8/20(日)……各地の陽気
▼来週27日(日)はコミティアなんで、ようやく5月コミティアで買った本を読む。いちおう漫画系の本はだいたい。評論本はまだ読んでないです。そういえばコミケのときに書き忘れてたけど、ふぬけ共和国・マンガ主催の新田五郎さんのところで出している同人誌「ぶっとびマンガ大作戦 Vol.10」でちょっと原稿書かせていただきました。コミティア(27日東京ビッグサイト東6ホール)では、「WAIWAIスタジオ」(ぬ18a)で売ってますので、ぜひどうぞ。
▼2006年5月5日コミティア購入本
【同人誌】「スーパーレディレナちゃん 第3部予告編」 木持隆司 <木持アート出版>
【同人誌】「SLOW COMIC2 木村ひかげ短編集」 木村ひかげ <usagi*studio>
【同人誌】「鱗の家」 果竜 <竜の子太郎>
【同人誌】「幻想蹴国誌抄 前」 新谷明弘
【同人誌】「あかるい農村」 比古地朔弥 <ぐんたまカンパニー>
【同人誌】「僕らはたぶんに恋しあう」 ハセガワケイコ <ハライソ>
【同人誌】「掃除当番」 武富健治 <胡蝶社>
【同人誌】「GWにおっぱいすいたい♥」 あびゅうきょ <あびゅうきょ工房>
【同人誌】「よいのくち」「美少女妖怪ハンター美香ちゃん」「食クィ〜ン」 Matsuzaki
【同人誌】「ちんちくりんウルフ」 志賀彰 <憂貧局>
【同人誌】「あしたのタネ」「はじめての帰り道」 しょうじひでまさ <appleorchard>
【同人誌】「クッポ・シリーズ4 水の国のクッポ・空の国のクッポ」 おがわさとし <おがわさとし雑貨店>
【同人誌】「Love&Peace」「キャロットちゃんとカボットくん」 大江戸小町 <雑景横丁>
【同人誌】「暮れる街」 片栗 <クルのトーチカ>
【同人誌】「五百円」「五百円3」 三島芳治 <つゆくさ>
【同人誌】「DOLPHIN NINE FIRST AGITATOR」 おざわゆき <おざわ渡辺>
【同人誌】「散介」 上原 <ち>
【同人誌】「ゾンビママ」 小田扉 <みりめとる>
【同人誌】「花盗人」 東夷あま <スタッフWHY>
【同人誌】「キナコvs悪」 アニュウリズム <シカクイハコ>
【同人誌】「鉢カヅキ姫」 大野ツトム <トラウマヒツジ>
【同人誌】「坂本ドリル」 森砂季 <トラウマヒツジ>
【同人誌】「幼蟲〜醜怪刀之ニ〜」 村山慶 <Night-Marchen>
【同人誌】「UNDEAD」 <アサミ・マート>
【同人誌】「死神Death」「死神Death ii」 やぎさわ景一 <Y.H.G!>
【同人誌】「Y.H.G!Riders」 <Y.H.G!>
【同人誌】「ふゆのおわり」 ろくろーぶな
【雑誌】まんがくらぶオリジナル 10月号 竹書房 B5中 [Amzn]
ゲストで登場のさとるサブレ「あおい洋ナシ」。洋ナシ体型の女の子が主人公のドタバタコメディ。妊婦体型というか下半身デブという身体的な特徴をネタにしているんで、下手にやると不快に感じるかも?という感じはしないでもないが、カラッと楽しくやってるんで、そんなに気になることもないかな。絵がかわいくてほのぼの楽しい作品ではあります。
【単行本】「鈴木式電磁気的国土拡張機」 粟岳高弘 コスミックインターナショナル A5 [bk1][Amzn]
コミティアでいつも買ってる粟岳高弘の2冊めの単行本。同人誌で発表された作品を中心に、九龍、SF Japan、メガフリークに掲載された作品を合わせての刊行。のんびりとした田舎の風景に、SFのようなそうでもないような的生物や機械類が自然に溶け込んだ世界は、一種独特ののほほんとした雰囲気を作り出している。そして青い空と、裸だったりふんどしだったりスク水だったりする少女たちのコントラスト。垢抜けないけど親しみやすいそこらへんにいそうな女の子たちが、田舎の風景の中にポーンと半裸でいる光景は、不思議な解放感があって気持ちいい。粟岳世界は裸でいてもほの暖かそう。飄々としたお話作りと、肌になじむほの暖かい手触りが好きです。
8/19(土)……蝶も嘘を
【雑誌】ウルトラジャンプ 9月号 集英社 B5平 [Amzn][定期購読:出版社]
作:佐藤大輔+画:伊藤悠「皇国の守護者」。必死の戦闘を続けてきた新城とその部下たちだったがついに万策尽きたか……という状態。ストーリー展開も非常にドラマチックでやっぱり凄く面白い。今回は漆原がすべてを持っていった感あり。ポヨ=ナマステの読切「借りてきた妹」はやけにラブコメ度の高い作品で甘ったるかった。途中のドタバタ展開も楽しかったし、なかなか良い具合にまとまっている。石田カスタ「チャリ」は、ウルトラジャンプの漫画勝で編集長特別奨励賞を受賞した作品。シャープな作画は藤原カムイ調で達者。ただパサついた感じの画面作りは、雑誌の中に埋没しがちなところもある。もう少し「このキャラがどうするか見たい」って感じの吸引力が出てくると良いのだけど。
【雑誌】月刊サンデーGX 9月号 小学館 B5平 [Amzn][定期購読:出版社/7andy]
「そんなんじゃねえよ」の和泉かねよしが読切で登場。「天使飼育日記」というタイトルで、冴えない少年が外で天使の少女を拾って育て始めるが……というお話。途中までは面白おかしく話を展開し、ラストはきれいに締めくくり、と思ったら。お話の持ってき方がうまく、意外性もある。ラストは賛否両論あるかとは思うけど、なかなか気の利いた作品に仕上がっていると思う。この人は少女漫画雑誌のほうがメインフィールドだとは思うけど、こういう畑違いのところから人材を登用してくるっていうのは、雑誌に幅ができるしよろしいのでは。
浅野いにお「超妄想A子の日常と憂鬱」は、駅の売店で売り子をやってる女の子の日常を描いたドタバタコメディ。彼女は快活でかわいらしい女子だけど、けっこう過激で、頭の中もちょっとぶっとんでる感じ。ページ数は16と短めだけど、きっちりまとめている。浅野いにおは長編も短編もどちらもしっかり作れるし、本当にうまい作家になりましたな。
【雑誌】チャンピオンRED 10月号 秋田書店 B5平 [Amzn]
作:吉野弘幸+画:佐藤健悦の「舞-HiME」コンビによる新作「聖痕のクエイサー」がスタート。最初のページからいきなり乳出し。お話のほうは、学校でイジメをウケている理事長の娘とその親友の女の子が怪人に襲われてピンチ→そこに現れた謎のヒーロー的少年が美少女の乳を飲んでパワーアップして悪者退治……ってな感じで展開。もしかして今後も乳を吸いまくる展開になるのかなあ。何気にぶっ飛んだ設定だ。まあこのコンビは「舞-HiME」「舞-乙HiME」両方とも面白かったのでまずは期待。
井上元伸の読切「美獣R」は、祖父から肉体を「人類最高の男」に変える薬を飲まされ続けていたイジメられっ子少年が、好きな女の子のピンチに遭遇して変身。ものすごいムキムキの体に変身して、悪い奴らをぶちのめすという作品。作風は「バロン・ゴング・バトル」時の田口雅之チックで、いい意味で大ざっぱ。かなりムチャではあるけど印象には残る。それから読切もう1本、山西正則「大ヶ浦高校アンビエンツ」。以前も登場したことあるけど、なかなかキュートな絵柄の持ち主で気になる。お話はとりとめのない学園モノって感じだが適度なヌルさで印象はまずまず。絵柄的には「かみちゅ!」時の鳴子ハナハル的な風味を取り入れてきたかな。なかなかいい雰囲気ではあるので、そのうちまとまったページ数の作品も描いてみてほしいところ。
【雑誌】ビッグコミックオリジナル 9/5 No.17 小学館 B5中
石塚真一「岳 みんなの山」。これまでもちょくちょく増刊から本誌に出張掲載されてたけど、今回からシリーズ連載化とのこと。といっても別にやること自体は変わっていないけれども。で、今回は三歩が東京のクライミングジムで怪我をし、病院で出会ったおばあさんを山に誘うというお話。最後のほうの見開きシーンの景色が美しくて、ジーンと感動させられるものがあった。やっぱりしみじみ良い作品だなあと思う。安定感もあるし申し分ない。福本伸行「最強伝説黒沢」。戦いが終わったけれども黒沢さんがピンチ。大丈夫かな。あと浮浪者のおっちゃんのセリフに胸が熱くなった。最近の黒沢はますます泣ける。
【雑誌】花とゆめ 9/5 No.18 白泉社 B5平
松月滉「幸福喫茶三丁目」が巻頭カラー。順調に主力作品に育って来ているようで。で、今回は学園祭でやる喫茶店の参考にするため、潤と進藤が他のケーキ屋さんめぐりに出されるというお話。まあ店長さんの差し金でデートを仕組まれるという感じなんだけど、潤が髪を結んでて、いつになく女の子っぽくてトキメキます。最近ラブコメ度を強めてきてますなあ。ふじもとゆうき「銀河街商店街」は読切での登場。ミケとクロがラブコメしまくり。単行本1巻の時点ではちとガチャガチャしてるかなという気もしたんだけど、今回はストレートで微笑ましかった。ただ、商店街仲良し6人組のその他4人がもう一つ生きてないのはちともったいないかな。
トビナトウヤ「潔癖少年完全装備」。こちらは何回か掲載実績のある読切シリーズ。小学校時代に好きになった女子と遠恋中の潔癖症少年に、やたら彼氏をとっかえひっかえしているモテ女子がモーションをかけてくるが……というお話。最初は雑魚っぽいかなと思ったが、本命女子のほうに劣らずこちらも悪くない娘さんだということがやがて判明。けっこう楽しくラブコメしてるし、絵のほうも上々。10月5日発売のNo.21にも続きが掲載されるようだけど、そろそろ連載に昇格させちゃってもいいのでは。
【雑誌】ギガロック VOL.15 幻冬舎コミックス B5中
ZERRY藤尾「敵はツンデレ」。ファンタジー世界でくたびれた冒険者と、絵に描いたようなツンデレ姫の人がエッチするという内容。最初のほうはちょっとかすれたような感じでやってて、なんか「ロト紋」っぽい感じな雰囲気。ツンデレ姫のほうはものすごくわざとらしくやってるけど、まあ注文通りにかわいく感じたりはします。大波耀子「はたらくおねえさん」。親の借金を返済するため、彼氏に内緒で働きまくるおねいさんが健気で良かった。甘ったるいラブストーリーになっており、後味もよろし。エッチシーン自体は少ないけど楽しめる作品だった。あと今号では山下クロヲ「タマ」も良い。愛玩動物少女とその御主人様のラブラブエッチストーリー。ペット少女の表情がイキイキしてて愛敬があります。
【単行本】「QG キュートガールズ」 ED コアマガジン A5 [Amzn]
にゅーあきば.comのレビューでも紹介したけれども、なかなか達者な絵を描くエロ漫画の新鋭でこれが初単行本。キャラの輪郭が直線的な作画は、パッと見スッキリした印象でスタイリッシュ。でもキャラの造形とか表情とかは萌え度が高し。そして体のほうは肉感的で、性器の描き込みもしっかりしててエロ度もかなり高め。萌えとエロがしっかり両立できていながら、ちょいとオシャレでキャッチーでもあるという、最近のトレンドな感じの作風で雑誌掲載時から注目しておりました。
お話のほうは、基本的に甘ったるいラブラブなお話がメイン。ツンデレ娘も描くし、デレデレ娘も上手。あと同じキャラを使ったエピソードで、2〜4話程度のまとまったものが3本あるので、読みごたえ的にも上々のものがある。とくに個人的には、冒頭に収録されている妹分的ツンデレ娘さんとの学校H漫画、「好きと言えない…。好きと言わない!!」「好きと言わせたい!!?」がお気に入り。普段はツンケンしてて隙を見せない女の子が二人っきりになると……という甘さがたまらんです。あと「the Couple」シリーズの水着シーンのムチムチ感も良いな。
それにしても最近のエロ漫画の人は、出始めからバリバリうまい、完成度の高い人が多くなってきましたねえ。新人さんのレベルは本当に高くなったと思う。その中でもこの人なんかは、話的にも絵的にもちゃんとしてるし実用面も上々。表紙もパッと目を引くデザインなんで、初単行本からけっこう行くんじゃないでしょうか。このままですでに十分売れ線だと思う。あとはそのうち1冊まるまるの長編モノにも挑戦して、代表作といえる作品をモノにしてもらいたい。
8/18(金)……SPA行くヒルズ族
▼アニメ最終回感想。「神様家族」[Amzn]。アニマックスでやってた奴だけど、これはなかなか面白かったです。人間界で修行中である神様の息子の神山佐間太郎、そのお目付け役である天使のテンコ、それから佐間太郎の初恋の相手である久美子さん。この3人を中心に展開するラブコメ、それから神様一家によりホームコメディといった感じのお話。ほのぼのとした雰囲気が見てて楽しかったし、ラブコメとしてもなかなかよくできていた。とくにキャラクター作りは良好で、佐間太郎の幼馴染みで彼のことが好きだけど初恋もアシストしようとする天使のテンコちゃんがすごくかわいかった。気立てが良くてやきもち焼きな様子が微笑ましい。ラストの展開も爽やかで、後味の良い作品に仕上がっていたと思う。
といったわけで4〜5月スタートの1クールものについては、個人的にはこれで一区切りということで。今回はいろいろ忙しかったので視聴がずいぶん遅れちゃいましたが。例によって、最終回まで見た分について以下のように点数をつけてみました。点数はいつものとおり6点が標準。個人的には「神様家族」「ハルヒ」「BLACK LAGOON」が高評価で、残りはどれもまずまずってところ。「夢使い」[Amzn]は7話くらいまで見たけど、出来はいまいちだったんで途中で切り。点数つけるとすると4.5〜5.0といったあたり。その他の2クール以上の作品については、まだ追いつけてないです……。
7.0 「神様家族」[Amzn]
7.0 「涼宮ハルヒの憂鬱」[Amzn]
6.5 「BLACK LAGOON」[Amzn]
6.5 「吉永さん家のガーゴイル」[Amzn]
6.0 「錬金3級 まじかる?ぽか〜ん」[Amzn]
6.0 「ひまわりっ!」[Amzn]
6.0 「女子高生 GIRL'S-HIGH」[Amzn]
6.0 「西の善き魔女 Astrea Testament」[Amzn]
【雑誌】ヤングガンガン 9/1 No.17 スクウェア・エニックス B5中
作:井田ヒロト+画:原田宗典「戦線スパイクヒルズ」。ノムラが上達したスリの腕を見せつけて、ちょっとカッコイイ感じ。しかしラストのヒキは不穏。ただスウガクの態度からいうとなんかトリックがありそうな雰囲気ではありますが。大高忍「すもももももも〜地上最強のヨメ〜」。虎金井長男と相対して犬塚、ももこ共に大ピンチ。追い詰められた犬塚は潜在能力を目覚めさせるのか……といった感じの展開。まあここで覚醒しちゃうと痛快ではあろうけれども、そうなると別な感じの漫画になっちゃいそうな気もするなあ。一時的に覚醒する、あるいは勝負持ち越しで犬塚修行といったとこですかね。
【雑誌】週刊漫画ゴラク 9/1 No.33 日本文芸社 B5中
村生ミオ「SとM」。今回のサブタイトルは「死闘」。といってもやってることはセックス。自分を監禁した社内妻なお局OLをセックスでイカせてスキを作り、脱出のチャンスをつかむため、主人公がやってやってやりまくる。なんかセックスシーンの背景にキックボクシングの選手が描かれてたり、ストレートな比喩表現にちょっと笑ってしまった。相変わらず圧倒的にベタベタかつ下らない。村生先生パワーがあるなあ。
8/17(木)……キャディ穴式住居
【雑誌】モーニング 8/31 No.38 講談社 B5中
山田芳裕「へうげもの」が巻頭カラー。今回はそれぞれの意地を貫こうとした、明智光秀と千宗易の二人がシブくてカッコよかった。左介が今後、どのような振る舞いを見せるのかもますます楽しみ。安定して面白いです。吉田基已「水の色 銀の月」は最新エピソードが掲載。亜藤の友人である青木に恋する女学生さんがメインのお話。この娘さん、かなりツンデレの素質を備えている。デレの部分はあんまり見せてないけど。絵のうまい人がこうストレートにやってくると、やっぱりグッと来ます。青春ストーリーとしても甘くほろ苦くて面白かった。
NAOKO「天使のサプリ」。上司と不倫関係にあったが捨てられようとしているOLさんが、願いを叶えてくれる「天使のサプリ」をもらったのをきっかけに、彼に対して復讐しようとするが……というお話。整った絵柄でまずまず完成してはいるけど、なんかサプリの意味があんまりないような。タイトルにもしているアイテムがきちんと生かされてないってのはちともったいない。
【雑誌】ヤングサンデー 8/31 No.38 小学館 B5中
読切掲載、むろなが供未「CUT 〜活人〜」。髪に触れるだけで人の心が読めるという美容師が、その腕前でお客さんの心を癒す、というお話。絵柄、話作りともにまずまずまとまってはいるけど、何か「コレ!」という目立つ部分もないかなあ。ともあれこうやって新しい人をどんどん登用していくのは、今のヤンサンには必要なことだと思う。
【雑誌】ヤングジャンプ増刊 漫革 9/25 Vol.53 集英社 B5中
藤沢とおる「ひみつ戦隊モモイダー」が3年ぶりに復活新連載。女の子ばかりの戦隊モモイダーが活躍するドタバタコメディといった感じのお話。藤沢とおるは今度はヤングジャンプ本誌でも新連載を始めるけど、「GTO」以降のもう一つ煮え切らない状況から脱出できますかねえ。坂井恵理「ブラコン!!」は、前号にも掲載された、童貞の血が好きだけど相手に肩入れしちゃってつい恋に落ちてしまう吸血鬼少女のお話。キュートな絵柄で軽いノリで手堅くまとめている。まあまずまずといったところ。
おおひなたごう「犬のジュース屋さん」はものすごく久々の登場。でもやってることは前と全然変わってないなあ。尾玉なみえ「キャディの穴」。ゴルファーのジャマにしかならないやたらウザいキャディさんを主役にした6ページのギャグ漫画。まあいつものノリではあるけど、そろそろまた連載で続き物やってほしいところではあります。ちょっと長めなほうが、尾玉なみえならではのキャラ作りも生きてくるだろうし。駕籠真太郎「呪いのわら人形稼業」。こちらは8ページもの。とにかくやたら効果のあるわら人形を作る男が、その力で大活躍するドタバタギャグ。一般誌ということもあり、駕籠真太郎としてはかなり薄味な作品。
【雑誌】週刊少年チャンピオン 8/31 No.38 秋田書店 B5平
車田正美「聖闘士星矢 NEXT DIMENSION 冥王神話」2回め。今回も袋とじでオールカラー。と思ったら、次回からは不定期に掲載を進める「ランダム連載」となるというおしらせが。編集長からのコメントも載っているけど……うーん、正直コレはちょっと無責任という印象は否めない。オールカラーだからこういう形態になったみたいな説明してるけど、車田正美の漫画ってどうしてもカラーで読みたいってタイプのもんでもないし、8ページずつで不定期掲載じゃお話が全然進まないでしょう。カラーできちんとやれないなら、モノクロでやってもいいんじゃなかろうか。まあ予告なしに不定期掲載にするのでなく、読者に断りを入れてからにしたという点で、いちおうのスジは通そうとしたんだろうけど、なんか今回のやり方は「車田正美だから」「ヒット作だから」というのが感じられていい気持ちがしなかった。
佐藤将「富山ねじ」は4買いめで集中連載おしまい。不気味なロボとその制作者兄妹の掛け合いを、面白おかしく展開しててけっこう面白かったと思う。クセのある作風ではあるけど、機会があったら再登場してほしい。哲弘「椿ナイトクラブ」は単行本1巻が9月8日発売決定との報が。ちゃんと単行本にまとまるということで一安心。
【雑誌】コミックメガストア 10月号 コアマガジン B5平 [Amzn][定期購読:7andy/Fujisan]
如月群真「ギリギリ♥Sisters」が巻頭カラー。主人公とその義姉妹のラブラブH漫画で今回は第2話。お話的にはラブコメベースだけど、この人のエロシーンはやっぱり描写がねっとりしてて実用的。とくにフェラチオシーンがうまいところがソソります。黒龍眼「ウキウキ♥Summerday」。かわいい少年×2とその姉×2のH漫画。つやつやした潤いのある絵柄が良い具合。F4U「ザーメン☆ティッシュ」。お話的なまとまりは弱いけど、描写がダイナミックでネームも個性的。目立つ作風でちょっと面白そうな作家さん。今後ちょっと注目していきたいところ。
けものの★「YELLOW★POP2」。この人の独特のクセがあるけどピチピチフレッシュな絵柄は最近けっこう気に入っている。とくにキャラの表情が変幻自在で、すごく楽しそうな顔してるので、読んでるほうもウキウキ楽しい気分になってくる。単行本も早いとこ出てほしいが、途中で雑誌移ってるし、まだしばらくかかるでしょうなあ。マイノリティ「ピュアチェリー♥」。ロリロリな雰囲気のある弟の彼女にぞっこんな主人公が、家で彼女と二人っきりになってつい手を出しちゃうというお話。まあ寝取り系といえば寝取り系だけど、彼女と弟のほうは仲があんまりうまくいってないこともあり、基本的にはラブラブムード。なかなかに甘ったるいお話に仕上がってて楽しく読めた。この人も独特のクセのある絵柄だけど、ラブラブムードの作り方がうまいんで楽しく読める。
田沼雄一郎「PARTICIPET」は4話め。これまで生徒会長女子にいいようにいじられてた主人公のデブ男子だが、漫研のちびっ子部長と関係を持つことに。なんかラブコメ的にお話が動き始めてきて面白い展開。ちょっともつれていきそうで楽しみ。天竺浪人の短期集中連載「妄獣」は全4話で最終回。資産家の令嬢が変態男にさんざん陵辱され、その後もまた意外な運命が待っていた。最後は血なまぐさく、かつエロティックに〆。これは単行本でまとめて読むと読みごたえありそう。
【雑誌】ヤングチャンピオン烈 Vol.2 秋田書店 B5中
2号め。今回の注目は、和六里ハルの「コンビニん」が本格的に連載開始したことかな。たいへんツイてない19歳男子の主人公が、トイレを借りようと思って入ったコンビニでとっつかまって、バイトさせられることになるが、そこは魔界的なヘンなものがいっぱいある謎のコンビニで……という感じの出だし。エロさとかショタ話とか、そういった和六里ハルらしい持ち味はまだあんまり出てないけど、まあとりあえず楽しみにしてます。
そのほかの作品では、みた森たつや「僕と彼女のホント」が良い。巨乳大好き少年である主人公と、その家庭教師をやることになった幼馴染みで姉貴分的巨乳女子による、ドタバタHラブコメといった感じのお話。けっこう甘ったるいラブコメになりそうな雰囲気だし、巨乳のほうもむんむんしてて密度が高い。もっとどんどん甘ったるくしていててほしい。Cuvieの読切「あいあんめいでん」は、超厳格で超金持ちな祖父を持つ女の子とラブラブ状態にある主人公が、その祖父の執拗な追撃をかわしつつエッチしようとする……という内容。ドタバタ感のあるお話を展開しつつ、ちゃんと青春ラブコメに仕立て上げてくる腕前はさすがの隙のなさ。この人は本当にコンスタントだし、汎用性が高い。
【雑誌】別冊ヤングマガジン 9/1 No.17 講談社 B5中
前川かずおによる「逆転裁判」の漫画版がスタート。1回めはまあ普通かなあ。それなりにまとまってはいると思う。ただゲームのほうをやったことがないんで知らないけど、たぶんこれはゲームでやったほうが緊迫感ありそう。押見修造「デビルエクスタシー」は最終回。この人が以前描いた「アバンギャルド夢子」はけっこうぶっ飛んでて面白かったが、この作品はもう一つピンと来なかったかな。ちょっとクセのある作風で、面白いモノは持っている人だと思いますが。
新井英樹「RIN」は相変わらず面白い。今回は立石譲司がリンに大して強引に試合を挑みに来る……という展開。立石のほうもリンに劣らずムチャをやっててちょっと惚れた。続きが早く読みたいけど、次号は2か月後なんだよね……。蓮古田二郎「しあわせ団地」。今回は夫婦がお互いに嘘をつきまくってるうちにだんだん頭がぐるぐるになっていく様子が、ヘンなテンションで面白かった。最近の「しあわせ団地」の中では一番笑えたかも。
ぢたま(某)「kiss×sis」。今回はあんまりサービスシーンはないけど、美人姉妹と主人公である弟の昔の話が描かれてて、かなりラブコメチックなお話ではあった。こういうお話を積み重ねていくと、ラブコメ的にずんずんよくなりそう。あと炭山文平「プラトニックインベイド」はやっぱ気になる作品。宇宙人女子、それから主人公が片想いしている女子が両方ともなかなかにかわいくてキャッチーなり。
【雑誌】ヤングジャンプ 8/31 No.37+38 集英社 B5中
先週木曜日に出てたんだけど買い忘れてた。作:外薗昌也+画:別天荒人「ガールフレンド」。今回はこれまでも何度か出てきたメガネ少女・戸川さんがメインのエピソード。戸川さんはちゃんとした彼氏・藤井がいるものの、エッチは拒否したまんま。そんな戸川さんは、同じように美少女なカノジョの芳川さんとのエッチに抵抗感を持っているメガネ男子・倉木と心を通じ合わせていくが……といった感じ。浮気寸前って感じの状態で、戸川さんと倉木がふらふらしている状態がたいへん甘酸っぱい。また今回も女の子たちがたいへん魅力的に描かれていて良いです。エッチっぽいことを描きつつも下品にならない、瑞々しい作画がお話によく合っていて毎回面白い。
ところで今号の巻末に「373ページ記載のURLに誤りがありました」っていうお詫びコメントが入っててちょっと面白かった。まあ誤植があったページは広告だったので校了が早かったんだろうけど、同じ号内のお詫びと訂正が載ってるというのは珍しい。ちなみに誤植内容は「http://」のスラッシュが1個抜けていたというものでした。
【雑誌】オースーパージャンプ 9月号 集英社 B5中
浅田寅ヲの読切「ダイナモ」が掲載がされててちょっと驚いた。お話のほうは、生活に疲れ果てて限界ギリギリの状態にあったシステムエンジニア職の男の部屋に、不思議な女性が現れて、彼を癒すという内容。と書くとエッチな漫画かなと思うかもしれないけど、別にそういう要素はなくて、親子の絆を描きつつきっちりまとめたヒーリングストーリーになっている。意外なところに出てきたなって感じだけど、誌面の雰囲気には合ってないこともないかな。
ふんわり「Do The RightThing」。才能はあるけど意思の弱い新婚ほやほやのボクサーが、奥さんの助力を受けつつ減量に挑戦していくというお話。このボクサーが奥さんのことを「もえニャン」と呼んでたり、もえニャンが試合前の旦那さんにコスプレしてエッチなサービスをして励まそうとするあたりはたいへん脱力感があるが、いちおう愛あるボクシングものとしてまとめてきてはいる。それにしても巻末の作者コメントに「やっと描きたい漫画が描けました」と書いてあったのはちょっと驚いた。そうか、ふんわりはこういう漫画を描きたかったんだ……。
この前、本編が終了した中西やすひろ「Oh!透明人間21」が今度は番外編、しかも袋とじで登場。今回は「Oh!透明人間あなざ〜宇宙編」ってことで、2100年の未来、宇宙ステーション内でいつものアレをやっている。本当にどこへ行ってもまったく変わらないなあ。平松伸二「東京UWF」。東京の裏の黒幕、三途の痛快活劇という感じのお話だが、相変わらず三途は妙な雰囲気のイタリアンな格好してるし、どうにも不思議な読後感。平松先生はコレをカッコイイと思ってやっているのだろうか……。あと作者コメントで「UWFというプロレスが昔あった。熱狂し、裏切られ、そんな気持ちがタイトル名になった」とあってちょっと笑ってしまった。
【雑誌】漫画アクション 9/5 No.17 双葉社 B5中
湯浅ヒトシ「耳かきお蝶」が掲載、と思ったら、今後の掲載は双葉社Webマガジンになるとの報が。紙でやってくれたほうが個人的にはありがたいんだけど……。古泉智浩「ライフ・イズ・デッド」は新連載。セックスすると伝染し、発病するとゾンビになっちゃう「ゾンビ病」にかかってしまった男が主人公な作品。けっこうたいへんな事態ではあるんだけど、とくにパニックになるでなく、日常は生ヌルく進行。ギャグでいくのかシリアスでいくのかはまだよく分からないけど、長編作品もけっこううまくまとめてくる人だし期待はできそう。
【雑誌】近代麻雀 9/15 竹書房 B5中
天獅子悦也「むこうぶち」。安永の昔なじみである、見せる面白イカサマをやるおっちゃんのエピソード。なかなかクセと愛敬があって面白いキャラ。ただ傀がからんでくると、問答無用で傀が勝っちゃうからなあ。しばらく傀を出さないで、安永メインで話進めるくらいのほうがいいかも……という気がしないでもない。まあそれだと地味ではあるけれども。
【雑誌】COMIC RIN Vol.21 茜新社 B5平
相変わらず安定して読める誌面ではあるけど、最近は東雲太郎とか、何人か人が抜けたので以前よりはいくぶん弱くなったかなあという気はしないでもない。ただ猫玄、関谷あさみ、乙、LEEあたりがコンスタントなんで、一定以上の満足感は常にありますが。今号では、ひねもすのたり「Read me!」あたりが良かったかな。生徒の実家である本屋でエロ本を買って弱みを握られた先生が、それで脅されて、彼のことを好いている女生徒とエッチすることに……というお話。ショートカットのめがねっ娘さんが初々しくてかわいい。メラメラジェラシー「夜の校舎で」は、独特の質感のあるロリ絵がいい雰囲気を醸し出す。あと綾乃れな「Sagrada Familia」は、つるぺた度の高いこの雑誌の中では巨乳さんが目立つ漫画。おねえちゃんキャラの柔らかそうな巨乳が、ぷるんぷるんと揺れてて良いと思います。
【雑誌】快楽天BEAST 9/15 ワニマガジン B5中
さめだ小判「めいどinぷあ〜」。この人は表紙も手がけているけど、カラーページの塗りが鮮やかでいなあ。ちょっと鳴子ハナハルを思い出す感じの質感。お話のほうは、零落してお坊ちゃんにぞっこん惚れ込んでいるメイド二人が、ビンボーになっても彼を見捨てず、その愛を得ようとご奉仕しちゃうにゃ〜んという内容。片やおっとりめがねっ娘系、片やツンデレ系と、どちらもなかなかかわいい。キレのある絵柄だけど肉感的でもあり、エロのほうも十分。この人も早く単行本出てほしいけど、まだページ数がそんなたまってないか。というわけでもっとどんどん描いていただきたい。
ナイロン「バットと少年」。この人も描線にキレがあってなかなかうまい。港町に住む少年の、年上の女性に対するほろ苦い恋を描いた物語。中盤の展開がなかなかエロっちくて実用度もあり。あと今号では、いーむす・アキ「いとしのみゆ先生」がわりと良かった。ぷにょぷにょした女体の描き方が上々で、主人公のモテぶりも甘ったるくてウハウハ感あり。
【単行本】「ハニーダーリン」 北河トウタ ワニマガジン A5 [Amzn]
2002年の作品から近作まで、新旧織り交ぜた単行本。以前からこの人の作品は好きだったけど、やっぱいいですな。キュートだけれどもきっちりエロいというのを、以前から変わらずキープしてて、コンスタントなクオリティ。基本ラインは変わってないけど、最近の絵柄はまた艶が増してきた感じで、カワイイ小娘だけでなく、アダルトな熟女もちゃんと描ける幅ができてきた。今回の冒頭に収録されてる「奥様は痴女!」なんかは、欲求不満気味の奥さまをムンムン色っぽく描いてていい具合。かと思えば「イノセント」ではツンケンしたお嬢さまキャラ、「サクラサクラ」ではやさしいお姉さんキャラ、「ハニーダーリン」では天然系めがねっ娘と、多彩なヒロインをいずれもそれらしく、かつかわいくエロく描きこなしている。ハードコアっていうほどではないけどちゃんとヌケるし、お話のほうも後味悪い作品はないので、エロ漫画ビギナーにも幅広くオススメできる。
8/14(月)……故事憂鬱
▼遅ればせながら見たアニメ最終回感想。本日は「西の善き魔女 Astrea Testament」[Amzn]。ヨーロッパ中世風のファンタジー世界を舞台に、女王の候補として祭り上げられた3人の女の子たちの運命、そしてその中の主役格であるフィリエルの純愛物語を描いていくといった内容。最初はわりとゴージャス感のある出だしで、途中まではフィリエルの幼なじみ男子がホモでサドの変態男爵に拷問されたり、彼が女装して女学校に忍び込んだり、フィリエルの友達になった女王候補なお姫様がやおい小説書いてたりと、なかなかぶっ飛んだ展開で面白かった。ただ中盤からラストにかけてはドタバタ片付けちゃった感じで、肩透かしな印象。設定は大きめだったが、未消化な部分も多かったので、できれば2クール使ってもう少しじっくりやって欲しかったところ。それが無理なら、最初のほうの路線をずっと続けてぶっ飛んだやおい話に徹しても、それはそれで面白かったかも。作画とかはまずまず良かっただけにちと残念。
【単行本】「秘密の新選組」2巻 三宅乱丈 太田出版 A5 [bk1][Amzn]
新選組の主要メンバーが、近藤のイタズラによって乳のできる薬を飲んでしまったことで、体だけでなく精神も女性的になってきてしまい、人間関係にじょじょに変化が生じていく。この巻では乳のせいでいろいろな関係がこんがらがってきて、よりドタバタ感が増して来た。三宅乱丈としてはぶっとび度は大人しめのような気もするけど、新選組物語としてはかなり妙なお話になっており、その点では意外性もあって楽しく読める。
【単行本】「不思議な少年」5巻 山下和美 講談社 B6 [bk1][Amzn]
人間の歴史にさまざまな形で関わってきた、超越的な力を持つ少年、そしてそれに関わった人々の物語を描いていく連作形式の物語。この巻はわりと淡々としたエピソードが多いかな。その中では、不思議な少年の研究をしている老民俗学者のエピソードが面白かった。不思議な少年自身は、力はあるけど透明な存在だが、彼が関わった人間たちの生き様、人情の機微は興味深い。
【単行本】「QUOJUZ」2巻 柏木ハルコ 小学館 B6 [bk1][Amzn]
おしまい。イケメンの弟が、突如できた3人の美人姉たちに振り回されながら生活していくというドタバタ同居コメディ。前作「鬼虫」が思いっ切り重い内容で、萌え要素が全然なかった分、今回は逆にものすごく軽めな方向に振ってきた。エロっぽい要素いっぱいのドタバタコメディということで、深夜ドラマの原作とかに向いた感じの内容だったと思う。安定感はあってそれなりに楽しくは読めた。ただ柏木ハルコらしい濃密なものを期待するとちと物足りないかな。
【単行本】「とかげ」1巻 灰原薬 一迅社 B6 [bk1][Amzn]
作者がウルトラジャンプで描いていた読切がわりと面白かったので買ってみた作品。主人公の少年の幼馴染みであり初恋の人でもあった姉貴分的女性が死んでしまうが、その体に死ぬことのできない魂「とかげ」が宿り、二人の奇妙な関係が始まっていく。とかげを狙って刺客もやってきてバトルもあり。灰原薬の作画は描線がシャープできれい。それもあって、お話的にはもう一つ迫力が足らんかなあとは思うものの、まずまず楽しく読めはする。ただ2巻以降を買うかどうかは微妙なラインかな。
【単行本】「水精」 花輪和一 ぶんか社 A5 [bk1][Amzn]
花輪和一の日本中世モノはやっぱ面白いですなあ。昔の風景の中に、ギンピカの宇宙人っぽいものや、異生物がからんでくる摩訶不思議な物語は、気持ち悪いけど愛敬があって素晴らしい。20年ぶりの復刊とのことだけど、その描写には今見ても全然古びない力があふれている。最近は「刑務所の中」など現代モノも多かった花輪和一だけど、またこういう中世モノもガンガン描いていってほしいなあ。
【単行本】「平田弘史道劇画傑作選 壱 三十三間堂外伝」 平田弘史 秋田書店 A5 [bk1][Amzn]
「首台引受人」「弑逆の武人」それから「三十三間堂外伝」「歪」を収録。「三十三間堂」は超人的なまでの弓比べに命を賭けた侍の生き様を描いた物語で、その本編については、1月1日の日記に感想を書いた「弓道士魂」の感想を参照のこと。外伝は短編ではあるけど、それでも「通し矢」の凄絶さは伝わってくる。「弑逆の武人」は斎藤道三の立身出世伝。いずれの作品も、平田弘史のガッシリした作画に支えられて、短編ながらもちゃんと読みごたえのあるお話にはなっている。間違いのない安定した味わい。
【単行本】「サルタン防衛隊」 高寺彰彦 講談社 A5 [bk1][Amzn]
原作:大友克洋の「DOG★AFTERNOON」「サルタン防衛隊」、原作:高千穂遙の「髏璃威堕 参上!」の3作を収録。発表時期は1982〜1984年とすでに20年以上も前だけど、大友克洋譲りの作画力は今見てもうまいなーと思う。まあ華という点では大友克洋のほうがやはりあると思うけれども。「サルタン防衛隊」自体は今回で3回めの単行本化。3作はそれぞれヤクザ&チンピラ、落ちこぼれ刑事、暴走族と、半端者たちが大活劇を繰り広げていくという内容で、事態がどんどん思わぬ方向へごろごろ転がっていくさまが愉快。
8/13(日)……これが味蕾だぜ!!
▼この時期になるとよく聞かれるんですけど、コミケは行きませんでした。ていうか例年行ってないです。並んだりするの面倒くさいんで……。
とはいえ夜は酔拳の王 だんげの方のだんげろうずさんに誘われて、最近の漫画系サイトの人たちの飲み会に混ぜてもらってきました。参加された方については2006/08/14@フラン☆Skinの記述が今のところ一番詳しいでしょうか。参加者の人たちはほとんどが初対面。たいていが20代で、自分より若い人ばっかだったんでウザがられたりしなきゃいいがなあ……とか思ったりしてましたが、皆気のいい人たちばかりで、リラックスして飲酒・談笑できました。
【単行本】「鈴木先生」1巻 武富健治 双葉社 A5 [bk1][Amzn]
待望の単行本化。現在漫画アクションで不定期掲載されている作品なんだけど、すごく変わった味のある作品で、最近とても楽しみにしている。本作は、とある中学校で2年生を受け持つマジメな男性教師・鈴木先生が、学校で起きるさまざまな問題に真っ正面からブチ当たっていくという物語。というとごく普通の学園ドラマに聞こえるだろうし、実際やってることは普通の学園ドラマだったりする。でも読んでみると分かる、いや読んでみないと分からないと思うけど、この作品の雰囲気はなんとも不思議なのだ。
本作品の最初のエピソードである「げりみそ」は、それまでマジメだった男子生徒が給食時間に突然下品な言葉を聞こえよがしに呟くようになって、それがクラスに波紋を呼ぶというもの。問題自体はたいへんちっちゃくて、まさにコップの中の嵐。しかし鈴木先生はその問題を非常に重要なこととしてとらえ、その男子生徒の気持ちを理解しよう、正しい教育的指導をしようと努力する。鈴木先生は非常に教育熱心で、普通にイイお話とも言える。しかし本作品のヘンなところは、問題のスケールと比べて、その描写が余りにもシリアスすぎる点にある。たかだか給食を食べるときのマナーの問題でしかないのに、先生も生徒もそれがあたかも人生の苦悩、一大悲劇であるかのように接していく。キャラクターの表情も、サスペンスドラマかのような深刻なもの。そんな過剰なシリアス展開が連続していくうちに、思わず知らずそのペースに引き込まれていってしまう。
第二エピソード「酢豚」も大変。給食のメニューから酢豚をなくすかどうかという問題に、鈴木先生が誠心誠意対処していく。これもまた人の生き死にや社会正義でもかかってるのかってな感じの、おっそろしく真摯なノリ。絵柄もやたらシリアス。あんまりにもマジにやられるので、かえって「これはもしかしてギャグでやってるんだろうか……?」という想念が頭をもたげてきてしまう。しかしやってることは真面目そのものな教育漫画なので、これをギャグととらえて笑っていいものなのか、それともこっちも真摯に受け取るべきなのか、ものすごく迷ってしまう。しかも第三エピソードである「教育的指導」は、普通に大きな問題なのでそのノリが似つかわしくて、これがまた判断を迷わせる。
本作品では、これ以上ないってくらい日常的で地味な出来事を取り上げている。それなのに、どう受け止めたらいいのかたいへん惑わされる。読んでいると、自分の認識のゆらぎというものをすごくありありと実感できる。「この漫画はいったい何をやろうとしているんだろう」と、読んでいる間中、すごくワクワクするような不安なような、不思議な気持ちにさせられた。絵柄的には親しみやすいほうではないし、妙な作品なので好き嫌いは分れるかもしれない。でもほかにはないものを持った作品であることは確かなので、興味を持たれた方は、ぜひチャレンジしてみてほしい。
【単行本】「殺殺草紙 大江戸無残十三苦」 駕籠真太郎 太田出版 A5 [bk1][Amzn]
以前平和出版から「殺殺草紙」というタイトルの単行本が出ていたが(感想は2004年5月7日日記参照)、それとは別物の単行本。こちらも時代劇系のギャグであることには変わりないが、短編でグロ系のネタで遊び倒すギャグを展開。女人の膣を使ったガシャポンとか、体にボタンをやつぎあてをつけてそれを自在に操る忍者とか。いつもながら駕籠真太郎の無残ネタを使った人体いじりギャグは強烈で、それで遊びまくっちゃう乾いた笑いのセンスもさすが。最初は忍者の作ったつぎあてが、自己増殖を初めていって、人間のありとあらゆる穴をふさぎはじめる……といったあたりのネタも面白かった。まあ自分はこのノリにすでに慣れちゃってるので、もう少しドギツくてもよろしいかなあなんて思っちゃったりはしますが。
【単行本】「からくりサーカス」43巻 藤田和日郎 小学館 新書判 [bk1][Amzn]
ついに最終巻。ずいぶん長い物語になったけど、最後はきれいに終わった。しろがねが最終的にナルミと結ばれて、とびきりの笑顔を見せるシーンあたりではやぱり感動させられた。あとそのほかのサブキャラや、最古の自動人形たちの活躍も印象に残った。まあ途中で展開がダレ気味になったり、フェイスレスが最後でヌルくなっちゃったり、設定が都合良すぎかなーと思えちゃったりと、ちと残念な点もあったりはするけれども、やはり局面局面での爆発力は凄かった。それを見られただけでも満足できるし、締めくくりもきれいで、総じて面白い作品だったと思う。あとこの次についてだけど、藤田和日郎は大長編と短編はすでに描いてるんで、今度は5〜10巻くらいで終わるような中編も描いてほしいなーと思います。
【単行本】「おとなチャレンジ」3巻 米餅昭彦 双葉社 B6 [bk1][Amzn]
人妻好きが高じて保育園の保父になった主人公・栄治。人妻喰いは順調に進んでいて、園児のお母様たちとやりまくっていた栄治だが、新しいヨン様似の保父がやってきてウハウハな地位が奪われかけてピンチ!といったところ。米餅昭彦にしては軽めな作品だけど、きっちり楽しくエロコメしてるなとは思います。
【単行本】「これが未来だぜ!!」 古泉智浩 青林工藝舎 A5 [bk1][Amzn]
「変身エロイダー」「四番目の男」「巨大戦闘メカ ガロハロ」「ヘルレイジャン」「ヘルレイジャンII」を収録。「てきとうなSF&ホラー作品集」と帯に書いてあるけど、たしかにてきとう感にあふれた作品が多く、生暖かい空気が漂ってて独特な面白みを発揮。「変身エロイダー」は主人公の少年が、エロで興奮してそのパワーで変身ヒーローとなって戦うという話だが、仮面はまるでパンツかぶってるみたいだし、攻撃方法も股間の筒をこすって中から出てくる液で敵を溶かすとか。見るからに情けない外見だし、倒す敵も加藤鷹みたいな感じ。ヒーローものなのにあんまり盛り上がらず、ただまったりとくだらないことやってるだけという感じがしてしまうあたりが面白い。「四番目の男」も超能力を与えられた平凡な人たちが集まってうだうだしてるだけみたいな感じで、これまたやる気なさげ。
全般にだるそうなんだけどお話自体は軽妙でもあり……という不思議な感覚が、見てて楽しい。登場人物たちは脂汗かいてることが多いけど、作品全体の雰囲気も、汗に湿ったTシャツみたい。ほのかにじっとりした生ヌルさが味です。
【単行本】「金平deR」 金平守人 エンターブレイン B6 [bk1][Amzn]
相変わらずむちゃくちゃ器用だなあ……。最初っから嘘萌え漫画を描いたと思ったら、学習漫画風にしたり、他人の漫画パクッたり、とにかくいろいろ技が多彩。そしてうまい。「失踪日記」風に描いた森薫サイン会レポ漫画なんか、表情があまりにも本家っぽい。あといきなりやった叙情系の読切っぽい作品もなんかすごい完成度高かったりする。ギャグもいちいちヒネりが利いてて、何をやってもうまい。だけどそこにいくぶんかの照れが入ってしまうのが、なんともこの人らしいところで。含羞の技巧派とでも申しますか。
【単行本】「おうちでごはん」2巻 スズキユカ 竹書房 A5 [bk1][Amzn]
料理大好きな大学生男子カモくん、それからその周囲の人々の生活をほのぼの描写した作品。カモくんはたいへんマメな性格で、いつも料理を作ってはみなさんに振る舞ったりしている。絵がきれいで微笑ましく仕上がっている。ただレシピがいまいちよく分からんのと、カモくんの作る料理がちまちましている点はちょっと物足りないかな。大学生で男だったら、もっとこう、肉の塊でも買ってきて、ガーッとぶったぎってゴーッと焼いてもりもり食え、とか思ってしまったりもする。
【アンソロジー】「猫本」 講談社 B6平 [bk1][Amzn]
発売は4月だったのだが、なんか読まないままほったかしてた。23人の作家がねこ漫画を描いた本。作家の顔ぶれは、講談社BOOK倶楽部のページとかを見ても分かるとおりなかなか豪華。ただどの作品も短くて、普段各作家が描いている作品と比べると一段落ちることは否めず。正直なところあんまり面白くはないかな……といったところ。
8/12(土)……エコ飲み屋
【雑誌】コミックビーム 9月号 エンターブレイン B5平 [Amzn][定期購読:7andy]
森薫「エマ」の番外編がスタート。「エマ」の登場人物を用いた読切短編連作形式で、今回はケリーさん(エマの最初の勤め先の奥さまですな)の若い頃のエピソード。ケリーさんの夫がまだ生きていて、若夫婦だったころの物語。このころも目ツキはきついけど、やっぱり美人だったんだなあとか改めて思う。彼女が夫にキスされて顔を赤らめてるとこなんて、たいへん見事なツンデレっぷりじゃないですか。今回は前編なのでまだ続きもある。若ケリーがどんな姿を見せてくれるのか、たいへん楽しみなところであります。
三宅乱丈「イムリ」は連載2回め。世界観をすっかり理解するまでには時間がかかりそうだけど、すごく本格的に壮大なファンタジーをやろうという意気込みは伝わってくる。また世界設定自体もありふれた感じじゃなくて、オリジナリティがある。どんなふうになるかは全然予想がつかないけど、これは見てるとなんかワクワクさせられる。うまくやっていけば読みごたえのある、とても面白い作品になりそう。期待してます。
入江亜季「群青学舎」。素直になれない父と娘の間をその面倒を見てる青年が取り持つ。娘さんのうるうるした感じの目つきが良いです。あんたいい女になるぜ、って感じ。あとお父さんが渋めのメガネ男なので、こちらもそちら方面の人には萌えポインツであろうなあと思います。志村貴子「放浪息子」。クラスの演劇でマコちゃんがやけにおしいところをゲット。うーん、くじ引きで役を決めるというのはちと無情ですなー。がっくりしまくりの千葉さんがかわいそうだが、マコちゃんの活躍が楽しみ。ただ心ない男子に馬鹿にされたりやしないかと心配でもあり。
竹本泉「よみきりものの2 どっちもどっちW」。全然見分けがつかない双子のめがねっ娘さんと、彼女たちをなんとか見分けようと頑張る男子のお話。今回は何気にラブコメ度が高いかもしんない。同じ顔だから当たり前だけどどちらさんもかわいいです。あと今号には仲能健児が久々登場。「ンガリ」というタイトルで読切。マイペースでいかにも仲能健児な作品だが、8ページと短いのが残念。
【雑誌】ビッグコミックスピリッツCasual 9/11 No.13 小学館 B5中
金田一蓮十郎が読切で登場。「リトル・リトル」。まだ恋愛というモノがピンと来ず、漫画のキャラに夢中な女の子が、クラスメートの男子が自分のことを好きだと聞いて、そういったことをちょっと意識し始めるようになる……といった感じのお話。まだウブな女の子の様子が微笑ましくて、きれいにまとまった作品。この人はこういった恋愛系のお話もうまいっすねえ。絵柄的にもキュートだし、少年誌、青年誌、少女誌、女性誌どれでもイケそうな汎用性がある。
天井知子「先生と一緒」。とある雑誌で自分にそっくりなキャラが主人公のエロ漫画が連載されていると知った女教師。それを描いているのがどうも自分の学校の生徒らしいということが判明し、彼との間にちょっと変わった関係が構築されていく……というお話。ライトな絵柄がなかなかかわいらしく、お話としても楽しく仕上がってると思う。絵柄的には最初誰かに似てるなーと思ったんだけど、ちょっと考えてみて小池田マヤに似てるなと思い至った。小池田マヤが「バーバーハーバー」とかほのぼの系作品を描くときのシンプルめな絵柄に近い。
【雑誌】ビッグコミックオリジナル 9月増刊号 9/12 小学館 B5中
巻頭カラーは石塚真一「岳」。これまでは山岳救助員の仕事を嫌がっていた椎名さんだが、だんだんその仕事の重みが分かってきて、少しずつ成長してきた。助ける者助けられる者のドラマがしっかり構築されていて毎回読みごたえがある。面白いです。村上かつら「ラッキー」。毎回良い具合に家族ドラマを展開しててホロッとさせられる。犬ロボのラッキーは低機能ながらもかわいいし。唐沢なをき「けんこう仮面」。唐沢先生がデブ大国、アメリカの食生活について取材。アメリカンの食いっぷりについては、聞けば聞くほど興味が出てきますね。
井浦秀夫「AV烈伝」は最終回。これまで登場した人々のことを振り返ってきれいにおしまい。この作品を通してディープな人たちを観察し続けたことで、井浦秀夫自身の作風もだいぶ幅と奥行きが増したと思う。最近はさすがにやり尽くした感はあったけど、興味深いエピソードも多かったし、いい作品でした。さそうあきら「宇宙人スズキヨシコさん」も最終回。さすがにさそうあきららしくきっちり最後まできれいにまとめてきている。これは単行本でまとめて読みたいところ。あとジョージ秋山「銭ゲバの娘 プーコ」も最終回だったが、これもまたジョージ先生らしすぎる。銭ゲバの娘である風子が、脈絡もなく大金持ちになって銭ゲバの会社乗っ取っておしまい。すげ〜。豪快にぶん投げた〜。あり得ない展開ではあるけど、ジョージ先生だから仕方がない……と思わずにはいられないところがスゴい。
【雑誌】週刊漫画ゴラク 8/25 No.32 日本文芸社 B5中
土山しげる「喰いしん坊!」。喰いワングランプリ序盤戦の攻防。満太郎はおでん部門で、かつて自分をハメた相手と対決するがまったく問題なく勝ちそう。それにしても満太郎の喰い方って、やっぱ邪道喰いとそう大差ないよなー。串に刺してるおでんを分解する時点で、ちょっとどうかと思ってしまう。そもそもおでんを冷ますという時点で、おでん本来の醍醐味を損なってる気がする。おでんならまだいいけど、これが鍋料理だったら冷まして食べるのは明らかに邪道だと思うし。邪道側はおでんを水につけて冷ましてるけど、これを冷やしたおでん汁あるいはだし汁につけて食べるとかにしたら、今回の満太郎よりは邪道度は低い気がしますな。一方、ハンター錠二はカツ丼部門。OKFFのメンツがカツ丼に水をかけて喰ってたりするけど、トンカツ茶漬けがあるくらいだから、これだって別に悪くはないんじゃないかなあとか思ったり。とまあいろいろ考えてみたが、このように邪道喰いについて真剣に考えさせられている時点で、自分はこの漫画の術中に完全にハマっているんだと思う。
【雑誌】ヤングキング 9/4 No.17 少年画報社 B5中
森見明日「ラブ・ぽっ!」。今回もサービスシーン多めで好調。知音ちゃんの巨乳ぶりが良いなあ。あと千夏子部長のキックもますます豪快。あと今号から、山東ユカの4コマ新連載「カテゴリ/テリトリ」が始まっている。そういえばデビューはヤングキング本誌だったんですな。
【雑誌】ビジネスジャンプ 9/1 No.18 集英社 B5中
三宅乱丈の読切「ゴンベさん」が掲載。夏休みを利用して夫の実家のある田舎町にやってきた家族。そこには「ゴンベさん」と呼ばれる近所の子供たちに人気のあるおじさんがいるのだが、主人公である主婦にはそのゴンベさんがどうも人外の化物にしか見えない。そしてその町で起きた誘拐事件を機に、彼女のゴンベさんへの疑念は高まっていくが……。一見心温まるホームドラマ風に始まるのに、ゴンベさんはかなりキモいし、何気にかなりヘンなお話。ビジネスジャンプらしくはないけど三宅乱丈らしくはある、なんだか不思議な作品。
甲斐谷忍「ONE OUTS」は最終回。最後はリカオンズの面々が成長し、渡久地に頼らず自分たちの力で勝利を勝ち取る。スッキリとした締めくくりではあったけど、終盤のほうはお話的にはちとネタ切れ気味だった。お話的にはやっぱり雨中の反則合戦試合のあたりが一番面白かった。球界再編がらみの話が入ってきてからはやっぱパワーダウンしちゃったかな。ただあの反則合戦の試合を描いただけでも、野球漫画史に残る作品にはなったと思う。アレは毎回驚かされたし。
【雑誌】ネムキ 9月号 朝日ソノラマ A5平 [Amzn]
TONO「チキタ★GUGU」は物語が最終盤にさしかかってきて、ますます切なさが増してきている。ラー・ラム・デラルとチキタはますます離れがたくなってきているのに、運命は無情。ラー・ラム・デラルの笑顔が心にしみます。いやー、これは最終回とかになったらかなり泣ける展開になりそうですなあ。この先がとても気になるけどネムキは隔月なんだよなー。そして単行本出るまでがこれまた長いんだ……。
岩岡ヒサエはネムキ初登場。「ひきだしの中」。子供ができたばかりの仲睦まじい夫婦と、彼らにもたらされた運命の物語。16ページと短いけどちょっと切なくも優しく暖かいお話に仕上げてあって、読後感の良い作品となっている。誌面の雰囲気にも合っていると思うし、またこんな感じでときどき登場してもらいたいところ。伊藤潤二「闇の声」シリーズは最終回。今回の「闇の絶叫」は、道端で元恋人を呪う歌を歌っている女性ストリート・ミュージシャンが主人公。彼女の歌を聞いた者の頭の中では、その歌が常に鳴り響く状態になり、しだいにノイローゼ状態になっていってしまう。特定の歌が耳から離れなくなって延々と頭の中でリフレインするというのは誰でも経験があることだと思うけど、そういう普遍的な経験をホラーに仕立て上げちゃってるのはやっぱりうまい。歌詞もインパクトがあって、しっかり怖い。
【雑誌】別冊マーガレット 9月号 集英社 B5平 [Amzn]
永田正実「恋愛カタログ」が久々に連載再開してうれしい。1回1回がすごく面白いってわけではないんだけど、やっぱりこの本にはこれがないと……という気がする。河原和音「高校デビュー」。毎回面白い。ヨウが新入生にモテモテになるが彼女がいるということが明らかになってモテ状態が沈静化。しかし今度は、晴菜のほうが逆にモテ状態に。展開的にはストレートすぎるくらいストレートだが、これまでとはまた違った展開なんでこれはこれで楽しい。晴菜は無防備だし、良い娘さんだからその気になったらそりゃーまあモテましょう。別マの中では「息子の嫁にしたいおなご」No.1かもしれませんな。
【雑誌】comic天魔 9月号 茜新社 B5平 [Amzn][定期購読:7andy]
通巻100号ということで3大特典つき。12作家によるカラーイラストってのはまあいいとして、特別付録のうるし原智志B1リバーシブルポスターがすごい。B5版で見てもすごいあのイラストがB1サイズだもんなあ。マジでデカい。乳部分に手を当ててみたけど手に余った。毛もこれ以上ないくらい堂々としている。凄い。あと応募者全員サービスでうるし原智志等身大抱き枕と表紙テレカもあり。この抱き枕はきっと置き場所に困る。でも応募する人はそんなこと先刻承知であろうことは疑いない。
で、漫画のほうでは木静謙二の新連載「Mix Edge」がスタート。普段は快活だけど実は多重人格な姉が、家や学校でエッチな別人格を発動させ、主人公である弟さんに迫ってくるというラブラブ姉エッチ漫画。木静謙二ならではの濃厚なエロ描写はさすがにいやらしく、おねいさんもなかなかに美人。この連載は楽しみです。まぐろ帝國「家庭の事情」。コミケでコスプレエロというネタだが、今どきアスカと春麗なのか……。
大和川「とらべるとLOVEる」。南の島に旅行中のカップルがらぶらぶH。この人の絵柄はピチピチしてて快活で良いです。彼女さんも乳は小さいけどツンデレ感があってなかなかかわいい。RaTeは天魔初登場。「だいじょうぶ?お姉ちゃん」。得意の姉モノで汁もたっぷり。この人ももうエロ漫画ではベテランの域だけど、絵は古びてないっていうか、独自のモノがしっかり確立されててたいへんコンスタントだなあと思います。
8/11(金)……木刀様
▼ようやく見ました的アニメ最終回感想シリーズ。本日は「女子高生 GIRL'S-HIGH」[Amzn]。最後まで大きなクライマックスはない日常コメディ系の話なんで、別に最後まで見なくても良かったんだけど、まあ乗りかかった船だし、肩が凝らず気楽に見られる明るく楽しい作品に仕上がっていたとは思う。今どきの女子高生さんたちの生活を、明るく快活にカラッと描いてたし、アニメとしての出来もまずまず。監督はふじもとよしたかだけど、この人は手堅いですなあ。トンガったことや超ハイクオリティって感じではないけど、手許にある材料をきっちり生かして、過不足なくまとめてくる腕前はなかなかのもんだと思う。なんか職人っぽさを感じる。あとこの作品はエンディングが良かった。本編とはガラッと絵を変え、梅津泰臣タッチバリバリ。最近はキャラが踊るエンディングってけっこう多いけど、このエンディング踊りはその中でもかなり印象に残った。いかにも普通の女子高生が、とくに練習もしないで適当に体を動かしてるって感じがよく出ていたし、絵も美しかった。個人的にはハルヒ踊りよりもこっちの踊りのほうが好きでしたなあ。
【雑誌】ヤングアニマル 8/25 No.16 白泉社 B5中
堀江智宏「フェルマーが笑ってる」は最終回。科学部部活漫画で、生ヌルい文系部活っぽさとラブコメ感があってまずまずな作品ではあったが、もう一つ地味だったかもしれませんな。垢抜けないながらラブコメ色も強くてちょっと面白かったんだけど。作:雑破業+画:竹内桜「ちょこッとSister」。管理人さんは無防備だなあ。あと巨乳だなあとしみじみ。八神健「ふたばの教室」。ちびっこ先生ふたばが担任をやってるクラスで、ラブラブカップルが出現。でも小学生同士ってことで周囲のみんなもひやかしたりして、いろいろ難しい事態に。それはともかくとしてめがねを外すとカワイイ女生徒さんの様子にはトキめくものがありましたよ。
【雑誌】ビッグコミックスペリオール 8/25 No.17 小学館 B5中
作:桂望美+画:今谷鉄柱「県庁の星」は最近わりと好き。ヒロイン格である二宮さんがけっこうツンデレ感があって良いです。ロドリゲス井之介「世界の中心でくだをまく[仮]」。スピリッツでは石原まこちんとの合作漫画をカラーでやってたけど、今度は石原まこちんが1ページ分ゲストでこっちにも登場。こっちはモノクロだけど。それにしてもV論尊先生はあっちでもこっちでも大活躍ですね。
【雑誌】コミックバンチ 8/25+9/1 No.37+38 新潮社 B5中
原哲夫「蒼天の拳」アニメ化のおしらせが。まあ当然あるだろうなーとは思っていましたが。春日光広「サムライ刑事」。わいせつ産婦人科に潜入捜査……というお話なんで、ちょっと色っぽい。でも春日光広だけに、また生殺しで終わるのであろう。生殺し一本でここまできているだけに、さすが熟練の生殺しっぷり。
【単行本】「僕と王様」 にしかわたく 東京漫画社 A5 [bk1][Amzn]
ぬおー。まさかこの人の単行本が出よるとは。四季賞やちばてつや賞で入賞したがその後忽然と消えてしまった作家、にしかわたくの初期作品風。「僕と王様・蜜街」「ペロンの降る夜」「ノーチェ・ブエナ」「イレブン・イヤーズ・オールド」「魂拾い」「僕と王様」を収録。一番最近の作品で2000年、古いので1993年と漫画についてはまさに幻っぽい作家さん。絵のほうはコミカルな造形なんだけど、どこか薄ぼんやりした影のある、叙情的なタッチが特徴。そんな絵で、ファンタジー心のあふれる、ギュッと胸にしみるような寂しさを含んだお話を描いており、印象に残ります。丸っこい絵柄なんだけど、この人のタッチには不思議な情感と色気がある。商業誌でバリバリやっていくというタイプの絵柄ではないかもしれないけど、一枚絵も味があるし、面白い才能だと思う。
【単行本】「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」13巻 安彦良和 角川書店 B6 [bk1][Amzn]
この巻はルウム編の前編。あのヒットラーのしっぽのギレンさんが、大それたことやらかしちまいましたよ! ガンダム本編だとすでに終わったことだったからそんなでもないけど、実際やってるとこ見ると、本当ヒドいよなーと思いますね。コロニー落としは。シャアさんもやろうとしたけど、しょせんギレンさんの二番煎じですからなあ。ギレンさんの恐ろしさが身にしみて分かります。ただ結局はあんなことやっていつつ負けちゃったわけだから、一軍の将としてはもう一つだったのかもしれないけど。あとこの巻では、結果的にギレンさんの片棒を担いでしまって葛藤するドズルさん、そして武人としてその行いに反抗したランバ・ラルの二人にも注目。ドズルさんは少し男を下げたが、やっぱりイイ男であることには変わりない。一緒に酒を飲みに行きたいガンダムキャラNo.1の座は揺るがず(自分内)。
【単行本】「Canvas2〜虹色のスケッチ〜」4巻 作:FC01・FANDC.CO.JP+画:児玉樹 角川書店 B6 [bk1][Amzn]
これが本当の最終巻。本編のほうは3巻の時点でほぼ終わっていて、4巻は番外編中心の構成。本編では出番の少なかった女の子たちにスポットを当てて読切をやってます。児玉樹の絵はやっぱり明るくてかわいいし、暖かみのあるお話作りも良好。楽しく読めるおまけ巻だった。ただ番外編は全般的に見ると、美術部部長女子である竹内さんメインの話が多かったなーという印象。このキャラも好きではあるんだけど、萩野可奈、美咲菫、そして桔梗霧先生メインの話も欲しかったなーって気はしました。とくに霧先生は本編ではちとかわいそうな役回りだったんで、アフタフォローがあると良かったかなと。とはいえ柳にくれてやるには惜しいおなごだとは思う。
【単行本】「愛気」3巻 ISUTOSHI 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]
何気にけっこう面白い格闘漫画。本来自分的には、この作品の主人公である承久みたいな「高所から余裕しゃくしゃくで人を見下ろして分かったようなコトいってるキャラ」ってのはあんまり好きじゃないんだけど、この作品の場合はあんまりそれが不快な感じはしなくて、むしろ承久の強さが痛快に映る。なんか飄々とやっていながら強いってのがなんだか妙に小気味よい。あと格闘シーンの動きの描写も、オリジナリティとキレがある。連載ぺースはちと遅いけど、けっこう楽しみにしている作品。
【単行本】「めっちゃキャン」1巻 作:九十九森+画:国広あづさ 秋田書店 新書判 [bk1][Amzn]
以前「七人のナナ」の漫画版を手がけた国広あづさの最新作。……なんだけど絵柄変わったなあ。「七人のナナ」のときは、出てくる女の子がわりと太めでぷにぷに感のある、垢抜けない感じの絵柄だったんだけど、この作品ではだいぶそれがスッキリした印象。でもまあ内容的にはこっちの絵柄のほうがあってるかな。お話は築地で仲卸をやっているおうちの娘さん、女子中学生の天海いちごが、海産物のおいしさを人々に伝えていく。いちごは魚河岸育ちらしくチャキチャキで威勢の良い娘さん。魚介類については相当な目利きで、そんな彼女の選ぶ素材は海産物に偏見を持った人もぶったまげるほどの美味しさだべらぼうめぃ、ってな感じのお話になっている。ネタ的にはさほど驚くようなものもないし、出てくる料理もまっとう。目立つわけってほどじゃないけどけっこう手堅く、普通に楽しめる一作。
【単行本】「シスプラ」 狩野蒼穹 コアマガジン A5 [Amzn]
ほのぼのしたロリ系漫画で楽しい作品をコンスタントに描いている狩野蒼穹の最新巻。単行本タイトルどおり、兄妹、姉弟によるラブラブ話が多め。普段は内に秘めてるけど、兄あるいは弟さんのことが大好きな女の子さんが毎回かわいく、ぷにぷにした絵柄も親しみやすく、かわいくてよろしいです。あまり下品にならずほんのり甘いって感じで調理したお話も、暖かみがあってグッド。まあ実用っていう観点からいうとヌルいけど、ないものねだりしてもしゃーないんで、ここは一つその甘ったるさ、かわいらしさに浸るのが吉。