2006年11月中旬


11/20(月)……無ギャラ奉仕

▼相変わらず更新ぺースが安定しなくて申し訳ありません……。一度サボり癖がつくとどうもいかんですな。

▼あとOHP月極アンケート2006年11月分「男装・女装・性別転換漫画」は、おかげさまでいつもよりもハイペースで票数が上がっております。もう1位はほぼ見えてきた感じではありますが、今月いっぱいは投票受け付けておりますので、何か思うところのある方、語りたいことのある方はぜひどうぞ。雑談コメントも歓迎です。

【雑誌】ヤングマガジン 12/4 No.51 講談社 B5中

 古谷実「わにとかげぎす」。ふーむ、富岡もついにヤッちゃいましたかー。人間は変わるもんですなあ。こうやって積極的になられると少々ウザいかもしれぬ。あと富岡の新しい職場の同僚、斉藤君が何かしでかしそうな雰囲気。平和そうな日常の中にスリリングな要素をスルッと滑り込ませて来るあたりはさすがにうまいです。作:木内一雅+画:コウノコウジ「アウト・ロー」。なんか最近急展開中。アツシが少年野球チームに所属するトオルの母および愛人の虐待行為を目にして、暴力行為に走り逮捕されてしまう。これでアツシがヤクザであった過去がバレちゃうかなーといった展開。まあいったんバレてしまったほうが、むしろスッキリしそうな気はしないでもないけど。とりあえずお話的に大きな曲がり道であることは確かでしょう。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 12/4 No.51 小学館 B5中

 真鍋昌平「闇金ウシジマくん」の新章が開始。今度借金で苦しむのは、30代ながら親と同居しすねをかじり続けるダメ人間の模様。35歳と「ニート」の定義からも外れる年齢で、マジメに働く気もまったくない。彼が今後どういうふうになるのかとても楽しみ。なんだか親御さんがヒドい目に遭いそうな気もしますが……。作:雁屋哲+画:花咲アキラ「美味しんぼ」。「今度は長崎の地で決戦じゃいっ!」とばかりに、雄山が勝負を申し込んでくる。山岡はホイホイ勝負を受けちゃってるけど、雄山のほうから持ちかけてくるってことはなんらかの腹づもりがあるわけで、今回は山岡の負けの線が濃厚と見る。それにしても飛沢は山岡・雄山双方にかわいがられすぎである。ところで今号には「美味しんぼ」TVドラマ化の報が掲載されている。1月からの放映で、山岡役はTOKIOの松岡昌宏だとか。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 12/4 No.51 集英社 B5平

 許斐剛「テニスの王子様」。最近の展開はますます吹っ切れてて、思わず目が吸い寄せられますな。ちょんまげカツラの選手が出てきたと思ったら今度はマスクか……。ただこれだと呼吸がしにくいだろうから長引くとツラそうな。まあそんなツッコミは野暮ってもんではありますが。叶恭弘「エムゼロ」。薬品部のツンデレ女子・観月さんが今回も登場。わりと引っ張るなあ。まあ女の子増えたほうがモテモテ感が出て華やかなんでウェルカムではあります。

【雑誌】ビッグコミックオリジナル 12/5 No.23 小学館 B5中

 石塚真一「岳」が巻頭カラー。しっかりしたお話を毎回展開しているだけあって、やはり人気も出て来ているのでしょうな。今回のお話も、山で死んだ男性とその家族のつながりを描いてて読みごたえのある出来映え。安定感、最高到達点の高さ、お話と深み、作画技術の高さなど、本当に初連載とは思えない。

【雑誌】月刊ヤングキング 1月号 少年画報社 B5中 [Amzn]

 創刊2号め。良くも悪くもヤングキング本誌と似たような雰囲気であるため、フレッシュな印象はないが、気楽かつスムーズに読んで行けはする。前号のときも書いたと思うけど、ヤングキングが月3回発行になった印象。

 今号では乾良彦、膝枕カカトが読切で登場。乾良彦「むぎわらの帽子」は、川辺で絵を描いていた少女が不思議な少年と出会い、それをきっかけに前向きになるという青春ストーリー。手描きの暖かみのある背景と、素朴な味わいのあるキャラ造形で、なかなか爽やかな雰囲気を醸し出している。アクションものとかよりはこっちのほうが、作者の持ち味がストレートに出てるかも。膝枕カカト「愛は拳じゃ伝わらない」。たぶん中村慶吾=高柳ヒデツ=左日向道照であろうと推測されている作家の新作。今回は、とある美人な女性を巡って男2人がタイマンするというドタバタコメディ。巨乳ねえちゃんがわりとかわいくて強く、サービスも豊富。この人ももう少しちょくちょく描いてくれればなあ。とか思ってたら3月号にも登場予定らしい。

 連載陣では本井広海+本澤友一郎「すてんばいみ〜!」が注目。手描きの味がある絵柄はなかなか達者。田舎に越してきた女の子と、地元の少年3人組の友情物語を元気よく展開中。女の子にツンデレさん的な資質が見え隠れしており、楽しくなりそう。

【雑誌】花とゆめ 12/5 No.24 白泉社 B5平

 高屋奈月「フルーツバスケット」がついに最終回。この作品って8年4か月もやってたんですね。自分としてはすごく熱心に追いかけてきたわけではないんですが、長期連載がめでたしめでたしでハッピー・エンドに終わったというのは良いことであるなあと思います。あと今号には最終回を記念して、作者のロングインタビューや、キャラクター人気投票の結果発表などが掲載されてます。あと今号では読切で左山明典「サンタに願う恋心」が掲載。かわいく健康的な絵柄でまずまず。

【雑誌】まんがくらぶオリジナル 1月号 竹書房 B5中 [Amzn]

 神奈川のりこ「白鳥課長のステキな生活」、小池恵子「ななこまっしぐら!」、荻野眞弓「ドクタープリンセス」の3作が最終回。松山花子「ショーコさん主婦巡業中!」の3作が最首回。小池恵子と神奈川のりこは次号からさっそく新連載開始とのこと。あと今号の巻末では三ツ森あきらがゲスト登場で「パグるときパグれば」という、ペットのパグを溺愛している女の子のお話を描いている。パグは愛敬あって好きです。


11/19(日)……ヨルムンGUN道

【単行本】「ヨルムンガンド」1巻 高橋慶太郎 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 なかなかカッチョいい一作。ヒロインであるココ・ヘクマティアルは、あらゆる武器を取り扱う女性武器商人。その元に、武器を憎みつつ、それを誰よりもうまく使いこなす少年兵・ヨナが転がり込み、ココのチームの一因として活躍していく。というわけで戦争や紛争など、武器を取り扱う物騒な局面で、息詰まるやり取りと派手なアクションが繰り広げられていく物語。高橋慶太郎といえば、以前アフタヌーン系で「Ordinary±」を連載していた作家で、そのころからシャープな絵柄には定評があったが、本作ではさらにキレが増した感じ。ツリ目で妖艶な雰囲気を漂わせているけど、愛敬もあるココのキャラが魅力的だし、ヨナ少年もけっこうかわいらしい。あとココのチームの個性的なメンツも見てて楽しい。戦闘やアクション自体はハードだけど、そこかしこに差し挟まれる茶目っ気やユーモアが、いい感じの潤滑油となっている。まずはいい感じで滑り出しているといえるのでは。先行きも楽しみ。

【単行本】「皇国の守護者」4巻 作:佐藤大輔+画:伊藤悠 集英社 B6 [bk1][Amzn]

 北領での戦いはいよいよ大詰め。味方たちが脱出する最後の時間を稼ぐため、新城はただでさえ人数の少なくなった部隊を二つに分散し、最後の悪あがきを試みる。どんな窮地にあろうとも、怯えが心を蝕もうとも、現状をシビアに分析し、冷徹かつ情熱的でもある判断を下す新城の姿はゾクゾクするカッコ良さ。あと彼をサポートするその他の将校たちも、歴戦を重ねて実にいい男に仕上がっている。戦闘の模様もいい。迫力があるだけでなく情勢をしっかり分かりやすく描いているので、ヒリヒリするような緊迫感が伝わってくる。キャラの表情をはじめとした作画も非常に達者だし、相変わらず申し分なく面白い。個人的には今読んでる全漫画の中でも、屈指の面白さを誇る作品だと思っております。

【単行本】「密林少年 −Jungle Boy−」1巻 深谷陽 集英社 B6 [bk1][Amzn]

 これはなかなか読みごたえのある作品。ポル・ポト政権下のカンボジアにおいて、戦争をするために育てられた少年兵・アキラの生き様を描いた物語。現在カンボジアで地雷除去の仕事に充実している、実在の人物、アキ・ラーの体験を元にしたお話なのだが、カンボジアの密林をずっと出ることなく、どちらが正しいとも分からない戦争の中でずっと生きていかなければならなかった少年の物語はかなり凄絶。満足な食事もさせてもらえず、あるときは大人の兵隊の代わりに地雷原を先導する役割を強要される。もちろん普通の子供のように遊ぶこともできない。敵を殺すために地雷を仕掛け、いつ敵兵が襲ってくるかも分からない緊張感の中で夜を過ごす。そんな現実の重さ、人間の命の軽さに圧倒される。深谷陽はアジアものを得意とする作家だが、その中でもこれはかなりハードでヘヴィーな作品。「戦争を知らない子供たち」とは真逆の「戦争しか知らない子供たち」の物語。ドスンと響く読みごたえのある力作です。

【単行本】「REAL」6巻 井上雄彦 集英社 B6 [bk1][Amzn]

 この巻は、半身不随となった高橋と、長く彼と別居していた高橋父のエピソードが中心。別居期間中にすっかりひねくれてしまっていた高橋だが、父との想い出は彼の中でなお大事なものとして残っており、遅ればせながら少しずつ親子の関係が始まっていく。その過程がこの巻ではしっかり描かれており、父に対してなかなか心を開けないでいた高橋の気持ちがこぼれ出していくシーンはグッと泣かせるものがある。一方戸川らを中心としたタイガースはじょじょに強くなってきてるし、野宮も少しずつではあるが前に向かっている。若者たちの前に向かっていく姿が眩しく映る巻だった。

【単行本】「スティール・ボール・ラン」10巻 荒木飛呂彦 集英社 新書判 [bk1][Amzn]

 そろそろ情勢がゴチャゴチャしてきたし、スタンドの能力もバリエーションが増えてきているので多少読みづらくなってきはいますが、相変わらず荒木イズムあふれるハッタリの利いた作風は健在。ただジョニイ君は、ジョジョシリーズの主人公としては若干キャラが弱いかなあという気はしないでもない。

【単行本】「BECK」28巻 ハロルド作石 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 アヴァロン・フェスに向けて、じょじょにヒートアップしてきた。エディ・リーの遺した最後の曲をめぐり、コユキとレオン・サイクスがやりとりする一方、千葉のほうもヒップホップ方面で地位を築きつつあり。ここのところ、BECKに生じた亀裂、思うように任せない音楽活動、レオン・サイクスの暗躍など、ずっと息苦しい展開が続いてきたが、そろそろすべての伏線が一つの地点に集約されつつある。肝心の演奏シーンは30巻めくらいですかねえ。まだ先は長いとは思うけど、最高到達点の高い作品なんで、楽しみにして待ちます。

【単行本】「スマッシュ!」1巻 咲香里 講談社 新書判 [bk1][Amzn]

 「やまとの羽根」で、自身のバドミントン大好きぶりを世に知らしめた咲香里によるバド漫画の新作。口はきけないけどものすごくバドミントンが上手な女の子に出会った主人公の少年・翔太が、その出会いをきっかけに、どんどん奥深いバドミントンの世界に魅了されていくという物語。健全なスポ根漫画を爽やかで瑞々しい絵柄で描き、なおかつラブコメもからめてくるという構成は、ソツなく整っている。実際に読んでみてもきっちり楽しめる内容に仕上がっているし、作者がバドミントンをすごく好きなんだな〜ということが伝わってくる。ただ難をいえば、週刊少年マガジン連載作品にしてはちょっと大人しいというか、型破りな部分がない。主人公の翔太にしても天然で、無色透明すぎる感じがするし。よく出来てはいるのだけどもう一つ押しが弱い。作者の思い入れはすごくよく分かるだけに、そこはちと惜しいところではあります。

【単行本】「幸福喫茶3丁目」5巻 松月滉 白泉社 新書判 [bk1][Amzn]

 喫茶店ボヌールでバイト中の潤の笑顔パワーがこの巻も炸裂。進藤、安倍川草と、次々にその魅力に心とろかされ、どんどんメロメロ度がアップしている。二人とも潤を見て何かあるたびに真っ赤になっている様子が微笑ましい。潤の天真爛漫で健康的なかわいさと、イケメン衆の恥じらいっぷり、どちらもいい感じで楽しめます。あと雰囲気が明るくほのぼのしている点も心癒されるものがあってグッドです。

【単行本】「妄獣」 天竺浪人 コアマガジン A5 [Amzn]

 ここのところギャグっぽい作品も多かった天竺浪人だけど、今回の表題作「妄獣」はドロドロしたダークなエロスを展開。ヒロインは、容姿端麗で非の打ち所のない美人お嬢さま。彼女は陰では恋人の青年とドロドロの愛欲の日々を送る淫乱女だったのだが、放置SMプレイをしていた最中の彼女のところに、彼女のストーカーである変態男が侵入。ありとあらゆる変態プレイを彼女に教養し、お嬢さまは徹底的に汚されていく。そしてその中でお嬢さまは精神的に屈服し、責めを積極的に受け入れていくようになるのだが……。途中のプレイがどんどんハードになっていく様子はかなりエロいし、かつストーカー男の妄念の奥深さもなかなかの見もの。そしてラストの展開も一ひねりあり、美しい者を汚そうとするどす黒い情念を強く感じさせるものとなっている。ページ数も120ページ超あり、なかなか読みごたえのある一作。

 また「爆弾少年」「立ち枯れの花」はギャグ風味もある作品。この2作では「爆弾少年」が好き。心の中のストレスが、本物の「爆弾」として顕在化する世界を舞台にしたお話。この世界ではストレスをため込まないために、どこでもかしこでもセックスをすることが奨励されているのだが、主人公の少年だけは断固セックスをしない。それが原因で人にも馬鹿にされ、爆弾はどんどん大きくなっていく。ほかのメンツが呼吸するかのように当たり前にセックスをやっている状況がシュールだし、なかなか面白いブラックジョーク作品に仕上がっている。


11/17(金)11/18(土)……ツヴァイですばい

【雑誌】アワーズプラス 増刊1月号 少年画報社 B5平

 メンツは悪くないし楽しめる雑誌ではあるのだけど、もう一つ柱と呼べる作品が確立できてないかな……。そのため押し出しが弱く、いま一つインパクトに欠ける誌面になってしまっている印象がある。

 スエカネクミコ「成城紅茶館の事情」がなかなかいい調子。紅茶を飲むと女の子(巨乳)に変身してしまう主人公だけでなく、その他の面々も変態さん揃いでたいへん賑やか。今回の展開はとりわけゴッチャゴチャ騒がしくて楽しかったです。犬上すくね「恋愛ディストーション」は、まほ先生の双子の姉・なほをめぐって、なんだか重い話になってきた。この事件がまほ先生と江戸川くんの関係にも影響を与えるのか。続きが気になるところ。

 きづきあきら+サトウナンキ「いちごの学校」は2話め。教え子を妊娠させたことで学校を辞めさせられた教師と、その女生徒が結婚し、二人の子供を育てていくというお話。何かと風当たりの強い二人の元に、若奥様の親友が訪れて……という内容。友情だけでは終わらない、複雑な気持ちを描いたお話は、苦みと甘さが共存していてなかなかグッとくる。このコンビらしく、楽しい子育て漫画というだけにはしそうにない感じですね。

 二宮ひかる「おもいで」は最終回。かつて恋した少年・亮への想いを残したまま、ヒロイン・里緒は大人になりそして……という展開。ラストはしっとりとした情感たっぷりに締めくくり。アワーズプラスの場合は発行間隔が長く、最新回を読むときには前のお話の印象が薄まっちゃいがちなんで、この作品はぜひ単行本でまとめて読みたいところ。あと水上悟志「ぴよぴよ」も最終回。こちらは最後までのほほんと楽しく。

【雑誌】COMICリュウ 1月号 Vol.3 徳間書店 B5中 [Amzn]

 うーん、3号めだが雑誌全体の方向性がいまいち見えてこないかな……。思ったよりもトンガってはいないし、かといってお話でグイグイ引っ張るって感じの、一般青年誌っぽい作品もまだ出てきてないし。楽しみにしているのは作:梶尾真治+画:鶴田謙二「おもいでエマノン」、作:大塚英志「三つ目の夢二」、アサミ・マート「木造迷宮」あたりで、ここらへんはいつも絵が美しくて良い。ただしいずれもページ数が少なめなんですよね。こちらもアワーズプラス同様、何か一つ柱が欲しい。

 あと今号には「009-1」の漫画版が掲載。原作は石ノ森章太郎で、作画は松尾マアタが担当している。今回が前編なので、サクッと前後編で終わる感じかな。石ノ森版、アニメ版とは違った、ちょっと硬質なタイプの絵柄。どっちかというとアニメ版みたいな艶っぽい絵のほうが個人的には好みではありますが。

【雑誌】ウルトラジャンプ 12月号 集英社 B5平 [Amzn][定期購読:出版社

 作:佐藤大輔+画:伊藤悠「皇国の守護者」が表紙。お話のほうも北領での戦闘が完全に終結。ここまでは新城の部隊の話を中心に描かれていたが、今回は分離して奮戦を続けていた本隊の面々の末路が描かれる。その激烈な戦闘の模様、そしてその報を受け取った新城の毅然とした態度。ともに格好良かった。最終ページでは新たなキャラが登場してるけど、今後はどう展開してくんだろう? 引き続きとても楽しみなところです。

 「かしまし 〜ガール・ミーツ・ガール〜」の漫画を手がけている桂遊生丸が読切で登場。「Ark」前編。幻想楽団Sound Horizonの楽曲「Ark」を漫画化するというコンセプトらしい。原曲は知らないのだけど。お話のほうは恋い慕う兄に拒絶された女の子が、それでも想いを募らせ続け、平静を失っていく様子がまず描かれる。妹さんが兄に向けて狂的なまでの愛情をぶつけていく様子が痛々しい。後編でどう着地させるか。いずれにせよ切ない話になりそう。桂遊生丸の絵柄が暖かくて、少女も可憐に描かれているだけに、痛々しさが際立ちます。

 濱元隆輔「シーサーさん」は再登場16ページ。このままレギュラー化しそうですな。相変わらず濱元隆輔の絵柄はかわいいですなあ。眼の縁などの輪郭線を二重にする描線が独特。

【雑誌】月刊サンデーGX 12月号 小学館 B5平 [Amzn][定期購読:出版社/7andyicon

 犬上すくね「ラバーズ7」は、ラブコメ戦線がだいぶ盛り上がってまいりましたなあ。店長がなつきゲットに向けて本腰を入れ始めたし、ひろみは卓球部の部活に参加して、岩永さんが接近中だし。まあ店長さんが報われることは、なさそうな気もしますが。高橋慶太郎「ヨルムンガンド」はけっこういい調子。武器商人女ココの、眼の釣り上がった狡猾そうな表情がいい感じ。まるで九尾のキツネみたいな印象。アクションも派手で見ごたえあるし。

【雑誌】チャンピオンRED 1月号 秋田書店 B5平 [Amzn]

 作:矢立肇+画:阿倍野ちゃこ「舞-乙HiME Zwei」は2話め。まずまずかな。アニメ版の続きエピソードで、マシロやアリカといった各キャラはこの作品なりにカワイイ。OVAの「舞-乙HiME Zwei」[Amzn]は第1巻が11月24日発売だが、買ってまで見るかどうかはちと悩むとこですのう。山口貴由「シグルイ」。藤木vs.伊良子の激闘が続く。序盤は藤木が押し気味だが、ちょっとした躊躇から伊良子が逆襲の気配。今回も力感たっぷりに濃厚な戦いを展開してて読みごたえ十分。この先もますます楽しみ。あと今号には祭丘ヒデユキの読切「シャングラット神紀」の2話めが掲載している。祭丘ヒデユキにしてはまっとうなファンタジーバトルアクションもの。

【雑誌】ヤングガンガン 12/1 No.23 スクウェア・エニックス B5中

 勇人「はなまる幼稚園」が2話掲載。今回もかわいいなー。ぱんつもこもこの幼稚園児が、無邪気に動き回っている様子が見ていてとても楽しい。大高忍「すもももももも 〜地上最強のヨメ〜」は久々にラブコメモード全開という感じ。いろは、委員長ともに犬塚への気持ちを確認。それぞれの萌えポイントを押し出していて、華やかな回でござった。やっぱりこの作品は、こういう日常展開のときのほうが好きですなあ。まあいずれまたバトル展開になるんでしょうけれども。

 作:いとうせいこう+画:浅田寅ヲの新連載「ウルトラバロック・デプログラマー」。洗脳を外す特殊な技術を持つ「解体屋」(デプログラマー)の男を主人公とした物語。まだどんなお話になっていくかは分からないけど、とりあえず浅田寅ヲの作風とストーリーはマッチしてるかな。金田一蓮十郎「ニコイチ」は安定して面白い。菜摘と、素の状態(男バージョン)の須田が話し合うという回。菜摘と話すたびに、カミングアウトのきっかけを失って泥沼状況になっていく様子が毎度楽しいです。

【雑誌】週刊漫画ゴラク 12/1 No.46 日本文芸社 B5中

 土山しげる「喰いしん坊!」。高丘桃子が羊羹食いのための秘策を使ってきたー。でも今回のはやっぱり邪道感はあまりなかったな。そういえば血糖値が急に上がりすぎると苦しいって話だけど、普通にダイエットとかしてても、血糖値上がると眠くなるんですよね。アレのヒドい状態か。なるほどそれは確かにキツそう。高橋よしひろ「銀牙伝説WEED」は単行本1500万部突破とのおと。大したもんですなあ。

【雑誌】コミックバンチ 12/1 No.51 新潮社 B5中

 作:いしぜきひでゆき+画:藤栄道彦「コンシェルジュ」。クインシーホテルに、かつて一世を風靡したが現在は職を失った元アクション俳優が、警備員として勤めるようになる。現在の境遇を甘んじて受け入れている彼だが、客に頭は下げるが媚びたり卑しくなったりしない最上に興味を持つようになる。なかなか渋みのあるおじさんだし、貴梨花とのやりとりも面白いものがあった。いるとけっこう便利そうなキャラだし、レギュラーに定着するかな?

【雑誌】コミックメガストア 1月号 コアマガジン B5平 [Amzn][定期購読:7andyicon/Fujisan

 月野定規は今回連載のほうはお休みで、読切「1度だけ…♥」が掲載。主人公の少年が、前から憧れていた近所のお姉さんに頼み込んで、筆下ろしさせてもらうというお話。最初のほうは彼をリードしようと思っていたお姉さんだが、少年の加減を知らないセックス、かわいい外見とは裏腹に長大な肉棒によってイキ狂わされていく。相変わらず月野定規の描くエロシーンは派手で、絶頂シーンのテンションも高い。メロメロになるまでやりまくる様子はたいへんエロっちいです。

 天太郎「レクリエーション」。巨乳女教師さんがエレベーターの中で、男子生徒とやっちゃうという漫画。実にたっぷりと重量感のある巨乳がぶるんぶるん揺れている様子は見応え十分。デカすぎるくらいにデカいが、個人的にはエロく感じる範囲内ギリギリに収まっている感じ。みつや「ゴーイング★まゆき」もぷりんぷりんした巨乳っぷりがいいっすね。あとふたなりねーちゃんのちんこもかなりデッカくて、全体にボリューム感がある。

 葉雨たにし「長野さんの???」は、図書室で、図書委員のめがねっ娘さんと彼女に恋する少年がエッチしちゃうという内容。葉雨たにしは淡い絵柄でたいへん甘ずっぱいお話を描く人だが、最近はエロさも強化されてきた。今回の長野さんも、性的な知識があんまりなくてたいへん初々しいかわいさで、エロシーンも充実。なかなかええ案配です。小林王桂「ユルユルキツキツ」。ちょっと頭ユルめで無邪気な女の子に、彼女の片想い相手の男子がいたずら。体ちっちゃめで天然系なヒロインさんがなかなかに愛らしい。かわいげがあって読後感の良い作品でした。

【雑誌】少女天国 1月号 ヒット出版社 A5中 [Amzn]

 ゴージャス宝田のゲスト読切が掲載されていたので購入。タイトルは「スイッチ。」東京で一人暮らしをしている兄の部屋に、実家からから妹が押しかけてきて……というお話。兄が実家を離れた理由は、ずっと一緒にいると愛しい妹に手を出してしまいそうだったからなのだが、妹のほうも兄が大好きで、二人っきりの空間で戯れるうちに二人のスイッチが入ってしまう。どうしようもなく相手のことが好きすぎる二人の様子を、ラブラブに描いていて実に甘美。ラストシーンで、親と電話中の兄の体に一生懸命キスを浴びせる妹さんの姿とかも甘ったるさ爆発。いや〜、ゴージャス宝田の描くラブラブ漫画は素晴らしいですね。

 このほかの作品では、きりりん「まひるのお気に入り」が好みだった。お風呂に入るといつもオナっちゃう女の子が、弟くんとお風呂に入ってそのままエッチ。絵柄が明るくかわいらしい点が良いです。お話のほうも屈託がなく微笑ましい。まあ姉弟でやってて屈託がないってのも考えてみりゃ困った話ではありますがね。


11/16(木)……犬神は見ぬがいい

【雑誌】モーニング 11/30 No.51 講談社 B5中

 弘兼憲史「専務島耕作」。アメリカ編がスタートしたと思ったら、さっそく昔の女とヤッてるぜ島耕作。それはともかくとしてNyaccoが再登場するらしいと聞いてもうワクワクしてきましたよ! あの宇多田さんを模したかと思われるこっぱずかしい歌姫Nyaccoですよ。どうせなら頭に東京タワー載っけた人も再登場しないかな。作:大原利雄+画:立澤克美「風呂人」。前回を読んだときに「入浴の気持ち良さを描いてないのが難」みたいなことを書いたけど、作者のほうもそれは重々意識していたようで。でもそれに大して出した答えが、この作品らしいというか。これからもワイルドな野湯を追求していくらしい。「温泉は人がいて初めて温泉となる」「オレが入らなければただの水たまり」。なかなか男らしい心意気。どこまでそれを貫けるか、ちょっと楽しみになってきた。

【雑誌】ヤングサンデー 11/30 No.51 小学館 B5中

 小田原ドラゴン「小田原ドラゴンくえすと!」。今回は出版業界にいる伝説の童貞男に取材するという内容でけっこう面白かった。いかにもムサい人って感じではなく、けっこうファッショナブル。でも童貞。いろんなことに全然こだわってなさげな淡白さが、童貞のままだった理由であろう、という感じ。サバサバしたスタンスが男を感じさせる、面白いレポートでございました。あと北崎拓「さくらんぼシンドローム クピドの悪戯II」は堅調です。主人公・阿川が女上司さんとラブラブ。女上司さんのかわいい表情がいろいろ見えてきてなかなか微笑ましい。とはいえれなのほうも再登場の気配。まあ登場しないわけがないとは思ってましたが。

【雑誌】ヤングジャンプ 11/30 No.51 集英社 B5中

 井上雄彦「REAL」の最新巻が出るのに合わせ、表紙&巻頭カラーも「REAL」。また今号の表紙は、いつものような光沢感のあるツルツルしたコート紙ではなくて、ちょっと高級感のあるツヤ消しな紙を用いてきた。これけっこう金かかると思うんだけどどうなんでしょうか。で、「REAL」本編のほうでは戸川属する車椅子バスケチーム・ドリームスに、はねっかえりな新人が加入する運びに。最初はツッパってた彼だが、戸川らのプレーを見て触発され、変わっていこうとする。今回もとてもカッコよく展開してて読ませますな。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 11/30 No.51 秋田書店 B5平

 高橋葉介が新連載……と思ったら、今回は原作担当で、作画は近藤豪志が担当。タイトルは「私は加護女」で、加護女(かごめ)と呼ばれる不思議な能力の持ち主が、さまざまなおうちでこの世ならぬ者たちから家人を守るといったお話になりそう。ホラー調のことをやりつつも、ラストはいっぷう変わったアプローチで、明るい希望を残してまとめてくるヒネリっぷりはやはり高橋葉介という感じ。あの絵で読めないのはちと残念ではあるけれども、近藤豪志の画風もまずまず雰囲気はあるんでいいかな。

 西条真二「鉄鍋のジャン!R 頂上作戦」は2回め。相変わらず秋山はムチャな料理を作りますなあ。審査員たちを血まみれにしといて、なんだかんだで雄弁を振るって価値をもぎ取っていってしまう様子はいかにもこの作品らしい。水島新司「ドカベンスーパースターズ編」。こんな時期に、恥ずかしげもなくイナバウアーをネタにできるのは水島先生だけ! 流行語大賞とかの季節になったのでふと思い出しちゃったんでしょうか。

【雑誌】COMIC RIN Vol.24 茜新社 B5平

 巻田佳春「素敵な休日 新婚さん(未満)編」。15歳ということでまだ籍は入れてない若奥様と、そのだんなさんのラブラブ生活を描いたお話。華やかでかわいらしい絵柄で、甘〜い日常を展開してて楽しく読める作品。女の子のほうの、しっかり者のようでちょいといじるとへにょへにょしてしまう表情もいい。猫玄「退屈な時間の過ごし方」。相変わらず手堅いですのう。知り合いから預けられた男の子の子守を任された女の子が、寝たふりをして、彼がエッチなことをしだすのを誘う……という内容。少年がもだえる様子がなかなかかわいらしいし、ラストも甘ったるく締めくくっていて読後感上々。さすがにまとめ方がうまい。

 邪武丸「特製♥おにいちゃんアロマ」は兄妹モノ。妹が兄のニオイに興奮する、変態フェチ娘であるという設定で、ノリの良い作品を展開している。くだらなくて楽しい。絵柄のほうもつやつや感があるし、元気が良く好印象。ひねもすのたり「ジェミニ」。。性的な感覚を共有する双子の少年少女が、エッチして快感をお互いに増幅しあうというお話。ときどき見かけるタイプのネタだが、ひねもすのたりの柔らかい絵柄は相変わらず暖かみがあって雰囲気良好。

 あと上連雀三平の連載「わたしを有明へつれてって!」は2回め。伝説的な同人作家であるおねえさん(ちんこが生えている)と、小学生女子・ひかりちゃんのラブラブカップルの愛欲生活に、ひかりちゃんのおともだちである朋子ちゃんも参加〜。ガチのレズだった朋子ちゃんは、最初はおねえさまに敵意を燃やしていたものの、肉棒でがっつんがっつんされているうちにだいぶなじんできて、一緒にハメ狂うようになってしまう。まだ上連雀三平にしては大人しめなほうだけど、下品なセリフを明るい顔で連発するあのノリは、やはり見てて妙にスカッとするものがあります。

【単行本】「ひみつの犬神コココちゃん」 掘骨砕三 茜新社 A5 [Amzn]

 表紙からしてキテるなあ……。どういう絵柄かと申しますと、女の子二人が座っていて、片方の女の子は制服をはだけた半裸。その上を巨大なめくじがはいずっているという絵柄でございます。こんな表紙だけに内容もいかにも掘骨チックなものとなっている。

 ヒロインである犬里咲子ちゃんのクラスメイトのコココちゃんは、魔法使いを自称する女の子。実際に彼女は魔法の力を持っていて、不思議な虫をもぐもぐ食べるとおまんこから魔法の卵を生む。その卵の力を使った女の子たちが、虫と融合してエッチなことをする。その虫たちというのが、なめくじだったりくもだったり団子虫だったり。そのほかではハエとか、虫以外にもこうもりとかかえるとか。しかもちゃんと元の生物の質感は残したままで合体してるんで、その手のネタに弱い人はたぶんまったく受けつけない。でも掘骨砕三の絵自体はたいへんかわいく、虫と合体した少女らが愛情たっぷりに睦み合う、独自の甘いグロキュートなエロ世界が構築されている。

 今回は続きモノということもあって、咲子ちゃんとなめくじ少女となったその親友のこよりちゃんのラブラブぶりもしっかり描けているし、そのほかのキャラのエピソードも、ビジュアル面はもちろんお話としても楽しめる。女の子と異生物の融合具合、配分比率についても掘骨砕三ならでは。このデザインセンスはすっばらしいよねえ。耐性のある人にしかオススメはしないけど、好きな人ならたまらない。やっぱこの人はスッゲえなあと思います。


11/15(水)……八回死んだ破戒神

【雑誌】近代麻雀 12/15 竹書房 B5中

 作:朽葉狂介+画:木村シュウジの「覇王」コンビが復活。新連載「博打破戒神DARUMA」。その強烈なバイタリティでもって釜ヶ崎の町をしきっている博徒、達磨の一代記ってな感じ。達磨は極悪な人相と巨躯、そして凄みのあるオーラを持ったぶっとい男で、怖いけれどもなんだか憎めないというタイプのキャラ。彼を狙って凄腕の刺客(もちろん麻雀打ち)が次々と送り込まれて来るっていう話になりそう。まあ刺客さんもわざわざ麻雀で勝負しなくてもよさそうなもんだが、そういうツッコミが野暮であることもまた確か。まあとりあえず、ぶっ飛んだ味の濃い作品になってくれればと思います。

【雑誌】ビジネスジャンプ 12/1 No.24 集英社 B5中

 深谷陽「密林少年 −JungleBoy−」。単行本1巻が17日発売だけど、この作品はなかなかどっしり読みごたえがあって面白い。ポル・ポト政権末期のカンボジアを舞台に、少年兵アキラの戦いを描いていくという内容は、密林での泥沼の戦闘模様の厳しさをヒシヒシと伝えてくれる。お話のほうはそろそろ戦争が終わるかな、といった感じになってきたけど、今回の最終ページのくだりも悲惨なシーンではないのに言葉を失わせるようなものがある。やはり深谷陽は力ありますね。

【雑誌】週刊少年サンデー 11/29 No.50 小学館 B5平

 井上和郎「あいこら」が巻中カラー。ハチベエが天幕さんの気持ちを確かめたいと思って温泉旅行を企画。ほかのメンツは誘わなきゃいいのに……って感じではあるけど、ラブコメ展開は目に楽しい。ただここのところの展開で、ほかの女の子たちがすっかり雑魚になってしまった感があるなあ……。さすがにこのままほったらかすわけにもいかないだろうけど、どういうふうに持っていくのか気になるところ。

 万乗大智「武心」。熱血柔道漫画から、いきなりお姫様を守るエージェント漫画へと大転換を遂げた本作。今回もまた凄い急展開だなあ……。この超強引なてこ入れっぷりはさすが万乗大智って感じですよ。あとはやはり主人公とお姫様でヌレスケだのパンチラだのですな。作:浜中明+画:中道裕大「ハルノクニ」は最終回。絵的にはスッキリしてわりと好みだったが、お話のほうは最後までもう一つピンと来なかったかなあ……。まとめて読めばあるいは違った印象になるのかもしれないけど。

【雑誌】週刊少年マガジン 11/29 No.50 講談社 B5平

 新連載、作:小金丸大和+画:棚橋なもしろ「ハンマーセッション!」。刑務所への護送中に脱走した詐欺師のあんちゃんが、脱走中に迷い込んだ学校でその才能を見込まれて教師をやることに……というお話になる模様。絵柄的にも話的にもいかにもマガジンっぽい作品。ただちょっと刑務所に身体ぐるぐる巻きにして護送されるほどの凶悪犯を、学校の校長先生が見逃すってのはさすがにいくないだろう、って気はしないでもない。

 亜桜まる「090〜えこといっしょ〜」は最終回。非常に呑気で楽しい作品だったのだが、最後の数話がすごくバタバタして、いきなりハードな展開になって終わっちゃったのは残念だった。マガジンスペシャルに移動することになった永吉たける「スミレ16歳!!」と合わせて、楽しみにしていた作品が次々消えちゃって、少々寂しい気が。吉河美希「ヤンキー君とメガネちゃん」。メガネちゃんのメガネが壊れてしまって、ヤンキー君がメガネ購入につき合わされるというお話。今回はメガネッ娘のメガネがメインなので、少し萌え度が増量。あとラブコメ的には小林尽「スクールランブル」ですかね。やはり沢近さんがらみの回は強し。

【単行本】「ナツノクモ」7巻 篠房六郎 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 相変わらず絵は非常に達者で、個々の描写は良いです。オンラインゲーム世界内での物語の進展については、まあいちおう追ってはいるのだけど、もう一つ印象に残ってこないかな……。「悪くはないのだけどもう一つピンとこない」という状態のまま、ずっと進んできちゃった感はある。ただキャラはわりと良い。この巻ではクロエおねえちゃんがいろいろ動いてて面白かった。ガウルをいじろうとして群がってる人たちはわりといい感じですな。

【単行本】「EDEN」15巻 遠藤浩輝 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 ずいぶん長くなりましたなあ。15巻ですか。もうだいぶお話を追えてない人も増えてきた頃合いかと思います。ただまとめて読むといまだけっこう面白かったりはします。この巻ではエリヤたちが、エリヤ妹マナをいったん奪還するが、その後にショッキングな展開が待っていて……といった感じ。大筋部分がどう進んでいくかは不透明な部分が今もなお多いけど、核心部分にはじょじょに近づいてきてるのかな? それはともかくエリヤとくっついた元婦警のミリアムねーちゃんについては、死なないで幸せになっていただきたいもんです。


11/14(火)……オオタカに教えられ

【雑誌】イブニング 11/28 No.23 講談社 B5中

 寺沢大介「ミスター味っ子II」が連載再開。こっちが毎号連載で、「喰いタン」は隔号連載になるとのこと。今回、味吉陽一は中東で出会った天才少年シオンとともにアメリカの地を行くという感じになるらしい。味っ子IIは最初のころは地味めだったけど、途中から飛行機をチャーターして急降下による無重力状態でハンバーグを作るといったムチャクチャをやるようになっていたので、再開はけっこう楽しみ。ぶっ飛んだ展開に期待したいところです。青木幸子「ZOOKEEPER」。今回はオオタカの保護の話と、人手が足りない動物園の話をからめたエピソードを展開する模様。クセモノ園長さんも活躍しそう。これまでいい感じで読ませるエピソードを連発しているだけに、今回も期待大。

【雑誌】ヤングチャンピオン 11/28 No.23 秋田書店 B5中

 漫♥画太郎「ブスの瞳に恋してる」(原作:鈴木おさむ)が最終回。ブスというか人間離れした嫁と、主人公の結婚生活を描いたギャグだったが、最後まで画太郎先生らしいメチャクチャさ加減で終わった。ここまでもスゴいネタの連続ではあったが、最後にまたぶん投げましたな。でもオチとしてはキレイといえなくもない。ここらへんは「いちおう原作がある」効果かもしれぬ……。あと今号にはチャンピオン烈からCuvie「ハコイリ」が掲載。烈2号に掲載された「あいあんめいでん」の続編で、12月19日発売の4号から連載化するそうな。エロ漫画でもコンスタントにうまいけど、汎用性の高い人なのでこっちに持ってきてもまったく違和感ないし、技量レベルも十分。エッチもありの楽しいドタバタラブコメになりそう。

【雑誌】漫画サンデー 11/28 No.45 実業之日本社 B5中

 作:末田雄一郎+画:本庄敬「蒼太の包丁」。蒼太を巡って、純子と雅美が直接対決という感じ。なんだかもう青春まっただなか。それはともかくとして、今回は花ノ井が純子に教えた料理、「甘鯛のバター洗い」ってのがおいしそうで気になった。甘鯛をそぎ切りにして熱して溶かしたバターにくぐらせ、氷水でシメてポン酢で食べるという料理だそうな。わりと簡単にできそうなわりに美味しそう。要するにサッパリした白身魚の刺身の脂分を、バターで補うって感じだろうか。それならほかの白身魚でも応用がききそう。甘鯛がなかったら普通の鯛とかでもいいかな。ちなみにこういうふうにレシピをわりと細かめに書いているときは、自分でそのうち試してみたいと思っているときだったりします。

【雑誌】快楽天BEAST 12/15 Vol.14 ワニマガジン B5中

 さめだ小判「桃園学園男子寮にようこそっ!」。女子寮と男子寮が突然合体してしまい、寮内の風紀が乱れまくり。そんな中、主人公も美人な管理人さんと関係を持っちゃうのでした、というお話。管理人さんはが長い黒髪の持ち主で家庭的な雰囲気もあるなかなかの美人さん。さめだ小判の達者な絵柄のおかげもあり、好感度の高いキャラに仕上がってて良い感じ。シリーズものっぽい設定ではあるけど、単発で終わっちゃうかな? Cuvie「Addiction」は、いまいち淡白な彼と、自分にヤキモチも焼かない彼氏に不満な彼女のお話。まあ彼氏に独占欲が目覚めるくだりが、ちと急すぎる気もするけど、いつもながらコンスタントに読ませるお話を描いている。シンプルながらほんのり甘い絵柄も感じがイイし。これだけ多作でこれだけ手堅いってのはやっぱ大したもんです。

【単行本】「日本沈没」4巻 作:小松左京+画:一色登希彦 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 京都が地震で壊滅。D計画の面々はそれを正確に予言し、たくさんの日本人が命を失う中、より大きな破滅を避けるべく、D計画は着々と進んでいく。この巻も、とんでもないスケールの災厄が、じょじょに近づいてくるという不気味さ、緊迫感、不安感に満ちていて迫力あります。一色登希彦のダイナミックな作画も相変わらず底光りするような力があってイイ。

【単行本】「闇金ウシジマくん」5巻 真鍋昌平 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 風俗嬢編が続く。華やかに見える風俗嬢たちの内面を、非常に生臭く描いたお話が相変わらず刺激的。ある者はシビアかつしたたかに、ある者は若さに任せて、ある者は一般生活と両立しながらと、それぞれに異なる風俗嬢たちの事情をつぶさに描いていく様子が興味深い。このエピソードで好きなのは、風俗嬢たちの元に通い続けるヤバい系のお客。キモくて女の子側からも敬遠される、最低な客層のヤツらが、本当に最低な描かれ方をしているのがいい。どいつもこいつもイカれてて、見ててたいへんキッツいのだが、それが得もいわれぬ迫力を持っていて、ゾクゾクする読後感につながっている。ヒドいことになりそうな気配はあちこちに漂ってるが、風俗嬢たちに同情もする反面、「もっとやれー、もっとやれー」ってな気分にもなれる。ヒドいけど痛快な作品であります。

【単行本】「バガボンド」24巻 井上雄彦 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 武蔵と吉岡伝七郎の果たし合いを前に、小次郎と武蔵が偶然出会い戯れる。剣の道に生まれた二人が小枝を振るってやり合うさまは、やんちゃ坊主同士が遊んでいるようで、実に楽しそう。しかもやがてやってくるであろう対決への期待も高めているし、なかなかいいエピソードだったと思います。それにしても武蔵は強くなりましたな。あと愚直な剛の者・伝七郎さんはやっぱ好きだなあ。


11/13(月)……蚊取り犬

▼あーそういえば12日はコミティアにちょっと寄ってきました。8月コミティアで買った同人誌はいちおう一通り読んでから行ったんですが、感想はまだ書けてません。ちょっと今は更新遅れ気味なので、同人誌感想は余裕ができたときにでも書きますね。

【雑誌】ヤングマガジン 11/27 No.50 講談社 B5中

 阿部秀司「エリートヤンキー三郎」は九州激闘編がおしまい。最後は三郎がブチ切れておしまいといういつものパターンだったが、下らなくて楽しかった。結局なんでもかんでも「タイマンはったらマブダチ」にしてめでたしめでたしの桐山の大ざっぱぶりも良かったし。作:山田風太郎+画:せがわまさき「Y十M」は、十兵衛をめぐって女たちがお互いを牽制という、まるでラブコメみたいな展開に。いちおう殺す殺されるといった話をやってるのに、このお話は妙にのどかなところがある。その点は楽しいが、おかげでちと間延びしちゃってるような印象もありますな。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 11/27 No.50 小学館 B5中

 また倉科だー! というわけで倉科遼原作のホスト漫画がまた始まりました。今回は作画が関口太郎でタイトルは「帝王」。元高校球児だった主人公が、ホストに転身、巨大キャバクラグループを仕切る帝王になるまでの一代記といった漫画。まあいつものアレです。小田扉「団地ともお」。今まで何度も作品内に登場してきた野球チーム・メリーズの外国人選手カトリーヌのお話。カトリーヌについては気になっていたが、想像以上にイイ人であり、かつ出自は想像以上に変わっていた。あと通訳さんもけっこうな変人であった。くだらなくて楽しいエピソード。こういうの好き。信濃川日出雄「Fine.」。自らをさらけ出して、上杉への執着を見せつける斉藤の姿がたいへん痛々しい。どのキャラもたいへん青臭く、紆余曲折の青春ストーリーにはひきつけられる。なかなか盛り上がってまいりました。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 11/27 No.50 集英社 B5平

 叶恭弘「エムゼロ」。今号は扉絵がカラー。なんかイマ風な塗りで華やかですのう。あと今回は薬品部に入部したばかりの女の子さんもいいですな。ツンデレ感を豊かに身にまとっていらっしゃる。あと矢吹健太朗「ToLOVEる」(脚本:長谷見沙貴)のほうでは乳ですか。リトがララの発明した機械でちっちゃくなって、どっきりマイクロ〜ンってな感じ。次号は春菜ちゃんのほうにもなんかしてもらいたい。

【雑誌】ヤングキング 12/4 No.23 少年画報社 B5中

 森見明日「ラブ・ぽっ!」。前回のお話で鳴門くんと二人っきりになってしまい、乳出しまでしてしまった知音。その後彼女も鳴門くんのことを意識しまくりで妙なムードに。ここまで千夏子部長一直線だった知音だが、今後どうなってしまうのかーといった感じ。いやーラブコメ模様はますます大混戦で楽しいですな。知音は乳がデカくてかわいくていいです。

【雑誌】別冊マーガレット 12月号 集英社 B5平 [Amzn]

 中原アヤ「ラブ★コン」が最終回。最後は卒業式を迎え、小泉&大谷がみんなと一緒に楽しくご卒業〜という感じで、爽やかな幕切れ。ずっと明るく楽しく展開してて面白い作品でした。最終ページに「次は2月号でお会いしましょう!」とか書いてあるけど、大学入ってから編、あるいは番外編でもやるんですかね。永田正実「恋愛カタログ」では、笹錦さんにお子様が誕生。それにしても笹錦さんがこういうふうになるとはねえ。長寿連載でずーっと登場人物たちの成長ぶりを見ている作品だけに、何やらしみじみとしたものがある。

 河原和音「高校デビュー」は、晴菜が誕生日で、ヨウと一緒にデートという展開。いつもながら晴菜の天然な振る舞いは見てて楽しいし、ヨウが彼女のために頑張って照れてる様子も微笑ましいモノがあった。好調の椎名軽穂「君に届け」は巻中カラーで華やかな扉絵。貞子が、風早くんを狙う美少女・くるみちゃんに恋のアシストを頼まれるも、それはできないと断る。となるとバチバチの対立になりそうなもんだが、貞子の天然ぶりのおかげでそうはならず、なんだかほのぼのムードで、友情さえ芽生えてしまうかー、といった展開。でも貞子のことが気になっている様子の男子ももう一人現れたりと、雲行きは怪しく。まあここらへんのゴタゴタをきっかけに、おふたりさんの恋愛ムードがグッと高まってきそうな感じではあります。

【雑誌】comic天魔 12月号 茜新社 B5平 [Amzn][定期購読:7andyicon

 浅草寺きのと「白衣のお姉さん」が巻頭カラー。自己で入院した弟を、ナースをやってる実の姉がヌイてあげる、ってなお話。まあ普通の姉モノではあるけど、お姉さんがお人好しでけっこうかわいく、実用度もまずまず。安定感もあっていいんじゃないでしょうか。大和川「TWINS」後編。双子姉妹でおさななじみ男子とエッチ〜という内容。この人はわりと最近出てきた人だけど、線がけっこうきれいだし、ラブラブなお話も展開できるしでなかなか良い雰囲気。ほのかに甘い感じの絵柄がいい。

 けものの★「ムチとは罪」。今回の作品もむっちり感があるし、自由奔放にくにゃくにゃ変わる絵柄も魅力的。今回は母モノだけど、胴とかはきっちりくびれててなおかつムチムチプリプリしたお母さんがなかなかかわいらしい。あとこの人の作品でいいのは、セックスをすごく楽しそうにやってること。表情が変化に富んでて、ヤッててうれしいって様子が伝わってくる。エロさも最近上がってきてると思う。初単行本が出るのを楽しみにしている作家さんの一人。安藤裕行「恋する風紀番長」。厳しい風紀委員の女の子が、片想いしている相手にからんでってエロ本を没収。それがきっかけでエッチという内容。まあ要するにツンデレなんですが、風紀番長女子がけっこうかわいかった。キスされてぽわーとした顔してるシーンとかが良い雰囲気。

【単行本】「バンビ〜ノ!」6巻 せきやてつじ 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 伴の、ホールの給仕としての修行も大詰め。通常業務はだいぶちゃんとこなせるようになった伴だが、気難しい常連客・野上のメガネにはかなわず。彼女を納得させるような接客が果たして伴にできるのか!? ってなわけでこの巻もイタリア料理店の物語を熱血展開中。料理自体で競う展開にはなかなかならないけど、まあこれはこれでアツさと勢いはあるので面白い。相変わらず絵が力強く、画面作りもダイナミックで熱気あふれる作風にワクワクさせられるものがあります。

【単行本】「チキタ★GUGU」6巻 TONO 朝日ソノラマ A5 [bk1][Amzn]

 掲載誌が隔月発売ということもあり、久々の第6巻。この巻ではチキタ&ラー・ラム・デラル、クリップ&オルグ、そしてバランス&サデュースは比較的穏やかな生活を送っていたが、そこに皇帝の元に使えていた魔女パイエが妖となって現れ、クリップを狙うようになる。そしてパイエの口から、これまでの事態の影に常にいた、チキタの先祖でもあるダムダム・グーグーの存在も語られるが……。

 というわけでお話はだいぶクライマックスに近づいて来ている感じ。お話のほうも静かではありながら、どんどん切なさが増してきて目が離せない。チキタとラー・ラム・デラルの距離はもう分かちがたいほどになってはいるけれども、彼らはどうなってしまうのか。そして魔女パイエの、悪に彩られていたけれどもどこか悲しい過去のエピソードなど、グッと胸に響いてくるものがある。キレイでかわいい絵柄だが、読んでみると実はけっこうハードでシリアス。この物語がどういうふうに着地するのか、今後の終盤戦もたいへん楽しみです。


11/11(土)11/12(日)……各メーカーの豪語

▼18日朝になった時点でこれ書いてますが、ようやく仕事が若干片づいたので、そろそろまともに更新していくつもりです。まああくまで「つもり」なんでアテにはならんですが。

【雑誌】コミックビーム 12月号 エンターブレイン B5平 [Amzn][定期購読:7andyicon

 鈴木マサカズ「無頼侍」は最終回。ここまでいろんなことがあったが、最後は寛壱や溝鼠の末路が無常感を強く漂わせた。とはいえ岩十郎のぶらぶらな日常はその後も続いていく……という結末はさほど暗いばかりでもなく、しみじみくる風情があってなかなか良かった。地味だが渋味のある、趣深い作品でした。あとしりあがり寿の読切シリーズ「ゲロゲロプースカ」も最終回。これはまとめて読んだほうがいいかなと思ってとってあった感じなんだけど、単行本は出ますよね? 刊行予定はとりあえず書いてなかったけど……。

 入江亜季「群青学舎」。今回は捕らわれて鎖につながれている姫様がなんかエロかった。こう色っぽいと陵辱してくれっていってるみたいなもんですなあ……などと劣情をそそられた。森薫「エマ」番外編は、その後のエレノアちゃん後編。ブライトンの海での出会いもあて、失恋の痛みも少しずつ癒えて、恋の予感も感じさせながらしめくくり。まあ完全にくっつくってなとこまでは行かなかったけど、いきなり乗り換えられると尻軽感が出てしまうし、このくらいがちょうど良いかなと思う。志村貴子「放浪息子」は学園祭編。まだ演劇は始まってないけど、学校にいろんなキャラが集結しててなかなか賑やか。楽しいイベントになりそう。まあ本人たちにとっては何があるかまだ分からんですが。あるいは苦々しい結末も待っているかもしれず。マコちゃんの活躍も楽しみ。

 作:上野顕太郎+画:安永知澄の読切シリーズ2作目。「カノン」前編。今回は作者たちもコメントしてる通り、ギャグではない模様。パッヘルベルの「カノン」の調べで蘇る、少女のころの記憶……といった感じのお話。良い先生ではあるのだけど、雰囲気を作って生徒たちに自分の主義を押しつける女先生に関する苦い記憶って感じかな。安永知澄のきれいな絵柄もあり、なかなか引き込まれる出だしとなっている。女先生と主人公の少女の齟齬を浮き彫りにしていく演出も巧み。

 内田隆の読切「回転式」。一人の男が、刑事に対して自分が何度も見る夢の内容について打ち明ける。彼は回転式の銃で人を殺戮して回るという夢を見続けており、見るたびに殺す人数は増え、精度も上がっていく。漠然とした不安に満ちた雰囲気作りは上々で、語り口も真摯なものがある。一般受けするタイプの作風ではないけれども、次回作もちょっと読んでみたいとは思った。

【雑誌】マンガ・エロティクスF VOL.42 太田出版 A5平 [bk1][Amzn]

 松本次郎「革命家の午後2」は、ソビエト連邦みたいな社会主義的国家で、自分を殺しながら生きているちょいデブ男の物語。指導部の圧力の中で恋を殺し、自分を縛りながら生きている男の様子が興味深い。苦々しい抑圧ぶりを見ていると、なんだかマゾヒスティックな快感もあるような。沙村広明「ブラッドハーレーの馬車」。今回は運ばれて来た娘さんと看守をしている青年の、束の間の心のつながりを描いたエピソード。ちょっぴり暖かみもあるだけに、娘さんたちを襲う運命の残酷さがよりズズンと響く。なお今回は陵辱シーンはほとんどないので、そういうのに耐性がない人でも読みやすいのでは。

 オノ・ナツメ「GENTE〜リストランテの人々〜」は相変わらずシャレた味わいで面白く読める。今回は一見無愛想っぽいけど、実はけっこうやさしい男・ルチアーノをメインとしたエピソード。老眼鏡紳士の色気、チャーミングさを描き出してくれる内容となっていて面白い。作者の趣味が色濃く出ているのに、きちんと抑制も利いてるところが素晴らしい。志村貴子「青い花」も安定した面白さ。杉本先輩と別れたふみだが、その後あーちゃんのおかげでだいぶ癒される。あーちゃんはいい娘さんだなあ。二人のやりとりは見てて微笑ましい。なお第2巻は12月下旬発売予定とのこと。

 鬼頭莫宏の新連載「終わりと始まりのマイルス」。単車やらが空に浮かぶ、ちょっと変わった世界を舞台にしたファンタジーってところかな。主人公は、地上に連れてきた単車に寿命が来たときに、空に返してやる仕事をしている女の子。変わった世界のお話なんで、まだちょっとつかみどころがないが、お話的には明るめでファンタジー色も強そう。今後の展開に期待といったとこですかね。読切、木村イマ「彼も」。学校ではつっけんどんな感じの少年を、誰もこない河原で年上の女性が誘惑。普段は頑なな様子の少年が籠絡される様子を愛でるといった作品。絵は既存作家の影響が濃いかなーとは思うものの、品は良く、まずまず楽しめた。

【雑誌】Beth Vol.01 講談社 A5平

 「女の子のための漫画×カルチャー誌」とのこと。車内吊り広告では「キレイ系オタク」がどうのこうのいってたんでしたっけか。まあそのコンセプト自体はいまいちよく分からないけど、絵がこぎれいでちょっとオシャレ風味はあるものの、オタク好みもしそうな漫画を掲載して、そこにコラムとかをからめていく……って感じの雑誌になるのかな。漫画執筆陣は、小川彌生、久世番子、谷川史子、ひうらさとる、木原敏江、望月玲子、松田奈緒子、岩岡ヒサエ、ケイケイ、辛酸なめ子。

 漫画で読んで面白かったのは、松田奈緒子「100年たったらみんな死ぬ」。仕事とかができるわけじゃないけど人が好く、のんびりした雰囲気を持った熟年サラリーマンと、その子供3人のお話という感じ。このおっさんサラリーマンの人は、ほんわかした癒し系の雰囲気に満ちてて、なぜか彼がいると取引なんぞも成功。会社では福の神的扱い。そんな才能を見込まれてホストとしてスカウトされたりもしてしまう。あとその子供たちも3人とも個性的。お話はくるくる舞台が変わってあわただしく展開するけど、ちゃんと読みやすいし、明るい調子でいい雰囲気を出している。あと岩岡ヒサエ「オトノハコ」は、単行本「花ボーロ」に収録された同タイトルの作品の続編。ちょっと変わった人の多い合唱部に、主人公の女の子が入部して、楽しい学校生活を送っていくという話になりそう。かわいらしい絵柄でほのぼの楽しく読めた。

 そのほかの作品についてはさほどピンと来たのはないけれども、まあとくに破綻はないし、漫画的にはまずまずかなーといった印象。ただ是が非でも買いたいかというと、そこまでのアグレッシブな雰囲気もないので、とりあえずは様子見か。カルチャーという部分についてはよく分からん。ただこれだけ漫画がメインっぽい雰囲気だと、記事部分はいらんという人も多いかもしれない。判型がA5とちっちゃめなのは、女性のバッグは小さめである場合が多いから、持ち運びしやすいように……ということを考えてのことですかね。

 「漫画×カルチャー」といわれると、やっぱりサブカルなのかなあとも思ってしまうけど、それよりは軽い誌面にしたいんだろうなあという意図は感じられる。FEEL YOUNGの濃度を薄めて、そこに記事を軽めの記事も足していく、あるいはYOUNG YOUのカルチャー記事入り小型版ってなイメージか。まあ微妙な立ち位置の本だということは確かなんで、何か分かりやすくスタンスを打ち出せるようなキーワードとか、代表となるような漫画を、早めに打ち出してほしいところ。

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 11/24 No.23 小学館 B5中

 乃木坂太郎「医龍」。霧島の動揺にねちねちつけこんで、不利だった形勢を挽回しようとする野口教授の狡猾さがイイ味を出している回。まるで宇宙人か「指輪物語」のゴクリみたいな邪悪な表情がたまらん。この人けっこう好き。実際に近くにいたらやだけど。太田垣康男「MOONLIGHT MILE」。爆発によってロストマンが窮地に陥るが、吾郎が必死の救助を行わんとする。激しいアクションが展開されててとてもダイナミック。迫力がある。相変わらず力強い作品で読みごたえ十分。

【雑誌】ビッグコミック 11/25 No.22 小学館 B5中

 画:はしもとみつお+脚本:鍋島雅治「築地魚河岸三代目」は、三代目が漁業先進国ノルウェーで、どのようなアプローチが行われているかを目撃していくという内容。まあその内容も興味深いんだけど、最近はノルウェーに滞在中の先代が、遠き異国の地ですっかりチョイ悪オヤジになってしまっているのに笑ってしまった。岡崎二郎「宇宙家族ノベヤマ」は第9話が掲載。かつて宇宙に存在した戦闘文明と、その滅亡が語られるとともに、ノベヤマさんの息子さんの存在が大きくクローズアップされる。ヒキの強い展開だが、だいぶお話的には核心部分に近づいてきてるんでしょうか。なお次号には「アフター0 Neo」が掲載とのこと。

【単行本】「つぶらら」1巻 山名沢湖 双葉社 B6 [bk1][Amzn]

 学校では「クールビューティ」というイメージが定着しているけど、実は女の子アイドルグループ「キャラメル☆エンジェル」が好きで好きでしょうがない女子・つぶらさん。彼女が、キャラ☆エンの番組を見るためいろいろ頑張ってるうちに、その行為がポジティブに誤解されていき学校の人気者になっていっちゃう……という感じでお話が進展。このお話は、山名沢湖作品の中でも取り分けドタバタコメディ色が強く、かなーり明るく楽しく進んでいる。あとキリリとした容姿のわりに、アイドル好きでかわいいところの多い、つぶらさんの表情を愛でるといったあたりがお楽しみ。まあ今までの作品よりもだいぶテンション高めな点にはいくぶん戸惑うかもしれないけど、カラッと明るく、気楽に読めるかわいい作品です。

【単行本】「ういういdays」4巻 犬上すくね 竹書房 A5 [bk1][Amzn]

 この巻も少年少女のラブストーリーを実にういういしく展開。この巻は潮先輩&妙子のメインういういカップルのお話が多めで、甘ったるさも十分味わえた。4巻まで来ているにも関わらず、自分から潮のほっぺたを触ろうとして、真っ赤になって躊躇する、妙子ちゃんのおくゆかしさがたまらんです。

【単行本】「キレルくん」1巻 五島慶彰 秋田書店 新書判 [bk1][Amzn]

 週刊少年チャンピオンでやってるギャグ漫画。新鋭の作品で、絵柄的にはまだあんまり洗練されておらず、さほど目立つタイプではないものの、これはけっこう面白い。

 主人公はかつては伝説的な不良校と呼ばれた「ジェノサイド学園」に通う少年・キレルくん。彼は普段はへにょへにょした温厚な少年なのだが、悪事を見かけるとすぐブチキレる。ちゃんと挨拶しない、遅刻する、ゴミを捨てる、廊下を走る。こんな行為のすべてに対して彼は即ギレ。で、キレると彼は最強の男と化し、相手が誰であろうとかまわず殴る蹴るの暴虐の限りを尽くす。そんなキレルくん怖さに、ジェノサイド学園の風紀はすっかり品行方正になってしまい、ヘンなバランスの上に学園の平和が維持されていくのでありました……。

 というのが大まかなあらすじ。この作品ではとにかくキレルくんのキレっぷりが面白い。いってること自体は至極ごもっとも。反論しようがないのだけど、キレっぷりが極端すぎて、周囲の人たちはヒキまくり。みんなが腫れ物に触るようにキレルくんに接している様子が実にユーモラス。キレルくんの普段の姿と、キレたときの落差も強烈。あとキレルくんがキレるポイントが、周囲の人たちにはけっこう分からなくて、意外なところでシメられてしまうのも面白い。あとそんなキレルくんに惚れてしまった元不良女子のさやかも、萌えキャラってほどではないが見てて微笑ましい。カラッとした勢いのギャグをやりつつほのぼの感もあるし、けっこう気に入ってる作品です。ちゃんと売れて2巻も出してくれるといいなあ。

【単行本】「ももいろさんご」10巻 花見沢Q太郎 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]

 10巻到達してしまいました。花見沢Q太郎がなあ……としみじみ。内容のほうは、もう完全にマンネリの境地。さんごくんが、三姉妹(とくに湊)やほかの女に乗せられてエロいことをしちゃった後オチがついて、ゴロゴロ転げたりするといったことをいつもやってる。しかしそのマンネリがつまらないってわけじゃなくて、そのときどきで甘ったるい感情を引き起こしてくれるし、2色カラーの色合いがまたいい感じに甘さを増幅。あと力の抜き具合が独特で、読んでて全然肩が凝らない。どうしても読まなきゃいけないというタイプの作品ではないが、つい読んじゃうし読めば楽しいという一作。まあこのままずっといくんでしょうなあ。

【単行本】「夕立が止む前に」 小暮マリコ ティーアイネット A5 [Amzn]

 安定してかわいくてエロい。ジェームスほたて名義よりはこっちのほうがエロ度は濃厚。実に華やかな絵柄ながらも、エロシーンは汁気たっぷりでじゅくじゅく。女の子もそれぞれかわいく、巨乳やむっちりした胴体、お尻などもボリューム感十分。お話的には基本は和姦で、エロはハードにやりつつも、ラブラブで桃色な空気に満ちている。今回は女教師+男子生徒なお話が多いかな。でも同級生モノや幼なじみお姉さんものとかも装備。陵辱モノが少なくなった代わりに、ちょっとした出来事から感情の揺れ、恋愛感情の高まりなんぞも描かれてて、ラブラブ度は上がっている印象。手慣れた作風が仇になるのか個人的には見た目の派手さほどには勃たなかったりはするんだけど、エロもラブも濃厚にこなせる人なんで、読めば確実に楽しめるといった感じで汎用性は高いです。

【単行本】「桜通りの女神」3巻 ながしま超助 双葉社 B6 [bk1][Amzn]

 相変わらず実にしょうもない。「桜通り商店街」を活性化するため、商店街の若奥様たちがエロイベントをいろいろ企画して頑張る……というのが大まかな流れ。今回は今まで主役格だった八百屋奥さんユリアが、新戦力と見込んだ巨乳保育士・桃代がメインで活躍。といってもやること自体は実にワンパターン。商店街奥様連が企画したエロイベントの参加者と間違われた桃代が、最初は戸惑っているけど、しだいにノリノリになっちゃうというもの。

 このエロイベントが、例えば「商店街の若者に奥様の体を味わってもらう試食パテーィー」やら「バレンタインデーに買いものしたお客様に奥さんたちがチョコレートと出張セックスをプレゼント!」とかいうものだったりして、実にしょうもない。しかも商店街の奥さまは巨乳&美人が勢ぞろいと来る。ものすごく男に都合良すぎる漫画ではあるのだが、これが男尊女卑とかいった感じの嫌味ったらしさが出ない、スコーンと明るく抜けた作風がながしま超助の特徴。「ぷるるんゼミナール」の決めゼリフ「おっぱい大きすぎてゴメンナサ〜イ」に代表されるお気楽さが楽しい。

 まあながしま超助作品の中ではぶっとび度的には中くらいかとは思うけど、馬鹿馬鹿しい作品であることはやはり変わらないです。


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