other movie's memo 2



日記からの抜粋を含め、ここ最近見た映画についての簡単なメモ。50音順。(ほぼ)画像付きのforeign movie 1 / 2 / 3 / 4 / 5 / 6 / 7 / 8 / 9 / 10 / 11 / 12 / 13Japanese movie 1 / 2 / 3 / 4 / 5 に書いてある映画は含まれていません。洋画邦画関係なし。いい映画も、時間の無駄映画もごた混ぜ。


 >> さ


『最高の人生をあなたと』
ジュリー・ガヴラス/2011/フランス、ベルギー、イギリス
老いを感じ始め熟年離婚の危機にある夫婦。マスカラするにしても老眼鏡をかけないといけないし、アクアビクスではリズムに乗る若い女の子たちにまったくついていけないし、イザベラ・ロッセリーニがそんな妻を演じてます。還暦間近、体格に貫録はあるもののそれも込みで美人でキュート。さすがー

愛を再確認するのに当然(すてきな)セックスシーンがあるわけだけど、こういう年齢を問わない外国の肉食ぽい感じはいいなーと思います。

『最後の賭け』
クロード・シャブロル/1997/フランス
イザベル・ユペールxミシェル・セローの詐欺師二人組の物語。洒脱で大人のひねりのあるサスペンスコメディ。歳をとればとるほどおもしろく味のある映画として見られる気がします。

『最後の盗み』
イジィ・バルダ/1987
no text

『サイダーハウス・ルール』
ラッセ・ハルストレム/1999/アメリカ
この映画の予告編が良かったので見た。泣いたけど、でも、映画見た後暗くのしかかる感じがした。予告編でやられた「奇跡の海」を思い出した。

『サイレンス』
モフセン・マフマルバフ/1998/イラン、フランス、タジキスタン
なぜベートーベンの交響曲「運命」にこだわったのか不明。ナデレーのさくらんぼのイヤリングはとてもかわいい。

『ザ・ガーデン』
イシュトヴァーン・オロス/1993/ハンガリー
ハンガリアン・アニメーション。あんまり見たことのない手法の絵でおもしろいけど若干眠気が・・・。

『サガン -悲しみよ こんにちは-』
ディアーヌ・キュリス/2008/フランス
フランソワーズ・サガンの栄光、ドラッグ、酒、男の波瀾万丈の人生を描いた伝記映画。よくある感じの内容で誰かの伝記モノと内容が混同しそう。こういう人生は物語になりやすいのかもしれないけど共感は薄く感情移入しにくく微妙。へんな邦題になってるけど『サガン』だけで分かるのでは?

『さくらん』
蜷川実花/2007
蜷川実花の監督デビュー作品、安野モヨコの同名コミックを映画化。土屋アンナ主演。土屋アンナのハスキーボイスをずっと聞いてるのはちょっと辛い。見所は木村佳乃と菅野美穂の濡れ場。

『桜桃の味』
アッバス・キアロスタミ/1997
キアロスタミって、ドキュメンタリーなのかフィクションなのか迷ってしまう。境目がわからない。この作品は語れるほど形が見えなかった。私の感性の問題。「すばらしい」という言葉は出てこない。それ言ったらウソツキだ、私。

『叫』
黒沢清/2007
黒沢清はひさしぶり。あきらかに怖そうなタイトルにびくびくしながら見る。幽霊役が葉月里緒奈なのだけど見ている側としては「葉月里緒奈」だと分かっているせいであまり恐怖感がなくなるのがもったいない感じがする。どうせなら知らない人のほうが絶対こわい。小西真奈美はなにを見ても同じ演技をするので少々食傷気味。黒沢清の映像は好みなはずなのになぜか飽きるのはどうしてだろう。ラストの解釈を誰か教えてほしい。黒沢清3:観客7くらいで観客に投げすぎ。深読みすべきなのか悩む。

『叫び』
イシュトヴァーン・オロス/1995/ハンガリー
ハンガリアン・アニメーション。あんまり見たことのない手法の絵でおもしろいけど若干眠気が・・・。

『細雪』
島耕二/1959/大映
幸子姉ちゃん役の京マチ子はどちらかといえば鶴子姉ちゃんで、きあんちゃん役の山本富士子もこいさん役の叶順子もなんだかちょっと歳がいってて全体的に華がなく、話も勝手に変わってたりはしょりすぎだったりこれは"谷崎潤一郎の『細雪』みたいな話"のような。市川崑版『細雪』のほうがキャストもストーリーもすべてが断然いい。

『さすらい』
ヴィム・ヴェンダース/1976/西ドイツ
見た時期が悪かった。感情移入できず。ただやっぱり男同士の貧乏気まぐれ旅には個人的に共感も覚えないし趣味でもない。

『さすらいの女神(ディーバ)たち』
マチュー・アマルリック/2010/フランス
だいすきマチュー・アマルリックの監督・主演作品!

邦題とDVDジャケがダサいのが非常に残念だけれど、マチュー・アマルリック得意の、悲しみを背負ったクセのある情けない男という役柄が冴えてます。女性が守りたくなる現代のフランス男の代表。ゲンズブール的なかっこよさ(背も低いし)。純粋なかっこよさから入ったものの、見れば見るほど味のあるマチュー・アマルリック。いいわー。



キャバレーから発展した“ニュー・バーレスク”と呼ばれるバーレスクの進化形の舞台は、厚塗りの化粧でたっぽんたっぽんした肉体でゴージャスでセクシーなダンスを披露する30代40代であろう彼女たちが舞台に立ったとたん超魅力的に。女性の美しさや魅力はスレンダーな肉体にあるわけじゃないのがよく分かる素敵な女性たち。

音楽のセンスもよく、マチューも物語もすてきで、楽しい作品でした。

『サタデー・ナイト・フィーバー』
ジョン・バダム/1977/アメリカ
ダンスシーンが有名な作品だけれど、青春ドラマとしていい話。トニー(トラボルタ)が優しい。

『殺人の追憶』
ポン・ジュノ/2003/韓国
韓国の大ヒットメーカー・ポン・ジュノの映画。2時間刑事ドラマ気分。ぼんやり見てても単純明快わかりやすい。おもしろくもなくつまらなくもない、うっかり2時間見てしまったよ的な映画。

『Sad Movie <サッド・ムービー>』
クォン・ジョングァン/2005/韓国
製作の意味が分からないまったく泣けない映画。これほどつまらないとは。

『サトラレ』
本広克行/2001
安藤政信主演。安藤政信かっこいい。でも彼が出てなかったらどうでもいい映画。あざとい泣かせ方が妙にしらける。八千草薫が好演。主題歌に藤原ヒロシが絡んでいて、はーん、てな気分。

『サニー 永遠の仲間たち』
カン・ヒョンチョル/2011/韓国
韓国で大ヒットした笑いあり涙ありの女の子たちの青春物語。

80年代がぎゅっとつまった音楽や当時の韓国テイストも楽しみにしてた映画なんだけど、その期待を裏切らずおもしろかったです。最後はうまいこといきすぎなんだけどありかなーとも思います。

Boney Mの「Sunny」がフルで聞きたくなるよー

『砂漠は生きている』
ジェームズ・アルガー/1953/アメリカ
1953年度アカデミー長編記録映画賞、1954年度カンヌ映画祭特別賞受賞作品。砂漠という過酷な環境の中で動植物達は力強く生きている。製作にはウォルト・ディズニーがかかわる。50年前にとった映像とは思えない。ディズニー映画の根源であろうと思う。

『ザ・ビーチ』
ダニー・ボイル/1999
ディカプリオ主演。面白くないです。

『サボテンさん、ちょっと』
ガリク・セコ/1986/チェコ
no text

『サマーウォーズ』
細田守/2009
細田守でキャラクターデザインは貞本義行、マッドハウス製作。日本のアニメーションすごいわーと思いながら見てました。おもしろかった。あとで考えるとおばあちゃんが慕われてる理由とかそもそもおばあちゃんがあまり魅力的に感じられないとか、ワビスケがそこまでおばあちゃんに執着する理由とか各所の描写が弱いけど、OZのバーチャル世界の描き方は楽しかったし勢いとテンポがよくて押し切られた感じ。ケンジ役の神木くんの声はいいわあ。

『ザ・マジックアワー』
三谷幸喜/2008
豪華なセットに豪華な俳優陣。「THE 有頂天ホテル」に通じるけど「THE 有頂天ホテル」にほうがテンポがあっておもしろかったような。

『サマリア』
キム・ギドク/2004/韓国
援助交際をする女子高生をキム・ギドクが撮りました作品。父親の復讐シーンより、ヨジンとジェヨンの部分がもう少し見たかった。キム・ギドク得意の人間の本質や罪、愚かしさという部分では比較的分かりやすい。ちなみに「サマリア」とは聖書に登場する名もなきサマリア人の女性のことで、"罪の意識のために隠れるように生きてきたが、イエスと出会い罪を意識することで生まれ変わったように信心深く生きた人物"なんだそう。ところで、他人に「お酒でもどうですか」と誘われてついていったり、他人を家に入れてから「どちら様?」と聞いたり、韓国の人て他人に対して間口が広い人が多いんだなあと思った。

『サムサッカー』
マイク・ミルズ/2005/アメリカ
親指を吸う癖=サムサッキングというらしい。17歳になっても指しゃぶりがやめられない少年の話。思春期の少年にあまり萌えないので、思春期らしい躁鬱加減はリアルなのかもしれないけど、全体的にマイク・ミルズで平坦で淡白でこぎれいな映画。

『鮫尻男と桃尻女』
石井克人/1998
特にどうでもいい映画。冒頭の話の引用はまあまあ。

『SAYURI(Memoirs of Geisha)』
ロブ・マーシャル/2005/アメリカ
花柳界のことはよく知らないけど、チャン・ツィイーやコン・リーの、芸者としての着物の着方きたなくない?目上の人に礼儀なさすぎでは?とんとん拍子で進んで芸者さゆりの苦労が見えない。チャン・ツィイーは嫌いではないけど、伝説の芸者(こういう表現好きね)としてはがりがりの痩せすぎでパンチなさすぎ。芸者役としては魅力半減以下。
引き合いに出すのもはばかれるような気がするけど溝口健二の『祇園囃子』や『祇園の姉妹』の花柳界は知らないなりに台詞も含めて細部の細部まですごい完璧に見える映画で、『SAYURI』を見てしまうとなんだか下品で軽くて伝統とか文化とかあーーー!とか突如日本人としていろいろ言いたくなる映画。

『さよなら。いつかわかること』
ジェームズ・C・ストラウス/2007/アメリカ
イラク戦争に出征していた妻の突然の訃報。おかあさんなら泣けます。ただエンドロールで流れる歌が説明調というか(クリント・イーストウッド作らしい)なんかものすごく興ざめで残念。邦題もいかがなものか。

『さよならCOLOR』
竹中直人/2004
普通に面白く見た。ヒロインは原田知世。竹中直人は何に出てても竹中直人。

『さよならコロンバス』
ラリー・ピアース/1969/アメリカ
the associations の主題歌"goodbye,clumbus"が流れる冒頭。まったくリアルタイムではないけれど懐かしい。安っぽい海外ドラマといったトコ。

『さよなら、さよならハリウッド』
ウディ・アレン/2002/アメリカ
映画界の内幕モノ、軽いノリの恋愛ドタバタコメディ、で、ウディ・アレンときたらなんだかもう想像がつく。私はこの作品いまいちなんだけど、ウディ・アレンのファンていつもの調子のウディ・アレンを見て安心して面白いと思うのかな。かるーいハッピーさがウケてる?

『さよならみどりちゃん』
古厩智之/2004
南Q太原作のコミックを古厩智之(『まぶだち』が良かった)が映画化。主演の星野真里という女の子が全裸になってがんばってるのでピンク映画とかのひとなのかなーて思ってたら普通の女優さんだった。体当たりだ。南Q太ぽい雰囲気が生きてるし古厩智之ぽくもあるし成功といえば成功なんだろうけど、いい加減こういうヤッたヤラない元カノ元カレほんとに人を好きになったことある?話は縁遠くて共感できなくなってしまったよ。

『さよならをもう一度』
アナトール・リトヴァク/1961/アメリカ
フランソワーズ・サガンの小説『ブラームスはお好き』の映画化。ブラームスの交響曲第三番がメロドラマをメロドラマらしく盛り上げる。イングリッド・バーグマンは「カサブランカ」期にくらべると当然少々むっちり。イングリッド・バーグマンへのアンソニー・パーキンスの恋のアタックはほぼストーカー行為。モテモテのイヴ・モンタンを見て外国ではこういう男の人が絶大にモテるのを再確認。

『サラエボの花』
ヤスミラ・ジュバニッチ/2006/ボスニア・ヘルツェゴヴィナ
2006年ベルリン国際映画祭金熊賞受賞作品。ボスニア・ヘルツェゴヴィナの首都サラエボに住む母娘。民族や宗教がからみあう紛争の影にある悲劇。戦争が終わっても人々の心の平和は遠いというお話。テーマはとても重いです。

『ザ・ラトルズ』
ボンゾ・ドッグ・バンドのニール・イネス率いる究極のビートルズ・パロディバンド、ラトルズの映画。本物のジョージやミック・ジャガー。出演者は豪華だけど、エリック・アイドルのナレーションやテリー・ギリアムのアニメはモンティパイソンを思い出す。ビートルズを良く知ってる人ほど楽しめる。

『サルサ!』
ジョイス・シャルマン・ブニュエル/1999/フランス=スペイン
単純に見てて楽しい映画。コンクールでレミがショパンの曲をやめ、サルサの曲を弾くシーンが痛快。話自体はどうでもいいけれど、久しぶりに楽しい映画を見た気がした。楽器が弾けるというのは素晴らしい。踊れるというのは素晴らしい。人生は歌って踊って楽しい方がいい。

『サルトルとボーヴォワール 哲学と愛』
イラン・デュラン=コーエン/2006/フランス
哲学者カップル、サルトルとボーヴォワールの物語。タイトルにある哲学とあるけれど、そんなむずかしい話ではなく、ボーヴォワールの視点から時代の先駆けともいえるふたりの契約結婚(事実婚)の葛藤を描いています。際立つサルトルの女癖の悪さと上から目線。女性哲学者の道を切り開いたボーヴォワールは、サルトルほど人生を謳歌しているように感じられないのが切ない。でもそのサルトルとの契約結婚生活で奮起した感じもします。

本当のサルトルやボーヴォワールの写真を見るとサルトル役のロラン・ドイチェもボーヴォワール役のアナ・ムグラリスもわりと似ていておもしろい。

『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』
ウェス・アンダーソン/2001/アメリカ
作風もテンポも目新しくない。

『ざわざわ下北沢』
市川準/2000
雑然として評価もしにくく、さらに下北沢に関心も興味もない私にとってはわりと退屈な映画。フジ子・ヘミングが出演しているため見た。

『3月のライオン』
矢崎仁司/1991/アップリンク配給
記憶をなくした兄の前に恋人として現れる妹。兄とのはじめてのキスに躊躇する。身体を売る妹にとって、身体の関係なんて希薄なものなのに、大好きな兄に恋人として抱かれる。記憶を取り戻した兄は苦悩するが、それでも妹を恋人として抱く。タブーな愛じゃなくて、純愛なんだな、すごく。「どうしたら、愛し合ったまま年がとれるの?」という妹の問いがかわいい。ベタベタな話なわりに、見れるのは映像がきれいで凝ってるからかな。これってちょっと少女漫画の世界。石井聰互監督や山本政志監督も友情出演なのか?出てる。この辺りの監督さん達はつながりがあるのかな。

『サン・ソレイユ』
クリス・マルケル/1982/フランス
『ラ・ジュテ』(1962-64)を撮った監督。日本のことをよくご存知。未見だけど『不思議なクミコ』(1964)を撮った監督だと後ほど知って、納得した。

『三年身籠る』
唯野未歩子/2005
中島知子主演。もうちょっとコメディかと思ってたのだけど中途半端な感じ。

『3人のアンヌ』
ホン・サンス/2012/韓国
イザベル・ユペールが韓国映画に出演してる?と思って見た作品。3人の違うアンヌをイザベル・ユペールが演じるんだけど、いつものオーラをまとったイザベル・ユペールではなくかなり軽やかな女性をそれぞれ演じてます。

ホン・サンスの映画はたぶんはじめて。不細工でぎこちない感じの、こういうスタンスの映画は見続けるとハマっていくのかも。ヴァカンスで訪れた街モハン(芽項)をすべて曇り空、もしくは雨の日に撮影して、絵的な魅力を削いだのもあきらかに意図的。男と女と焼酎とモハンと海辺の宿。すべてにリンクするアンヌの3話。

とはいえ刺さりそうで他者を寄せ付けないイザベル・ユペールのほうが好み。


 >> し


『しあわせ』
クロード・ルルーシュ/1998/フランス、カナダ
他作品と較べると弱いかもしれない。けれど私はA・マルティネスの踊りも含めて好き。不幸の前のしあわせならはじめからなかったほうがよかった、とは思いたくないから。

『幸せになるためのイタリア語講座』
ロネ・シェルフィグ/2000/デンマーク
これもドグマ95作品。30代の男女6人のすっきりまとまるカップリングがいい。ただドグマだからどうという映画でもないような。

『幸せになるための27のドレス』
アン・フレッチャー/2008/アメリカ
想像以上におもしろくないラブコメ。キャサリン・ハイグルの顔て好みじゃないせいかあまり魅力的に思えない。

『幸福のスイッチ』
安田真奈/2006
上野樹里主演。電器屋を舞台にしたハートフルな小作品。常に不機嫌で愛想のない上野樹里の役どころ。キュートで愛らしい役でないのが逆に好感。三女役の中村静香のキャラクターがドラマ『夫婦道』の本仮屋ユイカとかぶってて、はじめ本仮屋ユイカかと思った。

『しあわせのパン』
三島有紀子/2011
原田知世、大泉洋主演。東京から洞爺湖のほとりに移り住みカフェ『マーニ』を営む夫婦役。原田知世はみんなが期待する原田知世でブレンディそのままでかわいらしい。

昨今のスローライフ系映画群のなかではドラマ性もあってそんなにぼんやりした気持ちにならずに最後まで観賞。画面の色を飛ばしすぎで、せっかくの北海道の四季折々の風景、原田知世の顔の色まで飛んでしまっててもったいないのでは。

『しあわせの法則』
リサ・チョロデンコ/2002/アメリカ
優等生カップルがちょこっとハメをはずす話。とても退屈な映画。

『幸せはシャンソニア劇場から』
クリストフ・バラティエ/2008/フランス、ドイツ、チェコ
こういう映画の期待度は普通の映画よりも高いため、涙あり笑いあり、という期待に対して盛り上がりに欠ける気がした。同じ路線でもっとよい作品があるため少し辛い。

『幸せパズル』
ナタリア・スミルノフ/2010/アルゼンチン、フランス
平凡な主婦がジグソーパズルの才能に目覚めていくという、ちょっと不思議な物語。

その彼女の50歳の誕生日から物語ははじまるんだけど、50歳を過ぎてるというのにベッドシーンの多いこと多いこと。夫とばかりでなくパズルで知り合った男性とも。パンをこね、おいしそうなローストチキンを切り分ける冒頭、どちらかというとほんわか系の映画なだけに、なかなか意外なスパイスが入ってるのに好感。

『幸せはパリで』
スチュワート・ローゼンバーグ/1969/アメリカ
ジャック・レモン、カトリーヌ・ドヌーブ主演。ダブル不倫の駆け落ち先はパリという話。コメディタッチの映画にカトリーヌ・ドヌーブがなんだか重い。

『ジェイン・エア』
フランコ・ゼフィレッリ/1996/イギリス
シャルロット・ゲンスブール演ずるジェインの子ども時代の役、アンナ・パキンがすごくいい。大好きな友達とのお別れのシーンは涙を誘う。常に感情を押さえようと、強くあろうとするジェインの気持ちが痛いくらい重なる。愛する人が別の人と幸せそうである時にひとり涙を流すけれど、教会で結婚破棄になった時は涙を流さなかった。愛しているのに、なぜ泣かなかったか。女性なら分かるはず。

『ジェネシス』
ヤナ・メルグロヴァー/1966/チェコ
人間が出来上がる様子のパペットアニメ。

『シェフと素顔と、おいしい時間』
ダニエル・トンプソン/2002/フランス
ジュリエット・ビノシュとジャン・レノ主演。ほぼ空港かホテルの部屋といういわゆるハコのなかで物語が進むのはフランス映画らしく、それは別にいいのだけどそういう設定にはもう飽きたと思わせる、軟弱な作品。気の抜けるエリック・セラの音楽もどう聴いてもダサい。横浜フランス映画祭2003のオープニング作品で話題だったころから見てみたかったけれど、超期待ハズレ。

『潮騒』
森永健次郎/1964/日活
三島由紀夫の原作を読んだことはなく、吉永小百合&浜田光夫ということで『キューポラのある街』を思い出しつつ純愛物語なんだろなーと思ったら純愛物語でした。三島由紀夫でなんかこれだけ青春純情物語というのもちょっと不思議。原作はどんな感じなのかな。しかし19歳の吉永小百合が初々しすぎる。

『視角の外』
パヴェル・コウツキー/1987/チェコ
こうやって作ってるんだなあ、と思わせるパペットアニメ。面白さ的にはあまり。木彫りの男の子。

『シカゴ』
ロブ・マーシャル/2002/アメリカ
大ヒットミュージカル映画。ミュージカルは楽しければそれで十分。

『4月の涙』
アク・ロウヒミエス/2009/フィンランド、ドイツ、ギリシャ
1918年、内戦中のフィンランドが舞台。白衛軍の勝利は色濃く、市民兵中心の赤衛 軍の女性部隊は捕らえられ白衛軍の兵士たちに強姦された上釈放と見せかけ逃げる ところを銃殺。そこでたったひとり生き延びた女性リーダーと真摯な対応を取れる 白衛軍准士官との悲恋物語。この設定だけで終わらないのが、この作品のいいとこ ろ。裁判をするために裁判所でエーミル判事と出会うのだけど、このエーミル判事 がおかしい。捕虜の処刑を続けていくうちに精神的にキてることやかつての文豪知 識人の孤独や性癖が徐々に明らかになっていく。

原題の「kasky」はフィンランド語で"命令""掟"と意味するそうで、この男女と判事 の関係性はまさにその言葉を意味しています(邦題がいまいちすぎる……)。内戦と いう同胞を殺戮する悲惨さや容赦ない暴力、男も女も信念を貫こうとしていること を描き、なおかつラストで救いがあり、過剰に盛り上げたりすることもなく淡々と 描いたことで伝わるものがある案外深い作品。

『四月の雪』
ホ・ジノ/2005/韓国
ヨン様の昼メロ映画。モムチャン!

『四月物語』
岩井俊二/1998/ロックウェルアイズ
私も田辺誠一を「センパイ!」なんて呼んでみたい。

『子宮の記憶 ここにあなたがいる』
若松節朗/2006
タイトルへんすぎる。松雪泰子も柄本佑もいいけど、赤ん坊の頃自分を誘拐した犯人(松雪泰子)を東京から沖縄までどうやって探し当てたの?松雪泰子を自分を愛してくれた疑似母親と妄想する高校生男子のメルヘン?

『地獄の黙示録』
フランシス・フォード・コッポラ/1979/アメリカ
ウィラード大佐演じるマーティン・シーンが一瞬誰だか分からなかった。痩せてるマーティン・シーンて久しぶりに見た。思ってたよりストレートな作品。見ていると戦争自体に悲しくなる。戦争を題材にした映画なら私は『M★A★S★H(MASH)』のほうが断然好き。

『四十九日のレシピ』
タナダユキ/2013
『百万円と苦虫女』『ふがいない僕は空を見た』もおもしろかったタナダユキ作品なので鑑賞。毎回思うのは予想よりおもしろいということ。タイトルやタイトルから連想するストーリーなど、受ける印象がそんなにぱっとしないのに、いつも予想よりおもしろい。タナダユキの作品はいつもなにかしら心に残るシーンやセリフやエピソードがあって、それってなかなか案外すごいことです。

家族の再生がテーマ。たまたま『私という運命について』というテレビドラマを見てたせいで永作博美づいてる気がします。最後の突然のおばさんとの和解のフランダンスが唐突すぎて謎。しかし不思議イモちゃんを演じた二階堂ふみがいい!最初二階堂ふみだとは気付かなかったー

『詩人、愛の告白』
シルヴィ・ヴェレイド/2012/フランス、ドイツ、イギリス
残念ながらピート・ドハーティを知らず、共演のシャルロット・ゲンズブールのほうに注目して観賞。シャルロット・ゲンズブールは未亡人、ピート・ドハーティは年下の面倒くさい恋人。ピート・ドハーティ演じるオクターヴは詩人だったの?映画の内容を大雑把に言うとパンチのない詩とだらだらと続くシャルロットとピートのやりとり。

『詩人 ヨーゼフ・アッティラの少年期』
コーシャ・フェレンツ/1998/フランス
短篇。多用というほど多用してないかもしれないけどズームイン、ズームアウトが気になる。白黒だからといってごまかしてる感じ。男の子美形すぎて整いすぎ。格好いい子よりかわいい子のが好きなのでせっかく子供出てるのにあんまり好きではない。陰気くさい上にしつこい。

『シーズ・オール・ザット』
ロバート・イスコブ/1999/アメリカ
お決まりのパターンの話であっても、女の子は王子様が出てくる話が好き。いつもさえない自分だけどそんな自分を綺麗にさせてくれて、自信も持たせてくれるそんな王子様。フレディ・プリンゼJr.が「ビバリーヒルズ青春白書」のブランドンとかぶる。

『静かなる一項』
アレクサンドル・ソクーロフ/1993/ロシア=ドイツ
ソクーロフの作品には映像から音を彷彿させるものがあるように思えます。実際音がなくとも音を感じます。それは実験的な音。ざわめきか、雑踏か、自然現象のような音。映画と音楽といえばJ・L・ゴダールを思い出してしまう人が多いのかもしれないけど、そういう音楽とはまた別物ですね。音に関する執着の在り方が違う。ソクーロフの場合、執着というものが皆無なのか、そのあたりはまだ分からないけれど。

『自然の歴史(博物史)』
ヤン・シュワンクマイエル/1967/チェコ
no text

『時代屋の女房』
森崎東/1983
思ってたのと違い80年代のマンガぽい話。三毛猫をかかえたちょっとキテレツで不思議ちゃん(夏目雅子)という女の子の設定がなんだかいかにも80年代。夏目雅子はきれいだけど、あの化粧がもったいないわー。どちらも若くして亡くなった沖田浩之とのツーショットはなんだか映画から思考が逸脱。

『仕立て屋の恋』
パトリス・ルコント/1989/フランス
"僕たち"のしあわせを夢見ていた男への女の無情な裏切り。けれどそれでもかまわない、僕はしあわせをくれた彼女が大好きだった。何回見ても泣ける作品。

『シックス・センス』
M・ナイト・シャマラン/1999/アメリカ
子役ハーレイ・ジョエル・オスメントがすごい!

『疾走』
SABU/2005
重松清の同名小説の映画化。原作を知らないのになんとなく感じる原作の雰囲気。どんどん歯車が狂っていく様。たぶんSABU監督が上手。何も知らなくて観たのでSABUワールドを期待してたけどこれはこれでいいような。でもオリジナル脚本のが好き。中谷美紀がかっこいい。

『シド・アンド・ナンシー』
アレックス・コックス/1986/イギリス
セックス・ピストルズのベーシスト、シド・ヴィシャスの破滅的なパンク人生。光の階段から降りてきて「マイ・ウェイ」を歌うシーンにちょっと泣けてしまった。自分の生きたいように生きる。

『死ぬまでにしたい10のこと』
イザベル・ヘコット/2002/スペイン、カナダ
批判されやすそうな分かりやすい映画でドラマ映画的なこの作品は意外と好き。まともな意見がそんなにこの映画に必要?

『しのび逢い』
ルネ・クレマン/1954/フランス
超ダメ男の主人公はジェラール・フィリップ。ジェラール・フィリップばりの美男子でダメ男だとなぜか相当ダメに感じられる不思議。あーそれならジャン=ピエール・レオの演じるダメ男のほうが愛嬌があるというか(ジェラール・フィリップ様級ではないから)、あ、だからジャン=ピエール・レオて人気があるのかな、と思ったりした(庶民ぽくて)。

『シベリアの理髪師』
ニキータ・ミハルコフ/1999/フランス、ロシア、イタリア、チェコ
ロシアの殺伐とした広大な大地を上手に撮る監督だと思っていたニキータ・ミハルコフの本作品はいまいち。ほぼロシアでの物語であるにもかかわらず英語劇であることに違和感。タイトルと物語の不一致。

『時報映像』
トニー・ヒル/1990/イギリス
ピッピッというデジタル時計の秒針の音にあわせて、鐘がゴーンとなる。だからなに作品。

『シモンの空』
ウルスラ・メイエ/2012/フランス、スイス
テーマはとても普遍的で、切ないし重いしなかなかヘビーな作品。

12歳の少年シモンを演じたケイシー・モッテ・クラインが若かりし頃のトム・ヨークぽい。これからもふたりの関係に変化はないかもしれないし、もしかしたら変化はあるかもしれない。でも少しだけ希望のあるラストは上手。

『シムソンズ』
佐藤祐市/2006
加藤ローサ、藤井美菜、高橋真唯、星井七瀬、かわゆい女の子たちの笑いあり涙ありの青春カーリング映画。単なるアイドル映画以上のしっかり楽しい王道映画。

『下妻物語』
中島哲也/2004
面白い!深田恭子も土屋アンナもキュートすぎ!

『ジャイアント・ピーチ』
ティム・バートン/1996
CG。つまらん。こういうの。ナイト・メア〜みたいのしてほしいのに。

『JAZZ SEEN カメラが聴いたジャズ』
ジュリアン・ベネディクト/2001/ドイツ
フォトグラファー、ウィリアム・クラクストンの半生を綴ったドキュメンタリー。ヘルムート・ニュートンとの対談が面白い。このドキュメンタリーの中に一部出てくる、ルディ・ガーンライヒとペギー・モフィットと製作したファッション映画『BASIC BLACK』(もちろん監督はウィリアム・クラクストン)。すごいアヴァンで面白そうな内容。全部見てみたい。

『ジャスミンの花開く』
ホウ・ヨン/2004/中国
茉(モー)、莉(リー)、花(ホア)、それぞれ茉莉花(ジャスミン)の名前の一部をつけられた3世代の母子の不幸の連鎖物語。チャン・ツィイーとジョアン・チェンが一人三役。チャン・ツィイーはそれなりにがんばってる気もするけどアイドル顔なためどうしても損をする女優さん。撮影監督だった『初恋のきた道』でも思ったけど監督のホウ・ヨンはよっぽどチャン・ツィイーが好きなんだろうなーと思う。長すぎるチャン・ツィイーの歌唱シーンて必要?ちょっとやりすぎ感の否めない雨の中野外で出産てどうなの?基本地味な映画なのだけど彼女をキレイに撮りすぎて面白くないわけじゃないのに深みが足らなくてもったいない感じ。

『ジャック・ドゥミの少年期』
アニエス・ヴァルダ/1991/フランス
妻(アニエス・ヴァルダ)が夫(ジャック・ドゥミ)を撮った映画。映画好きの少年の生活に数々の名作映画のシーンを重ねたり、短編アニメーションを上映するシーンが好き。そういえばジャック・ドゥミ『シェルブールの雨傘』(1964)は見たことがなく、とても見たくなった映画。

『シャドー・ガーデンへの道 The Way to Shadow Garden』
スタン・ブラッケージ/1954
無音でないブラッケイジの作品。ドラマ性高い。

『シャネル&ストラヴィンスキー』
ヤン・クーネン/2009/フランス
ボーイが事故死した後の物語なので『ココ・アヴァン・シャネル』の続編のよう。シャネルとストラヴィンスキー、ニジンスキーやマシーン、事実に基づいて出てくる名前はわくわくするのに映画としてはとても残念。

『しゃべれども しゃべれども』
平山秀幸/2007
国分太一、香里奈主演。落語家と不器用な生徒たちの交流物語。安定した物語という意味でおもしろい。キネマ旬報なんかだと好感度高いのかなーという感じ。

『Jam』
チェン・イーウェン/1998/台湾
エドワード・ヤンのところで働いていたというチェン・イーウェン。しかし魅力が感じられない映画。エドワード・ヤンも引き合いに出されたらかわいそう。

『Jam Films』
北村龍平、篠原哲雄、飯田譲治、望月六郎、堤幸彦、行定勲、岩井俊二/2002
『the messenger -弔いは夜の果てで-』『けん玉』『Cold Sleep』『Pandora -Hong Kong Leg-』『HIJIKI』『JUSTICE』『ARITA』の『Jam Films S』より以前の7つのショートストーリー。山崎まさよし&篠原涼子の『けん玉』だけいい感じ。

『Jam Films 2』
小島淳二、高橋栄樹、井上秀憲、丹下絋希/2003
『机上の空論』『CLEAN ROOM』『HOOPS MEN SOUL』『FASTENER』、4つのショートストーリー。面白くない。

『Jam Films S』
薗田賢次、高津隆一、石川均、手島領、阿部雄一、原田大三郎、浜本正機/2004
『Tuesday』『HEAVEN SENT』『ブラウス』『NEW HORIZON』『すべり台』『α』『スーツ-suit-』7つのショートストーリー集。『すべり台』でデビューした柄本時生は柄本明の息子。写った瞬間あまりのそっくりぶりにウケた。

『Shall we ダンス?』
周防正行/1995/大映
楽しい映画。家族で見れる。

『シャルロット・フォー・エヴァー』
セルジュ・ゲンスブール/1986/フランス
うーん、うーん。となる映画。

『車輪の歴史』
トニー・ヒル/1992/イギリス
タイトル通り"車輪の歴史"。車輪の動きにあわせて動くカメラ。見てる視点を変えると目がぐるぐるまわる。

『シャーロットのおくりもの』
ゲイリー・ウィニック/2006/アメリカ
主役のシャーロットってダコタ・ファニングか子ブタだと思ってたらかわいくないクモだった。話が大雑把なのと意図がよく分からなくて退屈。原作はおもしろいのかな?

『ジャンクフード』
山本政志/1998
クソみたいな映画。だから「ジャンクフード」か。

『ジャンヌ 愛と自由の天使』
ジャック・リヴェット/1994/フランス
ジャンヌ・ダルクの生涯を綴った2部作の第1部。歴史モノを作らせてもジャック・リヴェットだと分かるのはジャンヌ・ダルクを英雄としてではなく終始女性として描いている視点かも。ただジャンヌ・ダルクについてそれほど興味があるわけもなく映像としてカール・ドライヤー『裁かるゝジャンヌ』のほうが私は好き。

『ジャンヌ・ダーク』
ヴィクター・フレミング/1948/アメリカ
イングリッド・バーグマン主演、2時間半のオリジナル版を観賞。イングリッド・バーグマンの熱演はよく伝わってくるけど、ながい……

魔女として火刑に処せられるジャンヌ・ダークは19歳なのに、イングリッド・バーグマンがとても19歳の少女には見えず、少女だという先入観があるととても違和感。同じイングリッド・バーグマンならロベルト・ロッセリーニ「火刑台上のジャンヌ・ダルク」(1954)のがおもしろいのかなーと思ったけど、これはロッセリーニと一緒になったあとだからこっちのがさらに年齢が上。ジャンヌ・ダークという役にこだわったのかもしれないけど、さすがに19歳の少女役は……。

カール・Th・ドライヤー『裁かるゝジャンヌ』(1928)は途切れない緊張感とジャンヌ演じるファルコネッティの神々しさは異彩すぎてジャンヌ・ダークを題材とした映画のなかでも最高傑作。ジャック・リヴェット『ジャンヌ 愛と自由の天使』『ジャンヌ 薔薇の十字架』(1994)も女性視点で描いてるのがよかった。ロベール・ブレッソン『ジャンヌ・ダルクの裁判』(1962)は見たことないのねーブレッソンのはやっぱり見たいなーと、ヴィクター・フレミングの映画を見ながらぼんやり考えてました。しかしジャンヌ・ダークの物語は女性としていろいろ想像してしまい、火刑以外もいろいろしんどくて体力あるときでまないとなかなか見れません(フレミングのこの映画は長いけどわりと普通に見れます)。

『ジャンヌと素敵な男の子』
オリビエ・デュカステル/1998/フランス
これはつまんない……

『上海から来た女』
オーソン・ウェルズ/1947/アメリカ
世界中の人から数え切れないほど言われてるんだろうけどリタ・ヘイワースきれいすぎる。「ギルダ」同様アンドロイドのように美しい。チャイナタウンでの京劇の挿入や有名なラストの遊園地での鏡の演出はおもしろいけど、いかんせんストーリーが飛んでいて(公開前に60分もカットされてるとか)いまいち緊迫感がなく入り込めなかったのが残念。

『シャンプー』
ハル・アシュビー/1975/アメリカ
ビバリー・ヒルズの有閑マダムとの情事に忙しい日々を送るカリスマ美容師ウォーレン・ベイティ。若いゴールディ・ホーンがバービー人形のよう。若輩モノなのでハル・アシュビーの面白さがいまいち分からず。

『シャンボンの背中』
ステファヌ・ブリゼ/2009/フランス
淡々と描かれる不倫の恋。恋は決して実らなかったのに、不思議に静かなハッピーエンドになるのはフランス映画の力。が、淡泊すぎる。

旦那が自分を抑えなさすぎる。奥さん妊娠中に息子の先生はあかんやろ。

『ジャン・ルノワールの小間使の日記』
ジャン・ルノワール/1946/アメリカ
亡命していたアメリカでジャン・ルノワールが撮った日本未公開作品が放送されていたのでチェック。パリからやってきてメイドに雇われたセレスティーヌのどたばた劇。『フレンチ・カンカン』(1954)を筆頭に『黄金の馬車』(1953)、『ゲームの規則』(1939)、ジャン・ルノワールに関してはもっともっと楽しくてすばらしい映画を知ってるためになかなか期待以上というわけにはいかず。

『11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち』
若松孝二/2011
三島由紀夫に井浦新、山口二矢にタモト清嵐、福岡喬一尉に地曵豪、おなじみの若松組の顔ぶれで『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)』(2007)を思い出してなりません……。地曵豪に総括されそう。連合赤軍は極左、11.25は極右の作品とはいえ、若者が純粋にのめりこむ姿は似ています。

満島ひかりの弟で梅ちゃん先生に山倉真一として出演していた満島真之介が森田必勝役でがんばってます。冒頭は山倉さんの面影が離れなかったものの、だんだん森田必勝へ。

三島由紀夫が同性愛者だったことを示唆するシーンとして、森田必勝が三島由紀夫を献身的すぎる眼差しで見つめる傾倒した姿や、「楯の会」メンバーでサウナで密談するという耽美的なシーンが多くあります。「楯の会」のぴしっとした軍服や規律はまさに三島の美意識。連合赤軍同様、特定の誰かに入り込みすぎず出来事を淡々と描いていきます。壮絶だったであろう三島の切腹、その後の古賀浩靖による介錯(切腹人の首を刀で斬り落とし本人を即死させること)についてはちょっと美しすぎて、若松孝二ならもう少しグロテスクな感じにもできたんじゃないかなとも思いました。

若松孝二が政治的な映画を撮るたびにそれに絡んだ事件を調べて当時の時代を知る、こういう作業はとても好き。

『シュウシュウの季節』
ジョアン・チェン/1998/アメリカ
「涙がとまらなかった。」(坂本龍一) ←うそつき! シュウシュウがあまりにかわいそう。こんな風に女になったらいけない、こんな風に諦めさせてはいけない。「身体しかないのよ」とシュウシュウは言う。身体を差し出した代わりに失ったものは多いだろう。ラオジンとの愛が本当の愛? 本当にそう思う? なんだかそれは笑ってしまうよ。

『12月のかくれんぼ』
伊藤高志/1993/日本
はじめて見た伊藤高志作品。ホームビデオの延長上、ではなかった。

『重力ピエロ』
森淳一/2009
加瀬亮と岡田将生目当てで見たのに思ったよりおもしろかった。加瀬亮も岡田将生もこういう役は当たり役。やさしい父親、やさしい母親、やさしい兄、それと素直な弟が構成する最強の家族。

『出発』
イェジー・スコリモフスキ/1965
主役のジャン・ピエール・レオがかわいい。ユーモラスでお洒落。楽しい時間は終わってしまうから楽しいんだって。この映画のパンフレットに柳下毅一郎が文章を寄せていて、ちょっと意外。そうでもないのかな。

『シューティング・スター』
グレアム・ギット/1997/フランス
メルヴィル・プポーの無精髭の似合わない事、情けない事!おかしい、メルヴィル・プポーの美形青年イメージがどんどん崩れてくる。美形で売ってる方が好きなのに。

『ジュ・テーム・モア・ノン・プリュ』
セルジュ・ゲンズブール/1979/フランス
ジェーン・バーキン迫真のうしろの処女喪失。

『シュヴァルツェヴェルト氏とエドガル氏の最後のトリック』
ヤン・シュヴァンクマイエル/1964/チェコ
原題「Posl edni trik pana Schwarzewaldea a pana Edgara」。「ファウスト」「ドン・ファン」同様の人形が登場。

『10月の奇跡』
ダニエル・ベガ・ビダル/2010/ペルー
ペルーの映画てほとんど印象にないかも。製作国ペルーのみの映画を見たことあったかなー。

第63回(2010年)カンヌ国際映画祭 ある視点部門審査員賞を受賞した作品。物語は、貸金業者の男性のところへ、娼婦との間にできた赤ちゃんが置いていかれるところから動き出します。全体的なトーンはカウリスマキ風。ただ、首都リマで毎年10月18日-19日に行われる「セニョール・デ・ロス・ミラグロス(奇跡の主)」と呼ばれる聖画像を戴いた御輿が市内を巡行する実映像を挟んだりして映像自体はカウリスマキよりは起伏に富んだ感じ。

作品名にもなってる「セニョール・デ・ロス・ミラグロス(奇跡の主)」はペルーの宗教的行事の中でも代表的なもののひとつらしく、映像を見ると御輿を囲んでものすごい人人人のパレード。こういう映像はおもしろいねー

抑えたコミカルな演出と余韻の残る作品で、味のあるまるっこいペルー女性がたくさん出てきてなかなかいい映画でした。

『17歳のエンディングノート』
オル・パーカー/2012/イギリス
ダコタ・ファニング主演なんで見た作品。末期の白血病の少女役がダコタ・ファニング。生きてるってすばらしいトゥルー・ラブ。タイトルから分かるようにイザベル・コイシェの『死ぬまでにしたい10のこと』系の人生のエンディングもの。

想像を超えないストーリーとエンディングに向かう淡々とした展開。薄幸の美少女を演じてるはずのダコタ・ファニングがちょっと健康的すぎてとても末期の白血病には見えない……

『17歳のカルテ』
ジェームズ・マンゴールド/1999/アメリカ
原作は『思春期病棟の少女たち』。ウィノナ・ライダーの色白さにほれぼれして、金髪のアンジェリーナ・ジョリーの病的な錯乱ぶりにくらくらする。不完全で甘いストーリーだからこそ少女映画なのではと思った。

『十人十色』
ヘルミーナ・ティールロヴァー/1958/チェコ
ロバがかわいい。

『16歳の合衆国』
マシュー・ライアン・ホーグ/2002/アメリカ
16歳の少年が、刹那的に恋人の自閉症の弟を殺してしまうというストーリーのインディペンデント映画。16歳の複雑な心境。断片的で瞬間的な映像から、答えのない様々な善悪、出口のない疑問や感情を上手に描いている。

『シューズショー、あるいは自分勝手な靴』
ガリク・セコ/1984/チェコ
イジィ・バルダそのもの。

『JUNO/ジュノ』
ジェイソン・ライトマン/2007/アメリカ
16歳の高校生ジュノのうっかり妊娠出産記。重くならずにコメディ路線で進み、日本にはないアメリカ的軽快さにあふれた10代で学生の妊娠話としてなかなかおもしろいけど、大ヒット映画?とちょっと不思議。

『シュリ』
カン・ジェギュ/1999/韓国
展開みえみえ。銃撃戦長すぎ。ハン・ソッキュが冷静な情報部室長役とはまた。ハン・ソッキュのイメージは小さな写真屋の主人(「八月のクリスマス」より)なんだってば。最後10分間、違う映画。

『ジュリエット・ビノシュ in ラヴァーズ・ダイアリー』
マルゴスカ・ズモウスカ/2011/フランス、ドイツ、ポーランド
援助交際をするパリの女子大生たちにインタビューをする女性記者アンヌ(ジュリエット・ビノシュ)。ジュリエット・ビノシュ含め、外国の女優さんは上手に老けていくなー。2011年で女子大生たちの援助交際のテーマて、内容的には別に衝撃的でもなくジュリエット・ビノシュの上手い演技が目立つ作品。
『情熱』
イジー・トルンカ/1961/チェコ
スピード狂の男の子の話。はじめの赤ちゃんの様子がかわいらしい。

『少女の髪どめ』
マジッド・マジディ/2001/イラン
お金を苦心したり労働している姿をうっとり眺めたりストーカー行為すれすれ。しかしすごい過酷な労働条件。

『小説家を見つけたら』
ガス・ヴァン・サント/2000/アメリカ
ミニシアター系の監督に較べると、さすがにガス・ヴァン・サントくらいになると作品の盛り上げ方がとても上手。その盛り上げを一定時間引っ張るのがまた上手。そして私もそれにしっかり乗っかるくらいは心得ています。こういう映画は楽しんだもん勝ち。邦題がダサいのが残念。

『エレファント』(2003)『パラノイドパーク』(2007)『永遠の僕たち』(2011)のような方向性の作品も撮れるし、本作品と同系統の『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(1997)のような作品も撮れる幅の広さはわりと好き。

ガス・ヴァン・サントといえば中学生のときに同性愛ロードムービー『マイ・プライベート・アイダホ』(1991)を見てリヴァー・フェニッックスとキアヌ・リーヴスの作品を追って見た幸せなミーハー時代を思い出します。当時の腐っぽい女子中学生はたいていリヴァーとキアヌが好きだった気がする。

『小便小僧の恋物語』
フランク・ヴァン・パッセル/1995/ベルギー
誰かが『浮き雲』を彷彿させる、と言っていましたが、確かにそんな感じもする。明暗が入り交じっていて、残酷でユーモアに富んでる。小さな小さな規模のお話。「愛してる」という言葉が幼い頃の記憶からトラウマになってしまって大好きな女性に愛を伝えられない主人公がちょっとかわいい。結末はちょっと寂しいけど。でも。でもね、期待しすぎて、その期待を越えられなかった映画。

『食堂かたつむり』
富永まい/2010
鈴木志保の漫画のすてきなイメージのみで観賞。(原作小説は未読)

なぜかミシェル・ゴンドリー風?『ブタがいた教室』の終着地点だったり、夏の庭のZARDを彷彿とさせる、なぜそこでポルノグラフティ…という、なんだかいろんな映画を思い出させる映画でした。『しあわせのパン』の評価が上がるー。

『ショコラ』
ラッセ・ハルストレム/2000/アメリカ
軽くてゆるくてこういう映画も見なくてはね。やかまし村シリーズを撮った監督だなあと実感する映画。ビノシュとデップがさわやか極まりない。見た後ホットチョコレート飲んだ私。

『シッピング・ニュース』
ラッセ・ハルストレム/2001/アメリカ
いままで見たラッセ・ハルストレムの作品でいちばんピンとこなかった作品。つまらない男のひょんなことからはじまった劇的な人生に、ニューファンドランド島での物語が結びつかず、バラバラな印象。

『少年と砂漠のカフェ』
アボルファズル・ジャリリ/2001/イラン、日本
主人公はアフガン難民の少年。映画の雰囲気はきらいじゃない、けれどそこから何か琴線に触れるような感覚は生まれてこないちょっともったいない感じの映画。

『少年メリケンサック』
宮藤官九郎/2008
クドカンの映画を楽しむのはなかなかむずかしい……。これをわざわざ映画にしたかった意味がわからん。宮崎あおいちゃんも無理感あるし、クドカンすべてを好きな人とか銀杏BOYZとかSAKEROCKとか遠藤ミチロウとか好きな人は楽しめるかも。

『ザ・ショートフィルム・オブ・デイヴィッド・リンチ』
デヴィッド・リンチ/1966-1995/アメリカ
画家志望だったデヴィッド・リンチがアニメーションと実写ストップモーションアニメを組み合わせた映像など 「Six Men Getting Sick (Six Times)」(1966)「The Alphabet」(1968)「The Grandmother」(1970)「The Amputee」(1974)「The Cowboy and the Frenchman」(1988)「Premonitions Following an Evil Deed」(1995)の計6本の短編実験映像にデヴィッド・リンチ自身の解説付き。

上記短編のなかでは新しい「Premonitions Following an Evil Deed」がいちばん好み。前に押し出るグロさや必要以上に不安を駆りたてる過去作品は若さを感じます。

反復する映像の「The Amputee」もよかった。膝から下を切断された女性が手紙を書いています。

『女優マルキーズ』
ヴェラ・ベルモン/1996/フランス
ソフィー・マルソー主演。はじめの夫の役をしたパトリック・ティムシットいいなあ。出来た夫だよなあ。「(妻と)寝てもいいが、傷つけるな」って。言えないね、普通。

『ションヤンの酒家』
フォ・ジェンチイ/2002/中国
吉慶街の所狭しと軒を並べる屋台の様子やそれなりに映像は面白いと思うのにストーリーが昼メロのようでどうでもよい。ションヤンを演じたタオ・ホンの美しいこと。チェ・ジウの比じゃない。角度によって違う色気を感じる。

『シリアの花嫁』
エラン・リクリス/2004/イスラエル、フランス、ドイツ
イスラエル占領下にあるゴラン高原を舞台にした映画。ゴラン高原はもともとシリアだった土地で事実上無国籍状態。現在ここに住んでいるシリア人たちは故国であるシリアに帰ることはできない。そのゴラン高原に住む元シリア人一家の花嫁のお話。こういう政治的な話が絡む映画は世界情勢を知る意味で興味があるけどあまりくどいと引いてしまうけど、この映画は素直に見れた気がする。なんだろう、シリアに嫁いだ花嫁は二度と戻ってこれないとか、なんでこんなくだらないことがまかり通ってるのかな。

『シルヴィア』
クリスティン・ジェフズ/2003/イギリス
グウィネス・パルトロウ主演。2人の幼い子どもを残して30歳で自ら生涯を閉じてしまう女流詩人シルヴィア・プラスの物語。グウィネス・パルトロウは好きなんだけどいまいち作品に恵まれてない印象があって、でもこの『シルヴィア』はいい方なんじゃないかと思った。もっともっといい作品に出演したらいいのにな。

『白い恋人たち』
クロード・ルルーシュ/1968/フランス
68年、フランス・グルノーブルでの冬季オリンピックの記念映画。フランシス・レイの音楽が流れる中、当時のオリンピック13日間の様子を映し出す。説明なんかないけれど、そのままの映像だけで伝わるものは言葉以上。ピエール・バルーとか、音楽お洒落。フランスだけに?

『白い花びら』
アキ・カウリスマキ/1998/フィンランド
心理的にがっちりくるシーンがいくつかあって、ストーリーとしてはミもフタもないけど気づいた時にはもう遅いとか真理だったりするね。カウリスマキの映画は根本的な心構えのようなモノを再認識する事が多い。

『二郎は鮨の夢を見る』
デヴィッド・ゲルブ/2011/アメリカ
5年連続で「ミシュランガイド」三つ星を獲得した銀座の超高級鮨店「すきやばし次郎」の小野二郎に密着したドキュメンタリー。音楽はフィリップ・グラス。

二郎なのに店名が次郎なんだね、なんでだろ。シンプルを極めた鮨。食べてみたいけど、おまかせ3万円からなんて一生食べられそうにありません。

『白くまになりたかった子ども』
ヤニック・ハストラップ/2002/フランス、デンマーク
イヌイットに伝わる神話をベースにしたアニメーション。ヤニック・ハストラップはデンマークでは有名なアニメーター。子ども向けというにはレベルの高い作品で、ぼんやりしたハッピーな物語ではなく、子ども自身がの自らのアイデンティティに葛藤する、切ない映画。

『親愛なる日記』
ナンニ・モレッティ/1993/イタリア・フランス
監督自身がベスパに乗って街をうろうろする。パゾリーニが殺された場所もベスパで訪れる。イタリア人はテレビ中毒なのだそうだ。四六時中テレビの事が気になる。全編通すと、のんきな映画。

『真珠の首飾りの少女』
ピーター・ウェーバー/2002/イギリス
フェルメールの映画ということで見てみた映画なのだけどスカーレット・ヨハンソンにくぎ付けのまま映画終了。内容よりなによりスカーレット・ヨハンソン最高。

『人生は、ときどき晴れ』
マイク・リー/2003/イギリス、フランス
貧乏だと愛も冷めるという暗い映画。私は映画にこういう方向のリアルはいらない。見所はティモシー・スポールが『ベルヴィル・ランデブー』のおばあさんそっくりだということ。

『人生万歳!』
ウディ・アレン/2009/アメリカ
落ちぶれた天才物理学者のところにブロンド美人の家出娘メロディがやってくるところから物語がスタート。ウディ・アレンの映画は好きで、この作品もいつもの洒落たウディ・アレンらしい映画なんだけど、なぜかいまいちノリきれなかったなー。もっとおもしろいウディ・アレン映画を知ってるからかしら。ところでアメリカのユニクロって「ユニクロ」てカタカナ表記でもあるんだね。

『親切なクムジャさん』
パク・チャヌク/2005/韓国
復讐映画。面白くないわけではないけど、もう少し別方向で期待をしていたので個人的に若干ハズレ。

『ジーン・セバーグ:アメリカン・アクトレス』
ドナテロ・デゥビニ、フォスコ・デゥビニ/1995/スイス=ドイツ
下記同様、ジーン・セバーグのドキュメンタリー。同時期に公開された映画だけれど『ジーン・セバーグの日記』と、もう少し何か違うものが出来たのでは、と思う。紹介される映像等、同じようなものばかり。アプローチにも興味をひくようなものが少ない。

『ジーン・セバーグの日記』
マーク・ラパポート/1995/アメリカ
ジーン・セバーグの生涯をメアリー・ペス・ハートがセバーグ役をしながら振り返るTV特集のような映画。セバーグ側から見た(であろう)一方的な見方は面白いかもしれないけれど、これを映画館で見る価値があるか?

『死んでしまったら私のことなんか誰も話さない』
アグスティン・ディアス・ヤネス/1995/スペイン
思いの外つまらない映画だった。

『シンデレラ』
ウィルフレッド・ジャクソン、ハミルトン・ラスク、クライド・ジェロニミ/1950/アメリカ
1950年製作だと思うとすごく美しいアニメーション。でも冷静に大人の目で見るとシンデレラを含めわりと全員意地悪顔でシンデレラは自分の意思をはっきり言える気の強い性格で非常にアメリカ的なアニメーション。

『神童』
萩生田宏治/2007
松ケンが出てるので見た映画。うーん。『人のセックスを笑うな』の松ケンが最強だっただけにどうでもいいキャラ。へんなロゴの入ったトレーナーのダサさにびっくり。役作りだとしてもちょっとありえん……。ストーリーも中途半端で最終的に少女と音大生の関係性も見えてこないし、決定的に足りないものがたくさんある感じ。原作のマンガはおもしろいんだろうか。主人公の天才的にピアノが上手な少女役には実際のモデルがいるそうで、この子の経歴がすごい。和久井冬麦(1994年生まれの現在15歳)、5歳でウィーン国立音楽大学予備科入学。数々のコンクール受賞歴。この映画のピアノの演奏吹き替えもしてます。クラシック音楽に詳しくない私が言うのもなんだけどいかにもクラシック音楽に詳しくない人が作りました的映画で"神童"さが伝わらなかった。


 >> す


『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』
ティム・バートン/2007/アメリカ
ティム・バートン&ジョニー・デップ作品。ジョニー・デップも歌わせるR-15指定残虐ミュージカルコメディ。ティム・バートンはティム・バートンワールドが上手。ただおもしろいかと言われると普通。前作の『チャーリーとチョコレート工場』(2005)のほうが上。

『スウェーディッシュ・ラブ・ストーリー』
ロイ・アンダーソン/1970/スウェーデン
初公開時の『純愛日記』という邦題から時代を経て『スウェーディッシュ・ラ ブ・ストーリー』というオシャレな邦題に改められてリバイバル。14歳の少女と15 歳の少年の甘酸っぱい青春ラブストーリー。純愛だけど北欧ゆえ即エッ チ。が、(北欧代表の)カウリスマキのような閉塞感もあるし閉塞感ゆえのちょっ と気がおかしい大人たちに囲まれて少年少女が単にいちゃいちゃしてるという不思 議な映画。ラストに向かえば向かうほど、少年少女のキラキラぷりとくすぶってる 大人たちのコントラストが激しくておかしなことになって、そもそもこういう映画 だと思ってなかったのでこのヘンさはおもしろかった。

主人公の男の子はあえておサルさん系なのかもしれないけど、友人のなかにビョル ン・アンドレセン(久しぶりに見た!)がいるのになぜおサルに一目ぼれ……。美少 女アン=ソフィ・シーリンの足長とおサルさんの胸の位置の高さにはほれぼれ。

『スカートの翼ひろげて』
デヴィッド・リーランド/1997/イギリス
第2次大戦中のイギリスが舞台のヒューマンドラマ。友人と次々寝るジョーに婚約者のいるステラが彼に恋心を経緯を持った理由がさっぱり分からない。さっぱり分からないからラストもさっぱり泣けない。軽い感じはいいけれど、弱い。

『好きだ、』
石川寛/2005
宮崎あおいちゃん出演のため見る。かわいい、好きー。17年間かかった「好きだ、」という一言。とにかくすべでの登場人物がもそもそもそもそしゃべるので聞き取りにくい。ちゃんと大きな声でしゃべれ。全体的に薄暗いアートな空気感、こういう雰囲気はちょっと食傷気味。マンガぽい。

『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』
三池崇史/2007
全然面白くない。こんなにつまらないのは『真夜中の弥次さん喜多さん』以来。まったくタイプじゃない映画と言い切れる。

『スコルピオンの恋まじない』
ウディ・アレン/2001/アメリカ
とても映画らしい、楽しい映画。なんてことない話がウディ・アレンの力でこうしてステキになるのだろうと思う。

『スタンダード・オペレーティング・プロシージャー』
エロール・モリス/2008/アメリカ
イラク戦争中、アブグレイブ刑務所で米兵がイラク人捕虜に行っていた虐待。関わっていた当事者たちのインタビュー、彼らがその虐待の現場を撮った多くの写真を軸にするドキュメンタリー。

最悪でえげつない証拠写真。インパクトは十分だし戦場という場所の狂った感覚に嫌悪感を感じるけど、アメリカンインタビュー画面構成がどうしていつもあれなのか疑問。様式美?

『スタンドアップ』
ニキ・カーロ/2005/アメリカ
鉱山労働者として働くシングルマザーが、セクハラという名のいじめを受け続け、1988年世界初のセクハラ訴訟をおこすという実話を基にした映画。

訴訟をおこすあたりから話の展開がちょっと調子が良すぎて、見る前から女性が訴訟に勝つことは分かっているのでラストにより向かって劇的なものに仕上げている印象で逆に冷めてしまうのが残念。やりすぎ。

『モンスター』の印象が強いシャーリーズ・セロンが主演。なんだかこういう映画ばかり選んで出演してる印象…

『スタンリーのお弁当箱』
アモール・グプテ/2011/インド
タイトルからほっこり系を想像してたら意外な展開続き。家庭の事情でお弁当を持ってこられないクラスの人気者スタンリーに友人たちが少しづつお弁当をあげるのがおもしろくないトンデモ教師が登場。インドではお弁当をシェアするのもアリなのかなーと思いながら見てても、トンデモ教師が生徒のお弁当を分けてもらうのに奔走したり、それでスタンリーを学校に来させなくさせたり、さらには結局反省した教師が自己陶酔の手紙を残して去るとかいろいろおかしいやろー

ラストの”家庭の事情”のタネ明かしはわりとヘビー。インドの児童労働についてのコメントが入ります。とはいえ、この映画の子どもたちのナチュラルな演技はかなり好感度高し。インド流のお弁当も楽しいです。

『すーちゃん まいちゃん さわ子さん』
御法川修/2012
35オーバーほっこり独身女性3人の物語。大雑把な系統としては『かもめ食堂』系列の映画。冒頭とラストの3人のピクニックのシーンが安易すぎて残念。益田ミリの原作から入った私としてはそもそもすーちゃんが柴咲コウでまいちゃんが真木よう子はないやろと思います。『食堂かたつむり』も柴咲コウがピンとこない。こういうときはもうぜんぶ市川実日子でよい気がします。

『ステップフォード・ワイフ』
フランク・オズ/2004/アメリカ
ニコール・キッドマンはほんとにお人形さんのようにきれい。

『Stereo Future』
中野裕之/2001/東北新社
永瀬正敏主演。ピースフルぶり、オリジナルさのないショット、風景、いろんなものが弱い。

『ストライプ』
コンスタンティノス・カバカス/1998/フランス
短篇。ストライプをネタにのんきさが全面に。こういう映画にボカシ入れなくても。

『ストリングス』
ウェンディ・ティルビー/1991/カナダ
ガラスに描いた絵画によるアニメーション。同じアパートに住む老人と女。女は入浴し、老人はバイオリンを弾く。

『ストリングス〜愛と絆の旅路〜』
監督:アンデルス・ルノウ・クラールンド 日本版監督:庵野秀明/2004/デンマーク
日本語版の監督は庵野秀明、脚色は長塚圭史というパペットアニメ。声優は草g剛、優香、中谷美紀、香取慎吾、劇団ひとりなど。「strings」=「弦楽器」、「string」=「弦」という意味。一切CGなしのパペットというだけで2割増くらいなのだけど思ってたよりとてもおもしろかった。人形一体につき5人の操り人形師がいるらしく、パペットの動きがすばらしい。気になるのは脚色してないオリジナル版。日本語版と何が違うのか?

『The Straight Story』
デイヴィット・リンチ/1999
老人映画。マジ泣き。この作品の脚本にはケン・ローチもかかわっているとか。そこでは時間はゆっくり流れるけれど、それでも誰にでも朝も夜もやってくる。限られた時間の中で走って進むよりも、時々立ち止まりながら行った道を戻ったり、そんな感じが、優しくて、穏やかで、でも強くて。何もなくてもいい。「愛してるよ」という言葉が素直に言えるのはどんなにか素晴らしい。「愛してる」という言葉は、想いは、とても素敵。

『ストレンジャー・ザン・パラダイス』
ジム・ジャームッシュ/1984/アメリカ=西ドイツ
都会の中にいても何もしない日々。トム・ウェイツの曲使いたくて仕方ないんだろうな。

『ストロベリーショートケイクス』
矢崎仁司/2006
原作は魚喃キリコ。池脇千鶴、中越典子、中村優子、岩瀬塔子の4人のオンナノコ。矢崎仁司はつまらなくない映画にするのが上手。男性なのに限りなく中性に近い女性的な演出でいつの間にかおもしろくなってる。原作よりおもしろいと思った。『三月のライオン』(1990)や『花を摘む少女 虫を殺す少女』(2000)は健在だ。

『ストーン クリミアの亡霊』
アレクサンドル・ソクーロフ/1992/ロシア
映画を見ているのに、絵画や写真、はたまた本の挿し絵を見ているような錯覚に陥るのは彼の映像センスだから。映像が音楽に豹変するような気さえする(映像と音楽が非常に近いものに感じる)。「トルストイは間違っていた」「風景に近づくと ぼやけて染みのように見えてくる」。

『素直な悪女』
ロジェ・ヴァディム/1956/フランス
ロジェ・ヴァディム監督デビュー作。当時の妻だった22歳の若きブリジット・バルドーが出演。男たちを次々と手玉にとる小悪魔バルドー。他の映画でも登場するけど、全裸の後姿にはほれぼれしちゃう(22歳のハリと潤い)。お色気ムンムンのバービー人形。足をむき出しにして髪をふり乱して踊る、最後のダンスシーンは痛快。

『SUPER8』
エミール・クリストリッツァ/2002/イタリア、ドイツ
ノー・スモーキング・オーケストラというバンドについての映画。演奏はほんとに上手いし、やっぱりクリストリッツァの走る列車の撮り方なんかはすごく好きだし、挿入されるドタバタ劇も好き。ただ、バンドのライブ映像やインタヴューにそれほど興味が持てなかった。

『素晴らしき哉、人生!』
フランク・キャプラ/1946/アメリカ
主演のジェームズ・スチュワートは『スミス都へ行く』(1939)でも主演している俳優。私はどうも、細面のほっそり長身別にかっこいいわけじゃないのになぜか美女にモテまくる彼自身(映画の中で)があんまり魅力的に映らない。そして良くも悪くもアメリカンなストーリー。なんだか映画自体が優等生すぎるのかな。

『スプリング・ブレイカーズ』
ハーモニー・コリン/2012/アメリカ
セレーナ・ゴメス、ヴァネッサ・ハジェンズ、アシュレイ・ベンソン、レイチェル・コリン出演。アメリカのアイドル達がビッチな女子大生役でフロリダでスプリング・ブレイク(春休み)を満喫!

ラリー・クラーク『KIDS/キッズ』(1995)の脚本、初監督作『ガンモ』(1997)でハーモニー・コリンの一大ブームを巻き起こしたのはまさに私がリアル10代だった頃。ハーモニー・コリンの描く若者たちは乱暴で無茶苦茶でぶっ飛んでてあがいても出口が見つからない青春まっただ中。

ハーモニー・コリンの映画が単なるガールズムービーなわけがなく歳をとっても(公開当時40歳?)こんな映画を撮れることに感激。すごいな!

『スプレンドール』
エットレ・スコーラ/1989/イタリア、フランス
小さな町の映画館スプレンドール座の館長マストロヤンニ。「メトロポリス」「野いちご」「素晴らしき哉、人生!」など数々の名作(分からないものも多数あるけど)を随所にコラージュした映画愛に溢れた作品。「ニュー・シネマ・パラダイス」的なクラシックな映画好きな人のための映画。「素晴らしき哉、人生!」を観て涙を流すラストのマストロヤンニ、映画さながら奇蹟のように天井から雪が舞い落ちる館内。このラストシーンはいいなあ。

『スープ・オペラ』
瀧本智行/2010
坂井真紀主演のほっこり系映画。『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』(若松孝二/2007)の遠山美枝子がほっこりしとる……と思うくらいインパクトのある役を乗り越えて、これはこれでしっかりほっこり主演。

ユルさと優しさと中途半端さ、そんな持ち味の映画はきらいじゃないけどラストの夢物語シーンは余計な気がする。

『スポンジ・ボブ/スクエアパンツ』
ステファン・ヒーレンバーグ/2004/アメリカ
スカーレット・ヨハンソンが人魚のミンディ役で声優をして、アブリル・ラヴィーンがテーマ曲を歌って、超国民的アニメのスポンジ・ボブ。けれど私が見たのは吹き替え版。スカーレット・ヨハンソンの声じゃないし・・・。シンプソンズみたく見てるうちにクセになる系のアニメだと思うけど、クセになるほど見てないのね私。

『スミス都へ行く』
フランク・キャプラ/1939/アメリカ
アメリカの腐敗した政治の世界に正義感あふれるひとりの青年が立ち向かう。単なる政治風刺映画にとどまらず、ウィットにとんだ楽しく軽い会話で政治批判だけの話ではない。こういう明るく軽妙なテンポのいい作風がフランク・キャプラなのかなと想像。

『スライディング・ドア』
ピーター・ホーウィット/1997/アメリカ、イギリス
面白かったけれど、どっちに転んでも幸せでなかったのが寂しい。人生タイミング。


 >> せ


『There is no remedy』
Lorenza Manrique/2000/メキシコ
ショートショートフィルムフェスティバル2002より。お魚がまだ泳ぎますように。

『生活の設計』
エルンスト・ルビッチ/1933
古き良き時代のアメリカ映画。こんな映画もたまにはいい。素敵。トリュフォーやゴダールにも大きな影響を与えた作品。こういうのを傑作と呼ぶのだろうなあ。

『静寂』
マリア・ホルヴァート/2000/ハンガリー
ハンガリアン・アニメーション。好み。アニメーションと呼応する音楽のセンスもすばらしい。アニメーションとしての完成度とセンスが抜群。

『聖処女』
ヘンリー・キング/1943/アメリカ
聖処女マリアの姿を見たという実在の少女を描いたフランツ・ウェルフェルの小説を映画化した宗教映画。病弱で貧しい少女のベルナデット役にジェニファー・ジョーンズ。美しいけどあまりの良い子ぶりにいまいち好きになれなかったのが残念。ピュアさが武器?この時期の宗教映画は全般的にどこに見せても恥ずかしくない教科書的な優等生映画が多い気がする。キリスト教の素地がないので理解できてない部分も多々。

『生存競争』
ポール・ドリエッセン/1979
ポール・ドリエッセンの代表作。ちょっとおかしな世界。個性的な人の方がはるかに要領良く生き延びてしまうとか?

『精霊の島』
フレドリック・トール・フレドリクソン/1996/アイスランド
50年代のアイスランド。バラックに住む四世代大家族の物語。いろんなエピソードがいっぱい。だからいろんな人の思いがいっぱい。そんな感じになんだかすごくやられちゃったりして。

『世界中がアイ・ラヴ・ユー』
ウディ・アレン/1996/アメリカ
ウディ・アレンらしい愛のあるミュージカルコメディー映画。歌って踊ってみんなハッピー(吹き替えナシで本人がすべてやってるらしい)。ゴールディ・ホーンやジュリア・ロバーツ、ドリュー・バリモア、ティム・ロス、ナタリー・ポートマン等豪華どころもみんないい感じに力を抜いてウディ・アレン色に染まってるのがいい。

『世界の終わりの過ごし方』
カタリン・ミツレスク/2006/ルーマニア
チャウシェスク政権崩壊前の1年間、ブカレスト近郊で両親と暮らす歳の離れた姉弟。政治に時代に翻弄されながら生きていく高校生の姉と病弱な弟の姿からチャウシェスクの独裁政治時代を垣間見る。長い間閉ざされた国であったルーマニアに暮らしている若者たちのほんの少しの希望やあきらめ、反発、なんだかとても切ない気持ちになる。革命を題材に淡々とした映画てわりと多い気がするけど、単純な題材ではないので難しい。ドロテア・ペトレはいい女優さんだと思う。

『セカンド・サークル』
アレクサンドル・ソクーロフ/1990/ソビエト
この全体に漂うのは虚無感?頽廃?業務的に事を運ぶ葬儀屋と父親を亡くして冷静でありつつも気にかける息子の対比がそう感じさせるのか?・・・なんか違う。作品を通して自分の中で試行錯誤して、考え、想うことはあるのにそれが言葉に出来ないということは私にはまだソクーロフ作品は早いのかな。胸の中の言葉が口に出てこない。「我より先に逝く 親しき者は幸せなり」結局、これが作品の主旨だったのだろうか。しかし、映像美はさすがにすごいものを感じる。こだわり方が半端じゃない。

『赤道』
セルジュ・ゲンズブール/1983/フランス
セルジュ・ゲンズブールが監督・脚色・台詞・音楽を手掛けた作品。1950年の灼熱のアフリカが舞台。このねちっこさも分かりにくさもゲンズブール撮ったものと考えるとそれらしくて面白い。しかしいかんせん意味不明。

『セックス・アンド・ザ・シティ』
マイケル・パトリック・キング/2008/アメリカ
ドラマ版をまったく見ていないので話がまとまっている映画を見てみた。NYを舞台にしたそれなりに地位もお金もあるアラフォー独身女性4人の恋愛テツガクのお話。しかしサマンサの50歳の誕生日を祝ったりしてるからアラファもまじってる。(たぶんドラマの最初のほうはアラサーくらいからスタートしてるよね?)。ストーリーが見えるので2時間超えは時間が長すぎ。しかしサラ・ジェリカ・パーカー、セックス・アンド・ザ・シティとめぐり合ってよかったねー。

『セックスと嘘とビデオテープ』
スティーブン・ソダーバーグ/1989/アメリカ
例えばカメラという媒体を通して話せる事、カメラが写す自分の虚像さと真実さ、感じるものにすごく共感した。カンヌ映画祭パルムドール賞。

『絶対の愛』
キム・ギドク/2006/韓国、日本
キム・ギドクには当たり外れがあると以前に書いたけど、この作品はどちらかというと外れの部類。美容整形の手術の怖さは置いておいて、キム・ギドクぽくはあるものの、キム・ギドクにしては弱い。前作『弓』のほうがいい。そもそも顔を変えたとしても体型や声は変わらないのだから、とちょっと疑問に思ったりもする。

『セルフィッシュ・サマー』
デヴィッド・ゴードン・グリーン/2013/アメリカ
ベルリン国際映画祭銀熊賞作品。1988年のテキサスが舞台。山火事で焼けた現場を横目にひたすら道路補修を続けるアルビンとランス、平凡で不器用な2人の男。淡々としてシンプルで、でも静かに展開してゆく作品でなかなかおもしろかったです。途中老婦人との会話、焼けたあとの屋敷でひとり芝居をするアルビンのシーンがぐっとアクセントになっていてよかった。

『1953年の冷たい夏』
アレクサンドル・プロシュキン/1987/ソ連
スターリンの死後、混乱した時代。

『戦場でワルツを』
アリ・フォルマン/2008/イスラエル、フランス、ドイツ、アメリカ
イスラエル人である監督本人のレバノン戦争の記憶を辿るドキュメンタリーでありアニメーション。二次元のアニメーションの映像だからフィルターをかけてずっと見てるようなもので、どんな陰惨な場面も現実感から少々遠のくので直視できるけれど、ラストの虐殺された人々の死体の山のリアル映像は心に直撃。瓦礫に埋もれて死んでる子どもの映像が脳裏に焼きつく。ラストの映像のために他をすべてアニメーションにしたんだろうと思う。

レバノンの難民キャンプでのパレスチナ人虐殺。これは事実。この映画についての本質や事の詳細は正直分からないし、賛否両論の多い映画だけど、フィクションではない死体の山の映像と死んだ子どものすすけた顔が頭から離れないよ。こんな風に子どもが死んではいけない。絶対いけない。

『戦場のピアニスト』
ロマン・ポランスキー/2002/フランス、ドイツ、ポーランド、イギリス
戦争映画を美しくまとめてしまうことに抵抗がある。ラストの清々しい笑顔は何の意味があるのだろう。

『潜水服と蝶−20万回の瞬きで綴られた真実』
ジャン=ジャック・ベネックス/1997/フランス
ファッション誌「ELLE」の編集長だったJ=D・ボビー。彼が脳梗塞で倒れ"ロックトイン・シンドローム(閉じ込め症候群)"となり、身体の自由を奪われ、唯一動く左目の瞬きで意思疎通をするようになる、ジャン=ジャック・ベネックスが撮った実話短編ドキュメンタリー。映画「潜水服は蝶の夢を見る」はまだ未見です。これが真実であるということが想像しがたいです。

『潜水服は蝶の夢を見る』
ジュリアン・シュナーベル/2007/フランス、アメリカ
ジャン=ジャック・ベネックスのドキュメンタリー『潜水服と蝶-20万回の瞬きで綴られた真実』(1997)を見たあとで、真実の映像にはかなわないけど、ジャン=ドミニク・ボビー役のマチュー・アマルリックは(ドキュメンタリーを見たうえで)かなり彼の役を再現していてよかったと思います。

『先生を流産させる会』
内藤瑛亮/2011
実際にあった愛知県半田市の事件をベースにフィクションにした映画。

公開当時、賛否両論あってたしかに胸クソ悪い予告編だったけどいざ見てみると予告編でほとんど見せてるので全体的には尺も短いしそうエグい雰囲気ではありませんでした。

流産云々というよりなにしろ気持ち悪いのが演出。特別気持ち悪いのはこの時代にまだ女子中学生の初潮シーンを映すという変態ロリコン時代錯誤ぶり。少女から大人の女性へといういかにもキモいおっさんが好きそうな演出。相米慎二『ションベン・ライダー』でも河合美智子が初潮を迎えるシーンを絶賛するおっさん達の意見がキモくてキモくて仕方なかったのを思い出しました(『ションベン・ライダー』はそもそも30年前の映画だしそれがあるなしにかかわらずいい映画です)。

演出というところでは妊娠中の先生に悪戯をした女子中学生5人をひっぱたくシーンが手もかすらないくらいひっぱたいてないのが相当しらけます。妊婦の先生VS女子中学生という構図なら本気でひっぱたくべきでした。なんかキモい、からはじまる女子中学生たちの「先生を流産させる会」は監督がキモかったという映画でした。

『洗濯機は俺にまかせろ』
篠原哲雄/1999
東京下町話のこういう映画てよくあるような気がするのだけど、とてもさえない。そして共感しない。びんぼうくさくて、そのうえ何もない。もっとも苦手なジャンルかもと自覚してきた。

『千年女優』
今敏/2001
今敏のオリジナルストーリー。いままでに見たことあるのは『パプリカ』のみで、今敏のことをよく知らずに見たのが敗因かも。実写にしたら陳腐になるような、アニメーションでしかできないような場面転換の演出はおもしろいけれど、ストーリーそのものに入れず正直なところ飽きてきました。60分以内の作品ならよかったかも。

『千年の愉楽』
若松孝二/2012
中上健次の同名短編集を基に映画化。若松孝二の遺作となった作品。

寺島しのぶが産婆・オリュウノオバ役。高貴で短命の美しい中本の男たちを演じるのは高良健吾、高岡蒼佑、染谷将太。染谷将太の出演は少なかったものの、この映画内の高良健吾も高岡蒼佑も染谷将太もいいねー 特に高良健吾は色気があって好き。

時代があっちこっち交差してほころぶのは意図的なのか適当なのか、街の風景はそのまま使ってるし、兵児帯の石橋杏奈と同時期にエルゴ的抱っこ紐のお母さんとかそりゃないやろ、とか、寺島しのぶの若作りも老けメイクも付け毛もううーーーん、という悩ましい特殊効果(?)。特殊効果といえば語りべである寺島しのぶのフォローをする佐野史郎の写真が動いてしゃべってという効果もらしくないなーと。予算の関係かもしれんけど、中上健次が原作だというならもうちょっといろいろ気を使っていいとこでは。

『千姫御殿』
三隅研次/1960/大映
徳川家康の孫娘・千姫を演じるのは山本富士子。昔の政略結婚で7歳で豊臣秀頼に嫁ぎ、大阪夏の陣で大阪城から救い出された後、吉田御殿で遊興に明け暮れていたという噂を元にした物語。山本富士子も着物もきれいだけどそれほど面白い映画ではなかった。

『ぜんぶ、フィデルのせい』
ジュリー・ガヴラス/2006/イタリア、フランス
1970年代初頭の女性の解放運動や市民運動が活発なフランス。突然共産主義にかぶれた両親に振り回される少女アンナの視点の物語。アンナを演じたニナ・ケルヴェルがとてもかわいい。ストーリー自体はいまさらこの内容で映画を撮る理由がよく分からないのと、そんな時代を生きた子供視点のどこかで見たような気がする新鮮味のない作品。正直、チリのアジェンデ政権にもピンとこないので物語にも入っていけず。

『善良な兵士シュヴェイク1/コニャックの巻』
イジー・トルンカ/1954/チェコ
決してつまらなくはないです。シュヴェイクの話を聞くと上官と同じ気持ちに。

『善良な兵士シュヴェイク2/列車騒動の巻』
イジー・トルンカ/1954/チェコ
一番話を覚えていないと思われる「善良な兵士シュヴェイク」シリーズの一本。

『善良な兵士シュヴェイク3/堂々めぐりの巻』
イジー・トルンカ/1955/チェコ
「善良な兵士シュヴェイク」シリーズのうち、一番面白かった。


 >> そ


『草原の唄』
イジー・トルンカ/1949/チェコ
ジョン・フォード「駅馬車」のパロディ。やはりトルンカ。トルンカ流ユーモア、私は好き。

『そこのみにて光輝く』
呉美保/2013
佐藤泰志という人の同名小説の映画化。原作は知りません。この映画を見てみたのは主演ではないけどだんぜん菅田将暉見たさ。主演は綾野剛と池脇千鶴。

ごちそうさんとか海月姫とか共喰いとか翳りゆく夏とか、菅田将暉の役の幅の広さとかっこよさに注目。今回もこの大げさで愛嬌のある池脇千鶴の弟役を好演。いいなー。

あがいてもあがいてものぼっていけないどん底の生活。池脇千鶴のむっちりした身体が千夏にぴったりで好印象。どん底貧乏生活の生活感のある役とか池脇千鶴は上手。閉塞感でぎゅうぎゅうの映画。それでも生きてゆく。

『そして父になる』
是枝裕和/2013
『海街diary』の映画化も気になる是枝裕和監督。『ワンダフルライフ』(1999)、『誰も知らない』(2004)、『空気人形』(2009)あたりの記憶と同系統の是枝映画です。

福山雅治と尾野真千子のエリート家族、リリー・フランキーと真木よう子の底辺家族、尾野真千子と真木よう子が逆でもいいのにあえてこういうキャストにしたのはリアリティ的に正解。6年間育てた息子を取り違えられたという事実を聞かされたときのそれぞれの夫婦の葛藤。

ママ友も言ってたように似たような年齢を持つ母親としては母親の気持ちに感情移入。母子別室だったミニチムの出産時、新生児室に並ぶ赤ちゃんを見て隣の赤ちゃんと間違えること数度……。よく似た顔の系統の赤ちゃんで間違えた自分に少なからず驚きました。母親が生まれたての赤ちゃんを間違えることないとは断言できない実証として。

もう少しおさえめの演出でもよかったと思ったのはラストの説明的な父息子のやりとり。あそこが泣きどころなのかもしれないけど、むしろストイックにまとめたほうが印象的だったように思います。

『そして、私たちは愛に帰る』
ファティ・アキン/2007/ドイツ、トルコ
ドイツのブレーメン、トルコのイスタンブールを舞台に3組の家族を描いた作品。すべてが交わりそうで寸でのところで交わらないあたりがもどかしくて上手。こういう物語のつなぎ方て多い気がする(有名どころだと『バベル』とか)。トルコの国内の情勢やドイツ内のトルコ移民、EU加盟問題についてなど感覚的に分からない点も含めて、アイテンの心が氷解していく瞬間、ネジャットの父親との関係の再生(実際に再生したかどうかは予測だけど)は、いいなーと思う余韻の残る映画。

『ソーシャル・ネットワーク(The Social Network)』
デヴィッド・フィンチャー/2010/アメリカ
ハーバードのある大学生が立ち上げた、世界最大のSNS「facebook」の創業秘話。ノンフィクション小説が基になってるようです。天才を描いた作品としては目新しさはないかなー。面白くないことはないけど、特徴のない映画。

『ソドムの市』
ピエル・パオロ・パゾリーニ/1975/イタリア
ありとあらゆるソドミーが溢れている。常識が通用しない。「異常性行為はこの世で一番意味を持つ」(なんでだよ!)。映画の中のそれぞれのサブタイトルがすごい。「変態地獄」「糞尿地獄」「血の地獄」。正視してられるのは男女問わないアナルセックスくらい(ここでは普通のセックスは存在しない)。ウンコの味を恍惚とした表情で詳しく説明するのも聞くに耐えないくらい。首輪を繋いだ素っ裸の少女に(彼女は泣いている)スプーン持たせて権力者のウンコを食べさせるシーンなんか「おえ〜」と胸が悪くなる。お遊び結婚式で出席者に出される食事は我慢してためたみなのウンコ。口のまわりをウンコだらけにして食べる。懲罰と称してナイフで目の玉えぐり出したりナイフで頭皮をはいだりするのを見るのはちょっと気が狂う。快楽をつきつめてゆくとこういう方面にいくものなのか?全く救いのない映画。

『空から赤いバラ』
レスリー・H・マーティンソン/1967/アメリカ
ラクエル・ウェルチ主演。ラクエル・ウェルチの惜しみなく(無駄に)見せる胸の谷間や脚線美がいい。『恐竜100万年』なんかに較べると衣装はぜんぜんダメだけど。

『ソラニン』
三木孝浩/2010
浅野いにお原作コミックの映画化。芽衣子さんは宮崎あおいじゃなかった。というのが結論。マンガの閉鎖的な世界観が別物になってしまった感じ。残念。

『ソラリス』
スティーヴン・ソダーバーグ/2002/アメリカ
タルコフスキーのリメイクに挑戦した監督スティーヴン・ソダーバーグ。タルコフスキー好きからの酷評は必至なのにソダーバーグのファイトあふれる選択。主演は(とても宇宙が似合わなそうな)ジョージ・クルーニー。そもそもスティーヴン・ソダーバーグの映画て何を見たことあったっけ、と思ったら『セックスと嘘とビデオテープ』(1989)『チェ 28歳の革命』(2008)『チェ 39歳 別れの手紙』(2008)あたりは見たことありました。はっきり見た記憶があるのはこのくらいかな。

ソダーバーグ版は展開も心情もとても分かりやすくさらに100分と尺も短くすらすら視聴。派手なVFXなんかもなく、ソラリスが見せる幻想(妻)と過去のフラッシュバックに葛藤するジョージ・クルーニー。宇宙服が最後まで似合わないのはもはやおもしろい域に。

『それでも生きる子供たちへ』
メディ・カレフ、エミール・クストリッツァ、スパイク・リー、カティア・ルンド、ジョーダン・スコット&リドリー・スコット、ステファノ・ヴィネルッソ、ジョン・ウー/2005/イタリア、フランス
ユニセフと国連協力のもと、7組8人の映画監督が各国の過酷な子供の状況を描いたオムニバス・ドラマ。メディ・カレフ「タンザ」。エミール・クストリッツァ「ブルー・ジプシー」。スパイク・リー「アメリカのイエスの子ら」。カティア・ルンド「ビルーとジョアン」。ジョーダン・スコット&リドリー・スコット「ジョナサン」。ステファノ・ヴィネルッソ「チロ」。ジョン・ウー「桑桑(ソンソン)と小猫(シャオマオ)」。映画としてどうこういう作品ではないのかもしれないけど、普通にエミール・クストリッツァが一番。エミール・クストリッツァとそれ以外という感じ。

『それでも恋するバルセロナ』
ウディ・アレン/2008/スペイン、アメリカ
なんか歳をとるにつれてどんどんウディ・アレンが好きになってく気がする。ウディ・アレンの映画は好き好きだと思うけど、いったん好きになるとなんかずぶずぶハマってく感じ。小気味よく展開するお話で軽妙なコメディ。ハビエル・バルデムの底の深い強烈な色気やペネロペ・クルスのキレ方とかスカーレット・ヨハンソンの風船みたいなおっぱいとか、なんかすべてがウディ・アレンによる上手な演出に思えてくる。ていうか上手だよなあ。名作でも傑作でもない、でも楽しい映画はそれだけで価値がある。

『それでもボクはやってない』
周防正行/2007
加瀬亮主演、痴漢冤罪の話。

怖いよー怖い。満員電車怖い。裁判怖い。女である私から見ても怖いんなら男性が見ればもっと怖いはず。映画としてはストイックに進んで好感が持てます。


 >> た


『ダイアモンド』
ポール・グリモー/1970/フランス
ダイアモンドを盗もうとする男の行く末は。

『退屈』
ピーター・ピーク/1998/イギリス
原題「Humdrum」。アードマン・コレクションより短編。

『大地と自由』
ケン・ローチ/1995/イギリス他
スペイン内戦。一貫性のあるこの作品は『カルラの歌』(同監督/1996)より数倍いいと思う。理論上でどちらが正しいとか、どちらが悪いとかいうのは簡単? 戦争の前線に出て戦う人の心境はそんな簡単なものじゃないよね、きっと。相変わらず世界情勢を詳しく知らなくて、こういう映画を見ると申し訳なくなる。

『タイピスト!』
レジス・ロワンサル/2012/フランス
舞台はフランス、1950年代。タイプライター早打ち世界大会に挑戦するフレンチなラブコメ。かるい系の映画が見たかったんでこれはこれでいいんだけど、ロマン・デュリス主演にちょっとだけ期待したのがダメだったかも。

ロマン・デュリスのイメージは出演作数(が多いのかは知らないけど)のせいでどうしてもセドリック・クラピッシュで、『猫が行方不明』(1996)『パリの確率』(1999)『スパニッシュ・アパートメント』(2002)『ロシアン・ドールズ』(2005)なんかを引きずりながら見てしまいます。

主演のデボラ・フランソワが何かで見たような気がして調べてみるとダルデンヌ兄弟の『ある子供』(2005)でした。だいぶ毛色の違う作品に出てるのねー!これは意外な発見。

『台北に舞う雪』
フォ・ジェンチイ/2009/中国、日本、香港、台湾
第2のチャン・ツィイー?と評判らしいヒロイン役トン・ヤオがあまりきれいに見えず……

『太陽に暴かれて』
イム・ホー/1996/中国
その稲妻のシーン、超さめる。

『タイヨウのうた』
小泉徳宏/2006
太陽にあたると死んでしまうという難病をかかえる少女にYUI。歌を歌わせたかっただけだと思うけどYUI演技下手すぎ。リアリティのない難病映画で涙をさそおうとしてるあたりがどうにも苦手(最後に美しく死ぬというあたりも)。

『太陽はひとりぼっち』
ミケランジェロ・アントニオーニ/1962/イタリア=フランス
心の中の空虚さ・寂しさは見た目では分からない。みんなある程度の虚栄を張って(虚栄心を持って)生きている。

『ダイレクト・アニメーション』
古川タク/1987
『カリグラフィティ』(1982)のカラー版。即興的な模様が美しい。

『ダ・ヴィンチ・コード』
ロン・ハワード/2006/アメリカ
原作のほうが面白いんだろうと思う映画。

『ダウン・アンド・アウト』
ピーター・ロード&デビット・スプロクストン/1978/イギリス
原題「Down and Out」。アードマン・コレクションより短編。

『ダウン・サイド・アップ』
トニー・ヒル/1984/イギリス
地下から地上へ、そしてまた地下へ。地下の暗闇は地上の笑い声も小鳥のさえずりも聞こえない。でもそれは逆かもしれない。地下と地上って何だろう? 表裏一体。どうやって撮影してるのか謎。

『桃(タオ)さんのしあわせ』
アン・ホイ/2011/中国、香港
住み込みの家政婦として60年勤めた桃さんが脳梗塞で倒れ、その家の息子であるアンディ・ラウが献身的な介護をする様子を淡々と映し出します。

久しぶりに見たアンディ・ラウがとてもよかったです。(かっこいいけど)二枚目役ではなく、気持ちが優しくて真摯な態度の似合う男性。桃さん演じるディニー・イップもよかった。ディニー・イップの表情ひとつで胸が痛み、うれしくなる。

『ターザン』
古川タク/1990
古川タクの中でも新しい作品。作品としてはずいぶん見やすいものとなっている。

『ただ、君を愛してる』
新城毅彦/2006
玉木宏くん&宮崎あおいちゃん主演。こんなにしょーもない映画だと思わなかった。レベル低すぎ。玉木くんと宮崎あおいちゃんがもったいない。

『タッチ・オブ・スパイス』
タソス・プルメティス/2003/ギリシャ
ギリシャとトルコの複雑な歴史をベースにした、少年とおじいちゃんの交流物語。ギリシャで映画史上第2位の興収を樹立した作品(ちなみに1位はタイタニック)。数多くの料理のシーンがとてもおいしそうできれいで面白い。加えてトルコの街並みのきれいなこと。ストーリーより映像を楽しむ映画。


『堕天使のパスポート』
スティーヴン・フリアーズ/2002/イギリス
英語で話すオドレイ・トトゥ。ロンドンに住む不法滞在者というテーマは重くそれを差し引いても惹かれない作品。

『楽しいサーカス』
イジー・トルンカ/1951/チェコ
原題「Vesely Cirkus」。切り紙アニメ。

『黄昏に瞳やさしく』
フランチェスカ・アルキブジ/1990/イタリア、フランス
マルチェロ・マストロヤンニもララ・プランツォーニもすごくいい。けれど、どうして手紙を書いているのか、どうしてそこまで世代の断絶を描くのかが分からない。

『旅・全長版』
「旅・再編集版』
川本喜八郎/1973
一見川本喜八郎作品と分かりづらい。再編集版のほうが洗練されている。

『旅するジーンズと16歳の夏』
ケン・クワピス/2005/アメリカ
16歳の仲良し4人組の女の子たちのひと夏の大人への成長の物語、というありがちなテーマにもかかわらずぼんやり見るには案外面白かった。

『ダビデ』
ポール・ドリエッセン/1976
1977年アヌシー映画祭・国際審査員特別賞受賞作品。小さな生き物を殺すなんてとんでもないよね、と言いながらぷちりと足で潰してしまう大きな生き物。

『卵の殺害』
ポール・ドリエッセン/1977
ポール・ドリエッセン初期の傑作。卵の中身は自分自身。今居る自分の世界は?

『魂を救え!』
アルノー・デプレシャン/1992/フランス
マチアスの内気さに私は共感する。病理学の医者である彼は研究室にひとりで死体の分析をしている時は自分の世界。だからしたい事もよく分かる、やらなければいけない事もよく分かる。しかし外に出れば人と関わらなければならない、上手く話せないし誤解を招く事だってある。なぜ知らない人間の"頭"にこだわったか。なぜ"頭"が離せなかったか。頑なな彼の心境はなんとなく分かる。

『たまたま』
小松真弓/2011
CMディレクター監督がすべてアイルランドで撮影した蒼井優のPV。蒼井優でなければ見てないな。

『たみおのしあわせ』
岩松了/2007
ネット見てると酷評が多い映画だけど、ゆるさとラストのファンタジー含めて私はそれなりにおもしろかった。

『ダーリング』
ジョン・シュレシンジャー/1965/イギリス
恋愛至上主義で男を踏み台にしてのし上がっていく女の物語。「本当の恋」「本物の愛」、いつの時代もこういう言葉を口に出す自己陶酔した男や女ているんだなあと感心。ローレンス・ハーヴェイが尾藤イサオぽかった。

『誰も守ってくれない』
君塚良一/2008
最初おもしろそうだったのにだんだんとつなまらくなっていき残念。刑事・松田龍平がかっこいい。志田未来はいつまでも「14才の母」から逃れられなくて少しかわいそうな気がする。

『タロットカード殺人事件』
ウディ・アレン/2006/イギリス、アメリカ
「マッチ・ポイント」に続いてウディ・アレン&スカーレット・ヨハンソン第2弾。コミカルな大人のミステリ、という小技だらけの全編ウディ・アレンらしい作品。コメディのスカーレット・ヨハンソンもいいなーグラマーだし美人だし作品の幅は広いし、なんか例えはアレかもだけど小池栄子とかサトエリ系の好感度を感じる。

『断崖』
アルフレッド・ヒッチコック/1941/アメリカ
面白い。結末も良い。ジョーン・フォンテーンが美しい。

『ダンケルク』
アンリ・ベルヌイユ/1964/フランス
ジャン・ポール・ベルモント、カトリーヌ・スパーク出演。第二次大戦を背景にした作品。しかし特に戦争映画とも思えないし恋愛映画でもない。

『タンゴ』
カルロス・サウラ/1998/スペイン、アルゼンチン
タンゴは素晴らしいのだけど、余白の部分がイマイチ。観た後タンゴを踊ってみたくなる映画。

『タンゴ・レッスン』
サリー・ポッター/1997/イギリス、フランス
監督サリー・ポッターが、タンゴダンサー・パブロ・ヴェロンと踊って一緒に映画に出たかっただけじゃないのか感があるのは否めない。ていうかそうなんでは。

『ダンサー・イン・ザ・ダーク』
ラース・フォン・トリアー/2000/デンマーク
ビョーク主演。想像の中でしか夢を見る事が出来ず、現実の世界はつきささるように自分に冷たくて、良かれと思ってしたことも裏目裏目に出て、それでも約束を守って、精一杯優しく生きようとする。ラース・フォン・トリアーはこういうの上手いかも。「私はもう何も見えなくてもいいの、たくさんのものを見たわ」と歌い、"最後から二番目の歌"を息子のために泣きながら歌うビョーク。ビョーク上手い、かわいい。そのビョークがカトリーヌ・ドヌーブと一緒に見る昔のハリウッド映画のミュージカル作品が、たぶん違うけれど私にはバズビー・バークリーの作品ぽく見えたのだけど真相はどうなのか。この映画に関して批判が多いのは人気のバロメーター。

『探偵シュペイブル』
ブジェチスラフ・ポヤル/1955/チェコ
犬のジェリークのかわいらしいこと!犬を飼うことになったら是非ジェリークと名付けようと思った。パイプで後ろから警官を脅すシーンなど秀逸。ポヤル作品のかわいらしさ爆発。

『ダンボ』
ベン・シャープスティーン/1941/アメリカ
耳が大きいという外見だけでいじめ(差別)を受ける小象のダンボをカラスとネズミが助けるというアメリカ社会を象徴するアニメーション。『ダンボ』が案外シリアスなアニメだったことを初めて知る。コウノトリが運んできた小さなダンボがお母さんの前でのびをするシーンがものすごくかわいい。

『暖流』
増村保造/1957
岸田國士原作の映画化。根上淳も看護婦の左幸子もお嬢様・野添ひとみもスピード感あふれるしゃべりでぱぱぱっと場面転換しストーリー自体に勢いがあって楽しくなります。天然でくるくる忙しい強烈な左幸子のキャラも愛らしい個性に。船越英二のハモハモメケメケバッキャローの放蕩お調子者ぶりもおバカで楽しい。お嬢様・野添ひとみのラストの軽やかな転身ぶりは見ていて爽快。女はこうでなくちゃね。美輪明宏(若い!)のシャンソンシーンがものすごい唐突に挿入されたりして摩訶不思議。明らかに相手の女性が霧のようにかすむその存在感!(1曲丸ごと歌い上げるこのシーンがなぜ必要なのか謎)

全体的にヘンなんだけど日本映画ぽくなくて愛嬌のある映画。これをまとめあげた増村保造はすごいかも?

『ターンレフト・ターンライト』
ジョニー・トゥ、ワイ・カーファイ/2002/香港、シンガポール
金城武主演。相手役のジジ・リョンが遠藤久美子似(と思ってジジ・リョン検索をしてみたけれどいまいち似てるのがない)。この微妙な作品を見たのはワイ・カーファイとウォン・カーワァイを見間違えたため。冒頭からどう考えても違うしそもそもウォン・カーワァイのこんなタイトルの映画ないよねと悩んで気づいたけれど見始めてしまったので最後まで見てしまった。


 >> ち


『ちいさな哲学者たち』
ジャン=ピエール・ポッジ/2010/フランス
移民の子どもの多いフランスの小さな幼稚園で行われた哲学の授業。その2年間のドキュメンタリー映画。3歳から4歳程度の子どもが議論ができる考え方や話し方ができるようになっていく過程はとてもおもしろい。

わたしはねーぼくはねー、好き勝手に話し出す子どもたちが、○○の意見には反対、私は××の意見に賛成、その上で理由を述べることができてゆく、てすごいなーフランス人だなー。自由とは、愛とは、死とは。議題には正解はなく、相手を尊重した個人個人の自由な考え方。我が家に5歳の子どもがいるゆえ、子どもの頃から両親や子供とこういう話し方を促すということに感心しました。

相手の意見を聞いた上で自分の意見を話す、幼い頃からそういう話し方ができるような授業があるというのは財産だなー。

『小さな泥棒』
クロード・ミレール/1988/フランス
シャルロット・ゲンズブール主演。フランソワ・トリュフォー脚本。性と男に興味を持ちはじめる年頃の少女役に当時のシャルロット・ゲンズブールは適役。大人っぽい服装をして映画に出かける姿、からかわれた同世代の女の子の手の甲にフォークを突き刺す意外性は好き。

『チェ 28歳の革命』
スティーヴン・ソダーバーグ/2008/アメリカ、フランス、スペイン
チェ・ゲバラの伝記映画二部作の前編。前編はカストロとの出会いからキューバ革命達成まで。もちろん展開はいろいろあるもののどうにも話がのっぺり進んで長い映画がさらに長く退屈。後編の『チェ 39歳 別れの手紙(Che: Part Two)』(スティーヴン・ソダーバーグ/2008)は冒頭にて挫折。ガエル・ガルシア・ベルナル主演の『モーターサイクル・ダイアリーズ(Diarios de motocicleta)』(ウォルター・サレス/2004)のほうがずっと面白かった。

『地下室の怪』
ヤン・シュワンクマイエル/1983/チェコ
no text

『地下鉄のザジ』
ルイ・マル/1960/アメリカ
レイモン・クノー原作、チャップリンの映画のようなドタバタコメディ。目がまわりそうな警官とザジの追いかけっこには仕掛けがたくさんあって面白くないことはないんだけどザジ役のカトリーヌ・ドモンジョは思っていたよりも素直にかわいい女の子、というわけでもなく、古くもなく新しくもなく特別楽しいというわけでもない作品。ナンセンスさとバカバカしさがウリかもしれないけれど個人的には疲れる。

『チキンラン』
ピーター・ロード、ニック・パーク/2000/イギリス、アメリカ
チキンだってやろうと思えばやれるのさ。アードマンの大ヒット作。


『父、帰る』
アンドレイ・ズビャギンツェフ/2003/ロシア
タイトル通り、12年ぶりに父が突然帰ってくる。何の説明のないまま息子二人と旅に出る。何かを語るのかと思いきや何も語らない。すべてが省略された唐突な展開。多くの疑問を残した物語。ロシアの広大な景色が頭に残る。

『父と暮せば』
黒木和雄/2004
井上ひさしによる戯曲の映画化。広島に原爆が投下された昭和20年8月6日から3年後の原爆で亡くなった父(原田芳雄)と生き残った娘(宮沢りえ)の物語。演劇風の物語の進め方はとても面白い。宮沢りえの話す広島弁もかわいい。映画を見ながらこうの史代の漫画『夕凪の街 桜の国』を思い出した。原爆の捉え方、雰囲気。「おとったん、ありがとありました」静かに言う宮沢りえのセリフが胸に響く。

『父と娘の歌』
斎藤武市/1965/日活
宇野重吉と吉永小百合の父娘愛。吉永小百合がピアニストの役で吹き替えなしでピアノを演奏していると事前に知っていたけれど、思ったよりすごく上手だったのでびっくり。さわやかさに好感は持つけどそれだけかなー。

『父の秘密』
ミシェル・フランコ/2012/メキシコ
カンヌ国際映画祭“ある視点”部門グランプリ、というだけでなんとなく見たものの、目を覆いたくなるひどいイジメのシーンがあってこういう映画だったのね……という気持ちに。映画そのものは悪くないけど、凄惨なイジメシーンなんてべつに見たくない。そして邦題の意味がわからないんだけどどういう意味?

妻を交通事故で失った父と高校生の娘のすれ違い。転校先の高校で、酔った勢いでスマホで撮られていると分かりつつ同級生とセックスし、ばら撒かれ、そこから一転イジメの標的→エスカレート→娘失踪→父親が動画撮影した同級生を淡々と海へ投げ捨てる、という物語。

先日見た『アデル、ブルーは熱い色』でも、あんたレズビアンじゃないの?きもちわるい、と周りの友人が本人をひどくののしったりするのを見て(主に女)、個人主義のフランスでさえ高校生だとこのレベル…と思ったけど、本作メキシコのイジメもこれまたひどい。動画ばらまかれたうえにさらにレイプ。高校生こわい。物事はタイミング次第、表裏一体のこわさ。

『地中海式 人生のレシピ』
ホアキン・オリストレル/2009/スペイン
エル・ブリが料理を監修している、女性シェフと男性ふたりの三角関係を描いた物語。

女性シェフの映画は数あれど、なかなかヒットはないなー。スペイン風の性の解放、どたばた恋愛模様のなかに料理を取り入れて、なんというか全面的に押しつけがましい感じが否めません。スペインの子育て事情はよく分からないけど、おとうさんとおかあさん週一でふたりでもうひとりの彼氏(三角関係のひとり)の家に終日行くって3人の幼い子どもはその間ベビーシッター?という横道にそれた疑問。おとうさんとおかあさんが奔放なのはお国柄なのか映画内なのか気になります。

『チャーリーとチョコレート工場』
ティム・バートン/2005/アメリカ、イギリス
原作はロアルド・ダールの児童文学『チョコレート工場の秘密』。カラフルなテーマパークにいるみたいな楽しい映画。ジョニー・デップもので 『ショコラ』(2000)に続きチョコが食べたくなる映画(チョコ欲する度としては 『ショコラ』のが上)。原作を読んだことはないのだけど、噂では田村隆一訳バージョンが面白いらしく、(かなりブームから遅れてるけど)読んでみたくなった。

『チャンプ』
フランコ・ゼフィレッリ/1979/アメリカ
当時日本で大ヒットしたという映画。

どちらかというと1931年のオリジナル版が良さそうなんだけど、子役の涙にベタなストーリーにベタな演出で泣けました。ラストの演出が最高に古くさいのに泣けるという、歳をとると涙もろくなることを実証する映画。

『菊豆(チュイトウ)』
チャン・イーモウ/1990/中国、日本
ベルリン国際映画祭金獅子賞作品。悲しい話。けれどチャン・イーモウに期待してたものが見るにはあまりに話が面白みがなかった。

『中国女』
ジャン=リュック・ゴダール/1967
頭悪くて理解出来なかった。"毛沢東語録"が赤い本だっていうのも後から知った。もうちょっと勉強してから見るべきだった。

『厨房で逢いましょう』
ミヒャエル・ホーフマン/2006/ドイツ、スイス
どあつかましい女が幸せをつかむ物語。出てくる料理はグロテスクな表現をしているわりにどれもおいしそうに見えました。

『チューブ・テイルズ』
エイミー・ジェンキンス、スティーブン・ホプキンス、メンハジ・フード、ボブ・ホスキンス、ジュード・ロウ、ユアン・マクレガー/1999/イギリス
地下鉄に関するオムニバス映画。最後の話があら意外。

『蝶の舌』
ホセ・ルイス・クエルダ/1999/スペイン
少年よ、自由に飛び立て。

『沈黙の女 ロウフィールド館の惨劇』
クロード・シャブロル/1995/フランス
ルース・レンデル原作のミステリー作品。邦題がB級すぎてクロード・シャブロルがかわいそう……。

ブルジョア一家の家政婦となったソフィーとひょんなことから知り合った郵便局の女。冒頭からの不安感と緊張感が最後まで続くのがすばらしい。冷徹で唐突なサンドリーヌ・ボネールとイザベル・ユペールが起こす惨劇。静かに進む物語の見事な急展開さにほれぼれ。シャブロルの作品全体から見ると賛否両論あるみたいだけど、私はおもしろいと思いました。

サンドリーヌ・ボネールが会話は普通にできるのに文字が理解できないという失読症であるという設定なんだけど、失読症について調べてみたら理解できるようなできないような。トム・クルーズやオーランド・ブルーム、ダ・ヴィンチやピカソやウォーホルも失読症だとか。でもトム・クルーズやオーランド・ブルームはソフィー(サンドリーヌ・ボネール)みたいにまったく読めないわけじゃなくて部分的には読めるんだよね?だとしたらそれは難読症では?総合して失読症というのかしら。

『沈黙の世界』
ジャック=イヴ・クストー、ルイ・マル/1956/フランス
ジャック=イヴ・クストーは有名な海洋学者。その彼が『死刑台のエレベーター』以前のルイ・マルに協力してもらった海洋ドキュメンタリーでカンヌ映画祭でグランプリを受賞した作品。当時としては画期的だったであろう海底の映像、でも海洋の生物の話が主ではなく、人間が謎めいた海へ向かう、という人間主体の趣旨だったので私としては期待はずれ。


 >> つ


『追想』
アナトール・リトバク/1956/アメリカ
ロッセリーニとのスキャンダルから復活後のイングリッド・バーグマンの作品はあまり良い評判は聞かないけれど、それでもこれは映画らしい映画。将軍役ユル・ブリナーがステキ。

『つぐない』
ジョー・ライト/2007/イギリス
キーラ・ナイトレイ主演の壮大なロマンス映画。何も知らずに見たので意外な展開。だけどその展開が面白くない。後半が蛇足。13歳のブライオニーを演じたシアーシャ・ローナンという女の子が雰囲気のある子でとてもかわいかった。

『つみきのいえ』
加藤久仁生/2008
2009年アカデミー賞短編アニメーション部門受賞作品。日々水面が上がってくる水浸しの街。そこで家を積み木のように上へ上へと建て増しして暮らしているおじいさんのお話。おじいさんが水面下にパイプを落としてしまったのをきっかけに、各階の部屋にあった幸せだった家族との懐かしい思い出が甦ってきます。期待して見たせいか、どこかで見た絵のタッチとどこかで知っているストーリーで、全体的にこれはと思うほどではなかったというのが正直な感想。
『つる 鶴』
市川崑/1988/東宝
吉永小百合100本記念特別企画、「鶴の恩返し」をほぼそのまま映画化。照明の当て方や、センスがいいとは言いがたい妙な電子効果音や音楽、ちょっと舞台風の演出は相手役が野田秀樹なため(映画俳優としての野田秀樹をはじめてみた)さらに舞台風感が増す。ダイレクトに人形の鶴が機を織っているシーンがすごい!超人形!でもジロリと睨んで怒る人形の鶴の目がこわい。いろんな要素でびっくりする。


 >> て


『ディア・ドクター』
西川美和/2009
『蛇イチゴ』(2003)も『ゆれる』(2006)も良かったし、本作もおもしろい。西川美和はいいなー。鶴瓶の演技はいつも鶴瓶だけど、奥が深い奇妙さを出すのは上手。どちらかと言うと『ゆれる』のほうが完成度が高くておもしろさの点でも上(きれいどころで言うと井川遥より真木よう子のほうが好きだし)。でも西川美和の映画はこれからも見たいと思わせる何かがある。しかし井川遥と瑛太のからみを見るとすななれを思い出してイカン。

『庭園』
ヤン・シュヴァンクマイエル/1968/チェコ
原題「Zahrada」。家の生け垣が人である、古い友人の家に招かれる話。

『デイズ・オブ・グローリー』
ラシッド・ブシャール/2006/アルジェリア、フランス、ベルギー、モロッコ
"戦争映画"と言われる"戦争映画"を久しぶりに見た気がする。第二次大戦のアフリカ大陸仏植民地諸国のアラブ系やアフリカ系の志願兵たちにスポットをあてた作品でメッセージ性が非常に高い。戦後60年を経ても解決されていない恩給問題、人種差別、偏見問題など一概にどうのこうのといいにくい映画。個人的には少し苦手なタイプ。

『ディスクジョッキー』
イジィ・バルダ/1980
no text


『ディズニーランド・ストーリー』
ロバート・フローレー/1954/アメリカ
ウォルト・ディズニー自身が司会をする幻のTV番組「ディズニーランド」。何本か紹介するモノクロ作品のうちミュージカル・アニメーション映画「ファンタジア」もあり、なかなか面白いドキュメンタリー。

『ティップ・トップ』
ポール・ドリエッセン/1984
逆さまはどっち?地球の重力はほんとうに地球の中心に向かっているのか。

『ディナーラッシュ』
ボブ・ジラルディ/2001/アメリカ
ニューヨークの人気レストランを舞台にしたたった一晩の群像劇。ダニー・アイエロの存在感。豪華でおいそうなイタリア料理の数々。戦争のような厨房から生まれる料理シーン。登場するレストラン「ジジーノ」は実在する監督のお店。行ってみたい。

『ティファニーで朝食を』
ブレイク・エドワーズ/1961/アメリカ
「ムーンリバー」が歌いたくなる映画。早朝ティファニーのショーウィンドウの前でヘップバーンがパンをかじる冒頭のシーンはとても素敵。袖が半端丈のオレンジのコートを着たヘップバーンがとてもかわいい。


『ディボース・ショウ』
ジョエル・コーエン/2004/アメリカ
キャサリン・ゼタ・ジョーンズを見たくて見てみたんだけど思ったよりキツい役でなかった。話はなかなか面白かった。

『ティム・バートンのコープスブライド』
ティム・バートン/2005/イギリス
声優にはジョニー・デップ、 ヘレナ・ボナム=カーター。CGようななめらかなストップモーション・アニメ。もう少し人の手を感じるほうが好き。

『ティンカー・ベル』
ブラッドリー・レイモンド/2008/アメリカ
ミニチムがどこかで"ティンカー・ベル"という単語を覚えてきたのでいっしょに見てみました。ピーター・パンと出会う前のティンカー・ベルのお話。個性を大事にしよう!というアメリカンな内容。残念なことにティンカー・ベルがかわいいと思えず。小生意気でずうずしくて顔自体もいまいちかわいくないー。ティンカー・ベルてこういうキャラクターだったっけ?

『デジスト・フィルム Desistfilm』
スタン・ブラッケージ/1954
無音でないブラッケージの作品。

『DEATH NOTE デスノート the Last name』
金子修介/2006
思いのほか藤原竜也は夜神月で松ケンはLで、見てくうちにどんどんぴったんこに見えてきてリュークもレムもなんか不思議じゃなくなってくるほどかなり再現してる気がしました。そしてうっかり涙が出そうに!

『鉄男』
塚本晋也
no text

『鉄塔武蔵野線』
長尾直樹/1997
田口トモロヲが即興のいい演技を見せる。音楽に内橋和久が関わってます。

『DEAD END RUN』
石井聰互/2003
オムニバス形式の3話からなる映画。この作品の市川実日子はとてもかわいいと思った。

『鉄くず拾いの物語』 new!!
ダニス・タノヴィッチ/2013/ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、フランス、スロヴェニア
舞台はボスニア・ヘルツェゴヴィナ。鉄くず拾いで生計をたてる貧しいロマの一家のドキュメンタリーのような物語。実際に合った出来事をを本人たちが演じています。はしゃぐ子どもの声が響き、淡々と物語は進みます。

幼い娘をふたりをかかえながら3人目の子どもがお腹のなかで死んでしまい、腹痛を訴える妻。緊急掻爬が必要なのに保険証を持たないため高額な手術代が払えず治療を受けられない。冒頭とラストシーンは何も変わらないということを考えます。

『鉄の男』
アンジェイ・ワイダ/1981/ポーランド
社会主義体制時代のポーランドの話。不勉強で理解出来ない所がたくさん。分かるけど分からない。分からない感情の方がつきまとう。だいたい「大理石の男」の続編なのに「大理石の男」を見た事がなかった。

『デブラ・ウィンガーを探して』
ロザンナ・アークエット/2002/アメリカ
ハリウッド女優34人のインタヴュー。この作品はどうでもいいけれど、40になろうとするエマニュアル・ベアールはいい女で好き。

『デュラス 愛の最終章』
ジョゼ・ダヤン/2001/フランス
映し出される風景は本で読んだものと近いのがうれしい。年老いたジャンヌ・モローはすごくて年齢を自在に操るような気がする。おそらく時代遅れの普通のデュラス好きの私としては彼女が「インテリは何でも上手なの。料理を作ることも、庭仕事も、セックスも。想像力があるから」と言えば、ほんとのインテリはそうかもしれないと思える。強い女は傍目から見ているくらいがちょうどいい。

『デリカテッセン』
ジャン・ピエール・ジュネ、マルク・キャロ
ジャン・ピエール・ジュネの初の長編映画。彼の映像センスはすごいな。ものすごく想像力があって、雰囲気が独特。人形アニメーションからCMまで幅広く活躍していたそうですがそっちのほうは見たことない。この作品は映像と音のつながりがおもしろい。未来なのになぜか古めかしかったり、そしてちょっとグロテスク。アパートの住人がかなでるチェロがなんともいえない効果をうんでいる。ヨーロッパ的ブラック・ユーモア?

『テルマ&ルイーズ』
リドリー・スコット/1991/アメリカ
平凡な主婦とウエイトレス。中年女二人の逃避行。ブラピブームが押し寄せていた昔、見逃していた映画を今頃。有名なだけあって面白い。女は強い。主婦は強い。女をなめてんじゃないわよ、という強気さと爽快感。

『テルマエ・ロマエ』
武内英樹/2012
ヤマザキマリの漫画はたぶん3巻くらいまで読んだだけで後半部分が漫画に添ってるか分からないんだけど、上戸彩の伏線はまとめるために必要だったのかな。たしかに漫画まるまる再現しただけではヒットしなかったのかも。

思いがけずおもしろかったです。阿部寛。

『テルミン』
スティーヴン・M・マーティン/1993/アメリカ
テルミンのような電子楽器にさほど興味はないのだけど(生楽器の音のほうが好き)、このB級ぽさにひかれて見てみる。世界一のテルミン奏者・クララ・ロックモア(いまはおばあちゃんだけど若い頃はとてもかわいい)の演奏は面白かった。当時恐怖シーンによく使われていたテルミンの音。紹介されていた中では『地球の静止する日』しか見てないのだけどちゃんと覚えてた。

『テロルの季節』
若松孝二/1969/東宝
「犯られてしまえば怖さはなくなるのさ」確かにそうかもしれない。はっきりとは出てこないけれどセックスシーンがねっちょりした感じ(湿度高め)。日本の国旗とアメリカの国旗のバックにジャジーなBGM。その上に女2人と男1人のセックスシーンがかぶさる。なんじゃそら。これで終わったらどうしようかと思った。そうでなくてよかった、よかった。

『天国の青い蝶』
レア・プール/2004/カナダ、イギリス
よくある映画の断片をつなぎあわせた二番煎じ(三番?四番?)映画。映画自体では一滴も泣けない。

『点子ちゃんとアントン』
カロリーネ・リンク/1999/ドイツ
エーリッヒ・ケストナー原作。"Punkt"は英語の"point"で"-chen"は小さいものを表す接尾語ということで「点子」となるらしい。しかしなぜ全員が「点子」と呼ぶのか謎。『ビヨンド・サイレンス』の監督というのがとても分かる。途中で飽きる映画というのは久しぶり。点子ちゃん役がかわいいと思えない。ミュージカルシーンは必要ない。「海へ行くんだ!」と言って行った先が北海というのはうらやましいと思った。

『天使ガブリエルと鵞鳥夫人』
イジー・トルンカ/1964/チェコ
デカメロンのエロティシズムを伝えた艶笑談。トルンカにはめずらしいエロ。ガブリエルがエロくていい。大天使と鵞鳥夫人の思わせぶりなシーン(鵞鳥夫人の靴が転がる)は川本喜八郎のカット。

『天使の詩』
ルイジ・コメンチーニ/1966/イタリア
はっきし言ってぼろ泣き。子供の悪意のない無邪気さ、小さな胸に秘めている悩みだとかは、(何度も書いてるように思うのですが)弱い。小さな身体で死を受け止め、愛情を求め、やり場のない寂しさを自分の中にぶつける姿。それを分かろうとする姿勢。でも、こういう映画であのラストはちょっとキレが良すぎないかなあ。

『天使の分け前』
ケン・ローチ/2012/イギリス、フランス、ベルギー、イタリア
スコットランド・グラスゴーに住む、毎日ケンカや警察沙汰に明け暮れる青年が息子ができたことをきっかけに更生しようとする話。社会奉仕活動を続けていくうちにウィスキーに出会い、そのウィスキーをめぐる一発逆転一攫千金計画を企てます。

いままで見たケン・ローチの作品が哀しくも鋭い下層階級社会へのアプローチだったのに対し、この映画はなんだかケン・ローチらしくなくて、ウィスキーを盗む計画を企てるあたりから雲行きがあやしくてそもそもこの作品の意図が意味不明。ウィスキーを落札したアメリカ人に対しての差別的表現も気になりました。いまのケン・ローチはこういう路線なの?

『天然コケッコー』
山下敦弘/2007
くらもちふさこ「天然コケッコー」の映画化。そよちゃん役の夏帆も大沢くん役の岡田将生も、そのほかのキャストも雰囲気も思ったより原作ぽくて、つまりは"くらもちふさこの「天然コケッコー」の映像"を見られて満足。主題歌を歌うくるりも音楽担当のレイ・ハラカミもどうでもいい部分だったのだけど、くるりの主題歌は案外よかった。途中までしか読んでない「天然コケッコー」を大人買いして一気読みしたい。


 >> と


『ドアNo.8』
マリア・ホルヴァート/1983/ハンガリー
ハンガリアン・アニメーション。好み。アニメーションと呼応する音楽のセンスもすばらしい。

『ドアNo.9』
マリア・ホルヴァート/1983/ハンガリー
ハンガリアン・アニメーション。好み。アニメーションと呼応する音楽のセンスもすばらしい。

『TOKYO!』
ミシェル・ゴンドリー、レオス・カラックス、ポン・ジュノ/2008/フランス、日本、韓国
ミシェル・ゴンドリー、レオス・カラックス、ポン・ジュノによる 東京オムニバス・ムービー。ミシェル・ゴンドリーは日本人感覚寄りなのといつものゴンドリー調でかわいらしい。でもこの加瀬くんには萌えない。レオス・カラックスの作品にはドニ・ラヴァン出演。レオス・カラックスだと思って見ると意外な感じで、ジャパンパッシングがきついのでたぶん3作のなかではいちばんウケが悪い気がします。ポン・ジュノの作品はあんまり見たことないんだけどそれでもあーこの感じポン・ジュノ!と思えたし、無難といえば無難なんだけど、香川照之、蒼井優のふたりがよかったので作品に好印象(カラックスのあとに見たからさわやかさに拍車がかかりました)。たぶんオムニバスの最初だとまた感想が変わりそう。ただどの作品も東京を舞台に外国の監督が撮ってるわけで外部から見た東京という意味では日本人が見て素直におもしろいとは思えず、ゴミ溜めみたいに描かれた東京の有様にむしろ悲しくなってしまいます。こういうコンセプトのオムニバスだったとは知らなかったよ。

『東京オアシス』
松本佳奈/2011
小林聡美主演、スローライフ・ムービー。加瀬亮、市川実日子、もたいまさこ、原田知世が脇を固めます。『マザーウォーター』を撮った監督なんだけど、同様「……」という感想なんだろなと思いつつキャストにひかれて観てしまう私。きつねうどんがおいしそうだと思ったらフードスタイリストは飯島奈美さんでした。

『純と愛』の千香ちゃん(黒木華/くろきはる という女優さんなんだって)が出てるんだけど、たしかに草食文学系の作品に似合う子かも、とか映画と関係ないよそごとを考えてしまうようなぼんやりしすぎた作品。

『東京タワー』
源孝志/2004
江國香織の同名小説の映画化。黒木瞳と岡田准一、寺島しのぶと松本潤という年の差不倫物語。ストーリー云々ではなく、観客である主婦が岡田准一や松本潤との不倫を妄想するという映画。当たり前だけど、寺島しのぶがダントツの存在感。そんなラストでええの?!という驚愕のラスト。軽すぎる!

『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』
松岡錠司/2007
樹木希林も内田也哉子もオダギリジョーもいい。でも2時間半弱は長いなー。テレビドラマの特番としてならよかったかも。

『東京家族』
山田洋次/2013
邦画の最高峰、小津安二郎『東京物語』(1953)のほぼリメイク。

老夫婦は橋爪功と吉行和子。長男夫婦は西村雅彦と夏川結衣、長女夫婦は中嶋朋子と林家正蔵、次男は妻夫木聡で恋人は蒼井優。設定は少し違っているものの、原節子が演じた紀子役を蒼井優が演じています。2時間半という長い尺のなかで、なぜ現代版『東京物語』を作ったのか、『家族』(1970)のような作品を撮れる山田洋次がなぜ小津の様式美を模倣しなくてはならなかったのか正直なところぜんぜんわかりませんでした。

『東京物語』の時代だからこそのリアルな距離感がないのと、中途半端な模倣がずっと違和感。

笠智衆と東山千栄子の美しくほんわかした哀愁漂う老夫婦役は橋爪功と吉行和子ではかなわず、『東京物語』で東山千栄子が「孫より子どもがかわいい」とつぶやく胸が熱くなるような染み入る会話は『東京家族』 には存在しませんでした。

『ナイト・トーキョー・デイ』
イザベル・コイシェ/2009/スペイン
菊地凛子主演、イザベル・コイシェ監督。築地市場で働く菊地凛子の裏の顔は孤独な殺し屋。イザベル・コイシェはこれでいいの?なぞのナイト・トーキョーにおおきく首をかしげます。

『遠い日の家族』
クロード・ルルーシュ/1985/フランス
ユダヤ人の悲劇をラフマニノフのピアノ協奏曲に乗せて綴る物語。叙情的なセリフや雰囲気は好きだけれど。

『10日間で男を上手にフル方法』
ドナルド・ペトリ/2002/アメリカ
びっくりするほど面白くない。

『東京画』
ヴィム・ヴェンダース/1985/西ドイツ、アメリカ
敬愛する小津安二郎『東京物語』(1953)の聖地・東京へヴィム・ヴェンダースが降り立つ。笠智衆と小津安二郎の北鎌倉のお墓へ行ってみたり、1980年代のネオンの東京の路地を50ミリのローアングル、つまり小津組みたいなカメラで撮ってみたよ、というかわいい小津ファンの足跡映画。さらに厚田雄春から『秋刀魚の味』(1962)の書き込まれた当時の台本をお願いしてかりてみたけれど、一語も読めないよ・・・と寂しそうなヴェンダースが愛らしい。

『東京公園』
青山真治/2011
三浦春馬、榮倉奈々主演。監督が青山真治だったから見てみたんだけど、見れども見れどもどうにも入りこめなくて、三浦春馬と榮倉奈々のそれぞれ正面からのカットの切り替えは小津安二郎ですか……と興ざめ(小津安二郎は大好きだけどこの映画はわざわざとってつけた感)。最後まで入れなくて、青山真治てこんなんだっけ?と胸に渦巻いてました。

『トゥ・シー・オア・ノット・トゥ・シー 』
ブジェチスラフ・ポヤル/1969/カナダ
NFB時代のもの。なんだか好みじゃない。アメリカンな中の魂の姿が何かを思い出す、ほら、トルンカの『二つの霜』(1954)。

『灯台守』
イヴァン・レンチ/1968/チェコ
木彫りなのによく動くパペットアニメ。

『灯台守の恋』
フィリップ・リオレ/2004/フランス
サンドリーヌ・ボネールが好きなので見る(パトリス・ルコントの「仕立て屋の恋」やジャック・リヴェットの「ジャンヌ」とか)。舞台は1963年のブルターニュ地方、ウエサン島。このウエサン島の風景が、なんの効果もせず絵画のように美しくそれが作品としてかなりの割合を占めているのでずるい。しかしやりすぎの嵐のシーンがせっかくの完成されたウエサン島の風景をぶち壊してるような。人妻と灯台守のひと夏の大人の恋という設定も古めかしく感じられストーリーには興味を持てない。

『動物たちと山賊』
イジー・トルンカ/1946/チェコ
ストーリーの意味不明。

『Dr.パルナサスの鏡』
テリー・ギリアム/2009/イギリス、カナダ
テリー・ギリアムの楽しいファンタジーワールド。どんどん出てくる豪華キャストに豪華セット。リリー・コールにジョニー・デップにジュード・ロウ、そしてトム・ウェイツ。なかなかおもしろい映画。

『トーク・トゥ・ハー』
ペドロ・アルモドバル/2002/スペイン
正直面白くなかった。泣ける話でも感動する話でもなかった。時間の進め方はかなり退屈。決定的なシーンも削除しているし、期待していたピナ・バウシュのバレエも好みではなかった。前評判が良すぎたせいかとてもがっかりした作品。

『年下のひと』
ディアーヌ・キュリス/1999/フランス
ジュリエット・ビノシュ出演。繰り返す愛。愛するあまり嫉妬深くなって猜疑の目で相手を見る。あんまり愛しすぎて、死ぬ欲動に駆られる気持ちは逃げでないと思いたい。彼等にとって死ぬ事は決意表明であり、"永遠の愛"であり、命がけの愛だったと。


『トスカーナの休日』
オードリー・ウェルズ/2003/アメリカ
美しい風景と美味しそうな料理の数々。ぼんやり見てると元気になれそうないい雰囲気の映画。

『ドッグ・ブレイン』
J・ファルコナー/カナダ
no text

『突然炎のごとく』
フランソワ・トリュフォー/1961/フランス
「あなたと過ごした時間が一番幸福だった」、と伝える事は優しさではない。死ぬほど好きなら本当に死ぬくらいの勇気があるのは女だと思う。

『隣の女』
フランソワ・トリュフォー/1981/フランス
フランス人の愛だの恋だのにはしょーもなさがつきまとう。けれどそのしょーもなさを何か脱出していないと私は好きになれない。これが大人の恋愛傑作映画? ナイーブ文系オッサンのどうしようもない夢。ジェラール・ドパルデューをモテ男に仕立てるのも夢見がちすぎ。弱すぎ。解説いらない。

『トプカピ』
ジュールス・ダッシン/1964/アメリカ
愉快な泥棒映画。ジュールス・ダッシンが監督なのでなんとなく見てみたけど、特別に心惹かれない映画でした。『日曜はダメよ』(1960)は天真爛漫さが前に出たメリナ・メルクーリ。そんなおばちゃんとは思わなかったけど、この女泥棒役はおばちゃんとしか思えなかった。

『トマ@トマ』
ピエール・ポール・ランデル/2000/ベルギー、フランス
広場恐怖症を8年間患うトマの近未来のヴァーチャル映画。映画として見るにはどうでもいい作品。

『とむらい師たち』
三隅研次/1968/大映
勝新太郎主演で監督が三隅研次、撮影は宮川一夫てなんだかそれだけですごい。後半むちゃくちゃでシュールな葬儀屋コメディ。大阪が舞台なため中之島公園も出てくる。見れば見るほど勝新太郎がカッコいい。

『共喰い』
青山真治/2013
青山真治の映画であんまり印象に残ってる映画がなく、あんまり合わないんだろーなーというのが正直な感想。いろんな映画をよく知ってて作り込む系の監督だとは思うけど、どうにも中途半端な印象。中上健次『千年の愉楽』の中本の血よろしく、本作も血の運命に翻弄される話(原作はあるけど)。

女性を殴ったり首を絞めたりしながらセックスする暴力的な性描写は女性から見ると、相当客観的というか勢いやエネルギーも足らなくてはっきり言って嫌悪感しか残らず薄っぺらい。客観的である意図があったとすれば何のために?嫌悪感を募らすのは何のために? たとえば原一男のドキュメンタリー『極私的エロス』くらいの前のめり感、性描写や出産や母体回帰であるとかもうそれこそ原一男の思い込みや主観で出来上がっていて、そういう女性の撮り方はありだと思うのね。そういう点で原一男はすごい。

主演の菅田将暉は「ごちそうさん」に出てた長男の泰介。甲子園を目指していた優等生がなかなか思い切った出演。その他俳優陣がよいだけにもったいないなー どうでもいいけどウナギの演出がとても2013年の作品とは思えない。大島渚『儀式』に出てきそうというか ATGぽいというか二番煎じ?

『友だちの恋人』
エリック・ロメール/1987/フランス
エリック・ロメール‘喜劇と格言劇’シリーズ第6弾で最終回。このシリーズを見てるとフランス人にとってのバカンスは本当に何をおいても優先される必ず充実したものじゃなくてはいけない重大な事項だとつくづく感じるのだけど、実際はどうなのかな。男女4人の夏物語はなんとなく日本人的で共感できる物語。ロメールの夏を舞台にした作品はさわやかな色彩や風景は一貫されたものがあって印象的。愛や恋や男や女、そういう話が本当の人間の真理に通じる話なんだろうなーとロメールを見ながら思ったりする。でもそれはロメールだからであって、月9ドラマとか見てそんなこと思わない。すべてはセンスにエスプリ。ラストのペアルックに思わず笑う。

『ドライ・クリーニング』
アンヌ・フォンテーヌ/1997/フランス、スペイン
ミウミウ出演。個人的にはどうでもいい話。

『ドライビング MISS デイジー』
ブルース・ベレスフォード/1989/アメリカ
いい話。時間の流れや人生の小さくて大きな事件。大切な物が、私の人生の中でも出来るといい。

『DRIVE ドライブ』
SABU/2002/日本
いつも全力疾走で強引なSABUなのに今回は微妙に中途半端。筧利夫の美女に囲まれる妄想シーンとか面白いけれど幽霊の話とかはイマイチ。でも、説教ソングとカルメン・マキの歌、SABUと堤真一と筧利夫も好きで松雪泰子のパンク姿は美しいと思った。

『トラベラー』
アッバス・キアロスタミ/1974年・モノクロ・72min
キアロスタミの長編処女作。サッカーに夢中な男の子は試合を観戦したいがために親も先生も友達もだまして行くのですが、スタジアムについた彼は疲れ果てて、キックオフ前に眠りに落ちてしまい、悪夢を見る。子供の視点で撮った映画というのは好き。

『トラベリング・ウィズ・ゲバラ』
ジャンニ・ミナ/2004/イタリア
「モーターサイクル・ダイアリーズ」のメイキング・ドキュメンタリー。ガエル・ガルシア・ベルナルを堪能。目の保養。ジュード・ロウを越える男前になるのを想像。

『トリコロール 青の愛』
クシシュトフ・キェシロフスキ/1993/フランス
ジュリエット・ビノシュ。2番。

『トリコロール 赤の愛』
クシシュトフ・キェシロフスキ/1994/フランス=ポーランド=スイス
イレーヌ・ジャコブ。3番。

『トリコロール 白の愛』
クシシュトフ・キェシロフスキ/1994/フランス=ポーランド
ジュリー・デルピー。1番。

『トリコロールに燃えて』
ジョン・ダイガン/2004/アメリカ
美しいシャーリーズ・セロンを見たくて見たものの、ナチスやスペイン内戦という1930年代のヨーロッパをベースにした恋愛物語は『大通りの店』を見たあとでは薄い。ラストの辛さも比にならない。

『ドリーマーズ』
ベルナルド・ベルトルッチ/2003/イギリス、フランス
1968年・5月革命前夜のパリ。映画オタクのアメリカ人留学生と映画オタクでプチブルのフランス人双子。ゴダール『はなればなれに』を模してルーブル美術館を駆け抜け、「シャンゼリゼで生を受けたの」「第一声はなんだったと思う?」「ニューヨーク・ヘラルド・トリビューン!」(ジーン・セバーグね)、オタクアメリカ人のアパートの机にはベルイマン『ペルソナ』のポストカード、オタクフランス人の部屋には毛沢東のポスター、模され挿入されるのを見て楽しいのは前半。後半は"映画オタクはひきこもりで、永遠に夢見がちで立派な大人にはなれません"という趣旨の映画。映画館で最前列に陣取り、席が後ろになるほど鮮度が落ちるんだ、と説明するオタクアメリカ人が「デートで映画を観るときは最前列には座らないんだ」と諭すシーンが心に残った。私てたいてい最前列・・・。

『ドリームガールズ』
ビル・コンドン/2006/アメリカ
ビヨンセ主演の大ヒットR&Bミュージカル映画。大ヒットするにはそれだけのパワーがある。先日見た『バックダンサーズ!』がいかにひどいか、というかくらべるのは失礼。

『トロイのヘレン』
ロバート・ワイズ/1955/アメリカ
ホメロスの「イリアッド」をもとにした歴史モノ。ブラッド・ピットの『トロイ』ではなく古い方。トロイの王子とスパルタ王妃は開始10分で愛し合い、心はいつもあなたと一緒、と抱きしめあう。そして15分後には異常にカンのいいスパルタ王に浮気に気づかれ戦闘開始という展開のはやさ。脇役の若きブリジット・バルドーが愛らしい。

『泥棒番付』
池広一夫/1966/大映
幕末の大阪界隈を荒らしまくる大泥棒佐渡八。勝新太郎主演の痛快時代劇。勝新太郎がものすごいおもしろくてカッコいい。勝新太郎の存在感があまりにもすごくて他が色あせまくり。もう少ししたら市川海老蔵は勝新太郎になるんじゃないかと思うくらい系統が似ている。勝新太郎も市川海老蔵もモテまくるのが分かるわー。

『どろろ』
塩田明彦/2007
思ったより案外どろろ役の柴咲コウががんばってた。しかしそもそも全然実写にする意味が分からないし全然手塚治虫じゃないし安っぽいし原田美枝子の起用ももったいない。

『ドン・ファン』
ヤン・シュヴァンクマイエル/1970/チェコ
原題「Don Sajn」。のちの「ファウスト」に繋がってゆく作品。

『ドンファン』
ロジェ・バディム/1973
B.BとJ.Bのからみが見れたのでよしとしよう。

『トンマッコルへようこそ』
チャン・ジン/2005/韓国
2005年度韓国興行収入No.1映画。朝鮮戦争もの。ふんだんに反戦メッセージのある普通におもしろい作品。ユートピアものて昔からみんな大好きなんだなと思う。少女役のカン・ヘジョンがもっとキーパーソンになるのかと勝手に想像していた。


 >> な


『ナイト・オン・ザ・プラネット』
ジム・ジャームッシュ/1991/アメリカ
ロス、ニューヨーク、パリ、ローマ、ヘルシンキ。同じ日の夜、それぞれを舞台にしたオムニバス映画。ウィノナ・ライダーはかわいいけれど、ジーナ・ローランズがやっぱりよかった。

『奈緒子』
古厩智之/2008
上野樹里、三浦春馬主演。ビッグコミックスピリッツのマンガ原作だけどマンガは読んだことはありません。上野樹里がずっと神妙な面持ちをしている青春陸上ドラマ。上野樹里はぽわんとかわいいのがいいのに。ドラマ「14才の母」で志田未来がキリちゃんと呼ぶ彼氏役からドラマ「ごくせん」、この間の「ごくせん」スペシャル、三菱東京UFJに行けばでっかい立て看板があり、この映画に至るのだけど、なんかやたら三浦春馬を見て決してタイプじゃないのに少年から大人への狭間具合がだんだんかわいく思えてくるおばちゃんがここに。

『渚にて』
スタンリー・クレイマー/1959/アメリカ
1964年。核戦争により北半球は全滅。わずかに残った人類達の様子、単なるパニック映画でないのがいい。ラストは荒涼として寂しく、美しい。

『嘆きのピエタ』
キム・ギドク/2012/韓国
『悲夢』撮影時の事件後、3年間の山籠もり→そこでのセルフドキュメンタリー『アリラン』からのキム・ギドク復活の2012年ヴェネチア映画祭・金獅子賞受賞作品。

キム・ギドクの生々しさというか暴力性というかグロテスクさは変わらず、さらなる難しい地点への終着を試みてるような気がしました。愛憎や復讐、それに慈愛と贖罪。韓国は近いけど、キム・ギドクのような不思議な痛みを伴う映画を撮れる日本人監督はいないんじゃないかなーと思います。

主演のイ・ジョンジン、まさに韓国で人気のありそうな顔立ちの長身のイケメン(目元がペ・ヨンジュン)イメージがメイクのせいもあってか、ぜんぜんイケメンに見えなかったのはアイドル脱却の戦略か(でもチョ・ミンスと街中で笑いあう姿はアイドル健在)。というかメイクはなくてよかったんでは。

『涙そうそう』
土井裕泰/2006
妻夫木聡と長澤まさみ主演。エロゲーのような兄妹キャラクターに共感できず。世の中の男の子は元気で明るくおでんばな長澤まさみみたいな妹に「愛してる」と言われるのを夢見ているのですか。

『夏時間の庭』
オリヴィエ・アサイヤス/2008/フランス
オルセー美術館開館20周年記念作品として、オルセー美術館が全面協力したジュリエット・ビノシュ出演の作品。たまたまCasa BRUTUSの2010年6月10日号「きちんと知りたい! 印象派とオルセー美術館の楽しみ方」特集をぱらぱら見ていたせいで、映画というよりオルセー美術館や所蔵しているコレクションに興味があってなかなか楽しかった。ストーリーはどうでもいいけど、美術品主役の映画ということで画面のきれいな映画。

『ナッシュビル』
ロバート・アルトマン/1975/アメリカ
舞台はカントリー音楽の中心地ナッシュビル。24人それぞれが主役というアルトマン得意の群衆劇。この映画では出演者が実際にカントリー音楽を歌っているのだけど、さらに驚くべきことにそれぞれの曲は出演者自身が作詞作曲したそう。歌詞が微妙にヘンで面白い。シュールでインディペンデントで、ナッシュビルの人々の日常を描く。24人それぞれのキャラクターがあってストーリーがあってそれぞれを絶妙に絡めていくうまさがアルトマンの凄さ。

『夏物語』
エリック・ロメール/1996/フランス
あんなに格好いいプポーが、すごい冴えなくみえる(そういう役だから)。でも格好いいんだけど。話は。ちょっと期待しすぎてたかもしれない。

『夏の庭 The Friends』
相米慎二/1994
見てないものだらけだけど、相米慎二の作品は少年少女モノが多いなー。

『お引越し』の次に撮った、これも子ども視点の作品。湯本香樹実の同名小説の映画化。少年3人とおじいさんのひと夏の交流。

後期の作品だけあっていろいろ削ぎ落とされてる感。少年たちの演技は引き続き『東京上空いらっしゃい』牧瀬里穂からの少年少女とよく似た演技。死んだ蝶を空井戸に入れるとたくさんの蝶や鳥が井戸の底から舞い上がってくるラストは、相米慎二だなーといい気持ちに。現実に入り込む夢の描き方が心地いい。

『NANA』
大谷健太郎/2005
原作を読んでないので原作の面白さは未確認だけど、宮崎あおいちゃんが出てなかったら見てない。宮崎あおいちゃんかわいいなあ。高岡蒼甫にはもったいない。

『NANA2』
大谷健太郎/2006
だらだらと何のコンセプトもない映画。バンドの音楽がまったくパンクじゃないのが気になる。設定に問題があったみたいだけど宮崎あおいちゃん出なくて大正解。

『七夜待』
河瀬直美/2008
長谷川京子主演で舞台はタイ。得意の即興演出。河瀬直美の作品は本数を重ねていくうち年数を重ねていくうちにだんだん受入れ体制になってきた。女性監督でここまで出来る根性と度胸に感心。ただ、映像的にも質感もきらいじゃないのだけど、だからなんだという後味が残ってしまうのが残念。

『何がジェーンに起ったか?』
ロバート・アルトリッチ/1962/アメリカ
老姉妹の物語。気の触れた妹役ベティ・デイビスの容姿や異様な行動が楳図かずお漫画のよう。

『名もなく貧しく美しく』
松山善三/1961/東宝
国が推薦する優良映画のような作品。聾唖者同士の夫婦の物語。松山善三&高峰秀子ということで見たのだけどタイトル通り「名もなく貧しく美しく」しあわせとはこうあるべきである、人はこのように謙虚であれ、というメッセージ性の高い作品。赤ちゃんが不運にも亡くなってしまうシーンなどは涙を誘うし撮影は玉木正夫だし美しい映画だけれどあまりに優等生ぶりが前面に出すぎてる感じ。草笛光子や加山雄三が若い!

『ナビィの恋』
中江裕司/1999/イエス・ビジョンズ ほか
沖縄の風景と風土の歌。おじいがかわいい。ぼんやりしあわせな気分。「今日は何もしないくていいからね」「ゆっくりしてるんだよ」「身体に気をつけるんだよ」。どんなに歳をとっても好きな人の事はずっとずっと大事。

『なまいきシャルロット』
クロード・ミレール
シャルロット当時14歳。シャルロットの成長過程が見れる映画。

『涙を、獅子のたて髪に』
篠田正浩/1962/松竹
監督が篠田正浩、脚本に寺山修司、音楽に武満徹、と豪華な作品。10代のアイドル・加賀まりこのデビュー作。加賀まりこがまだあどけない。ロカビリー歌手として売出し中の藤木孝(サブ役)が無理矢理歌わされる地獄のロカビリーがインパクトのある歌詞。日本映画ぽくなくて、ちょうど60年代のフランス映画のような雰囲気の映画(舞台はヨコハマで主人公はサブだけど)。

『名もなきアフリカの地で』
カロリーヌ・リンク/2001/ドイツ
カロリーヌ・リンクは『ビヨンド・サイレンス』や『点子ちゃんとアントン』を撮った監督。小ぎれいな描写はそれらと同じく軽すぎる。妙な所でズームアップしたりひいたりするカメラワークがヘン。こういうのがアカデミー賞で最優秀外国語映画賞?

『ナルゲス』
ラクシャン・バニエテマッド/1992/イラン
バニエテマッドが国際的評価を得た作品というものの、私にはそうかなーどうかなー的作品。

『南極料理人』
沖田修一/2009
西村淳原作エッセイ『面白南極料理人』の映画化。南極のドームふじ基地に派遣された、南極観測隊の調理担当を中心とした物語。飯島奈美さん監修のごはんはどれもキュートでかわいくおいしそうだし、これがなかなか物語りもかわいく楽しい映画で、なんだかものすごい癒され映画。監督31歳!


 >> に


『肉体の冠』
ジャック・ベッケル/1952/フランス
恋して嫉妬して喧嘩して自分を犠牲にして。どうにもシモーヌ・シニョレがそれほどいい女に見えないのはたぶん私の目の悪さのせい。

『肉体の森』
ブノワ・ジャコー/2010/フランス、ドイツ
浮浪者に催眠術をかけられた美しい娘が森でセックスを繰り返す官能エロ映画。

わりと不思議な映画で、実は何を考えているか分からないイジルド・ル・ベスコ演じる女性の心理描写や肉感的な身体を持つ彼女の抑圧された性欲の解放、ストックホルム症候群みたいな単純なストーリーに終わらないあたりはおもしろかった。

『逃げ去る恋』
フランソワ・トリュフォー/1978/フランス
アントワーヌ・ドワネル物語最終篇。ジャン=ピエール・レオのダメ人生総集編。見れば見るほどジャン=ピエール・レオはタイプでない。あ、分かった、彼がタイプじゃないから作品にハマれないんだ。

『ニコ・イコン Nico Icon』
スザンヌ・オフテリンガー/1995/ドイツ
この映画は以前東京に行った時にもらってきたパンフ(帯っぽいやつ)に町田康さんがコメントを載せていて「アラン・ドロンはクソ野郎だと思う」というのになんだか非常に私の見る気をそそった。ニコは好きだけれど、正直特別思い入れはない。この映画を見て、F・ガレルとつきあってたこととか、ジム・モリソンの「ジ・エンド」がニコとの関係から生まれた曲だというのを初めて知った。遅すぎ?モデル時代の映像が見られるのはちょっと楽しい。でも、こういうドキュメンタリーはどうしても美化されている。作られてしまっているように思える。私はこの映画を情報を与えてくれる映画としか見れなかった。

『西の魔女が死んだ』
長崎俊一/2008
毒もひねりもないなーと思ったけど、見たあとに児童書が原作だと知りました。アニメぽい実写映画です。

『25日・最初の日』
ユーリー・ノルシュテイン/1968
no text

『虹をつかむ男』
山田洋次/1996/松竹
この歳になって一作も見たことがない「男はつらいよ」も「釣りバカ日誌」ものんきに楽しくみれる自信が出てきました。

「男はつらいよ」の新作ロケ前に亡くなってしまった渥美清を追悼して制作されたのが本作品。だから出演者も豪華な寅さんファミリーで占めています。西田敏行演じる映画好きの映画館主・白銀活男とそのまわりの人々の人情ドラマ。

映画好きの山田洋次のための映画という感じが強いけれど、劇中でかかるたくさんの映画が楽しめる映画好きだとより楽しめる映画。木下恵介『野菊の如き君なりき』(1955)は見逃してるなー見なくては!

『偽の花瓶』
サイレント時代の作品。原題False Vase。今となっては珍しくもない実写とアニメの融合の先駆けと思われるレアな映像。

『2046』
ウォン・カーワァイ/2004/香港
舞台は1967年の香港。フェイ・ウォン、チャン・ツィイー、コン・リー、カリーナ・ラウ、マギー・チャン。これだけ揃えたのがすごい。トニー・レオンはいい男だし、出演者を見ているだけでも楽しい。期待通りのウォン・カーワァイらしい作品。

『2001年宇宙の旅』
スタンリー・キューブリック/1968
こういうのダメかと思ってたんだけどすごいね面白いね。ラスト近くの木星に行くシーンなんか既知街(オタクの表現手法採用)沙汰の色合い。CG使った宇宙空間なんかどうでもいいねと思わせる宇宙空間の綺麗さ。リゲティの音を使うという気の利きよう。本当は画像付き感想文にしたかった(foreign movie)くのだけど、あまりに有名すぎて私が書くまでもない映画だったのでパス。

『尼僧物語』
フレッド・ジンネマン/1959/アメリカ
1920年代のベルギーを舞台にした、実在の人物をモデルにした小説の映画化。可憐なオードリー・ヘップバーン演じるシスターがコンゴに看護婦として派遣される。実際約30年後にアフリカで慈善活動をすることになったことを考えるとこの物語はなんだか演じるべくして演じたような作品。

『日曜日が待ち遠しい!』
フランソワ・トリュフォー/1983/フランス
トリュフォーの遺作。原作は『土曜を逃げろ』。タイトルが有名なだけにミステリー作品だったのが意外。ファニー・アルダンがかわいく見えた作品。

『日曜日のピュ』
ダニエル・ベルイマン/1992/スウェーデン
主演のベルイマンの息子がかわいい。でも自分の息子を出したりするのって少し興ざめ。

『ニノの空』
マニュエル・ポワリエ/1997/フランス
97年のカンヌで賞をとった作品。所在のない男のふたり旅。私は放浪の旅モノ、行くあてのない幸せ探し、とか苦手。ロードムーヴィーで好きなものはよっぽど何かがあるとき。ふらふらして適当でぼんやり、行き当たりばったり、根無し草な感じはイライラする。非常に気分の悪い映画。

『200本のたばこ』
リサ・ブラモン・ガルシア/1998/アメリカ
舞台は1981年の大晦日から1982年の元旦。音楽がディーヴォ(私は今頃好き)やカーズやラモーンズだったり、コートニー・ラヴが出てたりその他豪華出演者。「愛のないセックスはしちゃいけないのよ」と突然悟りを開くコートニー。誰だって本当は誰でもいいわけじゃない。愛がなくちゃ。

『日本の悲劇』
木下恵介/1953/松竹
戦前戦後の日本の悲劇ととある家庭の悲劇。相当暗い。母親役の望月優子のダメさ加減がすごい。こういう木下恵介作品はあまり興味をひかれない。
『ニュールカの風呂』
オクサーナ・チェルカーソワ/1995/ロシア
画面のゆらぐ感じ。そして視界もゆらぐ。

『ニライカナイからの手紙』
熊澤尚人/2005
蒼井優主演。『花とアリス』(2003)に近い雰囲気。竹富島てきれいなトコだなあ。ラストの母と娘の号泣シーンの安っぽさに興ざめ。やたら郵便局や郵便局員が出てくるのはタイアップ?


 >> ぬ


『盗まれた欲情』
今村昌平/1958/日活
長門裕之主演、今村昌平デビュー作。大阪の河内地方を巡業する芝居一座。このすでに手慣れた感じのバイタリティ溢れる作品がデビューというのが驚き。


 >> ね


『猫が行方不明』
セドリック・クラビッシュ
おもしろい。『CHACUN CHERCHE SON CHAT』という原題もかわいらしい。ありふれた日常の事件的なお話は好き。ある女の子の生活の中の事件、のような。おばあさん達がたくさん出てくるのですが、聞くところによると、彼女たちは全員素人。すごいな。ポーティスヘッドが使われてたのはなんかびっくりした。

『猫に裁かれる人たち』
ヴォイチェフ・ヤスニー/1964/チェコスロヴァキア
チェコ・ニューウェイヴ?コメディー?ファンタジー?相当意味不明なシーンが多い。子供たちの書く絵のセンスに脱帽。

『ねじ式』
石井輝男/1998/石井プロダクション
浅野忠信主演。町田町蔵ファンが『エンドレス・ワルツ』(若松孝二/1995)を見て悲しくなるように、浅野忠信ファンはコレ見て泣くのかな。エロ・グロ・ナンセンスというわりには全然グロさは感じない。制作費がなかったのか狙いなのか分からないけれど、セットがあまりにちゃちい。

『眠れる美女』
マルコ・ベロッキオ/2012/イタリア、フランス
実際にイタリア全土で論争を巻き起こした尊厳死問題について3つの物語を並行して描きます。イザベル・ユペールの出演が目当て。

ここまで尊厳死が社会的な大問題になる敬虔なキリスト教信者の多いイタリア。愛するがゆえに延命処置をし続け、愛するがゆえに生命維持装置をはずす、さらには自分で命を絶とうとする麻薬患者。2時間弱の映画のなかで延々と問われる生と死。決して主役ではないけれど、イザベル・ユペールが手をこすりながら「何度洗っても汚れが落ちない」という寝言はシェイクスピア「マクベス」のマクベス夫人のセリフだそうです。イザベル・ユペールが演じるこういう示唆的なセリフは好み。


 >> の


『ノーカントリー』
ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン/2007/アメリカ
80年代のテキサスを舞台にしたサスペンスドラマ。全貌が明らかでないまま終わるコーエンぽさ。冒頭からひきつけ方がとても上手でばりばりの緊迫感を持ったまま物語が進む。話の軸ではないのにいいとこどりのトミー・リー・ジョーンズ。そのトミー・リー・ジョーンズがつぶやく言葉が意味深でどこと結びつけたらよいか分からず微妙に消化不良。サスペンスとしてどうかは分からないけど、おもしろいと思う。

『野のユリ』
ラルフ・ネルソン/1963/アメリカ
気のいいさすらいの男性が五人の尼僧たちにつかまえられて立派な教会を建てるというほのぼの映画。男性と尼僧たちが歌うシーンは『天使にラブソングを…』の元ネタのよう。家族でのんびり観たい映画。

『ノーブラ』
レネ・カスティージョ&アントニオ・ウルティア/1998/メキシコ
パペットアニメ。キャラクターがあまりかわいくないし、話的にもイマイチ。

『ノーマ・レイ』
マーティン・リット/1979/アメリカ
アメリカ南部の紡績工場の労働者たちが、労働者としての権利を獲得する物語。サリー・フィールド演じるノーマ・レイの強さ、たくましさに憧れる。普通に泣けた。本作品でサリー・フィールドは1979年アカデミー主演女優賞やカンヌ映画祭主演女優賞を受賞。

『・・・のような出会いについて#1』
Yoshihiro Noda/2000/日本
ショートショートフィルムフェスティバル2002より。こんな展開はみえみえだけど。

『のら猫の日記 MANNY&LO』
リサ・クリューガ/1996
11歳と16歳の姉妹のロードムービー。いいですよ、これ。食料品店で「ミルク・チェック」って何かと思ったらアメリカの牛乳には行方不明になった子供達の顔写真がプリントしてあるんですね。知らんかった。それ見て自分達が手配されてないか見るんです。全然飽きなかった。なんか、いい映画です。見終わって気分がいい。ちなみに音楽はジョン・ルーリー。

『紀子の食卓』
園子温/2005
崩壊した家族とレンタル家族。イマドキの人と人のツナガリ。主役紀子役の吹石一恵より妹ユカ役の吉高由里子がよかった。長い尺なのに飽きずに見ることができる完成度とパワーを感じる作品。古屋兎丸をこんなにどアップで見たのははじめて。主人公と同世代の女の子がこの映画を見たらどう思うだろうと思った。自分が高校生だったらどう思っただろうと想像する。たぶん今ほど距離感を感じずもっと衝撃を受けてもっと入り込めなくてたかも。でももしかしたら逆?

『のんちゃんのり弁』
緒方明/2009
『いつか読書する日』の監督作品。同名マンガは未見。小西真奈美主演のこの作品、日々エッジとパンチの利いたアンテナたててる人にはまったく向かないけど、気持ちのいいゆるさで岸辺一徳が出てるせいか『いつか読書する日』を彷彿とさせるテンポも脳みそが休憩してるような心地よさ。この『のんちゃんのり弁』ののり弁レシピがおいしそうなので参考がてらマンガも読みたくなった。

AERA-netに連載されていたコラム『シネマ食堂』より飯島奈美さんの再現する「のんちゃんのり弁」

http://www.aera-net.jp/magazine/cinema/090925_001144.html

飯島奈美さんが再現するとこれまたおいしそう。

← other movie's memo vol.1
other movie's memo vol.3 →