7/31(月)……株基調
▼OHP月極アンケートのテーマ入れ替え。8月のテーマは 「変身ヒーロー・ヒロインもの」です。わりと単純明解なテーマだとは思うんですが、「変身」と「変装」の境界線がちょっと難しいかも。例えば「ルパン三世」みたいなのは「変身」というよりは「変装」であり、今回のテーマとは違うっぽい気がしますし。コスプレというのもちょっと違うかな。まあ解釈はある程度ユルめにしておいて、「これは面白い」って作品に投票してみてください。あんまりハズれるようだったら適宜個別対応しますので。それでは8月分もよろしくお願いします。
また7月分の「剣と魔法系ファンタジー世界漫画」は締め切りました。実施前はこのテーマだったら1位は「ベルセルク」がぶっちぎるだろうなーと思ってて、それも「剣と魔法」というテーマをこれまでやらなかった原因の一つではあったんですが、やはり予想通り「ベルセルク」は1位に。ただ同数でおがきちか「Landreaall」が並んだのはちとびっくり。まあここのところ「ベルセルク」の勢いが落ち気味、「Landreaall」が上がり気味というのも影響したんでしょう。あと中盤からは「ドラゴンクエスト ダイの大冒険」が伸びてきましたな。個人的にはこのジャンルだと、画:山田章博+作:水野良「ロードス島戦記 ファリスの聖女」[bk1:1巻/2巻][Amzn:1巻/2巻]はぜひ読んでみていただきたい作品なんで、機会があったらぜひどうぞ。感想は2001年11月11日の日記にあります。
【雑誌】ヤングマガジン 8/14 No.35 講談社 B5中
オジロマコト「カテキン」が巻頭カラー。今回は珍しく家庭教師のナナ先生が、サチ君と一緒にお勉強を頑張る。ってなわけでいつもよりお色気は抑えめといえば抑えめだけど、先生のナイスバディは冒頭で拝めるし、頑張ってるナナ先生はそれはそれで魅力的。あと主人公男子・サチくんの同級生である女の子もなかなかかわいい。鮮烈な華のある作画はやっぱり文句なしに魅力あります。
【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 8/14 No.35 小学館 B5中
山本康夫の新連載「超人ウタダ」が開始。警察でとくにやる気もなくお役所仕事をこなしてきたウタダが、34歳にしてウタダの前世であると語る男から、自分の寿命があと1年と宣告される。ウタダは子供のころからイジメられっ子だったが、実は前世では何代にもわたって、秘められたものすごい力を好き放題にできるが35歳になったら必ず死ぬという人生を繰り返していたらしいのだが……というところからお話はスタート。ウタダも使おうと思えばその力を使えるのだが、そんな運命を拒否し戦っていくことを決意する。まあそんなわけで運命と戦う男の、アクション&バトルな濃い目のドラマが展開されていきそう。
で、次号からは松本大洋と浅野いにおが新連載。「ボーイズ・オン・ザ・ラン」「Fine.」と並ぶとやけにサブカルくさい感じもするけど、二人とも好きな作家さんなので楽しみにしてます。
【雑誌】週刊少年ジャンプ 8/14 No.35 集英社 B5平
久保帯人「BLEACH」。やっぱり井上さんはいいですね。恋する乙女って感じがバリバリに出てて良いです。乳もデカいし……。今回、いろいろあって眠ってる一護にひっそり別れを告げるシーンも、切なくてええムードでした。それにしても、いい娘さんなのに難儀な男に惚れてしまいましたな。
【単行本】「Dutch Doll」 松本充代 青林工藝舎 A5 [bk1][Amzn]
コミックビーム初出「Dutch Doll」「眠る空」、PHRYNE初出「浮遊するからだ」、ビザールマガジン初出「深く薄い肉に宿る」、計8話分を収録した作品集。掲載時期は1995〜1998年あたりだが、今読んでもすごい。とくに表題作の「Dutch Doll」は怖い。この作品はダンサー志望の平凡な女性・美和子が、よくドーナツ屋で見かける不思議ちゃん的女性に興味を持って後をつけるが、それがきっかけで彼女につきまとわれることになる。この不思議ちゃん的女の子はアカネと名乗るが、話をしてみたところ、かなり頭がおかしい女性であることが判明。そして美和子はやがてアカネ、そしてアカネを調教している女王様的女性からストーキングされ、ついには監禁されてしまう。松本充代の絵柄自体はスタイリッシュで上品なんだけど、それだけに一見普通だけど狂気に蝕まれた人たちがじわじわ迫ってくる感じが出てて、たいへんにスリリング。また美和子が彼女たちに選ばれたこともさほど大した理由はなさそうで、その理不尽さが怖さ、薄気味悪さを増幅している。しっとりした情感のある雰囲気作りが、この場合またじわじわ効いてくる。読んでいる間中ゾクゾクさせられました。
【単行本】「Juku−私の実録新宿歌舞伎町」 清水おさむ 青林工藝舎 A5 [bk1][Amzn]
漫画家・清水おさむの自伝的ストーリー。この人については「美しい人生」(感想は040307日記参照)まではほとんど知らなかったんだけど、一読するやとにかくその濃すぎる絵、お話に圧倒される。清水おさむ自身は漫画家になろうとして1970年に新宿に出てきたが、そこでヤクザにとっつかまったり、アニメーターをやったり、エロ劇画を描いてみたり……といった数奇な経歴を歩んで来ているのだが、その描写がいちいち強烈。ダーティ・松本「エロ魂!!」も凄かったけど、これもまたそれに負けず劣らずな抜群の濃さを誇る。基本的には事実を描いているのに、登場してくる人物たちがやたら濃いし、その激情あふれる描写は迫力ありまくり。また清水おさむ自身のさまざまな思い入れが誌面にこれでもかと満ちているのも凄い。パッと見は耽美的な感じもするけれど、その実はかなり泥臭いし脂っこくもある。読んでると濃厚さに酔っ払ったような感じになります。
【単行本】「愛しのかな」1巻 田中ユタカ 竹書房 B6 [bk1][Amzn]
これは良いです。田中ユタカといえば「愛人−AIREN−」で全力を出しきって以降の作品は、なかなか昔の調子に戻りきらない感じがあったんだけど、これは完全復調といっていいんじゃないでしょうか。
お話のほうは昔女の子が自殺して以来、廃墟状態になっていた古アパートに引っ越してきた、運のない青年・天野大吉が、幽霊少女のかなと出会って恋におちていく……という物語。かなは幽霊だけれども、なぜか大吉とは触れ合うことができる。最初は戸惑っていた二人だが、一緒に過ごし、肌を重ねるうちにどんどんお互いを愛しく想う気持ちは高まり、古アパートでの生活は愛にあふれたかけがえのないモノとなっていく。その様子が実に甘く、鮮烈に描かれてて素晴らしい。
かなは幽霊であるだけに、いつ消えてしまうとも限らない。想いが募れば募るほど、彼女が消えてしまうかもしれないことへの不安も高まり、その切なさがより今の愛情を深いものとしていく。ここらへんは「愛人−AIREN−」にも共通する要素がある。田中ユタカの甘ずっぱさたっぷりの作画は相変わらず美しいし、今回は感情表現も秀逸。二人がお互いを大事にしあって暮らしていく様子は、微笑ましいと同時にほろりとさせられもする。これだけ「愛しい」って気持ちに正面からぶつかって、ストレートにそれを作品に出して来れるっていのは、やはり稀有な才能であると思う。今後の展開がどうなるかはまだ分からないけど、二人が幸せになれるといいなあと素直に思える。
【単行本】「虹ヶ原 ホログラフ」 浅野いにお 太田出版 B6 [bk1][Amzn]
QuickJapanで連載されていた作品。虹ヶ原という町を舞台に、その地域の小学校にいた同級生たちの小学生時代、成長してから、また周囲の人々の行動を追っていく。彼らはそれぞれに複雑な想い、事情を抱えており、小学生時代の生活も息詰まるもので、大人になってからもそこから生じた苦悩などから解放されぬままに生きている。その一人ひとりの姿に迫りながら綴られていく、苦くて青くて息苦しい物語は力が入っててかなり読みごたえがありました。それぞれの制御できない厄介な感情を浮き彫りにし、醜いもの、汚いものも描きながら、全体としては美しくもある作品に仕上げているのは大したもの。なんかこの人はますます腕を上げてきてる感じがしますねえ。絵もうまくなってる。今度スピリッツで始まる新連載についても楽しみ。
【単行本】「新世紀エヴァンゲリオン 碇シンジ育成計画」2巻 高橋脩 角川書店 B6 [bk1][Amzn]
どうして碇シンジはこうもモテているのか……という感じです。今回は渚カヲルが転校してきて、シンジに露骨にひっついてくるので、アスカがヤキモチを焼いたり、綾波もドギマギしたり。楽しく学園ラブコメをやってて気楽に読めるのは良いです。林ふみのの「鋼鉄のガールフレンド」と比べると、こっちのほうがよりハーレム感は強いかな。
【単行本】「あいこら」4巻 井上和郎 小学館 新書判 [bk1][Amzn]
楽しくドタバタやっております。「フェティッシュ」というほどねちっこくはなく、毎回賑やかにコメディを展開。ハチベエのスケベなだけではない良いところもずいぶん見えてきたし。ヒロインキャラが多い分、ラブコメ展開が薄味になってしまっているのは否めないか。目の天幕さん、乳の弓雁ちゃんの二人がラブコメ的には中心となるも、ほかのキャラのエピソードもすっとばすわけにもいかないし。まあここらへんをどう転がしていくかにも注目。
7/30(日)……今日正義
▼アニメ新番組「イノセント・ヴィーナス」。1話めはまずまず。作画はキレイで、人物造形やメカアクション、背景描写もなかなかのクオリティ。お話のほうは1話の段階ではまだなんともいえないかな……。いわくありげな少女を連れてかっちょいい男2人が逃げてて、ときどきパワードスーツを駆使して戦ったりもするといった感じのお話だが、「整ってはいるけど退屈」といった作品になっちゃう雰囲気もあるかな〜という気はする。あとメインのあんちゃん2人と、女の子のキャラにもう一つインパクトが欲しい。
【単行本】「ヨイコノミライ 完全版」1〜2巻 きづきあきら 小学館 B6 [bk1][Amzn:1巻/2巻]
ぺんぎん書房倒産により単行本が絶版になってしまったきづきあきらの諸作品だが、ここにきて小学館とワニブックスから相次いで復刊。というわけでその4冊を再び読む。まずは「ヨイコノミライ」。ぺんぎん書房版では「ヨイコノミライ!」だったけど、小学館版では「!」が取れた。以前も感想は書いたけど、また改めて。
本作はとある高校の漫研を舞台にした学園青春ストーリー。というとヌル〜い文化系部活的日常が繰り広げられるのかなと思ってしまいがちだが、実際に読んでみると、これがえらく苦くてイタイ。その漫研は基本的に、類型的なオタクの見本みたいな少年少女が集まり、ほかの生徒たちからは馬鹿にされつつも、それなりに居心地のいい馴れ合い空間を作っていたのだが、そこに一人の美少女・青木さんが加わったことで人間模様が激変。そういったヌルいオタクたちに憎悪を抱く青木さんは、それまで部員たちが心の奥にしまい混んでいた、コンプレックスや虚栄心、トラウマなどをちくちく刺激することで人間関係のバランスを崩し、部活を壊滅状態に追い込んでいこうとする。
で、その様子を見ていると、もう実にイタくてキッツい。とくにこの漫研部員たちの行動が……。わざと類型化して大げさに誇張しているという側面もあるけど、オタク的人間だったらどこかに何かしら自分と共通する性質は見出しちゃうだろうキャラばかりなんで、美少女の青木さんがその性質を一つ一つ責めていく様子に「アイタタタタ……」となってしまう。例えば自分の場合は、「感想と批評の区別もつかない自称批評家」の天原くんとかを見てると、なんていうか、紙ヤスリで素肌をこすられてるような感覚に包まれてしまう。
そんなわけで読んでると他人事とは思えない部分が多いので、たいへん居心地が悪い。そしてこの人たちがどうなってしまうんだろうというのが激しく気になる。帯に『「オタク」と「腐女子」の姿をリアルに描き出した』とか書いてあって、「こんなのリアルじゃねーよ!」と反発を感じてしまう人もいるかもしれないけど、個人的にはそこらへんは漫画なんだしそこらへんはある程度大ざっぱに眺めたほうがいいかなあと思う。それよりは読んでいるといたたまれなくなるストーリーの底意地の悪さやスリルを楽しむのが吉でしょう。
そんなわけで「居心地が悪い」だの「イタイ」だの書いたけど、読んでいるとだんだんそのイタさに慣れてきて、それがマゾヒスティックな快感に変わってくるような感覚が、個人的にはあった。なんだかんだいってやっぱ引き込まれてしまうし、続きが気になる面白い作品だと思う。というわけで、8月発売の3巻、9月発売の描き下ろし120Pを含む最終4巻も楽しみに待ちます。
【単行本】「モン・スール」 きづきあきら ワニブックス B6 [bk1][Amzn]
こちらは2003年6月25日の日記に単行本発売時の感想があり。父親が失踪した後、二人だけで暮らしていた兄妹を巡る物語。兄・柾樹が信頼して留守や世話を任せていた親友・神田が、妹・美波と肉体関係を持っていたことを知った兄は激昂する。しかし、その後柾樹は小学生の妹をそのような行為に走るまでに追い込んでいたのが自分だと知り、神田は友を裏切ったこと、少女と肉体関係を持ってしまった罪悪感に苛まれ、美波も心の空虚を抱えたまま……という3人がそれぞれやりきれない状況に陥っていく。
ぺんぎん書房版発売当初は、「小学生ラブラブものかと思って手にとったら超鬱展開のお話なのでショックを受けた」的な反響もあった本作だが、改めて読み返してみてもやっぱりかなり苦い。お話が進むにつれてどんどん登場人物たちが追い詰められ、煮詰まっていく様子はキツい。ただその分たいへんズシッと来る読みごたえはある。ぺんぎん書房版はラストがどうとでもとれるような感じで、作者的には「あとは読者さんで考えてください」的なマルチエンディングを意識していたらしいが、今回の新装版ではエピローグ編もあらたに描き下ろしで収録された。まあこのエンディングはあくまで可能性の一つだろうけど、なかなかきれいにまとまってて「これはアリだ」と思った。
【単行本】「伝染コンプレックス」 きづきあきら ワニブックス B6 [bk1][Amzn]
こちらは同人誌時代の作品を収録した短編集「氷が溶けて血に変わるまで」「ぼくのためのきみときみのためのぼく」「針とオレンジ」から、10本をセレクトして再録し、描き下ろし「ノーカウント」を追加した作品集。このころや「モン・スール」のころの絵柄は、今の「ヨイコノミライ」のそれとはだいぶ違って、切り絵みたいな感じの太い線を組み合わせた独特の味わい。お話としては兄妹モノの作品と、身体に障害を持った人を取り上げた感じのお話が多い。いずれも重たくなりそうなテーマを取り上げ、読む者の心をざわつかせて刺激し、後味の良い話、痛くて甘い話、苦い話に仕上げていて、その腕前は大したもの。同人誌でこれだけきっちりした短編作品を、毎度コンスタントに仕上げて来ていたのは当時から感心していた。やはりいずれ出てくる才能だったんだなあと思う。とはいえ、ぺんぎん書房の倒産などで話題になったとはいえ、紙の商業誌における実績はまだ確固たるものとはいえない。単行本がまとめてガガッと出た今こそ、足元を固めて良い作品を作っていってもらいたいもんです。
【収録作品】「氷が溶けて血に変わるまで」「suicide note」「WHITE」「YELLOW」「BLUE」「Prohibition」「MOON RIVER」「BITTER CAKES」「LOVE HORIZON」「ふってくる日」「ノーカウント」
【単行本】「暁星記」6巻 菅原雅雪 講談社 B6 [bk1][Amzn]
完全描き下ろしの新章に突入。これまでは巨大樹の上のほうで生きてきたヒルコが、「地獄」と呼ばれる金星の地表世界に落ち、そこで新たな戦いを繰り広げていくことになる。途中「指輪物語」系の固有名詞が頻発したあたりで少し萎えたところもあったが、新章はまたかなり骨太に物語を展開するようになってきた。雑誌連載がないので途中経過が確認できないので、この先の予測はたいへんしにくいけど、すごくスケールの大きな物語だけにぜひ最後までしっかり描ききってもらいたい。
【単行本】「日本沈没」3巻 作:小松左京+画:一色登希彦 小学館 B6 [bk1][Amzn]
大災害の前兆が各所で顕在化してきて、元旦の日本でその第一波が。というわけでこの巻もハッタリをビシバシ効かせつつ、お話を盛り上げていってて読みごたえあります。実際の災害のシーンだけでなく、キャラの語りのシーンにも迫力あるのがいい。やっぱ読ませる力のある人だなあと思います。
【単行本】「最強伝説黒沢」9巻 福本伸行 小学館 B6 [bk1][Amzn]
チンピラたちに狙われる危険を回避して、一時は喜んだ黒沢さんだが、その好調も束の間。テンションが上がった心の隙間に、また虚無感が滑り込んで来て絶望する。そのときに黒沢さんはホームレスのおっちゃんたちと知り合い、彼らをイジメようとする暴走族連中と一戦を交える羽目に……といった展開。ここまで黒沢さんもいろいろなことを経験してきたが、齢45にして明らかに成長している。言葉に重みが増し、それが戦績によって裏打ちされるようになってきた。なんだか黒沢さんの男っぷりの良さに最近感動させられることが多い。ギャグも面白いんだけど、読むと元気が出るという意味でも素晴らしい。いい漫画ですよこれは。
【単行本】「Bless You!聖使徒学園喫茶部活動日誌」 竹下堅次朗 コスミックインターナショナル A5 [bk1][Amzn]
なんか単行本までけっこう時間かかっちゃいましたなあ。ヤングアニマル2002年No.11〜18で掲載された「Bless You!」シリーズと、九龍2003年Vol.4掲載「少女幻想」を収録した単行本。で、表題どおりメインは「Bless You!」のほう。この作品はかなりアホらしくて好きだった。
お話のほうは、ミッション系の女子校の喫茶部が運営するカフェレストラン「リトル・エンジェル」で働いている女生徒たちの物語。ここは学校の部が運営してるんだけど、外部のお客さんも利用可。で、女の子はメイド服みたいなのを着用という、なんだかタイヘンな場所となっている。そして働いている女の子も基本的には萌えっ娘ばかりなのだが、中でも主人公の野々村苺は、胸がドキドキするとそれに合わせて実際におっぱいもぴょんぴょん飛び跳ねるという、おかしな体質の持ち主。イヤなお客さんが登場したときに、その心をその振動胸で和ませたりと、なんかもう展開がたいへん頭悪い。このほかの女生徒さんたちも、三歩でモノを忘れちゃうようなチビ巨乳めがねっ娘とか、緊張すると母乳が出てくる外人娘とか、どうにも困った娘さんたちばかり。ストーリー的にはしっちゃかめっちゃかだが、その割り切ったバカっぷりは清々しくもあり。竹下堅次朗バカマンガバージョンを読みたい人には良いんではないかと思います。
【単行本】「視力矯正少女恋愛學」 へかとん 晋遊舎 A5 [Amzn]
あー、へかとんの絵はいいなー。今回もヒロインさんは全部めがねっ娘で楽しいラブコメH漫画を展開。この人の特徴はやっぱ絵柄ですな。ライトでコミカルなタッチで、線が洗練されててすごくカワイイ。萌え系なんだけどベタベタしたところがないし、かといってオシャレすぎたりもせず暖かみがある。頭身縮めたチビキャラっぽく描くシーンもカワイイしー。なんかとてもセンスのいい絵柄だと思うんざんすよ。
お話のほうも基本的には元気で明るく、さらに甘ったるくてラブラブなのが多い。その甘さが濃厚なんだけど後味は爽やか。エロシーンもライトな絵柄のわりにはちゃんとエッチ。淫靡って感じではないけど、ちゃんと勃つくらいのレベルは確保していると思う。個人的にはヌケるってほどではないんだけど、人によっては十分イケると思う。ツンデレ委員長女子、おっとりお姉さん、女性上司、妹系キャラ、看護婦さんなどなど、いずれもいい感じでかわいいですのう。なんとも見てて心地よい、好みな絵柄です。
【単行本】「もえねえ」 BENNY’S 晋遊舎 A5 [Amzn]
「××ねえ」シリーズ第3弾。タイトルどおり、今やBENNY’Sが大得意とする年上のおねいさんものを揃えている。どの作品も安定してクオリティが高くていいです。おねいさんがさんざん年下男子に優しくしてくれる様子は、甘えたい願望を充足してくれるし、エッチシーンもしっかり。ふよふよしたましまろのごときおっぱい、ふくよかな尻、口の形をへろへろにして顔を真っ赤に染めた喘ぎ顔など、いずれも良い。あー、あとこの人の作品でいいのは、おねいさんたちの笑顔ですね。相手を包み込むような、いとおしさと慈愛に満ちててなんとも癒されます。
【単行本】「妹LOVE」 うさぎのたまご 司書房 A5 [Amzn]
すごくうまいというタイプではないのだけど、なんだかホッと和む味わいがあって、昔からわりと好きな作家さん。無邪気な元気良い作風であるわりに、天然ノリでそのまま鬼畜なことやったり、何気にぶっ飛んでたりもするあたりが楽しい。独特の愛敬のある作風が気に入ってます。ただ今回は再録が多いな〜。最近の司書房は再録商売が多くて、なんかすごく苦しそうな雰囲気。ちなみにこの単行本での初収録は「ミルクキャンディー」「セーラー服と無人島」「妹の穴♥」の3本だけかな? 「夜空を降りてくるボクの天使」「だいすきっ!」「おしゃべりなプレゼント」「快刀!ガマ切丸」は「セツナサノ卵」、「ラブリーエンジェル」「好きだよお兄ちゃん!!」「スイミング♥ラブ」は「レンタルメイド」からの再録。まあその2冊はそれぞれ1999年、2001年発行で、持ってる人もそう多くないかもしらんですが……。
7/29(土)……遺憾ブラザー
【アンソロジー】「OPERA」Vol.3 茜新社 A5平 [bk1][Amzn]
BL系のアンソロ本で今回は眼鏡特集。やるべくしてやった特集という感じ。執筆陣については茜新社のページを参照のこと。
今回の巻頭は中村明日美子「同級生−夏−」。男子校での合唱歳をきっかけに、クールなめがね君のちょいとかわいいところを発見してしまったクラスメートが、だんだん彼のことが好きになってきてしまってうれしはずかし困っちゃう……といったお話。二人の様子は見てて微笑ましいし、明るくほのぼのした雰囲気も良好。エロティクスFでは耽美な印象が強い人だけど、メロディとかではこの作品とかはかなり明るい感じの話もきれいに仕上げている。何気にけっこう器用な人なんですなあ。うまいです。
basso「differenza」。今回も良い。双子の兄・パオロの結婚式のため、ゲイパートナーを連れて故郷に帰った男・マウロ。顔はそっくりだけど雰囲気はかなり違う双子の兄弟の相違点と共通点を、そのパートナー男性が見つめる……といった構成。どこか甘くてほろ苦くもあるストーリー作り。ちょっとシブめの雰囲気もステキなり。IKKIで描いてる連載よりこっちのほうが、より持ち味が色濃く出ているような気がするなあ。吉田ゆうこ「その男たち、深夜にて」。安ホテルでたまたま出会った二人が夜通し語り合う……というお話。二人とも線の細い色白メガネ男でけっこうカワイイ。女装とかさせてみたい感じの人たちです。あと描線がキレイで品が良いのもいい。
【雑誌】ヤングキングアワーズ 9月号 少年画報社 B5平 [Amzn][定期購読:7andy]
赤名平「ブランカイザー」が連載スタート。ものすごい寒冷になってしまった地球で、なんでも屋をやっている男・ワタナベと、何かいわくありげな機械少女ノーリが出会い、行動を友にするようになる……という第一話。あまりガシガシ描き込むというタイプではなが、こざっぱりした絵柄はわりと特徴的で印象に残るものはある。今後の展開、伸び次第ではけっこう面白くなるかも。
二宮ひかるの読切「打ちあげ花火」。19歳男子が偶然出会っていっぺんヤッただけのおねーさんに激惚れしちゃって、彼女の家の近くに引越しそこで仕事も探して、なんとかかんとか頑張る。その一生懸命さにおねーさんのほうも引かれていってしまうのでした、といった感じのラブストーリー。やっぱこういうちょっとエッチもありのラブストーリーはうまい。今回も主人公男子のキャラにはクセがあるけど、女性のほうは魅力的に描かれてるし、締めくくりもラブラブで鮮やか。
大石まさる「水惑星年代記」は、天文部の八分儀くんと子獅子さんによる「宇宙をむいて歩こう」シリーズ。すっかりラブラブになっているお二人さんだけど、天文部の合宿で後輩の入鹿さんが八分儀くんにアタックをかけてきて、子獅子さんご機嫌ナナメ。ヤキモチ焼いてる子獅子さんがいつもながらたいへんかわいいなあ。この二人のシリーズは、ラブラブで甘ったるくて爽やかで、とても良いです。
【雑誌】コミックバーズ 9月号 幻冬舎コミックス B5平 [Amzn][定期購読:出版社]
新連載、御船麻砥「ヤオヨロズガール」。災害に見舞われて荒廃した島国「ニホン」で、廃墟からのブツ漁りをしながら頑張って生きている少女を描くアクションコメディ。「ももたろう」を元ネタにしてて、ヒロインの男友達がサルだったり、チンピラが鬼ヅラだったり。まとまりはあるし、絵柄のほうもキャッチーではあり、まずまずってところか。ただもう一つなんか目立つ特徴が欲しいような気もするけれど。
PEACH-PIT「Rozen Maiden」。金糸雀のマスターであるみっちゃんの誘いにより、ジュンは人形の衣服を作ってネット販売とかをすることになってしまう。そこでジュンの服作りの才能が目覚めるとともに、ニート状態脱出の可能性が示されるが……。アニメの第2期「トロイメント」では影の薄かったジュンだけど、漫画のほうではきちんと彼の成長物語も描いていってくれそうなんで楽しみ。読切、雪の下春梅「忘れられない幽霊」は、第6回幻冬舎コミックス新人漫画賞で奨励賞を受賞した作品。ホームから投身して自殺した少年を見捨てたため、彼の幽霊にとりつかれてしまった男の物語。最初は冷血至極に見えた主人公だが、だんだん彼が何を思って冷たく行動していたのかが明らかにされていく。その場に居合わせたというだけで、主人公が事件に巻き込まれてしまうというのはちと強引かなとは思うけど、読みごたえはけっこうある作品。絵は洗練されてないけど気になるものはある。
【雑誌】フラワーズ 9月号 小学館 B5平 [Amzn][定期購読:出版社/7andy]
清原なつのの読切「ふたなり姫ととりかえばや皇子」が掲載。平安時代とかそういう感じの昔の日本の物語で、「女の子と男の子の両方の体を持ったお姫様」(まあ要するにふたなり)が主人公。彼女は一人で子をなすこともできるけれども、誰とも一緒になれない自分を寂しく想い、その後、男性女性双方と片っ端から関係を持つようになる。しかし彼女の前に「男でも女でもない」楽士の若者が現れて、運命的な恋に堕ちる。ネタ自体は生臭いっちゃ生臭いけど、そこはちゃんと少女漫画ということで素敵な感じで料理してあり、軽妙な雰囲気作りも良好。まとまりが良くて楽しめた。
波津彬子「うるわしの英国シリーズ Under the Rose」。安定して面白いですなあ。今回は死者の霊魂の存在を研究しているアシュリー教授が、幽霊が出るという噂の金持ちのお屋敷にいって調査を行うが……というお話。幽霊話をやりつつ、お金持ちのところのお嬢さんが教授にモーションをかけてる様子とかがラブコメチックでなかなか楽しい。ヒロインさんも人が良さそうでおっちょこちょいっぽくて憎めない。
西炯子「放課後の国 保健体育と♂と♀」。今回はヒロインさんが保健委員長で、彼氏にもなかなかキスを許さないような純潔乙女。そんな彼女が女たらしの同級生男子とお話したことで、ちょっとだけ寛容になるってな感じ。いつもの西炯子キャラとは違って、今回のヒロインさんはお目目キラキラ系。ずいぶん昔の少女漫画に出てきそうな勢い。コミカルなキャラ作りでドタバタ感のあるお話に仕立てており、しっかり楽しめる。岩本ナオ「Yesterday, Yes a day」は連載再開。だいぶ恋愛要素が強まってきてトキメキ感が増してまいりました。この人には期待してるので頑張ってほしい。
あと今号では小玉ユキの読切「さよならスパンコール」が面白かった。女学生の奈月は、よく船着き場に顔を出す人魚の女の子と友達になって仲良くしていたが、憧れの先輩の気持ちが人形になびいていくのを見て、友情と恋心の板挟みになってしまう。少女たちと人魚が、今時の女子高生的にファッション雑誌とか見ながら楽しげにおしゃべりしている様子が微笑ましく、その後のちょいとほろ苦い展開もいかにも青春。けっこうコンスタントに良い作品を描いてるので、連載もやってほしいところ。
【雑誌】コーラス 9月号 集英社 B5平 [Amzn]
羽海野チカ「ハチミツとクローバー」はついに最終回。途中迷走気味に感じられる部分が多くで、最後がどうなるかちょっと不安な部分もあったのだが、締めくくりは想像以上にきれいだったなーという印象。ハチクロ前半の良さは、作画、叙情描写、恋愛、ユーモアなどなどの諸要素がすべて高いレベルで備わり、なおかつそれぞれがバランス良く共存していた点にあったと思う。それが中盤から後半にかけて、個々の描写は良いながらも、局面ごとにユーモアに偏ったり、青臭くなりすぎたりと、バランスを崩しているように、個人的には感じられた。あと、森田再入学あたりから文句なしに好感を持てるキャラというのがいなくなってしまって困った。
ただ最終話は、本来のバランス感覚の良さを発揮して、楽しいながらもセンチメンタルにうまく収めたと思うし、キャラに関してもそれぞれの良いところは見せてくれたと思う。はぐちゃんを襲った不幸については、連載で読んだときはすごく性急に思えたけど、終わってみると確かにあの片想い連鎖状況を短期間でどうにかするためには、あのくらいのショックは必要だったのかもしれないなという気もする。惜しいところは多々あるものの、総じて楽しませてくれた作品ではあった。まあここらへんは単行本最終巻が出たときにでも、また改めて何か書くかもしれません。
先日本編が最終回となった佐野未央子「君のいない楽園」の後日談「一筆申し上げます」が読切で掲載。大学に進んだ後の十萌、それからその他の人々のその後を描いていくという感じの読切。本編を通じてずっと振り回されっぱなしだった感のある十萌ママが、今回はいい感じで扱われてたのが良かった。あと十萌ちゃんが大学ではモテモテである様子がけっこう楽しい。
河内遙の新連載「空の箱庭」。7年間つきあっていた彼氏に捨てられ、失意のドン底に沈んでいたOLさんが主人公。彼女がその気持ちを紛らわすため、親友の家にしばし泊まることにしたが、そこには親友の同居人である男性が住んでて……という出だし。これが三角関係に発展したりすることもあるのかな、といった気配もあるけど、今のところどうお話を転がすかはまだ分からず。雰囲気的にはけっこう面白そうだし、絵のほうもちょっとシャレていながら親しみやすい。うまいこと回っていくと良いのですが。
【雑誌】エンジェル倶楽部 9月号 エンジェル出版 B5平 [Amzn][定期購読:Fujisan]
大波耀子「翔んだ記念日」。結婚記念ということで温泉宿にやってきた若夫婦だが、酒の酔いとコンタクトレンズの付け間違いで、奥さんが別の男を夫と間違えてエッチしちゃうというお話。若奥さんが初々しいながらもエロっちい。品は良いけど十分色っぽい絵柄も上々です。HG茶川「Touch〜タッチ〜」。お話としては部活の女先輩と後輩男子のラブラブエッチで普通なんだけど、相変わらず乳がスゲエ。最近ではほとんど描く人のなくなった、超巨大乳を嬉々として描いている。さすがに実用にはちょっと厳しいが、こういう独自のこだわりを持った人は好きだ。
【雑誌】快楽天 9月号 ワニマガジン B5中 [Amzn]
巻頭カラー、北河トウタ「いろふぇち」。本屋でエロ漫画を立ち読みしていた女の子がエッチなことに……という6ページショート。わりと塗りがしっかりしてて、いつもよりアダルトな雰囲気でええのうと思ったら、単行本「ハニーダーリン」の宣伝も兼ねていた〜。でもまあこういうのならいいですけどね。ポン貴花田「クロッキー☆グロッキー」。。ツンデレ系の巨乳な美術部長が、罰ゲームでヌードクロッキーのモデルをやることになり、そのまま部員みんなとエッチになだれこんじゃうって話。ツインテールな部長さんがなかなかかわいいし、エッチもちゃんとやってて実用性もあり。話も楽しくまとまっており、いつもながらの安定したクオリティ。職人ですなあ。
ムサシマル「Private Bitch」。ブライベートビーチで男一人と女二人が開放的になってやりまくり〜。シャープな絵柄はキレがあるし、女の子二人もロングで色白巨乳、ショートで日焼けと、対照的かつどちらもキュート。まあなんてことない他愛ない内容ともいえるけど楽しく読めていい具合でした。ぼっしぃ「あらいっこ」は8ページながらもぬるぬる感たっぷりのエッチをやってて目に美味しい。
島本晴海。「はれ☆ゆき」は最終回。周囲に不幸を呼んでしまうことを苦にした雪が家出して、チンピラに襲われそうになるが、そこに岡島と晴が駆けつけて……といった感じで、一波乱あった後にハッピーエンド。最後はちょっとあっさりした感じな気はしたものの、続き物ラブコメHとしてなかなか面白く読める一作だった。かるま龍狼「へべれけ」も6話めにしていちおう一区切り。エロエロ家政婦・酔子さんシリーズだが、今度はおうちに謎(ではないけど)な凄腕エロ女性がやってきて酔子さんとエッチ対決……といった感じ。カラッと明るくコメディしつつエロもしっかりやってて面白かった。もう何本か合わせて単行本化って感じでしょうか。
【雑誌】COMICパピポ 9月号 フランス書院 B5中 [Amzn]
すめらぎ琥珀「Sweet3 Room」が最終回。いとこの美人三人姉妹に同時に迫られた主人公だが、最終的には次女の結を選ぶ。でも3人でエッチする関係は継続……てなわけでめでたしめでたしのハッピーエンド。個人的には長女の巨乳めがねさんが良かったし、この中では人気もありそうだったけど、お話としては妥当な着地点。それぞれナオンさんたちがかわいかったしハーレムラブコメエッチ漫画としてきれいにまとまったと思う。D.P「ポコのお仕事」。体調を崩してしまったごしゅじんさまをポコが看病。小さいバージョンのポコが役に立たないながらも、ごしゅじんさまの役に立とうとする様子がたいへんカワイイ。その後変身してグラマラス大人バージョンになったポコの看護婦姿も、これまた色っぽくて優しげでグッド。
ホーミング「欲情姉妹ヨーコ&ユーコ」は姉妹でバイブプレイするお話。丸っこい顔の造形、キュートな絵作りできっちり明るく楽しくやっててまずまず楽しめた。このほか今号では、とむたみお「LVOE COMIC PINCH!」も、主人公のエロ漫画を描いている女の子が、ふたなりの同級生女子にヤラれちゃってるけど、こちらもぷにぷに感たっぷりの絵柄と明るい内容で良い具合でしたな。
【雑誌】キャンドール 9/11 Vol.32 実業之日本社 B5中
中田ゆみの読切「うすぐらほのあかひそかにともる」。恋人同士が夏祭りの最中にラブラブエッチという内容だが、彼女である麻衣子は昔、彼氏の亡き兄とつき合っていたことがあり、お盆にその想い出が頭をよぎる……というお話。基本的には幼馴染みカップルのラブラブストーリーではあるけど、甘ったるさの中の切なさが、隠し味的な良いアクセントとなっている。出縞臣はキャンドール初登場。血の繋がっていない姉弟モノで、弟にだけは、姉の頭上に「えっちな気分になるスイッチ」が見えてしまうので、そうなったときには弟が姉を助けてあげちゃう、というお話。ドタバタしたストーリーは元気が良くて、朗らかでハツラツとしてるけど肉感もある絵柄はわりと好み。器用っぽい感じもするし、この雑誌にはよく合ったタイプといえるんじゃないでしょうか。
7/28(金)……一等汽船
【単行本】「水惑星年代記」 大石まさる 少年画報社 A5 [bk1][Amzn]
にゅーあきば.comのレビューでも取り上げましたが、これはとても良いです。お話の舞台は、軌道エレベーターができて、距離が縮まった宇宙と地球。その時代に暮らす普通の人たちの青春、恋愛を実に優しく爽やかに、そしてときに甘ったるく描いた素敵な物語。作品を通しての主人公とかはおらず、読切連作形式のエピソードが続いていく。
大石まさるといえば、ちょっと前はわりとカッチリしたコミカルなタッチの作画が多かったけど、このシリーズではカケアミを多用した、暖かくて柔らかい絵柄にガラッと変えてきた。鶴田謙二に近いテイスト。お話のほうもまたその画風を生かした、しっとりと情感的で優しい感じのものが多い。そしてその中に、大石まさるらしい魅力的な女性描写をたっぷりと盛り込んでいる。ハツラツとした元気娘から、色っぽさのある妙齢の女性、同級生……と、それぞれに魅力的。色っぽいおねーさんの描写とかもこれまた良し。いずれも伸びやかで気持ちいいし、作者が本当に楽しんで描いてるなーって感じがひしひし伝わってくる。また、見せ場シーンの風景描写なんかも丁寧で美しい。
読切形式なんで、各エピソードごとにキャラやストーリーは異なり、ほのぼの暖かかったりラブラブだったり甘酸っぱかったりいろいろだけど、どれを読んでも暖かい読後感は共通。作画・お話ともきっちり作り込まれてて、しみじみいいなあと思える作品。大石まさるがもともと持っていた資質ではあるけれども、このモデルチェンジは吉と出た。すごく好調だと思う。
【雑誌】少年エース 9月号 角川書店 B5平 [Amzn][定期購読:出版社]
作:FC01・FCANDC.CO.JP+画:児玉樹「Canvas2 〜虹色のスケッチ〜」のエピローグ編が読切で掲載。エリスが留学した後、日本で絵描きとして再出発した浩樹にスポットを当てたエピソード。ラブコメ作品では添えモノ扱いされがちな男側のほうにも、ちゃんときれいな感じの締めくくりを用意してくれた点は好感。最終第4巻は8月10日発売予定。番外編はけっこう読み逃してるので楽しみ。最近ショートギャグでわりといい感じの味を出してる、あらゐけいいち「日常」が今回は2本立てで登場。絵柄がかわいいし、ギャグのほうも味があってけっこう面白い。そろそろ連載の一つもやってくれないもんでしょうか。
【雑誌】ガンダムエース 9月号 角川書店 B5平 [Amzn][定期購読:出版社]
安彦良和「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」。ルウムで赫々たる戦果を挙げたシャアは、一挙にジオンの英雄に。その姿を見て嫉妬しまくるガルマ。相変わらずかわいらしいお坊ちゃんぶりを発揮してて微笑ましいですのう。あとキシリアさんの案外パパ想いっぽいところがちょっと良かった。大和田秀樹「ガンダムさん」。今回も中間管理職のザク隊長が面白い。ザクさんの人の好さ、不器用さ加減には好感が持てる。ビグ・ザムさんは怖いなあ。「隊長のザクさん」は徳光康之「妹ガンダム」内でも話題に。
【雑誌】コミックガム 9月号 ワニブックス B5平 [Amzn][定期購読:7andy]
小冊子で「一騎当千」のアンソロが付いている。息吹ポン、タカムラマサヤ、ベンジャミン、春日2、本町圭祐、成瀬ひろふみ、佐藤登志雄、あぼしまこ、スドウヒロシ、加藤礼次朗、ごまさとし、アザミユウコ、八雲剣豪が執筆。この中では頭身の低いキャラがこども孫策と呂蒙のほのぼの漫画、あぼしまこ「ちびっこいっきとーせん」がかわいくて楽しい。漫画は読んだことなかったけど、ちびキャラに強い人らしいですね。ホームページはhttp://www.koguhazu.jp/。あとそのほかでは、ベンジャミン「合宿でポンッ」あたりが少しだけエッチで微笑ましい。
本誌のほうでは、近藤ようこが読切で登場しててびっくりした。「白バラ屋敷〜前編〜」。昭和初期、貧乏な農家から東京へ働きに出されて、お金持ちの家でメイド、というか女中として働くことになった女の子・カナが主人公。そのおうちの奥さまはカナと同郷出身だが、本来の屋敷の跡継ぎであるお嬢さまの実の親ではなく、使用人にも侮られて味方がいない状態。そんな奥さまとお嬢さまの仲をなんとか近づけたいとカナは考えるのだが……という感じの前編。近藤ようこの描くメイド服は、過剰な装飾がないけどつつましくてなんだかカワイイ。お話のほうもしっとりとした味があってイイです。ガムに近藤ようこという取り合わせは、意外だけど悪くないかも。桑田乃梨子もなじんでるし。
【雑誌】月刊少年シリウス 9月号 講談社 B5平 [Amzn]
作:雑破業+画:石川マサキ「魔法使いのたまごたち」。ささいなことがきっかけで気持ちがすれ違ってしまったサラとフランだけど、素直になって仲直り。うまく収まって良かった良かった。絵もうまいし、ほのぼのしてて微笑ましいです。魔法はあんまり勉強してる感じじゃないけど、楽しいからいっかーといったところ。能田達規「時間救助隊TIMER3」が再登場。今号から3号連続の掲載となる模様。テロリストと間違われたタイマー3の鉄っちゃん、のぞみ、デンチューが窮地に陥るが……。設定的にもけっこう面白いし、アクションもスピード感があっていい。もう連載にしちゃえばいいのに、とも思うのですが。
読切、晴瀬ひろき「しあわせのりん」。何をやってもツイてない運に見放された少年が、とある神社でチャイナ服姿のロリッ娘な神様・りんと遭遇。りんは彼をしあわせにしてやろうと頑張るが、かえってトラブルを引き起こすことに……という感じのドタバタコメディ。わりと萌え系な感じで絵はかわいく、賑やかにお話を展開しててまずまず楽しい。あと今号には作:はやみねかおる+画:武本糸会「ぼくと未来屋の夏」のエピローグ的なショートが掲載。といってもまあ、すでに発売されてる2巻に収録されてたりする話ではありますが。
【雑誌】電撃コミックガオ! 9月号 メディアワークス/角川書店 B5平 [Amzn]
いわさきまさかず「ケメコデラックス!」。いい感じにラブコメ。片想い幼馴染みっ娘のイズミちゃんが風邪をひいて、三平太が優しいところを見せたりする。イズミちゃんは乳が大きくてかわいいです。雅樹里「ef a faity tale of two.」は最終局面。いちおう三角関係については決着がついたみたいだけど、もう一波乱ありそうなヒキ。それにしてもうーん、ヤッちゃいましたなあ。ともぞ「スピードグラファー」は最終回。アニメとは違った感じでけっこうしめやかな感じで終了。銀座さんには幸せになってほしかったところですが、まあ仕方ないですな。
【雑誌】ヤングアニマル 8/11 No.15 白泉社 B5中
若杉公徳「デトロイト・メタル・シティ」がついに巻頭カラーをレイプ。キャラクター相関図などの特集ページもあり。本編のほうではクラウザーさんが最強ラッパー・鬼刃のライブに乱入し、器の違いを見せつけている。なんだかんだでノリノリになってしまう悪魔性がイイですな。森恒二「ホーリーランド」。イザワ妹の告白によって、ユウが愛の虜に。とはいえカノジョができちゃうと、敵の多い人だけにタイヘンそうですな。そういえば兄のほうも負けず劣らず狙われやすい人だし。人質にとられたり陵辱されないよう気をつけてほしいものです。作:原田重光+画:萩尾ノブト「ユリア100式」。瞬介の許婚であるツンデレお嬢さまがわりとブイブイいわせてて良い具合。ユリアに対して、ヤキモチ焼いてる様子がかわいくてええです。
【雑誌】ビッグコミックスペリオール 8/11 No.16 小学館 B5中
乃木坂太郎「医龍」。ここのところすっかり伊集院が主役。朝田のもとでさまざまな現場経験を積んできた伊集院は、自分では気づかぬながら、医局の注目を集める存在に成長していた。ついに伊集院が認められるようになってきたというのはカタルシスのある展開。手術シーンにも共通することだけど、この痛快さが「医龍」の特徴の一つ。相変わらずしっかり読みごたえがあって面白いです。
【雑誌】週刊漫画ゴラク 8/10 No.30 日本文芸社 B5中
作:天王寺大+画:郷力也「ミナミの帝王」。スーパーの看板娘に結婚を断られた男が、勘定に大量の一円玉を使うという方法で嫌がらせしてくる……というのをやっている。けっこう凶悪にやってるけど、たしか小銭って大量すぎる場合は店側が拒否できるんじゃなかったっけ……。ラズウェル細木「酒のほそ道」。今回はスーパーでうなぎを買ってきて家で食べるさいのコツをやっている。買ってきたうなぎの脂っぽさと固さを解消するため沸騰したお湯をかけ、その後で水分を拭き、タレを塗って網で焼き直すというのはなかなか面白い。今度試してみようかな。
【雑誌】コミックバンチ 8/11 No.35 新潮社 B5中
ラブソングをマンガ化するゲスト読切シリーズ「My Best Love Song」にて、こうの史代が登場。モンゴル800「小さな恋のうた」をマンガ化している。婿を取って実家の寺を継ぐために田舎に戻った女性、そしてそのために別れた彼氏のやるせない気持ちを、切々と情感的に描いたお話。いつもながらこうの史代のやさしい絵柄は美しいし、切ないお話も画風によくマッチしている。しみじみした情感描写に優れた良い感じの読切に仕上がっていると思います。
読切では、第53回コミックバンチ漫画大賞受賞のよこやまかずえ「口紅」も掲載。「蒼天の拳」が休載でその代わり。母を亡くした後、猫をかわいがってばかりいた父に対してどこか物足りない想いを抱いていた娘さんが主人公。しかしその猫がある日突然いなくなり、入れ替わるようにして色っぽい女性が入り浸るようになり、彼女はさらに複雑な想いに包まれれるが……。ちょっと不思議な感じでお話を進め、ラストは平穏な日常のありがたみと、主人公の成長も描いてきれいに締めくくり。枯れた感じの絵柄は落ち着きがあり、お話作りのほうも上々。エネルギッシュではないものの、なかなかよくできてたと思う。
【雑誌】阿ウン 9月号 ヒット出版社 B5平 [Amzn][定期購読:7andy/Fujisan]
師走の翁「シャイ娘。外伝 VI来襲」。クライマックス状態のままけっこう引っ張ったけど、ついに次回が最終回とのこと。それにしても輪姦の宴が終了した後の会場の模様がスンゴイなあ。人がゴミのようだ。×浦さんはものすごいハードタスク、おつかれさまでした、という感じ。これで次回どう決着をつけるのか、楽しみにしております。真海「熱帯夜の刻」。図書室の司書の美人先生と、常連の男子生徒のエロエロ模様。この人のエロシーンはなかなかねっちょりしててイヤラシイ。絵の各所に甘詰留太の影響が目立ってきたかな? まあ自分なりにうまく消化していってくれば。
7/27(木)……丸っ切りヴァルキリー
【雑誌】アフタヌーン 9月号 講談社 B5平 [Amzn]
黒田硫黄が新連載。「あたらしい朝」。大戦前夜のドイツから物語はスタート。街中で黒いかばんの中に入った怪しい大金を拾ってしまったマックスとエリック、そしてマックスの昔なじみでパン屋の娘・ベルタ。この3人を中心にまずはお話が進み、今後はなんか大冒険系があるっぽいけど……。まあ今回は出だしだけなんで、この後どういう方向に進むのかは全然分からない。黒田硫黄はしばらく不調だったみたいだけど、この連載はどうなるか。とりあえず期待しつつお手並み拝見といったところ。
樹なつみの読切「ヴァムピール」。精神的な問題を抱える人々のカウンセリングを行う臨床心理士の物語で、臨床心理士自身が抱えた心の闇に迫る……といった感じ。樹なつみは6年ぶりのアフタヌーン登場とのこと。きっちりまとまっててまずまず面白いことは面白いけど、臨床心理士である必然性は薄いかも。刑事モノとかでも同じようなことはできたっぽい気はするし。
沙村広明も今回は読切で登場。「ブリギットの晩餐」。兄と寄りそうように生きていた妹が、飢えて動かなくなった彼と引き離され、人身売買を経て金持ちの家に引き取られていく。彼女自身はその後数奇な運命をたどることになるも、兄への想いは色褪せぬまま持ち続ける。妹さんの健気さと芯の強さが印象的でなかなか。ただこの手のお話だと、エロティクスFでやってる「ブラッドハーレーの馬車」のほうが、少女がより悲惨な目に遭うのでグッと来るかも。そういう無惨な描写がやたらうまい人でもあることだし。
植芝理一「謎の彼女X」。ちょっぴりエッチっぽい雰囲気を漂わせながら、エッチっぽいことはけしてさせず、生殺ししまくりのままうれしはずかしラブコメ展開。なかなか不思議な感触があって面白いです。植芝理一らしい味が出てていいなあ。単行本も8月23日に1巻が出る模様。SABE「世界の孫」。このまま孫ギャグだけでずっと行くのかと思ったら、なんかすごいダイナミックかついい加減な展開になってきた〜。こうなってくるとSABEはもう何やってくるか分からない。ワクワクします。あ、あと平本アキラ「俺と悪魔のブルーズ」が今回はいきなりギャグできた。いつものガチガチにシリアスなのもいいけど、たまにはこういうのもまた良し。さすがにうまいし。
【雑誌】月刊IKKI 9月号 小学館 B5平 [Amzn][定期購読:出版社/7andy]
西島大介が連載開始。タイトルは「ディエンビエンフー」。ベトナム戦争に従軍したカメラマンの青年・ヒカルが、その地でとにかくものすごい勢いで人間をぶった切り殺しまくる少女と出会い、彼女の美しさに心奪われる……というところからお話はスタート。あのシンプルかつキュートな絵柄で凄惨なシーンを、どこか楽しげに描いててまずはインパクトのある出だし。実はなんだかんだで西島大介の単行本買ったことないんで知らないんですが、コレってすでに単行本出てるバージョンとはどの程度違うもんなんでしょうか。まあこの機会にじっくり読ませていただくつもりではあります。
きづきあきら+サトウナンキ「恋愛人形」は、「ヨイコノミライ!」復刊を記念してのゲスト読切。同じ会社の部下と恋人関係になったものの、それまで愛用していた等身大の男性型ダッチドールをなかなか処分できないでいた女性の物語。心の穴を人形で埋めようとする彼女の心理をいくぶん痛々しさを交えて描き、ラストは暖かくきれいに締めくくっている。シャレた雰囲気もある絵柄ながら、この手の生臭い要素を混ぜ込んで、お話を構築していくところはいかにもきづきあきららしい。それにしてもきづきあきら、オノ・ナツメ、岩岡ヒサエとくると、いかにもコミティアな感じですなあ。
【雑誌】コミックアライブ 9月号 メディアファクトリー B5平 [Amzn][定期購読:7andy]
2号め。前号がけっこう楽しめたので、さっそく7&Yの定期購読申し込んでしまいました。
今号はまず新連載をいくつか投入。吉川かば夫「はんなof the Z」。首とか吹っ飛んでも大丈夫なゾンビ少女・はんなが主人公の学園ドタバタコメディといったところ。今回はまず主要キャラの顔見せってところか。吉川かば夫の元気良い作風とギャグはけっこう好きなんでまずは期待。あきつきりょう「グレースケールチルドレン」も新連載。学校通いながら漫画家をやってる少年+女の子複数によるドタバタラブコメといった出だし。こちらもまずは賑やか。
新連載もう一つ。さかいゆうすけ「純情無敵オトメ少年」。事件に巻き込まれていったん死んだ平凡な少女が、彼女を救おうとしてともに死んだ少年の体に脳を移植され、頭は女の子、体は男の子となって復活。その体で生活したり、モンスター退治みたいなことをやっていくといったアクションもの。恋愛的な要素もからめつつ、まずまずの滑り出しか。次号では「魔法使いのたまごたち」の石川マサキ「私立トアール学園 2年☆組物語」、888「あそびにいくヨ!」も開始予定。とくに石川マサキは楽しみにしてます。
作:亜智太郎+画:まだらさい「陰からマモル!」は巻頭カラー。今回もほのぼのほわほわしてて楽しいなあ。ゆうなのアイドル編を前回に引き続きやってるけど「バナーバナナ」の歌も登場して、下らなさの面でも上々(ヘンな言い方だな)。歌を歌う前にちょっとはにかんでるゆうなもカワイイし。
井ノ本リカ子「モモタノハナ」。あのほわほわ柔らかい絵柄が非エッチ系の話でもしっかり効果を発揮して、なんとも甘ったるい雰囲気のラブコメになっている。まあちょっと下着のヌレスケシーンとかもあったり、サービスもしっかり。この作品も楽しみ。國津武士「神ぷろ。」も楽しい一作。神社をやってる主人公と、本当は戦神なんだけど縁結びをやることになったロリロリ神様、それから主人公の幼馴染みの姉さん女房キャラの3人が、ちょこまか動いてたいへん楽しい。イタズラっ気十分なお話作りは賑やかだし、ラブコメとしてもけっこうな出来。この人もエロやんなくても面白いですなー。
【雑誌】コミックヴァルキリー Vol.1 キルタイムコミュニュケーション B5平
「闘うヒロイン」専門というちょっと変わったコンセプトの雑誌。公式サイトはhttp://www.comic-valkyrie.com/。昔なつかしのゲーム「夢幻戦士ヴァリス」の漫画版なんかも載っていたりする。全体的なトーンとしてはわりとエロめ。別にセックスシーンとかがあるわけではないものの、触手に巻きつかれたり、脱がされそうになったりとかいうシーンが頻発。乳を出すくらいまではいちおうあり。まあそんなわけで、コンセプト自体はちょっと面白いとは思うんだけど、雑誌全体としては正直そんなに面白くないかなあ……。さすがにどうしても似たような漫画ばかりになっちゃうので読んでるうちに飽きが来ちゃうし、個々の作品が全体に埋没しちゃって、あまり印象に残らない。2号めは買わないかな……。
【雑誌】モーニング 8/10 No.35 講談社 B5中
田中誠「実録!関東昭和軍」。5週連続掲載の最終話。これはけっこう面白かったです。勝つために軍隊式というかヤクザ式な、暴力体罰イジメなんでもありの方針を貫く高校野球部の物語。とにかくみんなガラが悪く、やりたい放題やってる姿がユーモラスに描かれていて笑えた。あと物語の語り手である1年生の口調も兵隊っぽくて、そこらへんも味。今回はこれでいったん一区切りだが、8月31日発売のNo.40からは連載化される模様。三田紀房「ドラゴン桜」。桜木とアンテナヘアー女教師が話しているところを、もう一人の女教師が隠れてこっそり見つめている様子がなんとなく面白かった。コレはもしかして三角関係? アンテナヘアーのほうはツンデレ? 仮にそうであったとしても別にうれしくないけどねー。
やまあき道屯「桃源遁」。ひさびさにモーニング本誌に読切で登場。骨董店の主人が人の心に分け入り謎を解決するといった感じの物語。絵全体の雰囲気はますます薄ぼんやりとした独特の雰囲気が出て来ているんだけど、その分画面全体が均一になりすぎちゃっててキャラが目立たなくなっているような。あとこの人の場合、キャラの造形が自体にもう少し惹き付けられるものがあればなあ……という感じがいつもする。雰囲気作りにこだわっていることはよく分かるるのだけれども。
【雑誌】ヤングサンデー 8/10 No.35 小学館 B5中
北崎拓「クピドの悪戯II さくらんぼシンドローム」2回目。最初のページはカラー。前回で主人公・阿川に出会った女学生さんが、部屋に押しかけてキスしてくれと迫ってくるが……というわけで、今回はこの二人の会話がメイン。顔を真っ赤にしてはにかんでる女の子さんがなかなかかわいいなあ。あとこの娘さんはやたら腹っ減らしで、とにかく食い物をもりもり食べてるのが良い感じです。食いっぷりの良い人は見てて気持ちが良い。
【雑誌】ヤングジャンプ 8/10 No.35 集英社 B5中
甲斐谷忍「LIAR GAME」。敗者復活戦大詰め。それまで追い詰められていて敗退必死だった奈緒だが、秋山の助けで一気に大逆転。好き勝手やり放題な状況に。鮮やかな手際は見てて気持ちがいいけど、「何でも売っていい」というルールが結局票の売り買いくらいにしか使われなかったというのはちともったいないかな〜という気もする。
【雑誌】週刊少年チャンピオン 8/10 No.35 秋田書店 B5平
佐藤将「富山ねじ」2回め。動く不気味なロボットが主役のドタバタギャグ。ロボットの表情、アクションともに個性的でわりとい感じだと思う。絵はうまくはないけど、嫌なロボットだなあって感じはよく出ている。哲弘「椿ナイトクラブ」。画面の使い方がダイナミックで良い。女の子たちはちゃんとかわいいし見てて賑やか。登場人物たちのやることは突飛でムチャだけど、ほのぼのしたムードでなんだか憎めないものもあるし。
【雑誌】純愛果実 9月号 光彩書房 A5中 [Amzn][定期購読:7andy]
ゼロの者「隣人注意報3」。今回は主人公のあんちゃんに惚れてる姉妹(姉のほうがカノジョ格)の、妹のほうが彼に迫るも姉にジャマされて……ってな展開。途中から姉のほうのエッチが始まるけど、その間に妹さんのほうがピンチっぽい状況に。寝取られ的な感じが出てきてエロっちくなっております。巨乳好きは姉、ツルペタ好きは妹のほうで楽しめるのもおいしい。Cuvie「マーブル」。夜な夜な忍び込んで来て姉をオカズにオナニーしている弟を、実はこっちも欲情していた姉が誘惑……といった感じ。姉弟モノとして完成されてるし、弟くんを誘い込もうとする姉の表情、態度もエロチック。きっちり仕上げててうまいです。
木谷椎「憂等生」は、孤独な優等生の心の傷を、エッチを通して男性教師が埋めるといった内容。初登場だがピチピチ瑞々しい絵柄、エロも濃い目でまずまず。この雑誌的にはもう少し乳が大きいほうがなお良いかな。ねこうら「おとなりさん」。こっちも初登場。おとなりに住んでる幼馴染みお姉さんが、主人公の少年にやさしくエッチを教えちゃうって感じ。ぷにぷにした絵柄はわりとかわいい。女の子の表情にはもう少し変化があるといいかな。
【雑誌】ドルフィン 9月号 司書房 B5中 [Amzn][定期購読:7andy/Fujisan]
すごく久しぶりに花見沢Q太郎が登場だ〜、と思ったら単行本宣伝漫画だった〜。カラー2ページです。くどうひさし「頭に文字G」。今回はドタバタギャグ系。ゴキブリ大嫌い男が、その友人にさとされてゴキブリを擬人化して女の子と思って妄想してみるが、ってな話。きっとゴキブリ触覚娘を描いてみたかったのでしょうなあ。それ自体はわりとカワイイです。
7/26(水)……鉄片
【雑誌】週刊少年サンデー 8/9 No.34 小学館 B5平
読切、向後和幸「てっぺん!!」は、闇の世界で命を賭けて卓球勝負する天才少年プレーヤーの物語。まあ設定自体はムチャだけど、お話の進め方は何気にけっこう手堅く、絵のほうも完成度が高い。アクションシーンもダイナミックで迫力はある。「医龍」の乃木坂太郎にタッチがよく似てるけど、アシスタントの人かなんかかな。乃木坂太郎も元々サンデーやその増刊とかで描いてた人だし、つながりはあるのかも。満田拓也「MAJOR」。うーん……。またこの作品は人死にを出してしまうんですかのう。こういう盛り上げ方は何度もやらないでほしいんですが。
【雑誌】週刊少年マガジン 8/9 No.34 講談社 B5平
小林尽「スクールランブル」が巻頭カラー。天満が修学旅行から帰ってきて八雲がウキウキというお話。仲睦まじくて微笑ましいですのう。作画面でもいい表情してるし。瀬尾公治「涼風」。なんか涼風が突然別れるとかいってきて大和ヘロヘロ。そこで一気にバイト先女子の結衣が攻勢をかけてきたーってな展開。かなり色仕掛けな感じであざとく来てるけどどうなるんでしょうなあ。個人的にはとりあえずやるだけやっといたほうがお得な気はする。どうせ涼風とヨリを戻すまでのハードルはけっこう高いんだろうし、一つや二つ問題が増えたってねえ……。まあ最悪ヨリが戻らなくても大和くんはモテるからOKでしょう。
【雑誌】スーパージャンプ 8/9 No.16 集英社 B5中
新連載、北村游児「美少女いんぱら!」は萌え系4コマですか。なんか最近この雑誌はいろいろやってくるなあ。主人公である教師に片想いしている友谷さんは、学校一の美少女。だけど見かけとは裏腹にものすごく喧嘩が強くて、男子生徒や痴漢たちをいつも血まみれにしている危険人物。そんな女の子に惚れられた主人公はその取り扱いにいろいろ困っちゃって……という内容。けっこうかわいい絵柄で、お話のほうは賑やか。華があってわりと楽しい。あと今号では「猿ロック」の芹沢直樹が、袋とじでちょっとエッチ系で8Pのカラー読切漫画「M♀スタイル」を執筆している。
【雑誌】別冊漫画ゴラク 8/23 No.547 日本文芸社 B5中
加藤唯史「ザ・シェフ〜新章〜」。最近の味沢さんは人間くさいなあ……。今回は昔好き合った恋人が登場して、味沢さんドギマギ。「手作り料理が食べたい」とかいわれて、いそいそと料理を作ってる味沢さんはなんかかわいげあり。それにしてもシェフに対して「手作り料理が食べたい」とかいうのもどうか。さすがにシェフが出す料理なら全部手作りだろうに。
【雑誌】漫画ゴラクネクスター 9月号 日本文芸社 B5中
神原則夫「エロせん」。今回はエロせん・正子先生のかつての同僚で、今は売れっ子小説家をやってるしまよさんが登場。なんかやたら助平なおばさんでエネルギッシュ。神原則夫は本当にこういうおばさんキャラ描くの好きだなあ。若い美人にはない味があって見てて面白い。おばさん描くときもあけすけなようでいて露悪的にはならないとこも良いです。
7/25(火)……耄碌の仕甲斐
▼アフタヌーンとかIKKIとかはまだ読んでないので後回し。
【雑誌】BJ魂 9/1 No.30 集英社 B5中
しまった〜。比古地朔弥の読切シリーズ「ねお・くらしっく」が2話めなのを見て、前号買い忘れてたことに気づいた……。増刊だからこれから前号手に入れるのは難しそうだなー。まあいいか。で、その「ねお・くらしっく」。今回のタイトルは「湯の子」。江戸時代の銭湯から始まる物語。当時の銭湯は混浴だったのだが、そこでとあるお侍さんが一人の少女と出会って彼女を抱こうとするが、その娘は彼の顔にある大きな刀傷を見て、侍のことを父親と呼ぶ。すっかり調子を崩されてしまった侍だが、もしかして本当の娘だったら抱くに抱けない。ってなわけで二人はそれをきっかけに一緒に住み始め、そのうちに恋愛感情が目覚めてしまい……といった展開。なかなか粋な感じで情緒あふれるお話を描いてて、きっちりまとまった作品となっている。娘さんのほうもピュアな感じで可愛らしい。
熊谷カズヒロはBJ魂初登場。「モノクロ市街」というタイトルの読切を執筆。日本の未来世界っぽい都市のスラムで売春をやっていた女子高生・理緒が、殺人事件に巻き込まれ、その事件を調べていた探偵風の男と行動を供にすることになる。そのさいに、犯人側の勢力から身を隠しつつ行動するに当たって、スラム育ちの理緒の土地勘が多いに役立つ。探偵系のアクションモノだけど、作品の面白みとしては、むしろ都会の吹き溜まりにできたごちゃごちゃな街の模様を描いていくってところのほうが大きいかな。あと熊谷カズヒロの描く女性キャラは何気にけっこう色っぽかったりするわけだけど、この作品でもそれについては健在。ヒロイン・理緒のプリップリした感じの体つきはなかなかエッチで魅力的。
読切、作:坂本光陽+画:西山和見「ADギャルミサキ」は、TV局でADとして働く元気者の女の子の物語。絵柄は葉月京っぽくて、ちょいとエッチな描写が多めなところもよく似た感じ。諸星大二郎「怒々山博士と珍面犬」。飄々とした感じの不条理ギャグ系の作品。枯れた味わいがありますな。あとビッグ錠「親父のアルデンキ96℃」は、電気メーカー勤務の息子が、腕利きイタリアン料理人である父親が作るアルデンテなスパゲティをIH調理器で再現するべく奮闘するというお話。なんかIH調理器の話は以前「美味しんぼ」にも出てきたけど、ときどき漫画に登場してくる。なんかタイアップとかやってるんですかねえ。
【雑誌】ビッグコミック 8/10 No.15 小学館 B5中
作:鍋島雅治+画:はしもとみつお「築地魚河岸三代目」。今号は巻頭カラー。ネタのほうもアワビと、ゴージャスな感じで攻めてきた。さすがに高くて滅多に食えないネタだけに、実に美味しそうでございます。いろいろ食べ方の話とか書いてるけど、とりあえずなんでもいいから食わせろ〜ってな気分になりますな。なかいま強「黄金のラフ〜黄金のスタンス〜」。ネイションワイドデビュー編はスコンと決着。意外といえば意外だけの、このエピソードの締めくくりとしては良かったんじゃないですかね。次のステップとしてもちょうど良い案配という気がするし。
【雑誌】漫画サンデー 8/8 No.30 実業之日本社 B5中
沖田龍児の新シリーズ「若女将はな」が開始。27歳と、若くして亡き夫の実家である老舗旅館を継ぐことになった主人公が、いろいろつまづいたりしながらも、女将として成長していくというお話。まあそんなに目立つ部分はないけど、手堅い感じかな。森本サンゴ「噺家の女房」は、落語家の若旦那とその奥さんの仲睦まじい日常を描いた作品でなかなかよくできてる。4週連続掲載で今回が3回め。人情味があってちょいと粋な感じがよろしいですな。
【雑誌】イブニング 8/8 No.16 講談社 B5中
日本橋ヨヲコ「少女ファイト」。練が黒曜谷高校に入学して、当然のごとくバレーボール部に入部。新しいメンバーもいろいろ登場して新展開。今度は練がちゃんと実力を発揮できるかな〜という感じだし、ほかのメンツも個性的だし面白そう。今後に向けてワクワク感あり。
【雑誌】ヤングチャンピオン 8/8 No.16 秋田書店 B5中
旭凜太郎の読切「格闘アフロ」が掲載。一子相伝の殺人格闘術を身につけた主人公が、パーティグッズのアフロかつらをつけて、親戚の女の子を救うためストリートでバトル、ってな作品。格闘をやってちょいとツンデレ系な娘さんも出し、読切としてきっちりまとめている。爆発力よりも安定感って感じなので、むしろ連載向きって感じもしますが。
7/24(月)……羆プラス
▼遅いにもほどがあるよっ!ってな感じで周回遅れで視聴中の前期アニメ最終回。今日はようやく前期最大の話題作、「涼宮ハルヒの憂鬱」[Amzn]をば。最終2話は本筋の「涼宮ハルヒの憂鬱」をやってて、ストーリー的にも、作画・構成的にもたいへん面白く見ました。第1話の時点では「奇を衒いすぎ」と思ったものの、時系列をシャッフルする変則的な構成については5話くらいで慣れたし、その後は至極快調。まあ孤島で合宿がどうたらこうたらという話については、前後編連続でやっても良かったんじゃないかなーとは思ったけど、アニメとしては作画・動きともに良かったし、演出もいろいろ手が込んでて、気合いの入った映像を見る喜びを存分に味わわせてもらいました。通常なら切り捨てられそうな細部までこだわりまくって作られた映像はテレビアニメとしては破格で、刺激的な快感がありました。
まあそういうのを見てると個人的には、なんていうか、料理漫画とかによく出てくる「骨だけでも泳ぐ魚の活け作り」みたいなモノを見ているような感覚はありました。確かに包丁の技は凄いんだけど、そのインパクトが強すぎて料理の味自体に意識が行かなくなっちゃうとでも申しますか。自分の好みとしては、作為が前面に押し出されたものより、も少しさりげなく技を凝らしたもののほうが好きってのはあるんで、「凄いし面白いんだけど……」という、なんだかもにょもにょした気分になったりもしました。でも全体としてはいいアニメ体験をさせてもらったし、ムーブメントとしても面白かった。記憶に残る超技巧派作品だったし、やっぱこれは素直に面白がったほうが勝ちでしょう。
あ、あとお話的な面で一つ。本作ではお話が進むにつれて、だんだん涼宮さんの良いところ、ちっちゃいかわいい女の子的な部分が見えてきて、それはたいへんかわいらしくて萌えたりもしました。反面、あれだけ宇宙人だの超能力者だのいってた破天荒な人が、ただの恋する乙女になって小さくまとまってしまってはもったいない、涼宮さんにはあのまま周囲にはイタイ人として映る、岡本太郎のごとくアヴァンギャルドで大きな器を保ったまま成長してほしいという気持ちもあった。あと世界をどうのこうのする大それた力なんざ持たず、ただのイタイ少女であるほうが個人的には萌えたかも。ちとヘンな好みかもしれません。すみません。そういえば自分はバリバリの巨乳派であるにも関わらず、不思議と朝比奈さんのほうにはあんまり意識がいかなかったな。これはちょっと意外。あ、でも朝比奈さん大人バージョンは好きです。より巨乳度が強いからかもしらんです。単純だなあ。
【雑誌】ヤングキング 8/21 No.16 少年画報社 B5中
ISUTOSHI「愛気」が巻中2色カラーありで掲載。格闘部分とかはまあ嘘臭くはあるんだけど、あまり人間離れしない範囲でありながら、分かりやすくカタルシスもあって読んでて楽しいです。主人公の國俊が最初っから上位の存在で余裕たっぷりなあたりは小憎らしいけど、その実力が100%発揮されたらさぞ楽しかろうという感じはして、ワクワク感もあり。毎号連載でないのが惜しい。
【雑誌】ヤングマガジン 8/7 No.34 講談社 B5中
佐能邦和「天然華汁さやか」が久々の登場で2号連続掲載。エロ妄想に取りつかれちゃってて困ってる女の子・さやか。彼女に同級生だけど小学生みたいな容姿の綾川凜ちゃんがなついちゃって、なんかしらんけどエロい言葉についてやたら聞いてくるようになり、さやかが困りまくる……ってな感じのお話。さやかの身体はボリューム感たっぷりでムチムチ、そこにわりと萌えるかわいい顔立ちと、なかなか目に映える絵柄で華やか。罪のない内容でカラッと明るくエッチっぽいことやってて、個人的にはわりと好きです。やっぱり改めてみやすのんきっぽい絵柄だなあと思った。
【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 8/7 No.34 小学館 B5中
山本英夫「ホムンクルス」。名越が一気に伊藤に斬り込んでいって、これまで偉そうだった伊藤がだんだん弱気になってくるという感じで面白くなっているのだが……また中断か! 次の掲載は11月になっちゃうとのこと。せっかく再開して盛り上がってきてるのにそりゃ厳しいなあ。スピリッツは力ある作家さんもいるけど、そういう人がなかなか続けて描けないのが難。
【雑誌】週刊少年ジャンプ 8/7 No.34 集英社 B5平
新連載、杉田尚「斬」。2005年3/28 No.15に読切掲載された作品が連載に昇格。武家社会が終わった後も刀を持つ風習がなくならなかった架空世界の日本が舞台。普段はてんで弱くて意気地なしだが、実はものすごく怪力な少年・村山斬が、あえて切れないようにしてるけど使いこなすとすごい威力を発揮するという「研無刀」を使って戦っていくというストーリー。まあ正直いって絵やらネームの作りやら技術的な面はうまくない。ただ基本的な画風自体はけっこうかわいげはあるので、描き慣れてくればあるいは……という雰囲気もなくはない。こういった連載持つにはどう見ても力不足に思える作家でも、あえて連載持たせてみるっていうのはジャンプ独特の気風ですな。そういうのを続けて、一つでも二つでも収穫があれば、って感じなんでしょう。個人的にはそういう作りはけっこう好きですけどね。下手に完成度を求めるあまり、こじんまりまとまった作品ばかりになってもそれはそれで面白くないだろうし。
麻生周一「勇者パーティー現る」は、新人のギャグ漫画読切。人気ゲームソフトを手に入れようと、夜中からゲーム屋の店頭に並んだ主人公だが、その後にならんだ3人組がRPGコスプレをした変態チックな一団で、主人公は彼らの仲間に引きずり込まれそうになってしまい困惑する……という感じのお話。ジャンプのギャグ漫画らしく、うすた京介の影響が色濃いかなあと思うものの、わりと下らない軽妙なノリでギャグもまずまず面白いと思う。
【雑誌】LaLa 9月号 白泉社 B5平
時計野はり「お兄ちゃんと一緒」。桜の誕生日に、桜+お兄ちゃん×4が揃ってみんなで海に、というエピソード。ますます正お兄ちゃんへの恋心が募り中の桜だけど、今回はますますそれが加速するようなことに……ってな感じ。顔を真っ赤にしている桜ちゃんがかわいくて良いですのう。あと脇役女子のめがねっ娘・園村さんもわりと良いなあとか思います。
【雑誌】シグマプラス Vol.1 茜新社 B5中
巻頭に木村義浩withうるし原智志「凌辱の刻」をまとめて再録。しかしコンビニでも売ってる雑誌ということで消しが大きく、なおかつカラーページも最初の8ページだけ。となるとこの作品の本来の魅力、エロさがだいぶ弱まっちゃうなあ。桃姫→天魔→シグマプラスと、掲載誌を転々としているこの作品。各バージョンごとに多少の差異はあるみたいで、加筆もいくぶんあるようだけど、まあ桃姫、天魔で読んでた人はこれ目当てで買う必要はないかなといったところ。
このほかには飛龍乱、ちゃたろー、OKAWARI、荒木京也、水無月十三、まぐろ帝國、わらぶきいらかの作品が掲載されている。よく分からないけどコレって基本的に再録なのかな? 予告ページとかを見てみると見てみると、9月下旬に「コミックシグマ」というタイトルで本格創刊されるらしいんで、シグマプラスはそのプレビュー版といった位置づけ。なお付録DVDも、市販エロアニメのプレビュー映像を収めたもので、最新のものってわけでもない。オリジナルコンテンツもないのであまりお買い得感はなし。まあコミックシグマが出てからそっちを買えばいいんじゃないでしょうか。
▼前期アニメ最終回。「ひまわりっ!」[Amzn]。際立った部分はないけど、ほのぼのしててまずまず安定。それなりには楽しめたかな。最初はひまわりちゃんの声をやってる人が、声質低めでうまくないなーって思ったけど、慣れてくるとあの舌足らずなしゃべりがかえって心地よい感じもしてきた。ラストはやけに半端な感じで終わったなあ……とか思ったら、第2期の制作が決定してるんですな。なんか最近こういうパターン多いけど、やっぱ第1期は第1期で、バーンって感じの見せ場作って盛り上げてケリつけてほしいところではあります。第2期まで何ヶ月か待たされるんだし。あと第2期では、ひまわり以外のお仲間くノ一連中がもう少し生きてきてくるといいかな。まあ見るかどうかは分からんですが。
【雑誌】コミックハイ! 8月号 双葉社 B5平
私屋カヲル「こどものじかん」が巻頭カラー。やたら先生にべたべたひっついてくるりんの姿を見て、カタブツの女性教師が青木につっかかってくるが……というお話。今回の見どころはやっぱりりんの男装&トレーナーめくりなわけだけど、キツキツ女教師な宝院先生もちょっと美人でいいなとか思ったりした。石田敦子「魔法少年マジョーリアン」。今回はマジョーリアンの腕白なほう・マサルくんが、イオリを意識してしまって困っちゃうというお話。まあそのドギマギっぷりもかわいいのだけど、マサル姉の三女・真央がなんかマサルに対して執着しまくっている様子がインパクトあり。少年が美少女に変身して活躍〜という明るく楽しい話か思ってたけど、なんか恋愛がらみの話が濃いめに絡み合うようになってきましたな。あと今号でタカハシマコ「エオマイア」は最終回。これはまとめ読みが面白そう。
【雑誌】COMIC LO 9月号 茜新社 B5平 [Amzn]
LOでのうさくんはギャグは抑えめでスタンダードなロリエロ。今回の「Hの時だけっ♥」は、幼なじみ少年少女のラブラブHもの。少年のほうがほかの女の子がラブレターをもらったと知った女の子が、それを見て弱気になっちゃって、いつもの元気で男の子を尻にしくような態度から一転しおらしくなっちゃう……ってな感じ。普段はお転婆な彼女がエッチに際してかわいらしくなっちゃうという落差が良い具合。あと水着の日焼け跡が、健康的かつそそる感じでよろしいかと。
飴鳥「Fascinating」。ベタ部分も全部トーンで処理した絵柄が、全体的に淡い質感の画面を作り出してて特徴的。お話としては姉弟エッチを楽しくやってる。なかなか整った感じの良い絵柄ですな。そのほか今号では初登場組として、ゆきのゆきかぜ「フォトジェニック」、MINITITY「Switch」が掲載。ゆきのゆきかぜはあどけない少女を描くぷにぷにした作画が、MINITITYはキレのいいシャープな絵柄が特徴的。どちらも初陣としてはまずまずといったところでしょうか。
【雑誌】快楽天BEAST Vol.10 ワニマガジン B5中
石恵がカラー漫画「すったもんだ」で登場。いやー、やっぱりこの人の描く乳はたいへんによろしいです。塗りがうまいしぱっつんぱっつんでボリューム感たっぷり。ストーリー的には同級生の幼なじみカップルのエッチって感じで他愛ないけど、ラブラブで微笑ましくて後味はよろし。あとカラーページでは、ナイロン「花の精」も絵がきれいかつ色っぽくて良いです。
モノクロのほうでは、土居坂崎「エロ絵戦士外伝 カイザー物語」後編がバカで面白い。エロ絵に人生を賭けるエロ絵士たちのバトルを馬鹿馬鹿しく描いたもので、主人公がバトルの際に、彼に恋する師匠の娘までエロ絵のネタにしてしまうあたりがアホくさい。エロ絵のテーマも好みだし、勢いがあるのもいい感じです。それからCuvie「タナボタ」、飛龍乱「Paradise Lost」は、両人とも相変わらずの手堅いウマさ。それからやまのべきった「人妻レシピ」も、人妻さんが夫以外の男たちによってたかって淫らなことをされてる様子が淫猥で良かったです。厚めの唇や、こなれた身体のラインの描き方なんぞもエロっぽいです。快楽天BEASTは、快楽天の派生雑誌としてはまずまずいい具合になってきてるかと思います(扱い的にはChuッスペシャルの増刊だけど)。
【雑誌】失楽天 9/1 ワニマガジン B5中
みやびつづるの特集号で、これまでのカラーイラストや、描き下ろしマンガを中心に収録。そのほかでは、塩野干支郎次、葛城ゆう、成田香車、恩田チロ、柳ひろひこ、蜂矢マコト、野原ひろみも執筆。この中では塩野干支郎次がカラーのエロ漫画「幻燈の交わり」を描いているのがうれしいところ。あとは恩田チロ「ハナビ」のカラーシーンも、塗りがキレイでむっちり肉感的なエロを展開しててなかなか。この人は絵が華やかだし、ちょいと萌え風味と艶やかなエロが共存してて、わりと当たり外れがなく安定している。あとは野原ひろみ「白昼の誘惑」は、人妻さんが学生時代に上級生に輪姦されたときのことを思い出していたらエッチな気分になっちゃって……というお話で、わりと色っぽくて良かったかなといったところ。
【雑誌】華漫 Vol.9 ワニマガジン B5中
冬長「顔はメガネの一部です(…あれっ?)」。この雑誌ではすっかり主力になっている。お話としてはメガネの似合うサラリーマンさんが、メガネ屋の女性店員と店長に気に入られてそのままエッチになだれ込むというお話。登場キャラはみんなメガネ。まあ全体的には軽いノリで、エロは濃いめながらサクッと読める。
【単行本】「はえてる女の子」 掘骨砕三 三和出版 A5 [Amzn]
いやー三和出版で描くときの堀骨砕三は輝いてますな! 今回の単行本は読切短編集なわけだけど、それぞれキュートな絵柄だけど畸形かつ変態チックなテイスト満載の作品に仕上がってて、たいへん刺激的でした。なんといっても冒頭の「ダイスキナニオイ」からしてスカトロものでうんこもりもり。さらに女の子の片方はちんこも生やしてるし。「ぞろぞろどろどろ」ではどんどん増えるちんこ虫たちがざわざわ蠢き大活躍。単行本タイトルどおり、ちんこの生えた女子ネタも多く、それが異様であるだけでなくかわいくもある。今回の収録作品は、「下水街が間に合わない」という理由で描かれた作品も多かったみたいだけど、その分発想が奔放というか好きにやってる部分もあって個人的には面白く読めた。
こんな奇想があふれ、グロさとかわいさが共存し、なおかつラブラブであったりする作品を描ける人は、ほかにはちょっといない。それだけにこの人がブレーキ踏まないで描ける「フラミンゴR」がなくなっちゃったのは改めて惜しい。なんか作者あとがきに、フラミンゴは「一年なりニ年なり間を置いて復活させるつもりらしい」とあるけど、ホント、うまくコトが進んでほしいもんです。
【単行本】「ES」 ICHI コアマガジン A5 [Amzn]
絵がとてもエロいです。登場する女の子のうるんだ目つき、ぽっと染まったほっぺた、しっとり貼り付いてくるようなもちもちした肌の質感、肌をつたう汗……と、女体描写のクオリティの高さは初単行本とは思えないほどの達者さ。基本的には巨乳な女子が多めで、熱く火照った吸いつくような絵柄がエロ心をそそります。ストーリー面は弱いと思うんだけど、絵のエロっちさだけでも十分勝負できるものがあり。ちょっと長めの作品もやってみてほしい。
【単行本】「みにみみ」 LEE 茜新社 A5 [Amzn]
ねこみみ、いぬみみ、ひつじみみ……と、みみの生えた女の子さんが出てくるロリ漫画にこだわるLEEの初単行本。作画はとてもぷにぷに感があって線もきれいで、女の子たちがすごくかわいいのが特徴。丸いつぶらな瞳も良いけど、甘えた感じの小さなおくち、無邪気なふるまいも見てて楽しく、この手のちんまりぷにぷに系のエロとしてはたいへんに完成度が高い。実用的かといえば自分は使わないですけど、こういう娘さんが好きな人だったら、あのちっこい口でぺろぺろされたり甘えられたりしてみてえ!と妄想を膨らませられるんじゃないでしょうか。なんかおうちに一人欲しくなるようなかわいらしさでございます。
7/21(金)……スクールみずぎん
▼ちょっとずつ見ている前期アニメ最終回感想。本日は「吉永さん家のガーゴイル」[Amzn]。締めくくりとしてはまずまず。ご町内を舞台にしたほのぼのコメディを、明るく楽しく展開してて全体としては好印象。登場するキャラたちが気のいい人揃いで、心温まるものがあった。ただ出来としては第5〜6話あたりがピークで、その後は少し息切れ気味だったかなあという気もします。
【雑誌】ヤングガンガン 8/4 No.15 スクウェア・エニックス B5中
後藤晶が読切で登場。「カノジョは官能小説家」。売れっ子の女流官能小説家を担当することになった新人編集者が、小説のネタにすることも兼ねて彼女の誘惑に晒されるってな話。まあよくあるパターンといえばよくあるパターンだけど、実際のエロ小説・漫画の現場でこういうことが起きることはまずないでしょうな……。金田一蓮十郎「ニコイチ」。なんだか急といえば急な展開だけど、まあ今回の行動によって、今後の展開はいろいろ動かしやすくなるでしょう。あんまり秘密秘密でいくのも難しいだろうし。作:原田宗典+画:井田ヒロト「戦線スパイクヒルズ」。スウガクたちが狙うヤクザとチサトにはどんな関係が……?ってな感じで、暗雲漂う展開。チサト婆さんのバックアップが望めなくなると、だいぶ苦戦を強いられそうな感じですが。まあそんなわけでお話的にも、勝負本番に向けて盛り上がりつつあります。
【雑誌】コミック電撃大王 9月号 メディアワークス/角川書店 B5平 [Amzn]
巻頭であずまきよひこ「よつばと!」。最初はよつば周辺の人たちがサラリーマンっぽい格好をしてると思ったら、最後はエクレアの話に。本当に展開の予想がつかない漫画ですなー。その自由なところがまた良いのですが。これだけとりとめのないことやっててなおかつ面白く感じるってのは、それだけ絵に「見る快感」があるからだし、読ませ方がうまいからでもあると思う。矢吹豪「ゼーガペイン外伝 AI ALWAYS ミナト編」。ミナト副指令の恋する乙女っぷりを描いたエピソード。やたらオトメチックで、シマ司令のことが好きなことを指摘されるとわたわた慌てるミナトがたいへんかわいい。アニメ版とはまた違った味があっていいですな。
作:からくりはうす+画:どれえじゃっきい「錬金3級 まじかる?ぽか〜ん」の漫画版は最終回。アニメ版のほうも馬鹿馬鹿しい作品だったが、さすがに奴隷ジャッキーだけあって、漫画版はさらにまとまりがなくぶっちらばってた感じ。単行本は9月27日発売予定とのこと。作:オーガスト+画:脳みそホエホエ「夜明け前より瑠璃色な」。相変わらずラブコメを楽しくやってて絵もかわいく好調。こちらも単行本は9月27日に出るとのこと。両方とも買います。
【雑誌】週刊漫画ゴラク 8/4 No.29 日本文芸社 B5中
土山しげる「喰いしん坊!」では、ついに喰いワングランプリの本番が開始。まあ「これから始まるぞ〜」っていうことが描かれるだけなので、今回は勝負はしてないけど、前振りが長かっただけにワクワクさせられるものはあります。
【雑誌】コミックバンチ 8/4 No.34 新潮社 B5中
佐原ミズ「マイガール」が巻頭カラーで登場。きれいな絵柄で暖かいホームドラマをやっててまずまず好調。月イチなのが惜しい。あと今号では吉田健二「日本国大統領 桜坂満太郎」が最終回。
【雑誌】百合姫 Vol.5 一迅社 B5平 [Amzn]
金田一蓮十郎が読切で初登場。「マーメイドライン めぐみとあおい」という作品を執筆。ふわふわした長い髪でお姫様みたいだけどクラスの同性からは嫌われるめぐみと、彼女に気に入られて友達になったわりと普通の女の子・あおいの物語。美人だけど同性からは距離を置かれがちなめぐみのキャラがイキイキしてて、二人のおつき合いの様子も軽やかで甘くて良い。絵のほうもふわふわしたタッチがお話にマッチしてるしなかなか。作風的に百合姫にも合ってると思う。なかなかいい人持ってきましたな。
あと乙ひより「かわいいあなた」も良かった。お話的には「マーメイドライン」とちょっとカブるかも。美少女だけど同性からは嫌われるあかねと、背が高いけど気の弱いまりあのお話。まりあが文化祭の劇で王子をやらされることになり、そこにあかねがお姫様役として立候補。美人だけど小悪魔チックでしたたかなあかねと、そのぺースに巻き込まれてしまうまりあ、どちらもなかなか微笑ましくていい。作画のほうも品が良くてまとまってるし。速瀬羽柴「シムーン」の漫画版は最終回。アニメが2クールものなわりにはちょっと短いような。
【単行本】「水の色 銀の月」1〜2巻 吉田基已 講談社 B6 [bk1][Amzn:1巻/2巻]
「恋風」の吉田基已の最新作。延々大学で留年を続けている阿藤と、彼と偶然出会ったちびっちゃい高校1年生の女の子・星くん。9歳も年が違う二人がお互いに引かれ合って恋に落ちていく様子、それから阿藤&星周辺の人々それぞれの恋する気持ちを描き綴っていく青春物語。本作は2000年7月に単行本が発売された「水と銀」の続編となっていて、第1巻は「水と銀」をそのまま収録するという形になっている。「水と銀」は阿藤と星が中心のエピソードが続くが、新シリーズの「水の色 銀の月」は彼らの周辺の人たちの物語をメインに、連作形式で進行する。
吉田基已は出てきたころから叙情的なタッチに心惹かれるものがあり、マニア筋では評価が高かったけど、「恋風」の連載を経て作画的にもググッと洗練された。というわけで今見ると「水と銀」のころの絵と、「水の色 銀の月」になってからの絵はずいぶん違います。まあどっちが好きかは人それぞれでしょうけど。
お話のほうはかなり青さ、若さのにじみ出た恋模様を描いてて切なく暖かいものとなっている。三枚目タイプだけどやけに女にモテる阿藤にちょいとムカついたりもしますが、星くんはやたらちんまりしててかわいらしい。あとはやっぱ阿藤界隈の周辺の人物たちがそれぞれ一生懸命で好感が持てる。甘くてほろ苦い青春ストーリーだけど、「恋風」同様、案外生臭い部分にまで突っ込んでしまうところはこの人の業みたいなもんですかね。あまり連載ぺースの早い作品ではないけど、その作画力の高さ、繊細な心情描写はやはり注目に値すると思うんで、今後もちょくちょく描いていってほしい。