つれづれなるマンガ感想文9月後半

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「つれづれなるマンガ感想文」9月前半
「つれづれなるマンガ感想文」10月前半
一気に下まで行きたい



・「YOUNG キュン!」10月号(2003、コスミックインターナショナル)
・「パチスロ7Jr.」 10月号(2003、蒼竜社)
・「ウォーB組」10月号(2003、マガジンマガジン)

【テレビ】・「ハロー! モーニング。」(2003、テレビ東京)
【アニメ】・「わがままフェアリー ミルモでポン!」第78話(2003、テレビ東京)
・「ヨシボーの犯罪」 つげ義春(2003、嶋中書店)
・「特攻!! 震天制空隊」 橋本純、居村眞二(2003、世界文化社)
【ビデオ・映画】・「あかすり屋湯助」 監督・脚本:中野貴雄 (1995、制作:ブーム/TMC)
【DVD・映画】・「美巨乳コスプレ戦士 クイーンビーハニー」 監督・脚本:中野貴雄 (2001、TMC)
【ビデオ・映画】・「ミニスカ特捜隊 L.E.G.S.」 監督・脚本:中野貴雄 (1998、日本コロンビア) 
【テレビ】・「セクシー女塾」終了 (2003、テレビ東京)
【書籍】・「教養論ノート」 浅羽通明(2000、幻冬舎)
【映画】・「ゴジラ×メガギラス」 監督:手塚昌明、脚本 :柏原寛司、三村渉(2000、東宝)
【テレビ】・おはスタで、「ミニモニ。THE ドキュメンツ」、来週の月曜日から放送開始
【雑記その3】トリビア、ゴマキ、ミラクル団
【小説】・「フリッカー式 鏡公彦にはうってつけの殺人」 佐藤友哉(2001、講談社)
【アニメ】・「わがままフェアリー ミルモでポン!」第77話(2003、テレビ東京)
【テレビ】・「ハロー! モーニング。」(2003、テレビ東京)
・「ウルティモ・スーパースター」 須田信太郎(2003、エンターブレイン)
【復刊】・復刊マンガ情報求ム
【アニメ】・「わがままフェアリー ミルモでポン!」第76話(2003、テレビ東京)
【小説】・「魔空戦弾」(上)(下) 門田泰明(1996、光文社文庫)
【雑記その2】
【雑記】矢口真里、10月14日スタートの「犬もやらねば」にレギュラー出演、チーキーガールズ






・「YOUNG キュン!」10月号(2003、コスミックインターナショナル)

成年コミック誌。中綴じ。
公式ページ

「陵辱遊戯」毛野楊太郎が、連載第4回で、最終回。

ただひたすら、薄幸の少女・碓氷希(うすい・のぞみ)が同級生に犯される話。
最後は因果応報でビックリするくらい単純な話におさまってしまった。まあ次号からの雑誌の全面リニューアルにともなう強制終了だと思うんだけど、なんかこう……脱力感が……。

執筆者は、他に日由るま、龍牙 翔、水島空彦、りゅうき夕海、かねことしあき、ケーコ、氷純舞、百済内創、影乃いりす。
(03.0930)



・「パチスロ7Jr.」 10月号(2003、蒼竜社)

「ヤマアラシ」宮塚タケシ、原作/鶴岡法斎は、堀田のライバル、飯塚がついに恋人リサと結婚。そんなおり、堀田の弟分・矢口はあるホールの店員の女の子が好きになって……。

「飯塚の結婚式の二次会で、そのことがバレてしまう」のが今回のクライマックス。
そういうタイミングとか人間関係の気まずさとかをスッと書いてきてて、それがとことんダークな話にならないのがこの作品の持ち味だと思う。
もうずーっと読んでるけど、マジで今まで、ハズレエピソードなし。

「SLOCA(スロッカ)」押山雄一は、連載第11回。翔がスロッカ日本大会に出場することに。この大会には、翔のオヤジも出場するらしい。そこに新型スロッカのマシンが登場。いいねえ。少年マンガ的展開。
(03.0930)



・「ウォーB組」10月号(2003、マガジンマガジン)

公式ページ

グラビア&成年コミック誌。表紙&巻頭は伊藤かな。

「ぼくとメス犬」野田ゆうじは、第19話「家庭の味」。先月も読んだけど、感想書くのは忘れた。
全裸の女の子「すずな」は、メス犬として暮らしているが作品世界内でどういう位置づけなのかはナゾ。キモいオタク青年につかまって、ヤられている。

このマンガ、ときどき載っていない月もあって、しかも話の進みが異様に遅い。単行本の2巻は出るんでしょうかね。

杉友カヅヒロは、すごくキッチリしたエンターテインメントエロスを描く人だと思う。
後は前田千石児島未生

11月号は、10月9日発売。
(03.0930)



【テレビ】・「ハロー! モーニング。」(2003、テレビ東京)

公式ページ

9月28日放送分。

たくさんの料理の中に、ひとつだけレプリカが混じっていて、それを一人ずつ見ていって、レプリカを引き当てたら負け、連帯責任でその料理が食べられなくなってしまうというゲーム。
最近、完全にプロレスとして見ている。「連帯責任ゲーム」は、毎回だれかが責任を感じて泣き出してしまうというのがクライマックスになっている。今まで泣いた人、辻、小川、石川梨華。
で、確かこの間のシャッフルユニット対抗ゲームのときは、だれも泣かなかった。

そうすると、スタッフ側としては「どうやって泣かせようか」と考えると思うんですよね。私なら考える。しかしその辺の真実は、どうも虚実皮膜で真実はわからない。

今回、1周目をわずか3人目で紺野が間違える。
2週目、適当なところで紺野が「ハンバーグだと思う」と思って名乗りをあげると「もう少し後の方がいいんじゃ?」と安倍さんなどが止める。
(その後テキトーに飛ばして見た)
何回かして、モノの残りが少なくなってくると、紺野がプレッシャーに耐えかねて泣き出す。
しかし、ちゃんとカレーライスを引き当てる。
ラストは安倍さん。二拓でみごと引き当て、めでたしめでたし。

で、飛ばした部分で、紺野が「あれは大丈夫だと思う」と言っていたハンバーグを、辻が引き当てていたことを後で知る。
これは、確かに心理的混乱&プレッシャーを与えられるできごとだ。
「なんだ、やっぱりハンバーグで良かったのかよ!」という気持ちにはなると思う。

すごい真剣に考えたんだけど(←バカ)、まず紺野を泣かせようとは思わないまでも、ゲームのクライマックスにして、ラストは安倍さんというのは決まっていたのではないかと。
少なくとも、安倍さんラストはぜったい決まっていたと思う。リアクション芸人だから。だいたい、ふつうしんがりをつとめるのはリーダーでなくちゃいけないはずだし。いや、安倍さんもさくらのリーダーだけど。

紺野の方がわからない。1回目失敗した時点で、そういうシフトが無意識的に組まれていてもおかしくはない。

そんなことを一生懸命考えてしまったことよ。

「ミニモニ。かっぱの花道」が最終回。みんなかっぱの衣装の上からさらに衣装を着て「ルパン三世」のパロディをやっていたが、この「衣装の上にさらに衣装を着る」のが狂ってて良かったんだよな。
でもまあ、何度も書いているが矢口のいないミニモニ。は気の抜けたマウンテンデューみたいなもんだね。清純にして、大胆なのどごし!!

ここまで書いたら、疲れたので終わる。
(03.0930)



【アニメ】・「わがままフェアリー ミルモでポン!」第77話(2003、テレビ東京)

公式ページ。

第78話「ゴールデンなミルモ!?」(9月27日)

ダアクの居所を探し、沙織の家にたどり着いたミルモたち。そこには、ダアクにより新たな力をあたえられたアクミとワルモ団が待っていた。アクミたちをやっつけたミルモたちは、沙織の部屋にある鏡の中でついにダアクと対面。
ダアクの強大な魔力の前に、手を出せないミルモたち。一方、ダアクは沙織をあやつり、楓たちにも攻撃をしかけてきた……。

あいかわらず小ネタのギャグが面白い。今まで2人だけだったのが、「3人のセッション魔法」というのが出てきたのも楽しい。しかし、「沙織がなぜダアクの傀儡となっていたのか」の伏線も説明もまったくなかったのはいかがなものか……。まあ今までのパターンからいくと、そこら辺を次回にひきずることもなさそうだし……。

さらにはダアクを封印させられたアクミのその後についても語られることはなし(こっちの方はその後もアクミが出るなら説明はつけられそうだが)。
次週から放送日が変更、「わがままフェアリーミルモでポン! ごおるでん」として、10月7日(火)午後7時30分というゴールデンタイムから放送開始。
(03.0930)



・「ヨシボーの犯罪」 つげ義春(2003、嶋中書店)

コンビニ売り、ペーパーバック風マンガ単行本で、つげ義春自選集。
[amazon]←こっちはタイトルは同じだがまた別の単行本。収録作が同じかどうかは不明。

つげ義春は一時期少し読んだけど、70年代後半から現在までの作品は、「無能の人」を覗いてほとんど読んでいなかった。
しかしこんなにわけのわからないマンガだったとは。むかし何の疑問も持たずに読んでいた「李さん一家」ですらわけがわからんぞこりゃあ。いや、「味」はわかるけどね。

しかし、母親が無愛想な暴力オヤジと再婚してしまったために不幸きわまりない生活を送っている少年の話(タイトル忘れた。本が手元にないからわからん)などは良かった。
(03.0929)


・「特攻!! 震天制空隊」 橋本純、居村眞二(2003、世界文化社) [amazon]

コンビニ売り、ペーパーバック風単行本。
架空戦記マンガの短編集。架空戦記は、まず正しい戦史を知らないのでほとんど読んだことがない。本書も、元ネタがわからないのでよくわからなかった。
収録作品では、日本が原爆投下された後も抵抗を続け、その後の本土決戦での戦いを描いた(当然、けっきょく負けることを示唆)「砲声、未だ消えず」は、確かに架空戦記としては異色作なのだろう。
(03.0929)


【ビデオ・映画】・「あかすり屋湯助」 監督・脚本:中野貴雄 (1995、制作:ブーム/TMC)

えーと、これは成年向けになるのかな。「エロティック、ヘアー解禁、ビデオ映画」。「ヘアー解禁」と銘打っているところが時代を感じるというか。奇想天外なエロティック・アクションもの。

天才的あかすり名人・熱海湯助(大和武士)が、黄金のあかすりテクニックで美女をとりこにしながら、莫大なエネルギーを生み出す「エンマニウム」鉱脈のありかをめぐる大事件に巻き込まれる、という話。

湯助の子分であるゲルピンお銀(一本木蛮)がニューハーフという設定で、一本木蛮がニューハーフというわけなんですよお客さん(同義反復)。
一本木蛮のノリが、なんだかすごいなあと思って見ていた。
全体に横溢するオタクノリは、感覚としては70年代ぽい。主題歌も、いわゆるアニメソングよりも一世代前の感じ。見返してないんだけど「仮面の忍者赤影」みたいな感じです。

最後の最後に巨大メカ(!)が出てきたりしてサービス精神旺盛。
ユリオカ超特Qがチョイ役で出ていたのに驚いた。

主演の大和武士はどこかで見たことがあると思ったら、阪本順二の映画「鉄拳」[amazon]のヒトだった。これもすごいヘンで面白い映画。

本作に関しては、ここで買えるみたい。
(03.0929)



【DVD・映画】・「美巨乳コスプレ戦士 クイーンビーハニー」 監督・脚本:中野貴雄 (2001、TMC)

名門・三剣家の箱入り娘、花子(平石一美)は、悪を憎み、この世の平和を守るため警察に入りたがっているが、厳格な母(警察のエラい人)・厳子は許可しない。
しかし、花子は自室で手作りの衣装に着替え、愛と平和の美巨乳コスプレ戦士クインビー・ハニーとして日夜悪と戦っているのだった……というセクシーヒロインもの。

実は、ハニーが戦っていると思っている悪人は、すべて執事ケイトー(平賀勘一)とメイドの小夜(里見瑶子)が悪人のフリをしていただけだったのだが、それがいつしか生物兵器「青いバラ」の争奪戦に巻き込まれることになる。

これも成年向けですかね? こういうコスプレ変身ものは、プロットがワヤだったり、逆にヒロインがパンチラのひとつも見せず期待はずれだったりということが多いんだけど、本作はハニーは乳をキチンと(「キチンと」っていうのもナンだが)出してましたな。
「お嬢様のスーパーヒロインごっこが、いつか本当の事件にからんでくる」という設定も面白いと思ったし、ここで重要な役どころの小夜(怪人アンブレラ)が、けっこう演技の面でがんばっていたと思う。

おまけ映像で付いていた「リターンズ」ではアンブレラは別の人になってて、こっちもイイんですけどね。

本作は、ここで買えるみたい。
(03.0929)



【ビデオ・映画】・「ミニスカ特捜隊 L.E.G.S.」 監督・脚本:中野貴雄 (1998、日本コロンビア) [amazon]←これはDVD。

芸能プロの社長のカバンを奪うため、とつじょアイドルのコンサート会場に乱入したハイレグ美女軍団。殺された社長は、ロック界のカリスマ、氷室虹男をゆすっていたことが明らかに。
ミニスカ特捜隊L.E.G.S.の3人、赤城マリ(三ノ宮位知子)、亀井静香(市川久美)、桜田ピーポ(寺田奈緒子)は、コンサート会場での生き証人であるカメラ小僧を追いかけることになる。

けっこうお話も面白いし、正直言って意外と三ノ宮位知子の演技がまともだったので驚いた。もっとこの路線でやってくれればよかったのになぁ。
キャットファイトのシーンも、けっこう長く、かつ退屈しないように撮ってある。インリン・オブ・ジョイトイが美女軍団の一員として、黒のハイレグレオタードでチェーンソーを持って大暴れしてる。5年近く前なのに、この人はぜんぜん容姿が変わらないね。今でも若いね。

オチのいい意味での脱力感も、個人的には好きです。
(03.0929)



【テレビ】・「セクシー女塾」終了 (2003、テレビ東京)

9月26日、金曜日をもって終わったハロープロジェクトの帯番組。
矢口真里(モーニング娘。)、石川梨華(同)、里田まい(カントリー娘)、斉藤瞳(メロン記念日)、アヤカ(ココナッツ娘。)が、「セクシーマチコ先生」(ナレーター:友近ファンページ))の指導によりセクシーさを身に着けようという月〜金10分間の番組だった。

バラエティって、回を重ねるごとにだんだん固まってくるものだということを忘れていて、最初かなり批判的に見ていたんだけど(それにはハロプロや友近とはまったく関係ない理由があるが、思わせぶってここではふれない)、だんだん面白くなってきて後半はほとんど欠かさず毎日見てた。

最後の週は、「カルトクイズ」ということで後藤真希のコーナーはその前の週で終わり、メンバーが過去のビデオを見ながら問題に答える。
もうマチコ先生はつくり声を完全に放棄して、ほとんど地でやっているように見えた。終盤はかなりレギュラーメンバーとうち解けているように見えて、そっちの方が楽しく、だんぜん面白く思えた。
また、マチコ先生本人が顔は完全に映さないまでも、チラチラと出てきていて、その辺の演出も面白かった。

最終回、マチコ先生が「♪楽しか〜ったひとときが〜、今はもう過ぎてゆく〜」と、「カックラキン大放送」のエンディングテーマを歌って、出演者たちがまるでわからなかったのがいい意味でこの番組を象徴している。
それにしても、30歳だというが「カックラキン」世代に入るのかー、マチコ先生は。なんかまだがんばれる気がしてきたよ。

「カルトクイズ」の映像では、藤本美貴在籍時の映像もバンバン流れていて、なんか良かったですね。なかったことにしてもしょうがないし。正直、この番組を通して藤本の見方が変わったということはないんだが(出演期間も他のメンバーよりは短かったし)、一員は一員ということで。

別枠の後藤真希のコーナーは、前半「天使のGOTO、悪魔のMAKI」とかいう心理テスト的なもので、後半から「なぞなぞ真希先輩」というコーナーに変わった。
個人的には「いつも、放課後同じ喫茶店にいる後藤真希」というシチュエーションがけっこう気に入ってました。
セリフは、本編同様「『歩くポリスアカデミー』と呼ばれる、ユーモアのある私」とか鮭を「さけ」と呼ぶか、「しゃけ」と呼ぶかを携帯電話で友達に聞きまくるとか、およそ後藤真希本人が言いそうにないことを言わせまくり、たいへんおもしろうございました。

アイドルウォッチャー的には、当初は「押し出しの弱い里田」というイメージだったのだが、後半は「微妙に天然」というふうに愛情をもって見れるようになったことがひとつ。
マチコ先生が、里田をかわいがっているっぽいこととも関係しているけども。「今、天然の顔したわね」とかツッコミがナイスで。

斉藤もボケキャラを確立できてたし、アヤカはまあそのまんまなんだけれども、とくに里田やアヤカのような、大勢の中では前に出にくいアイドルを、少なくとも番組を見ている人にだけはかなり知らしめたと思う。
二人とも、秋元康的な売り出し方だったらこんなバカなことやらなくてすんだと思うが……。まあ歴史にifはないんだけどね。
私は、現状こっちの方が好きですけど。

本題に入る前の、オタク寄りのコントに関してはさんざん言及してきた。正確には、「オタクっぽいことも通じそうな学生」的なノリであったことは、後世にものごとを正確に伝えるためにも強調しておきたいが、それはいくら深夜とはいえ、アイドル番組としてはむしろ当然のことと思える。

以下は完全に「おれ視点」な話なのだが。
もともと、はっきり言って「モーニング娘。」というのはASAYANを見ている人以外にとっては(少なくとも私にとっては)ポップス界において異分子だった。
プロデューサーのつんくが「おニャン子クラブ」をつくろうとしていたのはあきらかだった(他に元ネタがある説もあるが、受け手が連想したのは「おニャン子」だろう)。
中澤裕子が演歌「カラスの女房」とかを歌ってたときには、実情はどうかは知らないがかつてのおニャン子メンバー・城之内早苗が演歌歌手になったことを意図的に繰り返しているのだとしか思えず、タチの悪いパロディとしてイヤな印象しかなかった。

そして、「おニャン子をつくろう」としながらも、ASAYAN的展開は、秋元康やそれ系列の売り出し方とは対極に位置する泥臭いもので、その辺も私を敬遠させた理由であった。

私が「ミニモニ。」だとかソロになってからの後藤真希だとか「セクシー女塾」だとかの、ハロプロの傍流から物事を見ようとしているわけもそこにあるのだが。

とにかく、シロウト目にいい印象わるい印象含めて独自の路線を展開してきたハロー! プロジェクトが、まったく「10分番組のコント」という傍流な展開とはいえオタク的なことどもに目を向けるのは、歴史の必然だったと思う。とんねるず周辺などでは、もうこういうことはやれないだろう。
つんくのターゲットはオタクではなく、むしろ「ドキュン」と言われるような人々なのだろうが。
徹底してセリフが「三十代オタク話もオーケーの人々」の言葉によって書かれていたことは、これもほんっとうに私の中での問題でしかないが、歌謡界の流れの中では鬼っ子に見えていた「ハロプロ」をまったく別の流れである「三十代オタク的なやつら」と結びつける結果となった。

石川に「オラにみんなのセクシーを分けてくれ!」と言わせ、
矢口に「あんたバカァ!?」と言わせ、
後藤に「タケコプターって、昔ヘリトンボって言ってたんだよね」と言わせた功績は、おれ宇宙内ではかなり大きい。今ここに、オタクに鼻もひっかけないアイドルともろもろのネタが融合したのだ。あくまで私の中でだけど。

後番組は「ゴロッキーズ」という、モー娘。の五期、六期メンバーがレギュラーのものになるらしい。友近も続けて登板するということも小耳にはさんだので、期待したい。
あと、田中れいながどのくらい恐いかもちょっと観察してみたい。

参考:
・番組メンバーのユニット「ROMANS」
zetima公式zetima Online

ハロプロ新ユニットはセクシー系「ROMANS」だsanspo.com/

・石川以上斉藤未満(活字セクシー女塾サイト)←かなり詳細な、毎回の解説があります。

【雑記】・「セクシー女塾」(03.0403)(当HP内。第1回の印象が非常に悪かったらしい)

・「セクシー女塾」その後(03.0415)(当HP内)

・「セクシー女塾」その後2(03.0419)(当HP内)

・「セクシー女塾」その後3(03.0422)(当HP内)

・セクシーボールZ(03.0503)(当HP内)

・「セクシー女塾」に矢口登場(03.0507)(当HP内)

・「セクシー女塾」にアヤカ登場、ジュジュのセクシーな冒険(03.0515)(当HP内。ここらあたりは絶賛してる)

・「セクシー世紀セヴァンゲリオン」(03.0606)(当HP内)

・最近の「セクシー女塾」(03.0814)(当HP内)

それでは、 僕は僕を続けるよ明日からも。

(03.0928)



【書籍】・「教養論ノート」 浅羽通明(2000、幻冬舎) [amazon]

いったい教養は必要なのか不要なのか? について論じた本。
学問体系がタコツボ化して、普通の人の人生や生活の上での疑問に応えられない場合が多いことを問題視し、「教養とは何か」について考察している。

個人的に面白いと思ったのは、本書で書かれていた、以下の点。

・大意「倫理」、「物語」、「教養」といったものは、万民が必ずしも必要とするものではない。
・歴史や世界情勢をかんがみ、現在、知識体系、世界観としてワンセットの教養というのはもはや存在しない。これからそれが構築されねばならない。
・教養が世の中を変えうると考えるか否かで、筆者は「変えうる」という立場をとっている。

最初からそんなことは承知している、何を今さら、と思っている人にはあまり面白く感じられない本かもしれない。私は面白かったけれども。

だいたい「倫理」とか「思想」とか「教養」といったジャンルを扱う本というのは、著者がやたらといばっていて、自分の語ることがいちばんこの世で重要なんだといわんばかりのものが多い。
まあヒトによって、本気で思っている場合と「そうでもしないと耳を傾けてもらえない」というポーズにすぎない場合があることは私も充分わかっているつもりだが、そういうポーズそのものを批判しているところなどはとても痛快だった。

3つ目の「教養は世の中を変えうるという立場をとる」というのは、たとえば本書では「フェミニズム運動家は、単に心の中だけでヒトの溜飲を下げさせるために自説を主張しているわけではない」というふうに説明されている。
思想とか哲学とか教養に「実効性があるかどうか」を考えることは、教養に対する考え方の岐路に立つことだと自分は思うが、「そんなのあたりまえじゃん」と思っている人も多いんでしょうかね。
個人的には、実際にどうかはわかりませんね。ただ、「そう思っている人がいるかどうか」は、かなり意見の相違などを観るときの指針にはなるかなと。

例によってよせばいいのにネット検索していたら、本書の書評で浅羽通明は著書「大学で何を学ぶか」くらいからどんどんおかしくなっている、という指摘があったが、私の考えではまったく逆。「このテの本」のワンパターン、袋小路から脱却しようとなかなかオリジナルな手段を考えてきていると思う。
「罵倒や批判はもうヤメた」というのも、「罵倒や批判」で成り立っている「論壇」系の書籍の著者としてはむしろ珍しい(本書では「論壇」を閉じたコミュニティと考えて批判的なのだが「そういうのが好きそうな人が読む本」というほどの意味で、当HPでは「論壇系」と書かせてもらいました)。

たとえば宮崎哲弥だろうが福田和也だろうが「もてない男」を書いた人だろうが、「論敵を批判したり罵倒したりする」という点においてはみんなワンパターンですからな。正直、そういうの飽きたし。

「私の考えはまったく逆」という話に戻す。浅羽通明の「ニセ学生マニュアル 死闘編」は面白い本だったが、おおざっぱに言ってしまうと「実力も覚悟もないくせに、こちら側の領域に入ってくるんじゃねェよ」と、「ウスい読者」に対して書いているようにも感じられた。
わー、この人わざわざ読者を減らすようなことを書いているんだなあ、と思い、私はそれ以来、「論壇系」な本はほとんど読むのをやめてしまった(結果的には、正解だった気もするが)。

また、10年前くらいに(一部で)流行っていた「閉じた世界に安住せず、他者と関わろう」とか「頭でっかちにならず、身体性に目を向けよう」というスローガンは、多くの場合具体性に欠け、単なるお題目としか思えない場合が多かったが、本書ではそれらがより具体的にイメージされているという点でも、いいふうに変わったと思える。

だいたい、「論壇系」の人が(自覚的であっても)「むやみに偉そうなポーズをとる」ことが芸になる時代はもう終わるだろうし(それとも一種の伝統芸で、終わらないだろうか?)、毒舌や罵倒、批判といったって、そうそうオリジナルなものというのは出て来にくい。
ネットウロウロしてどこかの大学の先生の毒舌HPなんかも見たが、その辺まったくわかっていなかったりする。要するに、本気で毒舌、罵倒をしていて、それが芸の一種だとは夢にも思っていないのだろう。あなたは山形浩生や福田和也じゃないんだから、独自の方法を考えてください(だれにも向けていない無意味提案)。

もちろん先生に限った話ではなく、「オリジナリティを出そうとしてさまざまなポーズをとる」ことと「普遍性のあることを語る」ことはときとして矛盾することもあり、人に何かをアピールしようと思ったらなかなかそこら辺むずかしいんですけどね。

もうひとつ重要なのは、本書は「趣味の世界」を学問の世界とかなり厳密に分けているということだ。これによって学問関係者への批判がより明確となり、かなりオモシロクナイ思いをした人もいたかもしれないが、それは私にとっては重要なことだった。
ある主張を、あらゆる面に敷衍させて考えさせ、自説を広めようとするのも知識人の陰謀(?)だということもあるしね。

【関連書籍】・「野望としての教養」 浅羽通明(2000、時事通信社)

(03.0927)


【映画】・「ゴジラ×メガギラス」 監督:手塚昌明、脚本 :柏原寛司、三村渉(2000、東宝) [amazon]

怪獣・ゴジラは何度も日本に上陸、破壊の限りを尽くした。原発のエネルギー目当てに上陸してくるゴジラのために、日本政府は原子力発電の開発を断念。代わりにクリーンエネルギーを開発する。
2001年、政府はついにゴジラ消滅作戦を開始。辻森桐子(田中美里)は、上官をゴジラに殺された悔しさからがんばって対ゴジラ戦闘部隊「Gグラスパー」隊長に就任。彼女は、ゴジラを消滅させる究極兵器「ディメンション・タイド」の研究に参加させるため、なんだかブラブラしてるっぽい発明家・工藤元(谷原章介)を訪れる。
これは、小さいブラックホールをつくってゴジラにぶつけるという兵器である。

それから数カ月後、ブラックホール砲の実験の影響で古代の巨大昆虫「メガヌロン」が時空を超え、突如東京に出現してしまった。渋谷を湖と化し、大繁殖したメガヌロンは、羽化し成体「メガニューラ」へ変身、それらは群れとなってゴジラを襲撃する。
そして、巨大メガヌロンから超翔竜「メガギラス」が誕生。ゴジラ、メガギラス、人類の三つどもえの戦いが始まった!!

いつだったかテレビでやってたのを、録画して視聴。
とにかく、あっちでもこっちでもボロカスに言われていた記憶しかなくて、それだけで気後れして見なかったんだけど、いやあ、面白いじゃないですか。

確かに科学考証はむちゃくちゃかもしれん。「垂直に落下する人工衛星」は、いくら文系の私でも観ていておかしいと思った。メガヌロンが「ラドン」に出ていたことなどすっかり忘れていた(ちなみに「ラドン」をちゃんと観たかどうかも忘れてしまった)。
しかし、面白かった。本来大画面で観るべき怪獣映画をテレビの小さい画面で観た感想だから、たぶん間違っていないと思う。

まず人間パートとしては、天才科学者の工藤元(谷原章介)の天才っぷりが非常にわかりやすい。「どんな大型のメカでも小さくしてしまう」というのはこれ以上なくシンプルで、また「天才」としてのすごさを視覚的に見せつけることができる。
また、彼が開発した独自のOSというのが出てきて、それが画面上でカワイイCGのナースが動き回ってプログラムをチェックしてくれるというのも視覚的でイイし、この設定がクライマックスで生きてくるのはとてもよかった。
女隊長である辻森桐子(田中美里)も、想像よりは良かった。部下に慕われているっぽいところ、ゴジラへの執念、工藤と口ではケンカしているけれどもお互いを信頼し合っている様子などはよく描けている。その後の「ゴジラ×メカゴジラ」の釈由美子よりも、キャラクターとしてはよく描けているかもしれない。

怪獣パートとしては、メガヌロンがジワジワと「メガギラス」になっていくところや、109を破壊するところなんかもよかったし、メガギラスになってからのゴジラとの戦いっぷりもいい意味でアニメチック。
メガギラスの尻尾がゴジラの顔に突き刺さったと思わせておいて実は……とか、ベタだけどイイんですよね。他にも、殺陣に工夫が見られた。

上空からお台場を撮っていて、カメラがあっちこっち移動してひととおりテレビなどで見慣れた風景を映してから、海上を進んでいくゴジラの背中が映し出されてくるところなんかは迫力があると思いましたよ。

そりゃ当然、難もあって、それについてはもっと詳しい人が的確なことを言っているので書かない。
「これがヒットしないと次がないから……」というような留保付き評価もネットでいくつか見たけど、私はそのずっと後に見たからそんな必要もない。で、そんなひいき目で見なくても、この映画は「退屈しない」という点においてはかなりのものなんではないでしょうか。
個人的には、この間の「ゴジメカ」よりも好きかも。
(03.0927)


【テレビ】・おはスタで、「ミニモニ。THE ドキュメンツ」、来週の月曜日から放送開始

テレビ東京で放映中の子供向け情報バラエティ、おはスタで、来週月曜日から「ミニモニ。THE ドキュメンツ」という、ミニモニ。主演のミニドラマを放送するらしい。

予告編を見たが、「ミニモニ。って何!?」といきなり悩み出すミニモニ。メンバーたち、「活動休止や」と言い出すつんく♂、「ミニモニ。やめちゃえば」と衝撃的な発言をする矢口……。

何じゃこりゃ!?

いかんいかんと思いつつ、私はわりと初見で判断してしまうところがあり、本編を見ないで文句を言うなど実に愚かだ。考えが変わったときに訂正するのも大変だし。
実際、「セクシー女塾」のように嬉しい方向で裏切られた場合もある。

が、「モーニング娘。はミニモニ。を生み出すためにつくられた。」とまで過激発言を飛ばしそうな勢い(決して本当に飛ばしてはいないので各方面の苦情は受け付けません)な私のスタンスから、ひと言言わせてもらいたい。

何じゃこりゃ!?(さっきと同じか)

現在は「おはガール スターフルーツ」のミニドラマをやっているが、これが実にクダラナイから心配なのである。
「おはスタ」は、歌を出すときにときおりミニドラマを付与してきた。だが、これがぜんぜん面白くない。近年では「おはガール フルーツポンチ」から、ドラマの枠を越えてスタジオの放送とリンクさせて虚実の皮膜を薄くするような演出をしたりしているが、それがまたムナシイのである。

もし、現在やっている「おはガール スターフルーツ」のようなことを繰り返すのだとしたら、それはもうミニモニ。レジェンドの矮小化であるとしか思えん。

だいたい、「おはスタ」内では、ミニモニ。映画「お菓子な大冒険!」のCGキャラクターを使ったアニメ「ミニモニ。じゃ てぃーびー」というのを毎日やっている。こちらは、映画の設定を引き継いで、おとぎの国みたいなところに住んでいるミニモニ。と矢口、なぜかスッチーのかっこうをした「ごっちん」(後藤真希)が出てきて他愛ないギャグを繰り広げる作品。

本来、「ミニモニ。」の比重はこうしたフィクション性にあるべきで、ASAYAN的なスポ根的ドラマとはまったく無縁のところにあったからこそ、ハロプロ内でもまったく独自の地位を占めることができたのである。

フィクション性の非常に高い「ミニモニ。じゃ てぃーびー」をやっておきながら、今さら芸能スポ根ドラマをやられては、世界観がおかしくなってしまう。

さらに不安材料がある。

それは、10月に出るというミニモニ。の新曲「CRAZY ABOUT YOU」(→ジャケ写)で大胆なイメージチェンジをはかっていること。
要するに、くだんのミニドラマはこのイメージチェンジの過程を描くものになるだろうということだ。何かものすごくいやな予感がする。

まあ、私は初代ミニモニ。をファーストガンダムだとすると、現在のミニモニ。は私自身が「Zガンダム」に接したとき程度の温度でしか見ていないので、もはや別物と考えていることも事実だが。
このミニドラマを見るか見ないかは、けっこう悩むところだ(悩むのか)。
(03.0926)



【雑記その3】トリビア、ゴマキ、ミラクル団

雨がショボショボと降って、関東はすぐに冬になるだろう。秋は飛ばされるだろう。
それがメガロポリス・ネオTOKIOに住むものが払った代償のひとつだ。

まあTOKIOではあるかもしれないけど、ネオTOKIOはどうかは知らない。

以下、ちょっと思うところをまとめて。

・先週の「トリビアの泉」の「トリビアの種」で、「全国の床屋さんで最も多く置かれているマンガは何か」を調査していた。

これ、ムダなようでいてそうでない気がする。
そもそも、「つい夢中になって床屋でマンガを読んでしまう行為」というのは、マンガの本質を突いているような気がするのだ。
床屋に行く人はマンガを読みたくて床屋に行くわけではないのだが、つい待っている最中に読んでいるとハマってしまう。でも、現在床屋で読んだマンガの続きが読みたくて買う、という人もまたいないだろう。
そのあたりの「ハマり感覚」が、他のメディアと比較してみて興味深かった。

また、結果は第一位が「ゴルゴ13」、第二位が「サラリーマン金太郎」となっていたが、老舗のゴルゴはともかく、比較的最近の作品である「サラリーマン金太郎」が二位に食い込んでいるのが面白かった。
もともと大ヒット作品ではあるのだろうが、「床屋」という基本的には男性しかいかない空間に置かれる作品だということに思いをはせると、何となく感慨深いものがある。

「99の後藤真希」[amazon]という本が発売になるそうで。

いや、あまり情報を提示しないとマズいと思ったのでいちおうあげた。本当に書きたいのは最近のゴマキのことなんですけど。
「うわさのSEXY GUY」のシングルVの感想で、

テレビで見たときにもちょっと書いたのだが、これはどうなんだろう? ものすごく微妙だと思う。少なくとももう「未知の強豪」的な後藤真希イメージは完全にないと思う。で、「元モー娘。」ではないソロとしてのイメージを確立しているかというと、やっぱり微妙な気がする。

と書いたんで、その後の私のゴマキ観察をした感想。

いつの間にか、広い意味で正統派アイドルになっていったと思う。
CDの売り上げやコンサートの動員数などはまったく知らないまま私個人の印象だけで書いているが、どういうわけかまったく危なげがなくなったように思う。
これは、「モー娘。」時代のポジショニングから、受け手が抱いていたイメージが払拭されたということが強いのだろう。

すなわち、もはやあれだけつきまとっていた後藤真希と周囲との「関係性の妙」のような面白さはほぼ完全に無くなった。つまり野次馬的には、以前ほど書くことはそんなになくなるだろう。
その代わり、ソロの後藤真希のアイドルとしての本質みたいなものは見えてきて、それはホンモノだったのではないかなと、「抱いてよ! PLEASE GO ON」のパフォーマンスをテレビで見ながら思ったりした。

なお、私が後藤真希自体がいやがっているらしい「ゴマキ」と表記するのは、「ゴマキ」という表記の中に「何となく気になるんだけど、熱烈なファンでもない」というニュアンスがこめられている気がするから。
「ゴマキ」と、本当のファンが使う「ごっちん、ごっつぁん」というふたつのあだ名を持っているというのも、タレント「後藤真希」生成の過程を表していて興味深い。

・テレビ東京で放映中の子供向け情報バラエティ、おはスタから、水曜日担当の「ミラクル団」が卒業。
「ミラクル団」とは、雨上がり決死隊のこと。
考えてみれば、当初「ミサイル団」(「ポケモン」に登場する「ロケット団」から考えられた名前)だったのが、アメリカの貿易センタービルテロ事件により(おそらくだが)自粛して改名したことを考えると、2年以上やっていたことになる。
ちなみに、あのときの9月11日は、まさにその「ミサイル団」担当の水曜日だった。

実はもう1年くらい前から「いつやめるんだろう」と思っていたのだが、今回めでたく卒業。理由はたぶん「以前より売れたから」だと思う。何もかもが懐かしい。
(03.0926)



【小説】・「フリッカー式 鏡公彦にはうってつけの殺人」 佐藤友哉(2001、講談社) [amazon]

第21回メフィスト賞受賞作。大学生・鏡公彦の妹、佐奈が自殺。その後、公彦は謎の男から佐奈が何者かにレイプされるビデオを見せられる。復讐を思いたつ公彦。
一方、公彦の幼なじみ・明日美は、「突き刺しジャック」と呼ばれる、いまだに捕まっていない連続殺人鬼が殺人を犯す瞬間だけ意識がそいつと「接続」するという怪現象に悩み続けていた。
ふたつのパートが交錯するとき、まあいろんなことがスパークするというわけだ!!

実は、あまりにもいい評判を聞かないので読んだ(どうも私の読書動機はこんなのばっかりだ。ほっておいてくれ)。たまたま読んだネット上のレビューがそうだったのかもしれないけど。

確かに、1ページ目の「おにーちゃん、おは」というセリフが出てきて可愛い、アニメ美少女的に可愛い妹が朝食をつくってくれると言ってくれて、そこに幼なじみのこれまたアニメ的美少女が現れてこれまた朝食をつくってくれると申し出る出だしにはカクカクカクッとなったし、文ははっきり言って悪文。おかしな描写がいくつも出てくる。読みやすいけどね。

しかし、お話はなかなかブッ壊れていて面白かった。しかも、ブッ壊れていながらもいちおう全部説明を付けている。むろん若書きの部分はあるけれど、「この小説はブッ壊れています」という前提を念頭に置いても、なお意外性があった。
この辺は必ず「オレは展開が読めた」という意見が出てきて、水掛け論になってしまうところなんだけどね。
(まあ驚愕のラストに関しては、予想のしようはないとは思うが。)
「ブッ壊れている」と書いたが、読者を騙すテクニックはなかなか周到だと思う。ミステリとして見た場合はアンフェアどころの騒ぎじゃないのだが、手を変え品を変えていろいろやってくれている。
殺しの動機も面白かった。「当たり前のことを当たり前のようにやる人々」を集めて、ベタをある程度前提として構築する作劇法(私が接することが多い方法)とは違うので刺激になる。

また、全体に「若さゆえ〜♪」なニヒリズムが横溢しているが、しかしどこかに実感を伴わない、頭で考えた諦観のようなところがあって、それがかえっていい意味で小説全体の軽みになっていると思う。
たとえば私と年齢が近い殊能将之のニヒリズムにはかなりダークで根の深いものを感じてしまうんだけど、この作者・佐藤友哉の場合「才能あるんだからがんばりなよ!」とでも言いたくなるような感じ。まあそんな無責任に励ましてもありがたくもなんともないだろうが。

ただ、水掛け論を蒸し返すようだが、最後の最後のオチ、あれは読めてしまった。

それと、メフィスト賞受賞作全体に言えるんだけど、オビの惹句が異様にダサいと思えてしまうのは私だけか? 大塚英志の「ルーシー・モノストーンがどうのこうの」というのを検索したら、自分の作品に出した人物じゃないかよ! それとおっぽり出すようなジャンク文体というのは、積み重ねることによってリズムが出てくるわけで、2、3行の惹句ではどうにもならんと思う。

本作で連想したのはマンガ「エルフェンリート」→感想)と「ゾンビ屋れい子」→感想)でした。

【関連作品】
・「エナメルを塗った魂の比重 鏡稜子ときせかえ密室」(2001、講談社)

・「水没ピアノ−鏡創士がひきもどす犯罪」(2002、講談社)

(03.0924)


【アニメ】・「わがままフェアリー ミルモでポン!」第77話(2003、テレビ東京)

公式ページ。

第77話「ダアクがよみがえる時」(9月20日)

復活のため、本格的に活動を開始したダアク。沙織を利用して人間界を悪の心で満たしたため、町は感情を剥き出しにした人たちで大混乱。人間界の影響はそのまま妖精界にも波及するという。妖精界に不安を感じたガイア族(妖精の神)は、ミルモたちをよび出し、ダアクを再び封印するよう命じる。人間界をまもるため、ミルモたちはダアクとの戦いを決意するのであった。

ぜんぜん関係ないが、アニメ「ボンバーマンジェッターズ」も面白いらしい。面白いらしいっつったって、もうすぐ終わりかもしれないけど。
ビデオで借りることもないだろうから、私が「ボンバーマンジェッターズ」を観る機会はもう二度とないだろう。 たとえば「黄金勇者ゴルドラン」って、毎週なんとなく観ているうちにすごく好きな作品になって、後半怒濤の盛り上がりを見せるのだけれど、今、借りてきて1から観ろって言えるかというとむずかしいし(定期的に演出をワタナベシンイチがやっていたんだなあ)。
でも好きだったなあ。話数の多いテレビシリーズには、そういう出会いやすれ違いがある。

で、本編。ミルモは1クールごとに、1話完結とは違うお話が用意されている(確か1クールごとだったと思う。2クールだったかどうかは忘れた)。今回もそうした、いわばお約束的なクライマックスではある。で、次週までで放送時間が変わるらしい。

言ってみりゃ「セーラームーン」とか「東京ミュウミュウ」とか、そのテの少女もののパニックとか戦いとそう変わらない。が、私はミルモが好きなの。セーラームーンじゃなくて。

ナニゲに、たまにしか出ない脇キャラが出番をつくっている。今回は、楓の友人・悦美が、他のキャラクターたちは全員妖精が見えるのに自分だけ見えないという「キラークイーン・バイツァダスト」の話の男の子みたいな存在になっていた(そんなおおげさなものじゃないが)。
(03.0923)



【テレビ】・「ハロー! モーニング。」(2003、テレビ東京)

公式ページ

9月21日放送分。

「ことばJUDO」というやつで、柔道着を着た娘。たちが、お題に合った言葉を投げ合って勝敗を決めるというトーナメント形式のゲーム。
たとえば「カッコいい外国語」とか「最近覚えたことわざ」、「美しい日本語」など。

司会は稲葉貴子。出場者には謎の覆面X選手も入ってきて、わいわいどんどんと。

この企画、けっこう面白いのだが何かのパクリなのだろうか(テレビ東京=パクリ、という私の認識も非常に貧しいものではありますが……)。「ガキの使い」とか「メチャいけ」などでやっていても何らおかしくない、面白いゲームだと思う。
いかんせん、娘。たちのボキャブラリーの少なさがアレだったが……。

しかし、謎の覆面X選手はなかなか良くて、わざわざこのゲームのために抜擢されたものと思われる。こういうスタッフのセンスは素晴らしい。

今週の藤本美貴&田中れいな。
まず藤本は、「ことばJUDO」で飯田佳織に「足を踏んできても藤本は気づかない」と言われていた。
次に、安倍なっちが「藤本はツッコミがときどきキツい」と言っていた。
初代メンバーの、やんわりとした藤本批判が恐い。

田中れいなは、この子最近もともとはカワイイ顔してんだな、と思うようになってきたが、コント「ハロモニ。劇場」の何度も返事をさせられるシーンで最後にヤケクソぎみに大声を出すところが恐い顔になっていました。恐いよー。

「ハロモニ。劇場」では、ただやりたいだけでまったくオチのない「うわさのSEXY GUY」のふりまねをしていた吉澤の度胸にあきれた。

「おじゃマルシェ紺野」は、新曲を出す松浦亜弥に直撃インタビュー。「こんな人いないだろ」的な典型的なプロデューサーのものまねで通す紺野。
松浦が苦笑混じりに「コンちゃんも変わったね。昔はあんなじゃなかったのに……」と言っていたのに笑ってしまった。
(03.0922)



・「ウルティモ・スーパースター」 須田信太郎(2003、エンターブレイン) [amazon]

A5判。以下、私は実際のプロレスはそれほど知らないということは断っておきます。

「自由への闘い」を標榜する超弱小インディーズプロレス団体「るちゃプロレス」が、どこかの地方都市にやってきた。その町で死ぬほど退屈な高校生活を送っていた少年・三波は、覆面レスラー、ウルティモ・スーパースターの戦いに魅せられて、衝動的に「るちゃプロレス」の雑用係兼下っ端レスラーとして身を投じることになる。

現実の世界でも覆面をかぶったままで「リンピオ」(ルチャ・リブレの善玉)的存在であるウルティモ・スーパースターや、ふだんは本職があり休日だけ覆面レスラーとして活躍するるちゃプロレスの面々、そして彼らの戦いぶりを見て、自分にとって「自由とは何か?」を考えてみたりする三波少年なのであった。

当HPの過去日記を読み返すと、コミックビーム2002年9月号(→全体の感想)掲載のエピソード「第8話 悪魔男にモンキー・フリップ」について、自分は以下のような感想を書いている。

「ウルティモ・スーパースター」須田信太郎、今回は刑務所から逃げ出してきた「自分を本当のヒールだと思い込んでいるマスクマン」とスーパースターが戦う。いつももうちょっとでウルウルくるんだけど、もう少しルチャのシーンで技とかをハッキリ見せてくれたらなあと思う。
いつも缶ビール飲んでるニイチャンがシブい。こういうニイチャンになりたい。が、ムリかおれには。

要するに、キライな作品じゃないんだけど正直、いまいちもどかしいような感じを受けていたんですよね。

で、正真正銘「き、来た! す、すごい!」と思ったのは、本書にも収録されている「第11話 ビッグフェイスにミサイルキック」からなんだけども。

この話でウルティモ・スーパースターの過去がちょっとだけ明かされる。前にもほのめかされていたが、スターはかつて超メジャー団体、F・E・Wのレスラーで、現在エンターテイメント路線に走っているF・E・Wで「リストラ戸塚」というキャラクターを演じているマッスル戸塚の同僚だった。
で、続く「第12話 大阪で増殖」と合わせて、ものすごく単純に言ってしまえばF・E・Wのリングでスターたちがメチャクチャやるという話になる。

前述のとおり私はプロレスのことはよく知らないけど、まず戸塚というのは本来ストロングスタイルのレスラー。ウルティモ・スーパースターは、かつては「ストロングスタイルバリバリ」だったが、現在はルチャドール。F・E・Wは、どうも現在のアメリカン・プロレス、深夜テレビでやってるWWEの「スマックダウン」みたいな路線を「かたちだけなぞっている」ことになっている。
で、団体内でワリを食っている戸塚や、内気でプロレスのヘタなB・F・ジョンをスターたちが助けてやるという展開なんだけれど、ここら辺がすごくいい。
もともと「るちゃプロレス」は、「プロレスには筋書きがある」と明言するタイプのプロレスなのに、「うわっつらだけ模倣したエンターテイメント路線」はみんなものすごくいやがっている。るちゃプロレスのみんなが、ストロングスタイルの戸塚とはまた少し路線が違うだろうと思うんだけど、アメリカンスタイルになったF・E・Wには6万人も入っているんだけど、そこは戸塚と意見が一致していてF・E・Wが気にくわない。

飲み屋で三波とピラニアン・ジョー(るちゃプロレスでいちばんダメっぽいレスラー)がF・E・Wのことで議論というかケンカするシーンからクライマックスへなだれこむんだけど、F・E・Wの存在とそれをめぐる人々の意見や行動っていうのは、すでに掲載誌とか作者のマンガ創作論ですよ。
そういう言ってみれば青臭さみたいなものが、このエピソードではすごくいい方向に進んでいっていると思う。

私個人も、アメプロも含めてあまりに予定調和的なプロレス礼賛っていうのにずっと疑問を抱いていたんで、まあマニアでも何でもないんだけど、一部スッキリした部分はあったしね。

この後、掲載誌の方ではプロレスを新興宗教にしようってヤツをやっつける話があって、あれもすごく良かったし、格闘技をかじっている少年が三波に挑戦してくるっていう話も良かったんで、この単行本「1」っていう表記がないんだけど、ぜひ2巻も出して欲しい。
(03.0921)



【復刊】・復刊マンガ情報求ム

ネットのマンガサイトで、あったらぜひ教えてほしいのが復刊情報を主に扱うサイト。
私の知るかぎり、あまりない。しかし、復刊情報を知らないと古書店でたいそうなプレミアのつく作品を買ってしまう可能性もあるし……。
自分でやろうかなとも思ったんだけど、めんどくさいからしない。
あと、コンビニ売りのペーパーバック風単行本まで追いきれない、ってのもある。

とりあえず、
復刊ドットコムである程度はわかるんですが。「ウホッ!! いい男たち」とか「ミクロマン」、「ホモホモ7」などが復刊されるんですね。

復刊じゃないけど石ノ森章太郎 美女画集 GIRLS 2nd.がまた出るとかね。

なんかそんなこと。
(03.0921)


【アニメ】・「わがままフェアリー ミルモでポン!」第76話(2003、テレビ東京)

公式ページ。

第76話「行くぞ! テレビ局」(9月13日)

沙織がフルートの演奏でテレビ番組に出演することになった。その番組が松竹グループのテレビ局で放送されるということで、楓たちはその見学に行くことになる。
あこがれのドラマの主人公「アフロ先生」をさがしてテレビ局の中をうろうろするミルモ、アイドルデビューさせてくれとプロデューサーにたのみこむ安純、オーナー権限で沙織が出る番組に出演し、楓にアピールしようとする松竹……。
そんな手前勝手な一同だったが、演奏中の沙織の目が赤く光り出し、その音色を聞いた人たちのようすが突然おかしくなってしまうが?

「テレビ局をウロウロしていて、いろいろな収録に首を突っ込んでは騒動を起こす」という伝統的なパターン。……にしても、コレのオリジナルって何なんだろうな。たぶん外国のコメディ映画だと思うけど……(そして、たぶん元は「映画撮影所で起こる騒動」という話だったのではないか)。
以前に出てきたゲストキャラが微妙に出てきたり、ミルモがふだんから見ている「アフロ先生」が劇中劇でまた出てきたりと、楽しい回。

いよいよ次回は「ダアクがよみがえる時」。ちょっと楽しみだ。
(03.0921)



【小説】・「魔空戦弾」(上)(下) 門田泰明(1996、光文社文庫) [amazon]

・目からビーム!!
ひたすらに脱力ものの1冊。1985〜86年に、1巻、2巻としてトクマノベルズから刊行されたものが文庫化された。が、そのような事実は光文社文庫版には書いてない(ひどい)。

雑賀コンツェルンの総帥、雑賀与四郎は、企業内クーデターにあってその座を追われ、生死に関わる心臓病を患っている三十五歳の息子・呑龍(どんりゅう)と二人、ひっそりと暮らしていた。
ある晩、呑龍は不思議な光球から老人の声を聞き、そこから怪光線を浴びて不死身の身体に変身した。
だが、それを報告すべき父親は何者かに殺された後だった。

父殺害の謎を追って、超人間となった呑龍の戦いが始まった。

「UFOから不思議な光を浴びて、目から怪光線を出せるようになった男が怪人と戦う」という小説があると聞いたのは、本書が最初に刊行された年の翌々年だったと思う。 「もうほんとにしょーもないんだよなー」的な口調で語られていた。みんな笑った。私も笑った。
また、作者の門田泰明は「特命武装検事・黒木豹介」シリーズ、略称「黒豹シリーズ」[amazon]が有名だが、同シリーズは同時にトンデモなシリーズとして名前を聞いてはいた。

通常、トンデモない小説は読後の徒労感がたいへんなことになる場合があるためほとんど手を出さないのだが、何ていうんですかねー、刊行後十数年経って魔がさしたっていうんですか? 読んでしまいましたよ。

たいへんでしたわ。とにかく、ツッコミが千億回は入れられるが、同時に「入れてどうする」とも思える話だった。

・上巻
呑龍は父の死の謎を追うが、その過程で、通常の人間よりははるかに強靱な肉体を持ち、目も鼻も口もなく額に銀色の目玉みたいのがひとつあるだけ、という怪人たちと戦うことになる。
呑龍は時速百キロくらいのスピードで走ったり、目から光線を出して敵をやっつける。傷ついても、青い汗が出てそれを浴びるとすぐに治ってしまう。

呑龍は、父の元秘書であり愛人である女性を愛するようになる。その娘(つまり呑龍の腹違いの妹)は、生まれつき耳が聞こえなかったが、彼の青い汗を耳の中に入れたら耳が聞こえるようになった。

……もうここらであらすじ書くのヤメ。呑龍はその超能力は大味だわ、事件の捜査も大味だわ、捜査しているうちにすぐ後をつけられるわ、敵の超人間も実に面白味のないやつだわ、目から怪光線は出すわ(しかも色違いの)、何というか、風情としては手塚治虫以前、あるいは手塚治虫大活躍時に、手塚以前のセンスしか持ち合わせなかったマンガ家のダメダメな部分を凝縮するとこうなると思う。
暴かれる真相も、あまりの新味のなさに思わず本を取り落としそうになった。

夢の中で逃げ回って目が覚めたときのような徒労感を感じる1冊。

・下巻
まあ、最初のうちは下巻の方がまだマシではある。

雑賀呑龍は、亡き父を放逐した重役たちをどうにかしてやっつけ、自分自身が雑賀コンツェルンのオーナーにおさまっていた。ちなみに、どうやってやっつけたのか、単に「創業者の息子」でしかない彼がどのように残った重役たちにカリスマ性を誇示しえたのかの説明はほとんどなし。
彼は愛艇「シードラゴン」に乗り、一人大海原を航行していたが、房総半島沖で、体長5メートルくらいでものすごい水の渦を起こすことができる謎の海獣たちと出会う。そいつらが暴れ回り、海辺のホテルを破壊したりしてわーわーどんどんやる。
その謎を追って、いろいろ調べる呑龍。
調べているうちに、大量のダイヤモンドを積んだ船が不可解な沈没をしていることを知る。
呑龍は、その捜査に向かう。
ここまでは、前回と似たような展開。

で、沈没船を調べるために海底に潜る呑龍。当然、超人なので酸素ボンベなどは持たないで素潜りだ。
6000メートルもの海底にたどりつくと、そこには沈没した船と、巨大海底ドームがあった。ドームの下は、北海道に酷似した地形と都市があった。
(ここから、話がわけわからなくなってくる)

どうにかしてドーム内に入った呑龍。そこは、男女がみんな全裸で暮らしている謎の村だった。
わけがわからないまま村の長老の世話になり、そこから出ていく呑龍。どんな魔術か、あっという間に東京に戻るが、そこは地上の東京ではなく海底の東京であった。
自宅に戻ると、死んだはずの父も母も生きていて、自分は北海道で遭難して死んだことになっていた。
どうやら、自分がたどり着いた海底の村は、海底人の死者が住むところらしかった。

それでまあ細かいところは忘れたが、冒頭にあらわれた海獣とは違う魔獣が現れて、街を暴れ回ったりするのと戦う呑龍。魔獣があらわれると、時空がゆがんでそこらじゅうの人がファックしたりする。
魔獣を追って不思議な世界(最初に行った村とは別)にたどりつくと、そこは血の池地獄で、魔獣が海底人をさらってきては血を流させ、それを溜めて血の池にしているところであった。
海底人の地獄みたいなところだが、苦しくて自殺するとさらに虚無の世界に落とされてしまうという。

呑龍は、肉弾戦でガッコンガッコンに魔獣をやっつけ、地獄の人々(海底人)を解放する。
しかし、その海底人の中に、海底人類の陰謀に気づいているやつがいて、そいつは仲間の海底人に殺されてしまう。
ちなみに、呑龍は彼を青い汗を使って生き返らせてやろうとはしなかった(ひどい)。

ここでやっと、6000メートルの海底にドームをつくって住む海底人が、ドームをつくるのにダイヤモンドが必要なのでそれを積んだ船を襲って沈没させたとか、地上世界を模倣して海底世界をつくっているからこんなに地上とそっくりなのだとか、ドームの維持ができなくなったので地上を攻撃しようとしていることなどが明らかになる。

ちょっと待て。じゃあ呑龍そっくりの男がいたというのはどういうわけだ?
私が読んだかぎりでは、説明、なーし!
しかも、作者が忘れてしまったわけではなく、何度も当初の設定を思い出すかのような描写が出てくる。しかし、それを承知の上でどんどん話が進んでいく。
あげくにはつじつま合わせのために、呑龍そっくりの男は海底に二人いたことになってしまう。なぜ二人いたのかの説明はなし。

呑龍は一人でがっつんがっつんに戦って、自分の両親とそっくりの人がいようが知人とそっくりの人がいようが「地上を征服しようとする海底人は許せん!」ということで、ドームを破壊して海底国を壊滅させる。
そんな深海のドームが壊れたら、ふりかかってくる水圧はものすごいものだと思うが、呑龍は超人なので何とか助かった。

海底人の軍隊はすでにドームを離れて(テレポーテーショ装置ンみたいのを使って)、魔獣のエネルギーを人間に注入して、海獣に変身できる生体改造人間(要するに、冒頭に出てきた海獣はこいつら)や超兵器を使って東京を攻撃していた。

地上にあがった呑龍は、その超人的な力で自衛隊でもかなわなかった地上にあがった海底人たちも一人で全員ぶち倒して、めでたしめでたし。

ちなみに、呑龍に超人的な力を与えた光の謎の説明はなし、
なぜ海底に人が住んでいるのかの説明もなし、
その彼らがなぜ人間までそっくり地上人の模倣をしていたのかの説明もなし、
なぜ海底人のあの世みたいなものが出てきたのかの説明もなし。

あって見落としている可能性もあるが、とにかく読み返す気がしないし読み返しても仕方がないと思う。
このテキストの冒頭、「まだ上巻よりマシ」と書いたが、読んでいくうちにその感触がつじつまの合わなさによって徐々に裏切られていく過程は、どんな表現を使っても表現しきれない。っていうか、こういうつじつまの合わなさというのは何なんだろう。気が狂う。
(03.0918)



【雑記その2】

まったくやる気がないのに更新に挑戦してみよう。

・まず、2、3年後にウチの隣に家が建つらしい。だれかの。
工事の音のうるささを考えたら、生きているのもバカバカしくなった。世界全体で私を攻撃しようということでしょうか? もう朝から一気にやる気なくなった。

・須磨ヨシヒロの「イケナイBOY」というマンガを買ったら、全5巻じゃなくてまだ続くらしい。もうダメだ……(後の方の巻は売ってないことが多いから)。 この「イケナイBOY」は、古本屋に行くたびに何巻までかわからず、かといってネットでわざわざ調べる気にもなれず古本屋に行くとまた思い出す……というようなことだった。で、けっきょく間違えた。だからもうダメだ。

・成年コミック誌「YOUNGキュン!」が来月から全面リニューアルするらしくて、毎月読んでいるマンガがアッサリ終わってしまったらしい(まだちゃんと見てない)。

・実は家の通りを隔てたところが建て直しをしていて、それもすっごいうるさい。うるさすぎて死ぬかも。

・この間「爆笑オンエアバトル」を観ていたら、「面白そうなの10組」出ていて、「こりゃだれが通っても面白そうだ」と思ったらあまり好きじゃない方のグループばかり受かっていた。こういう番組がないと、まったくお笑いを見る機会がないので貴重なんだがあきらかに観客の好みが固定されていて、出てもぜったい受かりそうにない人と簡単に受かりそうな人がわかってしまってきていてだんだんハラ立ってきた。
まあハラ立ってもしょうがないことナンバーワンだな。

・同人サークルの相棒との連絡がまったくなくなってしまった。飲みとか誘ってもぜんぜん来ないし。
「オンナ出来た説」を筆頭に考えているのだが、もし事実だとしたらそれを教えてくれないのだから相当にヒドイ話。ボクがいいふらすとでも思っているんですか!? 結婚式の二次会の幹事とか頼まれたら、ぜったい断ろう(もうすでに「オンナ出来た説」に確定しつつある)。
まあ、ないことないこと言いますよ。よくあるパターンとしては、そのカノジョにはオッパイが千兆個ついているとかね。私が三十代半ばだと想定して「千兆個付いてる」って言いふらすっていうことを、みんな考えてほしい。先生、一人ひとりに考えてほしいんだ。

それと、「真剣十代しゃべり場」を一瞬だけ観たらある女子高生が「先生は私より知識があるからそれだけで尊敬できる」とか言ってたが、それじゃあアンタは「クイズ王西村」でも尊敬するのか!? 彼はぜったいキミより知識あると思うよ。
だいたい女子高生なんて、ほとんどの大人より知識ないでしょうが。アンタはずっと「あの人は知識が多いから」とか何とか言ってペコペコしながら過ごすのか!?(まあ、冷静に考えてそうは言ってないとは思うが)

それより何より、「クイズ王西村」だっていいヤツかもしれないし!
今、検索したら新聞記者だというウワサは本当らしい。クソッ、いいな社会的地位!
クイズ王の座は明け渡してやるから、その社会的地位をくれ!

・あ、さっきの同人サークルの相棒の話なんですけどね。きっといい目見てやがんだよ。だいたい、もう2年くらい即売会来てないんですよ。今来ても、歓迎はするけど、そうなると彼は今浦島ですよ。ウラシマンです。未来警察ウラシマン。それも乾はるかのマンガ版の方のね。

もうね、私が2年間同人誌即売会で培ったさまざまなものを相棒に見せ付けてやりますよ。
ぜんぜん知らない有名マンガ家の方指さして、「あれ、おれのダチだから」みたいなことを平気で言うね。私は。

まあ、そんなことに価値を感じるヤツじゃないから来なくなったんだけどね。

「ヤツをどうしたら羨ましがらせられるか」に思考がいっちゃってるわけなんですが、そうすると即売会とは関係なくなっちゃうんだよね。
ただ、キャバクラで女の子と話した会話の一部始終を私に聞かせるのは心底やめてほしかったと思ってます。
だいたい、いちいち覚えてる? そんな話。 よっぽど面白かった話以外は(……ということは、その話がぜんぜん面白くなかったということなんだけど)。

以上。今日の「木村太論」でした。安藤優子、おまえ太郎にペコペコしすぎだ!
(03.0918)


・【雑記】矢口真里、10月14日スタートの「犬もやらねば」にレギュラー出演、チーキーガールズ

・「矢口真里、10月14日スタートの「犬もやらねば」にレギュラー出演」(天上の飛鳥
今、この情報によってアイドルコントファンの間で激震が走っていますよ!(そんなコミュニティはない。もしくは私はオミットされている)。
「笑う犬の情熱」が移動してできる新番組だそう。よりによって「笑う犬」系統の番組かあ……。

番組自体が面白いかつまらないか以前に、「面白いかつまらないかを議論するのが最も不毛な番組」だと私が思っている「笑う犬」。だって何だかすごく微妙だから……。
しかしどんな使われ方になんのかなあ。グループ内ではいいツッコミ役として機能している矢口真里ですが、そういう世界を一歩出たときにどうなるのか。
まあどうなるかわからないからこそ、「アイドルコント」と「コント」を区別して私は留保しているわけですが。

カンケイないが、「おはスタ」でまたミニモニのアニメが始まった。映画「お菓子な大冒険!」のキャラクターにゴマキが加わった5人が出てきて、声は本人たちがあてているんだけど、ここでもツッコミ役は矢口。
なんか、アニメの世界では映画とは違い、矢口の去っていった世界はそんなに遠くにはないらしい。だったら分離するなよとか思った。ZYXってのはミニモニ。世界とはまったくの無関係らしいし。

おバカなチーキー・ガールズ[テクノポップ]All About Japan
公式ページ。 トランシルヴァニア出身の双子デュオだそうです。「Cheeky」とは「生意気」とか「ずうずうしい」という意味だそう。デビュー・シングル「Cheeky Song」の副題は「Touch My Bum」で「おしり触って」(く、くだらねー。いいのか?)。
昨日の「いいとも!」に出てたんですが、曲を聴いたわけではないんだけど登場して10秒くらいダンスしただけでいかに(私にとってはいい意味で)アホアホなコンセプトかはわかった。

まあ「タトゥー」のように日本で女子高生にウケるとはあまり思わないが(このテのお色気は、現在の日本ではむしろ受け入れられないのでは?)、当HPで取り上げるのはタトゥーが彼女らについて悪態ついてたそうだからで、「Mステ」でタトゥーが、そして「いいとも」で彼女らがタモリに遭遇しているところが面白いです。
チーキーガールズも「Mステ」に出て「私たちはドタキャンしないわ」とか、ぜひ言ってほしい(誤解されかねないので重ねて書いておくが、私はタトゥーそのものが嫌いなのではなく、彼女らのプロデューサーの「してやったり感」と、それが承知されていながら批判されるという日本マスコミでの受け取られ方があまり好きではないのだ)。

何でも「対決」で考える単純思考の私としては、「タトゥーVSチーキーガールズ」は面白いカードです。出自もバンド出身のタトゥーとは違ってステージ・ママがいろいろやっているだけ「芸能」の匂いがするしね。対照的。タトゥーが一緒にされたくない気持ちもよくわかる。
(03.0916)

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