2003年8月31日コミティア購入物件


2003年12月7日読了分

【同人誌】「目蓋の裏に光」 甘夏柚子 <東京蜜柑亭>

 主人公の女の子が、美人の同級生が男をフッているシーンを目撃。それが縁で女の子二人が仲良くなるというお話。短くはあるけど女の子青春ストーリーとしてきれいにまとまっている。瑞々しい絵柄もグッド。

【同人誌】「THE SKETCHES AND THE NOTES」 ニシムラリョウ <universal kidology>

【同人誌】「SANDS」 ニシムラリョウ <universal kidology>

 「THE SKETCHES AND THE NOTES」は、ニシムラリョウがティアズマガジンの表紙を描いたときの没カットとかを収録し、どういう経緯で決定稿までいったかを解説するという本。。こうやって見るといろいろなやりとりがあったんですなあ。何気に面白い。「SANDS」はアワーズライトで連載された作品を1冊にまとめたもの。砂漠を往復する運び屋であるうりちゃんという子供とその相棒の「ネコ」という名前の小猿、それと砂漠に隠された財宝を探しているスナがからんで展開されるストーリー。のんびり急がない雰囲気で、くっきりとした線で描かれたキャラクターたちも愛敬がある。雑誌が休刊しちゃったこともあり、ラストはちと中途半端だったのは惜しい。

【同人誌】「創 KIZ 最終号」

 この中でとくに気になったのは彰永よん「のみちゃん」の最終回が掲載されていること。のみちゃんたち虫たちの外見はユーモラスだけど、物語はけっこう哀愁が漂ってて深みも感じさせる。山川直人「川のある町」は、小さな川のある町に居を構えた男の日常を描写。急がずゆったりとした、落ち着いたお話作りはさすが。おなじみの山川絵もいつもながら味がある。あとコミティア限定の付録として、belneが作画した「LIFE TIME」のネームがコピー本として付属。ネームを切ってるのはおざわゆきなんだけど、絵が違うとずいぶん雰囲気違うものっぽく感じられて興味深かった。

【同人誌】「stecca3」「stecca4」 natsume

 natsume(オノ・ナツメ)の作品は相変わらずとてもイイ。「stecca」シリーズは、「nove」シリーズの後日譚。ピエルが死んだ後に残された人々のドラマを丹念に描写していく。この人の絵のタッチ、キャラクターの造形はすごく統一感がある。その反面、個々のキャラの外見的な印象が薄まっちゃうところがあって、途中から読み始めるとどの名前が誰に帰属するのかを把握するまでちょっと時間がかかる。でもいったんそれをつかんでしまうと、読めば読むほどいい味が出てくるんだよね。作者の頭の中で生きているのと同様に、各登場人物がイキイキと感じられるようになり、その感情の微妙な揺れがいとおしく感じられてくる。最近ではCOMIC SEEDでも「LA QUINTA CAMERA」という作品を連載中。力のある人だと思うし、ぜひ単行本出るところまでこぎつけてほしいもんです。

【同人誌】「コワレタ」 <猫ラヂオ社>

 ダジャレ系の小ネタが連続するコピー本。下らないっちゃ下らないんだけど、ダジャレは好きなんでよろしいんではないかと。

【同人誌】「The Gate of a Spider」 朔 <LAPP>

 けん、まゆという兄妹が雨上がりに見たちょっとステキな風景。軽やかで親しみやすい絵柄とあったかい雰囲気作り。この人の優しい作風は好きです。

【同人誌】「五月のトリック」 ein <空事象>

 読んでて気持ちのいい作品だった。高校に入学してから1か月経ち、ちょっと日常に退屈していた主人公の女の子が、親の都合で休校していた目立つ感じのクラスメイトと親しくなる。彼女はなんだか周囲から浮く目立つようなパーソナリティを持っているが、そのペースに主人公の娘さんも引きずられていく。今流行りのライトな百合風味なお話とでも申しますか。ほのぼのとしたムードで清々しい読み心地。作画はシンプルながら品が良くうまいと思う。

【同人誌】「ひゅーん(もわれ分)」 <ち>

【同人誌】「ふにゃふにゃはりせんぼん」 <ち>

 どちらもものすごい自由奔放な本作りで驚かされる。「ひゅーん(もわれ分)」はタイトルも投げ遣りだけど、内容もすごい。頭から湧いてくるイメージをまったく整理したりしないで、だらだら書き記すしていく作風は独特。全然まとめようとしない潔さがカッコイイ。「ふにゃふにゃはりせんぼん」のほうは、本自体がハリセン形状をしていて、そこにハリセンボンが主役の漫画が描かれている。何者にもとらわれない自由さ、オリジナリティが素晴らしい。お話とか意味とかそういうものとは無縁な世界を作り上げている。

【同人誌】「定型集(3) 学校演劇」 <つゆくさ>

【同人誌】「つゆくさ十一」 <つゆくさ>

 いつもながらとても良い。とくに「つゆくさ十一」掲載の三島芳治「遊星リング」。頭の周りで小さな遊星が回り続けている少女を、そのクラスメイトが観察するというお話。不条理な設定でありながら淡々と、でも不思議さを常にたたえたままお話は進行。寂しげでありながら満ち足りているようでもあり。独自のファンタジーをしっかり築けていると思う。商業誌では見ないタイプの才能。固めな筆跡の手書き文字にも味があって好きだ。

【同人誌】「バージェスの乙女たち 単行本未収録集」 蜈蚣Melibe <海牛連合>

 かつてコミックフラミンゴで連載された「バージェスの乙女たち」シリーズの単行本に収録されなかった分をまとめた作品集。発行は2002年8月で、フラミンゴ1999年4〜11月号に掲載された分をまとめている。この本については「アノマロカリスの章(2)」と銘打たれており、3巻めのアノマロカリスの章完結編については、作者ホームページ(リンクする場合許諾が必要らしいのでリンクしませんが、「箱の中の海牛」で検索するとすぐ出てくると思います)によると現在のところ2004年5月発行を目指しているとのこと。

 さて、この巻に掲載されたのは天才的な人体改造外科医のDr.バージェスが、その最高傑作であるアノマロカリスを手離してからの顛末を描いていく。これまでのあらすじとかについてはオスマンのほうにまとめてあるけれども、今改めて読み返してみて非常に濃い。とくにこの巻では、反政府ゲリラのシンボル的存在であった少女闘士が「フェラチオアスカ」として生まれ変わっていくエピソードが素晴らしい読みごたえ。身体中にフェラチオをしている女の絵を刺青された彼女の姿は壮絶の一語。また、強大な力によって隔てられたアノマロカリスとDr.バージェスが、どのような道をたどっていくかも激しく気になる。グロテスクでもあり美しくもあり、なんともいいようのない迫力のあるこの物語は、質量ともに蜈蚣Melibe(=斉藤佳素理=冬長)作品の中で圧倒的な輝きを放っている。ああ、続きがすごく読みたい。

【同人誌】「コゼロサム」 <一賽舎/スタジオDNA>

 たしかコミケの企業ブースで販売されたんだったかなんだかな限定本。実はコミティアで買ったのではないのだが、まあまとめておいたほうが見やすかろうということで。ゼロサムについては普段読んでないので、ゼロサム掲載作品のパロディがメインな内容は、さすがにあんまりよく分からない。とりあえず荒川弘や羽海野チカ、南京ぐれ子、小石川ふにとかがゲストで登場してて、個人的にはけっこう豪華だなーという感じのする本。まあパロディ部分がゼロサムを読んでないゆえにピンとこないので、面白いかといわれるとそんなでもないんだけどどね。


2003年11月3日読了分

【同人誌】「GARDEN」 <地味頁>

 イラスト集+8Pの漫画。笹川宏のシャープな描線はなかなかにいい雰囲気。まあでもやっぱり漫画のほうで期待してます。

【同人誌】「けだもののように」III-7〜9 渋蔵 <ぐんたまカンパニー>

【同人誌】「けだもののようにII 東京総集編」 渋蔵 <ぐんたまカンパニー>

 長らく続いてきたこのシリーズもいよいよ終わりが近づいている。III-7〜9では、ようやくヨリ子と結ばれた一太が、自分たちと規範が違いすぎる彼女の行動に振り回され疲れていくというくだり。漫画的にしっかりとしていて読みごたえがあり、先も気になる。III-10〜12話でいちおう完結予定であるらしい。「東京総集編」のほうは東京編をまとめて読めるお得な一冊。Iの学園編は太田出版から単行本[bk1][Amzn]になったけど、東京編もなってくれるといいですな。

【同人誌】「街」 ニシムラカズコ/保科慎太郎 <siren>

 とある街の一風景。ニシムラカズコ「街」は会社で息詰まり、コンビニ強盗をしでかした元サラリーマンの男のエピソード。保科慎太郎「ニュータウン」は、とあるニュータウン、宗教にハマってしまった母を持つ3人家族の息子が主人公。どちらの作品も平凡な暮らしの中で息を詰まらせている人たちのストーリー。絵柄、作風はともに好み。ただお話としてはちょっと断片的すぎるかなーという気も。

【同人誌】「落書三昧」 藤井ひまわり

 漫画のほうも飄々としているけど、この人は画風自体がそんな感じ。未来都市や宇宙で働く人たちを題材にしたイラスト集という感じ。絵の1枚1枚がそれぞれちょっとしたストーリー性を感じさせてくれるのが良い塩梅。

【同人誌】「こぐまんが」 <こぐま工房>

 執筆陣はアヲキトシナヲ、とびたたつや、さかどん、こやまけいこ、HIDEBO、さべあのま、NANA、栗本瑠、井上ジェット&マルコ・ピノイエ、谷口敬、まつむらまきお。名前的にはプロであるさべあのま、谷口敬が目立つ。でもさべあのまは「締切に間に合わないよん」的な内容。谷口敬「パンツの森」は、パンツがなる木の生える森でパンツが異常発生。そしてそこに住む人々はてんやわんやという設定がユニーク。絵のほうも落ち着きがあって、女の子の表情とかはちょっとときめく。アヲキトシナヲ「パンダジャイアント」は、パンダに群がる女子高生とそれに不満を持つパンダテロリストみたいな野郎のお話。気楽に読める明るく楽しいノリが特徴。。とびたたつや「ゆうくんとバイオリン」は、押入れで見つけたバイオリンをひくのを何よりの楽しみとしていた少年が体験して素敵な時間を描いたお話。優しい絵柄に似合った優しいお話で好感が持てた。あとはまつむらまきお「見上げてごらん夜の星を」のシンプルながらかっちりまとまった絵柄も見てて楽しい。ちょっと懐かしめな雰囲気もあるええ感じの本です。

【同人誌】「よりぬき矢羽ちゃん」 除虫菊 <練馬交通公社>

【同人誌】「東京冥途綺譚」4〜5 除虫菊 <練馬交通公社>

 「よりぬき矢羽ちゃん」は、女子の矢羽袴が制服のファミレス「馬車道」で作者が勤めていた経験を元にした、矢羽ウエイトレスちゃん本。「東京冥途綺譚」は、とあるお屋敷に勤めているメイドちゃんたちのお話。ちなみに舞台は日本。どちらも軽いノリで矢羽ちゃん、メイドちゃんがかわいく描かれていて、素直にカラッと楽しめる。茶目っ気があって良いムード。

【同人誌】「全身焦燥家」 犬上すくね/鈴木風太郎 <軋轢パルフェ>

 「恋愛ディストーション」に出てきたまほ先生に恋する有元さん、彼女に惚れてる小向くんらの後日談。恋愛のままならなさを描いたストーリーは切なくも心地よい感触。冒頭から有元さんがひとりエッチしてたりするあたりはけっこうソソられたりもします。上品な絵柄でやってるだけにかえってくると申しますか。

【同人誌】「碧の城」 ein <空事象>

 人のあんまり来ないベンチでぽえーっと本を読んでいた凪原さんに、女子校内で噂の素敵な先輩・笠井礼子が接近。この二人の心地よい距離感、関係を描くといった感じのお話。すっきりした画風がいい雰囲気で、全体のお話の運びようも小気味いい。とくに笠井先輩は懐が深くて魅力的な女の子に描けていると思う。


2003年10月12日読了分

【同人誌】「カレシは占い師・3」 衣羅ハルキ <Hee-Haw>

 占い師の彼氏とその彼女の生活を描いたぼよよん4コマ。だんだん彼氏が占い師であることはどうでもよくなっているけど、ギャグについてはこなれてきて面白くなってる。商業の4コマ誌に載っててもそんな違和感なさげ。

【同人誌】「海にでる川・山の灯り」 藤ノ木いらか <Hee-Haw>

 ほのあたたかい雰囲気のいいお話。やたらいろいろなところにふらっと行くのが趣味の女の子と、なんだかんだでそれにつきあってしまう男の子。上品な絵柄は見ていて気持ちがいいし、ゆっくり焦ることのないお話作りも上々。同じエピソードを二人の視点からそれぞれ描くというコンセプトも面白い。

【同人誌】「うかれ月夜」 谷山青 <谷山堂>

 月の夜にお気に入りのコップを窓に出しておくと、月の光がたまってふちからあふれ出す。その月ミツを持って丘に集まりみんなで楽しい一夜を過ごす。そんな現代のファンタジー。柔らかく品のいい作風でがかわいらしい。

【同人誌】「星かんざし」 三五千波 <つくりもの>

 1枚イラスト+ポエムという感じでしょうか。このところ絵柄を少しずつ変化させてきているようで。絵の見た目を良くするというのはのし上がる早道。いい傾向なんではないかと思います。

【同人誌】「僕らの江古田間戦争」 <地味頁>

 地味でクラス内でも孤立したちょいと電波系な娘、それから美人でこちらは孤高な雰囲気を漂わせた女子、二人がひょんなことから知り合って距離を縮めていくが、美人さんのほうには人の死を見ることができる特殊能力があって……。作者自身も語っているように、ラストのほうは消化不良気味。途中までは非常にいい雰囲気でシャープな絵柄も好印象。うまくお話を畳めればかなり良い感じだったのだけど……。とはいえ魅力的な作風であることは間違いない。あとは詰めの部分でもう一工夫、といったところ。

【同人誌】「おしまいの夏」 アイ3

 仲の良い女子のいる主人公男子だが、ある夏の日に出会った大人の男に心とらわれてしまう。ペンタッチのしっかりした絵柄に引かれるものがあり。お話のほうもボリュームがけっこうあってなかなか読みごたえがあった。同性愛を扱っていて、こちらも大人の男のエロスがにじみ出ている。ラストはちょっと唐突かなーとは思うものの雰囲気はたいへんいいです。

【同人誌】「浮キ島ハ夢ニ帰ス」 いんけつみんたけぽんちょ

【同人誌】「衛星飛行」 いんけつみんたけぽんちょ

 「浮キ島〜」のほうは旅人の青年と沈み行く島で暮らす老人と少女の物語。「衛星飛行」は少女がハンググライダーで空を散歩。とくに「衛星飛行」のほうは、モノクロだけど空の青さが印象に残る伸びやかで気持ちのいい作品。ゆったりした呼吸もええです。

【同人誌】「Best Eleven 2」 <N.Y.JANCKERS>

 ワールドサッカーをネタにしたギャグ本。なかなかヒネリが利いてていい。メインの絵描きの九、ゲストの小田扉、記事のフィー子それぞれいい味。個人的には小説「はぐれキーパー 〜汚れたスクデッド」がツボにハマった。「PK戦に必ず勝てるという”闇のグローブ”を探し続けついに手に入れたブッフォン。しかし闇のグローブを着けて試合に臨むたびに身体が蝕まれていくことをブッフォンは知らなかった」という書き出しに笑った。

【同人誌】「ひとりぼっちのお姫様」後編 果竜 <竜の子太郎>

 5月5日コミティアで購入した「ひとりぼっちのお姫様」の後編。ウサギの世話をしている優しい女の子を冷めた目で見てしまう美姫。しかしそんな言葉が口をついて出るようになった彼女は、周囲の軽蔑の目にさらされる……という展開。途中は息苦しくお話が進むも最後はきれいに優しく締めくくり。絵もお話もきれいでよろしうございました。

【同人誌】「ぶっとびマンガ大作戦 Vol.7 のんびり・まったり編(完全版)」 新田五郎 <WAIWAIスタジオ>

 以下3冊はコミティアじゃなくて8月16日のコミケで入手した本です。まあまとめておいたほうが何かと便利なので……。

 こちらは5月コミティアで売っていた「ぶっとびマンガ大作戦 Vol.7」の改訂版。というわけでとくにそのときと比べて付け足すことはないんですが、この号でとくに読んでみたいと思わされる漫画は「ピンギマヤー」。西表島出身の山猫がスーパーラットたちと間違った感じのバトルを繰り広げる作品らしいです。

【同人誌】「みるく☆きゃらめるは終わらない」 <みるく☆きゃらめる>

 いつもの吉本松明、石川ひでゆきのコンビに加え、今回は牧田アルミをゲストに迎えた。まず石川ひでゆき「真夏の射精」。ときに裸での練習も行う水泳部の面々が、真夏のプールでH。健康的かつエロい。今回はちょっと線の感じを変えてきて、仕上げが丁寧になっている感じです。吉本松明の評論文のほうは、今回「ダメ」にスポットライトを当てる。「オタク」および「萌え」「ダメ」についての歴史的変遷を追い、現代オタク文化およびその向こうにあるものを切っていくという内容。序盤の構成は非常にしっかりしていて、ダメの分類などについてなどなど納得しながら読んでいける。ただ後半はちょっと急ぎすぎかなという印象も。ここ数年はこの類の作品が増えすぎちゃってて、どこからどこまでサンプリングしたらいいものやら……という状況になっちゃってるんで難しいですな。今後の研究成果にも期待してます。

【同人誌】「電撃の雑誌11年史」 <雑誌の住人

 こちらは電撃シリーズのゲーム雑誌についての研究本。レイアウトや記事内容、おまけ漫画など非常に力が入ってて立派な仕事です。こういうのは貴重ですな。正直ゲーム雑誌を買ったことはほとんどないのでここらへんについては全然知らない領域だったりするのだけど、なんとなく分かったような気にはなれました。雑誌の話ってのはやっぱり好きだなあ。


2003年10月5日読了分

【同人誌】「大侵略ちゃん」1〜3 吉田かずのり

 地球を征服しにやってきた、猫のぬいぐるみ状の寄生生命体「アンゴルモ」を腕に装着してしまった女の子みか子。いちおうアンゴルモは地球征服とか考えるものの、とくに大した力はなく、のどかな日々が続く。ぐるぐるおめめの元気娘なみか子がけっこうかわいく、ほのぼのまったりといったところ。

【同人誌】「魚マンよんこま」 <トラウマヒツジ/STEEL SHEEP>

 紡錘形だけど泳げない、正義のヒーロー魚マンが主人公のほのぼの4コマ。肩の力の抜けたすっとぼけたノリが味。絵とかキャラデザインとかオリジナリティがあって好きです。

【同人誌】「蝉の声と夏休み」 駿馬 <STUDIO MAILAND>

 この人の「青春」という言葉がすごく似つかわしい作品はすごく好きだ。今回は過去作品の再録だけど読み直してみてもやっぱいい。モノクロで描かれてても、空が青く雲が白い夏の日の空がパーッと目に飛び込んで来る。描かれているのはなんてことのない日々の他愛のない一風景なんだけど、それをとても眩しく、印象的に切り出してくれます。

【同人誌】「廃棄物少女」 あびゅうきょ

【同人誌】「フタナリ姉妹とネコ人間」 亜風紀代

 「廃棄少女」はあびゅうきょの美麗な絵と、絶望的な文章で彩られたイラスト本。今回描かれる少女はけっこう乳が大きい。しかし結婚しないし子供も産まない。女であることの特権を捨てた「廃棄物少女」。美しいけど、とくに言葉のほうに異様な迫力があります。「フタナリ姉妹とネコ人間」の亜風紀代(あかぜきだい)は無論あびゅうきょと同一人物だと思われる。内容はフタナリの女の子たちが、ネコ人間たちとH三昧の日々を送るというエロ漫画。この人の絵柄でやられると意外にエロいなー。妄想もりもりだし。それにしても本編では頭の軽いエロ漫画をやっていながら、あとがきでは『作中に出てくる「ネコ人間」は、むくわれない独身男性の性欲の化身だ」とかぶちかますところがいかにもこの人らしい。

【同人誌】「Night-Marchenの幻想雑誌 2003.8.31版」 村山慶

 これにて「チッペの物語」シリーズが最終回。この人の本はいつも買っているが、このシリーズが初の長編ということで、いろいろと整ってない部分がまだ多い。お話の展開に唐突なところが多々あるし、アクションもまだぎこちない。ただシリーズの回数を重ねるごとに、絵に動きが出てきたり、表現の幅が広がってきていることは感じられる。今回の経験を生かした次回作に期待。

【同人誌】「ホモヨロン無」 <テレピン>

 加瀬世市、まきお、アニュウリズムの3人本。この中ではアニュウリズムのむくむくした絵が好き。とくに表紙に出てくる「弱」というマークのついた仮面だかヘルメットをかぶっている、太めの半裸男とかいい味出してるなあ。

【同人誌】「B」 青木俊直 <ゆるゆるブックス>

 白い髪と白い服、黒い髪と黒い服、二人の少女が手をつなぎ歩いていくうちに出くわした光景を描写していくというサイレント劇。風車のある小屋、かごめかごめをする子供たち、空を飛び回る蝉たちなど、何か意味深な感じの画面が続いて幻想的。サッパリした味付けの絵柄も好印象。

【同人誌】「SHORT HOPE LIGHTS」 リョウ・北村 <ぴこぴこ。>

【同人誌】「PICO PICO CATALOGUE」ピコピコリョウ <ぴこぴこ。>

 うーんやっぱりこの人の絵はいいなあ。「SHOT HOPE LIGHT」は短い断片的な漫画がいくつか。「PICO PICO CATALOGUE」は画集。ラフなようでいながらごく自然に気持ちいい線を引いてて、一枚絵として見ても雰囲気良好。絵本に挿絵に、けっこういろいろな場面で使えそうな絵柄だと思います。

【同人誌】「カズローくん」 <金子木村@マンガマン>

 筆ペンか何かであろうと思われるラフなタッチで奔放に描かれた本。この中では「水曜日の男」が好きかな。とあるハンバーガー屋さんに、毎週水曜日の同じ時間に来る客。しかしヒマな時間帯ということもあって、いつも店にほかの客はおらず、主人公のねーちゃん以外の店員も居眠りしていて彼を目撃していない。自分しか見ていない彼は、本当に実在しているのだろうか……などと、主人公のねーちゃんは考えるようになる。こういうちょっとしたことで日常的な感覚をゆさぶるような話はけっこう好き。


2003年9月7日読了分

【同人誌】「譫妄童話」 kashmir <lowlife>

 最近ではWebのほうが人気なkashmirさんの個人誌。個人的にはコミケに行き始めたころに「鉛の飛行船」という同人誌で見かけて惚れ込み、以後追いかけ続けております。キュートな絵、イカしたセンス、そこはかとない詩情。みんな好きだー。ホームページでよく見せるギャグ的なものもいいのだけれど、シリアスなお話もまた読みごたえがあってとても好き。現実と妄想の間をゆらゆらするような作風で気持ちよーく酔わせてくれる。いやー、もっともっと読みたいっすね。

【同人誌】「ヒトクイ」 <プロパガンダユニオン>

 人の肉を喰らった罪人「ヒトクイ」。彼らは罪の証に牛の頭のかぶりものと狼の牙を身にまとい、死に至る病を引き連れてさすらい続ける。ヒトクイの肉には薬効があるため、彼らは自分たちの身体を病人に与えていかねばならない……。という「ヒトクイ」の設定をもとに、参加者各人たちがそれぞれの漫画を描くという1冊。執筆陣は井上やひこ、山名沢湖、オノ・ナツメ、立川ウリ、さる、高村保。この中ではいつもは洋風なイメージの強いオノ・ナツメが、和風なお話を描いていたのがとくに印象に残った。視点のほうもひねりが効いている。あとは山名沢湖のファンタジーもさすがの安定感。しっかりお話を作れる人が多くて面白うございました。

【同人誌】「あすなひろし作品集3 青年漫画(1)」 あすなひろし

 あすなひろしの単行本未収録読切を復刻するプロジェクトの第3段。今度は青年漫画編で「初恋 白い少年」「ジョージ・ワシントンを射った男」が収録。細密なペンタッチは確かに美しい。でもこの2編については今の読者が読んでどれだけ面白いかというとどうなんだろう。巻末の解説に「あすなひろしのスゴ味は原画をみなければわからない」とあるし、「初恋 白い少年」が後の青年マンガ、少女マンガに与えた影響はきわめて大きいとある。でもここらへんは同時代を生きた人でないとちょっと分からない感覚かもしれない。

【同人誌】「憂貧局短編集」 志賀彰 <憂貧局>

【同人誌】「Tableau4.5」 志賀彰 <憂貧局>

 「憂貧局短編集」は、これまでの同人作品をいろいろ集めた本。けっこう読んでいない作品が多かったので、読めてうれしかった。あと寄りや引きのカットをちゃんと効果的に使い分ける「漫画のうまさ」もこの人の持ち味。ペンタッチはいくぶんラフではあるけれど、しっかり強弱が利いててインパクトのある画面を作れているのでとても読みやすい。「Tableau4.5」は、「Tableau」シリーズの最新分で5を出す前の準備号みたいな位置づけ。といっても漫画は14ページあってちゃんと読ませる。早く続きが読みたいですな。

【同人誌】「防風林の奥」 弘岳粟高 <あわたけ>

 あわたけエロスバージョンである弘岳粟高の最新刊。みつあみ少女が野外で全裸、恥ずかしいことをやらされていてエッチだなあ。なんでだか、そこらの劇画タッチでリアルに描き込んだエロスよりも、個人的にはソソられてしまう。この人の描くエロシーンは常に人の目やら恥じらいやらをきちんと意識させるところがいいと思う。

【同人誌】「菊男ちゃんの真っ赤なバダバダがキラリ☆」 鵜匠カシヲ <赤色オレンヂ>

 男同士、菊男ちゃんとマルキのカップルについに子供が。独特の絵柄、独特のストーリーだけど底に流れるのは愛。濃いなあ。それはそうと今回の本は、作画がいつもよりだいぶんポップな感じがいたしました。

【同人誌】「WIRELESS 3」

 同人誌+クラブで遊ぶ楽しさ、というイベント「WIRELESS」で置かれていた本らしい。こういうのはやっぱりイベント会場で読んでこそなんだろうなあ。小田扉とかkrbkとか好みな作家さんが描いているけれども、生の息吹を感じながら読んだほうがよろしいかと思うので。

【同人誌】「口裂け女」 守安啓行 <ドクキノコ>

【同人誌】「ボヘミちゃん」 滝口和 <ドクキノコ>

【同人誌】「インデコ」 <ドクキノコ>

 守安啓行はコミックフラッパーでときどき描いていた人で、とても元気の良い作風の持ち主。今回は同級生の男の子が大好きな女の子と、口裂け女の奇妙な関係を描いたエピソード。男の子がモテモテでちょいとむずがゆいあたりとか、ほのぼのしてて良いと思う。「ボヘミちゃん」「インデコ」の両方に登場している滝口和は、「おはスタ」に出てくるボダゴちゃんというキャラを手がけた人だそうな。シンプルだけど味のある造形のキャラクターたちがかわいくて、見てて楽しい絵柄。あと「インデコ」には、現在アフタヌーンで「マゴロボ」を連載中のトミイマサコも参加している。

【同人誌】「すがわらまんが集」 すがわらひろゆき <チーム光速船ハンサム団>

 すがわらひろゆきの同人まんがを集めた本。けっこう買えてなかった本が多いのでこうやってまとめてくれるのはとてもありがたい。この人はやっぱり絵がいいと思う。すごく好き勝手に描いているようなんだけど味があるし魅力的。今みたいにこなれてなかったころの絵柄も切り絵みたいで面白いし。あと女の子がかわいかったりしますよ。男の子もだけど。軽やかでテンポ良くて楽しい。


▼未読分

【同人ゲーム】「冬は幻の鏡」 <半端マニアソフト>

【同人DVD】「ZIPNY DVD2」 コーノコーイチ


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