2006年9月上旬


9/9(土)9/10(日)……奇抜な椿

【雑誌】近代麻雀オリジナル 10月号 竹書房 B5中 [Amzn]

 新連載、作:荒正義+画:佐藤量「ぴんきり」がスタート。マンション麻雀経営の実態、ノウハウを漫画で語っていくという作品。佐藤量の絵は青木雄二系。自分にッ気で調べて見たら、以前漫画アクションで青木雄二原作で「新桃源郷の人々」という作品を描いていた。青木雄二と比べるとさすがに線が細い印象。まあ読みやすいことは読みやすいですが。片山まさゆき「オーラ打ち言霊マンボ」は最終回。なんか最後までもう一つグッと来なかった。オーラ打ちという概念が弱いし、リアルにもギャグにも徹しきれなかった感がある。それでも近オリの中では面白いほうだったけど。

【雑誌】メガプラス Vol.36 コアマガジン B5平 B5平 [Amzn]

 Vol.36だから、ちょうど3周年になりますか。けっこう長く続いてきてはいるけれども、いまだにコアマガジンのエロ雑誌の中では、立ち位置が最も中途半端という気がする。書店売りなのでソフト路線ではないが、ハードエロに徹するというほどでもなし。性的嗜好からいっても目立った偏りはないし、萌えも純愛もそんなに濃厚ってほどではない。メンツ的にはそこそこ揃ってるし、つまらないってほどではないのだけど、厚み、価格からするともう一つ歯ごたえがないか。たくさんあるエロ漫画雑誌の中から、680円払ってあえてコレを選ぶって感じにはちとなりにくい。そろそろリニューアルとかしてもいい頃合いじゃないですかねえ。

 都氏「早く大人になりたいな!」は人妻モノ。マンションの隣室に住む、元AV女優の若奥さんに憧れていた少年が、彼女たちの夫婦喧嘩をきっかけに甘くてちょっとほろ苦いエッチ体験をするというお話。柔らかい表情だけど茶目っ気のある奥さまがなかなかかわいくて良いです。鬼魔あづさ「今日も月曜日」。引きこもり男と、彼に何かとかまう幼なじみ女子が、お風呂場でラブラブエッチ。薄味な絵柄なので雑誌の中ではそんなに目立ってないような気もするけど、さすがにうまいし、女の子の表情も良い。しかしまあこんなに何くれとなく世話してくれて、エッチまでさせてくれる、ベランダ幼なじみがいたら普通は引きこもらんでしょうな。

【単行本】「椿ナイトクラブ」1巻 哲弘 秋田書店 新書判 [bk1][Amzn]

 にゅーあきば.comのレビューでも紹介済み。今、週刊少年チャンピオンで旬を迎えつつある、ドタバタ学園ギャグ。本作の主人公はごく平凡な中学2年生男子・三島茜。彼自体はおおむね普通なのだが、彼にちょっかいを出すとその1歳年下で幼なじみの茜ちん大好き少女・椿五十六が現れて、その相手をぼこぼこにぶっ飛ばす。五十六はもともとめちゃ強なうえ、いつも手甲をつけて武装しているトンデモ少女で、さらに天然でドジッ娘で頭が悪い。しかも人のいうことをまったく聞かないで思い込みで突っ走るので、茜ちんやその他大勢は彼女に振り回されまくる。

 てなわけで大筋は、チャンピオン系によくある元気で暴力的な女の子大暴れなお話なんだけど、この作品を特徴づけてるのは主人公・茜ちんのお姫様ぶり。五十六が「茜ちゃんは私の姫だもん!」と公言するとおり、男子なのに身体がやけになよっちい。最初のうちはわりと普通の男子だったのだが、回が進むにつれて作者が調子に乗ってきたのか、ことあるごとに茜を脱がし、なだらかなラインを描く乳とぽっちりした乳首、細くしなやかな腰周り、ちいさなお尻などを気合いを入れて描いて、読む者を誘惑。最近ではもう完全に茜はいじられキャラとして定着して、脱がされ女装させられ男女(主に男子)に狙われる状態。萌え度ももりもり上昇しているのだ。

 ……などと書いてはいるんだけど、このような茜ちんの痴態に期待しまくって第1巻を読むと、おそらく「話題になってるから読んでみたけど大したことねーじゃん」と思われるんじゃないかと思う。本作品の場合、最初のうちはまだ手探り状態だったせいか、茜いじりはそんなに行われておらず、五十六によるドタバタ活劇のほうがメインとなっている。これはこれで普通に学園ギャグ漫画としては面白いんだけど、茜いじりを中心とした面白みが顕在化してくるのは1巻の後半あたりから徐々にって感じなんで、単行本初見でネットの評判を聞いて読み始めると肩透かしを食う可能性がけっこうある。

 そんなわけで単行本派の人は、1巻購入のついでに雑誌も見てみるか、2巻が出るまで寝かせておくというのも手かもしれない。なんか奥歯にモノが挟まったような言い方になっちゃってるけど、こういうのは「雑誌では旬を迎えているけど単行本がそこに追いついてない作品」を紹介するさいに共通するジレンマ。最近では「デトロイト・メタル・シティ」のときも、1巻に東京タワーレイプの回が入ってなかったので似たような気持ちになりましたな。

【単行本】「無敵看板娘N」2巻 佐渡川準 秋田書店 新書判 [bk1][Amzn]

 無印の看板娘からN(ナパーム)にリニューアルされて2巻め。最初のうちは、無印時代のキャラが何人かいなくなったこともあって「ちょいとノリが悪くなったかな?」と思ってたけど、テッコツ堂のキャラが定着してくるに従って良くなってきた。町内会限定なのにこれだけ激しくアクションして、カラッと笑わせられるのは大したもの。まあ勘九郎と敏行がもっと活躍してくれるとうれしいなーとか思ったりはしますが。あとNになって追加された3人めの看板娘・カンナがもう一つ弱いかなって気もする。なおこの巻には、佐渡川凖が、アニメ版の声優、生天目仁美と小清水愛がやってるラジオに出演したときの1ページレポ漫画も収録。短いけどちょっと面白かったので、収録されて良かった。

【単行本】「喰いしん坊!」9巻 土山しげる 日本文芸社 B6 [bk1][Amzn]

 この巻では食いワングランプリに向けた予備選が続く。そんな中、一番の見どころはTFFのフードファイター養成所の特訓風景、そしてマジック坂多の娘にケーキ勝負で敗れたTFF戦士が顔をケーキだらけにしてズドーンと落ち込んでいるあたりでしょう。何が邪道喰いで何が正道喰いなのかという境界は、巻を重ねるにつれてどんどん揺らいできてるけど、まあとりあえず勢いで読ませるし、面白いことは確かなんでそこらへんは適当に楽しむのが吉でしょうな。まあ厳密にいえば、アツアツで喰ったほうがうまいものを冷まして喰うだけでも本当は良くないんだけど、それを言い出したらキリがないし。

【単行本】「ハチミツとクローバー」10巻 羽海野チカ 集英社 新書判 [bk1][Amzn]

 ついに最終巻。途中の展開は迷走気味な印象を受けていたけど、この巻に収録されたラスト数話はかなりきれいに決着をつけていて、すごくホッとしたしジーンとくるものもあった。いやーちゃんと着地できて本当に良かった。

 まあこの作品については連載中から何度も書いてきたけど、個人的には途中から感情移入できるキャラがいなくなっちゃってたんですね。竹本は青臭すぎるし、山田さんは途中から泣き女になっちゃうし、真山はカッコつけててウザいし、はぐちゃんは不思議ちゃんだし。で、最後の希望であった森田が、アメリカでデカい賞を獲ったくせに美大に再入学というモラトリアム人間と化した時点で、いったん気持ちがだいぶ離れた。あと途中の展開も、森田兄弟の復讐譚は唐突で別の作品とか番外編でやったほうが良かったような気がしたし、はぐちゃんの事故についてもそこまで重いモノにしなくても……と思った。まあアレだけもつれまくった片想い連鎖状況を断ち切るには、あのくらいのショックが必要だったのかもしれないけど。

 ……などなどいい始めると、いいたいことはいろいろ出てきちゃったりはするんだけど、最終回周辺の美しさはそこらへんを洗い流してくれたし、自分の中にある各キャラへの想いも蘇ってきた。トータルとしてはやはり良い作品であったし、最高到達点も高かった。まあ途中、キャラの扱いに対して抱いた不満も、それだけ登場キャラたちに思い入れ、愛着があったということの証でもあろうし。何はともあれ長い間、いろいろ楽しませ、心を騒がせてくれた作品でありました。とりあえず今はご苦労さま。次回作も良い作品になりますように。

【単行本】「ウルトラファイト番外地」 唐沢なをき 角川書店 B6 [bk1][Amzn]

 面白い。すごく昔に放映された、ウルトラ怪獣たちがからみ合ったりして、ときにガチンコ、ときにシュール、ときにマヌケな戦いを繰り広げる低予算怪獣番組「ウルトラファイト」の世界を唐沢なをきが漫画化。自分は本物の「ウルトラファイト」はたぶんリアルタイムでは見てなくて、映像を多少見た程度なんだけど、あの独特のヘンテコな世界を唐沢なをき流にすごく楽しく漫画化できていると思う。怪獣たちの絵もすごく思い入れたっぷりだし、本当にこの人はアレが好きなんだなあというのがビシビシ伝わってくる。元祖「ウルトラファイト」にしろこの漫画にしろ、見ていると怪獣たちがどんどんいとおしくなってきてたまらない。6月にDVD-BOX[Amzn:通常版/スーパーアルティメット]が出たようだけど、ウルトラマンシリーズにはさほど詳しくないけど、つい欲しくなっちゃいましたよ。

【単行本】「ヨイコノミライ 完全版」3巻 きづきあきら 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 ますます漫研内の人間模様がゴチャゴチャこんがらがりまくって、イヤ〜な状態になってきた。いったんは部長くんによって少しヌルくなった美人サークルクラッシャー青木さんだが、この巻ではまたしても暗躍。部長くんに惹かれる自分の気持ちをごまかすように、青木さんの手口はより手の込んだ、容赦ないものとなっていく。

 このあたりから未読のぺんぎん書房版では未読のエピソードに入っていくんだけど、ヌルかった人間関係にどんどん亀裂が走り、決定的な悲劇・破局にじわじわ近づいていく様子はとにかくスリリング。部員たちの、誇張気味であるけどイタいオタク的な振る舞いも相変わらず身につまされてしまうし、たいそうキツい。でも彼らが今後どうなってしまうのか、すごく気になる。「もっとヒドい目に遭ってしまえ〜」と面白がる加虐的な気持ちは自分の中に確かにあるけど、基本的にはオタクということで登場人物と読んでいる自分には共通する部分もあるんで、その気持ちは同時に自分にもはねかえってくる。それがなんだかヒリヒリする快楽にもつながっている。そんなわけでS的な快感と、M的な悦楽を同時に味わってるような気分になる。

 あと登場人物の中では、とくに部長くんと交際している思い込みの激しすぎるオタク女子・平松さんが気になる。自分に都合の悪い要素を排除し、都合の良い要素だけ取り込むことでアイデンティティを支えている姿がたいへん痛々しい。まあ気になるってのは、案外見た目がカワイイというのもありますが。メイクすると普通にカワイイし、してないときもこれはこれで。オタクしゃべり、言葉遣い、会話時のアクション、嗜好などなどの要素はキッツいけど、ああいうのを傍から観賞するのは好きです。

 お話のほうは残りあと1巻で完結。本当にここまで来てちゃんと事態が収拾されるのか。楽しみにしてます。あと平松さんがどんなことをしでかすのかも楽しみだなあ。

【単行本】「侵蝕プラトニック」 きづきあきら ワニブックス B6 [bk1][Amzn]

【単行本】「増殖フェティシズム」 きづきあきら ワニブックス B6 [bk1][Amzn]

 このあたりは短編集を構成変えて出し直し。同人時代の作品から商業誌掲載作まで、新旧とりまぜて収録。既読の作品がほとんどだけど、こうやって順番変えて読んでみると、作者もいってるとおり印象は変わるもんですな。とくにフェティッシュな要素を織り込んだ作品を集めた「増殖フェティシズム」は、味がより濃厚になる感じかな。

【収録作品】
侵蝕プラトニック:「シロクロ〜願いをかなえたら〜」「SWEET SCRAP」「ココロ・SOS」「Sweet Curse」「死の聲」「未知との遭遇 ファミレス編」
増殖フェティシズム:「針とオレンジ」「DISCOVERY OF LOVE」「春にして君を想う」「ヤサシイ ユビ」「SWIMMING LOVERS」「バライロ ノ アシタ」「彼女の秘密」「愛する私の…」「まほうのめがね」「恋のたまご」「おくるコトバ」「コバちゃん開発日誌」

【単行本】「山本直樹ホラー作品集成 夜の領域」 山本直樹 チクマ秀版社 A5 [bk1][Amzn]

 山本直樹のホラーっぽい部分のある作品を集めた本。「×つのき駅」「君といつまでも」「夏の思い出」「眠り姫」「青空」を収録。このうち「青空」(ビッグコミックスピリッツ2005年11/28 No.50初出)は単行本初収録とのこと。そういえばコレって収録されてなかったっけか。それ以外の作品はいずれも再録。このあたりの夢だか現だか分からないような、幻惑されるような読後感を残す作品群は自分としては非常に好きなあたり。ただ好きなだけに、収録単行本も複数バージョン持っていたりするので、お買い得感は低いというのが正直な印象。印刷とかはいいんだけど1800円もするし……。


9/8(金)……紅白色の遺言

【雑誌】ヤングアニマル 9/22 No.18 白泉社 B5中

 東雲太郎「キミキス」。ちゃんとしたキスまでもっと引っ張るんかと思ったけど、そこは案外あっさりしてましたな。ラブコメ的にはここからが本番ってとこでしょうか。ずぶずぶに甘ったるいのを期待しております。若杉公徳「デトロイト・メタル・シティ」。根岸の後輩であるテトラポット・メロン・ティのボーカル、佐治くん再登場。二人揃うと地獄のようにダサいな……。それと佐治と相川さんが仲良くしてるのを見て、怒りに震える根岸の形相がスゴい。だんだんクラウザーさんとの融合が進んで来ているような。

 宮野ともちか「ゆびさきミルクティー」。亘がユキをかばって足をケガして試合をフイにしちゃって大後悔。ここにきてもしユキが正体をカミングアウトしちゃった日には、亘は怒り狂うだろうなー。このラインがさらにドロドロしてくるとすごいことになりそう。いやまあ、すでに手がつけられないような状態になってるとは思いますが。あと今号には黒澤Rの読切「せがれ殺し」が掲載。先日のヤングアニマル嵐 10/2 No.10に続いての登場。喫煙が見つかってしまった男子生徒が、そのバツとして美術部のヌードモデルをやらされることに。でも勃起させてはいけないという制約が彼には課せられていて、美少女たちの注視の中、けして勃てまいと悶絶するというギャグ漫画。本誌でやるとなると、えりちんと作風がかぶりがちかもしれないけど、お話自体は躍動感があってわりと面白いと思う。

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 9/22 No.19 小学館 B5中

 三田紀房「マネーの拳」。Tシャツ戦争編はいちおうこれで決着かな。ビジネスの世界で勝ち抜くための方法を、分かりやすくハッタリを利かせて説明しつつお話を進めていて面白かった。大手側の強欲女・井川さんも、いかにも浅薄で小賢しくて、これはこれでちょっとイイかなと思った。まあ実際にそばにいられたらイヤだけど。国友やすゆき「社買い人 岬悟」。スキャンダル発覚、ライバル社の陰謀、不倫で家庭崩壊、女上司も没落寸前。大ピンチかと思ったら、もうあれよあれよという感じで事態が好転。この都合の良さたるや、世界は岬悟を中心に回っているかのごとし。これだけのストーリーを、まったく悪びれることなく展開する国友先生はやっぱり素晴らしいです。

【雑誌】週刊漫画ゴラク 9/22 No.36 日本文芸社 B5中

 土山しげる「喰いしん坊!」。OKFFの妨害策に対して、錠二と満太郎はそれぞれの方法で対応。それにしてもこの方法だと食う量が増えちゃうし、アゴも疲れるんではないかなー。せめてアレは薄切りしといたほうが良かったのでは。あと今号には「秋の爆笑カーニバル」と題して、喜国雅彦、こいずみまり、風間やんわり、東陽片岡の4色カラー1ページ漫画が掲載されている。まあ軽く箸休めっていったところですか。箸休めしなきゃならんほど堅苦しい雑誌ではないけど。

【雑誌】コミックバンチ 9/22 No.41 新潮社 B5中

 能田達規がサッカーものの新連載を開始。タイトルは「オーレ!」で、東京湾アクアラインの千葉側のほうにあって、人口減、収入減に悩まされる自治体で勤務する主人公が、なんの因果か2部リーグ所属の地元サッカーチームへと派遣されることに。2部リーグであるうえ、スタジアムへのアクセスは悪い、スポンサー難など、さまざまな悪条件に悩まされながら、スタッフとしてチームを押し上げるべく奮闘していくというお話になる模様。お話としては「サカつく」+「県庁の星!」って感じですかね。能田達規のサッカー漫画としては、「ORANGE」は面白かったけど、その後の「フットブルース」はコケちゃったんで、今度は捲土重来。現在のJ2(作中ではN2)はいろいろアツいし、その現状なども盛り込みながら、ガツガツ盛り上げていってほしい。期待してます。

【雑誌】ビッグコミック 9/25 No.18 小学館 B5中

 業田良家「男の操」は、みさおが紅白に出たときを振り返るというエピソード。「男の操」の歌詞が泣かせてくれる。このところずっと終盤戦という感じではあるのだけど、まだもうちょっと続く感じもしてきた。もうひとひねりしてくるかもしれませんな。小林よしのり「遅咲きじじい」は3話めが掲載。隠居後にチョイ悪オヤジとして目覚めた初老男性・散太郎を主人公としたドタバタコメディ。老人だけどけっこう子供な散太郎のキャラはユーモラスで、気楽に読めて悪くない。この後4〜5話がNo.21〜22で連続掲載されるとのこと。

【雑誌】FEEL YOUNG 10月号 祥伝社 B5平 [Amzn][定期購読:7andyicon/Fujisan

 IKARING「新婚はん」。最近ノリが良くて面白い。今回はヨーコ&ジュンジュンのバカ新婚はんの、ハワイ新婚旅行の模様をたっぷりと、という感じ。ヨーコさんは美人そうに見えて、かなりお腹の肉がたぷたぷ。行動がたいていアホで、見物していると楽しい。あと青木光恵「モテかわ★ハピネス」も安定。カリスマモデルやってるけど少女漫画家志望なヒロインのモネの様子が微笑ましくていいです。

【雑誌】ヤングコミック 10月号 少年画報社 B5中 [Amzn]

 恩田チロ「キミのとなり」前編が巻頭カラー。両親の死後、家に引き取られて血の繋がらない妹として暮らしてきた、義妹の麻央への気持ちを引きずったままでいる義兄が主人公。そんな主人公に対して、隣に住んでるおねーさんがモーションをかけてくるが……ってなところで以下次号。ぷにぷにした華やかな絵柄で、切ない幼なじみ系ラブストーリーを展開しててなかなか。女子キャラ2人はどっちもかわいいし、カラーページの塗りもきれいでエロめ。後編は義妹と結ばれてハッピー・エンドって感じですかね。

 中田ゆみ「下町マドンナ食堂」。告白の後でお互いを意識しまくりの信とおかみさんはちょっとギクシャク……という感じ。今回はおかみさんもいいけど、そっと身を引こうとするおかみさんの娘・真璃がグッとくる感じですかね。みつや「ラブラブ♥サプリ」。この人のつやつやぷりぷりした肌の描き方はけっこう好き。あと陸乃家鴨「花咲け!おとめ塾」は今号で最終回。最後はドタバタの中、きれいにハッピーエンドで後味良くまとめた。単行本は上下巻まとめて10月26日発売とのこと。

【雑誌】華漫GOLD(快楽天10月号増刊) ワニマガジン社 B5中

 快楽天グループのエロ劇画寄りバージョン・華漫の派生雑誌。執筆陣はたべ・こーじ、GRIFON、貴田光一、琴吹かづき、冬長、MAC-V、東麿樹。かなり脂っこい作品で固められているので、いつも美少女漫画系を読んでる人のストライクゾーンは外れちゃうかな。でも華漫は月刊になったし、こうしてさらに派生誌も出てきてるってことはそれなりに根強い需要はあるってことなんでしょう。個人的に気になるのは冬長あたりだけど、この手の雑誌で描いているときの冬長はベタなエロに徹しているので、あまり特筆すべきところはないかな。普通に楽しく読めはしますけどね。


9/7(木)……無視淘汰

▼アフタヌーン 10月号の付録、四季賞ポータブルの感想。本誌についての感想は8/25の日記ですでに書いたけど、そのときコンビニで買ったアフタヌーンに付録が付いてなかったので、改めてダブり買いしての書き直し。

 今回の収録作品の中では、四季大賞を受賞した市川春子「虫と歌」が良かった。組み立てると動き出す、不思議な虫の模型を作っている兄弟の物語。彼らの元に、かつて作ったカミキリムシをベースにして人型に作り上げた、試作品の虫が戻ってきて一緒に暮らし始めるが、その先に待っていた結末は切なく苦いものだった……。高野文子を思わせるような枯れた味のある絵柄が特徴的。お話のほうもキャラや設定が独特で、最初の数ページで引き込まれるし、途中からどんどん切なさが増していき、さらに意外性も加わってくる終盤の構成は大したもの。たいへん味わい深い作品に仕上がっており、次回作もぜひ読んでみたいと思わせるものがあった。

 芝孝次「My name is…」は、ジブリ系を思わせる優しい絵柄でファンタジーテイストなお話を展開しててなかなかきれい。金田沙織「鵬の眠る城」は九龍城を思わせる巨大な建物の中に作られた街を舞台に展開されるアクションもの。世界観が独特で魅力的だし、絵柄のほうも品が良い力作。植木勝満「呪縛」は、「カタリベ」とかを描いてたころの石川雅之を思い起こさせるタッチ。不器用だけど誠実な侍の青年と、彼の仇討ち相手だった娘、二人の恋とその結末を描いたお話。これもまた丁寧にしっかりとお話を進めており、好感の持てる作品に仕上がっていた。

 今回の四季賞ポータブルは以上の4作品収録だが、いずれも読みごたえがあって面白かった。ぜひこのうちの一人でも二人でも、本誌で頭角を現していってほしい。

【雑誌】モーニング 9/21 No.41 講談社 B5中

 山下和美「天才柳沢教授の生活」が復活新連載。月イチ連載になるとのこと。今回は柳沢教授が占いというものの心理的効果について考察してみるという内容。まあ長らくお休みしてた連載ではあるけど、基本的には再開以前ととくに変わらず。安心して読める。土田世紀の読切「俺のまんが道」は、土田世紀が漫画を描き始めたころを振り返るといった内容の作品。馬鹿なことやってたデビュー前の昔をしみじみ振り返るといったところ。

 塀内夏子「イカロスの山」。うーむ、徹頭徹尾ウェットですな。山岳モノというとすごくストイックに、巨大な山とちっぽけな人間を対比させるような作品が多いけど(その頂点が谷口ジロー「神々の山嶺」あたりでしょう)、この作品はあくまで人。未踏峰にチャレンジというたいへんな大仕事やってるのに、三上は平岡が自分の妻と不倫しているのか、それが気になって仕方がない。こんな場所でそんなこと話してる場合か、ってな気はするけど、まあ人間って案外そんなもんなんだろうなとも思う。このウェットなスタンスをどこまで貫くか、けっこう楽しみではある。むしろ山を登り終えた後のほうが本番かもしれぬ。

【雑誌】ヤングサンデー 9/21 No.41 小学館 B5中

 今号も平板な誌面で読んでてワクワク感がないな〜。北崎拓「さくらんぼシンドローム クピドの悪戯II」。カラーページに無理なくサービスシーンを入れたり、相変わらずうまい。単行本買うかっていうと、雑誌で読んでればいいかなーって気がしてしまうので、個人的には微妙なラインだったりはしますが。考えてみると、今ヤンサン連載作品で単行本買ってるのって「小田原ドラゴンくえすと!」だけかな。

【雑誌】ヤングジャンプ 9/21 No.41 集英社 B5中

 柴田ヨクサルがヤンジャンに登場、連載開始。今回の「ハチワンダイバー」は将棋モノの作品で、金を賭けて将棋をする「真剣師」としてブイブイいわせていた奨励会あがりのあんちゃんが、「アキバの受け師」と呼ばれる女性真剣師に惨敗して挫折するところからお話はスタート。その後、主人公のあんちゃんとこの女性真剣師は思いもよらぬ形で再会を果たすが……。なんか見た感じ、対局シーンの痛快さといいハッタリの利かせっぷりといい、将棋版「エアマスター」的な雰囲気もあり。柴田ヨクサルとしては初挑戦なジャンルなんで今後どうなるかは分からないけど、まずはお話に引き込まれたし、先が楽しみ。

 今号には駕籠真太郎の読切「駕籠真太郎の駅前怪談」も掲載。ヤンジャンの増刊にはときどき描いてたけど、本誌は十数年ぶりの登場だそうな。内容のほうはちょっとホラー要素を盛り込んで遊ぶ軽いノリのギャグ。さすがに一般誌だけあって内容は駕籠真太郎としてはだいぶ大人しめ。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 9/21 No.41 秋田書店 B5平

 哲弘「椿ナイトクラブ」。巻中カラーで登場したと思ったら、いきなり茜ちん(男子)が半裸。パンツ一丁ながら、白靴下&上履き残しでやけにエロス。靴下を残すところもいいが、上履きの色が赤だってのも女子度高し。さらに女装までしてドキドキ状態だし、なんかもうノリノリでございますなあ。学園内でもヒロインとしてブレイクしてるし、今後もさらにいじられまくりそう。

 桜井のりお「みつどもえ」。またしても連載再開。なんだかんだで14話まで来てるけど、1話ごとのページ数が少のうございますので、単行本とかは遠そう。高橋てつや「ペンギン娘」。元気が良くて女の子もかわいく、けっこう楽しい作品。今号は転校生の巨乳チャイナ娘もなんだかサービスシーンいっぱいだし。ただ画面がすごくゴチャゴチャしてて、ページ数が少ないわりに読みづらいのも事実。これは新書判サイズの単行本になると、より読みにくいことになりそうな気が。まあこちらも単行本化までこぎつけるほうが先決だけどねー。

 佐渡川準「無敵看板娘」。テッコツ堂で魚屋をやってるあんちゃん・甲斐隆之とそのごきょうだいの心温まるエピソード。途中まではドタバタだけど、最後はほのぼの心暖まるオチで良かった。作:森高夕次+画:松島幸太朗「ショー☆バン」。暴虐ぶりが度を越して誰も手をつけられない状態になったショーバンだが、杉本が新たなツッコミ役に就任。ちゃんとショーバンにハッパをかけてて、なんとかチームを支える。最初は怪しい人だったけどなかなかいい奴だ。もしかしてキャプテンに一番ふさわしいのは杉本なんでは。

【雑誌】MUJIN 10月号 ティーアイネット B5平 [Amzn][定期購読:7andyicon

 ZUKI樹「3人の優しい痴漢たち」第1話。通学電車でいつも同じ3人の男に痴漢されて、すっかりおなじみとなり、プレイを楽しむのが日課になっていた女の子が主人公。しかしある日その3人が電車に乗ってこず、ほかの男に痴漢されて、いかにいつもの3人が自分を優しく取り扱っていたかに気づく……ってな第一話。この人の絵はシャープでけっこう好きで気になっていたが、今回は続きモノでけっこう読みごたえも出てくるかな。お話の雰囲気もまずまずで、悪くない滑り出し。

 楓牙「風のやくそく」は最終話。担任の女性教師と男子生徒が同棲して恋人同士になるが、周囲の環境は二人の関係を許さず……といった感じの展開。ラストはラブラブできれいに締めくくっていてホッと安心。小暮マリコ「夕立」後編。こちらも女教師と男子生徒のラブラブエッチストーリー。相変わらずボリューム感があって汁気もたっぷりで華やか。手堅く安定しております。

【単行本】「わにとかげぎす」1巻 古谷実 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 なんかすごくじんわり面白い。長いことスーパーの警備員をやっている32歳男・富岡。学も技能もなく、人付き合いがものすごく苦手、ずっといじけた人生を送っていた富岡だが、いつも一人で適当に警備していればいいスーパーの警備員の仕事にはかなり満足。夜中にスーパーの階段で筋トレしたり、屋上でジョギングしたりと自由にやっていたけれども、気がつけば独身、もちろん恋人はおらず、友達さえ一人もいないホントーに孤独な状況に陥っていた。

 富岡は友達を欲したりはするものの、具体的な行動はとくに起こすでなく、日々の生活に流される。まあそんな中で、富岡を脅迫して警備員をやめさせようと奴が現れたり、借金まみれのおっさんの尻ぬぐいをさせられることになったり、あろうことか富岡に惚れる美人まで現れたりするのだが、富岡の生活自体は本当に少ししか変化しない。平々凡々としているようで意外とヘンなことをやっていたり、不穏な展開もあったりはするのだけど、ものすごいクライマックスって感じにはならず、むしろ富岡を外したところで事態が動いていく。

 最近の古谷実は「本来主人公になりようもない人物」「決着したんだか分からない決着」「クライマックスに至らない物語」といったものを、すごく意識的に描いているような気がする。本作の主人公・富岡も、普通ならばけして主人公になりようのない人物。戦隊モノに例えれば、グリーンはもちろんのこと、敵の戦闘員や味方の基地の下っ端研究員でさえなく、せいぜい研究所にプロパンガスを納入する会社の作業員ってところだろうか。

 お話のほうも 富岡が今よりちょっと欲張ったり、一歩踏み外せばものすごくタイヘンなことになっちゃいそうな感じではあるけれども、ドラマチックな事態というのは、富岡みたいな人はひょいと避けて進行しそうに思える。連載のほうは今かなり不穏な展開になってるけど、富岡自身は今のところほとんどといっていいくらい事件に関わってないし、この先、何か重要な役割を果たしそうにも思えない。富岡が気づくころには、彼に関係のないところで事件はあいまいに一段落しちゃってそう。

 まあそういう意味では、平凡な日常の危うさ、貴重さを描いた物語といえなくもないんだけど、そこまで切羽詰まってるかといえばそんなこともなし。身に余る幸福や圧倒的な不幸が訪れるわけでなく、中くらいの下のほうくらいの半端なあたりでゆらゆらぬるぬるお話が進んでいっていて、そこに妙な心地よさ、気楽さがある。ダメ人間漫画といわれるタイプの作品は最近多いけど、本作はガツガツ反省するわけでもなく、開き直って現状肯定するわけでもない、独特のスタンスを保っている。あぶなっかしいけどどこかマヌケでもある、なんとも不思議な生ヌルさのある作品といえましょう。

【単行本】「ロボとうさ吉」4巻 加藤和恵 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 相変わらずカッコイイ絵柄は健在。それに加えて最近では、じょじょに作風がこなれてきて読みやすくなっているし、お話もだいぶ動いている感じ。とりあえず巨大な力を持つ超人兵器少年のロビンは、自分が何者かを認めたうえで、自分の中の闇に打ち勝つべくあがいている最中。まだまだ先は長そうだけどうまく盛り上げていってほしい。

【単行本】「びんちょうタン」1巻 江草天仁 マッグガーデン B6 [bk1][Amzn]

 なんとなく今ごろ購入。いや、前から買おうと思ってはいたんだけど、つい買いそびれてたんですよね。山奥に一人で住んでいる女の子・びんちょうタンが、健気に日々働き、生活を楽しみながら暮らしていく様子を描いた作品。冗談みたいな企画なのに、びんちょうタンの不憫な生活環境、よちよち動き回る健気さに心打たれてちょっとほろっとしてしまう一作。この巻ではまだあんまり描かれていないけど、びんちょうタンに友達ができて生活がより楽しく、賑やかになっていく様子にも心癒されるものがある。自分はアニメのほうから先に入ったけど、アニメ版のほうがよちよち動くかわいらしさが出ているのと、カラーによる自然の美しさのおかげでよりジーンときてオススメかなー。ただ漫画版には漫画版の暖かみとほのぼの感があって、これもまた良かったりするのですが。


9/6(水)……栗鼠通らんて

【雑誌】マンガ・エロティクスF VOL.41 太田出版 A5平 [bk1][Amzn]

 オノ・ナツメの新連載「GENTE〜リストランテの人々〜」が開始。タイトルから想像できるように、本作は「リストランテ・パラディーゾ」(単行本感想はオス単:2006年5月分を参照のこと)と舞台設定を同じくする物語。店員が老眼鏡紳士ばかりというレストランがいかにして出来上がったか、その開店前の時点からお話がスタート。もちろん「昔はみんな若かった」なんてことはなくて、スタート時点から店員たちはみんなおっさん、というか老紳士。本作品はオノ・ナツメの趣味性がバリバリ色濃く出ていながら、全体としてはしっかりシャレた雰囲気になってて読んでて楽しい。今後も面白くなりそう。

 志村貴子「青い花」はいつもながらいいですねー。杉本先輩と一悶着あって傷心のふみちゃんを、親友のあーちゃんが心配して世話を焼く。これは一気に気持ちがあーちゃんのほうに傾くか? あーちゃんのほうにその気があるかどうかは今のところ不明ながらも、最初っから本命的な気配も漂ってたし、天真爛漫でかわいい娘さんだし、その気持ちがどう揺れ動いていくか楽しみ。

 星野リリィの新連載「夢見る古都」。無理難題をいって政略結婚を拒み続けてきたお姫様が主人公。まあいろいろいってるけど、彼女的には親衛隊長のにーちゃんが好きなんですかね。とりあえず今回はさわりの部分だけ、という感じ。青木光恵「パパイヤ軍団☆」は連載再開。キャバクラで働くちえりと美果、女の子カップルのラブラブエピソード。若いおねーちゃんたちがええ感じにお互いのことを好き合っててなかなかかわいらしい。このほか雁須磨子「幾百星霜」も安定して面白いです。

【雑誌】週刊少年サンデー 9/20 No.40 小学館 B5平

 藤崎聖人「WILD LIFE」に橋口たかしがゲストとして登場。絵を描くとかいうのではなく、漫画家・橋口たかしというキャラとして本編にからむ。このマンガはタイアップもやれば、啓発ネタもやるし、けっこうなんでもありでフットワークが軽いですな。

【雑誌】週刊少年マガジン 9/20 No.40 講談社 B5平

 永吉たける「スミレ16歳!!」。スミレが、学校がつまらないといい、頑なに心を閉ざすクラスメートと友達になろうとして頑張るというお話。まあかなりおせっかいだとは思うけど、友情物語としては爽やか。その相手であるクラスメート女子が心を開いて破顔一笑するシーンは、なかなかいい表情してます。何気に絵のほうもこなれて、だいぶまろやかさが出て来ているような。

 刃森尊「格闘料理人ムサシ」。今回もぶっ飛んでるなあ。ブログ女を海に連れてきたと思ったら、「幻の魚を釣る」とか言い出すんだけど、岩場で釣るなら水着になる意味まったくないじゃん! ていうかむしろ岩場でこんな露出の高い水着だと岩で足切っちゃうんでは。そのほか釣りが終わったと思ったらヤンキー仲間たちが魚河岸から突然魚介類持って現れるし、水着に着替えさせたときに荷物内の写真を見て海に連れていくことを決定……とか、ものすごい勢いで後付け法を駆使。あと相変わらず寿司も握りがむちゃくちゃでマズそうだし。これでもう少し人格がぶっ壊れてくると、味の助先生とタメ張れそう。まあ肉汁度では味の助先生のほうが上だけれども、こちらはまた違った味がある。

【単行本】「かみちゃまかりんchu」1巻 コゲどんぼ 講談社 新書判 [bk1][Amzn]

 「chu」がついて新展開。前作の無印「かみちゃまかりん」で神化の話が一段落したと思ったら、未来からやってきた花梨と和音の子供であるらしい男の子に導かれて、花梨たちは新たな冒険に……という感じ。すでに花梨と和音はくっついてて、何かとイチャイチャしてるさまが微笑ましい。まあもう一人、花梨にアタックする男子も登場するけど、さほど大きな波乱はないかな。「デ・ジ・キャラット」シリーズ的なくずした柔らかめの絵も多く、賑やかでけっこう楽しい。個人的には前作よりも期待度は高めかも。

【単行本】「アゴなしゲンとオレ物語」22巻 平本アキラ 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 なんとなく最近またアゴゲンの面白さを再認識中。下品なギャグという点では一貫してるけど、微妙に手を変え品を変えてネタを繰り出してくるし、ときどきすごくキレのあるネタもあるし、なんかしみじみ面白いなと。平本アキラは現在「俺と悪魔のブルーズ」も描いているけど、あっちがシリアスで、こっちがギャグなんで、それでちょうど良くバランスが取れているってところもあるのでは。シリアスなものを描いていると、ギャグを描きたいって気持ちが高まってくるだろうし。

【単行本】「しあわせ団地」9巻 蓮古田二郎 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 不定期シリーズなわりにしっかり続きますねえ。最初のうちは野田夫婦の愛が感じられるエピソードも多かったけど、最近はどんどん見にくくなっておりますなあ。たいへんみっともないというか見苦しいのだが、その浅ましさが見てて面白い。まあこんだけ貧乏暮らしなのに、悪いことしようっていう方向にはけして走らない、二人のみみっちさには好感が持てます。

【単行本】「太臓もて王サーガ」4巻 大亜門 集英社 新書判 [bk1][Amzn]

 相変わらずうまいことパロディネタを織り込んで楽しく展開。パロディネタはものすごく多いっちゃ多いんだけど、キャラもそれぞれ立ってるし、キャラで見せる部分とパロディ部分のバランスは案配が良いんじゃないですかね。まあパロディについては、自分は一作品を読み込むタイプじゃないし、正直元ネタをもう忘れちゃってるところも多かったりはするんですが、「ああ、なんかやってらあ」ってことは分かるんでいいです。それでも楽しめるように作ってるなーとは思うし。

【単行本】「スティール・ボール・ラン」9巻 荒木飛呂彦 集英社 新書判 [bk1][Amzn]

 今回はレース主催者であるスティールの若奥様が、大統領に逆らってあるブツを盗み出そうとするが……ってな感じのところからお話を展開。スティールさんは最初は得体が知れなかったけど、夫婦ともに案外悪い人ではなさそうでだいぶ親近感が持てるようになってきた。現在はウルトラジャンプでの連載になっているけど、1話のページ数が長くて、この巻は3話で1冊。単行本刊行ペースは落ちてないし雑誌での読みごたえも十分あるし、いいサイクルで回ってる感じはします。


9/5(火)……傷とレイン

【雑誌】コミックフラッパー 10月号 メディアファクトリー B5平 [Amzn][定期購読:7andyicon/Fujisan

 岡本一広「トランスルーセント 彼女は半透明」。今回は白山さんが、唯見くんとデートしながら、自分が透明病になってからのことを振り返るというお話。静かな調子でお話は進むけど、彼女の成長をしっかり感じさせてくれるエピソードとなっていてジーンときた。お話のほうは次回が最終回となる模様。ここまでとても気持ち良くお話を積み上げてきた良作ですが、それにふさわしい良い締めくくりを期待してます。新谷かおる「クリスティ・ハイテンション」。ホームズの姪である女の子・クリスティが大活躍する少女探偵モノ。クリスティちゃんのこましゃっくれた感じがけっこうかわいくて良いです。まさか今になって新谷かおるでこんなふうに萌えるとは。やっぱ地力のある作家さんだなと改めて思ったりしました。

【雑誌】ビッグコミックオリジナル 9/20 No.18 小学館 B5中

 ありゃ?福本伸行「最強伝説黒沢」がいきなり最終回になってしまった……。ここのところの展開はすごくアツく盛り上がってたし、今後黒沢さんがどうなっていくかも楽しみにしてたんで、かなり意外。うーんやっぱ本当に最終回なんですかねえ。これはすごく残念だー。

【雑誌】漫画アクション 9/19 No.18 双葉社 B5中

 土山しげる「極道めし」が連載再開。刑務所を舞台にした「うまいめし話」勝負がまた始まる。とにかくうまそうに話したほうが勝ちというものすごいバトルだが、かなり変則的な内容だけに、今後どれだけエスカレートさせていけるのかは見ものです。

【雑誌】漫画サンデー 9/19 No.35 実業之日本社 B5中

 新連載、作:市川森一+画:幸野武史「ゴジラを作った男・円谷英二 夢宙人」は、タイトルどおり円谷プロの円谷英二の伝記漫画。彼の幼少時代からその人生を丁寧に追う内容となっている。作画は幸野武史だが安定した人だけに手堅く読めそう。

 作:倉科遼+画:みね武「艶恋師」。中国でのちんこ修行を終えて、パッツンパッツンにためこんだ菊之介が帰ってきた! そして中国四千年の技を駆使して、この前彼に苦杯を嘗めさせたチャイナ女にキツ〜いきぬたを喰らわせる! さすがに修行の甲斐あって、菊先生は鬼のごとくパワーアップ。その性技の威力は抜群で、チャイナ女もひとたまりもなし。しかし修行によって性の深淵を覗き見てしまった菊先生は、神楽坂には収まりきらず、なんだか放浪の旅に出ちゃうようです。そして9月19日発売号からは第二部にずっぽり突入。毎号連載になってしまうらしい。なんか凄いことになってきてワクワクしてきたぞ!

【雑誌】花とゆめ 9/20 No.19 白泉社 B5平

 鈴木ジュリエッタ「カラクリオデット」は新章突入ということで、扉ページは4色カラー。といってもやってること自体は今までとあんまり変わりないかな……。まあとりあえずオデットちゃんのクールだけどピュアな振る舞いはやぱりかわいいです。椿いづみ「親指からロマンス」。文化祭編に突入で、千愛と陽介はそれぞれ喫茶店で男装したり女装したりといったコスプレ。千愛の男装姿もいいけど、今回はそれより恵太先輩のメイド服姿が目玉かなー。あとは千愛もメイド服になったりして、賑やかで楽しいです。

【雑誌】ペンギンクラブ 10月号 辰巳出版 B5中 [Amzn]

 一つの時代が終わったか……。次号で大幅リニューアルがかかるという話なので、リニューアル前最後の号を久しぶりに買ってみたけど、これは本当にすごく変わる。個人的にはけっこうショック。

 こちらは桃姫に掲載されていたリニューアル告知なんだけど、これによると、次号からの執筆陣はLINDA、NewMen、はんざきじろう、夢咲三十郎、Cuvie、悠宇樹、艶々(+みなかみゆう)、陸乃家鴨、みずきひとし、あまぎみちひと、幾夜大黒堂、あしか、狩野蒼穹、早野りんた……etc。なんと亜麻木硅もちゃたろーも飛龍乱もみやもと留美も、みんなみんないなくなっちゃう模様。そして飼葉駿「きっず・とれいん」まで最終回になってる! こうなるともう完全に別物ですなあ。

 思えば自分がエロ漫画を盛んに読むようになったのは、まぎれもなくこの雑誌がきっかけ。初めて読んだのがどのくらいの号だったかは覚えてないけど、飛龍乱、有村しのぶ、亜麻木硅、飼葉駿あたりは載っていたはず。もう20年くらい前になるでしょうか。当時はあんな感じのポップなエロ漫画誌は存在しなかったから(レモンピープルとかはあったけど、もう少し大人っぽい雰囲気だった)、ペンギンクラブの登場はけっこう衝撃的だった。でもまあさすがに20年も経って、そのころの作家陣が何人も残ってる紙面っていうのはエロ漫画的には異例中の異例。リニューアルは時代の流れからいってやむなしでしょう。でもやっぱこれはエロ漫画で育ってきた身には特別な感慨がありますわい。

 まあそんなわけで今回の掲載作品だけど、まずはなんといっても飼葉駿「きっず・とれいん」。連載235回という、ちょっとエロ漫画雑誌の連載としてはあり得ない連載回数。最後の最後までこーじが学校でンチするというネタで締めくくったのは、立派としかいいようがない。どっかで続けてほしいような気もするけど、なんとなくペンギンクラブにあってこその「きっず・とれいん」って気もするのでこれで幕引きでいいのかも。

 飛龍乱「SISTER FAKE」は、オールドファンなら分かる通り、飛龍乱の代表作の一つ「SISTER FATE」をもじったタイトル。内容のほうはバイトをサボった姉の代わりに、弟さんが女装してウエイトレスをさせられて、そのまま女性店員とエッチ……という内容。まあ「SISTER FATE」とは全然違う内容ですが。この人については絵は古びてないので、残留でも良かったかなあと思いますけどね。そういえば表紙がこの人じゃなくなったときも、一つ衝撃を受けたもんでした。

 亜麻木硅「MILKY JUICY」。あー昔と変わらない。この人が昔のまんまの絵柄で猫耳エッチ漫画を描いてたりするところを見ると、なんかすごくうれしい。あとアンドロイド少女の額になんかよく分からんポッチがついてるのも「MINA17!」とかを思い出した。なんだかんだいって今でもけっこうエロく感じちゃうのは、やっぱ刷り込みがされちゃってるからですかねえ。ちゃたろー「リトル・マーメイド」。この人も変わらない。あの独特のテラテラした絵柄は健在。ヘンにストーリーメイクに走らないエロ魂がステキ。

 みやもと留美「OTAKUな妹のいる暮らし」。ロリロリでオタクな妹とエッチ。この人に関してはやっぱめがねっ娘漫画が見たかったところですが……。あと今回ちょっとびっくりしたのが綾野麗「おさんぎつね」が掲載されてること。この人ってけっこう前にエロ漫画引退してたと思ってたけど復活してたのか。びっくり。今見ても絵は艶めかしくてうまいなあ。ペンギンクラブは初登場ってのもちょっと意外。

(追加情報)
ペンギンクラブの旧執筆陣に関しては、今後9月29日創刊予定のコミックシグマにおおむね移籍予定とのこと。詳細は9/11日記参照のこと。

【雑誌】桃姫 10月号 富士美出版 B5平 [Amzn]

 MARUTA「とらぶるTRYアングル」。相変わらずエロはないのだけど、絵の感じが良くて学園青春ストーリーとしていい雰囲気。現在は10話めなんでそろそろ単行本にまとまったりもするかな? 天誅丸「団地妻さくら」は人妻さんを近所の男連中が集団で陵辱するお話。相変わらずボリューム感のある巨乳描写がいやらしくて実用的。ただこの人の場合、ちんこの描写がおざなりなのが残念。フェラチオシーンがもう少し色っぽくなればなあ。玉木9999号「Hになると素直になる」は、フラれた男子学生を、彼のことが好きだった幼なじみ女子が誘惑してエッチに突入……というお話。フレッシュでボリューム感があるし、絵はなかなか魅力的。ラストシーンはちょっとブツ切り感があるので、そこはちと惜しい。

【雑誌】プルメロ 10月号 VOL.2 若生出版 B5中

 シロタクロタ「Go!in?Sisters!!」。メイド喫茶でバイトを始めたおさわがせ姉妹が、過剰サービスでメイド喫茶をたいへんな状態に。艶があって瑞々しいキャッチーな絵柄でエロも充実。楽しくエロを楽しめた。恩田チロ「クリームドリーム」は、気弱な主人公が、ずっと憧れていたパン屋の店員をやっている同級生女子と、ある事件をきっかけに接近し、エッチしてしまうという内容。まあたいへん都合のいい話ではありますが、ヒロインのおねえちゃんがぷにぷに肉付きが良くてけっこうかわいい。全体に甘い空気が充満してるのが良いです。


9/4(月)……雨傘っす

【雑誌】ヤングマガジン 9/18 No.40 講談社 B5中

 平本アキラ「アゴなしゲンとオレ物語」が良かった。今回はゲンさんが大量のビール樽を拾って、アゴなしの面々でとにかく飲みまくるというお話。ジョッキでゴッゴッと飲みまくる姿がやたらうまそう。あとラストシーンのアゴなしの面々の表情がこれまたいい。それにしてもよくこんなに飲めるなあ……。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 9/18 No.40 小学館 B5中

 西森博之の読切「魔がさす」が掲載。日常の中で人がちょっと血迷ってガラにもないことをしちゃう、そんな瞬間を描いたショートギャグ。まあなんてことはない話ではあるけど、きっちり読みやすく、印象的な画面も作ってて楽しかった。西森博之はうまい人だし青年誌にも合ってるんで、こっちで連載やってくれないかなー。江川達也「日露戦争物語」はいちおう第一部完。放り出すように終わった。最後のほうはものすごいグダグダ状態が続いてたし、終わらせるのが遅すぎたくらい。まあいいたいこともないではないですが、つまらなくなってしまった作品にあまり言葉を費やすのもなんなのでここらへんで。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 9/18 No.40 集英社 B5平

 作:稲垣理一郎+画:村田雄介「アイシールド21」。これでついに神龍寺ナーガ戦は決着ですな。初戦からかなりガンガン盛り上げてきてて面白かった。しかしいまだにアメフトのルールはよく分かってないのですが。まあ分からなくても楽しめるっていうのが重要なんでしょう。田中靖規の読切「瞳のカトブレパス」。現代の京都っぽい街で妖怪退治的なことをやっている少年が主人公。彼は特殊な力を持つ目を持っていてそれが武器。絵は整ってるし、まずまず面白いかな。ただこの手の特殊能力&妖怪ハンターものはジャンプにはいっぱいあるんで、そこで目立つにはもう一つなんか特徴が欲しいかなあという気はする。

【単行本】「闇金ウシジマくん」5巻 真鍋昌平 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 イベントサークルのギャル汚くん編が終わり、風俗嬢編に入る。この巻はギャル汚くん編ではウシジマくんの怖さが、風俗嬢編では風俗の仕事の厳しさ、世知辛さがしっかり描かれていて面白かった。まずギャル汚くん編だが、このイベントサークル主催の和田さんみたいな人がけっこうかわいそうだった。サークルの若い連中に馬鹿にされつつも頑張ってるのに人望はまったくなく、怪しい連中にたかられて借金して、ウシジマにちょっかい出して悲惨な末路を歩むはめに。すごく悪い奴ってわけでもないだけにかわいそうになった。風俗嬢編は、デブ型でありながら店のNo.1を守る瑞樹さんの生き様が素晴らしい。彼女の常連となっている頭がおかしくなってる系の顧客さんたちの描写がいかにもリアルで、グッとくるものがあった。

 闇金モノというと金貸す側が主役なので、普通はそっちサイドの話が中心になるけど、この作品は客側のほうの事情に深く突っ込んでいるのがとても面白い。風俗嬢編も、風俗嬢の処世術を描くだけでなく、彼女たちの顧客についてもじっくり描いてて、これがまた説得力を増す要因となっている。きれいごといわないで清濁あわせ飲むっていうか、濁の部分をごぶごぶ呑み込んじゃっている感じがすごいです。

【単行本】「MOONLIGHT MILE」13巻 太田垣康男 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 いや〜この巻はアツかった! 宇宙で生まれる予定の我が子に会うため、アメリカの力は借りず、国産ロケットH-IIAで宇宙を目指そうとする吾郎。そして意気に感じたロケットの技術屋たちが吾郎の元に集うが、テロリストによる攻撃のため、彼らにも死傷者が出てしまう。そんな困難な状況の中でも意地と誇りを賭けて、愛するロケットのために心血を注ぐ技術屋のおっちゃんたちの姿は、心動かされずにはおかない。ロケットに人生を賭けた、ロケット馬鹿たちの宿願が果たされようとするシーンはかなり泣き泣き。主役自体は吾郎だけど、やはりこの巻のメインはおっちゃんたちでしょう。お話にもキャラにもぶっとい力があって、実に素晴らしいです。

【単行本】「黄金のラフ 草太のスタンス」18巻 なかいま強 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 安定して面白いですなあ。ネイションワイドツアー初戦も最終局面。最終組3人の争いはますますヒートアップして、一打一打の重要性がさらに増してきた。というわけで緊張感があってしかるべきなんだけど、それでも軽いノリで楽しく読ませちゃうところはさすが。あとちゃんとゴルフシーンは力強くて痛快だし。とにかく読んでて疲れなくてサクサク行けます。

【単行本】「花縄」4巻 作:小池一夫+画:森秀樹 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 なんか最近けっこう展開がぶっ飛んでるような。病床の鬼平を救うため元盗賊の子分が、巨大凧を使って江戸城の天守閣に侵入したり、展開がかなり派手。そして鬼平がこれまた。主人公の花太郎と、彼を慕うお咲とお芳の三角関係を焚き付け、もっとやれもっとやれと煽りまくり。そして最初は普通の町娘だったお咲は嫉妬に狂って、出刃包丁を投げナイフよろしくぶん投げるようになっちゃうし。まあ全体的には渋みがあって面白いことは面白いんだけど、この状態で花太郎、鬼平、お咲、お芳の4人が旅に出るとかいうことになってしまったんで、今後どうなるんだか先が読めない。それにしても花太郎と鬼平が共に江戸を不在にしちゃって大丈夫なんだろうか……。

【単行本】「二十面相の娘」7巻 小原愼司 メディアファクトリー B6 [bk1][Amzn]

 チコたちが二十面相の残した発明の秘密に迫っていく……という第7巻。二十面相は果たしてチコが信じていたようないい人だったのか、彼が企んでいたことは何だったのか、二十面相の発明を狙う怪しい人々などなど、さまざまな要素がからまってこの巻はけっこうモヤモヤした展開。そんな中、チコを想いやるトメさんや春華おぜうさまの存在は一服の清涼剤。早いとこ事件が解決して、チコがみんなの元に戻れると良いのですが。まあそんなわけでお話はクライマックスに向けて盛り上がっている。どう決着をつけるのか楽しみ。

【単行本】「仮面ライダーSPIRITS」10巻 村枝賢一 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 この巻では暗雲に覆われた四国を舞台に闘いが繰り広げられる。その闘いの中で、今回は滝和也&ライダーマンという、ライダー関係では弱い部類に入るヒーローたちが活躍を見せた。まず人間の身ながらも闘い続ける滝和也は本作だとやっぱりカッコイイし、あとライダーマン。実写だとあの半分顔が露出したルックスに違和感を覚えるけど、漫画だと石ノ森版でもこちらでもエラいかっこいいんだよね……。能力的には他ライダーに劣るけれども、元デストロンの科学者でありながら、自らライダーとなることを選んだ強い覚悟、影のあるキャラクター作りには思わず燃える。毎度アツいです。


9/3(日)……ダクシード仮面

【単行本】「シートン」3巻 谷口ジロー 双葉社 A5 [bk1][Amzn]

 この巻は第3章となる「サンドヒル・スタッグ」編を収録。カナダの大平原に住まう、大きなツノを持つ美しい鹿に魅せられた若き日のシートンが、その足跡をたどっていくというストーリー。この巻の最初のほうでは、シートンがロンドンに留学していたころのエピソードが描かれるが、都会の窮屈な暮らしはシートンを衰弱させ、カナダの大自然への憧れを切実なものとさせていく。そしてシートンはロンドンでの学業を諦めてカナダに戻り、ナチュラリストとして生きていくことを決意する。そんなさなかに出会ったのが大鹿、サンドヒル・スタッグだったというわけだ。

 という感じなのだけど、この巻もすごく面白かった。とにかく谷口ジローの画風、作品作りが「動物記」と相性バツグン。精密な自然描写はもちろんのこと、さまざまな出来事を淡々と克明に記していく語り口、物語のテーマなどなど、もう「動物記」を描くならこの人以外考えられないってくらいの似合いっぷり。谷口ジローの静かだけど確固たる力のある作風のおかげで、ものすごく厚みを感じさせる漫画に仕上がっている。

 また元のお話のほうももちろん良くて、鹿たちの生態や自然についての描写が細かさ、シートンにさまざまなことを教えてくれるインディアンの狩人・チャスカとの出会いなど、こちらも素晴らしい。ラストで執拗な追跡の末、サンドヒル・スタッグを追い詰めたシートンがその偉容に心を打たれるシーンなんかも実に胸を打つものがあった。第一章で「狼王ロボ」をやってしまったので、その後は地味になりすぎちゃうかなとも思ったのだが、完全に杞憂だった。本当に面白い。

【単行本】「ガゴゼ」1巻 アントンシク 幻冬舎コミックス B6 [bk1][Amzn]

 幻冬舎のネット雑誌幻蔵にて連載されている作品。足利義満が権勢を振るっていた時代が舞台。義満が差し向けた陰陽師によって力を吸い取られ、子供と見紛うような姿に変えられてしまった大妖怪ガゴゼが、失われた力を取り戻すべくさすらうという感じのお話。アントンシクはこれが初単行本になるが、この人は、以前ガンダムエースで「ガンダム トゥルーオデッセイ」を描いてた、町田トンシクと同じ人ですかね。作画面ではもうかなり高いレベルに達しており、線が確かで、しっとりした感触もあるし、おどろおどろしい妖怪の描写もうまく、ちゃんと読ませるお話になっている。ただ1巻の時点ではまだガゴゼが感情移入できるほどにはキャラが立っていないし、ヒロイン格の少女・鬼無砂もまだあんまり活躍してない。技量的には問題ないと思うし、ストーリー的にはちゃんと読ませられそうなんで、あとはキャラが立ってくればなーといったところでしょうか。

【単行本】「Dark Seed −ダークシード−」1巻 紺野キタ 幻冬舎コミックス B6 [bk1][Amzn]

 こちらも幻蔵で連載されている作品。魔法学校で修行中の魔法使いたちの物語。この世界では魔法使いは、強い魔力を持つ「持てる者」と、持てる者の中の闇の因子が結晶化したような物質である石を預かって保管する「預かりし者」の二人が対になっているという設定。この作品では、誓約によって対になった少女、セレストとクリスの二人の絆をメインに描いていくという感じ。といったわけで紺野キタお得意の、女子寄宿舎友情ストーリーの魔法使い版といった感じかな。お話のほうはまだ序盤という感じで、魔法をどういうアプローチで描いていくかとか不明な点は多い。ただ上品な作画と雰囲気作りはいかにも紺野キタという感じで、今後には期待を持たせる。

 そんなわけで幻蔵連載の2作品を読んだわけだが、個人的にちょっと気になったのはどちらも連載の展開がちと遅めであること。この手のネット雑誌だと先行きがどうなるか不透明な部分もあるとは思うので、もう少し展開は早め早めにしてってもいいんじゃないかと思う。どちらも期待は持たせるのだけど、1巻めでもう少し序盤の大ヤマみたいな部分も作っておいてほしかった。やっぱWeb雑誌、しかも有料となると読む人は限られてくると思うので、単行本1巻ずつで勝負できるようにしとかないと、読者の興味をつなぎにくいんじゃないかなーって気はするんですよね。

【単行本】「陽だまりのピニュ」2巻 こがわみさき スクウェア・エニックス B6 [bk1][Amzn]

 相変わらずこがわみさきの優しくてスッキリとした絵柄は見てて気持ちがいい。そしてストーリー面、というか読ませる力にいまいち欠ける点もまた変わらない。本作のあらすじは、異国から王女様・ピニュが日本の高校にやっきて、おむこさんさがしをするというもの。まあ基本的には学園ラブコメ。優しくかわいらしい絵柄のおかげもあって、ほのぼのとそれなりに楽しく読めはする。ただしメインストーリーをぐいぐい読み込ませるって感じではないし、ラブコメ、ラブストーリー的にももう一つ薄味に思えてしまう。上品で印象自体は悪くないが、気がつくとキャラもストーリーもいまいち印象に残っていない。あと1巻の発売は2004年12月とだいぶ間があいてしまったので、2巻の冒頭にあらすじ紹介ページは用意しといてほしかった。

 この人の作品を見ていると、すごくいい絵をしているのに、それを存分に生かしきれてなくてもったいないなあといつも思う。これでも「十分面白い」と感じる人はいるかもしれないけど、「こんな程度で収まっちゃダメだろう」と個人的には思う。まあそれだけ期待してるってことの裏返しだったりはするわけなんですが。

【単行本】「あくはむ」1巻 新居さとし 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 どう見てもハムスターにしか見えない悪魔と、それを呼び出した黒魔術が趣味の女の子の他愛ない日常を描いた4コマ漫画。エラそうだけどどうしてもかわいい小動物にしか見えない悪魔が見てて楽しく、たいへんほのぼの。新居さとしはコミックフラッパーで「地球防衛OLいちご」を描いていたけど、4コマもなかなか。安定して楽しいギャグ漫画を描ける人なのでなかなかいいんじゃないでしょうか。この人のラブコメでの作品もそのうちちゃんと単行本まで持ってけたりするといいんだけど、まずは足場固めということで。

【単行本】「ヴィンランド・サガ」1巻 幸村誠 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 ヴァイキングの少年・トルフィンの生き様を描いていく冒険物語。週刊少年マガジンからアフタヌーンに移ったため、単行本出し直し。週刊少年マガジンでやってた分も再録刊行となっている。単行本は今後9月22日に2巻、10月23日に3巻と3か月連続発売。というわけで新しい内容は10月分の3巻からかな。

【単行本】「へうげもの」3巻 山田芳裕 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 この巻も面白い。本能寺の変からその後のゴタゴタまでを描いていくという巻だが、信長、秀吉、光秀らがそれぞれの信念に従って動いている様子がたいそうカッコいい。そんな中、古田左介も悩みながら自らの道を見つけていくことになる。彼がデザインした信長追悼の旗印なんかも、一見間抜けているようでインパクトあり。やはり山田芳裕は見せ方がいい。鮮やかでお見事。

【単行本】「アグネス仮面」8巻 ヒラマツ・ミノル 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 最終巻。最後は猛威を振るった安藤Jr.に対し、アグネス、そして虎嶋が「プロレス」というものを見せつけて締めくくり。最後はちょっとバタバタしていた感もなきにしもあらずだが、ヒラマツ・ミノルなりの「プロレスはこうあってほしい」というモノは見せてくれたかな。客が期待しレスラーがそれに応える、レスラーが見栄を切り観客もそれに乗っかる、という呼吸を。まあ安藤Jr.をやっつけるあたりはもう少しガッツリ見せてほしかった気もするが、セメントでどうのこうのというものに帰結させるつもりもなかったのだろうし、これはこれで良かったのかもしれない。まあ虎嶋とアグナスの勝負はやっぱもう少し見たかったですが。

【単行本】「ホーリーランド」13巻 森恒二 白泉社 B6 [bk1][Amzn]

 ユウがデビュー直前のキックボクサー・小原ヨシトと再戦。格闘技術的にはヨシトのほうが格上だったが、これまで街で得たものすべてを使うことで、ユウはヨシトと渡り合う。正々堂々ガツガツぶつかり合ってて、なかなかかっこいい展開だった。あとこの巻の後半はイザワの過去エピソードにも踏み込む展開。ユウのほうはすでにかなりイイ感じになってきており、むしろイザワがトラウマを克服するほうがやっかいかもしれない。

【単行本】「アニメがお仕事! 」5巻 石田敦子 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]

 いやー面白いですね。アニメ作りに賭ける若者たちのドラマをすごくドラマチックに見せてくれていて毎回ググッと力が入る。イチ乃にしろ二太にしろ、悩んだり挫折したりしながら、要所要所でアニメへの想いに支えられてまた立ち直る。その姿を見ていると何やらふつふつと気持ちが沸き立ってくるものがある。好きなだけでは続けられないけど、でもやっぱり好きだから続けている。そんな若者たちの姿が実に眩しくてアツい。

 あと恋愛方面のお話もけっこう読まされてしまう。とくに二太に片想いしているのんのさんがいいですなあ。それとイチ乃の乳のデカさですよ。今回はおまけ漫画でイチ乃の乳事情もやってて、乳好きとしてはうれしかった。


9/2(土)……おーい、もっと

▼本日の漫画感想はエロ漫画づくし。というわけでエロ漫画に興味がない人は華麗にスルーしちゃってくださいまし。

【雑誌】コミックメガストアH 10月号 コアマガジン B5平 [Amzn][定期購読:7andyicon/Fujisan

 和六里ハル「大妹H2」。このシリーズは面白いですなあ。身体がでっかくてお兄ちゃんのことが好きで好きで仕方がない妹さんが、お兄ちゃんを襲ってやりまくるというお話。妹さんの天然でマイペースなキャラが見てて面白いし、妹とは対照的にちっちゃいお兄ちゃんのほうもかわいい。あとエッチシーンも充実してて、読んで楽しめて実用面でもグッドな一作となっている。このキャラでもう何話か続けてほしいなあ。いろいろ転がせそうなキャラたちだし。草津てるにょ「ひぐらし荘の管理人たち」。主人公のあんちゃんが隣に住むボロアパート管理人であるエロっちい奥さまと関係しちゃうというお話。壁穴を通してフェラチオしてもらうってネタは個人的にはけっこう好き。あとまあ人妻モノなのでそこもまた当然のごとく。

 久川ちん「実験室」は、怪しげなアルバイトで一つ部屋に閉じ込められた同級生男女が、その場の雰囲気に流されてエッチなことをしちゃうというお話。漫画版「かみちゅ!」っぽい感じの絵柄が魅力的で、お話のほうも茶目っ気が利いててまずまず楽しい。紺野あずれ「常磐木さんの猛攻★」は、プールでスク水。奥手でなかなか手を出してこない彼氏に、彼女さんが猛アタックという内容。紺野あずれは絵柄的にはあっさりしてて実用向きではないけど、かわいらしい絵柄で良いですな。非エロの雑誌でもやっていけそう。

【雑誌】ポプリクラブ 10月号 晋遊舎 B5中 [Amzn]

 今号はBENNY’S&井ノ本リカ子はともにお休み。次号予告にも名前がないなあ。作者ページのインフォメーションによると、BENNY'Sは単行本作業、井ノ本リカ子は秋からの新連載準備のためにお休みということなんで、別に関係が切れたとかいうわけではなさそうですな。

 あかざわRED「おくちからのこいびと」。かわいい主人公少年のおちんちん液を、お姉ちゃんがごっくんというお話。というと巨乳系を想像するかもしれないけど、姉弟ともに子供でロリロリ。あかざわREDらしい明朗快活なノリで、ハツラツとかわいい作品に仕上げてて読んでて楽しい。De「どっぐでいず・しすたー」。最近のポプリの中ではこの人が良いと思う。基本ロリ系だが絵が明るくてほの甘くてカワイイ。今回はお兄ちゃんラブラブな妹さんが、お部屋にビニールプールを持ち出してきて、そこからエッチに突入という内容。無邪気で元気な娘さんがかわいくて良い。目とほっぺたの光の入れ方に特徴があり、短く太めの眉毛もチャームポイント。このほかでは、中年「二人は進行中」も良い具合。品の良さげな絵でエッチもしっかり。最近よく見る、無口だけどエロには積極的なタイプの彼女さんがかわいい。

【雑誌】COMIC XO 10月号 オークス A5平 [Amzn]

 峠比呂「リボラバ!」第3話。不意にちんこがやたらデッカくなってしまい、イッパツ抜かないと収まらないという病にかかってしまった主人公が、転校生の女の子と放課後ふたりっきりになる。という展開なんだけど、今回のお相手は転校生じゃなくて、いつもツルんでいた同級生の素直になれないツンデレ女子。続きモノということもあってキャラが立ちつつあり、なかなかラブコメ的に良さげな雰囲気。うまいこと持ってって看板連載になってくると良いのですが。

 あと今号は巻頭カラーで、唄飛鳥の新連載「つみはは」がスタート。マンション住まいの奥さんが隣に住む少年に強姦される……という出だし。今後はその息子さんもからんできて、ぐっちょんぐっちょんという感じになりそう。唄飛鳥の身体の描き方は艶めかしくてなかなかエロい。人妻スキーとしては楽しみなところだが、個人的にはママスキーというよりはヅマスキーなので、息子さんよりは隣の少年のほうに活躍してほしいところではありますが。

【単行本】「Come Together」 ZERRY藤尾 幻冬舎コミックス A5 [Amzn]

 なんかすごく久しぶりな単行本。純粋な新刊は2002年6月発売の「リボルバー」以来だったかな。ZERRY藤尾作品は「扉をコジあけて」以降、だいぶ汁っ気を増し、乳の大きい女子もふんだんに描くようになり、実用度がアップ。ヒロイン女子の表情も何気にけっこうかわいい。「No!No!No!」「敵はツンデレ」あたりのツンデレ系ヒロインは、「忍者松本」シリーズのドジっ娘の漫画家志望くノ一さんとかも素直に萌えられるモノを備えている。

 とはいえ、この人の最大の特徴である、ついついギャグ要素をぶち込んでしまう習性は健在。読む人を選ぶうんちく、ヒネリきかせすぎじゃろー的なネタの数々は、分かる人はたいへん面白いんだけど、そこでエロ一辺倒になっていた頭をクールダウンさせてしまうので、抜きを阻害する要因にもなる。しかしそういうものを入れずにはいられないのがこの人の性であり持ち味なんで、まあそこらへんは承知の上で読むべきでしょう。まあ表紙絵が普通にカワイイねーちゃんっぽいので、作風知らん人はダマされるかもしれないけど、それもまた一興。

 一時期、あんまり商業誌に作品が載らなくなってたんでどうしたのかなーと思ったりしましたが、最近のギガロックを見る限りではピンピンしてそうな感じで一安心(まあギガロックの先行きがどうなるかは別として)。最近のエロ漫画界ではめっきり少なくなったクセ者的作風ながらも、ちゃんとヌキに使えそうなルック&フィールな画力もある作家さんなんで、ちゃんと単行本出してくれる出版社が出てきたのは何はともあれめでたいです。

【単行本】「やさしくしてね」 大波耀子 幻冬舎コミックス A5 [Amzn]

 女流作家らしい華のある甘やかな絵柄で、暖かい雰囲気のラブラブエッチ漫画を描く。それだけってわけではないけど、わりと年上のおねえさんものも多くて、BENNY’S、井ノ本リカ子に似た印象もある作家さん。基本的には下品なタイプではなく、抜きという意味ではちと弱いかのうという感じはするものの、ほどよく甘ったるいお話作りで読後感は上々。ただ先に名前を挙げたBENNY’S、井ノ本リカ子あたりと比べると薄味で、「この人でなければ」という味がまだ弱い感はある。華やかで適度にボリューム感もある良い絵柄だとは思うので、そこらへんで武器が一つ欲しい。個人的には、ラブコメ部分をやりすぎと思えるくらいに甘ったるくしちゃうとかいいんじゃないかと思う。

【単行本】「苺☆TIME」 島本晴海。 富士美出版 A5 [Amzn]

 前作「ちゅ〜ぺっと」のヒロインだったイチゴちゃんが勤めていたソープランド「ストロベリー」を舞台とした作品。ストロベリーでいつもイチゴのせいでNo.1になれない元気者のソープ嬢・みかんちゃんをメインにしつつ、そのほかの女の子たちそれぞれを描いていくという感じ。「ちゅ〜ぺっと」は、主人公・藤川とイチゴ、それから藤川の後輩であるひいなちゃんによる三角関係を軸に、たいへんヒキの強いラブストーリーを展開していたが、「苺☆TIME」は終始明るく軽いノリとキャラの魅力で読ませていくという感じ。

 まあ気軽に読めて良いのですが、その分ヒキは弱く、終盤のクライマックスもさほど盛り上りはしないかなーという感じ。エロシーンもつややかでぷりぷりした女体描写は良いけど、ソープということで非常に屈託なくエッチしちゃってるので、淫靡さを求める人には実用面では物足りないかも。でもまあ個人的には前作ではやらずじまいだった、ストロベリーの熟れ熟れ店長さんの梓さんが今回はちゃんとやってたので、その点はうれしいかなあといった感じ。

【単行本】「霧の童話」 ほしのふうた 東京三世社 A5 [Amzn]

 コミックミニモンで連載された、ほしのふうたとしては珍しいダークなストーリーの長編「霧の童話」を最後まで収録。霧だらけの村に呼び寄せられ帰れなくなった少年少女が、そこで仲良くなりエッチなことを繰り返す仲となる。しかしそれは村で行われている儀式のために仕組まれたことであり、やがて二人は捕らえられ、大人たちによってセックスを強制させられたり、もう人の少年が二人の間を引き裂こうと入り込んできたり……といった感じでミステリアスかつエロチックに展開。

 というわけでけっこう作者が力を入れてやっていたことが感じられる続きモノ作品なのだが、単行本の作りが良くない。この単行本では「霧の童話」シリーズが第5話から収録されており、お話の全容をつかむには昨年9月に出た単行本「霧の中の少女」(感想は20050928日記参照)が必須。それなのに単行本でその説明がちゃんとされておらず、1〜4話のあらすじ解説ページとかも存在しない。これでは「霧の童話」のほうを先に買っちゃった読者にはちんぷんかんぷんになってしまう。

 またこの単行本には「プールの中」、「夏休み仲良し3人旅行」前後編と、「霧の童話」シリーズ以外の作品も収録されている。この3本を「霧の中の少女」のほうに回して、「霧の童話」シリーズを1冊にまとめられなかったもんだろうか……と思った人もけっこういると思う。単行本化のさいに手の込んだことはしないのが東京三世社のスタイルではあるけど、それにしてもこの作り方は残念。

【単行本】「魔月館奇譚」4巻 井荻寿一 秋田書店 B6 [bk1][Amzn]

 本当にいつもどおりのぺース。管理人の月子さんが典型的な井荻寿一型ヒロインで、品は良いけどちょっとエッチというラインで焦らす。主人公との距離もものすごく微速ではあるけど、すこーしずつ近づいていっててラブコメ度もいくぶん上昇。まあ目立つ面白さってわけでもないけどちょっと心華やぐし、罪のない作品で気楽に読めます。


9/1(金)……したぎり雀

▼2006年9月の単行本購入予定。データはbk1まんが王倶楽部の新刊予定を参考に作成。リンク先はAmazonのワード検索。リンク先URLはスクリプトによる自動生成なので、まだAmazonのデータベースに登録されておらず、該当物件が表示されないリンクもありますのでご了承ください。

9/4 「太臓もて王サーガ」4巻 大亜門 集英社
9/4 「スティール・ボール・ラン」9巻 荒木飛呂彦 集英社
9/6 「かみちゃまかりんchu」1巻 コゲどんぼ 講談社
9/6 「アゴなしゲンとオレ物語」22巻 平本アキラ 講談社
9/6 「しあわせ団地」9巻 蓮古田二郎 講談社
9/6 「わにとかげぎす」1巻 古谷実 講談社
9/6 「万祝」7巻 望月峯太郎 講談社
9/8 「無敵看板娘N」2巻 佐渡川準 秋田書店
9/8 「椿ナイトクラブ」1巻 哲弘 秋田書店
9/8 「ハチミツとクローバー」10巻 羽海野チカ 集英社
9/8 「少女ケニヤ」 かわかみじゅんこ 祥伝社
9/8 「喰いしん坊!」9巻 土山しげる 日本文芸社
9/9 「少年ブランキーJET」1巻 佐野タカシ 一迅社
9/9 「彼女を守る51の方法」1巻 古屋兎丸 新潮社
9/中 「新版・万事快調」 駕籠真太郎 青林工藝舎
9/14 「恋の行方」 くどうひさし 桃園書房
9/15 「スミレ16歳!!」1巻 永吉たける 講談社
9/15 「未成熟しょうじょ図鑑」 ねんど。 茜新社
9/16 「夜ノ懴悔室」 草津てるにょ エンジェル出版
9/19 「サタニスター」1巻 三家本礼 ぶんか社
9/19 「ガールフレンド」4巻 作:外薗昌也+画:別天荒人 集英社
9/19 「学園アリス」11巻 樋口橘 白泉社
9/19 「チムニーズ館の秘密」 榛野なな恵 集英社
9/20 「恋愛ジャンキー」20巻 葉月京 秋田書店
9/下 「改訂版・夢のQ-SAKU」 丸尾末広 青林工藝舎
9/下 「まんカス(仮)」 漫☆画太郎 太田出版
9/下 「花粉少女注意報」 小梅けいと ワニマガジン社
9/21 「デ・ジ・キャラットGGBG!おかわり」 山田J太 SBCr
9/21 「恋きゅー♥」1巻 征海未亜 SBCr
9/22 「東京赤ずきん」4巻 玉置勉強 幻冬舎コミックス
9/22 「わがまま戦隊ブルームハート!」1巻 石田敦子 幻冬舎コミックス
9/22 「ヴィンランド・サガ」2巻 幸村誠 講談社
9/22 「世界の孫」1巻 SABE 講談社
9/22 「喰いタン」6巻 寺沢大介 講談社
9/22 「イカロスの山」4巻 塀内夏子 講談社
9/22 「ディアスポリス」−異邦警察− 1巻 すぎむらしんいち
9/22 「ZOOKEEPER」1巻 青木幸子 講談社
9/25 「真説 ザ・ワールド・イズ・マイン」3〜4巻 新井英樹 エンターブレイン
9/25 「よみきりものの… コオニライフ」 竹本泉 エンターブレイン
9/25 「すもももももも 〜地上最強のヨメ〜」5巻 大高忍 スクウェア・エニックス
9/25 「ぬいぐるみっくす♥」1巻 泉ゆうじ ワニブックス
9/25 「放課後少女」 上乃龍也 オークス
9/26 「低俗霊DAYDREAM」9巻 作:奥瀬サキ+画:目黒三吉 角川書店
9/26 「天の鳥 花の夢」 江平洋巳 小学館
9/27 「夜明け前より瑠璃色な」1巻 作:オーガスト+画:脳みそホエホエ メディアワークス
9/27 「錬金3級まじかる?ぽか〜ん」 作:がらくたはうす+画:どれえじゃっきぃ メディアワークス
9/27 「下町マドンナ食堂」4巻 中田ゆみ 少年画報社
9/27 「センチメンタル」 愛染五郎 少年画報社
9/27 「惑星のさみだれ」2巻 水上悟志 少年画報社
9/27 「恋愛ディストーション」5巻 犬上すくね 少年画報社
9/29 「ヨイコノミライ」4巻 きづきあきら 小学館
9/29 「ボーイズ・オン・ザ・ラン」4巻 花沢健吾 小学館
9/29 「」2巻 石塚真一 小学館
9/29 「Fine.」2巻 信濃川日出雄 小学館
9/29 「医龍」12巻 乃木坂太郎 小学館
9/29 「カムイ伝全集 第二部」10〜11巻 白土三平 小学館
9/29 「ベルセルク」31巻 三浦建太郎 白泉社
9/29 「団地ともお」8巻 小田扉 小学館

【雑誌】ヤングアニマル増刊 嵐 10/2 No.10 白泉社 B5中

 作:永久保貴一+画:増田剛「御石神落とし」。豪とメアリーがタイムスリップして明治時代の若夫婦に乗り移り、そのころの生活および性文化を体験する一連のエピソードがおしまい。夜這い、間引き、日本と西洋の性に対する価値観の違いについても踏み込んでいて面白かった。最後はなかなかテンションも高かったし。川津健二朗「恋花温泉」。これまでずっと秋山に対する悶々とした想いを抱えてきた瑠梨香が、ついに衝動を抑えきれなくなって……というお話。秋山にはすでにカノジョがいるけど、こちらも恋愛モードが高まり盛り上がってきた。まあハーレムラブコメが一段落した後の展開で、逆転はまずない状態ではあるんだけど、それなりにヒキは強くて面白い。

 高嶋知宏「ままははストライク!」。増刊あいらんどの続きのエピソード。好きだった同級生が父親の後妻になっちゃって、主人公男子はムラムラしっぱなしというドタバタラブコメ。絵がかわいいしサービスもふんだんで、個人的にはけっこう好き。そろそろこの人も単行本の一つも出てほしいところではありますがのう。本誌でも嵐でもいいので連載で定着できれば。あと今号には読切、黒澤R「モコモコ天国」が掲載。絵柄とか作風はえりちんに近い。あとこの作品では、原田重光が原作を担当している。「ユリア100式」でも頑張ってる原田重光だけど、原作者としてだいぶ軌道に乗ってきたかな。

【雑誌】ヤングガンガン 9/15 No.18 スクウェア・エニックス B5中

 以前読切で掲載された、勇人「はなまる幼稚園」が新連載に。マセた幼稚園児の杏ちゃんが、大好きな先生・土田を誘惑しようと、幼児ながら頑張っちゃうという幼稚園ほのぼの漫画。ちまちました絵柄で幼女たちが元気に動いていてかわいく、お話のほうも賑やか。個人的には巨乳のおなご先生である山本先生もいいと思うが、お話的にはまあ杏のジャマ者的存在ですな。コンスタントに楽しめそう。あとショートギャグ系の作品では、小池田マヤ「うめぼし」がけっこう好き。お話的にはまだなんともいえないところもあるのだが、毎回おいしい漬物の漬け方を紹介しているのが個人的にはうれしい。いやー、ちょうど自分でうまく漬けられたらいいなーとか思ってたもんで。

 作:原田宗典+画:井田ヒロト「戦線スパイクヒルズ」は引き続き不穏な展開。これまで積み上げてきて、いよいよ計画実行寸前というときになって暗雲漂いまくり。緊迫感もあって面白いです。大高忍「すもももももも〜地上最強のヨメ〜」もシリアス。なかなか白熱している。今回は犬塚もちょっとカッコよかった。まあそろそろvs.虎金井ファミリー編に決着つけて、ドタバタに戻ってほしい気もいたしますが。

【雑誌】近代麻雀 10/1 竹書房 B5中

 最近近代麻雀系は、本誌、オリジナルともにあまり面白くない。なんだかんだいってイカれてて一部の注目の的だった雀鬼流ゴールドがなくなってしまったのは痛いと思う。3誌あるとそのうちのどれか一つは面白かったりするし、それぞれの個性は出しやすそうだし。今は本誌もオリジナルも中途半端に思える。まあ押川雲太朗「リスキーエッジ」(原作:荒正義)、天獅子悦也「むこうぶち」、片山まさゆき「打姫オバカミーコ」、福本伸行「アカギ」と、定番メンツは手堅いんだけど、それ以外の新鮮味のある注目作が出てきてほしい。

【雑誌】ビジネスジャンプ 9/15 No.19 集英社 B5中

 うおー、また倉科遼漫画が増えた〜。というわけで作:倉科遼+画:和気一作の「女帝」コンビが登場し、新連載「女帝薫子」を開始。「女帝」「女帝 花舞」に続く銀座女帝ロマンシリーズ三部作の3本めということらしい。これで紅林直「嬢王」に続き、ビジネスジャンプの倉科モノは2本。さらに小田原ドラゴン「ホスト一番星」もある。そんなにみんなキャバクラだのクラブだのおっぱいパブだのが好きなのか〜。さすがに「ホスト一番星」は違うけど、クラシナはすでにジャンルといっていいかもしれない。そのうちOHP月極アンケートで「好きな倉科遼作品」でもやるか〜(←やりません)。

【雑誌】週刊漫画ゴラク 9/15 No.35 日本文芸社 B5中

 土山しげる「喰いしん坊!」は、喰いワングランプリの2回戦に突入。今度はピザ勝負だが、見た目のインパクトがすごいなあ。これって作るのタイヘンじゃないんだろうか。村生ミオ「SとM」。ようやく主人公がストーカー社内妻をイカせて脱出の機会を得るが……といった展開。それにしてもこのあんちゃん、これだけムチャやられていながらヌルいなあ。逃げる前に手足を縛るなりすればいいのに。あと社内妻さんの表情は相変わらず強烈で怖い。そして全体的に見ると、やっぱムチャクチャぶっ飛んでてスゴい。

【雑誌】コミックバンチ 8/15 No.40 新潮社 B5中

 作:西村ミツル+画:大崎充の「ミツル」コンビで新連載「グラメ〜大宰相の料理人〜」が開始。西村ミツルは「大使閣下の料理人」の原作も手がけているが、今回は首相官邸に25歳の女性シェフが採用されて活躍するという作品。まあ多少立場は違うけど、基本的なテイストは「大使閣下」と同様。作画の大崎充は、画風が小畑健にずいぶん似てるけど、アシスタントとかやってたんですかね。バンチでの大崎充の連載は、ホストが温泉旅館をやるという「毎日がレディースデイ」以来でしたっけか。

【単行本】「最後の制服」2巻 袴田めら 芳文社 A5 [bk1][Amzn]

 女子寮が舞台の百合百合なラブコメ連作。以前にゅーあきば.comのレビューでも取り上げたけど、ほのぼのしていながら甘ったるい百合ワールドを展開してて楽しい。出てくる女の子たちはかなりラブコメ脳をしてて、ときどきエッチっぽいほうに考えを及ぼしたりもしてるけど、袴田めらの画風だとあんまりベタベタしない。閉じた世界に濃密な甘ったるさが充満しているが、作画のおかげでサッパリといただける一品となっている。

【単行本】「乱飛乱外」2巻 田中ほさな 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 セクシー忍者さん大活躍のドタバタコメディ2巻め。この巻ではくノ一3人組の御主人様である雷蔵が、とある大名の姫に近づいて、逆玉→お家再興を狙うが……というエピソード。この巻でもかがりをはじめ3人組はいろいろ賑やかにやってるけど、むしろ今回はお姫様と雷蔵のラブコメ展開、そしてその顛末のほうが楽しい。しっかりドタバタやってるし絵のほうもさすがに達者で色っぽく、見映えもする。爆発的に面白いって感じではないけど、毎度安定して楽しく読める一作。

【画集】「下着日和」 はっとりみつる FOX出版/文苑堂 変型判 [bk1][Amzn]

 下着姿の女の子のイラストで埋め尽くされた画集。はっとりみつるの絵は相変わらず健康的なお色気に満ちていてとてもいいなあ。エロ心をソソられると共に、見ていてほの暖かいような心地良い気分になれる。この味はこの人独特。線だけでなく色使いにも味があってイイ。あと下着ってテーマもいいですなあ。水着よりも裸よりも、かえってエロっぽさがあるけど、下品にならないギリギリラインを保ってる。あとはっとりみつるの場合、全部脱いだりエッチしたりするよりは、このくらいの見えそで見えないラインでやるほうが、持ち味が出る気がします。


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