【単行本】「LADYリンクス」2〜4巻 ますだ直紀 ヒット出版社 A5
阿ウンで長年続いている非エロな女子プロレス漫画。正直に告白すると、すんません、この作品今までちゃんと読んでませんでした。でもちゃんと読んでみると、これが実はかなり面白い。主人公はいつも覆面をしていて、天然ボケなノリ、でもものすごいスピードと人間離れした体術でけっこうな実力を持っている女子プロレスラー・リンクス。彼女と同じ団体に属する仲間たちの日常を描くコメディである。健康的な絵柄は親しみやすいし、回を重ねるごとにそれぞれのキャラクターの個性が見えてきて、より面白くなってくる。カラッと明るく、すごく楽しい。やっぱ雑誌に載ってる作品は、長い目でちゃんと読んどかないとイカンのだなあと改めて思わされました。いい作品です。
【単行本】「夜の燈火と日向のにおい」1〜5巻 鬼魔あづさ 少年画報社 B6
幽霊になってしまった少女が、とある男の家に居候。最初は男には彼女のことが見えなかったけど、そのうちだんだん慣れてきて見えるように。彼とその妹、それからその他もろもろの幽霊を交えたのんびりした生活が展開されていくというお話。まずは全体の、優しくゆったりした雰囲気が良い。そういう雰囲気を引き出しているんろは淡い絵の効果が大きい。この人ってずっと絵のタッチは同じな感じがするけど、改めて読み返してみると連載を続けていく中で洗練度が上がってきているのが分かる。だんだんと線が整理され、最小限の線で最大限の効果を出せるような、そんな力量が備わってきていると思う。んでもってお話のほうも、ゆったりとしたペースを基本として、淡くてあえて言葉にしない恋心的感情、友情的思いやり、ちょっとHなことも織り交ぜたりして進めている。実は連載ではあんまり読み込んでなかったんだけど、まとめて読んで「ああいい感じに面白いなあ」と感心した。この人、一定のペースで焦らず騒がず、でも着実に伸びているなという印象を受けた。
【単行本】「LOAN WOLF」1〜2巻 山田秋太郎 少年画報社 B6
1億円の借金を突然背負うことになってしまった男二人コンビが活躍するドタバタ系作品。山田秋太郎の絵柄はピチピチしてイキが良く、ハッタリも利いている。ただ、ストーリー的なまとまりはいまいち。本筋といえるようなものがどうも見えてこないし、1億円の借金にも重みと説得力が欠けているような気がする。追い込みが甘いというのもあるし。「LOAN WOLF」といいつつ、その借金という設定がいまいち生きてないし、主人公二人の能力面もさほどすごく見えない。うーん、ちょっと惜しい。
【単行本】「HAPPY PRESENT」 龍瀬弓乃 蒼竜社 B6
パッチリ大きな目が印象的な女の子たちは、瑞々しい雰囲気でけっこうかわいい。明るいムードで楽しげにHしているのも良し。お話も、今回収録されたお話に関しては飛び抜けて面白いという作品はなかったものの、それぞれ手堅くまとめてあるという印象。エロのボリュームもわりとあるので、汎用性は高そう。ただ、背景をあんまり描かず、効果やトーンで逃げちゃっているのはイマイチ。全部のコマでガリガリに描き込む必要はないと思うけど、もう少し周囲の状況が分かるよう、エッチシーンでも何コマかにいっぺんはそれなりの背景を入れていったほうがいいと思う。
【単行本】「OVERTURE」 速瀬羽柴 蒼竜社 B6
剣と魔法的ファンタジー世界が舞台。共に兄に対して男女の愛情を抱いており、それぞれお互いにわだかまりを抱いている美少女姉妹の物語。絵柄的には華があってパッと目を惹く。ストーリー的には不完全燃焼といったところ。兄さんは理由を明かさぬまま妹たちのもとから旅だっていったままだし、姉妹の決着も完全にはついていないし。もう少し続けて設定を消化しきっちゃったほうがいいような気もするけど、そうするなら姉妹の相克のエピソードはもっとコンパクトにしちゃうか、それとももっと大掛かりなものにしちゃったほうがいいだろうし、難しいところですな。後書きによれば、雑誌が休刊しちゃったこともあって、本来2巻分くらいの予定だった話をバタバタまとめちゃったそうでその点でもムリが出ちゃったかな。この段階では正直あまり面白くないです。
【単行本】「天使の受難」 かわりだね秋都 蒼竜社 B6
メインとなっているのは、リモコン一つで淫乱にも清純にもなるヒト型ロボット「リモコンガール」を中心としたシリーズ。アニメ絵といわれるタイプの、オーソドックスな美少女漫画という趣。この単行本時点ではまだ絵にこなれてないところが多いしまだまだという印象。
【単行本】「ウィンディングパーティー」 唯登詩樹 蒼竜社 B6
最近、復刻が相次いでいる唯登詩樹だけど、これもまた。彼女・美智子となかなかヤレないでいる主人公・啓介の欲求不満が実体化。美少女の形をとる。さらにその後、この分身は分裂し、摩奈と瑠貴と名乗るようになる。んでもって、本来は主人公の分身である女の子二人と、それから彼女を巻き込んだフクザツな恋愛模様が展開されるというストーリー。ノリはお気楽ながら、実はけっこう「スコシフシギ」な物語になっている。唯登詩樹はやっぱ手描きのほうがいいな。ストーリー的にはこれよりもっとSFやらファンタジー風味の強いほうの作品のほうが好きなんだけど。
【単行本】「女豹」1〜2巻 鬼窪浩久 実業之日本社 B6
普段はドジなOL、でも実はすご腕の殺し屋であるヒロインの活躍を描く作品。エロシーンは濃いめながら、コメディシーンはかなりコミカルだったりと、かなり緩急がつけられている。陰と陽の落差は激しく、なんだか不思議な面白さのある読感。
【単行本】「らぶらぶ電脳アカデミー」 牧野靖弘 シュベール出版 B6
オタクな彼氏とロリ顔巨乳な彼女。ラブラブな二人を描きつつ、パソコン話もやるという作品。例えばメモリ容量を二人がエッチなことするベッドの広さに例えてみたりとか、デジカメって楽しいよーとか、パソコンは全然分からない人に概念的なことを伝えるいったことはけっこうちゃんとできているという印象。この人の絵柄は楽しげで華やかだし、けっこう昔っから好きではある。何かコレという、もう一押しには欠けるなーとは思うんだけども。
【単行本】「麗しのお姉さま」 雅亜公 シュベール出版 B6
再版モノ。まあさすがに今となっては内容的に古くなっているんだけど、気弱な男子を美人女教師が後押しして元気付け、恋を成就させてあげるという、けっこうちゃんとした学園青春モノになっててけっこう読めた。ただ、「今コレを読むとしたらどんな人だろう」と考えるといまいちピンとこない。
【画集】「Bitch's Life」 グラフィック社 A4
韮沢靖責任編集で、いろいろとうまーい人を集めてきた画集。執筆陣はグラフィック社のWebのこのあたり参照。すごくうまい人ばかりなんだけど、意外とインパクトは弱いかなあ。まあ画集はあまり好きじゃないという個人的嗜好のせいかもしれないけど。