2003年6月中旬


6/20(金)……藻と鯉

▼7月の購入予定。リンク先はこれが最後になってしまうのか……bk1の新刊予約コーナー。7月は長年待望していた単行本が二つ。まず一つがツギノツギオ「サルハンター」。そしてもう一つが福満しげゆきの初単行本「まだ旅立ってもいないのに」。ベギラマ「乙女失格」が単行本化されるのも望外の喜び。

7/上 「ファイヤー・ワークス」 水野純子 イースト・プレス
7/1 「木島日記」3巻 作:大塚英志+画:森美夏 角川書店
7/1 「木島日記」4巻 作:大塚英志+画:森美夏 角川書店
7/1 「進め!聖学電脳研究部」 平野耕太 角川書店(→9月に延期)
7/4 「彼岸島」3巻 松本光司 講談社
7/4 「2人暮らし」2巻 市川ヒロシ 講談社
7/4 「地獄大甲子園」 漫☆画太郎 集英社
7/5 「なんてっ探偵アイドル」13巻 北崎拓 小学館
7/5 「学園アリス」2巻 樋口橘 白泉社
7/5 「乙女失格」 ベギラマ 三和出版
7/7 「おうどうもん」2巻 せきやてつじ 竹書房
7/7 「チカマニアックス」 おがきちか 大都社
7/8 「ハートを打ちのめせ!」2巻 ジョージ朝倉 祥伝社
7/9 「りんりんDIY」3巻 大石まさる 少年画報社
7/9 「ワイルドリーガー」9巻 渡辺保裕 新潮社
7/9 「ワイルドリーガー」10巻 渡辺保裕 新潮社
7/9 「イケてる刑事」6巻 佐野タカシ 少年画報社
7/中 「紺野さんと遊ぼうファイナル」 安田弘之 太田出版
7/中 「サルハンター」 ツギノツギオ 太田出版
7/中 「俺は男だ!」 舞登志郎 オークス
7/10 「ARIA」3巻 天野こずえ マッグガーデン
7/10 「SEE-THROUGH ANGEL」 NEO GENTLE 茜新社
7/15 「BAD SLAMMERS」2巻 ジャム王子 ヒット出版社
7/17 「先生とボク」 かるま龍狼 松文館
7/18 「魔法少女猫たると」3巻 介錯 集英社
7/18 「パンテオン」2巻 榛野なな恵 集英社
7/18 「プレゼント」 いくえみ綾 集英社
7/18 「焼きたて!!ジャぱん」8巻 橋口たかし 小学館
7/18 「美鳥の日々」3巻 井上和郎 小学館
7/19 「吼えろペン」8巻 島本和彦 小学館
7/19 MANA ver.HARD VOLUME.3  三和出版
7/下 「Hのある風景」  光彩書房
7/下 「ワイルド7愛蔵版」11巻 望月三起也 実業之日本社
7/下 「ワイルド7愛蔵版」12巻 望月三起也 実業之日本社
7/下 「まだ旅立ってもいないのに」 福満しげゆき 青林工藝舎
7/23 「ブラックジャックによろしく」6巻 佐藤秀峰 講談社
7/23 「蒼天航路」28巻 王欣太 講談社
7/23 「ジャイアント」4巻 山田芳裕 講談社
7/23 「恋風」3巻 吉田基已 講談社
7/23 「なるたる」11巻 鬼頭莫宏 講談社
7/23 「空談師」3巻 篠房六郎 講談社
7/23 「ラブやん」2巻 田丸浩史 講談社
7/23 「EDEN」9巻 遠藤浩輝 講談社
7/23 「無限の住人」14巻 沙村広明 講談社
7/23 「Qコちゃん THE地球侵略少女」1巻 ウエダハジメ 講談社
7/24 「バトル・ロワイアル」10巻 作:高見広春+画:田口雅之 秋田書店
7/24 「黒田三十六計」3巻 平田弘史 リイド社
7/25 「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」5巻 安彦良和 角川書店
7/25 「放浪息子」1巻 志村貴子 エンターブレイン
7/25 「みんなはどぅ?ZOMBIE」 G=ヒコロウ コアマガジン
7/28 「終末にしましょ!」 みた森たつや リイド社
7/29 「ゆびさきミルクティー」 宮野ともちか 白泉社
7/29 「さくら咲いちゃえ」 私屋カヲル 白泉社
7/30 「高校アフロ田中」6巻 のりつけ雅春 小学館
7/30 「ナイトクレイバー竜一」4巻 稲光伸二 小学館
7/30 「ホムンクルス」1巻 山本英夫 小学館
7/30 「キーチ!!」4巻 新井英樹 小学館
7/30 「警視正大門字さくら子」5巻 作:大西祥平+画:高橋のぼる 小学館
7/30 「黄金のラフ 草太のスタンス」10巻 なかいま強 小学館
7/30 「フリージア」1巻 松本次郎 小学館
7/30 「フリージア」2巻 松本次郎 小学館
7/30 「スキマスキ」 宇仁田ゆに 小学館

▼未読物
【単行本】「柔道放物線」2巻 今井智文 秋田書店 新書判 [bk1][Amzn]
【単行本】「Tokyo Graffiti」1巻 井上三太 集英社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「天使みたい −ガールフレンズ−1」 山下和美 集英社 新書判 [bk1][Amzn]
【単行本】「白い花 紅い華 −ガールフレンズ−2」 山下和美 集英社 新書判 [bk1][Amzn]
【単行本】「軍鶏」19巻 作:橋本以蔵+画:たなか亜希夫 双葉社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「Climber」 森山塔 フランス書院 B6 [bk1][Amzn]

【単行本】「ななか6/17」12巻 八神健 秋田書店 新書判 [bk1][Amzn]

 完結巻。いや〜いいお話だった。ななか、稔二、雨宮さん、どのキャラクターにも思い入れがあるだけに、ラストに向かっていくまでの展開は泣き泣き。6歳ななかが役目を終えて17歳ななかに融合されていくあたり、それから雨宮さんに向けた6歳ななかの笑顔とか、見どころシーンがいっぱい。実のところ、ななかがみんなに胴上げされている扉絵だけですでにジーンと来ていた。17歳ながら精神だけ6歳に逆戻りしてしまった女の子・ななかの自分探しはもちろんのこと、稔二や雨宮さんといった周囲の人間たちの成長の物語も丁寧に追いつつ、安易な結論に逃げることなく「大人になること」というテーマをしっかり描ききった。あと雨宮さんの恋模様、それを通した成長も読みごたえあり。彼女はななか、稔二と共に物語のもう一方の主役でもあった。本筋とはまた別のドタバタコメディの回もそれはそれで面白かったし、最後まで楽しませてもらった。

 あと、この巻は巻末収録のおまけ漫画もけっこう面白い。いちおう那由様のお話にも単行本でケリがついたし、それから雨宮さんが主役の「ゆり子18/7」が最高。そういえばスタッフクレジット見て思ったんだけど、「まじかるドミ子」のキャラクターデザインって八神健とは別の人がやっていたのかな? 「ぱ」という名前がクレジットされてるけど。まあ何はともあれ、八神健は良い作品をものにしたもんです。それまでの作品も好きだったが、ななかで一つ上のステージに上がれたと思う。次の作品にも期待したい。

【単行本】「ORANGE」9巻 能田達規 秋田書店 新書判 [bk1][Amzn]

 F1リーグへの昇格を賭けて、いよいよさいたまレオーネと南予オレンジの対決が始まる。コジローも戦列に復帰。かたやレオーネにはライバルの三木が健在。試合は序盤から白熱。たいへんアツいです。次の巻ではそれが最高潮になるんだろうと思われる。雑誌で読んではいるけれど、もう一度読み返すのがとても楽しみ。

【単行本】「からくりサーカス」28巻 藤田和日郎 小学館 新書判 [bk1][Amzn]

 フェイスレス司令がかっこいい〜。悪の親玉でありながら「自分を信じている」だの「夢はいつか必ず叶う!」などといけしゃあしゃあと語るあたりは最高。自分もこういう大人になりたいと思った。そこにシビれて憧れた。あと勝もこの巻ではカッコ良くなってる。作者あとがきに「まさか勝がねえ。あんなカオするとはねえ」という言葉があるけれど、これはまさに「キャラが勝手に動いている」という状態なんだろう。そういうキャラを作り出せた作家さんは幸せだと思う。

【単行本】「金色のガッシュ!!」11巻 雷句誠 小学館 新書判 [bk1][Amzn]

 ナゾナゾ博士との対決編がとても面白かった。ナゾナゾ博士の繰り出す軽やかなウソ、ウィットとユーモアに富んだジョークの数々に思わず笑ってしまう。「ビッグ・ボイン」をはじめ、マジョスティック12の面々もいちいち楽しい。それから彼との戦いを通してガッシュの成長のヒントを清麿がつかむシーンもけっこう感動した。ガッシュと清麿の友情の現れであるこのシーンは前向きで清々しい。

【雑誌】別冊ヤングマガジン 7/1 No.045 講談社 B5中

 先日のビッグコミックスピリッツに続き、谷広野が読切で登場。「モトコイ」。東京でナンパな大学生活を送っている主人公のところに、地元でつきあっていた元彼女がやってくる。2年ぶりの再会となった彼らは昔のようにはいられないけれど、楽しかった高校時代の気持ちは蘇ってくる。青春の一風景を瑞々しい感性で描き出したエピソードは、ほろ苦さを含みつつも清冽な読後感を残す。これはなかなかいいお話で、個人的にはこの前のスピリッツに載った「風を待ってる」よりも好印象。といっても「風を待ってる」も後編しだいだけど。

 押見修造「アヴァンギャルド夢子」。ちんこが見たくて見たくてたまらない主人公の少女は、美術部に入部するといって先輩男子にヌードモデルをしてもらい、念願を果たす。なんだか下らなくてけっこう面白い。あと夢子もヘンだけどけっこうかわいい。森繁拓真「学園恋獄ゾンビメイト」。好きな人の脳味噌を巡る恋愛バトル。次々といろんなことがテンポ良く起こって飽きさせない。読ませるなあ。森繁拓真作品についてはぜひ単行本化をお願いしたい。読切も含めて。

【雑誌】ビッグコミックオリジナル 7/5 No.13 小学館 B5中

 作:矢島正雄+画:中山昌亮「PS羅生門」。いつもながらドラマの組み立てがうまい。あと紅谷留美刑事と町田との距離が近づいているが、それがどうも気になっている安全の様子にも注目。刑事同士の人間模様についてもどう展開していくのか楽しみ。

【雑誌】コミックバンチ 7/4 No.29 新潮社 B5中

 作:江戸川啓視+画:クォン・カヤ「プルンギル −青の道−」。謎解きがだいぶ進んできてて面白い。文字が多いのでときどき分からなくなりそうになるけど、ちゃんとついていきたいと思わせるだけの物語的な魅力はある。

【雑誌】花とゆめ 7/5 No.14 白泉社 B5平

 羅川真里茂「しゃにむにGO」。留宇以好き好きストーカーっ娘・真奈が久々登場でいい味を出して、しかもテニス関連でも大活躍。今回はドタバタとした雰囲気が楽しいお話でした。イチハ「女子妄想症候群」も面白かった。彼氏を溺愛してて、彼のことを考えると欲情しまくりな女の子が主人公のドタバタギャグ。鼻血出してかわいがりまくりな様子が面白いです。カラッと陽気でテンポ良く読める。高尾滋「てるてる×少年」。すっかりお互いへの想いをあらわにした才蔵としの姫はアッツアツ。でも御城家の事情はそれを許しそうもなく。ラストのしの姫の才蔵への愛の言葉が、甘く切なく響く。ここのところ毎回すごくいい感じ。


6/19(木)……目で合図

▼「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」のセルDVDの発売日が発表。映画公開版と同様の映像が収録された「コレクターズ・エディション」[bk1][Amzn]が10月1日で4700円。劇場版+40分の未公開シーンなどで構成される4枚組の「スペシャル・エクステンデッド・エディション」[bk1][Amzn]が12月3日で9800円。俺は指輪の幽鬼なので、まあ当然のことながら両方予約。あと「スペシャル・エクステンデッド・エディション」にゴラムのフィギュアとボーナスDVD、特別冊子を同梱した「コレクターズ・DVDギフトセット」も5000セット限定で発売されるそうだ。こちらは公式サイトと電話予約のみの受付。うーん、さすがにこれはいらないかな。1万2800円もするし。フィギュアが日本語版の旧版の挿絵バージョンのつるつるぴたぴたしたゴクリだったら買うんだけどねー。

▼バーテックスリンクのMediaWiz。コレちょっといいかも。LANに接続して、PCのHDD内に入っているDivXやMPEGなどのデータをTVに出力して再生できると。これ自体はHDDやDVDドライブは持ってないけど、いちいちコピーしたりメディアに焼いたりするのはめんどくさいし、LAN経由のほうがお手軽。イチオシドットコム価格で2万2800円、7月中旬発売らしい。さほど高くもないし買っちゃおうかな……。ただ初期ロットは不安なのでちょっと待ってからにしたいところだけど。あとWMVに対応してないっぽいのが惜しい。

▼未読物
【単行本】「からくりサーカス」28巻 藤田和日郎 小学館 新書判 [bk1][Amzn]
【単行本】「金色のガッシュ!!」11巻 雷句誠 小学館 新書判 [bk1][Amzn]
【単行本】「史上最強の弟子ケンイチ」5巻 松江名俊 小学館 新書判 [bk1][Amzn]

【雑誌】ウルトラジャンプ 7月号 集英社 B5平

 竹下堅次朗「Happy World!」。男女混合バトルで女の子を脱がしまくり。この人はなんか自分の欲望に忠実に作品を描いてるってことが伝わってきて見ててとても楽しい。ゴツボ×リュウジの読切「セーラー服と日本刀」は、大国「アメニカ」の属州となった島国「二本」各地の学校で縦横無尽な活躍を繰り広げる美少女エージェントが主役のアクションもの。うーんまあ、この手の作品としてはごくフツーの出来かなあ。最近のゴツボ×リュウジは活動範囲は広がっているけれども、ちっちゃくまとまってきちゃってる感がある。外薗昌也「琉伽といた夏」。琉伽、じゃなくていまは弥衣か、お兄ちゃんにどきどきしている妹さんが可愛く切ない。そろそろ単行本揃えたほうがいいなという気分になってきている。

【雑誌】月刊サンデーGX 7月号 小学館 B5平

 やまむらはじめの新連載「境界戦線」が開始。扉に「近未来、内戦下の東京。出会ってしまった男女の5つの物語」と書いてあるとおり、内戦続く東京における男女の青春群像を描いていくという感じのオムニバス形式のストーリー。今回はかつて特殊部隊に属していたが、現在は郊外に引っ込んで自給自足生活を送っている青年と、彼のもとに転がり込んだ女性の物語。ゆったりと話を進め途中で一つ事件を挟み、最後はきれいにまとめ上げた佳作。この人は短編のほうがキレがいいような気がするなあ。イダタツヒコ「美女で野獣」。いろいろな想いが交錯しつつキャットファイトトーナメントが進行。そんな中、今回はアイリーンの派手な立ち回りがカッコ良かった。それを見ててゾクゾク興奮しているリリカの表情もいい感じ。それぞれのキャラがイキイキ動き回ってて楽しいねえ。

【雑誌】チャンピオンRED 8月号 秋田書店 B5平

 渡辺航「制服ぬいだら♪」。宇宙人ドニーの妹、恥ずかしがり矢のドラミンがかわゆうござった。お兄ちゃんのために一生懸命、健気な姿がよろしいですな。作:牛次郎+画:神矢みのる「プラレスラーVAN」はやっぱり好き。プラレスラーのデザインは、今見ても意外と古びてないような気がする。復刻モノのの中ではかなり健闘している部類なのでは。

【雑誌】まんがくらぶオリジナル 8月号 竹書房 B5中

 みずしな孝之の新連載「チクチワワ」がスタート。主役はチクワを身体に巻いたチワワのチク。オデオン島で仲間たちといっしょに、ときどきダシの湖でたゆたったりしながら平和に暮らしております……というわけで、おでんワールドを舞台にしたのどかな動物もの。なんかけっこう意外な路線で攻めてきた。「ぼのぼの」みたいな雰囲気。こいずみまり「ねこまんが」。今回作っている牛スジの煮込みはけっこううまそう。そのうちマネてみたい。やっぱり男的には、デッカい肉の塊を根気よく煮込むor焼く系の料理にゃ弱いですよ。あと、今号の読者コーナーのかたぎりわかなの4コマは相当投げやりかつシュールなネタで思わず笑ってしまった。全然オチてない……。

【雑誌】モーニング 7/3 No.29 講談社 B5中

 作:戸田幸宏+画:八坂考訓「キマイラ」が巻頭カラーでスタート。今はそれぞれヤクザ、大企業、TV局につとめる高校時代の親友3人が再会。それぞれの世界で鬱屈した感情を抱えて生きていた彼らが、もう一人の親友を失う原因となった秘密文書を用いて、日本をひっくり返すようなドデカい計画に乗り出すという物語。かなり大風呂敷な出だしだけど、さてどうなるか。というわけでますはしばらく様子見。うえやまとち「クッキングパパ」。荒岩息子のまことによれば「牛ホホ肉はじっくり煮込むとザックリやわらかくしかも独特の弾力があるおいし〜い肉」であるとのこと。やっぱり男的には、デッカい肉の塊(以下略)。作:綱本将也+画:吉原基貴「U-31」。今はすっかり過去の栄光を失ってしまった、いわば前園的人物を主役に、サッカーをして生きていく人間のドラマを描き込む。毎回読みごたえがあってけっこう好き。

【雑誌】ヤングサンデー 7/3 No.29 小学館 B5中

 石川優吾「格闘美神ウーロン」。個人的には格闘モノに発勁が出てくると若干萎えちゃうところはなきにしもあらず。で、今回は気功が出てきた。ここらへんは一時期漫画では濫用されてしまったアイテムだけに、うまいこと調理してほしいところ。

【雑誌】ヤングジャンプ 7/3 No.29 集英社 B5中

 まあいつもどおりの誌面。藤沢とおる「ひみつ戦隊モモイダー」は、もうすっかりこの誌面になじんじゃった感あり。マニア受けはしないだろうけどきっちりエンターテインメントしてます。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 7/3 No.29 秋田書店 B5平

 水島新司「ドカベンプロ野球編」。いよいよオールスター戦の季節がやってきた。プロ野球のオールスターってダレた試合が多くて全然面白くないと思うのだが、この作品においては1年の大半を費やすクライマックス。今年はオール阪神vs.オール・パになりそうな感じです。それにしても今回のキヒヒ犬神はいったい何しに出てきたんだ……。いつもながらのやられキャラっぷり。

【アンソロジー】「コミック☆星新一 午後の恐竜」 秋田書店 B6 [bk1][Amzn]

 ミステリーボニータに掲載されていた星新一作品の漫画化シリーズが1冊にまとまった。個人的には志村貴子、小田ひで次といったところが目当てだったんだけど、そのほかの作品もなかなか読める。原作が完成されたショート・ショートだけに、漫画化には向いた題材だったんじゃないかと思う。完成度では志村貴子「生活維持省」が抜けているかなと思った。シンプルなコマ割、画面構成で読みやすく、物語がダイレクトにしみこんで来る。あと小田ひで次の丁寧で暖かみのある作画もやはり素晴らしい。JUNは派手な絵柄でパッと見たところ星新一世界にはそぐわないかなとか思ったが、酒場に立ち続ける女性型ロボットをモチーフとした作品の内容にはけっこうマッチしていて面白く読めた。本全体としては、「この人はどのように料理するのかな」という楽しみがあって面白い企画だと思った。このほかの作家でやっても面白いかも。「コミック芥川龍之介」とかあったら読んでみたい。

【掲載作品】JUN「ボッコちゃん」、川口まどか「金色のビン」、木々「天使考」、かずはしとも「殺し屋ですのよ」、鯖玉弓「おーい でてこーい」、白井裕子「午後の恐竜」、有田景「現代の人生」、志村貴子「生活維持省」、小田ひで次「夜の事件」「箱」

【アンソロジー】MANA ver.HARD VOLUME.02 三和出版 A5平 [Amzn]

 ムサシマル「Service Time」。複雑な家庭環境のせいで、水商売で働いている姪のことを心配する叔父。といっても二人は同じ大学に通ってるくらいで、年は非常に近い。出だしは切ないけれど、最後は二人がハッピーに結ばれる読後感爽やかなお話となった。二人の家庭環境についてはもう少しだけ語ったほうがいいとは思うけれども、なかなかいい感じに仕上がっている。この人は絵もうまいし作風の幅を広げることにも意欲的だし、先が楽しみ。

【単行本】「BECK」15巻 ハロルド作石 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 全米ツアーから帰国したBECKだが、国内ではまだまだマイナーもマイナー。アルバムを作るにもレコーディング費用を自分たちで出さなくいけなくなっちゃって悪戦苦闘。ってなわけでこの巻は演奏シーンはあんまりない。でもBECKの面々が着々とレベルアップしているということは伝わってくるので、今後やってくるであろう爽快な爆発にまた期待が高まる。ちょっとジラされるくらいがいいですな。

【単行本】「妄想ダイアリー」 月野定規 コアマガジン A5 [Amzn]

 Hで面白いにゃ〜。表題作の「妄想ダイアリー」全3話は、自分のお兄ちゃんとのずぶずぶのH生活を妄想してそれを日記帳につけている妹と、その日記帳を発見してしまったお兄ちゃんによるエロエロストーリー。同じ家にいるもんだからもう時間ができると当然エロ行為に突入。しかも妄想しまくった後にたどりついた境地なんで、二人とも変態的行為レディゴーって感じでみっちりやりまくり。でも妹も兄もお互いにメロメロだったりするあたりが微笑ましい。この人のエロシーンにおける派手なヨガリ顔、表情のとろけっぷりにはいつも感心するところだが、このシリーズは平素のノロケ顔もたいへんよろしい。あと少年とその友達のおかあさんが肉体関係に溺れる「シズカナゴゴト コイノヒメゴト」、少年と女教師の真夏のエロスを描いた「真夏の果実」なども、登場人物が熱に浮かされたかのように性交に没頭していて空気が熱気に満ちている。それにしても月野定規は、最初はわりと繊細なタイプの作品を描く人だと思っていたけど、最近はすっかり密度の濃いエロ描写をするようになった。昔の作風も今の作風も、それぞれ味があって好きだなー。


6/18(水)……ようやく震撼

▼ガ、ガーン!! bk1のマンガ新刊予約サービスが、7月分をもって終了してしまうらしい。これは痛すぎる。毎月50冊くらいをここで買っていたのでなくなられるととても困るのだ。bk1の新刊予約は発送が早かったし、まとめ買いになるので送料は全部タダ。しかも自分のブリーダーIDを使って買えば自分にポイントが入るので、実質的には3%引きで購入できていた。ほかにマンガの予約が充実したネット書店といえばまんが王倶楽部があるけど、こちらは送料がかかってしまうしポイントもない。Amazonの新刊予約は網羅性が低いし……。まあ昔と同じように、普通に書店で毎日買うようにしていけばいいんだけど、ネットの予約で本を買うようになってから買い洩らしがだいぶ減らせていたし、何より日々の荷物が軽くできてたのが大きかった。あと普通の書店では入手しにくいような本でも確実に手に入れられたし。

 予約については、たぶんbk1側にとっても馬鹿にならないくらいの売上はあったんじゃないかと思うけれども、それをやめちゃうってことはきっとそこから発生する売上では追っつかないくらい負担が多かったんだろうなと憶測。あくまで憶測なんで実状は知らないけど。それにしても困った。いちおう対策としては入荷が待ちきれないような作品については新刊書店で買い、急がないような本はある程度たまった時点でネット注文って感じが一番スマートかなぁ。もう以前のスタイルには戻れない、これがないと生活が立ちゆかないってくらい依存度が高くなってたのでどう対応したものか悩む。とりあえず再び荷物が重くなるのに備えて背筋でも鍛えるかー。

【雑誌】オースーパージャンプ 7月号 集英社 B5中

 若狭たけしの読切「Lalami-Rocket」が掲載。うだつのあがらないフリーのカメラマン・志道が、金目当てに女子陸上界にさっそうと現れた天才美少女ランナー・谷口ララ美の着替えシーンを盗撮。しかし最初はそんな状態だった彼だが、彼女が楽しげに走っている姿を見て強烈なインパクトを受けいてもたってもいられなくなる。そして思わず彼女に語りかけてしまうが、彼女が見ているところは遠い遠いところで……。この人の描く「元気な女の子」はすごく魅力的だと常々思っていたが、今回のヒロイン・ララ美もなかなかのもの。行動がぶっ飛んでて面白い。一発ネタではあるけれど、物語としても読後感爽やかにまとまっている。

 作:毛利甚八+画:幡地英明「地の子」は最終回。現代の農業、そして農家の人々に目を向けその問題点、進むべき道を真剣に追求していく内容は興味深かった。今の日本を考えるうえで非常に重要な問題だと思うので。最近ときどき農業問題については考えたりします。だからといって何かしてるわけでもないのが申し訳ないところなんですが。

【雑誌】週刊少年サンデー 7/2 No.29 小学館 B5平

 藤田和日郎「からくりサーカス」。新しく出てきた黒賀村三人娘はなかなかかわいいね。みんな背中のラインがシャキーンとしているのがいいと思う。

【雑誌】週刊少年マガジン 7/2 No.29 講談社 B5平

 真島ヒロの53ページの読切「COCONA」が巻頭カラーで掲載。今号は「RAVE」との2本立て。なかなかパワフルに働いてて偉いと思った。「COCONA」のほうは、悪魔の国の姫様が人間の男に恋をして王国を脱走……というところから始まるラブコメ。Hっぽい格好した姫様がアクティブでけっこう可愛かった。きれいにまとまった楽しいお話。玉越博幸「ガチャガチャ」は最終回かなと思ったら、マガジンSPECIALに掲載場所を移す模様。7月19日発売No.8から新章がスタートとのこと。作:さいふうめい+画:星野泰視「賭博師梟」も短期集中連載最終回。9月中旬に単行本が出るそうだ。

【単行本】「下半身は恋人同士」 火野聡司 司書房 A5 [Amzn]

 個性派なエロ漫画の描き手でけっこう気に入っている火野聡司の4冊目。肉付きが良く脚とかはキュッとしまった女の子のプロポーションなど、デフォルメの利いた絵柄が特徴的。お話のほうもハードなエロをやりつつも、どこかノリが軽くて、なんかいい意味で頭悪げな開き直った雰囲気を感じさせてこれも独特。脚フェチ、ブルセラ、コギャルネタとか多いのだが、この人の場合、どの作品も自分の性的欲求がわりとストレートに出てるのがいいと思う。まあぶっちゃけた話、「こんな女の子とヤリてえッ!」という意志が伝わってくるんだよね。そういう作家さんは好きだ。


6/17(火)……プレ名鑑

▼そういえば6月17日はななかの日でしたな。

【雑誌】ヤングマガジンUppers 7/1 No.13 講談社 B5中

 新井英樹「シュガー」。プロテストでノリノリなリンが、その才能をいかんなく発揮。たいへん面白いのだが、次号は休載とのこと。いいとこなのにー。次回が待ち遠しい。塀内夏子「史上最低のレガッタ」。だんだんレガッタの技術的な話とか増えて面白くなってきた。そういえば今回見てて、レガッタのアクション描写ってけっこう新鮮だなと思った。通常のスポーツ漫画だとキャラクターはたいてい進む方向を向いてるわけだけど、レガッタはその反対なんで。背中が読者側に向かってくるという感覚はちょっと面白い。小林賢太郎「鼻兎」。今回もシュールなネタ。これはFlashアニメとかで動いてるとこ見たいな。で、次号からは咲香里の新連載「やまとの羽根」がスタート。熱血バドミントン漫画らしい。

【雑誌】漫画アクション 7/1 No.25 双葉社 B5中

 バロン吉元先生がすごくノリノリだっ!「三面大黒天」(原作:KAZUKI)。今回はインチキ占師のマモリンが、神通力リングの力を使って交通事故に遭ったけが人を手術。とかいってももちろん普通の手術方法なんか知るわけないので、適当に腹をかっさばいて内臓を引きずり出して、しまいにはそれで縄跳びしたりしてしまう。しかも手術は成功してしまったりするあたりすさまじい。タダでさえ脂っこすぎる作風なのに、こんな駕籠真太郎か何かがやりそうなアナーキーなネタまでやってくるバイタリティには驚かされる。ベテランなれどいまだ盛んなり。バロン先生恐るべし。

【雑誌】漫画サンデー 7/1 No.25 実業之日本社 B5中

 作:平井りゅうじ+画:ヤマシタキョウコ「記者ポッポ」が連載スタート。地方のミニコミ誌ながら、独自の記者魂を発揮していた男・尾鳩が、最近のマスコミの品位低下に悩んでいた大新聞社の人事部長の目に止まり抜擢される。というわけでマスコミ取材の裏側に迫りながら人間ドラマを描いていくといった感じの連載。とりあえず初回はしっかりまとまってて読みごたえも十分あった。というわけで次回以降の健闘に期待。作:鍋田吉郎+画:原恵一郎「巌流小次郎」は最終回。なんか意外とアッサリ終わっちゃったなあ。小次郎武蔵の再戦の模様はもう少し引っ張るかと思ったんだけど。

【雑誌】ラブマニ 7月号 平和出版 B5平

 まずはマイノリティ「学校婚」前編が気になった。名門女子校の生徒・ののかと関係を持った既婚の男性教師が主人公。その彼が担任のクラスのみんなに責め立てられ、ののかが妊娠するまで生徒の面前で中出しセックスしまくることを強要される。そのうち行為はしだいにエスカレートし、二人はどんどん倒錯的な道にハマり込んでいく。展開はなかなかぶっ飛んででて、一筋縄では行かないお話にしようといろいろ仕掛けをしてきている。こういう読者を驚かせてやろうと狙っている作品は好きだ。後編でこれをどういうふうに転がしていくのか楽しみ。

 駕籠真太郎「日本拷問刑罰史」。これもよかった。胴に重りをぶら下げられ、肘とひざに装着されたフックを使って地上10メートルくらいの巨大なネットに吊るされた女囚たち。彼女たちがそのネットをつたって移動し、お互いの生き残りをかけたゲーム的な拷問にさらされる。まずは拷問ゲームのルールが手が込んでて面白いし、彼らが相争うさまも不謹慎だが滑稽。この人ならではの奇想がドタバタギャグにしっかり結びついている。加賀美ふみを「song recycle」。相変わらずかわいいしアツアツ。でも虫も殺さないようなかわいい顔をして、加賀美ふみをの描くカップルは何気に毎度しっかりやりまくってますな。

【雑誌】コミックメガストア 8月号 コアマガジン B5平

 6月19日に単行本「妄想ダイアリー」が発売になる月野定規が巻頭カラー。タイトルは「♭38℃」。単行本「♭37℃」でまとめられたHやりまくり変態カップル鍵堂さん七瀬くんのいる学校で展開される、別の少年少女のお話。このシリーズは、女の子二人にイジメられてたなよっちい男の子・水原くんが、その立場を逆転させて二人をしつけちゃうというお話になる気配。相変わらずこの人の描くエロシーンはよがり顔が派手でいやらしい。快感に飲まれて意識がブッ飛んじゃってる風情がたいへんH。あと過激なことをやっても殺伐としない茶目っ気もいいなと思うのだ。

 THE SEIJI「大阪のヒト」。今回は2年前に接待の席で知り合って、その後遠距離恋愛を続け、2年ぶりに生で会えた東京男と大阪女のラブストーリー。ちょっと意外な出だしから始まって〆はきれいでハッピー。一見豪快そうに振る舞う彼女の健気さが愛らしい。ちゃんとエロもやってるしストーリーもきっちりまとめてある。この人はコンスタントにいい仕事してるなと思う。

【雑誌】コットンコミック 8月号 東京三世社 B5中

 巻頭カラー「誤解しないで」。いつもながらピュアそうな顔をしてやることはやっている。この都合の良さが癒し系。渡辺ヒデユキ「SASEMAN」シリーズ「サセマトリクス」。珍しくサセマンが、その正体である美々ちゃん姿に。不覚、でもないけどちょっぴりソソられた。それにしてもレイプ仮面は見るたびに笑えるグッドデザインだ。


6/16(月)……涼麺の両面

【雑誌】近代麻雀 7/15 vol.442 竹書房 B5中

 深谷陽「嵌張ボーイ両面ガール」は3回連続掲載の1回目。ようやく自分の部屋で彼女のレーコと二人きりになったと思ったゴローだったが、その彼女は今ネット麻雀にずっパマり中。そしてその彼女の興味はネット上で無敵の強さを発揮しているハンドル名「ビールス」というプレイヤーに注がれていたのだが、実はビールスの正体はゴローの友達のヒキコモリ少年ハヤトだった。今回はもちろんアジアの熱帯雨林は出てこず、カラッと読ませる麻雀漫画になってる。こういう気楽なのもまた楽し。作:阿佐田哲也+画:原恵一郎「麻雀放浪記 凌ぎの哲」。いやー、今回出てきたイカサマ封じはなかなか豪快だなー。これは効果的だ。イテテテ……じゃすまないか。直接的すぎて思わず笑っちゃったけど。

【雑誌】ヤングマガジン 6/30 No.29 講談社 B5中

 鬼頭莫宏の読切「パパの歌」が掲載。子供の誕生を控えた若夫婦の会話をメインにお話は進行。奥さんは出産を前になぜか仕事一筋の平凡な男である実父のことをたびたび思い出すようになる。旦那さんは競馬好き、クルマ好きで元ヤンといった風情だが、父になる自覚が出てきてたのかちょっと変わろうとしていて……。何やらけっこう微笑ましい親子コメディとなっていてほのぼの。それにしてもヤンマガといえばヤンキー、ヤンキーといえばヤンマガというこの雑誌で、こういう「パパになって日和っていくヤンキー像」を描くというのは挑戦的といえるかも。だって「今はキミタチそうやってイキがってるけど、結婚して子供ができたらけっこう日和っちゃうんでしょ?」っていってるみたいなもんだから。たぶんこの人のことだから意識してやってるんじゃないかと憶測。

 安野モヨコ「花とみつばち」はサラリときれいに最終回。ドタバタというよりも、ジタバタという言葉が似合うラブコメディで、個人的には毎回けっこう楽しみに読んでいた。安野モヨコってやっぱり漫画うまいと思う。ギャグで飛ばすときは飛ばすし、きれいに〆るときは実に鮮やかに〆る。男性誌でも女性誌でも変わらず実力を発揮できる汎用性の高さも持ってるし。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 6/30 No.29 小学館 B5中

 第138回スピリッツ賞入選作品、谷広野「風を待ってる」前編が掲載。アフタヌーン2001年2月号「グリーンサン」、2001年9月号10月号「レノとポートマン」で掲載歴のある人。今回の作品は小学生のころよく一緒に遊んでいた高校生男女が、河原に秘密基地などを作って遊んだ「あのころ」をちらちらと振り返るという物語。柔らかな手触りの作画には懐かしい手触りがあって、少年少女たちの過ごしている現在の時間、そして過ごしてきた過去の時間を、どちらもありありと感じさせてくれる。なかなか気になる、そして今後に期待したくなる人だ。ただ気になる点もあって、話が現在と過去が交互するように進むんだけど、その入れ替わり部分があまり目立たなく描かれているのはわざとなのかな? 過去と現在の時間の流れをぐちゃぐちゃに混ぜ合わせるというのを狙っているなら効果的だが、正直なところ読みにくいと思うのだけど……。あと登場人物を小さく描きすぎかなあという気もする。わりと最近の、丁寧に作品を作ろうとする人には「バストアップを嫌う」「顔を大きく描かない」「引いたカットを多用したがる」という傾向があるように思う。さすがにバストアップばかりで進行するのは良くないだろうけれども、使うべき場面では使ったほうが画面にメリハリが出るし効果的なんじゃないかと思う。

 佐々木倫子「Heaven?」は今回でおしまい。なんか最後の展開は派手だったなあ。ちょっと国友やすゆき「幸福の時間」とかを思い出してしまった。コージィ城倉「ティーンズブルース」は相変わらずスゴい展開。よく考えてみるとこの女子高生の転落幅はまだ生ヌルいっちゃ生ヌルいのだ。世の中には彼女以上にズルズル堕っこってっちゃってる人なんて山ほどいる。でもこの漫画の場合、救いはないままネタを小出し小出しにしつつ、けして下げ止まらることがないのでじわじわと底なし沼にハマっていくような感触がある。この話運びはうまいと思う。作者自身が最終的な着地点を考えているかどうかはよく分からないけど。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 6/30 No.29 集英社 B5平

 つの丸の新連載「ごっちゃんです!!」がスタート。とある高校の相撲部を仕切っている番長的なヤツがOBに顔を立てるために、有望そうな一年生を強引にスカウトするよう後輩に指令を出す。そこで何の間違いだか連れてこられたのは、力士っぽい顔つき立ち居振る舞いはしているものの、身体は豆タンク的にちっちゃいちんちくりんな初心者・後藤、通称「ごっちゃん」だった。というところから始まる高校相撲漫画。主人公は普通に高校生ではあるもののマキバオーを思い出すような風貌。まだ様子見段階だけど実績のある作家さんだけに導入部の話運びとかは手堅い。そのうちじょじょに熱血していくんでしょうな。

 作:稲垣理一郎+画:村田雄介「アイシールド21」。試合を重ねる中で瀬那がどんどんアメフトの魅力に目覚めていくとともに、男子としての成長も遂げていく様子が手応えたっぷりに描かれていてたいへんいい感じ。連載開始当初から完成度は高かったけど、さらに伸びて来ている。いい調子。鈴木央「ウルトラレッド」は最終回。半端なところで終わっちゃって残念。アクションが力強くてけっこう好きだったんだけど……。


6/15(日)……目が見比ぶ

▼先日アップしたアニメダイエットに関する覚え書きは、なんか予想以上に反響があったようで驚いた。いろいろなところからリンク張っていただいちゃったようで、どうもありがとうございました。正確なアクセス数は把握してないけど、ピーク時にはトップページの5〜10倍くらいのアクセス数があった模様。日記内でだらだら書いていくのもいいけど、たまにはああいうふうに独立したコンテンツページも作っていったほうが、アクセス数的にはいいんでしょうな。

【単行本】「坂口尚短編集5 ドレみ空!」 坂口尚 チクマ秀版社 A5 [bk1][Amzn]

 これにて最終巻。坂口尚の短編は、ロマンティックなものありシニカルなものあり、ストーリーはとてもバラエティに富んでいる。そしてそのどれを読んでも共通して感心するのが素晴らしい線の美しさ。この巻の収録作品は古くは1971年のものまで遡るけれど、独自の味と暖かみを持った線は今見ても心惹かれる。例えば「星降る夜」のクライマックスシーン、草原から見上げる星空を描いた見開きは、なんてことない風景なのに冴え冴えと美しく心に染み入る。こういうのを1980年の時点ですでに描いてたんだから改めてすごいなあと思う。

 ところでこの短編集には全5冊をセットで予約すると特別冊子と特製ボックスが付いてくるという特典があったのだが(→チクマ秀版社のサイト)、個人的には「そりゃねえよ〜」と思った。いやそういうものを作ること自体はいいと思う。1〜4巻の売れ行きが伸び悩んで5巻の発行も危ぶまれてたくらいだから、セット買いした人にそれなりの特典を用意したいという気持ちは分かる。でも、この短編集の一番熱心な読者ってこれまで1〜4巻が出るたびに新刊で買い続けてきた人なんじゃないだろうか。そういう人たちが化粧箱を欲しいと思った場合、1〜4巻はダブリ買いしなくちゃならない。これまでマメに追っかけてきた人のほうが損をする形になっちゃうというのは、釈然としないものが正直いってある。せめてこれまで1〜4巻を買い続けてきた人向けに、第5巻+化粧箱+改訂された装丁カバーのセットも販売してほしかった。きちんと5巻を出してくれたことについてはチクマ秀版社には感謝するけれども、それは別としてこれまでの読者に対する仁義は通すべきだと思う。

【単行本】「りんりんDIY」2巻 大石まさる 少年画報社 A5 [bk1][Amzn]

 里梨鈴&香河花梨。ふたりのりんちゃんが「なんでもやってみよう!」をモットーに、料理、工作などなどいろんなことにチャレンジしていくほのぼの漫画。チャレンジする内容はまったく一貫性がなくて、作者のあれもやりたいこれもやりたいという未整理な気持ちをそのまんま漫画にしちゃったという感じ。そのゴチャゴチャさ加減が妙な味を出しててかえって面白くなっているというちょっと珍しい作品。大石まさるってなんか妙なノリしてるよねー。わりと本能のままに動いているというか。この巻で一番いいな〜と思ったのが「クギナイフっちゃえ!」という回。タイトルどおり、鉄のクギを金づちでつぶしてナイフを作っちゃおうというお話。何が良かったかというと完成写真のところに「鉄の釘が見つからなかったのでプラモデルのランナーで作ってみました。ごめん(大石)」と書いてあるところ。おいおい、DIYしてないじゃん……。思わず笑ってしまった。いや別に文句いってるわけじゃなくて、そういうところまで含めたわやくちゃさ加減が面白いなあとか思ってるわけです。あ、あとちょっと気になったんだけど、この作品のタイトル表記って「りんりんDIY」と「りんりんD.I.Y」と「りんりんD・I・Y」が混在してますな。

【単行本】「フラグメンツ」IV 山本直樹 小学館 A5 [bk1][Amzn]

 ずいぶん久しぶりの第4巻。ネット書店系では入荷が遅れてたみたいだけど、まあ急がなくてもええかなと思ったので到着待ちしてました。

 内容のほうはいつもの山本直樹節。現実と非現実の境界線をあいまいにするような、ゆらゆらとした雰囲気の短編がまとめられている。とてもクールな山本直樹ならではの作風には毎度のことながら惚れ惚れ。作品のありようがたいへん美しい。それにしても山本直樹の描く女性はスタイルがいいなあ。キュッと細くて、胴回りとかがすごくきれい。身体のしなやかなラインとか本当に色っぽいし、立ち姿も凜としてカッコイイ。本来は乳の大きめな肉感的な女性が好みな私ではありますが、山本直樹の描く女性を見ると「こういうのもまたオツなものですな」などと思わせられる。たとえだらしない姿を描いてもそのだらしのなさが絵になってる。怠惰でだらだらした日常のほかの行為との境目がどろどろに溶けてしまったようなセックスシーンを描かせたら日本一。やはり異能の作家だなあと痛感する。まあそろそろまたこういう洗練された作品だけでなく、暴れん坊な作品も読みたいところではあるけれども。

【単行本】「LOVE HOUSE」 橋本ライカ 河出書房新社 A5 [bk1][Amzn]

 キュートな作品でございます。共同で部屋を借りていた友達が出ていっちゃって、家賃が払えないで困る〜とかいっていた女の子のめぐみちゃんが主人公。その後、その友達の代わりに一気に男2人女1人の3人が部屋に転がり込んできてガチャガチャした共同生活を開始。それとは別にめぐみと、その同級生でちょっと憧れている男の子けいちゃんの恋愛も少しずつ進行していく。まあ正直なところ、お話の完成度はあんまり高くない。掲載誌のCUTiE comicが休刊になって突然最終回にしなきゃならなかったという事情はあるものの、男女4人の共同生活と恋愛ドラマの部分のパートがうまく噛み合ってないし、同居人3人のうち2人はいまいち生かせてない。でもまあかわいい絵柄で弾むように進むお話の読後感は良好。もう少したくさん作品を描いて磨き込んでいけばかなりいい描き手になりそうという期待は持たせる人なので、もっとバリバリ活動してほしいとこなんだけど……。

【単行本】「樹海少年ZOO1」8巻 作:ピエール瀧+画:漫$画太郎 秋田書店 新書判 [bk1][Amzn]

 ようやく樹海だー。というわけで秘密結社マッキの基地からキノコパワーによってなんとか逃げ出したずーいちとパンチは、キノコ仙人に拾われて樹海で特訓をすることになる。樹海の過酷な環境とキノコは、彼らを強者へと変化させる。この巻は、この作品にしては珍しくお話が普通に進んでいるのでやけに展開が早いと感じる。まあこれまでが普通じゃなさすぎただけなんだけれども。とりあえずずーいちたちの爆笑モノの変わりっぷりは必見。

【雑誌】女画美倶楽部 エンジェル出版 B5平

 エンジェル倶楽部の7月増刊号。次号は今秋発売予定と書いてあるので、いちおうシリーズ化の予定もあるみたい。個人的なお目当て作品は、奴隷ジャッキー「はぐれ婦警純情派」。ノーヘル程度の交通違反者に対し、ミニパトぶつけて逮捕しちゃうような暴虐な婦警さんが主人公。ところが実は彼女は男に対して全然免疫がなくって、男が半径30cm以内に近づくとカチンコチンに固まっちゃうという側面の持ち主。そんな彼女がひそかにベタボレしているのが、同じ署の非常にかわいい男の子のタクヤくんなのでした……というわけでけっこうほのぼのしたラブラブHストーリーとなっている。この人の描く女体のもちもち感はやっぱり大したもの。たいへん豊満でございます。キャラは立ってるし、この増刊がこれからも続くようなら連載化しちゃってもいいんじゃないかなと思った。


6/14(土)……瞳・尻

exciteブックスのニュース投稿者で顔合わせをしようという趣旨の飲み会があったので参加。自分は人見知りするほうなので、初対面の人と飲むときは勢いをつけようとつい酒を飲みすぎてしまう。この日もそうだった。大半が初対面だったこともあり、ついカパカパ行き過ぎた。途中からの記憶はだいぶあやふやだが、きっとファニーな振る舞いをしてしまったに違いない。飲み会後は終電がなかったので、インターネット喫茶に入ってぐーぐー寝てました。飲んだのは焼酎が多かったせいで、二日酔いにはとくにならずに済んだみたい。まあそんなわけで今日はこれしか読めてません。

【雑誌】ビジネスジャンプ 7/1 No.14 集英社 B5中

 作:近藤雅之+画:有賀照人「警視総監アサミ」。アサミとミサキが「警察イメージアッププロジェクト」の一環としてグラビアアイドルデビュー。いつものことながら、見事なまでにしょーもない。これだけしょーもなさが突き抜けてると立派。冬目景「イエスタデイをうたって」。ハルとリクオの関係はちょっとギクシャクするも、なんか仲直りのきっかけとなりそうな事件が。青春ラブコメしてますなあ。

【単行本】「がんばれ酢めし疑獄!!」4巻 施川ユウキ 秋田書店 新書判 [bk1][Amzn]

 とても面白い。最近のギャグ漫画の中ではかなりの注目株。この人の特徴は絶妙であること。やっぱりギャグの基本は言葉だなあと改めて思わされる。この巻では雑誌連載時にタイトルが書かれているところのスペースにそれぞれ短いコラムが掲載されてるんだけど、これも面白い。文体がリズミカルだし、ネタについても大ネタってわけじゃないのだが誰もがちょっと気になるような、でもあえて文章にはしないようなところを的確についている。あとタイトル部の下のところにある1コマギャグも、とくに意味があるわけじゃないんだけどなんとなくおかしい。「音声ガイダンスに従って」「地獄に堕ちろ!!」とかすごくいいよなあ。ギャグ自体もヒネリは利いてるんだけど、いかにもサラリと出てきたなと思わせるような感触がある。実際はうんうんうなりながら出しているネタなのかもしれないけど、それを感じさせないってのがカッコイイ。全体的にサバサバしてて、「笑え笑え」と押しつけがましくないところがありがたい。


6/13(金)……オーボエ(楽器)

▼なんかいくつかのWebでちらほらと踏台昇降をやっているという記述を見かけるようになってきたので、これは一度まとめておいたほうがいいかなと思い、アニメダイエットに関する覚え書きというページを作成してみました。こんなもん作ってリバウンドしたら恥ずかしいなあ……。まあいいや。若気の至りってことで。というほど若くはないのだが。

▼未読物
【単行本】「LOVE HOUSE」 橋本ライカ 河出書房新社 A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「樹海少年ZOO1」8巻 作:ピエール瀧+画:漫$画太郎 秋田書店 新書判 [bk1][Amzn]
【単行本】「がんばれ酢めし疑獄!!」4巻 施川ユウキ 秋田書店 新書判 [bk1][Amzn]

【雑誌】ヤングアニマル 6/27 No.12 白泉社 B5中

 えりちん「みたむらくん」。なんかものすごく暑苦しくて使えない、オナニー大好き30歳のどうしようもない編集者・三田村のダメダメな生活を描くギャグ漫画。情けなさバリバリでちと下品でもありアクが強いかもしらんけど、個人的にはけっこう面白く読めた。居心地の悪さが味。

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 6/27 No.13 小学館 B5中

 東本昌平「SS」は最終回。今はおっさんになってしまった男たちの中に、埋み火のように燃え続けている情熱を渋く、かつセンチメンタルに描いたお話だった。結局パリ・ダカにみんなで出場して……みたいなお話にはならなかったけど、そこまでやったらそう簡単に終われなくなっちゃうし、またちょっと野暮になっちゃうかもしれない。面白かったし、ちょうどいい区切りのときだったと思う。いい作品でした。

【雑誌】コミックバンチ 6/27 No.28 新潮社 B5中

 作:江戸川啓視+画:クォン・カヤ「プルンギル」。最近の1970年代の朝鮮半島をめぐる陰謀のあたりは、読んでいて非常にスリリング。毎回読みごたえがあって面白い。

【雑誌】別冊マーガレット 7月号 集英社 B5平

 いくえみ綾の新連載「かの人や月」がスタート。しっかり面白いな〜。内容としては7人の賑やかな大家族によるホームドラマ。あらすじは案外説明しにくいのだけど、祖父母、父母、息子1人娘2人という構成で、子供たち3人が中心となってドラマは展開される模様。兄貴の顕は22歳、一人暮らしをしてたけど最近家に戻って来ている。その妹二人は女子高生。上のひろのは無口、もう一人のほのかは愛敬のある可愛いタイプ。第一話はひろのと顕を中心にお話は進む。けっこうほのぼの。とくにものすごいお話というお話があるわけじゃないんだけど、この人はもう何を描いても気持ち良く読ませられるだけの間とセリフのセンスを持っている。これは強い。河原和音「先生!」は今回で最終回。ちと長すぎだったかもしれないけれど、個人的には楽しく読んでいた。読み始めたころは絵はいいんだけどフキダシが多すぎて読みにくい〜とか思ったのだが、どんどん画面が整理されていきずいぶん読みやすくなった。この作品を通して河原和音自身の技量もずいぶん上がったんじゃないでしょうか。

【雑誌】ネムキ 7月号 朝日ソノラマ A5平

 TONO「チキタ★GUGU」。ペトラス皇帝編はひとまず終了。でもチキタとラー、クリップたちの関係はこれまでのようではいられなくなってしまうかも、ということでますますシリアスに展開中。ライトな絵柄のわりに読みごたえはハードで、物語に読者を引き込む力は強い。諸星大二郎「栞と紙魚子 何かが街にやってくる」中編。それにしてもこの街の住民は何があってもいつもどおりだなあ。団先生の奥さんは相変わらず最強だが、きとらさんの腹の据わりっぷりも素晴らしい。きとらさん主役の作品があっても面白そうだな。

【雑誌】comic天魔 7月号 茜新社 B5平

 琴義弓介「狙われたスマッシュ」。バレー部のレギュラー入りが決まったばかりのすごい巨乳な女子高生さんが、とある誤解がきっかけで幼なじみの少年とガッツンガッツンなHに突入というお話。相変わらず描線が流麗で達者。あと今回ほほうと思ったのが、ヒロインの女の子がいかにも巨乳さん的な顔をしていること。巨乳アイドルとかを見てても思うのだが、「巨乳顔」ってあると思うんだよね。一例を上げるなら唇が厚くてほっぺたが下膨れな感じとかそういう奴。MEGUMIとか巨乳AV女優の綾波涼とかがそんな感じ。で、この娘さんはちょうど自分のイメージどおりの巨乳顔だった。すごい美人ってわけでもないけど、なんかHくさい。そういう顔つきをうまく描けているなと思う。

 水無月十三「定番プレゼント」。めがねっ娘の巨乳な女部長と、その彼氏である超巨根の男子後輩が部室でH。絵もうまいし大きいの好きな人は存分に楽しめるのではないかと。どざむら「奇天烈戦隊ヤバレンジャー」。一見戦隊モノのようなタイトルだがその実態は……というわけで、戦隊モノごっこをしている少年少女が教室でさかりまくるというお話。いつもながら妙に艶めかしくみっちりいやらしい。ちょっとオバカさんっぽいノリも楽し。おかだまつおか「TwinCore」は、チアリーダー部期待の一年生の女の子が実はふたなりでさあ大変。練習中にギンギンになっちゃったので、彼氏の助力でヌイてもらったりいろいろするというお話。このヒロインが健康的でかわいく、かつちと変態的な味付けも入ってていい具合。


6/12(木)……散歩一両損

▼最近更新が遅いのは、忙しいからではなくて眠いのを我慢せず1回寝て起きてから文章書くようにしてるからです。

▼未読物
【単行本】「りんりんDIY」2巻 大石まさる 少年画報社 A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「フラグメンツ」IV 山本直樹 小学館 A5 [bk1][Amzn]

【雑誌】コミックビーム 7月号 エンターブレイン B5平

 ビームを支えた2大連載が終了! というわけでまず須藤真澄「おさんぽ大王」は最後まで取っておいたおさんぽネタできれいにおしまい。個人的には次回作は純然たるフィクションでファンタジいのを期待。金平守人「カネヒラデスカ?」は、『「やっぱりかよ」「もういいよ」が2:8で聞こえてきますよ!!』という作者コメントが雄弁に語るとおり。個人的には「やっぱりかよ」はあっても、「もういいよ」はとくにないかなあ。「もっともっとカモ〜ン」という感じ。うすね正俊「砂ぼうず」は最近かなり緊迫してるなーと思ったら次号で最終回。

 吉田戦車「武侠さるかに合戦」。一つひとつのアイテムが地味なのにファンキー。新しく出てきたキャラも強烈で爆笑。4コマでないフィールドで、吉田戦車の底力を存分に引き出している作品だと思う。すごく面白い。絶好調。竹本泉「よみきり♥もの」もコンスタントに楽しい。今回の「もらいものに笑顔」は、何か食べるとパーッとすごくかわいい顔をする女の子と、彼女の笑顔を見るために何かにつけて食い物を与え続ける少年のお話。ラブコメのようでラブコメでない、独特の呼吸はこの人ならでは。福島聡「少年少女」。今回は宇宙パンダ再登場。なるほど、このパンダはこういうモノだったのか。

 森薫「エマ」。新しい奉公先での使用人によるパーティが華やかに開催される。というわけで今回はメイドさんたちがメイド服でない姿でもりもり登場。そんな中エマは一人楽しめず、飲めない酒を飲んだおかげでこれまで抑えていた気持ちが堰を切る。嘆く姿がなかなか色っぽい。あと、新キャラのモミアゲ男に警戒心を抱いた若者も多いかもしれないと思った今回。志村貴子「放浪息子」はいつもながらに二鳥くん、それから女の子たちがとてもかわいい。6年生を送る会でフェルゼンに扮する千葉さんとか。二鳥くんみたいな少年が、長じて声変わりしたり毛が生えたりする。重要な損失といわざるを得ない。安永知澄の読切「水の底」は、「お魚になった私」(古いねどうも)ではなく「人間になったお魚」のお話。かつての仲間がスイスイ泳いでいくのを、水の底で一人見つめる少女。はかなく美しいファンタジー。ところで作者名は「やすながちすみ」と読む。実はちょっと前まで「やすながともずみ」だと思ってた……。

【雑誌】コミックバーズ 7月号 幻冬舎コミックス B5平

 作:六月十三+画:ゴハ「ワンダバスタイル」。けっこうちゃんと面白い。キャラにそれぞれ愛敬があるし、健全なコメディとして楽しめる。アイドル4人組の黒バニー姿も華やか。南京ぐれ子「あかてん★ヒーロー」も読みやすくていい。いまいち話がつかみにくい作品の多いこの雑誌において、戦隊モノのヒーローと悪の組織のお姫様のドタバタラブコメというシンプルかつ分かりやすい設定は目立つ。きくち正太「きりきり亭のぶら雲先生」。ぶら雲先生の家族をめぐるエピソードが一段落。一瞬最終回かと思うようなきれいな締め方だったけどまだまだ続くようです。

【雑誌】ビッグコミックオリジナル 7月増刊号 7/12 小学館 B5中

 井浦秀夫「AV烈伝」。前号に続いて卯月妙子。さすがに大ネタ(人間なのでネタという言い方は失礼かな)だけあって面白い。彼女自身の作品もヘヴィな、腹にこたえるような読みごたえがあるけど、今回のもズシズシ来る。絵空事ではない実在する強烈な個性には、やはり圧倒されざるを得ない。佐々木泉「墨戯王べいふつ」。今回は前から気になっていた美人さんなべいふつの弟子、桃葉がどうしてべいふつに弟子入りしたかというエピソードが語られる。キレ味の良いストーリーは、毎回とても気持ち良く読める。非常に安定してて面白いしぜひ単行本にまとめてほしい逸品。たくまる圭「アニキ」。ほのぼの家族ドラマは堅調に進行中。ゆずが健気でとてもかわいい。東陽片岡「東陽片岡人生劇場」。いいねー、こういうお話。しょぼくれた感じのサラリーマンがグチ聞き屋のオヤジに、非常に怠け者なおかゆ屋開業の夢を語る。そのいい加減な営業形態も素晴らしいけど、ラストの体育会なラーメン屋的こだわり野郎に対する呪詛の言葉なんかすごく味があって最高だと思った。

【雑誌】モーニング 6/26 No.28 講談社 B5中

 作:西村ミツル+画:かわすみひろし「大使閣下の料理人」。やっと迷いから脱した大沢がフレンチ・シェフとしての意地を見せつける。今回の大沢はカッコイイ。あとフランスのオペラ歌手であるマルタ・ガルシアさんが美人さんだった。山下貴仁「家族」は、第43回ちばてつや賞入賞の新人。妻や娘に徹底して愚弄され続ける父親の嘆き節を縷々と綴った哀愁ギャグ。垢抜けない画風だけど畳みかけてくるような展開はなかなか良好。新伊秀作「色歌」は中国の戦国時代を舞台にした歴史モノ。かつては3人で共に旅をしたこともある朱亥、侯生、晋鄙の3人がたどった数奇なドラマ。細かく描き込んだゴツゴツした作画からは、マジメに「史記」の世界を漫画化しようとする意気込みが伝わってくる。しっかり読める作品。

【雑誌】ヤングサンデー 6/26 No.28 小学館 B5中

 作:魚柄仁之助+画:大谷じろう「おかわり飯蔵」。連載100回記念の巻中カラー。この作品はときどきアイドルの写真集からそのまま持ってきたのかなあという女の子の決めポーズがあるのだが、そろそろ海+水着がらみのエピソードになりそうなんでそれが炸裂するっぽい気配。ヒロインの女性編集者さくらはナイスバディすぎですな。

【雑誌】ヤングジャンプ 6/26 No.28 集英社 B5中

 前号で袋とじ掲載だった藤沢とおる「ひみつ戦隊モモイダー」は今号から本格新連載。女の子による戦隊モノを使ったお気楽なのんびりギャグといったところ。手慣れた作風できっちり。手堅い連載になりそうな感じ。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 6/26 No.28 秋田書店 B5平

 園田ともひろ「はぐヤン!とんじる」が地道にヘンなことをやってて面白い。主人公とんじるが、市民に愛されるヤンキーを目指して日夜奮闘するも仲間のヤンキーたちからはぐれることを恐れるあまり、毎回失敗するという筋立て。出てくるヤンキーたちが揃いも揃って素晴らしいくらい頭が悪いのが楽しい。今回はヤンキーたちが「ナンパ」と称してポッキーみたいなお菓子の着ぐるみに身を包んで、女の子を取り囲んで「茶茶茶茶茶」と三方向から叫びまくるシーンとかイカれてて良かった。作:ピエール瀧+画:漫$画太郎「樹海少年ZOO1」。今回はちゃんと画太郎絵。あらすじはくしゃみ。ずっとくしゃみしてるだけです。


6/11(水)……馬を馳せヤオイよ

▼秋葉原のとらのあなに行ったら、ポイントカードの交換グッズで森薫テレカが出てたのでもらってきた。意外と使わないからすぐたまるんだよね、あのポイント。そのうち「とらのあなの虎々ちゃん タイガーブック」ももらっとくかな。

【雑誌】スーパージャンプ 6/25 No.13 集英社 B5中

 高梨みどりの読切「馬を馳せ矢を射よ」前編が掲載。馬が大好きで一度はサラブレッドに乗ってみたいという夢はあるけどもう30歳、今さら競馬の騎手にはなれないし、乗馬クラブに通う金もない。そんな男でも馬に乗ることができる方法が、彼の前に示される。それは「やぶさめ」。というわけでなかなか珍しい題材に挑戦した作品。手堅い作りで読みやすい。

【雑誌】週刊少年サンデー 6/25 No.28 小学館 B5平

 井上和郎「美鳥の日々」。なんか恋愛対象が美鳥から沢村に変わってしまった耕太が、彼に恋するスケバンによって拘束されて色っぽいことに。コスプレとかも。こういうネタは得意だねえ。ドタバタコメディをしっかり楽しくやってて好調。藤田和日郎「からくりサーカス」。新キャラの3人娘がけっこうかわいい。百合は「うしおととら」の麻子をちょっと思い起こさせるものが。雷句誠「金色のガッシュ!!」。今回の敵魔物・ビクトリームはギャグ系。姿形、行動ともに面白いが、ちと狙いすぎかなあという気もする。やはり石板編に入ってからちとキレが落ちているような。河合克敏「モンキーターン」。Vモンキー撃破を虎視眈々と狙う蒲生がカッコイイ。今回の勝負もアツくなりそう。

【雑誌】週刊少年マガジン 6/25 No.28 講談社 B5平

 久保ミツロウ「3・3・7ビョーシ!!」が最終回。後半は多少失速した感じもあったけど、爽やかな絵柄と前向きな話作りが気持ち良く、印象に残る作品だった。パワーアップしての再登場に期待したい。この前講談社漫画賞を受賞したばかりの作:安童夕馬+画:朝基まさし「クニミツの政」が巻頭カラー。坂上の演説を使って、地域の問題を分かりやすく説明する語り口はなかなかうまい。やっぱり政治家にちゃんとした人がなってもらいたいもんです。読切で掲載された潮田一男「華村理沙16歳」は、第70回新人漫画賞入選作。超人気アイドルの華村理沙が、チャリティー番組で内戦が終わったばかりの国へと派遣されるが、そこでもアイドルパワーを発揮して大暴れ。わりと楽しく読んだ。マガジンにしては珍しく、新人作家を表紙にまで載っけて、さらにカラーページも使ってプッシュ。まあ「クニミツの政」とからめて「2大漫画賞決定記念特別号」とか題して打っているのでそのからみもあるのかもしれないけど、テコ入れかけようとしてるんだなあということは伺える。

【単行本】「BAD SLAMMERS」1巻 ジャム王子 ヒット出版社 A5 [Amzn]

 「西遊記」をモチーフにしたアクションエロ漫画がようやく単行本化。連載終了を待って、一気に単行本化するつもりだったようで。お話としては厳しい修行の末、ハイパー性欲女に成長した三蔵が、妖怪や魔物の味はどんなものか知りたくて西への旅に出発。その後、ちんこ型の大岩の下で眠っていた悟空と出会い、目的がさらにパワーアップ。目的が天界の人々とヤルことへと変化。というわけで超絶倫三蔵と超絶倫悟空が手を組んで、西へ向かうぞニンニキニキニキニンニンニンと、エロエロ道中を繰り広げる。イキのいいピチピチした絵で、エロは濃いめに、だけどストーリーのほうも前のめりに進む楽しいお話を展開している。なかなか勢いのあるダイナミックなエロの描き手だし、コマ割りとかも整ってて読みやすい。ただ「西遊記」モノに共通したことなんだけど、出だしは派手に始まるわりに(とくに悟空登場あたりまでは)、そのあとの展開がけっこうまったりしてきちゃうというのはこの作品でも見られるかな。


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