2003年11月下旬


11/30(日)……トリヴィアガイド君

OHP月極アンケートテーマ入れ替え。12月は毎度おなじみのテーマ「単行本収録希望作品2003」にしました。もう三度め、かつ安直ではありますが、前回やったときから2年ほど空いてるんでそろそろ作品数もたまってきた頃合いかと思います。過去のアンケート結果(2001年12月/2000年3月)も含めて楽しんでいっていただければと思います。

▼11月分の「こわいまんが」は終了。望月峯太郎「座敷女」がトップで、山岸凉子「私の人形はよい人形」がそれに続くという展開。実は漫画で心底怖いと思った経験はあんまりない人間なので、今回はさほど票が入れられなかった。漫画であんまり怖く思わない理由としては、音が出ないってのがデカいかな。怪談やるときの定番テクニックでしょ、それまでひそひそ声で話を進めておいて、最後に大声で「誰だ!」とかやってビックリさせるっていうのは。ホラー映画でも、効果音やおどろおどろしい音楽は非常に効果的に使われていたりする。それがないというのは、怖さを盛り上げるうえでやっぱりちと不利なんじゃなかろうか。もしかすると、「音が出ない」という漫画ならではの制約が、音楽漫画以上に響くジャンルといえるかも。

▼12月の購入リスト。今月は圧倒的に25日が勝負の日となりそう。雑誌を合わせるとこの日だけで20冊以上本を買うことに……。サンタさんが運んで来てくれたらいいのにって毎年思うけど、ヤツはいざってときに役に立たないんだよね〜。

12/上 「遺伝子レベル剣」 おおひなたごう イースト・プレス
12/4 「いちご100%」8巻 河下水希 集英社
12/4 「ピューと吹く!ジャガー」6巻 うすた京介 集英社
12/5 「かみちゃまかりん」2巻 コゲどんぼ 講談社
12/5 「史上最低のレガッタ」2巻 塀内夏子 講談社
12/5 「やまとの羽根」1巻 咲香里 講談社
12/5 「THE大市民」3巻 柳沢きみお 講談社
12/5 「愛しのアイリーン」1〜2巻 新井英樹 大都社
12/6 「覇王」1巻 作:朽葉狂介+画:木村シュウジ 竹書房
12/9 「SUGAR」6巻 新井英樹 講談社
12/9 「サムライダー」2巻 すぎむらしんいち 講談社
12/10 「サイバーポルノ」 砂 太田出版
12/10 「ZODIAC LOVERS」 B.たろう ワニマガジン
12/10 「内向エロス」3巻 陽気婢 ワニマガジン
12/11 「ピンクな彼女達」 りえちゃん14歳 松文館
12/11 「君を連れていく船」 星逢ひろ 松文館
12/13 「ミヨリの森」 小田ひで次 秋田書店
12/17 「A wish たった一つの…を込めて」 奴隷ジャッキー エンジェル出版
12/17 「BECK」17巻 ハロルド作石 講談社
12/17 「ましま園 真島ヒロ短編集」1〜2巻 真島ヒロ 講談社
12/18 「恋愛ジャンキー」12巻 葉月京 秋田書店
12/18 「無敵看板娘」6巻 佐渡川準 秋田書店
12/18 「BRII ブリッツロワイアル」1巻 富沢ひとし 秋田書店
12/18 「アイドル地獄変」 尾玉なみえ 集英社
12/18 「占い刑事」 桑澤篤夫 集英社
12/18 「中出し専科」 草津てるにょ 司書房
12/18 「少女牧場」 春籠漸 シーズ情報出版
12/18 「性淫監禁処女」 古賀燕 桃園書房
12/19 「あの月の光のように」 内田雄駿 河出書房新社
12/19 「アイシールド21」6巻 村田雄介 集英社
12/19 「ちょこっとSister」1巻 作:雑破業+画:竹内桜 白泉社
12/19 「職業殺し屋」2巻 西川秀明 白泉社
12/20 「未開の惑星」上下巻 松本次郎 太田出版
12/22 「暁星記」4巻 菅原雅雪 講談社
12/22 「なるたる」12巻 鬼頭莫宏 講談社
12/22 「オーバーマンキングゲイナー」2巻 作:富野由悠季+画:中村嘉宏 メディアファクトリー
12/25 「ぼくは、おんなのこ」 志村貴子 エンターブレイン
12/25 「武侠さるかに合戦」地の巻 吉田戦車 エンターブレイン
12/25 「吉田戦車のゲーム4コマ大全」めまい編/たちくらみ編 吉田戦車 エンターブレイン
12/25 「なつめヴルダラーク!」 西川魯介 角川書店
12/25 「賭博破戒録カイジ」11巻 福本伸行 講談社
12/25 「ティーンズブルース」6巻 コージィ城倉 小学館
12/25 「ペット」5巻 三宅乱丈 小学館
12/25 「龍」35巻 村上もとか 小学館
12/25 「黄金のラフ 〜草太のスタンス〜」11巻 なかいま強 小学館
12/25 「花縄」1巻 森秀樹 小学館
12/25 「フリージア」3巻 松本次郎 小学館
12/25 「学園ノイズ」2巻 オオシマヒロユキ+猪原大介 スタジオDNA
12/25 「カワイコちゃんを2度見る」 福満しげゆき 青林工藝舎
12/25 「この世の終りへの旅」 西岡兄妹 青林工藝舎

【単行本】「灰色の乙女たち」2巻 加藤理絵 スクウェアエニックス B6 [bk1][Amzn]

 いい作品でございました。父親が失踪して一人でなんでもやらねばならぬと張り詰めていた娘さん、村山ミサキが主人公。いろいろ迷ったりして周囲の人をやきもきさせつつも、彼女は学生生活を続け、自分の道を選びとっていく。このシンプルでスッキリした、でもほんわりとした暖かみもある絵柄にはいっぺんでやられてしまう人も多いのでは。学園青春モノの絵としてはかなり魅力的。お話のほうも少女の葛藤などを重くなりすぎず、しかもちょっぴり切ない気持ちを漂わせながら進めていて、いい具合にしみこんでまいります。最終回なんかはけっこう感動させられる。今だったら2巻ともまだ買えると思うので、この機会にぜひどうぞ。

【単行本】「イケてる2人」16巻 佐野タカシ 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]

 安定して面白いと思う。お色気サービスをふんだんに盛り込みつつも、爽やかな学園青春漫画に仕上がってて好感度は高い。登場人物たちがみんな気のいい奴揃いなので読んでて素直に気持ちいい。ずいぶん長くなったけどなかなか飽きない。

【単行本】「藍より青し」12巻 文月晃 白泉社 B6 [bk1][Amzn]

 まあいつもながら賑やかに。いちおうクライマックスに近づいてはいるっぽい。それにしても巨乳メイド服めがねっ娘の人はどんどん影が薄くなっているような。この作品についてはアニメ版のほうが絵がいいかも……とかちと思っていたのだが、なんか最近は漫画がアニメのほうに絵的に引っ張られていっているような気がしないでもないんだけど気のせいかな。

【単行本】「喜喜」 宇仁田ゆみ 白泉社 B6 [bk1][Amzn]

 ヤングアニマル本誌と増刊のArasiに掲載された短編、「グラス・スパイダー」「たりないひと」「ひみつのこと」「ウサギ」「むく」「プレゼント」を収録した短編集。青さ、甘さ、瑞々しさの詰まった爽やかな作品揃いで楽しめる。とくにこの中では、フラれたばっかりのちょっと斜に構えた感じの男が、紹介された友達のいとこの娘(実は17歳)と付き合い始めてどんどんハマっていく「グラス・スパイダー」がとくに面白い。このころは作風的にまだこなれてないのも味。現在はFEEL YOUNGが主戦場になってるけど、女性誌に行ったのも頷けるポップでチャーミングなシャレた作風。恋愛模様が気持ち良く描けていて楽しく読める。最初の短編集が「楽楽」[Amzn]だったから次は「哀哀」か「怒怒」かな。

【単行本】「うすバカ二輪伝」 東陽片岡 青林工藝舎 A5 [bk1][Amzn]

 東陽片岡はこれまでにも何冊か単行本を出しているが、いつかオートバイ漫画の単行本を出そうと、オートバイがらみの作品はずっと収録せずにストックしていたらしい。それをまとめたのがコレ。「BURST」「オートコミックGT」「アックス」に掲載された作品を中心として、けっこうボリュームあります。東陽片岡ってこんなにバイク漫画描いてたんだな〜とちょっと驚いた。で、内容のほうはバイク漫画とはいえ、いつもの東陽片岡節は不変。別に走り屋の物語でもチューニング屋の物語でもなく、平凡でしみったれた男たちがバイクに乗ったり酒飲んで管まいたりソープに通ったりとそんな具合。全然カッコ良くもないしイカす格好悪ささえもないが、これが非常に味がある。どの作品を見ても登場人物がええ感じの雰囲気をまとった人揃いで、読んでるとなんか気持ちいい。意外と収録本数が多くて読んでるうちにちょっと飽きてくるところがなくもないが、まあのんびり急がず読むのが吉でしょう。

【単行本】「青 オールー」3巻 羽生生純 エンターブレイン A5 [bk1][Amzn]

 面白いなあ。「俺たちに明日はない」ってな感じの、差能、安対、区々の逃避行。まあ別に場所は移らないけど。今回はヤクザ側の使わした殺し屋である線子の存在感が素晴らしい。見かけはまるっきりそこらへんのおばちゃん。殺しをする前だというのにスーパー行ってゴーヤー買ってきてチャンプルー作ったり。でもそんなおばちゃんが、片手に穴開き包丁、片手にビニール袋を引っ提げてヤクザをギタギタにしていく様子は薄気味悪くて怖い。そんな彼らがいったいどんな終着点に向かうのか。お話としてはじょじょにラストに近づいていってる感じ。今後の展開はかなり激しくなりそうですごく楽しみ。

【副読本】「エマ ヴィクトリアンガイド」 森薫+村上リコ エンターブレイン B6 [bk1][Amzn]

 実はまだ隅々まで熟読できてはいないのだけど、ざーっと読んでみただけでも力の入った本であることは伺えます。「エマ」の舞台となったヴィクトリア朝イギリスの生活や文化を細かく丁寧に解説してくれていて、いろいろ勉強になる。「エマ」を読み進めながら参照するも良し、一冊のイギリス本として眺めていくのも良し。「エマ」という作品はメイドものというよりは英国ものであると常々思っているのだけれども(ついでにいえば「シャーリー」はメイドものといったほうが正しいかもしれない)、改めてこの本を見るとやっぱり英国なんだなーと感じた。まあなんにせよ「エマ」好き、メイド好き、英国好きの人は迷わずゲットな本でありましょう。


11/29(土)……二人残虐

▼池袋で飲み。今回は半端マニアの渡辺僚一さんのツテで、雑誌の住人のMiLKMANさんと初めて酒の席でご一緒する。昨日取材から帰ってきた後、熱を出してしまって体調が優れなかったこともあり、最初のうちはどうも調子が出なかったのだが、後半になってからはだいぶ回復してきた。結局5時間くらいずっぽりオタク話に浸れていい感じに楽しかった。池袋の飲み屋は全般に、長っ尻しても追い出されないのでいいです。

▼そういえばその飲み会でいきなり披露して驚かそうと思ってたのでここでは書かなかったのだけど、先週の中頃に散髪したときに思いっ切り刈り込んでもらったので、現在ほぼスキンヘッド状態になってます。そこまで短くするつもりはなかったんだけど、床屋さんで「丸刈り」って注文すると本当にまるまる刈ってくれるんですな。勉強になりました。あと髪の毛ってけっこう伸びるのが早いんだな〜というのも発見。刈ってもらったときは地肌が出てパッと見「白い」って感じだったんだけど、今は「青黒い」ってくらいにはなりました。それにしてもこのくらい髪が短いと本当に寒い。帽子が生活必需品となりました。

▼未読物
【単行本】「イケてる2人」16巻 佐野タカシ 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「藍より青し」12巻 文月晃 白泉社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「喜喜」 宇仁田ゆみ 白泉社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「灰色の乙女たち」2巻 加藤理絵 スクウェアエニックス B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「うすバカ二輪伝」 東陽片岡 青林工藝舎 A5 [bk1][Amzn]

【雑誌】コーラス 1月号 集英社 B5平

 いくえみ綾の読切「ブローチ」が掲載。10年越しの彼と2年間同棲、そのあと恋人関係は保ったまま同棲を発展的解消した二人のその後の距離感を描くというお話。変わっていないようで変わらずにはいられなかった二人の気持ちをうまいこと描いていて、きっちりした仕上がり。いくえみ綾にしては普通かなーという出来だとは思うけど、手際よくまとめられておりしっかり読める。小沢真理「ニコニコ日記」は最終回。いろいろなことが収まるべきところに収まってめでたしめでたし。上品で愛のある、よく出来た作品でした。よしまさこ「うてなの結婚」。教え子だったカイトと別れたあのんの選んだ道は……。あのんさん、なかなか思いきりましたな。

【雑誌】メロディ 1月号 白泉社 B5平

 川原泉「ドングリにもほどがある」。自分は平凡だと思っているけど周りから見るとちょっとヘンな女の子、それから彼女が同類だと思っているけど実は高校生にして小説家の男の子、そんな二人のほのぼのしたお話。今回でほんわかしめくくり。恋愛未満なところでのんびりお話を進めていく呼吸が独特で、居心地のよいヌルさが充満。雁須磨子の取材漫画シリーズ「カリスマ探訪記」。今回のお相手は内藤ルネ。美麗な少女イラストで活躍していた人らしい(参考:内藤ルネ人形美術館)。個人的にはそういうのにうといもんで知らない人だったんだけど、今でも人気がある人のようで。「内藤ルネ−少女たちのカリスマ・アーティスト」[bk1][Amzn]という本が河出書房新社から出てるほか、2004年度カレンダーも通常のと卓上版のガールズボーイズがそれぞれ出るらしい。

【雑誌】ヒメクリ 1月号 FOX出版 B5中

 パニックアタック「大人になる呪文」。早くも「天才料理少年 味の助」の「コロッケから美味しいお汁がピュピュ」をネタにしてて笑った笑。しかも今回のメインネタが「おもいっきり科学アドベンチャー そーなんだ!」で、未由たんがミオのコスプレしたりしててもうたいへんだー。自分の好きなものはすぐにネタにする、フットワークの軽さがありますな。しかし単行本になるころにはそのネタが通じなくなっているのでは……などと心配したりもしちゃうので、まあ雑誌で読んでおくのがいいでしょう。と、ことあるごとに雑誌買え〜と焚き付けようとしている俺だ。

 初単行本「やさぐれラバーズ」[Amzn]が出たばかりの小林王桂「オトメゴコロと捧げもの」は、ちょっと苦いお話になるのかな〜と思ったら最後は甘く締めくくり。男3人でやるという約束で連れてきた女の子が、実は主人公のことを昔っから好きだった中学時代の同級生で……というお話。女の子の態度が初々しくてなかなかかわいらしい。絵もいつもながらスッキリしていて魅力的。羽田としのり「ひめはじめ」は、お正月ネタ。着物と羽子板とH。ラブラブなお話に仕上がってて微笑ましい。ゴージャス宝田「ココロン帽」は、大好きな先生が引っ越してしまうということで彼の家に最後のお分かれにやってきた女の子。しかし彼女が来る途中で拾った不思議な帽子を先生にかぶせてみたら、その心の声が聞こえてきたのでした……というお話。幸せなロリロリH。最近この人はお話のほうも旨味が増してるような気がします。

 ところで今号は、巻頭のカラーイラストページに今年の7月に亡くなったたちばなとしひろのイラストが載っていてビックリしたが、これは5月号用の原稿と同時に正月用のイラストももらっていたということだったらしい。その絵柄のテレカの全プレもあるようなので、欲しい人は応募するべし。

【雑誌】快楽天 1月号 ワニマガジン B5中

 ゆきやなぎ「ビデオ屋の女」。エロビデオがカウンターに持ってこられるたびに失敗してしまう、ウブなレンタルビデオ屋でバイトしてる女の子が主人公。この人の描くショートカットのちょっと気の強そうなメガネっ娘はけっこう好き。ちょっとお堅い娘さんが快感に呑み込まれていく過程がエロい。北河トウタ「ゴールドフィンガー」。女性マッサージ師が逆にお客さんにマッサージされちゃって……というお話。北河トウタ作品には珍しくヒロインがアダルトな雰囲気。こういうのもたまにはいいですな。玉置勉強「メイド地獄」。メイド喫茶のメイドさんが店長にやられちゃうというお話。嫌がってるんだか喜んでるんだかよく分からないけど、まあとりあえずメイドさんは奥床しくていい感じです。

 ジェームスほたて「君に乳キュン」。ところでこの人はどういう基準でペンネーム使い分けてるんでしょうな。女の子がきっちりかわいくて、ボリューム感もたっぷり。精力的な仕事ぶりは相変わらず大したもんです。鳴子ハナハル「ネネ」。猫耳娘のネネがしっかりかわいい。あと主人公に恋しているらしき後輩の娘さんも。繊細で端整な作画がやっぱりいい。タカハシマコ「妹屋」は、キツネの姉妹が営んでいる、彼女たちが人間に化けて一時だけ妹になってくれる「妹屋」のお話。今回は痛々しいところもとくになく、ストレートにキュート。どんな話でもきっちり読ませるように仕上げてくるあたり鮮やか。

【雑誌】エンジェル倶楽部 1月号 エンジェル出版 B5平

 灰司「カテキョト」。19世紀末の英国貴族と家庭教師の女性のエロ話なんだけど、作者あとがきに「エマですよ、エマ。メガネかけさせたかったなぁ…。」と書いてあったのがちょっと笑った。まああんまり似てないとは思うけど、こういうふうに堂々と書いてくれるとちょっと気持ちいい。

【アンソロジー】地獄の季節 一水社 A5平 [Amzn]

 「残虐非道グロ漫画アンソロジー」と銘打たれた一冊。執筆陣等詳細は、くりむぞさんの作られている「地獄の季節 −グロリズム宣言−」紹介ページを見ていただくのがよろしいでしょう。氏賀Y太、駕籠真太郎、早見純ら、この手の作品では実績のある気合いの入ったメンツを集めておりスパイシーな一冊に仕上がっております。まあグロいのには弱いって人にはうえーっという本だと思うけど、そういう人はたぶん表紙見ただけで手に取らないでしょう。ただ、「Hのある風景II」での広告にあった「死者総数不明! 完全遺体、部分遺体、ともに計数不能!」というアオリ文句ほどには死んでないなと感じた。もっとドシュドシュ殺るのかと思った。

 まず巻頭は駕籠真太郎「とどのつまり」。便秘が高じて石のように硬質化してしまい、その周辺に蛆がぼろぼろ沸いてくる症状が広く蔓延。その苦しさに肛門の周りを刃物で切り裂いたり、劇薬をぶっかけたりして変死する女性が続出。糞、蛆、内臓と、グロ要素満載でございます。どうしても出ない便というのが本当に苦しそうなのも着想としてグッド。氏賀Y太「そこの肉片に告ぐ」。これはタイトルがいいね。祖国への不満を口にし将軍様を否定した女性が、娘の前で肉片にされていくというお話。ストレートに残酷な展開を見せつける作品。

 掘骨砕三「イヨリアフルル」。こちらは胃酸とともに口から蟲たちがうじょうじょあふれてきて、少女たちがぐずぐずに溶け合っていくというお話。8ページと短いけどインパクトは十分。町野変丸「穴」は、この人らしいユーモラスな作品かなーと一瞬思うがそうでもない。少女にイボイボができてどんどんそれが広がっていくというお話で、読んでいると体がすごくむずがゆくなってくる。あのコミカルな絵とグロいイボの取り合わせがかなり強力。あと一枚絵のイラスト組も気合いの入った人が揃っているので興味のある人は覗いて見られるとよろしいかと。


11/28(金)……穴開き洋室

▼未読物
【雑誌】コーラス 1月号 集英社 B5平
【雑誌】メロディ 1月号 白泉社 B5平
【単行本】「エマ ヴィクトリアンガイド」 森薫+村上リコ エンターブレイン B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「青 オールー」3巻 羽生生純 エンターブレイン A5 [bk1][Amzn]

【雑誌】ヤングアニマル 12/12 No.23 白泉社 B5中

 作:雑破業+画:竹内桜「ちょこッとSister」。ラブコメしてるなあ。めがねっ娘の大家さんはじめ、女の子がかわいくて華があり、竹内桜の達者な作画力が存分に生きている。

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 12/12 No.25 小学館 B5中

 乃木坂太郎「医龍」(原案:永井明)。このところミキがやけに色っぽい。ばいんばいんだー。そりゃあお兄ちゃんじゃなくたってドキドキしちゃいますよ。ちなみにお話のほうも、ちゃんと面白いです。太田垣康男「MOONLIGHT MILE」。月面に暗躍するテロリスト退治のため、吾郎とアイドルがタッグを組む。最初はこのアイドルさんの存在はどうなのかなーと思っていたが、このところいい味を出して来ている。今後の二人の活躍がけっこう楽しみ。

【雑誌】コミックバンチ 12/12 No.52 新潮社 B5中

 坂本タクマ「屈辱er大河原上」。大河原上はまだマナー教室に通ってたのね……。意外にこの人はこういうところは勤勉だ。で、今回は立ち読みの作法について。『「買う人様」が来られたら立ち読みは即座にどかねばならない』『買尊立卑と心得られよ!!』。うーん、その通りだ……。

【雑誌】フラワーズ 1月号 小学館 B5平

 西炯子「双子座の女」2回目。なかなか好調。マジメだけど女装趣味ありげな美男子メガネ君と、なんかヘンな女の子の刈川さん。この二人もなんだかいいコンビになっていきつつあります。西炯子の流麗な絵柄とうれしはずかしなストーリーがしっかりマッチ。最近好調っすね。波津彬子「うるわしの英国シリーズ」の「お決まりの結末」も良い。妙齢の女性マグダレン、そろそろ結婚を控えてそわそわ落ち着かないが、3人のおばが彼女の選んだ男性についていろいろ口を出し縁談が破談になってきた。そんな彼女が今度こそはと見初めた男性は……。うーん、英国。そしてうるわしい。軽やかな話作りとかステキでええです。さいとうちほの新連載「ブロンズの天使」は、またしてもロマノフ王朝もの。貧乏貴族の娘とプーシキンのラブロマンスという、いかにもこの人らしいゴージャスな舞台設定。この浮き世離れっぷりが素晴らしい。

 読切の有留杏一「がまんじい」。上品に整った絵柄でしっかり読ます作風。この作品は完成な和風の家に暮らす男が、その庭に住むガマガエルとの不思議な縁について娘にお話をしてあげる……というもの。落ち着いた雰囲気のお話作りがなかなか。コマ割りはもう少しオーソドックスでいいような気もするけど。江平洋巳「コバルト」。こちらもいい感じの読切。なぜか血が青色になってしまう病気にかかってしまった少年と、その主治医の娘の心の触れ合いを描く。光がキラキラ反射しているような、淡いペンタッチの独特の画風がきれい。お話のほうも心温まる。この人はもっとちょくちょく登場してくれるといいな。

【雑誌】阿ウン ヒット出版社 1月号 B5平

 師走の翁「シャイニング娘。」シリーズが復活。今回の「VI来襲」は、×浦亜弥、通称あーやが、関節本ミキ(ふしもとみき)を人質に取られて、謎の4人組の陰謀でしっちゃかめっちゃかにやられちゃうというお話ですよ〜☆ いきなりエンジン全開って感じでノリノリ。いやらし楽しいぜ! まあハッキリいって自分はテレビは踏台昇降用のアニメくらいしか見ない人間なので、モデルとなった人たちのキャラクター性についてはまったく理解しておりません。でも漫画として楽しめるし、「ああ、そういうイメージを一般に持たれているキャラをいじっているのだな」ということは伝わってきます。俺レベルだとそれで十分。なお今回は雑誌のおまけとして「シャイニング娘。」えろえろ特製マウスパッドというのが付いているんだけど、本当にえろえろだー。これはさすがに机の上に置いて使うのはちと厳しい……。まあきちんとコーティング処理のされたピンナップだと思えばいいかもねー。

 大井はに丸「lose」は学園乱交編を抜けて、そろそろ物語はラストへ向かうって感じか。この人の描く女の子はあえぎ顔の表情が派手でHシーンに見応えがあります。真海「KanaとReiji」。旅行中、サイフをすられてボロっちいラブホに泊まった二人が、そこで起きた事故により記憶を失う。その状態でHに突入するが二人は実は……というお話。絵柄的には洗練されてるとはいえないけれども、エロシーンはテンション高めで個人的にはけっこうヒットした。

【雑誌】リトルピアス 1月号 東京三世社 A5中

 今号のほしのふうたはいいなあ。「若葉といっしょ」。保健室で寝ていた男の子・サトルの寝言を聞いてしまった若葉。サトルは若葉のことが好きで、彼女とHなことをしている夢を見ているらしい。若葉はその言葉にドキドキしてしまう。いかにも子供らしい好奇心と初々しさが満載。ほしのふうた作品はやっぱこういうのがいいです。ほりほねさいぞう「ドン松五郎」。なぜか犬パジャマを着てHなことの練習に邁進している女の子の日誌。ほりほねさいぞうには珍しく普通に2本の手、2本の足の女の子が主人公でわりとまともだけど、やっぱり犬パジャマとか何らかの仕掛けは施すんだなあとか思った。ちなみに女の子のちまちました様子はなかなかにかわいいです。やってることは、女の子側で楽しんでいるとはいえハードだけどね。

【アンソロジー】アイラDELUXE VOLUME.17 三和出版 A5平 [Amzn]

 天竺浪人「まごころをきみに」。いやー、人を食ったタイトルですな。現役アイドルの元カレが、彼女をだまして一晩限りのハードH。しかし彼女が寝てて気づいていないうちに、顔に「雌豚」「淫乱」と落書きして、そのままの状態でHの様子をビデオに撮るなど悪意はバリバリ。ラストのあたりでは思わず笑ってしまった。ちなみにアイドルの名前は辻浦綾香です。しのざき嶺「Camp♥Mission」。えーとこういうのは何なりっていうんだろう。てなわけで複乳、複男根描写はなかなか刺激的で良かったです。ちんこの一つ一つもいぼいぼだらけでカッチョいいし。氏賀Y太「まいちゃんの日常」。この作品はけっこう好きだなー。容赦のない残酷描写と、それをオチで一転ギャグにしちゃういけしゃあしゃあとした態度がたまらない。ほかの雑誌だと抵抗があるかもしれないけど、この雑誌なら十分アリアリでしょう。

【単行本】「日々そりゃ妄想」 なめぞう 桜桃書房 A5 [Amzn]

 なめぞう作品は味が濃いですな。この本はコミック大我とかに掲載された作品を中心にした単行本。もしかすると大我だけかもしれないけど、調べるのが面倒なので言葉を濁しましたよ。まあそれはともかくとして、このシリーズでメインとなっているのが「透明インターハイ」「透明校則」などの一連の透明モノ。陸上の大会が行われている最中の競技場の真ん中に、場違いな男が一人。でもその存在を誰も意識しているふうでない。それをいいことにこの男は女子選手の服を脱がしたり、ちんこをこすりつけてみたり。それでも誰もそれを意識しないし咎めるものもない……。そういうシュールな光景が延々展開されていくという作品。本当にこの人は見えていないのか、服脱げてるんだけど大丈夫か、周りは何もいわないのか……などなどという疑問にはまったく答えを出さずに、お話をずんずん進めてしまう。ここらへんの呼吸がなかなか楽しい。あと描写もたいへん濃くって、考えていることに口が追いつかなくなっているときのような、そんなもどかしさというか焦燥感みたいなのがいっぱいに詰まっている。あとこの単行本あたりだと女の子の肉体描写が今までにも増した肉感的になってます。けっこうHだと思うけど、まあ大向こうウケするかというとしないかなあ。そういうところがまた好きなんだけど。

【単行本】「ひそひそ遊び」 ほしのふうた 東京三世社 A5 [Amzn]

 いつもながらにたいへんかわいい、ほしのふうたの単行本。今回の本は珍しくちょっとダークな雰囲気の全4話の中編「人形の家」がメイン。これは謎の美人姉妹の住む家に少年少女が監禁されて、めくるめく淫靡な体験をするというお話。ラストのあたりはちょっと怖いです。ほのぼの路線では「ノリちゃんと私」がいいなあ。主人公の女の子・岬が、同じアパートに住む年下のかわいい男の子ノリちゃんのぺースに乗せられて、ついHしまくっちゃうというお話。個人的には描き下ろしのおまけまんが「ちょこっとノリちゃんと私」4ページが好き。岬がラブレターをもらってノリちゃんが子供心にやきもちを焼くというエピソード。いかにも子供らしくていいです。あと岬の表情もイイ感じ。


11/27(木)……シックなブラクラ

▼帰りがけにフラリと立ち寄った地元に新しくできたちっちゃな飲み屋がまずまずおいしい店でいい感じだった。とくにサバの刺身が、よく脂が乗ってて美味しでござった。やっぱりうまいもんってのは塩と脂なんだなー思ったりします。そういうものをここぞというときに心置きなく食っていけるよう、日々運動とかしていかねばと決意を若干新たにしたことでございますにょー。

▼28日売り
【雑誌】リトルピアス 1月号 東京三世社 A5中
▼29日売り
【雑誌】快楽天 1月号 ワニマガジン B5中
【雑誌】エンジェル倶楽部 1月号 エンジェル出版 B5平
【アンソロジー】地獄の季節 一水社 A5平 [Amzn]
▼1日売り
【雑誌】COMICパピポ 1月号 フランス書院 A5

【雑誌】モーニング 12/11 No.52 講談社 B5中

 読切掲載の奥井浩生「こちら平大助鍼療所」は、ぼーっとしているようだけど腕利きの鍼灸師が、治療を通じて親子の心をときほぐす物語。作者自身も鍼灸師であるという経歴は異色。漫画としても絵柄が素直で、けっこうきっちり作ってあるなという印象。うめ「ちゃぶだいケンタ」。久し振りにサワがわりと多めに出てきていい感じにかわいかった。でも日向子の行動は不穏。

【雑誌】ヤングサンデー 12/11 No.52 小学館 B5中

 山田たけひこの新連載が開始。「初蜜」。いやー、この人の作品は相変わらず不思議な感触だ。キャラの表情はまるで貼り付けたみたい、女性キャラの体はグラマラス。その取り合わせの違和感がなんか楽しいようなそうでもないような……。なんだかんだで味はある。山口かつみ「オーバーレブ!」。やっぱり最近出てきてた走り屋の戸叶尚って、横浜ベイスターズ→オリックス・ブルーウェーヴの戸叶だったんだなー。

【雑誌】ヤングジャンプ 12/11 No.52 集英社 B5中

 作:外薗昌也+画:別天荒人の読切「ガールフレンド」が掲載。兄の恋人である女の子に惹かれてやまない少年の、甘酸っぱい体験を描いた作品。決着のつかない二股話でもどかしさはあるんだけど、女の子が魅力的に描かれているのはよろしーんではないでしょうか。高橋陽一「キャプテン翼ROAD TO 2002」。翼……ヘディングしろよ……。それ普通ファールだぞ。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 12/11 No.52 秋田書店 B5平

 上山道郎が初登場。「憑鬼忍法帖 雷悟」前編。ワケアリで逃亡中の少女を助けた、発電体質の少年・雷悟が、追手の化物とバトル。アクションが派手で作りはしっかり。これを機会になんか連載とかでもしてくれるといいんだけど。

【単行本】「ラブ・クラシック」 比古地朔弥 太田出版 B6 [bk1][Amzn]

 いやあいいですね。色気があって。この本はマンガ・エロティクスFに掲載された短編5本と、描き下ろしの「白花曼珠沙華」34pを収録。判型ばB6なのはちょっと意外だった。で、内容のほうだけど比古地朔弥ならではの艶めかしい描線が威力を発揮し、どの作品も読める。それぞれのお話は叙情たっぷりなんだけど、物語の骨格もしっかりしてて一つ一つのモノゴトを描く手際も確か。どの作品も「しのぶ恋」と申しますか、こそこそとエロいことをしている様子で、なんかすごく風情あります。例えば巻頭の「背中合わせのリルケ」なんかは素晴らしい出来。昭和30年代。駅のホームの椅子に腰かけ毎日朗読をしている少女と、その声に惹かれ、その背中合わせの席でそれを聞き続ける少年。そして芽生えるほのかな恋心。顔も見ない、もちろん直接触れ合うことなんかない。そんな二人の気持ちのやりとりを実に美しく描いてて、しかもエロチックな風味もしっかりあって、とてもいい。大胆で細やかで、比古地朔弥の作家としての地力を感じさせる本であります。


11/26(水)……ソーラー遺伝

▼28日売り
【雑誌】阿ウン ヒット出版社 1月号 B5平
【アンソロジー】アイラDELUXE VOLUME.17 三和出版 A5平 [Amzn]
【単行本】「日々そりゃ妄想」 なめぞう 桜桃書房 A5 [Amzn]
【単行本】「ひそひそ遊び」 ほしのふうた 東京三世社 A5 [Amzn]

【雑誌】少年エース 1月号 角川書店 B5平

 吉崎観音「ケロロ軍曹」が毎回安定して芸達者ぶりを発揮。今回はケロロたちが動物を人間に変える装置でいろいろやるが……というお話。パンダの女の子がかわいいでござんすね。しっかりキャッチーで締め方もキレイ。天津冴「がぁ〜でぃあんHearts」。なんか徹頭徹尾バカバカしくて、なんだかんだ楽しく読んでしまっている。ゴツボ×リュウジ「ササメケ」は第一部完。まあ予想通りというかなんというか、やりたい放題な締めくくり。この作品の場合、サッカーのプレーシーンは正直イマイチだったので、ドタバタギャグメインの回のほうが面白い。まあ多少空回り感はあったりしますが。ただ正統派なアクション描写はちゃんとできるようになっといたほうが後々の財産になると思うので、おちゃらけや雰囲気だけで流そうとせず、単発の決めポーズだけでなく動きを気持ち良く見せられるだけの基礎力は磨いておいてもらいたいなーと思う。このままで進歩が止まっちゃうと、絵柄が新しくなくなった時点で飽きられちゃうかも……という不安はある。

【雑誌】ガンダムエース 1月号 角川書店 B5平

 ここのところ雑誌全般的に低調。安彦良和「機動戦士ガンダムTHE ORIGIN」はジャブロー編に突入。今回はミライさん(と子供たち)の入浴シーンとかもありだ。それにしても意外と黒い三連星の顔とか忘れてるもんだなあ。どれがガイアでどれがマッシュでどれがオルテガだったっけ……とか考えてしまった。

【雑誌】コミックガム 1月号 ワニブックス B5平

 曽我部としのり「あまえないでよっ!!」がいい感じです。ツヤのあるフレッシュな絵柄が生きて、ちょいHな描写ありのドタバタラブコメストーリーとして楽しく展開できている。この人の作画はやっぱパッと目を引くし、サービスシーンもたいへんキャッチー。でも健康的でカラッと明るいのがイイと思う。きづきあきらの短期集中連載「シロクロ」。天使と悪魔のサシガネで、二人の女の子にモテモテになってしまった優柔不断な少年は、文字通り目をシロクロ。きづきあきらの新しい絵柄には最初びっくりしたけど大分慣れてきた。お話としてもテンポ良く、雑誌カラーにマッチしてるんじゃないでしょうか。

【雑誌】スーパージャンプ 12/10 No.24 集英社 B5中

 徳弘正也「狂四郎2030」。生身のSEXの味を知った狂四郎と志乃はその虜になると思いきや……。エロシーンを入れつつもそれがしっかりストーリーの本筋にからんでいるあたりはうまいなーと感心。物語の吸引力が強く毎回とても面白い。

【雑誌】週刊少年サンデー 12/10 No.52 小学館 B5平

 藤田和日郎「からくりサーカス」。すっかり変わってしまったナルミを前に、しろがねは自分を責める。ドラマチックな演出にググッとくる。やっぱ面白い。 モリタイシ「いでじゅう!」。最近ラブコメ度強いっすね。そういうときにスパッと目が引き寄せられてしまう自分が憎い……っ!とは別に思わない。いやーいいんじゃないすかね、楽しくて。

【雑誌】週刊少年マガジン 12/10 No.52 講談社 B5平

 小川悦司「フードハンター双雷伝」が本誌連載に。伝説の食材を求めて冒険を繰り返すフードハンターたちを描いたアクショ〜ン漫画。初っぱなから桃がはじけて巨乳が揺れた! とりあえずハッタリが利いててけっこう面白いです。 宗田豪「天才料理少年 味の助」。ウホッ!しょうもないオチ……。今回は「何なんだキミたちは!!何考えてるんだ!!ここは人の家だぞ!!」のシーンで爆笑。味の助もそんな回りくどいことやってないで、一緒にメシ食ってやるとかしろよと小一時間。というか結局のところ料理はなんでも良かったんじゃないかなー。鍋物とかのほうがいいんじゃないでしょーか。などとツッコんでも始まらない漫画ではある。相変わらずおいしいお汁がたっぷりだぜ。あと今号には若宮弘明の「ハートフルH読み切り」であるところの「たんぽ」2話めも掲載。Hネタありなわりにはちょっと散漫なような。

【単行本】「エマ」3巻 森薫 エンターブレイン B6 [bk1][Amzn]

 あー。「ヴィクトリアンガイド」[bk1][Amzn]読んでから一緒に書けば良かったかも……。まあいいか。

 この巻は離れ離れになったエマとウィリアムぼっちゃまの姿をそれぞれ描写。エマは新しい奉公先へ、ウィリアムぼっちゃまは別れを経験してちょっと強くなり腹にイチモツ抱えつつも上流階級としての活動に精を出し始める。どちらのフェーズも丁寧に描写されててしっかり面白い。中でもエマの新しい職場での奉公人たちのパーティが行われる回は良かった。唐突な感じもちょっとあるけど、すごく楽しそうに描いている回で読んでいるほうとしてもウキウキしてくる。あと珍しく酒を飲んだエマも色っぽいし。エマの造形は、奇をてらったところがない、ごくスタンダードなパーツの集まりで一人の美人を構成しているのがいい。作品全体にいえることだけど、媚びすぎず出しゃばらず抑えすぎず、上品で適度なバランスを常に保っている。その中でときに作者の趣味を、さりげなく、かつ色濃く盛り込んでみたり。そこらへんのバランス感覚の良さが最大の長所かもしれない。


11/25(火)……生きて慟哭

▼漫画感想追加しました。

▼小学館の雑誌定期購読サービスって送料無料なんですな。今まで存在に気づいてなかった。うかつ。漫画雑誌で定期購読をやってるのはサンデーGX、IKKI、フラワーズ、Judy。まずはサンデーGXとIKKIを申し込んでみました。フラワーズは今申し込むと11月28日発売号からの開始になっちゃって、「最初の号はご入金日から約14日後にお届けします。(発売日にお届けできないことがあります。)」と書いてあるので、12月発売号からの購読に切り替わったタイミングで申し込み予定。三誌とも厚みがある本なので、これがメール便で済むっていうのはけっこううれしい。

▼ちなみに集英社の定期購読は、今のところ漫画はウルトラジャンプとYOUが送料無料で購読できる。講談社の定期購読は漫画はなしか……。アフタヌーンやってくれるといいんだけどなあ。マガジンZあたりもネットから申し込めるんなら、たぶん定期購読するようになると思うんだけど。

▼あとこれも最近になっていた気づいたんだけど、今度は楽天アフィリエイトに検索窓リンクができていたのね。ってなわけで23日の日記で触れたbk1ランキングに続いて、トップページの左っかわの欄に設置してみた。楽天で売上が上がったことはあんまりないんだけど、ただ貼っつけておくだけなんでまあ損するわけでなし。小銭稼ぎばかり狙いやがって……と思われるかもしれないけれども、塵も積もれば山と申します、平にご容赦を。

▼未読物
【単行本】「エマ」3巻 森薫 エンターブレイン B6 [bk1][Amzn]
 「ヴィクトリンアンガイド」[bk1][Amzn]のほうはネット書店で注文済み&到着待ち。まあゆっくり読み込んだほうが良さげな本っぽいし、急ぐこともねーべなーという感じです。

【雑誌】月刊IKKI 1月号 小学館 B5平

 今号から鬼頭莫宏が登場。相変わらず完成品を持ってくる雑誌だ。そしてこの雑誌に来ると、他誌で描いていたときよりも輝きが弱まっちゃう人が多いように思えてしまう……。IKKI前まであまり実績のなかった林田球、原一雄あたりは伸びてると思うし、他誌で活躍してたメンツも個々の作品を読むとちゃんと面白いんだけど、雑誌全体で見るとあんまり動いている感じがしない。もしかするとキッチリ作りすぎてるのかもしらんですな。なんか細部までキッチリした作品が多くて、読んでてちょっと窮屈。個人的には、メシ食いながら片手間で読んでても否応なしに引き込まれちゃうような、いい意味で大ざっぱな作りの「閉じてない」漫画ももう少しほしい。

 で、鬼頭莫宏の新連載「ぼくらの」は、15人の少年少女たちが海辺で過ごす夏の物語。怪しい青年の導きで彼ら彼女らは、巨大ロボを操り敵を倒すという「ゲーム」をやることになる。なんか最初から不穏な空気バリバリでググッと引き込む。まずは思わせぶりで面白げではある。ただ15人はちと多すぎかなあ。全員の名前を覚える自信はない。望アキラ「幻影の記録」。ボランティアでやってきた看護婦のマナと、地雷によって腕を失い、「ないはずの部位が痛む」幻肢痛に苦しむ少年の心の触れ合いを描く。シリアスなテーマに挑んだ真摯な作風で、読みごたえはある。ただ個人的にはこの内容だともう少しお話は詰め込んで、テーマを掘り下げたほうが良かったかもという感はある。ちとラストのあたりが叙情的に過ぎて、消化不良気味な気がした。生真面目な絵柄とかも含めて、ちゃんと作ろうとしている意欲は伝わってくるのだけれども。

【雑誌】アフタヌーン 1月号 講談社 B5平

 とよ田みのる「ラブロマ」がコンスタントにとても良い。いつもの二人のいつもの光景という感じなのに、いつも新鮮な驚きに満ちてます。二人が出会って世界が輝き出す。たいへんうらやましいが、二人とも気持ち良い性格なので妬ましい気分にはならない。ひぐちアサ「おおきく振りかぶって」。こちらもなかなかいい調子で来ております。野球部の人間ドラマがすごく興味深く描けている。登場人物が隙だらけな感じな点も、物語の入っていきやすさにつながっていると思う。

 二宮ひかる「犬姫様」は、ちょっと予想外の展開になって面白くなってきた感じ。高橋ツトム「爆音列島」。なるほど、抗争にはこうやってカタがつくのか。いかにもありそうな顛末は、現実との地続き感たっぷり。熊倉隆敏「もっけ」。隔月掲載だと載るたびに久しぶり感があって新鮮に思える。内容も毎回取っ付きやすく、いい感じの余韻も残してくれる。植芝理一「夢使い」は次号で最終回。ありゃ、もう少し続きそうな感じはしてたんだけど。長めのエピソードは面白かったが、個人的にはもう少し一話か二話で完結するくらいの単発エピソードがぽこぽこあっても良かったかなーと思う。

 四季賞作家・内藤曜ノ介の初のシリーズ連載「ラヂオヘッド」。ああオオトモだオオトモだ。いやーなんかもう今どき珍しいくらいに大友克洋直系。人間の心の中に入り込む超能力の持ち主二人が、脳内世界でバトル。片や宮内庁の電波対策室所属のミヤタという女性、片や強烈な力を持つ孤独な少女。なんだかとても懐かしいモノに出会ったなという感じ。 四季賞2003年秋のコンテスト大賞受賞作、岡戸達也「忘れる羊」は、うだつの上がらない冴えない主人公の山田と、刈れとコンパで知り合ったちょっとほかの友達から浮き気味の女の子・ななが二人が、山田の車でドライブに出る。別に取り立てて親しくなかったわけではなかったが、その短い時間が不器用な二人を結びつける。実直な作風で読後感はなかなか爽やか。ええ感じの青春物語に仕上がっている。ただちと地味な感じはするので、もう少しキャッチーな目立つ部分があっても良いかも。

【雑誌】イブニング 12/9 No.19 講談社 B5中

 弘兼憲史「ヤング島耕作」。島は若いころからスゲエ。他人のミスをかぶって得意先の人のゴルフクラブを自分が折ってしまったということにした島だが、あれよあれよという間に最悪の事態が好転して、結果的には超ラッキーな状態に。わらしべ長者か……。この人が総理大臣とかになってないのが不思議なくらいだ。吉田基已「恋風」。今回はお兄ちゃんがさらにみっともない状態に。いやー、いじめるねえ。毎回目が離せません。富田亜紀良「NIGHT BLOOD」では、やり手マダムが亮を狙ってKIDにやってくる。なんかいろいろ波乱がありそう。安定した仕事ぶりでしっかり読ます。

【雑誌】ヤングチャンピオン 12/9 No.24 秋田書店 B5中

 葉月京「恋愛ジャンキー」。地井さんがノーブラでエイタローの家におしかけたりして攻勢をかけております。といってもメインは、エイタローがキャバ嬢(だったっけか)のつくすちゃんから娘さんを預けられちゃって右往左往するという話だったりするんだけどね。まーとにかく早いとこ地井さんとくっついてくれい。

【雑誌】近代麻雀ゴールド 1月号 竹書房 B5中

 新連載、作:松橋犬輔+画:南波捲「最強の系譜」は、竹書房主催の最強戦決勝の歴史を振り返るという内容のモノ。で、初回は桜井章一の代役として出場した片山まさゆきが優勝をさらったときのエピソード。まあ普通にきっちりドキュメントとしてまとめてるという感じかな。手堅い作品になりそう。登場人物たちの表情は時折やけに濃いです。みやわき心太郎「○界麻雀」(協力:堀達哉)。扉では○だけど最終ページになると○に入る文字が分かる。子供の頃になくなった父親とのつながりを求めて麻雀をやるうちに、最強戦で優勝してしまった女性作家のお話。ラストの突然の展開がシュールで、さすがみやわき心太郎という感じ。ただ今回は比較的電波度は低めか。画:秋重学+作:安田潤司「東京最終回」は最終回。なんとなく分かったような分からんような……という感じの締め。

【雑誌】手塚治虫マガジン 1月号 KKベストセラーズ B5平

 今月号から「火の鳥」鳳凰編が掲載開始。90ページ掲載されてるけどやっぱり読ませるなあ。そのほかにも「ブラック・ジャック」「鉄腕アトム」「リボンの騎士」「どろろ」「インセクター 蝶道は死のにおい」「荒野の七ひき」と、なんか掲載されてる作品がみんな面白い。しかもSFあり、少女漫画あり、医者モノ、ロボットモノなどなどすごくバラエティに富んでるし。読むたびにそのオールラウンダーぶりに感心してしまう。

【雑誌】ビッグコミック 12/10 No.23 小学館 B5中

 いつも変わらぬ安定感。とくに楽しみにしているのは、なかいま強「黄金のラフ〜草太のスタンス〜」と、けっこう魚介類の勉強にある作:鍋島雅治+画:はしもとみつお「築地魚河岸三代目」。あと今号では業田良家「男の操」でパパさんにモテ気配が出てきて、お話が動き出したな〜という感じ。

【雑誌】漫画サンデー 12/9 No.47 実業之日本社 B5中

 作:末田雄一郎+画:本庄敬「蒼太の包丁」は、和食料理屋を舞台とした板前修行物語。派手ではないが骨組みがしっかりとした作品となっていてけっこう楽しめる。本庄敬は何気にけっこう手堅い。

【雑誌】BJ魂 1/1 No.16 集英社 B5中

 読切で登場した左日向道照(さひなた・みちてる)は、絵柄からして中村慶吾→高柳ヒデツ→膝枕カカトの人と同一人物なんでしょうなあ。で、今回の「らぶ♥ぱん」は、イヤイヤながら巨乳グラビアアイドルをやっている女の子と、彼女を元気づけるためにそのストレス解消役となっている肉体派マネージャーの二人がメインのコメディ。巨乳アイドルの人が撮影のたびにイライラして、マネージャーにパンチを喰らわすというあたりの絵づらはキャッチー。といっても別に女の子のほうが性悪なわけじゃなくて、あくまで健康的な良い娘さんとして描かれているのでほのぼのします。七瀬あゆむはBJ魂初登場。とあるフリーライターの青年の引越先は、お隣さんが元グラビアアイドルで……というドタバタ4コマ。なんかグラビアアイドルが続きますな。まあ4コマってことで明るく気楽に読めます。


11/24(月)……男たちが落っこった土地

【単行本】「ウホッ!!いい男たち ヤマジュン・パーフェクト」 山川純一 第二書房/ブッキング A5 [Amzn]

 ネットで爆発的に流行した「ウホッ!!いい男……」の元ネタとなった「くそみそテクニック」をはじめとした、山川純一の作品を収録した作品集。正直なところ、最初は買おうか迷った。だってこれ、消費税合わせると5000円超えちゃうし。あとWebで注文するのもなんかめんどくさいとか思っていた。でも11月16日のコミティアに行ったらジュンク堂の出張販売コーナーに置いてあって、イベント時の勢いに任せて購入してしまった。やっぱり実際に目の前にあるとなんだか欲しくなっちゃうもんです。

 で、内容のほうだけど、まあご存じのとおり男たちがガチンコで絡み合うホモ漫画です。時折「すげー」と思う作品はある。例えば兄と肉体関係にあった弟が、兄の結婚式に乗り込んでいって公衆の面前でホモセックスを繰り広げる「ひとつの青春が終わった」とか。この作品はタイトルもなんか笑える。でも、全般的にはすごい面白いってほどではないかなーという印象。いやもちろん独特の言語センス、あっけらかんとして悪びれない明るさはユニークではある。あとどこかほのほのした雰囲気も楽しい。だからいじって遊ぶにはもってこいだと思う。ただし、いじって楽しむ面白さと、作品としての面白さってのは別モノであることも確か。読むと意外と淡々と読めちゃうし、500ページ以上あるのでだんだん飽きてくるってのはある。もともとそっちの趣味の人たちが実用目的に読むという作品でしかなかったと思うので、ストーリー的な妙味よりもヌキに重きを置いているのだろうし。一読する価値はある。でも二読三読するかっていうと……うーん、しないかな。ところでこの人の作画って、何気にけっこう古い少女漫画の面影があるなーとかちと思ったりした。


11/23(日)……滝沢E-DENパンチ

yama-gat siteを見て「へぇ〜こんな機能もあったんだ」と思い、マネしてトップページの左っかわのスペースにbk1のランキングを貼っつけてみました。ウチは当然マンガのランキングで。これはランキングを10件まで表示できるし、並ぶ本もあんまり偏ってない感じでAmazonのライブリンクよりいいかも。てなわけでbk1のほうを上側に配置。本当はこういうライブリンクみたいな奴で、「本日発売の本」「昨日/今日/明日発売の本」とかあるといいんだけど。

▼こういうのを付けてみると思うんだけど、そろそろトップページの構成要素はもう少し整理したほうが良さそう。せっかくランキングとかくっつけても、かなり下までスクロールさせないとそれが見えないし。

【単行本】「喰いタン」3巻 寺沢大介 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 今号も探偵が食いまくり。事件のほうはわりとどうでもいいが、この食いっぷりはいつもながら見てて非常に痛快。これ見てるとすごくメシを食いたくなってくる。食事には味を楽しむ質の快楽と、五臓六腑に詰め込む量の快楽があるけど、高野の質量ともに充実した満喫ぶりを見ているとたいへん羨ましくなる。やっぱりほら、こういうのは楽しんだもんがちだと思うんすよね。あと高野の喋りもやはり面白くて、秘書のねーちゃんとのかけ合い漫才みたいなやり取りがたいへん楽しい。なおこの巻はいつもより読者サービスが増量されております。でもこの後はしばらくイブニングの連載が「ミスター味っ子II」になっちゃうので、「喰いタン」は中断。今は「喰いタン」のほうが面白いと思うので残念。

【単行本】「EDEN」10巻 遠藤浩輝 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 お話はしっかり進んでいるんだけど、いろんなキャラたちが入れ替わり立ち替わりするので、全体はつかみづらいかあなという巻。エリヤが愛した女・ヘレナについては「やっぱり……」とみんな思ったのではないかと。女性刑事のアローナとエリヤはわりといいコンビになりそうな気配も。

【単行本】「バガボンド」18巻 井上雄彦 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 一刀斎の導きで、いよいよ小次郎が外の世界へ。そして待っていた一つの邂逅。小次郎の天才的な剣技や精神性が際立って、この巻も安定してカッコイイ。今後、小次郎と武蔵がどういう道をたどり、そして勝負するのか。たいへん楽しみ。まあそれはずいぶん先の話になるのだろうけれども。

【単行本】「ブラックジャックによろしく」7巻 佐藤秀峰 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 ガン医療編が続く。正直なところこの濃い演出にもだいぶ慣れてきて、最初のころのような衝撃はなくなってきているけれども、重いテーマに真っ向からぶつかっていく姿勢は健在。ガンとどう向かい合っていくのか正しいのか、たぶん答えは出ないんだろうけれども、現場の必死さ、諦念などなどが伝わってくる物語はやっぱり熱い。


11/22(土)……電気一途

▼未読物
【単行本】「喰いタン」3巻 寺沢大介 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「EDEN」10巻 遠藤浩輝 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「バガボンド」18巻 井上雄彦 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「ブラックジャックによろしく」7巻 佐藤秀峰 講談社 B6 [bk1][Amzn]

【雑誌】ヤングキング 12/15 No.24 少年画報社 B5中

 吉野ケイイチ「チキンデイズ」が最終回。ラストまでオーソドックスにラブコメしてていい感じでございました。こういうひねこびてない作品は読んでて気持ちがいい。なお吉野ケイイチはNo.4から新連載開始予定とのこと。「シリーズぎゃるこめ」枠ではいつものH系の人とは打って変わって渡辺電機(株)が登場。「アリサとアルナ」。ヒッチハイク中の女性二人が行き当たりばったり、各所で騒動を巻き起こすというコメディ。クッキリとしたコミカルな絵で明るく楽しく。手堅いです。花見沢Q太郎「ももいろさんご」。新キャラの水族館勤務・かれいさんもなかなかかわいくてええですのう。ちなみに今回はHなし。

【雑誌】ヤングマガジン 12/8 No.52 講談社 B5中

 蓮古田二郎「しあわせ団地」。そうかー、そういえばこの夫婦ってセックスレスだったんだ。今回は妊娠がらみのお話なんだけど、はじめってけっこう凄いかも……と思った。ピュアだよね。はた迷惑なくらいに。克・亜樹の短期集中連載「ラブ♥らっきぃ」は最終の3話め。お見合いパーティで知り合った女性と結婚したらそれが憧れのアイドルで、という漫画。克・亜樹らしいムチャな設定が素晴らしいと思う。ちなみに「克・亜樹先生はこの後の話も構想中」とのこと。さすがだ。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 12/8 No.52 小学館 B5中

 ヒラマツ・ミノル「アグネス仮面」がしっかり面白い。アグネスと尾崎の対決が白熱している様子も燃えるし、その裏でなんか虎嶋がしょうもないことをしているのもいい。虎嶋はおいしすぎだ。小田扉「団地ともお」。ともおの行動も面白いけど、今回は作中テレビ番組の「スポーツ大佐」がかなり良さげではなはだしく気になった。なお単行本が2月発売予定らしい。さすがに週刊だとスパッと出ますね。コージィ城倉「ティーンズ・ブルース」。なんか最近、麻美にグラビアアイドルの話が舞いこんできてて嫌展開じゃなくなってきている。これまでカタルシスが全然なくてどんどん深みにハマっていく嫌展開の連続が面白いと思っていたので、ちょっと浮き上がる目が出てきたここのところの展開にはやや不満。でもやっぱり読んじゃう。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 12/8 No.52 集英社 B5平

 作:稲垣理一郎+画:村田雄介「アイシールド21」。アツくて燃えますな。ラインの3人組がらみのエピソードは雑草魂って感じでいつもけっこういい。脇役がこうやって生きてくると厚みを感じます。和月伸宏「武装錬金」は、ブラボーさんの「伊達や酔狂でこの格好をしているとでも思ったか?」というセリフに対する 斗貴子&カズキのリアクションが笑えた。シリアスとギャグを織り交ぜるテンポが絶妙だなー。河下水希「いちご100%」は修学旅行編。真中と北大路さんが風呂場に二人閉じ込められて、北大路さんが全裸で誘惑……というシチュエーション。うーんなんか北大路さんが必死すぎて最近ちと痛々しい。

【雑誌】LaLa 1月号 白泉社 B5平

 森生まさみ「おまけの小林クン」。みんなには内緒で付き合うことになった吹雪と健吾が遊園地でデート。そしたらほかのメンツもなぜか遊園地に来ていて、鉢合わせしないようにアタフタ……。今どきこんなことやるかという王道ラブコメ展開が、かえって新鮮でとても良い。ラブコメはやっぱこうでなくっちゃね。それにしても小林大和くんのほうは、こうなると本当に「おまけ」っぽい。不憫な。なかじ有紀「ビーナスは片想い」。保母さんのアルバイトを通じて紗菜が成長中。小細工なしできっちりお話を作ってていい感じでした。

【雑誌】ドルフィン 1月号 司書房 B5中

 くどうひさし「ままらま」。とある女の子が町で拾った、モノホンちんこみたいな不思議な物体から出てきたものは……というわけで今回はわりとバカ話系。純愛モノもバカ話もしっかりこなせるし、絵も好感度が高い。今月は巻頭カラーだし調子イイです。巻中カラーは吉田蛇作「雨の夜」。こちらも安定感あり。つるりんとした顔つきのちょっと太めな女の子が健康的でいい。あわじひめじ「コスプレだった2」。これは2002年10月に出た別冊コミックドルフィンに掲載された「コスプレだった。」の続編。コスプレを通じて結ばれたカップルが、「ONE PIECE」っぽい漫画の衣装でエッチというお話。ほのぼのしてていいですのう。ヒロインのめがねっ娘もかわいいし。

【雑誌】純愛果実 1月号 光彩書房 A5中

 ゼロの者「妹恋愛値」は後編。それまで何かいらつく存在であった妹が、お気に入りのエロゲーのヒロインの髪型をマネしてきたことをきっかけに、彼女を襲ってしまった主人公。最後はきれいに兄妹がくっついてハッピー・エンド……といっていいのかな。まあ社会的に見るとハッピー・エンドとはいいにくいかもしんないけど。ゼロの者独特のトロけるような女体描写は健在で、しっかり読めました。つつみあかり「あねルギー」。タイトルどおりの姉もの。しっかりラブラブH。乳が大きめで、明るい絵柄とかは個人的にけっこう好み。


11/21(金)……魔月館で髷掴んだ

▼マンガ・エロティクス&Fの掲示板「F& EROTICS SQUARE」によると、今月発売予定だった卯月妙子の新刊「実録閉鎖病棟」は延期になった模様。作者コメントでは2月発売を目指すとか。また今週末あたりから比古地朔弥の新刊「ラブ・クラシック」が店頭に並ぶというアナウンスあり。これはチェックし忘れてた。まだAmazonにもbk1にもないな……。普通の書店だと週明けくらいかなー。

▼仕事から帰宅途中、道端にバナナの皮が落ちていて、なんだかほんのりうれしい気分になりました。

【雑誌】コミックバンチ 12/5 No.51 新潮社 B5中

 長谷川哲也の新連載「青狼記」が連載開始。楡周平の小説を漫画化したもの。中国っぽい架空の大陸を舞台とした戦記物。その大陸で覇を争う五国のうち、最も小さい「楽天」という国の軍師の息子・超浚が主人公。骨太な絵柄で男臭い世界が展開される。激しくハッタリが利いてて濃い味。なかなか面白くなりそう。日高建男「満腹ボクサー徳川。」。藤堂の前に窮地に追い込まれた徳川が反撃の一手。カッコイイですな。

【単行本】「U-31」1巻 画:吉原基貴+作:綱本将也 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 面白い。サッカー漫画は野球漫画に比べるとまだ熟成が進んでいないジャンルだが、こういうスタンスの作品も出てきたのだなあと思った。主人公の河野は、日本代表がオリンピックでブラジルを破る金星を挙げたときのヒーロー。しかし今は27歳、名門チームから戦力外通告を受けて、かつて見捨てた古巣に客寄せパンダとして引き取られた身。ポジションも若いころはFWだったが今はボランチ。どん底まで落ちたサッカー選手が、再起、そして代表復帰を目指して努力を重ねていくというストーリー。「U-31」というのは「アンダー31」のこと。かつてJリーグや代表で活躍したが、旬が過ぎてしまった選手にスポットライトを当てるという渋みのあるお話。

 この設定だと、どうしてもかつて一世を風靡して増長、凋落の一途をたどっていった前園や城といった実在の選手たちのことが思い起こされる。たぶんこの作者さんはそういった選手たちがいまだ好きなのだろうし、彼らにもう一度夢を見せてもらいたいと思っているんじゃなかろうか。だからキツいお話ではあるんだけど、愛も感じられるし、そこが作品の魅力ともなっている。漫画としての出来もなかなか。とくに河野の復活への道を密着取材したTVのドキュメンタリー番組形式で進む第5話は、いかにもNUMBERとか、スポートイラストレイテッド雑誌的な雰囲気がよく出ている。あと単行本の最後に、サッカー雑誌編集長コラムみたいなのが掲載されてて、これもいかにもソレっぽい。作画は洗練されているとはいえないかもしれないけれども、確かなペンタッチで力強い。お話もそれに負けず芯がしっかりしてて読みごたえがある。かなりなサッカー好きな人が作った作品という感じで、マニア層も十分楽しめると思う。

【単行本】「ジャイアント」5巻 山田芳裕 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 米国で2年目を迎えた巨峰はいよいよメジャーで勝負することになるが、代理人にだまされて巨額の借金を背負うハメに。そこから彼の苦境が始まっていくが……。パワフルなプレー描写は健在だが、この巻は主人公が苦しむあたりなので、カタルシス爆発なシーンはあんまりない。でもそうやってためてためて見せ場で一気にドカーンというのがこの作品の持ち味。今後の巨峰大爆発に期待。

【単行本】「硫伽といた夏」4巻 外薗昌也 集英社 B6 [bk1][Amzn]

 最終巻。なかなかいいお話でした。歴史の流れを変えるために未来からやってきた少女・硫伽と、主人公・貴士、そして貴士の妹である弥衣らの姿を描いていく。SF的な要素がふんだんに盛り込まれた、愛の物語でありました。SFアクション的なあたりはけっこうガチンコで、それからラブストーリー的な部分もしっかりと盛り上がる。とくに貴士に対して妹の弥衣や硫伽あたりがトキめくあたりは、甘さ切なさが濃い目で心地よい。青春物語としても、甘さと苦さの同居するいい出来。良い作品だったと思います。

【単行本】「魔月館奇譚」1巻 井荻寿一 秋田書店 B6 [bk1][Amzn]

 井荻寿一の描く女の子はやっぱりイイねえ。お話としては、上京したてでお金のない主人公の優平が、美人の管理人さん目当てで格安物件に入居。そこはツギハギ娘や雪女、ヴァンパイアなどが住むモンスター屋敷だったのでした……というところから始まるドタバタコメディ。とくに大きな筋はないんだけど、女性キャラがみんないい。個人的にはオーソドックスな美人タイプの管理人の月子さんが良いと思うが、ツギハギメイド娘のロビンちゃんもいい感じです。

【単行本】「バトル・ロワイアル」11巻 作:高見広春+画:田口雅之 秋田書店 B6 [bk1][Amzn]

 この巻は、杉村と彼が慕う少女・琴弾さんのエピソード。杉村の想いが通じて二人はようやく出会うが、そこに魔人・桐山の魔手が迫る。この巻あたりになると残り人数も少なくなってて、殺し合いよりも残ったメンツ同士の駆け引きや交わりが中心となってくる。それにしても11巻ってのはやっぱり多いよなあ。このぺースだと全部で15巻以上は行くかな。

【単行本】「ネコの王」5巻 小野敏洋 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 これにて最終巻。途中まではパンツ、乳、スクール水着〜ってな感じでお色気サービスもたっぷりだったが、最終巻はそういう要素はあんまりなく、むしろ熱血な展開。アクションも派手でけっこう盛り上がった。全体としてはまあ雑然としてはいたけれども、最後までいろいろ楽しめはした。

【単行本】「学園アリス」3巻 樋口橘 白泉社 新書判 [bk1][Amzn]

 現代日本を舞台とした魔法学園モノ。まあ魔法というか超能力なんだけど。この巻はわりとシリアスで、ツンケン坊やの棗がさらわれて、蜜柑たちが救出のため奔走する。ここで一気に棗たちとの距離も近づくといった感じ。特殊能力を持ったかわいい少年少女がわきわき動き回っている様子がかわいくてよろしいのではないかと。


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