2003年2月下旬


2/28(金)……大観覧車で代官乱射

▼OHP月極アンケートテーマ入れ替え。3月のテーマは「むしやどうぶつたちのせかい」。人間以外の生物たちをメインに置いた漫画がテーマです……というとなんか非常に禍々しく聞こえるけど、要するにいわゆる「動物漫画」に魚とか虫とか植物とかも加えるって感じです。

▼2月分「学園モノ」は小原愼司「菫画報」がトップに。このテーマについては、「究極超人あ〜る」がぶっちぎって「あずまんが大王」あたりが続くといった展開を予想してたのでちょっと意外だった。

▼3月1日はちょいと疾走して失踪しますので、1日分の日記の更新は遅くなると思います。更新しないかしても2日夜でしょう。

▼未読物
【単行本】「晴れた日に絶望が見える」 あびゅうきょ 幻冬舎コミックス B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「羊のうた」7巻 冬目景 幻冬舎コミックス B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「エイケン」9巻 松山せいじ 秋田書店 新書判 [bk1][Amzn]
【単行本】「セツナカナイカナ」 こがわみさき エニックス B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「おうどうもん」1巻 せきやてつじ 竹書房 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「ヘルシング」5巻 平野耕太 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「野望の王国完全版」7巻 作:雁屋哲+画:由起賢ニ 日本文芸社 B6 [bk1][Amzn]
▼早売り(1日)
【雑誌】ポプリクラブ 4月号 晋遊舎 B5中

 「晴れた日に絶望が見える」と「羊のうた」はAmazon.co.jpで予約してたのがようやく到着。やっぱり予約はbk1のほうがいいなあ。

【雑誌】ヤングアニマル 3/14 No.5 白泉社 B5中

 作:蘭佳代子+画:かたやままこと「プロフェッショナルスチュワーです!!」が連載再開して第2部がスタート。第1部の水着攻めな最終回がかなりヤケクソっぽいおめでたさだったので、続きが始まったのはけっこう意外だった。宮野ともちか「ゆびさきミルクティー」。今回の黒川さんはちょいと大胆でドキドキ度アップ。でも眼鏡はずしちゃいやーんって人もけっこう多かろうと愚考。

【雑誌】ヤングキングアワーズ 4月号 少年画報社 B5中

 平野耕太「ヘルシング」。イスカリオテかっちょいー。でも12ページじゃ全然読み足りない〜。常に読者に飢餓感を与え続けているといえなくもないけど、やっぱもっと読みたいっす。水上悟志「散人左道」は2本分、32ページが掲載。弟子のよるがわりと活躍。お師匠のフブキも格好良いところを見せているが、今回は妖怪退治のための妖怪退治みたいなエピソードだったので、お話的にはちと弱いかな。気持ちのいい作風をもっと生かせるだけの物語構成力が欲しい。

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 3/14 No.6 小学館 B5中

 どの作品も一定のクオリティをクリア。安心して読める誌面となっている。乃木坂太郎「医龍」(原案:永井明)。お話の盛り上がりとは直接関係ないのだが、加藤さんがなんだか色っぽくていい。内心の不安を凜とした気丈な立ち居振る舞いで隠す、危ういバランスにソソられるものが。次号からはもりやまつるの短期集中連載「笑う門には福来たる」がスタート。

【雑誌】コミックバンチ 3/14 No.13 新潮社 B5中

 第2回世界漫画愛読者大賞エントリー作5本め、佐藤良治「極楽堂運送」。18年間の刑期を負えた元ヤクザの菊三と、出所直前に抱いた女との間にできた初対面の娘と手を組んで騒動を巻き起こす。若林健次とか須田真太郎を思い起こさせるような泥臭い絵柄でごちゃごちゃ詰め込んだようなエネルギッシュな画面はわりと好みだが、お話的にはもう少し吸引力が欲しいかなといったところ。力の入れどころ抜きどころのメリハリがもう少しつくと、スムースに読んでいけるんではないかと。作:上之二郎+画:小野洋一郎「報復のムフロン」。佐野が警察庁長官を公衆の面前で追い詰めていく様子は緊迫感があって面白い。実際のところ、この舌戦で決着がつかなかったとしても、長官的にはもう社会的信用は失墜しちゃっているといえるだろうけれども。梅川和実「ガウガウわー太」。今回はラブコメ風味強し。キスシーンってのはやっぱり目を吸い寄せるインパクトがありますな。

【雑誌】フラワーズ 4月号 小学館 B5平

 奈知未佐子が表紙。作中に出てくるキャラは老人や子供、動物とかが多いので忘れてしまいがちだが、この人ってこんなファンシーな女の子絵も描けるんだなあ。

 で、今号のイチオシは小学館新人コミック大賞で佳作を受賞した、水浜藍「スミちゃんの口癖」。幼なじみな女の子二人の物語。ちょっと引っ込み思案なユウは、心に思ったことを躊躇なく「どーして?」という口癖の言葉とともに表に出せるスミのことを、常々羨ましく思っていた。そんな二人も大学進学を考える時期になったが、ユウはそんな時期だというのに彼氏ができ、みんなには内緒にしたままつき合いを続けていた。要約するとなんてことのないストーリーではあるんだけど、女の子二人の友情がさっぱりと描けていて、なかなかに気持ちのいい作風だった。素直な絵柄も物語によくマッチしている。

 巻頭カラーは渡辺多恵子「風光る」。楽しく読める。今回は神谷を女ではないかと疑う新隊士が登場。神谷の剣術がかなり上達していて、その腕前を見せつけるシーンなんかは痛快だった。西炯子「お手々つないで」は新連載。といっても単行本「STAY」に登場した、山王さんと佐藤さんの演劇部男女を主役としたコメディという感じ。クールそうに見えて意外とヘンな奴な佐藤、美人だけどマイペース極まりない山王さんのコンビネーションが楽しい。絵は相変わらずの美しさだし、面白く読める作品になっていきそう。

【雑誌】コーラス 4月号 集英社 B5平

 松田奈緒子「レタスバーガープリーズ.OK,OK!」。このところ、綾が稲造と偽太宰的作家の間で心揺れている様子が描かれているのだが、わりと軽めなネタかと思っていたら意外と事態は深刻な状況に。安定をとるか変化をとるか。難しいところでございますな。佐野未央子「君のいない楽園」。十萌たちが卒業で、八神くんとの仲に一つの節目をつけなくちゃならなくなる。今回のお話はけっこう切ない。ただ八神くんにしろ一椰にしろ、ちと美少年美青年すぎていまいち軽薄そうに見えるのが難だ。

【雑誌】メロディ 4月号 白泉社 B5平

 わかつきめぐみの読切「はるつぼみ桜色」が掲載。ふらふらといつまで経っても嫁をもらわない山の主と、彼を慕う池の精みたいな役割の女子の、和風ファンタジーテイストなほんわかラブストーリー。柔らかい絵柄で軽やかにお話を進め、ラストはきれいにしめくくり。32ページできっちりまとまった作品。勝田文「あのこにもらった音楽」。今回はいつもの夫婦の旅先で殺人事件が……という珍しくミステリアスな展開。でもやっぱり全体としてはのほほんとして、ゆるゆると読んでいける。相変わらず読後感が気持ちいい。3月17日に「ザLaLaメロディ」というLaLaとメロディ共同編集の新増刊が出るそうなのだが、そこにも番外編が掲載されるそうな。

【雑誌】快楽天 4月号 ワニマガジン B5中

 飛龍乱「STRAY SHEEP」は新シリーズ「Strange Love」の第1話という位置づけ。読切連作みたいになるのかな。まず今回は、彼女のお姉さんにほうに惚れてしまった少年のお話。今号は陽気婢「内向エロス」もお姉さん的な年上の女性とのお話だったけど、妹モノが幅を利かせている中、こういう年上の女性に甘えるっていうのもたまにはいいもんです。玉置勉強「ゲーセン」。やる気のないゲーセンの店員男女が、真っ昼間からカウンターの中でセックスしてしまうというお話。人がいれば絶対見られまくりな環境でのHというシチュエーションがスリリング。漂う自堕落なムードも味がある。

 RaTe「ひとふたまるまる 双の国から愛をこめて」。北朝鮮みたいな国から日本にやってきた女スパイが、日本文化を勘違いしまくったままHな行為にずぶずぶ溺れていっちゃうというお話。まあこの時期ありがちなネタではあるが、テキトーなノリは明るく楽しい。鳴子ハナハル「踊る大観覧車」。遊園地でデート中、乗った恋人たちは別れるという噂のある観覧車で、ラブラブカップルが出会った不思議なお話。この人のスッキリした絵柄は好感度が高い。快楽天は次々こういった新鋭が出てきますな。上連雀三平「淫肉交姦日記」。男女人格入れ替わりもの。精液どぴゅどぴゅな作品ではあるけれども、この人としてはわりと珍しく、フツーっぽいエロ漫画になっている。

【雑誌】阿ウン 4月号 ヒット出版社 B5平

 幸田朋弘「Petit-ろいど3」は3話め。ちっちゃな女の子型アンドロイド3人が合体するとお姉さん形態に変身、ご主人様にHをねだりまくる……という筋立てでここまで来ていて、大人にしちゃうよりはロリ形態のままのほうが最近では需要が強いのではなかろうかと思っていたが、今回はちゃんとそういうネタもやってきた。そこらへんは抜かりない。幸田朋弘はエロ方面に進出してからのほうがいい仕事してるなあという印象が、個人的にはある。師走の翁「精装追男姐」。前後編かと思っていたら、中編もあった。美少年のちんこがとれちゃってそれを3人娘にいいようにイジられまくるというネタで、もうガンガン遊びまくる。いや〜面白い。ふたなりもやったり痴漢をやったり、エロでのサービスをしっかりやりながらちゃんとエンターテインメントしている。ノリノリですな。

 池上竜矢は阿ウン初登場。「おっとりメガネの悪魔」。いつもは猫カブってる女教師が、生徒の男子をいいように弄んじゃうドタバタHコメディ。すっきりとしたイタズラ心のある絵柄がなかなかよろし。高岡基文「まゆマテリアル」は最終回。この人は長編だとお話が散漫な感じになってしまいがちなのだが、この作品も最後はドタバタしてしまった印象。エロシーンは抜群だと思うので、その持ち味を生かすためにもしばらく短編で行ってほしい。そっちのほうがいろんなキャラ、シチュエーションを見ることができるし。

【雑誌】エンジェル倶楽部 4月号 エンジェル出版 B5平

 ミルフィーユ「五十嵐さんの青春」がいい。エッチな先生に焚き付けられた女の子、五十嵐さんがパイズリすることに興味津々になっちゃって、男子生徒3人にパイズリしてやろっかと申し出る。そこから結果的にセックスに結びつきはするんだけど、最初はとくにそれを意識してるわけでなく、単純な好奇心だけでパイズリしてみたいと行動している様子が独特で面白い。あと顔は赤らめてるのに妙に命令的な口調もかわいかったり。中華なると「義父」。これを「ぎちち」と読ませるのはどうかと思うが、内容的にはわりとこの皆ネタ。えーとつまり新妻が夫の留守中に義父によってさんざん犯し抜かれるというお話。今回は第一話で今後も調教が進む見通し。とくに小細工なくステロタイプなエロをやっているけど、オーソドックスである分練れているという感じ。

【アンソロジー】アイラDELUXE VOLUME.8 三和出版 A5平 [Amzn]

 前号に続いて発売が28日になってたけど、次号予告を見たらVOLUME.9も3月28日発売。これは本格的に28日発売に移ったかな? 最近はエロ漫画もわりと直球的なハードコアエロスが増えていて、畸形な作品が減ってきているような気がする。そんな中、アイラDELUXEは人体改造とかスカトロとかの最後の砦という感じがするので、ぜひ堅調に頑張っていただきたい。まあそれでもフラミンゴの最高にキッツかったときよりはヌルいとは思うんだけど。

 さて今号はまず掘骨砕三が巻頭でカラー4ページ。「蛞猫」。蛞蝓をちんこ代わりにすることで共生する猫が、鼠さんを可愛がるというお話。グロテスクな素材を用いてやってることも変態的なのに、パッと見のキュートさは相当なもの。こんな道具立てなのにラブラブであったりもするとは。いやー、この人の奇想と表現力はまったく凄い。毛野楊太郎「冥奴ごっこ」は新連載。兄に肉奴隷メイドとして調教されている妹のお話。最初っから尿プレイとかあるし、けっこうキツめな調教がほのめかされていて楽しみ。

 小林少年丸「ボク等はミンナ生キテイル」。これも新連載かな。人類が一夜にして変貌を遂げ、動物や鳥、虫などと融合したような肉体に変化しちゃった地球が舞台。そんな中、まず第一話は牛と融合した娘と兎と融合した男のエロを描いている。多乳だの多手多足だの羽根つきだの、かなりアクロバチックなキャラがてんこ盛りになっていきそう。小林少年丸って本当に器用だなあ。ギャグ、ラブストーリー、ハードH、はたまたフリークスものなど、なんでも描きこなす腕前にはいつも感心する。しかもそのどれもがけっこう高い水準にあったりするのだ。今回のネタもすごくあっけらかんと描いているけど、けっこうヤバいネタだよなあ。


2/27(木)……廊下の端を走ろうか

▼先日レンタルがスタートしたアニメ映画「千年女優」を観てみる。おお、これは美しい物語だ。少女のころに出会った思想犯の青年にもう一度会いたいという想いに支えられて人生を駆け抜けた、往年の大女優の生涯を、彼女の出演した映画の映像に載せて描き出す。美しい作画と観る者を引き込む巧みな演出の数々、あと映画の名シーンの絢爛たるイメージに吸い寄せられる。1時間ちょいというボリュームもちょうど良い。というわけでこういう作品にはもっとお金を払っておくべきだなと思い、サクッとDVDを注文してしまいました。初回限定のコレクションBOX[Amzn]のほうはさすがに高いんで通常版[Amzn]にしちゃったけど。

2003年2月23日コミティア購入本。入力してみました。今回はたぶん44冊。読むのはまたそのうち。

【雑誌】モーニング 3/13 No.13 講談社 B5中

 六田登の読切「頼むから静かにしてくれ」。事故死した250ccレースの天才ライダー・オサムへの思いを引きずり続けている、生保レディー兼女性ライダー・スズカの物語。この人のモータースポーツものは久しぶりに読んだけど、やっぱり面白いと思った。バイクが疾走しているシーンはスピード感があってカッコイイし、この人らしくドラマが人間くさい。読切シリーズとなるようで、次回は「東日本〜東北地方で桜が咲く頃登場予定」だとか。

 幸村誠「プラネテス」が掲載。今回はタナベらが乗り込んでいるデブリ回収船の女性クルー、フィーさんのエピソード。たぶん読者が期待しているのは、木星に向かってハチマキたちが邁進するお話のほうだと思うのだけど、そういうところを巧みに外して意表を衝いてくる。でも宇宙を生活の場とするということを、いろいろな視点から見せるというのはこれはこれで面白いことでもある。さだやす圭「どうだ貫一」は最終回。この人も最近、序盤の名手っぽくなってきているなあ。ぶっちゃけた話、最初は面白いが終わりのほうがぐだぐだになりがちということなんだけど。

【雑誌】ヤングサンデー 3/13 No.13 小学館 B5中

 うーむ。今、小学館の青年誌勢の中ではぶっちぎりに面白くない。新井英樹、山田芳裕、山本英夫あたりが描かなくなってからの誌面はどうにも物足りない。ごはん系作品がしっかりしているというのは重要なことなんだが、ごはんだけではお弁当は成り立たない。やっぱりメインのおかずとなるような、強力なヒキとなれる作品が欲しい。現在のところ石川優吾「格闘美神 武龍」、北崎拓「なんてっ探偵アイドル」、一色登希彦「ダービージョッキー」、守村大「パラダイス」あたりはわりと楽しみではあるのだが、もう一つガツンと来るようなのを投入してほしいところ。

【雑誌】ヤングジャンプ 3/13 No.13 集英社 B5中

 清野とおるの読切「廊下を走ろう」は、学校の生徒たちが廊下を走る、ただそれだけの漫画。それなのに意味なく濃い。相変わらずちんこ丸出しの奴とかいるし、キャラの表情はクドいし。井上雄彦「リアル」。交通事故で下半身が麻痺してしまった高橋が、じょじょに現実を受け入れ始める。そして本当に大切なものが何だったかが見えてくる。これまでが憎々しげなキャラクターだっただけに、イヤな奴だったころとの落差が大きく、胸に迫ってくるものがある。今後、彼が野宮たちとどうからんでくるかも楽しみ。

 桂正和「ZETMAN」。この人が女の子を描くとやはり目が吸い寄せられてしまう。おしりの形とか素晴らしいですね。岡本倫「エルフェンリート」。このところ用意されていた伏線にもどんどんお話が及んできて、なんか真面目に面白くなってきている。序盤はネタ漫画的な扱いをされることが多かったけど、最近ではそういった展開を期待する色眼鏡は外して読んだほうがいい感じになってきているような。描き慣れてきてだんだん腕も上がって来ているような。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 3/13 No.13 秋田書店 B5平

 八神健「ななか6/17」。今回はかなりしみじみとする回。それぞれのキャラクターが落ち着くべきところに落ち着きつつあるけど、そろそろおしまいが近そうな気配。九里子ちゃんについてもそろそろなんかあるかな。おおひなたごう「フェイスガード虜」。なんか今回は虜と女ちゃんが砂浜デーツ。やけに青春ラブストーリーチック。でも当然ストレートにやるわけがなく。相変わらず真顔でヒネりをぐりんぐりんと喰らわす呼吸は絶妙だ。

【雑誌】コミックミニモン 4月号 東京三世社 A5中

 ほしのふうた「トンネル」。真っ暗なトンネルを一人で通るのが怖いといって、近くのおじさんが来るのを待っていたかなえちゃん。でも期待していたのはそれだけじゃなくって……。おじさんに微笑みかけるあどけなさと、Hなことに耽るエロチックな表情のコントラストがいつもながらにとてもよろしい。このところ単行本を次々と出し作品数も増えているけど、クオリティがコンスタントに保たれているのはご立派。たまちゆき「長い夜」は第6話で最終回。天才陸上少女のかずみちゃんは、結局進路として同級生の少年のH奴隷として生きる道を選ぶ。ラストシーンでは「ああ、そういえば」と思った。このお兄ちゃん、若いくせに我慢強い人ですな。

【単行本】「Blue Heaven」3巻 高橋ツトム 集英社 B6 [bk1][Amzn]

 「Blue Heaven」本編のほうはページ数の約半分で、読切の「69」「ROUTE69」が併録されている。「Blue Heaven」では豪華客船を舞台に繰り広げられる、生き残りを賭けた殺し合いを描いた作品。世界中の人種が乗り合わせた豪華客船を、地球の姿になぞらえ、たった一人の殺戮者が入り込んだだけで恐慌状態に陥ってしまう人の心の脆さを映し出していく。今の世界情勢を反映した話になっているといえるだろう。最後のほうでその構造を分かりやすく言葉で説明しすぎな感があり、もう少し「暗喩っぽく」してくれたほうが粋だったかなという気はした(別に暗喩そのものではなく、ちらほらと少しずつほのめかしていく感じでよい)。でも連載がヤングジャンプという一般性の高い雑誌であることを考えると、このくらいダイレクトに問題提起したほうがいいのかもしれない。

【単行本】「(犬)ロッキー」1巻 杉作 講談社 A5 [bk1][Amzn]

 (犬)の部分は本当は○の中に犬。「マルケン」と読む。とある少年に引き取られ「ロッキー」と名付けられた小犬が、人間のやることに疑問を感じたりしつつも、のんびり日常を送っていくというお話。筆だか筆ペンだかで描かれた描線同様、内容のほうは地にしっかり足が着いた落ち着いた雰囲気。モーニング本誌連載の「クロ號」では猫を描いている杉作だけど、犬を描かせてもやっぱりうまい。動物はきちんと可愛いし、描写も気が利いている。でもただ犬可愛がり猫可愛がりだけでなく、動物たちの厳しい日常もちゃんと織り交ぜていく。この作品のロッキーは飼い犬、しかも子供であるだけに、外を出歩くことの多い猫に比べると若干甘ちゃんな感じではある。まあそこがいいんだけど。

【単行本】「ニコニコ日記」4巻 小沢真理 集英社 新書判 [bk1][Amzn]

 この巻ではニコが中学生になっている。それとともにニコが女優の隠し子であることをかぎつけた青年が、ニコとケイの周りをうろちょろしだし……という具合で、ちとキナ臭い雰囲気も漂い始める。ここまでのお話と違ってニコもだんだん子供じゃなくなっている。今までのままではいられないのか……といったあたりで、緊張感も増して来ている。まあおかげで、最初のころのようなファンシーさはなくなってきてるけど。


2/26(水)……天水化物

格下げで自殺? 3つ星シェフ死の謎…(ZAKZAK)
 世界的に有名なフランス料理のシェフ・ロワゾー氏が自殺したという事件。ガイドブックの星格下げを気に病んだのではと推測されているらしい。まさに怨みシュラン。それはともかくとして、こういうのを見ると「評価する」ということは両刃の剣だってことを改めて痛感する。だからヌルい評価をするべきだなんてことはいわないけれども、自分が発した言葉からどんな事態が起こり得るかは常に想像を巡らせておいたほうがいいだろうし、自分の言動が原因で何か起きたとしてもそれをきちんと受け止める覚悟はしておくべきなのは確かだと思う。とくにインターネットだと「普通こんなとこまで読みにこないだろう」と思うような文章も検索で引っかかったりするわけだから。

【雑誌】少年エース 4月号 角川書店 B5平

 今月号には「ケロロ軍曹」6巻、「GIRLS・ブラボー」5巻、「キディ・グレイド −リバース−」の徳操版コミックスカバーがおまけとして付いている。これはわりといい付録だと思った。単行本読者、雑誌読者双方への販促になるし、実用的でもあるし。単行本買わない読者にとっても、ちょっと変わった形式のポスターが付いてきたと思えばジャマにはならない。

 原作:GAINAX+貞本義行「新世紀エヴァンゲリオン」。前回から渚カヲルが登場し、お話はいよいよクライマックスへ。アニメのほうはこのあたりから動かなくなったりリメイクされたりずいぶん混沌とした状況になっただけに、漫画版ならではのスタンスを打ち出しやすいところまで来た。ここからどう料理していくかはけっこう楽しみにしている。作:手塚一佳+画:しけたみがの「鋼鉄の少女たち外伝」。今号と次号の2号連続掲載される模様。女の子っぽさと戦場らしい冷酷さが共存するアプローチが異彩を放っている。

【雑誌】スーパージャンプ 3/12 No.6 集英社 B5中

 村上もとか「JIN −仁−」の新シリーズが開始。今回は大奥付きの漢方医に目をつけられた南方が、彼らの親玉的存在と対面することになる……というところから物語が始まる。さすがベテラン。着実で堂々とした話運びはやはり読ませる。

【雑誌】週刊少年サンデー 3/12 No.13 小学館 B5平

 橋口たかし「焼きたて!ジャぱん」。なんでパンの審査員はこんなに奇人変人揃いなのか……。今回のピエロも凄すぎる。藤田和日郎「からくりサーカス」。最近の勝はとても頑張っててカッコイイ。いろいろな経験を積んでしっかり成長している。

【雑誌】週刊少年マガジン 3/12 No.13 講談社 B5平

 赤松健の新連載「ネギま!」がスタート。そうか、「ラブひな」が終わってからもう1年半も経ってたんだなあ。今回のお話は、魔法学校を卒業した10歳のメガネくんなネギが、修行のため日本の学校で先生をやることになる……というところから始まる。うたい文句は「30人のヒロインがキミの恋人♥」。まさに「恋愛バトル・ロワイアル」状態。クラスが丸ごとヒロインという発想は確かに凄い。30人全部を有機的に機能させられたらもっと凄い。さすがに人数が多いだけあって、第1話から非常に賑やか。前作の「ラブひな」も物凄い騒がしい作品だったけど、終盤のほうの盛り上がりとかは素晴らしいものがあったし、優れたラブコメだったと思う。というわけで本作にも期待している。……ところで、ヒロイン30人は凄いことは凄いのだが、実は読んでみると意外と抵抗なく受け容れられてしまった。これってやっぱり慣れなんだろうか。

【単行本】「天水」下巻 花輪和一 講談社 A5 [bk1][Amzn]

 ああ、やっと最後まで読めた。未発表20ページと描き下ろし31ページを加えてようやく完結。みなしごの棗と河童さんの、母を探し尋ねる旅もようやく終着点に。全体としては優しく締めくくられる日本むかし話。でもお話の中に現れる怪異は、花輪和一ならではの濃くて緻密な描写が施されている。邪悪なものにとりつかれてしまったときの棗や母親のものすごい表情とかはやっぱりすごい迫力。紆余曲折はもろもろあるんだけど、最後まで読むとなんだかすごくすっきりさっぱりする。この憑き物を祓い落としてくれるような感覚はすごく気持ちいいなあ。やはり物語はめでたしめでたしが一番だと思う。本当に。

【単行本】「冴木さんってば…」 安田弘之 太田出版 A5 [bk1][Amzn]

 安田弘之のお蔵出し作品集。デビュー前から近作まで、発表時期はかなりバラついていて、作風も多様。でもユーモアがしっかり利いた作品が多いし、どの時期の作品を見てもセンスいいなあと思う。飄々とした話運びもそうだし作画もそう。直線的でカクカクした絵柄のときもあれば、曲線を多用してる絵柄もあり。そのどちらにも味がある。ここらへんの作品見ると、「ショムニ」あたりはずいぶん一般向けに噛み砕いて描いていたんだなあという気がする。

【単行本】「バガボンド」16巻 井上雄彦 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 この巻も小次郎がメイン。自斎から剣は教えられぬまま育ってきてはいるものの、内なる衝動はじょじょに小次郎の方向性を決定づけていく。今回は伊藤一刀斎がたいへんにカッコイイ。彼にしろ小次郎にせよ、どちらも底知れぬ強さというものを感じさせてくれる。あと鐘巻自斎の人間らしさもいい。登場人物が薄っぺらじゃなくちゃんと生っぽいところが良いですな。

【単行本】「EDEN」8巻 遠藤浩輝 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 今回は少し大人の階段を上り始めているエリヤと、娼婦のヘレナの距離が縮まって来ている。一言で感想をいうと、ヘレナさんいい女だなーという感じ。姉さん女房的な振る舞いや、時折見せる寂しそうな目つきとかもいい。でもたぶん読んだ人はきっと不吉な予感に襲われているに違いない。ヘレナさんがいい人であるだけに。最近のアフタヌーン掲載作品はこういうキャラに容赦がないからなあ。「無限の住人」の百琳とか。

【単行本】「夢使い」4巻 植芝理一 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 この巻から新エピソード「鉱物の聖母」編がスタート。少女の閉じ込められた石とガラクタによって構成された少女と、彼女に毎朝命を吹き込み続ける少年。彼らを巡ってさまざまな思惑がからみ、お話は展開していく。今回は新キャラの夢使い、めがねっ娘の茶川三時花(さがわ・さとか)も登場。オカルティックな事件に、少年少女の恋愛の甘やかさと、おもちゃなどを媒介とした夢のイメージを載っけて、テンポ良くお話を進めていて面白い。とりあえずまだお話は導入部って感じなんだけど、石とガラクタでできた褐色の肌を持つ少女・瑠瑠の神秘的な美しさが際立っている。女の子いっぱい。楽しんで描いてるなーという感じが伝わってきていいと思います。


2/25(火)……蒙古はもう来ない

【雑誌】月刊IKKI 4月号 小学館 B5平

 今号から月刊化して新創刊。CD-ROM付き。これまで隔月だったのが月刊になるのでページ数は少なくなるかなと思ってたけど、やっぱり480ページくらいになっていた。まあそれでも執筆陣は十分豪華だし、正直これくらいのページ数のほうが読みやすいのでいいかなと思った。ただ今後はページ数が少なくなったということで、今までよりは誌面作りにバランス感覚が求められるかもしれない。今まではページ数に任せて個性的な作家を手当たりしだいに載っけていくみたいなことをしていけば自然と作風の幅が出たけど、ページ数が減るとさすがにそうも行かないんで。まあとりあえず誌面刷新しても、あの独特の混沌としたムードは健在。次号はジョージ朝倉、山本直樹、さくらももこを投入ということでまだまだ元気。ところでこの雑誌、目次がえらく見にくい点はなんとかしてほしい。執筆陣一覧を入力しようと思ったが、見にくくて面倒くさいからやめた。

 で、中身のほう。まず巻頭カラーで作:取山忠治+画:竹下堅次朗「Ryoko」がスタート。不思議な少女がさまざまな人の良心を見つめるといった感じのお話で、初回は銀行に強盗に入った元社長がターゲット。IKKIにしてはわりと普通なお話かな。で、この作品で驚いたのは取山忠治が原作をやっていること。この人は以前「大生徒会」という単行本を出していたこともある漫画家で、エロいけど情けない中学生男子とかをよく描く人だった。わりと好きな作風だったんだけどこんな形で再び名前を目にするとは思っていなかったのでちょっとびっくり。松田洋子「パイロッツ」は「秘密の花園結社リスペクター」みたいな味の作品。有名人をいじくって、その人たちを売り出すための企画を適当にでっちあげるという内容みたい。第一話は平井堅が餌食に。例によっていじりまくってます。ゴツボ×リュウジ「パン★テラ」も新連載。見かけだけロックンローラーな男が、とある商店街に越してきて町のトラブルに巻き込まれていくみたいな感じかな。IKKIだと周りがゴッツい濃いんで、わりとフツーに見える。

 原一雄「のらみみ」。ドラえもんみたいなキャラを売り歩く会社の訪問販売員が見た、キャラとご家庭のドラマ。飄々とした話運びなのに、なんか今回はちょっと感動してしまった。あと原一雄は「麦わらドリル」も掲載されててこっちも面白かった。最近なんかかなり面白い。野本明照「チナミの風景」。やたら冷めたヘソ曲がりの少女が、馬鹿で夢みたいなことばっかいってる男の子と一日共に過ごして、今まで知らなかったモノの見方というものを知るというお話。以前からキッチリした絵柄のまとまった作風の持ち主だったけど、今回の作品はさらに完成度が上がっているように思えた。ちょっとしたエピソードを積み重ねて、結論を出していく筋立てが心地よい。菊池直恵「鉄子の旅」。たぶん月刊化を一番迷惑がってるのはこの人なんじゃないかなあ。これからは毎月鉄道だ。で、今回はいきなりビッグゲストが登場。その旅の様子は付録CD-ROMにも収録されているそうだ。まだ見てないけど。

【雑誌】アフタヌーン 4月号 講談社 B5平

 こっちにも付録CD-ROMが付いている。IKKIも同様だったがCD-ROMが付いていると読みにくい。まあ取っちゃえばいいんだけど。で、シーズン増刊から田丸浩史「ラブやん」、岡田芽武「SHADOW SKILL」、ももせたまみ「ななはん」の3作品が引っ越してきて新連載。どうでもいいことだが表紙にデカデカと打ってある「3×3×3」というアオリ文句。「おひっこし第3弾」「一挙3作品」はいいとして「3位一体怒涛の新連載」というのはちょっと苦しいなと思った。どうでもいいか。

 新連載の中では田丸浩史「ラブやん」がやっぱり笑えた。コンビニおにぎりを見て妄想を膨らませているカズフサがいい。目の付け所がシャープだと思った。木村紺「神戸在住」。今回は楽しそうな描写の中に寂寥感の漂うお話。最後のページとストーンと落とす。次回予告のところに「和歌子沈黙、林浩絶叫。」と書いてあるのも何か気になる。もしかして重い展開が待っているんだろうか。漆原友紀「蟲師」は巻中カラー。雪の描写がしんしんと凍えるようであるだけに、その中に配置された赤や黄色の暖色が目に映える。色のにじみ具合が美しい。原案・設定:GAINAX+画:鶴田謙二「アベノ橋☆魔法商店街」は仕上げ終わってないまま第一部完。第二部は果たしてやるんだろうか?

 田中ユキ「pounding」後編。女の子とまともに喋れない武骨な男・尾形。彼の好きな女の子が好きなのは、尾形に想いを寄せるホモの少年。苦み混じりの三角関係を繊細な筆致で描いた作品。別に直接的なことを描写するわけでもないのに、クールな画面からエロチックな雰囲気を醸し出す筆力はさすが。再登場もぜひ。以前「ブキミ横丁」(本誌2002年10月号)、「シャレコベイズム」(シーズン増刊14号)で登場したことのあるトミイマサコの読切「マゴロボ」が掲載。少子化がススム社会で、人々の心の支えとなるべく支給されている子供型ロボット「孫ロボ」の物語。主役となるのは頑固者のジジイと暮らしている少女ロボットのタマヤ。ぜんまい仕掛けのロボットながら、愛敬のある子供っぽい仕草は見ててほのぼの。ちょっと哀しいところもあるけれど優しいお話。

【雑誌】ヤングチャンピオン 3/11 No.6 秋田書店 B5中

 へー、「バトル・ロワイアル」って漫画版(作:高見広春+画:田口雅之)も9巻で累計450万部も行ってるんだ。ちょっと驚いた。ひのき一志「ツインテール」は3話めが掲載。主人公の妹が「お兄ちゃんも寮に入れてあげてください」と芸能プロダクションの社長に頭下げて頼み込んでいるシーンなのに、一番アップになってる部分がパンツで、しかも割れ目までしっかり描いてあったりするのに思わず笑ってしまった。この不自然なまでのお色気のふりまきぶり、しかもそのお色気がふりまかれてもそんなにうれしくないように感じられるあたりはちょっとすごいと思う。やはり「ファミレス戦士プリン」も読んでおかなければいけないのか……。

【雑誌】ビッグコミック 3/10 No.5 小学館 B5中

 ながもり哲也「北国のアルバム −石狩川−」が掲載。「期待の新鋭」とあるけど作風は渋すぎるくらいに渋い。石狩川のほとりでコブシの木とその花を見守り続ける男と、50年前に町を去った小学校の女教師のロマンスという内容。年月が過ぎても変わらない想いを実直に描く作風といい、骨太な絵柄といい、こういう人が新鋭として出てくるあたりがビッグコミックだなあと思う。岡崎二郎「ファミリーペットSUNちゃん!」は次号での第一部完結に向けて盛り上げて来ている。年のせいか方向感覚が弱くなってしまったサンちゃんだが、それはサンちゃんだけの問題に止まらず、両生類いや地球全体に及ぶ現象だったのだ……と来て以下次号。それにしても両生類って地球規模で減少してたのか。知らなかった。

【雑誌】漫画アクション 3/11 No.10 双葉社 B5中

 押川雲太朗「ああ、猛虎軍」。え?最終回? 阪神往年のオールスターたちをモデルした選手たちが、次々に猛虎軍に集結してきてさあこれからってところだったのに。いきなり「これは私の夢だった」「一人よがりの夢は指示を得る事ができなかった」とかいって終わってしまって呆然とした。チ川ユポ「Honorable」。美術モデルの女性を主役に、いろいろな人間模様を見ていく読切シリーズ。今回はなんかやけに変人度が増してきているような。

【雑誌】漫画サンデー 3/11 No.9 実業之日本社 B5中

 長尾朋寿「ホロ酔い酒房」(原案:野上ヒロノブ+協力:よしみや)。今回の蕎麦屋での食事の数々を見ていたら、思わず腹がキュウとなった。これ見てたら激しく天ぷら食いたくなってきた。作:ひじかた憂峰+画:松森正「湯けむりスナイパー」。お休みをとらされたが、いざ休めといわれてもどうやって時間を過ごしたらいいのか分からない番頭さん。老いた身の孤独がしんしんと身に沁みる。独身者にはしみじみこたえる内容でございますな。

【雑誌】コミックピンキィ 4月号 オークラ出版 B5平

 吉田ふらわが初登場。「不自由な想い」。村長の孫娘であるらしい若い娘が木に縛りつけられていて、不良っぽい男たちにヤラれるというお話。そのような修羅場の中で、男の一人が彼女に対して妙に優しいタッチで接してくるが……。殺伐とした状況の中に、さりげなくしっとりとした情をしのばせる作風にはなかなか風情がある。ただお話としてはやはりちょっとブツ切り感があるかな。やまのべきった「お願いシューティングスター」。主人公の少女が、恋する人の目の前で宇宙から来たモンスターにズブズブにされる様子がしっかりエロい。

【単行本】「クラッシュ万事休ス」 くどうひさし 司書房 A5 [Amzn]

 初単行本。最近はコミックドルフィンを主戦場に、伸びやかでスタイリッシュな絵柄を武器に明るく楽しいエロ漫画を描いている人。司書房系というと肉弾系なイメージが強いけど、くどうひさしは快楽天やヤングヒップといったワニマガジン系でも描いていた人だしあんまりそういう泥臭いところはない。シャレた絵柄と後味のいいストーリー作りは、エロ漫画にはあんまり慣れてないって人でもけっこう読みやすいのでは。わけえモンの青春ラブラブHという感じが、見ていて微笑ましいし健康的でもある。なかなか大っぴらにつき合うわけにも行かない彼氏とつき合ってて、悶々としている少女の姿を描いた「Sentimental February」の最終ページとか、女の子の表情がいいなあと思う。表紙の絵柄もけっこう可愛いし内容のイメージ通りなので、ピピッと来たら手を出してもOKという感じ。


2/24(月)……冬期要塞集会

▼黒塗りのお盆の上で欠けたり大きさが不揃いだったりする米を一粒一粒取り分ける作業をしていたら、更新が遅れました。あとOHP月極アンケート2月「学園モノ」、28日いっぱいで締め切りますんでまだ投票お済みでない方はお早めにどうぞ。

▼未読物
【単行本】「冴木さんってば…」 安田弘之 太田出版 A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「天水」下巻 花輪和一 講談社 A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「クラッシュ万事休ス」 くどうひさし 司書房 A5 [Amzn]

【雑誌】コミック.H 3月 VOL.09 ロッキング・オン B5変形

 気がついてみればもう9号。「7月あたり」と予告されている次の号が出るともう10号になる。正直なところよく続いているなと思う。今号は前号の発行から半年以上あいちゃったけど、それでもちゃんと出しているあたりはなかなか粘り強い。

 で、この雑誌の中ではやはり近藤聡乃が一歩抜けていると思う。この人は文化庁メディア芸術祭のアニメ部門で奨励賞を取っていてちょっとびっくりさせられたが、なるほど実際独自の世界をしっかり持っている。今回掲載されている「てんとう虫のおとむらい」は、結んだカーテンでてんとう虫を押しつぶしてしまった少女が、胸元のボタンとつぶれた虫の姿をダブらせ、そこから想像の翼を広げていく……といったお話。画面いっぱいに広がる不思議な世界がなんとも心地よい。月子は「無防備ピープル」「コーヒールンバ」の2本。すっきりサバけた描線はキレが良くなかなか風情がある。FEEL YOUNGとかヤング女性誌に合いそうな作風。あと滝沢麻耶「夢うつつ」はキラキラした子供の目の描き方に魅力があって、ちょっと惹かれる絵柄だった。

【雑誌】近代麻雀ゴールド 4月号 竹書房 B5中

 作:安田潤司+画:秋重学の新連載「東京最終回」がスタート。デジタルだのアナログだのにはこだわらず、麻雀は楽しけりゃいいと語る17歳の美少年雀士・ヒロが、麻雀大会の決勝戦で勝負を諦めかけたときに今までとは違う世界を垣間見る……という第一話。まだ出だしなんで、今後どういう方向で進めていくのかはまだ分からない。作画などは相変わらずの安定感を発揮。とみさわ千夏「不思議なピーチ牌」。アメリカン娘がアガるたびにセクシーポーズで踊りまくるヘンな麻雀漫画。最近では相手もどんどん馬鹿度が増して来ている。たいへん頭が悪い内容で、個人的にはかなり好きだ。

【雑誌】ヤングキング 3/17 No.6 少年画報社 B5中

 才谷ウメタロウの新連載「G・C・U」がスタート。いろんな女の子たちのそれぞれの生活、抱いている気持ちなどを描いたオムニバス形式の短編連載って感じかな。才谷ウメタロウは個人的には長編より短編のほうが好みなんで、こういう形式はいいんじゃないかと思う。吉野ケイイチ「CHICKEN DAYS」。主人公成田くん、同級生のタネ子、そしてヘルス嬢のあおいさん……という三角関係。あおいさんとデートすることになっちゃったけど遊園地でハチ合わせという展開は、いかにもラブコメらしくていいなーと思う。個人的にはかなり好感を持っている。絵もだんだん洗練されて来ているような。どおくまんプロ「花はにおえど」は最終回。

【雑誌】ヤングマガジン 3/10 No.13 講談社 B5中

 CLAMPの新連載「xxxHOLIC」が巻頭カラーでスタート。1ページめのカラーシーンは山田章博っぽい色使いだなーとか思った。まったく器用な人たちだ。んでもって作品の内容のほうは、細身のメガネくんな男子・君尋くんが、ある日歩いていたらところとある家に迷い込んでしまう。そこは女主人とその召使的な女の子二人のいる不思議な店で、彼女たちと出会ったことから彼のおかしな日常が始まっていく……という感じ。ちょいとオカルト風味を利かせたドタバタコメディという感じか。前作「ちょびっツ」のほうはわりと男性誌的にも馴染みやすげな可愛さのある絵柄だったが、今度の絵柄はより女性誌的。この枠組みでどういうふうなお話に仕立て上げるのか、楽しみなところ。森遊作「BANKERS」。今回は3週連続で登場。ポーカー勝負。ここまではディーラーの立場からの駆け引きを描いてきたけど、今回は一ギャンブラーとしての勝負。いろいろ心理面での駆け引きが重要なジャンルだけに、読みごたえはありそう。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 3/10 No.13 小学館 B5中

 作:坂田信弘+画:中原裕「奈緒子 新たなる疾風」がついに最終回。「奈緒子」時代から数えて9年間にわたらう長期連載だったが、今回で完全におしまいとなる模様。中盤でメンバーがどんどん手負いになっていく地獄のエキデン状態とかやりすぎに思えるところもあったけど、それだけにピーク時の盛り上がりは凄い作品だった。次回作は初夏スタート予定。三宅乱丈「ペット」。ちょっと間を置くとすぐに話が見えなくなりがちな作品ではあるが、呑み込まれるような迫力が画面にあるので、そんな状態でも「ああ、面白いぞこれは」と思ってしまう。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 3/10 No.13 集英社 B5平

 巻頭から河下水希「いちご100%」だ。カラーの見開き扉絵では4人娘が揃い踏み。華やか華やか。こういう漫画があるかと思えば「ボボボーボ・ボーボボ」があり、「こち亀」があり、「テニスの王子様」があり……といった作風の幅広さ、懐の深さはジャンプならでは。うすた京介「ピューと吹くジャガー」。今回はレスラー仮面(ポギー)とジャガーが例文で勝負。例文の出来が物凄く面白いかといえばそうでもないような気もするんだけど、ノリでつい笑わされてしまう。ポギーの駄目人間度進行ぶりもスリリング。

【雑誌】LaLa 4月号 白泉社 B5平

 今号は読切がいいですな。まず緑川ゆき「花歌流るる」。掃除の途中に、使われなくなった旧校舎から流れてくるギターの音色を耳にした女の子の島さんが、そのギターの持ち主ではないかと思われる藤村くんという少年に惹かれていくというお話。少年少女がそれぞれ大切にしている想いを繊細に描いた、なかなかにキレイなお話。ラストのふわっと溶けていくような締めくくり方も良かった。あきづき空太「僕らをつないで。」は、交通事故で死んでしまった少年が幽霊になって、生前ずっと3人でつるんでいた、残された二人の仲間の姿を見つめるというお話。お互いを大事に思う、消えない友情の物語という感じでちょっとほろりとさせるいいお話。まとまりのいい絵柄もなかなかのもの。

 連載ではなかじ有紀「ビーナスは片想い」のベッタベタな甘さがたまらない。こんな調子でもう単行本9巻もやっているんだな〜。すごいや。津田雅美「彼氏彼女の事情」。今回は有馬母(育てのほう)がやけにカッコイイ回。あと有馬を守るために護送船団のように彼をガードする級友たちの姿も面白い。


2/23(日)……ええ国作ろう英国政府

▼朝まで仕事して、まったく寝ないでコミティアに顔を出す。さすがにどっぷり疲れた。眠くてぼけぼけな状態だったので、行き忘れたサークルとかあったかも。

2003年2月23日コミティア購入本

【雑誌】漫戦スピリッツ No.4 小学館 B5中

 新人競作増刊4冊め。今回はあんまり凄いと思う新人はいなかったけど、こういう増刊は存在してくれるというだけで個人的にはうれしい。吉田戦車「山田シリーズ」ではしいたけがなんか男らしい役で登場してて面白かった。それにしてもかつて栄華を誇った山田のお金が戻る日は来るのか。

【漫画執筆陣】榎本ナリコ、吉田戦車、山口かつみ、池田文化、下平貴郁、金山テツアキ、海座星、白發中也、青旗昇、石川貴子、赤峰亮介、板垣雅也、豊原二三夫、内田健敬

【単行本】アックス Vol.31 青林工藝舎 A5平 [bk1][Amzn]

 今号はけっこう良かった。特集が秋山亜由子であるのも良いし、あらいあきと福満しげゆきも載っている。まず秋山亜由子「瓢箪の中」は、嫁も取らず老母に心配をかけている虫好きの青年が、芋虫を瓢箪に入れておいて後で観察しようと思っていたところ、芋虫は中で蛹になってしまう。どれどれと思って覗いてみたら、なぜかその中にみかんの花が咲く家、そしてその家で暮らす少女の姿が見えた……という不思議なお話。虫愛づる姫君という言葉がふさわしい作風で、素敵にファンタジーな作品を描いている。上品で丁寧な絵も好ましい。

 あらいあき「チュウチュウカナッコ」は今回も良い。ラーメン屋の店員をやっている引っ込み思案で貧乏な女の子カナッコの日常。あんまり何もいわないもんだから周囲の人をなんか勘違いさせちゃう様子が面白い。あんぱんをこねこねしてもそもそ食べているいじましい姿がたまらない。福満しげゆき「僕の小規模な失敗」。定時制高校で柔道部を作ってなんかけっこう青春していたんだけど、結局は漫画に戻っていくしかない主人公。こうして彼は小規模な失敗を繰り返し続けていくんだろう。

【雑誌】九龍 vol.3 河出書房新社 A5平

 うーん、今回もやたらインタビュー(浅田弘幸)にページを割きまくっているのがいまいち。せめて漫画が載っていればなあと思った。あとインタビューは長田裕幸のもあり。漫画執筆陣は内田雄駿、花輪和一、萩原玲二、伊藤チカ、秋重学、長田裕幸。

 この中では花輪和一「テーコヤ」がやっぱり面白いと思った。タイコを叩いて人々の心に許しを与えるテーコヤの童子のお話。武家の主人がタイコの音によってどんどん変化してっちゃうあたりのグロテスクさとかがたまらない。賑やかで非常にあっけらかんとした明るさのあるお話。内田雄駿は「あの月の光のように」。学校ではクールでモテモテな少年の家が抱えた、非常に大きな悩み。50ページあってなかなか読みごたえがあるが、九龍は発行ぺースが不定期なので連載というのは少々もどかしいかも……とは思った。あと入院中の彼氏を甲斐甲斐しく看護しているように見せかけて、実は肉欲に悶々としている女の子を描いた「皮かむり聖人」もエロチックで良かった。

【単行本】「エマ」2巻 森薫 エンターブレイン B6 [bk1][Amzn]

 第1巻と同様丁寧な作り。今回では元々お互い心憎からず想っていたエマとウィリアム坊ちゃまの仲が急接近するも、イギリス社会の貴族と平民という壁が二人の間に立ちはだかって……という展開。主人公はメイドというオタク的にキャッチーな存在であり十分に美人であるにも関わらず、描写には浮っついたところなく落ち着いていて心地よい。ここらへんの力加減は、作者のイギリス趣味の影響もあるんじゃなかろうか。イギリスってそんんなイメージがある。紅茶とか(←すごく適当で申し訳ない)。そういえばアンケート葉書の「ヴィクトリア時代の好きなところはどこですか?」という質問がいかにもこの人らしいなと思った。こういうところといい、楽しんで作品を作っていっている様子が窺えるのは好感。

【単行本】「シャーリー」 森薫 エンターブレイン B6 [bk1][Amzn]

 こちらは同人誌で発表された作品をまとめた単行本。13歳の女の子が一人住まいの女性のところにメイドとしてやってくる「シャーリー」、5歳の男の子とメイドさんのお話「僕とネリーとある日の午後」、イタズラ好きな老紳士と気の強いメイドと若い執事の日常を描いた「メアリ・バンクス」を収録。作画自体は現在のほうが洗練されてきているとは思うけれども、全体的な雰囲気については「エマ」同様。どの作品も優しく楽しい。個人的には老紳士の茶目っ気が面白い「メアリ・バンクス」が一番好きかなあ。


2/22(土)……亜鉛が薬

▼さっきちょっといいダジャレが思い浮かんだような気がしたんだけど、どんなのだったか思い出せない。でもいざ思い出してみるときっとものすごくつまらないに違いない。そしてあのぶどうはすっぱいに違いない。

▼新聞とかで「日本人妻」「チリ人妻」といった見出しを目撃するたびに、「ニッポンヒトヅマ」「チリヒトヅマ」とか思えてしまって仕方がない。ルパンを追いかけていたらとんでもないことに気づいてしまった。どうしよう。

【単行本】「週刊石川雅之」 石川雅之 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 待望の初単行本。モーニングに掲載された読み切り11連発を集めたもの。どの作品も序盤は巧妙にお話を進めて読者を引き込んでいき、最後にアッと驚かされたり笑わされたり、それから後味良くしみじみきれいに締めくくったり。非常に気が利いている。ギャグも青春モノもうまい。収録作品の中では、久しぶりに里帰りしてきた息子が目を疑うほどに様変わりしていて……というところから始まる1本めの「彼女の告白」、仕事はできる・美人・だけど独身な28歳のOLが見つけたふとした安らぎを描く「ただそれだけで」、とある寂れたバス停で出会った男女のそれぞれのドラマを描いた「バス停」あたりがとくに気に入っている。

 作画は独特の硬さというかなんというかがあるが、細かなペンタッチで丁寧に描き込まれた絵柄は暖かみがあって魅力的。若干表現に抑制を利かせすぎかなと思わないでもないけど、ストーリー構成力などは非常に高いし、やっぱり期待させられてしまう作家さん。やっぱり若手作家好きな人にとってはたまらない存在であると思う。これが売れて「カタリベ」等の未収録作品も単行本になってくれると凄くいいなあ。

【単行本】「暁星記」3巻 菅原雅雪 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 ああ、面白い。大きな物語にグイグイと引き込まれていく快感。今回はヒルコのこれまでの行いがきっかけとなってスズシロの町が襲われ、どんどん彼を取り巻く環境は厳しいモノになっている。人類が入植して1万年後の金星という壮大な舞台、樹高1000メートルという巨木が地表を覆い尽くす巨大な大自然、その中でささやかなれど懸命に生きていく人間たち。キャラクターたちのタフさ、バイタリティには驚かされるし、男社会と女社会の対立といった深いテーマも潜んでいる。舞台、ストーリー、テーマと、いずれもスケールが大きくて凄味がある。今後はヒルコが「地獄」と呼ばれる地上に降りていくことになると思うが、そうなってきたらこれまでに輪をかけたハードな展開を見せてくれそうだ。ああ、早く続きが読みたい。でも今は連載が休止中なのだ。

【単行本】「なるたる」10巻 鬼頭莫宏 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 いやはや、ヒドいことしますなあ。のり夫くんやシイナちゃんが、それはもう痛そうな目に遭うこの10巻。ちいっとばかし刺激が強すぎな感じではあるけど、そういう表現は実はけっこう好きだったりもする。それはともかくとして物語のほうはかなり大きく動いていて、今後さらに驚愕の展開が待っていそうな感じ。竜とは何か、シイナたちは何と戦っていくべきなのか。まだ明かされていない謎は多い。先が読めない作品だけに展開が気になるところではある。

【単行本】「空談師」2巻 篠房六郎 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 ネットゲーム空間でさまざまな人間の意志が交錯し、状況はどんどん混沌としてきている。そのおかげでゴチャゴチャしてて分かりにくいといえば分かりにくい。のだけど、完成度の高い非常に緻密な絵柄はやっぱりカッコよく、バーチャルな空間であることは承知させつつもリアリティはちゃんとある。ネットにファンタジー的なものを持ち込んだっていうよりは、通常のファンタジー空間の中にネットでなければできないような離れ業がプラスアルファされたみたいな感覚。ただ画面の完成度が高く隙がない分、かえってインパクトは弱まっちゃってるような気はしないでもない。もう少し主人公がドカッとお話を引っ張っていくような感じが出てくると分かりやすいんだろうけど、ネットゲームなんで各キャラがそれぞれの主人公って感覚で描いていくのもいいかもしれない。ところで今回のカバー裏のお遊びはなかなかお得な感じですな。

【単行本】「ハチミツとクローバー」4巻 羽海野チカ 集英社 新書判 [bk1][Amzn]

 この巻も面白い。個人的には森田さんがアメリカに行っちゃったせいで、非常識人がいなくなってしまった点がちと寂しくはあるのだけど、山田&真山をセンターラインに置いたセンチメンタルなラブもまた良い。この人たちはまだ大学生とかそこらへんだから、若いといえばすごく若いんだけど、なんかいろんなキレイだったり切なかったりする想いを経過してきていて大人だなあとか思ったりもする。青春っていい。愛も恋も素晴らしい。非常に整った作画、繊細な恋愛描写、ほのぼの楽しいギャグ、魅力のあるキャラ……と本当に完成度の高い作品であることだなあといつもながら感心。

【単行本】「学園アリス」1巻 樋口橘 白泉社 新書判 [bk1][Amzn]

 「MとNの肖像」「スワンレイク」の樋口橘の新連載。田舎の町に住む10歳の女の子・佐倉蜜柑は、親友の蛍が東京の名門校にいきなり転校してっちゃってものすごーく寂しい思いをしていた。んでもってもう耐えきれなくなってしまい行動を起こし、彼女を追っかけて都会へ単身出ていくことに。ところが彼女の転校先の学校は「アリス」と呼ばれる特殊能力を持つ子供しか入れないところだったのだが、何を見込まれたのか蜜柑もそこに入れてもらえることになってしまった〜というところから始まる物語。要するに可愛い変人の親友に置いてきぼりにされた可愛い変人が、都会に出てって変人しかいない学校に入学するという学園コメディだ。

 樋口橘の良さは、天然なノリでテンポよくドタバタしまくる賑やかな作風にある。この作品もあれよあれよという間に事態がヘンな方向に行っている。でもキャラクター自体はすごくかわいい。絵もずいぶんうまくなってきたし。「MとNの肖像」は、とにかく馬鹿でこっぱずかしい恋愛を描いた良い漫画だったが、この作品はどういう方向に進むのか。ネタ自体は超能力だけど、舞台的には魔法学校に近いかな。とにかく陽気で面白いのでこれからも楽しみに読んでいこうとは思う。

【単行本】「Marking Algolagina」 どざむら 晋遊舎 A5 [Amzn]

 相変わらずこの人の作品はエロい。実は露出狂のケのある少女が、銭湯で男湯に入ってその身体を見せつけていたところ、タチの悪い男に目をつけられてさんざんに犯し抜かれるという表題作がメイン。もちろん男湯に入ってなんもいわれないくらいのお子様ではあるのだが、人の視線で興奮している様子は成人女性顔負けの淫らさを見せている。個人的には巨乳派ではあるものの、この人の作品についてはデカい小さい関係なし。むんむんエロい空気が充満しててソソられる。あと立花先生、小山田くんらが登場するHな学校シリーズもちょっと掲載。

【雑誌】ドルフィン 4月号 司書房 B5中

 最近ドルフィン系では最も楽しみにしているくどうひさしの初単行本が出るらしい。「もう出たかもしらん」と書いてあるけど、今日は外出してないのでまだ確認できてない。タイトルは「クラッシュ万事休ス」。伸びやかな絵が気持ち良くってオススメ。なお今回掲載されている「お約束」も良かった。ショートカットがカワイイ女の子の戸畑サンが、ある日バッタリ後輩の男子に再会し、彼がずっと抱き続けてきた彼女に対する恋心を知る……というお話。爽やかな青春Hストーリーという感じで楽しめた。こういうお話に、くどうひさしのスッキリした絵柄はよくマッチしている。

 あわじひめじ「姦将!!精液娘(やりまくれ!!ザーメンニャン)」。これはけっこうユニーク。性闘技を極めた女性武闘家に、かつて彼女と闘って破れた男が再び挑むというお話。この男が身につけた闘技が、いわゆる「毒手」のちんこ版みたいな奴。媚薬の成分の粉に何度もちんこをこすりつけて、その成分を染み込ませるというもの。意外とありそうでなかったネタで感心した。あとあわじひめじの和む絵柄もやっぱり好きだ。


2/21(金)……美女と輪中

▼朝まで仕事をし、食器洗いをしてから帰宅。いつも通勤は昼か夜なので、たまに朝の電車に乗ると「雰囲気違うな〜」と思う。なんか静かだし空気が緊張感をはらんでいる。終電間際の酒臭くぬるまった空気になじんでいる身には、いささか落ち着かないものがある。とか思っていたら、目の前に立っていた青年が、「妹 あかね」の単行本とかを読んでたりして凍てついていた気持ちがほんのり生暖かくなった。

▼その後乗り換えた営団地下鉄はどうも若い乗務員さんが先輩に指導を受けている車両だったらしく出発のときの掛け声を張り上げまくってて、うるさくてあんまり眠れなかった。そういえば車両も新型の奴だったんだけど、椅子のクッションが薄くて尻が痛かった。あと車両内には行き先とかが表示される液晶ディスプレイが設置されていた。しかしこの液晶、なんか表示内容があまりにも親切すぎると思った。現在の列車の図が出て今自分が乗っているのは何号車だとか、次の停車駅はホームがどっち側にある、トイレ、階段の具体的位置……なんて情報が、逐一グラフィカルに表示されていく。で、駅を出発すると「次の駅を出た後は、どこどこ駅に停車します」なんてことまで。ちょっとおせっかいすぎるとも思ったが、もし自分がそういうシステム制作担当者だったら、液晶ディスプレイ導入でうれしくなってそこまで作り込みたくなっちゃうような気もする。そういういらんところにだけは気を回しちゃいがちな人間なので、気持ちは分かる。

▼帰宅したらYahoo!BBからモデム返せ通知が届いていた。「これが噂の……」とか思ってちょっとうれしくなった。あとbk1からいっぱい単行本が届いておりかなり山盛りだったので頭がクラクラしてそのまま気絶した。つまり寝た。気絶する前に風呂は済ませてあった。あと実はちょっぴり漫画も読んだ。そんなわけで更新が遅れた。

▼未読物
【単行本】「週刊石川雅之」 石川雅之 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「暁星記」3巻 菅原雅雪 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「バガボンド」16巻 井上雄彦 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「(犬)ロッキー」1巻 杉作 講談社 A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「EDEN」8巻 遠藤浩輝 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「なるたる」10巻 鬼頭莫宏 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「空談師」2巻 篠房六郎 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「夢使い」4巻 植芝理一 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「Blue Heaven」3巻 高橋ツトム 集英社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「ハチミツとクローバー」4巻 羽海野チカ 集英社 新書判 [bk1][Amzn]
【単行本】「ニコニコ日記」4巻 小沢真理 集英社 新書判 [bk1][Amzn]
【単行本】「学園アリス」1巻 樋口橘 白泉社 新書判 [bk1][Amzn]
【単行本】「Marking Algolagina」 どざむら 晋遊舎 A5 [Amzn]

【雑誌】別冊ヤングマガジン 3/1 No.041 講談社 B5中

 いろいろと連載が終わっていきます。んでもって読切比率も増えて来ている。不吉な予感……とも思ったが、次号から新連載も始まるようだし雑誌自体がなくなることはないかな。なんにせよなんらかの別冊は出すだろうと思うし。でも講談社も2002年は戦後初の赤字を記録したらしいから何が起こるか分からん。とりあえず次号予告には「季節とともに別冊も変わる!!」という文字が。

 で、今号ではまず作:筒井康隆+画:山崎さやか「NANASE」が最終回。考えてみると七瀬は作品を通していい思いをほとんどしていない悲劇的な女性である。そういう女の生き様を描くにおいて、山崎さやかはさすがの腕前を発揮していた。絵のほうも作品の内容に合っていたと思うし、良い漫画化でありました。前川かずお「闘破蛇烈伝DEI48」と松本剛「甘い水」も次号で完結。「甘い水」は最後に夏生が事態を打開すべく思い切った行動に出るが……。先が気になる。あと富咲男「放課後コネクション」も今号で最終回。地味なところではあるけど、最後は前向きな感じで良かったんでないでしょうか。

 森繁拓真「学園恋獄ゾンビメイト」は2回目。初回は本当にタイトルどおりの内容であるのにビックリしたが、今回もかなり刺激が強い。恋愛とスプラッタがごく自然に共存していて面白い。押見修造の読切「スーパーフライ」は、高嶺の華の可愛いクラスメイトに恋しているけどウジウジして告白できない男子・山部が主人公。しかし彼には一つの秘密があった。実は彼は最近、眠ると幽体離脱した魂をハエのように飛ばせるようになっていて、その姿で夜な夜な好きな女の子の部屋に忍び込んでいたのだった。それはそれで満足していた山辺だが、ある日思わぬ出来事が起きて状況は一変する。アプローチは異色だが、内容的には後味の良い青春恋愛モノとなっている。控えめなタッチの絵柄も好感度は高い。というわけでそのうち再登場してほしい。

【雑誌】コミックバンチ 3/7 No.15 新潮社 B5中

 第2回世界漫画愛読者大賞のエントリー作品:04、曾健游「華陀医仙 Dr.KADA」が掲載。香港の作家さんだそうだ。作者名を変換するのが面倒そうだったので世界漫画愛読者大賞の公式ページからコピペしようと思ったら、作者名が画像だった。ファッキン。それはともかくとして内容はけっこう面白いと思った。華陀といえば「三国志」でおなじみの神医だけど、この作品では彼が子供の姿をしている。そんでもって妖怪たちの病気を治すために大活躍をする。コミカルな絵柄は完成度が高いし、キャラクターもイキイキしてる。ちょっとコマ割がゴチャゴチャしてるような気はするけど、よくできた作品だと思う。バンチではともかくとして、少年誌なら即戦力といったところかな。作:江戸川啓視+画:クォン・カヤ「プリンギル −青の道−」。一つの謎が解け、また新たな謎が。剛力でミステリアスで読みごたえがある。渡辺保裕「ワイルドリーガー」。登場人物がみんな異常。とくに御園生が最高。すごく変態くさくていい。

【単行本】「LUNO」 冬目景 エニックス B6 [bk1][Amzn]

 少年ガンガンで連載された作品。とある西洋の小さな町で、本を読んでばかりいる内気な少年・ティートと、少年の姿に身をやつし泥棒などをしながら生きている少女のジータが出会う。ジータは今は亡き、研究者だった父母から大きな秘密を託されており、その秘密を狙う者たちに追われていた……といったところから始まる冒険物語。冬目景ならではの緊張感ある作画は健在で、洋風な町並みなどもなかなかいい雰囲気。お話は全体で見ると作者自身が「リアルさもなければファンタジーという程でも無い、なんか妙な作品」といっているとおり、ちょっと不思議な感じ。背負っている秘密の大きさからすればもっと大がかりなお話になってもおかしくなさそうだけど、お話は意外にアッサリ終わる。コンパクトにまとめてはあるし、楽しめることは楽しめるけど、うーん、正直物足りない。あんましインパクトのない話であった。これだけの材料を用意するならもう少しガツガツと大風呂敷拡げちゃっても良かったかなぁという気はした。まあこういう抑制の利いたところが冬目景の持ち味でもあるんだけど。

【単行本】「LET IT BE!!」3巻 こいずみまり 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 れっついっつびー。これにて最終巻。お父ちゃんとナナの秘密も明らかにされてめでたく大団円。やっぱりこの作品は、高めな容姿、だけど意外とウブだったりHだったりもするお嬢さま・桜小路さんでしょう。顔を真っ赤にしつつも透くんにお願いしちゃったりする様子が、たいへんかわいいというか男心を燃え立たせるというか。いろいろ障害があって、それが意外にもけっこう大がかりな仕掛けだったりするものの、基本はアツアツのラブコメ。満喫しました。

【単行本】「美女で野獣」2巻 イダタツヒコ 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 明るく元気な女子高生キャットファイト漫画第2巻。コスプレするわ、スクール水着でバトルロイヤルするわ、なんかもうメチャクチャで楽しい。あなたはどの娘が好きー? 俺リリカー。とかそんなこといいつつ肩の力を抜いて気楽に楽しむのがよろしいんじゃないかと。あとこの人の手足の描き方って、意外と格闘モノに向いていたんだなあとか思ったりした。腕や足のシャキーンとした伸ばしっぷりがなんか見てて気持ちがいい。

【単行本】「ぽっぷんLOVE」 たちばなとしひろ 大都社 B6 [bk1][Amzn]

 先日のジェームスほたて「プチクリ」に続き、今はなきZetsuManからの拾いモノ系短編集。ジェームスほたてもそうだったのだが、この人もここ最近でかなり好きになってきた。ピチピチとフレッシュ、明るく健康的な絵柄でドタバタしたラブコメを描くというのは変わってないんだけど、絵の完成度がずんずんアップしてきてその持ち味がさらに際立つようになった。とくにこの人でいいなと思うのが喜怒哀楽がハッキリ描けているところ。アツアツなラブコメを描く場合にとくにその威力が発揮されていて、I LOVE YOU光線をビビーッと発射。男の子女の子が顔真っ赤にしてはにかみながら、甘〜い決めゼリフを発するときなんざ思わず顔がにやけてしまう。あとデフォルメ絵柄も可愛く楽しく。この作品集自体は近作から5年くらい前の作品までいろいろだけど、やっぱり近年の作品のほうがずいぶんうまくなってるなあと思います。


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