さんの疑問」はさすが。デカい。乳が。最初のページから読む者の目を驚かせるメガサイズ。爆乳作家が多いこの雑誌の中でも、異様な存在感を放っている。ところで今回のお話のヒロイン・若宮さんは、まんま「キミキス」の二見さんって感じですな。容姿といい態度といい。それが超乳であるミスマッチが凄いです。

【単行本】「スカイウォーカー」 いくえみ綾 小学館 A5 [bk1][Amzn]

 奥田民生の曲を元に、いくえみ綾がその世界をイメージして描いた連作短編。収録されているのは「MANY」「スカイウォーカー」「無限の風」「マシマロ」。まあ自分は元の曲をよく知らないのでなんともいえない部分はあるんですが、漫画単体で読んでもさすがにうまいので楽しめます。とくに好きなのは、身体は大きいけどぶっきらぼうで漫画を描くのが趣味の少年と、チビで騒々しいイジメられっ子少年の友情を描いた「スカイウォーカー」。器用な性質ではない二人の間に流れる空気を心地よく描いている。掲載はヤングサンデー。まあ女性誌で描いている、いつものいくえみ綾作品のほうが面白いと個人的には思うんだけど、こちらもまたするする読めて気持ち良くはあります。

【単行本】「HOLA!! −オラ!!−」 高山瑞穂 SBCr B6 [bk1][Amzn]

 青春フットサル漫画。主人公は、元はサッカーU-18日本代表のエースストライカーだった少年・若松海斗。試合中に相手GKを怪我させたことがトラウマとなって思うようなプレーができなくなった海斗は、プロチームを戦力外となり、鬱々とした日々を送っていた。そんな海斗が転校先の学校で浜須賀ひばりという少女と出会い、彼女の属するフットサルチームに誘われたことをきっかけに、再び自分を取り戻していく。

 高山瑞穂の描くスポーツ漫画を読んだのは「RETURN MATCH 翔子」以来かな。まっすぐで健康的な作風は、少年サンデー系の雑誌にでも載っていそうな印象を受ける(実際の掲載誌は月刊少年ブラッド)。雑誌が休刊したこともあってお話は1巻で終わってるけど、その中ではきっちりまとめてるなと思う。フットサル自体は、漫画でやってもけっこう面白いジャンルだと思うんで、もう少し長尺で読んでみたかったところではあります。

【単行本】「まんまんちゃん、あん。」1巻 きづき あきら+サトウナンキ 幻冬舎コミックス B6 [bk1][Amzn]

 金はないけど子だくさんの大家族で育った娘さん・めぐりが、寺の跡継ぎである信玄の元に嫁入りする……というところから始まる物語。めぐりちゃんは大家族の窮屈さから抜け出したいという気持ちも手伝って、高校卒業後すぐに結婚。大家族の中で家事を切り盛りする中で培われたマメさもあって、お寺でもかいがいしいお嫁さんぶりを発揮するめぐりだったが、順風満帆に見えたその暮らしにある日突然陰がさす。

 といったわけで、寺を舞台に繰り広げられるラブストーリーといった趣の本作。1巻の段階ではお話がどうなっていくかは分からないけど、明るくけなげで働き者なめぐりちゃんの姿にはなかなか好感が持てる。「寺」という部分の印象は強く、寺の後継者問題などの内情などにも踏み込んではいくものの、お寺の経営がどーのこーのといったディティールを細かく描いていくというタイプの作品ではない。あくまでお話としては人間ドラマが主眼。めぐりちゃんを巡って、寺関係の人々の思惑が交錯していく様子はハラハラ感はあり、読ませるものはある。

 とりあえずめぐりちゃんが今後どうなってしまうのかーといったことをやきもきしつつ、今後の展開を待つといった感じ。なお、この作品は幻冬舎コミックスのWebコミックGENZOで連載中。このコンビは本当、いろんなところで精力的に仕事してますなあ。

【単行本】「恋月夜のひめごと」 タアモ 小学館 新書判 [bk1][Amzn]

 キャッチーな絵柄の表紙につられて購入。少女漫画ながら、男性読者受けもかなりしそうなタイプの絵柄が魅力。表題作の「恋月夜のひめごと」全3話は、大正時代を舞台にした恋物語。ヒロインである環はお金持ちのご令嬢だが、母親がお気に入りであるらしき書生の青年・黒田と恋に堕ちる。身分違い、そして親も反対という許されぬ恋に身を焦がす乙女心をつづっていく。センチメンタルな物語と、大正時代の雰囲気作りがなかなか良好。

 それから「落葉樹と戀の花」は、優等生少女と、彼女に告白してきた少年の間に芽生えた恋を描いた学園ラブコメ。最初は冷たい感じだった彼女の心が、一見不良っぽいけど実は一途な少年のアタックによって溶かされていく様子が甘酸っぱく描かれている。雰囲気的には表題作のほうがいいけど、テンポの良さ、まとまりという面では「落葉樹と戀の花」のほうが完成度は高いと思う。

 まあそんなわけで絵の魅力もあってまずまず楽しめた1冊。ただ「すごく面白いか」っていうと、それほどではないかなあ。もうちょっとテンポを良くすることと、見せたいシーンをズバッと印象づけるハッタリみたいなものは欲しい。今の状態だとなんとなく読んでそれなりに楽しめるけど、もう一つ後には残らないかなーって気がします。

【単行本】「一年生になっちゃったら」1巻 大井昌和 芳文社 B6 [bk1][Amzn]

 発売は2007年10月だけど、なんとなく今になって購入。ちょっと潤いが欲しかったのかもしれません。

 てなことは置いといてストーリーのほう。交通事故で死にかけた高校生男子・高遠伊織は、マッドサイエンティストねーちゃん・結女によって救われたが、身体は小学1年女子になっていた……というところから始まるドタバタコメディ。そのマッドサイエンティストねーちゃんは、自分が高校生男子だったころの片想い相手・みくるさんの姉であり、結女に引き取られた伊織はみくるさんとの一つ屋根の下生活に突入。さらに伊織は、小学校にも入学することになり、性別&年齢が転換された状態でのドキドキライフが始まっていくのだった……ってな感じ。

 まあそんなわけで「男の子がロリロリ少女になっちゃったらどうすんだよ?」ってな感じのお話です。狙いまくった設定ではあり、スク水やらオトイレやらのシーンはあるものの、個人的にはそんなにあざとくは感じないかな。これはまあ自分が萌え系のこってりした漫画にすっかり慣れちゃってるというのもあるんだろうけど、はっきりとした明るい快活な絵柄・作風なんで安心して読めるってところもある。ほのぼのした部分はけっこう多いし、学園生活を楽しく展開していってる様子に好感が持てる。キャラもそれぞれ見てて面白いし、なかなかいいんじゃないでしょうか。

【単行本】「松ヶ丘エンジェル」 めいびい 秋田書店 B6 [bk1][Amzn]

 松ヶ丘という町を守る3人の女の子たちからなるヒーロー戦隊の活躍を描いたドタバタコメディ。積極的にエロ漫画家を登用する雑誌であるヤングチャンピオン烈で連載された本作だが、サービス描写はそれなりにあるものの、基本的にはドタバタメイン。エッチシーンとかはない。ドタバタ賑やかなムードはそこそこ楽しくはあるものの、画面構成とかがゴチャゴチャした感じがあるし、いまいち読みづらいなあという印象。派手ではあるが、もう一つハジけきらなかったかな。


1/29(火)……上記要開発

【雑誌】漫画サンデー 2/12 No.6 実業之日本社 B5中

 H系担当ゲストとして、はらざきたくまが登場。「オモイデノツヅキ」。父親が社長を勤める小さな町工場をなんとか支えようと頑張る娘と、その工場の取引先だった銀行の男性社員のお話。女の子ながら工場を切り盛りしているヒロインさんがなかなかの美人さんで、毅然とした態度、グラマラスな身体も魅力的。お話のほうもきれいにまとまっててなかなか良かった。つなぎの作業服がけっこうエロっぽい。

【雑誌】コミック激ヤバ! VOL,04 メディアックス A5平

 仙台魔人「されるがママ」。未婚のママさんをねっとり堕としていくさまがイヤらしい作品だったが、今回のターゲットはママさんの娘の親友。熟れたママさんがよがり狂うさまが見たかったのでちょっと肩透かしかなという感じだけど、まあこれはこれでエロさはあります。

 大道いむた(くどうひさし)「おまじない」。主人公が風邪ひいて休んでいるところに、幼なじみ女子がお見舞いにやってきて、エッチして風邪がうつって……という黄金パターン。まあ黄金パターンであるだけに安心して読める。ページ数が8と短めだったのがちと残念。まあくどうひさしの描く女の子は相変わらずかわいいんですが。

【雑誌】快楽天 3月号 ワニマガジン B5中 [Amzn]

 いーむす・アキ「妖怪発情記IV てんてん」。いつもの妖怪娘と少年のエロ話シリーズ。今回は里に下りてきた天狗のおねえさんに精気を与えるため、主人公・コウタロウや村の男どもがおねえさんとエッチしまくるというもの。基本的には明るいコメディ系の話ながら、つややかでむっちり柔らかそうな肉体描写はかなりエロめ。ボリューム感たっぷりでけっこうなお点前でした。

 ポン貴花田「彼氏彼女のウワサ」。お互いの勘違いから、学校で露出プレイやってるカップルのお話。行為自体は過激にやりつつ、ラブコメ風味も効かせていて手堅い出来。さすがに手慣れてます。初登場の神馬耶樹「明るい家族計画」は、一瞬ヤスイリオスケかと思った。キャラ造形がかなりよく似てます。まあタッチは微妙に違うし、作者コメントで「人生初のえっちな漫画」と書いてあるので同一人物ではないんだろうなーとは思いますが。お話のほうは、ドライフラワー教室をやってる母親の息子さんと、母の助手をやってるお姉さんがトイレ内エッチでくっつく。ラブラブなお話作りとピチピチした肉体描写で悪くないです。

 田沼雄一郎「OPEN SESAME」。内気なためどうしても大きな声が出せない演劇部女子・紗美を、その幼なじみ少年・あーちゃんが勇気づける……というお話。紗美が大きな声を出せなくなったのは、昔あーちゃんとの間にあった出来事がトラウマになっていたから。てなわけでそこから一歩踏み出すため、度胸づけのエッチをする。田沼雄一郎漫画としては相当にスウィートなお話で、青春ラブコメとして甘ったるい仕上がり。ラブラブで後味良くて楽しかった。大人しいけどけっこう強情なところもある彼女さんがなかなかにかわいい。田沼雄一郎は長年読んでますが、やっぱり好きだなあ。

 あと今号にはSABEが「雑司谷腐れ酢霊園」という作品を描いてます。「阿佐谷腐れ酢学園」とはあんまり関係ないけど、やっぱりブルマの話です。今回は4Pだけど、次号では16P使ってブルマ漫画をやる予定とか。アフタヌーンで「世界の孫」が終わったんで余力ができたっぽいですな。

【雑誌】キャンドール 3/13 Vol.50 実業之日本社 B5中 [Amzn]

 西野映一の新連載「ツンな彼女がデレるまで」が開始。転校してきたばかりの1年生男子・御堂くんと、廊下でぶつかってその拍子にキスしちゃった2年生女子・相川さんによるドタバタラブコメといった感じの作品。この二人が強引な3年生女子の風間さんにより、翻弄されて、ちょいエッチな実験もされてしまう……といったところ。まあタイトルどおり相川さんはけっこう小生意気なツンデレ系。さっそくラブコメ風味を濃厚に醸し出していて、けっこう楽しい。

 すえひろがり「プリズム」は、この前単行本が出た「花のいろ」の番外編読切。艶めかしく百合世界を展開してて、華やかだけれどもエッチでええ感じです。滑らかでトロリとした触感がよろしい。中田ゆみ「calling」。女性保険医と、肉体関係にある男子のラブラブストーリー。保険医のエーコさんが、年上女性ながらけっこうカワイイところもあってなかなか良い。甘ったるくてええです。

 まだ子「先輩熱」シリーズ、「卒業式の朝に」。ヤリマンとの評判のある、年は1個上だけど留年した女子と、主人公が教室でからむ。相変わらずのこなれたこなれた作風が心地よい。「先輩熱」シリーズはこれで6作め。もう何回かやったら単行本にまとまるかな? 小石川ふに「加納家の事情」。兄に恋する妹ゆかちゃんが相変わらずかわいい。さりげない告白みたいなのもあって、たいへん胸がトキめくものがあります。ページ数は短いし、エッチはないけど、毎回恋愛ムードが濃厚で良いです。

【単行本】「ふたつのスピカ」13巻 柳沼行 メディアファクトリー B6 [bk1][Amzn]

 前巻の衝撃の展開を受けたエピソードを描いていく。先にいってしまったシュウのことを想う、仲間たちの気持ちが丁寧に描き出されていてとても切ない。とくにシュウのことを好いていたケイと、彼の親友だった府中野くんの姿には、グッと胸を締め付けられるものがある。また宇宙学校での訓練はそろそろ最終局面。それぞれがどのような道を歩んでいくことになるのか、気になるところです。あと単行本の巻末収録の「もうひとつのスピカ」は毎回楽しみ。こちらもしみじみした気分にさせられます。


1/28(月)……ひつまぶし

▼これを書いてるのは2月1日の朝ですが、OHP月極アンケート、2008年2月分「ひまつぶしに良い漫画」を始めました。要するに「ちょいとひまつぶしに漫画でも読むかー」といったときにパッと読んで面白い漫画はどれよ、っていうアンケートです。例えば、始発まで漫画喫茶で時間つぶしたいときとかに読んだらいいと思われる漫画とか、強烈に時間が余ってるときに読みたい作品とかを挙げていっていただければと思います。まあ「ひまつぶししてる時間なんかねえよ!」って方もいらっしゃるかとは思いますが、そこは大目に見てやってください。

 また2008年1月分、「ベスト雑誌2007」は投票を締め切らせていただきました。今回は自分が更新サボってたせいもあり、総投票数が100に届かずといった案配ではありましたが、その中で1位だったのはコミックモーニング。2000〜2003年はビーム、2004〜2006年はアフタヌーンと来て、今年はモーニングが初の1位に。新鋭、ベテラン入り混じった陣容は確かに勢いがあったと思います。あとアフタヌーンも相変わらず上位で、やはり地力があるなという感じです。

 このほかで気になる存在は、3位に入ったComicリュウ。中綴じだったころは「いまいち方針の定まらない雑誌かな?」と思ったものですが、平とじになってからは積極的な新鋭登用もあって、マニア層にウケる雑誌になってきたと思います。まあそれが売上に結びつくかは別として……。

 あと2007年は、新創刊雑誌が話題になった年でもありました。とくに、自分も票を入れましたが、「無料雑誌」というかつてない形態をとった「コミック・ガンボ」は注目の存在だったと思います。会社が倒産してあえなく休刊となってしまいましたが、とにかくそのビジネスモデル自体は、ちょっと可能性を感じさせてくれました。とにかく気楽に読める作りにも、個人的には好感を抱いてました。

 そのほかではコミックヨシモトなんかも、あっという間に休刊しましたが、印象には残る存在。コミックチャージはなんとか踏ん張ってる感じですが、この先どうなるかなあ。エロ漫画方面では、やはり話題は復活Comicホットミルク。ここ数年、エロ漫画界ではやたら強いコアマガジンンが、人気作家を惜しげもなくつぎこんだ誌面はいろいろと話題を集めました。今後は既存作家だけでなく、新生ホットミルクオリジナルなものも出てくるとうれしいです。

 話題性という意味ではジャンプSQ.は大きな存在。創刊が11月ということで今回のアンケートではあまり票が入らなかったですけれども、月刊少年ジャンプの休刊、それからジャンプSQ.の立ち上げと、派手な話題ではありました。誌面は案外地味な感じがしますけどね。来年のこの時期になっても、まだ話題性を保ち続けていられるかどうかは気になるところです。

2000年:(1)ビーム (2)アフタヌーン (3)アワーズライト (4)週少ジャンプ (5)モーニング
2001年:(1)ビーム (2)IKKI (3)シーズン増刊/アワーズライト (5)アフタヌーン
2002年:(1)ビーム (2)IKKI (3)週少サンデー (4)アワーズライト (5)シーズン増刊
2003年:(1)ビーム (2)アフタヌーン (3)スペリオール/ヤングジャンプ (5)スピリッツ/モーニング
2004年:(1)アフタヌーン (2)ビーム (3)週少ジャンプ (4)Uppers (5)ヤングアニマル
2005年:(1)アフタヌーン (2)ビーム (3)ヤングアニマル (4)週少ジャンプ/エロティクス・エフ
2006年:(1)アフタヌーン (2)ビーム (3)チャンピオンRED (4)モーニング/ヤングキングアワーズ
2007年:(1)モーニング (2)ビーム (3)Comicリュウ (4)週少チャンピオン (4)アフタヌーン

【雑誌】ヤングキング 2/18 No.4 少年画報社 B5中

 塩野干支郎次「ブロッケンブラッドIII」。本来は月イチ連載だが、今回は2号連続での登場。これまで順調にスター街道を爆進していたノイシュヴァンシュタイン桜子ちゃんだったが、深夜お泊まりデート報道をきっかけに、バッシングに見舞われる。しかし桜子、というか健一にはまったく身に覚えがナッシング。バッシング報道の仕掛人はいったい誰なんじゃー、ってなところで以下次回。今回はコスプレはとくにないけど、ドタバタしたノリの良さは健在でやっぱ楽しい。

 森見明日「よみがえりんね♪」。音大生の奏が、主人公と合奏して、そのユニゾンによって発情。この娘さんはツンツンしてるけど、なかなかエッチっぽくて良い。いよいよヤルのかーってなところに来てはいるけど、まあまたはぐらかすんでしょうな。ヤッたらヤッたでまた面白いかもしれませんがー。

【雑誌】ヤングマガジン 2/11 No.9 講談社 B5中

 押見修造「ユウタイノヴァ」が連載再開。幽体離脱してかつての彼女を観察し続けていた主人公・桂木晴だが、かつては純真だったのに、すっかりふしだらになっていた元カノの姿にショックを受ける。その一方で、晴は同じく幽体離脱できる少女・斑鳩まほろと出会い、彼女とめくるめく体験をするのだが……。という前章を受けての第2章。今回は「暴淫編」とのことで、通常の何倍も気持ちイイらしい、幽体離脱状態でのセックスの話がもっと突っ込んで描かれていくんじゃないかと思う。第1章時点でもまだ序盤って感じだけど、個性的でインパクトのある作品を描く人だけに期待している。スゴいものを見せてほしい。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 2/11 No.9 小学館 B5中

 読切で真造圭伍「なんきん」が掲載。アパートで猫を飼ってるのが大家にバレて、猫を捨てさせられた主人公。そして部屋に戻ってみたら、見知らぬ女の子が部屋にいて、主人公は彼を猫が変身したのだと思い込む。しかし彼女はなついていた猫と違って、主人公を邪険に扱いイジメてくるが……。絵的にはまだかなり荒削りでラフな感じではあるが、勢いはけっこうあって悪くない。女の子の絵は、さそうあきらをラフにしたみたいな感じ。うまく磨けば光るかも……という期待感はあるかな。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 2/11 No.9 集英社 B5平

 久保帯人「BLEACH」。第4回人気投票の結果発表やってるんだけど、個人的には「へー、こんな順位なんだー」とか思った。意外なキャラが上位に来てるという印象だけど、熱心なファンにとってはそうでもないのかな? とりあえず順位から見るに、支持層は女性が多そうですね。

 岩代俊明「PSYREN −サイレン−」。最初のミッション的なものはクリアかな。今回は異世界「サイレン」の謎がちょっとだけ明かされた。なかなかミステリアスな内容となっており、先の展開が気になってくる。派手ではないけどしっかりお話作ろうとしているのは好感が持てるので、今後も踏ん張っていってほしいとこですが。

【雑誌】フラワーズ 3月号 小学館 B5平 [Amzn][定期購読:出版社

 小玉ユキ「坂道のアポロン」が巻頭カラー。勢いありますね。薫が転校してきてからしばらく経ち、学校は夏休みに突入。千太郎も属するジャズバンドに参加することになった薫は、千太郎、そして律子との距離を縮めていく。今回は3人が海に行き、薫は律子に対してドキドキ……という展開。これまではむしろ薫と千太郎のラブラブ感が物凄かったんだけど、いちおう薫くんは今のところ女の子のほうが好きなのだなあとホッとする(してどうする、って感じではあるけど)。しかし、やがてそうではなくなる日も来るかもしれないので予断を許さない。まあとにかくみんな青春してて、とても良い具合です。爽やかでトキメキもたっぷりだー。

 よしまさこが登場。新シリーズ「横浜迷宮 Birds」がスタート。生まれも育ちも横浜で、近いうちに隣家の青年と結婚することが決まっている女性・萌々子。ごく平凡ながら幸せな生活を営んでいるかに見える萌々子だが、なぜか彼女はその生活の中で、微妙な違和感を感じるようになっており、それは日増しに大きくなっていた……という出だし。最初はほのぼのした感じで始まる物語だが、途中からだんだんミステリアスになってきて、けっこう読ませるものがある。よしまさこの作画は口当たりが良く、スッとお話を読んでいけるのもいい。続きも期待。

 岩本ナオ「町でうわさの天狗の子」。憧れのタケルくんとつきあい始めて幸せいっぱいだった秋姫だが、付き合う前とはちょっとイメージの違うタケルくんに戸惑ったり、いろいろ青春中。今回は瞬が、天狗修行中の女の子と話しているのを見て、なんだか胸を騒がせる。まあ秋姫は本当は瞬のことが……ってのが本線だろうなとは思うけど、まだどう転ぶかは分からない。とりあえず秋姫の初々しさは見てて楽しいです。

【雑誌】コーラス 3月号 集英社 B5平 [Amzn]

 羽海野チカ「ハチミツとクローバー」がスピンオフ読切で登場。今回は本編終了後の、山田さんと野宮の物語を描く。山田さんはまだ真山への気持ちを完全に払拭できたわけではないものの、野宮との関係もだいぶ軌道に乗ってきた感あり。今回は野宮サイドからのお話で、現時点での野宮の山田さんに対する気持ちをつまびらかにしていく。久しぶりの登場だったけど、キャラのノリは相変わらずだし、しっかり読ませます。最終ページには「次回のスピンオフバージョンをお楽しみに♥」とか書いてあるし、今後もときどき登場しそうな気配ですな。

 あと今号では、佐野未央子「君のいない楽園」で、十萌のいない間に彼女に惚れてる野郎二人、八神と勘九郎が激突している様子が面白かったです。そういえば十と八の間に九が割って入ってる形なんですな。「今ごろ気づくなよ」って感じではありますが、適当な人間なんでどーも。

【雑誌】阿ウン 3月号 ヒット出版社 B5平 [Amzn][定期購読:Fujisan

 師走の翁「平成性教育改革」中編。「セックスなんて大したことない」「オナニー最高」とのたまう兄に対して、実は尚精会という会に所属している妹が激昂。尚精会の手練の女どもを率い、兄の友達を巻き込んで、大セックス祭に突入じゃ〜ってな感じでガッツンガッツンエロ行為に耽っている。なんだかやたらとノリが良く、ジョジョネタがあったり、その他の漫画ネタもあったりと、エロいだけでなく遊び心が効いている。師走の翁らしいエンターテインメント精神にあふれる一作。後編はどういう展開を見せるんですかね。

 高岡基文「は〜れむ♥ちゅーん」。今回はケンカばっかりだった腹違いの姉妹・美月&名月が、同じ学校の女子・久凜のせいで、通学バス内大乱交に巻き込まれてしまう。女の子たちが何本ものちんこを相手に、派手にヨガりまくる様子はしっかりエロい。幸田朋弘「セカ×セカっ」。欲求不満だった女性編集者・長谷川さんが、道でつかまえた担当作家の息子さんをホテルに引きずり込んでヤリまくり。普段は地味なルックスだけど、エロとなると見境なくなってしまう長谷川さんの様子が愉快。またエロ度も十分。

 流一本「Parabellum」は、王妃さまが引き続き調教されているところ。王妃さまの勃起した乳首を、別の女の陥没乳首に入れるというプレイがなんか面白かった。母乳まで出して「中出し」とかいってるし。井上よしひさ「縛遼太郎(PN)の実践緊縛され講座」。緊縛の漫画をよく描く女性エロ漫画家が、アシの男の子の手によって、実際の縛りにチャレンジするという内容。縄でくくり出された乳や、そこから突き出た乳首などの描き方がけっこうエロい。ドタバタしてはいつつも、エロがネチっこいのがいいです。


1/26(土)1/27(日)……嘘金券師

【雑誌】少年エース 3月号 角川書店 B5平 [Amzn][定期購読:出版社

 大岩ケンジの新連載「夢渡りプルチネッラ」がスタート。どんなときでも熟睡して起きられなくなってしまう、原因不明の眠り病に悩まされている少年・瑞樹輝が主人公。ある日、授業中に爆睡してしまった輝は、夢の中の世界で美少女と出会い、そこから不思議な冒険が始まっていく……ってな出だし。夢と現実の世界をゴチャゴチャと行ったり来たりするので、ちょっとせわしないところはあるけれども、今回登場した女の子3人は皆それぞれかわいいところがあり、出だしとしては華やか。大岩ケンジは、「NHKにようこそ!」以前の作品はちょっと読みにくいなーという印象が個人的にはあったんだけど、今回の作品はどんなもんでしょうか。整理して読みやすくしてくれるとうれしいとこですが。

 桂明日香「花やしきの住人たち」。今回も、恵庭あやめちゃんがよろしい。最初はれんげと仲の良い安芸に何かとつっかかってきたあやめだが、最近はいい人ぶりやかわいさを随所で発揮。それにしても安芸は思いきった行動に出ましたなあ。三角関係が今後どのように展開していくのかは気になるところ。

【雑誌】ガンダムエース 3月号 角川書店 B5平 [Amzn][定期購読:出版社

 安彦良和「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」では、アムロとスンちゃんが初めての邂逅。スンちゃんというのはもちろんララァさんのことです。しかし改めて見てもララァさんは変わった娘だ。扱いづらそう。左菱虚秋「ガンオタの女」。賀ノ多さんを虎視眈々と狙ってるレズ社長さん(ギレンな人)が見てて面白い。賀ノ多さんの居心地悪げな様子も。あと連邦物産のメンツも良い。ブライト顔の古井戸さんは妙に印象に残るし、アムロ顔の嶺さんはボーイッシュで意外とカッコイイ。

【雑誌】コミックガム 3月号 ワニブックス B5平 [Amzn]

 かかし朝浩「暴れん坊少納言」。宮中の御庭に作られた雪山をめぐって一悶着。雪山を巡って少納言と宰相がいつものごとく競り合いをするが、それに付き合わされた則光は、寒空の中で雪山の晩をさせられたりとタイヘンな目に。心根優しきいい男ぶりを見せつけた。今回はラストのほうで、少納言がこの作品の基本設定であるツンデレっぷりを遺憾なく発揮していて、なかなかトキめくものがありましたな。若ぇのが甘ったるいことをやってる様子が微笑ましい。あと則光にちょいと疼いてしまっている和泉式部も面白い。

 塩野干支郎次の読切「心剣機装ムサシデュアル」が掲載。剣術が非常に盛んな町で生まれそだったが、剣術はやめて女子アナと結婚するのを夢見る少年・宮本兵部が主人公。彼らの住む町を、ある日一人の美少女が訪れる。実は彼女は頼りなさげな態度とは裏腹に凄腕の道場破りであり、さらに町に化物みたいなのも登場して……といった具合に、お話はドタバタ展開。アホな主人公と、美少女が賑やかに動き回るお話は、下らなくてけっこう楽しい。塩野干支郎次は、こういう明るいドタバタ系の作品のほうが個人的には好きです。

【雑誌】月刊少年シリウス 3月号 講談社 B5平 [Amzn]

 作:藤野千夜+賀:志村貴子「ルート225」が最終回。違う世界を行ったり来たりという感じで、複雑というほどではないものの雑誌では記憶が薄れ勝ちな部分もあったんで、この作品については単行本で改めて読み返したい。まとめて読んだほうが面白そう。

 あと箱宮ケイ「できそこないの物語」はいいですね。今回は大人たちにだまされて、インチキ宗教のミコ神としてまつり上げられていた少女の物語。カッチリとしているけれども暖かみのある絵柄には独特の心地よさがあってイイ。まだページ数は少ないけれども、いずれ単行本になってくれるといいなあ。

【雑誌】コミックアライブ 3月号 メディアファクトリー B5平 [Amzn]

 國津武士「神ぷろ。」が最終回。最後は願いを叶える御神木をめぐって、学校の体育祭がパニックに……というエピソード。刀鳴および聖と、景綱がイチャイチャした様子を見せているあたりが良かったです。ただ終わり方としてはちょっと突然っぽい感じもあったかな。アライブはエロ漫画系の人をけっこう盛んに登用したけれども、井ノ本リカ子、石川マサキも、ちょい不完全燃焼気味に連載が終わってしまった感があり、その点はちと残念に思います。

 青本もあ「おまかせ精霊」。姿はそっくりだけど、性格は正反対なマスター・似鳥さんと精霊のリン。地味であんまり自分の気持ちを素直に出せない似鳥さんは、任田くんへの気持ちもあって思い悩む。てなわけでかわいい娘さんが葛藤する展開はちょい切ないけれども、ラブコメチックな部分もちゃんとあり、心は華やいだ。毎回楽しく来てるなあと思います。

 いけださとし「ささめきこと」。みんなでプールへゴー。風間さんの兄の正体を蒼井さんには秘密にしておきたい純夏らは、グループを二つに分けて別行動をとるが……。今回は純夏はいつになくひょうきんな感じ。風間さんとの仲も睦まじくて良かったなあという具合。で、その様子を目撃して胸騒がす蒼井さんもけっこうかわいかったりする。楽しさと切なさが共存してて好調。

 読切、サンカクヘッド「木田さんといっしょ」はバイトの面接に行った主人公少年が、奇抜な行動連発の女の子・木田さんに、激しいツッコミ入れつつ振り回されるというドタバタギャグ。スッキリとした絵柄と賑やかな展開がまずまず楽しい。タカミナオキ「オウドウクラブ」は、ツンデレなヒロインさんがわりとかわいい。ラブコメ度高めな締めくくりはベタだけど後味良し。

【雑誌】電撃コミックガオ! 3月号 メディアワークス/角川書店 B5平 [Amzn]

 えーと噂によると次号で休刊なんでしたっけか? それを受けて、いろんな作品が最終回になったり、電撃大王に移籍したり。数が多くて書くのが面倒なので、まとめてくれているサイト(MOON PHASE雑記 1/24)にリンクさせていただきます。

 この雑誌で自分が楽しみにしていたのは、作:竹宮ゆゆこ+画:倉藤倖「わたしたちの田村くん」、作:竹宮ゆゆこ+画:絶叫「とらドラ!」、作:有沢まみず+画:松沢まり「いぬかみっ!」、いわさきまさかず「ケメコデラックス!」、雅樹里「ef - a fairy tale of the two. 」あたり。「わたしたちの田村くん」と「いぬかみっ!」は次号で最終回。「ef」も次号で第二部終了。まあ「田村くん」「ef」はお話的にはきっちりまとまりそうなんでいいか。「いぬかみっ!」はも少し読みたかったかな。「とらドラ!」は今月号でガオでの連載は終了で、次回は電撃大王5月号に掲載。「ケメコデラックス!」は、次号も掲載でその後に移籍ってとこですかね。アニメ化でブレイクもありそうだし、これはまだまだ続きそう。

 で、今号では「わたしたちの田村くん」がクライマックス(←「盛り上がってる」の意であって、漫画雑誌でよく使われる「最終回」の意ではないですよ)。松澤さんに想いを告げるために、田村くんが走る。ライバルながらもそれをアシストする相馬さんはやっぱりイイ娘さんです。この作品が盛り上がったのは、ひとえに相馬さんのおかげでしょう。

 「とらドラ!」。今回は、主人公・竜児の母親・泰子が主役の番外編的ストーリー。いつもぽやんぽやんしているけど美人な彼女の1日を追っかける。おっとり天然系なお母さんで、眺めていて楽しい。「ケメコデラックス!」は運動会で巨乳幼なじみのイズミが大活躍。三平太がらみでラブコメ要素も振りまいており、きちんと面白い。

【雑誌】COMIC LO 3月号 茜新社 B5平 [Amzn]

 雨がっぱ少女群「パジャマパーティー」は最終回。けっこうサクッと短く終わりましたな。一度は引っ掻き回された青年医師と幽霊少女が結ばれてハッピーエンド。随所に光るものはあり、まずまず面白かったけれども、「すごい」ってほどではなかったかな。華々しく登場した雨がっぱ少女群ではあるけれど、まだ「この人ならコレ」という武器は確立しきれてないと思う。期待度は高い人だけど、現時点ではまだスタイルが固まってない感じ。今後どういう路線を目指していくのかは注目してます。

 らいむみんと「放課後」。久々の登場。ちょっとかすれた感じの繊細な描線は独特。お話のほうはめがねっ娘が先生二人にガッツリ犯されてて、なかなか鬼畜な感じ。よしの「ころころ」。武内くんという少年とのセックスをめぐって、女の子2人が激突。濃厚なサービス合戦を繰り広げる様子がエロっちい。ツリ目なツンデレ系転校生さんがけっこう良い。

 あわじひめじ「阿久津輪姦スクールへようこそ!」は最終回。戸塚ヨットスクールよろしく、セックスによっておこさまを教育する学園で繰り広げられる行為の数々をガッツリと描写。最後まで濃くて激しいエロを展開していた。わりとキツめにやってる話なんで、単行本でまとめ読みするとボリューム感あって良さそう。

 あと本誌のラストは毎度おなじみ、という感じになってきた、うさくん「マコちゃん絵日記」。非エロのおこさまギャグだが、ほのぼのするし、ギャグもふんだんだし、ラストの幼女フルコースのデザート的存在としてしっかり機能している。今回はおこさまらがオヤツをめぐり、おこさまらが雪合戦のオリジナルバージョンみたいなので争うというお話。でっぷりした重量級少女のごっちゃんの福々しい表情が良いです。自分はデブ専ってほどではない(と思う)んですが、この手の太っちょキャラはだいたい好きですね。

【雑誌】純愛果実 3月号 光彩書房 A5平 [Amzn][定期購読:7andyicon

 犬「黒猫のぶーがるー」2話め。他人を寄せつけない雰囲気を持った女子、通称クロネコさんに匂いを気に入られてエッチしてしまった主人公。その後、クロネコさんにつっけんどんにされるも、今回はけっこうラブラブな展開に。ヒロインのクロネコさんのかわいさがだいぶ出てきて、なかなかえかったです。もちもちした肉質の女体は相変わらず、萌えとエロさがしっかり両立しております。

 ゼロの者「キャスト」。学校では不良男子たちに肉便器扱いされ、家では養父に犯されているかわいそうな少女の物語。わずかな希望にすがろうとあがく、彼女の姿が痛々しい。ゼロの者でこういう救いのないお話って、最近ではわりと珍しいかな?

 サトー×コーシ「お嬢様のお弁当」。親が失踪したせいで極貧生活を強いられているお嬢様を、担任の男子教師がお弁当と引き換えという形で援助。彼の優しさにほだされて、甲斐甲斐しく尽くすようになるツンデレお嬢様がけっこうかわいくて良いなと思った。まあベタなストーリーではあるんだけど、それがイイのです。


1/25(金)……オタクー部

【雑誌】アフタヌーン 3月号 講談社 B5平 [Amzn]

 新連載が3本開始。とよ田みのる「FLIP-FLAP」、篠房六郎「百舌谷さん逆上する」、秋山はる「オクターヴ」、。いずれもけっこう面白い。

 まずはとよ田みのる「FLIP-FLAP」。高校卒業を前に、玉砕覚悟で憧れの女の子・山田さんに告白してみた深町くん。そんな彼を山田さんはゲームセンターに連れていき、ピンボールでハイスコアを出したら付き合うと宣言する。ってなわけで始まったピンボールを通じたラブコメ。山田さんは学校では大人しそうではあるけど、ピンボール台を前にすると豹変。台揺らしなどのテクニックを駆使し、ときに奇声もあげたりするピンボールジャンキーぶりを発揮。とよ田みのるは以前も同一タイトルで、ピンボール+ラブコメな読切作品を描いてたけど(2007年2月号掲載)、今回はキャラは完全に変えて、連載にしてきた。まだラブラブとかいうほどにはなってないが、キャラは個性的で賑やかだし、ドタバタした雰囲気も楽しい。口がほにゃほにゃ波打った、独特の笑みを浮かべてる山田さんもこれはこれでカワイイ。てなわけでこの先の展開が楽しみなところ。

 篠房六郎「百舌谷さん逆上する」は、生まれながらの業病「ツンデレ」を抱えた転校生美少女・百舌谷さんと、彼女を取り巻く人々の物語。ツンデレ=病気という設定でガチャガチャと進んでいく話はけっこう面白い。百舌谷さんもかわいくはあるし。ちょっとギャグが説明過多な点は気になるが、絵はさすがにすげーうまいし、個人的には「ナツノクモ」「空談師」あたりのネトゲー路線よりは期待できそうな手ごたえはあります。瞬間最大風速の優れた作品にしてほしい。

 秋山はる「オクターヴ」は、以前はアイドルやってたけど全然売れなくて田舎に引っ込んだ女の子・宮下雪乃が主人公。いったんは高校に編入したものの、元アイドルということで周囲が奇異の目で見てくる学校生活になじめず、すぐに高校をやめ芸能関連のマネージャー見習い仕事を始めた彼女の葛藤などなどを描いていく。前作「すずめすずなり」はほのぼのした作品だったけど、今回の作品はちょいと切なさがアップ。周囲から孤立してて寂しくしている雪乃の自慰シーンもちょっとだけあったりして、少し大人びた雰囲気もあり。品の良い柔らかいタッチの絵柄はけっこう魅力的だし、娘っ子たちもこじんてきにはけっこうカワイイと思う。この作品も今後の展開に期待が持てそう。

 SABE「世界の孫」は最終回。いろいろぶっ飛んだ展開ばかりの作品だったが、最後は意外と穏やかに終了。果てしない孫ロードはどこまで続くのか……といった感じで、夢も希望もあるんだかないんだかな締めくくり。SABEらしい奇想とイカれたキャラ満載で、とても面白かった。次はどこで、そして何を描くんですかのう。

 このほかの連載では、吉永龍太「チノミ」、平本アキラ「俺と悪魔のブルーズ」、都留泰作「ナチュン」がいずれも緊迫感あって面白いです。連載陣の入れ替えが進んで、雑誌的には活気が出てきてますね。

【雑誌】月刊IKKI 3月号 小学館 B5平 [Amzn][定期購読:出版社

 大澄剛「家族ランドマーク」。扉ページには「どこにでもあるような、どこにもないような、ご家族HOTストーリー発進!!」とあるけど、初回を見た感じでは「どこにでもある」って感じではない。まず今回は、異様に髪が伸びるのが早くて、ドギマギするたびに、目に見えて髪がにょりにょり伸びてしまう女の子・麻子の恋や葛藤、それから友情などを描いていくお話。トーンをあまり使わない絵柄はまだ垢抜けないものはあるけれど、雰囲気自体はわりと良い。ちょっとオオイシヒロトとかに似た感じかな。後味爽やかでまずは好感が持てた。

 足立和律「FOR SEASON」は最終回。片想いを描いた青春ストーリー連作。お話自体は青臭いけど爽やかなモノがあってまずまずだったが、この手の青春ストーリーは雰囲気勝負なところがあるだけに、やっぱ絵にもう一段の魅力が欲しいかな。瑞々しさが勝負を分けるジャンルであるだけに。

【雑誌】コミック電撃大王 3月号 メディアワークス/角川書店 B5平 [Amzn]

 あずまきよひこ「よつばと!」。外は暴風雨だってのに、よつばはやっぱり元気。いつも楽しそうでイイです。あと、よつばがお菓子を食う姿も、独特の間と表情が面白いですな。

 あらきかなお「乙女はお姉さまに恋してる」。瑞穂のことを意識しちゃって、まりやがドッキドキ……という展開。貴子おぜうさまとのライバル関係もあって、ラブコメとしてもええ感じな盛り上がり。瑞穂&貴子主演予定の「ロミオとジュリエット」がどうなるかも楽しみなところ。甘っちょろい展開に期待する俺よ。

【雑誌】BJ魂 3/1 No.39 集英社 B5中

 桐木憲一「研修医少女−レジデント・ガール−」が掲載。デパート火災事故がきっかけで救急医療の現場を志した研修医であるヒロイン、花島瑠花の活躍を描いていく医療ストーリー。まっすぐなヒロインの姿を爽やかに描いていて、まずまず好感が持てた。桐木憲一は「探偵事務所5”」はいまひとつパッとしなかった印象があるけれども、着実に技量は上げてきてると思うんで頑張ってほしい。ビジネスジャンプ本誌にて「ソムリエール」で頭角を現した松井勝法に続ければ良いのですが。

【雑誌】ヤングアニマル 2/8 No.3 白泉社 B5中

 克・亜樹「ふたりエッチ」が2本立て。1本めは前号に引き続いて、真に目隠しした状態で優良さんがちょいSっぽいプレーを敢行。なんかやってることがすごくしょうもないのでニヤニヤしてしまう。今回は定番の「バナナ」が、いつもより笑えた。あともう1本はバレンタインデーがらみの話となってます。

 西川秀明「職業・殺し屋。」が出張掲載。蜘蛛とヤリたくてワクテカ状態の蟷螂が見てて面白い。ツンデレというにはアクが強すぎるくらいの様子がエエです。あとヤッてるときの表情とかは案外かわいかったりも。

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 2/8 No.4 小学館 B5中

 国友やすゆき「社買い人 岬悟」。会社を守るための岬悟の策が当たって大逆転。なんかものすごい勢いで事態がサクサク急展開していく様子に、強烈なクニトモイズムを感じた。で、次回はいよいよ最終回。最後は愛人ねーちゃんとイッパツキメてスカッとおしまいって感じであってほしい。

 星里もちる「スイーツメモリーズ」は後編が掲載。彼氏が空気読まない彼女に別れ話を切り出そうとしていたカップルが、ひょんなことから二人でタイムスリップ。そしてこれまで過ごしてきた日々を振り返る。天真爛漫なヒロインをかわいらしく描いている点が良かった。おいしいものを食べてうれしそうにしてる顔がとても良いです。

 倉田よしみ「新味いちもんめ」(原案:あべ善太+シナリオ:福田幸江)が最終回。自分の店を持たせてくれるという話をもらって思い悩んだ伊橋が訪れたのは、自分の原点となった店「藤村」だった……。で、今回でいったん最終回ではあるけれども、No.6からは新連載で「伊橋独立編」がスタートする模様。やっぱ安定して読ませるし、この雑誌には不可欠な存在って気がします。

【雑誌】ビッグコミック 2/10 No.3 小学館 B5中

 久々に山上たつひこ「中春こまわり君」が復活して、短期集中連載開始。42歳になったこまわり君の生活を描いたギャグだけど、ギャグがものすごくこなれていて面白い。こまわり君のキャラは元々がおっさんくさいので、年食ってもまったく違和感がないどころか、さらに脂っこくなって味が出ているようにさえ思える。あと最近は滅多に漫画描かない人だけど、絵の腕が全然落ちてないってのも素晴らしい。熟しきった懐の深いギャグが堪能できて、個人的にはすごく良いです。この短期集中連載が終わるころにはページ数もたまってるだろうから、単行本化もあるんじゃないですかね。

 いわしげ孝「単身花日」。期間限定で桐野さんと一緒に暮らすようになった桜木だが、そこに東京に残してきた奥さんが不意に現れて……ということでかなり修羅場な予感。今まで以上にドロドロしそうで先が気になります。

【雑誌】週刊漫画ゴラク 2/8 No.5 日本文芸社 B5中

 土山しげる「喰いしん坊!」。食いワングランプリ決勝が決着。個人的には錠二の回想とか入れて、もう少し長引かせるかなと思ってたんで、ちょっと意外な感じかな。ただ結末としてはスッキリって感じでもないんで、なんかまたほかの試合とかもやるのかも、という気はする。

【雑誌】コミックバンチ 2/8 No.8 新潮社 B5中

 イワシタシゲユキ「女王様がいっぱい」。文芸畑志望ながら、ティーンズラブ系の漫画誌に配属されて鬱々していた主人公が、現役女子高生17歳の投稿作家さんを面接。なんだかけっこうラブコメっぽくなりそうな雰囲気が漂ってきて、ちょいと面白くなりつつあるなと思う。


1/24(木)……きつそうなうそつき

▼せっかく更新が追いついてきたってのにまた滞らせちゃってすみません(注:これ書いているのは30日午前)。まだまだ忙しいのですが、ちょっと頑張るようにします。

OHP月極アンケート2008年1月分、「ベスト雑誌2007」の投票締切が近づいてまいりました。31日いっぱいで締め切る予定ですのでよろしくお願いします。投票ではなく、各雑誌に関する雑談等も歓迎です。

【雑誌】モーニング 2/7 No.8 講談社 B5中

 作:綱本将也+画:ツジトモ「GIANT KILLING」。ケガでチームを離れていた点取り屋FW・夏木が合流。奔放なようでいてサッカーに対しては非常にアツい気持ちを持っている選手で、ちょっと達海に通じる雰囲気もある。なかなか面白いキャラです。現在スタメン張ってる若手FW・世良との競争も面白そう。

 かわすみひろし「営業の牧田です。」。牧田が飲み友達として親しくしている大学時代からの友人・志保がいいですねえ。サバサバした気性ではあるけれど、ふと切なげな表情も見せる彼女の振る舞いにグッと来る。この娘さんとくっつくのも良いでしょう、とは思うけれども、この作品のスタイルからして「これでキマリ」っていうふうにはなかなかならず、どんどんいろんな女の子たちを出していくんだろうなーとは思う。かわすみひろし版「妻をめとらば」(←柳沢きみお作品です。念のため)みたいになるかもしらんですな。

 田中誠「実録!関東昭和軍」。3年生たちが卒業ということで送別試合が開催。喫煙事件以降、登板機会をもらえなかった一葉が最後の試合で久々に勇姿を見せる。いつもの調子ではありながらも、なんだかすごく青春しててちょっとホロッと来るものもある。現役組のエース・山楝蛇もカッコイイ。ダークなことはいろいろ描きつつも、なんだかんだいって田中誠はすごく高校野球が好きなんだろなとしみじみ。

【雑誌】ヤングサンデー 2/7 No.8 小学館 B5中

 北崎拓「さくらんぼシンドローム クピドの悪戯II」。傷心のれなは阿川たちの前から姿をくらませるが、その向かった先は……という今回。憔悴しきった様子で振り向くれなの表情、そしてその後の涙がすごくインパクトあります。いい顔描きますねえ。さすが。河合克敏「とめはねっ!」は合宿編が一段落。ライバル心や恋心などが渦巻きつつ、楽しげに展開した合宿だった。もちろん書道のほうも、みなさんしっかり上達してて達成感がある。学校でうだうだやる文科系部活モノとしての楽しさと、特訓とかで上達する体育会系部活モノのカタルシスが共存してて面白いです。

【雑誌】ヤングジャンプ 2/7 No.8 集英社 B5中

 岡本倫「ノノノノ」。女であることを隠して入寮した悠太だが、風呂をどうするかという問題や、ハードゲイな先輩と同室になったことなどでピンチの連続。先行き不安な寮生活の始まりとなった。でもまあゲイ先輩については、秘密を知られちゃうほうがかえって安全かもしらんですな。貞操的には無害な相手といえそうだし。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 2/7 No.8 秋田書店 B5平

 板垣恵介「範馬刃牙」。今回のラストシーンはすごかった。ピクルに勝負をしかけた烈海王だが、ピクルのべらぼうな身体能力は、烈の技をすべてはねのける。技の無力さを悟った烈の選んだ方策とは……。なんで最初にぶつけるのが烈海王なのかなあと思っていたが、要するに最後のコレがやりたかったってのが理由かもしれませんな。マジメそうなキャラがやるほうが、ブチキレたときの意外性があるし。

 矢上裕の読切「博士と僕」。マッドサイエンティストな女博士によって、リモコンをくっつけられちゃった助手の主人公が、そのせいで片想い相手の女子高生の前でヘンな行動をとってしまい……というドタバタギャグ。8ページと短いながら、説明不足な点もとくになく、きっちり楽しませる。まとまりの良い1本。

 水島新司「ドカベンスーパースターズ編」。中日・山井がマウンドから降りてくれてちょっとほっとした。この日本シリーズでの山井は、ゴーグルを光らせて相手打者を幻惑するという投法を駆使していたけど、実在の選手にこういう姑息なマネをさせるというのは侮辱に近いものがあると思う。こういうのこそ、水島オリジナルキャラにやらすべきじゃないかな。昔はもうちょっと実在の選手たちには敬意を払ってたと思うんだけど。

【雑誌】LaLa 3月号 白泉社 B5平 [Amzn]

 森生まさみ「きゃらめるBOY」が再登場。昔、キャラメルのCMに出て人気者となった美少年・瞬くんと、彼が好きで好きでたまらないお隣のおねえさん・もとかのドタバタラブコメ。瞬くんはもとかに冷たい態度をとったりしてイジメるけど、実はすごい勢いでメロメロで……という物語。生意気だけれどかわいいところもある少年を楽しそうに描いてて、きっちり読ませる。うまいですね。

 辻田リリ子「笑うかのこ様」も再登場。転校先の学校でクラスメートにとけこもうとせず、もっぱら人間観察を趣味としているちょっと変わった女の子・かのこちゃんの学園生活を描いたコメディ。まだ垢抜けないところもある作風だが、主人公キャラいにハッキリした特徴があるんで、けっこう楽しく読める。多少クセのある絵柄もかえって印象に残るし。

【雑誌】コミックメガGOLD Vol.5 コアマガジン B5平 [Amzn]

 表紙で顔に液体ぶっかけられてるねえちゃんがどうにも初音ミクですのう。田沼雄一郎の新連載「THE ARK FILE」。クモと人間が融合したような感じの身体をした娘さんが、謎の組織のメンツによって人体実験されたり、男どもの慰みものにされたり……といった具合のお話。彼女は何者で、なぜこんなことをさせられているのだろうと思ったら。ラストの部分が効いてますね。タイトルも読み終わってみるとなるほどなあという感じ。

 作:本所吾妻橋+画:けいじえい「MILFの時間」。人妻が自宅でこっそり売春をしているのだが、その弱みにつけこむ男が現れて……といったストーリー。売春してるので「清楚」とはいいがたいけど、むちむちした奥さんの身体つきはなかなかエロい。責められてメロメロになってちんこを求めてしまうあたりもいい具合。

 鮭「幼なじみ」。主人公と美人女子大生姉妹が3人でガンガンやりまくる。なめらかな絵柄派手めにエロシーンを展開していてなかなか。つるんとした質感で、だっぷんだっぷんとボリューム感のある体つきがグッとくる。明るめな絵柄なんで親しみやすくもある。あと天竺浪人「石榴II 後編」は息子の友達に犯されまくっているママンが、相変わらず艶めかしくてエロチック。

【雑誌】姫盗人 3月号 松文館 A5平 [Amzn]

 久々に購入。巻頭カラーはBENNY’S「みみ先パイ」。おっぱいの大きな水泳部の先輩女子・美々さんと後輩男子が、彼氏のおうちでエッチしちゃうという内容。手慣れた作風だけどやっぱ安定感あるしエッチだしラブラブだし……ということで楽しめる。奥手に見えた先輩が、実はけっこうエッチだったというオチも、スウィートな後味があってよろし。

 塚本エミイ「同・姓・異・名」。名字が同じということでクラスの連中にからかわれていた石田くん、石田さんのお話。シンプルな描線ではあるけど、少年少女のトキメキあふれるエッチを爽やかに描いてて、なかなか楽しめた。エロ度はそんなに高くないものの、なかなかいい感じだと思います。

 狩野蒼穹「いんらんストーカーズ」2話め。どこで描いても変わらぬ味。ストーカー女子に告られてつき合うことにしちゃった主人公・裕太。おうちで二人がやっちゃうという内容。これまた裕太のことが好きである姉はそれを止めるものの、好奇心には逆らえず、部屋の外で洩れ出る声をリスニング。まあお得意の姉弟モノではないものの、やっぱ姉はお話にからませ、いずれやっちゃうのかなあという感じにしているところはこの人らしい。かわいい絵柄もやっぱり良い。

【雑誌】Comicモエマックス 3月号 モエールパブリッシング A5平 [Amzn]

 大波耀子「Yes★Master! −Junior−」。大金持ちの旦那と、獣人メイドの間に生まれ、嫡子として迎え入れられたお坊ちゃん・秀明が主人公。彼は、一緒に生まれたがメイドとして使われている実の姉・梅鈴と関係を持っていたが、親の命令で見合いさせられることになる。エッチシーンは、ラブラブながらも切ない雰囲気もあってなかなか。秀明を見つめるお姉さん・梅鈴の優しそうな様子が好ましい。

 土居坂崎「ANMA」。ラクロスやってるねえちゃんが、盲目の(と偽ってる)按摩さんのマッサージによって感じさせられ、そのまま……という内容。この手の性感マッサージ系の話は、自分はわりと好きです。女の子がだんだん感じさせられていって、身体が勝手に〜ってな感じになってしまう様子がエロっちいんで。

【単行本】「うそつきなきみ。」 大波耀子 モエールパブリッシング A5 [Amzn]

 ラブラブでかわいいエロを描く大波耀子の新刊。こぎれいだけどほんのり甘い感じの絵柄がいい雰囲気だし、お話のほうも毎度安定している。今回収録の中では、まず表題作の「うそつきなきみ。」シリーズ全3話が良い。1話めで先輩男子・三太と、後輩女子・歩ちゃんが結ばれる話を描き、2〜3話めでこのカップルがそれぞれ相手には隠していた、別の人物との恋物語が描かれる。2話めは歩とその兄、3話めは三太と幼なじみ女子のエピソード。主役である三太と歩がつき合い始め、二人はそれぞれが昔から抱いていた淡い恋心に終止符を打つ。甘さと切なさの同居する物語が、爽やかな読後感を残してくれる。

 また、髪の毛がやたらピンピンはねるクセッ毛のヒロインと、彼女の髪のことを馬鹿にしない男の子とのラブストーリー「ウエービーハニー」シリーズも読んでて楽しい作品。髪の毛もしゃもしゃでそばかすのある、ちょっと幼い感じのヒロインさんがキュートでいい。そのほかのお話も、基本的にはラブラブカップルのお話をほの甘く描いていて好感が持てる。あんまりドギツくはないもののちゃんとエッチもしてるし、あんまりエロ漫画慣れしてない人にもオススメできる佳作が揃っている。


1/23(水)……灰とグラボ

▼パソコンから映像をディスプレイに表示するための拡張カードのことを、「グラボ」(グラフィックボードの略)と呼称するケースが最近増えてますが、自分的にはいまいち慣れません。自分が以前編集していた雑誌での表記が「ビデオカード」だったので……。雑誌によっては「ビデボ(ビデオボード)」をしてるところもありますが、これもなんか違和感あるんですよね。でもまあ「VGAカード」「VGAボード」よりはいいか(「VGA」のそもそもの意味が「640×480ドット・16色のグラフィックスシステム」なんで)。

【雑誌】スーパージャンプ 2/13 No.4 集英社 B5中

 作:鍋田吉郎+画:岩田やすてるの新連載「プリンシパル 諭吉の学校」が開始。元々は超敏腕なM&A会社の社長だった主人公が、妻と別れて離れ離れになっていた娘のために、小学校の校長をやるというストーリー。まだ学校の校長としてどういう手腕を示していくかはよくわからんですが、まずまず手堅く楽しめそうではある。

 星野浩宇「濱〜孫子異伝〜」。道中で出会った二人の老人を助けたことで気に入られた孫濱は、彼らの村に連れていかれ、「孫を嫁にしろ」とせっつかれる。けっこうかわいい嫁に誘惑されたりして、孫濱モテモテ。以前から「サイカチ」のカミムラ晋作に似た作風だなと思ってたけど、こうやってお色気要素を注入してくるところも似通っている。激しさや勢いはあるけど、萌え要素も忘れない。けっこう面白いです。

【雑誌】週刊少年サンデー 2/6 No.8 小学館 B5平

 渡瀬悠宇が初登場。少女漫画方面では確固たる実績のある人だけに、今回の「パンドラキューブ」もさすがに安定感がある。学校でクラスメートによるイジメに遭っていた少年カズヤ。気の弱い彼だが頭は良くて、パズルなどで才能を発揮する。そんな彼が学校の美術室に置かれていた怪しい箱に閉じ込められていたイジメっ子を助けるため、ギリギリの冒険をする。パズル的な謎解きの面白さと、友情物語が共存してて面白く読める。お話の中心となる怪しい箱の存在については、ちょっと都合良すぎっていうか、「なんでそんなもんが学校にあるんだ」っていうところはあるかなあって気もしなくはないですが。でも少年誌向けにちゃんと調整してきてるなって感じはします。

 新井隆広「ダレン・シャン」(原作:Darren Shan)。ダレン・シャンが、入学した学校でかつてのガールフレンド・ヘムロックと再会する。ダレン・シャンは13年前の姿のまま、ヘムロックは女教師となっていて、ヘムロックは戸惑うけれども彼女にもなんだか怪しいところがあり……といった展開。とはいえ、ダレン・シャンとヘムロックがイチャイチャしている様子自体は楽しいものがあり、ラブラブしいものを感じさせてくれた。

【雑誌】週刊少年マガジン 2/6 No.8 講談社 B5平

 森川ジョージ「はじめの一歩」が連載800回に到達。漫画のほうは本編よりも、西本英雄「もう、しませんから。」でゲーム対決してる様子のほうが印象に残ったりした。西本漫画に出てくる森川ジョージは、いつもながら大人気ない。

 吉河美希「ヤンキー君とメガネちゃん」。前回のパソコン部オタクコンビ訓練編の続き。このネタ引っ張るのか……と思った。オタク二人の秋葉原での行動が妙に気合い入ってておかしいが、ちゃんと学園友情物語にもなっている点は良い。なかなかいいヤツらじゃないか、と思った。

 小林尽「スクールランブル」。ドラマチックな展開が続く。八雲が播磨に告白という流れになるものの……という展開。それを沢近さんらも目撃してて、播磨をめぐる状況はますます分からなくなってきた。それにしても播磨はモテモテですのう。

【雑誌】メンズヤングスペシャル雷 Vol.5 双葉社 B5中

 けろりん「ラブフール」3話め。失恋したばっかりの女の子・由美の部屋を訪れたバイトの後輩少年が、由美の姉の英美と一緒にエッチするというお話。華のある絵柄で青春ラブストーリーを展開していて楽しい。鋭さと暖かさのある気持ちの良い絵柄はいつものことながらたいへん魅力的。

 ドリルムラタ「背徳ラボ」。ちょっと妻とケンカ中の主人公が、妻の親友の家に遊びに行って、酒飲んで寝こけた妻を前にエッチしちゃうという内容。親友のほうは未婚だけど、妻の人とお友達ということで、準人妻格といった感じ。それを妻への対抗心を煽りつつ堕としていく過程はけっこうエロかった。豊満で柔らかそうな体つきも良い。

 三上キャノン「203号室恋物語」は、交通事故で入院したあんちゃんを、幼なじみ娘がお見舞いしてそのままエッチに突入というお話。最初のエッチはちょっと強引だったけど、ラブラブな締めくくりは後味が良い。あと法田恵「結婚シミュレーション」もいいですな。ちょっとお試しで同棲生活をしてみたクラスメート男女が、一緒に暮らすうちにいいムードになってエッチしてくっつくというお話。ツンデレな彼女さんがけっこうカワイイ。

【単行本】「えろいも」 魔訶不思議 ヒット出版社 A5 [Amzn]

 こなれた絵柄でロリ系の漫画をいろいろ。相変わらずうまいしエロいです。丸みのあるある線は見てて心地が良く、エロを楽しむっていう感じがすごくある。小さな娘さん方の身体をまろやかに描いている点も良いけど、ちんこのフォルムとかもいいですな。すでにエロ漫画家としてのキャリアはかなり長い人だけど、いまだ衰えない定番的な味わいがあります。

【単行本】「Heaven’s Door」 稲葉晃次 メディアックス A5 [Amzn]

 元々は数年前に出ているはずの単行本だったそうで、収録作品も2001〜2004年の作品が多い。司書房のコミックオルカ収録作品などを中心に、近作をちょっと追加した単行本。まあそんなわけで現在のエロ漫画の潮流からいえば、ちと古めに感じる作品も多いんだけど、シンプルな描線ながらエロさを感じさせる作風は今読んでもそれなりに楽しめる。ライトで明るい絵柄であるにも関わらず、けっこう凌辱色が強かったりするのが特徴。もうちょっと早く出ていればなあって感じはします。あと稲葉晃次って、筋肉胸毛と御手洗ぜっとの合同ペンネームだったんですね。二人ユニットだとは知らんかった。


1/22(火)……甲府−九龍

OHP月極アンケート2008年1月分、「ベスト雑誌2007」の投票締切が近づいてまいりました。31日いっぱいで締め切る予定ですのでよろしくお願いします。投票ではなく、各雑誌に関する雑談等も歓迎です。

▼第53回小学館漫画賞(http://comics.shogakukan.co.jp/mangasho/)が発表。くそー、一般向け部門は石塚真一「岳」が来ると思ってたのに外した……。最近のオリジナル誌面や車内吊り広告、書店での「岳」プッシュぶりからして、こりゃ来るだろと思ってたんですが。なお、実際の受賞作は、黒丸+夏原武「クロサギ」と、せきやてつじ「バンビ〜ノ!」でした。そういえば小学館漫画賞って、近年はドラマ化された作品が強いんですよね……。あと少年向け部門で講談社の寺嶋裕二「ダイヤのA」が選ばれてるのはちょっとしたサプライズ。

【雑誌】コミックハイ! 2月号 双葉社 B5平 [Amzn][定期購読:Fujisan

 今号は「こどものじかん」がおやすみ。

 巻頭カラーは中田ゆみ「ちゅーぶら!!」。この回で印象に残ったのは、奈由たちの先生である巨乳女教師・水野さん。学生時代の奈由の兄の後輩で、彼のことが好きだった水野先生が久しぶりに彼に会ってドギマギしている様子がかわいらしい。あと奈由たちがお風呂に入って、陰毛の話をしてるあたりが初々しくて良かったです。

 紺条夏生「妄想少女オタク系」。阿部くんに惚れてしまったらしき百瀬さんは、さっそく浅井さんに対してちょっかいをかけてくる。まだつき合うとかいう状態にはなってないものの、浅井さんとしては複雑な気分。気持ちに整理をつけられないまま悩む女子の姿が微笑ましい。以前から面白かったけど、最近とみにラブコメとして加速してて楽しい。

 石田敦子「魔法少年マジョーリアン」。イオリが姉の真由となんかコンタクトをとっていると知って、マサルの心は千々に乱れる。このところなかなかすごい状況になってきてますね。マサルくんは腕白少年なんだけど、どう見ても心は同性であるイオリのほうに向かっている。あまつさえ姉・真由とつき合ってるのではないかという疑念が渦巻き、嫉妬に身を焦がす。自分をどうしたらいいか持て余している感のある、マサル君の今後がたいへん気になる。イオリを諦めたら姉の真央と近親相姦コース、イオリに執着すればボーイズラブコース。どっちに行っても業が深い。相変わらずキャラを追い詰めますねえ。

 友美イチロウ「みーたん」。前号で最終回と思ったら、なんかタイトル変えずに友美イチロウの絵日記が始まっていた。編集部とのいろいろがあって、たいへんそうだなーという感じ。

【雑誌】イブニング 2/14 No.4 講談社 B5中

 日本橋ヨヲコ「少女ファイト」。キャプテンさんと面談して、自分の過去について語ることになった練。その後、キャプテンのトスでスパイクを打った練の様子が、なかなか面白い。スパイクの威力は胸がすくものがあるし、キャプテンさんに投げかけた言葉もこの娘さんらしくて面白い。

 小熊隼人の新人漫画家奮闘記「まんがバカ幸福論」が久々掲載。この作品はけっこう好き。担当編集の高圧的な姿勢に不利まわされっぱなしな作者の姿が、生々しくも軽妙なギャグとして描かれていて楽しい。編集者さんの遠慮会釈のない暴君ぶりが面白いです。

 北叢鼎「元犬」前編。時代劇モノのコメディ。酒飲んで暴れて飲み屋の器物を破損。身ぐるみもってかれた主人公が、道端でとある飼い犬の死に立ち合い、その飼い主を訪れるが……といった物語。落語の「元犬」は、犬が人間になるというお話だけど、これは勘違いが元で人間が犬の生まれ変わりとして扱われるって話になりそう。新鋭ながらわりと落ち着いた作風で、憎めない味わい。

【雑誌】ヤングチャンピオン 2/12 No.4 秋田書店 B5中

 葉月京「恋愛ジャンキー」。今回のお話からすると、もしかして三上と詠美がくっつくとかかな? そうなるとしたらちょっと意外な展開だなあ。でもまあ落としどころとしてはちょうどいいかも。

 あづまゆき「ママは同級生」は2回め。同級生女子が父親の後妻となって一緒に暮らすこととになってドキドキ……というラブコメ。同級生ママさんは、クラスでは全然目立たないけど、ちゃんとめかしこめば美人で、なおかつ巨乳。わりとおいしい状況ではあるが、主人公がフリーではなく、すでに同級生彼女が別にいるっていうのがこの手のお話としては珍しいかな。同級生彼女は主人公にベタボレで、こっちのほうもかわいかったりする。個人的にはこの同級生彼女さんのほうを応援したい。巨乳に翻弄されるのは俺だけでいい。

【雑誌】漫画サンデー 2/5 No.5 実業之日本社 B5中

 新連載、作:向谷匡史+画:神田たけ志「闇貸師 −喜三郎手控−」が開始。江戸時代を舞台にした闇金融モノといった感じの作品。金に困っているからといって庶民を圧迫する武士や、暴利をむさぼる悪徳商人らを、闇貸師の喜三郎が懲らしめるって感じになるのかな。第1話の段階では、喜三郎がどのような仕置きをするのかは明らかになっていないけれども、作風は完成されているので、ガッチリ手堅く行きそう。

【単行本】「相思相愛ノート」 フクダーダ コアマガジン A5 [Amzn]

 エロさと甘さと爽やかさが共存する作品集。登場するヒロインはおおむねグラマラスな巨乳系。年齢層は女子高生くらいが多い。この単行本では、同じ学校内という舞台は共有しつつ、複数カップルのエッチが描かれていく。青臭さを感じさせながら、甘いラブラブ話をまとめていく手際はブレがなくて、なかなかうまい。グラマラスな女体やら、過不足なく描かれた局部も十分エロっちい。

 でも個人的に、この人でいいなと思うのはストーリー面が読んでて気持ちイイところ。恋人同士、あるいはこれからつき合おうというカップルの物語を後味爽やかに描けているのがいい。収録作品の中では「いつのまにか二人は」がとくに好き。同じマンションに住む、すでにやったこともある幼なじみカップルが、彼女が風邪になったのをきっかけとして再び身体を重ねるというエピソード。サバサバしているようで、ラストで彼に対する愛着をあらわにするヒロインの表情と、二人の間が心地よい。

 ちょっとクセのある絵柄だけれども、エロをみっちりやってて、なおかつラブラブなお話を読みたいって人にはオススメできる単行本だと思う。


1/21(月)……スーパーマン型衣装

▼書店の漫画担当者の人を中心とした、漫画のベスト企画「マンガ大賞2008」の1次選考が終了。運営ブログにて、2次選考のノミネート作品12本が発表されています。この12本の中から大賞が決定されるとの由。自分も投票させていただいたんですが、自分が入れたのが1個も残ってなくてありゃりゃという感じでした。ちなみに自分が入れたのは以下の5作。

柴田ヨクサル「ハチワンダイバー」
作:綱本将也+画:ツジトモ「GIANT KILLING」
勇人「はなまる幼稚園」
水上悟志「サイコスタッフ」
ゴージャス宝田「キャノン先生トばしすぎ」

 下3本はともかく、上2本、とくに「ハチワンダイバー」が2次選考に残らなかったのはちと意外。「サイコスタッフ」「キャノン先生トばしすぎ」は、単行本の発売時期の関係で「ダ・ヴィンチ」や「このマンガがすごい!」とかでは入れられなかったということもあって入れてみました。まあ「キャノン先生」は、ジャンル的に見てもダ・ヴィンチに載っけるのは難しいでしょうけど。ノミネート12本に入ってるものでは、「皇国の守護者」「岳」あたりは、ダ・ヴィンチのブック・オブ・ザ・イヤー2005で入れたので今回は外し。「鈴木先生」とかも2006で入れてるので、こちらもあえて選びませんでした。

【雑誌】ヤングマガジン 2/4 No.8 講談社 B5中

 佐々木昇平のおばかなこどもギャグ「ガキジャン」が今号から5週連続で掲載。読切シリーズとしてときどき掲載されていた作品で、荒削りだけど勢いはまあまあある。ネタ的には光る部分もあるし、絵にもう少し魅力が出てくれば、といったところ。

 平本アキラ「やりすぎコンパニオンとアタシ物語」は最終回。終盤はかなりぶっとんだ展開でけっこう面白かった。今回のコーラ尻からイッキ飲みネタとかも激しかったし。で、ちょっと休んでNo.11から「アゴなしゲンとオレ物語」が復活予定。あと次号からは押見修造「ユウタイノヴァ」の新章がスタートする模様。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 2/4 No.8 小学館 B5中

 三上龍哉の新連載「鬼龍院冴子探偵事務所」がスタート。美人ではあるけどぶっとんだ性格の探偵事務所所長・鬼龍院冴子が巻き起こすドタバタを描いたギャグ漫画。ちょいお色気ありで素っ頓狂なギャグをやっている。個人的には爆笑するというほどではないが、地味に持ち味は発揮していきそうな気配。

 曽田正人「MOON −昴ソリチュードスタンディング−」。盲目のダンサー・ニコとのリハーサルで、ついに昴がその才能をいかんなく発揮する。今回はバリバリにアツいというよりは、いくらかクールで「してやったり」という感じのほうが強いかな。まだリハーサル段階なので、本チャンのステージではもっとアツくなるんでしょう。どういうパフォーマンスが見られるかは楽しみなところ。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 2/4 No.8 集英社 B5平

 読切で高橋一郎「OBAKE LIFE」が掲載。とある漫画本にかけられた呪いによって追い詰められた少女を、幽霊少年が救うという物語。まだ絵的にはそんなにうまくはないけれども、シンプルな作風で読みやすく、まずまず楽しめた。ただちょっと残念なのは、キャラの名前が全然出てこない点。いちおう幽霊少年は「K太」とちょっと名乗るけど、それは適当につけた仮名みたいなもんで、一ヶ所しか出てこない。またメインの娘さんは一度も名前が出てこない。ジャンプだととくにキャラ勝負なところがあるんで、もうちょっとキャラを印象づける工夫があったほうがいいと思う。あと敵役の霊の最期のシーンはもう少しビジュアルで見せてほしかったかな。

 許斐剛「テニスの王子様」。「10年に一度の逸材集いし群雄割拠のこの年−」というセリフが地味ながらツボにハマる。こんな異能戦士たちが10年に一度ぽんぽこ出てくるのか……。改めて恐ろしい世界だ。あと雑魚キャラである「浦山しい太」くんのあまりにぞんざいなネーミングに感動。

【雑誌】コミックマーブル Vol.4 竹書房 B5中

 気軽に読める誌面でそんなに悪くはないのだけど、目立った特徴はないし、エロメインってわけでもない一般青年誌で3ヶ月にいっぺんぺースの発行だとやはりインパクトは弱い。そのわりには意外と続いてるなというのが正直な印象。せめて隔月発行くらいにならんもんですかね。そうでないと連載モノは話忘れちゃうんで。まあ隔月でもコンビニ売り中綴じ雑誌としては間隔空きすぎではあるんですが。

 竹下けんじろう「あまガミ」は3回め。主人公である転校生・神楽と昔友達であったらしい、しかし神楽はそのことを忘れているらしい、クラスメート女子のユカリちゃんがわりと良い具合。ラブコメになりそうなムードを醸し出しつつある。地味なめがねっ娘だが隠れ巨乳であったりするところがポイント。なお今回は、ユカリちゃんが不良学生にからまれてピンチ。そこに神楽と、その家に居候してる天神サマが駆けつけるというお話。

 888「天邪鬼的な彼女」。主人公である吉川に、子供っぽい嫌がらせを仕掛けてくるクラスメート女子の神谷さん。「好きな子にはイタズラしてしまう」という気持ちなのかと思いきや、なかなか彼女はそのことを認めようとせず。甘酸っぱい青春ラブコメを展開しててけっこう良かった。ヒロインの神谷さんも、ツンデレ感が漂っていてなかなかかわいい。888の絵は華やかで良いですな。

【単行本】「モンスターキネマトグラフ」 坂木原レム 徳間書店 B6 [bk1][Amzn]

 これはなかなか良い作品だと思います。興奮すると巨大怪獣に変身してしまう女性・マミヤさん。戦時中は兵器として最前線に投入されていた彼女だが、戦後の日本ではその力は不要なものでしかなかった。そんな彼女が、怪獣映画への出演を依頼されたことをきっかけに救われ、政府のお目付け役であるナカジマさんと共に新しい生活を築き上げていく。

 「主人公が怪獣に変身する女性」という奇抜な設定ながら、怪獣アクションものとかにはならず、一人の女性の物語を丁寧に描き出しているのがまず面白い。マミヤさんは「怪獣である」という負い目があるため、普段の生活では一般人以上に控えめ。その奥床しさ、健気さは好感度が高い。また彼女を取り巻く、ナカジマさんをはじめ、映画の製作スタッフ、マミヤさん同様に変身能力を持つ少女・クミちゃんといった登場人物たちも、気の良い人々が揃っていて、彼らとともに織り成されるドラマはなかなかに味わい深い。

 あとけっこう随所にユーモアが効いているのも楽しいポイント。怪獣女が普通のおねえさんとして生活している情景は、それだけでもシュールでユーモラスだったりするし、マミヤさんが興奮するきっかけとか作りの部分とかも面白い。マミヤさんのウブな性格が見てて楽しいのです。

 作画も良い。ちょっと比古地朔弥を思わせるような、鋭さと懐かしさをあわせ持った絵柄。パッと見地味っぽいけど、しっとりした情感があっていい。マミヤさんのひっそりした普段の生活を、しみじみした雰囲気で描いている。作画、作劇がしっかりしているうえ、キャラの表情のつけ方とかもいい。派手ではないものの、実力はかなりなもんだと思います。

 本作はComicリュウで連載された作品だけど、現在発売中の2008年3月号[Amzn]には、単行本未収録の番外編エピソードも掲載されている。単行本読んで気に入ったら、そちらもぜひチェックしてほしい。番外編も、本編よりギャグテイストが強くて、なかなかいい感じでしたぞ。

【単行本】「どきどき魔女神判!」1巻 八神健 秋田書店 B6 [bk1][Amzn]

 八神健がノリノリ。主人公である少年・アクジが、天使であるルルにそそのかされて、人間界に潜む魔女を探していくというストーリー。で、魔女は普段は人間の姿をしているため、アヤシイと思われるターゲットに対して、「魔女神判」と呼ばれるテストを行っていくことになる。この魔女神判の方法が、少女の全身を筆でコチョコチョしたり、アクジ自身が小さくなって身体中を這いずりまわったり……というセクハラバリバリなものばかり。神判によって少女が悶えまくらせ、「ひゃあ!」とかいわせちゃうのがこの作品のキモなわけだ。

 これだけでもずいぶんぶっ飛んだ内容なんだけど、漫画ではさらに、パロディネタやオタクネタ、きわどい描写ももりもり。女の子をゲームのコントローラに見立ててボタンを連打とか、「シグルイ」とか、はちゅねミクとか、ボーイズラブとか……。回を重ねるごとにネタのヒネりっぷりが激しくなっていって、なんだかすごい。

 八神健の絵は「ななか6/17」とかでもおなじみなとおり、シンプルで明るくキュートって感じなので、ぐっちょんぐっちょんエロいって感じではないんだけど、一昔前の少年漫画エロのような雰囲気はけっこうあって、なんか心が華やぐものがある。「ええもん見たな」っていうウハウハ感があるんですよ。やってることは大胆だけど、下品になりすぎないバランス感覚が素晴らしい。作者がすごく楽しそうに描いてるなーと感じる一作。


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