1999マンガベストテン
つれづれなるマンガ感想文’01
一気に下まで行きたい




これがふぬけ共和国的
2001年マンガベストなんだ!!

(……っていうか独断と偏見)

前回のベストテンから、はや2年。ホントは毎年選出すべきなのかもしれないが、昨年はサボった。だってそんなにたくさんマンガ読めないもんよ……。しかし、2年も経てばさすがに人も変わるしいろいろな作品が出る。というわけで、今年もベストテンならぬ12作品を選んでみた。
前回は自分なりにバランスを取ろうとしたのだが、今回はヤメた。しょせん私個人のバランスなんてバランスたりえないから。そういう意味では一昨年以上に「オレ流」である。
このベストは、以下のことを念頭において作成された。

・この世のすべてのマンガを読んだわけではないので、流れ的にも「あれが入ってない」というようなことがあるかもしれないが、それでしたらすいません。
・少女・レディース系もごっそり抜けてます。
・同率一位。順序は関係ない。

・「いけ! いけ! 清田」 newどおくまんプロ(2000、週刊アサヒ芸能)(→感想)

清原をモデルにした清田を主人公にした野球業界モノ。やくみつるが描いているようなことを、みっちり劇画にするとこうなる。私は巨人ファンでもアンチ巨人でもないけど、本作の……なんかあまり愛情が感じられない(笑)バカっぷりがちょっと好きだったりする。

・「エイケン」(1)〜(2) 松山せいじ(2001、秋田書店)(→感想) [amazon]

知る人ぞ知る問題作(笑)。……といっても、マンガをあまり読まない人には単なるHなマンガとしか映らないだろう。同じことを何度も書くようだが、少年系スケベマンガでも「oh! 透明人間」なんかと違うところは、明らかにここ20年くらいのオタク要素を通過しているから。だからそれがわからない人には「普通のエッチなマンガ」でしかない。
むしろ論じられるべきは「オヤマ! 菊之助」との違いなんだよな。

・「コミック伝説マガジン」(2001、実業之日本社)(→感想)

今年創刊された、かつての人気作の続編と復刻で成り立っている雑誌。「漫画サンデー」で呉智英解説の復刻コーナーがあったと記憶しているから、その関連でできたのかもしれないし、そうでないかもしれない。
本誌は、ここ数年の「復刻ブーム」の到達点のひとつとも言える。マンガの復刻については定期的に行われているので、出版点数やそれぞれの部数、売り上げなどを慎重に見ないとハッキリしたことは言えない。しかし、感覚的に復刻が多いように見えることは確か。その理由のひとつはコンビニ流通の単行本が多数出版されたこと、もうひとつはジャンプ黄金時代の作品の続編が相次いで連載されたことにある。要するに「コミックバンチ」だ。

本誌と「コミックバンチ」、そして「イブニング」は現在のマンガ状況を表しているように見える。ぶっちゃけて言えば60年代、80年代、そして現在の繰り返しということだ。しかし「バンチ」が良くも悪くも話題になるのに対し、本誌はネットを漠然と見ていると、話題にならなすぎだと思う。
本誌での復刻は、なかなかいいところをついているのに。特筆すべきは、掲載時の時代背景などの解説が非常に充実していること。それが過去と現在をつなぐ道筋になる。

・「不死身探偵オルロック&プロフェッサーシャーボ」 G=ヒコロウ(2001、エンターブレイン)(→感想) [amazon]

何かの潮流なのかまったくの偶然か、単に「ノリ」の問題にすぎないのか、言語感覚やノリに独特の疾走感のある作品をときおり目にする。たとえば本作、平野耕太の「ヘルシング」、祭丘ヒデユキの「レ研」など。アニメだと「デ・ジ・キャラット」に似たような印象を受けるんだけど。
共通しているのは、読者との了解事項をざっくりと見切ってネームをそぎ落としているような印象を与えること。しかし感じるのは「わかる人にだけわかる」という閉鎖性ではなく、何かもっと激しい思いきりみたいなものだ。何か今後の流れになりうるのか、ただ「ノリが似てる」ってだけの話なのか、要注目。

・「シャイニング娘。シリーズ」 師走の翁(2001、「COMIC阿ロ云(あうん)」ヒット出版社掲載)(→感想) [amazon]

今年の「モー娘。」旋風はスゴイものであった。「モー娘。」自体は数年前から存在するが、イチイサヤカが休業していた期間がわずか1年半だということにかえって驚いたりする。まだそれしか経ってないんだ、という感じで。
小室ファミリー、R&Bといった、ここ数年チャートインしてきたジャンル(?)は、「芸能界」とか「芸能」というものに対するルサンチマンみたいなものを感じた。「もう以前みたいなダサいことはやめようよ」みたいな。
しかし、「モー娘。」はその「ダサい」アイドル的なものを全部肯定させてしまった。そういう意味では「アイドル」を終わらせようとしてたグループ、真にポストモダン(笑)的なのは「おニャン子」であって、モー娘。ではない。

さて、何が言いたいかというと、本作はそんな状況から生まれたひとつの成果である。棲み分けがどこか曖昧なところが日本のマンガの魅力のひとつではないかと思うが、エロ、マンガ、芸能、が混然となって面白いことになっていると思う。むろん単体の作品としてもよくできている。

・「妄想戦士ヤマモト」(1)〜(2) 小野寺浩二(2001、少年画報社)(→感想) [amazon]

99年度「濃爆!! おたく先生」というオタクを題材にしたマンガを取り上げたので、今年度は本作。ここ20年の、こういうネタの蓄積ってすごいよなあと思った。

・「砂漠の勝負師 バード」全2巻 青山広美(2000、竹書房)(→感想) [amazon]

映画には詳しくないが、最近のハリウッド製アクション映画は全部同じに見える。マニアには違いがわかるのだろうとは思うが、金がかかっていて洗練され過ぎていて、そのわりにはなぜか面白くない。(私が)ぜいたく病みたいな状態。
ちょっと極論すれば、そうした「ハリウッド的ハッタリ」を本書は持ち、なおかつ面白い(おまけに買っても映画より安い)。ネタが麻雀だからアメリカ映画にはできないだろうが、非常に洗練された、熱いハッタリを楽しめる作品。

・「夜の紳士」 柳沢きみお(2000、双葉社)(→感想) [amazon]

「翔んだカップル」の作家であるとか、気が付くとどこにでも描いている印象があるとか、個人的にそんな認識しかなかった柳沢きみおだが、(私が)トシをとってきたせいか妙に心にしみる。青年から中年、中年から初老に至る焦りを描かせたら天下一品。そして重要なのは、その「心にしみ具合」がきちんとエンタテインメントしていることだ。ショボくれれば中年の悲哀が描けるってワケじゃない。今後の個人的な研究課題。

・「オッパイファンド」全2巻 山本よし文(2001、双葉社)(→感想) [amazon]

・「女大太郎」全6巻 出口竜正(1999〜2001、講談社)(→感想) [amazon]

「おバカHもの」2つ。チマチマしたマンガにウンザリな人に勧める。

・「ヒッサツ!」 伊藤清順 「月刊少年チャンピオン」連載(2001、秋田書店)(→感想)

5年ぶり、まさかの復帰。一部チャンピオン読者にカルト的な人気だった「ぶかつどう」の作者が、またナンセンス学園ものを描く。こういう飄々とした人こそ、飄々と生き残って欲しい。

・「アナザー・レッスン」 毛野楊太郎(2001、コスミックインターナショナル)(→感想)

SMとかボンデージ系のマンガには2つの方向性があると思う。ひとつは肉体を徹底的に変容させていく方向。そこではもはや男と女、大人と子供、人間・亜人間の区別すらなくなる。それらはその過激さと、ポストモダ〜ンな視点から論評されやすいが、もう一方では、精神、心理戦を突き詰めていく方向もある。
もともとセックスをからめた人間ドラマをドロドロになりすぎずエンタテインメントとして描ける作者だと思うが、本作は「永遠のマンネリ」と言われる調教モノに「コギャル」を導入した意欲作。

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