2003年3月中旬


3/20(木)……徘徊、左派よ

▼年度末3月の3連休とかまあいろいろありまして、未読がもりもりたまってしまったんです。そういえば諸星大二郎「私家版鳥類図譜」と岡崎二郎「緑の黙示録」は、bk1の予約リストに載ってなかったので20日の明け方になってからbk1に注文したんだけど、夜にはもう家に届いててびっくり。発送の早さではネット書店ではトップクラスだと思う。あと海明寺裕「家族の禁断肖像」は、いちおうISBNコードを元にAmazonにリンクを張ってあるけど今のところデータベースには登録されてない模様。

▼未読物
【単行本】「金色のガッシュ!!」9巻 雷句誠 小学館 新書判 [bk1][Amzn]
【単行本】「からくりサーカス」27巻 藤田和日郎 小学館 新書判 [bk1][Amzn]
【単行本】「史上最強の弟子ケンイチ」4巻 松江名俊 小学館 新書判 [bk1][Amzn]
【単行本】「焼きたて!!ジャぱん」6巻 橋口たかし 小学館 新書判 [bk1][Amzn]
【単行本】「α アルファ」上下巻 くらもちふさこ 集英社 A5 [bk1][Amzn:上巻/下巻
【単行本】「ネコの王」4巻 小野敏洋 小学館 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「軍鶏」18巻 作:橋本以蔵+画:たなか亜希夫 双葉社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「私家版鳥類図譜」 諸星大二郎 講談社 A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「緑の黙示録」 岡崎二郎 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「武富智短編集 A SCENE」 武富智 集英社 A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「武富智短編集 B SCENE」 武富智 集英社 A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「ジャイアント」3巻 山田芳裕 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「Big Hearts ジョーのいない時代に生まれて」1〜2巻 林明輝 講談社 B6 [bk1][Amzn:1巻/2巻
【単行本】「蒼天航路」27巻 王欣太 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「クロ號」5巻 杉作 講談社 A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「サトラレ」4巻 佐藤マコト 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「もっけ」2巻 熊倉隆敏 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「トモルの星」 永野のりこ 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「まよなか」 冬野さほ ブルース・インターアクションズ A4 [Amzn]
【単行本】「迷宮書架」 ひらのあゆ 雑草社 A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「泡姫伝」 あわじひめじ 司書房 A5 [Amzn]
▼早売り(22日)
【雑誌】ドルフィン 5月号 司書房 B5中
【雑誌】純愛果実 5月号 光彩書房 A5中
【単行本】「家族の禁断肖像」 海明寺裕 桜桃書房 A5 [Amzn]
【単行本】「あたしたちのこと」 ほりほねさいぞう 東京三世社 A5 [Amzn]

【雑誌】別冊ヤングマガジン 4/1 No.042 講談社 B5中

 松本剛「甘い水」は13話めで最終回。苦い味を残しつつ青春物語は終焉。一つの事件の後の、沢俣さんと夏生が向かい合う姿にはググッとくるものが。仕方ないと分かっている。でも割り切れないものも残る。深く心に染み込む佳作。前川かずお「闘破蛇烈伝DEI48」も今回で最終回。ラストのオナリキヨvs.破武男たちの戦い、それをサポートする繋ぎ女たちの共演はスゴかったし思わず笑ってしまった。最終ページの次にある広告ページに「愛のために戦ってきた破武男やミミガーズのことをいつまでも忘れずにいてください!!」と書いてあるのもいい。ミミガーズが破武男の次にくるのね……。

 森繁拓真「学園恋獄ゾンビメイト」。今回もなかなか良かった。青春恋愛とスプラッタアクションがしっかり共存。非常な事態の中で、恋をする女の子たちの感情がより鮮烈に映る。今号の最終ページの真紀ちゃんの姿は、とんでもないことをしでかした後だというのにすごく切ない。やっぱりこの人は漫画としての見せ方うまいと思う。読切、天田草太「ダルマさんが転んだ。」。カッコツケた感じの先生が、女子生徒の進路相談。ダルマという不可解な巨大メカによって父を失ったという過去の持ち主である彼女は、先生に将来の進路はAV女優志望であることを告げる。シャープでシッカリした線の持ち主で作画力は高く、飄々としたノリも悪くない。ちょっと小賢しい感じもする作風だけれど、ハッタリも利いてるし面白く読めるし、見込みありな新人ではある。意外と少年誌が向いてるかもなーとも思った。

【雑誌】ウルトラジャンプ 4月号 集英社 B5平

 尾玉なみえの読切「指折り姫」が掲載。敵国にとらわれてしまった情けない王子を、その妻である王女が「美しき緑の棋士」に身をやつして救出に向かうというお話。いつもながらにヘンなノリのギャグ童話。「純情パイン」のキャラもいろいろ登場。次回作も構想中とのこと。松本嵩春「アガルタ」の50話めが掲載されている。正直どんな話かだいぶ忘れかけているのだが、今回から過去の話になっているので多少忘れてても読める。絵は相変わらずの高品質でカッコイイ。物語にもう少しグイグイ読者を引っ張っていく力があれば。あさきやかい「ボクとネグセ」。純粋な少年と、毎朝寝癖を作るかわいい妖精が織り成すファンタジー、という感じの読切。オチはちょいとベタだが、まあそういうふうにするのもアリかなとは思える。きれいでかわいらしい絵柄はなかなかのレベル。

【雑誌】コミックバンチ 4/3 No.16 新潮社 B5中

 日高建男「満腹ボクサー徳川。」が巻頭カラーでしっかり面白い。同じエコノミーラインの使い手である加藤に対して、徳川が底知れない天才性を見せる。元々の設定にちゃんと特徴があるし、各キャラクターの性格付けもしっかりしている。おそらく編集部としては第一回世界漫画愛読者大賞はこの人に獲ってほしいと思ってたんじゃないかなあ……などと憶測。作:江戸川啓視+画:クォン・カヤ「プルンギル −青の道ー」。今回はこれまで脇役っぽさ抜群だった佐川刑事のことが語られる。なかなか心暖まったりするのだが、こういうエピソードをやったキャラは次とかで死にそうな気がものすごくする。

【雑誌】ビッグコミックオリジナル 4/5 No.7 小学館 B5中

 福本伸行「最強伝説黒沢」今回は、日曜日の黒沢の姿を描く。友もいず、家庭もなく、趣味も持たない中年男はやることがなく途方に暮れる。相変わらず一つ一つのセリフが心に沁みる。意味もなく包丁を研ぎに出してるというのがいかにもありそうで、笑える&泣ける。

【雑誌】ヤングサンデー 4/3 No.16 小学館 B5中

 守村大「パラダイス」。新人王戦が最終局面。しっかりとした読みごたえがあって面白い。ボクシングはシンプルでストイックな競技であるだけに、人間ドラマもダイレクトに反映されやすい。最近ボクシングものは増えているけれども、どの作品もけっこうイケるような気がする。

【雑誌】ヤングジャンプ 4/3 No.16 集英社 B5中

 桂正和「BATMAN」。桂正和作品にはやはり美少女がいなくてはならない。美少女が出始めると作品がググッと華やぐし、ついつい目がそこに行ってしまう。重要なことです。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 4/3 No.16 秋田書店 B5平

 八神健「ななか6/17」。とてもいい。6歳ななかと17歳ななかの人格の統合が進みつつあることに対し、17歳ななかの苦悩はまた新たな局面を迎える。物理的な事件が起きているわけではないが、ななかという人格の内面で展開される物語はさらに緊張感を増してきた。「人格が統合されて新しいななかが生まれてみんなめでたしめでたし」……みたいな単純な形では終わらさないで、かなり深いところまで突っ込んできている。読みごたえあるし面白い。瀬口たかひろ「恋愛出世絵巻えん×むす」。今回はソーニャがデッカいお屋敷「ドラグーン」にいた時代のお話。幸せ脳味噌の持ち主であるソーニャが、ほかのメイドたちにイジメられる。ちょっと興奮した。

【雑誌】花とゆめ 4/5 No.8 白泉社 B5平

 樋口橘「学園アリス」。今回は外界と隔絶されたアリス学園の真実がちょっと見えて蜜柑大ショック〜というお話。事件がいろいろあって、鳴海先生への好感度がアップ。最近脇役の存在感が増してきているのは良いと思う。あとダンスしてその人のことを占うダンシング占いとか、端々の小ネタも楽しい。

【単行本】「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」4巻 安彦良和 角川書店 B6 [bk1][Amzn]

 いやー、アムロって情けない息子さんですよねー、奥さん。というわけでこの巻には「再会、母よ」と「ガルマ散る」のあたりのエピソードが収録。やっぱガンダムって面白いっすよ。アムロとお母ちゃんの間のドラマも、いかにも戦場における親子の人間ドラマという感じがするし、いいエピソードだなあと。脇役キャラとかもみんな生きてる。このあたりのシャアは悪役っぷりが極まっててとてもカッコイイし、ほかの人が海で遊んでいる中、どうも落ち着けないでマサキ兵長に話しかけたりしてみるブライトとかが人間くさく描けている点にも感心。あとイセリナの普通の女の子っぷりもいいなと思った。髪型とかのイケてなさがまた良い。


3/19(水)……大四角形に要望

【雑誌】イブニング 4月号 講談社 B5中

 すっかり青年誌として一定の地位を築いた感あり。4月22日発売号から第2第4火曜日発行の月2回刊に。そういえば講談社が21日から本社1階にオープンするショールーム「K-Square」でも4月15〜25日にイブニング月2回刊化記念イベントをやるらしい。

 今号で印象に残った作品は、西垣美奈「くま日記.」。印刷会社の準社員である女の子くまおちゃんが、駆け出し営業ウーマンとして奮戦するという物語。シンプルだけど愛敬のある可愛らしい絵柄だが、お話のほうは起承転結がしっかりしたドラマとなっていて読みごたえがあった。ちょっと吉田基已が頭身縮めて描いた絵に雰囲気が似てるかな。その吉田基已「恋風」は今号も絶好調。いや〜濃密な兄妹ワールドを展開してて胸がギュンギュンときめかされまくり。描写がすごーく丁寧で妹さんが可愛すぎて破壊力がデカい。風間やんわり「あつし渡辺の探訪びより」は最終回。雑誌の中で独自のポジションをしっかりキープしていた作品だったけど、まあこれ以上探訪し続けるのもネタに困りそうだし、ちょうどいいくらいだったかもしれない。なお風間やんわりの新連載は次号からさっそくスタート。

【雑誌】モーニング 4/3 No.16 講談社 B5中

 今号は、イブニング宣伝漫画「GOGOイブニング」を風間やんわりが描いている。全然宣伝はしてないけど面白い。ところでこのコーナーは、個人的にはなかなかいいと思っている。とりあえず読むし、読めば「イブニング」という誌名が印象に残る。雑誌はまずは読者に存在を知ってもらってなんぼだと思うので、ほかのところでももっとこういうのやるといいと思う。けっこう販促に役立つような気はする。

 諸星大二郎「私家版鳥類図譜」シリーズの6回め「鳥探偵スリーパー」が掲載。壮大なSF系のお話もやるかと思えば、今回は飄々としたコメディで変幻自在。単行本も発売決定……とか思ってたら発売日3月20日じゃん! チェックしてなかった……というわけですかさずbk1に注文入れてみた。坪山タンゴ「夫婦な生活」は、今週から3号連続で掲載。平凡な若夫婦さんの、夫婦喧嘩コメディといった感じかな。作風は手堅くまとまっている。熊谷杯人「THE BLUE SKY HEARTS」は読切。第42回ちばてつや賞入賞作品。浜辺の海の家で働く若者たちの青春物語。絵の雰囲気は若干古風な70年代っぽい雰囲気があるけれども、ペンタッチはしっかりしていて達者。お話も迷走する青春って感じでこちらもなんだか昔っぽい。それがかえって印象に残ったりもする。

【雑誌】月刊サンデーGX 4月号 小学館 B5平

 椎名高志の新連載「パンドラ」がスタート。空からおっこちてきた箱から出てきた少女「パンドラ」が、浪人生の主人公のウチに住みついてしまう……というSF押しかけ女房モノ(リンク先は「ふぬけ共和国」内コンテンツ)。椎名高志のエンターテインメントに徹した作風は、ハマるとけっこうスマッシュヒットを飛ばすので期待したい。そういえばこの雑誌って、週刊少年サンデー系の作家さんって意外と少ないな。犬上すくね「ラバーズ7」。今回は「ああ、卓球ラブコメなんだなあ」としみじみ思った。卓球シーンが多め。なつきが笑う回数が増えてきてて、だいぶ柔らかい雰囲気になっている。

 島本和彦「吼えろペン」。とにかくなんでもいいから大声で断言してくれるところがいい。詭弁もこれだけ堂々として男らしいとスカッとする。でもギャグっぽく描いているけど、炎尾先生のムチャな言葉の中にはけっこう真実がある、ような気もする。ところで今回のラストページの柱に、小学館新人コミック大賞とGX新人賞の締切日が書いてあるのはうまいと思った。焚き付けられて、勢いで投稿してくる人もいるかもしれない。

【雑誌】チャンピオンRED 5月号 秋田書店 B5平

 各連載がずいぶんこなれてきたような気がいたします。まず今回は、4月17日に単行本第1巻が発売になる渡辺航「制服ぬいだら♪」。かわいくて頭がすんごく軽くなる、天然ボケしまくりなサービスシーン山盛り作品。パンチラとか尻出しとかが、なんかすごくおめでたいのがいい。登場人物が馬鹿っぽいのもいいなあ。ラストのほうで主人公のみのりちゃんが、うさぎのかぶりものをつけて「ぴょんです♪」とかいって飛び跳ねるシーンなんか最高。

 作:牛次郎+画:神矢みのる「プラレスラーVAN」は第2回め。前回に引き続きいい。何年も漫画描いてなかったはずなのに、「プラレス三四郎」のころの雰囲気が本当にそのまんま再現されている。これだけそのまんまっていうことは、それだけ作風が揺るぎなく完成されてるってことなんだろうなあ。

【雑誌】まんがくらぶオリジナル 5月号 竹書房 B5中

 みずしな孝之「幕張サボテンキャンパス」が最終回。キレイな余韻を残すいい大団円。あと、あっきう「あっちゃんだもん」もおしまい。新連載では若奥様のアツアツコメディ、小池恵子「ななこまっしぐら」がわりとかわいい絵で良いかな〜という感じ。

【雑誌】週刊少年サンデー 4/2 No.16 小学館 B5平

 雷句誠「金色のガッシュ!!」。今回のクライマックスの清麿とガッシュの表情は迫力があってカッコ良かった。やっぱり顔のインパクトって強い。4月6日からアニメ放送も始まるようだけど、けっこう面白そうな予感がするので見てみようかと思ってます。井上和郎「美鳥の日々」。美鳥がねばねばする液体まみれになってしまう今回。狙ってますなあ。コメディとしてもしっかり面白い。高橋しん「きみのカケラ」は、作者体調不良のためしばらく中断。まあ身体が悪いんじゃ仕方ないですな。

【雑誌】週刊少年マガジン 4/2 No16 講談社 B5平

 佐藤せいじ「奇蹟の犬」が掲載。あ〜、こりゃ本当に奇蹟だわ。天才料理人を父に持ち、自分も修行中の少年が、奇蹟の犬の力を借りて以前父が作った幻の料理を再現。さすがにそんな素材を使うとはねえ。ぶっ飛んでる。ぶっ飛んでるといえば、今回は作:七三太朗+画:川三番地「Dreams」も凄いと思った。甲子園には魔物が棲んでいるというけれども、ナマモノも棲んでるみたいですよ。大量に。しかも降ってくる。

【雑誌】COMICマナ VOL.05 三和出版 B5平

 最近のエロ漫画雑誌の中ではわりと元気のいいほうだと思う。けっこう楽しみにしている。

 まず今回は、たちばなとしひろ「研究室は…ドッキドキ」が良かった。大学の研究室で、実はお互い好き合っていた女の先輩の芹沢さんと、後輩男子の高坂くんがHしちゃうというお話。ただHするだけじゃなくて、アツアツのラブラブぶりが甘ったるく、かつ楽しく描けているのがいいと思う。最近のたちばなとしひろはハズレがないなあ。井ノ本リカ小「MAMA, I LOVE YOU」は、一見凄く厳しそうな教育ママと、その息子がやりまくっちゃうというお話。ママさんが見せる、普段の厳しい顔とHしているときの可愛いそぶりのコントラストが良い。ミルキーな画風による柔らかそうな女体描写も相変わらずエッチ。

 ムサシマル「Tears rained」。線がシャープで達者。今回はとある殺し屋と、彼を狙ってきた少女のお話。絵はうまいんだけどお話は盛り上げたわりにちとアッサリした感じかなという印象。こういう路線で行くならもう少し話数があったほうがいいかも。おおくぼマタギ「教育指導如月先生」。コミカルな絵柄だけど意外とエロもしっかり。丸みのある曲線のおかげでちんこイキイキ。


3/18(火)……鯰アトリエ

▼職場に、書類を取り込んで自動的にPDFファイル化してくれるスキャナScanSnap!が来た。フラットベッドタイプのほう。でもまだ使ってないので感想とかはなんともいえないといえる。

【雑誌】ヤングマガジンUppers 4/1 No.7 講談社 B5中

 村枝賢一「RED外伝Yellow」。今回は悲劇的でドスーンとくる展開。ハードな読みごたえと、それを支える描写力。やはりこの人はパワフルな描き手だ。新井英樹「シュガー」。面白い。今回は世界チャンピオンの前で、リンが精一杯いきがる。あと何気に本編の1ページを抜き出してセリフを変えている単行本宣伝漫画が毎回面白かったり。咲香里「春よ、来い」が紆余曲折の末、いよいよ次回で最終回。絵柄がきれいで一見まとまっているように見えて、何気に無軌道な女食い散らかしぶりがスゴイなーと思っておりました。いつもいうことだが中西やすひろ「愛DON'T恋」と相似形。実はこの人の作品は、1話1話を見ると整っているように見えて全体ではストーリーはかなりとっちらばっている。エロ時代の代表作「太陽が落ちてくる」もそうだった。柳沢きみお「THE大市民」。山形先生が片井先生の代わりに高校に乗り込んで、生徒たちに人生論をぶちかましてみる。山形イズムがどの程度、現代の高校生に通用するか、もしくは通用しないのか。そこらへん今後の展開が楽しみ。

【雑誌】オースーパージャンプ 4月号 集英社 B5中

 見ル野栄司の、サラリーマンが安酒飲んでクダを巻くだけ漫画「とりあえず生」。実はけっこう好き。ただ情けないだけの漫画だとしみったれた気分になるけど、この作品の場合は酒飲んでいる人間ならではの気楽さがあってよろしいと思う。あと主人公が、安酒飲みにつき合ってくれる数少ない上司のことを「ホントダメな上司だがかわいい人だ ちょっと多く払ってくれるのがうれしい」、ナマイキな部下を「誘っても断らないのがよい…… 明らかに友達がいない」などと、微妙にポジティブに評価をしてたりする点も個人的にはヒット。ギャグ漫画の多くがくたびれたハゲ課長とかに厳しく当たる中、こういう描写はちょっとホッとする。

【雑誌】漫画アクション 4/1 No.13 双葉社 B5中

 柏木ハルコの読切「梅沢かりん(32)の場合」が掲載。ずっと男とヤッてなくてストレスがたまりまくっている女性漫画家・梅沢かりんの日常を赤裸々に描くというお話。といっても痛々しくて読めないというわけではなく、勢いがありつつ気楽に楽しんで読めるまとまった作品という印象。わたべ淳「ライジング」は、以前3話集中連載された作品が本格連載化して第1回。実業団女子ソフトボール部の選手たちのドラマ。この作品はなかなか面白いと思っていたので、連載化はうれしい。ドラマとしてけっこうアツいし、少女とかでなく社会人をネタにしているのもシブい。

 あと今号は、植田まさし「かりあげクン」を久しぶりにマジメに読んでみて、そのシュールさに驚いた。例えばこんな具合だ。旅館だかなんだかで水道の水漏れのポタンポタンという音がうるさくて眠れない上司。そこで水滴が一滴ポタンと落ちているコマが差し挟まれた後、かりあげくんが「すいませんうるさかったすか?いま目薬さしまして…」と一言。どういうネタだよ、コレ……。単行本とかでまとめて読んだらけっこうトリップできるかもしれない。

【雑誌】漫画サンデー 4/1 No.12 実業之日本社 B5中

 画:千葉きよかず+作:田中誠一「剛球少女」。強豪校との練習試合編がクライマックス。主人公の女性投手・麻生の負傷もあり、物語としては緊迫感を増している。なかなか盛り上がってて面白い。


3/17(月)……シェーキの飲み方

▼そういえばエースネクスト→エース特濃に引き継がれたのは田丸浩史「最近のヒロシ2」もそうだった。ちゃんと確認しろよ、僕のバカバカ。

【雑誌】ヤングマガジン 3/31 No.16 講談社 B5中

 福本伸行「賭博破戒録カイジ」。「へへへ、思ったとおりだ……」と思った人も多いでしょうな。でもいいんだと思う、それは。しっかり期待に応えている。木山道明「おっぱいジョッキー」(原作:チャーリー☆正)。どうでもいいことなのだが、この作品では局面局面で競馬の用語解説がカコミ記事として差し挟まれている。親切な作りではあるのだが、そのカコミのタイトルが「おっぱい豆知識」。凄い漫画だと思う。あと今号では山本マサユキ「ガタピシ車でいこう!!迷走編」に、ガードのゆるい超巨乳な女性が登場。非常にいいと思った。こういう人が近くにいないのがとても残念だ。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 3/31 No.16 小学館 B5中

 「殺し屋イチ」「のぞき屋」で知られる山本英夫の新連載「ホムンクルス」がスタート。最近もりもり濃い作品が増えているスピリッツに、また一つ凄玉が参入。まず第1回は、道端に停めている愛車の中での寝泊まりを続けているスーツ姿のホームレスの男の、自堕落な日常を描写する。まだ物語は動き出していないが不穏な雰囲気はばっちり。アクの強い作品になりそうだ。

 入れ替わりで山本康人「正義の味方モンキーズ」は最終回。いまいちノレないままだったが、「正義サイコー!!」ってセリフはいいなと思った。曖昧な正義、曖昧な悪を描いた作品が最近多いこともあり、たまにこういう正義は正義、悪は悪とハッキリ断言してくれる姿を見るとスカッとする。正義の御旗を振りかざした国家が戦争を起こそうとしている時期にこんなこというのもなんだけど、でも正義ってのはやっぱりあるべきもんだと思いますよ。何がそれであるかはともかくとして。

 ヒラマツ・ミノル「アグネス仮面」は連載再開。相変わらず力強さとユーモアが、どっちも高いレベルで共存していて面白い。ここまでのクオリティでなくてもいいけど、こういった読みやすい作品がもう少し増えたほうが、雑誌としてのバランスは良くなると思う。細野不二彦「ギャラリーフェイク」。いや〜、この人本当にうまいね。今回のストーリー運びの巧みさには感心した。人情モノをやるにしても、しっかりヒネリを入れて見せ場を作ってくる。江川達也「日露戦争物語」。今回の金玉均の壮絶な死に様はカッコ良かった。わりと着実に面白い。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 3/31 No.16 集英社 B5平

 澤井啓夫「ボボボーボ・ボーボボ」が連載100回。この作品がここまで来るとは。これはマジで凄いと思う。こういう芸当はジャンプにしかできない。高橋一郎「ドーミエ 〜エピソードI〜」。が掲載。第64回手塚賞準入選作品とのこと。とある平凡な学校に、いつも裸のイカれた格好ではあるけれどなんでもできてしまう天才人間・万能人ドーミエが転校してくる。……というところから始まって、お話はトリッキーな展開を見せる。途中までは「小賢しいかな〜」とか思いつつ読んでいたのだが、これが意外にも爽やかな読後感を残してくれるけっこういい短編だった。絵も線自体は少なめで商業誌っぽい洗練はされていないものの、センス自体は感じさせる。系統としてはうすた京介っぽいけどまっすぐな作品でも力を発揮しそう。テクニックのある人だと思う。いとうみきお「グラナダ−究極科学探検隊−」は最終回。あまりパッとしないまま終わってしまってちょっと残念。前作の「ノルマンディひみつ倶楽部」で見せたように、けっこう高い漫画力の持ち主ではあると思うので、次回作でのリベンジを期待している。

【雑誌】コットンコミック 5月号 東京三世社 B5中

 コットンコミック新人賞佳作作品「Body or Soul?」が掲載されている成田マナブって、別冊ヤングサンデーとかにときどき掲載されていた成田学と同一人物かな? 記憶にある限りではちょっと秋重学っぽい絵のタッチは一緒なので、たぶんそうだと思うけど。渡辺ヒデユキ「SASEMAN 漢の逆襲」。あと一歩のところまでレイプ仮面を追い詰めたサセマンだが、そこには落とし穴が……。バカバカしい発想の転換に笑ってしまう。あと今回の駕籠真太郎「駅前創造」には、駕籠真太郎が登場するイベントの情報がいくつか。近々では3月18〜23日に渋谷ギャラリー「ル・デコ」で開催されるグループ展示会「Chain」に参加するそうな。ほかのスケジュールはexciteブックスのニュースを参照のこと。3月28日には最新単行本「健康の設計」も発売。なんか最近忙しすぎるのではなかろうか。ギャグのキレが鈍っているように思う。

【雑誌】コミックメガストア 5月号 コアマガジン B5平

 まず古事記王子「クローバー」が巻頭カラーで連載開始。別に委員長でもないのにみんなから「委員長」と呼ばれちゃうような、マジメっぽい外見の女の子が主人公。だけど彼女は学校のトイレで隠れてオナニーをしちゃうような淫らさを内に隠し持っていた。そんな彼女が公園で変質者と出会ったことがきっかけとなって、取り返しのつかない事態に陥っていくという物語。華麗な絵柄ながらエロは濃厚。かなり実用性の高い連載になっていきそう。来鈍「御家庭の快楽」は今回もエロい。ぷりぷりしたちんちんや、可愛い女の子たちの口、胸、アソコがいずれも非常にもちもちした触感が画面から伝わくるように描けている。いやあ、すごく気持ちが良さそうです。

 りゅうとひさし「MM」。今号から隔月レギュラーになるとか。くりくりした目の描き方に特徴のある作画は、なかなかに達者で目をひかれる。人参・参「おねがいおにいちゃん♥」。天然系な妹が、お兄ちゃんに成績が上がったご褒美にHをねだってくるというお話。この妹さんはかわいいんだけど頭のネジがゆるんだようなところがあって、なかなかテンションが高い。スッキリした絵柄のわりにHも意外と濃厚。THE SEIJI「幸せ」は、年配の男と再婚した奥様が、夫と彼の息子によりさんざんエロ責めされるというお話。実の息子のほうに見られそうなギリギリの状況をうまいこと利用してて、エロ度は高い。人妻らしい熟れた身体のラインもええですな。


3/16(日)……地上式敵

▼こんにちは。本日はエロ漫画雑誌だけです。

【雑誌】知的色情 Vol.3 光彩書房 A5平 [bk1][Amzn]

 「激しくて変」「暗黒抒情」と続いてきたこの雑誌もついにコレが最終号!と思ったら、7月に「H百景」という誌名でまた出るんだそうな。さすがベテランエロ漫画編集者・多田在良、しぶとい……。

 まず巻頭カラーはほりほねさいぞう「食べ物を造る事」なんだけど、頭っから派手に飛ばしてるなあ。お話としては人間の糞を食って育つ食用の生物「ポト」を、お腹の中で育てている少年少女のお話。といっても別に意志を奪って強制労働……って感じじゃなくて、主人公とフキエと呼ばれる少女の間には濃厚な愛情もある模様。でも薬物を使ってギンギンになった状態で、お互いの尻をほじり合う二人の様子はものすごくテンションが高くて圧倒される。いつもながらに絵は可愛いんだけど猛烈。

 町田ひらく「201X」は、それまでホームレスをやっていた男が突如として運がつき始め、あれよあれよという間に職が見つかり部屋も借り、一緒に住まう少女も現れ……といった具合。そんなあらすじだけを聞けば薔薇色みたいな物語なのに、ずーっと不吉なムードは漂っていて、不相応な幸運に恵まれてしまった男の混乱と不安が色濃くにじみ出ている。

 明治カナ子「嗜好遊戯」は、彼氏を女装させてみたくてたまらないというヘンな趣味を持った女の子のお話。なんかほのぼの。玉置勉強「STAY FREE」は、彼氏とアツアツだったはずの女の子を、突然現れた怪しい男がすべての束縛から解き放ってしまうというお話。いやあ、ひでーことしますなあ。町野変丸「のびのびゆみこちゃん」は、ゆみこちゃんがいつもながらのびっくり人間ぶりを発揮。ゆみこちゃんの辞書に不可能の文字はないな。というか辞書なんか持ってなさそう。持ってたら「あ〜ん、これでもいい〜♥」とかいって自分の中に収納しちゃいそう。

【執筆陣】ほりほねさいぞう、明治カナ子、町野変丸、矢田はじめ、町田ひらく、早見純、日向琴子、藤黄広誠

【雑誌】うさまん VOL.4 リイド社 B5平

 なんかずいぶんソフトタッチのエロで固めてきましたなーという印象。よく「少女漫画みたいな」といわれる(実際の少女漫画はそんなふうでもないんだけど、まあイメージとして)タイプの作風の人でまとめてきた。NYAN、小菅勇太郎、むつきつとむ、あずまゆき、鈴木美蘭、雪村理子、二階堂みつき……と、この手の人材が揃っている。ソフトタッチのエロを描く人としては古株な、おずのまほうまで出てきているのには少々驚いた。最近のエロ漫画界はマッチョでハードコアな肉弾系エロスをがっつんがっつんやる雑誌が主流だけにこういう誌面は新鮮。カラフルコミックピュアガールに似た感じといえるかも。

 上記で名前を挙げたメンツ以外で気になったのは、王者之風「ひより頑張る!」お兄ちゃん大好きッ娘が、お母さんが留守なんでご飯つくったりがんばるというお話。ストーリー的には別段珍しくはないが、妹さんの表情がいろいろ豊かで見てて楽しいなと思った。まだ子「まねきん」はだいぶお話が動いてきてて面白くなっている。それから巻末では、みた森たつやが「終末にしましょ!」休載のお詫びを書いているのだが、3か月くらいずっと40度近い高熱に悩まされているんだそうな。それはものすごくキツそうだ……。ゆっくり養生してくだせえ。

【雑誌】ラブマニ 4月号 平和出版 B5平

 田中エキス「幼なママ」第2話。童顔で眼鏡っ娘なお母さんが水着姿でお出迎え〜で、主人公はもうクラクラ。いやーお母さん可愛いです。加賀美ふみを「DramaFitter04」。これまで会えない日が続いてて、妄想ばっかりしていた彼氏彼女の悶々した気持ちが、久しぶりに会ってスパーク。やりまくっているけど可愛らしいメロメロアツアツのラブストーリー。微笑ましすぎ。ぺるそな「なめなめ」。うーん、見事に萌え系に絵を変えてきている。本当に器用だなあ。駕籠真太郎「韓国慕情」。この前のロシアネタが終わったと思ったら今度は韓国ですか。キッツいとこついてきましたなあ。これまたシリーズ化するんだろうか。まとまっても単行本化しにくそう……。


3/15(土)……coldな氷がcalling

▼エース特濃の項で、エースネクストから引き継いだ連載が「木島日記」だけと書いてしまいましたが「キカイダー02」もそうですね。お詫びして訂正いたします。

▼うわー、キングゲイナーおっもしれー!!! というわけで第25話「氷の中で」を見たんだけど、たった25分とは信じられないほど密度が濃かった。最終回前で詰め込んだっていうよりは、これやるために弓を引き絞ってたという感じ。あんだけたくさんの登場人物がいて、そのほとんどに見せ場がありしかもそれが矢継ぎ早に展開されて、いやーもうたいへんに興奮いたしました。なんか「小賢しさ」が全然なくって力いっぱいキャラクターが動き回ってる様子は、観てて楽しくて仕方がない。次回予告も見た感じでは「あー面白かった、ありがとう!!」ってな感じになりそう。次回で終わっちゃうのは残念だけどすごく楽しみ。

【雑誌】エース特濃 vol.1 角川書店 B5平

 コミックエースの新増刊雑誌が創刊。奇数月15日の隔月刊行になるのかな。角川書店の紹介ページはこちら。エースネクストの後がま的存在ではあるが、実際に引き継いだ連載は作:大塚英志+画:森美夏「木島日記」と作:石ノ森章太郎+画:MEIMU「キカイダー02」、田丸浩史「最近のヒロシ2」だけ。陣容的には実績のある人と新人を半々くらいで取り混ぜていて、内容もバラエティに富んでてけっこう面白かった。とはいえけっこう爽やかな読後感の作品が多めなんで特濃という感じはあんまりしない。むしろ濃厚なのはマイナーっぽさ。とくに表紙が書店の店頭だと意外と目立たないのは惜しいと思った。葉月京の作画自体は華やかななんだけど、バックと文字色の組み合わせがあんまり良くないのかな。誌名とロゴの書体のせいもあってか、内容は別にHじゃないのに、エロ漫画雑誌コーナーに置かれているところもあったみたい。

 掲載作品ではまず箸井地図「探偵儀式」(原作:清涼院流水+原案・脚本:大塚英志)が面白くなりそうだなと思った。清涼院流水のJDC(日本探偵倶楽部)シリーズはキャラ的にも非常に漫画チックなのだが、けっこういい感じで漫画化できている。箸井地図のスッキリ上品な絵柄も見ていてとても気持ちがいい。作:山田風太郎+画:浅田寅ヲ「甲賀忍法帖・改」については、現在せがわまさきもヤングマガジンUppersで漫画化している最中。内容は忍者十番勝負モノだが、作品自体も漫画化の出来を競わなくちゃならないかもしれませんな。岩明均「目を見て話せ」は創刊記念で特別読切。人の目を見ないで話す癖のある男の悲劇を、ホラー調のお話に仕立てた作品。すごく面白いってほどではなかったが手堅くまとまってはいる。

 木村ひかげ「ピンクのスコール」。突然の雨がとある少年少女の出会いのきっかけとなる。サイレント劇できれいで甘いお話を描いている。なかなかオトメチックでよろしいかと。川岡弘治「恋するウサギ」。交通事故で死んでしまった彼氏の霊が、プレゼントだったウサギのぬいぐるみに乗り移り、残された彼女との不思議な生活が始まる。青いお話をサバサバした絵柄で描写。絵柄に独自の風味はあるので、ガンガン描けばうまくなっていきそうな人っていう感じはする。山名沢湖「でりつま」は、呑気な若妻さんの生活を描いたかわいいコメディ。のんびりほのぼのしてていい感じ。いいですね、妻。

 ツガノガク「ジャン!」は、第14回エース新人賞で奨励賞を獲った作家のデビュー作とのこと。幼なじみの男の子・仁志を、彼氏とのキスなどの練習台として使っている女の子・友紀。でも仁志は彼女のことが好きなので、割り切れない想いを抱き続けていた……というお話。ラストは爽やかで読後感はいいんだけど、途中の展開はどうかなあと思った。ちょっと友紀の行動は行き過ぎで納得しがたいものがある。うーん、絵や雰囲気は悪くないんだけどちとバランスが悪い。ちなみにツガノガクは、次号から筒井康隆「時をかける少女」の漫画化を連載で手がけるとのこと。

▼掲載作品
作:山田風太郎+画:浅田寅ヲ「甲賀忍法帖・改」
葉月京「イヌネコ。」
森見明日「88の夏休み〜雫と風音〜」
岩明均「目を見て話せ」
作:押井守+画:杉浦守「キラーズ」
作:清涼院流水+原案・脚本:大塚英志+漫画:箸井地図「探偵儀式」
作:石ノ森章太郎+画:MEIMU「キカイダー02」
海森遙「ファントムジャック HEY.HEY.HEY」
作:大塚英志+画:森美夏「木島日記」
ツガノガク「ジャン!」
田丸浩史「最近のヒロシ2」
木村ひかげ「ピンクのスコール」
酒井ヒロヤス「Pepper Life」
川岡弘治「恋するウサギちゃん」
くぼたまこと「指輪物語」
山名沢湖「でりつま」

【雑誌】近代麻雀 4/15 Vol.435 竹書房 B5中

 ナカタニD.の読切「闘牌セラピスト ANDO」が掲載。一人の主婦が、ヤクザ兼セラピストをやっている男の元へ、ご近所さんの子供を殺したその足で相談にやってきて彼女の心のうちを聞くというお話。うーん正直なところ別に麻雀でやらなくても良いような……。途中で白衣を着るので、まさにヤクザ医師って感じ。作:阿佐田哲也+画:原恵一郎「麻雀放浪記 凌ぎの哲」。こちらは読みごたえがあって面白かった。バイニンの世界の非情な生き残り戦術にシビれた。橋本俊二「剣師 −刃上の渡世人−」。天才少女・理那編終了。どうでもいいのだが、座卓形式の全自動卓で二人で向かい合って勝負している光景ってなんとなく笑える。座卓でそういうシーンの場合は、普通手積みでしょう。

【雑誌】ビジネスジャンプ 4/1 No.8 集英社 B5中

 尾玉なみえの新連載「アイドル地獄変」がスタート。いきなり初っぱなから、クセのある顔つきの女の子が目を血走らせて「海ひろ子16歳!!」「アイドルになりたいッス」と高らかに激白。妙な女の子が奇天烈な活躍をして、アイドルの頂点に登り詰めたりしなかったりするお話になりそう。妙なんだけど知的なような気もする言語センス、不思議なテンポのギャグなど、あふれるオリジナリティに任せて突っ走ってほしい。

 それから今回は、BJ魂で連載中の桑澤篤夫「占い刑事」が登場。サブタイトルが「特別編:乳輪」ってところですでに脱力。今回も内容的にはヘンなのだが、この作品の中では比較的まともなほうかもしれない。占い刑事が自殺しようとしている女性を引き止めようとするところから始まるのだが、自殺している女性が「美人じゃない私が生きてたって何にもいい事ない!!」「死んだほうがマシよ!!」と、「おいおい大ざっぱなだな……」という出だし。でも占い刑事の説得はさらに大味で「待てよ!男は”口角”を上げれば寄ってくるんだ!!」と来る。ちなみに口の端の部分のことを「口角」というらしいです。で、その後口角が上がってる子は女性器が上ツキ、下がってる子は下ツキ……といういつもの名器ウンチクが始まっちゃうわけだ。こういういい加減な展開であるにも関わらず、「いつもよりまとも」と思えてしまう。それが「占い刑事」。


3/14(金)……ウヨッカーサヨッカーナナッカー

▼松下がトラックボールLet's noteの新モデルCF-A3を出すらしいんだけど、またしても中途半端なスペックでガックリ。今さらPentiumIII/800MHzとかいわれてもなあ。デカくて重くていいからCentorino搭載でコンボドライブ内蔵したモデルとか、そういうの出してくれないかなあ。HITOみたいなイカモノではなく。

▼わりと集中して仕事をした後、電車に乗って漫画を読んでたら、どうも頭が集中モードに入っていたようでバッチリ起きてたのに乗り過ごしてしまった。なぜか急いでいるときほどこういうことになりがち。

【雑誌】ヤングアニマル 3/28 No.6 白泉社 B5中

 宮野ともちか「ゆびさきミルクティー」は最終回。……なんだけどヒキが強かったわりにいまいち割り切れない終わり方だった。三角関係の決着のつけ方としていまいち中途半端だったような気がする。とはいえそれまでの雰囲気作りとかが非常に良かったことは確か。巻末の作者コメントには「力をつけて戻ってきますよ。」とのコメントがあるけど、その言葉どおりになってくれることを期待しております。西条真二の読切「BAKUTO!」が2号連続で掲載。天和八年(1837年)の浦賀を舞台に二人組の暴れん坊が活躍するというお話。うーん、個人的にはあんまりピンと来なかった。

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 3/28 No.15 小学館 B5中

 もりやまつる「笑う門には福来たる」が連載開始。競艇場でスッカラカンになって絶望していたリストラ中年男が、同じく派手に負けたのにやたら幸せそうな顔で笑っているハゲ頭のオヤジに出会う。それが縁でリストラ男は、このハゲオヤジに引っ張り回されることになるが……という展開。いつもながらに絵は泥臭いが、読者をお話に引き込む手際は鮮やか。また一つ面白げな連載が加わった。

【雑誌】コミックバンチ 3/28 No.7 新潮社 B5中

 渡辺保裕「ワイルドリーガー」。原辰徳監督の、独特の白々しいノリをうまいこととらえていて笑ってしまった。原監督といえば、「メロンパン以外は菓子パンと認めない」という主義の持ち主であるとZAKZAKで報じられたことがあったが、なんにせよタダモノではないと思う。

【単行本】「ななか6/17」10巻 八神健 秋田書店 新書判 [bk1][Amzn]

【単行本】「ななか6/17+ 〜八神健傑作集」 八神健 秋田書店 新書判 [bk1][Amzn]

 ななか関連単行本2冊同時発売。まずはいつもの「ななか6/17」10巻。この巻はけっこうシリアスな展開。まずはななかの別人格ヒロが再登場するところが一つのヤマ。それからその後、ななか父の再婚に端を発した、ななか&稔ニ+雨宮さんの旅路編がもう一つのヤマ。稔ニに対する思慕を隠さずストレートにぶつけてくるようになった雨宮さんの必死さに胸がしめつけられる。現在、連載のほうもラストに向かって、ここまでに広げた人間関係をだいぶ整理にかかってきている。みんなが前向きで幸せな結末を迎えられるといいなあ。

 もう一つ「ななか6/17+」はサブタイトルにもあるように八神健傑作集。要するに本連載が始まる前に読切で掲載されたバージョンの「ななか6/17」と、同人誌掲載作品を含めた短編を集めた本。短編のほうは「鏡の国のジェニファー」「フォーチュンブレイカー」「よい子悪い子」「私のゾンたん」が収録。ホラー雑誌に掲載されたミステリアスな話あり、ちょっとHっぽい話もありだが、いずれも後味は良い。とくに他人の身体に触ると相手の過去や未来が見えてしまう男と、彼を励ます後輩の女の子を描いた「フォーチュンブレイカー」あたりは完成度が高いと思う。読切版の「ななか6/17」は、現在の「ななか」とはちょっとキャラの造形が違った感じで初々しい。コンパクトでよくまとまった短編となっている。まああと全般にいえることだけど、八神健の描く女の子たちはみんな健気で可愛くていいですな。

 そういえばアニメ版の「ななか6/17」も最新の第10回「七華からななかへ」まで見た。原作に忠実に、ちゃんと作ってあるアニメ化だと思うけど、ここ数回は画面があんまり動いてなくて残念。5話くらいまでは動きは少ないなりに作画の乱れもなく、うまく作ってあったと思うんだけど、ちょっと息切れしてきた感がある。優れた原作のある漫画をアニメ化する場合、物語を味わいたいなら原作読んじゃったほうが手っ取り早いんで、期待されるのはやっぱり「このキャラが動いているところを見たい」ってことだと思う。物語に独自の味付けをしないのであればなおさら。てなわけで残り2話については、ラストスパートを期待したい。


3/13(木)……鬼返し

▼春になって、会社の近くのセブンイレブンから鍋セットが消えちゃってちょっと残念。周囲に食材買えるところがあんまりないので、野菜食いたいとき用に重宝してたんだけど。

【雑誌】別冊マーガレット 4月号 集英社 B5平

 今号はアルコといくえみ綾の読切が掲載されているので、読むほうとしても気合いが入る。まずはアルコ「何ひとつ捨てきれず」。この人の短編はいいなあ。想いを伝えられないまま卒業していってしまった先輩に、バイト先で再会し、つき合うことになった女の子の気持ちを繊細なタッチで描いたお話。少女が抱くコイゴコロというものは、とてもきれいなモノであると思う。というかたとえ現実にはそううまく行かないにしても、少女漫画世界のソレは美しくあれかしと願う。んでもって、アルコのコイゴコロ表現はその欲求を十分に満たしてくれる。透明感があってキラキラしている。今回はそれが堪能できるお話だった。

 いくえみ綾「あなたにききたい」のほうは、きれいなばかりではいられない気持ちを描いているのに、作品としては非常に美しい。同窓会を前にして、主人公の沙英に、とくに親しかったわけでもない目立たないクラスメートの高木歩から電話がかかってくる。同窓会で再会したら彼女は学生時代とだいぶ印象の違う美人となっていて、沙英と親しくなるべく近づいてくる。しかし彼女の心には何か複雑な感情が潜んでいて……という具合。見せ方が悪かったら途端に安っぽくなってしまいそうなお話だが、そこらへんいくえみ綾の料理の仕方はうまくて、味わい深い作品となっている。

 夏吉れん「告白」は、みんなには内緒だけど少女漫画家を描いててこっそりプロデビューもしている男子高校生が、好きだった女の子から恋愛相談のファンレターをもらってしまって悩むというお話。まあ出来すぎなお話ではあるんだけど、そういうプロットを作ってしまう作家さんの心情も含めて、個人的にはなんか可愛くていいなと思ってしまった。

【雑誌】モーニング 3/27 No15 講談社 B5中

 森田信吾「駅前の歩き方」が凄く久々に掲載。人気作家と編集者が、取材先でその地方の名物とかでなく、地元の人がごく普通に食べている食物「常食」を味わうというB級グルメ系なお話。今回は静岡県富士宮市の焼きそばがターゲット。実物を頭に思い浮かべると、そんなにすごいうまいモノって感じはしないんだけど、森田信吾の筆力のおかげでなんかものすごくうまそうに見える。いっぱいに頬張ってもごもごいいながら食いたいですな。4月22日に単行本第1巻が発売になることが決まった増田道也「浅倉家騒動記」は、ゲームみたいにお話が分岐するトリッキーな構成。お話自体を追う感じにはならないが、仕掛けとしては面白い。ただラストのオチはやらずもがなだったような気も。うめ「ちゃぶだいケンタ」。ケンタとサワの小学生カップルの様子がたいへん微笑ましい。今回はケンタが珍しくちょっといいところを見せてるし。

 読切、菊池晋「似顔絵師」は、「あなたの心の中に住まう人物を描きます」という不思議な売り文句の絵師が描いた似顔絵が、実直なサラリーマンの生活を一変させるという物語。じみながら丁寧に描かれた作風はわりと好みではあるんだけど、展開としてはありきたりに思えた。もう一つヒネリが欲しい。もう一つ読切、筑波騎太郎「天真正伝」。こちらは天然理心流などの祖となった剣の流派の開祖的存在が、一匹のカッパに出会ったことをきっかけに剣の道の深淵を覗き見るというお話。シンプルだが独自の味と暖かみのある画風はなかなかいいし、お話としてもうまくまとまってる。手堅く読める作品を描いていけそうなタイプという感じ。

【雑誌】ヤングサンデー 3/27 No.15 小学館 B5中

 一色登希彦「ダービージョッキー」(原案:武豊+構成:工藤晋)。冒頭の見開きのアングルがいい。競馬場をこういう角度から眺めた画面って、漫画ではあまり見たことがなかったような気がする。

【雑誌】ヤングジャンプ 3/27 No.15 集英社 B5中

 武富智の読切「あきらとめぐり会って」が掲載。3月20日に2冊同時発売になる短編集の「A SCENE」のほうに収録される作品。金に困って大衆食堂で食い逃げをしようとしている男が、店のおかみさんの昔の写真をからイメージを膨らませ、美しい一時の幻に浸る。キレの良い作画で情緒的なお話を、爽快に描写する腕前はさすが。長編でもこの味がもっと出てくるといいんだけど。ところで短編集については「全作品リミックスを施した新ver.で構成」とのこと。うーん、個人的には雑誌掲載時そのままの形でも良かったんじゃないかという気はするけど、まあ切り抜きは保存してあるからいいんだけどね。

 清野とおるは読切が2本掲載。「清野とおるフェア」とか書いてあるんですけど……。まあそれはいいとして、今回の「山下君は酸性か?」「スキ!スキ!過疎!!」は、どちらも相変わらず濃くてクセのあるヘンな作品。「まもなく毎週会えるよ……!!」とか書いてあるので、そのうちまた連載も始まるんでしょう。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 3/27 No.15 秋田書店 B5平

 八神健「ななか6/17」。ななかと新しいお母さんの話が引き続き。ななかにとって重要なターニングポイントとなるエピソードだけに、じっくりやっている。馬場民雄「虹色ラーメン」は、「そりゃないよ〜」とちょっと思った。せっかくラーメンロボットというおいしいネタを振ったんだし、もう少しスッキリとした決着編を見たかった。水島新司「ドカベンプロ野球編」。シーズンが開幕して不知火の凄い魔球が炸裂。ていうか本当に魔球なんですけど。んでもって「山田 今年は一本も打たせない ヒットすらも」とも言っている。懲りない男だな。あと今回の注目は、水島新司が久々に外国人を描いていること。といっても選手じゃなくて日本ハムのヒルマン監督だけど。

【雑誌】comic天魔 4月号 茜新社 B5平

 ん〜、なんか典型的なやるだけ漫画が多いような気がする。山田タヒチ「帰り道」、ひぢりれい「牝教師」あたりがそう。両人とも絵はすごくうまいのだけど、前置きなしに凌辱シーンから始まってそのまま最後まで行って「まだまだ終わらないよ」みたいな感じでおしまいになっちゃう。なんかたい焼きの真ん中の部分だけ食べるみたいな感じ。個人的には頭もしっぽも食べたいです。そんな中、まぐろ帝國は今回もヘンなことをやってていい。タイトルは「卒業」。卒業していく仲間たちと「金パッつぁん」と呼ばれ親しまれていた担任の先生とのお別れを描く。メインネタも下らないけど、端々の小ネタもいい味出している。最近のエロ漫画は直球勝負の実用重視系な作品が多いだけに、こういう変化球的な作家は余計目につくし期待してしまう。


3/12(水)……杵とスコップ

最後通牒を見ていたら、高橋しん事務所活動休止のニュースが。体調等の理由で制作体制を維持できなくなったとのこと。この手の商売をしている人間にとっては身体が唯一の資本なんで、じっくり養生していただきたいもの。自分自身も前の会社辞めてから身に染みてそう思うようになった。

▼それからニュース系サイトを見てて拾ったニュースもう一つ。カトゆー家断絶から「ざわ‥福本伸行ギャンブルナイトイベンツ2003」。福本伸行オリジナルギャンブルが楽しめるというイベントらしい。限定じゃんけんやりてえ! カワーダイスも……それは高橋のぼるですね。

【雑誌】コミックビーム 4月号 エンターブレイン B5平

 いろいろ面白く高値安定。でも安定してる分、今回は爆発力がちと弱めのような気も。安定感と爆発力の両方を望むのは、贅沢だとは分かっていつつもビームにはやはり期待してしまう。もう少し主人公が飛んだり跳ねたり、バカみたいに動き回る作品も欲しいかな〜という気もする。

 まず巻頭では、カネコアツシの新連載「SOIL」のプロローグが掲載。すごく大胆な画面の使い方をしててカッコイイ。ただお話は本当にプロローグなので、どんなお話になるかはまだ全然分からない。ちなみに今月号は表紙もカネコアツシで、これまた漫画雑誌とは思えないような非常にクールなものになっている。吉田戦車「武侠さるかに合戦」。面白い。今回は、かつて杵との名コンビで鳴らした気弱な臼の身の上が語られる。縄とか妙なキャラがてんこ盛りで、かつお話自体はガチンコ、「ぷろぽりす」といったアイテム選びなどで吉田戦車らしいすっとぼけたセンスも発揮。なかなかいい世界になってまいりました。森薫「エマ」。今回は貴族たちの遊興と、それにノレないウィリアム、それから初々しくて可愛いエレノアちゃんの姿が描写されていく。ウィリアムにブレイクスルーは訪れるのか。もしかして戦争の勃発がカギになるかも……とかちらと思ったのだが、第一次世界大戦は1914年からだからちょっと時代的に合わないか。この作品は19世紀末だし。

 安永知澄「夏休み」は、都会から遊びにきたのりちゃん、田舎に住む元気でボーイッシュなひさちゃんの女の子二人が一緒に過ごす短い時間を描いた美しいお話。ふとした描写に情緒があって気持ち良く読める。美しい余韻を残すラストも雰囲気良好。この人はいいです。新谷明弘「からだの国のありす」は2話めが掲載。今回はピロリ菌をネタにお話を展開。いつもながら不思議なお話を描くなあ、この人は。

 鈴木みそ「銭−ぜに−」はアニメ業界編おしまい。どうなんでしょうなー。結局、個人の超人的な努力なくしてはどうにもならないという結論なんだろうか。それだとちと悲しいんだけど。羽生生純「青 オールー」。差能構造の鬼気迫る内面が剥き出しになってきていて非常にテンションが高い。金平守人「カネヒラデスカ?」。今回はむちゃくちゃいうとりますなー。飛ばしまくってる。でも案外、的は射ちゃってるかも……という暴言もちらほら。

【雑誌】コミックバーズ 4月号 幻冬舎コミックス B5平

 うーん。この編集部の作る本はいまいち相性が悪いのだろうか……。全般にどうも大人しく感じられてしまう。なんか連載がどれも淡々と、漫然と続いているような印象を受けちゃう。PEACH-PIT「ローゼンメイデン」やゴハ「ワンダバスタイル」(作:六月十三)、南京ぐれ子「あかてん★ヒーロー!」と、女の子が可愛い連載は増えてきてるし、きれいにまとまった作品も多い。でもどれもそれなりという印象で、あまり大きなインパクトは受けない。

【雑誌】スーパージャンプ 3/26 No.17 集英社 B5中

 村上もとか「JIN −仁−」は、今回のエピソードがいちおうおしまい。漢方医たちの前で腕をふるった南方は、彼らにとってさらなる驚異の存在として立ちはだかることになる。彼が医術をもって人を助ければ、逆に当時の医者の仕事を奪うことにもなる。南方を巡る状況はますます緊迫していく。というわけで読みごたえがあって面白いのだが、次のお話が掲載されるまではまたしばらく期間が空く。正直もう少しまとめて読みたいなーという気はする。作:愛英史+画:里見桂「ゼロ」。この作品ではちょくちょくどうしようもないお話が生産されるのだが、今回のオチもなかなか。いかに相手がゼロを罠にかけようとした悪徳武器商人だからって、この唐突さはないよなー。思わず笑っちゃった。小谷憲一「DESIRE」も、ブランコ上でのプレイシーンとか、なんかもう凄くしょーもない。

【雑誌】週刊少年サンデー 3/26 No.15 小学館 B5平

 作:坂田信弘+画:万乗大智「DAN DOH!!Xi」。今回のパンチラぶりには笑った。この世界では「風がふけばパンツが見える」「雨が降ればダンドーの服がヌレスケになる、もしくは脱げる」という基本法則が常に忠実に守られている。どんなシリアスなときでもそうなのが凄い。井上和郎「美鳥の日々」。今回はこの寒いなか水着もりもり。といっても舞台は室内温水プールだけど。一生懸命アタックしてるんだけどどうも意識してもらえない綾瀬さんの姿が微笑ましい。

【雑誌】週刊少年マガジン 3/26 No.15 講談社 B5平

 赤松健「魔法先生ネギま!」。30人で入浴シーン。この状況でもいちおう全員登場させちゃうというのは、ある意味マジメなのかもしらん……とか思った。

【単行本】「キス」 橋本ライカ 河出書房新社 A5 [bk1][Amzn]

 今はなきCUTiE comicでちょくちょく描いてて、けっこう注目していた作家だった橋本ライカの初単行本がやっと出た。基本的には女子高生など、若い女の子の恋を描いたキュートなお話が中心。これが青くてまっすぐでいいんですな。なんとも可愛い。絵柄的には桜沢エリカとかに近いかな。どの話も清々しく好感が持てる。とはいえここに収められた作品は1997〜1999年のもの。CUTiE comic休刊とともに、あんまり見かけなくなっちゃったのは残念。とか思って作者Web日記を見たところ、近々もう1冊、「LOVE HOUSE」も単行本が出るようだ。これを機会にもっといろいろ活動範囲が広がってくれるとうれしいんだけど。


3/11(火)……誤報同時

▼PDF Desinerというフリーソフトのツールを試してみたんだけど、こりゃなかなか便利。これは要するに手持ちのファイルをPDF形式に変換するというもので、テキストファイル用画像ファイル用がある。ドラッグ&ドロップすればPDFになっちゃうのでとてもラクチン。Acrobatがなくても作れるってのがすごくいい。雑誌の切り抜きを整理したりするのにいいかも。まあ個人的には切り抜きの分量が多すぎなんでやらないけど。

▼comic天魔が出てないな〜と思って茜新社のホームページを見たら、今月号から13日発売になってたのね。チェックし忘れてた。どうでもいいんだけどこのページ、「山田タヒチ」がずっと「山田ヒタチ」になってるなあ。画像まである。

【雑誌】ミステリーボニータ 4月号 秋田書店 A5平

 珍しく購入したのは、小田ひで次と志村貴子が載っているから。小田ひで次「ミヨリの森」は新連載。母親が若い男と一緒に逃げてしまい、田舎の村にある父の実家に預けられることになった少女ミヨリ。彼女が近所にある森の中でさまざまな不思議な出来事に遭遇していくという物語。ミステリーというよりはファンタジー。小田ひで次の細かい筆致は健在で、森をはじめとした風景の描写が非常に美しい。これが載っている間はこの雑誌を買い続けることになるかも。志村貴子は、星新一のショートショートをまんが化するという企画の最終回に登場。「生活維持省」が掲載。原作のほうは読んでないんだけど、しっかり志村貴子の味になってるという感じはした。あとこの雑誌で気になったのは、タイム涼介が「おねがい♥こっくりどん」という連載をやっていること。相変わらず意外なところで描いてる人だなー。

【雑誌】ヤングチャンピオン 3/25 No.7 秋田書店 B5中

 丸尾末広の新連載「ハライソ〜笑う吸血鬼2〜」がスタート。正直なところ再開するとは思っていなかっただけに嬉しい収穫。なお「笑う吸血鬼」の単行本の感想は、2000年3月3日の日記にあります。前作で鬼婆によって吸血鬼になった少年は、かなりたくましく吸血鬼ライフを送っている模様。退廃的で妖美な世界観は健在で、雑誌全体にもいい緊張感を与えてくれる連載になりそう。ってなわけで今後の展開にも期待。井荻寿一「魔月館奇譚」は連載2回め。美人の大家さんに惹かれて、明らかに怪しい洋館に下宿することになった主人公。この人の描く女の人は本当に好みだなあ。初登場のツギハギだらけなメイドさんもなかなか。冷たい視線がグッド。

【雑誌】漫画アクション 3/25 No.12 双葉社 B5中

 鎌田洋次の新連載「カモシカ」がスタート。山岳救助隊員だった父を持つ女性・芯子が、それと同じ道を志すという山岳レスキュードラマ。国内の山を舞台にしてヒューマン・ドラマを展開していくことになりそう。山岳モノといえばこの前、ビジネスジャンプで谷口ジロー+夢枕獏の傑作「神々の山嶺」が終了したばかり。「カモシカ」も力の入った作品になることを期待したい。

【雑誌】漫画サンデー 3/25 No.11 実業之日本社 B5中

 大相撲の新横綱・朝青龍の実録物語、作:武田葉月+画:黄十浪「蒼き狼」が今号と次号に前後編で掲載。まあスダンダードな実録モノといった感じ。

【単行本】「護法童子」全2巻 花輪和一 双葉社 A5

 古本でゲットした作品。今はなき月刊スーパーアクションの1983年10月号〜1986年1月号に掲載された作品で、巻之一が1985年6月2日発行、巻之ニが1986年5月24日発行。たぶん現在入手しようと思ったら、古本を根気よく探すしかないと思う。

 内容のほうは、一見アホ面をしているようだが合体すると大日如来の姿となる一組の童子童女の足跡を追いながら、人間たちの業深き姿を描いていくというモノ。と書くとこの護法童子たちが世直し的なことをする物語を想像するかもしれないが実はけっこうそうでもない。なんか事件が勝手に起こって勝手に解決していっちゃうようなパターンも多いし、童子たちも仲良く旅しているように見えて内心ではけっこういがみあってたりと、なんだかいろいろ展開は意外で面白い。そして何より魅力的なのは、登場人物たちの奇怪さ。お得意の金色ペカペカな宇宙人やら、気色悪い人魚や海人たち、ガマみたいな顔をした男などなど。でもこれらのキャラにはグロテスクなんだけど愛敬もあったりするから不思議。いろんな刺激に満ちていてすごく面白い。

【単行本】「コロポックル」 花輪和一 講談社 A5

 こちらも古本で初版は1990年12月18日。コロポックルの少年に導かれ、蒸気機関車に乗って旅に出ることになった少女の物語。その道中は数々の不思議な出来事に満ちている。一つ一つの事物が花輪和一の精密なタッチで丁寧に描写していて、一級のファンタジー作品となっている。とくに機関車に対する憧憬は随所に感じられて、ノスタルジックな感情を刺激する。巻末に収録されたコミックエッセー「原始の峠の美しいモノ」にもそれは色濃く現れていて、北海道の山中を走る機関車を見つめる少年の、「ああっ!美しい美しい こんな美しいものがこの世にあっていいのか!」「いつまでもあって欲しい」という叫びは、何やら魂に響くものがある。「コロポックル」本編で描かれる、伝説の機関車「北土星号」の復活シーンも実にいい。大きく美しいモノを見たときの率直な感動というものが、ありありと描かれた作品。ちなみにこの作品の掲載誌は、モーニングパーティー増刊とモーニング本誌。今のアフタヌーンにもこういう作品が欲しい、としみじみ思った。


ページの一番上へ