2003年5月下旬


5/31(土)……犯罪は暗い無

OHP月極アンケート6月のテーマは「刑事・探偵・捕物・ミステリ」。まあ要するに犯罪捜査・推理がらみの漫画全般を取り扱うって感じでしょうか。6月もまたよろしくお願いします。

▼それに伴い、5月のアンケート「戦記モノ」のほうは終了。これについては実は始めてからちょっとして、タイトルづけに失敗したなあと思った。「戦記」というと、本当に「戦争そのもの」の記録になっちゃうので、例えば戦時下の人々を描くみたいな作品とかは挙がってきにくい。「戦争関連漫画」とかにしておいたほうが、より広範な作品をカバーできたような気がする。月極アンケートについては、毎度タイトルをどうするかで悩みます。

UACC-3303-SLT(クリックで拡大) 5月22日の日記で購入したと書いたPCケースUACC-3303-SLTだけど、試してみたら前面の扉部分は意外と簡単に外せることに気づいた。扉がないほうがドライブ等にアクセスしやすいので、これからは扉を外したままの写真のような状態で運用することに。扉は外しちゃっても静音性はさほど変わらない模様。とりあえずこれでだいぶ使い勝手が向上した。よかよか。

▼未読物
【単行本】「GOTH」 作:乙一+画:大岩ケンヂ 角川書店 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「Dr.リアンが診てあげる 純情派」 竹内元紀 角川書店 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「MOONLIGHT MILE」6巻 太田垣康男 小学館 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「ワイルド7愛蔵版」9巻 望月三起也 実業之日本社 B6 [bk1][Amzn]

【雑誌】ビジネスジャンプ 6/15 No.13 集英社 B5中

 冬目景「イエスタデイをうたって」。今号から再開、集中連載スタート。リクオがぼやぼやしているうちに、、湊くんがハルに積極的なアプローチをかける。というわけで青春恋愛模様は混戦。このシリーズは毎度きっちり面白い。個人的な意見だけど、冬目景はもし機会があるようなら、これからしばらくはメジャー誌率を高めていったほうがいいんじゃないかなーという気がする。たぶん作家としてもう一皮むけるには、ちょっと厳しめの環境で揉まれたほうが良さそうに思えるので。女性誌とか別ジャンルの雑誌に挑戦してみるってのもいいかも。たけやまたけをの新連載「フードル」は、デリヘル嬢としてしっかり働くけっこう美人な女の子の物語。爽やかな絵柄は好印象。ただこの手のお話の場合は、絵の洗練度はもう少し欲しいかな。それこそヒロインの女の子に一目惚れしちゃうくらいに。

【雑誌】ポプリクラブ 7月号 晋遊舎 B5中

 星逢ひろ「さかなになりたい」。クラスで孤立気味でいつも寂しげにしている女の子と、彼女のことを見つめる男子が惹かれ合い結ばれる。Hに突入するあたりはちょっと急展開すぎるかなという気はしたけど、相変わらずのかわいい絵柄で甘ずっぱいお話を描いている。あとソフトで細身な絵柄のわりに女の子は意外とグラマーでHなのも良い。最近すっかりあんみつ草ライクな絵柄に変身した峠比呂の「時間をください」は、保母さんをやっててなかなか彼氏との時間を作れず喧嘩してしまった二人が、後輩の女の子の仲介もあって仲直りH……というお話。一生懸命働いているヒロインの姿がイキイキしてて好感度が高い。井ノ本リカ子「プリティサイズ」はいつもラブラブ度が高くていい調子。独特の白っぽくて柔らかいふわーっととろけそうな絵柄がいいですなあ。パニックアタック「すてきな恋のみつけかた」。ロリは脱がなくてもオッケー。明るく楽しいコメディなり。

【雑誌】コミックメガストアH Vol.08 白夜書房 B5平

 巻頭カラーで米倉けんご「ぼくらのりかこ先生」。とある男子生徒と肉体関係を持っている女教師のりかこ先生が、彼の差し金でクラスの大人しいメガネ君ともやることに。なんとなくメガネ君からはゲイナー君を、りかこ先生からは「GOD SAVE THE すげこま君!」の松沢先生を思い起こしたりしました。どちらもメガネがいい感じです。

【単行本】「ベイビーリーフ」 二宮ひかる 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]

 ハッキリは書いてないけど「ハネムーンサラダ」の夏川と遙子ですか、彼らの中学生時代の、まだ初々しかったころのお話である「ベイビーリーフ」。それからこっちは一花のほうを描いた読切「ハッピーバースディ」を収録。という予備知識はなくてもしっかり楽しめる、若くて青くてフレッシュな恋愛模様の物語。「ベイビーリーフ」のほうではつき合い始め、身体を重ねるようになって、男女の心が響き合ったりすれ違ったりする様子を描写。甘くて心地よくて切なくて、いやーいい感じです。同じモノ、同じコトを見たり聞いたりしても、ちょっとずつ二人の反応は異なるわけで、そこから心の近さ遠さ、恋愛感情を描き出していく腕前の巧みさに感嘆。あとぶっちゃけた話、若者恋愛は羨ましい。若いころにこんな恋愛してたらきっと人生変わってたね。

【単行本】「サユリ1号」5巻 村上かつら 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 これにて最終巻。面白かった。キッツい青春物語を、独特のパサついた描線による作画がさらに素っ気ないモノにしていて、終始いたたまれないまま物語は展開。恋愛の甘ったるさとかは全然感じさせないシビアさが良かった。結局、一番かわいそうな存在であったかもしれない大橋ユキさんは、自業自得とでもいうべきか最終的な救いが得られたのか得られなかったのか……。彼女に巻き込まれて自分に向き合った直哉とチコがしっかり成長していく中、大橋ユキさんの姿は終始痛々しいままだった。5巻というボリュームの中で、安易な結論に逃げることなくありのままを描ききった胆力はお見事。この作品はドラマ化するといいんじゃないかなあ。すごく向いてると思うんだけど。別にドラマを見たいわけではないが、そうやって売れて今までの未収録作品も単行本化されてくれれば……なーんて自分に都合のいいことを考えてたりします。

【単行本】「ペット」3巻 三宅乱丈 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 面白い。人間関係が絡み合っているので単行本でないと全貌をつかみにくいのは確かだけど、雑誌連載時でもその異様なムードには圧倒されていた。これまでは「会社」に使われるだけだった記憶操作能力者「ペット」たちが自分の意志で動き始めて、事態は緊張感をどんどん増していく。めくるめく脳内イメージは、美しいものであってもすぐにその主を裏切りそうな危険さを含んでいるし、独特のぬったりした感触がある。今後さらにお話のほうは大きく展開していくのだろうけど、何か凄いモノを見せてくれそうな雰囲気がビシバシ。これからも期待して読みます。

【単行本】「π」2巻 古屋兎丸 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 馬鹿馬鹿しくていいね〜。おっぱいというものにこだわり続ける主人公・夢人の暴走はさらに加速。出てくるキャラはみんな変人ばかり。でも読み心地はカラッと明るく、構えずに楽しんでいける。そういえば古屋兎丸ってギャグの人でもあるんだよなということを改めて感じさせてくれた。今後もより高度なπ理論の完成にいそしんでいただきたい。

【単行本】「藍より青し」11巻 文月晃 白泉社 B6 [bk1][Amzn]

 この巻はけっこうシリアスな展開。薫がいよいよ花菱家に乗り込んで決着をつけんとするが……という感じ。そこらへんの話は意外とあっさり一段落したけど、今後のお話を長くさせそうな新キャラも登場。それはそれとして、やっぱり葵よりティナだよなー。あっちのほうが面白そうだし乳もデカい。


5/30(金)……暖房うるせい

お米ちゃん(5/30)のところから来られている方がけっこうおられるようですが、『奥の下側にまず、もう二度と読まないような本を敷き詰めて、その上に本を並べるんだ。その後前に本を並べれば、奥に何が入っているのかも良く見える!』とは、2001年10月26日の日記で書いたような状態を指します。まあそういったわけで。

「詳細は一切未定」の段ボールPCBOX第2弾を発見(ZDNet)。ウホッ、これすごく欲しい……。ルーポの段ボール製PCケース第2弾。職業柄マザーボード剥き出し状態でテストをすることが多いので、こういうの欲しかったんだよね。発売されたら2〜3個買うと思う。

▼未読物
【単行本】「π」2巻 古屋兎丸 小学館 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「林光默作品集 斬華抄」 林光默 エンターブレイン B6 [bk1][Amzn]

【雑誌】ヤングキングアワーズ 7月号 少年画報社 B5中

 長谷川哲也「ナポレオン −獅子の時代−」。今回はナポレオンの少年時代を追う。実は不勉強ゆえナポレオンの生い立ちとかあんまり知らなかったこともあり、興味深く読んだ。コルシカ出身であるがゆえに、陸軍幼年学校で差別を受けるナポレオンだが、その中で得難き友に出会う。ぶっとい作風は雑誌全体としてみてもいいアクセントになってるといえるんじゃないでしょうか。平野耕太「ヘルシング」。相変わらずカッコイイ男を描くのがうまいなー。今回の隊長さんのセリフも大仰で男っぽくて良かった。リズムがいいですな。

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 6/13 No.12 小学館 B5中

 乃木坂太郎「医龍」(原案:永井明)。助かる見込みの低い加藤の恩人に手術するかをめぐり、彼女と朝田の意見が対立。ドラマチックな展開は読みごたえがあって面白い。別にアクションシーンとかじゃないけどスピード感のある作画も良い。太田垣康男「MOONLIGHT MILE」。今回からロストマンの若き友達である、イラク人の少年・アリのエピソードに突入。アラブ系であるばかりにアメリカ社会から警戒され、アマチュアロケット大会にも参加できずにいるアリの憂鬱は募る。そんな中、彼は同じく宇宙を志す気持ちを持った二人の少年に出会うが……といったところ。「MOONLIGHT MILE」版ロケットボーイズみたいな話になるのかな。このところ大人の事情がからんだ複雑な話が多かっただけに、一服の清涼剤となる爽やかなお話になりそうな気配。

【雑誌】コミックバンチ 6/13 No.26 新潮社 B5中

 短期集中連載の作:山本周五郎+画:木暮峰「蚊帳の中」は最終回。短いながらも、美しい妹への恋慕の情に悩む男を主人公に、禁断の愛の物語を艶やかに鮮やかに描写した佳作。直接的な行為は描かなくても、しんねりした悩ましい色気というのは十分出せる。これまでバンチに掲載された新潮社の小説を原作にした漫画作品の中ではかなり良い出来。このシリーズは続けてほしいな。木暮峰の作画には、ちょっと古めの物語のほうが合っているような気もするし。

【雑誌】ヒメクリ 7月号 FOX出版 B5中

 この雑誌はなかなかいい。最近のエロ漫画雑誌の中ではかなり頑張ってるほうだと思う。雑誌全体に新しい才能が出てきそうな雰囲気が漂ってるし、実際に小林王桂、パニックアタックといった才能を発掘してもいる。あと背表紙に4コマ漫画を入れるっていうのはいいアイデアだと思う。書店の棚に並んでいるのを見て思わず手にとっちゃう。雑誌っていうのは書店で手に取らせられるかどうかで、売上はけっこう左右されるもの、であるらしい。あんまりよくは知らないが。これなら平積みじゃなくても目立つんでけっこういいんじゃないでしょうか。ちなみに次号は付録CD-ROM付き。

 で、今号では初登場の山下クロヲに注目。「一千色の空雲」は、人にいわれたことをまったく断ることができない難儀な少女の物語。初体験からして15P(女1+男14)で始まって、そこからごろごろと凄い人生をあっけらかんと歩んでいく彼女の姿を描写。細めの描線によるぼんやりした感じの作画にも独特の雰囲気があって、個人的にはけっこう気に入った。パニックアタック「大人になる呪文」。今回は「前編」の文字が。続き物であるらしい。ロリロリ妹・未由たんが、魔法の呪文で4人に増殖。これはもう兄の妄念爆発必至。次号も面白そうだなあ。

 小林王桂「やさぐれラバーズ」。今回は会社をやめて家でゴロゴロしてばかりいる男と、その恋人のH三昧な生活を描くダラダラ青春H。いつもよりもヒロインのキャラがポップな感じで、新鮮な印象。それにしてもこの人のスッキリした作画は毎度のことながら見てて気持ちいい。単行本はまだですかのう。天太郎「危険な曲がり角」。ちこくちこく〜と飛び出して角でぶつかってそこから恋が芽生えるという、少女漫画的な運命の出会いに憧れる女の子と、彼女の幼なじみの男子の恋物語。なかなか着想が面白くエロの実用度も十分。けっこう面白く読めた。あとラストも一ひねり利かせた落とし方になってて感心。羽田としのり「胸のうちきかせて」。うーん大きな胸ですなあ。単行本を買うには至ってないけど、この人の瑞々しい絵はけっこう好きだ。作風的にも安定感あるし、雑誌に一人いると重宝するタイプって感じがする。こういう人は大事です。


5/29(木)……ちきしょうディスプレイ

▼う。会社でデュアルディスプレイのサブとして使ってる液晶ディスプレイがついに寿命かな……。使っている途中で画面が全体に紫色になってしまった。ってことはRGBのG(緑)がイカれちゃったくさい。これは液晶ディスプレイがまだ一般的でなかった4年くらい前に5万円を切る価格で叩き売られていたヤツで、マルチメディア21という会社の113TSA-MVというもうWebにも資料が残ってない古い製品。800×600ドットまでしか出ないけど11.3インチという小ささがなかなか良くてテストなどに重宝してたし、デュアルディスプレイをやる場合のサブディスプレイにも便利で愛用してたんだけど……。机上のスペースはそんなにないので小さいのがほしいのだけど、最近市販されているものだと最低が15インチになっちゃうんだよねー。ネット通販探してみたけど、13.3インチ、14.1インチの製品を新品で在庫してるところはなさそうだった。どこか12インチくらいで1024×768ドット表示のできる液晶ディスプレイ出してくんないかな。

▼未読物
【単行本】「子供の情景」 さそうあきら 双葉社 A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「ベイビーリーフ」 二宮ひかる 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]

【単行本】「チキンデイズ」1巻 吉野ケイイチ 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]

 個人的にはけっこう気に入っている作品。バカで三枚目な純情少年・成田が、お向かいに引っ越してきて同じクラスになった小松タネ子に一目ぼれ。この二人を中心に展開される学園ラブコメ。この作品、別になんか新しいところがあるってわけじゃないし、とんがってもいない。ごくごくオーソドックスなラブコメ以外の何物でもない。微妙に垢抜けないヌルめの作画で、展開もほのぼのしてて他愛ない。でもそこがいいんだよ〜。なんか80年代とかそこらへんの学園ラブコメを思い起こさせるようなものがある。サムシングニューってな感じのものをお求めな方にはオススメしないけど、安心して読める普通に楽しい純情ラブコメが好きな人はどうぞ。

【単行本】「学園ノイズ」1巻 オオシマヒロユキ+猪原大介 スタジオDNA B6 [bk1][Amzn]

 自由をうたっているものの規則がやたらいっぱいあってなんか息苦しい、閉鎖された学校「共生学園」にやってきた一人の転校生・ハナ形弾(ハナは口へんに華)。無鉄砲で粗野だけど、何者にも屈することのない強い意志を持った彼が学園にさまざまな事件を巻き起こしていく。このコンビらしく画風はスタイリッシュだけれども、内容は古き良き男気あふれる番長モノ的なテイスト。元気だしハッタリも利いてるし、ミステリアスな要素もあってなかなか面白い。今のところ、主人公以外の脇キャラが弱いかなーというのが気になるところだけど、そこらへんは2巻以降に期待ということで。

【雑誌】モーニング 6/12 No.26 講談社 B5中

 青木幸子「いただきます」は3話めが掲載。今回は月代さんの活躍自体はあんまり多くないかな。それよりも食いしん坊の料理評論家・森田のほうがメインで、彼が月代さんの作った茗荷尽くし弁当を食べて、過去の自分に決着をつける。今回もきれいにまとまってて料理もおいしそう。茗荷はうまいよねー。も一つ料理モノ「クッキングパパ」は連載800回記念で巻頭カラー。荒岩の妹・味知が東京に出て就職したいというが、娘を心配してお母ちゃんがそれを押しとどめようとする。こちらもいちいち料理がうまそうだ。とくに手作りのデッカいベーコンが……。分厚く切ってもりもり食いたいものです。

 井上雄彦「バガボンド」。今回はすでに剣の道でかなり高いレベルに達しつつある小次郎がやたらカッコ良かった。武張った兵法者に対して格の違いを見せつける。漫画としての完成度もさすが。見せ方がうまい。角幸治「残心」は第43回ちばてつや賞受賞作。39歳と大会最年長で空手の大会に出場したロートル選手が、自分の武道家生命を賭けて現役日本王者との試合に挑む。不器用な男の執念を迫力たっぷりに描いてて面白かった。自分は中学生時代剣道をやっていたんだけど、「残心」という言葉はそのころから強く印象に残ってて(どういうものか説明しようとすると難しいので省略)、タイトルもいいなとか思った。

【雑誌】ヤングサンデー 6/12 No.26 小学館 B5中

 石川優吾「格闘美神 武龍」。負傷のせいで思うような戦いができないでいた蘭が、ライバル・めぐみの檄で死中に活を見つける。白熱してていい感じ。めぐみとの対決はかなり面白くなりそう。北崎拓「なんてっ探偵アイドル」。新メンバーが加入したトリコロールだが、アキラと梨奈も髪型を変えてモデルチェンジ。前のほうが良かったような気もちょっとするけどまあいいかー。

【雑誌】ヤングジャンプ 6/12 No.26 集英社 B5中

 清野とおる「ハラハラドキドキ」。主人公のシゲルがおつき合いしている面子ちゃんがけっこうかわいいなあ。もしかして絵がうまくなっているかも。ただ個人的には、清野とおる作品はもっともっとアクを強くしていただけるとうれしい。この連載は全般的に若干大人しめなような。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 6/12 No.26 秋田書店 B5平

 能田達規「ORANGE」がすごく面白い。後半ロスタイム、最後のカウンターで死力を振り絞るムサシ、そしてそれを後押しする観客、ムサシの頑張りに一丸となって応えるチームメートたち。非常にアツくて読んでて素直に燃える。かぁーっこいいなー。園田ともひろ「はぐヤン!とんじる」。市民に愛されるヤンキーを目指してとんちんかんな行動を続けるとんじるの姿がユーモラス。はぐれヤンキーというテーマはユニークながら、雰囲気はまったり。地味に面白いと思う。

【雑誌】メロディ 7月号 白泉社 B5平

 勝田文「あのこにもらった音楽」。おや、最終回だ。上品で愛敬のある、ゆったりとした作風はけっこう好みだった。単行本は今秋発売予定の2巻が最終巻となる模様。そろそろ買っておこうかな。なくならないうちに。雁須磨子「カリスマ探訪記」。今回は体重140kgの女装家マツコ・デラックスを取材。雁須磨子が取材に向いた人であるかどうかはともかく、いろいろな人に会うという経験はきっと作家にとって財産となるはず。てなわけで一通り取材モノが終わったら、またなんか新連載もやってもらいたいもんです。

【雑誌】快楽天 7月号 ワニマガジン B5中

 ゆきやなぎ「先生のお気に入り」。ちょっといい感じに美男な家庭教師のにーちゃんが、教え子の姉妹やらと関係しちゃうというお話。この人の質感がつるりとした絵柄はけっこう好きで、実用面でも健闘していると思う。道満晴明「シリアル神様」は、売上に悩むエロマンガ雑誌の編集長が、社屋に住むロリロリな女の子姿のエロマンガの神様のご託宣を受けるというお話。彼女の言葉に従って表紙を変えたり誌面も大幅にリニューアルしたりと、快楽天的になんかものすごくタイムリーなネタ。むろん狙ってやってるんでしょうな。

【雑誌】エンジェル倶楽部 7月号 エンジェル出版 B5平

 ミルフィーユ「舞姉ちゃん以外考えられない」。再婚した親の連れ子同士で姉弟になった二人が、親が別れた後も関係を保ち、やがて結ばれる……というお話。冒頭の出会いのシーンあたりが美しい思い出って感じに描けていてよろしいと思う。草津てるにょ「優しく激しく貫いて」は最終回。最後はわりとあっさりしてたかな。


5/28(水)……しずく崩し

▼未読物
【単行本】「月のあくび 星のうたたね」 奈知未佐子 小学館 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「雲のおしゃべり 風のうた」 奈知未佐子 小学館 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「学園ノイズ」1巻 オオシマヒロユキ+猪原大介 スタジオDNA B6 [bk1][Amzn]

【雑誌】スーパージャンプ 6/11 No.12 集英社 B5中

 平松伸ニ「マーダーライセンス牙&ブラックエンジェルズ」。牙と松田の前に姿を表した闇の帝王・キングは、非常に分かりやすく強そうな存在だった。デカい! 片手で成人男性をグシャッとか握りつぶしてます。こういう単純さは好き。

【雑誌】週刊少年サンデー 6/11 No.26 小学館 B5平

 藤田和日郎「からくりサーカス」。ついに戻ってきたナルミは、しろがねのことはすっかり記憶から抜け落ち、彼女をフランシーヌと勘違いして攻撃を仕掛けてくる。なんでこういうことになったんだろうと読者の興味をかき立てつつ、しろがねの女心もしっかり描写。カッコイイし面白い。話運びがうまくてパワフル。

【雑誌】週刊少年マガジン 6/11 No.26 講談社 B5平

 CLAMP「ツバサ」。ハイペースで既存キャラを次々投入してますな〜。展開が非常に早い。2作品並行連載でかわるがわる次の手をしかけてくる機動力に圧倒される。今の世の中だと、飽きさせず興味をかき立て続けるにはすでに週刊でさえ遅いってことなのかもしれませんなあ。しかし考えてみると週刊連載だと1本にかけられる時間って3.5日しかないんだよね、単純に考えて。それを破綻なくこなせるってのはやっぱ凄いことですよ。

【雑誌】コミックゼロサム 7月号 スタジオDNA/一賽舎 B5平

 普段は買ってないので連載モノについてはよく分からないのだが、山名沢湖の読切「つづく・しずく・しずか」が掲載。雨の日のバスの中。窓ガラスに付着していた水滴に映る自分を見ていた女子&男子が、その水滴を通して不思議な経験をする。おお、ファンタジーじゃファンタジーじゃ。自由、かつキュートな着想にほほうとうなった。

【雑誌】フラワーズ 7月号 小学館 B5平

 西炯子「お手々つないで」。毎度面白いです。今回はいつもの山王女史&佐藤少年がデートに出かけるも、佐藤による山王さん落とし作戦はことごとくヒットせず。ラブコメであるけれどもラブまでの距離は遠そうな、スルリスルリとかわす独特の呼吸がたまらない。吉野朔実「透明人間の失踪」。突如姿を消した恋人の手がかりを求めて、主人公の女性が実はよく知らなかった彼氏の身元を追っていくうちに遭遇した意外な真実。お話は終始ミステリ仕立てで緊張感を持って語られ、興味深く読んでいける。ラストのほうはちと急展開すぎるかなーとも感じたけど、美しくまとまった立ち姿のカッコイイ作品でした。

【雑誌】コーラス 7月号 集英社 B5平

 くらもちふさこの読切「コネクト2204」。漫画巧者だけあってさすがにうまい。生徒一人一人に学生番号がついていて、その番号で相手を呼び合う学校社会。その2205番の女子が見つめる先には2204の男子が。お話としては普通の学園ラブコメ的構造なのに、個人名の代わりに無機的な番号で呼び合うだけでこんなに違和感があるとは新しい発見。例えば「3105って好きな人とかいないのかなぁ」。その違和感をうまく利用して、終盤でハッと思わされる瞬間を作り出してます。さりげないけどうまい。

【雑誌】阿ウン 7月号 ヒット出版社 B5平

 今号は実用度が高いな〜と思った。この雑誌あたりのエロは、最近よくあるような鬼畜系のHシーンのおいしいところだけブツ切りで取り出したような作品とかではなく、いちおうお話の始まりがあって終わりがあるのがいい。まあそれがとってつけたようなものであったとしても、やっぱり真ん中の部分しかないたいやきよりは、頭もしっぽもあるたいやきのほうが自分は好きだ。

 で、今回は実用面では牧部かたる「アバンチュール×7」の最終回・第3話が個人的には一等賞。卒業旅行の最後の夜、、仲良し7人組が怒涛の乱交に突入〜というお話。恋人が見ている前でちんこ3本味比べをすることになってしまった女の子とかエロい仕掛けが次々と。春籠漸は久々と登場。「おはよう!めざまし娘」。何発か抜かないと何日でも寝続けてしまう父&息子を起こすため、お母さんや妹、幼なじみの女の子が頑張る。相変わらずお話自体はご都合主義的なんだけど、汁っ気の多いエロシーンはしっかりエロい。巻頭カラー、高岡基文はちょとかわいいナヨッとした少年と、彼の好きな女の子、それから女教師の3人H。この人は長編だとお話作りがあんまりうまくないと思うんで、やっぱり短編がいいと思う。むっちり充実感のある女体の描き方がたいへんよろしいです。

 師走の翁「精装追男姐」。初回は「前編」として始まったのに、今回は「第四話」となっている。この人はほうっておくとどんどんお話が膨らんでく傾向にあるけど、これはサービス精神ゆえでしょう。面白いので全然不満はありません。Hとエンターテインメントがしっかり共存。このノリの良さ、勢い、着想の面白さは、間違いなくエロ漫画界のトップランナーの一人といえるのではないかと。今回もちんこ離脱少年・リューくんと、彼をとりまく面々が大活躍。なんか展開がむちゃくちゃになってきて楽しいなあ。

【雑誌】リトルピアス 7月号 東京三世社 A5中

 ほりほねさいぞう「「季刊畜産手帳春号 鶏」は、いつもながら発想がユニークな作品。自分は「にわとりです」といって、とある男の元に転がり込んで来た少女。最初は「なにいってやがんでえ」ってな感じだった男も、彼女が毎日卵を生む姿を見て納得。そこから彼らの有精卵作りの作業が始まっていくといった筋立て。絵はかわいいけど内容は風変わり。面白い。ほしのふうた「人形の家」は第2話。女の子二人が住む洋館にとらわれたかわいい少年。彼を助けようとした少女もまた……。この人はロリもうまいけどショタにも定評のあるところ。二人ともかわええです。

【アンソロジー】アイラDELUXE VOLUME.11 三和出版 A5平 [Amzn]

 町野変丸「普通ゆみこちゃん♥」。タイトルどおりの内容なのだが、普通であることがネタになっちゃうとは改めてゆみこちゃんはスゴイ人だなと思った。MARO「年上の彼女」。28歳のバツイチ女性と20歳男子のアツアツ物語なんだけど、どこか常人とはズレた感覚で攻めてくるのがMARO先生。なんだか微笑ましかった。で、次号[Amzn]には柿ノ本歌麿が登場するらしい。よかよか。


5/27(火)……都内征服ら〜

▼「糖質50%オフ」という売り文句に興味をそそられて、キリンラガービールのブルーラベルという奴を飲んでみた。うーん、これはいまいち合わないかな。のっぺりとした軽い飲み口なので好きな人は好きかもしれないけど、個人的にはもう少しガツンとコクがある奴のほうがいい。一番搾りとかも最初はうまいと思ったけど、飲み慣れるにつれて物足りなく感じるようになってきた。やっぱりビールはカロリーオフだのなんだのケチなこといわず、ホップも炭酸も糖質もフルスペックで装備してるヤツのほうがうまい。わりと普通にどこでも手に入るビールの中では、サッポロの黒ラベルが一番好きだ。

【雑誌】イブニング 6/10 No.7 講談社 B5中

 赤塚不二夫「天才バカボン」をはじめとした、過去のギャグ漫画の名作をよりぬき掲載した「ギャグイブ」という別冊付録がついている。「がきデカ」「ハレンチ学園」「行け!稲中卓球部」と陣容は豪華だけど、よりぬきだとあんまりインパクトはないなあ……。わりと淡々と読んだ。

 安野モヨコ「さくらん」。とてもいい。花魁きよ葉の破れた恋の落とし前を描いて第一部完。描写にはしんねりとした色気があり、なおかつ物語の端々で芯を通すべきところはしっかり通す。すごく粋な作品。こういう女性誌方面のトップ作家であろうと、必要とあらば貪欲に取り込んじゃえる自由度の高さが青年誌というジャンルの強さだと思う。吉田基已「恋風」が相変わらず良い。今回のタイトルなんて「はつ恋」だもんなー。恋心というものを急がずじっくり、そして鮮明に浮き彫りにしていく繊細な描き方がたいへんよろしい。今回のクライマックスシーンも、ズキューンと心にしみこんで来るような印象的な画面を作ってます。とてもうまい。そしてお兄ちゃんもようやく腹が据わり、お話は一区切りしそうな予感。清らかなだけじゃない。邪念ももちろんある。そういうものをきちんと描きながら、なおかつ透明感のある物語を作り出してて感心。

【雑誌】BJ魂 7/1 No.13 集英社 B5中

 現在は「警視総監アサミ」で作画を担当している有賀照人が昔週刊少年ジャンプで連載していた「セーラー服騎士」が復活。ビジネスジャンプの著者紹介ページによれば、読切「セーラー服騎士」の掲載が昭和62年/1987年で、連載「舞って!セーラー服騎士」の開始が昭和63年/1988年とある。ハッキリいってすごく面白い作品というわけではなかったが、あの時代としてはかなりオタクオタクしててなんだか妙に印象に残る作品だった。ネットを検索してもそこそこ引っかかる。今回のは「EPISODE1」と書いてあるところを見るとシリーズ化するんかな。プロレスラーの父母を持つ女子高生が、セーラー服をベースとしたコスチュームに身を包み、学園のワルを退治するというのが今回の内容。決めゼリフであるところの「駄駄ってんじゃねーよ!!」も健在。でも有賀照人の絵と作風の変わりっぷりに、15年という歳月を感じたりもする。昭和は遠くなりにけり。

【雑誌】ヤングチャンピオン 6/10 No.12 秋田書店 B5中

 丸尾末広「ハライソ〜笑う吸血鬼2〜」が順調に面白い。「笑う吸血鬼」シリーズは丸尾末広作品の中でもストーリー性が強いので読みやすいし、この人ならではの美麗な作画ももちろん健在。いい感じで推移していると思う。

【雑誌】漫画アクション 6/10 No.22 双葉社 B5中

 作:こすが比呂士+画:大島やすいち「ド・刑事」が新連載。検挙率99.9%を誇る、新宿中央警察署の刑事・土竜の活躍を描く。やっぱり大島やすいちには刑事モノが似合う。「ド」は「クラリス・ド・カリオストロ」とかの「ド」……ではなくて「土竜」および「どでかい」とかの「ド」であろうかと思われます。いしいひさいちの新連載「ドーナッツボックス」もスタート。なんだか超能力があるっぽい女の子、富田月子さんの活躍を描くって感じの4コマ漫画。ツリ目の月子さんがけっこうかわいいなと思った。

 郷田マモラ「セナのまわり道」は、3週集中連載の1回め。なにわの街でタクシー運転手をやっている女性セナの日々を描く人情モノといったところ。最近アクションは短期集中連載で人気が出たら本格連載化というパターンが多いけど、これもそういった感じなんでしょう。山崎さやか「東京家族」は最終回。なんかわりといつも通りの日常で、淡々と締めくくったなという印象。どこでも終わってもOKなタイプの作品だったけれども、楽しみにしていたので終わっちゃうのは寂しいところではある。

【雑誌】漫画サンデー 6/10 No.22 実業之日本社 B5中

 作:鍋田吉郎+画:原恵一郎「巌流小次郎」。小次郎がついに武蔵と再戦することになるかもという展開。なかなかアツい展開になりそうで楽しみ。


5/26(月)……出会いは異、では祝

▼会社に泊まりが続くときはその間に漫画もたまってしまうので、宅配便で自宅に送るなんてことをよくやる。そしたら今度はその梱包に使う段ボールが家にやたらたくさんたまってしまったので、本日まとめて会社に発送。梱包用段ボールも買うとなるとけっこう高いので手頃な大きさの奴は再利用しないとねー。

【雑誌】ガンダムエース 7月号 角川書店 B5平

 うーん、これは僕たちの好きなガンダムエースではないですな。月刊化の効果はてきめんで、メキメキ面白くなくなってる。安彦ガンダムは月刊でもそれなりのページ数があるとはいえ、隔月刊時より減ったことは確かなので1号ごとの読みごたえは弱まってるし、それを補う作品もいまのところ定まってない。トニーたけざき、大和田秀樹のパロディ漫画はくすぐりとしてはいいのだけど、もう少し真っ正面から「読んだー」と思える作品が1本ないとキツい。このままだと安彦ガンダムだけ単行本待ちで雑誌はいいやって人が増えてしまうのでは。

【雑誌】少年エース 7月号 角川書店 B5平

 「Dr.リアンが診てあげる」が「Dr.リアンが診てあげる 純情派」と改題して、表紙&巻頭カラー。とはいってもやることはいつもの通りですが。「99ハッピーソウル」は、「GOTH」(作:乙一)で作画を担当した大岩ケンヂ単体での新連載。モノに宿る魂が具現化した「ツクモ神」を駆使して、女子高生のユキジと居候のタマキチが活躍する学園アクションものといった感じ。この人のスッキリした絵柄はやっぱり魅力的。ではあるんだけどお話のほうはなんだか雑然とした印象で、頭に入ってきにくいかなと思った。たぶんこれは画面作りのせいもあるんじゃないかな。印象づけるべきコマを目立ちやすい場所に持ってくるとかそういうあたり。

 作:大塚英志+画:山崎峰水「黒鷺死体宅配便」が新連載。これは以前、「多重人格探偵サイコ」の特別編集増刊「サイコエース」に掲載されてた奴だよね。検索かけてみたらその後はKADOKAWAミステリに掲載場所を移していたとのこと。死者の声を聞くことのできる男・唐津九郎と、そのほか死体関連の特殊能力を持ったメンバーたちがさまざまな事件に出会うというミステリ・ホラー。西川魯介「なつめヴルダラーク!」。欄外の「ウホッ!メガネの図書委員……」というアオリ文句にちょっと笑った。内容のほうもいつもながらちょっとHでくすぐりもあって面白いです。天津冴「がぁ〜でぃあんHearts」。今回はラブラブ度が高い。ベタだけどそれもまたよし。しかし「エース桃組につづく」というのはやっぱりなんだかなーと思う。ちなみにエース桃組は6月9日発売。

【雑誌】ヤングキング 6/16 No.12 少年画報社 B5中

 大石まさる「りんりんDIY」は最終回。いつものメンバーたちが成長したン年後のお話できれいに締めくくり。「りんちゃんクッキーのひみつ」からこのシリーズになったときは、いったい何を狙ってるんだろう……とか思ったものだが、終盤はDIY度は薄れてたけど女の子友情物語を爽やかに展開し続けてなかなかいい感じだった。花見沢Q太郎「ももいろさんご」。いつもながらうまいなあ。上げたり落としたり、トキメキ度の力加減が絶妙。今回は湊が初々しいところを見せたかと思えば、照れ隠し、そしてHと来る。それにしてもこの作品は2色カラーが合う。2色は好きだー。4色より好きだー。

【雑誌】ヤングマガジン 6/9 No.26 講談社 B5中

 CLAMP「XXXHOLIC」。さくらに続いてまたしても別作品キャラ登場。さしずめCLAMP版スターシステムってところですな。手塚治虫とか松本零士とか永井豪がよくやってたけど、そういえば最近こういうことやる人って減ったような気がする。あとCLAMPの展開の仕方は上手だと思う。阿部秀司「エリートヤンキー三郎」は新展開。大河内家が破産して、三郎は一人で生きていかなきゃならなくてさあタイヘンといったところ。最近連載をどんどん増やしているのでもしかすると三郎のほうは近いうちに終わらすかもなーとか想像したりしてたんだけど、この調子だとまだ先はけっこうあるかな?

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 6/9 No.26 小学館 B5中

 窪之内英策「ショコラ」が連載再開。ほとんど2年ぶりなんだそうな。載らなくなってからもうそんなに経ってたっけか。時間の経つのは早い。山本英夫「ホムンクルス」はお話にぐんぐん引き込まれる。手術後の名越に訪れた劇的な変革。不可解な状況を実に効果的に呈示している。三宅乱丈「ペット」は、いきなり人間関係図が見開きでドーンと掲載されている。たぶん編集部でも推したいところなんでしょうな。実際お話のほうはかなり動いてて面白い。次々と繰り出されるイメージの奔流にはゾクゾクさせられるものがある。

 作:川原裕聖+画:波多野秀行「ロープボール」は2話め。展開がダイナミックでハッタリが利いててなかなかいい感じ。スポーツビジネスものという着眼点も面白い。作:雁屋哲+画:花咲アキラ「美味しんぼ」。今度は士郎&ゆう子が編集をして究極のメニューで雑誌を作れというおおせが大原社主から。そんな片手間で作れるんかいな。でも今回のテーマである焼魚はたいへんうまそうでちょっと憧れた。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 6/9 No.26 集英社 B5平

 読切、郷田こうや「ゴールデンシュート鳥越」は、人間離れしたキック力で一世を風靡した名サッカー選手を父に持つ男・鳥越ケンが、彼を付け狙うライバルの挑戦を受ける。でもケンは常識外れの虚弱な脚の持ち主で……という感じで展開されるドタバタギャグ。うすた京介っぽい路線。絵も話もそこそこ健闘しているとは思うけど、ギャグ漫画としてはもう少し爆発力が欲しいかなといったところ。叶恭弘「プリティフェイス」はもうすぐ最終回かなという感じ。この話の場合は主人公が女のフリしている男ということもあって、男と恋愛しようもないし多角関係の角の数を増やしにくいという点で、マンネリに陥りやすい構造だったといえるかもしれない。女の子が可愛くて気楽に読めるしわりと好きだったんだけどね。河下水希「いちご100%」。北大路さんが切なくていいですな。やっぱりこの娘さんがいいと思いますよ。乳デカいし。「好きな女性のタイプは?」と聞かれて、間髪入れずに「巨乳!」と答えられる人は、男としてなんかイイと思う。


5/25(日)……冒険クィータン

【単行本】「皆殺しのマリア」2巻 作:TKD+画:竹谷州史 エンターブレイン A5 [bk1][Amzn]

 この巻も面白い。ロックするアバズレ・マリアを中心として結成されたバンド「アクメ」、それから危険な才能にあふれた男・礼司を中心に、物語はごんごんうなりをあげて動いていく。彼らの到達点がどのような境地になるのかはまったく予想できないけど、読む者に馬乗りになって拳骨で殴りつけてくるようなゴツゴツした作風にシビれる。TKD+竹谷州史のコンビによる連載は「LAZREZ」についで2作目になるが、こちらの作品のほうが物語を引っ張るキャラクターが強い分、より分かりやすく面白くなっていると思う。このままガッツンガッツン、テンションを上げていってほしい。

【単行本】「ウルティモ・スーパースター」1巻 須田信太郎 エンターブレイン A5 [bk1][Amzn]

 自由と正義のヒーロー、ウルティモ・スーパースターを看板に、るちゃプロレスが町にやってきた! そこで出会った強烈な開放感に見せられて、やる気のない学校の空間で退屈しきっていた少年・三波は勢いに任せてるちゃプロレスの世界に身を投じるのであった……という物語。弱小団体であるるちゃプロレスは、リングも身なりもボロいけれども、見る者を喜ばせ夢を与えるエンターテインメントとしてのプロレスの姿を保っている。そんな中でウルティモ・スーパースターらが見せつけるレスラーとしての意地と誇り、そして三波が成長していく姿を人間くさく描いている。須田信太郎の作画はとても泥臭いけれど、そこに信念がキラリと輝いている。汗臭く男らしく、そしてカッコイイ漫画だと思う。この人は人情味にあふれたいい作品描きます。これが売れて勢いに乗って、「やさしい女は何処にいる」や数々の未収録作品が単行本化されたり、「江戸川ハートブレーカーズ」が再版されたりするといいなあと思っているので、さあみんな買おう。

【単行本】「夢のような」 朔ユキ蔵 メディアックス B6 [bk1][Amzn]

 1999年に出た朔ユキ蔵初単行本の復刻本。最初のバージョンを掘り起こして異同を確認してみたけど、収録作品は一緒。以前あった作品解説がなくなって、復刻版用のあとがきが追加されたって感じですな。以前のバージョンが出たときの感想は1999年6月13日の日記参照。このころの朔ユキ蔵は現在のようにはハジけてなくて、けっこうオーソドックスに美少女漫画を描こうとしていた感じがある。実際、そのころはシャープな絵柄の印象が大きかったのだけど、その後ブチ切れた作品を連発して化けたなあとか思った。今スピリッツでやってる「つゆダク」はハジけ方がちと足りないように思えるので、さらにもう一段くらいブーストしてくれることを期待したい。

【単行本】「えの素」8巻 榎本俊二 講談社 A5 [bk1][Amzn]

 最近勢いが落ちてると思います。下品ギャグの連発は今までどおりで、気の利いたネタはいっぱいあるんだけど、スピード感や爆発力が下がり気味かなあという感じ。USA編に入ってから、葛原さんや菖蒲沢さんといったおなじみ女性陣の登場陣が減ったというのもあるかも。

【単行本】「喰いタン」2巻 寺沢大介 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 この巻も「喰いタン」こと高野聖也は、怒涛のごとくメシを食いまくり。依頼者の愛妻弁当であろうとなんだろうとおかまいなし。その食いっぷり、がっつきぶりがまず面白い。それから食物がキーとなって都合良く事件は解決してしまうのだが、そのあまりの都合の良さも笑えるのでマル。あと高野の単刀直入なセリフもいい。モノを食うということを常人の何十倍ものレベルで楽しんでいる姿は羨ましい。そしてこれで太らないのはもっと羨ましい。

【単行本】「ふたつのスピカ」4巻 柳沼行 メディアファクトリー B6 [bk1][Amzn]

 いつもながら丁寧なお話作りで好感度が高い。この巻ではアスミの初恋の人に似た少年の登場、それから宇喜多マリカさんの複雑な事情あたりに踏み込む。まだまだ宇宙までは遠く、地上でやっておくべきことは多い。また、この巻でうれしかったのはエクストラビージャン2001年8/30号に掲載された読切作品「センチメンタル」が収録されたこと。高校時代につきあったことのある二人が、大人になってからある日バッタリ同じ電車に乗り合わせる。そして思い出すかつての出来事。もう戻れない日々の淡い思い出を、甘くほろ苦く振り返る一本。「ふたつのスピカ」ももちろんいいけど、こういう印象的な短編もまたそのうち機会があったら描いてほしい。

【単行本】「黒田三十六計」1巻 平田弘史 リイド社 A5 [bk1][Amzn]

 豊臣秀吉の軍師であった知恵者・黒田官兵衛の生涯を、彼の祖父が名を挙げたエピソードや幼少時代のころから追いかけるという作品。初出は1983〜1985年「コミックノストラダムス」で、この単行本は祥伝社から発行されたものの復刻版。この当時でもすでに絵は堂々たる平田弘史らしい力の入ったものとなっていて、しっかりした読みごたえがある。ただわりとスマートなやり方を志す知恵者が主役なので、ほとばしるような熱気には欠けるところがあり、その点ほかの平田弘史作品に比べると若干弱いかなという印象も受ける。ただそこらへんはまだ黒田官兵衛が若くて経験が足りないというのもあると思うので、2巻以降のお話についても引き続き読んでいきたい。

【単行本】「ぼく虫」 西岡兄妹 青林工藝舎 A5 [bk1][Amzn]

 西岡兄妹初期作品集。最初は「自家版」として少部数発行された本であるらしいが、今回ようやく陽の目を見たことになる。初期の作品ということで今よりも線が太いかなという気はするけど、西岡兄妹らしい風味は濃厚。世間の感覚と相容れない人間が、自分の形、求めるものを探るうちにはっきり自覚しないまま反社会的な境地に至る。そんな物語を「独特」といわざるを得ない、ユーモラスでちょっと怖い絵柄で描いている。得体の知れぬ触感があって「トラウマになる絵本」という趣。


5/24(土)……煩悩しきり

【雑誌】COMIC CUE Vol.300 イースト・プレス B5平 [bk1][Amzn]

 毎度のことながらたいへん久しぶりのCUE。今号はなかなか面白い作品が並んでいて満足した。でも特集テーマ「もしも、ドラえもんの”ひみつ道具”があったら?」は、あんまり有効に機能してないかなと思った。ドラえもんがネタだと、道具のバリエーションが広すぎるから、ヒネっちゃうと単純に「ちょいと未来っぽい漫画」にしかならなくなっちゃうような。まあ面白いからいいんだけど。ちなみに次号は2004年3月発売予定だそうです。

 で、今号で一番うれしかったのは地下沢中也「兆−Sign−」の単行本1巻が、今夏に「預言者ピッピ」と改題して発売されるとの報が掲載されたこと。今回の第7話も面白かった。ピッピに自殺する日時を宣告された真田が、いよいよ予言の日を迎える。ページをめくるごとに緊張感が増していく展開にしびれる。これが単行本でまとめて読めるのはうれしいなあ。小原愼司「二十二世紀中学生気質」。科学が発達して学校もすべて自宅学習になり、同級生と直接触れ合うことがなくなった中学生。でもそんな世の中でも少年は少女に恋をして、悶々とした気持ちに悩まされるのであった……というお話。未来とはいえ中学生はいかにも中学生っぽく、微笑ましく読めるコメディ。小原愼司の描く女の子は独特の可憐さがあって良いね。

 チーム紅卍「そうとう手遅れな未来のバラード」。現在どうもダメダメな経済状況にあることにイラついた女性が、タイムマシンを使って自分の家がそうなってしまった原因と思われるご先祖の元を訪れるが……。便利な道具も使い方しだいでたいへんいじましいものになる。地味だけどじんわりおかしさのこみ上げてくる作品。小田扉「平介の思い出」。生活に疲れたサラリーマンの時津は、「追憶サプリ」という過去の自分を体験できる機械で幸せだったはずの過去に戻るが……。年をとってから、過ぎ去った真実を知ってしまう虚しさを描いていてちょっとセンチメンタル。でもそれをあんまり重くしすぎず飄々と料理するあたりが粋だ。

 羽海野チカ「星のオペラ」。イウォークみたいなもこもこした民が住む星に、一人だけ置いていかれた人間の少年・ハルの物語。彼は成長して宇宙大学に行き勉強したことで、一度も会ったことがなかった両親たちのメッセージの意味を知る……というお話。相変わらずの上品で可愛げのある作画で暖かみのあるお話を描いている。きれいにまとまってます。岩岡寿枝「きこりの泉」。この人はアフタヌーンの2002年10月号に四季賞2002年夏のコンテスト入賞作「ゆめの底」が掲載されたことがある(そのときの感想は2002年8月24日の日記参照)。丸顔で目の小さなこけしを思わせるキャラクターがなんとも愛らしい。絵本の挿絵とかでも勝負できそうな達者な作画。お話のほうは主人公の女性が住んでいる部屋のすみっこに出現した、不思議な池とその主をめぐる物語。ファンタジーな味付けの不思議な感触の作品。衿沢世衣子「鳥瞰少女」。子供だけが空を飛べるタケコプター。主人公の少女も成長し、ついに飛べなくなる日がやってくる。自然体なスタイルとちょっと切ないお話作りが印象に残る。

【漫画執筆陣】小原愼司、羽海野チカ、チーム紅卍(松尾スズキ+河井克夫),なにわ小吉、とり・みき、小田扉、朝倉世界一、南Q太、おおひなたごう、さそうあきら、阿部潤、いましろたかし、福島聡、岩岡寿枝、衿沢世衣子、和田ラヂヲ、唐沢なをき、地下沢中也、横山裕一

【雑誌】月刊IKKI 7月号 小学館 B5平

 しおざき忍の新連載「ハロハラ」がスタート。原宿に店をかまえる町のクリーニング屋さん一家のドタバタコメディといったところ。こざっぱりした絵柄でノリは良い。カサハラテツロー「ライドバック」は第2話。人型走行機械にまたがる女の子という構図は妙に懐かしく、かつワクワクさせるものがある。スピード感のあるダイナミックな描写が心地よい。笠辺哲「虎の門」は、IKKIの新人賞である「イキマン」第2回受賞作品。水木しげるっぽい練れた絵柄で、分不相応に家賃の高い部屋を借りてしまった夫婦が出会った不思議な出来事を描いていく。新人っぽくない落ち着いた語り口で、興味深く読める作品。菊池直恵「鉄子の旅」。横見さんがいない、でも横見さんの影に支配された旅。あの人がいないと普通の旅なんだなーという感じではあるものの、それだけに横見さんのキャラの濃さが際立つ。いや〜鉄の人のパワーはスゴイなあ。

【雑誌】アフタヌーン 7月号 講談社 B5平

 藤沢とおる「TOKKO」の本編がスタート。何者かに両親を惨殺された暗い過去を持つ男が、その犯人を突き止めるために警察官になり、特殊な事件にぶち当たっていくというお話。アフタヌーンにはあんまり合わないかもしらんけれども、まあ新規読者開拓につながってくれればいいんじゃないすかね。高橋ツトム「爆音列島」。いよいよ暴走族モノらしく、大がかりな抗争が始まっていきそうな気配。これまでの描写が身近で生々しかっただけに、身にこたえる痛々しいモノになりそうな予感。

 とよ田みのる「ラブロマ」は、星野くんに告白してきた女子が登場。でもこの漫画らしく、三角関係のさばき方も独特で終始微笑ましい。キャラクターにみんな愛敬があるのは良いことです。上田宏則「Kiss girl」は連載化。といっても3号連続の短期集中だけど。キスで人を癒すキッスガールのピーチさん。今回は、彼女のところに通っているトクマくんという青年と、どうも彼のことを心憎からず思っているらしき女の子・ユキちゃんがメインのお話になりそう。ゆったりとした絵柄と雰囲気が心地よい。まあアレだ、癒し系。皮肉でもなんでもなく。もみじ拓「紅川高校野球部」。なんか不定期掲載シリーズらしい。第一話は試合の途中に集中力が高まりすぎちゃって、透視能力に目覚めてしまったエースが、キャッチャーやしんぱんのちんこが見えちゃって困るというお話。カラッと馬鹿馬鹿しくてけっこう好き。

【雑誌】手塚治虫マガジン 7月号 KKベストセラーズ B5中

 今号は「鉄腕アトム」「ブラック・ジャック」「どろろ」「シュマリ」「ゴッドファーザーの 息子」「狂った国境」に加えて、新連載として「リボンの騎士」が追加。さすがに手塚治虫だけあってネタはしばらく尽きそうにない。そしてどの作品を読んでも面白いなあと思う。しっかりエンターテインメントしてるし。今後どのような作品が加わってくるかけっこう楽しみ。サファイアは可憐だなあ。

【雑誌】ビッグコミック 6/10 No.11 小学館 B5中

 さいとう・たかを「ゴルゴ13シリーズ」。今回は年々生産量が少なくなり、好事家の間で法外な値段で取引されるようになった香木・伽羅をめぐるお話。偶然の産物である伽羅というモノ自体に興味を覚えた。

【雑誌】LaLa 7月号 白泉社 B5平

 筑波さくら「目隠しの国」。コンスタントに気持ち良い出来だが、最近は未来/過去が見えるという設定を生かしながら学園生活や恋愛、友情物語を描いてて、物語に緊張感が出ていていいと思う。なかじ有紀「ビーナスは片想い」。当然くっつくべき人たちがくっつくということで……。分かりきった展開でベタベタではあるのだけれどこういうのもよろしいのではないかと。

【雑誌】コミックピンキィ 7月号 オークス B5平

 今号で休刊になってしまいましたー。で、8月上旬からなんとびっくり「COMIC夢雅」が桜桃書房から復活するそうな。いっぺん大我にリニューアルしてその後こちらも休刊した雑誌なんだけど、それが蘇ってくるとは。なおピンキィにここまで掲載された作品については、今後オークラ出版グループ(オークラ出版・桜桃書房・オークス)から単行本として発行される予定とのこと。

 で、個人的に一番気になっているのはダーティ・松本の自伝的マンガ「エロ魂!」がどうなるかということ。編集者との打ち合わせのたびに日本刀でテーブルぶったぎったり、作家仲間と空き地で殴り合ったり、凄いノリの作品だったのでこれはぜひ単行本にまとめてもらいたいのだが予定とかはとくに書いてない。どうなるんだろう。舞登四郎「俺は男だ!」は最終号でそこそこまとめている。単行本は7月中旬発売予定。あと今回は、南勝海「妹とお風呂」がわりと良かった。お兄ちゃんがお風呂に入っていたら、双子の妹二人がそこに乱入してきてHに突入……という子供Hモノ。絵柄がけっこうかわいい。あと新雑誌COMIC夢雅では、柿ノ本歌麿がまた描いてくれないかなあと期待してます。


5/23(金)……クーロン人間

▼橋口たかし「焼きたて!!ジャぱん」7巻を本棚に入れようとして、ふと5巻がないことに気づく。自分日記で検索したらその巻だけすっぽり買い忘れていたことが判明。最近どーもボケてるなあ。この前は洗顔フォームで歯を磨いたし、トイレ消臭剤と間違えてマジックリンを空中に散布したし。

きづきあきらの初単行本「モン・スール」が6月25日に出るそうなんで、5月20日の日記に書いた購入予定に追加。

▼未読物
【雑誌】COMIC CUE Vol.300 イースト・プレス B5平 [bk1][Amzn]
【単行本】「えの素」8巻 榎本俊二 講談社 A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「喰いタン」2巻 寺沢大介 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「ふたつのスピカ」4巻 柳沼行 メディアファクトリー B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「黒田三十六計」1巻 平田弘史 リイド社 A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「ぼく虫」 西岡兄妹 青林工藝舎 A5 [bk1][Amzn]
【同人誌】「ツヨキ」創刊号 京都精華大学ストーリーマンガ分野作品集
【同人誌】「らっぱずぼん」参 京都精華大学マンガ学科ストーリーマンガコース
【同人誌】「happy end」 なかざわなつこ・なかそらともみ・たかはしれいか
▼24日分
【雑誌】月刊IKKI 7月号 小学館 B5平
【雑誌】アフタヌーン 7月号 講談社 B5平
【雑誌】手塚治虫マガジン 7月号
【雑誌】ビッグコミック 6/10 No.11 小学館 B5中
【雑誌】LaLa 7月号 白泉社 B5平
【雑誌】コミックピンキィ 7月号 オークス B5平
▼26日分
【雑誌】ガンダムエース 7月号 角川書店 B5平

【雑誌】九龍 Vol.4 河出書房新社 A5平 [bk1][Amzn]

 作っている人は漫画が好きな人なんだろうなということは伝わってくるんだけど、それがちと空回りしてるかなという印象を受ける九龍。今回の特集も竹下堅次朗はいいんだけど、コザキユースケ特集はどうかなと思った。期待の若手をプッシュしたい気持ちは分かるものの、インタビューとかやって名誉欲を満足させるのはもう少し実績を残してからで良いのではないかと。でもまあ全体を通して見ると、雑誌としてはじょじょにこなれてきたような気もする。

 で、今号でおっと思ったのは粟岳高弘が登場していること。「鈴木式電磁気的国土拡張機」という作品を描いている。いつもながらに女学生さんが屋外で裸になってて実にこの人らしい。不思議にのどかなSF風味が肌になじんでなんか気持ちいい。大越孝太郎「(D)と國民体操」は、「月喰ウ蟲」シリーズの最新作。いつもながらにシャープでかっこいい絵だ。内田雄駿「あの月の光のように」。読みごたえがあって面白くなってきている。クールな秀才・西原柊二の家に横たわる一つの死体。それをめぐって家族、そして柊二や彼に想いを寄せる少女たちの思惑がぐるぐると蠢いていく。今回は、柊二にずっと恋していてストーカー的になってしまった少女が出てきてより濃い状況になっている。で、8月発売の次号ではガロでやってて中断されたままだった大越孝太郎「天国に結ぶ戀」の第二部が連載開始。これは楽しみ。また河出書房新社から伊藤まさや「美しい人間」の単行本が刊行決定したらしい。実は読んだことがなくて、いつか読みたいと思っていただけにこれはうれしい。

【雑誌】ヤングアニマル 6/13 No.11 白泉社 B5中

 たくまる圭「僕らは長く夢をみる」。短期集中連載の最終回。最後はタイトルにからめて、俳句に賭ける高校生たちの青春模様を勢い良く締めくくってくれた。スパッと気持ち良く切るような展開でなかなか面白かった。そのうち単行本にまとまってくれるといいんだけど。文月晃「藍より青し」はTVアニメ新シリーズ制作決定の報あり。本編のほうは、なんかもうすごくベタベタ。今さらながらここまでプラトニック直球勝負をするのはすごいことだなあと思った。

【雑誌】近代麻雀ゴールド 7月号 竹書房 B5中

 せきやてつじ「おうどうもん」は新展開。父の壮絶な死に様を目の当たりにした健太は激しい衝撃を受けるとともに、今の自分では毒蛇にかなわぬことを痛感。そして再出発。今後も激しい展開が待っていそうで楽しみ。作:安田潤司+画:秋重学「東京最終回」。秋重学は麻雀漫画向けにずいぶん絵のタッチを変えてきてるなあ。芸達者な人だ。

 で、今号の一番の問題作。みやわき心太郎「打牌速度一秒以内の謎」後編。これはちょっとイカれすぎだ……。気合いの入りまくった点描により語られる桜井章一の神っぷりの数々。次々繰り出される超越論理、独特すぎる漫画表現に圧倒されてしまった。なんか麻雀の話をしてるのにいきなり千葉県の中学校の活躍の模様が説明なく入ってたり。『見立てれば「20年間無敗」はそのまま輪廻転生の証になる!』。……はあ、そうなんですか……。ページ数は28ページだけどコマごとの密度があまりに濃いのですごくボリューム感がある。なんと申し上げたらよろしいものやら。

【雑誌】コミックバンチ 6/6 No.25 新潮社 B5中

 新連載さいとうしげき「TRY!」。10年に一度のラガーマンと呼ばれた怪物的なラグビー選手である大文字が、「このままではラグビー選手として大切なものが欠けている」とされて、入団が決まっていた会社から内定取消を食らう。そして送り込まれたのが、タックルのないラグビーである「タッチラグビー」のチーム。そこで彼は自分の欠点に気づくとともに、タッチラグビーの魅力に目覚めていく……というお話。小林まことライクな泥臭い絵柄で、内容的にはきっちりまとまっている。まあわりと手堅く読める作品になるのではないかと。

 あと今号では第2回世界漫画愛読者大賞の結果発表もされている。投票数1位は作:茜色雲丸+画:KU・SA・KA・BE「摩虎羅」だったが、信任投票で不信任となり準グランプリで止まるという結果に。なお、世界漫画愛読者大賞は次からリフレッシュして新しい賞になるとのことで、No.29で詳細が発表されるそうだ。

【単行本】「ななか6/17」11巻 八神健 秋田書店 新書判 [bk1][Amzn]

 次の巻が最終巻ということで、お話はクライマックスへと向けて着々と畳まれていっている。こうして見るととても丁寧に、それぞれの登場人物の物語に決着をつけていこうとしているんだなということが分かる。稔二に対してこれまで自覚せぬまま恋していた嵐山の妹の五月、最初は意地悪だったクラスメートの風祭さん、それからななかの別人格であるヒロ。あとアニメの「まじかるドミ子」の声優さんにもスポットを当てて、アニメと現実の世界のギャップを描いたエピソードも、今考えてみるとアニメ放送開始合わせという以上の意味があったように思う。というわけでこの巻もしっかり楽しめるいいお話でありました。


5/22(木)……CAPTAINバス停

5月14日の日記でパソコン静音化という、難儀な道へ一歩踏み出してしまったことについて述べたが、やはり案の定、やり始めたら次の手を打ちたくなってしまい、CPUクーラーとケースを買ってきてしまった。ぼんぼろぼーん。まずCPUクーラーはSpeezeブランドのQuietude P4に変更。むちゃくちゃ静かというほどでもないのだがインテルのリテールクーラーに比べればずいぶん静かだし、何よりレバー1本で着脱ができる扱いやすさがいい。

 それからケースはUACのUACC-3303-SLTを購入。ミドルタワーながら5インチベイが6個あるというのがこのケースのポイント。個人的にはケース選びのさいに一番重視しているポイントは汎用性が一番高い5インチベイの数なんだけど、フルタワーはともかくミドルで5インチベイが6個ある製品は意外と少なかったりする。あとスチール製なので共振しにくいのもいいかなと思って選んだ。これについては搭載電源はいちおう静音タイプなのだが、実際に使ってみるとさほど静かな製品ではなかった。でもまあ今まで使ってたアルミケースよりはズッシリ重く、音は響かない。それにこのケース、面白いギミックをいろいろ持っている。マザーボードの固定などほとんどドライバーレスで組み立てられるし、ケースの開閉も手回しネジとかでなくプラスチックのロックをカチッとズラして行う方式であるなどなど特徴的。今回はパルテックのネット通販で1万800円で買えたので、まあコストパフォーマンス的には悪くないんじゃないかと。でも電源はそのうち換えたくなっちゃうかもしんない。これ以上の投資はしたくないからしばらくはこのまま行くと思うけど、自分は物欲に弱いからなあ……。

【雑誌】モーニング 6/5 No.25 講談社 B5中

 久しぶりに作:田島隆+画:東風孝広「カバチタレ!」(監修:青木雄二)が再会。3か月ほど空いてしまったので細部は忘れちゃってるんだけど、まあいつもどおり読める。しょせん他人のトラブルなんで、こんがらがってるってことさえ分かればオッケーだしね。王欣太「蒼天航路」。今回のサブタイトルは「ラストワルツ」。ジュンイク編であります。「三国志」好きで彼を嫌いな人はあんまりいないんじゃないすかね。いいキャラでした。

 作:綱本将也+画:吉原基貴「U-31」は月イチ連載化が正式決定。かつて五輪代表にも選ばれた27歳の、元天才MFである主人公が、古巣のチームに戻って再起を目指すというサッカー人の人間ドラマ。ガッチリ骨太な絵柄と堅実な話作りはけっこう気に入っている。こういう地味だけど土性骨の据わった作品が出てきたあたりは、サッカー漫画もだんだん熟成してきたなという感じがする。渡辺竜也「ともだち」。普通の高校1年生たちのごくごく平凡な日常を描いた短編。日常の中のちょっとしたドラマを切り取って、後味爽やかにまとめている。黒田硫黄の影響がけっこうあるっぽいかな〜とは思うけど、わりと好みな作風ではある。

【雑誌】ヤングサンデー 6/25 No.25 小学館 B5中

 北崎拓「なんてっ探偵アイドル」はいよいよトリコロールの新メンバーが決定。なるほど、いちおう探偵として役に立ちそうな能力も備えておるのですな。しかも巨乳だし。前の人はお嬢さまってこと以外は案外キャラが弱かったのでテコ入れの意味もあるのかもしらんなーとか思ったり。

【雑誌】ヤングジャンプ 6/25 No.25 集英社 B5中

 漫(もも)画太郎「つっぱり桃太郎」。コマ割まったく同じな見開きの連続はもうすっかりお家芸。ああ、いつもの画太郎先生だなあ……と思った今回の冒頭部。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 6/5 No.25 秋田書店 B5平

 作:森高夕次+画:松島幸太朗「ショー★バン」。なんかすごく地味にいや〜な人間関係を描いていて面白い。それにしてもこの作品のキャッチフレーズである「読めば上手くなる中学野球まんが!!」というのは、世渡りがうまくなるとかかもしれませんなー。松山せいじ「エイケン」。ところで今回のデート編での伝助は、なかなかすごいファッションはしてるなーと思った。吊りバンド+半ズボンって……。

【雑誌】ドルフィン 7月号 司書房 B5中

 巻頭カラーの景えんじ「呪いのエロビデオ」がけっこういいと思った。エロビデオから出てきた女の子と主人公の愛情たっぷりなHシーンを描いた作品。なかなかダイナミックに画面を使っていて、絵にもしっとり艶やかな色気がある。あと女の子の表情が変化に富んでいるのも良い。この人は定着してくれるといいな。吉田蛇作「妹ちゃんが来た!!!」。大学生になって上京した兄の元へ、やたらノリが良くてHな妹がやってくるというドタバタHコメディ。Hもやりつつ妹の強力なキャラクターでお話をぶん回す。勢いがあって楽しいです。山下うり「CAPTAINバスティ」は最終回。考えてみるとけっこう長い連載だったような気がするけどいつごろからやってたんだっけか。

【雑誌】純愛果実 7月号 光彩書房 A5中

 ゼロの者「息恋」は、記憶喪失になった若くて美人の母親が息子に恋しちゃって、Hな誘惑をしかけてくる〜というお話。いつもは若い少女がメインなことが多いので、大人な女性を描いた今回はけっこう新鮮に映った。葛城ゆう「男女と女男」。内気な男の子をぷりぷりした肉体で誘惑する勝ち気な女の子。二人ともけっこう純情なラブラブH。ヒロインの女の子が「いちご100%」の北大路さつきさんみたいだなと思った。


5/21(水)……キャプター翼

【雑誌】週刊少年サンデー 6/4 No.25 小学館 B5平

 井上和郎「美鳥の日々」。今回は同級生の綾瀬さんが、いよいよセイジに告白することを決意していろいろ頑張る。いや〜ラブコメしてますな。素直に楽しく読める。藤田和日郎「からくりサーカス」。しろがねとナルミが再会するも、彼は昔の彼ならず。さてここに来るまでに何があったのでありましょうかー、というわけで以下次号。ヒキが強くて面白いです。

【雑誌】週刊少年マガジン 6/4 No.25 講談社 B5平

 CLAMPが週刊少年誌ジャック。というわけで新連載「ツバサ」がスタート。「XXXHOLIC」のときは途中で登場するビックリ感があったのでネタバレは避けたのだが、これは最初っから登場しているので書いちゃってもかまわないだろう。主人公は砂漠の国・玖楼の姫であるさくらと、その幼なじみである少年・小狼。というわけで週刊少年マガジンにも「カードキャプターさくら」のさくらたちが登場というびっくり連載。遺跡の発掘現場で起きた不思議な出来事が元で失われた姫の記憶を集めるため、二人はさまざまな次元の世界を巡る冒険の旅に出る、という物語。少年誌、青年誌、少女誌、アニメといろんなメディアを巻き込んでいこうとする試みはなかなか面白い。意外と少年マガジンでも作風的には違和感ないし、どういう展開をしていくかけっこう楽しみだ。森川ジョージ「はじめの一歩」。これまで圧倒的にリードしてきた板垣が、開き直ったインファイター今井の迫力にジリジリと押され始める。両方に見せ場があり息詰まる勝負となってきた。

【単行本】「てるてる×少年」5巻 高尾滋 白泉社 新書判 [bk1][Amzn]

 いよいよしのぶがこれまで才蔵たちに隠してきた秘密に迫り始める第5巻。それとともにしのぶが才蔵に対して抱いていた感情が鮮明に浮き彫りにされていき、いよいよ甘くいよいよ切なくなってくる。とくにこの巻の巻末のエピソードあたりは胸がキューンとくる展開。6巻が楽しみ。

【単行本】「TOKYO TRIBE2」8巻 井上三太 祥伝社 変型判 [bk1][Amzn]

 トーキョーはこわかとこですばい! というか今回はマチダを根城とするストリート集団まで登場して、こういう怖い若者たちには関わらないように、道のはしっこをこそこそ歩こうと思った。それはまあいいとして、今回の内容のほうは、ブッバの下でメラが孤独と無力感に苛まれている中、これまで腰巾着的な存在だったスカンクが武闘集団「WU-RONZ」を「NEO WU-RONZ」に改変。より暴力的になりトーキョー制圧へとひた走る。そのターゲットの第一弾はヨコハマだ! ……トーキョーじゃないじゃん、というのはさておき現代版番長モノとしてアクティブで血沸き肉躍る展開となっていて面白い。そんな中で時折見せる、日常に退屈したり寂しくなったりといった普通の若者らしさが生々しく映る。

【単行本】「焼きたて!!ジャぱん」7巻 橋口たかし 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 パンタジア新人戦が決着し、今度は東、河内、諏訪原の3人でフランスへゴー。まあこの巻はちょうど大会二つの合間ということでダイナミックな展開はあんまりないのだが楽しく読めはする。個人的にはごはん党であるためパンはほとんど食べないけど、この漫画を読むとときどき無性にフランスパンを食いたくなる。


ページの一番上へ