2003年9月下旬


9/30(火)……マネーは金なり

▼9月30日分の漫画感想を追加。

▼うお、またやってしまった……。すみません。OHP月極アンケートの入れ替え作業中に誤って、9月分「他メディア化したら面白そうな漫画2003」のデータファイルを古いので上書きしてしいました。もしブラウザのキャッシュか何かで残している方がいらっしゃいましたらtshibata@picnic.to宛でご送付いただけないでしょうか。またお手数でないようでしたら、その間に投票された方は再投票していただけると助かります。

↑最初のアップ当初、「投票期間を10月3日まで延長する」と書きましたが、その後、くろひょうさんに9月30日23時58分までのキャッシュをご提供いただき、投票内容はほぼ復旧できたと思いますので9月分は締めきっちゃいます。もし漏れがあるようでしたら、投票内容をtshibata@picnic.toまでメールしていただければアンケートに反映させるようにします。お騒がせしました。そしてどうもありがとうございました>くろひょうさん

▼気を取り直して10月分。今回のテーマはちょっと難しいかもしれません。「ナウいマンガ」です。「漫画の新しい地平を切り拓く可能性を感じる」「最先端の表現が用いられている」といったものから、「ファッションセンスがイマっぽい」「若者感覚にあふれている」なーんていうのでもかまいません。いかにもイマ、いかにも新しい、そんなイメージのある作品を掘り起こしてみようという感じのアンケートです。「ここがマンガ最前線だ!」ってのをいろんな視点から切り出せればいいなと思ってます。なんか漠然としてますが、一つよろしくお願いします。

▼1日売り
【雑誌】ポプリクラブ 11月号 晋遊舎 B5中
【雑誌】コミックメガストアH 11月号 白夜書房 B5平
▼3日売り
【単行本】「キミの名を呼べば」 甘詰留太 ティーアイネット A5 [Amzn]

【雑誌】漫画アクション 10/14 No.39 双葉社 B5中

 週刊最終号。このところさそうあきら「マエストロ」、わたべ淳「ライジング」、作:KAZU+画:バロン吉元などなど個人的に面白いと感じる作品が増えていたので、来春の復活までしばらく読めなくなっちゃうのは残念。ここ数年のアクションは、やたら漫画マニアっぽい方向に振ったかと思えばエロ漫画雑誌になったりと迷走が続いていた。その様子を見ていて、週刊漫画誌ってのは売れないと本当に苦しいんだなあということをすごく感じた。双葉社にとってみれば「アクション」という看板を下ろすのは痛い。でも赤字を出しながら続けるのもキツい。いろいろな葛藤はあったんじゃないかと思う。何はともあれ復刊したとき、アクションがどうなっているかは注目だ(ちゃんと予告どおり復活するかどうかも)。

【雑誌】ヤングキングアワーズ 11月号 少年画報社 B5中

 大石まさるの新連載「ピピンとピント★」がスタート。カメラを持つと我を忘れて撮影しまくってしまう波浜登、通称:ピントの家に、死んだと思っていた祖父がこさえていた同い年ながら父の妹である少女・ミナトがやってきて居候を開始。そんな状況から始まるドタバタホームコメディといった感じ。ピント君周辺には隣の家に住む憧れのお姉さんあり、彼に惚れているらしき同級生の少女ありと、たいへん賑やかな状況。漫画自体もすごく慌ただしくてかまびすしい。このけたたましいリズムは独特だな……。軽いお色気サービスもけっこういっぱい。思うに大石まさるという人は、ときどきHなものを無性に描きたくなってしまうタイプの人なのではないかと思う。「りんりんDIY」ではそういうのを出せなかったので、きっとたまっていたのではあるまいか。今回のパンチラだの入浴シーンだの、すごく楽しんで描いている感じがする。なんかいろいろ全開にして突っ走ってもらいたいもんだなあと思った。作:田畑由秋+画:余湖裕輝「コミックマスターJ」。「えー生原稿流出事件についてやらないのー?」とか思いました。まあそれは次号以降かな。

【雑誌】電撃コミックガオ! 11月号 メディアワークス/角川書店 B5平

 どうも自分はこういうマニア向け月刊少年誌はいまいち合わないタチだ。こういう雑誌のメイン読者層同様に楽しめればそっちのほうが得だとは思うのだけど、なかなかそういう「バーチャル俺マシーン」を自分内に構築できないでいる。実際この雑誌についても事前の予想どおり、いまいち引っかかってくるところがなかった。もちろんこれまでの連載内容をつかんでないってのはあるんだけど、どうなんでしょうなー、こういうのって続けて読んでいるとつかめてくるものなのかしらん。「どうしても読まざるを得ないオーラ」を出してる作品は、どうも少ないように思えるんだが……。で、その中で一番普通に読みやすいかなあと思ったのは、いわさきまさかず「ポポ缶」あたり。ドタバタコメディなんでそこまでの流れをあんまり気にせずスルッと読めた。あと絵的には巳蔦汐生「風の華」(作:太田顕喜)も涼しげな感じでちょっと気になるところ。ところで今号にはコゲどんぼ「ぴたテン」の特製コミックスカバーが付いている。おかげでなんだか単行本欲しいなーという気分にちょっとなった。雑誌付録の中ではやっぱりコレが一番いいかも。

【雑誌】ヒメクリ 11月号 FOX出版 B5中

 今号は付録CD-ROMが付いてるけど、ゲームの体験版ってーのはどうなんかな。エロ漫画雑誌に求められている機能なんだろうか? それはまあともかくとして、漫画のほうはいいと思います。背表紙のところに4コマ漫画が載っているというのもいい工夫だと思うし。

 巻頭漫画は羽田としのり「セパレイトダブルス」。田舎ではつきあっていた2歳離れたカップル。でも先に高校を卒業した女の子のほうが上京してしまって、しばらく疎遠になっていたのだが……。瑞々しく爽やかな絵柄が青春ラブストーリーによくマッチしていて、気持ち良く読めるお話。コンスタントにええですね。小林王桂「歪曲純情少年少女」。エンコーが原因で学校を辞めた女の子と、彼女と仲良くしている男子のお話。金銭の授受はあるものの、二人は好き合っていてなかなか気持ちの良い関係を築いている。金銭およびエンコーというと邪悪なイメージがあるけれども、この作品からはそういう感じは受けない。こういう関係の作り方というのも新鮮。

 山下クロヲ「ぼくたちのしっぽ」。ヤリマン少女とインポ少年の恋物語。青春はちょっと苦く切ないけれど、二人の関係には暖かなものあり。完成されたタッチではないが、ぼんやりゆらゆらした儚げな描線は美少女漫画系では珍しく、印象に残る。パニックアタック「大人になる呪文」。今回の未由たんは例によって魔法が失敗してチーター、っつーかネコになってしまう〜。ネコミミはいつもやってるけど、これはこれでまた違った感じ。おなかなでられてうにゃ〜となってるところがかわいーです。あと、そーま「魔法のツッコミャー ドーパみんと」と「もえたん」はともに最終回。

【単行本】「ホーリーランド」6巻 森恒二 白泉社 B6 [bk1][Amzn]

 伊沢マサキにボコられ、ようやく正気を取り戻すユウ。その後、絶不調に陥るがそこから脱出のきっかけもつかむ……という感じ。伊沢戦はあるものの比較的戦っているシーンは少ないので、わりと辛抱の巻。でも格闘ウンチクはいつもながらに満載で、楽しんで読んでいけます。

【単行本】「マウス」11巻 作:あかほりさとる+画:板場広志 白泉社 B6 [bk1][Amzn]

 いつもながらにおめでたい。最初のうちはカプセル怪獣3人娘の変態ぶりのほうが際立ってたけど、最近はおやつでも食べるような感覚で、ごく普通にいつでもどこでもやりまくるマウスの変人ぶりが目立ってきた。わりとシリアスなマヨイガ編も始まっているけど、そんな中でもとりあえずやってるしねえ。なんか立派です。

【単行本】「π」3巻 古屋兎丸 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 好調。今回はπをめぐって夢人とヤリチン男の加藤鷹士がバトルを繰り広げる。首都高でのバイクシーンなんかもあったりしてなぜだかアクションもたっぷり。ギャグとおっぱいはなぜか親和性の高いものだけど、それにしてもイカれてて面白い。夢人の病的なまでのπ信仰にあきれたり笑ったり。古屋兎丸はシリアスな作品も素晴らしいけど、ギャグのほうでも面白い作品を描いてくる。その多才さに改めて感心。

【単行本】「まねきん」 リイド社 まだ子 A5 [Amzn]

 人間そっくりな服飾ディスプレイ用の人形「まねきん」。そのうちの一体に惚れ込んでしまった男が、彼女が廃棄されているのを見かけて家に持ち帰ったところ、何かの拍子にそれが命をもって動き出してしまう。そこからまねきんとのラブライフが始まり、まねきんの真の姿を巡る何やら策謀も見え隠れして……という具合に展開していく表題作がメインなエロ漫画。休刊したコミックうさまん連載作が単行本化された。こうして見ると内容的にはちと説明が足らん部分もあるなーという気はする。でもまだ子の絵はとてもいい。シンプルだけど柔らかくて華やかで。ちょっと80年代〜90年代前半的なオタク漫画を思わせるようなまろやかさがある。そういう絵なわりにちんことかちゃんと出てくるミスマッチに、ついソソられてしまったりする。そういえば英知出版「ドレグラ」に掲載された「ぬぞみちゃん嬉々一発」は収録されていないけど、アレもなんかの単行本に入ってほしいもんだなあ。


9/29(月)……経理要求

【雑誌】ヤングマガジン 10/13 No.44 講談社 B5中

 馬場康誌「空手小公子 小日向海流」。軽量級だけあって飛んだり跳ねたりのアクションが派手で痛快。なかなか見ごたえがあってワクワクする戦い。宮下英樹「ヤマト猛る!」。わりと最終回が近そうな感じだけどいい具合にヒートアップしている。あと大和の幼なじみのおねーちゃんが今回は良かった。とても男くさいお話の中でいいアクセントになってる。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 10/13 No.44 小学館 B5中

 山本英夫「ホムンクルス」。ホムンクルスについての解説編が続く。説明パートなんだけど、図とかを効果的に使っていてとても分かりやすい。なるほどなあ。やっぱり分かりやすいって大切なことですばい。見ル野栄司「超家族」は久々の掲載。相変わらず役に立たない超能力使いのオヤジがウザくて良い。新連載、作:戸梶圭太+画:中村ゆたか「湾岸リベンジャー」は、事故にあって引退した元レーサーの男が主人公。最愛の彼女との結婚を目前にしていたときに、彼女が交通事故に遭って死亡。もう諦めようとする主人公だが、そこに思わぬ話が転がり込んで来る。タイトルからするとこの元レーサーが、恋人を殺した事故を原因となった奴らに復讐するとかいう話になるのかな? ……とか思ったらこれ原作小説あるのね。検索してみたところだいたいそんな話っぽい。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 10/13 No.44 集英社 B5平

 作:稲垣理一郎+画:村田雄介「アイシールド21」。アメリカチーム版アイシールドというか、快速なライバルキャラが登場。ちゃんと相手側のほうも描き込んでて、先の展開を楽しみにさせてくれる。問題なく面白いっすね。和月伸宏「武装錬金」も好調。斗貴子とカズキの掛け合いでユーモアも入れつつ、お話としてもしっかりアツく演出。さりげなくちょっぴりHっぽいことを連想させる(でもあくまで連想させる程度な)力加減もうまい。

【雑誌】マガジンZ 11月号 講談社 B5平

 2号連続で購入。平とじのわりには薄いので、なんかつい手が伸びた。薄いわりに重量はある本なんだけどね。

 百瀬武昭「マジカノ」。女の子てんこ盛りコメディとしてちゃんと楽しくできてますな。コンノトヒロの4コマ「ぷぎゅる」は、アニメ化決定まで「マジック3」とか書いてあるけどどういう意味なんでしょうかねーとりあえず次号から増ページとのこと。「中増ページ」というのの意味がよく分からないが、「大増」ほどじゃないってことか。長谷川裕一「クロノアイズ グランサー」は最終回。でも残念ながら今までの話を読んでないのでよく分からない。ごめんなさい。長谷川裕一は、自分の読み筋としては近くにありながら、ずっとすれ違い続けている作家のような気がする。うるし原智志「ダーククリムゾン」。この人の裸インパクトは毎回スゴイなあ。別に露出度がものすごく高いってわけじゃないと思うんですよ、最近としては。まあ全裸になってしまったらそれ以上はないわけだし。でもうるし原女体は、いつもものすごい勢いで視界に飛び込んで来る。まさに異能。

【雑誌】快楽天 11月号 ワニマガジン B5中

 尾崎未来「愛の病」。人なつっこい女生徒が、イケメンな先生の家に押しかけてって告白してHに突入〜というお話。ストーリー自体は珍しくもなんともないけど、女の子がしっかりかわいくHのほうでもきちんと仕事をしている。女生徒さんは乳大きめだし。ムサシマル「倒錯小説家〜原稿回収奮闘記〜」。若手な編集者が女流官能小説家のところに原稿取り立てに行ったところ、そのまま食われてしまう。いつもながらにキレのいい絵。この人の場合、変わった話を描こうとするとストーリー的にもう一押しが足りないかなと思えることが多いのだが、今回はスタンダードにH&コメディという感じの作品だったのでしっかりまとまっていたように思う。ジェームスほたて「君に乳キュン」。なんか頭軽いですなあ。田舎の山でマツタケ狩りをする姉妹。サルノコシカケを発見しつい座ってみたところ、コケちゃって股間になんか入ってそのまま……という展開。マツタケ狩りなのにスカートで行くなーとかまあいろいろありますが、基本的にバカップル姉妹のお話なんでこんな感じでいいんじゃないかと。エロのほうはいつもながら肉付き良くてじゅくじゅくです。

 島本晴海「はれ☆ゆき」は2話め。勘違いして好きだった女の子とそっくりな妹に告白して、Hまで行ってしまった主人公の岡島。最初はそこから始まったけど、なんか妹さんのほうとどんどんいいムードに。この人はアツアツの恋愛模様をいい感じで描く。今回もそこらへん、初々しくて良かったな。鳴子ハナハル「ネネ」は、ペットショップで買ってきたネコのネネがなぜだか猫耳娘型に変化して困惑する主人公。彼女が家にやってくる間も、ネネは人間型になったりネコ型になったりを繰り返して、主人公はアタフタ……という感じのドタバタHコメディ。なんか最近の鳴子ハナハルは、品があるけどキュートな絵柄をスタンダードにHに生かすような方向に以て来ている。お話面でのヒネリは少なくなったけど、これはこれでええんじゃないでしょうか。

【雑誌】エンジェル倶楽部 11月号 エンジェル出版 B5平

 奴隷ジャッキー「ネェっ!ネェっ!!姉っ!!!」。最近流行りの姉モノ。とはいえこの人らしく内容はけっこうぶっ飛んでて、朝っぱらから弟のちんちんを急いで口で吸うお姉ちゃんが、彼と仲良しの女の子の中をとりもってくっつけちゃうというお話。なんだかたいへんオープンな状態でくんずほぐれつ。独特のぽわーんとしたおめでたいノリが印象的。ミルフィーユ「ふーちゃんタイフーン」。いつもは高圧的だった女の子ふーちゃんが、どうにもサカッてしまい、普段はイジメていた男の子とくっつくというお話。ヒロインのふーちゃんのメロメロな変わりっぷりが見てて楽しい。


9/28(日)……すてプラ

▼今日の日記タイトルはいちおうホッチキスの一般名称とも引っかけてるつもり。

【単行本】「STAYプラスお手々つないで」 西炯子 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 これはとてもいいです。高校で演劇部をやってる男女、佐藤くんと山王さんの恋愛なんだか恋愛でないんだかなストーリー。ちなみに二人は別の高校なので始終会っているわけではない。そこらへんがお話の中でうまい具合に効果を発揮している。佐藤くんのほうはかなりナンパな男。そこらへんの女の子に声をかけまくっている。しかし彼が惚れてしまった山王さんはかなり不思議な娘。モーションをかけてもなんかわけのわからんリアクションが返ってくるばかり。二人は親しくなってデートしたりもするが、くっつく気満々な佐藤くんは山王さんの言動や行動をどう解釈したものか考えあぐねて悶々とし続ける。このはぐらかしっぷりがうまい。まっすぐに進まない恋愛ストーリーに読者もいいように操られてしまう。普通のラブコメだったら展開がある程度見えるんだけど、そこで常に肩透かしをされる。自分が恋愛モノといえば「こうくればこうくる」と考えてたんだなーということが自覚できて、かえって恋愛ってものを意識させられたりもする。それから西炯子はやっぱ絵がうまい。丸みがあって品があって軽やかでもある。西炯子作品は絵のうまさばかりが目立ってピンとこない作品もあったりするのだが、これについてはかなりジャストミート。やられたなあという印象です。

【単行本】「ケロロ軍曹」7巻 吉崎観音 角川書店 B6 [bk1][Amzn]

 たいへんいい仕事してると思います。かわいいし安定感あるしオタクネタも嫌味にならないレベルで適度。吉崎観音は押すべきところ引くべきところの力加減をしっかりわきまえてるな〜と感じたりする。キャラも立ってるし、別に長くなったからといって退屈しそうには思えない。末永く続けてっちゃっていいんじゃないすかね。

【単行本】「ナノトリノ」1巻 ふくやまけいこ ワニブックス A5 [bk1][Amzn]

 かわいい和風ファンタジーな冒険モノ。ギシン様という、小さなとかげみたいな生物が集まって形成される巨大な化物と心を通わす能力を持った村娘・菜野と、そのお姉ちゃんであるめがねっ娘な鳥野。この二人が都を救うためにギシン様と共に旅に出る。その道中を描いていくという構成。まあなんつってもふくやまけいこの絵がかわいいのだ。健全で毒がない。たいへんパーッと華やかでやさしい。でもやっぱりかわいいので、これで目覚める人はいるかもしれない。ロリに。

【単行本】「堀田」 山本直樹 太田出版 A5 [bk1][Amzn]

 いやーお見事ですなあ。雑誌掲載時だと分かりにくかったところもあるんだけど、単行本でまとめて読んだらすごく良かった。お話は……といって説明するのがなんとも難しい。女王様が囚人にまたがってセックスしながら、牢屋の通路を闊歩するという幻想的な出だしから始まり、システムエンジニアの兄とその弟、そして部屋に転がり込んできた女性のだらだらとした日常が描かれていく。どっちが表なんだか裏なんだか分からない世界を行き来するトリッキーな構成で進んでいくお話は、とても幻想的で官能的な雰囲気に満ちている。そもそもタイトルの「堀田」ってのは何者なのか。実はお話はこの巻の時点では完結してないので、もろもろの解明されるのだかされないのだか分からない謎はまだまだ残されている。といっても山本直樹だからそれはそのままで行っちゃう可能性が高いけれども。今後どういう地点まで行くのかすごく楽しみ。あとこの巻には「普通の日曜日」「昏睡」「給水塔」と、3本の読切も併録されている。それにしても山本直樹の描く女性の身体はいつ見てもきれいっだなあ。細くてスラリとしててカッコ良い。そういえば意外と山本直樹直系のフォロワーっていないような気がします。

【単行本】「ちゃぶだいケンタ」1〜4巻 うめ 講談社 B6 [bk1][Amzn:1/2/3/4巻]

 実のところ、最初はこの作品あんまり買ってなかったのです。ろくでなしオヤジのもと、不安定極まりない生活を強いられつつもたくましく生きるケンタ少年……ということでわりとよくあるガキんちょモノを、松本大洋ライクな絵でやる作品かと思っていた。実際最初のころはそんな感じなんだけど、連載が回を重ねるにつれてズンズン面白くなっていった感がある。とくにケンタ少年とオヤジの関係ではなく、ケンタ少年と同じクラスの女の子サワの関係性をメインに据えるようになってから成功した。巻数でいうと2巻の後半あたりから。もちろんサワが可愛いってのもあるし、この二人の恋愛萌芽模様が楽しくていいってのはおおいにある。それに加えて絵がすごくうまくなった。最初のころの絵と、最近の絵を比べると別人みたいだ。お話のほうも良くなってる。最近ではケンタ少年がどんどん強い男へと成長してっているさまが確かに感じられて、なんとも頼もしい。例えば4巻のメインとなっている塾編。貧乏で塾なんぞに通えないケンタだが、父が「これで塾行け」と渡した小銭を見て、「気持ちだけもろとくか……」と考える。いろんなことを経験して懐が深くなっている。奥さん、ケンタはいい男になりまっせ。

【単行本】「媚女爛漫」 海明寺裕 桜桃書房 A5 [Amzn]

 今回の単行本で注目は、一連の全裸スポーツものシリーズがまとまったこと。柔道みたいなもの、自転車ロードレース、ローラースケートと全裸プロ競技の世界を描く。女陰をいじくりながらローラースケートで身を翻したり、自転車のペダルを漕ぐ。人の目にさらされながらもベストなパフォーマンスを発揮しようとするその姿は、健気で何やら気高いではありませんか。挿入とかは全然ないんだけど、いやらしいというか淫靡というか。この人の作品は最初は特殊な性癖を持った人が登場……という感じの導入部から始まるんだけど、彼らを取り巻く社会はむしろその特殊性を当たり前のように受け入れてて、読んでいるうちに普通と特殊がひっくりかえる。その目眩のするような感覚に、酒飲んで酔っ払うみたいな気持ち良さがある。


9/27(土)……クッキーキック

▼そろそろOHP月極アンケート9月「他メディア化したら面白そうな漫画2003」も締切が近い感じです。今回はいろいろバラエティに富んだ内容となっておりますな。

▼未読物
【単行本】「ナノトリノ」1巻 ふくやまけいこ ワニブックス A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「堀田」 山本直樹 太田出版 A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「ちゃぶだいケンタ」1〜4巻 うめ 講談社 B6 [bk1][Amzn:1/2/3/4巻]
【単行本】「媚女爛漫」 海明寺裕 桜桃書房 A5 [Amzn]

【雑誌】BJ魂 11/1 No.15 集英社 B5中

 甲斐谷忍「太平天国演義」。いい感じのどんでん返し。盛り上げて盛り上げてストンと落とす呼吸はさすが。ハッタリがよく利いている。あと巻頭カラーで有賀照人「セーラー服騎士」が再登場。なんか有賀照人って「どうでもいい話」を描くのに賭けてるんじゃないかと思うことがある。だとしたら成功している。

【雑誌】フラワーズ 11月号 小学館 B5平

 今号はちゃんと萩尾望都と波津彬子が載っている。やはりこの二人がいないとね。この雑誌らしい華麗さ、豪勢さの発信源。渡辺多恵子「風光る」。今回は脇キャラにスポット。原田左之助の嫁取り物語。男女ともなんかサバサバしてて、こういうカップルは好きだ。コンスタントに問題なく面白い。手堅い。読切、江平洋巳「はじまりはハロー」。細い線に気品があって美しい。きれいな良い絵です。

【雑誌】コーラス 11月号 集英社 B5平

 よしまさこ「うてなの結婚」。ほのぼの家族ドラマの中で、ドラマチック部分担当、あのんの周りがバタバタしてきている。現在元教え子のカイトくんとつき合っているあのんだが、カイトのかつての同級生の女性たちの嫉妬もからんで一悶着。テンポの良い話運びと嫌味のない絵柄でしっかり読ます。よしまさこ先生はええですね。

【雑誌】クッキー 11月号 集英社 B5平

 すごく久し振りに読んでみましたよ。過去ログによると2001年5月号以来かな。まあそんなわけで連載モノについてはこれまでの流れがわかんないものが多いんだけど、けっこう楽しめました。栗原まもる「学園恋愛者!」はちょうど連載再開だったので話がつかみやすかったし、あとは東村アキコ「きせかえユカちゃん」、水沢めぐみ「キラキラ100%〜ドキドキ120%〜」、谷川史子「ココアブレイク」とか。なんで読むのをやめてたかというと……なんでだろ。いまいち乙女心の足りない人間なので、微妙に波長が合わなかったとかとかかな。楽しめそうな匂いはあるので継続購入はするかもしれません。まあ次号を見かけたときの気分しだいで。

【雑誌】メロディ 11月号 白泉社 B5平

 川原泉「ドングリにもほどがある」が掲載。なんだかすごーくのんびりした楽観的な女の子と、平凡そうに見えるけど実は高校生作家である少年が繰り広げる学園コメディ。ほんわかしてて楽しい作品。でもやっぱり少女漫画用語の「読切」には慣れない。今回も扉に「待望の新作読切登場!」って書いてあるんだけど、ヒキもあるし「1月号につづく」の文字もある。こういうのは落ち着かないので「新シリーズ」とかにしておいてほしい。

【雑誌】リトルピアス 11月号 東京三世社 A5中

 ほしのふうた「人形の家」は最終回。何も知らない少年少女が、双子の少女の住まう家に閉じ込められてセックス漬けにされていく……というほしのふうたにしてはダークなお話だった。でもオチとしては分かったような分からんようなという感じでもう少しインパクトは欲しかったような気も。ほりほねさいぞう「季刊畜産手帳夏号 牛」。牛娘さんと青年の愛あふれる日々。牛娘が普通の少女型でかわいい。作家クレジットのところに一言コメントがあるんだけど、そこに「手足は少ない方が大変です」と書いてあってちょっと面白かった。そうか、手×2、足×2の4本とかだとこの人の場合、かえってバランスがとりにくかったりするのか。特殊だなあ。

【雑誌】阿ウン 11月号 ヒット出版社 B5平

 師走の翁「捜査e係石原魅奈!!」。今回は読切で登場。新任の婦警さんが電車内でのカメラ付き携帯による盗撮団を捕まえるため、Hな囮捜査を敢行〜という話。前作の「精装追男姐」みたいにぶっ飛んではいないが、婦警さんもしっかりかわいくてHだし、エンターテインメントしておりますなあ。摩訶不思議の新連載「I♥DOLL」は、一人暮らしのちょいと暗めな男子が、ゴミ捨て場で人間型アンドロイドっつーかダッチワイフを拾ってきて一緒に暮らし始める。貧乳ロボ子モノであります。高岡基文「シューティングスター」は、カワイイ男子生徒高橋くん&巨乳めがね女教師・倉木先生コンビのシリーズ。高橋くん、倉木先生とも海辺で流されて別の相手にもみくちゃにされちゃうというお話で、きっちりエロい。ええ乳でございます。春籠漸は久々の掲載。「性教育」。6年制の学校(まー要するに小学校ですな)で、クラスのみんなが性教育の実習で乱交〜という内容。相変わらずこの人は多人数プレイが好きだなあ。じゅくじゅく汁ッ気たっぷりで濃密。

【アンソロジー】アイラDELUXE VOLUME.15 三和出版 A5平 [Amzn]

 氏賀Y太「まいちゃんの日常」。相変わらずどんなにぶっ壊されても再生しちゃう少女・まいちゃんはヒドい目に遭わされまくり。でもなんか今回はオチがほのぼのブラックジョーク。ちょっと笑っちゃった。栗田勇午「NO DOG NO LIFE」。うーん、この人は本当に獣姦漫画に特化してますな。「YAWARA!」みたいな絵をしているのでもっとほかの内容でもニーズがありそうなのに。こういうこだわりのある人は好きだな。


9/26(金)……ショー娘。

▼SHIOMUSUBI! というわけで無性に塩むすびが食いたくなったので、ごはん炊いてもりもり握ってみましたよ。うーん、ごはんはおいしいなー。

【雑誌】ヤングアニマル 10/10 No.19 白泉社 B5中

 作:あかほりさとる+画:板場広志「マウス」。ははは、ばっかでー。今回は無音家に勤めるメイドさんたちが大集合して運動会をやるというお話。緊縛バンジージャンプとかすごく頭の悪い競技をやっている。底抜けな祝祭感が素晴らしい。柴田ヨクサル「エアマスター」。ついにエアマスターフル稼働。豪快なアクションシーンがすごく気持ちいい。インパクト強烈で面白いです。

【雑誌】少年エース 11月号 角川書店 B5平

 今号は吉崎観音「ケロロ軍曹」が表紙で、それと同じ絵柄の下敷きが付録。吉崎観音の絵は別にパンチラやってるわけでも乳を見せたりしてるわけでもないのに華があるなあ。巻頭カラーの新連載、ひよひよ「TRIGRAM8」はパンチラもりもりです。なんか主人公が走ってぶつかっては女生徒の乳をわしづかみ、転んではスカートをずりさげるという漫画。「ラブひな」「エイケン」的なアクシデントが満載でございます。おなかいっぱい。西川魯介「なつめブルダラーク!」は最終回。なつめを中心とした鹿淵くん、玉澤さんらの関係は距離が微妙に近くなりつつ根本的な構図は変わらぬままおしまい。いろいろトキめいていい感じでした。玉澤さんはさすがめがねっ娘。西川魯介だけに、最後はこの娘さんがすっかりヒロインな感じになっちゃっていた。

【雑誌】ガンダムエース 11月号 角川書店 B5平

 安彦良和「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」。いつも面白い。TVアニメ版よりも、キャラクターたちのディティールをしっかりさせていこうという意識が、今回はとくに強く感じられた。リュウ、カイ、ハヤトあたりのキャラにグンと厚みが出ている。それから北爪宏幸のハマーン漫画「若き彗星の肖像」が連載再開。

【訂正】初アップ時に『ときた洸一+千葉智弘の「機動戦士ガンダムSEED ASTRAY」は最終回』と書いてしまいましたが、最終回というのは誤りでした。お詫びして訂正いたします。

【雑誌】コミックバンチ 10/10 No.43 新潮社 B5中

 作:柴田錬三郎+画:柳川喜弘「眠狂四郎」が最終回。最初のほうはかなり面白かったけど、後半はちとダレたかな。これで創刊当時から残っている連載は「蒼天の拳」「Angel Heart」「Restore Garage251」「リプレイJ」の4作のみとなった。といっても創刊号に掲載された作品は7本だけなので、半数はまだ生き残っていることになる。ちなみにこれ以外の創刊号掲載作品は、渡辺保弘「ワイルドリーガー」とおおつぼマキ「貧民の食卓」。

【雑誌】手塚治虫マガジン 11月号 KKベストセラーズ B5平

 いつもながらしっかり読める。「ブラック・ジャック」や「どろろ」などの長編だけでなく、短編の「ダリとの再会」「雨のコンダクター」「インセクター」なんかもいい。「雨のコンダクター」は世界的に有名な指揮者バーンスタインを描いた実録モノ。こんなのも描いてたんだなあ。

【雑誌】COMICアリス倶楽部2 コアマガジン A5平 [Amzn]

 なんか微妙にタイトルを変えつつしぶとく続きますなあ。というわけで2冊めだけどおなじみのロリ系アンソロジーシリーズ。いろいろうまい人が揃っているけど、今回お話の面では、しまたか「絆想恋う」が良かったな。なかなか友達以上の関係になれない学級委員長の男子女子が、女子サイドのおともだちのイタズラによってくっついちゃうというお話。セックスシーンはなくてもいいかなーと思っちゃう微笑ましさ。ナヲコ「駅」は、くっついたり離れたりを繰り返している両親のせいで、何度も引き裂かれている連れ子兄妹の物語。別離と再会を繰り返すたびに彼らの関係の切なさが増してくる構成が巧み。この人は漫画うまいと思います。

 ひねもすのたり「座敷童子推参」は、分かっちゃいるんだけど、最初のページ見たとき「あさりよしとお……」と思ってしまって一瞬ビビる。まあ元アシスタントなので似てて当然なのだけど。主線よりも影のつけ方の感じとか画面処理とかでピピッとくる。それはともかくとして、登場する座敷童子少女は和服姿がなかなかかわいくてええ感じです。チャーリーにしなか「人のうわさも…」。つき合っている先生が浮気していると聞いてブチ切れたブルマ姿の女生徒。子供らしく元気良くて見てて楽しい。表情がイキイキしてるのがグッド。新貝田鉄野郎、みかん(R)はさすがのうまさ。パッと目を引き寄せられます。

【漫画執筆陣】いぬぶろ、神宮千寿、横山葱、ひねもすのたり、チャーリーにしなか、湊谷俊作、しまたか、みかん(R)、新貝田鉄也郎、ナヲコ、範馬アキラ、A・浪漫・我慢(1ページショート)


9/25(木)……大菊古株って

▼秋葉原の「肉のハナマサ」という業務用系の食料品店で買い物していたらメイドがいた。秋葉原という土地柄、名産品ではあるのだが、さすがにスーパーとかにいると目立つ。でもよく考えてみると、メイドさんて家政婦なんだから、食料品店で買い物してたりするほうが正しい姿なんだよね。本来は観賞用生命体ではないはずなのだ。

【雑誌】月刊IKKI 11月号 小学館 B5平

 篠房六郎が連載開始。アフタヌーンでやってた「空談師」は消化不良のまま終わってしまったが、今回も再びネットゲームもので攻めてきた。タイトルは「ナツノクモ」。前作のリベンジなのか、それとも編集部から似たような路線でという発注があったのかはもちろんこちらのあずかり知らぬところではあるが、初回の印象としては前作より読みやすくなってるかなという気はした。ネットゲーム世界だけでなく、その外の現実世界とのリンク度合いをちょっと強めている感じ。とりあえずお手並み拝見といったところ。

 ジョージ朝倉「平凡ポンチ」。現実逃避行を続けるカントクとミカの足取りは、無軌道で相変わらずフラフラしまくり。先が読めないまま、物語が常に動いている感じがするのがいい。あと今号には第4回イキマン受賞作、はづき満「グリーンピース」が掲載。耳の中に緑色の宇宙人が入っている。そのことを自覚している美人で優等生だけど孤独な女の子が、マイペースな転校生の少年の出現によってじょじょに変わっていくというお話。絵柄的に見てキッチリまとめるタイプのお話かなと思ったら、不思議な読み心地のままお話はぬるぬると推移。ラストはもう少し不条理にしちゃっても良かったかな〜と思わないでもないけれども、なかなか個性的なお話を描いていると思う。そんなわけで次回作もどんどん描いてってほしい。

【雑誌】アフタヌーン 11月号 講談社 B5平

 これは画期的! 巻頭カラーの木尾士目「げんしけん」の1ページめ、なんとジグゾーパズルになっているんですよ〜。しかも表紙だけじゃなくて裏側にもちゃんと漫画が印刷されてて、パズルも漫画も楽しめる仕様になってる。パズルを実際にやると裏側が読めなくなっちゃうから、これはもう1冊買ってこなきゃね☆…………なーんていうわけねーだろー。「ちょっと読みにくくて、すみません」とか書いてあるけど、ちょっとどころじゃないよー。持つ手に力入れるとパズルがバラけちゃいそうだしー。付録つけたい→なんか紙で作れる変わったモノ→そうだパズルがあるじゃないか!ってな発想なんだろうけどこれは正直迷惑。電車の中で読んでる最中にピースが砕けて散乱なんてことにもなりかねないし。

 それはさておき今月号から、ひぐちアサの新連載「おおきく振りかぶって」がスタート。中学生のころは身内びいきによって実力もないのにピッチャーをやり続け、チームメートから疎んじられていた少年・三橋が主人公。彼が高校に入り、野球はやるまいと思っていたのに、なんだか引っ張り込まれてしまうことに。でもなんだか凄腕なキャッチャーによって、彼の思わぬ才能が引き出され、今度の野球生活はまったく違ったモノになりそうな予感……という第一話。終始オドオドしっぱなしの主人公がユーモラスで、野球の技術的な部分も案外読ます。けっこう楽しい作品になりそう。あと連載陣では、単行本が出たばかりのとよ田みのる「ラブロマ」が好調。今回は学園祭で根岸&星野は演劇に挑戦。二人の絶妙なボケとツッコミの応酬がとても楽しい。そして終始ラブラブだったりして、ええシーンも演出してくるし。読んでいる間中、ニヤつかせてくれるいい漫画です。熊倉隆敏「もっけ」は、檜原姉妹のおねえちゃんのことが好きな少年からの視点で物語が進行。恋する少年フィルタがかかってるせいもあってか、今回はおねえちゃんがいつもより美少女度割り増しな感じで良かった。

【雑誌】ビッグコミック 10/10 No.19 小学館 B5中

 創刊1000号記念ということで、表紙の日暮修一イラストには、創刊当時からこの雑誌で漫画を描いていたさいとう・たかをが登場。これはちょっと意表を衝かれた。で、巻頭にはさいとう・たかを、ちばてつや、藤子不二雄Aによる鼎談が掲載。その後、記念読切として作:小松左京+画:さいとう・たかおの読切「1万年の目覚め」が掲載されてるんだけど、これちょっとオチが凄い。海底油田を探査している船が試掘をしてみたところ、出てきたのは原油でなく精製済みの重油やガソリン。その謎を追ううちにとんでもない事態が……という筋立て。ラストはとっても身もふたもなくて、思わず噴き出してしまった。これはもしかしてギャグでやってるんだろうか。

【雑誌】モーニング 10/9 No.43 講談社 B5中

 サラ イネスの新連載「誰も寝てはならぬ」がスタート。名前の表記が「サラ・イイネス」じゃなくなったのね。子供のころから友達同士な腐れ縁男子二人、ゴロちゃん、ハルキちゃんの生活をマイペースに語っていくという感じの作品。学生時代から社会人になるまでを一気に語ってるので時間の進みは早いんだけど、とくに急いでいる感じはせず呑気さのほうが印象に残るのは、やっぱり語り口のおかげなんでしょうな。おおひなたごうはモーニング初登場。「地球防衛サークルサプライズ」。この人のナンセンスな作風は、どこで描いても不変。一本スジがビシッと通っている、といえるかもしれない。

 読切、佐藤ひろむ「ドロップ」は5年ぶりに道端でばったり再会した父と娘の物語。父母は離婚して、もう父は再婚相手と家庭を築いていた。その家に遊びにいった娘だが、そちらさんの娘さんが彼女に対して警戒しているようで……という具合。シンプルで素直な絵柄で家族ドラマをきっちりまとめた。悪くはない。けれどもちと大人しく作りすぎかなーという気もする。新伊秀策「色歌 藍の歌」は、古代中国を舞台にした夫婦の物語。父の勧めた縁談により、誠実ではあるが冴えない小男と結婚した女性が、本当にこれで良かったのかと考え続ける。作画は骨太ながら、夫婦間の繊細な感情を描いた作品。こちらもわりときっちりまとめてくる方向。

【雑誌】ヤングサンデー 10/9 No.43 小学館 B5中

 作:金城一紀+画:秋重学「REVOLUTION No.3」。ゾンビーズの面々とお嬢さまとの距離が近づいて、面白くなってきたかな。作画については線のキレ味が増して、ますますカッコ良くなってる。ただそれがあんまり進みすぎると、逆にお話が頭に入っていきにくくなってしまいがちなんで、そこらへんはバランスを保っていってもらいたいもの。あと宮城シンジ「マスクマンキャッチャー小武蔵」は今号で最終回。

【雑誌】ヤングジャンプ 10/9 No.43 集英社 B5中

 こばやしひよこ「おくさまは女子高生」。今回はなんか良かった。それは濡れ透けが好きだから。そしておくさま女子高生が、ちょっと別の男にトキめき気味だから。下手にやっちゃったりするよりも、今回みたいに「次はどうなる?」って感じのところでヒキになってるほうがソソる。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 10/9 No.43 秋田書店 B5平

 やぎさわ景一の新連載「ロボこみ」がスタート。主人公の石上が転校して編入したクラスには、なぜかロボ娘がおりました。そんな状況に石上くんが戸惑ったりする学園コメディ。初回は8ページが掲載ってことで、このままショートギャグでいくのかな。ヌルめな雰囲気でまあまあ楽しい。ただインパクト的には若干弱いか。 水島新司「ドカベンプロ野球編」。いってもしょうがないことだが、相変わらずツッコミどころが多い。今回も0-0から「逆転」サヨナラホームランを打たれている土門がいる。

【単行本】「銭」壱巻 鈴木みそ エンターブレイン B6 [bk1][Amzn]

 さまざまな気になるギョーカイの、お金にまつわる事情を、霊体になってしまった少年たちが覗いていくというお話。第1巻では漫画、アニメ、コンビニと、オタク的にかねがねお世話になってます的業界が取り上げられてます。漫画やアニメっていうのはどこからどうやって利益を得ているのかとか、そういうことが分かりやすく説明された内容は興味深いところが多い。まあ正直なところ、あんまり裏事情とか利益構造とか知っちゃうと、余計な気を回して作品やサービスを素の状態で受け入れられなくなっちゃうことも多々あるんで、あんまり知りたくないっちゃ知りたくなかったりもするんだけど。

【単行本】「いばらの王」2巻 岩原裕二 エンターブレイン B6 [bk1][Amzn]

 コールドスリープから目覚めた人間たちが、獰猛な怪物に満ちあふれた未来の世界で脱出劇を繰り広げるというアクションアドベンチャー。第1巻に続いてダイナミックなアクションが連続し、息つくヒマもなくお話は展開。ストーリー面はゴチャゴチャしたところがあってちょっと弱めかなという気もするけど、この作品の場合は見せ場は細部のディティールよりもアクションとキャラだと思うのでまあこんな調子でいいんじゃないでしょうか。

【単行本】「needle」 中田ゆみ ぺんぎん書房 A5 [bk1][Amzn]

 高校生ながら、恋やSEXに悩む女性を癒すレンタル制のパートナー業をしている楡くん、通称ニードルと、そのマネージャーをやっているナツメ、この二人を中心とした物語。レンタル制のパートナーシステムといえば、この人は以前にも「レンタルラバー」[bk1][Amzn]という作品を描いているけれども、それの男版といったところ。最初のうちは一話完結で依頼者の女性の悩み等を解決、そして後半は楡とナツメのラブストーリーになっていくという展開。この人らしく絵柄に華があり、あったかく読ませてくれるけど、お話全体としては若干まとまりが悪いかなとも思う。もう少し一話ごと、またキャラクターごとのインパクトは欲しかったところ。


9/24(水)……麿ブラ

▼Amazonからお知らせメールが来ていたので、露骨なポイント稼ぎ目的リーンク。2004カレンダーストア@Amazon。ついでだから2004年カレンダー@bk1にもリンク張っちゃいますよ。それにしてもAmazonのカレンダーストアのバナーはアニメーションGIFしかないのかなあ。アレってちらちら動いてうるさいから嫌いなんだよね。

【雑誌】近代麻雀ゴールド 11月号 竹書房 B5中

 今号も桜井章一濃度高し。井上孝重「制覇〜川田隆と麻雀新撰組〜」は、麻雀界で初めてタイトル三冠王を達成した川田隆の生涯を描いた実録ストーリー。不勉強なもので知らない人だったけど,ピシッと決まった外見とかはカッコイイ。実在の人物をドラマチックに描いててなかなか読ます。「栄光なき天才たち」ってな感じ。

【雑誌】スーパージャンプ 10/8 No.20 集英社 B5中

 村上もとか「JIN −仁−」の新章が開始。今回は南方が皮膚移植手術に挑む。未来式医療技術を持った南方に職を奪われることを危惧した医師たちの妨害工作とかまで描かれており、リアリティがある。タイムスリップで未来からやってきた南方が病気を治してめでたしめでたし……だけでは終わらず、一人の神医がもたらす社会的影響まで描き出す物語には説得力がある。ここらへんの厚みはさすが村上もとかといったところ。

【雑誌】週刊少年サンデー 10/8 No.43 小学館 B5平

 井上和郎「美鳥の日々」。美鳥がいる状況にすっかり順応し、左手で各種作業を行うことに慣れてしまったセイジを見て、美鳥は自分の存在理由が希薄になっていると思い悩む。普通にあり得る事態だけど、けっこういいエピソードになってると思う。万乗大智「ふうたろう忍法帖」。ありゃ、最終回か。というわけで全5話で終わってしまいました。この人の作品にしては、少年の脱がしっぷりが足りなかったかも。忍者服だと太股とか露出しないし……。

【雑誌】週刊少年マガジン 10/8 No.43 講談社 B5平

 あー、なんと申しますか。「ハートフルH読みきり」が登場。若宮弘明「たんぽ」。呉服屋のお嬢さまが借金対策のため、居候にやってきた金持ちのボンボンにちょっとHなサービスをする……というお話。まあH度についてはけして高くはない。むしろ大暮維人とかのほうがフェティッシュで興奮するレベル。でもマガジンがこういう手で来るとはなあ……。週刊少年誌でHなことをやるというのは、昔「ハレンチ学園」とかもあったし、少年チャンピオンで内山亜紀の「あんどろトリオ」とかやってたくらいだから異例というほどではないのだけど、ここ数年のマガジンやジャンプの流れから見るとHをウリにするっていうのはやっぱり目立つ。だいぶ手段を選ばなくなってきたなという印象。

 コージィ城倉「おれはキャプテン」。ああ、やっぱり邪悪だ……。明らかにちばあきお「キャプテン」を意識した作りで、いかにも純朴な中学野球漫画に見せかけておいて、その裏でいろいろ仕掛けてくるのがコージィ城倉の素晴らしいところ。2003年の漫画家MVPを挙げろといわれたら、個人的にはこの人を強く推したい。

【雑誌】LaLa 11月号 白泉社 B5平

 今号は森生まさみが2本立て。いつもの「おまけの小林クン」プラス再登場となる「ミモザでサラダ」。「ミモザでサラダ」は、莫大な遺産を相続した富豪一家の一人娘・ミモザと、彼女のボディガードの青年・カイルの物語。ミモザはカイルのことを「ロボット」だと聞かされてそれを信じ込んでいるが、実はカイルは人間。そんなカイルにミモザはとてもよくなつき慕っているのだが……という筋立て。ミモザとカイルのやりとりがほのぼのしててあったかくて気持ち良く読める作品。なかじ有紀「ビーナスは片想い」。なんだか紗菜が保母さんを目指し始めそうな勢い。ユッキーを撃沈させたばかりの紗菜だが、ここでもいい具合にイケメンなあんちゃんを引っかけそうな気配。天然娘は罪作りなり。

【単行本】「ラブロマ」1巻 とよ田みのる 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 思わず顔がニヤけてしまう〜。これはいい作品ですよ。お話は杓子定規でまっすぐな行動を特徴とする男子・星野くんが、クラスメートがみんな揃った教室で、ツッコミ気質で気のいい女の子・根岸さんに告白するところから始まります。そこから彼らの恋愛物語が始まっていくのだー。なんといってもこの作品でいいのは、星野くんの真っ正直すぎる語り。好きだと思ったら好きだといい、キスしたいと思ったらキスしたいという。しかも公衆の面前で。まったく悪びれるところがない。器がデカい。あー、星野くんステキすぎるぞ。俺もこういう人になりたいし、こういう恋愛をしてみたいという気分に、素直にさせてくれる。あまりに率直すぎて周囲の人たちも楽しく見守るほかない。対する根岸さんも、照れながらも「好かれてうれしい」という気持ちを隠さない。なんていうか登場人物がすごくまっすぐ。そしてユーモアが常にある。そんな彼らが微笑ましくかわいらしく羨ましい。

 漫画としてもうまいと思う。まずは本筋のところで、まず星野くんのちょっと意表を衝く行動で「おっ」と読者の興味を引きつけ、ユーモアをまじえながら恋愛のステキなところをいっぱい描き出していく。そしてきれいに締めたあと、おまけページでもう一回転がしてみる。その呼吸が、天然でやってるのかもしれないけどとても楽しい。ラブコメはこれまでいろいろ描かれてきたけど、それでもまだ新鮮な快感を与えてくれる。シンプルで垢抜けない絵柄も、親しみやすくてまたいい味。肩も凝らないし、繰り返し読みたくなるタイプの作品。

【単行本】「てんでフリーズ!」3巻 ISUTOSHI 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 超能力を増幅する超能力の持ち主である少年・梅八と、その能力に目をつけた小雪を始め、美人なおねーさんや少女たちが繰り広げる日常&非日常コメディ。たいへんだらだらとお話は進んでいくのだが、最近そのだらだら感がだいぶよくなってきた。とくにキャラがだいぶいい味を出し始めているのが好印象。個人的には馬鹿でお人好しな梅八は好きなタイプのキャラ。あと体力自慢な梅八のかーちゃんとかも見てて楽しい。たぶんこのまま大それた事件は起きないような気はするんだけど、それでもいいかなーという気分になってきた。

【単行本】「クロ號」6巻 杉作 講談社 A5 [bk1][Amzn]

 すごい安定株なので今さら書き足すこともないけれども、よくできた作品であることは間違いない。「かわいい猫ちゃんたちの世界にも、厳しい現実はあるんですよ……」という視点の作品は、実のところまあよくある。しかしそんな手垢のついた題材を使っているにもかかわらず、この人はちゃんと読ませるし、うまいと思う。筆描きだと思われる落ち着いた雰囲気のある絵柄、ほのぼのとした中に猫社会の厳しい現実を感じさせる演出などとても巧み。なんか風格ある作風だなーと思う。とはいえ、今後この人の作風はおそらく揺らぐことはないだろうし、どの巻を読んでも同じような感想を抱かせてくれると思う。そんなわけでそろそろ続巻を買い続けるのはやめちゃおうかなーとも思っている。必要なら全巻揃ったときにまとめて買えばいいんだし。

【単行本】「秘蜜の叛乱」 柿ノ本歌麿 桜桃書房 A5 [Amzn]

 うははは。やっぱりこの人はすごいなー、しばたくん大喜び。超輪姦モノの雄、柿ノ本歌麿の3冊め。この人の特徴といえば、とにかく輪姦のスケールがデカいこと。この単行本でも「Mrs.FUMIKO」あたりでそれは炸裂している。女囚の棟不三子が愛する夫を救うため、最低1日240人のセックスを年中無休で3年間続けさせられるというストーリー。しかも膣内射精でないとカウントされず、もちろん口や尻も使われるので、一人で毎日その何倍かの本数を抜かなくてはならないという超絶世界を展開。それだけやると女性器は完全に肉ビラがめくれあがり、人間の肉体の一部とは思えないような状態に変貌。そして快感でショック死したら、電気ショックで蘇生させてやり直し。普通の輪姦モノだと「仲間に入れてもらいたいなあ」くらいな気持ちの一つも湧いて来ようものだが、さすがにこれはちょっと……という気持ちになる。「絶対にマネしないでください」と書く必要もないくらい。本当にエロしかやっていないのに、エロを遠く離れた次元までぶっ飛んじゃっている。こんな世界はなかなかほかの人には描けない。この妄想力、現実からの跳躍力。特殊作家の一人であることは間違いない。ただこの単行本については続きモノが少ないので、前単行本である「嗜虐の絶頂」[Amzn]および「崩壊の慟哭」[Amzn]に比べると、若干ヌルいかもしれない。恐ろしいことに。はっきりいってグロテスクでさえあるので、耐性のあるごく一部のヒドい人にしかオススメしません。


9/23(火)……放下と蓑と

▼単行本だけのときは書くのが楽だー。本当は「ラブロマ」とかについても書きたかったんだけど、まだbk1から本が届いておりませんでのう。出荷のご案内メールは届いてたので明日には着くでしょう。

【単行本】「二十面相の娘」1巻 小原愼司 メディアファクトリー B6 [bk1][Amzn]

 小原愼司久々の作品は、大時代的な浪漫あふれる一作となった。自ら親を捨て、怪人二十面相に拾われていった少女・チコの物語。年端もいかぬ少女が二十面相の魂を引き継ぎ、美しく成長していく様子が描かれていく。現在コミックフラッパーで連載しているバージョンと、読切で掲載されたバージョンを収録。こうして読み返してみると、1話1話の雰囲気はたいへん良いのだけど、全体を貫く物語性という意味では今のところ若干弱いか。でも二十面相が闇を駆け、明智が華々しく活躍した時代の雰囲気というのはやっぱり良くて、それが小原愼司のどこかノスタルジックな作風とよく合っている。あとチコの少女っぷりもなかなか見事なもの。お話としてのまとまりについてはこれからに期待。なんにせよ楽しみな一作。

【単行本】「臥夢螺館」上下巻 福山庸治 講談社 A5 [bk1][Amzn:上巻/下巻

 以前いっぺんe-mangaコミックスとして1巻が発売されたが、それとは装丁を変えて出し直し。最初モーニングに掲載されたときから数えて10年の歳月を経てようやく完結。アパートの一室に閉じこもって出てこない住人を調査していた弁護士の緑川が、そこで異様な存在を目撃する。子供のような、でも目は無機質で非人間的な顔立ち、そして肉体はグラマーな女性のもの。この存在は「天使」と呼ばれているが、宿った人間の精神を喰らい尽くしやがては破滅に導く。その天使たちが人間の身体、テレビの画面、パソコンなどを通じて溢れだし世間をパニックに陥れる……というサイコホラー。

 いやー、これは読んでてとても怖い。何が怖いって「天使」たちの造形。身体は女性のフォルムをしてるんだけど、白くて小便小僧か何かみたい。そして目。善悪という基準のない子供のようでもあり、昆虫のようでもあり、すごーくイヤ。目以外のパーツについては人間と変わるところがないといえばないんだけど、これだけ生理的な嫌悪感を抱かせるようなバランスで描けるってのは凄いことだと思う。そういう存在がどんどん増殖して、ひたひたと日常世界を侵食していく不気味さといったらない。しかも福山庸治がやたら漫画のうまい人なもんだから、その怖さはまたひとしお。

【単行本】「BLAME!」10巻 弐瓶勉 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 これにて最終巻。正直なところ、雑誌の時点でではもうかなり飛ばしモードに入っていたので、最終回になってたことに気づいてなかった(後で気づいたけど)。何がなんだかわけわからん状態になって久しかったけれども、総じて見ると要するに、「一人の男が巨大建造物の中で終わりなき放浪の旅を続ける」程度の理解で良かったんだろうなとか思う。それを念頭に置いたうえですごい未来SFっぽい建物だとか、メカのデザインとかを見て感嘆してれば良いのだろう。たぶん作者が描きたかったのも、煎じ詰めれば建造物とメカだったのだと思う。この手の作品の場合、例えば右ページは文章だけにして、左ページは1枚絵イラストって感じとか、そういう絵本的な作りにしちゃっても面白いかもしれない。

【単行本】「Forget-me-not」1巻 鶴田謙二 講談社 A5 [bk1][Amzn]

 ようやっと単行本化されました。ベネチア在住の探偵ねーちゃん、伊万里マリエルのだらだらのんびりした日常を描いていくというお話。見どころはとにかく鶴田謙二の絵。そしてそれが生み出す空気感。カラーのほうももちろん良いのだけど、モノクロのペンタッチのほうもこれまたすーばらしくて、馥郁とした気分にさせてくれます。なんといってもマリエルが美人で素敵。乳がいい。デカいというのもあるんだけど、それ以上になんかいい形。それからそのほかの事物の描写もいちいち気持ちがいい。水の街の風景だの家具だの。漫画絵を見ることによる悦楽というものを、しみじみと味わわせてくれる。小道具もいいよね。オリベッティのノートパソコンとか。ECHOSは本当にかわいいデザインのマシンだった。オリベッティがパソコン事業から撤退してしまったのはかえすがえすも残念。ところでこの本を見て誰もがツッコミを入れたくなるであろう部分といえば「1巻」の文字。ていうかもう、別にこの作品の2巻でなくてもいいです。だから新作を、別に「早くしろ」なんて今さらいいませんが、そのうちまた一つよろしくお願いしたく。

【単行本】「サトラレ」5巻 佐藤マコト 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 カバー見返しに「おぼろげながらラストの形が見えてきました。」との言葉が。作者自身はもうネタギレと書いているけれども、きっちり面白くできてるとは思う。「こういうサトラレがいたらどうなるか」「サトラレがこういう状況になったらどうなるか」といった思考シミュレーション的な面白みはあるし。ただまあそれの繰り返しだとさすがに苦しくなってはくるだろうけれども。今後のキーになるキャラといえば、やっぱりサトラレを憎悪する山田教授かな。彼が出てくると話が動く。あとはやっぱり読者的には「主人公」という認識の強い西山でしょう。

【単行本】「仮面ライダーSPIRITS」5巻 村枝賢一 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 いつもながらにアツい仮面ライダー譚。ゼクロスはあんまりなじみのあるライダーではないが、それでもカッコイイ。ライダーたちはみんなそれぞれ悲劇性を抱えてるのがいいね。改造されているとはいえ、自分の肉体で運命を切り拓いていくって感じが出てる。あとやっぱライダーが勢ぞろいすると狙ってると分かってても燃える。


9/22(月)……鉋でGO!

▼休み前だったので本がもりっと出ました。というわけで本日の漫画感想は雑誌10冊分まとめて。

▼未読物
【単行本】「臥夢螺館」上下巻 福山庸治 講談社 A5 [bk1][Amzn:上巻/下巻
【単行本】「BLAME!」10巻 弐瓶勉 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「Forget-me-not」1巻 鶴田謙二 講談社 A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「サトラレ」5巻 佐藤マコト 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「仮面ライダーSPIRITS」5巻 村枝賢一 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「二十面相の娘」1巻 小原愼司 メディアファクトリー B6 [bk1][Amzn]
▼24日売り
【単行本】「秘蜜の叛乱」 柿ノ本歌麿 桜桃書房 A5 [Amzn]
▼25日売り
【単行本】「いばらの王」2巻 岩原裕二 エンターブレイン B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「銭」壱巻 鈴木みそ エンターブレイン B6 [Amzn]
【単行本】「needle」 中田ゆみ ぺんぎん書房 A5 [bk1][Amzn]

【雑誌】ヤングキング 10/20 No.20 少年画報社 B5中

 宮尾岳「並木橋通りアオバ自転車店」。今回は巻頭カラーで50ページ。なんかいつもと雰囲気が違うので、一瞬新連載かと思っちゃった。学校ではパシリをやらされている内気な少年カオルが、なんだか不思議な金持ち女性の叱咤のもと、幼なじみの女の子にカッコイイところを見せるべく自転車レースに出させられるというお話。強引な筋立てといえなくもないが、読後感爽やかでよろしーんじゃないでしょうか。あるまじろうの読切「生徒会長!胸をハレ!!」は、パンチラ大好きカメラ少年とカタブツ生徒会長少女のちょっとHなラブストーリー。めがねっ娘な生徒会長さんがかわいく、爽やかでなかなかいい感じです。あと高橋秀武「セブン」と長田裕幸「C」は最終回。

【雑誌】ヤングマガジン 10/6 No.43 講談社 B5中

 福本伸行「賭博破戒録カイジ」。いつもながら凄い引っ張りっぷりだ……。と思わせつつもなんだかんだ読ませてしまうのはやっぱりうまいのだと思う。でも次号また休載。そろそろパチンコ編は終わらせて新しいギャンブルを見たいところだけど。馬場康誌「空手小公子 小日向海流」は軽量級決勝戦、小日向vs.濱田戦が開始。なかなか面白い戦いになりそうで楽しみ。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 10/6 No.43 小学館 B5中

 山本英夫「ホムンクルス」はずっと面白いなあ。今回は名越の能力について、手術をやった鼻のデカい男によってある程度種明かしされる。なるほどなるほど。こういう言葉での解説は作家さんによっては嫌う人もいるかもしれないけど、あるとないとでは納得度に大きな差が出ることは間違いない。イワシタシゲユキ「バドフライ」。巻中カラーになってるってことは意外と人気あるのかな。恋愛っぽさも増してきて、けっこう面白くなってきていると思うけれども。作:雁屋哲+画:花咲アキラ「美味しんぼ」。今回は文化部で「こだわり夜食自慢大会」。それはいいんだけどこいつらよく食うなー。いくら夜食用の食事とはいえ、短い間に10品目以上食ってるぞ。その間にカレーうどんえび天のっけとか、わりと重そうなものも入ってるし。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 10/6 No.43 集英社 B5平

 以前読切で記載された堀部健和「神撫手」が連載化。触れたモノに込められた思いを読み取ったり、自分の思いを他人に伝える特殊能力を秘めた手、「神撫手」の持ち主である少年・速馬彰人が主人公。彼が贋作の汚名を着せられた母親作の絵を盗み出すべく奮闘するというストーリー。迫力があるってタイプの作風じゃないけど、筋立てとかはしっかりしてるし作画も含めてまとまりのいい作品。作:稲垣理一郎+画:村田雄介「アイシールド21」。相変わらずしっかり面白い。おっさんキッカー・ムサシはチームに戻ってくるのか。というか今の展開だと当然戻ってくるはず。そうやって攻撃バリエーションを増やしたチームがどのように機能するのかを見てみたいところ。

【雑誌】イブニング 10/14 No.15 講談社 B5中

 的場健の新連載「まっすぐ天へ」(協力:金子隆一)がスタート。ロケット打ち上げがさまざまな面から困難になりつつある日本の宇宙開発。その状況に苛立ちを抱いていた若手研究者だが、建設会社勤務の弟から逆転の発想がもたらされる……という出だし。また一つ新たな宇宙モノということでなかなか楽しみ。ネタフリからするとたぶん軌道エレベーターでしょうなあ。タイトルからしてもそんな感じだ。軌道エレベータに関しては米国ではすでにプロジェクトが始まっているらしいけど(→MYCOM PCWEB)、どんなもんなんでしょうなー。スラッシュドットジャパンのスレッドとか見るとなかなか興味深いです。参考書籍としてはこんなのも。「軌道エレベータ宇宙へ架ける橋」(石原藤夫・金子隆一)[Amzn](読んだことないけど)。とここまで書いておいて、軌道エレベーターネタでなかったらどうしよう。まあいいか。

 唐沢なをき「がんばれみどりちゃん」は新連載。薬局の娘さんであるみどりちゃん(幼稚園児)が、家の薬やドリンク剤を持ち出して大活躍する4コマ漫画。唐沢なをきの描く女の子は意外と萌え。吉田基已「恋風」。お兄ちゃんと会えなくなって悲嘆に暮れていた七夏を、事情は知らぬながら親友の双葉が心配する。ほっぺたのラインがほっそりしてしまった七夏にはまだ違和感があるので、早いとこ幸せになって幸せ太りしていただきたい。キミは笑ったほうがかわいいぜ〜。

【雑誌】ヤングチャンピオン 10/14 No.20 秋田書店 B5中

 佐藤宏之の読切「マイ・スウィート・ボカブリオ」が掲載。工事現場で働いていて女捨て気味な感じの女性・珠緒が、街でぐでんぐでんになっていた外国人男性を拾ってくるところから話は始まる。朝っぱらから酒ばかり飲んでいるような奴だが、実は彼は世界的に有名な映画スターだった。挫折したアル中の映画スターと、結婚が破談になってから人と直接対話するのを避けるようになっていた女性、二人の邂逅と再出発をきれいにまとめて描いたお話。手堅い出来。あと今回は「YC秋のお笑いサンバ」というギャグ漫画読切企画で施川ユウキ、みたにひつじ、立川志加吾あらため雷門獅篭、荒井清和も登場している。シカゴ先生はホームページによると、立川談志に破門されたあと、名古屋の落語家・雷門小福のところに入門したそうな。だからペンネームも変わっているもよう。

【雑誌】漫画アクション 10/7 No.38 双葉社 B5中

 週刊ではラス前号。いろいろ連載も畳まれていく雰囲気だけど、今回は柳沢きみお「翔んだカップル21」の最終回に思わず笑ってしまった。こういう放り投げ方で納得できてしまうのは柳沢先生ならでは。杉村ママの「清く正しく美しき青春なんてゴミよね」というセリフが素晴らしい。わたべ淳「ライジング」、さそうあきら「マエストロ」もいい感じだなあ。週刊雑誌としては地味だしこのままじゃ売れなさそうな気配はぷんぷんしてるけど、やはりなくなるとなると名残惜しい。で、週刊最終号にはゲストで江口寿史と相原コージ、やまだないとが登場。そういえば江口寿史と相原コージ(あといとう耐)といえば、アクションエロ雑誌化のときに他雑誌に移籍したメンツ。それがラストを飾るというのはなんだか面白い構図だ。

【雑誌】漫画サンデー 10/7 No.38 実業之日本社 B5中

 画:千葉きよかず+作:田中誠一「剛球少女」が最終回。女子高校野球漫画としてはなかなかよくできた部類だったんじゃないでしょうか。パワー的には男子に負ける部分を納得のいく範囲でカバーできていたし。長尾朋寿「ホロ酔い酒房」(原案:野上ヒロノブ)では、町田の飲み屋ではおそらく一番有名なんじゃないかと思われる馬肉料理店「柿島屋」が登場。地元ながら2回しか行ったことないけど、あの店はかなり独特の雰囲気はあります。昼間っから馬肉をつつきつつ焼酎をちびちびって風情の、ええ感じのおやじさんたちがいっぱいたむろしててむちゃくちゃ落ち着く雰囲気なんだよね。町田に来る機会があったら、話のタネに一度行ってみるといいかも。

【雑誌】純愛果実 11月号 光彩書房 A5中

 巻頭カラーはいつものごとくゼロの者。「妹恋愛値 −前−」。実は妹志向があるんだけど、現実の妹はいつも地味な格好で暗いのに不満を持っていた兄。しかしお兄ちゃんのことが好きな妹ちゃんは、兄お気に入りのエロゲ妹キャラの髪型を真似てみて関心を惹こうとする。その効果は予想以上で兄貴の理性崩壊。Hになだれ込んじゃうのでありました以下次号、といったところ。いつもながらにむちむちでエロ密度は高し。本来は地味な妹がエロゲキャラライクに変貌……という変化具合、それから兄の意向に沿おうとする健気さが肝でしょう。まだ兄が襲いかかった段階だけど、次はラブラブになるのではないかと。

【雑誌】ドルフィン 11月号 司書房 B5中

 くどうひさし「セーラー服とキカンボウ」(←扉ページでは「キカンボウ」のところにバッテンがしてある)。ちょっとかわいげな感じの予備校生通いの男の子が、同じクラスの強引な女子二人にセーラー服を着せられ、あげくHなことをさせられてしまうというお話。いつもながらスッキリ爽快感のあるいい絵です。エロも最近充実してきているし。深田拓士「暴走!!バスジャック」。結婚記念日で夫と一緒にバス旅行に出かけた奥様が、バスジャックの男たちにさんざんにヤラれてしまうというお話。たいへんベタなんだけど、ベタであるだけに素直にエロいな、と。こういうベタなネタに徹している人って、美少女漫画系だと案外多くないのでときどき新鮮に感じます。


9/21(日)……辛辣テク

▼10月単行本購入予定
10/上 「リトルゆみこちゃん」 町野変丸 久保書店
10/1 「ケロロ軍曹」7巻 吉崎観音 角川書店
10/3 「いちご100%」7巻 河下水希 集英社
10/3 「キミの名を呼べば」 甘詰留太 ティーアイネット
10/4 「なんてっ探偵アイドル」14巻 北崎拓 小学館
10/6 「ガタピシ車でいこう!!迷走編」1巻 山本マサユキ 講談社
10/6 「彼岸島」4巻 松本光司 講談社
10/16 「フェイスガード虜」2巻 おおひなたごう 秋田書店
10/17 「capeta」1〜2巻 曽田正人 講談社
10/17 「HELLS ANGELS」2巻 ヒロモト森一 集英社
10/17 「ハラハラドキドキ」1巻 清野とおる 集英社
10/17 「REAL」3巻 井上雄彦 集英社
10/17 「電脳やおい少女」2巻 中島沙帆子 竹書房
10/18 「DV」 もっちー コアマガジン
10/18 「焼きたて!!ジャぱん」9巻 橋口たかし 小学館
10/18 「ロボットボーイズ」1巻 作:七月鏡一+画:上川淳志 小学館
10/18 「美鳥の日々」4巻 井上和郎 小学館
10/18 「吼えろペン」9巻 島本和彦 小学館
10/20 「岡すんどめ作品集(仮)」 岡すんどめ 三和出版
10/23 「えの素」9巻 榎本俊二 講談社
10/23 「蒼天航路」29巻 王欣太 講談社
10/23 「爆音列島」2巻 高橋ツトム 講談社
10/23 「妄想トラッカー8823」1巻 小田原ドラゴン 講談社
10/23 「蟲師」4巻 漆原友紀 講談社
10/23 「ふたつのスピカ」5巻 柳沼行 メディファクトリー
10/24 「泥棒猫」3巻 大石まさる 少年画報社
10/24 「ピルグリムイェーガー」3巻 伊藤真美 少年画報社
10/24 「散人左道」1巻 水上悟志 少年画報社
10/24 「君が(貴方が)傍にいる幸せ(仮)」 へかとん 晋遊舎
10/24 「あ、ちっちゃいね」 EB110SS メディアックス
10/25 「少年少女」3巻 福島聡 エンターブレイン
10/27 「エロ魂」1巻 ダーティ・松本 桜桃書房
10/28 「BARレモンハート」19巻 古谷三敏 双葉社
10/28 「イナカナかれっじ」3巻 法田恵 双葉社
10/30 「ギャラリーフェイク」29巻 細野不二彦 小学館
10/30 「バンテラ」1巻 ゴツボ×リュウジ 小学館
10/30 「ホムンクルス」2巻 山本英夫 小学館
10/30 「マリオガン」2巻 木葉功一 小学館
10/30 「高校アフロ田中」7巻 のりつけ雅春 小学館
10/30 「やさぐれラバーズ(仮)」 小林王桂 FOX出版
10/31 「マーベラスHカップ」 天誅丸 一水社

【雑誌】ガンガン 10月号 スクウェアエニックス B5平

 普段読んでない雑誌を読むシリーズ。個人的にはガンガンはかなりの難敵。内容うんぬんではなく、厚くて重くて背表紙が固いから。この雑誌を読むに当たってまず最初に考えたのは、どういう姿勢で読むのがいいかということ。ページ数が多くて重たいので、普通に持ち上げて読んでると手が疲れそうだし……。なんか書見台でも使ったほうがいいのかなと思った。それはまあさておき内容のほう。さすがに連載モノが多いので、普段読みつけていないとなかなか入っていきにくい。その中で金田一蓮十郎「ハレグゥ」はラブコメ回であったこともあり、とくに抵抗なくするする読んでいけた。絵がとっつきやすいというのも大きい。そのほかでは荒川弘「鋼の錬金術師」、たくま朋正「グレペリ」、介錯「円盤皇女ワるきゅーレ」、作:黒沢哲哉+画:阿白宗可「Magic Master」あたりは分からないなりになんとかなるかなーと思った。でも雑誌全体でいうと、この厚さだとただでさえ敬遠されやすそうだし、もっと一話完結でスッと入っていける話の割合は高くしたほうがええんじゃないかなーという気はした。自分は漫画は雑誌派な人間だけど、ここらへんのジャンルがメインフィールドな人は単行本読みにしたくなる気持ちは分かる。まとめ読みのほうが面白そうな作品が多いし、やっぱり重い。

【雑誌】ハムスター倶楽部スペシャル 10月号 あおば出版 B5平

 なんかこういう雑誌って「ハムスターとかだけで1冊やってる本もある」とかいう話のネタにはしやすいのだけど、ネタにしておきながら読んだことはほとんどなかったので、それもどんなもんかなあなどと思って読んでみた。結果。ものすごい敗北感にまみれた。重厚長大ガンガンも難敵だと思ったが、個人的にはむしろこちらのほうがキツい。個人的には動物は好きだし、かわいいものも好きだ。でもえんえんと総勢30名くらいの作家さんによるペット自慢が続くのには参る。漫画として面白いとかヒネリが利いてるとかあればいいんだけど、わりとみんな似たようなテイストなので、ノレないままつるつるーっと最終ページまで行ってしまった。こういうの好きな人がいたらごめんなさい、全然面白くなかった。

 いやー、こういうのはほかのジャンルの漫画が続く中で、アクセントとしてポッとある分にはいいと思うんですけどね。それでも例えば「ロン先生の虫眼鏡」みたいに、生き物の生態をリポートして、真面目に飼い方とかをレクチャーする漫画とかあったら個人的な印象はだいぶ違ったんじゃなかろうか。きっとこの手の雑誌は10年後も同じことをやってるでしょう。そして10年後にまた読んでもきっと自分は敗北するに違いない。ところでタイトルが「ハムスター」なんで、全員が全員ハムスター漫画を描いているすごい雑誌なのかなあと思ったら、犬や猫や鳥なんかも扱ってるんですな。羊が入っていたのはちょっと新鮮だったけど。

【雑誌】失楽天(Yha! Hip&Lip 11月号増刊) ワニマガジン B5中

 天竺浪人、玉置勉強、かるま龍狼といったメンツが載っているので購入してみたけど、コレってもしかして漫画は再録が中心だったりするのかな? 少なくともかるま龍狼「インポ交友会」と玉置勉強「今はもう秋」あたりは読んだ記憶がある。天竺浪人「夢の人生」にも既視感が。んー、でもたまには再読するのも面白いからまあいいか。


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