2003年8月上旬


8/10(日)……黄ばんだ石版だ

【単行本】「史上最強の弟子ケンイチ」6巻 松江名俊 小学館 新書判 [bk1][Amzn]

 コンスタントに楽しく読める。主人公が頑張って力をつけていく……という過程がずっと続いていて、「強くなる」ということに対するカタルシスが常にある。あとまあ基本的に努力・根性だけど、美羽のうしちちとか、キサラのにょきーんとした生足とか、適度な息抜きシーンがあるのも大きな楽しみ。

【単行本】「金色のガッシュ!!」12巻 雷句誠 小学館 新書判 [bk1][Amzn]

 1000年前の魔物バトルで石版の中に閉じ込められた魔物たちが次々と蘇り、ガッシュたちを襲う……という石版編が本格化。安定はしているのだけど、テンションは落ち気味な感は否めない。序盤のほうの巻と比べると、清麿&ガッシュコンビの内面の問題がほぼクリアされちゃっているので、わりと単純なバトルものになってしまっているような。

【単行本】「美女で野獣」3巻 イダタツヒコ 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 明るい女の子格闘漫画。まあ格闘技としてはインチキなところもけっこうあるんだろうけれども、そこはまあ気にせずノリで読む漫画。可愛い女の子が足をしぱーんと振り上げて、ダイナミックなアクションをする気持ち良さと、ほのぼの気楽な雰囲気を楽しむべし。この巻はいつもの面々とアメリカンなチアガールたちがバトルを繰り広げる回あたりがヤケクソで楽しい。

【単行本】「SUGAR」5巻 新井英樹 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 いよいよリンがプロテスト受験を目指して動き始める。現役世界チャンピオンの逆鱗に触れ、戸籍をごまかしてプロテストに潜り込むその姿はまさにプロテストタント! それはちょっと違うけど、まあとにかくリンの態度同様、お話は慌ただしく動く。そしてリングに上がるや、スピード感に満ちた描写が読む者を圧倒する。このコマ割り、演出は本当に凄いと思う。直線的に猪突猛進ってわけでなく、変則的で高速。新井英樹の技巧が冴え渡っていてとてもカッコイイ。あとリンの才能を恐れているかのごときかつての天才ボクサー・中尾の行動が妙で面白い。

【単行本】「いちご100%」6巻 河下水希 集英社 新書判 [bk1][Amzn]

 いつもながらに華やかながら、一番あからさまにアプローチをかけているのに、LOVEじゃなくってLIKEなんだとばかりになかなか振り向いてもらえない北大路さつきさんが痛々しい巻。この娘さんが個人的には最もお買い得であろうかと思っているので、報われてほしいものではあります。


8/9(土)……イタチの痴態

スズキトモユさん製作のエキサイトブックス・ニュースな本棚「占い式!漫画ナビ」の結果リストがエレホン番外地 8/8の項でまとめられていますが、実兄と同じグループになってしまったのがなんとなく屈辱。まあ確かに殺伐としているかもしれません。二人とも30代独身だし。

【雑誌】ビッグコミック 8/25 No.16 小学館 B5中

 作:小池一夫+画:森秀樹「花縄」は4話めが掲載。元力士の花太郎と、彼を自分の跡継ぎと見込んだ火付盗賊改方・長谷川平蔵が、江戸の事件を解決していくという作品。相変わらず力の入った作画でシブいドラマを展開。きっちり構成されていて隙がない。

【雑誌】メガキューブ Volume30 コアマガジン B5平

 今号は巻頭のカラーページ漫画がわりと良い感じ。ナイロン「チョートリ」、新貝田鉄也郎「五年三組山本ゆり」と、絵がうまい人が並んでいる。モノクロページでは、単行本「親愛なる大人たちへ」[Amzn]が先日出たばかりのみかん(R)の新作「コムトDEポム」が掲載。マッドサイエンティスト的な発明を繰り返す女の子二人による科学部のお話。最初はわりと微笑ましいコメディという感じで展開したと思ったら、最後はなんかスゲえオチ。けっこう笑った。この人の作品にしてはずいぶん気楽に読めるほうなんじゃないかと思います。ほしのふうた「時の約束」。元気な少女がとある入江でドラム缶製の小屋に遭遇。そこで体験したこととは……。今回はけっこうミステリアスなお話。

【単行本】「ころころころもちゃん」 むっく メディアワークス A5 [bk1][Amzn]

 コスプレ大好き女の子・ころもちゃんとその仲間たちが繰り広げるドタバタした日常を描いた4コマ漫画。作者のむっくは、コミックとらのあなの宣伝漫画「とらのあなの美虎ちゃん」の人。漫画雑誌をよく読む人なら裏表紙広告でおなじみなはずだけど、この単行本もだいたいあんな感じの明るく楽しいノリ。この人の作品はあっけらかんとしていて、適度に勢いがあっていい。なんか萌え系の漫画の一般的なレベルより、微妙に健康的な気もします。

【単行本】「座敷娘」 國津武士 茜新社 A5 [Amzn]

 キュートでロリロリ〜な作風が特徴の國津武士2冊めの単行本。ちなみに1冊めは「天然少女児童会」(オークラ出版)[eS]。「座敷娘」は、前半が「ひな缶」に連載された「座敷娘」シリーズ6話(プラス前振り1話)、残りが短編5話という構成。その中ではやはり表題作がとても良い。とある男が、部屋に住みついたちっちゃな女の子の姿をした神様を座敷わらしだと信じ込んで契約するも、実は彼女は貧乏神で、アンラッキーライフが始まってしまうのでしたというお話。お話が進むうちに男と貧乏神ちゃんのラブラブ度が増していきそれが甘くて気持ち良い上に、死神ちゃんや福の神ちゃんもやってきてたいへん賑やかな状況に。頭身の低いロリ娘たちがたいへん愛くるしく、お話のほうも罪がなく茶目っ気があっていい。ちなみに作者ホームページはhttp://www4.gateway.ne.jp/~noriharu/houboku.htm(近日移転予定/音楽が流れます)。絵柄については実際に見て判断していただいたほうが早いと思うのでリンクしときます。

【単行本】「純情痴体」 高橋くるみ メディアックス A5 [Amzn]

 絵柄からしてまず間違いなくジェームスほたて、あるいは小暮マリコと同一人物であろうと思われる、高橋くるみの初単行本。最近あちこちで描いてて精力的に仕事してるな〜と思う。実際エロ漫画雑誌の場合、こういう人は一人いるとすごく重宝しそう。基本的には明るくてキュートな絵柄で、内容的にもラブコメベースで罪がない。ダークなものもときには描く。美少女エロ漫画雑誌に求められる要素をだいたい過不足なく備えているように思う。昔は「ごく普通の美少女漫画」というイメージが強くて目立つ人ではなかったんだけど、最近は絵の密度が増してむちむち汁気たっぷりになり、だいぶ実用性が増して良くなった。まあお話としては他愛なくて後々まで心に残るというタイプではないのだけど、それだけにクセはなく、汎用性が高い。明るめな作風のエロ漫画で、後腐れなくさっくり抜きたい巨乳志向なユーザーにオススメ。この単行本では、人間型抱き枕の女の子が家にやってくる「ピローガール」シリーズ全3話が目立つ。メインの抱き枕ちゃんが「ちょびっツ」のちぃに似てるな〜とか。


8/8(金)……歯磨き粉L

▼このところ生活パターンがちょっと狂い気味。具体的にいうとすごく早寝早起。夜9時くらいになると眠くなっちゃって、朝の4時くらいまでぐーぐー寝てしまい、起きた後「しまった」とか思ってやおら踏台昇降を開始。その後ちょっとしてから風呂入って、朝っぱらからビールなんぞを飲んでホームページの更新作業を始めてしまったりする。健康的なんだか不健康なんだかよく分からない。

▼未読物
【単行本】「史上最強の弟子ケンイチ」6巻 松江名俊 小学館 新書判 [bk1][Amzn]
【単行本】「金色のガッシュ!!」12巻 雷句誠 小学館 新書判 [bk1][Amzn]
【単行本】「美女で野獣」3巻 イダタツヒコ 小学館 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「SUGAR」5巻 新井英樹 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「いちご100%」6巻 河下水希 集英社 新書判 [bk1][Amzn]
▼未視聴物
【DVD・アニメ】「海がきこえる」 スタジオジブリ/ブエナビスタホームエンターテイメント [bk1][Amzn]

 「海がきこえる」待望のDVD化。踏台好適作品とは思えないが、見るときはたぶん踏む。本編が72分と踏台用としてはちょっと長めなので、キツく運動したいとき向け。もうアニメと踏台が切り離せない。そんな身体に誰がした。もちろん自分だ。

【雑誌】ヤングアニマル 8/22 No.16 白泉社 B5中

 関崎俊三「あぁ探偵事務所」。今回、探偵にもたらされた依頼はたいへん変わったモノ。宝くじが当たったが使い途を見出せない女性から、「本当にいい人」に対し金をバラまいてほしいといわれたのだ。要するに現代のねずみ小僧をやれという依頼だ。なんかとても面白そう。こういう殺人がからまない探偵モノとかってけっこう好き。読切、まつもと剛志「まじかるストロベリィ」は、「ひろってください。」というメモとともに放置されていたヘンな鉢植えから、花の妖精が出てきて主人公の男との生活が始まる……という、萌え系な4コマストーリー。かわいくて微笑ましい作品。

【雑誌】近代麻雀オリジナル 9月号 竹書房 B5中

 今号は企画モノがノリノリ。安藤満が東風荘に出現したときの模様のレポートである赤峰亮介「東風荘の鉄人」と、新人漫画家を高レートのマンション麻雀に放り込む城埜ヨシロウ「ウラセン」。なんかよく分からないがテンションはむやみに高い。あと「根こそぎフランケン」に出てきた竹井の外伝ストーリーである、押川雲太朗「フラッシュ・バック」前編も掲載されている。さほど派手な話ではないけど、手堅く読ませる。

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 8/22 No.17 小学館 B5中

 乃木坂太郎「医龍」(原案:永井明)。手術も佳境に入ってきて、いい具合に盛り上がっている。ここらへんは外科医漫画ならではの白熱ぶり。主人公の凄さが如実に伝わってくるというのは、やっぱり手応えがあるもんです。

【雑誌】コミックバンチ 8/22+29 No.36+37 新潮社 B5中

 新連載、小野洋一郎「新説ブレイブ・ストーリー」は、宮部みゆきの小説「ブレイブ・ストーリー」を原案とする、剣と魔法系の冒険ファンタジー。宮部みゆき作品の漫画化はこれが初だというのはちょっと意外だったけど、内容的には派手だし、漫画にも合っているような気はする。まあ小説のほうは読んだことないんだけどね……。

【雑誌】FEEL YOUNG 9月号 祥伝社 B5平

 小池田マヤ「The 分限者」。今回は4コマ形式ではなく通常のコマ漫画で読切掲載。あー、こりゃかっこいいですわ。粋だ。地方の豪家、「分限者」と呼ばれる一族の要であった祖母が毒で死亡し、容疑者として疑われた孫娘の里。背が高くてひょろりとして人相が悪い、無愛想な彼女の態度は皆の疑惑を招くが、里は里で久々の田舎での暮らしにいろいろな想いが去来し……といったところ。ラストの締め方が実にサバサバしてて好ましい。スパッと切れ味の鋭い佳作。かわかみじゅんこ「江ノ島心中」も読切。親が海のそばに建てた家に住む少年が主人公。人妻との不倫をずるずる続けていた彼だが、ある日出会った不思議な雰囲気を持った同年代の少女にだんだん惹かれていく。結末は苦みを伴っているけれど、若さのキラメキはそれを呑み込んで余りある。そういった若さを描かせると、かわかみじゅんこは抜群。

 連載2回め、安野モヨコ「東京番外地」も面白い。生まれ育った狭苦しい団地に戻ってきた主人公の美佳。都会での生活に倦み疲れた彼女は、慣れ親しんだその空間にまた閉じこもろうとする。団地という胎内に回帰しようとするかのような彼女の姿を、鮮やかに描き出している。お話の進め方がうまいし読ませるなあ。IKARING「しまいもん」。これは連載になってるのかな。高め狙いな姉と、現状肯定型の妹。二人の妄想が爆裂する作品。発想のぶっとびぶりが実はどっちもどっちでなんかすごく楽しい。身もふたもない結論も良し。

【雑誌】YOUNG YOU 9月号 集英社 B5平

 榛野なな恵「パンテオン」が連載再開。お待ちしておりました。兄に恋する少女・彰子が、悲恋に絶望して自殺を図り、それに対する罪悪感で兄の遼一はおしつぶされそうになっていく。今までは彰子が自分で自分を責め続けていたが、今度は遼一が追い詰められていく。盛り上がってて緊張感あります。やっぱり今は「Papa told me」よりこっちの続きが読みたい。たかさきももこ「白衣でポン」。田谷さんのドタバタまみれな出産話。カラッと明るくて気軽に読める。オチのつけ方もうまい。羽海野チカ「ハチミツとクローバー」は今回番外編が掲載。真山が入社する前の藤原デザイン事務所のお話。めがねレディーな美和子さんが、嫌がらせ目的でさまざまな悪趣味服を買ってきて同僚の山崎に気させるも、それがことごとく似合ってしまってキーッとなる、というお話。たまにはこういう本編とは関係ないおふざけ話も楽しいもんでございますなー。

【雑誌】MUJIN 9月号 ティーアイネット B5平

 今号は甘詰留太とか小暮マリコとか載ってないのでいまいちかな〜。掲載作品の中で気になったのは、のうきゅう「家庭教師でトライ!!」。家庭教師のお姉さんと、生徒とその父がくんずほぐれつというお話。強弱のついたペンタッチがなかなか良い雰囲気。桜木HAL「パパと香菜子」。万利休と同一人物だと思うけど、やっぱりこの人の描く少女はけっこう可愛いなと思った。八重歯がチャームポイント。

【雑誌】COMIC夢雅 9月号 桜桃書房 B5平

 MUJINとの分裂騒ぎを経て2001年11月に休刊した夢雅が復活。最初の休刊時にはコミック大我にリニューアルし、そちらも2002年5月号で休刊していたが、それ以来1年4か月ぶりの復刊ということになる。一度休刊した雑誌がまた復活するのは、エロ漫画に止まらず、漫画界全般を見渡しても珍しい。1号めに関してはまだ雑然とした感じはあるけれど、さすがに気合いが入ってるようで、個人的にはMUJINよりもイキが良いような気はした。

 執筆陣の中で最もうれしかったのが、先日休刊したコミックピンキィで連載されていたダーティ・松本の自伝的漫画「エロ魂!」がこちらで復活していること。相変わらずエロ漫画界の移り変わりを激しく描いてて面白い〜。単行本も10月に発売予定とのこと。楽しみ。そして最も驚かされたのが氏賀Y太「「真・現代猟奇伝」。これは事実を元に再構成した猟奇モノの作品で、取り上げているのが「女子高生コンクリ詰め殺人事件」(リンク先はGoogleの検索結果)。もちろん1989年に起きたあの有名な事件。正直なところ「うひー、いきなりこれやるのか」と思った。これは知れば知るほど鬱々とした気分になったり腸が煮えくり返ったりする事件だが、それを氏賀Y太の絵でヴィジュアル化するわけだから、かなりキッツいことになりそうだ。

 冬長「津久井りしだの真実」は、オタク御用達的アイドル・津久井りしだの秘密ライブに迷い込んだヒキコモリ少年が、彼女の普段見せない本当の顔を目撃するというお話。理想と現実の違いとその苦みを描いた、切ないお話となっている。けっこう読みごたえあり。倉田いち朗「ご利用は計画的に」。新人だそうだが、写実的なタッチで少女凌辱モノを描く。女の子も現実に、ごく普通にいそうに見えるだけに背徳感がありますな。吉田ふらわ「逃避行午後2時25分」は続きモノになるのかな。少年がバス停で知り合った年上のおえねえちゃんに誘惑されHな体験をする。魅惑的ではあるけれども、ちょっとトラウマになりそうな展開も見せている。というわけで続きが気になるところ。

【執筆陣】THE SEIJI、松阪剛志、冬長、藤瀬あきら、佐藤村雨英太郎、山咲梅太郎、天誅丸、飛野俊之、DELTA・M、倉田いち朗、林原ひかり、はやぶさ真吾、吉田ふらわ、みにおん、萬蔵、MAC-V、やまのべきった、みきかず、猫守麻里鈴、氏賀Y太、ダーティ・松本

【単行本】「瓦敬助作品集 九十九織」 瓦敬助 コアマガジン B5 [bk1][Amzn]

 「菜々子さん的な日常」などでおなじみ、瓦敬助の画集+漫画本という感じの豪家本。表紙はハードカバーとかではないものの、印刷自体はきれいです。この本の中では、個人的にすごく気に入っていた読切「きらめき」が収録されたのがとてもうれしかった。これは廃校が決定した木造の校舎の中学校を舞台とした、優しい追憶に満ちた物語。文化祭で上演する劇の脚本を任された少年が、図書室で出会った不思議な少女の持っていたノートを記された学校の一風景を、劇の脚本にする。途中でこの少女とのセックスシーンは出てくるものの、それがなかったとしても成立したであろう、しみじみ感動できるお話。そのほかのイラストなどもカラーが多く、むっちりとしていながら健康的な、瓦敬助イラストの魅力が堪能できる。しかし久しぶりに見ても菜々子さんはいいなあ。


8/7(木)……トライカン

▼とらのあなで「ころころころもちゃん」を買ったら、おまけでとらのあな特製ドリンク「虎缶」をいただきました。まだ飲んでないです。

▼8日売り
【雑誌】COMIC夢雅 9月号 桜桃書房 B5平
【単行本】「瓦敬助作品集 九十九織」 瓦敬助 コアマガジン B5 [bk1][Amzn]
▼9日売り
【雑誌】メガキューブ Volume30 コアマガジン B5平
【単行本】「座敷娘」 國津武士 茜新社 A5 [Amzn]
【単行本】「純情痴体」 高橋くるみ メディアックス A5 [Amzn]
【単行本】「ころころころもちゃん」 むっく メディアワークス [bk1][Amzn]

【雑誌】モーニング 8/21+28 No.36+37 講談社 B5中

 幸村誠「プラネテス」。4週連続集中連載の4回め。宇宙で戦争が始まり、無造作にデブリがバラまかれていくファッキンでシットな状況に無力感を抱くフィーだが、今回のエピソードで一つ吹っ切れる。次回は9月掲載予定で「ハチマキを乗せた船がいよいよ木星へ!!」との予告あり。本筋ともいえる部分だけにここらへんは楽しみ。あと冬目景「黒鉄」も今号で3週連続掲載の3回めが掲載。

【雑誌】ヤングサンデー 8/28 No.36+37 小学館 B5中

 作:金城一紀+画:秋重学の新連載「レボリューションNo.1」がスタート。偏差値的には底辺の学校に通う男子たちが、とある教師の授業に触発されて、何かをしようと一念発起。まあ結局やることは、女の子をナンパしたりなんだけど。馬鹿馬鹿しいけど前向きのようでもある、ウダウダ青春ラブストーリーという感じか。秋重学は最近、またペンタッチが細かくなっていて作画力が向上している。この人は原作付きのほうが、作画や構図取りに専念できる分、面白い作品を描くことが多いので期待。

【雑誌】ヤングジャンプ 8/28 No.36+37 集英社 B5中

 作:外薗昌也+画:別天荒人の読切「ガールフレンド」が掲載。どうもショボくれた日々を送っていた小説家志望の男が、町中で腹が減ってぶっ倒れていた女の子を拾う。そこから彼の日常は動き始め、いろいろ好調になっていく。ラストはちょっぴりほろ苦く、爽やかに締めくくり。きれいにまとまった青春ストーリー。別天荒人の作画は達者で目をひくし、わりといいコンビかも。清野とおる「ハラハラドキドキ」。なんかいきなり教育的な内容でちょっと笑ってしまった。やっぱり老後の備えはきちんとしておかないとね。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 8/21+28 No.36+37 秋田書店 B5平

 佐渡川準「無敵看板娘」。愛用のオカモチが壊れて喪失感いっぱいの美輝。アレってそんなに大切なもんだったのか。面白い娘さんだ。ところで8月16日発売の「元祖!浦筋傑作選増刊」に、「無敵看板娘」の番外編が掲載されるらしい。園田ともひろ「はぐヤン!とんじる」。毎度しょうもなくて面白い。腹が痛くなったというとんじるに対して、ヤンキー仲間の一人がなぜか持っていた携帯用トイレを差し出すとか、妙な小技ギャグもいい味。


8/6(水)……半島風土

かまどさん【一合炊き】 ▼ふと思い立ち、前から欲しいと思っていたごはん炊き専用土鍋「かまどさん」[楽天]を注文してみた。実はこれまでも小さい土鍋を使ってごはんを炊くというのはやってたんだけど、これを飯炊きに使っちゃうとおかず作りに土鍋を使えないということもあって購入を決意。三合炊きにしとけばほかの人に振る舞うこともできるし、炊き込みごはんを作る場合もちょっと大きめのほうがいいのでちと迷ったけど、まあ安いほうがええわいなとか思って一合炊きのほうを選択。到着は11日(月)。楽しみだ〜。

【雑誌】週刊少年サンデー 8/20+27 No.36+37 小学館 B5平

 藤田和日郎「からくりサーカス」。前回に続いてイタイ敵出現! 黒賀村の人形相撲編はなんか賑やかでのどか。こういう展開もたまにはいいかな。久米田康治「かってに改蔵」。今回は入浴シーンからスタート。はだかはだか〜。でもサンデーだけに乳首は出てないです。

【雑誌】週刊少年マガジン 8/20+27 No.36+37 講談社 B5平

 マガジンSPECIALでやってる小川悦司「フードハンター双雷伝」(協力:小笹和俊)が読切で登場。今号と次号で103ページ掲載。マガスペのほうは読んでないのでよく知らないんだけど、要するにものすごく珍しい食材を求めて、フードハンターと呼ばれる男たちが冒険を繰り広げるという味狩り漫画といったところか。前編は導入、実際の冒険は後編でやるみたいです。

【雑誌】ミステリーボニータ 9月号 秋田書店 A5平

 今号も小田ひで次「ミヨリの森」を目当てに購入。ミヨリや精霊たちが森を守るために立ち上がり、いちおういったん一件落着。森や精霊たちを描く描写の緻密さ、ユニークさは相変わらずとても良い。ところが今度はミヨリ個人について新たな問題も出てきて……。そろそろ物語は終盤戦ってところか。こういうA5の分厚い平とじ本は切り抜きが面倒なので、ちゃんと単行本にまとまってくれるといいんだけど。

【雑誌】コミックPOT 9月号 メディアックス B5平

 まずは木静謙二「居酒屋ちえみ」。しょぼくれたサラリーマンな主人公が足繁く通う、美人おかみのちえみさんが一人で切り盛りする小さな居酒屋。そこはまさに酒呑みたちのオアシス! そして毎晩繰り広げられる、常連客とちえみさんとの性の饗宴。いつもながらここらへんはねっちりいやらしくていいんだけど、やり終えた後のみんなの表情がやけに癒された感じでスカッと爽やかなのがなんだか面白い。ちえみさんのかぶっている頭巾がネコミミライクなのも可愛くて良いですのう。Hだけどなんかほのぼの。少し馬鹿馬鹿しくもある。こういうノリはけっこう好きだ。

 EB110SS「サンシャインの見える場所で」。最近ちょっとタッチを変えてきてますな。今までのコミカルなところのあった作画から雰囲気を変えて、目と髪の毛の描き方が細かくして少し写実的になってる。まだ板についてないところはあるけど、完成されるとこれはこれでいい雰囲気になりそう。今回はとある男と家庭教師先の娘さんのH話だが、ラストのコマの少女の表情と構図が印象的で良かった。

 高橋くるみ「妹コミュニケーション」。タイトルどおり兄妹モノ。残業続きでなかなか 帰宅できない兄の仕事場に、妹さんが押しかけてきてH……というお話。毎度肉感的でH。妹さんのいたずらっぽい表情もいい感じでございます。しろみかずひさ「電気夢想花」は近未来の秋葉原で寄り添うように生きる、刺青師の男と人工光に耐えられない体質の女性・麻理果の物語。今回が第二話だけどこのまま続くのかな? 今回の麻理果は儚げなところにソソられるものが。あと今号では長谷円、猫玄、九巴昭彦、甘夏真琴あたりもそれぞれ持ち味が出てて良かった。

【単行本】「万祝」1巻 望月峯太郎 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 「ドラゴンヘッド」「座敷女」「バタアシ金魚」などで知られる望月峯太郎の最新作。漁師だった祖父を持ち、母の強く生きろとの遺言を胸に、ムチャクチャ格闘技の強い15歳に育った少女・鮒子が主人公。現在は海辺の町に住む彼女の家に謎の下宿人がやってきたのをきっかけに、鮒子は秘密の島と海賊たちをめぐるゴタゴタに巻き込まれていく……という感じかな。1巻の段階では物語はまだ導入部という感じで方向性は見えていないけれど、強く美しくのびのびと生きている鮒子や、アクの強そうな脇役キャラが動き回る姿は、今後面白いことが起きそうだな〜と思わせるモノがある。「ドラゴンヘッド」あたりは重めな作品だったけど、今回のは健康的でカラッと明るい。


8/5(火)……遠目にも透明な乙女

【雑誌】コミックフラッパー 9月号 メディアファクトリー B5平

 巻頭カラーは小原愼司「二十面相の娘」。チコがいったん家に戻されて、またカゴの鳥のごとき状態になるも……。これで読切シリーズで描かれた部分とお話がつながりいよいよ本格新展開となりそう。二十面相の元で成長したチコは、可憐さに加えてしたたかさを身につけいい感じで育っている。この娘はいい女になるでしょう。峰不二子のような。あるいは藤蜂子のような。それは違うか。柳沼行「ふたつのスピカ」。今回は泣かせる展開。マリカお嬢さまとライオンさんの昔の話。花火が夜空に舞い上がり、それを二人が見つめる見開きがなんとも印象的でジーンとくる。やはりこの人はいい情景を描きます。

 岡本一広「トランスルーセント 彼女は半透明」。このシリーズは3回めだが、今回は非常に出来が良い。身体が透明になっていってしまうという病を抱えた少女と、彼女のボーイフレンドの物語。自分はいずれ身体がすべて透明になってしまい、顔が見えない、姿も分からない状態になってしまうかもしれない。そんな自分に対し、少年は今までどおりつきあってくれるのか。少女は苦悩する。この二人と、完全に身体が透明になってしまい恋人に対しても心を閉ざしてしまったガラス職人の女性をからめてお話は展開。題材がソレだからというわけではないけれど、透明感のあるお話作りは好感が持てる。ピュアでまっすぐで優しい読み心地。とても丁寧に描かれたいい作品。石黒正数「修学旅行」はショートギャグ。修学旅行中に主人公の少年が、周りのものがすべて逆さまになる逆転世界へと迷い込む。器用にまとめてはいるけど、この人についてはそろそろもう少し長くて、ガチンコ全力投球なお話も読んでみたいところ。まだ余力を残しているように思えるのは惜しい。

【雑誌】ヤングマガジンUppers 8/19 No.16 講談社 B5中

 作:山田風太郎+画:せがわまさき「バジリスク」でキャラクター人気投票の結果が発表。青年誌でこういうのやるのって珍しいような。それにしてもなんか上位は女ばかりだ……。これ読んでると原作の「甲賀忍法帖」のほうも久々に読み返したくなる。読んだのはけっこう前なので、キャラの名前と特殊能力の対応がいまいちあやふやになっちゃってるんだよね。小林賢太郎「鼻兎」。今回は鼻兎を使った間違いさがしとか。鼻兎のいろんなバリエーションが見られてちょっと嬉しかった。

 咲香里「やまとの羽根」。けっこう熱血してて面白い。作者のバドミントン好きが十分に伝わってくる。ただ主人公大和の動機付け、および上達の理由にはもう少し説得力が欲しいかな。例えば天性の反射神経や脚力だの、サッカーで鍛えた足腰の確かさだの。そこらへんは形さえつけば別になんでもいいんだけど、スポーツ漫画の場合は主人公の特殊性がきっちり描かれてたほうが凄さが明快に伝わってきて気持ち良いと思う。柳沢きみお「THE大市民」。この作品を読んでてよく分からんな〜と思うのが「山形スペシャルグラス」だ。ガラスのとても薄い高級ワイングラスの足の部分が折れた奴。「ビールはコップが軽いほど美味し」ならしいのだが、なんだかいまいち同意できないし、どうにも不便そうだしあまり格好良くないような気もする。

【雑誌】ビッグコミックオリジナル 8/20 No.16 小学館 B5中

 井浦秀夫の新シリーズ「弁護士のくず」(監修:小林茂和)が開始。ビートたけしみたいな顔をしたひねくれた感じの弁護士が、いろいろな難事件をずる賢く解決していくってな感じのお話。スペリオール増刊とかでやってた「強欲弁護士 銭高守」と似たような作品だが、さすがにすでに手慣れた分野だけあって手堅いしちゃんと読ませる。

【雑誌】漫画アクション 8/19 No.32 双葉社 B5中

 先日、9月30日売り号で休刊という情報が明らかになったばかりだが、今号は読者コーナーに「颶風」の作画者だった宮田淳一の訃報が掲載された。力の入った作品だっただけに未完で終ってしまうというのはとても残念。

 で、誌面を見ると、休刊をにらんでか読切作品の比率が増えているような……。まず巻頭でながしま超助の読切シリーズ連載「恋の山手線ゲーム」が掲載。「ぷるるんゼミナール」「ジェット上司」と、アクションではぶっ飛んだ作品を連発した作者だが、今回はなんだか普通。山手線でともに乗り過ごした男女が、成り行きで一夜を共にし、明日への活力を得るという話。やまだ哲太「星の谷」(原作:鏡丈二)も読切。地方の村の診療所をめぐる問題を描いた作品。ロドリゲス井之助「リーマン戦記独身3」。最近菊原がガチンコで恋愛モードに入っててシリアスな展開。こちらも連載をたたみに入っているのかなという感じ。

【雑誌】漫画サンデー 8/19+26 No.32 実業之日本社 B5中

 画:沖田龍児+画:松田康志によるホストものの新連載「ホスト魂」がスタート。結婚を目前にしてバイク事故を起こし、彼女に取り替えしのつかない負傷を追わせてしまった主人公。彼が、彼女を治せるだけの巨額の金を作るために、ホストの道を歩んでいくというお話になる模様。ホストものはけっこうど根性勝負な作品が多いが、この作品もそうなっていきそう。

【雑誌】花とゆめ 8/20 No.17 白泉社 B5平

 高尾滋「てるてる×少年」は連載再開。しのママの実らなかった恋の物語が語られている。このところ恋愛感情の切なさを描く描写にグッと鋭さが増してて好調。羅川真里茂「しゃにむにGO」。こちらも昔の話。かつて天才プレーヤーだった池田コーチの過去が語られていくという展開。脇役キャラの掘り下げをきっちりやってて、これからの展開も面白くなりそう。

【雑誌】桃姫 9月号 富士美出版 B5平

 最近の桃姫ではひねもすのたりがいいと思う。今回の「夏の夜の花火」は、夏休みを前にした終業式の後に一度だけHをした男の子女の子が、一緒に夏祭りにいってH……というお話。男の子のほうは鈍感で、女の子が自分を好いていることにいまいちピンと来ていない。そこらへんの甘酸っぱさが良い感じで、柔らかみのある絵柄にも合ってる。そういえば以前からこの人はあさりよしとおに絵が似てるなあと思ってたけど、この前単行本のあとがきを見たところ、やっぱり元アシスタントだったらしい。たまちゆきもコンスタントによろしい感じ。「秘密の更衣室」。プールの更衣室で兄妹がH。こちらは妹のいたずらっぽい表情がかわいい。

【単行本】「親愛なる大人たちへ」 みかん(R) コアマガジン A5 [Amzn]

 繊細で美しい線で、苦く痛い少女たちの物語を描き出すみかん(R)2冊目の単行本。1冊めの単行本「少女のままで。」[Amzn]の感想は2002年6月17日の日記を参照のこと。

 この単行本で描かれるのは、心に傷を持った少女たちばかり。「親愛なる」そして酷薄な大人たちや同年代の少年たちに性を貪られる彼女たちの姿は、なんとも痛々しい。みかん(R)の白黒のコントラストの利いた画面作り、気品のある細い描線は独特の存在感があり、少女たちの傷を読む者に生々しくつきつけてくる。その最たる作品が「KISS Me」。ノイローゼ気味の父親から性的虐待を受け、煙草の火でつけられた傷で身体中がボロボロになっている少女。同級生のボーイフレンドにすがろうとするも、その身体のあまりの惨状は彼の拒絶を招き、少女は一人泣き崩れる。可憐であるがゆえに、悪意をもひきつけてしまう。美少女は哀しからずや。そういった悪意についてもごまかさずに、真っ正面から描ききる作風は、しんどいけれども読みごたえあり。痛い話が多いだけに、最後に収録された、ほのぼのとした雰囲気がちょっとある「きみがいいの」あたりでずいぶんホッとした気持ちになる。少女、そして少女を愛してしまう男たちの業を背負った作品集。苦くて痛くて重く、読むさいにはある程度の覚悟はいるだろうけれども、読むべき価値は確かにある一冊。


8/4(月)……十の素手

「週刊漫画アクション」、9月30日発売号で一旦休刊(新文化 8/4)
 アイヤー、アクション休刊アルカー。ここ数年のアクションの迷走ぶりは読者から見ても異様だったし、まあいずれはそうなるかもなという感じではあったけど、実際に休刊となるとやはり残念。個人的にはエロへのリニューアル前のアクションは硬派な読みごたえで好きだったし、エロアクションもアレはアレで面白く読んでいた。山本よし文「オッパイファンド」、ながしま超助「ぷるるんゼミナール」といった怪作も生まれたし。また、最近は最近で路線を元に戻し、ぼちぼち面白い作品も出てきて楽しみは増えていた。

 まあこうなってしまったのは仕方がない。ただ、何せ地味な雑誌なので売れてないのだろうなーとは思っていた。置いている書店やコンビニが減少しているのは実感していたし。最近コンビニ行っても置いてなくて、駅の売店に行かないと買えないことが多かったんだよね。週刊雑誌の場合、発行回数が多い分、当たればデカいけどハズれた場合は損失が大きい。例えば1号あたり200万の赤字が出るとしたら、月刊なら年間2400万で済むけど、週刊だと1億になってしまう。これは出版社にとって大きな負担となることは間違いない。そういえばコミックバンチ創刊のときに「週刊漫画誌の創刊は久しぶりでは?」みたいなことを書いたことがあるが、週刊漫画誌の休刊も何気に久しぶりかも。

 新文化の記事によれば、アクションは今後、月2回刊などに刊行形態を変更、編集体制を一新して来春を目途にリニューアル創刊する予定とのことだけどだけど、それについてはちょっと鵜呑みにはしがたいものがある。下衆な勘繰りはしたくないんだけど、双葉社の場合は2000年8月にアクションがエロ漫画誌にリニューアルされたとき、その煽りを食って休刊したアクションヤングの例があるんで。このときは「アクションヤングは編集部全員が週刊アクション編集部に移籍、アクションヤングは2001年春にリニューアルして復刊予定」とアナウンスされ、そのまま復刊されずじまいだった。「軍鶏」はちゃんと終わらせられるのかなあ……。たなか亜希夫がモーニングで新連載を始めたのは、ここらへんの事情がからんでるのかも。まあ何はともあれ、バロン吉元「三面大黒天」はなんとか単行本してほしい。

▼5日売り
【単行本】「親愛なる大人たちへ」 みかん(R) コアマガジン A5 [Amzn]
▼6日売り
【雑誌】コミックPOT 9月号 メディアックス B5平

【雑誌】キングダム 9月号 少年画報社 B5中

 米餅昭彦「けい×どろ」。……濃いなあ。今回は「絶対勝チマス」「ふぁいとイッパァーツ」と叫びながら女湯を覗く外国の人と、アフロ刑事が対決。とにかくこの外国人がテンション高すぎ。セリフは本当に前述の二つの一点張り。目の血走りっぷりとかも尋常でない。個人的には好きだけど、一般受けするにはアクが強すぎる。米餅昭彦=なめぞうは、そういうところがサイコー。

 私屋カヲル「青春ビンタ!」。いつもながらちょいとHなバカ話。やはりビンタはアミちゃんとくっつくべきだと思うね。カサギヒロシの読切「ギブ・ミー・コンドーム」は、ヤクザなアニキの彼女とヤレることになったチンピラにーちゃんが、コンドームを求めて町をかけずり回るうちに大騒動に巻き込まれるという、罪のないドタバタギャグ漫画。もう少し濃いめの話のほうが好みかな。あと竿尾悟「戦争の犬たち」、本山理咲「たびいぬ」と犬漫画2本が連載開始している。

【雑誌】ヤングマガジン 8/18+25 No.36+37 講談社 B5中

 芹沢直樹「猿ロック」が巻頭カラー新連載。えーと鍵屋の息子である主人公の猿丸耶太郎、通称「悪戯猿」が、鍵開けの特殊技能を駆使して活躍するというアクション漫画といったところ。初っぱなは、グラビアアイドルが過去に出演していたアダルトビデオのマスターテープを、AV製作会社から盗み出すというミッションに挑む。作画は整っていてまあ手堅くお気楽なエンターテインメントってな感じ。シリーズ「平成歌謡漫画大全集」では、柴門ふみが登場。「積木の部屋」。平凡なOLのミホのラブストーリー。幸せな恋愛の始まりから、彼女の嫉妬深さが招いた別れまでを描く。さすがにベテラン作家だけあって手慣れた話作り。

 土屋謙三の読切「野獣教室」はちょっと気になる作品。ホンモノの白クマが学校の先生になって、その巨体と大きな心で生徒たちを包み込む。そして白クマさんに恋する女生徒の存在……。洗練されてはいないけど、平和でちょっとヘンなお話には味がある。絵も個人的にはけっこう好み。女生徒がわりとかわいいと思う。松浦まどか「ウッハ!ハーレム学生寮」。最近のお風呂場水鉄砲バトル編はけっこうバカバカしくて面白い。どうでもいいことにどうでもいいくらいの情熱を傾ける姿と、水鉄砲技のしょうもなさが見てて楽しい。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 8/18 No.36 小学館 B5中

 小田扉「団地ともお」は3回め。ほのぼのしてていいですな。今回はバカな子供・ともおの夏休み、生き物あそび編。ミートソースの缶にたっぷり、団子虫がうぞうぞ。途中でカナブン遊びに打ち興じたりするも、最後はちょいとしんみり。力の抜けた作風ながらも叙情的な部分もしっかりしてるのがいい味でございます。古屋兎丸「π」。いつもながらに下らない。πがかかると頭が小学生レベルな夢人たちの姿がとても楽しい。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 8/18 No.36 集英社 B5平

 小畑健の読切「デスノート」(原作:大場つぐみ)が掲載。13歳の平凡な少年・鏡太郎がある日、道端で一冊のノートを拾うが、それは書いた者を即座に死に至らしめることのできるという力を持った、死神の落とし物だった……というところから始まるサスペンスホラー。小畑健のお話の進め方は堅実でうまくまとまっていると思うけど、ちょっとアッサリした感じ。これは原作の問題かもしれないけれども、さほど怖くもないし不気味でもなかった。もう一ヒネリあったほうが良かったかな。

【単行本】「アイシールド21」4巻 作:稲垣理一郎+画:村田雄介 集英社 新書判 [bk1][Amzn]

 しっかり面白くて好調。セナ、ヒル魔、栗田というメインを張っていたキャラに加え、前の巻から球を捕らせたらNo.1の元野球部モン太が加わり、泥門デビルバッツもじょじょに陣容が整ってきた。序盤はメインの3人でお話を引っ張り、少しずつ脇役陣を拡充していくというお話の進め方は堅実。あと試合のシーンもアクションが気持ち良く、楽しんで読める。アメフトというとルールが分かりにくいのが何かとネックになるスポーツだが、分からないなら分からないなりに楽しめるように作ってあるし、要所要所でルール、戦術の説明もしてくれるので分かったような気にはなれる。こういうのは重要。

【単行本】「検事犬神」 村上もとか 集英社 B6 [Amzn]

 不器用で武骨、しかし真実を追求するということに揺らぎない信念を持つ敏腕検事、犬神の活躍を描く。一話ないし二話で一つの事件が扱われていくという形式。犯罪についての検証を進めていく中で、その裏に潜む人間ドラマを浮き彫りにし、丁寧に描き出していく手際の確かさはベテラン作家ならでは。検事モノなので、刑事モノと違って派手な捕物やアクションこそないものの、シブくまとまった一作。


8/3(日)……生麩

▼単行本の感想だけの日はわりと楽です。

【単行本】「学ぶ テレグラフ版」 根本敬 テレグラフファクトリー/星雲社 A5 [bk1][Amzn]

 以前河出書房から出ていた「学ぶ」の復刻を含む単行本なのだけど、復刻部分は単行本のほぼ半分くらいで、残りはけっこう新しい作品が多くてうれしかった。根本敬キャラの中では、やはり村田藤吉は素晴らしい。この生きるのが下手で人畜無害な人物が淡々と理不尽な目にあわされていく様子は、世の因果を感じさせてくれて、なんというかな、ほのぼのとサディスティックな気分になれますよ。あとこの単行本は、旧作と近作が入り混じっているんだけど、近作になっても内容が丸まるわけでなくさらにムチャクチャになっていってるのはスゲーなあと思う。

【単行本】「ナイトクレイバー竜一」3〜4巻 稲光伸二 小学館 B6 [bk1][Amzn:3巻/4巻

 これにて最終巻。超絶的なスリカエ技術を駆使した麻雀バトルという題材は悪くなかったと思うけど、とくに終盤の展開は今一つ物足りなかった。麻雀漫画の場合はもう少し演出過剰にして、ムチャやっちゃっても良かったかも。ストリート麻雀という舞台自体がわりとヘンなので、それを問答無用でエスカレートさせるアツさが欲しかった。麻雀漫画はハッタリが命なので、もう少しバカになりきっちゃっても良かったように思う。

【単行本】「高校アフロ田中」6巻 のりつけ雅春 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 田中たち一党のダラダラ学生生活をダラダラ描写。下らなくていい。毎回それなりの仕掛けが施してあるし、コンスタントに笑えてよろしいのではないかと。今回は美男子なのにエロフィギュアばっかり作ってる男の話が個人的にはヒット。

【単行本】「キーチ!!」4巻 新井英樹 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 キーチ幼年放浪編はこのあたりでおしまいかな。両親の殺害事件の後始まった、キーチの放浪の旅もようやく一区切り。幼い身には過ぎた経験は、キーチを独立不羈な少年へと変える。幼児時代のキーチは正直得体が知れなすぎるところがあるので、早いとこ成長した姿を見たい。

【単行本】「バトル・ロワイアル」10巻 作:高見広春+画:田口雅之 秋田書店 B6 [bk1][Amzn]

 ついに10巻。生存者数が一桁になって、それぞれのドラマがまた色濃く描かれていく。原作を考えればもう少し展開が速いほうがいいとは思うのだけど、スローペースでねっちり描くというのが漫画版ならではの味付けというところもあるのでまあいいか。あとはラストスパートに向けて、どれだけテンションを高めていけるか。

【単行本】「長瀬愛物語」 原案:長瀬愛+画:近石雅史 マガジン・マガジン A5 [bk1][Amzn]

 あ、これ意外と面白い。人からもらった本で、タイトルからしてどんなもんじゃろうとか思っていたのだけど、読んでみたらけっこう楽しめてしまった。内容は100本だが150本だかのアダルトビデオに出演したカリスマAV女優(←陳腐な書き方で申し訳ない)・長瀬愛の一代記。というとイロモノ的な作品に思われるかもしれないけど、よく週刊少年マガジンとかでやってたようなアイドル漫画の系譜をきっちり受け継いだ作品となっている。

 最初は就職活動に行き詰まってキャバクラ嬢をやっていた長瀬愛が、男を相手にすると輝きを増すという特性を見出されてスカウトされ、そのキャラクター性と独特の騎乗位を武器にのし上がっていく過程、それから親バレとAV女優としての挫折を経て成長していく様子が描かれる。さらには無理な騎乗位がたたって腰を痛めるが、ファンの励ましと必死のリハビリ……とかもあって、展開がドラマチック。なんかアイドルもののスタンダードをすごくしっかり押さえてるな〜と感心した。あと近石雅史の手堅い仕事っぷりも素晴らしい。この人はどの雑誌で描いても、その雑誌のカラーに合わせた作品を作ってくる。こういう職人的なモノを感じさせてくれる作家さんはけっこう好き。


8/2(土)……低姿勢な警視正

【単行本】「低俗霊DAYDREAM」5巻 作:奥瀬サキ+画:目黒三吉 角川書店 B6 [bk1][Amzn]

 箱根温泉編。というわけでゆったりたっぷりのーんびり……というわけには行かず、芦ノ湖での集団自殺をめぐり、深小姫たちはまたしてもシビアな局面に巻き込まれていく。この巻では、深小姫の下僕である柧武の活躍が目覚ましい。といっても常に変態的な精神性を見せつけながらなんだけど。でも彼や、深小姫によるおふざけ的な要素があってこそ、この作品は読みやすいモノになっている。けっこうツライ事件が多いだけに、ギャグがなかったら息が詰まってしまうと思う。それにしてもこれがアニメになるのか……。

【単行本】「EDEN」9巻 遠藤浩輝 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 えーと、何と何が、何のために戦ってるんだったっけかなあとか思ってしまった。いやまあ実際にやっていること自体はそれほど複雑なわけでもない。中国に対して反乱を起こしたウイグル族の反政府組織が、油田を盾にして中国およびロシアからの鎮圧を任された原父連邦の軍と戦っている。でもやっぱり、お話が長いスパンになるにつれて全体像がつかみづらくなっている気がする。カッコイイし反政府組織の女性リーダーであるマリハンら、魅力的なキャラも出てくるんだけど。雑誌読みでは読みにくい話なだけに、単行本で読んだときは、前の巻を読み返さなくてもスパッと分かるように作っておいてほしい。最近改善されてきてはいるけれども、アフタヌーンにはそういう作品がいまだ多い。

【単行本】「無限の住人」14巻 沙村広明 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 バッサバッサ剣劇をやっているときはやっぱり面白いなーと思う。アクションが派手だし、作画は相変わらずシャープでキレが良いし。あとこの巻には残念ながらないが、拷問シーンもあるとより楽しい。14巻とはずいぶん長くなった。そろそろぺースアップしてほしいところではある。

【単行本】「なるたる」11巻 鬼頭莫宏 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 びっくり箱的な作品ですなあ。一見大人しそうでありながら、何かあると物語が凶暴な牙をむいて、読者に凄惨なシーンを突きつけてくる。事態が緊迫していく中で、シイナも否応なく成長していかなくてはならない。その道筋は、主人公とはいえ普通の少女であることには変わりないシイナにとってはツラすぎるものではあるけれども。骨を削るような痛みを伴いながら、物語は進んでいる。その行方は果たして。この作品については、スケールは大きくなり続けているが、お話を見失わせないようなバランスは維持できていると思う。

【単行本】「警視正大門寺さくら子」5巻 作:大西祥平+画:高橋のぼる 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 いつもながらのマイペース。油っこいノリと、けっこうC調なドタバタ劇がたまらない。今回はとんでもないドジっ子で、本人に悪意はないんだけど周囲を混乱させまくる婦警、人呼んで「デストロイヤーあやや」がさくら子の元に送り込まれてくる。しかし当然さくら子は動じず、好き勝手なことをしまくる。さくら子の下でいつもショボい器を見せつける副署長がけっこう好き。

【単行本】「満腹ボクサー徳川。」1〜3巻 日高建男 新潮社 B6 [bk1][Amzn:1巻/2巻/3巻

 ウェルター級の元日本チャンピオンで、不世出の天才と目されていたボクサー・徳川貴一が、ある日突然ヘビー級への転向を宣言。食いまくって体を大きくし、ヘビー級のてっぺんを目指していくというボクシング漫画。もともと重量級は日本人には向かないといわれているが、それに加えてウェルター級だった体をヘビー級に作り換えるという困難に、徳川は緻密な計算と才能とど根性でぶつかっていく。現在コミックバンチで連載中の作品だが、最近のボクシング漫画の中でもかなり面白い部類に入ると思う。

 まずコンセプトが面白い。通常のボクシング漫画では減量の過酷さはよく描かれるけれども、増量の苦しさを描いたものは記憶にない。それからお話の進め方もうまい。普通だったら不可能なチャレンジではあるのだけど、筋肉を増やすための方法とか、いちいち理を呈示してくるので納得できる。そのおかげもあってぷくぷくした徳川というボクサーが、だんだんカッコ良く見えてきてしまう。拳闘シーンも力強いしオススメできる。ただ単行本の作りとしてはちと地味かなあ。帯なんかも「伝説はいつも、限界を超えた人間だけが作り出す!!」などという抽象的な文句ではなく、せっかくコンセプトが良い漫画なのだから、「ウェルター級のチャンピオンがヘビー級に肉体改造」とか、もっと作品の内容が分かりやすいものにしたほうが良かったと思う。

 ところでこの作品を読むと、徳川がいつも鍋を食っててなんかすごくうまそう。つい自分も食いたくなる。無理なく野菜をもりもり摂取できるので、身体を大きくしたい場合にはいいんでしょうな。

【単行本】「プルンギル −青の道−」4巻 作:江戸川啓視+画:クォン・カヤ 新潮社 B6 [bk1][Amzn]

 連続殺人事件の犯人であると目される江見が登場し、捜査は一気に緊迫。しかし江見を追い詰めるにつれて、さらにもっと大きな裏が見えてきて……。日韓を股にかけた刑事ドラマはますますヒートアップしている。絵柄のアクは強いが、それだけに読みごたえは抜群。警官として、日本人/韓国人として、人間として、それぞれの誇りを賭ける男たちのドラマとしてもアツい。あと佐川刑事のエピソードあたりは男泣き。

【雑誌】コミックメガストアH 9月号 白夜書房 B5平

 今号の掲載作では、流木念「『母子』じゃない」がけっこう気に入った。町中で少年が露出狂の痴女と出くわすが、それが実の母で……というお話。もともとお互いに意識し合っていた母子が、その間だけ赤の他人のフリをしてまぐわうという筋立てがスリリングでエロチック。滑らかな質感の作画も好印象。痴女モードのおかあたまもいいけど、日常モードで髪をあげたところがまたいい。米倉けんご「センパイ、ちょっと変」は、モニター越しでないと興奮しないという性癖の持ち主である先輩男子とつき合いはじめた女の子が、その趣味につき合ってみっちり濃いエロ体験をしてしまうというお話。わりとストレートにガツガツやっちょります。


8/1(金)……アジフリャー

▼最近、毎月1日にアニメダイエットの進捗状況を書いてきたわけだけど、たぶん今回で定期的に書くのは最後にするんじゃないかと思います。というのはいちおう目標にしてきたBMI法による標準体重(身長×身長×22=1.68×1.68×22=62kg)をクリアしたから。あとはなんか大きな動きがあったときだけ書いていくって感じになると思います。というわけで7月の実績は63.5kg→61.8kg(-1.7kg)。なお途中で体重計を機種変更したので、計測時の刻み幅が0.5kg単位から0.2kg単位になってます。で、気になるのはリバウンドだけど、食事療法じゃなくて運動で減らしてきた結果なんで、正直なところ全然心配してません。運動自体はこれからも続けるつもりだし。ていうか、すでにアニメと踏台が不可分なモノになってきているので、気になる作品がある間はしばらくこんな感じで続けるんではないかと。

▼未読物
【単行本】「ワイルド7愛蔵版」11〜12巻 望月三起也 実業之日本社 B6  [bk1][Amzn:11巻/12巻
 「ワイルド7愛蔵版」は12巻が最終。まあ別に急ぐもんでもないので、そのうち時間を見つけてゆるゆる読んでいきます。

【単行本】「フリージア」1〜2巻 松本次郎 小学館 B6 [bk1][Amzn:1巻/2巻

 月刊IKKIで連載中の近未来バイオレンスアクション。「敵討ち法」と呼ばれる、凶悪犯罪者に対する報復を許容する法案が制定された日本で、敵討ちを代行する業者。そこにスカウトされた叶という青年の生活を描いていく。叶は、人混みの中で完全に自分の存在を周囲に紛れさせてしまう能力を身につけているが、家には気のふれた母親を抱え、思念の中で作り出した女性を話し相手とする空虚さを内に抱えている。そういう人間だからこそできる人殺しもある。というわけでクール、かつハードボイルドにお話は展開。松本次郎ならではの、細密に描かれていつつも非常に混沌とした画風も奏効して、緊張感のある作品になっている。絵と物語の刃は鋭く、どこか官能的でもある。何より冷酷なメガネ君である主人公の叶がカッコイイではありませんか。メガネ君萌えな女子にとっては、けっこう萌えキャラなのではとも思う。

【単行本】「黄金のラフ 草太のスタンス」10巻 なかいま強 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 安定株。雑草ゴルファー3人がチーム「きりたんぽ」を組んでトーナメントに繰り出すも、なかなかうまくはいかず。大御所マイト竿崎の発言のおかげでメジャーなトーナメントからは招待されず、予選ラウンドであるマンデートーナメントに挑む日々。キャディをつけることのできないマンデーで、きりたんぽがこっそりインチキをするが……という巻。まあきりたんぽたちが成績を残すのは当然として、この巻でいい味を出しているのが坂田信弘ナレーション調のモノローグを特徴とする大風原野プロ。普段はヘボヘボな彼が、調子に乗ってすごい勢いでスコアを叩き出していっちゃうさまが笑える。

【単行本】「黒田三十六計」3巻 平田弘史 リイド社 A5 [bk1][Amzn]

 後に秀吉の軍師となる黒田官兵衛の一代記。いよいよ官兵衛と信長らが相見え、物語は動き始めて面白くなっている。あと「信玄の首をとる」と豪語する野糞垂之助という、なんかすごい名前の傑物の登場が物語に華を添える。この巻ではこの垂之助がベストキャラ。表情が変化に富んでいるし、行動も見てて面白い。

【雑誌】ヤングアニマル増刊 嵐 9/14 Vol.15 白泉社 B5中

 甘詰留太「年上ノ彼女」は3回め。好調。25歳だけど童女にしか見えない小山内さん、同級生で巨乳な森野さんの二人に好かれて、インポな主人公・努くんはドッキドキの夏。ラブコメとしてはたいへん味付けが濃い目ながら、登場人物たちの照れたりする表情がとても良い。個人的には突然現れた感のある小山内さんよりは、森野さんのほうがいいと思うが、それは巨乳であるというファクターが大きく影響していることは否定しない。作:永久保貴一+画:増田剛「御石神落とし」は、性神が降りるという言い伝えのある村を訪れた若者が体験した、淫靡な伝承を描いた超常的なストーリー。増田剛といえばエロ漫画方面ではうらまっく名義で活躍している人だが、お話をきっちりまとめることに関しては定評がある。原作がついていることもあり、今回も手堅い。ただ、ソツがない代わりに突出した部分もないので、メジャー方面で目立つにはもう一つ何か欲しいような気もする。あと、加賀美ふみを「ふたりのみずあそび」は微笑ましいラブラブH、西川魯介「野蛮の園」は煩悩的要素をうまい具合に絡めたドタバタコメディと、しっかり持ち味を発揮している。

【雑誌】近代麻雀 9/1 vol.448 竹書房 B5中

 VIRLMAN「凱風童子」。無名ながら驚異的な雀力を持った男・雀士の跡取として生まれた、天賦の才能を持った子供の生き様を描いていくという感じの麻雀漫画。えーとVIRLMANって要するに「帝王少年」とかを描いてた中村光信だよね。犬のホエホエも出てるし。ペンネーム変えてたのかー。知らなかった。作:朽葉狂介+画:木村シュウジ「Mahjong King's Fighters 覇王」。ああ、やっぱり竹書房だけにあの人も出てくるんですな。まだほのめかしな段階だけど。まあそれはともかく、牌よりもニカイドウ巨乳が目立つ目立つ。不思議なピーチ牌。

【雑誌】ビジネスジャンプ 8/15 No.17 集英社 B5中

 荻野真が新連載。「おぼこ」。どうも16歳ながら、親の残した船宿を受け継いで16歳の少女が奮闘するという、釣り漫画という感じになりそう。「孔雀王」以来、伝奇モノのイメージが強い荻野真としては新機軸。まあ今どき伝奇モノもあんまりウケないし、そっち方面では荻野真自身のテンションも落ち気味だったので、この路線転換は賢明かもしれない。懸命ともいえそう。

【雑誌】コミックバンチ 8/15 No.35 新潮社 B5中

 大河原上を襲うかつてない屈辱。というわけで坂本タクマ「屈辱er大河原上」では、女に惑わされた大河原上が、ついに携帯電話まで購入することに。その結末は……。大河原さんがたいへんかわいそうだと思ったが、そう思われると屈辱に違いないので同情はほどほどにしておきたい。

【雑誌】Hのある風景 光彩書房 A5平 [bk1][Amzn]

 「激しくて変」「暗黒抒情」」「知的色情」と来て、今度は「Hのある風景」へと変わった多田在良編集長による、一癖二癖ある作家を集めたエロ漫画本。まずは町田ひらく「03年代動乱」。少女に手を出してパクられたエロ漫画家の街田センセイが主人公。彼が留置場でボヤいたりする姿を描く。さすがに実話じゃないだろうけど、この人が本当にこういうことをやっていたら、それはそれで素敵だなとか思ってしまう。ほりほねさいぞう「七月三十一日」。複数人の男たちにいじり回されている、子だくさんの家庭の四女のお話。状況は何やら曖昧ではあるが、ずっと男たちになぶられ続けている少女の姿は、まあ凄惨といえば凄惨だけどキュートでエロくもある。早見純「誰にも言えない」は、この人には珍しくスタンダート(でもないか?)なエロス。早見純がオナニーとのつき合いについて語ったおまけ漫画も面白い。

 砂「サイボーグセックス」。うーん、なんとなく前よりも絵がぎこちなくなっているような。この人の場合、太さが画一的な線よりは、強弱のついたペン画のほうが作風に合うような気がする。ちとクールな印象も受けたので、もう少し叩きつけるような勢いが欲しい。華麗王女「舞門華躙+C」。えーとアレってなんでいうんだっけ、鼻フックでいいのかな、アレを強烈に描かせたらエロ漫画界No.1では。ていうかそもそも鼻フック自体描く人があんまりいないジャンルなんだけど、この人は極めてるなあ。女性の顔が、ますます爬虫類っぽくなってきた。

【執筆陣】明治カナ子、町田ひらく、ほりほねさいぞう、早見純、矢田はじめ、みきかず、砂、町野変丸、藤黄広誠、華麗王女、沙村広明

【雑誌】ポプリクラブ 9月号 晋遊舎 B5中

 巻頭カラーで宮崎摩耶の新連載「東京×××」がスタート。感染するとティンポがもう1生えて24時間欲情しっぱなしとなる「ティンポ菌」が蔓延した東京で、その感染者を処理することを任務としている男女のエージェントが活躍するというエロアクションもの。絵柄は達者に描き込んでいるけど、ノリはけっこう馬鹿馬鹿しい。わりと面白く読めた。井ノ本リカ子「プリティサイズ」。毎度微笑ましいラブコメと密度の濃いHを両立しててけっこう好きな作品。今回はいつものカップルだけじゃなくて、巨乳アイドルさんがからんでのひと夏のH。いつもながらに女の子がふくよかで柔らかそうでいい。

 星逢ひろ「お手々つないで」は、かわいいちっちゃな男の子と、何かと彼の世話を焼く大家のおねーさんのラブラブH物語。今回はこのおねーさんのナイスバディもさることながら、男の子のほうのかわいさも肝。さすがボーイズラブ方面でも描いているだけのことはありますな。峠比呂「お嬢サマ休業日」。前回でお金持ちのお嬢さまに手なづけられた美少年な本田クンが、今回はそのお嬢さまと誕生日パーティでラブラブ。華があってええですのう。でも巻末の作者コメントを見ると「またいつかお会いしましょうー」とか書いてある。もうポプリでは描かないのかな?


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