2001年4月上旬


4/10(火)……四畳間の幼女魔

 トップページのデザインおよび構成を変更せんと試みる。途中で面倒くさくなり挫折。今回の案件。それはすなわち、日記の最新何日分かをトップページに埋め込み、他のコンテンツに関するメニューを塩梅良く配置すること。トップページに日記を入れる。それは現在に比して、毎日の繰り返し作業を少しずつ増加させることにつながる。掲載および過去ログへの移動の手順は、できる限りシンプルにせねばならぬ。毎日行うことだからこそ、だ。少しずつ降り積もる面倒。それこそがモチベーションの低下を招く大きな要因となる。つまり念頭にあるのは、デザインの整合性だけにあらず。それにも増して運営方法の策定にあり。いましばらく検討を続ける所存。

【雑誌】ガロ 5月号 青林堂 B5平

 特集は鳥肌実。そして映画についての駕籠真太郎によるコラムも始まった。漫画でなく文章で起用するというのは意外だったが、インテリジェントな人物だし向いているのではないかと思う。ちなみにコラムのタイトルは「印度で乱数」。駕籠真太郎の出していた同人誌と同じタイトルだ(最近は忙しくて出してないらしいけど)。津野裕子「流感の流行り」。面白い。風邪に浮かされている主人公の少年が、ふらふらと道行く最中の思考の流れを追うという話。読んでいるほうも思わずくらっとくるような漫画表現ももちろんだが、「ふかふかと発熱」などといった言葉遣いのセンスも素晴らしい。大越孝太郎「天国に結ぶ恋」もペンタッチがとても美しくて良い。雑誌全般でいうと漫画のパワーは落ち気味な気がする。

【雑誌】漫画アクション 4/24 No.17 双葉社 B5中

 環望「息をひそめて抱いて」が最終話。姉弟の関係を軸として、肉欲にまみれドロドロとした思惑の渦巻く骨肉の愛憎を描いた作品。最初から最後まで味付けは濃厚。それだけにぐんぐん読ませる強さはあった。環望のアクションでに次回作は5月8日発売号からスタートの予定。友美イチロウ「ikiss」。何やら馬鹿馬鹿しくて面白かった。「毎年恒例行事」ということで、花見の席で新入社員の女の子が素っ裸になって桜の木の役をしたりワカメ酒をやらされたり。当たり前だがセクハラだし猥褻物陳列罪だ。だけど妙にあっけらかんとおめでたくそれをやってて、雰囲気としてはとても楽しい。

【雑誌】ヤングチャンピオン 4/24 No.9 秋田書店 B5中

 葉月京「恋愛ジャンキー」が巻頭カラー。この人の描く女の子は、ピチピチしててすごく分かりやすい可愛さを持っている。とても重要なことです。

【雑誌】近代麻雀オリジナル 5月号 竹書房 B5中

 押川雲太朗「ダイナマイトダンディ」。のっけから選挙に出馬したウハウハ教の教祖が、街頭でウハウハウハウハ叫びまくっていてかなり異様なテンション。すごいツカミだ。こういう馬鹿馬鹿しいハッタリのきかせ方はホントうまい。画:おおつぼマキ+作:福地誠「まんツボ」。Hなことをやる。そして麻雀講座もする。狙いは確かだ。このテクニックって実際の効き目はどんなもんなんだろう。麻雀はからっきし弱いので、読んでるとけっこう納得しちゃうんだが。

【雑誌】エースネクスト 5月号 角川書店 B5平

 いまいち元気ないな、と思う。岩原裕二「地球美紗樹」あたりは安定して興味を喚起されるし、介錯「鋼鉄天使くるみ」のテンションの高いダメダメっぷり(褒め言葉です)も素晴らしいとは思うのだけど、なんというかこう全体的にガッときてグッときてバッというモノがないッス。エースDASHのときはガッときてグッときてバッとくるものが多かったんだけど、なんだかだんだんパワーダウン。オタク系月刊少年誌らしいまったり感もなかったりするのがちとツライ。そんな今号の目玉は、大橋薫&楠桂の漫画家シスターズによる読切「まり子ちゃま2001」。「魔幼女」と呼ばれる園児まり子ちゃまが、難攻不落なモテにーちゃんを籠絡するまでを描いたコメディ。最近なんかこの人たち、というかとくに大橋薫がそうだと思うんだけど、かなりベタに美少女的物件を描いてて開き直ってるな〜と思う。ところでコレってどこらへんが大橋薫担当で、どこらへんが楠桂なんじゃろー。あと森田屋すひろ「プリプリプリン」は魔女っ子がとてもかわいくて良い。


4/9(月)……拳でなっぐる

 うへー。コミックリベル(日正堂)ってもう休刊になっちゃったんだー。4月2日発売の2号(感想は4/3の日記に書きました)が休刊号になったらしい(情報源:sawadaspecial.com 4/9の項)。何を狙ってるんだかわからん雑誌だったが、それにしても早すぎ。1号2号ともに保管してあるけど、この内容じゃあプレミアつかんだろうなあ、さすがに。

【雑誌】YOUNG YOU 5月号 集英社 B5平

 田渕由美子の前後編読切「恋愛小説」の前編が掲載。昔、女子大生だったころ助教授との不倫関係を小説にして話題をさらい、今ではフリーライターとして地味に仕事をしている女性のもとに、身分を偽ってかつての不倫相手の息子が近づいていく。家庭崩壊の原因になった女がどんな人間かを確かめるために。と書くとかなりドロドロしてるっぽいし、実際そうなるのかもしれないけれど、このライターの女性はけっこう抜けたところもある感じの人でそんなに重くはなってない。けっこう読ませるお話なんで後編が楽しみ。あと谷地恵美子「明日の王様」がコンスタントに今回も面白かった。いよいよ十也&有バージョンの「逆歳の峠」も上演され、また一つステップアップという感じ。

【雑誌】FEEL YOUNG 5月号 祥伝社 B5平

 有間しのぶ「モンキー・パトロール」が楽しい。メンタリティはほぼおやじな野市が、実にサバサバしてていい。こういう豪快な娘さんはいいですなあ。そういえばここまでではないにせよ、この雑誌の掲載作品では似たようにサッパリした気性が気持ちいいねーちゃんが多いような気がする。青木光恵「スウィート・デリシャス」のコトエリちゃんとか、安野モヨコ「ハッピー・マニア」のシゲタとか。宇仁田ゆみの読切「エバグリン」のヒロインもそんな感じだった。ぶきっちょでかわいい。ところで「ハッピー・マニア」はなんだか最終回が近いらしい。こいずみまり「CUT×OUT」も次号で最終回かー。

 小野塚カホリ「ジョルナダ」。美人だけど男っ気がない女性。実は彼女は、真性の少年好きだったのですーというお話。かわいい男の子を誘惑していくおねいさんの姿がえっちで良い。南Q太「夢の温度」。中学生恋愛模様がとても心地よい。大人のような子供のような中途半端さに惹かれる。あと、この作品でも性別を感じさせないようなクラスメートのヘンな女の子・坂田さんの存在にすごく惹かれる。こういう人と遊んでみたい。楽しそうだ。

【雑誌】ヤングキング 5/7 No.9 少年画報社 B5中

 花見沢Q太郎「ももいろさんご」。あら〜。今回は湊お気に入りのCDを踏んで割っちゃった三悟が、首輪をかけられて湊の一日奴隷に。あひー。えっちー。なんか連載再開してからというもの、かなりHシーンが直接的になっている。それにしても今回のは責めはまったくたまらねい。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 4/23 No.19 集英社 B5平

 いとうみきお「ノルマンディーひみつ倶楽部」がアツくていいなあ。登場人物たちの漫画への愛が伝わってくる。こういうのを読んで、漫画道を志す若いのが増えてくれるといいなあ。新人読切、みち「SOUL」。森田まさのりの影響を受けているんだなあというのが分かる絵柄。わりとしっかりしているとは思うのだけど、クライマックスはともかくそこに持っていくまでの展開がタルいように思える。いまいちハッタリが利いてなくて物語に入っていけない感じ。ボクシングもののわりに1コマ1コマがちまちましすぎで、意味のないコマが多いのはちょっとつらい。このほかにも読切は、原淳「W.P.P 世界混乱計画」が掲載。どちらもあんまりオモシロイとは思わなかったけれど、これだけの大部数を持っていながらこういう新人作家の作品を多少ハズそうが意欲的に載せていくという点で、ジャンプはやっぱり偉いと思う。

【雑誌】ヤングマガジン 4/23 No.19 講談社 B5中

 ロクニシコージ「すべてに射矢ガール」は珍しくセクシュアルなネタ。あすみちゃん、けっこうええ声で哭くやないけ。松本光司「クーデタークラブ」も、潤がおねーさんにいいようにいじられててエッチ。この坊主もええ声で哭くやないけ。俺って下劣ー。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 4/23 No.19 小学館 B5中

 おおっ。画:秋重学+作:川崎ぶら「ニナライカ」が単行本化ですとっ!? 狂喜。5月15日ごろ発売で出版社は河出書房新社。ありがとうございます、河出書房新社様。ずうっと待っていたんだよおお。ところで今号のスピリッツには、このコンビの読切「愛と青春の成り立ち」の前編も掲載されている。

 それから巻頭カラーで吉田戦車の新連載「殴るぞ!」が新連載。すごいタイトルだなー、これ。4コマ漫画を次々とという感じで、コミックバーズでやってる「スカートさん」に近いかな。素直に楽しい。ところでスピリッツではこれから新連載攻勢に入るようで、4/23発売号で江川達也、5月7日発売号で今井亮一+ウヒョ助、5月14日発売号で柏木ハルコと相原コージ、5月下旬発売号でヒラマツ・ミノル、6月11日発売号で吉田聡、6月ごろもりやまつる、玉井雪雄、伊藤潤二、柳沢きみおの新連載が予定されているのだそうだ。これはかなり豪華なラインナップだし、すごい入れ替えだと思う。この中ではヒラマツ・ミノルのプロレスものがとくに楽しみ。

【単行本】「ABILITY」3巻 MARO ワニマガジン社 B6

 今回も悪の申し子・巳月竜司は大活躍。ターゲットとなるのはマラソン選手、女子高生、シャチトレーナー、ニュースキャスター、女流棋士、兄嫁、伯母とバラエティに富んでいる。パワフルにズンズンやりまくるエロシーンがいやらしくコテコテ。今回は骨肉の戦いという色合いも今まで以上に濃くなっていて、物語的に盛り上がってきている。独特の濃厚なセリフ回しも健在。思わず笑ってしまうほどにベタなセリフは最初のころより減ってきているけれど、それでもときどきそれが頭をもたげたりしてくれるのもうれしいところ。今回は女流棋士に将棋のコマを使ってイタズラするシーンがヒット。「今あんたのオッパイをつついてる駒は何て駒か言ってみな!」「ああッ!歩です その駒は歩ッ!!」。う〜ん素晴らしい。あと職業ではシャチトレーナー。普通なかなか思いつかないよな、こういう職業は。いつも女を食い物にするために、一生懸命している巳月竜司が、僕は好きだ!! 大きくなったらああいう人に……。

【単行本】「魔界のプリンセス プリティー美沙」 もっちー ワニマガジン社 B6

 いや〜、この漫画すごく好きだ〜。お話としては、昔魔法少女だった美沙が成長し人妻になって愛する夫と子供もいるんだけど、ときどき昔取った杵柄「魔法のプリンセス プリティー美沙」に変身して事件を解決☆というもの。でもって、このプリティー美沙の衣装、昔少女だったころのものそのまんまだから熟女になっている美沙にはぱっつんぱっつん。髪型とかもかなりアニメ少女しているので、変身姿はかなり恥ずかしいものに。でも美沙さんは天然系なので、そんなことはちっとも意にも介さず活躍してしまうのでした☆

 というわけで多少Hも入ったドタバタコメディだったりするのだが、まずこの人、作画が非常にしっかりしている。鶴田洋久のアシスタントを長くつとめているのだそうだが、メリハリの効いた絵柄だけにプリティー美沙の衣装の似合うなさがより強調されていてかなり恥ずかしい。で、お話がまたいい。かなり馬鹿馬鹿しいんだけど、実は平和で愛あふれる夫婦(家族)ものとなっていてなんか妙にほのぼのしているのだ。美沙のライバルたちも同様に、妙齢になっても魔法少女やらエンジェルの格好をしてたりして、これがまた激烈にイタイ格好。アブないおばさんを見てしまったという感じ。でもそれがすごく微笑ましかったりもする。喧嘩すれども仲がいいって感じで隅から隅まで平和。楽しいなあ。


4/8(日)……ハムフルロード

 昔、三浦カズヨシさんという人が、フルハムロードというお店を経営しておりましてな……。

 本日は外出せずこれまで未読だった分をもりもりと読む。すでにおなじみの長編モノがメインなんで手短に。これでだいぶ追いついたかな。FEEL YOUNGとYOUNG YOUはまだ買ってないけど。

【単行本】「橋無医院」3巻 林光黙 エンターブレイン B6

 韓国発のアクション漫画。日本の漫画とはどことなくテンポが違うけれども、絵はすごくうまいし、アクションもダイナミックなんで慣れてくればとくに問題なく読める。2.5頭身キャラとか、オドけた表現のノリについてはかなり違うかな。可愛いような可愛くないような。お話的にはようやく主人公であるらしいキョウイが少しずつ動くようになってきて面白みは増している。なんとなくいまだ様子見しつつ読んでいるというところはあるんだが、何かやってくれそうな漫画ではある。

【単行本】「イケてる2人」10巻 佐野タカシ 少年画報社 B6

 パンチラたっぷりサービス満点なちょっとHハイスピードラブコメを、この巻もまた安定して展開。テンションの高さ、サービスっぷりでは現在、ヤングキングダム連載の「イケてる刑事」のほうが上回っている感があるけれども、こちらはこちらで甘くて楽しくてよろしいです。

【単行本】「青空」9巻 原秀則 小学館 B6

 連載でも読んでることだしそろそろ買うのやめようかなと思いつつ9巻め。そろそろチームメイトにも力がついてきたと思ったら、今度はそれまで孤軍奮闘だった天野くんの肩に故障発生。ドラマ作りがかなりベタである。とはいえ、なんだかんだでスイスイ読ますことは確か。ところで原秀則の高校野球漫画で感心する点として、高校生の投球/打撃フォームを描くのがうまいな、ということ。本来普通の高校球児なんてプロと比べたら全然体はできてないし、フォームも洗練されていないのが多いのだが、そういった本当の球児っぽい技量レベルをきちんと絵にできているように思う。個人的に中学/高校スポーツ漫画ってあまり燃えないのが多いのだが、その原因の一つが「みんなうますぎ」というのがある。やっぱ高校生投手が150km/h以上の球投げたり、それを場外ホームランしたりするのは、あんまり気軽にやっちゃいけないことだと思うんす。逆に1000km/hの速球を月面でジャストミートなどという常識外れなのはやっていただけるとたいへんうれしいです。

【単行本】「ギャラリーフェイク」21巻 細野不二彦 小学館 B6

 さすが手堅い。浮き沈みなく、アートの知識と人間ドラマをからめながら、ベタにならずにきちんとお話を作り上げる腕前はやっぱり大したもの。もう20巻以上やっているにも関わらず、新鮮なネタを常に仕入れてきていてマンネリ感もない。きっちり計算して均質な作品を描いている。プロだなあ。でもそのうち、例えば半年間限定とかでもいいんで、今持てる力を全て注ぎ込むみたいなギッチギチの作品も描いてくれるといいな〜とも思う。

【単行本】「球魂」12巻 岩田やすてる 小学館 B6

 玉磨温泉高校と離れ、スグルは国際大会「萩原杯」に出場。世界の強豪を相手に回し、スグルの才能がどんどん花開き始める。といった感じの第12巻。味付け濃く力強く、しっかり面白い。ただ、今回は玉磨温泉高校のほかのメンツの活躍が少なかったのはちょっと寂しい。

【単行本】「メイド・ウーマン完全版」 かるま龍狼 二見書房 B6

 タイトルどおり「メイド・ウーマン」の完全版。今までは2冊に分かれていた「メイド・ウーマン」を1冊にまとめたもので、新作はなし。こういう本が出るのもやはりメイドブームのおかげでしょうか……。とかちょっと思ったけど、よく考えてみれば二見書房は今、かるま龍狼の傑作選を刊行中なんだよね。「業」もそうだったけど。この人は実用方面もオッケー、ギャグもオッケー、それからロリもショタも人妻も女学生もなんでもオッケーと実に幅広い人なんでかなり汎用性は高い。今回みたいな再録モノだけでなく、けっこう未収録作品はこまごまとあるような気がするんでそっちのほうも集めてもらいたいところ。

【単行本】「HARMFUL」 小瀬秋葉 光彩書房 A5

 カキモトさんによるWebにもあるとおり、掘骨砕三、鉈川紘と同一人物もしくはアシスタント関係なのではないか、と諸説存在する小瀬秋葉の単行本。初版は昨年の4月15日なんだけど、神保町の高岡書店に行ったら新刊で置いてあったのでゲットしておく。内容的にはボーイズラブ系。消しがなくちんちんももりもりと出てきてなかなかエッチ。古めの作品はわりと線が固いかな、って感じもするけれども、これがだんだん熟れてきて丸みが出てきてとくに最近のは実に良い。実際にエッチにまで持っていくプロセスもうまくていい雰囲気出てます。

 ところでそろそろ掘骨砕三の単行本も出てくれるといいですなあ。


4/7(土)……昔のは、なし

 角川書店の木崎ひろすけ追悼ページ。惜しい。本当に惜しい。先日の少年エースで「A・LI・CE」の連載が終了したときに、「もしかしてこれは木崎ひろすけの長編で初めて完結した作品では」などと思ったのだが、まさかそれがそのまま遺作になってしまうとは。いつの日にか「GOD-GUN世郎」「少女・ネム」も完結する日が来てくれれば……という、実現の可能性が非常に薄い淡い望みをいまだに捨てきれなかったのだが、その望みも完全に絶たれたわけだ。今はただ、ご冥福をお祈りするばかり。そのうちビームのバックナンバーを引っ張り出してきて、未収録分も全部読み返してみるつもりです。

 こういう話題の後にいつもと同じような日記を書くのは心苦しいのだけれど……。

【雑誌】コミックオルカ 5月号 司書房 A5中

 なんだかB5中とじからA5中とじにリニューアルされた。判型は小さくなっているものの価格は480円に。このところ同じくA5中とじの姫盗人がわりと調子いいと聞いたんだけど、確かにこの判型っておいしいかもしれない。B5中とじと製造コストはさほど大きくは変わらないわりになぜか価格は高めに設定できるし、最近この判型のエロ漫画雑誌は少ないから競争もそんなに激しくなさそう。一時期B5平とじブームがあったけど、今度はA5中とじブームがきたりして。こないかな。

 漫画の執筆陣は中村卯月、香月りお、AYA、もとや真、吉成綾加、横山ミチル、岡弓子、黒崎灰二、成瀬淑美、るりるり♥、有頂天、山田ひより。ものすごく目立つっていう人はいなかったけど、司書房らしくわりとボリューム感のあるエロ系作品が多い。るりるり♥「フェアリーテイル」は、甘いお話作りがけっこう好き。ちなみに米倉けんごの人生相談コラムページもあり。相変わらずこの人、2ちゃんねる好きっぽい。

【単行本】「昔の話」 藤原薫 ソニー・マガジンズ A5

 「きみとぼく」(ソニー・マガジンズ)およびその別冊に収録された短編を集めた作品集。収録作は「white room」「夢見る人」「昔の話」「imagination」「Cups」「甘い小指の夢を見た」「地平線ギリギリまでの空の果て」。一番古い「夢見る人」のみが1996年発表作で、あとはすべて1998年以降。

 藤原薫といえば、最近は「おまえが世界をこわしたいなら」(全3巻/ソニー・マガジンズ)の印象が強いけれど、それと発表時期が近いだけあって、この作品集の収録作品はかなりうまくなってからの作品が中心。余分な贅肉を持たない研ぎ澄まされた表現のおかげで、藤原薫の作品は、画面全体にピリピリするような心地よい緊張感が常にある。ガラスのように硬質で美しいけれど、ちょっとした衝撃で壊れてしまいそうな危うさをはらんでいて目が離せない。とくに、とても美しい神秘的な青年が浮気相手の子供を宿してしまった母親からその子供の魂を抜き去っていく「昔の話」、どこか別の世界の少女の夢を毎日見るようになってしまった青年の物語「夢見る人」あたりの完成度は実に素晴らしい。すごい才能だと思う。ただ、バンバン量産し消費されていくようなタイプの作家さんではないので、起用の仕方は難しいかも。

【単行本】「JIN −仁−」1巻 村上もとか 集英社 B6

 現代の外科医である南方が、頭蓋内に胎児型の腫瘍がある患者を診察し、その摘出手術をするところから物語は始まる。この腫瘍を摘出してから、南方は何者かが脳内に直接メッセージを送ってきているかのような感覚を得るようになる。そしてある日、この腫瘍の持ち主であった患者が逃走するのを阻止しようとした途中で異変が起きる。階段から落下した彼は、何が起きたのか、19世紀、明治初頭の日本にタイムスリップしてしまうのだ……。

 というのがあらすじ。21世紀の医療技術は、器具などがほとんどない19世紀において何ができるのかといったことに迫っていく。一見、突飛な設定に思えるが、読んでいる間はそんなことはまったく感じさせず手に汗握る展開を見せ、読者を作品世界に引き込む。すでに大作家である村上もとかだけに、ここらへんの構成力、描写力はさすがのうまさ。地に足がついた、腰の据わったストーリー運びは見事というほかない。とかいうと堅苦しく思えちゃうかもしれないけれど、とくに身構えなくてもするする読めるのだ。

【単行本】「龍 −RON−」27巻 村上もとか 小学館 B6

 今さらこれまでの感想に新たに付け加えるようなことはとくにないんだけど、しっかり面白い。堂々としたストーリー回しでデカい物語を読んだときならではの充実感を与えてくれる。

【単行本】「恋愛ディストーション」2巻 犬上すくね 少年画報社 B6

 この巻も大変充実してて面白かったー。甘いけどときどきピリリとした隠し味も効いてて、それがまた甘さを増幅してくれて。なんだかんだいいつつも、恋愛に夢中である時期は幸せなのであると。そして独り者としてはそういう状態が激しく羨ましいのであると。丁寧な作画も気持ちが良くて、とくに眼鏡っ娘さんはズキューンという感じでごんす。読むと恋をしたい気持ちでむんむんとさせられます。むんむん。

【単行本】「おやすみなさい。」5巻 小田原ドラゴン 講談社 B6

 いつも思うのだけど、鉄郎は数奇な人生を送っているよなー。今回も伝説的ストーカーや、メールジゴロへの道を歩み始めてみたり。おどおど情けないようでいて、いざというときの行動力は大したもの。だからといって別にモテるようになったりするわけでなく、あくまでダサいのが素晴らしい。この巻では、小田原ドラゴンによるキャラクター解説も付いててお得な味わい。

【単行本】「アゴなしゲンとオレ物語」6巻 平本アキラ 講談社 B6

 これだけ濃厚で下品なギャグを、コンスタントに作り出す力はスゴイなーと思う。巻を追うごとに強まるケンヂのダメ人間ぶり、負けじとゲンもパワーアップし続け、最低最悪な生き様を見せ続けている。やっぱり面白い。単行本だと各話の間にちっちゃな4コマ漫画が掲載されているのがうれしいところ。

【単行本】「バトル・ロワイアル」3巻 作:高見広春+画:田口雅之 秋田書店 B6

 田口版「バトル・ロワイアル」も第3巻。相変わらず濃い。相馬光子が主役の番外編も収録されているのだが、生徒たちの中でも圧倒的にキャラが立っていておいしい。なんだか常にといっていいくらいパンツ見えてるし。最初はこのクドさに若干の違和感はあったんだけど、もうすっかり馴染んできたし、こちらはこちらなりの面白さを醸し出している。


4/6(金)……骨牌後

 ダ・ヴィンチの取材で、とても有名な漫画雑誌編集者の方お二人とお会いしてインタビューさせていただいた。お話はアツくてすごく面白く、また参考にもなったし、週刊漫画雑誌育ちのお二人が現在は非常に対照的な本を作られていている構図が興味深かった。詳しいことはまたいずれ。

 二つの取材の間、ちょっと空き時間があったので買いものをしたり喫茶店で読書したりしていたのだが、こういうときにバッテリーが長持ちするちっちゃなノートPCがあるといいなあとすごく思った。LOOX、FIVA、VAIOのちっちゃい奴あたりに心が動いてしまっているんだけどどうしたものか。それはともかく、本日購入未読分。

●既発売分
【単行本】「HARMFUL」 小瀬秋葉 光彩書房 A5
●早売り
【単行本】「昔の話」 藤原薫 ソニー・マガジンズ A5
【単行本】「ABILITY」3巻 MARO ワニマガジン社 B6
【単行本】「魔界のプリンセス プリティー美沙」 もっちー ワニマガジン社 B6
【雑誌】ガロ 5月号 青林堂 B5平
【雑誌】コミックオルカ 5月号 司書房 A5中

【雑誌】ヤングアニマル増刊 嵐 5/15 No.1 白泉社 B5中

 今号から定期刊行に。偶数月の第一金曜日発売。

 まず岩明均の新連載「ヘウレーカ」がスタート。カルタゴとローマの戦いを描く歴史モノ。なかなかシブい。世界史好きにとってはうれしいネタ。もし歴史モノをこれからも続けるようだったら、十字軍とかやっていただきたいネタはいろいろ。宮野ともちか「reason」は、姉に対して恋心を抱いてしまい、それが抑えきれなくなるのを防ぐためにあえて家を出た少年のお話。禁じられた恋に苦しみつつも、新しい恋も生まれつつあり……という感じ。フレッシュな絵柄で気持ち良く読める。もっと線が洗練されるとより良くなりそう。宇仁田ゆみ「ハレエション」は久々の連載モノ。最近の宇仁田ゆみはちっちゃくまとまった感がしているのだが、ここで一発ブレイクしてくれるとうれしい。

 二宮ひかる「口には出せない」は、「ナイーヴ」の特別編。昔なじみに再会したけど変わってなくてほっとするといった趣。作:あかほりさとる+画:板場広志は「マウス」の特別編。宙太郎がサラリーマンに。「サラリーマン宙太郎」……。うーむ素晴らしい。文月晃「藍より青し」や克・亜樹「ふたりエッチ」の特別編も掲載。心にもないことをいうようだが、すごく特別だ。

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 4/27 No.9 小学館 B5中

 作:やまさき十三+画:幸野武史「沙堂やん」が地味ながらしっかり面白い。幸野武史が作画を担当した作品って面白いのが多いな〜。シブみがあって。あと東陽片岡「お三十路の町」がしみじみといい。この人の描くうんこって、なんかいいなあ。あとタイトルカットが毎回すごく味わいがあると思う。

【雑誌】ヤングヒップ 5月号 ワニマガジン B5中

 かかし朝浩の新連載「ブッ契りラヴァーズ」が面白くなりそう。もともとHなことをいっぱいしていたカップルの父と母(ともに片親)が夫婦になってしまい、今までみたいにHできなくなって二人は悶々。ドタバタコメディ色が強くて、素直に楽しく読める。くどうひさし「微熱をふたりで」。この人はなかなかいい。シンプルな線が伸びやかで気持ち良し。お話も爽やかな青春ラブコメとなっている。

 最近のヤングヒップは、奇数月号と偶数月号で掲載作家を変えてきているのだが、どちらかといえば草津てるにょ、マーシーラビット、西川魯介、セキケンあたりが掲載される偶数月号(奇数月発売)のほうが好みだなー。

【雑誌】夢雅 5月号 桜桃書房 B5平

 やはり柿ノ本歌麿がスゴイ。今回の「奴令華」でも、学園のアイドル的少女がズタボロにやられまくっててかなり悲惨。この人は「壊れるまでヤる」ではなく「壊れてもヤる」。エロさを感じなくなるくらいの領域までテンションを上げ続ける。すごいよう。初単行本「崩壊の慟哭」は改めてオススメ。ヒドいものに耐性のある人限定で。THE SEIJI「介護」。この人はいい感じでイヤらしくていい。むっちりしてて。5月9日に初単行本が出るそうだが、今まで出てなかったのか〜と思う。伊駒一平「佐藤さんのオナニズム」。小1のときにオナニーに目覚め、寝ても覚めてもオナニー三昧な少女のお話。やっていることはヘンなのに淡々としているのがいい。アンチクライマックスな飄々としたノリはベテランの味。大人だ。

【雑誌】MUJIN 5月号 ティーアイネット B5平

 同人サークル「じどうはんばいき」のWebのこのページによると、やはりA・浪漫・我慢の別名義であるらしい甘詰留太。今回の作品もいいな。ネットで知り合ったM奴隷少女と映画館でプレイしようと思っていたところ、娘カップルと鉢合わせになってしまって気まずいお父さん。今回はお話としてはわりと気楽で、女の子がかわいい。ネコ耳状のリボンがいいねえ。なお、甘詰留太名義の初単行本が6月22日に発売予定とのこと。斉藤佳素理(=蜈蚣Melibe。本人のWebにて確認。リンクは許諾が必要なようなので張らないけれどgoogleで検索したところ引っかかりました)の「リングにかけるわ!」。減量中の女子ボクサーが挑んだ「S式減量法」とは……。「バージェスの乙女たち」シリーズよりもだいぶカラッと明るく、ネタとしても面白い。

【単行本】「PEACH!」1巻 遊人 小学館 B6

 もしかして遊人の単行本買うのは初めてかも。これまであえて買っていなかった俺に購入を決意させるほどに、この漫画はスゴイのだ。 お話としてはオタクで童貞だった主人公の家に、ある日突然かわいい女の子が「あなたのことが好き」と転がり込んできたかと思ったら、今度は英会話教師の職をこれまた唐突に得る。経営の苦しいその英会話塾は、主人公に顧客確保の任務を与えるのだが、その顧客が全員美少女で……とくる。でもまあ正直言ってお話は相当にどうでもいい。いや本当に。まあ要するに、コスプレだったり女子高生だったりする女の子に対してパラメータを上げていった主人公が次々女の子を攻略〜という美少女ゲーム的なもんだと思えばいい。

 では何がスゴイのかというと異様なまでにエロに徹しきる割り切りっぷり。とにかくすべてのストーリーはエロシーンを描くためのきっかけにすぎない。もうどんなときでもエロ。例えば主人公が英会話塾に初めて行ったときは、ドアを開けた瞬間に美女上司の胸が眼前に飛び込んでくる。電話で彼と話している間、上司は胸で受話器をはさんだり、意味もなく自分の乳首をなめたり。パンチラ胸チラ当たり前。必然性まったくなし。しかも実のところ、コレで興奮するかというとシチュエーションが異常すぎてあんまりこない。まるで断崖から海に飛び込んでいくレミングのように、エロが次々と生産されては消えていく。まさに「虚無への供物」。これほどの肉感的なエロスが、これほどにシュールなものになってしまうとは。遊人は何かこう、長年のエロ系作家生活によって、前人未到の境地まで達したような気がする。

【単行本】「おしゃれ手帖」1巻 長尾謙一郎 小学館 B6

 ヤングサンデーでまったり連載中のヘタウマ系作品。「清純派」といわれる女子高生さんやその家族、クラスメートたちの日常。清純派な人がボッキなどの性的なアイテムに出会い、おそれおののいたりするのがだいたいのパターン。その後、母親が主役になったり、ワガママなご近所の奥さん(&ブタ)にいいようにこき使われたり、お話のバリエーションは増殖中。ちょっぴり下品で馬鹿馬鹿しく、ときにシュールでもあったりするノリが楽しい作品。

【単行本】「クーデタークラブ」2巻 松本光司 講談社 B6

 女装趣味の持ち主である潤は革命部に入部。双子姉妹の妹・美衣とコンビを組んで、行方不明になっている美衣の友達の調査を始めるが、その途中でビルの屋上の小屋に閉じ込められピンチに。この巻の間、お話的にはさほど進んでいるわけではなく、小屋に侵入してこようとする男たちを阻止し窮地を脱しようとするための試みがずっと描かれている。「シャイニング」的に斧を持って迫ってくる相手を前に、極限的な状況で知恵を巡らす過程は、緊迫感があって手に汗握る。読者をぐいぐい吸引する演出など、味付けが濃くて読みごたえがある。ヒキが強くてとても面白い。ヤンマガ系はロクニシコージなど楽しみな若手が多いけれど、この人もその一人。


4/5(木)……軍事用パイン

 春眠は暁を覚えない。そして死人は便意を催さない。会社から帰ってきて本を読んでいるとふらふらと眠くなってきて、つい明け方まで眠ってしまうことが多かった。寝床で本を読むことが多いせいもあるんだが、こういうことをしてるとなかなか読むべき本も読み終わらないし、Web作り、仕事にも支障が出る。明け方にちゃんと起きれちゃうくらいだから眠りも浅い。そんなわけで気絶防止のため、ここのところ歯磨きガムを噛みつつ本を読むようにした。前、なんかのテレビ番組でやってたんだけど、コーヒーとかは短時間しか効かないが、ガムは顎を動かすので効果がデカいらしい。で、実際に今噛んでるけど確かにわりと効果はある。作品に向かうさいの集中力も増すし悪くない。これで作業効率を上げて短時間でやるべきことをこなせるようになれば、きっと睡眠時間も増やせるはず、だと思う、たぶん。

●本日購入未読分
【雑誌】夢雅 5月号 桜桃書房 B5平
【単行本】「JIN −仁−」1巻 村上もとか 集英社 B6
【単行本】「球魂」12巻 岩田やすてる 小学館 B6
【単行本】「PEACH!」1巻 遊人 小学館 B6
【単行本】「おしゃれ手帖」1巻 長尾謙一郎 小学館 B6
【単行本】「恋愛ディストーション」2巻 犬上すくね 少年画報社 B6
【単行本】「イケてる2人」10巻 佐野タカシ 少年画報社 B6
【単行本】「バトル・ロワイアル」3巻 作:高見広春+画:田口雅之 秋田書店 B6
●早売り物件
【雑誌】MUJIN 5月号 ティーアイネット B5平
【雑誌】ヤングアニマル増刊 嵐 5/15 No.1 白泉社 B5中
【単行本】「おやすみなさい。」5巻 小田原ドラゴン 講談社 B6
【単行本】「アゴなしゲンとオレ物語」6巻 平本アキラ 講談社 B6
【単行本】「クーデタークラブ」2巻 松本光司 講談社 B6

 うー、読んでも読んでも未読が減らねえ。

【雑誌】花とゆめ 4/20 No.9 白泉社 B5平

 高尾滋「ディアマイン」。いい具合に二人の想いが高まってきて微笑ましくラブラブだと思っていたら、次号で最終回らしい。羅川真里茂「しゃにむにGO」。いよいよ伊出が力を発揮し、面白くなってきている。テニスものはやっぱり好きだなあ。スポーツとして、一対一の勝負でルール自体もそこそこ分かりやすいのがいい。桜井雪「ショート寸前!」は集中連載がひとまずおしまい。続きはあるんかな。スラリとした美人さんの描き方がいいねえ。

【雑誌】コミックフラッパー 5月号 メディアファクトリー B5平

 あらびっくり。新居さとし(=らいだゆず)の新連載「女神の鉄槌 〜THE HAMMER OF GODDESS〜」がいきなり巻頭カラー。新人の新連載を頭に持ってくるとはなかなか大胆だ。お話としては、やたら大食いな主人公の女の子が地球防衛隊に入隊。あんまり戦わない軍隊だけにそれなりにお気楽なのだが、でも怪獣が出現しそうな気配もあって……といった感じ。新居さとしは親しみやすいカラッと明るい絵柄、テンポの良いストーリー運びの持ち主だし、けっこうコンスタントに面白く読める作品となりそう。それにしてもこの雑誌、新人の登用が多い。女子高生ドタバタ疾走アクションが楽しい三浦健児「TATSUYA DVD」(目次洩れ)、それから守安啓行「リターン4」など。宇宙飛行士になることを夢見ている少女アスミと、彼女の初恋の人的な少年の物語を切なく描く柳沼行「アスミの桜」も秀作。柳沼行は本当に絵も話も丁寧に作る人で、ここまで読んだ作品はいずれもハズレなしだ。

 それから今月号は初登場・本山理咲の「怪獣の作り方」がとてもよかった。昔、正義の味方に憧れた少年が、大人になってかつての夢と現実の姿のギャップに悩む。でもやはり昔見た夢はステキで、それは今でもときどき以前と同じような輝きを感じさせる。ぐりぐりした目の描き方とシンプルな線を特徴とする独自の絵柄で、短いながらもとてもいいお話を描いている。やっぱこの人いいな。駕籠真太郎「パラノイアストリート」。今回は黒田探偵よりも、殺人事件が起こった町の警察官が主役。ツッコミレスで暴走し続けているのがいい感じ。この軽快さこそ駕籠真太郎の真骨頂という気がする。島本和彦「スカルマン」は今号で最終回。これはそのうちまとめ読みしてみるかな〜。

【雑誌】ヤングサンデー 4/19 No.18 小学館 B5中

 山本英夫「殺し屋イチ」が最終回。最後はわりと静かな感じで終了。でもまあここまで存分に楽しませてくれたし、ズルズル引き伸ばすよりもココでスパッと終わらせちゃうのがよかろうと思う。垣原以上のボスキャラはちと作るのは難しいと思うし。あえていうならジジイ+タケシ君 vs.イチの構図くらいかな。遊人「PEACH!」で、最近出てきているちっちゃい子はでじこを意識してるんかなあ。

【雑誌】モーニング 4/19 No.18 講談社 B5中

 ちばてつや賞の第1次選考通過作品に池部ハナ子、石川雅之の名が。

 井上雄彦「バガボンド」。面白いなあ。動きを止めて見せる、その見せ方が実にカッコいい。幸村誠「プラネテス」。2号連続掲載の後編。今回のシリーズはわりとアクションシーンおよび政治的な思惑を描くことが多く、これまでとはまた違った味わい。基礎的な技量がシッカリしてるんで、読みごたえは十分。高橋のぼる「リーマンギャンブラーマウス」。またしても珍妙なことやってて面白いな〜。まぐろ子の言動、アクション、表情がいちいちいい。榎本俊二「えの素」はこれからしばらく3回掲載1回休みというペースになるそうだ。で、次号がお休み。

【雑誌】ヤングジャンプ 4/19 No.18 集英社 B5中

 山花典之「妹 あかね」。温泉宿二人旅。兄と妹が同じ布団で寝たりして、もうたいへんだ。妹萌えモノは、完全に一般誌にも波及してますなあ。作:相田公平+画:佐藤久文「アンファン・テリブル」最終回。最後はいまいち。やはりストーリーが絵と不釣り合いに安いいうか薄いというか。「仮想現実」「バーチャルリアリティ」といった言葉は、「マルチメディア」という言葉がブームになった時期ならともかく、現在ではいささか陳腐になってしまった感がある。今度は佐藤久文単体の作品が読みたい。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 4/19 No.19 秋田書店 B5平

 今号から読者コーナーにでじことかいうキャラクターが起用されている。さらに2ちゃんねるの野球板に「ブロッコリー、阪神タイガースを買収」というスレッドが(もちろんネタスレだが)。

 最終回に向かって盛り上がる、能田達規「おまかせ!ピース電器店」。今回は読んでて思わず泣きそうになってしまった。これだけの蓄積のある漫画だけに、一つ一つの言葉に強さと深みがある。巻頭カラーでは馬場民雄「虹色ラ〜メン」(協力:新横浜ラーメン博物館)がスタート。熱血少年ラーメン漫画といった風情。少年漫画らしい少年漫画を描ける人なんで期待。今回の主人公はルーシー・ブラックマンさんには似ていない(参考:2/14の日記)。それはそうと、この人の描く女の子はけっこうかわいい。

【単行本】「純情パイン」 尾玉なみえ 集英社 新書判

 週刊少年ジャンプでいい具合に連載され、アニメになったり小学館漫画賞を受賞したりしないまま打ち切り(作者コメントにちゃんと打ち切りと明記してある)になった「純情パイン」が待望の単行本化。読切で掲載された分が収録されなかったのはたいへんに遺憾であるが、とりあえず出たというだけでもここは喜ぶべきなのであろう。

 純情パイン、それは宇宙人の侵略から地球を守る素っ頓狂なかっこをした大きな乙女の名。この大きな乙女は、少女・みちると不思議少年・みちおが交換日記を2往復させることで変身し、出現する。それはともかくとして、とにかく愉快な漫画だ。人を喰ったセリフ回し、むっちりして口許あたりが妙に締まりのないキャラの表情、歪んだ性格などなど、どこをとっても妙なノリ。のどかだけど常軌を逸した世界観など、見どころもりだくさん。近年のジャンプ系ギャグ漫画の中でも、対俺クリティカルヒット度はかなり高かった。笑えるところはもちろん笑えるし、普通に話を進めているあたりにも味がある。すごく面白いものを持った人なので再登場を強く希望。そのためにもみんな単行本を買うのだ。

【単行本】「ななか6/17」1巻 八神健 秋田書店 新書判

 17歳の女の子・ななかの精神年齢が6歳児のそれになってしまって、幼なじみにねんじはハラハラドキドキ。17歳とはいえ、顔やいでたちはロリロリ。そのあどけないかわいらしさに、僕らはもももももうたまらんのですばい。そんな「ななか6/17」の単行本が出たわけです。それにしても八神健の描く女の子の、なんと健気でかわいいことか。「蜜・リターンズ!」の鶇原さんに萌えた日々を思い出したりしつつ、胸をトキめかせながら、僕はこれを読む。素晴らしい。今度はぜひ「まじかるドミ子」で一本漫画を描いてほしい。HAWAWAWA〜。

【単行本】「殺し屋イチ」9巻 山本英夫 小学館 B6

 連載のほうは終了したばかりだが、単行本のほうはちょうどクライマックスを迎えんとするところ。イチと垣原の待望のご対面が行われ、邪魔者は消え、あとはもう至福の時を迎えるのみ。泣くほどに、みっともなくなるほどに強くなるイチ。かつてこれほどまでに、みっともなさと強さを兼ね備えた殺し屋がいただろうか。そしてそれを十分に受け止める濃い敵役。ダイナミックな表現に胸がすく。ああ、それにしてもここらへんになるとB6というちっこい判型が恨めしくなる。もっともっとデッカい紙で、イチや垣原のええ顔を拝みたかったものだ。


4/4(水)……つぶれたラビオリ

 とある編集者の方に「面白い」と勧めていただいた講談社ノベルスの舞城王太郎「煙か土か食い物 Smoke, Soil or Sacrifices」(→bk1)を読了。ああ、コレは確かにすごく面白い。お話の主人公は、自分の母親が主婦連続殴打生き埋め事件の被害者となったことに憤り、犯人への復讐を決意したアメリカ合衆国帰りで元ボクサーでもある外科医。乱暴かつ急所を衝く推理で犯人像を追っかけていくうちに、彼は自らの3人の兄弟、そして父、母ら血族の間に刻みつけられた憎悪の歴史を掘り起こしていく……といった感じ。

 この作品でカッコイイのは、まずデタラメに力強く、ハイスピードな文体。ときどき手でも打ち声を挙げたくなるようなリズムで、荒々しいバイオレンス描写が次々と繰り出される。で、この家族の歴史が非常に業が深くて、拳骨でボコボコにされるような、問答無用な読みごたえがある。骨太で知的な無頼漢。漫画にするなら「LAZREZ」タッチの竹谷州史、もしくは新井英樹あたりの作画をイメージする。ところどころでグロいシーンもあるけれど、そのあたりは欠かせない味。まるごと呑み込むつもりでとっかかる覚悟のある人にはかなりオススメ。

【雑誌】キングダム 5月号 少年画報社 B5中

 私屋カヲル「青春ビンタ!」が表紙。巻頭カラーの佐野タカシ「イケてる刑事」とともに、すっかり看板連載になっているようだ。で、まず「青春ビンタ!」のほうだが、なぜか今回は林間学校編。楽しくてサービスも行き届いてて良い。単行本1巻は4月25日発売。佐野タカシ「イケてる刑事」。今回から香港編。でもやっぱり決めてはビーッグマグナム。すばらしいノリの良さだ。そのほか、五十嵐浩一「Home Sweet Home」や、法田恵「こんすとらくたーず」などもコンスタントに面白い。

 目立つのはやはり現在「イケてる刑事」「青春ビンタ!」のお色気系だけれど、東本昌平「キリン」みたいな硬派な作品もあって硬軟どちらもオッケー。そのほかの作品も読みやすく安定して面白く読めるものが多い。サクサク気負わずに読めて、なおかつそれなりの読みごたえもあり、バランスも良い。こういう誌面はすごく好きだ。

【雑誌】週刊少年サンデー 4/18 No.18 小学館 B5平

 作:坂田信弘+画:万乗大智「DAN DOH!! Xi」。今回もやってくれるな〜。前回に引き続き、ラミア裸パワー炸裂。前回は手、今回は二の腕でガード。作:武論尊+画:松浦聡彦「ライジング・サン」読切後編。スケールがデカくていきなり煮詰まってて、前後編だけで終わるのかな〜と思っていたらこれ連載になるんですな。No.23から本格連載化とのこと。久米田康治「かってに改蔵」。今回みたいな話すごく好き。男二人が深夜のファミレスで、延々くだらない話をし続けるというだけ。端々でさりげなくレギュラーキャラが動いているのがとても楽しい。

【雑誌】週刊少年マガジン 4/18 No.18 講談社 B5平

 巻頭カラーで寺沢大介「喰わせモン!」がスタート。少年院を出たばかりの豪快乱暴者野郎が主人公な料理漫画。初っぱなのネタはラーメンのようだが、アオリ文句には「料理マンガ」としか書いてないし、今回は「将太の寿司」みたいに単一料理に絞るのではなさそうな感じがする。

【雑誌】桃姫 5月号 富士美出版 B5平

 巻頭カラーは、コスプレ人妻電車内露出→輪姦となだれ込む作:沼沢紀子+画:N.O茶々丸「回送電車」。この人の描くエロはハードでボリューム感があってなかなか激しい。熟れた人妻に恥ずかしい魔女っ娘コスプレをさせるという、みっともないシチュエーションも好きだ。それから山形せい「女教師さん」。クッキリした描線に独特の質感があって、なかなか個性的な絵を描く人だ。エロシーンは十分激しくて充実してるし、キャラの表情のつけ方もうまい。今回は14ページだけだが、今度はもっと長い作品も読んでみたい。木静謙二の連載「Find」。座敷童子の少女と男のラブストーリー。愛ある生活の中に、いずれこのままではいられなくなるかもしれないという危惧からくる切なさもあって、読ませるお話になっている。これはいいですわい。

【アンソロジー】「蜜楽の学舎」 三和出版 A5平

 女教師モノのアンソロジー。漫画を描いているのは、NeWMeN、桂よしひろ、あんみつ草、御形屋はるか、松任知基、アーポン、瑠夏ひかる、隼二郎、かんの糖子、みうらたけひろ。表紙に名前のある佐野タカシ、ゆっけ兄g、もっちー、西E田、氷室芹夏がフリートークのみなのは残念なところだけど、漫画を描いているメンツも好みな人が多く、十分満足。

 NeWMenの巻頭カラー4P「reward」は派手にぶっかけてるし、桂よしひろ「ツユだくイクミせんせえ」も女教師さんが年端もいかぬクラスのみんなにさんざんにされててストレートにエロい。みうらたけひろ「新入荷」は、アダルトなムードにソソられる。ここらへんのハード凌辱系に加え、ヌル甘い方面も良い作品がいくつか。あんみつ草「先生とボクのひ・み・つ」は、素直で華のあるかわいい絵柄でラブコメムード充満。気持ちがいい。御形屋はるか「春咲小紅」もラブラブ。全体に力のある作家さんが揃っているんで、安心して読めるんではないでしょうか。

【単行本】「天然少女児童会」 國津武士 オークラ出版 A5

 基本的に女の子の胸は平らな、ロリ系のH漫画単行本。ちょいとヌルめでほっとする味わいのある絵柄が魅力。お話もおおむね後味が良い。線自体はシンプルだけど、女の子の表情の付け方とかはツボを心得ていてうまいと思うし、今後さらに伸びてきそう。

【単行本】「恋文日和」1〜2巻 ジョージ朝倉 講談社 新書判

 名前は前から聞いていたものの怠慢により全然読んでなかった作家さんだが、これは確かにうまいし面白い。物語の形式は一話完結のショート・ストーリー連作。で、どの作品も、ラブレターをきっかけとしてお話が展開される。そのラブレターは、お話によって差出人不明だったり、それまで意識したことのない相手からだったり、FAXやEメールだったり。とくにシチュエーションとしては、差出人不明な相手と文章だけでやり取りしていくうちに特別な感情が生まれてきて……というパターンにソソられる。文字だけで、しかも電話などよりも言葉が交わされる間隔が長いことによるもどかしさが丁寧に描かれている。絵柄的にはイマ風だけど、最近では珍しいくらいストイックな恋愛ぶり。カラッと明るい話もあれば、第2巻収録の第8話「イカルスの恋人たち」みたいにかなり泣ける話もあるし、一話一話それぞれに味があって楽しめた。いい漫画センスの持ち主であると思う。


4/3(火)……振り返ればつやつやがいた!

「昨日、お前のことWeb日記に書いたよ」
「そういうことすんなって」
「先週買い物行ったとき見たスゲえオーブンレンジあったじゃん、アレの話」
「何の話だよ、ソレ」
「ほら、あのニワトリの卵をあたためられる……」
「知らねぇよそんなの。ていうか俺、先週の土日、土曜は休日出勤で日曜はずっと寝てたし」
「え……」
「寝ぼけてたんじゃねえの?」

 寝ぼけているらしい。以下、寝ぼけながら買ってまだ読んでない物件。

【雑誌】桃姫 5月号 富士美出版 B5平
【単行本】「メイド・ウーマン完全版」 かるま龍狼 二見書房 B6
【単行本】「天然少女児童会」 國津武士 オークラ出版 A5
【アンソロジー】「蜜楽の学舎」 三和出版 A5平

【雑誌】ヤングマガジンUppers 4/17 No.8 講談社 B5中

 作:夢枕獏+画:板垣恵介「餓狼伝」。堤城平とヤれることが決まって、丹波文七が早くヤリたくてしかたなくてムラムラしまくり。まさに餓狼という感じ。さあ読むぞという気合いを高めてくれる。押川雲太朗「不死身のフジナミ」。扉ページの「KC発売? それどころじゃないよ・・・・」というアオリはちょっといいな。はっとりみつる「イヌっネコっジャンプ!」。なるほど。オズタカヒロのライバル的男も、これはこれで変態であると。楽しいけれど、もっとゆ→きが見たいところでもある。それから土田世紀「月球」が今回で最終回。泣かせな野球モノ。このくらいのボリュームで終わるのはちょうどいいと思う。

【雑誌】コミックリベル Vol.2 日正堂 B5中

 わ、わからん。この雑誌はいったい何を狙ってるんだろう。創刊号を見たところ、戦記モノ+エンジンモノ(車&バイク)な雑誌かと思っていたのだ。戦記とエンジンだったら、まあ両方とも実用メカってことで共通するスピリットはありそうな気がする。で、確かに今号もそういった系統の作品はあるんだけど、そういったのでないものが目立って何が何やらという状況になっている。小林源文の次のページでベタなオタク路線のロリ&ちょっとエロ系作品な感じのきんりきまんとう「突撃!! ぴろぴろぱろ〜ん」が載ってたり、ムキムキ暴力教師が赤ちゃんプレイをしてたりするコレサワシゲユキ「パワフル」が載ってたり。さらには大石まさるまで読切で登場と(次号も登場するらしい)、すごい混沌とした誌面に。

 そのほか上記で名前を挙げた人以外では、藪口黒子、水原賢治(休載のおしらせのみ)、田中雅人、夕雅紅葉、小林たけし、はぬまあん、DISTANCE、両刃剣、つねの啓、鈴木音吉、作:小林たけし+画:松田大秀のコンビが執筆。はぬまあんの登場もちょっと驚きだった。メカ系を基調に、オタク路線を拡充していくって方針なんだろうか。……つまりはジャンル誌的なとらえ方ではなく、例えばヤンジャンとかヤンマガのような、総合青年誌ととらえたほうが良さそう。そう考えると、そんなに不思議でもないか。ただ、そうなると作家陣はも少し一般受けしそうな人にしたほうがいいような気もする。

2001/04/09追記:この号で休刊になったようです

【雑誌】エンジェル倶楽部 5月号 エンジェル出版 B5平

 奴隷ジャッキーの漫画が面白いなあ。今回は「僕の天使がいる日常」の最終回。テンションの高まりまくった少年のセリフがいちいちおかしい。同級生のオンナノコのおまんまんをヌポヌポしながら、「ヤラレ! ヤラレ んぽめぇ!!」。何がいいたいのかね、キミは。その後の展開も突っ走ってていい。スバラシー。姫乃城あぽのあにいもうとロリ系作品、「お兄ちゃんがいるから…」。初々しい妹さんの姿形にほっとする味があって好み。あと、MARO先生は今回も好調。「緊縛の旅人」というタイトルセンスからして素晴らしい。ちなみにおねーちゃんが借金のカタとなり、緊縛され男に嬲られつつバス旅行という愉快な漫画です。

【雑誌】漫画アクション 4/17 No.16 双葉社 B5中

 ながしま超助「ぷるるんゼミナール」。今回はゼミのみんなでお花見編。相変わらずぷるんぷるんと菜々美はやりまくってます。おめでたいなあ。それから佐藤丸美「彩子」は、短期集中連載で第2章が開幕。いきなり猟奇殺人が起きてたりするが、基本的に第1章とは話的に独立してるっぽい。

【単行本】「学活!!つやつや担任」A/B 吉田戦車 小学館 A5

 吉田戦車ページのほうにページを作ったのでそちらを参照のこと。

【単行本】「プレイスタイル」 高岡基文 ヒット出版社 A5

 この人の単行本を買うのは、たぶん初単行本以来なんじゃないかと思う。最初のころからむっちり感のあるエロにいいものがあるなと思っていたけれど、その後ずいぶんうまくなったものだなあと改めて感じた。滑らな描線、ぴちぴちとした肉付きのいいからだの描き方とかがとてもソソる。

 Hシーンの展開は若干ムチャかなあと思うところもあったりするけれど(例えば巻頭作の「ラッシュラッシュアワー」で、さすがに電車内であそこまで自由な体勢ではできないだろーとか)、エロい刺激たっぷりの描写を繰り出すテンポは良好。大きめな張りのある乳描写(小さいのもオッケー)、消しの少ない男根描写(過剰にならない絵柄のおかげであまり目立たないけど何気にかなりデカめ)、たっぷりな汁気。それに加え、殺伐としない潤いのある絵柄と明るめなストーリーのおかげで、後味良く使用可能。表紙もキャッチーで、ええ仕事してます。

【単行本】「つまさきだちおんなのこ」 わんぱく 二見書房 A5

 この人の単行本を買うのも、初単行本以来だ。2冊めなんで当たり前だが。発売がアナウンスされてからこれまでずーっと延期されてきたけれど、ようやく発売。でも待たされただけのことはあるクオリティの高さ。本の造りもシャレている。

 一口にロリといっても少女系と幼女系があるわけだが、この人の場合は少女系。それにしても、いつ見ても思うことだがこの人は絵がとてもうまい。スッキリとした線が、一つ一つ実に気持ちのいい造形で、気持ちのいい場所に配置されている。黒目の描き方、髪の毛のツヤ、鼻筋のライン。それから、ときにダイナミックに、でも美しく変化をつけられる表情の描き方などまったく大したもの。あとはもうどんどん描いていってくれさえすればそれで満足。今度は長いのも読めたら最高。

 ところでこのコミックスのシリーズ(SUZURAN COMIXα)って、帯に「刊行予定」として「のりはる / 十羽織ましゅまろ / 天竺浪人 / 新貝田鉄也郎 / みほとこうじ ……」とある。とくに最後の名前が気になるところ。ぜひ出してくださいませ。


4/2(月)……ダイナミックレンジ

 そういえば、昨日読んだ別冊ヤングジャンプのプレゼントに出ていた三星電子のこの電子レンジ、カッコ良くていいなあ。なんだかこれで暖めると、放射能を持っちゃったり食物とハエが合体しちゃったりしそう。リンク先の写真であっためてるモノはもしかして未知の生命体の卵かなんか?(たぶんオムレツだと思います)

 そういえば最近のオーブンレンジは高機能化が著しいけど、この前、友達の買い物につき合ったときに見た最新型のヤツには驚いた。このオーブンレンジ、庫内温度を一定温度に長時間保つという機能があって、例えば摂氏80度で2時間といったことができる。長時間同じ温度で煮続けるとおいしくなるような料理(例えば大根煮など)を作るときに便利らしい。煮込み用の耐熱鍋も付属している。で、ビックリしたのが設定できる時間。最長で40日というのが可能なのだ。なんでそんな設定があるのか、売り文句とかには書かれてないようなので不思議に思ってマニュアルを見せてもらったところ、さりげなく「40度程度の低温で38日程度の設定を使うとニワトリの卵を孵化させることもできます」とある。なーるほど、電子レンジってそういう使い方もあるんだなあ。今度試させてもらおう。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 4/16 No.18 集英社 B5平

 河下水希「りりむキッス」。いよいよりりむの恋心が確かなものになってきてて、ラブコメムード高まる。今回の秋本治「こちら葛飾区亀有公園前派出所」は、ときどきある人情モノ系の素直にいいお話。これがあるからこち亀が好きという人もたぶん多いと思う。うすた京介「ピューと吹く!ジャガー」は作者の都合により休載。

【雑誌】ヤングマガジン 4/16 No.18 講談社 B5中

 相変わらず豪快なまでの連載休載ぶり。「青龍」「頭文字D」「カイジ」「空手小公子小日向海流」「クーデタークラブ」。理由は全部「作者取材のため」。

 ひさびさ、蓮古田二郎「しあわせ団地」が登場。今回もいいなあ。このじめじめとした貧乏くささ。というか貧乏であろうがなかろうが、たぶん変わらないであろう行動レベルの低さ、そして情けなさ。でも愛が……あるんだよな、たぶん。しじみの身を食べるとき特有の、妙にみみっちい表情が実にこの作品らしい。それにしても蓮古田二郎って、こういう情けなさをより強調するアイテムを見つけ出してくるのがすごくうまい。それから古屋実「ヒミズ」がいい。今回は完全にギャグをやってなくて、地味で悩み多き青春モノになっている。こういう青臭い展開はかなり好きだ。あと山本マサユキ「ガタピシ車でいこう!!」がまた掲載。今回はかわいい女の子役の女の子がかわいいなあ。当たり前のことを書いているようだけど、山本マサユキの描く女の子は好きだ。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 4/16 No.18 小学館 B5中

 能條純一「月下の棋士」と榎本ナリコ「センチメントの季節」が最終回。どちらもいろいろあって思ったよりも長く続いたが、最後はわりときれいに終われたかな。とりあえずどちらもテンションが落ちているとは思っていたので、ここで一区切りついて一安心。巻頭カラーで盛田賢司「電光石火」が再開。この人、ちょっとタッチ変えたかな?

【単行本】「SS」3巻 東本昌平 小学館 B6

 相変わらずシブくて、なおかつ血沸き肉踊る展開もあって面白い。一般的なクルマ漫画だと主人公は若者が多い。でもこの物語の主人公・ダイブツは妻子ある中年で、自動車整備工場の工員でリストラおよび生活苦という人生の不安も抱えているオッサンである。そういう人間が、かつての情熱のくすぶりにいたたまれなくなり、やむにやまれず車を駆ってしまうというストーリーにはすごく説得力がある。きっとダイブツに共感し彼の快走に胸がすく思いは、中年になった、あるいはそれ以上、もしくはなりつつある人間にとってはわりと共通の感覚なんじゃないかと思う。作画がしっかりしていて生活描写にリアリティがあって地に足が着いているからこそ、疾走シーンのカタルシスがより強く感じられる。いい漫画です。

【単行本】「ざこ検マルチョウ」2巻 高田靖彦 小学館 B6

 この巻でも新米検事・潮は、担当した事件や個人的な生き様と真っ向勝負。正々堂々と向かっていく姿勢は清々しい。現実だとこんなふうにうまくいくのはまれだとは思うのだが、ヒューマン・ドラマという一つのファンタジーを後味良く読ませる、ストーリー構築を含めた漫画的技量は高い。コンスタントだし、読むと元気が出るという現実的な効き目もあるし、目立たないながら大したものだと思う。

【単行本】「Girl −氷室芹夏作品集−」 氷室芹夏 白泉社 B6

 ヤングアニマル系列で描いた短編中編を収録した作品集。氷室芹夏の絵は、女の子もかわいく達者なのだが、良くも悪くもベタベタした甘味がないような感じがする。甘味料無添加の炭酸飲料という感じでスッと抜ける爽やかさが魅力であると同時に、どこか素っ気なくもあると思う。 女の子を描くにしても、男が楽してなんでもいうこと聞くみたいな都合のいいタイプより、男を振り回すようなイタズラっぽさがあるタイプのほうが似合っている。実際、氷室芹夏作品に出てくる女の子は、とくに登場してしばらくは小悪魔的な振る舞いを見せるタイプの娘が多い。でもそれは強がってるだけで本当は寂しがり屋さんで……というファーストインプレッションと内面の落差に惹かれたりするわけだ。で、短編中編だとうまくハマって見事なときもあるし、ハマらなかった場合はページ数の少なさから内面の掘り下げが足りなく感じられてしまって上滑った感じを受けることもある。

 今回の収録作品は、きっちりまとまって、うまいこと着地できているものが多い。迫力や深みは足りないかなと思いはするものの、青春恋愛譚としてきちんとした仕上がり。んー、この手の話だともっと萌え要素はあったほうがいいのかなあ。

【単行本】「藍より青し」5巻 文月晃 白泉社 B6

 今どき珍しいくらい、そしてあざといくらいにピュア路線なラブコメ。この巻では、主人公・薫の友達であり、秘かに彼に惚れているティナが主役といってもいい。いつもは騒いでいる女の子が見せる切なさに、男気が刺激されるというもので。良い娘さんだ。ヒロインの葵も良い娘さんではあるのだが、子供のころの想い出から幻想を膨らませて転がり込んできたというあたり、なんか不自然な存在に思えてしまったりもする。むしろ普段から友達として一緒にいて恋愛感情が芽生えるのも自然であろうティナのほうが、実績的にも上な感じがするし、そっちとくっついてくれるほうがいい話のような気がしなくもない。

【単行本】「漫画巷説百物語」 作:京極夏彦+漫画:森野達弥 角川書店 B6

 京極夏彦の小説を森野達弥が作画して、漫画単行本にしたのがこの一冊。森野達弥という人は、聞いたことのない名前だったが、水木しげるの内弟子を長くつとめた人物であるらしい。実際読めばすぐ分かる。絵柄もリズムも水木的。ヴィジュアルイメージの浮かびやすい京極夏彦の原作と、それをしっかり形にできる森野達弥の画力がうまい具合にマッチした鮮やかな語り口。面白く読める漫画に仕上がっている。このシリーズがこのまま続くかどうかは知らないが、とりあえず初であるにも関わらず、完成度はとても高い。

【画集】「桜玉吉開運画集 しあわせ」 桜玉吉(監修:福田有宵) エンターブレイン A5

 造りが異様に凝ってて、墨絵で紙もたぶん和紙だと思う。そんでもって方位磁石がついてて、コレと開運の手引書に従って導き出した方角に開運画を置く。さすればあなたは幸せに。

 とまあ、よくこんなものを……と思うくらいなキワモノ的一品だ。こういう馬鹿馬鹿しいんだか福々しいんだか的物件を企画したっていう段階で、なんだかもうエラいと思う。12枚の絵で1980円+税。というとむちゃくちゃ高いような気がするのだが、ここは一発、パトロン気分にでもなって購入するのが吉と見る。ご利益があってしあわせになっちゃったらそれこそ儲けモノなわけだし。


4/1(日)……立ち見

 とある小説家の方とお会いしていろいろお話させていただく。著作から想像していたとおりとてもいい人だったし、担当編集者の方も気さくかつ幅広い知識をお持ちな方で、お話もすごく面白かった。最近はあまり小説を読めてなくて、ツッコミが甘くて何やらとても申し訳ない気持ちに。今年度(4月からスタート)は小説もバリバリ読もう、そう誓ったエイプリル・フールでありました。読むつもりなのはもちろんウソじゃないです、念のため。

 以下は本日入手せるも未読なる物件。うーむ、どんどん未読がたまる。

【画集】「桜玉吉開運画集 しあわせ」 桜玉吉(監修:福田有宵) エンターブレイン A5
【単行本】「夕刊赤富士」上下巻(復刻版) 唐沢なをき エンターブレイン B6
【単行本】「恋文日和」1〜2巻 ジョージ朝倉 講談社 新書判

【雑誌】マンガ・エロティクスF vol.3 太田出版 B5平

 今回は、初登場のかわかみじゅんこ「パラダイス」、それから雁須磨子「春なのに」と瑞々しい女性作家陣がまず目を惹く。そんな中、松本次郎「熱帯のシトロン」もいよいよ盛り上がっていて面白くなってきた。これは単行本でまとめ読みのほうがいいかとは思うけれど、今回はとくに描写が刺激的で面白かった。卯月妙子「新家族計画」も引き続き好調。今回は、かーちゃんが金持ち親父たちに屈辱的な目に遭わされてトラウマを刺激されてボロボロに。いたたまれない雰囲気に、きゅーっと胸が締めつけられるよう。あと、安田弘之「紺野さんと遊ぼう」はマイペースで鮮やか。女子高生・紺野さんの意味不明な行為が、見ててすごく楽しい。こういうエロってのもあるんだなあと毎回思わされる。つまりこれが、盗撮の楽しさなのかもしれませんネ!

 そのほかでは、3号連続登場の2号め華倫変「下校中」や、駕籠真太郎「六識転想アタラクシア」もやはり面白くて注目作品。記事モノでは、CG漫画講座的な新連載「電脳漫画技研」が今号からスタート。初回は山本直樹。といっても今回は講座というよりインタビューですな。いまだにQUADRA 650で、あれだけのものを描いてるってのはやっぱりすごい。なお、実践編は次号。それから今号で第3回太田マンガ賞が発表されてるんだけど、快楽天で描いている松本耳子が佳作とってます。

【雑誌】別冊ヤングジャンプ 5/5 No.12 集英社 B5平

 今号の目玉は漫・F・画太郎「ゲーハーの時代」かなー、やっぱり。若ハゲな男子学生がイジメられているところから始まり、後半は壮大な展開に。いつもながらに唾飛ばしまくりでダイナミック。やたらみんなシャウトしてるよね。それから望月三起也「ROZE V」(ロゼサンク)は、雑誌の表紙にもあるように「ワイルド7」の世界を使った現代版。草波Jr.も出てくるし、もちろんあの人も……。

 本誌のほうでやってる「妹あかね」の番外編、山花典之「妹あかねsideB」は、ヒロインで主役妹であるあかねの友達が、一日だけあかねにナイショで主役兄・慎平の妹になっちゃうというお話。戸籍的にも完全に赤の他人で、いつもの妹とは別タイプの女の子が「お兄ちゃん」とかいってくれるという、妹萌え系作品としては反則ギリギリな技をかましてくれているわけである。あざとい。とは思うのだけど、狙ったとおりの萌え効果は出ている。くそう。

【雑誌】ポプリクラブ 5月号 晋遊舎 B5中

 すがわらくにゆき「おれさま!ギニャーズ」。これまでポプリクラブを買ってなかったんでよく知らないが「お待たせの再開」なのだそうだ。嶺本八美「ファーストコンタクトUMA」。しょ、触手。ツチノコ探しのフィールドワークにやってきた女の子たちが、にょろにょろしたものにやられちゃうというお話。実際には触手じゃなくて蛇の舌なんだけど、にゅるにゅるしたものは今さらながらやっぱりいいと思うのだ。触手モノについては、一時期さんざんやられて陳腐化したように思われているけれども、その分今やる人は少なくなっているんでおいしいジャンルといえるかも(ジャンルなのか?)。

 海驢(「あしか」と読む)「たっち・みー」。これはけっこう面白かった。ヒロインの少女(小学校かな?)が、学級会で「おっぱい係」に任命されるところからお話はスタート。その係の役目とは、どうやらクラスの人たち(男女問わず)におっぱいを触らせまくることらしい。その目的とかはとくに説明なし。こういうシュールなことをやりつつ、幼なじみラブコメにもなっていたりするあたり、タダモノではないような気がする。あと峠比呂「SOUND TRACK」が、滑らかな完成度の高い絵柄で目を惹いた。

【雑誌】ヒメクリ volume01 FOX出版 B5中

 コミックメガフリークの増刊。実はメガフリークは買ったことないんだけど(立ち読みオンリー)、こちらは試し買い。B5中とじで「成年向け雑誌」マークも付いていて、純然たるエロ漫画雑誌。COLORFUL萬福星みたいな、厚紙を使った表紙でわりと目立つ。どうも奇数月の月末発売となる模様。第1号の漫画執筆陣は、BLUE BLOOD、海野蛍、抜山蓋世、朝比奈まこと、さきうらら、左、ヒノエナミ、小山雲鶴、S・マスター、土肥けんすけ、戸隠黒五、パニックアタック。それから井上眞改の4色カラー袋とじ漫画(2ページ)もあり。で、実際に読んでみたがなかなか面白かった。ラブコメおよびロリ系のソフトな作品が多めで、萌え要素は十分。実用面はあまり強くないけれど、コンセプトがきちっとしてて創刊号だけど安心して読めた。エロ漫画界はしばらくMUJINとかを中心に鬼畜系の流れが続いてたけど、その反動もあってラブコメ+ソフトエロが今後大きく伸びてくんじゃないかという気はする。

 で、中身。まずは巻頭BLUE BLOOD「What is love?」。お金持ちのモテモテ同級生に弱みを握られ好き放題されている女の子。でも実は、意地悪されているように見えて、それが「好き」という気持ちから出た行為だと知りいとおしさがこみ上げてくる……という展開。小道具や、脇役の会話などでじょじょに雰囲気を盛り上げていく過程がいい。連載モノである。こちらも連載モノ、さきうらら「魔法にかかれ」も良かった。隣家に忍び込んだ泥棒を捕まえたのをきっかけに、その家の娘さんと親しくなっていく主人公。最初はおずおずって感じだったのが、しだいになついていく女の子が愛らしい。でも途中でムードが一変、ハードな展開になっており、これからが気になるところ。

 作画面でかなり惹かれるものがある戸隠黒五「イノセントチルドレン」。素直な描線が気持ちいい達者な絵柄。おでこの広い女の子がかわいい。ヒノエナミ「グリーン・サワー」は、血のつながらない姉弟モノ。かわいくてまとまりのいい端整な絵柄で、瑞々しい魅力あり。パニックアタックの連載「大人になる呪文」は、ロリ度がたいへん強くて素晴らしい。ちまちました女の子がただでさえ可愛いのに、「まじょ見習いになったんだよ☆」とかいって、まじょ衣装(ねこ耳+めがね)を装着された日にゃあもうたまらんですな。小山雲鶴「Kiss me PaPa」。コレはこの雑誌の中ではかなり異色のヤバげな作品。サブタイトルが「生ませて犯せ!!」だし。むんむんうっとうしげなルックスのオヤジが、孤児院から口のきけない女の子をもらってきて、好き勝手いじりまくるというお話。構図どりとかが妙にダイナミックでテンションが高い。このオヤジのノリも、自由になる少女をゲットした興奮から異様にテンションが高い。ぐわー、これも続きがあるのかー。どのくらいまでやってくれるか、期待して見守りたい。次号は5月31日発売予定。

【単行本】「NieA_7」2巻 安倍吉俊+gK 角川書店 A5

 異星人地球人共棲貧乏青春日常漫画がこれにて完結。普段は貧乏話を中心にテンポ良くバカやって笑わせてくれるんだけど、終盤のあたりは、文句は言い合っているけれども親友でもあるニアとまゆ子のつながりの強さを感じさせてくれて、ジーンとしたりもした。ニアがしばらくいなくなってしまうエピソードあたりは、ちょっと「さようなら、ドラえもん」的な趣もあって、存在していたものがぽっかりいなくなる寂しさがしんしんと浸みる。ラストはとても爽やか。これからも異星人たちとの平和で、頭の悪い日常が続いていくんだなあと思うとすごくほっとする。ガリガリ描き込めば圧倒的であろうけれどもあえてラフにしている画風は、ゆったりとしていて美しくて趣深し。愉快で、わびさびもある良い作品だった。

 なお、2001年6月にスケッチやイラストを収めた「安倍吉俊完全監修 NieA_7コレクションブック・SCRAP(仮題)」が発売されるとのこと。悔しいことに単行本未収録の特別篇もフルカラーで掲載されるらしい。それじゃ買わなきゃいけなくなっちゃうじゃないかー。


ページの一番上へ