2008年4月下旬


4/30(水)……テレビとササクレート

【雑誌】モーニング・ツー 6/1 No.9 講談社 B5中 [Amzn]

 この号から月刊化。「毎月22日はモーニング2の日」とうたっており、今後は22日発行になっていく模様。

 オノ・ナツメの新連載「COPPERS」が開始。ニューヨーク市警の51分署(という言い方が正しいかは知らないですが)で働く人々のドラマを描いていく群像劇といった感じ。まず第1回はいろんなキャラの顔見せという感じなので、まだなんともいえないけれども、作者的にはNYPDの同人誌を出してたりしたので、好きなネタのはず。楽しんで描いてくれればきっと面白い作品になるだろうという期待は十分。月刊化されたモーニング2の看板作品に育っていってくれると良いですな。

 西島大介「世界の終わりの魔法使い」は最終回。最後は暴れん坊の第一王子・クリスパンの運命を切なく描いており、泣かせる締めくくりだった。悲しいけれども穏やかな終わり方が印象的だった。山下和美「不思議な少年」。戦後日本にはまるで似つかわしくない、お姫様のように着飾った女性・リリィ。不思議な少年が化けた米兵に恋をし、老婆になっても彼を待ち続けた彼女の生き様を描いていく。自分は見たことないんですが、あらすじ的には「ヨコハマメリー」に近いかな〜という感じの回だった。しんみりとした気持ちにさせてくれるエピソード。

 城戸みつる「ささくれと枝毛」2話め。「名探偵 金田畑ホーナンボの事件簿」という作品を描いているんだけど、読切の短いページ内にミステリ全編を収めるため、探偵が出てくる容疑者たちを急かしまくってザクザク事件を解決に持っていく様子が下らなくて面白かった。強引で馬鹿馬鹿しくてノリが良い。

【雑誌】ヤングキングアワーズ 6月号 少年画報社 B5平 [Amzn]

 水上悟志「惑星のさみだれ」が巻頭カラー。普段はけっこう呑気な調子のお話ながら、要所要所では容赦ない。気持ちの良いラブコメ展開を見せたかと思ったら、一気にズガンと引き戻す。今回はそこまでの前振りもあっただけに、ショッキングではあった。絵ヅラ的にもインパクトがあったし、一気に読者を物語に引き込む。やっぱこの人はうまいです。

 大石まさるは今回「水惑星年代記」をお休みして、「月刊サチサチ」をまとめて。4ページのショートエピソード×7という変わった構成。本当に最近の大石まさるは、そのときどきで自由に描きたいものを描いている感じですねえ。まあ現場サイドでは計画的にやってるのかもしれないけど、少なくとも読んでる側、ていうか自分にはかなりのびのびやってるように見えます。

 読切で登場、高内優向「遊星からの少女」。幼いころに一緒に山に行ったときに遭難し、行方不明になったはずの少女が、10年ぶりに主人公の前に転校生として現れる。彼女はパッと見は普通に成長していたっぽいが、なんだかおかしな点が多数あり主人公はいぶかしむが……。けっこうカワイイ絵柄でドタバタした愉快なストーリーを展開していて、わりと好印象。やっぱ明るくてカワイイ絵柄がいいですね。絵的には違うけど、あさりよしとおチックな感じかな。

【雑誌】コミックバーズ 6月号 幻冬舎コミックス B5平 [Amzn][定期購読:出版社

 うめ「大東京トイボックス」の本編が再開。これまでしばらく番外編をやっていたが、今回から本題のゲーム作りの話に戻った。次世代ゲーム機の開発をめぐる共同開発事業「SOUP」をめぐり、その仕掛人であるソリダスの仙水と、太陽らがさっそく激突。番外編は番外編でそれぞれのキャラの意外な側面が見えて楽しかったけど、お話としては本編のほうがガツガツ来ててアツい。

 新連載、上月まんまる「らす☆ボス」。美人で有名な3姉妹が住む神社に、魔王を名乗っているけど姿は赤ん坊ライクな魔物、通称ベビルくんが現れる。そして、3姉妹のうちでもとびきりの怖がりな愛らと一緒の生活が始まっていくという感じ。明朗快活なドタバタコメディといった感じ。きっちりした絵柄で、女の子キャラはそれぞれかわいく描かれており、初回としてはまずまずといったところ。

 新連載もう一つ。作:あおい+画:高嶋ひろみ(南京ぐれ子改め)「借金カノジョ」。主人公の岡村幸輝は、カワイイ彼女ができ同棲を始めることになって有頂天。しかし彼女はそのお人好しな性格のせいで多額の借金を抱えていることが判明。そこで人のいい幸輝は、彼女と一緒に借金完済を目指して頑張っていくのだった……というお話。ドタバタ軽めのノリで、高嶋ひろみの絵はかわいい。まあまあ楽しめるのでは。

 読切、ホコ「世間知ラズ」。保健調査員の山崎が、学生時代のクラスメートだった男が死んだ原因を探っているうちに、彼の人となりを再発見していくという物語。バサバサした感じだけどちょっとコジャレた風味のある描線が独特で、わりと渋味のある物語を展開していて読ませる。沼田雄一郎「まりかとさだめ」。女子高生たちのおかしな人間模様を描いたお話。なんだか不気味な人形みたいな感じの絵で描かれた女子高生たちのルックスがユニークで印象に残る。

【雑誌】キャンドール 6/13 VOL.53 実業之日本社 B5中 [Amzn]

 西野映一「ツンな彼女がデレるまで」は今回もラブコメしてて楽しい。主人公の御堂君とエッチな関係を持ってしまた先輩女子の相川さん、御堂くんのことが好きな同級生の牧村さん、二人ともけっこうかわいく描けていて見てて面白い。この人の作風は、ラブコメ風味が強くてなかなか楽しい。女の子キャラが顔赤らめてる様子がええ感じですね。

 小石川ふに「加納家の事情」。おにいちゃんも告白して、ゆかとなかなかいいムード。眼鏡かけて恥じらってるゆかちゃんがかわいくてええ感じでございました。ただその二人をちかがちょっと切なげな目で見つめているのが気になるところ。次号あたり動きがあるかな。

 中田ゆみ「私の大事なだんなさま」。幼なじみのお姉ちゃんがメイドとして家に来ることになって……というところから始まるラブコメ。お姉ちゃんがけっこうツンデレ娘で良い具合。相変わらず甘めのラブコメはうまいです。このほか、みこくのほまれ、むつきつとむなど、すずきみら、琴の若子、あずまゆきなど、安定感のあるメンツが揃っているので手堅く楽しめます。わりと完成度高い雑誌で長く続いてるけど、なかなか独立創刊はしないですね(週刊漫画サンデーの増刊扱い)。

【単行本】「新世紀エヴァンゲリオン 碇シンジ育成計画」5巻 高橋脩 角川書店 B6 [bk1][Amzn]

 この巻でも引き続きラブコメエヴァ全開。鈍感なシンジ君が、幼なじみのアスカと、綾波の間で行ったり来たり。片方にちょっと傾いたかと思ったら、もう片方が攻勢をかけるといった具合。ただ、林ふみのが描いた「鋼鉄のガールフレンド 2nd」がアスカ寄りだったせいか、こっちのほうが綾波寄りになっている感じ。まあそれはともかくとして、ハーレムラブコメ状態はウハウハ感があって、けっこう楽しく読める作品に仕上がってると思います。純情な綾波も良いし、ヤキモチ焼きなアスカもこれまた。

【単行本】「ホワイトカオス」2巻 濱元隆輔 双葉社 A5 [bk1][Amzn]

 完結。平凡な女の子だった七種ナナミちゃんが、この世の善悪のバランスを崩しちゃうほど善行尽くしだった前世の分、悪い子とをすべく、天界の「善悪管理課」の人たちに悪いことを教わっていく……というドタバタコメディ。この巻ではナナミがどのくらい悪くなったかを示すバロメータ的存在である、ホムンクルス少女のナナが登場。とくにラストのあたりは、ナナをめぐってお話を盛り上げている。シンプルながらも独特の味がある線で描かれた作画は相変わらずとてもかわいく、ドタバタしたギャグもまずまず面白い。軽やかなノリで楽しめる一作。


4/29(火)……荷馬の移動

▼本日の漫画感想は全部エロ漫画で。

【雑誌】コミックホットミルク VOL.05 コアマガジン B5中 [Amzn]

 うろたん「NewmanoidCAM」が復活。パピポが休刊したため、連載途中で中断していたが、場所を変えて再始動。今回は「ラストエピソード」と銘打たれており、ラストまで続けるっぽい。ヒトと獣の遺伝子を組み合わせた人工生命体「ニューマノイド」の少女たちが、さまざまな事件に挑むというのが大まかなストーリー。見どころは、ニューマノイドのキャムをはじめとした女の子たちが、ガッツンガッツンやられるところ。口や性器などの描き方がぴっとり吸いつくような感じでたいへんエロい。今回はキャムのエッチシーンはほとんどないが、キャムは治安警察の先輩であるスコットが好きなので、寝取られ感も楽しめる。コンビニ売り雑誌なので、ポプリのときよりは消しは大きめだけど、ここらへんは単行本に期待。

 巻頭カラーは来鈍「妹の快楽」。どうしても妹とコスプレエッチしたいお兄ちゃんと、それにつきあってしまう妹のお話。達者な塗りとキュートな絵柄で華やか。汁気たっぷりなエロシーンも十分いやらしい。松本ドリル研究所「まマまま!」も巻頭の次でカラーページあり。冒頭の女の子いっぱい海辺で乱交シーンは、小梅けいと「花粉少女注意報」をちょっと思い出した。石恵「知らないトコでIROIRO」。おなじみ、エロエロラブラブ兄妹シリーズ。つやつやした肌は毎回見応えがあり、短いながらもしっかり使える。回を重ねるごとに、妹さんのデレデレ度が上がってるのもいいですね。

 月野定規「正しい性教育のあり方」はなかなかエロっちいですな。性教育の授業のため、二人の女教師がクラスの男子たちみんなをいっぺんに相手にする。最初は戸惑っていた女教師も、何度もヤラれて中出しされているうちに、頭がトロトロになってしまう。エロ行為に酔いしれる様子は実用度高し。まあお話的にはヤッてばっかりって感じだけど、激しいエロシーンでしっかりヌケる作品だった。

 ヒヂリレイ「SEX JUNKIE×OL」は、たいへん精力旺盛で会社中の男を食いまくっているOLさんが、たまりまくって人の良さそうな後輩社員に手を出す。彼は顔は地味だけど実は超絶倫男で……。作画は相変わらずのクオリティの高さ。お話のほうも明るくてわりと楽しいです。

 野良黒ネロはホットミルク初登場。「計画的な彼女」。つき合い始めた後輩彼氏が好きすぎる先輩女子が、とにかく予定をぎっちり詰め込んで、彼との夏休みを満喫しまくろうとする。欲望丸出しで彼氏に迫る彼女さんの様子が楽しいし、エロシーンもテンション高くてなかなか。野良黒ネロのエロシーンは、柔らかくてトロけたような表情がいいですね。

 しなま「温泉では別の顔!」。学校ではしょっちゅうぶつかっていた主人公と生徒会長の女の子。卒業後、彼女は実家の稼業を継といって田舎へ帰ってしまったが、主人公が傷心旅行で訪れた温泉宿で彼女が女将として出てきて……という内容。ラブコメ風味が楽しいし、ヒロインの弾けるような笑顔が魅力的。快活で好感が持てた。

【雑誌】快楽天 6月号 ワニマガジン B5中 [Amzn]

 てりてりおと天瀬晴之が初登場で、なかなか充実したラインナップ。表紙は鳴子ハナハルでカラー漫画2Pもあるし、カラーでは恩田チロ、小梅けいとも描いている。ホットミルクの登場に刺激を受けたのか、気合いが入ってていいですね。

 てりてりお「鉄山202号」。アパートの一室で乱交パーティをやっているところに偶然出くわしちゃった、大家の孫娘が無理矢理仲間入りさせられ、さんざんにやられちゃうという話。やってること自体はけっこうヒドいっちゃヒドいんだけど、全体的には明るい調子。今後も快楽天で活動していくのかな? この人のかわいい絵と快活な作風は気に入ってるんで、どんどん描いていってほしい。

 天瀬晴之「エクスプローラ佐藤先生」。教え子のことが好きになっちゃった天然系女教師が、彼を呼び出して色仕掛けで迫る。思い込みが激しくて、ついつい暴走しちゃう先生の様子がなかなか楽しい。わりとうっかり屋さんな感じが親しみやすくて良い。

 ぼっしぃ「アンビリ・ガール」。スポーツジムに通い始めた主人公に対し、妙なライバル意識を燃やしてくる女の子がヒロイン。ちょっとうかつな娘さんがかわいく描けている。あと身体にぴっちり貼りついたタンクトップ、スパッツがエロっちいですね。おっぱいやおまんこの形が浮き出しまくってて、ウェアの光沢感も加わり、エロい感じになっている。

 山田秀樹の別名義であるところのこんちき「望月さんの覇道恋愛」。着任するやいなや、強烈に高圧的な姿勢で売場を仕切り始めたスーパーの会長の娘さんが、一目惚れで気に入った店員さんとエッチ。すごくツンデレな娘さんがかわいく、お話としても勢いがある。エロ度はそんなでもないけど、キャラクターは立ってて読んでて楽しい。絵は達者だがヌカせるタイプの作風でもないので、エロ漫画でやるならこういうふうにキャラとお話で見せるタイプの作品で行くっていうのがいいでしょうな。今回は面白かった。

 かるま龍狼「ツンデレの果てに」。住民がみんなツンデレな人ばかりの町という舞台設定がユニーク。通行人も風俗の人もみんなツンデレな様子が馬鹿馬鹿しい。あとSABE「ブルメタルジャケット」は4Pでお得意のブルマネタのギャグを展開。ブルマ娘2人が教官の訓練を受けている様子を面白おかしく描いている。セリフ回しとかすごく下らなくて面白い。アホくさいなあ。

【雑誌】阿ウン 6月号 ヒット出版社 B5平 [Amzn][定期購読:Fujisan

 12周年記念特大号とのこと。表紙は師走の翁が飾っており、女の子をいっぱい描いててなかなか派手。10人ものエロ水着姿の女の子を描いているけど、これだけ人数の多い表紙ってけっこう珍しいかも。なお、師走の翁は中身のほうでは「シャイ娘。」シリーズの新作「ハルヨコイ」前編を描いている。今回はシャイニング娘。第7期メンバーである胡桃小悪を、アイドル専門特別コーチの尾地山が鍛えるという内容。巨乳キャラではないので、自分のストライクゾーンからはいくぶん外れますが、いきなり複数本フェラとか飛ばしており、エロシーンは相変わらずボリューム感たっぷりであります。

 高岡基文「は〜れむちゅーん」。今回は先輩後輩で百合百合している二人の女の子が、男性教師のちんちんを利用して、ともに処女を捨てるという内容。いつもは多人数ファックがメインだったけど、今回は女2男1なので、ボリューム感はもう一つかな。なお単行本1巻は7月23日発売予定。珍しく初回限定付録もつくとのこと。内容は描き下ろし漫画と設定資料を収録した小冊子で、「はれ♥ちゅFan Book」というタイトルになる模様。なんかいつになく気合い入ってますね。

【雑誌】エンジェル倶楽部 6月号 エンジェル出版 B5平 [Amzn][定期購読:Fujisan

 さいだ一明「ニーソハレルヤ」後編が巻頭カラー。主人公はニーソ大好き男で、エッチのときもニーソにちんこをつっこむなどのプレイをしてしまう男。そんな男が、今カノになろうとしている後輩女子と、元カノの同級生女子の3人で、ニーソ3Pをするというお話。プレイ自体はけっこうマニアックでこの雑誌らしいけど、絵柄はなかなかピチピチしてて、エロ度萌え度ともに上々。ストーリー面でも独特の味はあるし、なかなか楽しめた。

 ドリル汁「生臭坊主は西へ西へ」は第8話で最終回。「西遊記」を元ネタにした作品だったが、たいへんテンションの高いエロシーンを展開してて面白かった。今回も精液とかの量がムッチャ多いし、キャラクターのアヘ顔も強烈。キスシーンの舌のからませ方なんかもすごいですね。舌がむちゃくちゃ長くて、綱引きの綱みたいな感じでねじり合わされてる。それでいながらキャラの頭身縮めたシーンとかはちょっとかわいかったりもするし。単行本は出るんですかね? 出たらまとめて読んでみたいとこだけど……。

 里見サト「おろしごと」はデビュー作とある。サッカー部のマネージャーをやってる先輩女子と、部の少年によるエッチ。女の子はかなりぽっちゃりっていうか太めで、乳だけでなく、尻やおなかまわりも肉付き豊か。この手のぽちゃぽちゃ系はわりと好きです。やわらかっくて気持ち良さそう。

【雑誌】COMIC激ヤバ! VOL,07 メディアックス A5平

 仙台魔人「されるがママ」は7話め。温泉旅行の最中、ついに娘の麻名が、彼氏である和人と、母親の真夜の常時を目撃してしまう。シングルマザーではあるけれども、真夜のちょうどいい感じに熟れた女体がエロくてけっこう好きなシリーズ。最近はいくぶんエロがあっさり気味かなって気はするけど、その分物語的には佳境に。わりと手堅い。

 明誠助「MSS −My Stupid Siter−」は、体育系で頭の悪い妹さんがなかなかかわいい作品。お兄ちゃんラブラブで、勉強の合間だというのにお兄ちゃんに迫っていく様子がけっこう楽しい。絵のほうも、多少垢抜けないところはあるけど、わりとかわいくていいんじゃないでしょうか。

 しろみかずひさ「ラジオボイス」。商業誌エロでは久しぶりに見た感じ。8Pと短いけれど、ボリューム感のある肉体描写は健在で、ヒロインも変わることなく麻理果。以前よりも目がくりっとした感じになって、これはこれでかわいい。今後も激ヤバ!で描くかは分からないけど、異才の持ち主なのでどっかに活躍の場があるといいなあと思います。あと今号の巻頭カラー4Pは魔北葵と懐かしい名前が。「夕飯前」というタイトルで、熟女系の作品を描いてます。最近はこんな絵になってるんだなあとしみじみ。

【単行本】「ぴたごらすびっち」 ポン貴花田 ワニマガジン社 A5 [Amzn]

 安定感抜群のポン貴花田。この単行本は、快楽天および失楽天が初出の諸作品をまとめた1冊。ラブラブエッチからちょい切ない系、陵辱系、コメディ系と幅広くソツなくこなすポン貴花田だけあって、この作品集の内容もバラエティに富んでいる。今回はギャグ系のお話がちょっと多め。

 収録作品の中でとくに印象的なのは、ヒロインのおねえちゃんが、お隣のスケベな年下少年の童貞を食って以来、彼のぺースに巻き込まれてさまざまな変態エッチをしていく「隣人」シリーズ。「キモチいい隣人」「真夜中の隣人」「海辺の隣人」「ワッショイ隣人まつり」と4作が掲載。このスケベ少年は自分がやるだけでなく、彼女をそこらへんの別の男と乱交させたりするなかなかの強者。おねえちゃんのほうもノリが良くて、けっこうひょいひょいそれを受け入れてエッチを楽しんじゃうといった具合。コメディ調で話を進めつつも、見せ場シーンはしっかりエロく仕上げている。

 それとは打って変わって「性母」「孵化」では、シリアスなトーンで妖艶なお話となっていて、これはこれで背徳的なエロスを展開している。明るい話も暗い話もハードもソフトもこなし、キャラはキュートでエロもしっかり。短編も長編も描けるし、とってもオールマイティ。いい仕事してます。

【単行本】「のぼせてみてよ!」 天崎かんな 双葉社 B6 [bk1][Amzn]

 祖父がいきなり失踪したせいで、実家の銭湯の経営を任されることになった主人公・タカマサ。ところがそこに、銭湯のバイト募集を見た女の子3人がやってきて、住み込みバイトとして一緒に銭湯を盛り上げていくことになる。というわけで、主人公と美女3人が銭湯でエッチいろいろしていったりして、ウハウハ〜という感じのお話が展開されていく。

 天崎かんなはエロ的には肉弾ばいんばいんな人だが、ちょっと垢抜けない作風に気の置けない和む味わいがあってけっこう好き。そこそこ実用的なわりに、なんかほのぼのしてるんですよね。この作品のヒロイン3人は、巨乳めがねっ娘の千夏、グラマーでイケイケなトモ、ロリ顔の関西弁娘のヒナコちゃんというバリエーションが揃っているけど、どの娘さんも人が良さそう。主人公の本命は千夏だが、別に男の取り合いでモメるとかではなく、銭湯の経営はみんなで頑張り、エッチも和気あいあいとしている様子はいかにも天崎かんならしい。たまにはこういうヌルめのエロスもいいんじゃないでしょうか。


4/28(月)……各一人で

【雑誌】ヤングマガジン 5/12+19 No.22+23 講談社 B5中

 きらたかし「赤灯えれじい」。サトシとチーコが元サヤに戻って仲睦まじい……と思ったら、最後のページで急展開。しかも次号で最終回だそうな。これはいったいどうなるんでしょうか。まあめでたしめでたしで終わりそうな気はするけれども。村田ひろゆき「好色哀歌元バレーボーイズ」。谷口の手術は終わったけれども、その影響はかなり後を引きそう。まだまだ先が読めないです。

 草場道輝が読切「ダウンザライン」でヤンマガ初登場。27歳と年齢はいってるけど、いまだテニスで世界進出するという夢を捨てきれない男・山口と、その同級生であり現在浮浪者の石川が再会。二人でコンビを組み、それぞれの道で前向きに生きていこうとする……というお話。短編ではあるけれども、男たちの必死な姿をアツく描いててまずまず読ませる。草場道輝はヤングサンデーでも新連載「LOST MAN」を始めたし、最近精力的に動いている様子。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 5/12+19 No.22+23 小学館 B5中

 「隠し砦の三悪人」の漫画版の前編が掲載。作画は渡海で、脚色・シナリオ担当が七月鏡一。作画のほうは力強くてなかなか迫力はある。映画に合わせての漫画化ということだが、前後編だとちと短いような気もする。

 真鍋昌平「闇金ウシジマくん」。ヤクザの融資詐欺をつぶしてしまった板橋は、取り込み詐欺に小堀を巻き込めと脅されるが……。ここまで図々しく小堀を利用し続けてきた板橋だが、最後に善良な本性に立ち返ってくれた。前回の小堀のエピソードもそうだったけど、「サラリーマンくん」編はラストに来てだいぶホロッとさせる展開になっている。小堀のいい人ぶりに、たいへんしんみりさせられた。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 5/12+19 No.22+23 集英社 B5平

 岩代俊明「サイレン」。雨宮さんのツンデレっぷりがいいですねえ。おおむねツンだけど、その分、ときどきほんのり見せるデレ顔の効果は大きい。相変わらずパッと見はちと地味な漫画だけど、頑張ってほしい。あと今号から、漫画の描き方講座である「ヘタッピマンガ研究所R」が復活。月イチ連載に。村田雄介が描いてるんだけど、キッチリした作風同様、教え方もキッチリしててなんだか感心。

【雑誌】フラワーズ 6月号 小学館 B5平 [Amzn][定期購読:出版社

 小玉ユキ「坂道のアポロン」は今回も良い。1960年代の学生たちの青春ストーリーだけど、皆さんスレてなくて心根がピュアでキラキラしておられる。今回は律子の気持ちに気づかず、上級生の百合香に夢中な千太郎に、薫が反発するが……。薫くんの律子に対する恋心がどんどん盛り上がっている様子が、甘く切ないものがあって胸がキュンとうずきます。あと薫と千太郎のやりとりも相変わらずヤオ魂を刺激するものがあり、友情物語としても爽やかかつ濃密。今、旬を迎えている作家だけに、毎回とても面白いです。

 岩本ナオ「町でうわさの天狗の子」。秋姫はタケル君と海へデートに行くために、それまで嫌っていた天狗の修行を行うことに。しかし修行時は瞬が一緒ということもあって、タケル君がヤキモチをやく……という展開。可憐なかわいい絵柄でほのぼのストーリーを展開していて今回も楽しい。秋姫もかわいいけど、修行のお手伝いをしているモミジちゃんもなかなかええですな。

 よしまさこ「横浜迷宮」シリーズの2本めは「三塔物語」というエピソード。若きシングルマザーの奈々子が、学生時代の友人・リカと久しぶりに再会し、願いがかなうという願掛けを教えられる。それは横浜の中区にある古い建物、県庁と税関と開港記念会館をいっぺんに見ることのできるポイント三つを回るというものだった。日々の生活に疲れ果てていた奈々子は、その願掛けをやってみたことをきっかけに、それまで失っていた何かを取り戻していく。横浜の三塔を回るという行為自体が、何やらロマンチックかつ楽しそうで興味をそそられるものがあるし、女友達同士のつながりを描いたお話としてもきっちりまとまっている。何よりどこかゆったりした読み心地が気持ち良い。やっぱうまいですよね。

【雑誌】コーラス 6月号 集英社 B5平 [Amzn]

 榛野なな恵「Papa told me」の新作3本立て別冊ふろくつき。また今号では、くらもとふさこ「駅から5分」が再開されている。今回のエピソードは、花染高校生徒会でツルんでいる、ロボットオタクの入谷くんと、生徒会会長の圓城くんのエピソード。普段はすごくクールだけど、圓城くんだけは意識せずにはいられないでいる入谷くんの様子に、なんだか微笑ましいものがある。この話単体でもけっこう面白いが、これが単行本になって全体にはめ込まれたときは、また違った面白さを発揮してくるんだろうなあ。

【雑誌】メロディ 6月号 白泉社 B5平 [Amzn]

 宇仁田ゆみが読切で初登場。「ゼッタイドンカン」。ほかに人がいないからという理由で合唱部の伴奏をやらされることになった女の子・瀧歌音(たき・かのん)と、そのピアノの下手さ加減と、それとは反するかのような音感の確かさに興味をそそられたクラスメイトの中森くんの物語。気が合うんだかズレてるんだかよく分からないけれども、一緒にピアノを練習しているうちに、歌音は少しずつ彼に引かれていく。なかなか微笑ましくてかわいい学園ラブコメに仕上がっていてうまい。宇仁田ゆみは次号にもショートで登場予定とのこと。そういえば宇仁田ゆみって、元々は白泉社(ヤングアニマル)で描いてたんだよなーと、作品の後に掲載されている単行本広告を見てしみじみ思ったりした。

 読切もう1本。中村明日美子「さくらふぶきに咲く背中」。クールな風貌で学校では同棲の後輩にモテモテな女子高生・相馬さんが、幼稚園のころに親しくしていて弾みでキスしちゃったこともある友達女子のヨウちゃんと再会して、二人の新たな絆がつむがれていくというお話。耽美圭とかボーイズラブ系のお話のイメージが強いけど、今度では百合系で攻めて来ましたか。男女ラブコメもけっこう面白い作品を描くけど、今回の作品についても甘ずっぱい味わいがあって良かった。けっこう作風の幅が広くて器用ですねえ。

【単行本】「シュガーはお年頃」1巻 二宮ひかる 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]

 子供の頃の夢は「何にもなりたくありません」。それが女子高生になってからは「娼婦」になった、ちょっぴり変わった女の子・畑中恵子。そんな恵子と、以前ウリをやってたと噂されている同級生女子・浅見椿(アサミ)。クラスは違うけれども友達になった二人の学園生活を描いていく物語。「娼婦」うんぬん書いたけど、別にエッチなことをやるとかではなく、恵子もアサミも学校では「ちょっと変わった人」扱いされている程度の女の子。そんな二人の学園生活と、周囲とのちょっとしたズレを描いていくという感じ。

 まあ「変わった人」とはいうものの、二人とも別段、ものすごい変人ってわけでもない。恵子は「娼婦になりたい」とかいうわりに、実際の仕事に対する具体的なイメージがあるわけでもなく、ゆる〜くそんな考えを弄んでる程度で、むしろさばさばした天然さんといった風情。アサミのほうも美少女だが話しづらくもなく、打ち解けてみれば気のいい娘さんではある。その程度なんだけど、例えば「トイレはみんなで連れ立っていく」「みんな揃ってお弁当を食べる」などなど、何かとツルみたがる女子たちからは浮いてしまう。

 基本的にはユルめの学園コメディ調で、群れの多数派に属さない女の子の日常を、楽しげに描写していくって感じ。「何漫画か?」といわれるとなかなか分類しにくく、まあせいぜい「学園友情ストーリー」とでもいうほかない。「これがこう」というふうに魅力を説明するのは難しいんだけど、恵子とアサミの会話とかは小気味がいいし、お互いを束縛するわけではないけどつながりは感じさせる人間関係もなんだか心地良いものがある。

 あと女子ならではの同調圧力の薄気味悪さみたいなものの描き方は、なかなか興味深い。まあ自分は女の子だったことはないはずだと記憶しているので、実際の女子がどうなのかはよく分からない。だけど、ちょっとした行動・言動などによってスルッと変わる周囲の反応の描写は、さりげないけど鋭さを感じさせる。

 今後の展開については、本当に作者のさじ加減しだいでいろいろできそう。ハードな人間関係の軋轢を描くこともできそうだし、はたまたゆるゆるおともだちストーリーのままで行くこともできるでしょう。お話を加速させてスラプスティックな青春ストーリーにすることも可能だろうし、恋愛方面を強めるってのも考えられる。どうなっていくかは予想がつかないけれども、二宮ひかるの作品はなめらかな感触があって読んでて心地よいので、現時点でもけっこう楽しめてます。

【単行本】「うちの妻ってどうでしょう?」1巻 福満しげゆき 双葉社 A5 [bk1][Amzn]

 モーニングでの連載「僕の小規模な生活」でもすっかりおなじみ、漫画家の「僕」と、その妻の生活を赤裸々に描いちゃったりしていくお話。4コマ型のコマ割だけど、別に4コマ単位でお話が独立してるわけじゃなくて、そのときどきで適宜エピソードを区切りながら漫画は展開していく。

 福満しげゆきの描く妻像は、どこにでもいるっぽい人ではあるけどなかなか愛敬があって見ていて楽しい。夫を口汚く罵るなどの派手なアクションとかも面白いんだけど、飴を最後までなめきらずについ噛んじゃうクセだとか、座ってるときに足の親指を丸めるところとか、何気ない動作をなんとなく面白げに描いているのがいい。

 ここで特筆すべきなのは、別に妻の人がそんな珍しい行動をしているわけではないってこと。キレたりすると多少エキセントリックなところもある人のようではあるけど、常軌を逸してるってわけでもないと思うし、ちょっとしたクセなんかも大したことではない。しかしそれを福満しげゆきが描くと、なんか味があるんですよね。ちょっとぷっくりした妻の人の容姿が、なんかかわいげがあるってのもあったりするんだろうけど、作者の語り口によるところも大きいと思う。この作風だと、何を描いても福満オリジナルな感じになりそう。これは強いですよ。

【単行本】「14 ジューシー」2巻 作:朝田光+画:亜桜まる 白泉社 新書判 [bk1][Amzn]

 運動部マネージャー3人娘の学園生活を、ほのぼの楽しく描いた作品。2巻で完結。以前にゅーあきば.comのレビューで詳しく書いたけど、カラッと明るくてかわいい作品。2巻も最後のほうを除いては大きな本筋があるわけではないものの、学校で合宿で、3人娘たちを中心に繰り広げられるほんわかした生活は見ているだけで楽しい。

 今回は、原作付きではあるものの、あっけらかんとした作風はいかにも亜桜まる。独特の間合いを持っていて、それが「よく分かんないけどなんとなく楽しい」という感覚につながってる感じはある。まああんまり深く考えず、かわいい生き物をぼーっと眺めるような調子で読んでいくといいんじゃないかと思います。


4/27(日)……埴輪あるど

【雑誌】コミックアライブ 6月号 メディアファクトリー B5平 [Amzn]

 いけだたかし「ささめきこと」。最近は汐の気持ちが純夏のほうに向かっているのかなーという感じだったが、ドイツからやってきた美少女転校生・ロッテを見た汐は、そのかわいさに大喜び。でも汐はフリフリ服が似合いそうなかわいい外見のわりに、空手少女でバンカラ趣味で……といった感じ。まあ汐がロッテに恋するっていう線はなさそうだけど、なかなか賑やかなキャラなんで、今後の活躍が期待される。空手好きということで、おそらく自分より強いであろう純夏に、ロッテが憧れるという展開もあり得るかな。それを見て、汐がヤキモチを焼いたりすると楽しそうだなーとか思います。

 作:阿智太郎+画:まだらさい「陰からマモル!」。抜忍となったホタルを追って、甲賀からの刺客が襲来する。その追忍と闘うマモルに対して、ホタルがトキめきまくっている様子はなかなかかわいくて良いです。パンツとかも見えたりしてるし。最近ちと活躍が少なかったホタルだったけど、今回は目立ってますね。

【雑誌】月刊少年シリウス 6月号 講談社 B5平 [Amzn]

 伯林「ふぁにぃわーるど」が連載開始。といっても、先月までやっていた「ふぁにぃみゅうじあむ」の続き。これまでは博物館を舞台にして、普通の女の子の田中由佳ちゃんと、モンスター娘たちがドタバタギャグを繰り広げていたわけだが、今度はそのメンツで世界のいろんな場所で冒険。活動範囲が広がったことで、よりダイナミックにドタバタした展開が期待できそう。伯林の描く女の子キャラはやっぱりかわいいし、ちょいグロネタを織り交ぜた賑やかなお話作りは見ていて楽しい。

 水あさと「世界制服セキララ女学館」は、キュートな絵柄で毎回目を引く。女の子たちがみんなしてワイワイやっている様子が華やかで良い。瞳の真ん中に大きめの丸で光を入れる、くりっとした目の描き方が特徴的。ただお話的には急展開があるかな〜という感じになってきてはいる。まあとりあえず現在5話なんで、単行本出るくらいまでは続いてくれると良いのですが。

 押切蓮介「ゆうやみ特攻隊」は最近とても面白い。閉鎖された孤島で繰り広げられる物語は、緊張感たっぷりでかなり怖い。今回はアクションも激しかった。ギャグもシリアスもしっかりこなしていて大したもんです。上田悟司「ケンたま」は最終回。1ページぶちぬきや見開きを多用しまくる、ダイナミックなコマ割りが印象的だった。まあその分、ページ数のわりに話が印象に残らなかったりもするのだけど。5月23日に単行本[Amzn]が出るようなんで、気が向いたら買うかも。

【単行本】「HR ほーむ・るーむ」2巻 長月みそか 芳文社 A5 [bk1][Amzn]

 最終巻。以前、にゅーあきば.comのレビューでも紹介した作品。おっとり天然ボケの素子、元気者の千夜、しっかり者のハナ、3人の女の子の学園生活を中心に描いていく4コマ漫画。1巻の段階では3人とも中学生だったけど、2巻ではそれぞれ高校に進学。中学時代は微笑ましい恋愛模様が展開されていたけれども、ちょっぴり大人になった彼女たちの気持ちも少しずつ変化。甘かったり切なかったりする人間模様がそこかしこで展開されていて、瑞々しい感触がある。

 長月みそかの絵はたいへんキュートでかわいらしく、独特のスタイリッシュさもあって、とても完成度が高い。4コマ漫画にしては描き込みは細かいほうかなと思うけど、だからといってゴチャゴチャした感じにはならず、スッキリ読ませる。この作品においては、この絵も非常に大きな魅力になっていると思う。単行本表紙のカラー絵もキレイ。爽やかで甘酸っぱくてかわいらしくて初々しくて、良い雰囲気の作品でした。

【単行本】「ケメコデラックス!」4巻 いわさきまさかず メディアワークス B6 [bk1][Amzn]

 電撃コミックガオ!が休刊して電撃大王に移籍。さらに2008年内のアニメ化も決定と、何かと動きが大きくなってきた昨今だけど、この巻もしっかり面白い。三平太の中に眠る力がどうにかなろうとしているさなか、新キャラとして謎の美少女転校生・神代さんが登場。神代さんの急接近に、押しかけヨメのケメコ(エムエム)や、幼なじみっ子のイズミは心穏やかならず。

 とかいった感じで事態は進展してるんだけど、お話の合間合間にギャグをちゃんと入れたりして、シリアス一辺倒にならないように作ってあってけれん味たっぷり。運動会などお遊び色の強いエピソードもあるし、サービスシーンももりもり。完成度の高いかわいい絵柄で華がある。ラブコメ的に見てもいろいろ楽しいことになってて良い具合。アニメ化されるってのも納得。

 まあお話が今後どうなるかはまだ見えておらず、この段階でのアニメ化ってのはどんなもんじゃろうという気はするけど、公式サイトの予告映像を見た感じでは悪くなさげ。漫画だけでなくアニメのほうも期待してます。

【単行本】「RIN」3巻 新井英樹 講談社 B5 [bk1][Amzn]

 これまで長らく引っ張り続けてきたが、ついにリンvs.立石譲司のタイトルマッチが開始。リンは初っぱなからその天才性と、格の違いを見せつけるが、追い込まれた立石も譲らずダーティな手段も辞さずに食い下がる。試合は第1ラウンドから激しくヒートアップしていて、ものすごくワクワクさせられる。

 これまでもそうだったけど、リンの試合シーンはとにかく見ていてカッコイイ。普段は無軌道そのものだが、試合で見せる動きはすさまじい。というかこれはもちろん描いている新井英樹の凄さなんだけど、「とにかくむちゃくちゃ速い」ってことが絵で見て分かる。一目で分かる。紙の上に描かれてる絵だから、もちろん止まってるんだけど、でも確かに息つくヒマもないほど速いように見える。これは素晴らしい。今後試合が進んでいくと、リンはさらに凄いところを見せてくれるんだろうけど、それがどのように表現されるのか、すごく楽しみです。


4/26(土)……バスッと飛ばすと

【雑誌】少年エース 6月号 角川書店 B5平 [Amzn][定期購読:出版社

 水無月すう「そらのおとしもの」。笑うことができないことを気にしたイカロスが、なんとか笑おうと努力するのだが……。今回はイカロスが作った笑顔を見て、智樹が顔を真っ赤にするシーンがいいですなあ。コマ割がダイナミックで、分かりやすくトキメキにあふれていた。まあその後でオチもついたけど、印象的なシーンでした。

 桂明日香「花やしきの住人たち」。一気にお話がハードになってきたなあ。今回はあやめと杜若の過去エピソードが語られるのだが、二人の実家はかなり家庭崩壊な感じで、 杜若も精神的にテンパっており、この後の悲劇の訪れを予感させる。二人に何が起きたのかはまだ詳細には語られてないけど、ヤバい状況であったことは確かっぽい。ここまではわりとお気楽な話も多かっただけに、落差が大きくてドスンと来ました。

【雑誌】ガンダムエース 6月号 角川書店 B5平 [Amzn][定期購読:出版社

 以前コミックフラッパーで「トランスルーセント 彼女は半透明」を描いていた岡本一広が読切で登場。「ゼロの旧ザク」という作品を描いている。攻撃はまったくできないけれど、相手の弾を避けることには天性の才能を見せるニュータイプのニルスを主人公とした物語。ニルスはニュータイプだけれど旧ザク乗り、攻撃はできないけど回避については天才的。設定がユニークでけっこう面白かった。女性整備士のマリーとのほの暖かいラブコメ展開もお話に花を添えている。岡本一広にはオリジナルを描いてほしい気はしますが、プラモとか好きそうな人だし、こっちはこっちで向いてるかもしらんですな。

 安彦良和「機動戦士ガンダムTHE ORIGIN」。シャリア・ブル登場。いかにもやられ役っぽい言動、ルックスが素敵。それにしてもララァさんのパンチラはちゃんとやるんですな。抜かりない。

【雑誌】コミックガム 6月号 ワニブックス B5平 [Amzn]

 きづきあきら+サトウナンキ「メイド諸君!」は最終回。メイド喫茶のメイドさんの仕事や恋、青春を、ときに楽しくときに甘く、ときに苦く、痛々しく描いた物語もこれでおしまい。やろうと思えばいくらでも予定調和やめでたしめでたしに持っていけただろうけど、そういう安易な結論に持っていったりしなかったのはこの二人らしいなと思った。なかなかの締めくくりだったと思うけど、この作品については6月25日に発売予定の単行本第4巻でまとめて読んでからよりちゃんとした判断をしたい。

 ぢたま(某)「ファイト一発!充電ちゃん!!」。今回は説明メインで、ラブコメなどのお楽しみ要素は少なめ。でも位相転移についての説明をされて驚いたことを閃登に指摘されて、ちょっとスネた態度を見せるアレスタはけっこうかわいくて良かった。

【単行本】「Groove Tube」 けものの★ 茜新社 A5 [Amzn]

 すでにおた☆スケのレビューでも紹介した単行本。日記でもちょくちょく取り上げていた、エロ漫画系ではオススメの新鋭作家だが、これまでは掲載誌があちこち分散していたため、なかなか単行本にまとまらなかった。初単行本ながら絵はすでにかなり達者。ピチピチ弾けるような質感のある女体、それからイキイキした表情のヒロインがたいへん魅力的。

 この単行本に収録されているのは、兄妹のラブラブエッチストーリーである「ぐる〜みんぐっ!!」シリーズ全6話と、短編の「副音声。」「やえば」「ムチとは罪」。この中ではやはりなんといっても、「ぐる〜みんぐっ!!」シリーズがオススメ。これは兄のことが好きすぎる妹のメグが、妹想いな兄の譲をあの手この手で誘惑して結ばれるまでを描いていくという物語。

 メグの兄溺愛ぶりは尋常ではなく、日頃から何くれとなく身体を刷り寄せて甘えまくるだけでなく、兄の部屋に妹モノのエロ本を放り込んだり、隠しカメラを仕掛けてみたりと手段を選ばない。とはいえ別にヤンデレとかいうわけではなく、それらの行為は愛情と茶目っ気から来ているものとして描かれており、お話の基本的なトーンもカラッと明るくノリがいいので楽しく読んでいくことができる。メグが隙あらば兄に甘えようとする様子はとてもかわいげがあるし、なんだかんだで二人ともラブラブな様子は甘ったるくて微笑ましい。最終話でメグの想いに兄がこたえるシーンはググッと盛り上がり、ちょっと感動しちゃったりもする。

 これもすでに何度か書いていることだけど、けものの★の魅力として、キャラクターの表情がすごく多彩なことが挙げられる。多少オーバーなくらいにくるくる変わる顔を見ているだけで楽しい気分になってくるし、キャラへの愛着も湧いてくる。作者自身も楽しんで描いてるんだろうな〜という感じがする。実際はどうだか知らないけど、そんなふうに見える。エロシーンについてもヨガリ顔とかが派手だし、プレイ内容も充実してていい。とはいえ、この人は実用よりもやっぱお話を読み、キャラを楽しむという感じのほうが強いかな。独特の味わいを持った人であり、引き続き注目していきたいです。

【単行本】「あッ!!りとるふらわ〜」 いさわのーり 茜新社 A5 [Amzn]

 COMIC LOの新鋭。キュートなロリロリな少女が登場するエロ漫画を描いております。ロリ漫画としてはわりとオーソドックスなタイプで、トンガってたりぶっとんでたりはしないんだけど、その分安定感はあるし、描かれる少女たちはしっかりかわいい。

 ヒロインさんについては、妹、妹の友達、義妹、姪、近所の娘、生徒(男は先生だったり用務員さんだったり)といろいろ。ロリであること以外には、特定の属性に対する強いこだわりはないようで、かわいい少女が描ければそれでいいって感じみたい。容姿的にも、めがねっ娘あり、ツンデレツインテールあり、ショートカット、ロング、日焼け娘などなど、わりと多岐にわたっている。

 でもまあ共通していえることは、どの女の子も表情がいい。朗らかでちょっと甘えたような顔つきで、なかなかにかわいい。例えば冒頭の「マイりとるらばーズ」は、お兄ちゃんが妹&その友達とラブラブエッチを繰り返しているという内容だが、二人の女の子が舌をペロッと出してベロチューをおねだりしてる表情がとくにグッとくる。あと、でぶちんな居候のあんちゃんに、居候先の娘さんがかまってかまって攻撃をしかけてくる「ボクは居候!」なんかもいいです。小生意気そうだけど甘えた顔つきがキュート。あとは「ナイショの観察日記」「うそつき♥」に出てくるめがねっ娘たちも、おっとりした顔つきが良い感じ。

 まあそんなわけで良いロリです。基本的にはラブラブで甘く、痛々しい話とかはないので、ロリ系のかわいいもの好きの人は安心して読めるんじゃないでしょうか。表紙見てピンと来るようだったら買ってみて損はないんじゃないかと。

【単行本】「××××まみれ」 上乃龍也 富士美出版 A5 [Amzn]

 だいぶ洗練されてきましたねえ。上乃龍也といえば、つやつやぷりぷりした質感の女体描写を駆使した実用度の高い作風の印象が強かったんだけど、その特徴自体は残したまま、最近はどんどん絵がスタイリッシュになってきていると思う。エロについては以前のほうがねちっこくて実用度は高かったかなと思うんだけど、女の子の表情はより華やかで見映えのするものになってきているし、萌え度はむしろ上がって来ているかなと思う。

 お話的には女学生さんがメインの作品が多め。人妻とかもこなす。収録作品の中では、先生と女生徒が実は結婚していて、生徒にモテてる夫を見て妻がヤキモチをやく「おこりんぼ×ハニー」と、その後日譚である「よこれんぼ×ハニー」あたりがわりといいかな。まあお話がすごく印象に残るタイプの人ではないけど、エロ度は依然として高めなんで、あとはもうちょっとキャラが立ってくるといいんじゃないですかね。

【単行本】「BUST TO BUST −ちちはちちに−」 ヤスイリオスケ マックス A5 [Amzn]

 つややかで量感たっぷりな、巨乳派にとってはかなりおいしそうなおっぱいを描くヤスイリオスケの2冊め。今回は続きモノシリーズである「ちょっとぐらい腐ってるのが美味いんですよ?」全8話+αに、「かわいい番長」「ラジカルロジカル姫はじめ」を収録。

 というわけで目玉となるのはやっぱり「ちょっとぐらい腐ってるのが美味いんですよ?」。学校を休んでいた矢野さんという女子のおうちにプリントをわたしに行った、クラスメート男子の井川くん。矢野さんは実は重度のオタク女子だったが、オタク趣味に理解のある井川くんは彼女と意気投合。それが縁で付き合い始めてエッチしまくりライフに突入。と思ったら、井川くんの幼なじみであるツンデレ娘・福原さんもその間に割ってはいるようになり、井川争奪戦勃発。さらに女教師のスージー・フジカワ先生も加わって、井川くんはハーレム状態に。

 てなわけで主人公の井川くんがモテまくるラブコメエッチものなんだけど、これがけっこういい。まずこの人の特徴である乳は、どの話においても威力を発揮している。たぷんたぷん揺れる乳の量感は素晴らしく、エロさも十分。またラブコメとしてもしっかり面白い。基本的には井川くんと矢野さんがつき合っててラブラブなものの、福原さんも井川くんにベタボレで、こっちもなかなかにかわいいキャラ。普段のやりとりは軽妙で、かつラブシーンになると甘甘。

 といった具合に、快感要素がすごく豊富にちりばめられた作品。おっぱいなど女体はすべすべしてて「触ったら気持ちいいだろうなあ」と素直に思えるし、ラブコメ部分の甘ったるさも心地イイ。基本的に明るい話なんで、ストーリー面でも後腐れなくスッキリ読むことができる。まあ女教師さんがちと蛇足気味だったり、ラストのあたりのストーリー展開ももう一押し欲しかった気はするけれども、楽しんで読める1冊になってると思います。


4/25(金)……不惑としている

【雑誌】アックス Vol.62 青林工藝舎 A5平 [bk1][Amzn]

 今号の特集はアックスマンガ新人賞選考結果発表。大賞・佳作の該当作品がなく、個人賞の受賞作品を読めるわけでもないので、特集としての盛り上がりはもう一つ。今回は特別審査員に福満しげゆきが入っていて「出世したなあ」と思った。それにしてもこの新人賞って、今まで大賞は出てないんですね。島田虎之介や堀道広も佳作だし。既存の作品にないものが尊ばれる誌風だけに、大賞とるのはすごく難しそう。

 藤枝奈己絵「ふわっとしてる。」。主人公が町で見つけた「フワフワした感覚を思い浮かべて行く場所、あれって何ですか?」という奇妙な貼紙。それは実は同じ会社の女子社員が貼ったものだった。彼女と関わりを持ったせいで、主人公もそのフワフワした場所に迷い込むが……。タイトルどおり、なんだかもやもやふわふわした話なのだが、その「フワフワ」の正体を全然つきつめることなく、投げっぱなしにするところがいかにも藤枝奈己絵っぽい。面白いかといわれるとなんともいいがたい作品なんだけど、読者に緊張を強いることのない、適当な作風は気持ち良いです。

【雑誌】アフタヌーン 6月号 講談社 B5平 [Amzn]

 とよ田みのる「FLIP FLAP」は最終回。こんなに早く終わるとは意外といえば意外だけど、描きたいことをザクザク描いてスパッと切り上げていて、お話としてはキレが良い。高校最後の日に同級生の山田さんに告白したことがきっかけで、ピンボールの道に足を突っ込むことになってしまった深町くんは、しだいにピンボールにずぶずぶのめり込む。ゲームの上達と、恋愛の進行がちゃんと比例しているっぽい様子が楽しい作品だった。ピンボールというゲーム自体、奥が深くて、やってるとトリップしちゃいそうな魅力があるんだけど、最終話はそれが漫画でもよく表現できてて気持ち良かった。読んでいると、恋愛もしたくなるし、ピンボールもやりたくなる。絵も相変わらず独自のテイストがあるし、面白いですなあ。単行本は6月発売予定とのこと。

 木村紺「からん」2話め。今のところは女子高のスクールライフといったところ。扉ページには「柔道に出会った少女達の真っ向勝負な毎日」とか書いてあるが、今のところ柔道モノっぽい雰囲気ではなく、あくまで学校生活がメイン。「百合モノだよーん」といわれたら「はいそうですか」といっちゃいそうな感じでもある。とりあえずまだどうなるか分からないけど、なんだか気になる作品ではあります。

 幸村誠「ヴィンランド・サガ」。王子様がものすごい勢いで成長しててカッコイイじゃないですか。これまでは甘ちゃんだったけど、腹を据えた王子はけっこう迫力がある。手下の陣容も強力そうだし、これからどんな親分ぶりを見せていくか楽しみ。あと西本英雄(+高見知行)の「元祖ユルヴァちゃん」は、「ヴィンランド・サガ」本編を差し置いて巻中カラー。連載1周年で、単行本も6月23日に出るそうでなかなか頑張ってます。高見知行は、第40回ちばてつや賞を受賞した人だけど、「幸村誠からの刺客」とか書いてあるところを見るとアシスタントをやってたりするんですかね。

 作:かとりまさる+画:安藤慈朗「しおんの王」は最終回。うーん、殺人事件がらみの謎解きについてはもう一つかなあ。しおんのかわいさにおいて、「口がきけない」「文字でのコミュニケーション」というのは重要な要素であり、それをもたらしたのは殺人事件ではあるんだけど、普通に将棋漫画してるシーンのほうが面白かったし、事件がらみの話はちょっと蛇足っぽかったかなあ。まあそれいっちゃうと身もフタもない気はしますけど。

 篠房六郎「百舌谷さん逆上する」。ツンデレ娘・百舌谷さんと、クラスメートの竜田くんのおデート模様が展開される今回。トキめいたりゆらめいたりしてる百舌谷さんがかわいいです。あと同じくクラスメート女子の五島さんも、相当ツンデレでけっこういい。読切の和田依子「電脳アフロディテ」。中古で家事手伝い用のアンドロイドを購入したつもりだったご家族が、実はそれが性奉仕用のものだったことでトラブルに遭うというドタバタコメディ。軽いノリでまずまず楽しい。安定感もありそうなタイプに見受けられる。

【雑誌】月刊IKKI 6月号 小学館 B5平 [Amzn][定期購読:出版社

 新連載、スエカネクミコ「放課後のカリスマ」が開始。歴史上に名を残した人々のクローンが集う学校を舞台とした物語。その学校には、ナポレオン、ナイチンゲール、フロイト、マリ・キュリーといった名だたる偉人たちのクローンが通い、教育を受けているのだが、彼らの間には自分がオリジナルでないことへのコンプレックスが渦巻いたりしており、各人が複雑なものを抱えている。設定としてはけっこう面白げな感じではある。スエカネクミコはアワーズライトで連載された「成城紅茶館の事情」などで注目を集めつつある人で、華のある絵柄は見映えがする。IKKIの水になじむかどうか、注目したい。

 青野春秋「俺はまだ本気出してないだけ」。シズオさんが新ペンネームに変更。シズオさんの漫画はだんだん良くなってきているようだけど、今後、彼に転機が訪れちゃったりするのか。なんだか面白い事態になってまいりました。作画力にもよるとは思うけど、シズオさんの人生経験や、現在置かれている状況からすると、けっこう面白い漫画を描きそうな感じはしないでもない。できれば作中作とか載っけてほしい。

 読切、タケダアヤカ「Pizza Margherita!」。イギリス(だと思われる)の街角で出会って会話するようになった、日本人女性・マリナと、フレッドという青年のつながりを描いた作品。ちょっとシャレていながら暖かいお話作りで、気持ち良く読ませる。絵柄の印象は多少異なるけど、テイスト的にはオノ・ナツメに似た感じ。

【単行本】「坂道のアポロン」1巻 小玉ユキ 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 「光の海」「羽衣ミシン」などで注目を集めつつある小玉ユキの最新作で、これは面白いです。お話のほうは、1960年代の地方の町を舞台に展開される青春ストーリー。主人公の西見薫は、都会の学校からやってきた転校生。上品で勉強もできる優等生だが、他人の目が自分に向いていることを意識すると嘔吐するほどの圧迫感を感じてしまう性質に悩まされていた。そんな彼が、クラス内では不良として警戒されている暴れん坊の川渕千太郎、そして千太郎の幼なじみでもあるクラスメートの律子と行動を共にするようになって変わっていく。

 というわけで、薫・千太郎・律子の3人を中心に、学園青春ストーリーが繰り広げられていくのだけれども、これがとてもキラキラと眩しい。1960年代ということで少年少女たちは恋愛に対してスレてはおらず、一つ一つの出来事に対する反応がピュア。それが読者の心にも鮮烈な印象を残す。

 恋愛的には薫→律子→千太郎という具合に片想い連鎖しており、これもまた見どころ。基本的に大人しい薫くんが、恋に悩んで悶々とする様子は青臭くて良い。それからヤオイ・BLっぽさがかなり色濃い点も特筆すべきポイント。恋愛の構図自体は先に述べたとおりなんだけど、薫と千太郎が親しくなっていく過程はかなり濃密。

 初対面時は昼寝していた千太郎が寝ぼけて薫の手を握る。それから第2話では、雨の屋上で共に雨に打たれる。話が進むにつれ、薫は千太郎の影響を受けてジャズをやるようになるのだが、薫がピアノを弾き、千太郎がドラムでからんでいったりする。もちろん話の表向きは男女恋愛がメインなんだけど、薫と千太郎のつながりは、律子をからめた恋愛模様よりもむしろ濃厚に描かれている印象。

 とまあ多少フィルターをかけた見方を強調しちゃいましたが、それは抜きにしても青春ストーリーとしてしっかり面白い。基本的なテイストは爽やか。純情な少年少女たちの恋と青春を、すごく鮮やかに描いており、たいへんステキで美しい作品に仕上がっている。これは良いです。

 あとこの単行本には、短編の「種男」も併録されている。これは日々の仕事に疲れきっていた女性が、ある日拾った鉢植えの身から出てきた植物的な男と一緒に過ごすうちに、なんだか癒されていくというお話。ちょっと不思議な味わいのある作品だけど、着想がユニークで面白い。今、女性向け漫画の中でも屈指のノッてる作家さんだけに、たいへん充実した内容となっている。

【単行本】「エマ」9〜10巻 森薫 エンターブレイン B6 [bk1:9巻/10巻[Amzn]

 本編が終わった後の番外編を収録した9〜10巻。といっても10巻の最終3話が実質的には本編のグランドフィナーレといった感じになっており、8巻まで読んだらこっちも当然読むでしょう、といった感じの内容。

 番外編については非常にバラエティに富んだ内容となっていて、メルダース奥さまと夫の人のベッドトークでおっぱいとか出てくる回があったり、メルダース家のメイドさんたちのエピソードを細かめにやったり、ウィリアムとハキムが出会った子供時代のエピソードや、エレノア嬢のその後を描いたりと、回によっていろんな趣向が凝らされている。そのときどきで作者が描きたいことをのびのび描いているって感じで、たいへん楽しうございました。

 また、10巻収録のラスト3話はやっぱり素晴らしい。最後はウィリアムとエマという主役二人の結婚式の様子で締めくくられるわけだけど、これまで物語に登場したキャラクターが勢揃いする様子は圧巻。皆の祝福を受ける二人の様子は晴れやかだし、各キャラクターのやりとりは軽妙だしで、これまで物語を追ってきた読者にとっては万感こみあげるものがある。そして締めくくり方も賑やかで晴れやかでおめでたくて、実に心地よく心に響いてくる。

 連載当初から話題を読んだ作品だったけど、続けていくうちに作者の表現力もぐんぐん進歩したし、お話も山あり谷ありでしっかり読ませてくれた。着地も鮮やかにバシッと決まった良い作品でした。満足。


4/24(木)……湯、愛で合えたら

【雑誌】LaLa 6月号 白泉社 B5平 [Amzn]

 筑波さくらが読切で登場。「となりの犬山くん」。子供のころ、自分をかばって背中に傷を負った初恋の少年が忘れられずにいたヒロインの花咲心。彼女のクラスに陰気な雰囲気の転校生がやってくるが、心は彼のことがなぜか気になってしまい……。相変わらずスッキリ暖かい絵柄は好感度が高く、ちょいアクションありでラストはラブラブで締めくくるお話もまとまりが良い。最後のほうのラブコメっぽさが楽しかった。手堅い仕事です。

 辻田りり子「笑うかのこ様」は再登場。人間観察・傍観が趣味という変わった女の子・かのこの学園生活を描いていくドタバタコメディ。彼女は親の仕事の都合でちょくちょく転校し、友達も作らずに人間観察にいそしんでいたのだが、今回は珍しく、お休みを利用して以前いた学校の学園祭を訪れる。その学校ではツルんでいた友達連中がおり、友達のためにかのこも活躍。偏屈者のようでいて、けっこういいところもある主人公をユーモラスに描いていて、わりと楽しいシリーズ。微笑ましくて良いんじゃないでしょうか。

 田中メカ「キスよりも早く」は今号もやたらと甘ったるいですのう。ホテルで二人っきりになるわ抱き合うわコスプレするわ膝枕するわ……といった感じで。でもエッチとかまでは行かないでいるってのがまたいいですな。ベッタベタに甘ったるいけど、それでいながら焦らしに焦らすという力加減が良い具合。

【雑誌】Comicモエマックス 6月号 モエールパブリッシング B5平 [Amzn]

 これまではA5平とじだったが、今号からB5平とじにリニューアル。影乃いりす「ミスあね☆りたーんず」。弟とラブラブなお姉さんのお話。お姉さんは金髪でいかにもお嬢さま風なルックスなわりに、田舎出で方言バリバリ。「無茶こぐでねっ」とかいいつつエッチなことをしている様子がなかなかかわいらしい。方言少女は裏次郎「はらませ!」とかでも出てきたけど、うまく使うとチャームポイントになっていいですな。

 土居坂崎「エクストリーム道場」。合気柔術の道場の跡継ぎ娘が、道場破りの男に破れてヤラれちゃうというドタバタエロ漫画。ギャグっぽいお話ではあるものの、土居坂崎の特徴である、やわらかそうなおっぱいをぶるりぶるり揺さぶらせるセックスシーンはけっこうエロくて実用的。ヒロインさんのあえぎっぷりも派手で良い。

 舞登志郎「夢で逢えるから」。淫夢でつながれて、エッチをするまでに至ってしまった父娘を描いた続きモノシリーズ。今回は母バレもしちゃったし、これでお話で一段落かなあ。頭の形がつるんとした娘さんはなかなかかわいらしかったし、単行本にまとまってほしいところですが。

【単行本】「エンジェル高校」1巻 犬上すくね 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 現世で死んだ少年・ルキオが、生前に悪い行いをしなかったことを評価され、天使を目指して修行する学校「エンジェル高校」にスカウトされる……というところから始まる物語。まあ要するに天界が舞台の学園コメディといった感じの作品。

 いきなりルキオをめぐって、エンジェル高校と堕天使高校の運動会勝負が行われたり、お話はドタバタした調子で展開。その中でラブコメ的な要素も少しずつ見え始めてきているといった具合。1巻の段階ではまだお話はほんの序盤という感じなので、まだなんともいえない部分もあるけれども、これからラブコメ度が強まっていくにつれ面白くなりそうな気配。そういったところは達者な人だし、今後の伸びに期待。

【単行本】「愛しのかな」2巻 田中ユタカ 竹書房 B6 [bk1][Amzn]

 廃墟同様の状態になっていた古アパートに入居した純朴な青年・天野大吉と、そのアパートにととりついていた幽霊少女・かなが出会い、愛を育んでいく様子を描いたラブストーリー。1巻の時点で十分に愛あふれる感動的なストーリーに仕上がっていて、そこで完結という手もありだったとは思うけど、2巻ではいくらか話を動かしてきた。1巻ではおおむね大吉とかな、二人だけの世界でお話は展開していくけど、2巻では超常現象好きな近所のコンビニ店長や、アパートの新たな入居人の女の子も出てきて賑やかになっている。

 新キャラたちを今後どう動かしていくのかは、今の段階ではちょっと分からんですが、とりあえず大吉とかなは相変わらずものすごい勢いでラブラブ。かなが新しい住人の女性が大吉と触れ合ってるのを見て、ヤキモチ焼いたりする様子もまた楽しい。とにかく、かなのピチピチしたかわいらしさ、眩しい笑顔にはわーっと心が華やぐものがある。「好きな人がいる」「愛しい」という気持ちをギュギュッと詰め込み、真っ向勝負で描いてくる作風は、まさに田中ユタカ節。このまま幸せ一直線で行けるかは分からないけど、続きも楽しみです。


4/23(水)……ヒーロー黒スライム

【単行本】「よんでますよ、アザゼルさん。」1巻 久保保久 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 イブニングで連載中のドタバタギャグ漫画。人間のくせにたいへん凶悪な悪魔探偵のアクタベさんと、そんなに凶悪ではない助手のさくまさんが、魔界から呼びだした悪魔をいいようにこき使って事件を解決したりするというのが大まかなストーリー。久保保久は初連載だったと思うけど、これはなかなかいいですよ。下らなくて笑える。

 呼びだされる悪魔は、「淫奔」を職能とするアザゼル、「暴露」を職能とするベルゼブブなど、本当はけっこう凶悪なんだけど、アクタベのせいで人間界に呼びだされるさいになんかむくむくした動物状に変身。アザゼルは犬だかクマだかみたいになってるし、ベルゼブブはペンギンといった具合。そんなむくむく悪魔たちが下ネタを連発したり、アクタベの迫力に脅えたり、豚足などの供物をもちょもちょしゃぶったりする様子が実にユーモラス。悪魔探偵の手下として事件に当たるときの悪魔たちの活躍ぶりも、とにかくやってることがしょうもなくて、ついつい笑ってしまう。

 キャラクターはみなクセが強くて見てて楽しいんだけど、お話の最初から登場するアザゼルさんはやっぱ見てて楽しい。むっくりぷっくりしたユーモラスな姿で「おっぱい」とか呟きながらへんな踊りを踊ってる様子は愛敬ありまくり。そのほかのベルゼブブ、モロクとかいったあたりもいいんだけど、とくに好きなのは嫉妬の悪魔であるアンダインかな。半魚系のビジュアルはやたらインパクト強いし、「ギョメー」という叫び声やねっちょりしたしゃべり方など、やることがいちいちおかしい。アクタベさんの悪魔顔負けの邪悪っぷり、それに影響を受けたさくまさんの成長っぷりもナイス。

 パッと見はそんな派手ではないけど、最近のイブニングの中ではかなりいい味出してるし、独特のセンスがあって今後も楽しみ。

【単行本】「ルート225」 作:藤野千夜+画:志村貴子 講談社 B6 [Amzn]

 芥川賞作家である藤野千夜の小説を漫画化。いつもと同じようで、細部が微妙に違うパラレルワールドに迷い込んでしまった姉弟、エリとダイゴ。その世界はもといた場所と一見まったく同じようだが、死んでしまったはずの元クラスメートが生きていたり、何より両親が自宅から消えていたりと、さまざまな点が異なっていた。そこでエリとダイゴは、ほんのわずかな手がかりを頼りに、元の、両親たちがいるはずの世界に戻ろうとして悪戦苦闘する。

 原作小説は未読なんですが、ネットでの反響を見る限り、なかなか面白そうだなーという印象。ジュブナイル系のお話ではあるけど、ラストなんかもただのめでたしめでたしに終わらず、ちょっと意外なものがあったし。あと志村貴子の作風も、この作品世界にはマッチしている感じはした。

 ただ、漫画で読むとちょっと分かりづらいかも。事実関係を整理するために、何度かページを行きつ戻りつしながら読んだ。志村貴子の作風はあんまりあざとい強調とかがないので、大事な部分をスルッと読み進めちゃいがちってのもあるかもしれない。この手の説明が多い作品の場合は、もう少しくどめに描いちゃってもいいと思う。とはいえ雰囲気はたいへんよろしく、気持ち良く読むことはできます。

【単行本】「GIANT KILLING」5巻 作:綱本将也+画:ツジトモ 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 ETUが、かつてチームを見捨てた前監督率いる強豪チーム、名古屋と激突。ここまではなかなか結果が出なかったETUだけど、チームの歯車がだんだん噛み合ってきてて、チーム状態は良くなってきた。というわけでこの巻は、作品のタイトルである「ジャイアント・キリング」の予感をビンビン漂わせながらゲームが進んでいて、たいへんワクワクさせられる。名古屋のブラジル人トリオを中心とした攻めで、ETUが何度となくピンチを迎える様子は緊迫感があるし、それに対する逆襲も痛快。

 試合展開自体が面白いというのもイイんだけど、サッカーシーンをとても気持ち良く描けているのも魅力。いいパスが決まったシーンや、パーッと目の前が開けていくようなドリブルシーンなどはゾクゾクするものがある。キャラが個性的なのも良いです。ETU監督・達海はもちろんのこと、プレイヤーたちも、唯我独尊なジーノ、とにかく走り回る椿、単純バカな黒田など個性的。ブラジル人トリオも愉快だし。相変わらず好調に来てて、毎回面白いです。

【単行本】「家族戦隊ノック5」1巻 能田達規 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 「ヒーロークロスライン」(http://comics.yahoo.co.jp/magazine/hxl_0001.html)というWeb漫画企画から生まれた作品。この企画は、要するに一つの共通する世界観があって、それを元に複数の作家がそれぞれヒーローものの漫画を描いていくというもの。シリーズ全作品がクロスオーバーというのがウリらしいので、たぶん単体で読むよりも、複数の作品をまとめ読みしたほうが面白いのではないかと思われる。

 とりあえず共通している設定部分は、1999年の「オルタレイション・バースト」という現象以降、普通の人類とは違う異能力を持った「ノッカーズ(能力者)」というのが世界中に現れるようになった……というあたり。ノッカーズはある作品ではヒーロー、ある作品では犯罪者など、いろいろな形で登場する模様。

 この作品ではノッカーズとなったご家族・守田一家5人が、襲来する宇宙怪獣の脅威から地球を守るべく頑張っていく。守田一家は能力があること以外は普通の仲良し家族であり、日常模様はけっこうほのぼの。戦闘シーンについてもガシガシにハードってわけではない。「ピース電器店」の変身ヒーローバージョンって感じでしょうか。

 サイトをざっと見てみた感じ、「ヒーロークロスライン」シリーズの中では変わり種の部類なのかな? 明朗快活な作風で、戦隊ヒーローもののコメディを展開しており、ほのぼのした楽しさがある。

【単行本】「クランド」1巻 松本レオ 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 こちらも「ヒーロークラスライン」シリーズの中の一作。ノッカーズによる犯罪が増加し始めた時代に、小さな町のおまわりさんになった主人公が、土地神の力を借りて、さまざまな事件を解決していくという感じ。松本レオの作画はしっかりしてるし、原作付きでもあるし、手堅い出来ではある。ただ、ちょっときっちり作られすぎてる感じもあって、全体的にはあんまりインパクトは強くないかな。2巻を買うかどうかは微妙なライン。

【単行本】「ささめきこと」2巻 いけだたかし メディアファクトリー B6 [bk1][Amzn]

 かわいく楽しく百合漫画中。これまでは主人公である村雨純夏の、親友・汐に対する片想いがメインとなって描かれてきたが、二人を取り巻く人間関係はじょじょに変化している。

 まず2巻の前半での大きな動きは、クラスではカタブツっぽいけど実は百合系小説(作者は実は汐の兄)の大ファンで、同人誌まで作っている蒼井さんが、純夏に急接近してきたこと。純夏もその小説の大ファンだと思い込んだ蒼井さんは、「同志発見!」とばかりに狂喜乱舞。純夏と一緒の楽しい日々を妄想して突っ走ってしまうが……。蒼井さんの空回りっぷりは多少痛々しいところもあるんだけど、けっこう純粋な娘さんで、見てて楽しくはある。あと純夏へのほのかな想いについてはちょっと甘くて、彼女が純夏の汐に対する想いに気づくあたりのくだりは切ないものがあってええ感じ。

 そして2巻後半では、汐のほうにも変化の兆しが見えてくる。純夏→汐という構図は変わらないものの、汐も自分ではそれとは気づかないうちに、純夏への想いを募らせていっている感じ。ついに純夏の想いが報われるかも……という甘酸っぱい期待に胸がトキめいてしまう。

 女の子たちが仲良く過ごす学園日常ストーリーとしても楽しい。朋絵&みやこのカップルによって、純夏と汐が引っ張り込まれた「女子部」に、蒼井さんも加わってさらに賑やかになっている。女の子たちがわいわい過ごしている様子は、華やかで楽しい。まあそんなわけで楽しい日常をベースに、少しずつではあるんだけれども、女の子同士恋物語が動いていて面白いです。この後、お話をどう持っていくかは気になるけど、あまり急激にベタベタしすぎるのもなんだし、しばらくはこのまま楽しい日常を維持って感じでいいかなーという気はします。

【単行本】「二十面相の娘 うつしよの夜」1巻 小原愼司 メディアファクトリー B6 [bk1][Amzn]

 「二十面相の娘」がテレビアニメ化されたのに合わせて、本編のスピンアウト版が開始。本編のほうは大ざっぱにまとめると、チコが二十面相によって救い出され、しばらく盗賊団の一味として行を共にした後、家に引き戻されいろいろな事件を経て二十面相の秘密に迫っていく……といった感じだった。「うつしよの夜」では、チコが二十面相一味として活躍していたころのさまざまなエピソードが描かれていくという内容になっている。

 というわけで「うつしよの夜」については、まだ本編の後半ほどシリアスにはなってないころの話であり、怪盗モノとしてけれん味のあるストーリー展開を見せる。二十面相がからんださまざまな事件が、何話かずつで描かれていて、わりとサクッと読める。まあそんなわけで、チコが可憐な少女盗賊として、成長・活躍していく様子を楽しむってのがメイン。

 通しで読んでみると「ちとゴチャゴチャしてるかな?」という感じはなきにしもあらずだけど、少女盗賊としてのチコの活躍は、本編ではあまりたくさんは読めなかった要素ではあるんで、それをじっくり見せてくれるってのはうれしいところ。今後どういう盗賊っぷりを見せていくか楽しみにしてます。


4/22(火)……隆起出ず

【雑誌】ヤングジャンプ特別増刊 漫革ルーキーズ 6/1 集英社 B5中

 新人競作増刊。客引き要素として、森田まさのり「ROOKIES」が表紙になってて、その第1話も掲載されている。「ROOKIES」は久々に読んだけど、連載初期はとくに面白いです。作品から、当時の作者の気合いがビシビシ感じ取れる。また、新人競作については、河合孝典、早川広幸、野口友梨子、稲葉そーへー、霧科拓徒、藤井義也、入江みつば、村岡優、井出圭亮、榎屋克優の10人が執筆。

 この中で、個人的に一番引かれたのが、榎屋克優「ラーミウ」。アニメやマンガが大好きなオタクの父に連れられて日本に来て、工業高校のデザイン科に入れられたアラブの少年、ムハンナド・アリー・イブラヒムが主人公。オタク趣味は全然なく、乱暴な父親によって虐げられ、クラスにもなじめないでいたムハンナドの唯一の楽しみが、父に隠れて聴くロックの音楽CDだった。そんな彼が、学校のカラオケ大会に出ることになり、ステージ上で自分を爆発させるまでを描いた物語。絵はけしてうまくないんだけど、非常にパワフルでソウルフルな作品で、今回の掲載作品では新人ならではの荒削りなパワーを最も感じさせてくれた。こういった激しさ、荒々しさ、アツさは描き慣れてきちゃうとなかなか出せなくなるだろうとは思うけど、この一瞬の輝きは心に留めておきたいと思った。

 このほかだと、筋肉ムキムキの引越業者が依頼主の女性にその筋肉を見せびらかしながら引っ越す作業を行う様子を描いたギャグの、稲葉そーへー「お引っ越し筋肉!」、ど田舎の島の少年が海から流れ着いたフィギュアを発見してメタデカルチャー!といった感じの村岡優「シマヲタ」あたりが下らなくてわりと良かった。

 まあ正直なところ、上記で名前を挙げた3名はわりと荒削りな人たちなんで、早期の出世は難しいかなとは思うんだけど、自分の場合、この手の新人作家を集めた企画だとこの手の人たちについ目が行っちゃいます。

【雑誌】コミックハイ! VOL.37 双葉社 B5平 [Amzn][定期購読:Fujisan

 森永みるく「GIRL FRIENDS」が今月から3号連続で掲載。女子高生ガールズラブストーリー。主人公のまりは、親友のあっこと一緒に過ごすうちに、どんどん彼女が好きになり、それはやがて恋心へと変わっていく。しかしあっこはあくまでまりに対して友達として接しているようで、まりは切ない想いを募らせていく。スウィートな絵柄・雰囲気だけれども、その切なさがお話をキュッと引き締めていて読ませる。まりの恋の行方はどうなるのか。先が気になりますのう。

 私屋カヲル「こどものじかん」。青木先生はレイジへの警戒心から、りんに積極的にアプローチするが、りんの覚悟は青木のそれを上回っていて……。今回はりんの悲壮感さえただよわせた決意にかなりシビれた。すごい子供だなあ。最近のこの作品は、本当にどんどんシリアスになってきてますねえ。ただのちっちゃい子萌えだけにとどまらない、確かな読みごたえがあります。まあ絵のかわいさのわりにヘビーな作品なので、そろそろキツくなってきたと感じる人もいるかもしれませんが。

 読切、花見沢Q太郎「すきとおる」。年上の女性に憧れているが、幼なじみの娘に突然好きといわれて戸惑う少年を描いた青春ストーリー。それまでは友達扱いだった幼なじみを、恋愛対象として意識してしまった瞬間から揺れはじめた少年の心を、甘酸っぱく描いててなかなか。女の子キャラもしっかりかわいいし、やっぱりうまい人だなと思う。

 こいずみまり「みずほアンビバレンツ」。それまで女装少年としてぶいぶいいわせていたみずほが、だんだんありすのことを意識するようになってきて……。これもまたラブコメ的にええ感じ。妨害を乗り越えれば、そのままくっつきそうな気配ではありますが。さてどうしてきますか。袴田めら「暁色の潜伏魔女」は最終回。単行本3巻は5月12日発売予定。実はまだ2巻を読んでないので、3巻が出たらまとめて読んで感想書きますね。

【雑誌】COMICオレカノ! Vol.2 光彩書房 A5中 [Amzn]

 犬「ストレンジ・カインド・オブ・ウーマンズ」がついに完結。無口な今カノの藤乃、それから元カノである三田さんの間で板挟みになった主人公・深谷。一時期は記憶喪失になり3人の関係は混迷したが、結局は藤乃・三田間で基本的合意が成立。まあ細かなことは実際に読んでいただくとして、それなりにハッピーエンドではある。ただ個人的には、ちょっと食い足りないかなあ。けっこう長く続いたシリーズだし、キャラにも愛着はあったので、もっとドラマチックに持っていっても良かった気はする。あと後半は記憶喪失になっていたこともあり、主人公・深谷くんのキャラも薄く感じられた。ヒロイン二人が魅力的だったので、彼女らを預けるに値するものを見せてほしかったなーと思います。

 シリーズ全般についていえば、とにかく無口な彼女である藤乃さんがかわいかったし、ぷにぷにもちもちした裸体の描き方も良好。売上も良かったみたいだし、初の長期連載としては大成功な部類でしょう。構成力についてはまだ不足しているところはあるものの、エロ・萌え・ラブについては非常に良いものを持っているのは他しか。今後さらに伸びていってくれることを期待します。

 ゼロの者「ちぃまま」。今回は珍しくけっこうドタバタコメディ調。主人公の母親は実は吸血鬼だったことが判明するが、彼女は血を飲むとその相手に対して発情してしまう……という内容。母子ものでラブラブに締めくくっており、こういうのもけっこう楽しい。

【単行本】「コミック版 もえたん」 高橋てつや 三和出版 A5 [bk1][Amzn]

 「ペンギン娘」の高橋てつやが「もえたん」を漫画化。お話のほうは、「ぱすてるインク」の正体である虹原いんくちゃんと、おともだちである「てんぺらスミ」の正体である黒威すみちゃんが、一つ屋根の下で一緒に暮らすことになる……という感じで展開。幼なじみで、二人が好きなぐーたら者の男の子・ナオくんとのラブコメ部分についてはあまり描かれず、いんくとすみの女の子友情ストーリーが描かれていく。

 高橋てつやらしく、女の子たちは萌え系で見映えのするかわいさ。ぱんつなどサービスシーンはもりだくさん。あと、いんく&すみのからみは、いちおう友情物語だけど百合っぽさが強い。「ペンギン娘」でもその手の話作りはよくやる人だけに、女の子たちがちょいラブな様子は華やかだし、かわいいキャラがドタバタ動き回ってる姿は目に楽しい。自分は元々の「もえたん」は読んでないし、アニメも途中までしか見てないので、原作再現度とかはよく分からんのですが、これはこれでまずまず面白いなと思いました。

【単行本】「スミレ16歳!!」4巻 永吉たける 講談社 新書判 [bk1][Amzn]

 安定して楽しいです。4巻収録分でこの作品的にはかなりの大ネタを投入。えーとまあ裏表紙を見れば分かることなんで、書いても致命的なネタバレというほどにはならないかと思いますが、スミレのクラスに転校生男子・桜龍二がやってまいります。その後ろには、スミレ&オヤジの組み合わせ同様、どう見ても人形を操っているらしき謎のお姉さんがいて……。

 考えてみるとありそうなネタではあったんだけど、そういうキャラを出してくるとは予想してなかったので、けっこう「やられた」という感じだった。学園内の異分子が2セットになったことで、ギャグ漫画としてさらに賑やかになったし、お話的にもマンネリになることなくゴロゴロ転がっている。まあ非日常分子が2組になった分、日常成分がボリュームダウンしているので、「日常と非日常の落差」という部分は多少弱まってるかもしれないけれども、展開自体はドタバタ感アップでよりダイナミックになっている。

 それにしてもやっぱり永吉たけるは面白いです。これは以前にも書いたことだけど、オタクネタや萌えなどのマニアックな方向に走るでなく、キャラを立て、シチュエーションをしっかり作り、キャラのセリフとアクションで笑わせようとしているのがいい。斜に構えない姿勢にも好感。いったんは週刊少年マガジン本誌に進出し、現在はマガスペに移ってしまったけれども、こういうギャグを描ける才能は貴重だと思う。また機会があれば、本誌に戻ってきてほしいですね。

【単行本】「ヨルムンガンド」4巻 高橋慶太郎 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 この巻も面白いです。なんだか読んでて気持ちイイ。女武器商人のココ・ヘクマティアルとその仲間たちの活躍を描いていくお話なんだけど、カッコイイ派手なドンパチシーンあり、商売上の丁々発止なやり取りあり、のどかな日常ありで、マルチな魅力を発揮。

 この巻でメインとなっているのが、元有名女優だった武器商人おばさま、アマーリア・トロボフスキーとの武器売買競争を描いた一連のエピソード。物腰柔らかだけど狡猾なトロボフスキーおばさんと、茶目っ気たっぷりなココの、表裏ありまくりなやり取りは見ていて楽しい。ココの快活さもいいけど、トロボフスキーさんの懐深げな態度もなかなか。

 それから日常シーンが楽しいのもこの作品の大きな魅力。少年兵のヨナ、ココにぞっこんな女兵士のバルメら、お仲間さんたちとの会話が軽妙でとても楽しい。戦闘になるとたいへん強力なメンツだけど、普段の陽気な振る舞いはユーモアたっぷり。サンデーGXでガンアクション系の作品では「ブラック・ラグーン」が有名だけど、あちらとはまた違った面白さがある。個人的には「ヨルムンガンド」びいきです。よるよるよるむーん♥

【単行本】「いもーと*もーど」 きりりん ヒット出版社 A5 [Amzn]

 ロリ漫画の新鋭。つるんとしたかわいい絵柄でロリ娘たちを描いていて、なかなかにええ感じ。絵的には時折ほしのふうたを思わせるような味わいがあって愛らしい。また、しみじみと情感のある作品が多く、ただかわいいだけには止まらないのが良いところ。

 掲載作ではまず「水仙の華の沼の淵」がけっこう読みごたえあり。お互いのことを秘かに好いている兄と妹の身体が入れ替わってしまう……という物語。二人はお互いの気持ちを知らないでいたが、入れ替わりによって相手の立場になったことで、その想いに気づくことになる。二人の想いが甘く切なく描かれているのが良いし、妹が兄の身体になって、自分の身体の処女を奪うことになるシーンなんかは、なかなか読みごたえがある。

 「私が■だったころ」もなかなか良い作品。兄と妹という関係にとらわれるのをやめて、共に生きていこうとしている二人の、甘くてほろ苦い生活を描いた作品。これは作画的にも生活感を出そうとしており、とくにしみじみとした情感が感じられる。

 絵がかなりかわいくて、話作りでも頑張ろうとしている感じはうかがえる。全体によくできてると思う。ただ、まだガツンとくるほどのインパクトを与えるというほどではないかな。良いものは持っていると思うので、今後も精進していってほしい。


4/21(月)……コミック麻婆

【雑誌】コミデジ+ Vol.13 SBCr B5平 [Amzn]

 コゲどんぼ「デ・ジ・キャラット」。代替わりしたでじこたちの新店舗、アニブロゲーマーズがオープンということで、でじこたちが客引きをするというお話。まあいつものぺースになったという感じでまったり楽しい。征海未亜「恋きゅー」。あいが魔族のザクロを食べてしまったせいで、アクマになりそうになってしまうが……ということで、シリアスな展開が続いている。でも今回は、あいのおともだちも彼女のために動き始めたし、ようやく光が見えてきたかなという感じ。あいの出生の秘密も明かされたし、クライマックスは近いか。盛り上がっていて面白いです。

【雑誌】コミック電撃大王 6月号 メディアワークス/角川書店 B5平 [Amzn]

 電撃コミックガオ!からの移籍組が一気に登場。いわさきまさかず「ケメコデラックス!」、晴瀬ひろき+時雨沢恵一「アリソン」、雅樹里+御影・鏡遊「ef - a faily tale of the two.」、松風水蓮+柴村仁「我が家のお稲荷さま。」、森小太郎+GAINAX+中島かずき「天元突破グレンラガン」。ガオを読んでいた人にはおなじみのメンツという感じだが、この中ではやはり「ケメコデラックス!」が面白いですね。今回は雑誌の表紙となっているけど、絵的に見映えもするし。今年放映開始されるというアニメ版も期待してます。

 綱島志朗「JINKI−真説−」。青葉と両兵がついに……という回。二人が裸で抱き合って、青葉が「私もあなたのモノになりたい!!」といった後、「諸事情によりページをカットして掲載しております。」とくる。えーとこれって単行本で、エッチシーンがねっとり追加展開されたとかでしょうか。単行本買ってないのでその点は知らないですけど。あと4月26日発売の「JINKI−真説−コンプリート・エディション」の全巻購入特典の応募者全員サービスである「JINKI GALS ”SECRET”COLLECTION」の予告イラストがなんかやけにエロっちいですな。

 あらきかなお「乙女はお姉さまに恋してる」。「ロミオとジュリエット」での瑞穂と貴子のキスを受けて、まりやが思い悩む。恋愛的にはかなり白熱してまいりました。一子も自分の気持ちにケリをつける決意を固めた気配で、お話はだいぶ終わりに近づいている。読者コーナーでも「終幕はもうすぐ」と書いてあるし。これまで楽しく展開してきた漫画版おとボクだけど、どういう結末にするんでしょうか。それにしても今回の扉ページのまりやの乳は大きいなあ。

 作:竹宮ゆゆこ+画:絶叫「とらドラ!」。北村・櫛枝に、竜児とつき合ってると誤解されてしまった大河は激しくショックを受ける。今回は大河がいつもとは違うしおらしい姿を見せていて、なかなかにグッとするものがありました。普段は暴れん坊だけどかわいらしい娘さんじゃないですか。

 なお、電撃大王は2008年6月発売号から大幅リニューアルされるとのこと。ガオから連載を吸収したことで、現時点でもけっこう変わってはいるんだけど、どんなふうに変えていくんですかのう。

【雑誌】コミックマーブル Vol.5 竹書房 B5中

 久しぶりに出たと思ったら、今号から3ヶ月限定で月刊化だそうで。どうせやるなら普通に月刊化してほしいとこだけど……。

 短期集中新連載、渡辺保裕「Extra Innings プロ野球稼業」が開始。大阪ライナーズというプロ野球チームでクローザーを任されているアツい男、鈴木大二郎が主人公。彼は東京キングダムというチームに強烈な闘志を燃やしていた。しかしそんな折、ライナーズがキングダムに吸収合併されることが決まって、鈴木は憤怒の炎に包まれる。というのが1話めの展開。主人公の鈴木大二郎は左腕で背番号1という点は鈴木啓示、大二郎は大石大二郎からとられている模様。アツい野球ドラマになりそうな感じで面白くそうではあるけど、ちょっとエッチ系漫画が多いこの雑誌の中ではちと浮いてるかも。

 竹下けんじろう「あまカミ」は4話め。主人公カグラと子供のころ知り合いだった女子・緑がわりとかわいい。今後ラブコメづいてくると良いのですが。あとは888「姉妹的な彼女」あたりがいいかな。主人公の彼女は、カタブツでなかなかエッチなこととかさせてくれないでいたが、開放的な彼女の妹が、主人公を誘惑してきて……という状態で以下次号。絵が華やかで、彼女さんがかわいいのが長所。

【雑誌】メンズヤングスペシャル雷 Volume.06 双葉社 B5中

 けろりん「ラブフール」は4話め。イトコの美佳のことが好きで、彼女に別に好きな男がいると知りつつもやってしまった主人公・克也。今回はその夜の後のエピソード。相変わらず達者な絵柄で、雰囲気は良好。カラーがうまい人ではあるけれども、モノクロもこれはこれで魅力的。お話のほうも爽やかにまとまってて良かったです。今回でいちおう人区切りついたっぽいので、そのうち単行本にしてくれないですかね。

 巻中カラーページのTANABE「LOST」は、事故で記憶喪失になってしまった兄に、彼のことが好きだった妹が迫るというお話。ボリューム感のある乳の質感と、達者な塗りで見映えがする。石恵ライクなテイスト。ZUKI樹「白い恋人たち」は、主人公がフィンランド人の姉妹にモテモテでやりまくるというエロ漫画。気楽に読める作風でわりと楽しい。安定した仕事っぷりです。

【雑誌】COMIC LO 6月号 茜新社 B5平 [Amzn]

 裏次郎「大人も恋をする」。やっぱこの人の描く少女はとてもかわいいですねえ。今回は3日徹夜した後の35歳漫画家のおうちに、彼と親しくしていてエッチもしている女の子が押しかけてきて……という内容。元気ハツラツ、強烈なかまって光線を放射してくれる少女さんのかわいいことかわいいこと。イタズラ心たっぷりで、生意気なことをいいつつも、漫画家あんちゃんにデレデレな彼女がすごくいいです。女の子の表情がとてもイキイキしてるのも素晴らしい。なお裏次郎の第2単行本は7月16日発売予定とのこと。これは肉奴隷を質に入れてでも買わないと。いないけどね……肉奴隷。

 鬼束直「こんな感じで、いく?」。親がいない間にこっそりお酒を飲んで、その勢いでやっちゃったらしき兄妹。でもその最中の記憶がない二人は、シラフでもできるかどうか試してみるのだが……というお話。軽い調子ではあるけど、それがきっかけでお互いに男女として好き合ってることが判明した二人の様子が初々しくて楽しいです。絵も相変わらずとてもかわいい。好奇心と兄への恋が入り混じった、妹さんの表情がええですな。

 ねんど。「銀色の髪の杏奈」は、父母の復縁により、10年ぶりに兄妹となった二人のエッチストーリー。どちらも遺伝的に銀髪という設定。ねんど。の描くキャラはただでさえぷにぷに感のあるお人形のようなんだけど、銀髪という設定のおかげでよりお人形っぽい感じに見える。生意気な娘さんだけど、ラストでは妹っぽいところも見せててなかなか。

 雨がっぱ少女群「AWAKE」。これも兄妹モノ。妹と一線を踏み越えるため、ガールフレンド女子とのエッチシーンを見せつける兄がなかなか狡猾。でもこの作品では、妹さんよりも自分の秘めた想いを主人公に伝えられずにいた、ガールフレンドの美星さんのほうがむしろ気になるかな。いつもは強気だけど、切ない乙女ゴコロを宿しているらしきところが良かったです。

 ほかまみつり「きょうだい星+1」。弟の友達の持ってきた天体望遠鏡を壊しちゃった姉が、二人に裸になることを要求され……という、なんか「姉DVD」な感じの作品。相変わらずほかまみつりは、胸のサイズ的にLOとしては異端なラインを突っ走っている。ロリ巨乳だけど、これは相当にデカいっすよ。パイズリもできるサイズだし。LOのメイン読者層がどう思うのかは知らんですが、自分は巨乳大好きなんでそそられました。

 よしの「レイニーシェルター」。雨宿りのため、偶然電話ボックスで一緒になった少女と、ぬぼーっとしたあんちゃんがエッチなことをしてしまうという内容。別にあんちゃんのほうが襲うとかではなく、少女のほうが好奇心でエッチなことを仕掛けていくという内容。ツリ目で気の強そうな娘さんがけっこうかわいい。大きな目がキラキラしてええですな。

 うさくん「マコちゃん絵日記」は今回もとても面白い。りんごとみかんのどっちがおいしいかで言い争いになって、小学生女子2人がデコピン合戦を繰り広げている様子とか、あまりにも馬鹿馬鹿しくて心が洗われる。あとマコちゃんパパ制作の新作ぬいぐるみ、「マッスル女子高生もしもしエリカ」がインパクト強すぎ。素敵だ。


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