2001年1月上旬


1/10(水)……今宵の鋼鉄は一味違うぞ

 今日はヤングサンデー系単行本の発売日。でもちょっと今日は忙しいんで後回し。まあここらへんは連載でちゃんと読んでるあたりだから急ぐ必要もないやね〜。

【単行本】「殺し屋イチ」8巻 山本英夫 小学館 B6
【単行本】「度胸星」4巻 山田芳裕 小学館 B6
【単行本】「ザ・ワールド・イズ・マイン」13巻 新井英樹 小学館 B6
【単行本】「ミルオポン」2巻 阿部潤 小学館 B6
【単行本】「球魂」11巻 岩田やすてる 小学館 B6

【雑誌】ガロ 2月号 青林堂 B5平

 津野裕子「こうもり」。相変わらず素晴らしいクオリティ。詩的なネームや、冴え冴えとして艶めかしさもある作画など、隅から隅まで津野裕子テイストがあふれていて実に美しい。キクチヒロノリ「(仮題)おばさんシリーズ にんぎょう」。な、なんかキクチヒロノリにしてはまともな話が。ついついいっぱい人形を買ってしまうおばさんが、その処理に頭を悩ますというお話。キチガイも出てくるけれども、お話としてはそれなりにまとまっている。でもこの人は、次の話でいきなり前の話を作中作にしちゃったりとか思いもよらぬことをしてくる人なんで油断はできない。

 パルコキノシタ&パルコケ「漂流教師」。なんかだんだん面白くなってきているような気がする。今回は、主人公教師とそのカノジョであるコギャルさんがデート。前号までの生徒のお母さんとの関係とかはどうなったのかなとか思うが、なんか妙に女の子がかわいく見えてしまったり、教師さんのヘンな性格が面白かったり。そして逆柱いみり「岩テレビ」。これはすごいな。とくに前半8ページについては、もう紙の上に隙間なく逆柱いみりワールドがわき出して踊っているようで、なんかもう圧倒されてしまう。イラスト的なもので埋め尽くされているのだが、そのどこにもピントが合っているかのようで、逆柱いみり風味でないスペースなど一ヶ所もない。

 ところで2月21日に、オリジナルビデオアニメ「ねこぢる草」が発売されるらしい。DVDとビデオテープで、ともに4800円。

【雑誌】エースネクスト 2月号 角川書店 B5平

 近藤るるる「黒蘭」新展開。3年後で大人になった黒蘭はだいぶ強くなったみたいな感じ。いろいろと登場人物の容姿も変わっててそれを確認するのも楽しい。岩原裕二「地球美紗樹」第2話め。少しずつお話は動いてきてるかな。恐竜が変身した少年、ニオが人間である美紗樹たちと暮らすことに徐々に慣れ始めてきているけれど……。絵がやっぱりうまいなあ。パッと目を惹くキャッチーさ。線がくっきりしてて、でもタッチは細かい。

【雑誌】週刊少年サンデー 1/21 No.6 小学館 B5平

 雷句誠「金色のガッシュ!!」が新連載。やたら頭がいいけど孤独で引きこもりがちな中学生男子・清麿の元に、外国で仕事中の父から奇妙な少年・ガッシュが送り込まれる。ガッシュは天真爛漫な顔つきのわりに、何やらすごい力を持っているらしいのだが……という感じ。たぶん彼のおかげでヒキーコだった清麿くんが更正していくんじゃないかと思われる。わりと絵は整ってるしダイナミックな演出もできるようだけど、どうなるだろうか。とりあえずしばらく読み続けてみよう。

【雑誌】マガジンFRESH 1/29 講談社 B5平

 おお、ホントに小田扉が。というわけで小田扉「サイボーグ大作戦」8ページが掲載。一見、普通の民間人、でも実はあんまり役に立たない能力の持ち主であるサイボーグな人たちが、ファミレスだかなんだかでおしゃべりするという話。この人にしては大人しめな感じだけど、のほほんとして、端々にくすぐりがあって面白い。小田扉の場合、力のヌケた一枚絵でもなんだか笑わせられちゃうのは強い。絶妙な絵、そして呼吸なり。長田裕幸「高校皇」。完璧な生徒会長であろうとする主人公・谷村が、不良たちに挑戦されるも会長パワーで撃退するというお話。なだれ込むようにドタバタなアクションに持ってくのがうまい人だけに、けっこう少年誌向いてるかも。

 作:中村好夫+画:松田望「耳だけ鋼鉄刑事」。怪人に襲われ殺されるも、最新医学により復活。しかし唯一元に戻らなかった耳だけが鋼鉄の部品にされてしまった刑事のお話。「鋼鉄」というアイテムがなんだかすごく目立ってていい味わい。パワフルなギャグを描く人で、ちょっと気になった。それから塀内夏子「なつこの漫画入門」は、今回お得意のスポ根モノについて語っている。も少しテクニカルな話が聞きたかったところだが……。でも「スポ根は漫画でこそ魅力を発揮する」という意見は同感。実写だと、フィクションのスポーツアクションはなかなか面白くならないんだよね。漫画の場合は下手すると、実際のスポーツ観るより面白かったりするし。


1/9(火)……オビはクロービ

 しかも毛の帯なわけか。

 羽海野チカ「ハチミツとクローバー」1巻(宝島社)の発売日は1月29日になったとの情報が入ってまいりました〜。

【雑誌】ヤングキング 2/5 No.3 少年画報社 B5中

 沖田龍児「ガチンコ勝負伝説 間男」が次号で最終回。ベタなギャグノリが好きだったのだが、ここのところかなりガチンコな勝負モノとなっており、大一番の取り組みもようやく決着。最後は脱力するようなラストにしてくれるとうれしいな〜。

【雑誌】キングダム 2月号 少年画報社 B5中

 今回の佐野タカシ「イケてる刑事」は、近藤が入院して病院内でトラブルに巻き込まれるとかいう話なんだが、ここでも看護婦さん相手にビッグマグナム大活躍。それにしても尿道にフィストできそうなくらいのデフォルメっぷりは毎度痛快であります。大石まさる「てなもん屋源さんvs謎の円盤UFO」。最近の大石まさるはいったい何を狙っているんだろうか……。今回はペンギンの着ぐるみを着たなんでも屋のおっさんが宇宙人さんたち相手に大活躍〜といったお話なんだが、昔エロ漫画を描いていた本性だかなんだかも炸裂してて、わきゃわきゃと賑やかな漫画となっている。楽しいからいいんだけど。

 私屋カヲル「青春ビンタ!」。最初は佐野タカシ+小本田絵舞みたいだなとか思っていて、その印象は変わってはいないけど、似ているとかそういうの抜きにけっこう面白い。女の子はかわいいしノリはいいし。法田恵「こんすとらくたーず」。主人公と分かれた彼女に新しい男が言い寄ってきてフラフラ……というシチュエーションがなかなかにHくさい。いまだ心はお互い残っている感じなところが良い。この作品、焦らし焦らしなところがいいんだけど、連載が月刊ぺースだから余計焦らしが効いている。今回はヤッちゃっているんだが、実のところ、やらないまま寸止めでもっと焦らしてほしかったような気もしている。

【雑誌】ヤングチャンピオン 1/23 No.3 秋田書店 B5中

 岡田和人「教科書にないッ!」。綾の卒業に向けて、シリアス路線で突っ走っていくのかと思ったら、意外にも中休みを入れてきた。セクハラーvs.オメクリマン。こういうギャグ系の回も下らなくて良い。葉月京「恋愛ジャンキー」。久々に巨乳&めがねなコンテマン地井さん登場。今まで出てきた女の子の中では、この娘がイチ押しなのでうれしい。地井さんだけにやっぱ「ちぃ」とかいってもらわないとねー。ところで葉月京のサイン会が1月27日、池袋・芳林堂コミックプラザであるそうで、その告知ページがあるんだけどアオリ文句が「元・関西のCMモデル!? 元・海女!? 元トラッカー!? 癒し系女流漫画家を目撃せよ!」とかなってるんだが、女流というところはともかく海女という部分が気になる。ユキポンもこれには萌え萌えか?

【雑誌】漫画アクション 1/23 No.4 双葉社 B5中

 ながしま超助「ぷるるんゼミナール」が絶好調なのに対し、山本よし文「オッパイファンド」はテンション落ち気味か。それにしても「ぷるるんゼミナール」の、ゼミの女の子全員が巨乳という設定はなんだかすごいな。高橋のぼる「キラリが捕るッ」。なんかまたしてもヘンなピッチャー登場。出てくる人出てくる人、みーんな濃いな。今回は全然話を聞いていない外国人ロックもなかなかいい味出している。

【雑誌】夢雅 2月号 桜桃書房 B5平

 海明寺裕「黒帯の天使」が目当て。「道」という武道の真髄を極めんとする外国人選手の物語で、柔道みたいな武道なんだが、その鍛錬の過程で精神修養のため、恥ずかしい格好もしたりするとかそういう話。柔道的なしきたりなどを、いろいろな場面で少しずつ少しずつ変えていき、全体として異様な世界観を作り出すまでに、短編のページ数で持っていっちゃう手腕はさすが。やまたのをろち「縛」。この人もたいへんにアクが強い。最初は、レズカップルラブラブHものかなって感じなんだけど、内臓出そうな勢いでフィストしてるし。かなりナチュラルなものを感じる。

 それから今回なんといってもすごいのが柿ノ本歌麿「i・dol・翔子」。続き物の最終回なのだが、今回最初のページからアイドル歌手が東京ドーム5万人の観衆の前で、オーロラビジョンで大映しにされた状態で凌辱されてるんだよね。そして「始まって5時間…翔子はすでにノルマであるは百人はゆうにクリアしていた……しかしっ」「ダンサーは密かに倍の人数が用意され」(中略)「体内射精延べ208人」「絶頂回数計測不能!!」とくる。ラストでは「ファンクラブ7万人も出演する一年がかりの超大作」の構想まで明らかにされるのだ。1日約200人。もうイヤってくらいテンションが高くてビックリ。なんか単行本出たら買っちゃいそうだな……。

【雑誌】コミックライズ 2月号 メディアックス B5中

 EB110SSと朔ユキ蔵が掲載されていたので購入。EB110SS「2人でアイラブすとーきん!」はわりと冴えない感じの男と、彼をストーキングしていた女の子のお話。ストーキングといっても陰湿なものにならず、なんかのんびりユルいノリでお話を進めていくところがこの人らしい。平たい顔の女の子がほっとする味わいでいいなあ。この人すごく好きなので、そろそろ2冊めの単行本をお願いしたい。朔ユキ蔵「からっ風ブギ」は、冬の寒さのビリビリ感を性の快感に変えてサカる男女のお話。相変わらず構図の取り方とかダイナミックでうまーい。そしてなんかヘンな人々ばかりなお話も面白い。2冊めの単行本「チマタのオマタ」(ワニマガジン社)は今月12日発売予定。


1/8(月)……ハッパ Sweet Sweet

 寒いんで寝てました。昨日今日で外に出たのは1分くらいか。ビバヒキーコ!! 会社行きたくねーなー。

【同人誌】「スカートをはいた君」 男マン <デジタルボウイズ>

 面白かった。ベタ入れとか仕上げはされていないコピー本なんだけど読ませる。ちょい甘の小学生ラブを描くのがこの人はかなりうまいと思う。子供らしい雰囲気とドキドキ感が十分出ててキュンと来るものがある。シンプルながら雰囲気のある絵は、とくに表紙なんか、パッと目を惹くしいいんじゃないでしょうか。本格的にガシガシ描き込んだ作品も、今度はぜひ読んでみたい。

【同人誌】「そして人生は続く」 さくらのりたか <darumaya factory>

【同人誌】「Sweet Sweet days」 さくらのりたか <darumaya factory>

 だいたいは読んでいたと思うんだけど。「そして人生は続く」のほうは、旧版のほうを買ったことがあって、そのときの感想は1998年11月23日の日記に書いたが、改めて読んでみたけどやっぱり青春バリバリで勢いがあって面白い。「Sweet Sweet days」は再録集で、「EVERY LITTLE THING」収録作品以外は読んでいるはず。こちらも楽しかった。青春っぽいものが多くそのときの精神状態がそのまま出ちゃいがちなタイプの人だけに、ときどきヌルすぎなこともあるんだけど、ハマったときはズバッと気持ち良い作品を描ける人なんでこれからもコンスタントに描いていっていただきたい。

【同人誌】「七転八倒ひめあられ」2 藤井ひまわり

 いや〜このシリーズ楽しいねえ。未来の工場で働くお気楽女工さん物語といった感じなんだけど、手足がくにゃくにゃぴろーんとして、こちゃこちゃしているんだけど全体的には整理されている画風が見ているだけでうれしい。お話の気楽さも非常にええ感じで肩が凝らない。なんか描いている人はむちゃくちゃ楽しそうだな〜と思える。こういう持ち味のある人はけっこうまれだし、何描いても強いんじゃないかな〜。商業誌とは違うロジックで動いている感じではあるけれども、そこが良い。

【同人誌】「西の林」 弘岳粟高 <あわたけ>

【同人誌】「東の沼」 弘岳粟高 <あわたけ>

 おお、これはエロい。とくに「西の林」。「瓜頭」という正体不明なモノと、町に伝わる不思議な風習。「西の林」のほうでは、瓜頭が選んだ女性は町の西の林の中で、顔見知りの町の男たちによってかわるがわる犯され調教される。といってもこれが鬼畜だったり殺伐としてたりしているわけではなく、「それはそういうものなのだ」という感じで、ごく自然に、女の子のほうも半ば自ら望む形でそれを受ける。というよりもそういう欲求を秘めた女の子を瓜頭が選んでいるのかな。こういう土俗の風習ネタ(「肉布団」とかね)ってかなり好きで、いたく心を動かされるものがあった。この人の絵柄自体はエロ漫画っぽくないんだけど、それだけになんかホントに「そこらへんのちょっと田舎っぽい町に住んでいそうなフツーのおねいちゃん」がいけないことをしているのを目撃しちゃった感じでソソられた。ゆったりとしたちょっと不思議っぽい語り口も健在で、絵柄の気持ち良さもあり、非常に楽しんで読めた。

【雑誌】ぴゅあぷちっと Vol.1 コアラブックス A5平

 以下はジャンキーズ用エロ漫画読書。

 コミックぴゅあの後継誌で、そこから黒川澪「檄!愛舐女学院」、和猫「ターニングラブ」、みずきひとし「電子の妖精エポ子ちゃん」が引き継がれている。「電子の妖精エポ子ちゃん」は主人公の元に、女の子の姿をしたゲームの精がわらわらとやってきてHなことするって作品だけど、それがカセットビジョンの精だったりリンクスの精だったりジャガーの精だったりして、なんかヘンなとこついているのが楽しい。今回はワンダースワンなんでそこそこメジャーだけど、そのいでたちがかなりヘンテコでイカしている。「ターニングラブ」も小学生ラブが甘くてちょっと切なかったりしてええ塩梅。あとマーシーラビットの「秘密指令Witch」が3話収録。犯罪現場に現れるも役に立たずいつも犯されてばっかりいる魔女っ娘とそれを盗撮するのが趣味な弟のお話で、Hと笑いが両立。八重田なぐも「天使のおもらし」は女の子がピチピチしてて元気がいいのがグッド。今回のテーマは「ろり特集」なので、ちんまりした女の子の話でまとめられている。そのほかの漫画執筆陣は兼清みわ、桜りゅうけん、ばーすろいる、やまねさつき、みんとぐりん。

【アンソロジー】「美少女症候群2000 ゲーム編2」 ふゅーじょんぷろだくと A5

 う、困ったな。俺ゲームやんないもんだから元ネタが全然わからん。辛うじて分かる「鉄拳TAGトーナメント」ネタの第六天魔王グレートは、筋骨隆々した描写が異彩を放ってて、最近けっこう目につくようになってきた。お話としても格闘娘の案外純な想いが出てて、それがムキムキボディと不思議なコントラストを描いてていい感じだった。あと姫乃城あぽのめがねっ娘がかわいそうな目に遭ってる漫画もわりと良い感じ。元ネタが分からない作品はインターネットでサークル名とか検索して調べることにしよう。で、その後どんなゲームか調べるためにまた検索するということになるわけだ。ちなみに漫画が掲載されているのは柴崎みかる+M.W.IWAI、雅川佐倉、神風隼人、神楽坂咲奈、あさいいちこ、あさひるごはん+獄楽丸、ひとで工務店、オダワラハコネ、ハセイアガナ、第六天魔王グレート、提灯暗光、桜井綾、周防正信、姫乃城あぽ。

【単行本】「EMERGENCY」 桐木せつな 雄出版 A5

 明るめなタッチの絵柄で、女の子の描写には華がある。健康そうでわりと豊満なタイプの絵柄。エロのほうもギッチギチってわけではなく、それなりに充実。ちょっとホッとするような味があり。収録作品では女学生さんのラブコメタッチな作品がわりといい感じかな。なんかも少しウリがほしいとこではあるけど、とくにこれといった欠点もない。

【単行本】「アイディアル」 川本貴裕 白泉社 B6

 ヤングアニマル本誌および増刊に掲載された作品集。前半は風俗嬢が主役なショートストーリー、後半は恋愛モノ。最近かなりエロ系ビシバシなヤングアニマル系だけにそこそこ裸も出てくるけど、密度はあんまり濃くない。それよりは華やかな絵柄で展開される物語を楽しむという感じ。読後感的にはかなりアッサリしているので肩は凝らない。手堅くはあるけど、も少しパンチは欲しいなー。

【単行本】「夜的少女式」 小本田絵舞 エンジェル出版 A5

 メンズヤングにて連載された作品。大学生殺人事件の捜査に乗り出した刑事が主人公。その姪が実はこの大学生の恋人だったのがだが、刑事にそれを隠したままにしているうちに事件に巻き込まれる……といった感じの刑事モノ。この刑事は鑑識の女医が恋人関係にあり、彼らやそのほかの面々のセックスシーンを随所に織り込みながらちょっとアダルトな雰囲気で物語は展開する。事件の底はあんまり深くなくて刑事モノとしてはもの足りないけれど、それらしい雰囲気をしっかり作ってエロも入れて話を作っていく手際は手堅い。毎回エロは用意しつつも物語として破綻はしてないし。ストーリー、エロともにそこそこって感じで、TVの2時間モノの刑事ドラマ的感覚で読むタイプかな。

【単行本】「天使のしっぽ」 ジェームスほたて 笠倉出版社 A5

 この人って初単行本なんだ。もっと前からいるような気がしてた。強弱の利いた柔らかい線でキュートな絵を描く人。全体にラブコメチックなお話が多くて、パアッと明るめなのが良いところ。ピチピチしてます。お話作りの面ではまだ弱いところはあるんだけど、パッと見てこの人だって分かる絵柄は持ってるし、ちょっと甘ヌルめないい雰囲気作りもできる。絵柄的にはだいたい完成されているので、あとは全体にスケールアップしていけば良くなりそう。もっともっとラブコメ度をガンガン上げていくのが吉な感じがする。


1/7(日)……雪ですのう

 同じシャレを何人の人がいったことだろうか。鬱ですのう。そういえばスノウチサトル……だぼっ……。

【雑誌】YOUNG YOU 2月号 集英社  B5平

 まずは架月弥登場。原作:村山由佳で「キスまでの距離」前編。親同士の転勤で一緒に暮らすことになったいとこたち。んでもって、主人公である勝利は、久しぶりに会ったら美人になっていたかれんにドキドキ。でもかれんはなんだか人に話せないような悩みを抱えているみたいで……という感じでけっこうシリアスなお話に突入していく。さすがに原作がついているだけあって、架月弥らしくなく、お話がちゃんとまとまっている。それがいいかどうかはともかく。架月弥の場合、絵ともどもストーリーがどんどんわけのわかんないほうに崩れていくのも面白いんで。後半でいとこ同士のラブ・ストーリーになるんかな? さてさて。

 岩館真理子の読切「サヨナラの約束」。最初のほうは岩館真理子特有な天然ボケなノリでずんずん行くのかと思ったら、途中からちゃんと切ない方向へと向かっていく。複雑な感情を抱えた姉妹の気持ちは、微妙な境界線を作りながら揺れ動く。薄いガラスのようなタッチが美しく、途中までふわふわとミステリアスな部分を孕みつつ物語が進み、緊張感もある。逢坂みえこ「ベル・エポック」。今は漫画家になった男の少年時代、そして父とのエピソード。ありがちではあるけれど、ちょっとじーんとくるいいお話。それから今回の武内直子「直子姫と義博王子のベビー▽ぱ〜んち!!」は、描写は気軽っぽいけど意外に重いネタでびっくり。武内直子も何気に苦労していたのだなあ。うーむ。

【雑誌】FEEL YOUNG 2月号 祥伝社 B5平

 トピック的にいうなれば、宇仁田ゆみが初登場していることが一番目を惹く。タイトルは「ロクイチ」。服飾科専攻のおねいちゃんが、男の子を紹介してもらってカレシ持ちに。最初はラブラブであったものの、ちょっと忙しくて会えない間の彼からのアタックがうっとうしく感じられて、二人の仲がちょっとピンチに……というお話。一瞬ストーカー系な話に行くかなとか思ったけど、そこまで重くはならずにかわいい恋愛モノのまま締めくくり。読後感はサッパリしていて、ビックリするほどの出来ではないけどそれなりに楽しめる。あと小野塚カホリの新連載「ジョルナダ」が始まった。かつて恋した人の弟である生徒を縛りつけて籠絡しようとする女教師が艶めかしい。それから南Q太「夢の温度」はやはり面白い。少年少女恋愛ながらカッコ良すぎるような気がしないでもないけれど、美しいというのはやはり素晴らしい。

 やまじえびね「LOVE MY LIFE」。自分が同性愛者であると気づき、恋人である女性とともに暮らすいちこが、バイト先によくくるスキンヘッドのステキな人に惹かれる。そして恋人にはそれを打ち明けることはないまま、恋というまでに至らないそのスキンヘッドの人との関係性はプツンと切れる。彼女たちの道が交わったのは一瞬だけど、その緊張感にシビれるものあり。このシリーズはかなり微妙なラインにある感情を煎じ詰めててすごくいい。作:岡田ユキオ+漫画:柏屋コッコのやたら濃い顔カップルによるドタバタコメディ「ラブ・エスプレッソ」が久々登場。今回は濃い血筋を引きまくりで生まれた、さらに濃い顔の子供が主役でタイトルは「チビ・エスプレッソ」。子供の顔は悪夢的だが、テンポが良くギャグをかましてて素直に楽しい漫画である。このほか三原ミツカズ「DOLL」、青木光恵「スウィート・デリシャス」、安野モヨコ「ハッピー・マニア」、こいずみまり「CUT×OUT」などもコンスタントに面白く、なかなかの充実ぶりを見せている。

【単行本】「あまなつ」 新井英樹 エンターブレイン B6

 新井英樹の講談社時代の作品を集めた短編集。収録作品は「ひな」(モーニング 1994年49〜51号)、「牽牛庵だより」(モーニングルーキーリーグ 1990年1号、モーニング1990年8号16号、パーティ増刊1990年30号〜1991年40号)、「こどもができたよ」(モーニングルーキーリーグ 1990年2号)。「ひな」についてはもうだいぶ今の絵に近くなっていて、ひなという誰にも縛られない不思議な雰囲気を持った女性と、彼女に振り回される男たちの姿を描いた物語。男たちがいろいろと空回りしつつ騒動はどんどん大きくなり、最後は町の男みんなを巻き込んだぶん殴り合いになだれ込んでいくさまはなかなか熱く激しい。と思ったら「牽牛庵」はかなりお気楽な、独身漫画家(男)&独身編集者(女)の呑気な日々をぼよよんと描いた作品となっている。こういうコメディタッチも楽しく描ける人だったのだなあと軽く驚く。そして「こどもができたよ」は、できてしまった子供を巡って男3人女1人がそれぞれに葛藤するというお話。こちらは紆余曲折あり、そして清々しい読後感を残すラストへと向かう。三作品ともそれぞれの魅力を持っていて面白い。6〜10年前の作品なんだが、全然古いって感じはしない。このころから作品作りにおいて腰が据わっていて、芯の部分にぶっといモノを持っているという印象を受けた。

【単行本】「八重歯妹ER」 あかひらきりん 心交社 A5

 ここからはジャンキーズ用エロ漫画単行本読書。

 この単行本は、かつてビブロスからB6判で出ていた単行本の再版であるらしい。この人の作品の良さは、抜群にノリが良いところ。とくに毛のないまんまん好きな兄と、そんな変態兄が好き好きな妹のドタバタラブHである「すきスキ好きSukiお兄ちゃん2」(タイトルもなかなかリズミカルですな)は持ち味がバッチシ出ている。頭身縮んだコミカルなタッチにちょこまか変わったり、かなりダメダメなノリが魅力だ。後書きでも( ̄▽ ̄)←こういう顔文字がぽこぽこ出てくるあたりからも(この単行本では大人しいけど)、この人ならではのノリが感じられる。

【単行本】「つるつる」 あ〜る・こが 富士美出版 A5

 もうタイトルどおりロリ系な作品集。といってもロリだけじゃなくて、この単行本の特徴をもう一つ挙げるのならねこみみ含有率の高さ。ほぼ半分の作品でねこみみ少女が描かれている。ロリのほうは基本構図は大人の男×少女だけど、少女はやられてしまってはいるものの、最後は男のほうがハマってしまって道を踏み外しちゃうみたいなところもあって、いやはやロリは麻薬なんですなあそういう人にとっては、とか思ったりもしてしまう。

【単行本】「少女は子宮で夢を見る」 奥矢星 心交社 A5

 この人、個人的にはNIFTY SERVEのH漫画会議室初期のころのアクティブ発言者という印象が実は強かったりするんだが、単行本通しで読むのは実は初めてかもしれない。この単行本はロリ系であにいもうとモノが中心。ロリといっても幼女系ってわけではなくて、胸はぺたんこで頭身はスラリと高いタイプ。絵的には古めだと思う。でも読んでみたらけっこう面白かった。絵柄については今となってはかえって新鮮で味になっているし、お話も微妙な軽さがあってするする読める。ちょっと甘めなラブ要素もあるあたりで好感度アップ。

【単行本】「PROGRAM RING」 あまゆみ 茜新社 A5

 華やかかつ肉付きのいい瑞々しい絵柄でなかなかにエロい。この単行本には近親相姦モノの「美鶴 −淫姉姦−」、剣と魔法系の世界にて高貴な女騎士がエロ責めを受ける「アルノート」、それから元SMクラブの女王様な女教師が大活躍な「M的 −PLUS.S−」が収録されているが、どれもかなりガッチリとエロい。ヨガリっぷりが派手めで即戦力という感じ。

【単行本】「近親強制結合」 上総志摩 東京三世社 A5

 あ、こりゃ面白い。「携帯操作」「第X倉庫」「新版あいのメタモルフォーゼ」が収録されているのだが、「携帯操作」がとくにいい。兄の恋人であり妹の友達である女の子をストーカーにとられた兄妹が、携帯電話からの指示に従って近親相姦を強要されるという話なのだが、なかなか手の込んだ作りになっている。まずこの指示が送られてくる携帯電話は最近実際にモノが出てきたカメラ付きの奴で、兄妹が指示に従っているかどうか、ストーカーのほうは映像で確認しているという仕組み。つまり遠隔操作ながら近親相姦と羞恥プレイを兼ねているのだ。携帯のメール機能もちゃんと駆使。でもってそういったことをしつつ、兄妹は指示によりいろいろなところを移動させられるんだけど、そのタイムチャートもきちんと用意されているようだ。現在、シリーズはまだまだ連載中でじっくりページ数かけてお話を作っている感じ。まあ厳密な構成というわけでもないとは思うんだけど、エロ漫画でこういう理詰めなストーリー進行、それから小道具をしっかり使えている作品というのはあんまり多くない。なんか妙に感心。


1/6(土)……デイパク

 生活必需品であるデイパックを買い換える。毎日酷使しているので、ここ数年はだいたい1年に1個くらいはデイパックをつぶしている。これまで使っていたのは壊れてはいないんだけど、激しい使用がたたって、もう完全に型がなくなっちゃってへにょへにょのくたくたになっていた。容量的にはかなりイケるのだが、なんせ型がないもんでモノを詰め込んださいの重さのバランスが悪くなってしまい、必要以上に重く感じられ腰に無用の負担をかけていた。あと、底の部分もくたびれてたので電車で座って膝に載っけていると本の角がゴツゴツして食い込んで痛いし、さらに表面がぺかぺかになっていたので膝の上でつるつる滑る。

 そんなわけで常々買い換えようとは思っていたのだが、なかなか条件に合うのがなくて買えずにいた。デジカメの充電池など小物を重量バランス良く詰めるためサイドポケットが充実したのが望ましく、もちろん容量はそれなりのものがなければならない(普段の荷物に加えて雑誌8冊+単行本5〜10冊程度は入らないと困る)。あと背面と底面がしっかりして型くずれしにくく、じゃらじゃらしたひもがあんまし付いてないものが欲しかったのだ。一時期、カメラ屋さんで売ってたキャスター付きの奴とか、登山用のモノも真剣に考えたのだがさすがにそれで会社に行くわけにもいかんべえというわけで思いとどまる。で、結局買ったのはLeeというブランドの、上記条件をそこそこ満たしている感じのもの。サイドポケットがチャック式でなくマジックテープ式なのは若干不安だけど、とりあえずしばらくはコレで行く。どうせ1年くらいしたらまた壊れるんじゃないかと思うが。

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 2/6増刊 小学館 B5中

 ここのところ好調なスペリオールだが増刊も出してきた。この号の特集は「SEX BOOK 2001」。といってもエロがメインというよりは、セックスが抜きがたい要素としてからんでくる大人同士の恋愛といった感じ。執筆陣は星里もちる、高田靖彦、東陽片岡、吉田まゆみ、松田洋子、浦川いさお、井浦秀夫、人見茜、池上花英、トクノー史子、成田学、小林大介、伊藤理沙。この増刊はシリーズ化するようで、次号は4月発売とのこと。

 まずは星里もちる「本気のしるし外伝」。辻イチローの、大学時代の彼女のお話で、それまでウブであった女の子がイチローと出会い、そしてセックスを知ったことによって急激に目覚めてしまったことをきっかけに、二人の仲がしだいに暗転していくというお話。最近の星里もちるはかなり後味わっるーいお話を描くようになってきたがこれもまた。というか短編である分救いも期待もなくって苦い。そのものなシーンは少ないけれども、しっとりとエロチックでもあった。高田靖彦「がんばってね。」。妻が浮気して妊娠してしまった若夫婦の苦悩と再出発を描く物語。きっちりした作画、短いながらもきちんとドラマを織り込んでまとめてくる構成力など、さすが高田靖彦、漫画作りがうまいなあと感じさせる一作だった。松田洋子「ハッピーエンダー」。金を使わずリーズナブルに女の子を引っかけるのを楽しむ根っから遊び人な若旦那と、それを監視する女房のなんだかおもろい物語。やってることは生臭く、でもそれを軽やかにギャグにしてのける松田洋子はやっぱうまいなあ〜としみじみ。かなりふんだんにネタが詰まっていてページ数分、フルに楽しめた。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 1/22 No.6 小学館 B5中

 江川達也「東京物語」ついに完結。読み終わった後、思わず「なるほど」と呟いてしまった。納得のオチ。ただ最終ページの後のあとがき部分は読むときっとイヤな気分になりそうだったから読まないでおいた。高橋しん「最終兵器彼女」。序盤から気になるキャラであったアケミのお話で、かなり泣き泣きな展開。シュウジとアケミ、両方の想いと優しさが伝わるだけに、より深く切ない。ここまでの展開をつかんでなくてもかなり泣けるエピソードだと想う。青山広美の新連載「格闘太陽伝 ガチ」がスタート。ルー・テーズが監修しているらしい。禁じ手なし、時間制限なしなガチンコ格闘勝負漫画になりそう。作:今井亮一+画:ウヒョ助「交通被告人前へ!」は今回で最終回。

【雑誌】ヤングヒップ 2月号 ワニマガジン B5中

 このところなかなか充実している。執筆陣は、みうらたけひろ、草津てるにょ、西川魯介、山本賢治、かかし朝浩、マーシーラビット、武林武士、菓子山美里、セキケン、井荻寿一、もっちー、MEE。実用系と読ませ系、ギャグっぽいのとバラエティに富み、バランスもとれた良いラインナップである。

 まずは西川魯介「ラブ装填(コメ)電動ファイター」が掲載されているのが大きい。これはこの前単行本になった「初恋☆電動ファイト」の続編的作品で、ショタな少年とめがねっ娘がいろいろサカったり、プラレス的な電動ロボットでファイトしたりというお話。今度は新しい少年(少女かも? 名前はかなり中性的だ)キャラも登場。続くのかな? 細かいギャグ、柔らかい線による案外実用的なH、ショタ、めがねっ娘、オタクネタ……と西川魯介の味が存分に出ている。コンスタントに掲載されるようになってほしいものだが、次号予告には載ってないなあ。隔月ペースとかかな? みうらたけひろ「地球防衛倶楽部」は、いかにもモテなさそうなうっとうしい野郎3人による地球防衛倶楽部の面々が、隊長宅のすぐ近くの部屋に潜伏する「発達した胸部による色気」をもって人間を惑わす、「女教師」に身をやつした、「セクシー宇宙人」を勝手に監視し、あまつさえ隊員の股間の棒状器官による直接的防衛活動におよぶとかそういうお話。みうらたけひろらしいアダルトな色気、くだらないノリとかなり楽しめる作品。

 草津てるにょ「ムーちゃんが来たよ」は相変わらずのつやつや裸身でエッチだけど、今回は軽いノリでちょっとヌルめなレベル設定。かかし朝浩「病院行け!!」は最終回。ときどきしか読んでなかったけど、読んだときは確実に楽しませてくれる作品だった。キャラがしっかり立ってるし、お話のテンポも良い。締めくくりもなかなかええ感じだった。単行本出たらまとめ読みするとすごく楽しいと思う。マーシーラビット「ラブ★バイブレーション」。この人らしく、もうしっかり実用的。男3人 vs.女1人の多人数プレイもあるし。こうやって実用方面に徹しきり、毎回ちゃーんと手っ取り早く使える作品を描いてくるというのはスゴイと思う。もっちー「魔界のプリンセス プリティー美沙」は今回も馬鹿馬鹿しくも平和で楽しい。熟れ熟れな大人の女性の恥ずかしい魔女コスチュームとか、たいへん痛い艶姿にクラクラ。このほかセキケンも瑞々しくて良いし、井荻寿一はいつもどおり色っぽくて大好き。


1/5(金)……下らないシャレはやめなしゃれーぬ

 新年はのたーりしてたけど、そろそろいろいろうごきださないとねー。

【雑誌】花とゆめ 1/20 No.3 白泉社 B5平

 日渡早紀「宇宙なボクら!」が最終回。告白シーンが初々しくて微笑ましくて良かった。締めくくりも暖かく幸せに。ボリューム的にもちょうど良かったんでは。高尾滋「ディアマイン」。髪にウェーブかけて白いドレスを着た咲十子がかわいい。というところから始まって、ちょっとつらい展開に入っていくけど味方っぽい人も現れ気味かな? 絵は相変わらず文句なくうまし。福山リョウコ「うそつきな胃袋」。いかにも花ゆめっぽい新鋭という感じだけど、なかなか爽やかな恋愛話に仕上がっていて面白く読めた。大食いな二人の男子女子が、学内パーティで一緒にメニュー委員をやることを通じて……ってなお話。元気よくモノを食べる女の子っていいもんですなあ。

【雑誌】コミックフラッパー 2月号 メディアファクトリー B5平

 なんかますます不思議な雑誌になってきていてある意味エキサイティング。わざとちょっと懐かしめの路線を狙ってるのかなあ。

 作:押井守+画:大槻保彦「アヴァロン〜暗黒のひずみ」も掲載。ちょっと諸星大二郎似な、まあわりと古めなエスエフ系っぽい絵柄。「アヴァロン」というゲーム世界に人々が入っていき、その中で繰り広げられるサイバースペースアクションってな感じ。こちらはわりと作品全体の作りがガッチリしててそれなりに読める。ただ、ネタとしてはありがちな感じも。守安啓行「ライバル2」。またまた掲載。元気あふれるドタバタアクションしまくりな、こどもラブコメとなっていて楽しく読める。絵柄的にもパキパキしてて見ていて面白い。あとSABE、駕籠の個人的ビッグ2は今回もガッチリ面白い。

2001/01/08追記:ごめんなさい。作:菊地秀行+画:高山裕樹「ブルー・レスキュー」を新連載と間違ってました。なに勘違いしてたんだろ。はずかしー。その部分のコメントはあまりにも的はずれなんで削除しました。

【雑誌】桃姫 2月号 富士美出版 B5平

 富士美出版のわりになかなかクセモノな雑誌に仕上がっていてけっこう面白い。しろみかずひさ、ぐんぱんといった立派な人々や、第六天魔王なんかもなかなかに濃い。ぱっつんぱっつん濃密エロなちゃたろーもいるし、今回は胃野上奇嘉郎も描いているし。と、俺がこういう面白がり方をするということはいまいち売れないんじゃないかという気はする。

 木村義浩「愛する人へ…」(協力:うるし原智志)が巻頭カラーなのだが、雑誌を開いた瞬間からコレっつーのはなかなかすごいな。フルカラーでちんちんぐっさりシーンがバシバシだし。4ページしかないけどかなりエロい。木静謙二の座敷童な女の子と大学生男子のラブエッチな「Find」。これはなかなかラブ風味が濃厚で良い。座敷童ちゃんのほうのラブ模様が、甘くてちょいと切なくてええ感じ。しろみかずひさ「なぶりっこ」は線からしてもかなり気合いが感じられるシリーズ。ザー汁を容赦なくぶちまけまくりだし。麻理果が別の男に奪われるという筋はこれまでの作品でも何度か出てきたが未完のものが多いので、今度は最後の最後まで、このメス豚嬲りを描ききっていただきたい。第六天魔王グレート「格闘姫通信」はヒロインたちが筋骨隆々、首も極太で体格がやたら良い。これだけ立派なのはエロ漫画でなくても珍しいかも。それでエロもやるところが立派。

【雑誌】エンジェル倶楽部 2月号 エンジェル出版 B5平

 今号も絶好調にエロ! エロ! エロ〜!! というわけで肉弾バスバス。汁じゃぶじゃぶ。

 ミルフィーユ「純くん大歓迎」は、乳だけでなく全体的に肉付きが豊かで身体つきが柔らかにこなれており、エロも激しく。でもちょっと微笑ましいムードもあるんで安心して使用できるのが良いところ。奴隷ジャッキー「痴漢やま感大輪姦!!」は、タイトル通りな痴漢電車モノ。この人の特徴といえばもちもちしてしっとりと吸いついてくるような質感を感じさせる肌の描写。身体つきはスリムながら、出るところはきちんと出ていてエロもなかなか派手かつ濃密。草津てるにょ「ダークウィスパー」。お話的には一貫してなくて壊れてるような気もするんだが、奥様の口つかい、ヨガリっぷりがとてもいやらしい。肌がツヤツヤしているのがソソる。あとはやっぱりMARO大先生の「麗しのアシヤレーヌ」だなあ。このお話、相変わらずのMARO節が炸裂してて非常にいい。まずアシヤレーヌ(えーと芦屋のいいとこの奥様のことだよね)という題材の選び方、そしてやたらコテコテなセリフの数々。「これが…夢にまで見たアシヤレーヌの愛液の味か」「関西名物のベロ射精(べろだし)や!!」などなど。そしてラストは急展開なオチで強烈な脱力感を与えてくれる。むやみに楽しいです。ここで挙げなかった作品も、とりあえずエロはしっかりやっているので、話的にそんなに読めなくても底支えにはなっているし充実してますな。


1/4(木)……初荷えりこ

 今年の漫画雑誌の初荷が到着。これで今年もいよいよ始まりっつー感じですか。まあ本日売りの雑誌は年末進行で作られた号のせいか、全般的に大人しめかな。

【雑誌】週刊少年マガジン 1/22+28 No.5+6(合併) 講談社 B5平

 蛭田達也「新コータローまかりとおる!柔道編」はコータロー vs.伊賀の試合が決着。アクションがダイナミックだし、さすがにキャラは立ってるし面白かった。次号で柔道編は最終回となるらしい。真船一雄「雷神」。疲労したイナズマは、肩に頼らず全身を使ったフォームにすることによってものすごい球を投げれるように変身。それはいいんだけどこの人「奇跡の肩」なんじゃなかったっけ? ならば肩に頼ってもいいのでは。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 1/17+22 No.5+6(合併) 集英社 B5平

 鈴木央「ライジングインパクト」。面白いんだけど、やっぱりキミたちゴルフうますぎ。今すぐ世界レベルのツアーで活躍できると思います。尾玉なみえ「純情パイン」。馬鹿だけど侮れぬみつおと、実はかなり歪んだみちるの性格のコントラストが面白いので、とくにかいじゅうが出てこなくても面白いのが強い。性格の悪さが現れた口の形とか、絵もなかなかええ感じの味を出している。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 1/22+25 No.6+7(合併) 秋田書店 B5平

 伯林「しゅーまっは」。今回もちょいグロナンセンスでつい笑ってしまう。扉のところには「ぐろキュート系ばいおギャグ」とあるけど、なかなかいい売り文句だと思う。なんとなく少し絵もうまくなりつつあるような気が。八神健「ななか6/17」もいつもどおりななかが萌えポイントを刺激してくる上に、雨宮さんが萌え度を増していて良い。

【雑誌】ヤングマガジン 1/22 No.5+6(合併) 講談社 B5中

 松本光司「クーデタークラブ」。外部からの容赦ない攻撃、それからピンチの打開策を模索する潤の思考の見せ方など、手に汗握る展開。スピード感、緊迫感バッチリで非常に面白く読ませてくれる。ストーリー的な進展はあまりなくても読ませる演出力は立派。福本伸行「賭博破戒録カイジ」。負け組が集まって決起するも、結局柿ピーは食ってしまうあたりが肝だ。「一人4個ずつだ……!」「ただしピーナツは一つずつ……!」。いじましい。こういうところの小技がステキです。蓮古田二郎「しあわせ団地」。この作品が掲載されているととてもうれしい。だめな人たちがそれなりにしあわせに生きている姿についつい和んでしまう。小田原ドラゴン「おやすみなさい。」。ケニーくんがどんどんヒドい奴に成長してて楽しい。そして鉄郎もエロ小説家として着々と活動していたり。ちゃんと過去のお話で使ったアイテムを、捨てることなく続けているのがエライと思う。山本マサユキ「ガタピシ車でいこう!!」。この前は増刊のGTに掲載されていたが、今度は本誌で4ページ。

【雑誌】ヤングサンデー 1/19+25 No.5+6(合併) 小学館 B5中

 山本英夫「殺し屋イチ」。スゴイ! イチと垣原の表情、それからポーズがいちいち笑える。それを見開きで見せられた日にゃもうたまらん。次から次へとインパクトのある描写を繰り出してきて驚かせてくれる。それから遊人「PEACH!」もスゴい。なんか最近の遊人は、もうストーリー方面への欲求は完全に捨て去ったかのような吹っ切れぶりがすさまじい。主人公と電話で話している社長さん、意味もなく乳出して、受話器挟んでなめながら会話してるし。物語的にまったく必然性がなくとも、とにかく、エロ!エロ!エロ! この割り切りっぷりは尋常でない。個人的に今最も会ってみたい漫画家の一人。阿部潤「こんにちはーい!」後編が掲載。わりとヘンな人が織り成す、それなりに平和な恋愛模様。も少し爆発力があるとうれしかったが、まあそれなりに面白くはあった。

【雑誌】モーニング 1/18 No.5 講談社 B5中

 作:真刈信二+画:さだやす圭の新連載「どうだ貫一」がスタート。とある会社の総務部応援課に属する型破り男・堂田貫一。それまでその会社は社会人野球の強豪チームを抱えていたが、それも廃部になり応援するものがなくなり、野球部および応援課取りつぶしに抵抗した堂田には無理難題が押しつけられることに。いかにもさだやす圭らしい、剛腕なサラリーマン漫画になるのかな。とりあえずこれからの展開しだい。原作がついているのがどう作用するか。山下和美「天才柳沢教授の生活」が掲載。今回もしっかり面白い。学生時代からなんでも一番でやってきたおかげで他人の気持ちが分からないまま生きてきた、かつての柳沢教授の教え子のエピソード。長く続いているシリーズでコンスタントながら、マンネリとはさほど感じさせない手際は鮮やか。

【雑誌】ヤングジャンプ 1/25 No.5+6(合併) 集英社 B5中

 高橋陽一「キャプテン翼 ROAD TO 2002」。相変わらずツッコミどころ満載で面白いなあ。今回は日向小次郎セリエA挑戦記者会見シーンで挿入される、小次郎ブームのページが一番の見どころじゃないかな。「姿勢堂メンズ美容品」のあたりとか、かなりええ感じや〜。作:相田公平+画:佐藤久文「アンファン・テリブル」。今回なかなか良かった。「死ぬこと」が流行ってしまっている、閉鎖されたカトリックの女学院での物語。転校してきた少女はルームメイトに魅せられ、そしてこの学園の空気に呑み込まれていく。少女の清浄さと血の色彩が鮮烈なコントラストを描いてて、不吉でシビれるような美しさ。やはり作画の力が抜群である。お話的には、下手すると安っぽくなってしまいがちな筋立てという感じもするんだけど、それを補って余りある。


1/3(水)……真珠マシーン

 集計してみたところ、2000年の読書実績はこんな感じ。

雑誌単行本同人誌アンソロ
1月924821
2月9558461
3月1096466
4月1095434
5月9990475
6月1042803
7月1079404
8月10860207
9月11541205
10月1157493
11月11810504
12月10380123
127479616546

 プラス画集2その他2で計2285アイテム読んで、日記で感想書いたってことになる。1999年が雑誌:1129 単行本:518 同人誌:122 アンソロジー:8だったんで、なんか増えちゃってますな。単行本は1年間ジャンキーズやったんでそれで200冊くらい増加したみたい。雑誌のほうはよく分からん。なんかいつの間にか増えちゃった感じ。自分より読んでいる人はもちろんいっぱいいるし、個人的にも何人か知ってるけど、俺キャパ的にはそろそろいっぱいいっぱいかなあ。今の仕事やって副業やって、今のような感じでホームページを作っている限り。書くのやめちゃえばもっとイケるとは思うけど、こうやって記録しとくと自分にとって便利なんで今さらやめるのも……とか思うし飛ばし読みするのもやだし。もう少し人間力があればなあ。

【雑誌】アクションピザッツ 1/20 No.2 双葉社 B5中

 なんか新年会で誰かが置き忘れていった物件。ちゃんと通しで読むのは久しぶりだけど、なんかこうB級エロスなマターリとした空間が広がってますな。海野幸とかかたせ湘とかともだ秀和とか。みやもと留美もやはりいつものごとくめがねっ娘だし。一つひとつの作品がどうのこうのいうより、雑誌全体のちょいーとエロスな空気を楽しむのが良いかなという気がする。

【同人誌】「養豚ジョの奇妙なブタ 完全版」 蜈蚣Melibe

 いただきもの。1990年発行の「ジョジョの奇妙な冒険」のパロディ本。なんかたいへんに下らないことやってて笑わせていただきました。黒木香に石仮面をかぶせた奴とサンタナがやってたり。なお、「バージェスの乙女たち」的なことは全然やってないのであしからず。

【同人誌】「心中機械」 三五千波 <つくりもの>

 冬コミ初売りだったオールカラー本。自殺しようとすると天使が助けにきちゃって死ねない美少年が、もう一人の美少年と心中を図るというお話。途中でなぜか二人はエロエロな図を展開してくれたり。なんで死ぬんだか、なんで抱き合うんだか、なんで天使なんだか、そういうことは説明なくごく当たり前のごとく描かれていて、きっと三五脳内ではここらへんの脈絡、世界観が自然に存在しているのだろうなあと思うものであります。何かこう、「なぜ君たちはそうなんですか?」的に煮詰まっているけどツッコミはおそらく不要。たいへん業が深い。いけないもの見ちゃった感のある不吉なエロさ、浮き世離れっぷりにもう頭クラクラ。さすが三五先生。マズくてヤバくて立派です。

【同人誌】「ゲイツちゃん本」 桜玉吉 <玉屋>

 11月コミティアで出た本の中で最も話題になったのはコレじゃないかな。いろんなとこで出たゲーツ様漫画を集めた一冊。さすがに単行本にはできないので同人誌で……といった感じな模様。ビル・トッテンもおるでよ。最初のころは「DOS」とかいってて懐かしいなあ。こうやってまとめて読むと、意外とヤバい感じもせず安心して読めてしまうから不思議。桜玉吉の線って、描き殴り的であっても味がある。絵がうまい、ホントーにそう思う。

【同人誌】「Night-Marchenの幻想雑誌 2000.11.12版」 村山慶

【同人誌】「流架の記」 村山慶

 黒い髪、黒い目がパッと目に映える、ロリめな少女が特徴。お人形的な、かわいらしさと少々のエロスあり。この人の作品って短いんだけど、妙に印象的。ちょっと持って回ったような、独特の節回しのあるテキストに粛々とした味があって。続くようでいて続かないような、滅びが暗示されているようにも思えるどこかセンチメンタルなセリフの数々に惹かれる。面白いセンスの持ち主なんで、ときどき長めの話も読んでみたいなあ。

【同人誌】「中学生日誌」#2 なかのこうし <ぼそけち商會>

 ロボット少女の七ちゃんが、ロボットであることから学校でもの珍しがられて友達とケンカするも仲直りする……というお話。藤子・Fっぽさのある絵柄がすごく楽しくて大好き。七ちゃんかわいいな。今回は全編筆で描かれてて、使い慣れてないせいか線がヨレヨレしているんだけど、それもまた味があってええ感じ。コピー本で短いんだけど、なんだか読ます。

【同人誌】「DAYDREAM TRACKS POPSide」 Yana Yang <青ラヂヲ>

 猫ラヂヲ社、それから別ペンネームで描いてたころのちょい古めな作品を集めた短編集。作者の注釈にもあるように、明るめなお話を集めてあり、気楽に読める。そのまま伸びていけばかなり気持ちの良い絵を描きそうな作画と、それからオーソドックスにちゃんと漫画を作ろうとする意欲の感じられる作品構成に惹かれるものがある。こういう人はたくさん描いていく過程でどんどん良くなっていきそうな気がする。

 

1/2(火)……ガシュク・テン・タット

 とあるオタクな人々の集うメーリングリストの面々と新年会やってました。しばたハウスに総勢21人の男女(10歳以下3人含む。どんなメンツかは全部書くのがめんどくさいんで省略)が集まり、食って呑んで話しまくり。13時から始めてそのままダラダラと突っ走り、結局最後の方が帰途についたのは1月3日の16時くらい。むちゃむちゃ人数多かったわりに、これといった混乱もなくホスト側としては思った以上にマターリできた。こういうロングランなオフであったにも関わらず、途中でゲームやったりとかテレビ観たりとかいうのが全然なく(っていうかそんなもん置いてなかったし)、とにかくガチンコでおしゃべりおしゃべり。漫画の話を中心に、高岡早紀や秋山実希、ピクニック漫画賞を創設しようとか話題はもうあっちゃこっちゃいったりきたり。みんな面白い人ばっかですごく楽しい時間を過ごさせていただいた。それにしても子供ってのは、酒も呑んでないのにテンションが異様に高くてすごいなー。ホスト的には料理を多く作りすぎちゃった感じだったのだが、すごく楽しかったんで、そのうちまたやりたいなとか思ったりしたのでありました。やっぱもう次は合宿するしかないか? 箱根あたりで宿借りて。


1/1(月)……中部の風土

 それにしても21世紀になるとやっぱりみんなエアカーに乗ったりチューブ食品食べたり、銀色の服を着たりするのだなあ。びっくりだ。いきなり変わるんだもん。なんか宇宙船もいっぱい飛んでるし。あと、2001年からは日記ページにスタイルシートを使うことにしやした。なんか問題ありましたらご指摘ください。

 で、今月のお買い物はこんな感じ。購入スケジュールCGIのほうも更新。1月なんで雑誌のスケジュールに関してはだいぶぐちゃぐちゃだけど。

タイトル作者出版社
10「あまなつ」新井英樹エンターブレイン
10「殺し屋イチ」8巻山本英夫小学館
10「度胸星」4巻山田芳裕小学館
10「ザ・ワールド・イズ・マイン」13巻新井英樹小学館
10「ミルオポン」2巻阿部潤小学館
10「球魂」11巻岩田やすてる小学館
11コミック.H 第2号 ロッキング・オン
11ヤングジャンプ増刊 漫革 集英社
11別冊ヤングサンデー No.7 小学館
12「チマタのオマタ」朔ユキ蔵ワニマガジン社
12「MASUMI」飛龍乱ワニマガジン社
12コミック萌絵 Vol.5 松文館
「Naive」月野定規ビブロス
17「Boy Meets Girl」2巻塀内夏子講談社
17「僕らのプラトニックラブ」2巻氷室芹夏双葉社
18「恋愛ジャンキー」3巻葉月京秋田書店
18「からくりサーカス」16巻藤田和日郎小学館
19「アマリリス」1巻岩館真理子集英社
19「天然コケッコー」14巻くらもちふさこ集英社
19「まじょてん」1巻小栗左多里集英社
20「そこに布団はないけれど」うらまっく蒼竜社
22「奴隷立國」海明寺裕三和出版
22「みずいろ」2巻大石まさる少年画報社
23「鉄腕ガール」4巻高橋ツトム講談社
23「プラネテス」1巻幸村誠講談社
23「Forget-me-not」1巻鶴田謙二講談社
23「ぶっせん」4巻三宅乱丈講談社
23「無限の住人」11巻沙村広明講談社
25「弥次喜多 in DEEP」5巻しりあがり寿エンターブレイン
25「ハニバニ!」2巻いくえみ綾集英社
26「悦楽〜姉と弟〜」やまのべきった桜桃書房
26「いばら姫のおやつ」石田敦子少年画報社
29「きりきり亭のぶら雲先生」5巻きくち正太ソニー・マガジンズ
29「Marieの奏でる音楽」上巻古屋兎丸ソニー・マガジンズ
29「屈折リーベ」西川魯介白泉社
29「ハチミツとクローバー」1巻羽海野チカ宝島社
30「海鶴」3巻森秀樹小学館
30「青空」8巻原秀則小学館
30「奈緒子」29巻坂田信弘/中原裕小学館
30「センチメントの季節」7巻榎本ナリコ小学館
31(末)ビッグコミックスピリッツ増刊 IKKI 第2号 小学館
31(末)マンガ・エロティクスF 太田出版
「DOLL」2巻三原ミツカズ祥伝社
「いもほり」増補版友沢ミミヨ青林工藝舎
アワーズガール 少年画報社

 で、本日の読書は同人誌。冬コミでなく、11月コミティアで買ったのをいまだに消化中なのであります。

【同人誌】「DARK AND VERY LOW」 オノ・ナツメ <KENNEDY U.S.M.>

【同人誌】「TWO STORY TOWN」 オノ・ナツメ+緑山りょう

 最近のコミティアで最も楽しみにしているのがオノ・ナツメの本。一つ前の新刊「I've a rich understanding of my finest defenses」については俺としては珍しく同人誌作品なのにオスマンで書いてしまったほど。で、今回のもとても素晴らしい。「DARK AND VERY LOW」はエルロイLA4部作モノの本ということで、正直なところ元ネタを知らないのでよく分からない部分が多かったのだが、それでもオノ・ナツメの漫画を眺めているのは楽しいし、雰囲気は伝わってくる。

 そして緑山りょうとの二人本である「TWO STORY TOWN」のほうはまたしてもシビれちゃうような出来。「I've a rich understanding of my finest defenses」でも取り扱われた、ニューヨーク市警のレスキュー隊的な組織「ESU」を題材に、キャラ設定は共通で、オノ・ナツメ、緑山りょうがそれぞれ違った物語を描いている。オノ・ナツメのほうは、ESUの隊員の一人と、彼がかつて医者をしていたころ助けたことのある少女(今は娼婦でクスリもやっている)、それからESUのもう一人の同僚を中心としたお話。起伏に富んだ物語が、シャレているけど暖かみもある絵柄に乗って語られ、ジーンと染み入るような読後感を与えてくれる。この人の場合、各登場人物がそれぞれのドラマを持ち生活する世界が、きちんと頭の中で構築されているのだろう。そしてその中で営まれる数々のドラマの中から、美しい局面を優しく鮮やかに切り出してきているかのように映る。物語のために作られた世界というわけでなく、世界がまずあってそこから物語が切り出されてくる感じ(これは「I've a rich understanding of my finest defenses」のオスマンのときにも書いたことだけど)。だからオノ・ナツメの描く人物たちが生み出す物語は、深みがあり心を揺さぶるんだろうなあと思う。もちろんその語り方にも惚れ惚れしているんだけど。

 それから緑山りょうの作品のほうも、非常に読みごたえがあっていいお話であった。大事に作られたキャラたちがしっかりと息づいているし、作画も達者である。両者共にそれぞれ単品で出てたとしても十分楽しめただろうと思うくらい。いやあ、いい本だった。満足満足。

【同人誌】「花暦」 紺野キタ <SALLY GARDENS>

【同人誌】「生物I」 紺野キタ <SALLY GARDENS>

【同人誌】「朝の子供」 紺野キタ <SALLY GARDENS>

 紺野キタ3作品。どの本もすっごくきれいだなあ。すっきりとして暖かみがあり、キラキラと輝くような端整な線。紡がれる物語もこれ以上ないくらい絵の印象そのままに、大事に大事に作られたって感じでまったくお見事。「ひみつの階段」シリーズでは少女ばかりだったけど、「花暦」や「朝の子供」では妙齢の女性なんかもきちんと描いている。でもなんか心根の、肝腎なところはしっかり少女的なものをどこか残しているかのよう。上品で出しゃばるところはないけれど、しっかりと自分ならではのモノを持った人だなあと感じる。

【同人誌】「エヴリデイズ」 らいだゆず <HATAHATA>

【同人誌】「プチエヴリ」 らいだゆず <HATAHATA>

【同人誌】「エトセトラ」 らいだゆず <HATAHATA>

 可愛くてハツラツ。ドタバタにラブコメ風味をちょっぴり甘く振りかけながら、読んでいて楽しくなるような作品を歯切れ良く描く。絵柄的にも、パッと見た瞬間らいだゆずだって分かる画風を持っている。「エヴリデイズ」収録の「宇宙士官候補生」なんかとくに、好きだったら宇宙まででも追っかけていっちゃうといったお話を、しかめつらしくなることなくあくまで楽しく元気よく描いていて、この人の持ち味がよく現れた作品だと思う。愉快な女子高生日常生活な「星はなんでも知っている」とかもええ感じ。

【同人誌】「氷が溶けて血に変わるまで」 きづきあきら <GRAIL>

【同人誌】「発狂するペンダコ」 きづきあきら <GRAIL>

 まず「氷が溶けて血に変わるまで」は、いつもカラオケボックスに一人で来て朝まで過ごして帰る女の子と、彼女のことを気にするバイトのにーちゃんのお話。「ロンリーちゃん」というあだ名から入って、「どんな娘なんだろう」とごく自然に興味を持たせてじゅんじゅんとお話を進めていく物語構成に思わず引き込まれていってしまうし、完成度が高く、パッと目を惹くツヤのある描線も魅力的。毎度申し分なく面白い、いい作品を描いてくるなあ。それから、「発狂するペンダコ」は、きづきあきらの商業誌チャレンジ奮闘記って感じの本。いろいろあるみたいだけど、この人の描く作品はすごく好きなんで、商業誌でもどんどん掲載されるようになっていってほしいものです。

【同人誌】「Backward blessing」 瀧元駱駝 <GRAIL>

 今回から藤川毅改め滝元駱駝名義に。シャープな描線、懐の深い物語と、この人の実力はやはり相当なもの。とくに詳しいわけではないようだが、記憶メディアがテープ時代だったころのパソコンのゲーム、そしてプログラムのイメージを物語にからませていく手際は実に魅惑的。あのころのパソコンプログラムが持っていた、どこか怪しげなムードが、陰りを宿したお話とすごくよくマッチしている。最初のページのガルシア=マルケス「百年の孤独」からの引用文もカッコイイねえ。この人に関してはぜひ一度、100ページ以上あるような長尺のお話も読んでみたい。すごいもの描きそうなだけに。


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