other movie's memo 1



日記からの抜粋を含め、ここ最近見た映画についての簡単なメモ。50音順。(ほぼ)画像付きのforeign movie 1 / 2 / 3 / 4 / 5 / 6 / 7 / 8 / 9 / 10 / 11 / 12 / 13Japanese movie 1 / 2 / 3 / 4 / 5 に書いてある映画は含まれていません。洋画邦画関係なし。いい映画も、時間の無駄映画もごた混ぜ。


 >> あ


『嗚呼!おんなたち 猥歌(わいか)』 new!!
神代辰巳/1981
にっかつロマンポルノ10周年記念作品。冒頭、ライブハウスでアナーキーが歌ってます。哀愁漂う中年ロックンローラーに内田裕也。この時代の映画の、画面から伝わる汗や熱気はなんだろう。女たちのエロさはなんだろう。角ゆり子と中村れい子が自宅のせまいお風呂でソープごっこしてじゃれあうシーンがよいです。

『アイ・アム・サム』
ジェシー・ネルソン/2001/アメリカ
どっかで見たハートウォーミングドラマ。

『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』
トラン・アン・ユン/2009/フランス
監督がトラン・アン・ユンで、木村拓哉とイ・ビョンホンてどんな映画かなーと思ったけど、グロテスクな表現を見るのに値しない消化不良な映画。でもイ・ビョンホンの肉体美はすてきなので目の保養。

『愛してる、愛してない... 』
レティシア・コロンバニ/2000/フランス
誇大妄想狂の女の話。『アメリ』にしても私はオドレイ・トトゥがかわいく見えない。

『I SHOT ANDY WARHOL』
メアリー・ハロン/1995
音楽担当がジョン・ケイルだったのと、スティーヴン・ドーフが出てたから見た。私的にこの話、ダメ。ヴァレリーみたいな挑戦的で強気な女、ダメ。あらゆる角度で魅力的でない。

『アイスリンク』
ジャン・フィリップ・トゥーサン/1998/フランス
この原作を読んだことはないけれど、ジャン・フィリップ・トゥーサンらしく私の琴線にはひびかない作品。つまんないなあ。

『愛する者よ、列車に乗れ』
パトリス・シェロー/1998/フランス
印象に残ったのは列車の中で髭の濃い男に犯されそうになる男の子(「そんな気分じゃないんだ」と言いながらお尻丸出し)と、女装のバンサン・ペレーズの妊娠した女性に向けてのアドバイス。「解決法は3つしかないのよ。産むか、堕ろすか、押しつけるか」。こういう愛の描き方、とてもフランスぽい。

『アイズ・ワイド・シャット[米国公開版]』
スタンリー・キューブリック/1999/アメリカ
キューブリックの遺作。どこから夢か、現実か。美しいキッドマンの裸体。当時は夫婦であったからか、愛撫するトム・クルーズが生々しい。

『愛について、ある土曜日の面会室』
レア・フェネール/2009/フランス
3つのエピソードが個々に同時展開し、最後に「ある土曜日の刑務所の面会室」という同じ舞台で微妙に重なるという、映画の進行としてはわりとある展開。雰囲気はきらいじゃないけど、刑務所という場所での様々なカタチの愛、という方向に持っていきたかったならもう少しそれぞれのエピソードを掘り下げたらおもしろくなったような気がします。

しかし映画に出てくるフランスの刑務所が無防備すぎる。実際にあんな感じなの?

『愛の集会』
ピエル・パオロ・パゾリーニ/1964/イタリア
フィレンツェ、ミラノ、ベネツィア、ナポリ他、イタリアの各所で愛や性 -同性愛や売春- についての質問をする記録映画。それぞれの考え方が古今東西万国共通。ぼんやり見られるパゾリーニ映画。

『愛のあしあと』
クリストフ・オノレ/2011/フランス、イギリス、チェコ
愛とセックスにまつわるミュージカル映画。

カトリーヌ・ドヌーヴとキアラ・マストロヤンニの実の母娘が劇中でも母娘を演じるという配役だけでも贅沢な映画。カトリーヌ・ドヌーヴのキュートで小悪魔な若い頃を演じたリュディヴィーヌ・サニエはフランソワ・オゾンの映画によく出てくる女優さん。そのリュディヴィーヌ・サニエがまたかわいいー。当時32歳とのことだけど、若作りした彼女は完全に25前後。

冒頭の有名なフレンチポップ、娼婦として街頭に立っているサニエの姿はゴダール「女と男のいる舗道」的で、心の赴くままに身体を重ねてしまうフリーセックスぶり、ストーリーは意外とそんなに軽くないのだけどフランス全開の映画。

『愛の原罪』
ヤツェク・ボルツフ/2013/ポーランド、スペイン
スペインで知り合った学生のミハルとカリナは愛し合い、夢のようなしあわせな日々を過ごすけれど、ふとしたことからその日々はもろくも崩れ落ちていく様を描いています。

2013年サンダンス映画祭最優秀撮影賞を受賞した作品というだけで見てみたけど、これが弱い…… 映像や金髪碧眼で透けるようなポーランド人の若者は美しいけれど、ストーリーが薄すぎる。微妙なラストに興味が持てないくらい気持ちが離れてました。

『愛のめぐりあい』
ミケランジェロ・アントニオーニ、ヴィム・ベンダース/1995/フランス=ドイツ=イタリア
ジョン・マルコヴィッチの日記風記憶の回想シーン?は余計では。豪華キャスト続出。第一話のほぼ裸体の女の身体に男がまったく触れずに互いの性的快楽を高ぶらせる感覚はなんとなく理解できる感じ。

『アイム・ノット・ゼア』
トッド・ヘインズ/2007/アメリカ
ボブ・ディランのファン向け伝記映画。彼の波乱に満ちた人生の側面を6人の役者がそれぞれの話でボブ・ディランを演じるという複雑な構成。ただボブ・ディランは別名で呼ばれていることも多く、ファンじゃないと一見何がなんだか分からないので引用されてる箇所とかたくさんあるんだろうけど私には理解不能な点が多すぎでした。ドキュメンタリー仕立てにしたり妄想の世界を再現したりカッコよさげな映画だけど、分かりづらい部分が多くて消化不良。しかしボブ・ディラン役の一人がケイト・ブランシェットなんだけどすごかったです、ケイト・ブランシェット、一番ボブ・ディラン!ファクトリーガールのボブ・ディランがショッキングだったのに較べ、ケイト・ブランシェットのボブ・ディランは美形だわー。

『I love ペッカー』
ジョン・ウォーターズ/1998/アメリカ
楽しくて面白くて元気が出る映画。

『アイ・ラヴ・ユー』
大澤豊/1999
ろう者の映画だけれど、そんな事とはあまり関係なく、好きな人と一緒にオフロードのバイクに乗ってるシーンが一番印象深かった。好きな人の腰に手をまわして同じ方向を見てバイクに乗ってればどこにでも行けるような気がする。明るい場所に連れていってくれる人がいい。明るい場所を知ってる人がいい。私も、外に、連れて行ってくれる人がほしい。

『青い車』
奥原浩志/2004
宮崎あおいちゃんが出てなかったら見ないような作品。さくらちゃん(『純情きらり』の宮崎あおいちゃんの役名)が「セックスしよう」なんて!とか ARATA とのベッドシーンとかそういう見方をする作品かと。

『青い体験』
サルバトーレ・サンペリ/1973/イタリア
ラウラ・アントネッリの逆ギレが見所。単なる愛らしい青春エッチ映画ではない。

『新・青い体験』
ペドロ・マソ/1976/スペイン
大人の世界に足を踏み入れた少女のほろ苦い思春期映画(15R指定)。Maria Voica や Skaldowie みたいな、60-70年代の東欧ぽい音楽がいい感じ。サルバトーレ・サンペリの『青い体験』(1973/イタリア)のほうが変態性も高くて面白かったけれど(クー・スタークとラウラ・アントネッリでは私的にはラウラ・アントネッリの方が抜群)、これもなかなか面白かった。でもヘンにまとめなくてもよかったのにとも思う。

『青い凧』
田壮壮/1993/中国
映画を見てチラシに書いてある「愛が、きっと時代を変える」という言葉を見るとちょっとやるせない感じ。歴史的背景を考えるとコメントしづらいし、何より私が母でもなく、息子でもない事がもどかしい。長い映画だけど余計な描写がないと思う。中国では上映されていないそう。

『青いパパイヤの香り』
トラン・アン・ユン/1993/フランス=ベトナム
こういうフェチもいる。

『藍色夏恋』
イー・ツーイェン/2002/台湾
初恋に妄想を抱く人のための映画。空気が近いのでオドレイ・トトゥの妄想より共感できる。

『あおさぎと鶴』
ユーリー・ノルシュテイン/1974
結局お互い大好きなのね。何度となく見られる短篇。

『赤いアモーレ』
セルジオ・カステリット/2004/イタリア
数ある不倫物語のなかでは意外と楽しめた。調子の悪そうなティモーテオに油ぎったライスコロッケみたいなものを差し出すあたりにイタリアを感じる。

『赤い鯨と白い蛇』
せんぼんよしこ /2005
様々な世代の女性が古い民家で交流する話。真面目すぎてひねりもなく、香川京子が出演しているので見てみたかったのだけど期待はずれ。香川京子、樹木希林、浅田美代子、ときて宮地真緒なのも残念な感じ。

『赤い風車』
ジョン・ヒューストン/1952/アメリカ=イギリス
19世紀末のパリ。画家ロートレックの運命。何か違和感を感じたのはフランスが舞台なのに英語だということ。膝で歩き通したというホセ・ファーラーの意欲は伝わるけれど、なんだか惜しい作品。ムーラン・ルージュと言われるとジャン・ルノワール『フレンチ・カンカン』を期待してしまうのかもしれない。

『アカシアの通る道』
パブロ・ジョルジェッリ/2011/アルゼンチン、スペイン
長距離運転手が5ヶ月の娘を抱いたシングルマザーといっしょにブエノスアイレスに向かうロドムービー。カンヌ映画祭でカメラドール賞を受賞した作品。

全編にわたってセリフも音楽もほとんどなく淡々と物語は進んでいきます。パラグアイからアルゼンチンへ向かう風景もこれまた淡々としています。リアルロードムービーといった感じでなんとも自然。美男でも美女でもない役者の選出も上手。何の事件もなく、ただただ登場人物のゆっくりとした心の動き。意外にもなかなかいい映画でした。

『赤ずきん』
キャサリン・ハードウィック/2011/アメリカ、カナダ
なんの情報もなく視聴。人狼ハンターものでちょっとびっくりした。主演のアマンダ・サイフリッドも相手役のシャイロー・フェルナンデスもどうも人相が悪くてふたりとも悪役のようでした。

『赤ちゃん泥棒』
イーサン・コーエン/1987/アメリカ
赤ちゃんがかわいい。

『秋の訪れ』
カテリーナ・ソコロワ/1999/ロシア
モスクワ建築大学高等脚本家監督コースに在籍したカテリーナ・ソコロワの卒業制作作品。アレクサンドル・プーシキンの生誕200周年を記念して作られた。詩的な感覚。

『秋のミルク』
ヨーゼフ・フィルスマイヤー/1988/ドイツ
ナチ時代の庶民の生活。男について何も知らないかわいい農家の娘が恋をして愛を誓い結婚した先は陰湿で老人ホームのような家だった。バカな嫁、とののしられ、泥棒呼ばわりされ、唯一の味方の旦那はあっという間に徴兵され、嫁に行くのがおそろしくなる映画。

『アキュムレーター1』
ヤン・スビエラーク/1994/チェコ
つまんね。

『悪人』
李相日/2010
妻夫木聡、深津絵里、岡田将生、満島ひかり。最初はおもしろかったのに後半の失速感が残念。内容を詰め込みすぎ。

『悪魔の水車小屋』
イジー・トルンカ/1949/チェコ
手回しオルガン。童話的な話。悪魔がトルンカっぽい。

『足跡』
マーリア・プロハースコヴァー/1996/チェコ
砂の上の足跡。砂を使ったアニメというとコ・ホードマンが印象強くてどうしてもそれ以下に思えてしまう。

『明日の記憶』
堤幸彦/2005
渡辺謙、樋口可奈子主演。同名小説の映画化なんだとか。この作品がTVドラマでなく映画な理由が分からないけど、2時間TVドラマ的に見るとおもしろい。だけど若年性アルツハイマーを題材にしながらあまりにこぎれい。リアリティに乏しいのでは?

『earth アース』
アラステア・フォザーギル/2007/ドイツ、イギリス
イギリスのBBCが5年の歳月をかけて制作したネイチャー・ドキュメンタリー映画。北極から南下して、ツンドラ、亜寒帯、温帯、赤道直下、すばらしい技術を駆使して地球に存在する様々な地域の自然や動物たちを撮影。真っ白な氷の世界の北極の目の覚めるような青い空のコントラスト。ホッキョクグマの母と子どもが冬眠から目を覚まして地上へ出てくる。こういう映画てどうやって撮ってるんだろうと思うけど、これもそのひとつ。映画というか、『ディープ・ブルー』なんかを製作したスタッフが関わってるのでネイチャー・ドキュメンタリーとしては当然最高峰なレベルでなかなか面白い。

『アタック・ナンバーハーフ』
ヨンユット・トンコントーン/2000/タイ
一番面白かったのは、テロップが流れる最後の実話部分。ものすごいの、バレーしてるゲイの方々!(男らしすぎて超怖い)

『アタック・ナンバーハーフ2 全員集合!』
ヨンユット・トンコントーン/2002/タイ
1作目と間があきすぎて登場人物のキャラクターがどんなだったか忘れ気味。1作目の方が楽しかった。

『熱いトタン屋根の猫』
リチャード・ブルックス/1958/アメリカ
テネシー・ウィリアムズ原作。タイトルに惹かれる。ほぼ屋敷の中だけで展開するストーリーが意外。欧州的? エリザベス・テイラーの腰のくびれ具合がすごい。美しい。ポール・ニューマンも男前。今なら性的な描写がもっとあるかもしれないこの物語。暗く重いドラマというだけでなく若きポール・ニューマン&エリザベス・テイラー演じるワケありセックスレス夫婦の物語に注目。

『アッシャー家の崩壊』
ヤン・シュヴァンクマイエル/1980/チェコ
原題「Zanik domu Usher」。エドガー・アラン・ポーの同名小説がもと。「全ての無機質にも知覚はある」。

『アップタウン・ガールズ』
ボアズ・イェーキン/2003/アメリカ
アイロンかけながら見る用。でもアイロン用にしてもちょっとゆるゆるだったかも。

『アーティスト』
ミシェル・クルノイユ/カナダ
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『アーティスト』
ミシェル・アザナヴィシウス/2011/フランス
モノクロサイレント風で2012年のアカデミー賞作品賞受賞映画。映画自体は見やすいいまどきのサイレント(風)映画。BGMがちょっとうるさく感じます。

しかしこの映画のすばらしいのはワンコ。ワンコの演技に、このワンコはほんとにかしこいのぅ〜と感心しきり。猫飼いとしては犬猫がこんなにかしこく演技してるのを見るとたいへんモフモフした気持ちになります。

『アトラクション』
アレクセイ・ジョーミン/1995/ロシア
ノルシュテンらベテランアニメーターが指導にあたったというソ連崩壊と混乱のアイロニーをうたった作品。行き着く先はあるのか。

『アドレナリンドライブ』
矢口史靖/1999/日本
愉快で痛快。笑えるし泣ける。安藤政信のかわいらしい事!ラストをどうこううるさく言う人がいそうだけどいいじゃん、別に。私もお金欲しい。そしてとてつもなくいい男と出会いたい。

『アナーキー・イン・じゃぱんすけ』
瀬々敬久/1999
わざと不愉快な演出をしながら、後半のドラマ的展開に持ち込むように見えた。見なきゃ見ないでどうでもいいような映画。

『あなたになら言える秘密のこと』
イサベル・コイシェ/2005/スペイン
最終的に「死」に向かう物語や「死」がキーポイントになる物語は「死」という意味が絶大すぎて細かい部分を隠しがち。同監督の『死ぬまでにしたい10のこと』も雰囲気で泣ける映画だったけどこの作品も同様。クロアチア人とセルビア人の紛争にかかわるヘビーな「死」を扱う反戦映画。すべてはサラ・ポーリーの涙の独白シーンのために作られた映画。ここで泣いてください的なうっとおしさを感じた。映画としては無理矢理な感じでごく普通レベル。原題も邦題もいまいち。製作総指揮がペドロ・アルモドバルでもペドロ・アルモドバルの良さは出ていない。唯一サラ・ポーリーの陰気なたたずまいは好み。

『アナと雪の女王』
クリス・バック、ジェニファー・リー/2013/アメリカ
ディズニーオリジナルのミュージカルアニメーション。子どもたちと見たので神田沙也加&松たか子の日本語吹き替え版で見ました。May J.より松たか子の圧勝。

アナとエルサのダブルプリンセス。そして真実の愛は意外にも姉妹愛というディズニーの王道からちょっとはずれる本作。はしょった感のあるストーリーもテンポの良さでカバーして、ほとんど序盤で迎える最大の山場、エルサの「Let It Go」の長回し?のシークエンスにわりとしびれました。アニメーションで長回し!思ったよりかなりミュージカルでおもしろかったし、CGで作るアナやエルサの肌や唇の質感のリアルさはそれはもうすごいビジュアル技術でした。あの肌の質感を作れるなら顔も…(どちらかというとシンデレラや白雪姫の絵柄のほうが…)と思うけど、あの目の異常なデカさのアニメ顔をあえて選択することでCG映画としてではなく、ファンタジー映画として成立するのかも。

3歳の次女がオラフ登場のたびに腹がよじれるほどひーひーウケてました。3歳から大人まで楽しめる映画てそれはすごいよね。

『アニエス.V によるジェーン.b』
アニエス・ヴァルダ/1987/フランス、イタリア
タイトル通りの映画。私はそれほど思い入れはないけれどオマケ的要素で面白く感じる場面は多かった。バーキンが好きなら、もっと面白く見られるのでは。

『アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生』
バーバラ・リーボヴィッツ/2007/アメリカ
数多くのインタヴューでみんながしゃべくりまくって人物像を照らし出すありがちなドキュメンタリー映画で、こういう映画なんか前にも見たなーみたいなデジャヴすら感じる。内容が散漫としててもったいない。アニー・リーボヴィッツは体外受精をしてなんと52歳で長女を出産。その赤ちゃんをなんともいえない表情で見つめるパートナーだったスーザン・ソンタグ。この写真すごくいい。

ミック・ジャガーよりオノ・ヨーコよりデミ・ムーアより、スーザン・ソンタグとの関係や長女のこと、双子の赤ちゃん(代理母による出産)のことを掘り下げてほしかった。

『あの子を探して』
チャン・イーモウ/1999/中国
「ウェイ先生」と黒板に書いたホエクーに、分かっていながらグスンとした。でも私がこれをあまり受け入れられないのは、中国貧乏物語をあまりに続けて見ているため。

『あの頃ペニー・レインと』
キャメロン・クロウ/2000/アメリカ
おもしろそうだという先入観で見たらあまり盛り上がれず残念。青春映画でありながら私は音楽にも登場人物にもどこにも感情移入できなかったのが敗因と思われる。この映画のケイト・ハドソンがかわいいかわいいと言われるけど、ケイト・ハドソン顔の女優さんて多くない?

『あの夏の子供たち』
ミア・ハンセン=ラヴ/2009/フランス
「自ら命を絶ってしまった父親の死に戸惑いながらも、その悲しみを乗り越えようとする家族」という予告を見て、勝手にもっと感動的なストーリーだと思っていたので期待はずれ。カンヌ映画祭である視点部門審査員特別賞を受賞している映画だけど、話は中途半端では?

『アパートの鍵貸します』
ビリー・ワイルダー/1960/アメリカ
平凡なサラリーマンの悲哀。こういう映画を見てる事は暇つぶし以上だと思ってしまう。

『アバンチュールはパリで』
ホン・サンス/2008/韓国
韓国映画がおもしろい。少々フレンチかぶれな気もするけど、これはもう模倣以上でこんな軽妙でコミカルな日常を映し出す映画が撮れる監督が韓国にもいるんだなー。

『アヒルと鴨のコインロッカー』
中村義洋/2007
伊坂幸太郎の小説が原作。小説は読んでないけどこの映画はなかなか面白かった。小説みたいに進んでいく展開。ボブ・ディランの「風に吹かれて」がずっと流れている映画なのでしばらくボブ・ディランがぐるぐる頭をまわる。脇役の松田龍平かっこいいなー死に際に「またオンナ抱きてえ」てしびれる。父親の遺伝子を感じる台詞。

『アマロ神父の罪』
カルロス・カレラ/2002/メキシコ
若きエリート神父アマロと少女アメリアの禁断の恋。宗教が絡むとコトのたいへんさは分かりづらい。けれど宗教を越えて訴えかけるものはない。

『阿弥陀堂だより』
小泉堯史/2002
寺尾聰&樋口可南子主演。シニア割引で久しぶりに映画見てきたよと娘に報告するような感じの癒し系映画。さすがにここまで平和な作品はまだ求めてない。しかしおばあちゃん役の北林谷栄すごい、『キクとイサム』(1959)にも当時48で90過ぎくらいの老け役(完璧)をして、やっと90過ぎて90過ぎの役をして、半世紀にわたっておばあちゃんを演じ続けておじいちゃん版の笠智衆を思い出す。

『アムステルダム・ウェイステッド!』
イアン・ケルコフ/1996/オランダ
セックス、ドラッグ&テクノ。最初は面白かったのに、ずっと普通のテクノばっかで話とか映像じゃなく音楽に飽きた。イアン・ケルコフ期待してたのにな。映像はまんまVJで使えそうなのがたくさん。でも想像とちょっと違った。面白いのは最初と最後。ovalが使われてるって聞いたけど、どこで使われてたのか分からなかった。不覚。

『雨あがる』
小泉堯史/1999
寺尾聰主演。黒澤明が最後に映画化を企画していた『雨あがる』。ほんとに黒澤明が監督していたらこんなのどかーな映画になったのかな。シニア向け癒し系映画。

『雨の訪問者』
ルネ・クレマン/1970/フランス
お馴染みルネ・クレマンとフランシス・レイ。フランシス・レイは毎度毎度なんでこんなへんな音楽つけるんだろーと思うけどこれがフランス映画ぽくもある。このストーリーは好みじゃないけどチャールズ・ブロンソンの肉体美はかなりステキ。

『アメリ』
ジャン=ピエール・ジュネ/2001/フランス
妄想のはげしいオンナノコはそれで自己完結しやすい。けれどアメリはそこで一歩進んでみた。そしたら世界が少し楽しくなった。外の世界はこわくない。日常にささやかな刺激を。

『アメリカ、家族のいる風景』
ヴィム・ヴェンダース/2005/ドイツ、アメリカ
断然ジェシカ・ラングがいい。あとユマ・サーマン系の顔立ちのサラ・ポーリーという女優さんがよい(イサベル・コイシェの映画『あなたになら言える秘密のこと』に出ている)。ただこのヴェンダースの映画はあまり好みではないなー。

『American Teen/アメリカン・ティーン』
ナネット・バースタイン/2008/アメリカ
アメリカのリアル高校生たちのドキュメンタリー。どんな方向であれ実感の伴った主張や自己への評価、「個人」がしっかり確立してるアメリカのリアル高校生。ドキュメンタリーなのかどうかあやしくなるくらいかなり踏み込んで製作してて、好みのタイプの映画ではないけれど、ここまで"リアルなアメリカの高校生の"青春群像映画はなかなかないような気がしました。

『アメリカン・ビューティー』
サム・メンデス/1999
世界は美しいものだらけなんだ。あまりの美しさで、ときどき、息がつまりそうになる。誰もが感じる心の中の痛みや不安、でも見て。世界は実はこんなに美しいのに、見ようとしてないだけだろう。レスターの見る幻想的な想像が、なんだかすごく印象的でいい。

『嵐が丘』
ピーター・コズミンスキー/1992/イギリス
ジュリエット・ビノシュ出演。毎日君を待ってるよ。僕の人生は君と。その深い愛はやがて憎しみへ変わってもたった一人だけを愛し続ける。一人の女性だけ愛し続ける人生。でも、笑い顔が素敵だった彼女から笑いをとったのは彼だった。「だまってる人はいないのと同じよ」。同感。私はこういう愛のつらぬき方が美しいとは思わない。「優しくて、楽しい人」と、幸せになって欲しかった。とは、映画を見た時の心境。ところで映画を通して少し幻想的すぎ。そして坂本龍一の音楽が映画とあってないのがすごく気になった。

『ありあまるごちそう』
エルヴィン・ヴァーゲンホーファー/2005/オーストリア
食や農のグローバル化によって先進国で大量に廃棄される食糧。

その一方でブラジルの貧困家庭の飢えた子ども達。空腹で起きてしまう子どもに、母親は何をするか。母親は鍋に石ころを入れて茹でる真似をして「もうすぐ煮えるからね」と言ってるうちに子どもは、寝てしまう。ある家ではヤギを飼っている家に頼んでヤギに飲ませる乳を子どもに直接飲ませる。子どもは空腹は納まるが、乳を飲めない子ヤギがずっと鳴いている。

勾配からはじまる家畜とも思えない密集した鶏。そして鶏肉になる処理ライン。フードドキュメンタリーにはつきものの映像とはいえ、日常忘れているこういう食の裏側は衝撃的。知らなくていいことではない。映像から知るべきことがたくさんある。

『アリス・イン・ワンダーランド』
ティム・バートン/2010/アメリカ
初3D映画。アリス役ののミア・ワシコウスカみたいな顔は好きだなーかわいい。アン・ハサウェイは顔が濃いせいで『プラダを着た悪魔』(2006)のインパクトが私の中で強くてなんかその彼女が白の女王になってるよう。そしてこの映画を3Dで見る醍醐味はいまいち伝わってこない。3Dメガネ重くて鼻痛いしメガネ通して見ると全体的に画面暗くなるし。正直期待するティム・バートン映画のシュールさはなくて、これから見せ場なのかと思ったジョニーのダンスがそれだけ?!みたいな肩すかしがあったり、アリスだけで言うとシュワンクマイエルのアリスのが断然上。

でも子どもとはじめて見た映画として満足満足。

『アリとキリギリス』
ヴワディスワフ・スタレーヴィチ/1913/ハンジョンコフ作品
Стрекоза и Муравей. アリのキリギリスに言うセリフが意外とひどい。スタレーヴィチの昆虫アニメ。帝政時代の秀作。

『アリラン』
キム・ギドク/2011/韓国
『悲夢』(2008)を観てからキム・キドクの新しい映画て見てないなと思ったら(彼の助監督だったチョン・ジェホンの「豊山犬」の脚本はキム・キドクだったしそんなに気に留めてなかったものの)、『悲夢』撮影中に間一髪の事故がありそこから山小屋に引きこもって自問自答の日々を過ごしているとのこと。そんな日々のセルフドキュメンタリー風映画。

オールセルフ撮影なのに撮り方が凝っていて編集も上手いし、ひとりで撮ってるとは思えないドラマ仕立て。自作『春夏秋冬そして春』の映像をはさみつつ、苦悩するキム・キドク。苦悩は自分自身しか癒せない、ひとつずつ癒していけばいい。春夏秋冬も含め好きな作品も多いし、キム・キドクがまた新しい作品を作ることを願います。

『ある受付嬢の告白』
ピーター・ロード&デビット・スプロクストン/1978/イギリス
原題「Confessions of a foyer Girl」。アードマン・コレクションより短編。

『ある海辺の詩人 -小さなヴェニスで-』
アンドレア・セグレ/2011/イタリア、フランス
幼い息子を中国に残して借金を返済するためイタリアで働くシュン・リー役のチャオ・タオは『長江哀歌』(ジャ・ジャンクー/2006)に出てた女優さん(ジャ・ジャンクーの映画にはよく出てるのかも)。後から知ったものの記憶が定かでないわー。ジャ・ジャンクーと聞くとジャ・ジャンクーが見たくなります。

映画内で登場する「屈原の祭り」という、赤い薄紙で作った蓮の花に火を灯して屈原の詩とともにこれをバスタブや水辺に浮かべるシーンが印象的。

ラストのシーンは蛇足。ベーピの説明的な手紙や、漁師の小屋に火をはなったり、そこを埋めなくてもよかったと思います。

『アルゼンチンタンゴ 伝説のマエストロたち』
ミゲル・コアン/2008/アルゼンチン
タイトル通り、アルゼンチンタンゴの伝説のマエストロたちのレコーディング風景から、一夜限りの夢の共演を収めたドキュメンタリー。アルゼンチンタンゴ自体はおもしろいと思うし往年のスターたちを見てるのも聴いてるのも楽しい。けれど、いかんせん往年のスター本人たちを知らず、たぶんおもしろさはそこでだいぶ半減してると思われます。

『アルゼンチンババア』
長尾直樹/2007
別におもしろくないんだけど、最後のほうにちょっとだけ登場する赤ちゃんの刺繍された布おむつと布おむつカバーが超かわいい。バンピーとかハッピーハイニーズとかくらべものにならないくらいかわいい。欲しい。

『或る旅人の日記』 『或る旅人の日記「赤い実」』
加藤久仁生/2003、2004
『或る旅人の日記』の複数のエピソードは幻想的でアニメーション的でおもしろい作品群でした。『つみきのいえ』よりこちらのほうが好き。

『アルマゲドン』
マイケル・ベイ/1998
15分で飽きた。展開見え見え。気持ち悪い。

『歩く Walking』
ライアン・ラーキン/1968/カナダ
『シリンクス』の後に作った作品。"歩く"という行動のみにスポットを当てる。例えば影だけでその人のイメージがわいてくる。

『荒れ狂う河』
エリア・カザン/1960/アメリカ
1930年代の大不況下、ニューディール政策の一環として行われたテネシー川流域のダム開発工事をベースにした物語。ここに恋物語も入るんだけど、なんというかはじめて見たエリア・カザンで期待してただけになんとなく散漫な印象しか残らずエリア・カザンらしさもなにも分からず残念。

『アンジェラ』
リュック・ベッソン/2005/フランス
うだつのあがらない小男と堕天使の美女。堕天使て・・・。2時間ドラマみたい。リー・ラスムッセンの抜群のスタイルと劇的に長い手足が見所?

『アンダルシアの犬』
ルイス・ブニュエル/1928/フランス
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『アントニオ・ダス・モルテス』
グラウベル・ローシャ/1969/ブラジル
最後まで興味が持てなかったブラジル版ウエスタン。

『アントワーヌとコレット<二十歳の恋より>』
フランソワ・トリュフォー/1962/フランス
オムニバス映画『二十歳の恋』の中の一作品。だからなに?と思ってしまうのはアントワーヌ・ドワネルにハマれない証拠。


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『E』
ブジェチスラフ・ポヤル/1981/カナダ
オペラな感じの楽しい作品。NFB時代のもので、パペットではなく、色鉛筆で書いたようなスケッチがそのまま動き出す。「真実の相対性について」がテーマだとか。

『家の鍵』
ジャンニ・アメリオ/2004/イタリア、フランス、ドイツ
事情があって障害のある息子と15年離れて暮らしていた父子の交流。感動的に仕上げるでもなく一歩ひいた視点で淡々と綴るいい作品。キム・ロッシ・スチュアートと息子役のアンドレア・ロッシがなかなかすごい。

『イカとクジラ』
ノア・バームバック/2005/フランス
両親の離婚や不倫で振り回される思春期の兄と性的興味がでてきた弟。ありがちな設定でどこか見たことのあるシーンで、たとえばぎりぎりのところを描いた家族映画というならルイ・マルの『好奇心』とかにはとても及ばないなーというのが正直なところ。ママと娼婦やピンク・フロイドがネタ的に出てきたりするけどなんというか弱い。インパクトに欠けるというか。

『生きたい』
新藤兼人/1999/日本ヘラルド
躁鬱病。クマ役の塩野谷正幸がかっこいい。オキチ結構いい身体。

『息もできない』
ヤン・イクチュン/2008/韓国
『クロッシング』もよかったけど、今の韓国映画はレベルが高くておもしろい。監督の力を感じる、チンピラと女子高生の物語。ラブストーリーではなく、暴力の裏側にある、家族の絆を描いた映画。

『活きる』
チャン・イーモウ/1994/中国
1940年代くらいからの激動の中国現代史。内戦や革命、文化大革命などなど人々の生活が一変するような数多くの重大な出来事。市井に生きる一家族を中心にして、政治面を前面に出さず難解にせず上手に描くので見やすい。けれどチャン・イーモウ映画の優等生ぷりや真面目さゆえに、面白みに欠ける感は否めない。見ていてわくわくしない。

『イグジット』
スティーグ・ベルイークヴィスト他/1990/スウェーデン
1990年オタワ国際アニメ映画祭入選作品。セルアニメ。ブラックな感じ。ウサギの殺され方とかいがいとえぐい。

『いけちゃんとぼく』
大岡俊彦/2009
西原理恵子の絵本の実写化。“いけちゃん”の声を蒼井優が担当してたので見てみました、という人が絶対多いはず。私も。蒼井優(の声)以外、CGいけちゃんとかかなりつらい。たいして長くない映画なのに長すぎて20分くらいあれば事足りるような気がしました。

『イゴールの約束(La Promesse)』
ダルデンヌ兄弟/1996/ベルギー
カンヌ国際映画祭監督週間・国際芸術映画評論連盟賞をとった作品。ま、そんなのはいいんですがちょっとおもしろかった。さいごにテロップが流れるところが音楽なしで、遠くの雑踏の音というのがかっこよい。余韻のこるもの。終わりよければすべてよし。分かりやすいお話。

『石の微笑』
クロード・シャブロル/2004/ドイツ、フランス
氷の微笑みたいなタイトル。シャブロルなので期待大。偏愛とサスペンス。映像がすごくいいのに疑問がいくつか残るストーリーがちょっと残念。美人とは言い難いクセのある顔のローラ・スメット。個人的にあまり惹かれなくて、最後まで気になった。シャブロルだったけど……

『異人たちとの夏』
大林宣彦/1988/松竹
山田太一の小説の映画化で、山田太一が脚本してるんじゃないけど山田太一。大林宣彦の映画を押す人は数あれど、私はあまり思い入れがなく、この映画の懐かしホラーファンタジーにいまいち入りきれないまま終わってしまった。最後のスプラッタぽいシーンがアリなのかちょっと謎。大林宣彦の良さや山田太一の良さって私の世代ってズレが大きいような気がする。私より10個くらい上だったり下だったりするほうが入れる感じ? しかしこの頃の永島敏行はなんかこう、エロダンディでいいよねえ。

『伊豆の踊り子』
西河克己/1963/日活
川端康成の短編小説、4度目の映画化。吉永小百合、高橋秀樹版。ふたりが初々しくてかわいい。

『ISOLA 多重人格少女』
水谷俊之/2000/日本
大好き黒澤優ちゃん。映画自体はどうでもいい、動く彼女が見られれば。貴志祐介原作の映画って原作読んでた方が面白くないか?

『イタリア的、恋愛マニュアル』
ジョヴァンニ・ヴェロネージ/2005/イタリア
イタリア人の浮気率は男性85%、女性60%なんだって。すごすぎる。勝手にナンニ・モレッティの映画を想像してたので落差が激しくてがっかり。しかしこのばかばかしいほどの恋愛話がリアルイタリア?と一瞬思った。

『市川崑物語』
岩井俊二/2006
市川崑監督と妻であり脚本家としてパートナーでもあった和田夏十さんとの物語を岩井俊二らしい愛に満ちた撮り方で撮った作品。市川崑監督のトーキー漫画部時代の作品である短編アニメ映画『新説カチカチ山』、人形劇アニメ『娘道成寺』も少し見ることができて意外におもしろい内容。市川崑映画に出てくる女優さんたち、若尾文子も京マチ子も山田五十鈴もいいなあ。いろんな秘話をお茶目に紹介していて好感が持てる作品で、紹介されていた原作谷崎潤一郎、撮影は宮川一夫、京マチ子が主演する『鍵』が見てみたくなりました。

『イチ、ニ、サン』
ケレシュテス・ドーラ/2005/ハンガリー
ハンガリアン・アニメーション。アニメーションの可能性やアニメーションならではの自由さを感じさせる色彩豊かで楽しいアニメ。色や絵が東欧!

『いつか読書する日』
緒方明/2004
田中裕子と岸部一徳はそれだけでいい。静かな静かな日常の小さなさざなみ。50歳の秘めた想い。丁寧で美しい映画。坂と階段の長崎の街の風景がきれい。

『一瞬の夢』
ジャ・ジャンクー/1997/中国、香港
ジャ・ジャンクー長編デビュー作。当時27歳でこういうエッジの効いた映画を撮れてしまう才能にちょっと驚き。すごい。スリを稼業に生きる若者。農村出身の若者の、出口のない焦燥感、孤独をざらついた映像で描く。ジャ・ジャンクーのほかの作品を見てみたい。

『五つの夜に』
ニキータ・ミハルコフ/1979/ソ連
大人の愛の物語。音楽の使い方が印象的。ミハフコフの若い頃の映画だと思うと興味深い。

『いつまでも二人で』
マイケル・ウィンターボトム/1999/イギリス、アメリカ
北アイスランド、ベルファスト。ウィンターボトムの映画の流れはきらいじゃない。古い映画のようなカメラワーク。旦那・ヴィンセントのキャシーとの浮気はどうでもいいのか。

『愛しのタチアナ』
アキ・カウリスマキ/1994/フィンランド
カウリスマキの淡々とした殺風景な映画はハマるときとハマらない時があって、こちらは後者。

『eatrip(イートリップ)』
野村友里/2009
フードクリエイト・チーム"eatrip"を主宰するフードディレクター野村友里の初監督した食のドキュメンタリー作品。色にこだわりのある人々を訪ね歩き、様々な職種の人々に食べることのインタビューをし、最後には簡易的なテントのなかでの晩餐会。出産前のUA、浅野忠信(離婚後なのになぜか最期に食べたい料理は「カミさんの料理」と答える)、内田哉也子と娘・伽羅、青柳拓次と民(奥さん)と娘・舞蓮がテーブルを囲み、魅力的な料理が並ぶ晩餐会の様子がこの映画でいちばん愉快なシーン。

エコもロハスもマクロビオティックもオーガニックも自給自足も大人自己完結型であれば特に何も感じないけど、出産が絡んでくるとどうも苦手。『プルミエール 私たちの出産』の気持ち悪さがよみがえる。(リンク先参照)

『犬神家の一族』
市川崑/1976
想像していたより怖くなかった。へんな画像処理と効果音が気になる。しかし犯人がわかってからが長い。146分も必要なのか。

『犬儒戯画・全長版』
川本喜八郎/1970
手の込んだアニメーション。けれど何を言いたいのかいまいち伝わりづらい。

『犬猫』
井口奈己/2004
榎本加奈子、藤田陽子主演。かわいい女の子たちの出てくる映画はそれだけで大概好き。PFFアワードで受賞したインディーズ作品を自らリメイクした映画。くどい演出も愛憎劇もない淡々とした雰囲気はなかなか好きだけれど、日常のなかのささやかな事件や出来事を綴るというのはずいぶん見ていて、その中でも面白いほうだとは思うけれど、それだけ。おそらく、すばらしくもないし、すばらしいパンチのある作品を撮りたかったわけでもない監督の真意を考えると作品は成功しているんだと思う。

『いのちの子ども』
シュロミー・エルダール/2010/アメリカ、イスラエル
免疫不全症で余命1年未満と宣告されたガザ地区に住むパレスチナ人の赤ん坊が、封鎖されたガザ地区からイスラエルの病院で治療する様子をイスラエル人ジャーナリストが撮ったドキュメンタリー。確かにイスラエルからの視点の映画で、母親の子どもへの愛情に根深い紛争や宗教や思想が絡むし、単純に「難病の子どものために奔走する母親」ではなく、完全に入り込めないいろんな疑問が残る。しかし生後間もない赤ちゃんをベビーカーに乗せてごつごつした石畳の道でエルサレムに向かうってだいじょうぶ?お母さん7人も産んだ後腹だいじょうぶ?とか余計なことも。お国が違えば習慣も違うよねー。余談ですが挿入音楽がかなり中東ぽいのも気になった……

『いのちの食べかた』
ニコラウス・ゲイハルター/2005/ドイツ、オーストリア
様々な食べ物が大量生産される現場の様子を、たったひとつの台詞もなく淡々と描くドキュメンタリー。大量生産され機械的な作業を行うのも野菜なんかは冷静に見られてもこれが動物だったりするとなかなか映像を直視してるのがつらい。牛の加工過程は大きな動物だけにかなり残酷に映る。棒状の機械の一撃でショック状態にして、死に切れずビクビクしている牛の足を縛り上げて宙吊りに。腹を切り裂くと滝のような大量の血が流れ出る。これがダメだとかそういうことではなくこの現実を自分のなかでいろいろ折り合いをつけていくことに意味があるように感じる。原題は「私たちの日々の糧」という意味なんだけど、この邦題はちょっとずるい。こういう要素を持ってくることでこのドキュメンタリーの良さが薄れてしまう。

『イブラヒムおじさんとコーランの花たち』
フランソワ・デュペイロン/2003/フランス
老人×子ども映画で琴線に触れる映画がめっきり少なくなったけれど、この作品も例外でなかった。ひとつ「あ!」と思ったのは映画スター役でイザベル・アジャーニが出てきたとき。

『イベリア 魂のフラメンコ』
カルロス・サウラ/2005/スペイン
ダンス・パフォーマンス・ドキュメンタリー。独創的な18曲それぞれの物語。シンプルな舞台装置にカラフルな照明に様々なダンス。バレエ、フラメンコ、現代舞踊。ただダンスだけを撮った作品。ダンスやダンスと同調する映像を見てるだけで面白いけれど、偉大なミュージシャンも舞踏家も振付家も知らないのが痛い。

『イル・ポスティーノ』
マイケル・ラドフォード/1995/イタリア
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『イリュージョニスト』
シルヴァン・ショメ/2010/イギリス、フランス
「ベルヴィル・ランデブー」のシルヴァン・ショメ作品。「ベルヴィル〜」と較べると今回は落ちついた作風。故ジャック・タチの幻の脚本だそうで、タチ本人を主人公にしています。老マジシャンと少女の交流を静かに描く切なくて繊細で優しい物語。

『イン・ザ・カット』
ジェーン・カンピオン/2003/アメリカ
ジェーン・カンピオンとニコール・キッドマンとメグ・ライアンが女同士徒党を組んでこういう程度の性的な映画を撮る意気込みが意味不明。

『イン・ザ・プール』
三木聡/2005
松尾スズキ、オダギリジョー、市川実和子、田辺誠一ら出演。なんか出演者で雰囲気が分かる気がする映画。テーマソングやエンディングが大滝詠一やシュガーベイブで意図的にさわやかで愉快なぼんやり見られる映画。

『インスタント沼』
三木聡/2009
『亀は意外と速く泳ぐ』『たみおのしあわせ』とかはおもしろく見れた気がするんだけど、この作品はなんだかずっとノれなくて無駄に長く感じた。唯一麻生久美子のファッションがかわいくてよかった。バンダナ使い、かなり心をぎゅっとつかまれる。着てる洋服はランプハラジュクなんかで販売されている「les Briqu' a braque(レブリカブラック)」というブランドのものらしく、かなりキュートなデザイン。しかしこの作品の加瀬亮も萌えない。加瀬亮に萌える作品て案外少ないなー。

『インストール』
片岡K/2004
原作:綿矢りさ、出演:上戸彩、神木隆之介、中村七之助、菊川怜、小島聖など。まあ、こんなもんなんだろうなあ。アイドル映画なら『キューティーハニー』や『下妻物語』のが雲の上。

『インテリア』
ウッディ・アレン/1978/アメリカ
ウッディ・アレンのシリアス映画をはじめて見たような。ベルイマンとは言わないけれど質感は好き。ラストの母の入水自殺のシーンと三姉妹の横顔が印象的。

『インドシナ』
レジス・バルニエ/1991/フランス
アカデミー外国語映画賞受賞の大河ドラマ。琴線に触れない重さと壮大さで面白くない。主演カトリーヌ・ドヌーヴ。


 >> う


『ヴァージン・スーサイズ』
ソフィア・コッポラ/1999
色んな場面で涙しそうに。「あなたは13歳の女の子じゃないもの」、分からないわよね。学校一のモテ男くん役が伊藤英明にソックリ。その彼が車で帰ろうとする時、ラックスがいきなり車に乗り込んでキスをするシーン、すげー格好良かった。ダンスクイーンに贈られる小さな冠、ちょっと前のヘルムート・ラングのショーを思い出した。ちょっと違うけど。こういう映画見て影響される女の子ってかわいいと思うけどな、と少し思う。

『ヴァンダの部屋』
ペドロ・コスタ/2000/ポルトガル、ドイツ、フランス
ポルトガルの移民街。取壊しの進むスラム街に暮らす人々をとらえたドキュメンタリー。同情的な視線で見てしまう私はおそらくこの映画を見るにあたって失格。ただそれは絶望的ともいえる極貧状態の彼らの生活を本当には目にしたこともないしそのスラム街の匂いも肌がべとべとになっても身体を洗えない彼ら自身と対峙したこともなく事実無知であることに起因しているのであって、麻薬をやりながら過ごす日々の辛さは到底分からない。この作品の映像の美しさなんていうのはきっと微々たる魅力ではないかと思った。

『ヴィオレッタ』 new!!
エヴァ・イオネスコ/2011/フランス
イザベル・ユペールファンとしては彼女が出演してるとなんでも見たくなります。

写真家である母親にゴシック風ヌードモデルとして撮られる娘。11歳の少女に真っ赤な口紅にガーターベルト、もてはやされるうちに母親の要求はエスカレート。娘役のアナマリア・ヴァルトロメイがとんでもなく美少女(監督自身の実話を元にしているけれど本人より断然美人)。そしておばあちゃんがたいへんかわいらしい。しかし本作のイザベル・ユペールはハマり役とはいえず、(ユペールの雰囲気からして)アホっぽくてカラッポな低俗な感じには見えず、シド・ヴィシャスはまったくもってシド・ヴィシャスじゃないし、物語的にもなにをしたいのかモヤモヤする。

『ヴィレッジ』
マーク・ベーカー/1994/イギリス
1994年度アカデミー賞ノミネート作品。この絵で男と女のハダカのシーンがあると思わなかった。

『ヴィンセント』
ティム・バートン
人形アニメ。ビデオでは「ジャイアント・ピーチ」の後に入っていた。こっちのが全然好き。ヴィンセント・プライスがナレーションしてる。

『ウィンブルドン』
リチャード・ロンクレイン/2004/イギリス、フランス
ものすごーいかるーいラブコメディ。こんなにかるーい映画を見たのは久しぶりかもしれん。キルステン・ダンストはわりと好きな顔。それだけかなー。

『ウエディング』
ロバート・アルトマン/1978/アメリカ
アメリカ中西部の大富豪の御曹子と、南部の新興財閥の令嬢の結婚パーティの群像映画。アルトマンの群集モノとして見ればいいのだけどあまりに最低な結婚式の話でそれに"A Wedding"というタイトルはどうなのよ、て思った。

『ウェディング・ベルを鳴らせ!』
エミール・クストリッツァ/2007/セルビア、フランス
クストリッツァのドタバタコメディー。クストリッツァの映画が好きか嫌いか、という質問は漫☆画太郎が好きか嫌いか、みたいな生理的な好き嫌いが存在するような気がする。漫☆画太郎はいまもむかしも私は苦手だけど、クストリッツァは年をとるにしたがって不思議にだんだん面白くなってきた。アホさ加減も下品さも猥雑さもぜんぶひっくるめてクリストリッツァの前向きなエネルギーに満ちていて「アホやねー」と自然に思えると楽しくなる。

『ウォーター・ワーク』
トニー・ヒル/1987/イギリス
水の音。水の動き。水中からの映像。ゆらりゆらり。

『ウォルター少年と、夏の休日』
ティム・マッキャンリーズ/2003/アメリカ
こんな面白くない映画はひさしぶり。

『ウォレスとグルミット』
アードマン・スタジオ
『チーズホリデイ』、『ペンギンに気をつけろ!』、『ウォレスとグルミット、危機一髪!』の三部作からなる(とりあえず)、ウォレスとグルミットシリーズニック・パークのこのローテク世界に私は虜。ビスケットにおいしそうなチーズをのせてお紅茶飲みたいよね。月に行ってチーズとってきたいよね。グルミットに会いたいよね。日本語版は欽ちゃんがウォレス役で「なんでそーなるのっ」と言っている。でもはじめて見るならもちろん字幕をおすすめ。アードマン・スタジオのモノは、どれもユーモアにとんでいてすばらしい。

『ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!』
ニック・パーク、スティーヴ・ボックス/2005/ アメリカ、イギリス
クレイアニメ「ウォレスとグルミット」シリーズ初の長編作品。安心して見られる面白さ。楽しいクレイアニメ。

『うさぎドロップ』
SABU/2011
松ケン、芦田愛菜主演。漫画は読んでないけどSABU好きなので観賞。

リアリティなんてなくていいのだけど終始漫画な展開で実写にするおもしろさってなんだろなーなんて思いながら見てました。薄い……。

『失われた解剖模型のリハーサル』
ブラザーズ・クエイ/1988/イギリス
まさにリハーサル。実験段階のような。速度が気になる。

『失われた肌』 new!!
ヘクトール・バベンコ/2007/アルゼンチン、ブラジル
ペドロ・アルモドバル『バッド・エデュケーション』(2004)からのガエル・ガルシア・ベルナル繋がり。

元妻からのストーカーを受けつつ、相当女にだらしないガエル・ガルシア・ベルナル。血まみれ出産シーンがこわかった。伊藤潤二のマンガにこんな元妻ストーカーキャラが出てくる気がする。いい映画に出てこそイケメンも映えるというもので、萌えないガエル・ガルシア・ベルナルでざんねん。

『うず潮』
ジャン・ポール・ラプノー/1975/フランス
イヴ・モンタン、カトリーヌ・ドヌーブの初顔合わせ作品。オトナの恋愛、オトナのコメディー。

『嘘の心』
クロード・シャブロル/1999/フランス
ミステリー。シャブロルの映画はとてもフランス映画らしい。ブルターニュの風景もきれいで、なんとなく見れるヌーヴェルヴァーグで、人間心理を描く。

『うた魂(たま)♪』
田中誠/2008
夏帆主演の青春合唱モノ。路線としては『スウィングガールズ』だけど較べるとちょっとつらいです。感動のラストの合唱シーンも見てる側はそれほど感動を覚えるほど上手に聞こえない。合唱にいまいち感たっぷりだったのでエンディングのゴスペラーズの歌が超うまくておもしろかったです。

『うちへ帰ろう』
スティーブン・メイラー/1998/アメリカ
ハートウォーミング・ヒューマン・ドラマ、と銘打たれている映画で私が泣かないわけがないので。家族愛最高。

『THE 有頂天ホテル』
三谷幸喜/2006
大晦日のホテルアバンティが舞台。2時間16分の映画の中で起こる新年までの2時間16分の世界。テンポも速いし面白かった。映画館の中のお客さんと笑いの一体感。ちなみに三谷幸喜が朝日新聞夕刊のエッセイで触れていた美術の種田陽平は『キルビル』の美術のひと。

『美しい絵の崩壊』
アンヌ・フォンテーヌ/2013/オーストラリア、フランス
これは

中年女性の

夢……?

(以上)

とポエム的に書きたくなる映画でした。ナオミ・ワッツとロビン・ライトという美しい(かつ自然に歳をとった)40代女性がそれぞれのこれまた肉体派でうつくしい息子たち(相手は本物の息子ではない)と情事を重ねるという夢物語。

『うつくしい人生』
フランソワ・デュペイロン/1999/フランス
『イブラヒムおじさんとコーランの花たち』(2003)を撮った監督の作品。『イブラヒム〜』も興味をそそられなかったけれどこの作品も正統派かつあまりに真面目でせっかくの美しい風景も不思議に単に絵的に美しいだけで、全編黄色がかった映像も不必要な気がした。

『美しい星』
古川タク、九鬼勝彦/1975
ユネスコの依頼で製作した作品。歌が歌だけに、のんびりした感じに思える。こういう作品も作れるのかと思うと、きちんと計算出来た上に才能ある人なんだなと思う。コンピューター・グラフィックの絵が若干挑戦か。

『美しきイタリア、私の家』
リチャード・ロンクレイン/2003/イギリス、イタリア
テレビムービー。舞台になっているイタリアの田舎町ウンブリアの風景がとてもきれい。NHKのハイビジョン放送を見ているような気分になる。同じくイタリアにいやされ映画『トスカーナの休日』(オードリー・ウェルズ/2003/アメリカ)にも通じる雰囲気。

『美しきセルジュ』
クロード・シャブロル/1957/フランス
ヌーヴェル・ヴァーグ長編第一作目。クロード・シャブロルの映画は好きなほう。この作品のサスペンスタッチの効果音は好みでないけれど、根源的な部分へのスポットの当て方や心の葛藤の描き方が少し偏屈で今見ても面白いと思う。普通に面白い、のちょっと上をいく面白さ、それってちょっと難しいこと。

『美しき鷹』
マキノ雅広/1954/大映
明治32年頃の北海道函館港が舞台。1954年の作品だと思うと面白いかもしれないけれど、若干中途半端な話。越路吹雪の視点から描いたらいいのに誰にもスポットをあてないので誰にも思いいれがない。オリジナル・シナリオだけにシナリオに力が入ってる感じ。

『うつせみ』
キム・キドク/2004/韓国
前作『サマリア』のほうが好き。キム・キドクの一貫した映画の雰囲気は好きだけど後半透明人間になったり妙にメルヘンのかファンタジーの世界に入ってしまって残念。もう少しストイックなまま話が進行したらよかった。

『ウディ・アレンの重罪と軽罪』
ウディ・アレン/1990/アメリカ
愛とか恋とか絡まりあってるようでシンプルで。曖昧さや幻想を楽しんでいたらあやうく本気になって悩んだり人生ていろいろ思いがけない。少し重たい感じのするウディ・アレン映画。

『ウディ・アレンの夢と犯罪』
ウディ・アレン/2007/イギリス
ユアン・マクレガーとコリン・ファレルが兄弟役の犯罪ドラマ。『マッチポイント』のほうが好きだけど、これもおもしろい。コリン・ファレルがいいなー。ユアン・マクレガーとコリン・ファレルを軸にしてるから仕方ないのかもしれないけど、女優陣がいまいち。

『乳母』
セルゲイ・セリョーギン/2000/ロシア
アレクサンドル・プーシキン生誕200周年を記念して制作された作品。字を書く事を覚えた乳母がかわいらしくて。

『乳母車』
田坂具隆/1956
石原裕次郎の映画てほとんど観たことないのは、あまりタイプじゃないから…。だからこの作品で好青年を演じて好感度アップしたこともよくわからないけど、たしかにどこまでも爽やかなお兄ちゃん。しかし、父である宇野重吉の愛人の子どもまりちゃんを母が育てればいいと娘が提案したり、本妻である山根寿子が、赤ちゃん大会で三等になったまりちゃんの話題で顔がゆるむのが腑に落ちないなー。宇野重吉の"大人には大人の事情がある論"が石原裕次郎の爽やかさにだいぶ水をさす往生際の悪さ。

『海辺にて』
トパトリック・ボカノフスキー/1993/フランス
ミシェールの音は相変わらず好きだけれど、どうも単純に映像が面白いとは思えない。ミシェールの音だけ聞いていたい感じ。

『海を飛ぶ夢』
アレハンドロ・アメナーバル/2004/スペイン
実話に基づいた尊厳死の物語。キレイなところしか描かず無理矢理感動作に持っていこうとする感じが冒頭からありありで、しらけてしまいました。

『埋もれ木』
小栗康平/2005
夢の物語と現実の物語と平行で語られているように見えて微妙に近くなっていくような不思議な小栗康平の独特の世界。主人公はいるけれどみな同じ目線、決して物語自体を語らず静かに淡々と進んでいく、こういう感覚の映画は気持ちがいい。

『ヴュアーを持つ』
トニー・ヒル/1993/イギリス
トニー・ヒルはカメラを物に固定しその"物"に集中させる手法が多いのか。ナンセンスといったらかなりナンセンスな作品。

『ウルトラミラクルラブストーリー』
横浜聡子/2009
松山ケンイチ、麻生久美子。思ったよりおもしろかったかも、というのが正直な感想。

『運動靴と赤い金魚』
マジッド・マジディ/1997/イラン
期待しすぎてた。なんだかね。そう?そんなに面白いかしら。子供使うイラン作品ならキアロスタミってやっぱり上手なんだな、と思った。イランの子供が目上の人に発言する時の指を立てる仕草を見るとしつこくキアロスタミの『ホームワーク』と直結。泣くだろう、と思って握りしめてたハンカチを落としてました。

 >> え


『A.I.』
スティーブン・スピルバーグ/2001/アメリカ
めちゃめちゃ泣けた。

『永遠のこどもたち』
J. A. バヨナ/2007/スペイン、メキシコ
スペインの田舎を舞台にした、古い孤児院にまつわるオカルト映画。私が見れるくらいゆるいオカルト。ラストの旦那さんの満足そうな笑顔が意味不明。そこ笑うとこか?

『永遠の僕たち』
ガス・ヴァン・サント/2011/フランス
デニス・ホッパーの息子ヘンリー・ホッパー主演。繊細な少年を演じるヘンリー・ホッパー好演。デニス・ホッパーに目元がそっくり。加瀬亮もいい配役で出演。お互いの若さゆえの瑞々しさでさわやかに死を迎える姿。ありきたりの邦題と手紙のあたりのラストが若干もったいないけど後味のいい映画。

『永遠のマリア・カラス』
フランコ・ゼフィレッリ/2002/イタリア、フランス、イギリス、ルーマニア、スペイン
ファニー・アルダン様!の映画て感じ。本物のマリア・カラスの映画出演はパゾリーニの『王女メディア』。『王女メディア』が見たくなった。

『映画女優』
市川崑/1987/東宝
吉永小百合主演。田中絹代の映画デビューからの半生を描いた作品。吉永小百合が田中絹代を演じることに少し違和感。菅原文太が溝口健二を演じるのも少し違和感。同時に日本映画史も描いているのだけどそれはなかなか面白い。映画を見る人向けの映画で残念ながらラストの「ニャー」が分からなかったのはたぶんすごくイタイ。『西鶴一代女』(1951)からはじまるヴェネチア映画祭の国際賞を連続受賞、復活を成し遂げたその『西鶴一代女』はまだ見てないのねー。

『映画と恋とウディ・アレン』
ロバート・B・ウィード/2011/アメリカ
本人や関係者のインタヴューと関連映像を盛り込んだウディ・アレンのドキュメンタリー。よくある構成のよくあるドキュメンタリー。入門編で見るよりは、ウディ・アレンの映画を知っている人が見て楽しくなれる復習編。

『映画に愛をこめて アメリカの夜』
フランソワ・トリュフォー/1973/フランス、イタリア
映画内映画。「アメリカの夜」とはモノクロ映画を撮るとき、昼間に赤いフィルターをかけて撮影し、夜景に見せかける技法なんだとか。

『H.G.ウェルズのSF月世界探検』
ネイザン・ジュラン/1964/アメリカ
せっかくのハリーハウゼンなのに開始1時間以上はアニメーションなし、さらに特撮資金がなかったのか大部分がハリーハウゼンがデザインした(と思われる)着ぐるみ昆虫なのが惜しい。

『80 Degrees East of Birdland』
Solvi A. Lindseth/2000/ノルウェー
ショートショートフィルムフェスティバル2002より。道に迷ったジャズバンド達がある老人宅を訪ねると・・・

『エイプリルの七面鳥』
ピーター・ヘッジズ/2003/アメリカ
家族の再生ドラマ。家族のために食事を作ること。どんなカタチであれ、家族が食卓をかこむというのは楽しくなくては。

『able』
小栗謙一/2001
スペシャルなのはホームステイ先のアメリカ人夫婦。

『エイミー』
ナディア・タス/1997/オーストラリア
エイミーが歌手として大成するわけではなくて、ただ単純に歌はきっかけだったのが好感度が高かったのでは。

『エヴァの匂い』
ジョセフ・ロージー/1962/フランス
ジャンヌ・モローの当時の恋人ピエール・カルダンデザインの衣装がすてき。この頃の中途半端に老けたジャンヌ・モローはきれいよね、とは思いにくい。

『エクソシスト』
ウィリアム・フリードキン/1974/アメリカ
小さい時に見たらトラウマかかえそうな映画。見ようと思ったのは、マイク・オールドフィールドの曲が好きだから。みんな怖くないと言うけれど、怖かった。

『エクソシスト 2』
ジョン・ブアマン/1977/アメリカ
なんだか、あんまり。

『エコール』
ルシール・アザリロヴィック/2004/ベルギー、フランス
6歳から12歳までの少女たち。完璧に閉鎖された森の中の学校での物語。それ以上でもそれ以下でもなく想像の範囲を超えない幻想ロリコン映画。しかし(まだ赤ちゃんだけど)ちいさい女の子のハハとして蹴倒したい男性のキモい感想が多い映画。単なるロリコン映画として有名になってしまうのはちょっと違う。

『エックス・チャイルド』
ジャック・ドゥルーアン/カナダ/4min49sec
カナダの国営TVで放送された子供の人権を扱うアニメなのですが、これがまたすごい。クロッキーで描いたような絵が少しづつ動く。描いて消して、描いて消して、の作業なんだろうな。13歳の男の子が意志とは関係なしに戦争にかり出される話なのですが、内容的には私は引きずるものは好きなのでOK。

『エディット・ピアフ〜愛の賛歌〜』
オリヴィエ・ダアン/2007/フランス、チェコ、イギリス
ピアフの全盛期(恋愛関係、女として)に焦点をあてなかったのがなぜなのか分からない。20歳から晩年までのピアフを演じたマリオン・コティヤールはなかなかすごいけど、晩年に病気や薬物中毒で40代なのに老婆のような姿になってしまったピアフを軸にした理由はなにか。2時間20分もあるけど時間軸のズレたコラージュのような切り張りされた映像のせいでピアフの壮絶な生涯に感銘を受けにくい(そもそもピアフの生涯に知識もないので)。才能あるアーティストな人生。

『エトセトラ』
ヤン・シュヴァンクマイエル/1966/チェコ
原題「Et cetera」。3つの話のオムニバス。

『エトワール』
ニルス・ダヴェルニエ/2000/フランス
1999年4月、パリ・オペラ座バレエの芸術監督ブリジット・ルフェーヴル以下71人の一行がモーリス・ベジャール振付『第九交響曲』の公演のため来日。舞台裏で出演者たちは心の内を語るバレエ・ドキュメンタリー。人の身体が動くのを見るのは楽しい、フォーサイスの名が二度ほど出てきた。

『エリン・ブロコビッチ』
スティーヴン・ソダーバーグ/2000/アメリカ
全米史上最高額の和解金を勝ち取ったパワーあふれる女性の実話を元にした映画。主演のジュリア・ロバーツはアカデミー主演女優賞など多くの賞を獲得した大ヒット映画。いまさらなんとなく見てみたけれどなかなかこれが痛快なアメリカンストーリーで面白かった。

『L change the WorLd』
中田秀夫/2008
無駄に尺の長い映画で、松ケンが出てなければあきらかに見てません。藤原竜也が出てた前作のほうがずっとおもしろいです。頭をかしげる各所がたくさんあって子どもだましみたいなまったくひっかからない映画。『人のセックスを笑うな』の松ケンは最高だったなーと返す返すしみじみ思います。

『エレジー』
アレクサンドル・ソクーロフ/1985
元々30分と短い作品ですが、結構面白かったので体感的にはもっと短く感じた。ソクーロフの作品でノイズロックぽい音楽が使われていたのは初めて聞いた。写真の見せ方や使い方が面白い。昔のフィルムを各所で流す所が好き。ところで昔のフィルムはどうして早送りみたいな風になるのだろう。スローに流して普通のスピードにする、とかは出来ないのかな。

『エレジー』
イザベル・コイシェ/2008/アメリカ
監督は『死ぬまでにしたい10のこと』『あなたになら言える秘密のこと』のイザベル・コイシェ。ペネロペ・クルス主演、初老の大学教授と女子大生の恋愛物語。イザベル・コイシェでペネロペ・クルスだったのでなんとなく見たけど、ひっかかりのない展開でぼんやり見てたら終わってしまった感じ。しかしペネロペ・クルス女子大生役ってあり?

『エンジェル』
フランソワ・オゾン/2007/イギリス、ベルギー、フランス
あれ?フランソワ・オゾンの映画なのに全部英語?この作品、かなりオゾン色が薄いのでオゾンの映画だということを忘れかけてしまうけど、オゾンらしさを求めてると拍子抜け。合成シーンなんかはオゾンぽかったけどそのくらい。主演のロモーラ・ガライという女優はオゾン映画ぽくてなんかもうちょっとしてほしかったのになー一歩踏み出してほしかった感じがする。

『エンジェル・ダスト』
石井聰亙/1994
それなりに面白く見れたけれど、なんか、どっか惜しい感じがした。石井聰亙が下手にこういう映画に走らなくても、という気もした。メルツバウの音源がどこで使われてるか私はやっと2回目で分かった。


 >> お



『オアシス』
イ・チャンドン/2002/韓国
社会に適応できない前科持ちの男と重度脳性マヒの障害者の女。限りなく重く複雑なテーマ。障害者の女コンジュを演じたムン・ソリは『ペパーミント・キャンディー』(1999)にも出演している女優さん。しばらく気づかなかったくらい迫真の演技。ちょっとかなりすごい。

『おいしい生活』
ウディ・アレン/2000/アメリカ
ウディ・アレンとトレーシー・ウルマンのコメディ。教養のある男はうさんくさい、やっぱり男はハートがイチバン!という分かりやすさ。ウディ・アレンのへなちょこ男役は全身でへなちょこで面白い。

『黄金のがちょう』
サイレント時代の作品。原題The Golden Goose。ジャングル・ジンクス・カートーン。

『王様の進化』
ポール・グリモー/1988/フランス
「ポール・グリモー短編傑作集」のために作られた小作品。

『王は踊る』
ジェラール・コルビオ/2000/ベルギー、フランス、ドイツ
ふつうにヘンな映画。ちょっとイってそうな想像をしていたのでふつうすぎてぜんぜん物足りない。

『大奥』
金子文紀/2010
少し前によしながふみの原作を一気読みしたのでどんなもんかと映画も見てみる。水野祐之進・二宮和也、徳川吉宗・柴咲コウ、お信・堀北真希という配役のちょうど1巻の頃のお話。キャストもなかなか合ってて原作に忠実でわりと面白く観れた。原作を読んでないとどうなのかな。 柴咲コウの吉宗公と大倉忠義の鶴岡はいいな。

『大奥〜永遠〜[右衛門佐・綱吉篇]』
金子文紀/2012
映画は右衛門佐・堺雅人、徳川綱吉・菅野美穂というキャスト。タイトルの”〜永遠〜”が安っぽくて残念。2とかUとかよりサブタイトルがあるほうがウケるのかしら。漫画をベースにしているのでストーリーはおもしろいはずなのに尺が長すぎてダレる。

水野祐之進・二宮和也、徳川吉宗・柴咲コウ演じる漫画でいう1巻の頃を映画化した『大奥』(金子文紀/2010)のほうがおもしろかったなー。

『おおかみこどもの雨と雪』
細田守/2012
おおかみおとこに恋をして、雪と雨というふたりのおおかみこどもを授かり、母と子どもたちの成長を描く作品。誰にも相談できないシングルマザーの奮闘ぶりは、それはもう客観的に見て「はながんばりすぎ」なんだけど、この作品の語り手は子どもの雪。子どもから見た母親の物語だと思うと納得。『サマーウォーズ』(2009)も好きだけど、この作品は泣けたよ、面白かったです。シングルマザーとファンタジーの合わせ技という新しい境地を開拓したアニメ。

しかし一生懸命育てた子どもたち、雨は10歳でおおかみとなる道を選び、雪は中学生で下宿するため家を出て、ふたりとも早々に自立するあたりはあっさりしてていいよね。さらにはなは(おそらく)32歳くらいで田舎で悠々ひとり暮らし。若い。まだぜんぜん第二の人生いける。

『大阪物語』
吉村公三郎/1957/大映
中村鴈治郎、市川雷蔵、香川京子主演。溝口健二が撮影前に亡くなってしまったため吉村公三郎が意志を継ぎ監督した作品。当然だけど溝口健二が監督していたらもっと面白いものになっただろうなーとかそんな映し方しないんじゃないのかなーとか溝口健二ぽくないのがずっとひっかかってしまった。溝口健二と比較するのはどうかと思うけど溝口健二バージョンが見たかった。勝新太郎や中村玉緒も出演しているのだけど見てる最中はあまりに若すぎて気づかなかった。

『オーガズモ』
トレイ・パーカー/1997/アメリカ
健康的なR指定映画。B級になりきれないB級以下の映画。

『大熊座号の乗客』
ポール・グリモー/1942/フランス
第二次世界大戦中に製作した作品。

『奥さまは魔女』
ノーラ・エフロン/2005/アメリカ
ニコール・キッドマンの透けるような美しさが好きでニコール・キッドマンが出てるだけで興味がある(たとえばスカーレット・ヨハンソンには到底かなわない美しさをニコール・キッドマンは持っている)。ぼんやり見れる単純で楽しい映画て大事。

『おくりびと』
滝田洋二郎/2008
河川敷で弾くチェロの映像と納棺をする映像を妙にシンクロさせたり、ラストの父親のエピソードが余計に感じられて残念。特に死んだ父親の手のひらから思い出の石が出てくるところでありえなくてしらけます。いい役者さんが多い中、広末涼子がひとり浮いてて違和感……。いいシーンや泣けるシーンも多いのに、いろいろもったいない感じのする映画でした。しかし”石文(いしぶみ)”自体はいいなあ。

『おじいさんと草原の小学校』
ジャスティン・チャドウィック/2010/イギリス
実話をベースに、ケニアで84歳で小学校に入学した老人の物語。

ハートウォーミングな老人子ども映画かと思いきや、イギリスの植民地支配下時代の映像はなかなかショッキングでハートウォーミングとは遠い映画でした。イギリス植民地軍による焼き討ちや拷問、泣き叫ぶ赤ちゃんを母親から取り上げ家族の目の前で母親の頭を射殺。こういう映像は多くの人にとって衝撃的で映画としてはちょっとずるいと思う。

最近老人と子どものほっこり映画て少ないよね。

『おじいさんの砂糖大根』
イジー・トルンカ/1945/チェコ
トルンカのアニメは人形の素朴さとくらべると格段にいやらしい絵になる。

『おしゃれキャット』
ウォルフガング・ライザーマン/1970/アメリカ
『おしゃれキャット』てはじめて見たのだけど子猫のマリーって主役の母猫ダッチェスの子であって主役ではないのね。陽気なジャズでおしゃれに偽りなしの楽しい映画。

『お受験』
滝田洋二郎/1999
DVDジャケで分かるように矢沢永吉主演の矢沢永吉映画。田中裕子は笑うと永作博美だなー。ゆるすぎるヘンテコな映画。

『オスカー・ワイルド』
ブライアン・ギルバート/1997/イギリス
男色の味を覚えた作家オスカー・ワイルド、破滅の話。ジュード・ロウのなまめかしいお尻にうっとり。

『オースティン・パワーズ』
ジェイ・ローチ/1997/アメリカ
アメリカ人が爆笑している絵が想像出来る感じ。

『オズの魔法使い』
ヴィクター・フレミング/1939/アメリカ
ファンタジーなミュージカル作品。有名な「Over The Rainbow」は主演のジュディ・ガーランドが歌って名曲となったのね。色とりどりの衣装やセットがものすごい色彩でおもしろい。良くも悪くもアメリカンミュージカル。

『お葬式』
伊丹十三/1984
伊丹十三デビュー作品。

山崎努、宮本信子、菅井きん、大滝秀治、財津一郎、笠智衆、岸部一徳、津川雅彦、小林薫等々とくかく豪華キャスト。伊丹十三の交友関係かしら。なかでも大滝秀治はいいわあ、あのとぼけた感じがたまらない。お葬式という儀式にともなう間抜けにも見える様々なこと。内容的にはてんこ盛り。ラストにしっかりまとめあげてるのは上手。

しかし「三河」から来る人たちがなぜか名古屋弁。だったら「三河」じゃなくて「尾張」にしたらいいのにね?と愛知県出身者の雑感

『おたふく風邪』
マーリア・プロハースコヴァー/1996/チェコ
ひと目で若い人が作ったと感じるアニメーション。

『落穂拾い』
アニエス・ヴァルダ/2000/フランス
ミレーの『落穂拾い』を出発点に、リサイクルや大量消費、社会の矛盾など様々なテーマの映像を投げかけるドキュメンタリー。ミレーの『落穂拾い』の意味をこの映画ではじめて知った。テーマは重く、答えもひとつではない。

『落穂拾い・二年後』
アニエス・ヴァルダ/2002/フランス
上記続編。続編がある必要性がよく分からない。

『オテサーネク -妄想の子供-』
ヤン・シュヴァンクマイエル/2000/チェコ
シュヴァンクマイエル長編。チェコの昔話を元に作られたおとぎ話。素晴らしいと思う作品が多すぎて、なんだかちょっと残念な気がした。

『おてんばエロイーズ/わくわくクリスマス』
ケヴィン・リマ/2003/アメリカ
人気絵本エロイーズシリーズを映像化したキッズ・コメディ。プラザ・ホテル最上階で乳母のナニーと暮らす6歳のエロイーズ。絵本のほうが断然楽しいんだろうけれど、クリスマス前に見るとクリスマスに向けて気分が盛り上がる映画。

『お父さんのバックドロップ』
李闘士男/2004
中島らも原作の大阪の南部を舞台にした作品。神木隆之介くんちょうかわいい。繊細でがんばり屋さんな神木くんが泣いたら私も泣いてしまう。

『おとうと』
山田洋次/2009
市川崑『おとうと』(1960)のオマージュ作品ということだけど、監督が市川崑で撮影が宮川一夫、姉に岸恵子で弟に川口浩、継母が田中絹代で父が森雅之という豪華キャスト作品とくらべてしまうとかなりの差。オマージュ作品ゆえにリボンや鍋焼きうどんが出てくるんだけど、現代劇としてどうも演出が古い…。大阪=西成区、て分かりやすいイメージなんだろうけど、そこの施設で働く小日向文世や石田ゆり子が大阪弁じゃないのが不自然すぎる。弟役の鶴瓶についていまいち同情できなかったことと、蒼井優がそもそもなぜあんな男と恋愛結婚したのかもなぞ。でも姉役の吉永小百合のたたずまいはきれいだし(私は吉永小百合好きだけど、吉永小百合の演技について辛口なおじさんていっぱいいるんだね)、加瀬亮も出演してるし、あーだこーだと思いつつもなかなか楽しめた映画。

『男と女 アナザーストーリー』
クロード・ルルーシュ/2003/フランス、イギリス
大人の恋愛映画。ふたりが出会うまでのひっぱり方がまた大人。作品の中盤になってようやく二人は出会う。クロード・ルルーシュがパトリシア・カースを好きなのか、パトリシア・カースのための映画。

『男と女、嘘つきな関係』
クロード・ルルーシュ/1996/フランス
ルルーシュ『男と女』(1966)の作品と間違えた。見たかったのは1966年の作品だった。

『男と女の詩』
クロード・ルルーシュ/1973/フランス、イタリア
『男と女』のラストシーンからはじまる冒頭。ストーリーのテンポ、モノクロとカラー、人物のズームイン、ひと目でルルーシュの映画。ルルーシュ=典型的なフランス映画、というイメージ。これが大人の恋愛!というラストのセリフにちょっとしびれる。

『男のゲーム』
ヤン・シュワンクマイエル/1988/チェコ
粘土の顔がぐちゃぐちゃに変化して様子とか、他の作品でも目立つけれどこういう描写は好き。同じ顔の男達がサッカーしてる時ののんきな音楽がいい。何かの映像とあわせてるけれどあれの元ネタは何?

『陥し穴と振り子』
ヤン・シュワンクマイエル/1983/チェコ
no text

『音のない世界で』
ニコラ・フィリベール/1992/フランス
パリに住むろう者たちのドキュメンタリー映画。小さな男の子の懸命な姿に心穏やかになる。

『オトラントの城』
ヤン・シュヴァンクマイエル/1973-1979/チェコ
原題「Otrantsky zamek」。隙間隙間に入るスナップ写真がナイス。

『踊り子行状記』
安田公義/1955/大映
市川雷蔵と勝新太郎。勝新太郎はこういう正統派な役どころだともったいない気がする。ハートフルな時代劇。

『踊る大紐育』
ジーン・ケリー、スタンリー・ドーネン/1949/アメリカ
ニューヨークにやってきた水兵3人(ジーン・ケリー、フランク・シナトラ、ジュールス・マンシン)。24時間の休暇を楽しむ様子をミュージカルで描く作品。ストーリーはたいして面白くないのだけどダイナミックなダンスやジーン・ケリーやフランク・シナトラを堪能するだけでいいのかも。MGMのミュージカルについてはぜんぜん詳しくないけれどジーン・ケリー主演なら『巴里のアメリカ人(An American in Paris)』(ヴィンセント・ミネリ/1951/アメリカ)とかのほうが断然面白い。

『オドレイ・トトゥ in ハッピーエンド』
アモス・コレック/2003/アメリカ、フランス、ドイツ
なんというか、あまりにどうでもいい駄作。

『驚き盤』
古川タク/1975
1975年アヌシー映画祭、国際審査員受賞作品。パタパタと動くオモチャを元にしたアニメーション。パタパタと動くオモチャの未来は想像出来るようで想像出来ない。この先どうなるのかなという子供みたいな感覚、見ているだけで楽しい気分。

『鬼火』
ルイ・マル/1963/フランス
生きることは屈辱であると30歳にしてこの悟り具合は早いような気もするけど時代だろうか。ラストはかっこいいもののあまりに文学的かつ哲学的で少し私のピントとはずれてた。

『おばあちゃんの家』
イ・ジョンヒャン/2002/韓国
田舎のおばあちゃんに会いたくなる。しかしラストがつまらない演出で少し興ざめ。

『お姫さまと怪人』
エドゥアルド・ナザーロフ/1977/ソ連
テンポのよい子供向けアニメ。かわいらしい。

『オフィスキラー』
シンディ・シャーマン/1997/アメリカ
こういうホラーだったら見れる。快楽殺人ネタ。

『Offside』
Leanna Creel/2000/アメリカ
ショートショートフィルムフェスティバル2002より。第一次大戦中の実話。クリスマス。イギリス軍とドイツ軍が睨み合う最前線に一個のサッカーボールが。いい話で泣けた。

『オペレッタ狸御殿』
鈴木清順/2004
豪華絢爛で楽しいオリジナルミュージカル時代劇。チャン・ツィイーにどうやって出演OKさせたんだろう。1940-50年代、オペレッタ喜劇と呼ばれる「狸御殿」シリーズを見てみたくなった。舞台を見ているようで色鮮やかで能天気でわりとキテて楽しい映画。

『お坊さんと魚』
マイケル・デュドック、ドウ・ビィット/フランス
no text

『溺れゆく女』
アンドレ・テシネ/1998/フランス
J・ビノシュぽい、年上の女役。マルタンに対する「私が欲しいなら、あげるわ」という言葉にしびれる。セックスは征服でも愛情の裏返しでもなんでもなく、"セックス"に他ならない。過去にとらわれないアリスは(いつものビノシュの)寡黙さではなく、多弁さによる強さであらわれる。

『思い出のマーニー』
米林宏昌/2014
悪くはないけど(むしろ原作がおもしろそう)展開が読めてしまうのと、印象に残るインパクトのあるシーンが少なく、そして主人公杏奈に入りづらい。妄想と夢でマーニーに会うとはいえ杏奈寝すぎだし中学生女子が夜中にそんなに行き倒れてたらあかんやろとか余計なことを思ってしまいます。

『親指スターウォーズ』
スティーブ・オーデカーク/1999
ちゃちいのはいいのだけど、ジョークが笑えない。

『親指タイタニック』
スティーブ・オーデカーク/1999
セリーヌ・ディオンのパロだけ笑えたかも。でもいまいち。

『親指トム』
ディビット・ボースウィック/イギリス/10min
実写+クレイアニメーション。ちょっとグロくてかわいらしくて、よかった。

『オランダ人の写真』
居田伊佐雄/1976
海の波間を裸足で歩いていく動作を、数百枚からなる連続写真を使って制作。動きのパズル。

『オランダの光』
ピーター=リム・デ・クローン/2003/オランダ
フェルメールやレンブラントという17世紀のオランダ絵画の巨匠たちの"光"の扱い方をテーマにしたドキュメンタリー。反射する光、空と雲。しかしジェームズ・タレルが飛行機に乗って登場するシーンのインパクトの方が大きかった。ジェームズ・タレルの劇中未完成の作品をもう少し見たかった。

『オリヲン座からの招待状』
三枝健起/2007
宮沢りえと加瀬亮のハートフルドラマ。小さな映画館の衰退の物語で古今東西よくある話。わざわざこのストーリーで映画を撮る理由は?いい感じなんだけど、本当にいい感じレベルで終わってていろいろ足りてない作品。日本一やさ男が似合う加瀬くんだけど、最初17歳の設定なのが無理ある……。

『オール・アバウト・マイ・マザー』
ペドロ・アルモドバル/1999/スペイン
良い映画。考える事はたくさんあって、私が子どもを持つようになったらもう一度見てみたい。

『ALWAYS 三丁目の夕日』
山崎貴/2005
西岸良平原作コミック『三丁目の夕日』の映画化。昭和33年、戦後の東京下町の庶民の生活を軸にした悲喜こもごもの人情コメディ。

梅ちゃんのタイミングで7年前の堀北真希を見るというのが楽しい。7年前の少し顔がまるい堀北真希がまたかわいい。淳之介役の須賀健太もかわいすぎる。神木隆之介と出てたドラマがあったけど、あの神木くんと並んでも存在感があっただけはあるわー。そして吉岡秀隆のモテについて考えたいところ。絶対好きな人多いよね。

勝手に映画版こうの史代『夕凪の街 桜の国』みたいなのを想像してたんだけど、結果雰囲気としては近いものがありました。大ヒットゆえの批判もあるけど、この映画にリアリティを 求めるかどうかは個人の自由。題材を考慮するとカメラワークはもっとシンプルなほうが断然好みだしラスト30分くらいはストーリーがしつこすぎたけど、思っ たよりおもしろい映画でした。VFXてよく知らないけどどこから合成なのかわかんないね!

『ALWAYS 続・三丁目の夕日』
山崎貴/2007
BUMP OF CHICKENの「花の名」というエンディング曲は「魔法の料理」という曲と同じじゃないかと思ったりしました。こういう展開の曲は売れやすいんだなー。

映画自体は一作目でやめておけばよかったのにね…

『オルフェ』
カルロス・ディエギス/1999/ブラジル
予想外につまらなかった。

『俺たちに明日はないッス』
タナダユキ/2008
酒にタバコに麻雀しながら、毎日ヤリたくて悶々としてる痛々しいくらい純粋な童貞17歳男子高校生3人組。『神童』に『コドモのコドモ』に映画化されまくる、これもさそうあきら原作。柄本時生はほんとに広い意味でモテる子だなー。全然すごくない気がするのにすごかったというか。突き抜けた良さのある映画ではないけど(タナダユキもそこを目指してないと思うので)見終わると案外いい映画だったと思う映画。ニュアンス伝わるかな。

『俺の笛を聞け』
フロリン・セルバン/2010/ルーマニア、スウェーデン、ドイツ
母親に捨てられ、10くらい年下の弟を親代わりで育てていたシルヴィウ。シルヴィウは少年院で4年の刑期を過ごしあと2週間で出所という18歳。少年院に入らざるをえなかった生活環境、苦しい生活、描かれない重い現実の世界。

不器用で幼さゆえの思い込みが愚かで哀しく切ない。イタリアが舞台の『我らの生活』でもルーマニアからの外国人労働者が描かれていたけど、ルーマニアの経済状態や生活水準とはどんなものかと思いをめぐらす映画。

『オーレリ・デュポン 輝ける一瞬に』
セドリック・クラピッシュ/2010/フランス
パリ・オペラ座のエトワール、オーレリ・デュポンを映画監督のセドリック・クラピッシュが3年に渡り撮影したドキュメンタリー。セドリック・クラピッシュがバレエファンなのは有名らしいのだけど、私はこの作品で知った。オーレリ・デュポン12歳の頃のバレエレッスンの様子も映し出されるんだけど、すばらしい抜群の足の長さでほれぼれ。妊娠して舞台を1年以上休んだにもかかわらず出産後5ヶ月で元の体型に戻し舞台を成功させる精神力と技術。コンテンポラリーダンスのレッスンの様子もおもしろい。バレエに詳しくないけど、トップレベルの人間の動く身体の表情の豊かさは見ててほんとうに楽しい。

『オーロラ』
ニルス・タヴェルニエ/2006/フランス
監督は『エトワール』のニルス・タヴェルニエ。やっぱりバレエ好き。今回はパリ・オペラ座のバレエ学校で学ぶ生徒を起用してバレエの劇映画。せっかくならもっとバレエを生かした作品にしたらよかったのになぜか無理やり感のある相当中途半端な出来。空とか飛ばなくていいし。バレエ自体は美しいのに意味不明なストーリーだしもったいない。余談だけどオーロラ姫が伊達公子に似ている。

『オー・ワット・ア・ナイト』
ポール・ドリエッセン/1982
ナイトは"night"でなく"knight"。騎士がお姫様を助けにいくという短編アニメ。ユーモアたっぷりの結末。

『音楽狂の犬』
ポール・グリモー/1973/フランス
いつものポール・グリモーと違う感じのアニメーション。音楽と戦争の皮肉。

『オン・ザ・ロード』
ウォルター・サレス/2012/フランス、ブラジル
ジャック・ケルアック『路上』をフランス、ブラジルが制作するという時点で微妙な感じがしたけど、映画を見るとますます微妙というか相当ながっかり系でした。

主人公の若い作家サル・パラダイス=ジャック・ケルアックもぶっとんだ友人のディーンもぜんぶ中途半端で誰一人魅力的な登場人物がおらず、フリーセックスにフリードラッグ、それに酒と放浪、それだけがビートニク?

しかしアレン・ギンズバーグを演じたトム・スターリッジが好み。というかアレン・ギンズバーグを演じているトム・スターリッジの風貌が好み(昔も今も)。

『女と女と井戸の中』
サマンサ・ラング/1997/オーストラリア
悲しいじゃない、そんなの。

『女はみんな生きている』
コリーヌ・セロー/2001/フランス
いろんなタイプの女の生き方。私はハードな人生よりスローライフで。

『音符売り』
ポール・グリモー/1941/フランス
第二次世界大戦のため、未完成のアニメーション。

『陰陽師』
滝田洋二郎/2001
博雅役に、意外にも伊藤英明ハマリ。CGがヘンで面白かった。

『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』
ジム・ジャームッシュ/2013/アメリカ、イギリス、ドイツ
ジム・ジャームッシュが描くポップでロックなエンターテインメントなヴァンパイア映画。音楽や文学の様々な引用(引用は分からないものがほとんどだけどジャームッシュの好きなもので埋められている単語を聞いているのは楽しい)。退廃的なデトロイトの夜はかっこよく、PVみたいな映像と、古典的なれど耽美でシュールでヴァンパイア。

イヴ役のティルダ・スウィントンがデヴィッド・ボウイのようで異様にかっこいいのだけど、この時の彼女が50過ぎという年齢にびっくり。まさに年齢不詳のヴァンパイア。


 >> か


『かいじゅうたちのいるところ』
スパイク・ジョーンズ/2009/アメリカ
モーリス・センダックの超有名絵本の実写版。かいじゅうの着ぐるみ自体はかなり精巧なのにいかんとも着ぐるみにしか見えず動きも中に人が入ってますよ的な動きで、そういうコミカルさを演出してるのかどうかわからないけどちょっとどうかなーみたいな感じが否めない。実写という挑戦ではあるかもしれないけど、クレイアニメだったらもっと絵本の世界を表現できた気がする。いいシーンもあるもののドタバタしてるだけのシーンも多くて飽きてしまったのも事実。おもしろいと言われればおもしろいけど絵本が有名すぎて期待度が大きすぎた。

『怪猫有馬御殿』
荒井良平/1953/大映
入江たか子主演の楽しい化け猫怪談映画。実際は楽しい話ではないのだけど化け猫に操られる女中たちの体操選手のようなアクロバティックな無駄な動きがやや失笑気味だけど面白い。首が飛んでかみついてきたり恐ろしいはずなのになぜかコミカルに見えるのはアナログのなせるゆるさ加減?

『害虫』
塩田明彦/2002
塩田明彦てなんかすごくよかったのあったなーと記憶の奥から出てきたのは男の子の友情を描いた『どこまでもいこう』(1999)。このインパクトがあったせいで塩田明彦はたぶんこの先ずっとイメージがいいと思う。

13歳の少女を演じるのは宮崎あおい(当時15歳)。同級生に蒼井優。どちらも幼くてかわいい。蒼井優はスクリーンを通すとほんとにかわいい。ついでにこの頃の蒼井優は完全に棒読みでなおかわいい。宮崎あおいと恋愛関係にあった小学校の時の教師に田辺誠一、ラブホ前で誘われるのは大森南朋、喫茶店で怪しい話をもちかけるのは伊勢谷友介。音楽はナンバーガール。前情報なしだったのでどんどん出てくる豪華俳優陣に驚いた!

害虫というタイトルが主人公自身を指しているのがつらい。少女はなにもしてないのに周りが彼女によって破滅していく感じ。過度に抑圧された演出は好みだなー。

『快適な生活』
ニック・パーク/1989/イギリス
原題「Creature Comforts」。アードマン・コレクションより短編。アードマンはやっぱりニック・パークだと思う。

『回路』
黒沢清/2000
加藤晴彦、麻生久美子、小雪。小雪が大学生役をするという若さ。役所広司はチョイ役で出演。インターネットの世界を使ったホラーなのでPCの古さ、「ジーコロコロ、ジー、ビーーー」みたいな繋がり方のダイヤル回線音が時代を感じさせる。そういえばそのくらいのときに公開されてたなー。

黒沢清らしい恐怖で、怖いのは怖いけど前半の恐怖にくらべて後半はなんかポン・ジュノ『グエムル-漢江の怪物-』みたいで、『グエムル〜』のが2006年なんで後だし『グエムル〜』はそもそもおもしろいんだけど、なんというかパーソナルスペースから突如日本を脱出!なぜか世界に旅立った唐突さに違和感。

『カイロの紫のバラ』
ウディ・アレン/1985/アメリカ
映画を見ていたらスクリーンから俳優が飛び出してきて、冴えない主人公と恋してしまうというウディ・アレンの大人のファンタジー。映画好きなウディ・アレンらしい、そして映画らしい映画でいいなー。

『カウチ・イン・ニューヨーク』
シャンタル・アッケルマン/1996/フランス=ベルギー=ドイツ
なんてつまんない映画。ジュリエット・ビノシュもこんな映画に出なくても。

『帰らざる日々』
藤田敏八/1978/日活
主題歌はアリスの『帰らざる日々』。というかこの曲が『帰らざる日々』というタイトルなことをこの映画で知った。1970年代の長野県飯田市を舞台にした藤田敏八得意のホロ苦青春映画。『八月の濡れた砂』よりこちらの物語ほうが入りやすい。滑稽だけど素直で正直な生き方はまぶしい。

『顔』
大曾根辰保/1957/松竹
松本清張原作、若き日の岡田茉莉子主演。サスペンスなわりにハラハラドキドキが全然ないけど、岡田茉莉子がきれいで、当時のいかにもな効果音がおもしろかった。

『顔』
阪本順治/1999/日本
藤山直美、うまい。

『カオス』
中田秀夫/2000/日本
黒沢清のホラーを思い出す。面白いは面白いけれど時間軸をずらしてコラージュされた物語を見せるのは新しいとは思わないし、なんというかはっきりしすぎて余韻が残らない。

『かかし』
ポール・グリモー/1943/フランス
エミール・レイノー賞。それが小さな鳥であっても愛は何より強かった。

『草人(かかし)』
フー・ジンチン/中国
no text

『鏡の女たち』
吉田喜重/2002
吉田喜重に岡田茉莉子というだけで見た作品。広島の原爆を根底に三世代の女たちが広島へ旅立つ。灯籠流しの灯りが3人の女の顔をやんわり照らし出すシーンが印象的。深い深い愛情や言葉にできない悲しみ、喪失感、繊細な感情、吉田喜重はまだまだすごいなーと思わずにはいられない。

『輝ける女たち』
ティエリー・クリファ/2006/フランス
カトリーヌ・ドヌーヴ、エマニュエル・ベアール、ミュウ=ミュウなど豪華出演陣。なんて言われると思わず見てしまう。オシャレでコミカルでゴージャスで楽しい映画。なのは伝わるのだけど、いまいち物語に入り込めず。エマニュエル・ベアールが案外歌が上手。

『鍵』
神代辰巳監督・谷崎潤一郎原作
『鍵』というタイトルが最後になってなるほど、と思う。全然18禁じゃないだろ、これ。

『隠された記憶』
ミヒャエル・ハネケ/2005/フランス、オーストリア、ドイツ、イタリア
とある中流階級の家族のもとに自宅を延々と撮影した意味不明なビデオテープが送られてくることから物語がはじまる。観客にこういう解釈してみたところでほとんど意味のない回答をゆだねる映画はあまり好きではないかも。映画としての範囲や想像を出ない堂々巡りする考えに対してあまり魅力や意味を感じられない(人種問題が絡むなら日本人としては考えにくい)。

『拡張映画』
トニー・ヒル/1990/イギリス
画面を横に、縦に、拡張させると普通の映像もなんだか不思議な感じ。大きな鍵盤を弾いてるようだったり小さなトイ・ピアノを弾いてるような、コミカルに大変身。ぐにょんぐにょん。

『影なき殺人』
エリア・カザン/1947/アメリカ
実在の人物をモデルにしたという正義を貫く検事のサスペンス映画。前半がどうにもおもしろくないんだけど後半の法廷シーンはまあまあ。『荒れ狂う河』(1960)に引き続きエリア・カザンのよさがいまいち伝わってこない。

『籠の中の乙女』
ヨルゴス・ランティモス/2009/ギリシャ
第62回カンヌ国際映画祭“ある視点部門”グランプリ作品。

山奥の豪邸に住むギリシャの一家。外の世界に一歩も出たことのない一家の独自のルール(悪く言えば洗脳)で生活する20前後だと思われる3人の子どもたち。この一家のゆがみ具合、次第に露出する狂気や性的な倒錯。邦題と無機質な印象を受ける画面と物語の核になるのが姉妹ということで、一瞬ガーリー映画かと騙されるけれど、わりとブラックな映画。

スパッと切ったラストもいい。

『カサノバ』
ラッセ・ハルストレム/2005/アメリカ
興味が持てないというかまったくおもしろくない。シエナ・ミラーも魅力半減。

『華氏 451』
フランソワ・トリュフォー/1966/イギリス、フランス
レイ・ブラッドベリ原作のSF。「華氏451」とは本に火がついて燃え出す温度のこと。近未来のある国では読書することが法によって禁じられている。本は見つかると即刻焼却。「地下鉄のザジ」も燃やされる(トリュフォーぽい)。妻とメイの二役を演じたジュリー・クリスティーが美しく、かわいい。本を愛してやまない人々が本になるラストは面白いと思った。私だったら何になるのかな。

『華氏911』
マイケル・ムーア/2004/アメリカ
ボウリング・フォー・コロンバイン』(2002)も同じだけど、見た後気分のいい映画(ドキュメンタリー)でもないし、もちろん何も思わないことはないけれど、何か語るほどの知識は自分にはない。擁護したりする気はないけれど批判すること自体は簡単だ

『賢い黒猫』
サイレント時代の作品。原題Oceantics。

『樫の葉が落ちるまで』
ブラスタ・ポスピーシロヴァー/1991/チェコ
よく出来てる。話としてもとても面白い。

『K.K.K. Kustom Kar Kommandos』
ケネス・アンガー/1965
マシーン改造に一生懸命な男。機械愛?

『風が吹くまま』
アッバス・キアロスタミ/1999/イラン
男が髭を剃るシーンがキアロスタミぽくなくてビックリ。亀やフンコロガシには私が思った事とは違う意図があるのかもしれない。どこが面白いのか、どこが見所なのか、誰か教えて欲しい。他の人の意見や感想が聞きたい。私の横で見てた人はすっかり寝てた。

『風立ちぬ』
宮崎駿/2013
宮崎駿のファンタジー要素があまりないため(夢と現実が入り混じるシーンはあるものの)、子どもはもちろん大人も感じるところが難しいかなという印象。正直どこがいちばん山場なのか分からなかったです。

二郎は菜穂子に「きれいだ」と再三言います。”時間がない””美しい”ということにふたりは陶酔してゆく、いかに自己陶酔しているかが恋愛してる感を盛り上げます。つまりそのあたりのふたりの恋愛感はマッチしててとてもお似合い。”時間がない””美しい”というのは二郎の飛行機の設計にも一貫してて、そして宮崎駿に通じるんだなーという感想。得意の”母性”という話ではなく、試写会での宮崎駿の涙の意味は、宮崎駿の宮崎駿のための映画だったということでしょう。

『家族』
山田洋次/1970/松竹
1970年長崎・伊王島。幼児と乳児を抱えた一家が、北海道・中標津にある開拓村へ移り住むため伊王島から北海道へ向かう長い旅を描いたロードムービー。井川比佐志も賠償千恵子も笠智衆もみんないいなあ。特に大阪、当時の梅田周辺阪神百貨店や大阪万博の様子は当時のリアルな光景でおもしろい。長い長い旅の途中で赤ん坊の娘を亡くし、失意のなか北を目指す。こんなにいろいろ詰まったロードムービーは見たことないかもしれない!

『過速スキャンダル』
カン・ヒョンチョル/2009/韓国
監督は『サニー 永遠の仲間たち』(2011)がなかなか良かったカン・ヒョンチョル。テイストも雰囲気もよく似てます。ハートフルコメディなのに誰にも感情移入できないのが難。しかし韓国の女優さんは泣き叫び系が上手ねえ。

『家族の気分』
セドリック・クラビッシュ/1996/フランス
冴えないカフェを舞台にしたメナール一家の出来事。

『かぞくのくに』
ヤン・ヨンヒ/2011
在日コリアン2世の監督が自らの実体験を元に映画化。主演は安藤サクラと井浦新。

見てから同監督の「ディア・ピョンヤン」を先に見ていたらまた映画への入り方が違った気がしました。"地上の楽園"へ行ったはずの兄が病気治療のためにいったん帰国したものの、見えない巨大な力に抗えない姿に北朝鮮という国家がすけて見えます。どこで線を引いてどこで諦めてどこに拠り所を見つけるか。この家族の過去をあえて描かなかったのがよかったと思います。

『家族の庭』
マイク・リー/2010/イギリス
四季折々の風景を映し出しながらのハートウォーミング系映画かと思ったら意外にも"初老の孤独"を浮き上がらせるシニカルな映画でした。しあわせな人々と孤独な人々の対比。

『語るべきか、あるいは語らざるべきか』
ラウル・セルヴェ/1971/ベルギー
原題「TO SPEAK OR NOT TO SPEAK」。1971年アヌシー国際アニメーションフェスティバル特別賞。

『学校』
山田洋次/1993
東京の夜間中学が舞台。定時制高校は知ってても、夜間中学は存在を知りませんでした。大阪市でも4校しかないみたい(てこの比率で全国津々浦々にあるわけじゃなくて全国的に少ないみたい)。先生役は西田敏行。1993年制作で裕木奈江や萩原聖人、中江有里が生徒役で出てるんだけど、この頃の日本映画は不思議にほんとにたいてい古くさく見えるのはなんでかなー

ほっこり映画かと思って観たものの、ほっこりとはちょっと違ってなんというかまっとうすぎました。

『喝采』
ジョージ・シートン/1954/アメリカ
クリフォード・オデッツの舞台劇を映画化した作品。グレース・ケリーがアカデミー主演女優賞を受賞した有名な代表作。

そもそも『喝采』を見てみようかなという気になったのは子どもが借りてきたコミック版の伝記を私も読んでみたせい。ハリウッド女優からモナコ公妃となったグレース・ケリーの華麗なる人生。しかしヒッチコックなんてキーワードはさすがに小学生では分からないよね……

幼い息子の死をきっかけに酒びたりになり心の弱さも含めて低迷するかつてのミュージカルスター。その夫を支える妻にグレース・ケリー。スター復活を望んでいる演出家。

3人の複雑な感情が入り混じって思ってたより面白かったけど、正直せっかく美しいグレース・ケリーがだいたいは夫の対応にくたびれてて、怒ったり叫んだりという感じの役柄で少し残念(だからこそのアカデミー主演女優賞だったのかもだけど)。夫役のビング・クロスビーも歌はうまいけど、もう少し華のあるイケメンだとよかった。

『ガッジョ・ディーロ』
トニー・ガトリフ/1997/フランス、ルーマニア
ロマン・デュリスの笑顔がステキ。ルーマニアのロマ人のジプシー生活。トニー・ガトリフのジプシー三部作の第ニ弾。どこかで見たことのある作品だと思ったのが正直な感想。

『悲しみよこんにちは』
オットー・プレミンジャー/1957/アメリカ
フランソワーズ・サガン原作。ゴダール『勝手にしやがれ』(1959/フランス)以前のジーン・セバーグの出世作。

『彼方へ』
ヴェルナー・ヘルツォーク/1991/ドイツ、フランス、カナダ
雪山を舞台にしたヒューマン・ドラマ。ダイナミックな自然美の映像はきれいだなーとは思うけれど、そもそも雪山に対してあまり興味がなく、クライマー達の山に対する思いにも共感できず、残された女の人が不憫だと思った。そこで終わるのかというラスト。

『カナリア』
塩田明彦/2004/シネカノン
オウムのようなカルト教団"ニルヴァーナ"崩壊後、保護された子供を主人公にした映画。はっきりしたことは分からないけど何か重大なことが起こったのだと感じる教団の子供の心理のあらわれから、物語のはっきりとした説明はなく、見ている人はオウム事件のようなテロがあったのだと感じながら物語を見ていく。心に傷を負った寡黙な少年と少女の演技が光る。

『彼女について私が知っている二、三の事柄』
ジャン=リュック・ゴダール/1966/フランス、イタリア
たぶん学生の頃くらいに見たんだと思うけど、正直覚えてなかった『彼女について私が知っている二、三の事柄』。タイトルは超有名だけど、内容は政治色哲学色の強い作品で台詞が頭に入りにくい系の作品。

『ル・ヌーヴェル・オブセルグァトゥール』誌に掲載された実話をベースにした主婦売春の話。五月革命以前のド・ゴール政権による都市政策の一環・新首都圏拡張整備計画に従い公団住宅地帯の建設が進み、ブルドーザーの音が響くシーンが各所各所で挿入されます。ふいにカメラに向かって語る出演者。

マリナ・ヴラディは夫と幼い息子と娘と公団住宅で暮らす主婦。マリナは夫のいない昼間に、売春宿に子どもを預けて売春をして、その足で買い物をし、美容院へ行き、そして美容師の友人と一緒に大枚を支払うアメリカ人のいるホテルへ向かい、彼女たちはTWAとPAN AMの航空バッグをかぶらされ、部屋のなかをうろうろと行ったり来たりさせられる。ゴダールぽいアメリカ批判なんだろうと思うけど分かりにくい。フランス人の子どものフランス人らしい小生意気な作文はおもしろかった。

『彼女の時間割』
ジェーン・カンピオン/1984
オモシロおかしい話じゃないと思うのだけど、妙におもしろい。妙チキリンな話。最後に突然歌い始めるシーンなんかはかなり変。

『カバーガール』
チャールズ・ヴィダー/1944/アメリカ
ジーン・ケリーとリタ・ヘイワースの楽しいミュージカル映画。リタ・ヘイワースの豪華で綺麗な衣装やながーい足なんか見ててほれぼれするけど、ストーリーがつかみかけた夢をあきらめ男を取るというオチでいいの?と思ってしまった。ミュージカル映画なら最後までシンデレラ・ストーリーであってほしかったな。でもリタ・ヘイワースて歌って踊れて美人ですごいなーと思ったら両親がダンサーなんだねー。

『鞄を持った女』
ヴァレリオ・ズルリーニ/1961/イタリア
がさつでうるさい系の貧しく品のない素直な庶民をやらせたらピカイチの主演のクラウディア・カルディナーレ。ヴィスコンティやフェリーニの映画にも出演しているし、もちろんイタリアを代表する女優さんなのできれいなんだけど・・・(強烈で個性的?)。そういう庶民派キャラクターは見る前からおなかいっぱい。いまはイタリアメロドラマ気分じゃなかったのかも。そして『鞄を持った女』という思わせぶりな邦題の意味がよく分からない。

『カフェ・バー』
アリソン・デ・ベア/1975/イギリス
1975年アヌシー国際アニメ・フェスティバル審査員特別賞受賞作品。男は女のおしゃべりと態度に辟易。女は男の態度に孤独感を。という男女の妄想かと思ったのだけど女の妄想に近い。

『蒲田行進曲』
深作欣二/1982
つかこうへいの舞台劇。はじめて観ました。この喜怒哀楽テンションの高さはいいなー画面からパワーを感じる映画は好きです。若かりし松坂慶子はきれいだけど今と同じ演技だなーなんて。

すかっと爽快大団円のラストも好き。

『かまち Kamachi』
望月六郎/2003
ストイックな話にできなかったのが敗因。

『神様のくれた赤ん坊』
前田陽一/1979
桃井かおり、渡瀬恒彦主演。男の子を押し付けられた同棲カップルの男の子の父親捜しほのぼのロードムービー。行く先々で出てくる俳優たちがわりと豪華。

桃井かおりと渡瀬恒彦のコミカル調というと想像通り、なんだけど、ちょっと泣かせる感じのシーンがなかなかいいです。置き去りにされる寡黙な男の子の劇中の扱いがいい加減すぎてそれはそれでいい感じ。たぶんイマドキの日本映画だと子どもの心情を描きすぎてあざとい泣きシーンが入りそう。ライオンズバーの女の子たちのユニフォームもおもしろいしライオンズのファンに囲まれてライオンズをぼろくそに言うシーンもおもしろい。ライオンズは当時九州だったんだねー

『紙の月』 new!!
吉田大八/2014
バブル崩壊直後の1994年。夫と2人暮らしの主婦・梅澤梨花に宮沢りえ。愛人となる年下の大学生・光太に池松壮亮。

映画が公開されたころに映画の宣伝をみて原作を読んだ作品。映画は完全に梨花視点で新キャラ登場。原作はまわりの友人から見た梨花も描かれています。前職のカード会社勤務にも触れられず、梨花の稼ぎと自分の稼ぎに優劣をつけ優越感にひたる夫はただのいいひとになってました。原作とはすこしちがうものの、吉田大八映画版もなかなかおもしろかったです(『桐島、部活やめるってよ』を作っただけあって)。

"普通の女性"だからこそ掛け違い続けて、際限のないカード払い、エスカレートしていくうちに麻痺していく感覚、年下の大学生との不倫も多額の横領もその掛け違い続けた梨花の気持ちはわかる。わかるからこわいし、おもしろい。「火車」のなかで弁護士が語っていた「自己破産するのは普通の人」というくだりを思い出します。

『髪結いの亭主』
パトリス・ルコント/1990/フランス
『仕立て屋の恋』は男に共感し、『髪結いの亭主』は女に共感する。好きな人と永遠に結ばれるなんてことは無理、それなら幸せなまま自分の命を絶ってしまおう、あなたが死ぬまで私の事を忘れないで。素直で一途なアンナ・ガリエナが素敵。ほとんど理髪店の中の風景というのがとてもフランス映画ぽい。

『カミーユ・クローデル ある天才彫刻家の悲劇』
ブリュノ・デュモン/2013/フランス
オーギュスト・ロダンの弟子で、愛人でもあった女性彫刻家カミーユ・クローデルを演じるのはジュリエット・ビノシュ。長年愛人関係を続けたのちに統合失調症により精神的に崩壊してしまい、その後は生涯精神病院に軟禁状態で隔離されたという彼女。

この映画はすでに精神病院にいる頃を描いていて、非常にストイック。ほとんどのシーンが閉ざされた病院内。ビノシュの演技はすばらしくても華もオチもない悶々とした映画です。

『カミーラ/あなたといた夏』
ディーパ・メータ/1995/イギリス、カナダ
老人のラブシーンがきれいだと思ったのはジェシカ・タンディだったからだと思う。

『亀は意外と速く泳ぐ』
三木聡/2005
話はどうでもいいのだけど、上野樹里が mina perhonen を着ていた。クレジットにも"衣装: mina perhonen"(mina だけじゃないけど)を確認。

『かもめ食堂』
荻上直子/2006
オールフィンランドロケ(うらやましい)。群ようこの原作の雰囲気を上手に映像化した小作品という感じ。というか、映画化されるのを知ってから原作を読んでるので本を読んでる間も頭の中のキャストは小林聡美、片桐はいり、もたいまさこ。おにぎりもコーヒーも人に作ってもらうのがおいしいよね。

『火曜日ならベルギーよ』
メル・スチュアート/1969/アメリカ
タイトルを見てもっとイっちゃってる作品かと思っていたけれど、意外と普通の恋愛映画。

『花様年華』
ウォン・カーウァイ/2000/フランス、香港
結婚生活はむずかしい。マギー・チャンの演じる人妻は成熟された大人の雰囲気でかっこよくって好き。美しいマギー・チャンでなかったらあまりカッコのつかない映画かもしれない。


(2度目観賞時のコメント)
たぶん公開当時くらいに見て断片的に覚えてました。

1960年代のオールド香港を舞台にトニー・レオン、マギー・チャン、二組の夫婦のダブル不倫。こういうシンプルなメロドラマ的ストーリーだとウォン・カーウァイのムード重視の気だるい湿度高めの雰囲気作りが活きます(『グランド・マスター』にだいぶズッコケたせいで『花様年華』でウォン・カーウァイの良さを再発見)。しかしこの映画はなんといってもマギー・チャンのチャイナドレス姿がすばらしいです。襟が高くマギー・チャンの細い身体にぴったりとフィットしたチャイナドレスが美しい。いったい映画内で何着出てきたの?と思うくらい着がえまくりです。

断片的に覚えてたシーンのひとつはマギー・チャンが自宅近くの集合屋台で毎夜毎夜マイ容器を抱えて麺類をテイクアウトするシーン。こういう気軽さでこういう種類のテイクアウトができる国ていいねえ。

しかしラストのアンコールワットが唐突すぎて壮大すぎです。なぜにアンコールワット……

『ガラスの墓標』
ピエール・コラルニック/1969/フランス、イタリア
セルジュ・ゲンズブールとジェーン・バーキンの初共演は1年前、1968年『スローガン』。それから1年後、同棲中に公開になったのがこの作品。マフィアもの。ふたりの為の記念映画のよう。ラスト、バーキンの叫ぶ声で終わるのは好き。しかしピエール・コラルニック監督なら『アンナ』(1966)の方が数倍いいと思う。

『カラフル』
中原俊/1999/NEP21=タイトル・プロデュース
「天使!」とか呼びかけちゃう田中くんに『20世紀ノスタルジア』の広末涼子を思い出した、そんな感じの映画。

『カラマリ・ユニオン』
アキ・カウリスマキ/1985/フィンランド
しょうもない中年の男達のロード・ムービー。同じ名前の男達の目指す場所はひとつ。しかし同じ名前の男達はいつの間にかそれぞれの道を歩き始める。個性の主張。

『からみ合い』
小林正樹/1962/松竹
岸恵子主演で、山村聡、渡辺美佐子、仲代達矢、川津祐介などなかなか豪華な3億円の遺産相続をめぐるサスペンス。話の終着は冒頭で明らかなので、謎解きを楽しむ感じ。音楽は武満徹のジャズ。岸恵子は『おとうと』や『黒い十人の女』などもっときれいでおもしろい作品があるよなーという感想。女目線で見ると岸恵子の魅力はあまり発揮されてない。

『借りぐらしのアリエッティ』
米林宏昌/2010
原作は児童文学「床下の小人たち」。人間の生活用品や食糧を少しずつ借りて暮らしている床下の小人たちのお話。画面を見るとそこにはジブリらしい風景が広がっていて、雨粒が葉っぱに落ちる音だとか、レンガがこすれたりカップにお茶をそそいだりドアを開ける音、そういう細かい音をひろった強調は私は大好きで、ジブリの魅力。少年の声を神木隆之介くんがやってるんだけど、だんだん神木くん本人とかぶってきてキュンキュンした。病弱な美少年というは設定ずるいけど好き。アリエッティが人間の少年ではなくスピラー(声優は藤原竜也)とちょっといい感じで終わるラストはさわやかでいい感じ。

『仮出所』
ピーター・ロード/1989/イギリス
原題「Going Equiped」。アードマン・コレクションより短編。

『カールじいさんの空飛ぶ家』
ピート・ドクター/2009/アメリカ
勝手に加藤久仁生『つみきのいえ』みたいなぼんやりしたほんわかストーリーかと思ってたのでアドベンチャー仕様にちょっと意外なおどろき。考えてみたら子ども向けなのでそりゃそうだよね…… 子ども目線でもあんまりおもしろくないんじゃないかなーと思ってしまうストーリー。ラッセルは結局父親に授賞式に来てもらえなかったけどそれでよかったの?父親とはもうどうにもならなかったという寂しい現実?

『カルラの歌』
ケン・ローチ/1996/イギリス
ロバート・カーライルが出ているのと監督がケン・ローチだったので見てみた。正直、これは私の勉強不足だと思う。ニカラグアの内戦状況や歴史上の革命をよく理解していないので、その根底の部分で疑問が残ってしまって映画の中に入れない。"それ"をふまえた上で、っていう知識がないのはつらい。でも、前半と後半が全然別物の話のように思えてちょっと「?」。戦争をしている国の人々の結束はかたい。それを思うと私達の関係はなんと希薄か。でも、そういう必然的な状況の結束というのも私には分かりづらい。アメリカではこの映画は当分公開されないだろう。

『河』
ツァイ・ミンリャン/1997/台湾
この映画の感想をどう言ったらいいのか、分からない。つまらなくて言う言葉がないのではなく、気持ちを表現出来る言葉が浮かばない。言葉少な。けれど、滴り落ちる水滴、溢れ出る水は登場人物の気持ちの象徴か。台北のスイカ山積みの八百屋、行った事がある所だった。

『河』
ジャン・ルノワール/1951/アメリカ
インドを舞台に、単調なテノールの響きで続く日々。ルノワールの映画の雰囲気はとても好き。こういう映画がいい映画。

『渇いた花〜four by four equal one』
永瀬正敏/2004
市川実和子出演。面白くない演出につまらないファンタジー。

『渇き』
パク・チャヌク/2009/韓国
主演のソン・ガンホは『殺人の追憶』『親切なクムジャさん』なんかに出てるので覚えてる顔。加えて『親切なクムジャさん』はこの作品と同じパク・チャヌク監督なので、雰囲気としてはよく似ています。和製ヴァンパイアものでエロで少々グロテスク。主演がソン・ガンホじゃなくてもっとイケメン俳優がよかった気がするなー。イ・ビョンホンとか。

『渇き。』
中島哲也/2014
「嫌われ松子の一生」も「告白」も見たけど、今回の中島哲也はキッチュでポップな要素を入れた園子温的な暴力シーンアクションシーン全開の全力疾走映画。

園子温にハマれない故、「渇き。」も見事にハマれなかった。「告白」はいいと思ったんだけどなー 学生の頃とか自分がテンション高い時期に見ないとなかなかむずかしい。

ボク役の清水尋也て「ソロモンの偽証」で大出俊次役の子で、180度違う役をやってるのね(原作しか知らないけど)。遠藤役の二階堂ふみも二階堂ふみだと気づくまでに時間がかかった。いろんな顔ができる女優さん。

『カンゾー先生』
今村昌平/1998/今村プロダクションほか
ジャック・ガンブラン見たさに見た映画。

『カンタベリー物語』
マイケル・パウエル、エメリック・プレスバーガー/1944/イギリス
パゾリーニではなくマイケル・パウエル&エメリック・プレスバーガーのほのぼの作品。パゾリーニの『カンタベリー物語』はほとんど忘れてしまったものの、エログロ系のパゾリーニからはわりと対極にあると思われます。1939年の作品『スパイ(The Spy in Black)』でも書いたように、マイケル・パウエル&エメリック・プレスバーガーという名前を聞いただけで心躍ります。この時代でありながら、プロパガンダではない文化的イギリス紳士の作品。ほんとになかなか見れなかった彼らの作品がいまになっていろいろ見れるのはうれしいなー

糊男(グルーマン)の犯人を見つけ出すという大筋があるにもかかわらず、あえて犯人を物語のなかではっきりと言わないあたりは彼らぽい。でも牧歌的な作品であるがゆえに、マイケル・パウエル&エメリック・プレスバーガーというフィルターがないと実は眠いかも……

映画の中でカンタベリー大聖堂が映るんだけど、大戦中ドイツ軍から爆撃を受けて破壊された跡が見えるものの、歴史的建造物であるこの大聖堂がほんとうに美しくて目を見張るほど。

『ガンモ』
ハーモニー・コリン/1997/アメリカ
悲しい。その先に何もない。

『歓楽通り』
パトリス・ルコント/2002/フランス
パトリス・ルコント得意の純粋で耐える男のプラトニック自己完結物語。『橋の上の娘』ほどの緊張感もガツンとくる揺さぶりもなく、娼婦たちの楽屋裏の様子は幻想的で美しいけれど、今回のパトリック・ティムシットの役に秘めたる欲望は感じられない。美しい"思い出"を描くというのも好きではない。


 >> き


『黄色い大地』
チェン・カイコー/1984/中国
中国の山中の寒村。暗い、非常に暗い話。ストイックなのもいいけれど、こういうタイプの話だったら例えば『シュウシュウの季節』の方がドラマがあって面白い。

『記憶の棘』
ジョナサン・グレイザー/2004/アメリカ
アンドロイドのように美しすぎるニコール・キッドマンが好きなので見る。ニコール・キッドマンはいいなーという映画。相手役の少年キャメロン・ブライトが美少年でもなく正直もっさりした子なのに妙に色気があって不思議。

『記憶の扉』
ジョゼッペ・トルナトーレ/1994/イタリア
ジェラール・ドパルデュー、ロマン・ポランスキー出演。思えばこんなラストは想像しがたいものではないのに、ラストが想像できなかった。大雨の中、電話も繋がらないほぼ密室の中で延々と行われる記憶のつぶやき。死が苦悩や恥にまみれぬよう、人は不快な経験をわすれてしまう。

『キカ』
ペドロ・アルモドバル/1993/スペイン
濃いキャラクターの役者達とゴルチェの衣装。最初1時間は面白かった気がするけれど。

『機関車くん』
ヘルミーナ・ティールロヴァー/1959/チェコ
牛がかわいい。ドリームペッツぽい。

『菊次郎の夏』
北野武/1998
平たんな道のり。でも行く先々に突起があって笑ったり泣いたり出来る。やるだろうと分かってる冗談もなぜだか笑える安心感。不器用な大人の不器用な優しさが心に残る。ただ、「キッズ・リターン」の方が面白かったのは事実。

『気狂いピエロ』
ジャン=リュック・ゴダール/1965
no text

『気狂いピエロの決闘』
アレックス・デ・ラ・イグレシア/2010/スペイン、フランス
タイトルだけで完全にジャン=リュック・ゴダール『気狂いピエロ』(1965)のオマージュ作品なのかと思ってすっかり騙されました。ていうか間違えるやろ。

2010年ベネチア国際映画祭で銀獅子賞と脚本賞を受賞したらしいけど、タイトルに完全に騙されたせいか、そこまでかなーという感じ。しかしスプラッタありのホラーなアクション映画で、途中おかしな妄想ありでどんどん物語が壮大になっていくのはおもしろいです。冒頭と系統変わってるし!

イッちゃってるふたりのピエロと三角関係になるカロリーナ・バング(Carolina Bang)という女優さんのボールのようなおっぱいがとてもいいです。ドレスの胸元から飛び出るかと思うほどの惜しみない露出が好感度を上げます。

『汽車はふたたび故郷へ』
オタール・イオセリアーニ/2010/フランス、グルジア、ロシア
オタール・イオセリアーニの作品ということで楽しみにしてたんだけど、これがぜんぜんストーリーに入れなくて期待が大きすぎたみたい。イオセリアーニ!と思ってみると肩すかしの作品。

グルジアの田舎で映画作りをしていた主人公が、共産党の干渉で思うように映画を撮れずフランスに亡命。しかしそこでも出資者の干渉で自分が思う映画作りができず結局またグルジアへ。主人公が何を撮りたいのか何を考えてるのかよく分からず、最後の最後まで乗り切れませんでした。

『奇人たちの晩餐会』
フランシス・ヴェベール/1998/フランス
フランスのコメディ。テンポはいいし笑える場面もわかるし最後にはいい話になってるし、でもやっぱりあまり面白いと思えないのは普通すぎるから?

『キス!キス!キッス!』
ベルナール・トゥブラン=ミシェル、ベルトラン・タヴェルニエ、ジャン=フランソワ・オーデュロワ、クロード・ベリ、シャルル・L・ビッチ/1963/フランス
キスにまつわるオムニバス。それなりに面白いけど、どことなくつまらない。第1話「夏のキス」が一番良かった。

『絆』
ニキータ・ミハルコフ/1981/ソ連
田舎から都会に住む娘を訪ねてやってくる機関銃のような母。ドラマとしてとても面白い。ミハルコフ監督の異色作。

『奇跡の海』
ラース・フォン・トリアー/1996/デンマーク
思いこみが激しくて、感じやすくて、とても弱くて、でも、その想いは異常すぎるほど純粋。私は彼女を見ててとても辛かった。発狂するのはおかしな事じゃない。その行動は悲しすぎるほど率直。これはドラマじゃない、はっきりと映画。

『季節の中で』
トニー・ブイ/1999/アメリカ
ベトナムが舞台でサンダンス映画祭審査員グランプリてことから、トラン・アン・ユンみたいな映画を想像していたらがっかり。トラン・アン・ユンに失礼。すごーくおもしろくない。

『ギター弾きの恋』
ウディ・アレン/1999/アメリカ
架空の天才ギタリスト・エメックのドキュメタリータッチの作品。コミカルさもありひねりすぎないウディ・アレンぽい作品。

『KIDS』
荻島達也/2007
玉木宏見たさのみで見てみたけど、むしろこの映画のキャラの玉木宏はどうでもよくて、傷だらけの小池徹平くんがかなりかわいかった……傷ついたヒヨコみたいなかわいさ。ストーリーは相当難あり。設定が幼すぎて大人が見ると気恥ずかしさすら感じる。小池徹平くんの瞳の輝きのみでもってるだけで、30分深夜ドラマくらいの気持ちでぼんやり見る感じの映画。

『キッスで殺せ [ディレクターズ・カット版]』
ロバート・アルドリッチ/1955/アメリカ
公開時には主人公とヒロインの死というアンハッピーな結末で映画が終わっていたのだが、ディレクターズ・カットでは、主人公とヒロインが生き延びるというハッピーエンドになり、さらにディレクターズ・カット版の方が12ショット余分な映像が含まれ、上映時間は80秒長いらしい。どちらがよいかはオリジナルを見ていないので分からないが、マイク・ハマーがおいかけていた箱の中身は超小型の原子炉(らしい)というのが、当時の探偵映画として面白い。SF映画のようだ。

『キッチン・ストーリー』
ベント・ハーメル/2003/ノルウェー、スウェーデン
1950年代初頭の北欧が舞台というだけで私はゆるい。ノルウェーの田舎に住む老人とスウェーデンの中年男性の交流物語。画面に映る風景が広い。空が高い。変わらない日常のシンプルさ。

『キツツキはいない』
ジェーン・カンピオン/1985
no text

『狐と兎』
ユーリー・ノルシュテイン/1973
no text

『キプールの記憶』
アモス・ギタイ/2000/イスラエル、フランス、イタリア
アモス・ギタイが実際に経験した第4次中東戦争(ヨム・キプール戦争)の体験をもとにした、ハードルとレベルのかなり高い作品。中東問題について、パレスティナとイスラエルの関係について、一定の知識が必要。起承転結のあるストーリーではなく、戦場でのワンショットの長回しが続く。おそらく見たことのないタイプの"戦争映画"で、全編にわたりすごい映像で、すばらしい作品なんだと感じるけれど、アモス・ギタイを見るには私のレベルが低すぎて目の前の映像に追いついていかない。

『希望の国』
園子温/2012/日本、イギリス、台湾
東日本大震災から数年後の20XX年、架空の舞台「長島県」(長崎と広島と福島?脚本が園子温だから園子温が考えたのかな。ネーミングがねぇ……)。地震による原発事故で一変した生活。

東日本大震災をフィクションで撮った理由が分からず、東日本大震災を撮りたかったならなぜドキュメンタリーでなかったのか悩むところです。希望の国、と言いながら希望はなく、だれに向けて撮ったのか分からない映画でした。『ヒミズ』(2011)のほうが断然よかったなー。

『奇妙な隣人』
マーク・ハーマン/1998/フランス
短篇。海外のコメディドラマみたい。映画じゃないよね。

『君とボクの虹色の世界』
ミランダ・ジュライ/2005/アメリカ
不器用な人々の夢見るような恋や出来事。タイトルも内容もどこかで見たような作品で特別目新しくもなく、ありがちな雰囲気であまり好みではない。

『きみに読む物語』
ニック・カサヴェテス/2004/アメリカ
息子は偉大な父ジョン・カサヴェテスにはかなわない。どうしようもない寄せ集めみたいな映画。

『君のためなら千回でも』
マーク・フォースター/2007/アメリカ
アフガニスタンで過ごした少年時代の思い出をベースにしたドラマ。あっさりした内容なのでソ連のアフガニスタン侵攻や現在のタリバン政権の様子とか薄口で身体に入ってきやすい。子役がへんにかわいらしい感じじゃなくて、むしろそれがいいなー。アフガニスタンを何かに取り替えたら別の映画になるような気がするストーリーはありがちな感じで、特に後半の展開がおもしろくなくなるのが残念。

『きみの友だち』
廣木隆一/2008
ここまで尺が長い必要はないと思うんだけど、思ったよりおもしろかったです。小学生だって中学生だってそれぞれ悩みを抱えて成長していくんだね、ということを思い出す。吉高由里子という子がわりと存在感あったんだけど、ずーっと見てると三浦理恵子と永作博美を足して割った感じでかわいかった。

『君の名は』
大庭秀雄/1953
佐田啓二、岸恵子主演。初々しかった脇役でのデビュー作『我が家は楽し』(1951)からたった2年でのし上がったんだなーなんて思うけど、まだまだ初々しい岸恵子。菊田一夫のNHK連続ラジオドラマの映画化ということ。すれ違いの男女のメロドラマなんだけど、なんだろ、一途なようで一途じゃないというか姑の嫁いびりとか夫はマザコンとかみんな不幸でなかなかのどろどろ。確かにラジオドラマで人気を博しそうな内容かも。

『キャタピラー』
若松孝二/2010
見よう見ようと思いつつ、どんな話かなんとなく分かっていたのでなかなか見れなかった作品。戦争により、四肢を失い顔は焼けただれ耳は聞こえず声もほとんど出ない久蔵を送ってきた軍人ふたりがARATAと地曵豪というオープニングで、どうにも連合赤軍を思い出してしまい久蔵の姿の結果が総括の結果のようでどきどきした。江戸川乱歩『芋虫』(=キャタピラー)をモチーフにした作品だけど、内容は原作よりもまともな感覚があり人間味もある。体当たりの寺島しのぶはすごかった。でも、元ちとせのテロップ付のエンディングが台無しにしてたこと、そして久蔵が戦地で女を凌辱し殺した映像のテロップが安っぽくしつこかったのがいまいち。

若松孝二の前作『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)』(2007)は相当ヘビーな内容だったため、本作『キャタピラー』もかなり身構えたけど、総合的には連合赤軍のほうがヘビーさは上。

『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』
スティーブン・スピルバーグ/2002/アメリカ
久しぶりに見たディカプリオ主演の映画。映画というより娯楽ドラマとして面白かった。

『キャラバン』
エリック・ヴァリ/1999/フランス
大自然のスペクタルに感動!とはいかなかった。実感もわかないし寒さや体温を感じられない。一見ストイックだがストイックさに落ち着かなかったのが苦しい。


『9000マイルの約束』
ハーディ・マーティンス/2001/ドイツ
ロシアの捕虜収容所からドイツまでの9000マイルを3年かけて歩いた男の実話がベースの物語。長い。ものすごい長い映画だった。


『キューティーハニー』
庵野秀明/2003
冒頭、入浴シーンからサトエリが白い下着に半透明ゴミ袋を身体に巻きつけてコンビニへ疾走する姿からサトエリに釘付け。カタブツ刑事役の市川実日子もいい。感動して泣いた。

『キューポラのある街』
浦山桐郎/1962/日活
鋳物の街、埼玉県川口市が舞台。キューポラとは溶銑炉、煙突を指す言葉のよう。若かりし少女の吉永小百合が単なる美少女ではなく演技もできる女の子だと分かる熱演ぶり。しっかりしたというか、とても正統派の映像で、当時の貧乏ながらも健気で前向きな主人公、という健全な青少年育成ための映画で好感は持ってもそれ以上のことはあまり感じない。

『今日子と修一の場合』
奥田瑛二/2013
父が娘夫婦を撮った映画。安藤サクラは好きだけれど、東日本大震災を背景にした理由が分からずな映画でした。

『きょうのできごと a day on the planet』
行定勲/2004
大学生たちを中心にしたとりとめのないいちにち。まったく琴線に触れない映画。関西弁を使い慣れてない(と分かる)役者で関西弁の映画を作る意図が分からない。

『巨匠建築家 フランク・ロイド・ライト』
ケン・バーンズ/1998/アメリカ
様々な女性関係と悲惨な事件、多くの子宝、1867年に生まれ1959年で92歳の大往生で生涯を閉じた"天才"フランク・ロイド・ライト。多くの建築物と私生活と絡めながら関係していた人々がライトのことを語るドキュメンタリー。アメリカンなドキュメンタリーだけあって過剰にライトを大絶賛する人々のインタビューはだんだんおなかいっぱいに。グッゲンハイム美術館、落水荘、帝国ホテル、ユニタリアン教会、ギリシャ正教教会、さらっと紹介されるだけでなく、もっとたくさんの丁寧な映像で見れたらよかったかも。

『キラー・ヴァージンロード』
岸谷五朗/2009
岸谷五朗監督、主演上野樹理、木村佳乃。タイトルから、のだめぽいキャラの上野樹理がドタバタする、イメージ的にどんなコメディか想像できてまさにその通りだったけど、私がこの映画で群を抜いておもしろかったのは上野樹理の婚約者役のEXILEのMAKIDAI。NHK朝の連ドラ「瞳」でずっこけそうな演技をしてたMAKIDAIだったのに、この映画のMAKIDAIはかなりいい。見直した。俳優。うっかり好きになりそう。

『切られ与三郎』
伊藤大輔/1960/大映
市川雷蔵モノが楽しいので、ここはそろそろ真骨頂の雷蔵の時代劇も見てみないとなーと思って本作。歌舞伎の演目のひとつを映画化した娯楽作。

普段時代劇をあまり見ないので監督の伊藤大輔すら知らずだったものの、撮影は安定の宮川一夫。歌舞伎が下敷きになっているとはいえ時代劇なので話が分からないことはないんだけど、どうにも中に入っていけませんでした。傷だらけの与三郎が久しぶりに会ったお富に言う長セリフが名セリフ、歌舞伎でも魅せるシーンなんだろうと想像はつくけど、入っていけず。

時代劇は(歌舞伎なんかもそう?)セオリーがあって、そのセオリーが楽しめるようになるには、もちろんセオリーを何度も見ることで、そこにスターがいてハマれば相当な相乗効果(さらにワンカットの美しさ)。市川雷蔵サマがイケメンでかっこいいのは分かるけど、この作品であの雷蔵サマが切り傷だらけで女運がなくてとハート目で盛り上がれるとこまで行けなかったのが敗因。入れないのは私が原因。何しても雷蔵サマは美しいと感じられないとぜったい楽しくない。

『ぼんち』で見た、女中に素肌にお粉をはたかれる雷蔵サマの艶っぽさにくらべると切り傷ごときでは…とか思うまだまだ雷蔵サマ初心者です。文芸作品もいいけど文芸作品だけじゃないよね。未観の『眠り狂四郎』でしびれるくらいになりたい。

『嫌われ松子の一生』
中島哲也/2006
主演の中谷美紀をはじめ、瑛太、伊勢谷友介、宮藤官九郎、香川照之、市川実日子、木村カエラ、AI、土屋アンナ、どんどん出てくる豪華出演陣も中谷美紀のやりすぎ感もなかなか楽しい映画。内海光司好きのくだりがいちばんおもしろかった。

『キリクと魔女』
ミッシェル・オスロ/1998/フランス、ベルギー、ルクセンブルグ
アヌシー国際アニメーション映画祭グランプリ作品。『プリンス&プリンセス』のミシェル・オスロ監督、愛と許しと人類解放のアニメーション。ラストの超ラブ&ピースぶりにちょっと驚く。

『桐島、部活やめるってよ』
吉田大八/2012
桐島を頂点とする学内ヒエラルキーもしくはスクールカースト。映画部の話だけフィクション度が高いものの、ありそうな話という点ではとても上手。想像以上によかったよー

『ギルダ』
チャールズ・ヴィダー/1946/アメリカ
リタ・ヘイワースの歌って踊る姿の華があって美しいこと!足ながーい!ストーリー展開が微妙でラストの強引さにズッコケたりするものの、キラキラ輝くリタ・ヘイワースで許されてしまう映画。

『キル・ビルVol.1』
クエンティン・タランティーノ/2003/アメリカ
マンガ。ユマ・サーマンよりルーシー・リューのほうが日本語セリフが上手。続きモノとは知らず(一話完結モノかと思ってた)。続きを見なくては。

『キル・ビル Vol.2』
クエンティン・タランティーノ/2004/アメリカ
ノリとしてはvol.1のほうがいいけれど、棺桶から脱出したり目玉をくりぬくユマ・サーマンはなかなかステキ。五点掌爆心拳て北斗の拳から?

『キンキーブーツ』
ジュリアン・ジャロルド/2005/アメリカ、イギリス
実在する紳士靴メーカー「W.J. Brookes Ltd(W.J.ブルックス社)」がモデルらしい。ドラッグ・クイーン御用達の靴として再起する老舗靴工場をかるーいタッチで描くハートフルコメディ。ドラッグ・クイーンが出てくる時点でちょっとずるい。『フルモンティ』を思い出す映画。『フルモンティ』も実話ベースだっけ?

『キング・コーン 世界を作る魔法の一粒』
アーロン・ウールフ/2007/アメリカ
髪の毛の大半を構成しているのがコーンであることから、アメリカの若者がトウモロコシに興味を持ち栽培からはじめてみるというドキュメンタリー。農業政策によってアメリカの隅々までコーンが浸透して動物や人々の健康も害している事実を追っていきます。切り口が調査一辺倒でないので映画に入りやすい。

『キング 罪の王』
ジェームズ・マーシュ/2005/アメリカ
ガエル・ガルシア・ベルナル主演。ガエルくんが出ているから見たのにこの作品ではガエルくんのカッコよさやかわいらしさは非常に控えめで残念。ストーリーもどこかで見たことあるような話でいまひとつ盛り上がれない。牧師つながりで『アロマ神父の罪』を思い出す。『天国の口、終わりの楽園。』(2001)『トラベリング・ウィズ・ゲバラ』(2004)とかのが断然カッコいい。

『金髪の草原』
犬童一心/1999/日本
大島弓子原作。この話はずいぶん前に読んだ気がするけれど、ずっと覚えてる。映画にしてイメージが損なわれた気はしないけれど、私は原作のイメージとは重ならない。「ニンゲン合格」で西島くんがかわいい、と思ったのと同様、伊勢谷友介がかわいいと思った。なにもかもが素晴らしい、そう思える瞬間は、大事だと思う。


 >> く


『クィーン』
スティーヴン・フリアーズ/2006/イギリス、フランス、イタリア
ダイアナの死と英国ロイヤルファミリー、そしてブレア首相。なぜ見てるのかちょっと自分で考えたくらい興味の薄い内容の映画。面白くないなーと思って見てたら家人が「なにこのそっくりさん映画?」と言ってきたのが最も印象的。

『クィンテット』
ロバート・アルトマン/1977/アメリカ
氷に閉ざされた未来世界を描いた暗いSF。派手なアクションや細工のない殺人ゲーム。こういうSF映画は得意じゃない・・・

『空気人形』
是枝裕和/2009
すごすぎるペ・ドゥナのかわいさ。ちょっと意味不明な箇所があったけどペ・ドゥナがもーすごいかわいいので別にいい。ARATAみたいな感じのARATA顔の男性がモテるのもすごいわかる。

『グエムル -漢江の怪物-』
ポン・ジュノ/2006/韓国
ポン・ジュノだしソン・ガンホでにペ・ドゥナなら見たいかも、と思いつつなかなか見れず、最近の一連の韓国映画に触発されて見てみる。いわゆるパニック映画だけどヘンにスケールも大きくなってないし、やっぱりポン・ジュノの映画はおもしろい。想像以上によかった。余談:そこまで引っ張ってヒョンソ死ぬのーと思ったらネット上でこの映画に関するポン・ジュノの言葉を発見。ますますこの映画に深みを覚えたりして。
「映画で怪物の死闘は副次的なこと」
「社会的弱者である家族が、ヒョンソを助けようと努力するように、ヒョンソもやはりもっとか弱いセジュを助けようと努力する二重死闘構造」

『ククーシュカ ラップランドの妖精』
アレクサンドル・ロゴシュキン/2002/ロシア
ラップランドが舞台の映画。フィンランド語、ロシア語、サーミ語しか話せない男女3人。いろんな賞をとってる映画だけどいまいち興味をひかれなかった。

『グーグーだって猫である』
犬童一心/2008
大島弓子の原作の力が大きすぎて映画はどうだろうと思ったけどキョンキョンと上野樹里だったので期待して見ました。無意味なチャンバラ、マーティ・フリードマンの死神、雲がまことちゃんになったりぐわしとかの楳図かずおの挿入はぜんぜんいらないよ……ちょっと残念なくらい、いろんなものを取り込みすぎて散漫とした印象。キョンキョンと上野樹里は両方いらない気がします。キョンキョンが主役ならキョンキョンだけにしたらよかったのに。だけどモロ少女漫画的な後半のサバとの対話でちょっと涙。

『クジラ島の少女』
ニキ・カーロ/2003/ニュージーランド
あまりに直接的で優等生的メッセージのある映画は少し苦手。

『唇からナイフ』
ジョセフ・ロージー/1966/イギリス
モニカ・ビッティ、テレンス・スタンプ出演。めちゃくちゃやってて痛快。面白い映画。

『唇によだれ』
ジャック・ドニオル・バルクローズ/1960/フランス
ゲンスブールの音楽。たった一夜の遊びでも"愛してる""好き"なんて言葉が聞ければそれでいいのかも。男と女がいれば恋愛沙汰になるのが世の常で、それはとても王道な物語。ヴィム・ヴェンダース『ストレンジャー・ザン・パラダイス』(1984)の冷ややかさ、そこに見えた漂流感、なぜ新しいと思えたか。そんな事をこの映画を見ながら考えた。

『グッド・ウィル・ハンティング -旅立ち- 』
ガス・ヴァン・サント/1997/アメリカ
完璧な人間、完璧な関係なんて。自分の欠点だらけの世界に誰を立ち入らせるか。

『靴に恋して』
ラモン・サラサール/2002/スペイン
群像劇というほど入り乱れているわけではないけれど、物語が進んでいくうちに人間関係が絡まってゆく様子が面白い。ただラストが微妙に強引。(スペインということで)ペドロ・アルモドバルを彷彿とさせる作品。

『グッバイ、レーニン!』
ヴォルフガング・ベッカー/2003/ドイツ
統一から15年。いまになってやっと話し笑え許せるあの時代。真面目で母思いの息子の愛。

『クテャーセクとクティルカ』
イジー・トルンカ/1954/チェコ
アニメというより人形劇。

『THE GOOD THINGS』
Seth Wiley/2000/アメリカ
ショートショートフィルムフェスティバル2002より。『スタンド・バイ・ミー』のウィル・ウィートン主演。彼も大きくいい男になった。「これからも好き。だけどあきらめるよ。」女々しいけれど、女は時々その女々しさにきゅんとしてしまうのね。

『暗闇でドッキリ』
ブレーク・エドワーズ/1964/アメリカ
連続殺人事件をベースに、クルーゾー警部(ピーター・セラーズ)のおバカさんぷりが冴える。楽しい映画。

『グランド・マスター』
ウォン・カーウァイ/2013/香港
『マイ・ブルーベリー・ナイツ(My Blueberry Nights)』(2007)から6年ぶりの作品で、詠春拳の達人・葉問(イップ・マン)の伝記カンフー映画。イップ・マンはブルース・リーの師匠です。

ウォン・カーウァイが久しぶりだったんで楽しみにしてたんだけどこれが驚くほどおもしろくない映画でした。カンフー映画においてのウォン・カーウァイ的スローモーションの多用や映像美はなんというか非常に退屈。叙事的といえば聞こえはいいけど時系列が行ったり来たりしたり、ほとんど誰とも絡まない一線天(カミソリ)の出演理由が分からず。

しかし本当にトニー・レオンは根強い人気。1980年代くらいからの人気の衰えなさはすごいー。

『グラン・トリノ』
クリント・イーストウッド/2008/アメリカ
映画の内容見てたら面白そうだったので観賞。現代アメリカの様子も描いたストーリーのしっかりした娯楽作品。うっかり中東の小作品なんて見てしまうならこっちのほうがずっと面白い。

『くりいむレモン』
山下敦弘/2004
妹萌えの80年代美少女アニメというかアダルトアニメの実写化。なんだけどそのアニメを知らない。監督が山下敦弘だったからちょっと興味があって見てみたけれど99%くらいはどうでもよい映画だった。そもそも現実に兄がいると兄妹モノにまったく妄想がわかない・・・。

『クリクリのいた夏』
ジャン・ベッケル/1999/フランス
すっきり爽やかで気分の良くなる映画。のどかな自然の中で自分の楽しみ方、生き方をきちんと知っている人達。素直な人達。外部に踊らされない、人生で何が大切かをよく知っている人達。ジャック・ガンブラン大好き。人に勧められる映画だと思った。

『クリスティーナの好きなコト』
ロジャー・カンブル/2002/アメリカ
生まれ変わるならキャメロン・ディアス。だけどぜったいもう少しかわいい役のほうがいい(シモネタ多すぎ)。

『クリスマス・ストーリー』
アルノー・デプレシャン/2008/フランス
久しぶりに観たデプレシャンはああこれデプレシャンだよね!という感じでおもしろかった。ある一家のクリスマスを舞台にした群像劇。ドラマチックでもなくどこに向かうともいえないこの雰囲気はなんとも素敵。いい映画を見たという満足感のある映画。カトリーヌ・ドヌーヴはいつもの貫録、アンリ役のマチュー・アマルリックは端正にしたゲンスブールみたいでほんとモテそう。美少年だったメルヴィル・プポーより断然好き。

『クリムト』
ラウル・ルイス/2005/オーストラリア、フランス、ドイツ、イギリス
アール・ヌーヴォーの先駆者グスタフ・クリムト。愛と苦悩と虚構と現実が入り乱れる。ジョルジュ・メリエスと絡むシーンがもっと長いとよかった。映像が妙にぴかぴかきれいで芸術作品を扱う作品なのに内容もうすっぺらすぎ。

『狂い咲きサンダーロード』
石井聰互/1980
男の世界はよく分かりません。

『狂ったバカンス』
ルチアーノ・サルチェ/1962/イタリア
主演のカトリーヌ・スパークを見るために見た映画。

でも、登場する少年少女(高校生くらい?)のお祭り騒ぎはなんとなく楽しめないまま、カトリーヌ・スパークもきれいだしかわいいけど、なんだか魅力半減な役どころ。『女性上位時代』(1968)のように未亡人コスプレプレイ的なキャラに特化したほうが断然おもしろいしカトリーヌ・スパークもキュート。

『クルテク〜もぐらくんと森の仲間たち〜』
ズデネック・ミレル/1957-99/チェコ
『もぐらくんとみどりのほし』『もぐらくんとズボン』『もぐらくんのにわしごと』『もぐらくんとパラソル』『もぐらくんとゆきだるま』『もぐらくんとふしぎないずみ』『もぐらくんはえいがスター』計7本。2003年のチェコアニメ新世代と同時上映。クルテクのかわいくなさにびっくり。

『グレースと公爵』
エリック・ロメール/2001/フランス
エリック・ロメール80歳、フランス革命期のパリの風景画と実写の人物をCGを駆使して融合し再現。これが成功しているかといわれるとアレクサンドル・ペトロフ『老人と海』のように正直好みではないのだけど、英国人女性グレースを主人公とした元恋人との上等な甘美さを含んだ関係の描き方はさすがエリック・ロメール。

『クレールの刺繍』
エレオノール・フォーシェ/2004/フランス
フランスには『匿名出産』という制度があることを知る。出産費用無料で親権を放棄する合法出産制度。主人公が前向きに子どもを育てると決心する心の中の静かな過程。特別協賛しているせいで「クリスチャン・ラクロワの仕事も請け負っている」というなんだか妙にリアルなところが非常に微妙。映画のなかで明らかに「クリスチャン・ラクロワ」という名詞が浮いてる。

『グレン・グールド 27歳の記憶』
ロマン・クロイター、ウルフ・ケニッグ/1959/カナダ
足を組んでハミングして、左手の演奏に右手で指揮をする。そんな天才ピアニスト、グレン・グールドの27歳の時のドキュメンタリー映画。上手な演奏家の演奏というのは聞いていて面白い。しかも若いグレン・グールド男前。足を組む=ペダルを踏まない、鮮明で軽やかな音。男前にウェーベルン「ピアノのための変奏曲」をあんなに簡単そうに弾かれるとちょっとクラリとする。

『クロスロード』
/2001/アメリカ
ブリトニー・ピアース主演。恋にレイプに妊娠の青春映画。

『クロコダイルの涙』
レオン・ポーチ/1998/イギリス
ジュード・ロウのようないい男でなければ似合わない吸血映画。ジュード・ロウほんと格好いい。いい男に死や悪まで絡んでくると言い難いほど魅力的。死ぬというすばらしい快感、覚えているのは死ぬ瞬間よりも、その前の苦痛。

『クロッシング』
キム・テギュン/2008/韓国
北朝鮮のリアルな生活と強制収容所の実態、脱北者を題材にした作品。子どもが母親の遺体を泣きながら追いかけたり妻が亡くなったことを知らない夫が妻のために薬を捜し歩いたり、家族が別れ別れになったり家族が家族を想うシーンはどうしたって泣けてくる。孤児となった子どもたちの悲惨で苛酷過ぎる生活の描写に、どれだけリアリティがあるのか分からないけど、悲しすぎる。ちょっと引いて見ると、この映画は子役がすごい。ジュニ役のシン・ミョンチョル、ミソン役のチュ・ダヨン。この男の子と女の子がすごくて、思いがけずいい映画だった。

『黒猫・白猫』
エミール・クリストリッツァ/1998/フランス=ドイツ=ユーゴスラビア
ひまわり畑のあのシーンがあれば、この映画はそれだけで素敵に思える。

『黒猫(フェリックス)のネズミは苦手』
サイレント時代の作品。原題不詳。フェリックスの初期で今見るフェリックスとは顔つきが違うけれどやっぱりフェリックス。昔のアニメって面白い。

『くろねこルーシー』
亀井亨/2012
ねこ映画というだけで観ました。占いもねこの運搬シーンも『レンタネコ』とかぶります。

ドラマ版を知らないけど、ほのぼのもほっこりもハートもウォーミングしないというか、入れないまま終わりました。画面から感じるのは昭和レトロ感というより貧乏くささのほうが勝ってしまう。『レンタネコ』の勝ちだなー。

『黒蘭の女』
ウィリアム・ワイラー/1938/アメリカ
ベティ・デイビスのわがままぷりがステキ。手に入れたいものは確実に手に入れる女の執念。男を手のひらで転がすのもほどほどに。

『クロワッサンで朝食を』
イルマル・ラーグ/2012/フランス、エストニア、ベルギー
エストニアの監督の初長編監督作品。おばあちゃんジャンヌ・モローが出演してるというだけで見てみたんだけど、これが意外と淡々と静かな作品でよかったです。おばあちゃんとはいえ、ジャンヌ・モローの他を圧倒する貫録すごい。クロワッサンはスーパーで買うものではなく、パン屋で買うものです。

『ビバ!マリア』(ルイ・マル/1965)あたり見たくなるー。


 >> け


『KAFF オープニングフィルム』
マリア・ホルヴァート/1985-1995/ハンガリー
ハンガリアン・アニメーション。好み。アニメーションと呼応する音楽のセンスもすばらしい。

『解夏』
磯村一路/2003
大沢たかおと石田ゆり子主演。長崎旅番組×2時間ドラマという感じ。思ってたより面白くて長崎に行きたくなる映画。

『ゲゲゲの女房』
鈴木卓爾/2010
NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』が好きだったため、水木しげるは向井理、布枝は松下奈緒とくらべてしまい個人的に魅力に欠ける内容でした。宮藤官九郎の水木しげるは貧相すぎるし、吹石一恵の布枝は、なんだか終始ふくれっつらでかわいくない。ストーリーも起伏が少なくて退屈。

『ケス』
ケン・ローチ
この作品すごく好き。

『ゲド戦記』
宮崎吾朗/2006
超失敗作。ジブリがかわいそう。

『ケルジェネツの戦い』
ユーリー・ノルシュテイン/1971
no text

『喧嘩鴛鴦』
田坂勝彦/1956/大映
48人の女性から愛されるモテモテ市川雷蔵の股旅コメディ時代劇。ミヤコ蝶々の漫才は面白いけどとってつけたような感じで若干浮いていた。

『現金に体を張れ』
スタンリー・キューブリック/1955/アメリカ
初期キューブリック作品。勢いとストーリー性だけではない何かがしっかりある感じ。これは面白い。

『ゲンスブールと女たち』
ジョアン・スファール/2010/フランス、アメリカ
セルジュ・ゲンスブールの伝記ドラマ。それほど期待してなかったとはいえ、モノマネ大会の感が否めない。ゲンスブール自身を筆頭にブリジット・バルドーもジェーン・バーキンも本物のカリスマ性に(当然)手が届かない。 "Comic Strip" を歌いながらブリジット・バルドーとゲンスブールが絡むシーンでその違和感が最高潮に。

コアなファンが多くてゲンスブールの伝記映画はなかなか辛いかもと思います。

『倦怠[R-15指定版] 』
セドリック・カーン/1998/フランス
自殺するより生きよう、と思った時点で倦怠からは脱出していると。特に感想も思い描かない映画。


 >> こ


『恋』
ジョセフ・ロージー/1971/イギリス
友人のきれいなおねえさんに恋する少年のお話。展開が読める王道コイバナ。ミシェル・ルグランの音楽がやりすぎ。パルムドールをとった作品にしてはいまいち。

『恋路』
ジャン・ルー・ユベール/1991/フランス
カトリーヌ・ドヌーヴ様の映画という感じ。ナントのカーニヴァル風景はとても楽しげ。カーニヴァルの女王になる元彼の娘よりカトリーヌ・ドヌーヴの娘役の女の子のほうがかわいいと思うのは私だけ?

『恋するシャンソン』
アラン・レネ/1997/フランス、スイス、イギリス
ミュージカルにしない所が潔い。原曲のサビをそのまま出演者が口パク。ジェーン・バーキンが自分の歌を口パク。ゲンスブールの歌も使われて。

『恋する人魚たち』
リチャード・ベンジャミン/1990/アメリカ
シェール、ウィノナ・ライダー、クリスティーナ・リッチ出演。どっかでこんな映画みたような。

『恋する惑星』
ウォン・カーウァイ/1994/香港
公開当時とは微妙にはずれてたかもしれないけどこれ劇場で見たなーとなつかしく思いながら見た『恋する惑星』。たぶんこれでフェイ・ウォンのCD買ったりしたし、ウォン・カーウァイは『欲望の翼』より『恋する惑星』を見たのが先だった気がします。

意外と覚えてるもので、金城武の初々しさとか死ぬほど缶詰食べるとことか、香港およびトニー・レオンの部屋の雑多とした感じとか、いやこの映画のトニー・レオンは好きだったわー。デートに誘われたフェイ・ウォンがはしゃぐ姿もかわいかった。

ママス&パパスの「California Dreamin'」とクランベリーズの「Dreams」=『恋する惑星』という音楽との結びつきも上手。フェイ・ウォンがカバーした「夢中人」も好き。20年経っても相変わらずいい映画です。

『恋の秋』
エリック・ロメール/1998/フランス
このロメール辛い。

『恋のベビーカー大作戦』
クレモン・ミシェル/2012/フランス
かるーいフレンチラブコメ。赤ちゃんをネタにしたラブコメは数あれど、フランス映画になるとちょっとおしゃれ。ゆえに邦題が残念。

当然フランソワ・オゾン『Ricky リッキー』(2009)ほどのユーモアもパンチもないけれど、ぼんやりした頭でぼんやり見てるとリラックス感が得られる気もします。

『戀之風景』
キャロル・ライ/2003/香港
イーキン・チェンを久しぶりに見た。舞台は青島(チンタオ)。アジアぽくない青島の街の雰囲気とメルヘンチックなストーリーは冬から春へ。意外と好印象で美しい作品だった。

『恋のミニスカウエポン』
アンジェラ・ロビンソン/2004/アメリカ
タイトルからしてしょーもないけど内容もはてしなくしょーもなくて制服ミニスカのお姉さんたちを観賞するというただそれだけのなんかすごいどうでもいいノーテンキな映画。デヴォン青木のミニスカから伸びるとてつもなく長く細い足。

『恋のロンドン狂騒曲』
ウディ・アレン/2010/アメリカ、スペイン
出演はアンソニー・ホプキンス、ナオミ・ワッツ、ジョシュ・ブローリン、ジェマ・ジョーンズ、アントニオ・バンデラス。パリもローマもそれぞれ魅力的に撮影していたのに、今回のロンドンはいちばん街の魅力が活きていない感じがしました。

「life was full of sound and fury, and in the end, signified nothing」というシェークスピアの引用ではじまる冒頭。ウディ・アレン安定の恋のから騒ぎ。

『恋は五・七・五! 全国高校生俳句甲子園大会』
荻上直子/2004
監督が『かもめ食堂』の荻上直子という一点のみで観賞。タイトルはなんだけど、関めぐみも蓮沼茜もかわいかった。

『恋人たち』
ルイ・マル/1958/フランス
ルイ・マルの当時の恋人ジャンヌ・モロー主演の不倫し放題物語。当時のブルジョア階級の女性が自分の子供にどういう接しかたをしてるのか分からないけど、ルイ・マル26歳という若さのせいか母とまだ幼い娘の関係の描き方が非常に薄っぺらくてその時点でちょっと冷める。たぶん"母親"はそんな簡単に小さな娘を捨てて衝動的な不倫愛に走らないよ。夫のいる自宅に愛人を招いたりそこで別の男性と関係を持ったり背徳感の欠けるめちゃくちゃな設定で、若い男性の夢物語を見ているようで残念ながら名作たるゆえんの分からない作品。

『恋人たちのメロディー』
クロード・ルルーシュ/1971/フランス
ランシス・レイが盲目のミュージシャンとして、シモーヌ・シニョレの娘カトリーヌ・アレグレ(母娘ともシーズーぽい)がヒロインとして出演。フランシス・レイが自身の「白い恋人たち」「男と女」なんかをアコーディオンで披露。ノーテンキな登場人物しかいないクロード・ルルーシュのお遊び的作品でそれがなんだかとてもフランスぽい。

『皇帝ペンギン』
リュック・ジャケ/2005/フランス
皇帝ペンギンの一年の生活。お父さんペンギンもお母さんペンギンも強いぞ。すべてを愛を語る儀式と見立てる目線とヘンな挿入歌(わりと台無しにしてるような)がフランスぽい。

『こうのとり、たちずさんで』
テオ・アンゲロプロス/1991
no text

『故郷の香り』
フォ・ジェンチイ/2003/中国
初恋の女性との再会に心が揺れ動き、美しい自己嫌悪に酔いしれる相当どうでもいい男の映画。結局誰も幸せそうじゃないのが何の救いもない作品(自己嫌悪に酔いしれてる男だけが幸せ?)。

『黒衣の花嫁』
フワンソワ・トリュフォー/1968/フランス、イタリア
女の復讐劇。トリュフォーらしい分かりやすさ。

『告白』
中島哲也/2010
幼い娘を教え子の男子中学生に殺された女教師(松たか子)の復讐劇。賛否両論あるけど私はかなり面白かった。同監督「下妻物語」「嫌われ松子の一生」の上。中島哲也監督のような映像がCMだったり映画だったりに昇華するのはすごくまっとうで好き。映画である以上完全なリアリティに意味がないことを分かったうえで、始まりから終わりまで続くこのエンターテイメント性は映画の価値あり。主題歌のレディオヘッドが絶妙にハマっててよい。

『告白的女優論』
吉田喜重/1971
浅丘ルリ子、岡田茉莉子、有馬稲子が同時進行する3つの物語でそれぞれ、女優とは何か?自分とは何か?欲望や心の底にある影や虚栄心を映しだす。ストーリー的には難解で前衛演劇的なシーンも多い。それぞれのシーンはそれぞれ面白いけれどそれを楽しむだけになってしまった。まだまだ吉田喜重初心者。

『GO! GO! L.A.』
ミカ・カウリスマキ/1998/イギリス、フィンランド、フランス
ずっとヴィンセント・ギャロ主演の映画だと思ってた。脇役がジュリー・デルピー、ジョニー・デップと豪華。と、それだけの作品。

『ココ・アヴァン・シャネル』
アンヌ・フォンテーヌ/2009/フランス
シャネルのブランドが成功してボーイが自動車事故死するまでのココ・シャネルの伝記映画。ありがちな波乱万丈人生映画。

『地上より何処かで』
ウェイン・ワン/1999/アメリカ
なにがそんなに評価されてるのかよく分からない。ナタリー・ポートマンにあまり魅力を感じないのが理由かも。

『誤診』
ジム・エイブラハムズ/1997/アメリカ
「ロレンツォのオイル」みたいな映画。

『ゴースト・ドッグ』
ジム・ジャームッシュ/1999/アメリカ
音楽はウータン・クランのRZA。全面的にヒップ・ホップ。たまにフリージャズみたいのもあったりしてちょっと面白いかもしれない。内容は最後5分間はまあまあ。公園で黒人達がラジカセ持ってラップしてるのはちょっとカッコイイと思った。マフィアのボスの娘がかわいいと思った。でも私はやっぱりマフィアやギャングものはピンとこない。

『ゴースト・ワールド』
テリー・ツワイゴフ/2001/アメリカ
ダニエル・クロウズのアメリカン・コミックが原作。退屈な生活からの脱出計画。評判のわりにはいまいち。現実社会に迎合できなさぷりは共感できない。さえないぽっちゃりジョシュがブラッド・レンフロだったと後から気づいた。

『コストニツェ』
ヤン・シュヴァンクマイエル/1970/チェコ
原題「Kostnice」。納骨堂の話。

『ゴスフォード・パーク』
ロバート・アルトマン/2001/アメリカ
ロバート・アルトマン得意の群像劇。1932年のイギリスを舞台にした貴族と召使の物語。小さなストーリーが巧みに絡み合い厚い本を読んでいるよう。物語の進行がとても上手。寝る前に読んだら気分のよい本のよう。

『こっくりさんの会』
ポール・グリモー/1931/フランス
CM作品。こっくりさんの会に出席した男女が椅子に追いかけられる。椅子の語気はストップ・モーション・アニメ。

『孤独な天使たち』
ベルナルド・ベルトルッチ/2012/イタリア
ベルナルド・ベルトルッチといえば中学生のときにレンタルで借りてきた『ラストエンペラー』。たぶんその1度しか見てないんだけど、清朝最後の皇帝溥儀を演じたジョン・ローンだとか弟の溥傑だとか紫禁城とかわりと覚えてるのは後々調べてみるくらいおもしろくてインパクトあったんだと思います。で、そのあとキアヌ・リーヴス見たさに『リトル・ブッダ』(1993)を見たけれどほとんど覚えてない。巨匠なわりに私はベルトルッチをあまり通過してなくて、たぶん見るべき初期作も見てません。

ベルトルッチ監督生活50周年記念かつ10年ぶりの新作という本作は車イスに乗ったまま監督したという作品。孤独が好きな14歳の男の子が少年から少し成長する様を(決してさわやかではなく)描いているんだけど、おじいちゃんが撮った映画とはとても思えない瑞々しさ!少年の機微。14歳の少年を演じた男の子も、ヤク中の異母姉を演じた女の子もとてもよくてキャストセンス抜群。80年代のザ・キュアーをリアルタイムでは知らないけど、挿入歌の「ボーイズ・ドント・クライ」がぶわーっと80年代を彷彿させて、デヴィッド・ボウイの「ロンリー・ボーイ、ロンリー・ガール」で踊るふたりに軽くしびれます。

見てなかったベルトルッチ初期作も見たくなる50周年記念作品でした。

『コドモのコドモ』
萩生田宏治/2008
小学生の妊娠というさそうあきらのマンガを映画化。松ケンの「神童」よりは断然よかったし、勝手に低予算映画だと思ってたので豪華なキャストに少しびっくりしました。ありえないストーリーなのにハラハラドキドキ心配しすぎて泣けます。子どもと出産という2大アイテムでおもしろく出来上がってる映画です。

『CODE 46』
マイケル・ウィンターボトム/2003/イギリス
浮気を正当化したい既婚男の妄想映画。遺伝子のせいにするあたりが引きまくり。

『GO NOW』
マイケル・ウィンターボトム/1996/イギリス
ロバート・カーライル、ちっちゃい。

『こねこ』
イワン・ポポフ/1996/ロシア
こねこはかわいらしいけれど、猫を飼う人のような愛猫精神(猫に対して恋人や家族や親友に属する愛情)が、私にはあまりないことが判明。猫好きのための映画。

『子猫をお願い』
チョン・ジェウン/2004/韓国
成長や友情、そういう感覚的な話。ささいな日常を丁寧に描く美しさ。

『この道は母へとつづく』
アンドレイ・クラフチューク/2005/ロシア
6歳の少年が実の母を探すため一人孤児院を脱走するという実話をベースにした作品。子どもで泣かせる作品はあまり好きじゃないのだけど、この子があまりにいじらしくてかわいいのでうっかりちょっと泣いてしまいました。本当に涙腺が弱くなったわー。

『この森で、天使はバスを降りた』
リー・デビッド・ズロートフ/1996
出来過ぎた物語でボロ泣きしてしまう事もある。秀作。

『御法度』
大島渚/1999/松竹
大島渚映画としては年代的にそんなに興味なかったものの松田龍平見たさに見てみました。松田龍平=前髪の美少年 加納惣三郎、浅野忠信=田代彪蔵、武田真治=沖田総司、ビートたけし=土方歳三という感じの衆道(男色)もの。

期待度が低かったせいか案外おもしろくて、加納惣三郎という退廃的な役柄を主人公にしたストーリーがいい。武田真治の沖田総司もさわやかでいい。次第に狂っていく様を微細に丁寧に描いて、点と点を結んでいく上手さは大島渚の力。画面には一切映らない、沖田が沖田に恋をしていた加納を斬るシーンはまさに全国の女子の心をずきゅんと撃ち抜き妄想を駆り立てるシーンであることは間違いないです。

『コーヒー&シガレッツ』
ジム・ジャームッシュ/2003/アメリカ
コーヒーとタバコの11のエピソード。イギー・ポップとトム・ウェイツのとりとめのない気まずいやりとり、"Coffee and Cigarettes"のタイトル、イギー・ポップの「Louie Louie」が頭の中を流れてる。

『コーヒー・ブレイク』
古川タク、湯川高光/1977
コーヒーを飲んだ瞬間、無数の切り張りされた絵が飛び出す。

『(500)日のサマー』
マーク・ウェブ/2009/アメリカ
ダメな草食系男子のロマンチックコメディ。私自身、スペアミントやスミスなんかの劇中の台詞の単語はわかっても挿入歌はほとんどわからないという感じだったので、見る人を選ぶ映画かなー。たぶんツボの人はものすごく楽しめる。スナップ写真見てる限りものすごいかわいいと思ってたけど、動くズーイー・デシャネルにそれほど興味をひかれなかったこと(笑うと目元が貫地谷しほり)。トム演じるジョセフ・ゴードン=レヴィットがドラマ『glee』のシュースター先生役のマシュー・モリソンと似てるなーなんて…… トムがダメすぎる点について、家人と話し合ったのが楽しかった。

『コーマン帝国』
アレックス・ステイプルトン/2011/アメリカ
低予算映画の量産、B級悪趣味王のロジャー・コーマン。名前を知っていても人物を見るのははじめて。映画内でみんな言ってるように、とてもこんなヘンな映画を撮る監督に見えないくらい紳士。

『今宵、フィッツジェラルド劇場で』
ロバート・アルトマン/2006/アメリカ
打ち切りの決まったラジオの音楽番組最後の公開生放送の舞台裏という、ユーモアとセンスあふれるアルトマンらしい群像劇、そして遺作。ウッディ・ハレルソンやメリル・ストリープをはじめとする豪華出演陣がほんとにうまい。しかもこんなに歌が上手とは。お騒がセレブのリンジー・ローハンもいい箇所で歌を披露。緻密に構築されてるはずなのにそれを感じさせないストーリー展開のうまさ、絡みつく物語の糸が解けていくときの心地よさ、人生の様々な哀愁をさらっと見せるうまさ。おじいちゃんになってもさすがアルトマン。

『コーラス』
クリストフ・バラティエ/2004/フランス
悪ガキが合唱によって更正していくというストーリー。フランス国内で「アメリ」を抜き記録的な数字を出した大ヒット映画だそう。大人が子どもに抱く理想。子どもてそんなに素直か?とかそういう話はどうでもよくて、3000倍の競争を勝ち抜いた美声の少年役ジャン=バティスト・モニエの歌声は思わずボーイソプラノてきれいだなーとぼんやりする。監督のクリストフ・バラティエはこの作品の製作・出演もしているジャック・ペランの実の甥。しかも息子のマクサンス・ペランも出演している家族ぐるみの映画。マクサンス・ペランがねーかわいいのねー。

『コーラスライン』
リチャード・アッテンボロー/1985/アメリカ
1975年ブロードウェイでロングランを記録した大人気ミュージカルの映画版。オリジナルの舞台を知らないけど確実にオリジナルのほうがおもしろいだろうと思われる。ミュージカル映画は好きなのにわくわくしてこないんだなー。

『コーリャ 愛のプラハ』
ヤン・スビエラーク/1995
私的にはこの映画には魅力を感じず。いろんなところでかなりいい批評ばっかり聞いていたので、期待して見たのだけど、イマイチ。正直、子供もあんまりかわいくない。旧体制のチェコの状態も分かりやすいんだけど・・・。

『コールドフィーバー』
フリドリック・トール・フリドリクソン/1995
ツボにはまって泣いてしまった。フリドリクソンの映画もっと見たい。

『殺しのドレス』
ブライアン・デ・パルマ/1980/アメリカ
ブライアン・デ・パルマ好きには大絶賛の作品らしいエロティックサスペンス。エレベーターでの殺人を見た娼婦のリズが凶器の剃刀を手に取るスリリングなスローモーションシーンが印象的なのはあまりサスペンス映画を見ないから?でも上手。期待通りハラハラした。

『殺しの烙印』
鈴木清順/1967/日活
鈴木清順最後の日活映画。当時としては斬新でスタイリッシュだったと思われる映像で、カルトムービーとされる作品。難解ではないけれどストーリーに面白味が感じられなかった。

『コントロール』
アントン・コービン/2007/イギリス、アメリカ、オーストラリア、日本
ジョイ・ディヴィジョンのヴォーカル、イアン・カーティスの短い人生を綴った伝記モノ。ジョイ・ディヴィジョンに思い入れがないという(大きな)点を差し引いても、映画として伝記モノとしてあまりに焦点がバラバラで表面的に感じた。この映画を見てもイアン・カーティスの人柄にまったく魅力を覚えず、むしろ精神的にもろいうえに身勝手な人。この先がない。イアンの妻役のサマンサ・モートンて『ミスター・ロンリー』のマリリン役でも印象強かったけど、すごく質感のある女優さんで、言い過ぎかもしれないけどジュリエッタ・マッシーナを彷彿とさせる。






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