すごーく楽しみにしていた舞城王太郎の新刊「暗闇の中で子供」(講談社ノベルス→bk1)が出たので早速購入、速攻読了。いやー面白かった。前作「煙か土か食い物」(講談社ノベルス→bk1)で、強烈なパンチがこれでもかと続くマシンガンみたいな文章にすっかり魅せられてしまったわけなんだけど(そのときの感想は4/4の日記参照)、あのノリは健在。「煙か土か食い物」では、奈津川家の四男・四郎の視点から物語は進んだが、今回は三男・三郎がメイン。事件は血みどろに展開。暴力描写はドギツいし、登場人物は荒っぽい。でも不思議な茶目っ気があって、だんだんこの暴力一家・奈津川家の面々に惹きつけられていってしまう。
正直いって、正統派で論理的な解決を求めてはなりませーん。文字が眼球を通過して、脳の中で意味を持って好き勝手に暴れまくる、そのチカチカするような刺激に身を任せるが吉。今回の作品のラストなんて、ホント読者をいい具合に舐めてんなあと思う。「こうなってほしい」と思うような結論に、ひとっつもならないんだもん。とにかくこの作品はくだくだしいことはいわない。頭より体、思考よりパンチ。ミステリ系で最近読んだ人の中では、ひさびさの大粒な才能だと思う。まあ暴力描写に弱い人にはオススメしないけれども。とりあえず前の事件は押さえといたほうがいいので、「暗闇の中で子供」を読むなら、その前に「煙か土か食い物」も確実に読んどいていただきたい。
こういう規格外っぽい作品を目にすると、「これはミステリじゃない」みたいな意見が出てきがちだけど、個人的にはそういうのはあんまり好きくない。「あれは違う、これもダメ」というよりは、「あれもミステリ、これもミステリ」ってな感じでちょっとでもそういう要素があったら自分の好きなジャンル側になんでもかんでも取り込んじゃうほうが、ジャンルとしては豊穣になるだろうし結果的に楽しめると思う。厳密さよりも、いい意味での大ざっぱさのほうがこの場合は有用な気がする。ジャンル分け全般についてそう思う。
あと、ちょっと気になる話。砂さんの日記(2001/9/10の項)を見てたら、夢枕獏の「神々の山嶺」において、「長谷川恒男 虚空の登攀者」(佐瀬稔/中公文庫)からの記述の転用らしき部分が多々あるらしいとのこと。小説のほうは読んでないけど、谷口ジロー作画の漫画のほうは非常に感動しつつ読んでいたので、こういうところでミソがついちゃうとちょっと残念。文章の記述はともかくとして、谷口ジローの山、そして岩壁の描写はそれ単体でも圧倒される素晴らしさがあるし、そういった点での魅力はいささかも減じないとは思うのだけれど(問題は原作のほうにあるわけだし)。
【雑誌】ヤングキング 10/1 No.19 少年画報社 B5中
うははは。中西やすひろ「愛DON’T恋」は相変わらず無軌道でいいなあ。なんだかんだ理屈をつけて、結局はただ美人とやりまくるだけの漫画だよな、コレ。大石まさる「りんちゃんクッキーのひみつ」が今号から「りんりんDIY」にリニューアル。……ていうか、これってDIYなの? ああ、そうか。「DO IT YOURSELF」は必ずしも「工作」だけを意味するわけではないよな、そういえば。それにしても実はこの人も、欲望の赴くままに描いてるなあって気がする。長田裕幸「JACK JACK JACK」。読切シリーズは3回目でおしまい。絵は面白いし、ハッタリも利いてるんだけど、若干食い足りない感じも。長田裕幸って面白いものを持ってるんだけど、あと少しのところで外側に突き抜けきれない作家さんって気がする。好きなタイプではあるんだけど。花見沢Q太郎「ももいろさんご」。いやー、今回もいい。誘惑されます。
【雑誌】エースネクスト 10月号 角川書店 B5平
小本田絵舞「3年3組魔法組」。いつもの「あしはまファミリー計画」とかとは、絵の雰囲気をちょっと違えてて面白い。お話としては、ある日学校の廊下を歩いていた少年が、存在しないはずの教室、3年3組に足を踏み入れてしまうところから始まるちょっとしたエピソード。何かすごいことが起こるわけじゃないんだけど、全体にキュートで見てて楽しい。岩原裕二「地球美紗樹」。お話がどんどん加速していってる。動きが大きく、さらに続きが気になるようになってきた。それと篤子お嬢さまが良いので幸せになっていただきたい。
【雑誌】ビッグコミック 9/25 No.18 小学館 B5中
作:鍋島雅治+画:はしもとみつお「築地魚河岸三代目」。今回はうまいサケについてのお話。サケといってももちろん酒ではなくて鮭のほう。なんかすごくうまそう。寿司食いたくなってきた。寿司ー。ぶひー。
【雑誌】メガキューブ Volume7 コアマガジン B5平
竹下堅次朗「よいこの唄」。なんだか急展開。こんな重いことになってくるとは予想してなかった。でも「カケル」とかを思い起こすと、当然なような気もしないでもないかな。みかん(R)「ももちゃんのひみつ」。今回は女の子の目をいつもより大きめにして、タッチをちょっとコミカルな感じに変えてきている。こういったドタバタしたのもけっこういいな。それから今号では、湊谷俊作「甘い痛み」の瑞々しい画風も目についた。
【雑誌】ヤングマガジン 9/24 No.41 講談社 B5中
安達哲「バカ姉弟」。今回もまったりマイペース。見てるだけでなんか楽しい。次回(10/6発売号)で姉弟の驚愕の事実が明らかになるそうだけどいったい何をしてくるのやら。福本伸行「賭博破戒録カイジ」。カイジが地上に出たと思ったら、なんかいきなり居酒屋(白木屋→白太屋)で安酒呑んでるしー。焼き鳥やら焼き魚やら食ってるしー。つい無駄遣いをしてしまうカイジの姿が趣深い。松本光司「クーデタークラブ」。潤が駆け引きを始める。最初は情けなかった潤だけど、ずいぶん強くなってきたなー。
【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 9/24 No.41 小学館 B5中
柏木ハルコ「花園メリーゴーランド」。なんかいい展開。閉ざされた村独特の性的慣習。こういうネタって好きだ。肉蒲団とか。高橋しん「最終兵器彼女」。ああ、いよいよ終わりのときが近づいてきているのだな、と思わされるようなシーンが続く。この後、高橋しんはこの物語をどんな地点まで持っていけるんだろうか。楽しみだ。作:川崎ぶら+画:秋重学「愛と青春の成り立ち」。4話め。ここまで非常にええ感じ。青春しとります。
【雑誌】週刊少年ジャンプ 9/24 No.41 集英社 B5平
梅澤春人「無頼男」が最終回。今後、コミックバンチに描いたりすることもあるんかなー。インタビューも受けてたし。それから今号では小林ゆき「あっけら貫刃帖」、やまだたけし「コン・ロボ」が読切で掲載。やまだたけしのほうは、一見少年ジャンプらしいバトル系の絵柄かなと思ったら、ギャグもの。ちょっと地味めだが、そこそこ面白い。
仕事終わった〜。残るは後片づけだけだ〜。
URLメモ:http://www.navita.co.jp/。「駅周辺情報ナビタ」。タイトルどおり駅周辺情報のページなんだけど、駅ごとに周辺地図がPDFで用意されている。これは便利。今まで渋谷や池袋のPDFマップはなかなかいいのを見つけられないでいたんだけど、これがあればかなりいい感じなり。町田駅もちゃんとある〜。いー。
【雑誌】エース桃組 Vol.4 角川書店 B5平
う〜む、素晴らしい。読むたびに毎回思うことだけど、ベタな美少女萌えという基本方針を、ここまで貫徹しているってのは実に大したもんです。まず巻頭カラーのまりお金田「GIRLSブラボー」からしてすごいね。「脱衣」「兎耳」「猫耳」「揉む」などと書かれた牌で麻雀的なゲームをし、あがったものが相手に手牌に応じた行為を命令できる……という何か素晴らしく頭の悪いゲームをするわけです。とはいえ、別に直接裸どばーんみたいな展開になるでなく、あくまで楽しくサービスシーンたっぷりのドタバタコメディに抑える力加減もしっかり。何か間違ってるような気はするけど、それは気にしなくていいのだ、たぶん。
作:大倉らいた+画:たなか友基「坂物語り」は素直にええお話。小学生のころ、初恋の男の子と再会を約束した場所「思い出の坂」を探して女子高生のときなのその友達二人が調査を続ける……というもの。暖かみのある気持ちいい画風も良いし、お話も爽やかかつ微笑ましい。作:天王寺きつね+画:阿倍野ちゃこ「in white 〜サイドストーリー〜」も、なかなかいい感じで物語が進行中。依澄れい「わたしを食べて♥」は、すいかの精を名乗る美少女と、すいかが嫌いな男の子によるコメディ。素直な画風で読後感も暖か。で、甘めなトーンで進んできた雑誌を、平野耕太「進。」のヤケクソなノリがいい具合で〆てくれます。その後にサムシング吉松がくるという配置も、うまいことバランスがとれた配置だと思う。
【雑誌】近代麻雀オリジナル 10月号 竹書房 B5中
おおつぼマキと福地博士の「まんツボ」。いい具合に力抜けてていいなあ。バンチだろうとどこだろうと、ホントにマイペース。こういう肩の力が抜ける作品は、一雑誌に一つはあってほしいもの。
【雑誌】コミックオルカ 10月号 司書房 A5中
今回はわりと当たり。まずBENNY’S「かげろう…」。柔らかい作画の魅力が存分に出ていて、年上の女性が色っぽく描けている。だんだん官能がとろけていくステップがまたソソりますな。それから最近ちょっと気になっている岡弓子の「妹とSEXSEX」。展開が非常に唐突で惹かれるものが。1ページめからいきなり、公園を歩いていた兄妹の兄が、「なぁSEXしたくなった!」と叫びだす勢い。そして囚人監視の中、SEXに突入〜という非常に手っ取り早い展開。そのダイナミックさもいいけど、クセの強めな絵柄も気になるところ。うさぎのたまご「スイミング♥ラブ」。この人の作品はいつもながらにノリが楽しくていいな〜。けっこう女体もぷりんぷりんでやることはしっかりやってるし。あと、由河朝巳「悪いクセ。」は、女の子の流し目が色っぽくて気になるところ。線もけっこう柔らかくて雰囲気あるし。稲葉晃次「続・極楽商売」は熟れた女人の魅力。好きなタイプの絵柄です。
【雑誌】MUJIN 10月号 ティーアイネット B5平
蜈蚣Melibe、じゃないや斉藤佳素理「貧民同好会」。扉ページによれば「意味なく巻頭カラー」。そうかー、意味がないんだー。というのはともかくとして、別に貧乏自慢みたいな作品ではなく、これは要するにトランプの大貧民同好会が舞台となった作品。大貧民→大富豪といった具合に、エッチな行為をしかけていいというルールのもとに開催されている大貧民ゲームの模様を描く。ちなみに大貧民同好会が催されているのは伊布雲国際学園(いぬのうんこくさいがくえん)。なんかたいへんノリが良くて、馬鹿馬鹿しい楽しさ。小暮マリコ「奴隷教師」。たぶんジェームスほたてと同一人物なんだけど、この人ってこういうねっとりしたエロも描くんですな。ちょっと唇厚めにしたり、MUJIN用に絵をいじってる感じ。
それから久々に見た感じのする北原武志「Mam」。昔肉奴隷をやっていて、今はパンピーである母が、肉奴隷調教中にできた子供をあいしつつも、なかなか抱き締めてあげることができずにいた……というお話。相変わらず絵はクセがあってあまりうまいほうではないんだけど、なんだか人間ドラマがしっかりしてて、ちょっと感動してしまった。このほかでは板場広し「みつばちはにー」がおめでたくていいです。とある男が隣に越してきた女性の引越作業を手伝うところからお話はスタート。んで、作業中に音楽をかけたらいきなりこの女性がミツバチのコスプレで踊りはじめ、「リサハニーなのだ」とかいいながら暴れまくる。そのあとはもちろんそういう行為に突入するわけだけど、展開の唐突さ、おめでたさはさすが板場広し。なんだかなあ、この人は。素晴らしい。
【単行本】「海猿」12巻 佐藤秀峰 小学館 B6 [bk1]
最終巻。すごく良かった。海難救助モノということで、曽田正人「め組の大吾」あたりと通じるものがあるけれど、この作品の主人公・大輔は特殊な能力を持っているわけではなくはるかに人間的。事故の結末についても、ただ「助かってよかった」だけで終わらず、苦みと痛みをなんとか呑み込みながら、前に進んでいくという形で締めくくることが多い。いや、締めくくれているわけではないかもしれない。人の命の重み、自分のするべきことと真っ正面から正々堂々と向かい合い、微力を振り絞って運命と格闘していくさまは文句なしに心打たれる。れぞれの登場人物の下す決断の切実さに思わず涙が出そうになる。非常にしっかりした作画、迫力のある描写、ビッと芯の通ったストーリーと、今どき珍しいくらいに正統派の読みごたえがある。佐藤秀峰はいい作家に成長していると思います。このままぺースを落とすことなく、ガシガシと激しくアツい作品を描いていってほしいもの。こういう才能は今日び非常に得難いだけに。
【単行本】「NANASE」1巻 画:山崎さやか+作:筒井康隆 講談社 B6 [bk1]
筒井康隆「七瀬ふたたび」を漫画化した作品。七瀬シリーズはこれまでも何度か映像化されてきているけど、山崎さやかによるこのシリーズは、その中でもかなりよく出来ている部類に入ると思う。相手の考えることが否応なしに見えてしまう美女・七瀬が、その能力ゆえに一つところにいられず、放浪の旅を続けるというのが大まかな筋。山崎さやかはこれまでの作品の中で、ずっと女性を描き続けてきた作家であり、その心理の動きの描写はとても巧み。そういう山崎さやかの作家的特性が、この作品にはベストマッチ。最初のエピソードの、七瀬が精神感応能力を利用して自分に危害を加えようとした男を追い詰めていくシーンなんかは、緊迫感あってすごくうまいな〜と思う。七瀬の、陰のある美しさもしっかり表現できているし、なんだかすごく感心してしまってます。
【単行本】「しあわせ団地」3巻 蓮古田二郎 講談社 B6 [bk1]
改めて読み返すと、すんごく濃いな、この作品。ダメ人間の夫、それに振り回される妻の、ダメダメ若夫婦の情けないことこのうえない日常を細かく細かく描写していくこの作品。よくよく考えると気が滅入るエピソードばかりなんだけど、底の底の部分は夫婦愛に支えられており、どこかカラッとしている。団地の彼らの部屋はジメジメしてるけどね。オセロの、えーとあれなんていうんだ、駒じゃないしチップじゃないし、まあ要するにアレの代わりに畳一面に並べられたしじみ。結局最後にそれをすする羽目になる二人。なんとみみっちく、みっともなく、そして平和であることか。ヤンマガ系列だから存在できる作品だと思います。すごく好きだ。
【単行本】「ピューと吹く!ジャガー」1巻 うすた京介 集英社 新書判 [bk1]
ジャガーは笛を吹く! 奇矯な振る舞いをする! そしてピヨ彦は迷惑したりしなかったりする。そんな作品。それにしてもピヨ彦ってなんだかんだいってつき合いいいよね。そこまで律義にツッコミ入れなくてもいいのにと思える、たて笛男・ジャガーさんに、結局つき合い続ける人の良さ。これあってこそ、このすっとぼけた物語をなんとか制御できてるような気がする。いやまあうすた京介なら、ツッコミを完全に排除してもうまいことコントロールしちゃうんじゃないかとも思えるけれど。あ、あとなんとなく世界全体が基本的にすごく平和で生暖かく、居心地良さそうなのも好ましいところ。
最後の最後で仕事がなかなか終わらない。それはそうとうまいもん食いたい気分がすごく高まってきた。現在狙っているのは玉ひでの親子丼。
【雑誌】YOUNG YOU 10月号 集英社 B5平
今月号から谷地恵美子「君住む夢都」がスタート。お店を共同経営しようとしていた男に資金を持ち逃げされてどん底状態な女性が主人公。今はヘコんでいる彼女だが、今は縁を切っているもののさる大財閥の孫娘という身の上にある。頼るつもりはまったく持っていなかったのに、財閥側のほうから帰ってこいといわれて彼女は戸惑う……というところからお話は始まる。まだどうなるかなんともわかんないけれども、コンスタントに読みやすい作品を描ける人なんで期待大。次号から羽海野チカ「ハチミツとクローバー」が再開ってことでそれを楽しみにしてる人も多いだろうけど、こっちもチェックしておくことをオススメいたします。
長崎さゆり「マーブル・ノーブル」、前後編80Pの前編が掲載。フェロモンばりばりでモテる女子が、専門学校の同じクラスの男子にベタ惚れしてしまうも、彼には何かがとりついており……といったところまでが第一話。個人的にはガチャガチャしたコマ割りとフキダシの多さに読みにくさは感じるけれど、でもちゃんと読むとしっかり面白いし、絵も達者で良い。というわけで後編も楽しみ。
【雑誌】FEEL YOUNG 10月号 祥伝社 B5平
内田春菊「最近、蝶々は…」が新連載。セックスレスのため婚約者と別れた女性が主人公。彼女は、このところ朝起きるたびに体に精液のようなものが付着しているのに気づいていた。それが誰のせいなのかはまったく分からず、彼女は自分の知らないところで何か起きていることに戦く。といった感じのお話なんだけど、けっこうこれは怖い。自分の知らない別の自分の存在、心の中に蓄積したドロドロ。そういったものが描かれていくと思われる。以前の「見せつけないでこれ以上」とかもかなり女の妄執が恐ろしい作品だったが、こちらも相当なことになりそう。
【雑誌】メガフリーク 10月号 FOX出版 B5平
これで最終号。表紙に「今回が最終号です。ありがとうございました。」と記す潔さに好感。休刊というのは名誉なことじゃないし、それをアナウンスするのはあまりうれしくないけれど、読者への筋を通すということは重要だと思う。こういうふうにいってくれると、素直に「ご苦労さまでした」という気分になれる。休刊については残念……という資格は俺にはないです。まれにしか買ってなかったから。そう思うとなんかたいへんに申しわけないような気分です。
竹本泉「ブックスパラダイス」。鍵の模様のついた本のひみつを追って、ヒロインたちが図書室を右往左往。間のとり方がすごく楽しい。で、ラストはなんか先が気になっちゃうようなものだったりして、ああもう少し続けて読みたかったなあと思わせる。そのほかたいへんいい絵の大空とわ「花八代景譜」など、見るべきところのある作品もちらほら。前号で連載スタートした粟岳高弘は休刊のゴタゴタもあって載ってないけど、いつかここらへんの作品の続きが読めるといいなあと思ったりします。
【単行本】「エイケン」1巻 松山せいじ 秋田書店 新書判 [bk1]
予約購入しました。おかげでエイケニストとして認定していただきました。ありがとうございます。別に何をしたわけでもないのにちゆさんにもリンクしていだたいて恐縮です。
で、話題のすごい漫画「エイケン」。学園イチのFカップ美少女や、小学生なのにバスト111cmの娘、上背ありまくりの巨乳先輩、マッドサイエンティスト、着ぐるみ娘、チャイナ服娘とウハウハハーレム状態な、何をするんだか分からない部活「エイケン部」に入部させられてしまった三船くんのドタバタした日常を描くというのが大まかな筋。といっても筋はたぶんあんまり重要ではなく、何はなくともパンチラ、巨乳、さらに揉み込み、そして揺れ。そんな過剰なお色気サービスがこの作品の主眼です(いちおう言い切ってみました)。で、この作品、その雨よ雪よと降り注ぐお色気シーンが、露骨で強引、かつあまりうまくない。この「うまくない」ってのは重要なところで、例えば遊人みたいに達者な人の場合は素直に興奮するなりすればいいんだけど、「エイケン」の場合はどう対処していいか判断に困る。常に目のやり場に困る状態を、この作品は作り出しているわけだ。
んでもって、最初のほうは乳揉み、パンチラくらいで済んでいたのが回を重ねるごとにエスカレート。最近では液体を多用した、顔射、ローションプレイを想起させるようなシーンも数多く見られるようになってきて、電車の中で読んでいるときの気まずさの度合いがどんどん高まっている。これを作者の人は、実にあっけらかんとやってるっぽいところがまた素晴らしい。こういう過剰な作品を描く人は後書きとか見るといい人っぽい場合が多いんだけど、松山せいじもたぶんいい人なんじゃないかと思ったりします。いい人であるがゆえに、いらんとこまでサービス精神を発揮しちゃって結果的に過剰なものができ上がっちゃうといった感じ。吉野家の牛丼のつゆだくに、肉と同じくらいのボリュームのマヨネーズをかけて、さらに卵と納豆まで落としちゃったような、じゅっくじゅくの作品です。なんとなく必見。
【単行本】「ななか6/17」3巻 八神健 秋田書店 新書判 [bk1]
いいお話だなあ。今回は修学旅行編で、ななかが17歳バージョンに戻ってしまい、稔二への想いを語るシーンが最大のクライマックス。大人になろうとしてほかのことが見えなくなってしまった17歳七華、天真爛漫な6歳ななか。その二つがどう融合していくのかすごく興味深い。6歳状態に戻らざるを得なかった七華の心情も、考えるだに切ないものがあるし、「ななかたん……」といってるだけでは済まされない深さもあって読みごたえあり。そしてやはり雨宮さん。素直に萌えるならこちらかも。カバー見返しの部分の八神健の「ええ、もちろん僕も、雨宮さんにはしあわせになって欲しいですよ。」というお言葉に期待。巻末収録の「階段でぶつかって人格入れ替わりもの」4コマ、「七華が雨宮で雨宮が七華で」もたいへんに微笑ましくて著しく良いものであると感じました。
【単行本】「素敵なラブリーボーイ」 伊藤伸平 少年画報社 B6 [bk1]
女ばかりの演劇部のただ一人の男の子が主人公。といってもだからといってモテモテというわけでもなく、彼は毎日走り回り、使いっぱな日々を送っている。この作品はラブコメとして描かれたもので、実際にラブコメ的な展開も随所に見られる。でも、この作品で自分が一番魅力的だなーと感じたのは、ヌルさが心地よい文化部の部室という空間に充満する空気そのもの、でありました。いつも変わらないような他愛のないやりとり、なんでもないようなことが幸せだったと思う……というとあまりに陳腐に聞こえてしまうかもしれないけどまさにそう。まったりとした空気が、後から見れば懐かして眩しくて。こういう学園生活、素直に羨ましいです。
だからといってもちろんラブコメ部分が良くないわけではなくて。主人公サキを中心に、その幼なじみのコ、部長さん、あと意外な伏兵……と、それぞれのキャラの個性がちゃんと生きてる。感情の爆発とかそういう荒々しいものはないけれども、微妙なラインでの押したり引いたり迷ったりがなんかすごく気持ちいい。楽しげでありつつも、どこかに寂しさも含んでる感じで風情があり、いたくそそられる。語り口穏やかで、かつトキメキもある良い作品です。
【単行本】「THE END」1巻 真鍋昌平 講談社 B6 [bk1]
「スマグラー」(→bk1)の真鍋昌平の2冊め。ちょっと忙しかったのでも少し落ち着いてからにしよう……とかしているうちに買ってからけっこう経っちゃいました。
ある日突然降ってきた運命の女性・ルーシー。彼女との出会いが、それまでとくに目的もなく生きてきたシロウを変えたその矢先、何か大きなものが動き始め、町は破壊され、シロウはそれまで眠っていた力に目覚めていく。といった感じで始まる物語。「スマグラー」で見せたように、この人の作画はゴツゴツしててたいへんにヘヴィな質感を持っている。血が流されるシーンの凄惨さとか、この世のものとは思えない残酷な表情とかの迫力は凄いもんがある。この作品の場合、1巻の時点ではまだ冒険の前の仲間集め的な状態で、何がどうなっていくのか分からないのだけど、それでも過激で刺激的で先を期待させるような意味深な描写にはたびたび驚かされる。この作品の場合、すでに相当ハッタリは利いてるんで、もうガシガシ話を大きくしてっちゃっていいような気がする。容赦なく読者をぶん回してほしい。
このところ昼出社→朝の電車で帰宅パターンが何日か続いていた。朝電車で帰り、家に着くころは通勤通学タイムが始まるくらいの時間。階段を駆け上がる人たちを見ていると、なんとはなしに申し訳ないような気分に包まれる。でも今日は会社に泊まりなのであまり関係なし。
ところでこのデジカメにアリトル惚れた。機種名は「Che-ez!spyz」。名刺サイズ、そして24g。しかも動画まで撮れてしまうらしい。最近とみに「デジカメって常に持ち歩いててなんぼだよな」と思うようになってるんだけど、いつも荷物(大部分は本)が重いこともあってなかなか実行できずにいた。でも、これならポケットに入れたり首にかけたりして持ち歩く気になれそう。9月末発売。現物見て良さげだったら買うかも。
【雑誌】ヤングアニマル 10/21増刊 GAGファイア 白泉社 B5中
ヤングアニマルのギャグ漫画勢を集めた増刊で、看板はももせたまみ、みずしな孝之、こいずみまりといったところ。そんな中、個人的に一番うれしかったのはコミックビームで「サルぽんち」を描いていた鈴木マサカズが登場していること。「絶倫悪魔デビルモン」。何かサル顔の悪魔が、冴えない男に小さな幸せをプレゼントって感じのお話。多少アクは強めながら、飄々としたノリもあって楽しい漫画を描く人だと思う。「サルぽんち」の単行本は……無理だろうな。えりちん「ハイパー・ビッチ・ファイターズ」は、ボンド・ガールを目指して女たちがバトル。けっこう馬鹿馬鹿しくて良い。絵もしっかりしてるし。
あとは、西川魯介が「微熱猫耳少女」で猫耳を! 微熱・猫耳・少女。なんという完璧な言葉の並び!! もうタイトルだけで昇天しちゃいそうじゃありませんか。私屋カヲル「さくら咲いちゃえ♥」はギャグと巨乳。そして勉強。全然ストーリーの説明になってないけどまあいいや。そういえばルナ先生もギャグと巨乳と勉強だ。こっちのほうもカラッと明るく読みやすい。華やかでピチピチしててドタバタも楽しく。というか乳の形、大きさともに好みなり。
【雑誌】ビッグコミックスペリオール 9/21 No.19 小学館 B5中
作:大西祥平+画:高橋のぼる「警視正大門寺さくら子」は、2回めも好調です。キャラクターのアクションがいちいち濃くいし、何しでかすか分からない。今回は市会議員にして居酒屋グループを経営している男がさくら子の元に乗り込むんだけど、それまで渋くキメてたと思ったらいきなりダンスアンドダンス。どうしようもなく馬鹿げてるんだが、それが高橋のぼるの作画とベストマッチ。すんばらすぃ〜。この原作と作画、いいコンビだと思います。星里もちる「本気のしるし」は、辻が浮世にずぶずぶハマってっちゃってて、もう危なっかしくて見てられないよ! といいつつじーっと見ているわけですが。一方、作:花村萬月+画:さそうあきら「犬・犬・犬」では道男と佐和子の関係がどんどん深まっている。それをじーっと見つめているのがマヒケンであるわけだ。こちらはこのまま幸せになってくれるといいなあと思いつつ、そうはならないかなーという感じもあり、やはり危なっかしい匂いはするのだった。
何やら英検が廃止されるらしいですが、「エイケン」はますます盛ん。単行本1巻も発売され、9月6日はエイケンデーに。書店では単行本を求める人たちが開店前から列をなすも、入荷数の少なさに憤慨という構図が、きっと展開されたんだろうなあ。「押さないで押さないで『エイケン』はまだあります」とか。わくわく。ちなみに私はbk1で予約したんで並ばないで済みました。お近くの書店にない場合は、以下のリンクからどうぞ。それにしても忙しくて書店に行けない間も、着実に本が家に届き、未読がたまっていきます。
▼未読物件
【単行本】「エイケン」1巻 松山せいじ 秋田書店 新書判 [bk1]
【単行本】「ななか6/17」3巻 八神健 秋田書店 新書判 [bk1]
【単行本】「ユキポンのお仕事」4巻 東和広 講談社 B6 [bk1]
【単行本】「しあわせ団地」3巻 蓮古田二郎 講談社 B6 [bk1]
【単行本】「チキン」1巻 村上真裕 講談社 B6 [bk1]
【単行本】「NANASE」1巻 画:山崎さやか+作:筒井康隆 講談社 B6 [bk1]
【単行本】「レゾレゾ」 サガノヘルマー 講談社 B6 [bk1]
【単行本】「なんてっ探偵アイドル」5巻 北崎拓 小学館 B6 [bk1]
【単行本】「おしゃれ手帖」2巻 長尾謙一郎 小学館 B6 [bk1]
【単行本】「海猿」12巻 佐藤秀峰 小学館 B6 [bk1]
【単行本】「素敵なラブリーボーイ」 伊藤伸平 少年画報社 B6 [bk1]
【単行本】「ピューと吹く!ジャガー」1巻 うすた京介 集英社 新書判 [bk1]
【雑誌】メガフリーク 10月号 FOX出版 B5平
【雑誌】コミックフラッパー 10月号 メディアファクトリー B5平
柳沼行のアスミシリーズ、「ふたつのスピカ」が巻頭カラーで連載開始。アスミもだいぶ成長し、宇宙飛行士の学校を志すまでになった。丁寧にドラマを作っていける人だけに、期待したい。すでに最初っからかなりいい感じなんでこれから楽しみ。読切、大槻保彦「フューズ」は未来予知能力を持った少女と、彼女をひきとって一緒に暮らしている精神科の女医マーゴのエピソード。絵的にはちょっと古目ながら、作品の作りは本格的。かなりSF風味を感じさせる。そのうち連載もあるといいな。佐々木泉「Fortune Street」。占い少女の日々。線が上品できれいな絵柄。なかなか達者な人であります。けっこういろいろほかでは見ない人が多くて、なんだかんだ面白い雑誌だと思う。
【雑誌】ヤングサンデー 9/20 No.40 小学館 B5中
長尾謙一郎「おしゃれ手帖」は、単行本2巻が出たということもあり今回は4色カラーあり。なんだかすごいオチだな。こちらも単行本最新刊が出た北崎拓「なんてっ探偵アイドル」。ドキドキのアキラ。清春くんがちょっとかわいそうな感じ。
【雑誌】モーニング 9/20 No.40 講談社 B5中
第10回MANGA OPENで大賞を受賞した津崎克糸「あなたがわたしにくれたもの」が掲載。妻を亡くした靴職人の悔恨の物語。あまり手慣れた感じではないけど、丁寧に描き込まれた画風はなかなか雰囲気がある。お話のほうも、途中ちょっとフェティッシュな感じもあり、重ためのストーリーも読後に余韻が残る感じで良い。ただ、あんまり気楽にさらさら読んでいけるタイプではないんで間口はあまり広くないかも。
【雑誌】ヤングジャンプ 9/20 No.40 集英社 B5中
やっぱ武富智「キャラメラ」。ここまでは絵といい話といい、いうことなし。あとはもう単行本出してくれればいうことなし。はにかんだ表情の描き方とかすごくうまいし、このうえなく魅力的だー。メロメロ(まあ連載前からそうであったわけなんですが)。
【雑誌】週刊少年チャンピオン 9/20 No.41 秋田書店 B5平
能田達規の新連載「ORANGE」はサッカー漫画。女子高生社長がオーナーをつとめる、愛媛県南予市の弱小サッカークラブ「オレンジ」を、ストライカーである主人公の少年ムサシが引っ張りあげていくというお話になる模様。リーグのディビジョンは、要するにJ2に相当。2部リーグの場合、1部リーグ昇格という大きなドラマもあるし、けっこう面白くなりそう。ああ、そういえば最近、横浜FCの試合観に行ってないなー。会社辞めたらそのうち行こう。作:森高夕次+画:松島幸太朗「ショー★バン」。スライダー習得でショーバン快刀乱麻。痛快な展開。八神健「ななか6/17」。ななかがファミレスでバイトするも、まあ当然うまくいくわきゃないのであった……というお話。今回はななかの天然6歳児な魅力が炸裂。はわわー。「エイケン」の松山せいじ先生は最近ねっとり粘液系がお気に入り。
【雑誌】ヤングヒップ 10月号 ワニマガジン B5中
セリフのクドさで大好評、悪党・巳月竜司先生の一代記、MARO「ABILITY」がヤングヒップに移籍。激漫がなくなってそのまま終わっちゃうかと思っていたら、こちらで連載再開。めでたい。草津てるにょ「ムーちゃんが来たよ」。女体が艶やかでエッチぃ。乳首が立ってるとこの描写とか、いい具合です。かかし朝浩「ブッ契りラヴァーズ」。この前出てきた新キャラの宮本さんの存在感がアップ。引き続き楽しくお話が展開中。井荻寿一「霊能探偵ミコ」。ミコさんに触手が! ハァハァ。ちなみにあと2回で100話に到達。ってことはもう8年以上になるのか。すげー。
【雑誌】コミックPOT 10月号 メディアックス B5中
今回ちょっと驚いたのは、表紙を描いている、ことによるエッセイ漫画。ことは以前ライズ時代に自ら「こと=昇龍亭圓楽」であると書いていたことがあるのだけど、それは実はまったくの「ウケ狙い」。本当は友人同士だけど別人であるとカミングアウトしてます。私も実はライズ時代に「こと=昇龍亭圓楽」というのを見て、「ふーん、そうなんだー」とか一度は納得してしまったクチで、でも「漫画とイラストでずいぶん絵が違うもんだなあ」「ホントかいな?」と思うところはあったものの、ここまであんまり疑わないままいたのでした。
漫画のほうでは、猫玄の巻頭カラー「三食昼寝若奥様付き♥」がいいです。いきなり「みなさん 人妻は好きですか?」から始まる本作品。私はもちろん大好きです。明るくHな美人奥様。出るとこは出て、引っ込むところは引っ込んで、出すものは出して。脂が乗っててたまりませんのう。
仕事が一段落。でも今週一杯はまだ忙しい。
【雑誌】オールマン 9/19 No.18 集英社 B5中
新連載、高野洋「湯沢クン飛んだ!!」がちょっといい感じ。仕事では左遷、婚約者にも見捨てられたサラリーマンが、空を飛ぶ能力を手に入れ、そこからいろんなことが動き始めるというお話。サラリーマン漫画ではあるんだろうけど、ちょっと力の抜けた飄々としたところもあって、なんとはなしに楽しい気分になった。今後の展開はどうなるか分からないけど。それから作:小池一夫+画:井上紀良「マッドブル2000」が最終回。このコンビは10/3発売のNo.20からまた新連載を始めるらしい。
【雑誌】ビッグコミックオリジナル 9/20 No.18 小学館 B5中
堀田あきお&かよ「Asian Deep Walking ネパールに行ってみた!」。ネパール編はこれで3回目。ごく自然に風情があっていいなー。地味なようでいて、この作品の登場人物はみな表情豊か。
【雑誌】週刊少年サンデー 9/19 No.40 小学館 B5平
表紙をめくるとそこは尻だった。というわけで石川優吾「どりる」が巻頭カラーなのだった。福地翼「うえきの法則」。巻中カラーだけど人気あるのかな? 小作りにまとまった絵柄はちょこまかと可愛く見てて楽しい。久米田康治「かってに改蔵」。今回は「水を差す」。いいネタ。こういう人たちが身近にいてくれれば藤田君や田中君もああはならなかっただろうに……。
【雑誌】週刊少年マガジン 9/19 No.40 講談社 B5平
「レッツぬぷぬぷっ」の三ツ森あきらが新連載を開始。「わんる〜む」。一つ部屋に暮らすカップルの、ラブ&ドタバタギャグといった感じ。4コマとかではなしに、普通のコマ漫画。今号の表紙には「もえ♥もえ♥ラブ♥ラブギャグ」と記されているが、ラブギャグはうまい人なんで、けっこう面白くなりそうな感じ。ちょっと週刊少年マガジンにしては、対象読者年齢層が高そうな気もするけど。
【雑誌】花とゆめ 9/20 No.19 白泉社 B5平
今号から日高万里の新連載「ひつじの涙」がスタート。大事な探し物をするために、同級生男子の部屋に入れてもらおうとつきまとう女の子。この男子・女子がメインとなって繰り広げられる、学園ドタバタラブコメという感じかな。思い込んだら一直線なヒロインがイキイキしててかわいいのが今回は印象に残った。あと、高屋奈月「フルーツバスケット」が連載再開。
【雑誌】桃姫 10月号 富士美出版 B5平
いきなりだけど木静謙二の新連載「ろりまま」の今後の展開が楽しみです。40を過ぎても中学生くらいにしか見えない実母に恋しちゃっている息子さんの悶々とした日々を描く物語。この人は絵もしっかりしてるし、エロシーンのテンションの高さも十分。ちょっと濃いめのタッチながらしつこくはなってないし、実力派という印象を前から抱いている。早くこの人の単行本出ないかなー。たまちゆき「秘密の賭け事」は、奔放なロリっ娘とそれを心配するお兄ちゃんのお話。妹さんの誘うような目つきがなかなか魅力的。しろみかずひさ「なぶりっこ」。だんだん麻理果は清彦のほうへと傾斜。そして清彦の昔の女は、麻理果にかかりきりな清彦を見てやるせない思い。このおねえさんは今後話にからんでくるんだろうか。それにしても調教は着々と進んでいる。麻理果が自分から離れていくのを見ているほかない兄の状況を想像するとなかなか刺激的。
【雑誌】夢雅 10月号 桜桃書房 B5平
最近精力的に活動しだしたなーという感じのなめぞうが巻頭カラー。「外と中」。お風呂場の格子付きの窓越しのHというネタがなかなか斬新。しかも窓枠に足を引っかけて……というダイナミックさで楽しませてくれます。あと女体がつややか。THE SEIJI「おじいちゃんの日記」。肉感的でエロスがむんむんしてていい雰囲気。
そういえば伊藤伸平「素敵なラブリーボーイ」を買ってなかったなーと思い、bk1で注文。1冊だけというのもなんか悔しいので、ついでにうすた京介「ピューと吹く!ジャガー」1巻も頼んでしまう。注文手続きをしているうちに送料を払うのがなんだか悔しくなったので予約本を1冊混ぜることにする(bk1は現在、注文した本に予約本が混ざっていると送料がタダになる)。まだ予約してない本あったかなーと思って調べてみたら、「キャンディ POP'n ROLL!!」のハルマチコの新刊「LOVEパワー2000」がありました。嗚呼。注文してしまう。
【雑誌】ヤングマガジンUppers 9/18 No.18 講談社 B5中
押川雲太朗「不死身のフジナミ」はこのところタイガーの攻勢が続いていて、そのほかの面々はずっとピンチ。タイガーの情け容赦なさがかっこよいです。はっとりみつる「イヌっネコっジャンプ!」は、何やらオズたちの生活をひっかき回しそうなキャラが押しかけてきて、お話があわただしくなってきている。この前は陸上方面が大きく動いたけど、今度は恋愛方面でも大きな進展とかあったりするんだろうか。なんにせよはっとりみつるの描く女の子はかわいいです。今回のコミティアでは漫画じゃなかったみたいだったんで新刊は買わなかったけど。
作:さいふうめい+画:ミナミ新平「バサラ〜破天の男〜」。今まで麻雀やってたのはいったいなんだったんだかと思えるような展開がこのところ続いているが、これでまた麻雀に戻ったらすごいかもしれない。でも戻らなくてもすごいような気はする。それにしても出てくる敵キャラがいっちいち濃いな。あと、敵に囚われた恋人を救出するため、柘植が相手基地に潜入する場面。警備兵の気をそらすために放ったコブラがシャアァといってる場面がどうでもいいことなんだが妙にツボにハマッた。なぜここでコブラ。
【雑誌】キングダム 10月号 少年画報社 B5中
巻頭カラーで五十嵐浩一「F……the alternative」が始まった。これは五十嵐浩一の代表作の一つである「ペリカンロード」の2という位置づけの作品らしい。えーと「ペリカンロード」は単行本持ってたっけかなあ。ちょっと1のほうの登場人物とかをパッと思い出せないんだけど(なにせ15年以上前の作品らしいので)、「F……the alternative」のほうはトーマという、周りに対して心を閉ざしがちだった少年が主人公。おそらくは初代「ペリカンロード」メンバーの子供世代とかいう感じなんじゃないだろうか。違ったらごめんなさい。とりあえず五十嵐浩一の漫画は好きだし期待してます。私屋カヲル「青春ビンタ!」。浴衣、巨乳、ノーパンの3題噺……というわけではありませんが、とりあえずいずれもHくさくておめでたい。
【雑誌】漫画アクション 9/18 No.38 双葉社 B5中
今号の表紙によるとキューティーハニーは「元祖コスプレヒロイン」らしい。なんか違うような。それはともかくとして永井豪「キューティーハニー」。今回はレストランにたてこもった特撮マニアの爆弾男が、「スゴイレンジャー」の「ピンクスゴイ」に会わせろと要求。素晴らしいネーミングセンスに感動。そしてながしま超助「ぷるるんゼミナール」のスゴイ展開にも感動。菜々美のおっぱいがまたしても大きくなるわ、電車内ですごいことになるわ。それにしても菜々美はおっぱいだけじゃなく、いろんな意味で大物だと思う。それから新連載、早川ナオヤ「スラッガー神」が巻中カラーでスタート。観客にケンカを売るような破天荒な強打者、神(じん)がプロ野球界に喝を入れるという、痛快野球ドラマといった感じかな〜。作画はなかなか力強い。
【雑誌】コミックバンチ 9/18 No.17 新潮社 B5中
5月15日の創刊から3ヶ月半が過ぎて、そろそろあちこちでこれまでのバンチの歩みが振り返られてるみたい。10月からは単行本も出るらしいし。個人的にも創刊時は大いに興奮していろいろ書いたけど、今はずいぶん落ち着いてきちゃったような。ここらへんが序盤の一つの正念場かも。とりあえずこの時代に、これだけ派手な創刊をする雑誌というのはそうそうないだろうし、これがコケたら後が続かないと思うんでぜひとも頑張ってもらいたい。まあ売れる売れないについてはよく知らないけど、とりあえず雑誌が面白くなるのは文句なしにうれしいことだし。
渡辺保裕「ワイルドリーガー」。非常に男くささを感じる野球漫画。ここまで16話やって、まだペナントレースに入ってないというのは、ぺースとしては遅いといえば遅いけど、その間しっかり土台を固めているので今後が楽しみ。今までも十分アツかったが、実際のペナントレースになったらもっとヒートアップしてくれるんではないかと。坂本タクマ「屈辱er大河原上」はコンスタントに楽しい。あとは大河原上の相方になるようなキャラが欲しい気もする。ライバルとかでもいいけど、とりあえず名前を覚えられるキャラがもう何人かいるとより面白くなりそう。
【雑誌】漫画サンデー 9/18 No.36 実業之日本社 B5中
「染盛はまだか」の清田聡が読切で「ハングアップ」という作品を描いている。2回めということは1回めもあったということか(当たり前だけど)。読み逃しちゃってるなあ。困った。ちなみに今回のお話も、ビルの窓拭きをやってる人たちの物語。老いてなお盛んなじいさん職人の最期を、20代の若造が見届ける。まあ直接死に際まで見つめるわけではないが。一見むさくるしいけど飄々とさばけた作画、じんわりとした後味が残る筋立てが印象に残る。小田扉「マル被警察24時」。今回は例の刑事二人が動物園をうろうろ。2色カラーよりも力が抜けてきた感じ。でもこの人の場合、もっともっと抜いちゃっていいと思います。「アフロ氏」なみになったら最高。
会社の近く(といっても歩いて10分くらい離れているが)に新しくできたコンビニには、カップのチキンラーメンがあるのでうれしいなあ!とか思った3個ほどまとめ買い。そんなことをしつつ、気がついたら今号の自分担当分ページの入稿が完了していた。はやく仕事が完全に片づかないかな〜。
【雑誌】ヤングマガジン 9/17 No.40 講談社 B5中
古谷実「ヒミズ」。住田は今回、パチンコ屋でバイトを始めるが何をしても煮詰まり度は高まっていく模様。お話としては淡々と進むけれど、常に緊張感があって気を抜けない。小田原ドラゴン「おやすみなさい。」。鉄郎って童貞で無為なようだけど、何気にパワフルだし、いろんな人の人生に影響を与えてるなあ。こういう人に私はなりたい、とは思わないけど正直、すごい。
【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 9/17 No.40 小学館 B5中
玉井雪雄の新連載「OMEGA TRIBE」がスタート。ネアンデルタール人を絶滅に追いやったのがクロマニヨン人である!……というところから入り巨大な男根が出現したと思ったら、舞台はいきなり現代に飛ぶ。「新創世記」といったアオリ文句なども用いられているが、実際かなりスケールの大きな話になりそうでうまくハマればすごく面白そう。のぶみ「にじこしいいんちょう」。にじこしいいんちょうの得体の知れなさは、回を重ねるごとにエスカレートしている。どこにも属さないにじこしいいんちょうになんだか惚れる。けっこう面白い。
【雑誌】週刊少年ジャンプ 9/17 No.40 集英社 B5平
作:ほったゆみ+画:小畑健「ヒカルの碁」がアニメ化ってことで表紙&巻頭カラー。もっとあかりちゃんを大切にしよう。そういえばヒカルは、あかりちゃんという女の子との関係よりも、佐為という男との関係をより優先しているわけで、女放置&男に夢中という構図はやおい的に見るとおいしいのかな。よく分からんし、分かったからといってどうにかなるわけでもないんだけど。それにしても今時珍しいくらい惚れたはれたのないストイックな漫画だな、と思う。かずはじめ「鴉MAN」は今週で最終回。結局ブレイクには至らず。
東京流通センターで開催された創作同人誌即売会コミティアに行ってまいりました。早めに起きようと思ってたんだけど果たせず、結局会場に到着したのは午後1時くらい。のんびりした勢いで会場を回り、まったり目についたものを購入。今回は初めて宅急便を利用し、購入物を家に送付。そんなわけで本が今手許にないので、買ったものリストとかはまた後日。即売会はいろいろな人にお会いできて、やっぱり楽しかった。
コミティア後はこじんまりと飲み会。最初行った居酒屋がビールは冷えてないわ、店員さんに日本語があまり通じないわでひどかったので、40分くらいでよく使っている隣の店に移動。開拓失敗。移動先の店はとても良い店だったので調子よくくいくい行き、結局へろへろに酔っちゃったので、帰ってきてからは気楽に読めるものだけ2冊。
【単行本】「マウス」5巻 作:あかほりさとる+画:板場広志 白泉社 B6 [bk1]
マウスのライバル的存在も出てきたが、基本的にはいつものお気楽お祭り状態。ここにきて肉奴隷3人娘のうち、メイさんとマウスの恋愛関係を成立させようという動きが強まっている。それにしてもおめでたい漫画だなあ。あっけらかんとしていて素直に楽しい。
【単行本】「恋愛ジャンキー」5巻 葉月京 秋田書店 B6 [bk1]
こちらもちょっとHでラブコメ三昧。大きな筋といえるものはあんまりないけれど、出てくる女の子が揃いも揃って可愛く色っぽく華があるので、眼福眼福といったところ。主人公のモテモテぶりがうらやましい。
bk1ブリーダーズプログラム、8月は売上件数87/金額71880円/ポイント2156でした。ちなみにAmazon.co.jpのアソシエイト・プログラムのほうも利用してるけど、こっちは全然出ません。2ヶ月ほどやって売れたのは4件。うち3件はたぶん兄貴が買ったCDであるっぽいので、まあ実質的にはほぼゼロと見ていいんじゃないかと。Amazon.co.jpのほうを使ってみた感想だが、在庫データはbk1より充実しているのでその点は良い(eS!よりは劣るけど)。ただ、bk1のように売上レポートをメールで送ってくれるわけではないのと(専用ページに見に行くことになる)、紹介料が1500円分たまらないとAmazon.co.jpギフト券という奴がもらえないのは難。個人的にはbk1のほうが、リンクを張るさいの自由度が高いような気がするし、新刊予約が充実してるので使いやすいと思う。でもコレは慣れの問題かもしれない。
【雑誌】ビジネスジャンプ 9/15 No.19 集英社 B5中
本宮ひろ志「猛き黄金の国 道三」が最終回。斎藤道三だと天下を獲るわけでもないので、さすがに終わらせ方は難しいかなと思っていたんだけど、そこは非常に本宮ひろ志らしく締めくくった。
【単行本】「まぐろ土佐船」1巻 作:斎藤健次+画:青柳裕介 小学館 B6 [bk1]
それまでの自分を捨てて、まぐろ船に乗り込んだ主人公・斎條の目を通して、過酷な遠洋漁業を続ける土佐の男たちの姿を描く。原作となった同名小説は、第7回小学館ノンフィクション大賞を受賞した作品(→bk1)。まぐろ船の男たちは、一度海に出ると2年ほどの月日をずっと船上で送ることになる。さほど高くない給料で、毎日十何時間も働き続ける職場だ。普段、陸にいる者はまず目にすることのない、地味だが激しい男の世界が力強く描かれており、物語は新鮮な驚きに満ちている。冒険ではなく、ファンタジーでもない、人が生き、仕事をしていく生の現実だけに、物語には確かな迫力があってえらく面白い。青柳裕介の死去により、この作品が1巻で終わってしまったのは残念だ。ただ、ちょうどお話的に一つ区切りがついたところだったのは幸いだったといえる。
【単行本】「黄金のラフ 〜草太のスタンス〜」4巻 なかいま強 小学館 B6 [bk1]
ジャンボ尾崎的なゴルファーの子分の執拗な嫌がらせに遭い、草太は自分のぺースを崩されまくり、初日トップスタートから2日めは一転予選落ちの危機に。とまあ状況は切迫してきているんだけど、あくまで気楽に読ませるテンポの良さはなかいま強らしいところ。ユーモア十分、肩が凝らずに読めるゴルフ漫画。
【単行本】「薩摩義士伝」3巻 平田弘史 リイド社 A5 [bk1:1〜3巻/4巻予約]
骨太な薩摩武士たちの咆哮が聞こえるこの作品も3冊目。力強く構築された世界、紙から飛び出てきそうなくらいの迫力ある武士たち、満腹感を与えつつ読み飽きない堂々とした物語展開など、この巻も非常に見事でござった。この作品に出てくる士魂を貫く人々の姿を見ていると、惰弱な自分が男として唾棄すべきものに思えて仕方がない。
【単行本】「鷹月助教授の淫靡な日々」2巻 艶々 双葉社 B6 [bk1]
美人助教授・鷹月センセイが、どんどん淫らな本性をあらわにしていくこの2巻。常にいやらしいことを求めているかのような熟れた身体が、とてもいやらしい。身体のラインとかがとろりと柔らかい。ところでこの人でちょっと気になるのはカラー。陰影をつけすぎてて金属っぽく感じる。モノクロのときの柔らかさ、滑らかさがカラーでも出てくれるといいんだけど。
【単行本】「ももいろさんご」2巻 花見沢Q太郎 少年画報社 B6 [bk1]
3人姉妹の住む洋館で下宿中の三吾くんの受難物語。好きな人はいれど彼女は遠く、3人姉妹(というかそのうちの二人)の誘惑にも抗しがたく。第2部になってHさが増し、その分、三吾くんのウズウズは倍増。読者のうずきもこれまた倍増。描写はライトなんだけど、妙にソソる。それにしても最近の花見沢Q太郎はいい。以前はさほどピンとこなかったんだけど、ここ数年で何かをつかんだような気がする。肩の力の抜きどころが絶妙だし、抜いているときもなんだか気持ち良かったりする。
【単行本】「妹小屋」 小林少年丸 桜桃書房 A5 [Amzn]
小林少年丸って人は、ものすごく器用な人だ。濃厚なエロもイケるし、ギャグもオッケー、ホラーっぽいのもラブコメも、エロ漫画のどんなジャンルでもこなしてみせる。しかもびっくりするような面白い作品も多かったりする。しかし、なぜかこの人の単行本は売れないという話を聞く。すごくもったいないような気はする。
で、この作品もかなりすごい。お話は、妹を一人の女としてしか見れなくなり、彼女に対する欲情を殺すために家を出た男が主人公。しかし執着は断ちがたく、自室の壁に妹の写真を何枚も貼り付け、妹をかたどった人形を作るなど、その想いは募るばかりであった。というところに妹が大学通学のために一緒に住むという話が持ち上がる。その後の彼を襲うのは、自分が妹を犯してしまったかもしれないという疑念。どこからが妄想で、どこからが現実か。妹を想うあまりにその境界線はどんどんあいまいになっていき、物語も混沌の度合いを深めていく。ごく普通のシーンでの妹→兄、兄→妹というふうな好意の現れは、あにいもうとモノではありがちなパターンを多く使っているのだが、そこから「普通こうくるだろう」的な予想をあっさり裏切り、読者をどんどん夢とも現ともつかない世界に引きずり込んでいく。ここらへんの小林少年丸の手腕は非常に巧みである。あるときはそれまで夢であったはずのものが現実となり、またあるときは別の現実が夢を否定する。そうやって読者を翻弄し、最後も意表を衝く結末で締めくくる。実に鮮やか。
【単行本】「ラブバイブレーション」 マーシーラビット ワニマガジン社 A5 [Amzn]
マーシーラビットの作品は、いつも欲望に忠実でいいなあと思う。華のある女性キャラ、明るいけどザーメン量多めで手っ取り早く実用に供せるエロス、後腐れのない読み心地。いずれも自慰行為の安心に貢献してくれる。表題作の「ラブバイブレーション」は、正義のヒーローのお嫁さんになったヒロイン・蕾のH模様をずっとやるというお話なんだけど、展開はかなり強引。例えば第2話では、一緒に出演する予定だったイメージビデオの仕事にダンナが遅刻したからといって、なぜか奥さんはスタッフの面々でオナニーをおっぱじめてしまい、さらにスタッフたちと乱交状態に突入〜とくる。「なんでいきなりそうなるの?」という思いがチラッと頭をかすめはするのだが、そんなことは吹っ飛ばすかのようにエロシーンのボルテージが上がっていくので、あんまり気にならなくなっていってしまう……ような気もする。でもまあここらへんの細かい説明はたぶんいらないのだ。手っ取り早く使える、それがこの人の作品の最大の美点なのだから。