2001年2月11日コミティア購入物件


2001/05/03読了分

 ここらへんは兄購入分。一部5/3コミティアで買ったものでない物件も含みます。

【同人誌】「みるく☆きゃらめる」8号 特集:下品 <みるく☆きゃらめる>

【同人誌】「みるく☆きゃらめる」9号 特集:フェチ <みるく☆きゃらめる>

【同人誌】「松本大洋『GOGOモンスター』を読む」 吉本松明

【同人誌】「ぴあの no 気持ち5」 石川ひでゆき

 松明さんが評論、石川さんが漫画。

 で、やっぱり面白いですな。「みるく☆きゃらめる」の8号は11月のコミティアで買って今まで読んでいなかったのですが(申しわけなし)。そしてまだ完全に精読まではできてないのですが(重ねて申しわけなし)。マジメなスタイルでフマジメなことを語り尽くすというスタイルをここまで一貫して積み重ねてきているのは立派。こういう長い文章をきちんと構築していく場において、松明さんはかなり光ってます。あと石川ひでゆきのきゃろ〜んと妙に軽く、かつHな絵もいい! 読むたびに素晴らしいと思う。これだけの馬鹿絵が描けるとは、なんてステキなんだろう。いいサークルです。

【同人誌】「ぶっとびマンガ大作戦」Vol.5 新田五郎 / 滑川ニュッピー <WAIWAIスタジオ>

 ギャハハハ。新田さんの文章はやっぱりすごく面白い。ネタの選び方、サンプリングの仕方が素晴らしい。Web「ふぬけ共和国・マンガ」のほうを見ててもいつも思うのだけど、実際この人の文章は面白すぎる。いつも敗北感に打ちひしがれる。憧れます。実はこれも11月コミティア購入分。なんで今まで読んでなかったんだろう。こんなに面白いのに。

【同人誌】「as・is vol.1 沈黙の夏」 檜木倭世 <あまちゃづる三昧>

【同人誌】「as・is vol.2 forget me not」 檜木倭世 <あまちゃづる三昧>

 わら半紙っぽい紙が雰囲気あっていい。涼しげな線が気持ちいいのだけど、自ら語るとおりいつもネームレベルな段階で本を出してくるのでその点はちともの足りない。でも青さのあるお話とかはけっこう好み。いっぺん長い作品を読んでみたい。

【同人誌】「Brother」 志賀彰 <憂貧局>

 「ヨタカの星」の番外編的作品。この人の漫画は読んでて気持ちがいい。構図取りとかとてもうまいと思うし、線もしっかりしてるし。線にツヤがあるのもグッド。商業誌的にはも少しまとまった線にしたほうがいいんかな?とか思うけれども、それより今は自分の持ち味を伸ばす方向にいってほしい。というわけで次はいっちょまた長いものを……とコミティア前日(もう当日なんだ!)に書くのもどうかとは思いつつ。

【同人誌】「魚類正義 魚マン」 森砂季 <トラウマヒツジ>

 これけっこうイイ。特撮モノの悪の組織に憧れるマッドな人が生み出した怪人「魚マン(うおまん)」が主人公。でも魚マンはマッドな人が見せた特撮モノに影響されて正義のヒーローに憧れてしまうというその相克! やけにシンプルな魚マンのフォルム、まったりとした世界観。のんびりと楽しい。

【同人誌】「高円寺ごみ少女帯」 あびゅうきょ

 いや〜、さすがにあびゅうきょ先生。素晴らしい。美しすぎる作画、そしてイッちゃった言葉の羅列。あまりにもカッコイイ。「子を産もうとしない女子の身体は腐りきって汚物入れと化したんだ。」。この絶望。なんて気高い。

【同人誌】「ねこたん社 初期短編集0」 <ねこたん社>

 ヘロっとした線はなかなか面白いと思うけど、お話的にはもう少しかなー。

【同人誌】「ネオ長男シリーズ 四畳半間男の襖」 鵜匠カシヲ <赤色オレンヂ>

【同人誌】「ネオ長男シリーズ 菊男ちゃんの牛うしモーモー羊バーバー」 鵜匠カシヲ <赤色オレンヂ>

【同人誌】「ポン刊フルーツ」第12号 鵜匠カシヲ <赤色オレンヂ>

 最高!! イカれてるっぽい絵柄なのに、真摯な愛の姿もあって。とくに「ネオ長男シリーズ」が素晴らしい。奇を衒ったタイトルなのかと思ったら、読んでみると納得してしまうし。読んでてこれだけくらくらする漫画というのはとても珍しい。ちなみに「ネオ長男シリーズ」は、美少年が狭いアパートに監禁され、そういう趣味の先生と愛の巣を作るというお話。業は深いけれど、清らかといってもいいような気がする。

【同人誌】「MUSIC IN THE DEEP SKY.」1〜2 群青 <Gleam Star Factory>

 硬質な線に雰囲気があるけれど、お話がつかみづらいかなー。雰囲気勝負といった感じ。もう少し、大きな物語部分がつかみやすいといいんだけど。

【同人誌】「EURA」 灯夢 <STUDIODOUBLEMOON>

 愛する男、そして彼が姉を愛してしまったことで、二人をともに裏切ってしまった妹の物語。なかなかセンスある達者な絵柄で読みごたえもあり。

【同人誌】「東京冥途綺譚」 除虫菊 <練馬交通公社>

【同人誌】「東京冥途綺譚 一ッ半 旦那天国」 除虫菊 <練馬交通公社>

【同人誌】「東京冥途紀行」 除虫菊 <練馬交通公社>

【同人誌】「続・馬車馬画報 矢羽ちゃんデラックス」 除虫菊 <練馬交通公社>

 和風メイドさん系のお気楽な漫画が主。この人はたぶん原律子の漫画が好きなんだと思う。ほのぼのしててけっこう楽しい。

【同人誌】「秘骨」 淘汰

 なんとなく粟岳高弘に似た感じをうける。両生類系のぬったりした質感、それから少女の可憐さに惹かれるものあり。独特のリズムの持ち主なんで、あとは線がこなれてくれば良くなりそう。

【同人誌】「けだもののようにII-8」 渋蔵 <ぐんたまカンパニー>

 放浪が続くヨリ子と、老人のエピソード。現在はIKKIでも活躍している渋蔵(比古地朔弥)だが、こちらのほうもしっかり面白い。なかなかお話が進まなくてやきもきするけれどそのじれったさもまたいいのだ。線に色気があるねえ。

【同人誌】「冬のアイス」 衣羅ハルキ / 藤ノ木いらか <HEE-HAW>

【同人誌】「鳥」「獣」「魚」 衣羅ハルキ / 藤ノ木いらか / 桃井葉月 <HEE-HAW>

 「鳥」「獣」「魚」については「獣」と「魚」の間に実は「虫」という本もあったらしい。「鳥」「獣」を読んだあと、「虫」がないことに気づいてうろたえる。それにしてもHEE-HAWの人たちはみんなうまい。品が良くて、かつユーモアもあるし、センチメンタルなお話も描けるし。「冬のアイス」に収録されているトボけた味わいのお話もいいし。どの本買っても損しないなーといった感じ。


2001/04/22読了分

【同人誌+音楽CD】「浮かぶ島沈む島」 小田扉+弥生一八+FLOKEA <みりめとる/ねね>

 なんか音楽CDが付いております。同人誌のほうはFLOKEAの原作のもと、小田扉と弥生一八がそれぞれ漫画を描くというものなのだが、ちょっと面白い構成になっている。んー、これはちとネタをバラすと面白くないかもしれないなあ。とりあえず二人が漫画を描いているのは同じ作品世界内の話なんだけど、原作を解釈する人によってこんなにも違ったもんになるのかと思わされたりする。小田扉はギャグっぽいのもいいが、しんみりした作品にも独特の空虚さが漂ってていいなあ。弥生一八のほうもなかなか達者。青くささが良い味わい。

【同人誌】「放送塔 / ロングT」 小田扉 <みりめとる>

 いかがわしい活動をしているらしき4人組および、そのうちの一人の家族模様を描いたりする「放送塔」。こちらはトボけているわりにはなんだかもの悲しさがある。「ロングT」は、男たちが役に立たないことをダベる、まさに毒にも薬にもならぬげなエピソード。いや読む者にとっては筋肉を弛緩させてくれるような効果があって、もちろん薬になってたりするのだが。ゆるかったり切なかったりおかしかったりで、これもいい本。この人の描く絵はなんでこう味わい深いんだろう。目や口などの、「何の変哲もなさ」がすごく気持ちいいんだよなー。

【同人誌】「あした」 袴田めら <逆ギレ刑事>

【同人誌】「宇宙に飛んでいきてー」 袴田めら <逆ギレ刑事>

 どっちもタイトルのイメージと異なりちょっと暗めなお話。「あした」は先天性の病気を持つ彼女しか目に入っていない青年と、彼に報われない恋をする乙女、そしてその二人の様子を青年の妹で乙女の親友でもある娘が見つめるという構図。アニキのほうは恋人が病気で、恋する乙女は想い叶わず、その二人の間に立つ妹さんはいたたまれず、と3者3様の事情で切ない。

 それから「宇宙に飛んでいきてー」は、父親を亡くした少年と、まだ亡くした夫への想いを捨てられない若き後妻の物語。といっても少年のほうはまだ小学生なんでもちろん恋愛方向には行かず、ギクシャクした二人がなんとか立ち直って打ち解け始めるまでを描くお話になっている。両作品とも、シンプルでサッパリした作画が気持ち良く、スラスラ読んでいける。お話もうまいことまとまってて読んでて気持ちがいい。

【同人誌】「Shirley Medison」1〜2 県文緒 <Lady Maid>

 一人暮らしのカッフェーの女主人・ベネットさんと、彼女が雇った13歳のメイド、シャーリー・メディスン。この二人の日々を暖かく描いた物語。そんなに畏まるわけでなく、自立してサバサバした感じのベネットさんと、ちょいと内気なシャーリーの関係を優しく描く。整った作画はとても達者で滑らかな質感があるし、キャラクターもイキイキしている。ときどきシャーリーが見せる女の子らしい面も微笑ましい。キャッチーであるし、丁寧だし嫌味がないし、とてもいい本。ただ、買ったときは確か2冊合わせて2000円近くして高いと思った記憶あり。もう喉元を過ぎているので熱さは忘れているけれども。

【同人誌】「GOOD NIGHT」 山名沢湖+卯月千尋 <突撃蝶々>

 夜をテーマにした本。何気ないセリフとちょっとしたコマで、乙女ゴコロを描いてしまう山名沢湖の手際がいつもながらに鮮やかで惚れ惚れ。ないはずの乙女ゴコロを刺激される。とてもファンタジい。爪先立ちでツツツツツという感じの軽やかさで、短いのだけれどいつも唸らされる。個人的ジャストミート率は、年々上がっているような気がいたします。


2001/04/18読了分

【同人誌】「銃撃 第二幕 第一場」 鈴木ちょく <直立不動産>

「SUKIYAKI WESTERN」と銘打たれたシリーズ。賞金稼ぎが職業として成り立つ西部を舞台に、殺し屋をしている女性と、その父の物語を描く。この人の作品は線がシッカリしているので好きだ。とくにツルツルした紙に印刷すると映える、ペンタッチの艶が気持ちいい。

【同人誌】「創作雑誌 つゆくさ(一)」 <つゆくさ>

 丸山由太、林誠治、三島芳治の3人本。この中では三島芳治「記録係の最期」が味わい深くて面白かった。それまでクラスのきろく係をやっていた女の子の、記録し続けることへのこだわりを描いた話。絵はラフだけど、ほのぼのしつつクールでちと悪意もある感じで面白い。なかなかのセンスの持ち主だと思う。

【同人誌】「スカートをはいた君」 男マン <デジタルボウイズ>

 1/8の日記で触れた「スカートをはいた君」に後日談を加え、オフセットにした本。読み返してみたけど、やっぱり子供恋愛のトキメキが色濃く漂ってて良い雰囲気。

【同人誌】「Night-Marchenの幻想雑誌 2001.2.11版」 村山慶

【同人誌】「流架の記 2」 村山慶

 毎度いいなあ。スミベタが映える画面、持って回ったような独特のリズムがあるセリフ、それから広いおでこと黒髪が魅力的な女の子、と。とても面白い感触。なんか説明しにくいんだけどしみじみ良い。ちなみに作者Webによれば、5月4日のコミティアでは長編が出るらしい。楽しみ。

【同人誌】「SKITS」 こーわ <WARHEADS>

 いいなあ。少女たちがとてもいい。さかさかと手早く描かれているようでもあるんだけど、実に女の子っぽさがよく出ててかわいらしい。センスのいい人だと思う。

【同人誌】「クラウス vol.13」 <クラビウス>

 参加者は佐藤道明、藤井ひまわり、菅野博士、阿見寛、三条誠司、神宮司訓之、夢野れい、吉田かずのり、柚平幸紀。やっぱり藤井ひまわりのほのぼの未来女工物語「七転八倒ひめあられ」は和む。それから今回は、柚平幸紀の旅行モノ「ビーテルナッツをかみましょう」がイケた。同人誌即売会で「中身のゆる〜い旅行記モドキ」の本を売ってる人たちを小馬鹿にするあたりがツボ。

【同人誌】「REVENGE 01/02 糞には蝶、花には銀蝿!」 狗神助精 <暗黒舞踏隊>

【同人誌】「REVENGE 03 OVER DOZE」 狗神助精 <暗黒舞踏隊>

【同人誌】「REVENGE 04 / OVER DOZE」 松下紺之助 <暗黒舞踏隊>

【同人誌】「愛情無き地下房」 狗神助精 / キイカ <暗黒舞踏隊 / 腐蝕金属>

 「REVENGE」シリーズは、「黄昏幻燈館」(ラポート)の松下紺之助(狗神助精)の同人誌。キイカ(吉川博尉)の本「龍頭玩偶」シリーズと世界観を共有しており、一部ザッピングしたりもしている。この人たちの絵柄はクッキリとして耽美的でカッチョよい。ただ「REVENGE」は、世界やキャラの設定がちゃんとあるわりにはページ数が少ないので、ブツ切れな印象もある。そのうちもっとまとまった分量(50ページレベル)で読んでみたいところ。「愛情無き地下房」は拷問屋の少女という設定で、二人が漫画を描いている。こっちは短いながらも「拷問屋」という設定が面白いせいか、それぞの持ち味が出てて楽しげ。

【同人誌】「Scozie −スコーツィア−」 原田みどり <理数館>

 なんだか非常にしっかりした作品で読みごたえがある。中世のスコットランドを舞台にした物語。メインとなるキャラクターは、不遇の身ながら周りに慕われている実はスコットランド王の兄であるらしい男と、フィレンツェ社交界でも有名だった毒婦的な(扱いをされている)女性。ものすごくマジメな作風で、ちょっと気後れしてしまうほど。これもまた非常にコミティアらしい本。

【同人誌】「ラフナスの結婚の歌」 白井弓子 <メタ・パラダイム>

 短いけれどいい話。全編カラー。インクジェットプリンタで印刷されていて、表面がテラテラしない紙にインクがしみこんでいる感じが作風に合っている。お話としては、異星に移民してその後進化した人類の、とある村で行われた結婚式の模様。これから夫婦になろうという二人が、空中で口づけを交わすシーンが美しい。設定としては引き続き使えそうな感じはする。そのうち作者のWebページにアップされるかもしれないとのこと。

【同人誌】「南藁荷」 弘岳粟高 <あわたけ>

 粟岳高弘とは別人シリーズ第3弾。「西の林」「東の沼」(感想は1/8の日記にあり)同様、けっこうエッチ。なんかフツーの娘さんが、異生物によって羞恥プレイ系の調教をされているさまに俺は。もしかしたら、今までこういうことをやりそうになかった人が生っぽいエロをやっているというのも、俺をプッチ勃ちさせる要因かもしれない。

【同人誌】「always」 <吉岡企画>

「イヌっネコっジャンプ!」のはっとりみつるが参加しているということで話題になったサークルの本。はっとりみつる「江ノ島宇宙旅行」は、高校生(かな?)、男二人女一人にうだうだした放課後といった感じのお話。作者によれば「2年前くらい」に描いた作品らしい。このころはまだペンタッチはまだ垢抜けてなくて初々しさもあり。それなりに惹かれるけれども、ここから「イヌっネコっジャンプ!」みたいなハジけた話が出てくると想像するのはなかなか難しい。そんなわけでヤフオクとかに出てても、無理して落札することはないんじゃないかな〜という感じ。


2001/04/15読了分

【同人誌】「ハ長調 C-dur」 果竜 <竜の子太郎>

 この人の描く少女はキラキラしてて華があっていいなあ、といつも思う。なんというか、夢に見た少女的なモノをみんな持っているという感じ。今回のお話は、文才を見込まれて演劇部で台本書きをする羽目になった女の子と、彼女を引っ張り込んだその友達のお話。文を書くくらいだから一人でなんでもやりそうだけど実は一人でいられない主人公と、和気あいあいとして部活をやっていながら舞台のうえでは一人になれるその友達のコントラストが鮮やか。読むときは少女モードになるべし。

【同人誌】「Replicant Dream」 <まるちぷるCAFE>

 こりゃすごいメンツだ。HIRO.PON、粟岳高弘、果竜、交野佳奈、ひきうしお、山名沢湖、椎名麻衣子、村山慶、大空真紀、潮干珠生姑、高川ヨ志ノリ、園山園子、空条HYO太郎、瀧元駱駝、きづきあきら、露崎雄偉、なかせよしみ、ゆ〜すけが漫画を執筆。あとイラストで八暮みどり、藤井木芽が参加。なんかいつも買っているサークルの人が何人もいて、「この人もいるこの人もいる」という感じだった。まあ人数が多い分、個々の人のページ数は多くないけれど、「人形&アンドロイド」というテーマでそれぞれが持ち味を出していて、めくってて単純に楽しい。

【同人誌】「手紙」 こうの史代 <の乃野屋>

 うわあいいなあ。面白いなあ。「手紙」は、現実を元にしてはいるのだけど少しずつ幸せな方向に脚色した内容の手紙を、「ゆりえ様」という人に書き続けている女性のお話。手紙の文がそのままモノローグになって進む物語は、実際に起きていることが文章と違うことをことさら強調するでなしに、実にさりげなく進む。淡々とした語り口、それからしっとりとした実にいい雰囲気のある作画、どちらも素晴らしい。シンプルだけど描写力がとても高い。4ページの掌編「けんか」もこれまたいい。それぞれのコマが、一枚絵としても味わい深く、見ていて快感。

【同人誌】「皮膚の感覚」 瀧元駱駝 <GRAIL>

 なるほど。これがアフタヌーンのギャグパラ大賞で佳作をとった作品なのですな。雪降る日に全裸で戸をたたき続ける男と、家の中の肉じゅばんを着たスモーファイター、そして女が繰り広げる馬鹿馬鹿しい一幕。この人のいかにもシリアスな画風でこういうことをやってくるとは。愉快愉快。これで見る限り多少ラフなところがあるけれど、カリコリ細部まで描き込んでさらにも少し長くしたならたぶん佳作程度では収まらなかったんじゃないかと思う。

【同人誌】「ショコラッテ」 きづきあきら/瀧元駱駝 <GRAIL>

 バレンタイン・デーをネタにした掌編コピー本。短いページの中でチョコレートの行方を追いながら、きれいに円を描くストーリーを作ってくるきづきあきらはやっぱりうまい。それから滝元駱駝のほうもたった2ページで印象的なドラマを見せているし。両人ともさすがの腕前。

【同人誌】「WHITE」 きづきあきら <GRAIL>

 昔、兄とSEXしたことがあって(子供だったので好奇心からだったが)、そのことがずっともやもやしたままの妹。兄がそれを記憶から消し去ったかのように振る舞っているのが、彼女としては不満で……といった感じでお話は進む。兄いもうとモノとひとくくりにしちゃうのは簡単だけど、それじゃあいかにももったいない。妹さんの切ない、そして割り切れない想いの描き方がすごくうまい。絵柄的にもなんだかしっとりとした色気があってとてもいい。毎回毎回、読むたびにトータルクオリティの高さに感心させられる。

【同人誌】「蛇行的ガソリン」 笹井(SAI2CO) <ガソリン>

【同人誌】「ガスドロップ」 笹井(SAI2CO) <ガソリン>

ガソリン」のSAI2COさんの本2冊。Webで見ていてもすっげえうまい人だけれど、紙で見ると感慨がまたひとしお。「蛇行的ガソリン」は、これまで各所で発表された漫画の再録本。漫画のほうはあまり読む機会がなかったんでこれはうれしい。白黒だとペンタッチの黒々とした美しさが映えてええ感じ。画集である「ガスドロップ」のほうはフルカラー本。Webで見ていた絵でも、紙だと物質感があって、また違った感慨が。

【同人誌】「V.I.P.」 上倉旧 <ロボ音>

【同人誌】「starchman」 上倉旧 <ロボ音>

【同人誌】「ドントスティホゥム」 上倉旧 <ロボ音>

【同人誌】「Candy Candy」 上倉旧 <ロボ音>

【同人誌】「Candy Candy journey's end」 上倉旧 <ロボ音>

 上倉旧いろいろ。シンプルだけどセンスが良い絵、くすぐりのあるお話が面白い。謎の生物が乗るタクシーが手を上げるたびに現れて主人公大弱りというシュールだけどほのぼの楽しいお話「V.I.P」、炊飯器の精と持ち主の日々「starchman」、恋人たちの平和な日常「ドントスティホゥム」。いずれも面白い。「Candy Candy」は、いつもキャンディをカバンに持って旅している男の道中を描く物語。「journey's end」のほうでお話が終わっているのかと思いきや、あら続きがあるのかー。しまった買ってないや。話作りも絵も全般に気が利いてて、どれも良い本。

【同人誌】「バレンタイン三度あらわる」 らいだゆず <HATA HATA>

【同人誌】「エトセトラ2」 らいだゆず <HATA HATA>

 この前、コミックフラッパーに「新居さとし」名義でいきなり登場。新連載「女神の鉄槌 〜THE HAMMER OF GODDESS〜」で巻頭カラーデビューを果たしたらいだゆずの本2冊。この人の漫画は元気が良くてパーッと明るくて楽しい。素地としてコメディがあって、プラスしてラブもできるので、ラブコメもオッケー。イヤミのない作風で清々しい。

【同人誌】「賢者のとおりみち」 イトウサクミ <<渦巻蝶々>

 だだっ広い野原の真ん中に立っている、全然バスがやってこないバス停と、それを巡る人たちのお話。短いお話ながら端整な絵でシャレたお話作り。

【同人誌】「UK universal kidology」 西村竜 <ちくちくNET>

 むしろ本のタイトルとしては「ユキノヒ」のほうがいいのかな。雪の日に女の子と青年が急ぎ駆け回る。ちょっとフシギなお話だなとか思っていたら、なるほどこういうオチか。キャラクターがかわいいし、意表を衝く〆もあるし、楽しく読めた。

【同人誌】「TWINS」 トキワ <NOISE SYNDROME>

 とある独身男の部屋に、かわいい双子姉妹が転がり込んでくる〜☆というお話。要約すると本当にただそれだけのお話なんだけど、これがいい。トキワ(山本マサユキの別名義)の描く女の子はなんだかとてもかわいくて、かなりキャッチー。しかも二人いるもんだから、その魅力は2倍……となるかはともかく少なくとも1.5倍くらいにはなってる。

【同人誌】「Smiled」 きりはらただし <迷画座>

【同人誌】「X’mas Blues」 きりはらただし <迷画座>

【同人誌】「ゆけゆけ!! フォークソング同好会」 きりはらただし <迷画座>

 きりはらただしの鉛筆描き系のタッチがすごく気持ちいい。女の子同士の友情がいい感じに描けている「Smiled」、クリスマスの夜に起こったフシギな出来事「X’mas Blues」、そして高校のフォークソング同好会の面々の楽しい日々を描いた4コマ連作「ゆけゆけ!!フォークソング同好会」。いずれもきっちりまとまっていて面白い。「Smiled」はわりといつもおなじみな感じで良いし、「ゆけゆけ!!フォークソング同好会」もなんかガチャガチャしてるけど楽しくてしょうがない部活っぽさが出ている。「X’mas Blues」は小話っぽくて気がきいてるし、3冊それぞれの面白さがあった。

【同人誌】「ボクの好きなひと」 山科御行 <そらみみにる>

 夏祭りの夜。先輩の浴衣姿にときめく後輩の男の子。お話、絵柄ともども初恋感バリバリの初々しさがたまらない〜。ごちそうさまです。いや〜いいですなあ。

【同人誌】「有触れた二人・2」 おざわゆき

 10代と、ずいぶん歳下な男の子とつき合い始めた女性が主人公。歳が離れているだけでなく周囲の状況も逆風だが二人は引き合っていく。幸せではあるけれども、いつその関係が壊れてもおかしくはないという予感もはらんでいて、ハラハラさせられる。丸っこい絵柄だけれども、すごく大人な作風。おざわゆきの作品は、いつも独特の緊張感に満ちていてすごい。

【同人誌】「meR 二十八」 <漫画研究会meR>

 久しぶりに購入。というのはここで描いているはちまきさんという方が実は俺が前にいた部署でお仕事をお願いしていた方で、直接やりとりしたことはなかったのだけどなんとなくコミティア会場でお会いするのもバツが悪いと感じていたから、というのがその理由。でもどうやらあちらにはすでに面が割れていたらしく、とある場所でズバリ指摘されてしまったので観念して出頭。というか前からときどき買ってはいたのだけど、挨拶まではしてなかったのだ。

 そんな個人的事情はまったく抜き、もちろんお世辞も抜きにして(そもそも興味が持てないようだったら知人の本であろうと俺は買わないし)、はちまきさんのキッチリとした軽やかな画風は見ていて気持ちがいい。この本のメインになっている「ハロハロ」あたりは、気楽に読める中にラブ的トキメキもあったりして良かった。商業誌仕事のほうでも、単行本「チロといっしょ」(桜桃書房/長島はちまき名義)が発売中。

【同人誌】「おかず通信 Ver.さいご?」 三浦健児 <しお・こしょう食堂>

 定価1円というきっぷのいい売りっぷり。収録されている「クレープ・ザ・カスタム」はアクションがわりとダイナミックで元気がよくてけっこう楽しい雰囲気。


■その他

【音楽CD】「マスター先生」 小田扉 <みりめとる>

【ポストカード】安井誠太郎


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