2006年8月下旬


8/31(木)……煮たの?真蛸

OHP月極アンケートのテーマを入れ替えます。2006年9月は「燃える漫画」で行きます。「萌える」ではなく「燃える」。一読するや心が熱く奮い立つ、そんな漫画のオススメ作品に投票し、熱く激しく語っていただけるとうれしいな〜という感じのアンケートです。いつもよりちと選択の幅が広くなるかもしれませんが、気軽に投票していっていただければと思います。よろしくお願いします。

 また、「変身ヒーロー・ヒロインもの」は締め切り。1位が「覚悟のススメ」になったのは、「変身ヒーローモノ」といわれてパッとすぐに思いつく作品ではなかったんでちと意外でしたが、まあこれは「票が集中する作品がなかった」「作品の面白さを純粋に評価」という2点があったんでしょう。「覚悟のススメ」にしたところで9票しか行ってないし。まあ「変身ヒーローもの」で、今が旬といえる作品って、確かにあんまりないですからねえ。以前「ロボットもの」というテーマでやったとき「ロボットはやっぱりアニメのモノだな」と感じましたが、同じようにヒーローものはやっぱり特撮のモノなのかもしれませんな。

【雑誌】モーニング 9/14 No.40 講談社 B5中

 以前5週連続で掲載された、田中誠「実録!関東昭和軍」が連載に昇格。体罰漬けで軍隊式な高校野球チームのシビアでハードでバイオレンスな日常を描いていくというギャグ漫画。容赦なくボカスカやってるさまはヒデェといえばヒデェのだけど、キャラがコミカルかつ丈夫そうなんで後腐れなく笑える作品になっている。また暴力描写が陰湿ではないので、むしろ痛快にさえ感じてしまうところもある。実際に同じことやったらシャレにならんでしょうが、そこはギャグ漫画ですから。このくらいムチャやってくれたほうが面白い。

 諸星大二郎「深海に帰る〜『深海人魚姫』異聞〜」は、「私家版魚介図譜」シリーズの6話め。海の生き物と意思を通じ合わせられるかのごとき不思議な力を持った「まりん」と呼ばれる女性と、彼女と恋人だった海洋調査員の男のつながりを描いていくという内容。これはなかなか面白かった。まりんという女性をミステリアスかつ美しく描けていたし、終盤の切ない大人のラブストーリー的展開も良かった。確かな手触りのある、諸星大二郎らしいファンタジーに仕上がっている。

 小山宙哉の読切「TOWER of TERROR」は、ディズニーシーの新アトラクションとのタイアップ企画。「TOWER of TERROR」に秘められた偶像の呪いとは……というお話をミステリアスに描いている。小山宙哉は「ハルジャン」のときよりも絵がシッカリしてきており、タイアップものとは分かっていても単体でけっこう面白く読める作品に仕上がっていると思う。難しいとは思うけど、続きもちょっと読んでみたい出来ではあった。あと山田芳裕「へうげもの」がいつもながら面白い。今回はほぼ天下人となった秀吉の孤独と、それを理解する左介の心情描写、それから柴田勝家が良かった。柴田勝家というと武骨な猪武者というイメージがあるが、ここではモノが分かっていてなおも信念を貫こうとするかっこいい男となっている。あと淀君も登場。キャラが強そうだし今後の活躍が楽しみ。

【雑誌】ヤングサンデー 9/14 No.40 小学館 B5中

 北崎拓「クピドの悪戯II さくらんぼシンドローム」。主人公の前に現れた謎の少女・天海玲菜が、元は女子大生だった自分が中学生くらいにしか見えないまでに小さくなってしまった不思議について語り出す……というのが今回の内容。彼女の無邪気な表情がフレッシュでかわいい。さすがベテランだけに、話の運び方がうまいですなー。絵もまだまだ一線級だし。小田原ドラゴン「小田原ドラゴンくえすと!」。今回はドラゴン先生が出戻りアシスタントと共に、年収400万程度のサラリーマンながらフェラーリを買っちゃった人を取材に行くというお話。でもフェラーリさんのほうはわりとどうでも良くて、アシスタント男のほうばかりが印象に残るなー。あとおっぱいパブの話とか。

【雑誌】ヤングジャンプ 9/14 No.40 集英社 B5中

 奥浩哉の新連載「め〜てるの気持ち」がスタート。15年間引きこもり状態の主人公、冴えないサラリーマンである彼の父、そして父の恋人となった若くて魅力的な女性という道具立てでお話は始まる。えーと、あまり書くとネタバレになっちゃうので詳しくは書かないけど、引きこもりの青年に、突然血のつながらない若くて魅力的で母親ができて、とまどいながらも親子としての暮らしが始まっていくという構図が中心のお話になる模様。現在中断中の「GANTZ」は11月から再開予定で、この2作は同時進行で描いていくことになるそうな。毛色の違う2作の同時進行は難しいと思うけど、「GANTZ」がハードコアな展開になりがちなので、「め〜てるの気持ち」のほうで色っぽい女性とかを描いていくというのは、作者にとってバランス的には良いことなのかもしれない。

 あと今号では、高橋秀武「野獣は眠らず」が第一部・完となっている。まあ相変わらず高橋秀武の絵は力強くてうまいし、お話もまとまっているけど、この作品自体はもう一つインパクトには欠けたか。第二部は難しいかなー。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 9/14 No.40 秋田書店 B5平

 所十三の新連載「竜の国のユタ」がスタート。恐竜と人間が共存している世界を舞台にしたファンタジーものといった感じの作品。所十三は以前も「DINO」という恐竜モノを描いてたけど、作者コメントにもあるとおり恐竜が大好きらしい。ファンタジー世界が所十三の作風に合うかというとうーんって感じで、個人的な期待度は高くないけれども、とりあえず作者が楽しんで描いてくれれば、といったところ。下手にまとめようとせず趣味丸出しで突っ走るくらいが望ましい。読切、木々津克久「少年ルパンと奇妙な犯罪」。ルパンと呼ばれる天才小学生が、謎の死亡事件を推理するというお話。作画はしっかりしててお話もまとまっているけど、これは連載向けのネタかなー。一話だけだとルパン少年の天才性が描ききれてなくて、あっさりした印象になってしまってる感じ。

 作:森高夕次+画:松島幸太朗「ショー★バン」。ショーバンが今回もすげー。監督のいうこと無視して突っ走った挙げ句打たれて、ベンチにスタコラ戻ってきたと思ったら、今度は絶対マウンドは譲らないとワガママいいまくり。さらにキャプテンという立場なんかまったく考慮せず、いいプレーした味方をも罵倒。爽やかだのなんだのいう言葉とは無縁のダークヒーローっぷりが最高。哲弘「椿ナイトクラブ」。やっぱり作者は茜少年のことを、意図的に女の子っぽいキャラとして描いているのだなあという回。それにしてもバンコランとは……。少年読者には分からないネタだろうけど、少年読者率低そうな雑誌だし問題ないかー。

【単行本】「群青学舎」1巻 入江亜季 エンターブレイン B6 [bk1][Amzn]

【単行本】「コダマの谷」 入江亜季 エンターブレイン B6 [bk1][Amzn]

 現在コミックビームで「群青学舎」を連載中の入江亜季の単行本が2冊同時発売。この人の、上品だけれども、艶とキレが共存する美しい画風は、一見して惚れたって人も多いんじゃないかと思う。実際キャラの絵は非常に達者で華があるし、背景もキレイでなんとも良い雰囲気を醸し出してる。ビームの若手の中でも期待度二重丸な作家といえる。

 まず「群青学舎」のほうだが、こちらは読切短編シリーズ。学校の不思議的物語から恋愛、青春モノ、自然モノと毎回世界もキャラも異なるが、それぞれクオリティは粒ぞろい。女性キャラが魅力的だなあというのは一つあるけど、それ以外もイイ。何より線にツヤがある。とくに目の光。水面は澄んでいるけれども底に行くに従って深い色を増していく湖のような、鮮やかな目の光が非常に印象的。お話のほうも、甘やかな恋愛気分に浸れるものや、ほのぼのするもの、切なくほろ苦いものと揃っていて、それぞれしっかりまとまっていてうまいなーと思う。

 「コダマの谷」のほうは、同人誌で「流星学舎」シリーズとして発行されていた連作「コダマの谷」と、ぱふで連載されていた4ページ漫画「フクちゃん旅また旅」12話分を収録。メインとなるのは「コダマの谷」のほう。こちらはビームで活躍するようになる前の作品で、画風もまだちょっと創作同人っぽさがあるかな。お話のほうは、王立の学院にお忍びで通っている王子・アーサーと、いい加減でフラフラしているように見えて実はすごくキレ者である彼の学友・ライダー、それから王子の結婚相手として送られて来た女の子の3人を中心とした学園青春ストーリー。まだこのころは同人時代ということもあって、お話の見せ方はいくぶん分かりにくいかな。ライダーの背景事情とかは説明が不足気味だし、キャラの描き分けももう一つ。ただ最初から作画は品が良く、それが回を重ねるごとに、だんだん今のような艶を帯びてきていることが分かる。あと全体の雰囲気はほの暖かく茶目っ気もあって、読んでて楽しい気分になれる。

 個人的には今の画風のほうがより色気があって好きだけど、昔のもこれはこれでスッキリしていて悪くない。紹介の順が逆になっちゃったけど、「コダマの谷」→「群青学舎」という風に読んでいくと、作風の変遷なんかもよく分かってなかなか興味深いものがある。まあそんなわけですでに技量、完成度的にはかなりなものとなっていると思う。今後はどんどん長い作品にも挑戦して、商業での代表作といえるような作品を一つモノにしてくれるといいなーと思います。そうするともう一段ジャンプアップできるんでは。何はともあれ期待してます。

【単行本】「SWWEEET」2巻 青山景 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 出るのをけっこう楽しみにしていた1冊。1巻が昨年10月だったのでかなり待たされたけど、ようやく最後までまとめて読めた。青山景はこれが初連載だったが、なかなかに良い作品に仕上がったと思う。

 双子の兄弟・林ススムとツトム、そして二人の幼なじみの少女・遠山さくら。3人は幼いころからずっと一緒で仲良く暮らしていたが、ツトムは10歳のときに失踪し、ススムとさくらはツトムに関する記憶を封印したまま成長する。しかし封印した記憶によってもたらされた心の歪みは、二人が成長するにつれて大きくなり、二人は否応なく過去に直面しなくてはいけない状態になっていく。そして二人は、ツトムの行方を探っていくうちに自分たちの心の内面に深く分け入っていくことになる。

 まあ物語内で起きること自体はご都合主義に思える部分もある。とくに二人が揃ってツトムが失踪した日に起こったことを忘れているといったあたりは、「そんなことあるもんだろうか」と思う部分もある。ただそこはそういうもんだと納得してしまえば、物語展開自体はかなり緊迫感があるし、少年少女の成長物語としてもかなり読める。とくに終盤、真相に向かってお話が加速していき、二人の感情が大きく揺れ動くようになっていく過程はテンションが高くてグイグイと物語に引き込まれた。またススムとさくらが共に一つの試練を乗り越えた後の終わり方も、しみじみしたものがあってグッと来るものがあった。

 絵柄的にはちょっとクセがあるし、物語の細かな詰めという面ではまだ隙はあるかもしれないけど、印象的な見せ場シーンの構図取りや色気のある線、言葉の強さなど、なかなか良いものを持った作家さんだと思う。あとこの人は、キャラの顔を大きく描こうとしている点がいいですな。顔っていうのはやっぱりキャラクターの中でも一番力のある部分だから、大きく描くとインパクトがある。その分、大きさに見合うだけの表情の力は必要になるんだけど、それができると押し出しは強くなる。このほかについても、メリハリのある画面を作ろうという意図は作品全体から強く感じられる。それは今後も大事にしていってほしい。

【単行本】「ユリア100式」1巻 作:原田重光+画:萩尾ノブト 白泉社 B6 [bk1][Amzn]

 ヤングアニマルでやってる、エッチでオバカなドタバタギャグ漫画。これは下らなくてアホらしくて、なかなか面白いです。

 お話は、自分でモノを考え行動する、人間そっくりの超高性能ダッチワイフ・ユリアが、開発者のオッサンのもとを飛び出し、純朴な好青年・瞬介に拾われて彼の部屋に住みつくところからお話はスタート。ユリアには「初めてヤッた相手が御主人様として刷り込まれる」というプログラムが施されているが、ユリアがダッチワイフだとは知らず、田舎に彼女がいて異様に身持ちの固い瞬介は、操を守ってユリアにはけして手を出さない。そんな優しい瞬介にユリアも惚れてしまうのだが、ついダッチワイフとしての習性が暴走させて、瞬介を押し倒しちゃったり、エロい行動に走ろうとしてしまう。そんな状況を面白おかしく描いていく。

 本作で良いのが、エロいことをしようとするも失敗してばっかりなユリアのオバカさんぶり。エロいことをしようとしてても、ドタバタした作風とユリアの天真爛漫な性格のおかげで、あんまり淫靡なふうにはならず、作風はあくまでカラッと明るい。あとテンポが良くて繰り返しギャグがうまい。とくに、ユリアのダッチワイフとしての習性を解説する「ユリア100式マニュアル」は、内容が下らないうえ、何度も執拗に繰り返されるんで、出てくるたびにおかしさが増していく。

 本作の原作は「イッパツ危機娘」を手がけた原田重光。ちょっと下品なギャグ、執拗な繰り返しなど、ネームに関してはモロに原田重光風味。たぶん原田重光自身が描いても十分面白い作品になっただろうとは思うけど、萩尾ノブトのほうが絵柄がキャッチーで、よりカラッと明るく間口の広い作品に仕上がっている感がある。これはなかなかいいコンビネーションといえるんじゃないでしょうか。原田重光は以前「けっこう仮面P」(作画:湊青樹)とかでも原作をやってたけど、原作者は向いてるんじゃないかと思いますね。

【単行本】「ゆびさきミルクティー」7巻 宮野ともちか 白泉社 B6 [bk1][Amzn]

 この巻もやっぱりスゴい。「ユキの格好をしてみてほしい」とお願いして黒川水面さんの自尊心を傷つけてしまった池田由紀くんだが、みんなで海に行ってなんとか仲直り。そしたら今度はひだりちゃんのほうがブロークンハートでございます。常にナイーブそうな顔をして、自分勝手な理屈で寄ってくる女の子をつなぎ止め、女装趣味も絶対に手放さない、池田くんの振る舞いにいつも呆気にとられます。あと同時収録の、水面ちゃんに欲情しまくりなそのお兄ちゃんの物語「妹は優等生3−お兄ちゃんとナイショ−」も、毎度のことながら破壊力抜群。こいつらみんなバカだ〜。出てくるキャラ出てくるキャラ、みんな脳味噌腐っててステキです。


8/30(水)……嘘、嘘だ皆

【雑誌】ヤングキングアワーズ 10月号 少年画報社 B5平 [Amzn][定期購読:7andyicon

 小野寺浩二の新連載「聖乙女学園血風録」が開始。女子校の教師となった主人公(男)が、甘い期待に胸を躍らせながら初登校。しかしそこは美少女はいっぱいではあるものの、主人公が妄想するような生ヌルいところではなく、美少女たちが熱き血をたぎらせて激しい戦闘を繰り広げる戦場だったのだ……ってな感じの第1話。萌えっぽいことをやりながらも、実際はアクションいっぱいの馬鹿馬鹿しいギャグというノリはいかにも小野寺浩二風味。女の子がメインということで、「妄想戦士ヤマモト」みたいなオタク色は薄めになるかな? その分アクションは多くなりそう。まずは期待して読みます。

 石黒正数「それでも町は廻っている」。今回はぼんやりした顔つきの骨董屋さんのおねいさんがアヤしい雰囲気だけど美人でなかなか。アニメ映画「時をかける少女」における芳山和子みたいな感じがちょっと。まあアレよりもだいぶすっとぼけてますが。大石まさる「水惑星年代記」。今回は趣向をちょっと変えて2本立て。お話的には1本めのナスカの地上絵と森を守るおねーさんの物語が良かったが、2本めでは久々に「りんちゃんクッキー」「りんりんDIY」のりんとかりんも登場して、こちらもなかなか。ちゃんとこの二人を描くときは、今の淡いタッチじゃなくて、以前のカッチリしたコミカルなタッチを使ってくるんですなあ。でもちゃんと今のタッチの雰囲気も残しながら描いててこれもまた良し。楽しんで描いている感じで、自分の作ったキャラに対する愛着を感じさせてくれる。

【雑誌】コミックバーズ 10月号 幻冬舎コミックス B5平 [Amzn][定期購読:出版社

 新連載、綾村切人「RED GARDEN」は、10月から始まるGONZO制作アニメの漫画版(アニメ公式サイト。アニメ版の公式サイト、漫画版の第1話を見る限りだと、5人の少女たちがニューヨークを舞台に化物たちから身を守り、あるいは戦うといった感じのアクションものになるのかな。GONZO作品は良くも悪くも味のある作品が多いので、まあアニメ版もたぶん見てみると思います。「いいGONZO」が出るか、「ダメなGONZO」が出るか。でも「ダメなGONZO」も嫌いじゃないんだよなー。スピグラとか。

 玉置勉強「東京赤ずきん」は最終回。可憐だけど残酷な赤ずきんを主人公に、ドス黒く刺激的な物語を展開。畸形な殺人めがねっ娘ヴィヴィなど印象的なキャラもいたし、面白い作品だった。単行本最終第4巻は9月22日に発売予定とのこと。読切、カワムラ★ルカンナ「思春期×猫」。飼い主である少年と、彼にだけ人間の女の子に見えるカワイイ猫のほのぼのストーリー。ライトなタッチの絵柄はまとまりが良く、天然ぶりが魅力の猫娘さんもキュートで楽しく読める作品となっている。読切も一つ、宮野将一改め宮野桃太郎「恋愛バラエティー」。重度のシスコンな弟が、大好きなお姉ちゃんを守るため、女装して女子校に通い、彼女をガードするべく奮闘するというお話。明るくカワイイ絵柄でドタバタしたお話を展開してて楽しかった。弟さんの女装姿もしっかりかわいく、サービス精神も十分。

 あと今号には、作:吉田紀子+画:山田秀樹で、映画「涙そうそう」の漫画版の序章部分が掲載されてるんだけど、これがけっこう良かった。連れ子同士で血の繋がらない仲の良い兄と妹の物語を、沖縄の地を舞台に展開といった感じ。山田秀樹の作画がスッキリ爽やかで、妹さんもこれまた人なつっこいかわいらしさを発揮している。山田秀樹は以前コミティアで「こんちきどう」というサークル名(作者HP)で出ている同人誌を買ってなかなか良いな〜と思ったんだけど、この作品も爽やかで甘い絵柄がお話の雰囲気に合っていて印象に残った。バーズはこういったコミカライズ作品の最初のほうだけを載っけて、残りは単行本で読んでねという企画をよくやるけど、これは単行本買っても良いかも……。映画版のほうには正直なところ興味はないんですが。

【雑誌】週刊少年サンデー 9/13 No.39 小学館 B5平

 「MAR」の新作「MARΩ」がスタート。といっても今回は本家・安西信行は漫画ではなく原案としてクレジットされており、漫画を描いているのは星野倖一郎。正直元の作品は途中から話を追えてなかったんだけど、今回のはどうなりますか。星野倖一郎の作画はまずまず。サンデーらしくまとまってはいると思う。満田拓也「MAJOR」。今回は清水のおねいちゃんが、落ち込む吾郎を励ますいい役どころ。なんかほっぺたが赤らんでるし、抱き締めてもらったりもしちゃったりなんかして、珍しく報われてるじゃないすか、という感じ。最近は妹キャラも出したし、女の子成分を増量中か。あ、何気に今号では新井隆広「ダレン・シャン」でも妹がうなじパワーでブイブイいわせてましたな。

 畑健二郎「ハヤテのごとく!」。ハヤテメイド服女装編はまだまだ続く。ハヤテがちゃんとかわいいし、サービス精神たっぷりでしっかり楽しい。鈴木央「ブリザードアクセル」。吹雪が六花の家に泊まることになり、そこで「カルメン」のセリフを読み合っちゃったりして恥ずかしいセリフを連発。やたらラブコメしてますなあ。

【雑誌】週刊少年マガジン 9/13 No.39 講談社 B5平

 刃森尊「格闘料理人ムサシ」。今回は出てくる料理出てくる料理スゴかったなあ……。オムレツにカレーハヤシを両のっけしたうえ、カツカレー+カツ丼を合わせた「スペシャルムサシ丼」は、見るからにでろーんとしててステキだった! 絵を見ても何がどうなってんだかさっぱり分からん。その後も、クラッシュアイスガラスープ&ゆずみそシャーベットのトリプルクールドライアイス冷やしメン、炭酸酸入りトリガラ+牛骨スープのラーメンと、強烈な料理が続く。たいへんな味がしそうでとても食欲が……。そのあとの突然の水着展開も実に頭が悪くて素晴らしい。あと「ブログ」に対する幻想もトレビアンですね。

 永吉たける「スミレ16歳!!」。今回はスミレがサッカーに挑戦。16歳になってからの展開は17歳時より少し弱いかなーと思ってたんだけど、今回はスミレの動きがダイナミックで面白かった。やはりこの作品の場合は、スミレおよびおっさんがよく動く話のほうが面白いですな。

【雑誌】フラワーズ 10月号 小学館 B5平 [Amzn][定期購読:出版社/7andyicon

 巻頭でやってるショート漫画でジョージ朝倉が初登場。連載モノでは、西炯子「放課後の国」シリーズの4回め「妄想の国語」が巻頭カラーで掲載。普段はカタブツな元生徒会長で通っている女子・川本さんだが、実はこっそりエロ小説を書いていることが、同級生女子の神村さんにバレてしまう。神村さんはおせっかいを焼いて、川本さんに後輩男子を紹介して二人をくっつけようとするが……。というわけで頭でっかちだけど恋愛初心者な女の子の恋愛ストーリーなのかなーという感じで始まるけど、メインとなるのはむしろ、女の子二人の友情のほう。ラストはきれいに締めてて、後味良くお話をまとめている。このシリーズはなかなか調子いい。ただ神村さんは、お話のキーとなるわりに、もう一つキャラが弱いかなという気もする。なんといっても本編で、名前がちゃんと出てくるシーンが最後の1コマだけだったりするし……(そのほかではかばんに書いてある文字でかろうじて名前は分かる)。いやー、こういうのってあらすじ書いてるときに名前が分からなくって気になるんですよね。

 岩本ナオ「Yesterday, Yes a day」は5話め。田舎に戻ってきた多喜二は、そこで幼なじみの小麦への想いをハッキリ意識するが、恋心はすれ違い……というのがここまでの展開。お互いの気持ちが分かってしまった二人は今後どうするのか。というわけで次が最終回です。絵柄、お話の運び方、全体の雰囲気作りなどは非常に好感度が高く、読者の期待も集めている(であろう)岩本ナオだが、連載である程度の長さのあるお話をまとめ上げる力はどうか。次回はそこらへんが問われる回になるでしょう。うまく着地させてくれると良いのですが。

 さいとうちほ「ブロンズの天使」。ついにプーシキンとダンテスの決闘が行われ、物語は終局へと向かう。まあ史実を元にしているので、プーシキンがこの後どうなるかという最終結果自体は分かってるけど、そこまでをどう持っていくかが楽しみ。次号の登場は12月号で、1号空いちゃうのがもどかしい。

【雑誌】メロディ 10月号 白泉社 B5平 [Amzn]

 よしながふみ「大奥」が面白いですねえ。ここのところ、男女逆転大奥が誕生したころの物語をずっとやってきているのだけど、今回は、男女逆転の初代「家光」と、元僧侶の有功の関係が深まっていく様子をじっくり描いている。とくに家光とさせられた女性の、心の歪み、闇の部分を描いたくだりはギュッと胸に迫ってくるものがあって読みごたえがあった。あと有功のいい男・いい女ぶりも光。異様な状況の中でしっかり一つの愛の物語を紡いでいて、感心させられるうまさ。それにしても次号は、川原泉との対談が掲載されるとは描いてあるけど、漫画は載らないのか? 雑誌が隔月になっちゃったので、1号空いちゃうとツラいんだが……。

【雑誌】阿ウン 10月号 ヒット出版社 B5平 [Amzn][定期購読:7andyicon/Fujisan

 今号は師走の翁「シャイ娘。外伝」がお休み。物語は最終版に来ているが焦らされる状態に。来月号の予告にも名前がないですなあ。ただ今月号自体は、昭嶋しゅん、祭丘ヒデユキ、宮崎摩耶、田倉まひろと、初登場組の作家が多く、フレッシュな感触の誌面となっていてけっこう面白く読めた。

 初登場組の中で、個人的に最も気になる作家は祭丘ヒデユキ。ただ今回の「みなせとはやせ」は、「レ研」とかみたいにぶっ飛んだ話ではなく、わりと普通のエロ漫画。ちんこがデカいことをみんなに指摘されてイジけていた水泳部の1年生を、上級生の女の子二人がおなぐさめするという内容。エロはわりとガッツリやっている。「レ研」みたいなのを読みたいという気持ちはあるけど、ああいうのはノッてるときでないとなかなかうまくはいかんでしょうし、そのうち機会があればって感じかな。次号予告にも名前があるので、うまく定着していってくれればうれしい。

 昭嶋しゅん「悪魔っ娘♥Trouble」は、主人公の家にカワイイ悪魔っ娘とその使い魔のちび娘が住みついちゃって、ドタバタしてるけどエッチとラブにあふれた生活が繰り広げられるという内容。悪魔っ娘、ちび娘ともにけっこうカワイイし、なめらかな触感の絵柄も心地よい。ちび娘のほうに活躍の機会を与えたい気もするので、この設定でもう1〜2話描いても良いかも。

 宮崎摩耶「−Blue−」は、なかなか授業とかがうまくできない新米女教師が学校で生徒さんたちとエロエロ関係になる……というお話。最近の宮崎摩耶は、けっこう萌え方向に絵をいじってきてるかな。だいぶ丸っこくかつムチムチ感のある絵柄になってて、こちらのほうが阿ウンには合うでしょう。エロ度もなかなか高い。吹き出しの中に手書きのあえぎ声をいっぱい入れるというあたりの手法は、井ノ本リカ子とかを参考にしてるのかな。田倉まひろ「三白眼の彼女」は、普段は無表情かつ三白眼で周囲からもあまり注目されていない女の子に、主人公少年が告白。そこから不器用な恋愛関係が始まるというお話。コミカルな絵柄はパッと見けっこう目立つし、お話のほうもほのぼのエッチで悪くない。中盤以降のラブラブな展開も微笑ましかったし、なかなか楽しく読めた。

 このほかのレギュラー組では、まず流一本「メイドINメイド」が巻頭カラー。学校でメイド部を作った女の子2人が、廃部にされまいと、顧問になってもらおうとした先生の姪を利用するが、先生とその姪がおっぱじめてしまい……というお話。ドタバタ感があってカラッと明るいお話と賑やかなキャラが見ていて楽しい作品。高岡基文「ゴコロ」。幼なじみの彼女+姉と主人公がくんずほぐれつ。いつもながら大きなおっぱいを駆使して、明るいトーンながらも密度の高いエロスを展開。この人は話作りが弱いので長編は難しいが、こういった短編だとしっかりヌケる作品をモノにしてくる。この人の描く乳およびちんこはかなり好きです。

【雑誌】エンジェル倶楽部 10月号 エンジェル出版 B5平 [Amzn][定期購読:Fujisan

 奴隷ジャッキーが描かなくなってからあまり面白くないな、というのが正直なところ。この雑誌を代表する作家であったあずき紅も見ないし。でもまあ肉弾系でベタなエロという路線は雑誌としてずっと守り続けていて、一定のニーズを満たしてはいるんでしょう。その象徴的存在が中華なると。今描いている「聖娼流転」は8話め。お話のほうはまあともかくとして、この人の作品はおやじたちのスケベ顔がすごい。鈴木ムネオみたいな感じの顔をしたジジイどもが、鼻の下を伸ばして美女をねちねち責めていく様子はとにかくベタベタで脂っこいが、これはこれで淫猥なものを描こうという確固たる意思が感じられて立派。実はけっこう好きだったりはするのです。

 巻頭カラーは平野武士「覗き魔と露出狂」後編。見られるのが好きな変態女子が、学校でさまざまな男子と関係を持ち、それを常に覗き魔の少年が見つめているという構図。もう少しフェティッシュだともっといいような気もするけど、むちむち肉感的な肉体描写とハードなファックシーンを濃い目に展開してて、実用目的の作品としては十分。あと山本よし文「若妻淫影倶楽部」は、男が「デスノート」のLとかみたいでちょっと笑う。この人は何気にけっこうパロディネタをスルッと入れてきますな。以前も「ドラネコロック」のイズミヤおやじとか、「エースをねらえ!」などのキャラを使ってたし。


8/29(火)……粕虫界

▼31日の明け方に仕事が一段落したので、日記3日分立て続け更新。あとOHP月極アンケートの8月分 「変身ヒーロー・ヒロインもの」は、31日いっぱいで締め切ります。30日分の日記アップは、このテーマ入れ替え作業のときにでもやりますかねー。といった感じで今のところ考えてるけど、まあそこらへんは状況を見て適当に。そのときのやる気しだいとなるかと思います。

【雑誌】漫画サンデー 9/12 No.34 実業之日本社 B5中

 まあいつものマンサンということで特筆事項はあんまりないです。まあ小ネタではありますが、今号では長尾朋寿「ホロ酔い酒房」で、甘酒を使った野菜の漬物の作り方ってのをやってたのが印象に残ったかな。要するに大根とかキュウリとかを切って塩もみしてちょっと置いた後、タッパーに入れて甘酒を注いで2日ほど漬け込めばいいらしい。こういうお手軽なのはいいですね。

【雑誌】快楽天 10月号 ワニマガジン B5中 [Amzn]

 鳴子ハナハルの4色カラー6ページ漫画「はだかの学校」。相変わらず塗りも線も美麗。達者かつエロい。山奥の村の学校で、転校してきた女の子がその学校で日常的に行われている乱交に参加させられちゃうというお話。転校生娘さんは乳がたいそうデカく、もうプルンプルンである。コンビニ売りなんで消しがデカいのが残念だけど、この乳と肌を見てるだけでも満足は行きます。

 ゆきやなぎ「しかって!双子姉妹3」。エロい双子姉妹およびその母親が、隣の家のお兄ちゃんにかわるがわる迫るというシリーズ。今回は双子姉妹の妹がメインのお話。わりとベタなエロ系のお話が多い最近のゆきやなぎだけど、このシリーズは明るく萌え度も高めで攻めて来ている。ハーレムラブコメ系な味もあって、けっこう楽しい。もちろんゆきやなぎらしいむっちりしたエロさも健在ではありますが。

【雑誌】COMICパピポ 10月号 フランス書院 B5中 [Amzn]

 D.P「SWEAT GIRL」。今回はいつもの「ポコといっしょ」シリーズではなくって、幼なじみの少年少女が夏休みに二人っきりになってエッチして、幼なじみから恋人同士に変わるって感じのお話。主人公少年の一つ年下のショートカット娘さんがなかなか可愛らしい。ラブラブなお話も後味がよろしくてきれいにまとまった短編となっている。相変わらず絵にキレがあってうまいですなあ。あとRIKIの4コマ漫画「ラブラブ♥ポンチ」はいつもながら驚異的に頭カラっぽで素晴らしい。1本めは主人公の女の子がお母さんに夏休みの宿題そろそろやれてていわれて「はーい」っていってるだけだし、4コマ漫画なのに縦3コマぶちぬきが2本もあるし。本当に天才的なまでにアホだと思う。それにしてもRIKIちゃん先生は、最近細々した漫画とかイラストの仕事が多いので、ちゃんと単行本出るのか心配デス。

【雑誌】キャンドール 10/12 VOL.33 実業之日本社 B5中

 いつもながらどの作品もまとまっててきちんと読める。ただその分突出して目立つ作品がないのもこれまたいつもどおり。その中で気になった作品を挙げるとすると、出縞臣「ひたむきダイエッター」あたりかな。高校時代に一度フラれた男の子に告白するために、一生懸命ダイエットした女子が、久々に会ったその男子とエッチしちゃうというお話。身体は痩せて胸はばいんばいんのままというか、むしろボリュームアップというのはなんですが、明るくかわいらしい絵柄は好感度が高い。まあ個人的には痩せる前のぽっちゃり感のある体型でエッチしてくれるほうが、作品としては好みかもしれないけれども。

 あと嶺本八美「かすむ視界のむこうのあなた」もけっこう楽しい。目が悪いんでいつも対象物を凝視してるんで人相悪くなってるけど、普通にしてればカワイイ女子のお話。彼女が自分をかわいく見せるべく、相手を凝視しない状態で告白されてデートするが、どんな相手だかちゃんと見ないまま付き合い始めた相手は実は女の子で……ってな展開。ドタバタコメディをきっちりまとめているし、ヒロイン女子の性格・行動も見てて楽しいものとなっている。

【単行本】「となりの精液さん」 上連雀三平 茜新社 A5 [Amzn]

 上連雀三平名義のエロ漫画単行本はすげー久しぶり。「アナル・ジャスティス 肉棒射精編」「飲尿女神」が2002年なので実に4年ぶり。いやー待たされましたなあ。でも待たされただけの面白さはありますよ。この単行本に収録されているのは、COMICバニラ→COMIC RINに掲載された「となりの精液さん」全7話と、「ふたなりっ娘LOVE」掲載の「肉の天使舞い降りて」全3話、「ケモノっ娘」掲載「放課後ネコミミFuck!」の全11本。

 掲載作品の中で面白いのは、やっぱりなんといっても表題作「となりの精液さん」。ご家庭でふたなりのお姉ちゃんの性欲処理係を日々こなしていた5年生の女の子・沙弥香ちゃんが、お隣に越してきた同い年の少年・悠くんに一目惚れ。悠くんも母親と毎日やりまくっており、沙弥香と悠くんがセックスするのも時間の問題……とか思っていたらそうは問屋が卸さない。その寸前までは行くものの、悠くんは母親や沙弥香の姉とやりはじめちゃうし、学校でやろうとしても悠くんがクラスの男子のちんちん係になっちゃったり、やろうとするたびにどうもじゃまが入る。それでもメゲずに沙弥香ちゃんは悠くんとのエッチを目指すのだが……ってな感じでお話は展開。

 本作品においても、上連雀三平の基本的なノリは変わらない。いけしゃあしゃあぶっとんだセックス観を披露、淫語たっぷりのセリフをまるで日常会話のように堂々と連発する。「うちのママも淫肉人妻でさ」「さ お姉ちゃんの精液を飲んだらもう寝るのよ」「セックスはいいけど 遅刻はカンベンしてほしいよね」などなど、清々しい表情で面白セリフを連発してて楽しくてしかたがない。「セックスの神様に謝りなさい!!」というお姉ちゃんのセリフも良かったな。最後のほうもそのノリのまんまでラブコメやってるし、たいへんご立派。あーあとちんちんの描写のご立派さ加減もお見事というほかない。実に隆々として、幹の反り具合、先端のきれいなカーブと、すごく楽しそうに描かれている。まあこういったノリは実際読んでみないと面白さが伝わんないと思うんで、ぜひガツンと購入したうえでドピュッと読んでいただきたいものであります。


8/28(月)……SKET鱈

【雑誌】月刊少年シリウス 10月号 講談社 B5平 [Amzn]

 田中ほさな「乱飛乱外」が表紙&巻頭カラー。ちょいと特集的なこともやってて、椎名高志、はっとりみつる、まっつー+椿あす、古賀亮一が「乱飛乱外」のヒロインかがりのイラストを描くなんてこともやっている。この中では古賀亮一がゲストなのにいつもどおりなことをやってるのが楽しい。能田達規「時間救助隊TIMER3」。主人公の少年・鉄っちゃんがタイマー3の能力を使って遊園地に来ていた同級生の女の子を助けるという内容。この同級生娘はツンツンした様子ではあるけれど、鉄っちゃんに惚れててなかなかカワイイと思う。単行本は10月に発売予定とのこと。あと今号では箱宮ケイ「箱宮ケイの幻想劇場」が、ちょっぴりウエダハジメを思い起こさせるタッチの絵柄でファンタジーテイストのショートストーリーを描いてて気になった。石川マサキ「魔法使いのたまごたち」休載の穴埋めですかね。

【雑誌】ヤングマガジン 9/11 No.39 講談社 B5中

 安達哲「バカ姉弟」。うわー、なんか弟のほうは、姉と比べてすごく冴えない感じになっちゃったなあ。ネタバレを避けるため詳しくは書きませんが、最近の展開は驚かされた。なお単行本5巻の作業に入るため、連載のほうは今後しばらくお休みになるとのこと。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 9/11 No.39 小学館 B5中

 浅野いにおの3号連続集中連載「日曜、午後、六時半」が最終回。リストラされた父親が失踪した家庭の、父、兄、妹のその後の話をそれぞれ描いていくという内容で、今回は父親編。彼が失踪先で一人の女子高生と出会い、それをきっかけに再び自分に向かい合うようになるまでを描いて締めくくり。全3回で家族それぞれの事情をきっちり描いて、後味の良い締めくくり。掌編でインパクト自体はそれほどではないながらもきっちりまとめていて作画面でも充実。浅野いにおのソツのないうまさを感じさせてくれた。仕事してますなあ。せきやてつじ「バンビ〜ノ!」。自分流のサービスをおばちゃんに示して、伴がついに認められる。これでホールでの接客業務編はだいたい一段落ってとこかな。そろそろガッツリ料理してるところが見たくなってきていた頃合いだったので、ちょうどいい案配かと思う。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 9/11 No.39 集英社 B5平

 天野明「家庭教師ヒットマンREBORN!」アニメ化の報が表紙を飾っている。この人がここまで出世するとはなあ。最近はバトル展開が多いけど、アニメはあまり性急にバトルに持ってかないでほしいもんですが。読切、篠原健太「SKET DANCE」。学校でお悩み解決なんでも屋的な部活「スケット団」をやってる3人組の活躍を描いていくという学園アクションもの。彼らがとある少年の恋愛の悩み相談に乗っているうちに、事態は意外な展開を見せて……といった感じ。途中で意外性を出そうとして、多少唐突になっているきらいはあるものの、絵はまずまずのレベルで女の子キャラもなかなかかわいく描けている。ジャンプの新人系読切としては完成度は高めなんで、まあ試しにいっぺん連載でもやってみちゃどうでしょうか。

【雑誌】ヤングキング 9/18 No.18 少年画報社 B5中

 松浦聡彦の読切「カットビビジュアル系 舞」が掲載。人気ファッションモデルをやってるおねえちゃんが、失踪した父親の代わりに土建屋の現場監督を兼業することになり、それをなんとかかんとか両立して頑張るというお話。ちょいと変わった状況だが、主人公を気立ての良いおねえちゃんに描けててちゃんと楽しんで読める作品に仕上げている。この人は本当に、連載にしろ読切にしろ、器用に作品をまとめてくる。いくぶん器用貧乏なきらいはありますが。森見明日「ラブ・ぽっ!」。アクシデントで鳴門くんと鳩子先生が接近。鳴門くんはうれしはずかしだが……ってな展開。ドキドキ感のあるラブコメシーンを描いてて華やか。コンスタントに楽しくて好き。

 あと今号には、10月19日に創刊予定の月刊ヤングキングの予告が。第1号の執筆陣は、柳内大樹(原作:俵屋宗弖一)、本井広海+本澤雄一郎、佐野タカシ、夏元雅人、塩崎雄二、ISUTOSHI、夕凪薫、小本田絵舞、橋本エイジ、こしばしげる、松本猛、犬神尚雪、楠本哲を予定。塩崎雄二「バトルクラブ」とISUTOSHI「愛気」、橋本エイジ「E.D.D」は、本誌からの移籍となる。

【雑誌】コーラス 10月号 集英社 B5平 [Amzn]

 ハチクロが終わっちゃって、その穴をもう一つ埋めきれてないかなーという印象。今号では、岩館真理子が読切「森を歩けば」を描いている。森を歩いていてバッタリ出会った少年少女がだんだん親しくなり、恋が芽生えていく様子と、それを見つめていた存在の物語。最初はほのぼの、最後はファンタジーテイストでふわりと締めくくり。まとめの部分の展開はなくてもいいかも……って感じもしなくはないけど、作品全体の雰囲気はきれいでまずまずの出来。


8/27(日)……素朴問題

▼コミティアに行ってきたけど、今回は失敗した。会場入りが予定より大幅に遅れてしまい、着いたのがイベント終了の1時間前の14時半。しかもコミティアカタログを家に忘れてきてしまうという迂闊さ加減。そんなわけでたった1時間で会場を回らなければならず、いつもの2倍くらいの早足で歩き回ったが、それでも回り終えたのは閉会ギリギリ。セカセカ歩いたので、本をじっくり眺めている余裕はなく、収穫も少なかった。たぶんいつも買ってるサークルの本もけっこう見落としちゃっていたはず。コミケ後なんで新刊はけっこうあったはずだと思うんだけど。やっぱりイベントはもっと余裕を持って行かねばなあ……といのうは毎回思うこと。次の開催は11月なんで、買い逃した本はなるべくそのときにゲットしたい。今回買った本の感想はまたいずれ。

【雑誌】アックス Vol.52 青林工藝舎 A5平 [bk1][Amzn]

 創刊以来ずっと読んでた雑誌の表紙に自分の名前があるとなんかむずがゆいなあ……。いや、今号は藤枝奈己絵の特集なんですが、そこでちょっと文章書かせていただいてるんです。まあ自分の文章はいつもどおり平板で面白くないですが、藤枝奈己絵と福満しげゆきの対談、それから藤枝奈己絵の漫画「夢色お兄ちゃん」は面白いです。「夢色お兄ちゃん」はキャラがみんなユルくて楽しい。縮尺とかテキトーで、お兄ちゃんの顔がやたらデカかったりとかするし。なお藤枝奈己絵の「変わってるから困ってる」に続く2冊めの単行本は来年発売予定だとか。来年のいつごろになるのかは書いてませんが。

 萩原利夫「蛍雪」。なんか久しぶりに見たような気が。この人の細密な線で描かれた独特の気持ち悪い作画はこの作品でも健在。睫毛がむちゃくちゃ長くて本数が多く、ギョロリとした目つきのキャラには絵も言われぬ迫力があって怖い。堀道広「青春うるはし!うるし部」。なんかお話のスケールが大きくなってきたなあ。うるしにこだわり続けたお話はすごい地平に向かっている感じ。そろそろこの作品も単行本にまとまってほしい。何気にもう15話もやってるし。あと清水おさむ「JUKU」は、外伝の「望侠」が掲載されている。清水おさむの母親が、戦争中に従軍看護婦をやってたころのお話でしょうか。やたらめったら濃い絵柄だが、一本ビッと筋が通っていて、その創作姿勢がカッコ良く、読むのに精力がいるけど痛快な読後感を残してくれる作品。

【雑誌】漫画ゴラクネクスター 10月号 日本文芸社 B5中

 あんまり特筆事項はないんですが、ラズウェル細木「ラ寿司」と神原則夫「エロせん」、本沢たつや「新宿イエス」あたりがコンスタント。「ラ寿司」は自分で寿司屋っぽいモノを作ったりしようとチャレンジしていて、失敗してもそれをありのままに描いているあたりは面白い。あと押川雲太朗のプロ野球漫画「アウトコース」は手堅く読ませるな、と思う。阪神タイガースの歴代選手の名前に心当たりのある人ならニヤッとするものはあるし。

【単行本】「そこはぼくらの問題ですから」 桂明日香 太田出版 B6 [bk1][Amzn]

 子供のころから変態にばかり好かれてしまう性質の持ち主である女子高生・若杉ヤエコちゃんが、すごく美形の青年・六朗に出会って一目惚れするも、彼の正体は真性のロリコンであると判明。そんなヤエコが六郎と同居するハメになり、二人は変態という障害はありつつも、だんだん好き合うことになっていくのでありました……というドタバタラブコメディ。

 現在「BLOOD+」を描いている桂明日香がドタバタものに挑戦した作品で、達者な絵柄と賑やかな展開でまずまず楽しめる。ただ、ヤエコの変態を引き寄せる性質が1話以降はもう一つ生きていないのと、ヤエコと六朗が好き合うようになるあたりの動機付けがちょっと弱いように思える。全般的な雰囲気は好きだし、きれいで達者な絵柄は上々でキャラもかわいげがある。出だしとラストの締めくくりもいい。それだけに中盤の押しの弱さが惜しいなーと感じた。

【単行本】「ファッションリーダー今井正太郎」3巻 西山佑太 講談社 新書判 [bk1][Amzn]

 最終巻。芸術的なまでにダサダサなファッションセンスの持ち主である少年・今井正太郎が、カッコイイ男になって好きな女の子の心をつかむべく、ファッションリーダー目指して奮闘していく学園青春ストーリー。絵柄もお話もどこか調子っぱずれなところがあって、不思議な雰囲気に満ちた作品だったが、最後のほうは意外とストレートな青春ストーリーとなっていて普通に面白かった。今井正太郎が迷走したあげく「カッコイイ」ってどういうことかに気づいていく過程はけっこうアツいし、正太郎に片想いしている幼なじみの女の子・のん坊の健気さ、かわいらしさも良かった。あと最後に初心を取り戻して、最初のころのようなスーパーダサいファッションに立ち返ってくれたのもうれしい点。「秀作」というタイプではないんだけど、妙にインパクトのある作品だった。西山佑太の醸し出す独特の雰囲気は、ちょっとほかにはあまりないタイプのモノだと思うし、なんだかすごく気になる才能ではある。週刊少年マガジンというメジャー誌の中では明らかに浮いていたけれども、なんとかまたチャンスをつかんでほしいもんだなあと思う。

【単行本】「ケンコー全裸系水泳部ウミショー」3巻 はっとりみつる 講談社 新書判 [bk1][Amzn]

 かわいい女の子いっぱいの水泳部の学園生活を、無軌道気味に楽しく描いていく作品。この巻もなんだかよく分からないながら、サービスたっぷりに賑やかに展開しててやっぱり楽しい。はっとりみつるの絵は健康的なエッチ成分を豊富に含んでて華があります。お話的にビッとした太いものがあるわけじゃないけど、とにかくガチャガチャお祭り騒ぎ的に進んでいくおめでたいノリはこの人ならでは。

【単行本】「BECK」27巻 ハロルド作石 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 「BECK」のメンツはなかなかメジャーになれず苦戦する中、エディ・リーの残した曲をめぐってさまざまな思惑が絡み合っていく。相変わらず読みやすくテンポが良くて読みやすいが、最近はあまりスカッとする演奏シーンがないので少々息苦しい雰囲気。まあためて焦らして……とやっているのではあるのだろうけど、少しそのフェーズが長くなりすぎてしまったかなあという気はしないでもない。

【単行本】「双月巫女」2巻 アキヨシカズタカ メディアファクトリー B6 [bk1][Amzn]

 未来の火星に住まう巫女少女たちの生活を、優しいタッチで描いていく物語。お話的にはただ癒し系ってわけでもなく、意外と大きめなバックボーンもあるようで先が読みにくいものの、アキヨシカズタカの暖かみのある絵柄は心地よい。あとはこれからの展開がいろいろありそうで、今のところは分からないながらもワクワクさせられるものもある。主人公のヒメ、その友人であるアキに加え、今回はヒメたちと友達になりたがっているめがねっ娘お嬢さまも登場。みなさんそれぞれかわいらしくて好ましいたたずまいをしております。


8/26(土)……フェロモンが減ろうもんなら

▼ガイーン。アフタヌーン今月号には四季賞ポータブルが付いてたのか……。コンビニで購入した本には付録が何もついてなかったんですが、誰かに持ち去られてしまったのか、それとも店員がつけ忘れたのか……。もうレシートは処分しちゃってどうにもならんので、後日ダブリ買いした後、感想追加します。

【雑誌】コミックアライブ 10月号 メディアファクトリー B5平 B5平 [Amzn][定期購読:7andyicon

 最近いくつか創刊された雑誌の中では抜けて面白いんだけど、全部読むと何気に疲れるんだよなー。薄い紙使ってるから目立たないけど、けっこうページ数多いんだよね、この雑誌。

 で、今月号では888が作画を担当する「あそびにいくヨ!」(原作:神野オキナ)の漫画版が連載開始。原作読んでないので知らないけどねこみみ生やした巨乳な宇宙人さんが、主人公のおうちに転がりこんできてドッキドキ〜という作品ですかな。なかなか絵は達者でヒロインさんもグラマラスでかわいいし、まずまずの滑り出すなんでは。もう一つの新連載、石川マサキ「私立トアール学園2年★組物語」。一見普通のようで変わり者な先生がやってきたクラスは、これまた変わり者だらけのヘンなクラスで……という感じで始まる学園ドタバタギャグ漫画。石川マサキの絵は達者でキャラも個性的なメンツが揃ってて賑やかだが、第1話は正直なところ詰め込みすぎかなーという印象。なんかガチャガチャしすぎてて、読んでて落ち着かなかった。この手のお話の場合、もう少し緩急きかせたほうが、一つひとつのネタが生きるんじゃないでしょうか。

 井ノ本リカ子「モモタノハナ」。すごく甘ったるい〜。今回は主人公少年が、お隣に住むめがねっ娘さんと図書館で鉢合わせて親しくなるというお話。おとなり娘さんの柔らかい笑顔とはにかんだ表情が実に良い感じで、ラブラブ気分満開。エロシーンがなくてもいいですねえ。まだらさい「陰からマモル!」はゆうなアイドルオーディション編がおしまい。マモルがアイドルの女の子たちを助けちゃうというくだりがあるけど、アイドルさんがわりとカワイイ。再登場があっても良いかなーとか思った。それにしてもまだらさいは、絵がイイだけでなく漫画も見るたびにうまくなってますな。國津武士「神ぷろ。」は相変わらずドタバタ。賑やかにお話を進め、最後は煩悩ネタできっちりお話を締めてるあたりなかなかうまいです。

【雑誌】少年エース 10月号 角川書店 B5平 [Amzn][定期購読:出版社

 あらゐけいいち「日常」がだいぶ定着してきた。今回はツッコミ体質のみおちゃんがクマのお面をかぶった女の子と遭遇し、そこからお話を転がす。キャラがかわいいしギャグもノリが良い。毎度楽しいので連載に昇格してほしいところ。あと天津冴「まるごと杏樹学園」と、まりお金田「セイビング・ライフ」は派手にハーレムラブコメやっててどちらもけっこう面白い。美少女いっぱいで無駄にテンションが高い。両方とも独特の味を持ってますね。

【雑誌】ガンダムエース 10月号 角川書店 B5平 [Amzn][定期購読:出版社

 安彦良和「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」。だいぶお話がファーストの第1話の近辺まで近づいてきた。その過程でマ・クベさんについても今回はしっかりと描かれている。美術品についてのうんちくから、キシリアとの接触まで。マさんのおでこの光りっぷりが眩しい。またシャアが派遣されるようになるまでのドズルとのやりとりもイイ。いよいよ1年戦争が近づいてきてるんだというワクワク感があって面白いです。

 大和田秀樹「機動戦士ガンダムさん」。最近「隊長のザクさん」がやたら面白いなあ。旧ザクのおっちゃんとビグ・ザムさんの関係が興味深かったし、新キャラのギャンさんの萌え萌えぶりといったらこれまた。下らないノリがたいへんステキです。あと徳光康之「妹ガンダム」も良かった。ORIGINのネタをさっそく生かしてくるあたりもアレだけど、エセガンダムっぽいものからお話を転がして、最終ページの大ネタまで持っていったギャグのキレはなかなかのモノ。唐沢なをきの「犬ガンダム」もあるし、最近ギャグ方面が充実してきてると思う。

【雑誌】コミックガム 10月号 ワニブックス B5平 [Amzn][定期購読:7andyicon

 高木信孝の新連載「マギーペール」がスタート。百合百合な感じの美少女いっぱい魔法学園ドタバタコメディといった感じですか。キスシーンの見せ方とかはもう少しインパクトが欲しかった気はするけど、とりあえず美少女わんさかでサービスは良い。近藤ようこ「白バラ屋敷」は前後編で非常にきれいにまとまっていた。田舎から金持ちの家に呼び出された女中の少女と、その家の奥さま、血の繋がっていない娘の関係を丁寧につむいでいる。人情味もあるし、つつましやかな雰囲気作りが趣深くて良かった。萌え系の多いこの雑誌の中では異質ではあるが、それがかえってアクセントになってて意外と合っている。

【雑誌】電撃コミックガオ! 10月号 メディアワークス/角川書店 B5平 [Amzn]

 作:有沢まみず+画:松沢まり「いぬかみっ!」の漫画版。けっこう楽しい。今回は香がしばらく留守することになって、そのかわりに啓太が薫の家にやってきて、留守番宙のいぬかみたちと過ごすというお話。それぞれのキャラがかわいいし賑やかに動いてて楽しい。啓太のいいヤツぶりも発揮されてるし。いぬかみ娘たちの中では、今回は目立たないめがねっ娘のいぐさがメインなエピソードになる模様。永井朋裕「カヲリックワールド」。普段は猫かぶってるけど実は妹に夢中でエロいことしたくてしょうがない兄貴が、爺さんに与えられた怪しい眼鏡の力を借りて、妄想の世界で妹と戯れる。妹さんがなんかやけにむちむち感があってけっこうエッチっぽい。陽気にやっててわりと楽しいんじゃないでしょうか。あと、いわさきまさかず「ケメコデラックス!」は今号も安定していいですね。この前登場した女の子・黒崎さんがカワイイ。

【雑誌】コミックフェロモン 10月号 A5平 [Amzn]

 コミック哀姫とコミックミニモンが合併して月刊のA5平とじ雑誌にリニューアル。哀姫のほうは読んでなかったのだが、哀姫から持ち越した連載がけっこうあって、そちらのほうのお話はさすがによく分からない。でもまあエロなんで、さほど違和感なく読めちゃいはしますが。雑誌全体としては、今の美少女エロ漫画水準だと全般にいくぶん野暮ったいかなーといったところ。古株も多めだし、新規読者を引き込むような決め手には欠ける。

 この中で個人的に好きな作家はやっぱりほりほねさいぞう。今回の「クリームペタペタ」は、やたら身体がデカくて頭身の高い妹と、背のちびっちゃい姉がシュークリームを身体にぶちまけながらのエロ行為に耽るというお話。ちと妹の身体つきはアンバランスな感じに見えるけど、クリームぐっちょりな様子はまずまずインパクトがある。なんかこの人が描くと、シュークリームっていうより異生物の卵でもぐちゃっと押しつぶしているような感じに見えちゃったり。

 きあい猫「半月」。普段は目立たない感じのふたなりめがねっ娘が浜辺で露出プレイに朝鮮という内容。間口広めなかわいい感じの絵柄で、やってることはけっこう過激ですな。たまちゆき「淫乱ウイルス」中編。女児が淫乱になってしまう「淫乱ウイルス」に感染した女の子と、そのボーイフレンドが山奥の小屋にこもってエッチしまくるという内容。ラブストーリーっぽさも濃厚で後編にも期待。あと巻末のほうで渡辺ヒデユキが4ページのコラム漫画「毎日がマイブーム」を描いている。哀姫でもやってたコラムだけど、まったりしてて和む。

【執筆陣】伊駒一平、きあい猫、ハッチ、風船クラブ、唄飛鳥、興津惣介、月下冴喜、たまちゆき、ほりほねさいぞう、中島大衛門、湊谷俊作、おおぬまひろし、茶倉和彦、葉月獅子丸、牧小太郎、皇命、まこちん、渡辺ヒデユキ

【雑誌】美少女的快活力 Vol.11 光彩書房 A5中

 犬「ストレンジ♥カインドオブウーマンふぉーえばー」はシリーズ最終回。媚薬を盛られて元カノとヤッてしまったところを、藤乃さんに目撃されてしまった深谷。藤乃は相変わらず何も口には出さないが、ショックを受けてその場から駆け出すが……といった感じで展開。最後はストレートにラブラブで締めくくって後味は良し。ぷにぷにしたカワイイ絵柄と、藤乃さんの独特のキャラ作りが見てて楽しく、よい感じの作品でした。なお本作はピンクパイナップル製作でアニメ化されるとか。エロ漫画で連載終了してすぐアニメ化決定ってのはちょっと珍しいパターンですな。

 巻頭カラーは定番、ゼロの者「旧わすれな・7」。兄は妹と離れて暮らすようになって1年半が経ったころ、ふいに妹が部屋に転がりこんできて、関係が再燃する……といったあたり。磁石が引き寄せ合うようにお互いを求め合う二人の様子が、切なく甘くそしてエロく描かれていて、今号も良かった。可憐でありながら吸いつくように肉感的な、妹さんのキャラが魅力的でいいです。

 上乃龍也「…っていうイメージ」。主人公の青年が、昔から大好きだった隣の家のお姉さんと大人になってからくっつくという話。年上のおねいさんものとして甘やかに仕上げている。相変わらずのつやつやした女体描写もエロっちくてグッド。とくに今回はおねいさんの包容力ありそうな優しい表情がグッド。このほかで気になるのは廣田眞胤「ステラスコープ」。浪人した男子が元クラスメートの女の子に家庭教師をやってもらっているうちにエッチに突入しちゃうというお話。へろっとした感じの線を細集めた感じの丁寧な画風が印象的で、女の子のトロけた表情もかわいらしい。


8/25(金)……木の幹ッス

【雑誌】アフタヌーン 10月号 講談社 B5平 [Amzn]

 単行本が出たばかりの植芝理一「謎の彼女X」が好調。今回は椿くんが卜部さんの家に遊びに行くが、彼女のベッドで寝転がって悶々とした気分になり、それが卜部さんにも伝染。直接的な接触はないのに匂い立つエロチシズム。甘やかで胸がキュンとくる。いや〜なんとも雰囲気の出し方がうまいですなあ。小原愼司の新連載「パノラマデリュージョン」は、霊を見ることができ彼らに干渉することができる霊能刑事少女を主人公とした冒険活劇。今回は女子高生姿ながら妙な色気を漂わす姉のリンと、無口な妹のミミ子の二人のキャラクターが軸になっていく感じ。うまいことキャラの魅力が出てくると良いですな。

 柏原麻実「宙のまにまに」は安定して楽しい。今回は朔がいなかったころの美星をよく知る新任教師がやってきて、なんかみんながもやもやした気分になる……って感じ。彼の登場で恋愛方面もまた賑やかになってくるかな。楽しみ。高橋ツトム「爆音列島」。タカシは暴走族の中で力を持ったが、日和ってるくせに現役に無理を押しつけてくるゾクの先輩連中に対して反感を持つようになる。ここのところの展開は、ゾクの人たちが「大人になったらどうするのか」という問題とも強くからんできてて面白い。この問題には以前から興味あったんですよね。あと最初はムチャやる突貫小僧だったタカシの後輩がけっこう丸くなってるのも、見ていてなんか楽しいものがある。

 また、今号には四季賞受賞作品を集めた別冊付録・四季賞ポータブルが付属。今回の収録作品の中では、四季大賞を受賞した市川春子「虫と歌」が良かった。組み立てると動き出す、不思議な虫の模型を作っている兄弟の物語。彼らの元に、かつて作ったカミキリムシをベースにして人型に作り上げた、試作品の虫が戻ってきて一緒に暮らし始めるが、その先に待っていた結末は切なく苦いものだった……。高野文子を思わせるような枯れた味のある絵柄が特徴的。お話のほうもキャラや設定が独特で、最初の数ページで引き込まれるし、途中からどんどん切なさが増していき、さらに意外性も加わってくる終盤の構成は大したもの。たいへん味わい深い作品に仕上がっており、次回作もぜひ読んでみたいと思わせるものがあった。

 芝孝次「My name is…」は、ジブリ系を思わせる優しい絵柄でファンタジーテイストなお話を展開しててなかなかきれい。金田沙織「鵬の眠る城」は九龍城を思わせる巨大な建物の中に作られた街を舞台に展開されるアクションもの。世界観が独特で魅力的だし、絵柄のほうも品が良い力作。植木勝満「呪縛」は、「カタリベ」とかを描いてたころの石川雅之を思い起こさせるタッチ。不器用だけど誠実な侍の青年と、彼の仇討ち相手だった娘、二人の恋とその結末を描いたお話。これもまた丁寧にしっかりとお話を進めており、好感の持てる作品に仕上がっていた。

 今回の四季賞ポータブルは以上の4作品収録だが、いずれも読みごたえがあって面白かった。ぜひこのうちの一人でも二人でも、本誌で頭角を現していってほしい。

【雑誌】月刊IKKI 10月号 小学館 B5平 [Amzn][定期購読:出版社/7andyicon

 新装版の単行本発売を記念した、作:竹熊健太郎+画:相原コージ「サルでも描けるまんが教室21」が掲載されてるんだけど、それに合わせて表紙にこの二人が登場。その写真がものすごいなあ……。竹熊健太郎がスクール水着、相原コージがメイド服と、尋常でない「萌え」を自ら体現してしまっている。このハジケっぷりは素晴らしい。漫画のほうも「萌え」をテーマにやってるけど、こちらも面白かった。いやー、やっぱこの二人が組んだときのパワーは凄い。最初の連載時のテンションもタイヘンなものだったし、やっぱあのときの面白さは神がかっていたと思う。「サルまん」を読んだのは学生時代だったけど、いまだに強烈な印象が脳裏に焼き付いている。久々に新作が読めて、しかもそれがちゃんと濃厚だったんでうれしかった。

 野本明照の新作読切「チナミの風景」が掲載。4話めではあるけど、この人見るのは久しぶりな印象。今回はインチキくさい手品師とひねくれ少女・チナミちゃんの触れ合いを楽しく暖かく見せている。絵柄的にも完成されてるし、きれいにまとまってるなーという印象。連載ができるくらいコンスタントにやってくれるといいんですが。大森啓「いずみのひみつ」はイキマン受賞作。平凡な女の子さくらと、彼女のコンプレックス対象であるよくできた女の子いずみ。同じ団地に住まう女の子二人の絆を描いた青春ストーリーといった感じかな。絵柄的には五十嵐大介の影響があるかなーという感じで、青春モノとしてはまずまずまとまった感じの出来。ただこの作風だとほかにも似たような感じの人がいるので、もう少し「この人ならでは」という目立つ部分が欲しい感じはする。

【雑誌】ヤングアニマル 9/8 No.17 白泉社 B5中

 作:エンターブレイン+画:東雲太郎「キミキス」が本誌連載として指導。ゲームはやってないのでそっちのほうの細かい内容はしらんのですが、要するにキーワードである「キス」を印象的に見せる甘甘のギャルゲーという感じでしょうか。まあそんなわけで学園ラブコメが展開してるんだけど、初っぱなからかなり頑張ってる。主人公の少年が、高校に入って幼なじみの姉貴分的な女の子と再び距離を縮めて……という過程を、実に甘ったる〜く描いている。東雲太郎による作画も鮮やかで、女の子たちがそれぞれかわいいうえ、恋愛気分、桃色気分がそこらじゅうに充満してる。それにしても最初にキスするのが膝というのは、唇よりかえって恥ずかしいのではなかろうか……。まあそれはともかく、もともとエロ系で活躍しているだけに色気のあるシーンもお手のものだし、すごくいいとこ持ってきましたなあ。元々メディアミックスはうまい雑誌ではあるけど、これも楽しい作品になりそう。

 甘詰留太「二代目はこすぷれーやー♥」。おもりの慎之助が怪我して心配するゆーしーお嬢さまがかわいくてイイ。あと慎之助の周りをうろちょろする大人の女性も登場。そこでお嬢さまがやきもち焼いてるのがこれまた。恋愛方面でもいい具合に動いてきました。宮野ともちか「ゆびさきミルクティー」。女装した状態のユキとして、親友の亘とつきあい続ける池田くん。どうせそのままでいられるはずもないのに、ずるずる関係を続ける様子は迷惑そのもの。亘に恋する後輩女子にとっても邪魔だし、今回は亘に怪我までさせちゃうし。池田くんの自己中ぶりに思わず笑ってしまいました。

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 9/8 No.18 小学館 B5中

 太田垣康男「MOONLIGHT MILE」。吾郎とロストマンが宇宙で再会。今は対立関係にある二人だが、宇宙で戦闘が起き、再びコンビを組むことに。お話がダイナミックに展開してて面白いし、関係の変わってしまったこの二人が再度コンビを組んでどんな活躍を見せるかというのにもワクワクさせられるものがある。相変わらず骨太でガッチリ面白い。

【雑誌】ビッグコミック 9/10 No.17 小学館 B5中

 岩重孝の新連載「単身花日」が開始。かわいい妻と娘と一緒に幸せな家庭を築いていた37歳のサラリーマンが、転勤を命じられて思い悩むが、娘の教育などを考えた末に単身赴任することを決意。彼にとって単身赴任先の熊本は少年のころ住んだことがあり、初恋の人と出会った場所でもあった……ってな感じの出だし。いかにもビッグコミックらしく、落ち着いた感じの出だし。大人ならではのドラマが展開されそうだし、誌面にもマッチしてるんじゃないでしょうか。手堅く読める作品になりそうな雰囲気。

【雑誌】週刊漫画ゴラク 9/8 No.34 日本文芸社 B5中

 遊人「エンジェル」。今回は香山リカみたいな感じの、黒ぶちメガネナースがヒロイン。女の子の名前は華山リエということでたいへん分かりやすい。絵柄もゴラクに合わせてシッカリ作ってるし、やっぱこだわりのなさ、商魂は凄いものがあるなあ。

【雑誌】コミックバンチ 9/8 No.39 新潮社 B5中

 渡辺航「こちら私立華咲探偵事務所。」。主人公のあんちゃんが、探偵所所長の華咲さんの家に寄っていくことに。意外にも女性的なところを見せる彼女の姿に、ちょいと主人公のハートが揺れ動き気味。なんかラブコメエッセンスが加わってきて良い感じに転がり出したかも。


8/24(木)……我が涎そ常ならむ

【単行本】「謎の彼女X」1巻 植芝理一 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 これはユニークで面白いっすねえ。妙にエロチック。にゅーあきば.comのレビューでも取り上げたとおり、この作品は謎多き転校生の少女・卜部美琴さんと、彼女に惚れてしまいそのよだれをなめたことから、そのよだれをときどき摂取しないと禁断症状が出るようになってしまった少年・椿くんとのラブストーリー。卜部さんはいつもはぼさぼさ髪で周りに目も見せない、奇行もめだつ女の子だけ椿くんだけに見せる顔は格別にカワイイ。そしてときにはスカートの中からはさみを取り出して、周囲のものをめったやたらに切り刻んだりと、激しい面も。その意外性のある行動に椿くんは圧倒されながらも、ふとした折りに彼女が見せる魅力にメロメロになっていってしまう。

 この作品で植芝理一は、キスやエッチといった肉体的接触はなしにエロい雰囲気を醸し出すということを非常に熱心に行っている。とくによだれがらみの描写は気合い入ってて、卜部さんがくちゅくちゅと口を動かして、よだれを指に移して近づけてくる動作だけで、なんだかムラムラくるものがある。口からよだれをたらりとこぼしている、卜部さんの表情もこれまたグッとくる。そしてそれを椿くんがぱくりと咥えるシーンも煽情的。

 そんなフェティッシュで、「イケナイこと」をしている感覚たっぷりながらも、全体としては楽しく読めるラブコメに仕上がっているのもお見事。たいへん不思議な甘〜い感覚のラブコメに仕上がっててオススメ。やっぱ植芝理一は才能あります。

【雑誌】モーニング 9/7 No.39 講談社 B5中

 井上雄彦「バガボンド」。武蔵と、ぼくの大好きな吉岡伝七郎の死合いが始まった。伝七郎さんは武骨でドズルっぽくていい。吉岡流をなんとか守ろうとする役どころも似ている。ただ残念ながらこの後はしばらくお休みで、次回は10月になるという。作:中田千樹+画:野崎ふみこ「踊るホスト」は5週連続掲載の1回め。顔が良くて踊りはうまい、でもインポな青年が、ひょんなことからホストの世界に飛び込む……というお話。女性向け漫画系の絵柄でドタバタコメディを展開しててまずまず手堅い感じ。比嘉慂「美童物語 −方言札−」は、学校で標準語しか話してはいけないという指導が行われていた戦時下の沖縄で懸命に生きた人々の物語。素朴な絵柄で一つ一つの物事を丁寧に描いており、うまくはないが芯の強い作品を描いている。比嘉慂は最近見かけないなと思っていたら、なんと3年ぶりの登場とのこと。そんなに経っておりましたか。時の流れるのは早いなあ。

【雑誌】ヤングサンデー 9/7 No.39 小学館 B5中

 北崎拓「クピドの悪戯II さくらんぼシンドローム」。主人公・阿川に難クセをつけてくる会社の先輩女子がちょっと良くなってきた。なんとかモーションをかけようとしてる様子が微笑ましい。まったくもってツンデレ女であることよ。まあ今のところまだデレデレはしてませんがね。

【雑誌】ヤングジャンプ 9/7 No.39 集英社 B5中

 藤沢とおるの新連載「仮面ティーチャー」が巻頭カラーでスタート。普段はアイドルマニアなぼんくら新任教師が、仮面をかぶって最強教師に変身して大活躍する学園ドラマ……って感じかな。藤沢とおるの教師モノということでGTOを思い出す部分は多いけれど、まあ最近ちょっとパッとしてなかったことでもあるし、昔の調子を取り戻すためにもこういうのやるのは悪くないんじゃないですかね。いつの時代もニーズのあるジャンルだし。こばやしひよこ「女子高生」。エロ男の天海くんが麻美に惚れちゃって……という展開になりそう。いやらしい話になるといいなあ。ヤラれない程度でエロ責めされてほしい。麻美ちゃんもだいぶ開発されてますからのう。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 9/7 No.39 秋田書店 B5平

 もう一つの「聖闘士星矢」ってことで、手代木史織が作画を担当する「聖闘士星矢 THE LOST CANVAS 冥王神話」が始まった。絵柄的にはなんか「舞-HiME」「舞-乙HiME」の漫画版を担当した佐藤健悦に似た感じで、かわいい感じの柔らかめな絵柄。とりあえず第1話を見た感じでは、まずまずまとまってて悪くないかなあという感じ。車田正美版とはだいぶ雰囲気が違うんだけど、これだけ違うとかえって切り離して読みやすい感じはする。本家のほうが不定期掲載とかになってしまってしおしおな状況なので、こちらは頑張っていただきたいところ。

 哲弘「椿ナイトクラブ」。今回もドタバタ賑やかで楽しい。とくに扉ページの五十六のはにかんだような表情とかいいですなあ。お話のほうもエロ小説をめぐって下らないバトルを繰り広げたりするし、茜の寝姿がやけに色っぽかったりするし。作:森高夕次+画:松島幸太朗「ショー★バン」。ショーバンくんのきかんぼうぶりが炸裂。監督にも「こんなクソバカボケ小僧見た事ねえッ!!」とかいわれてるけど、これについてはまったくもって異議なし。

【雑誌】LaLa 10月号 白泉社 B5平 [Amzn]

 時計野はり「お兄ちゃんと一緒」。うーむラブコメですのう。今回は桜・正の関係に大きな1ステップ。まあいつもどおり桜はかわいいのですが、ハズかしがりまくる正は正で見ていて面白い。しかしそれでもなお、こんなヒョロい兄ちゃんに桜はもったいないという気持ちが拭えず。


8/23(水)……超内科医

【雑誌】スーパージャンプ 9/13 No.18 集英社 B5中

 葉月京が初登場。ちょっとエッチな袋とじシリーズの一環として「うっかり♥マリ子」さんというオールカラー漫画を執筆。かわいい女の子が主役でちょっとエッチなことやって……というわけで、いかにもこの手の袋とじ漫画らしい内容。この人は一般誌のちょいエロ担当として、実に幅広く活躍してるし安定感もある。芸達者だなあとしみじみ思います。作:早川光+画:橋本孤蔵「きららの仕事」。坂巻に負けじときららも必殺の握り技を披露。いやー派手だなあ。しかしあの握り方って本当にうまいんだろうか。さすがに一度も生で見たことないんで、なんとも判断がつかない……。

【雑誌】別冊漫画ゴラク 9/27 No.549 日本文芸社 B5中

 片山誠「ノンポリ」が下らなくて好調。M男の駐禁取締員と、Sの婦警がコンビを組んで大活躍。今回はそこにものすごく腕の悪い女性歯科医がからんでドタバタ展開。なんだかキャラがイキキしてるし、ノッて描いてる感じがします。柳沢きみお「大市民日記」。山形先生がチョイ悪オヤジに文句いってるー。なんだかすごく「あんたにはいわれたくないよ」感バリバリ。あと作:荒仁+画:堀井ひろし「極板」は最終回。

【雑誌】週刊少年サンデー 9/6 No.38 小学館 B5平

 寒川一之「GOLDEN★AGE」。今回は、いつもあんまり役に立ってない&メイン二人に相手にされてないっぽいヒロイン女子がちょっとかわいいかった。あのうまいほうより、乱暴なほうに惹かれていくんじゃないかって気配がぷんぷん。それにしても俺ってキャラの名前覚えないなあ……。畑健二郎「ハヤテのごとく!」。ひな人形の呪いでハヤテが女装少年に変身!というお話。やたら似合ってて萌え萌え〜という内容であり、サービス満点といえましょう。それにしても本当に違和感がない。

【雑誌】週刊少年マガジン 9/6 No.38 講談社 B5平

 野中英次の新連載「未来町内会」が巻頭カラーで開始。2076年、すでに町内コミュニティがすっかり意味がなくなった未来を舞台に、町内会長になったお父さんが無駄に頑張ってしまうという感じのギャグ漫画。未来だ未来だっていってるわりには、ロボットもエアカーも出てこなくて、全然未来っぽくないところは野中英次らしいところ。町内会ネタでどれだけ転がしていくか……って感じもするけど、まあ別にそこらへんは適宜ぐだぐだにして、町内会そっちのけな話になっていくんじゃないですかねえ。西本英雄「もうしませんから」では、ゲストとしてアフタヌーンとかで4コマを描いているカラスヤサトシが登場。みんなで富士山に登りなおかつ続きもの。担当・漫画家入り混じったかけ合いが楽しいですな。


8/22(火)……表裏勇気

【雑誌】コミックハイ! 9月号 双葉社 B5平

 今号は新連載を5本一挙投入。袴田めら「暁色の潜伏魔女」、かがみふみを「まちまち」、ミキマキ「アリーナ!」の3本がストーリーもので、重野なおき「うちの大家族」、OYSTER「男爵校長」が4コマ。このうち個人的な注目はやはりかがみふみを。「ちまちま」では背の高い男子とちっちゃい女子のお話を描いたが、今度は女子が背が高くて男子がちっちゃいというお話。女の子のほうは好きな人より背が高いということをたいへん気にしているのだが、男の子のほうは屈託なし。「ちまちま」同様、二人ともオクテでたいへんかわいらしいラブコメが展開されていきそうな気配。かなり楽しみにしてます。

 袴田めら「暁色の潜伏魔女」は、魔法学校が舞台の魔女っ子ファンタジーコメディ。カワイイ絵柄でほのぼのしたお話をやっててまずまずの滑り出し。あと重野なおきはやっぱさすがにうまいっすね。大家族をネタにした4コマギャグを楽しく展開している。キャラもかわいらしいし、ネタや見せ方もこなれてて実に手堅い。

 私屋カヲル「こどものじかん」。冒頭でりんちゃんがお水を飲むシーンがムダにエロい。その後のラブコメ展開も楽しいですなあ。巨乳なおなご先生も相変わらず良いし。このほかでは、読切のヒロタダシ「ハッピー!ハッピー!?エンディング」が気になるところ。突然ヘンなものがすごく好きになってしまう変わり者のめがねっ娘さんが、突然お葬式に憧れちゃって、自分の葬式をやりたいと言い出し、親友女子がそれに振り回される……というドタバタコメディ。絵柄が親しみやすくてかわいくお話も賑やか。明るく楽しくまとまってて好感が持てた。

【雑誌】イブニング 9/12 No.18 講談社 B5中

 七海マンタ「榊原治療院」が連載開始。4/25 No.9(そのときの感想は4月11日の日記参照)に掲載された、イブニング新人賞福本伸行大賞受賞作が連載に昇格。外見は怪しいけど凄腕のマッサージ師のじいさんが、究極のひきこもりな少年を治療する……という第1話。普通の癒し系って感じではなく、けっこうムチャをやってて勢いはある。うまいこと弾けてくれれば……といった感じかな。

 ふくやゆか「クラシク」。音楽が赤点だった女の子が、クラシック好きのクラス委員長のおうちで、音楽家について教えてもらう……という内容の読切作品。そのクラス委員長には不思議な力があるのか、音楽をかけるとなぜかその女の子と委員長が、その曲が作られた当時に飛んでしまう。というわけでなんだか「まんがはじめて物語」とかみたいな、学習漫画っぽい感じで、クラシックの面白さを解説していってくれる作品。絵柄は軽めでわりとかわいい感じのタッチ。いくぶんコマ割りはゴチャゴチャしてて読みにくいかなあとは思うものの、こういうネタ自体は嫌いじゃないです。もう何本か読んでみたい気もする。

 もう一つ読切、岡本朋美「物怪譚」は、学校や生活の中で起きる、ちょっと不思議だけどしみじみさせられる怪異を描いていくという感じの作品。技術面ではまだ洗練されてなくて垢抜けないものの、素朴な絵柄で丁寧に描いている感じではある。No.23で再登場予定とのこと。

【雑誌】ヤングチャンピオン 9/12 No.18 秋田書店 B5中

 ホリユウスケの新連載「十五童貞漂流記」が開始。修学旅行中に15人の童貞少年が船から落ち、無人島に流れ着いて漂流生活をすることになる……という4コマ漫画。15人のちんこを命綱代わりにして洞窟から脱出したりといった感じのしょうもないギャグを展開。まあそんなわけで下ネタは多めだけど、絵はけっこうコミカルなんで、下品な感じはせず、カラッとした馬鹿馬鹿しさが味になってる。箸休めとしてちょうど良い感じの作品。読切、森山颯太「極パティ」。ワゴン車で日本中をかけめぐる、柄は悪いが腕は極上のスウィーツ職人のお話。まあまとまってはいるけど、格別目を引くような要素には欠けるかなーといったところ。

【雑誌】漫画サンデー 9/5 No.33 実業之日本社 B5中

 作:北芝健+画:片山誠「究極兵器将太郎」。外国人犯罪組織による犯罪など、ヤバめの事件ばかり手がける凄腕刑事の活躍を描くポリスアクション。主人公は普段は飄々としてるけど、事件のときは大暴れって感じで、まあこの手の作品としてはスタンダードな作り。片山誠はコメディからB級アクションまで手堅いですな。むつ利之「大家リーマン」は最終回。サラリーマンが物件を取得して大家になるまでの物語をしっかり描いてて、けっこう面白かったと思う。こんなにうまく行くかはともかく、読んでてちょっとやってみたい気持ちにはさせられたし。

 作:倉科遼+画:みね武「艶恋師」。外国人がからんできたときのこの作品の馬鹿馬鹿しさは本当に凄い。今回は菊之介が中国の奥地に趣き、中国四千年・性倫寺(しょうりんじ)秘伝の性の奥義を学んじゃうという内容。性倫寺の修行僧が「破ああー!!」とかいって男根を滝に打たせてたり、千手観音のごとき運手で女性を愛撫したり、しょうもなさが爆発。それにしても菊之介は中国語もちゃんとマスターしてるんだろうか。通訳とかいないけど……。

【雑誌】ドルフィン 10月号 司書房 B5中 [Amzn][定期購読:7andyicon/Fujisan

 RIKIが初登場。2ページで「ちんちん♥かもかも」という漫画をやっているのだが、痛快なまでに中身がなくて愉快。たった2ページだけでここまでアホっぽさを醸し出せるというのはスゴイことだと思う。くどうひさしは巻頭カラー。「ゆめとかこいとか」。ずっと一緒にいたけどなかなか距離が縮まることのなかった幼馴染み少年少女が、女の子のほうが意識したのをきっかけにくっつくというお話。まあオーソドックスな幼馴染みモノだけど、甘酸っぱいお話に仕上がってて気持ち良く読める。やっぱこの人の絵柄にはこの手の青春っぽい作品が合いますね。あわじひめじ「コスプレだった4。」。コスプレ大好きオタク男と、これまたオタクなめがねっ娘女子のラブラブストーリー。このシリーズはタイトルどおり4回めだけど、毎度微笑ましくて楽しい。キャラもかわいげがあって良い。

【雑誌】ペンギンセレブ vol.004 辰巳出版 B5中 [Amzn]

 再録雑誌。本田直樹、瀬奈陽太郎、夢咲三十郎、唯登詩樹、伊沢慎壱、西川康の過去作品をそれぞれ収録。この中で気になるのは瀬奈陽太郎「センパイ症候群」「センパイ依存症」「センパイ専用器?」かな。スケベな後輩男子がセンパイ女子にいろいろエッチなおねだりをしていって、センパイ女子もついつい流されちゃう……というドタバタHコメディシリーズ。なかなか楽しい作品なんだけど、この本に再録ってことはしばらく単行本化はないってことなんだろうか。そういえば桃姫にも2005年11月号以来描いてないし、どうしちゃったんだろう……。なおこのセンパイシリーズは、このほか「センパイ注意報」「センパイ狂想曲」「センパイ応用法」「センパイ萌葱色」の4作が桃姫に掲載されている。単行本化されると思ってたけど切り抜きしといたほうがいいのかなあ。


8/21(月)……竹光見つけたっけ

【雑誌】ヤングマガジン 9/4 No.38 講談社 B5中

 馬場康誌「空手小公子 小日向海流」。対スカンダラッキー戦は決着。ちょっと意外な幕切れだったかな。でもまあこのくらいのほうが今後の展開にもつなげやすそうではある。オジロマコト「カテキン」。サチの学校にもナナ先生に負けないくらいの巨乳子ちゃんが。このほかにもサチがちょっと良いと思ってる女子もいるし、同級生のほうもなかなかええ感じですな。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 9/4 No.38 小学館 B5中

 花沢健吾「ボーイズ・オン・ザ・ラン」。いよいよ田西が青山の会社に乗り込んで喧嘩を売るという段階に突入。その前に青山の取り巻き野郎にイッパツ。まあ青山はこんな簡単には行かないだろうけど、だいぶアツくなってきたか。というよりヒヤヒヤするという感じのほうが強いかもしれませんが。作:永福一成+画:松本大洋「竹光侍」は2話め。主人公の侍は相当な曲者のようでなかなか見てて面白い。あと構図取りがユニークなコマが多く、そこらへんを見る楽しみも。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 9/4 No.38 集英社 B5平

 ギャグ漫画読切、大江慎一郎「ホンワカ学級」。とある学校のクラスににこやかな顔つきだけどやたら暴力的な先生がやってきて、理不尽な教育をゴリ押しするというお話。作画的にはうまくないけど、シンプルで分かりやすいし、ネタ的にもまずまずかな。まあさすがに一般受け、そして連載とかを狙うとなったらもっと作画レベルは上げてかなきゃならんとは思うけど、課題がハッキリしてるので対処はしやすいかも。こういう荒削りな人をあえて使うのがジャンプ流のやり方でもあるし。

【雑誌】コミデジ+ Vol.3 モビーダ/SBCr B5平

 かなん「ギャラクシーエンジェル3rd」。なんかフォルテさんが大それた感じのことをやらかしておりますが、今後どうなっちゃうんだろう。先が気になるヒキが強めな展開。コゲどんぼ「げまげま劇場 デ・ジ・キャラット」。今回はうさだが海に行ったら、そこでばったりでじこたちと遭遇という展開。いつもながら読んでると和むなあ。今回はうさだもだいぶ活躍してるし。

【雑誌】コミック電撃大王 10月号 メディアワークス/角川書店 B5平 [Amzn]

 表紙はあずまきよひこ「よつばと!」。ふうかの着ているアロハが色彩鮮やかでええですなあ。お話のほうはよつばがおいしい牛乳を口にしたことから、なんか事件が起こりそうな感じ。この前ゲットした自転車がお話の中でまた活用されている。よつばに機動力を与えるとますますたいへんになりますなあ。新連載「トランスフォーマー キスプレ」は、作画を「週刊わたしのおにいちゃん」とかで知られる大嶋優木が担当。16ページしかないのでまだお話のほうがどうなるかは分かんないけど、キャラのほうはゆるゆる感があってさすがにかわいい。

 作:オーガスト+画:脳みそホエホエ「夜明け前より瑠璃色な」は夏祭りイベント。最近ではすっかりギャルゲーとかで定番イベントとなってる夏祭りだけど、学生時代はあんまりマトモに行ったことないなー。恋する少年少女たちはちゃんとみんな行ってるもんなんだろうか。それはまあいいとして、今回もかわいい絵柄でちゃんとラブコメしてて楽しい。単行本1巻は9月27日発売。楽しみです。

【雑誌】COMIC LO 10月号 茜新社 B5平 [Amzn]

 ぬおおお。なんか読んでたら、2007年春に大山田満月の単行本が出るというおしらせが。これはびっくりした。大山田満月といえば、ロリ系漫画家の中で屈指のホンモノ度を誇る作家で、そのクオリティの高い幼女絵は昔から驚嘆の的だった。それがデビュー以来15年めにして、ついに初単行本が出る運びとなったわけだ。美少女漫画家の中で、初単行本までこれほど長い年月がかかった人は珍しいのではないだろうか。

 まあ新しい読者の人だと分からないと思うけど、大山田満月が出てきたころは、幼女ロリ漫画はまだ立ち上がりの時期で、今みたいにお手本となるようなロリ漫画も少なかった。「ロリコン漫画」自体はあったけど美少女漫画的手法で、なおかつ実用目的というスタンスのものは確立されてなかったのだ。そのため表現レベル自体は洗練されてなかったけど、その分、作者がきちんと本物、あるいは実写の幼女を観察して表現しているんだなあということが想像できる作家さんがけっこういて、ある意味すごく濃い時代だったともいえる。その中で大山田満月の技量は飛び抜けて高かった。お腹のぷっくらした幼女体型(俗に「イカ腹」などと呼ばれた)、ぷにぷにほっぺと口のライン、短い手足の指などなどを、しっかり意識して描いている人は稀少だったし、たぶん後のロリ漫画家にもかなりの影響を与えたんではないかと思う。

 収録作品は園ジぇる、LOに掲載した作品が中心っぽいので近作が多くなる模様。できればホットミルク1995年1月号に掲載された「剣と秤」が収録されてほしいのだが、それはさすがに無理かなあ。でもまあ何はともあれ、大山田満月の単行本を出してくれるってだけでも感謝感激。まあ発売まで半年くらいはあるけどすごく楽しみ。これをきっかけに、旧作の単行本化もぜひ実現してほしい。

 ……というわけで、前置きがたいへん長くなったけど、今号の掲載作品についての感想。まず最近のこの雑誌の中ではけっこう気に入っている裏次郎の「はらませ!2」。方言まるだしの妹が、大好きなお兄ちゃんの子供が欲しくていろいろおねだりという漫画。まあ個人的には妊娠を軽々しく扱うこと自体はあんまり好きじゃないんだけど、この人の作風自体はほのぼのラブラブしたものがあってなかなか良い。あと描線のキレが良くて、妹さんの表情や方言まるだしの口調がかわいらしくてイイ。ラストのコマの妹の表情は、ちょっと國津武士みたいな感じのイタズラっ気もある。どんどん描いてってほしい。

 ねんど。「Groovy kind of love」。美少女さんがエッチなクラスメート男子に弱みを握られ、エッチしちゃうというお話。といってもあんまり鬼畜な感じではなくて、ドタバタラブコメ調。最近のねんど。はLOに合うように絵柄を調整して萌え風味を増してて安定している。この絵柄での単行本も9月15日に発売予定とのこと。木静謙二「Smoking babyish」。やっぱこの人の少女絵は広末が基本なんだなあとしみじみ思う作品。まあ実用系では熟女やばいんばいん系の作品のほうが好みではあるけど、こちらのほうもキャラの表情を気合い入れて描いている感じでなかなかです。

 鬼束直「Something in the air」。小学生カップルが学校でエッチ。相変わらずこの人の絵柄はスッキリしてて初々しい。最初はちょいと変態チックに始まりつつも、最後は甘ったるくラブラブに締めくくっていて読後感も良好。うさくん「真奈ちゃんと海ごっこ」は、中一だけど頭は小学3年生なみの彼女が、マンションの屋上でビニールプールを使って海水浴ごっこする……というお話。この人は「しあわせももりんご」でもビニールプールについて語ってたけど(こちらの第4話の冒頭)、好きなアイテムなんでしょうなあ。確かにビニールプールはムダにテンションが高いし、そこに注目するうさくんの中学生脳もハイレベルといえる。

【雑誌】華漫 Vol.10 ワニマガジン B5中

 今号では、ますだ犬「花梨お姉ちゃんの誘惑ボイン」がわりと良いかな。大きくなっても頼りない従弟が、巨乳の従姉に甘えてそのままエッチになだれ込むというお話。絵はいくぶん垢抜けないものの、ボリューム感はあるし、いとこ姉ちゃんのお人好しな性格もわりとかわいい。


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