2001年1月下旬


1/31(水)……雌コブラ

 OHP月極アンケート、1月のお題「2000年ベスト漫画雑誌」が終了。ビーム、アフタヌーン、アワーズライトとくる並びはいかにもウチのページらしい顔ぶれという気がする。ビーム、アフタヌーンの場合は、「2000年がとくに」って感じはしないのだけどそれだけずっと愛されてきているという証でありましょう。2001年はアフタヌーンに、ぜひ定期購読サービスを実現していただきたいところ。

 さて、2001年2月。最初は「2000年ベスト××」モノをやろうかと考えていたんだけど、なんかもう今さらという感じもするし、ほかのところでもいろいろやられているのであえて別ネタ「至高のラブコメ漫画」で行ってみることにしました。自分で決めといてなんだが、今回のお題はわりとエキサイティングな気がするぜ! そういえば月極アンケートを始めたのが2000年3月だから、これでちょうど1年間ぐるりと回ったことになる。月日の経つのは早い。あまりにも。

 それから本日購入本でまだ読んでないのは以下のとおり。そういえばティアズマガジンも購入。

【単行本】「おまかせ!ピース電器店」22巻 能田達規 秋田書店 新書判
【単行本】「海鶴」3巻 森秀樹 小学館 B6
【単行本】「弥次喜多 in DEEP」5巻 しりあがり寿 エンターブレイン A5

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ増刊 IKKI 2/28 No.2 小学館 B5平

 出ました。小学館版弩級雑誌2冊め。今回もこれでもかこれでもかと豪華作家陣を投入し、フルコースな品揃え。気合い入れないとなかなか読めないラインナップと重量である。で、執筆陣は松本大洋、山本直樹、作&脚本:渡辺浩弐+キャラデザ&構成:岡崎武士+制作:ACiD、作:坂元裕二+画:平凡&陳淑芬、日本橋ヨヲコ、唐沢なをき、米倉けんご、本秀康、黒田硫黄、しりあがり寿+EVA、さそうあきら、片桐利博+原作&監修:信沢あつし、永田陵、竹谷隆之、諸星大二郎、小野塚カホリ、林田球、稲光伸二、相原コージ、茶屋町勝呂、滝沢聖峰、英時世、森田信吾、見ル野栄司、比古地朔弥、石川賢、とんだばやし、松永豊和。

 まずニューフェイス。諸星大二郎「涸れ川」は、砂漠をさまよっていた男が見た、普段は泥の中に埋まって仮死状態になっており、雨が降って水があるときのみ外に出てきては暮らしている民のお話。いかにも諸星大二郎らしい幻想的な物語で、読みごたえがあった。この人の作品に出てくるキャラには、泥とか土とかがとてもよく似合う。もう一人ニューカマーは米倉けんご。新連載「サイケデリックラバー」がスタート。おにいちゃん大好きっ娘な妹が、ある日、おにいちゃんの思考が脳に直接伝わってくる力に目覚めてしまい……というちょっぴり超能力なあにいもうとモノ。わりと乾いたタイプの作品が多いなか、こういう萌え系な作品が一本あるといいアクセントになると思う。あまり気負わずに読めるしいいんじゃないでしょうか。

 それから松本大洋「ナンバーファイブ」。絵、アクション、セリフそれぞれがもういちいちズバッと決まっていてカッコイイ。すでに何をかいわんや的高みを行ってる人なんで、これからどういうふうに持っていくのか、ワクワクして待っているという感じ。親鳥のエサを待つ小鳥の心境とでもいいますか。黒田硫黄「SexyVoice and Robo」。うーむ、今回もまた面白いなあ。セクシーボイスの遣い手な少女ニコが、フェロモン出しまくりなおねーさんに翻弄されるといった具合。全体を流れるムードが非常に楽しく、一つひとつのキャラの動き、セリフに味がある。何描いても本当に面白い。スゴイ。

 さそうあきら「富士山」は、今回なかなか凄みのあるお話。身体は弱いのだけど自らは死なず、なぜか周りの人ばかりがバタバタと死んでいくという女が主人公。ラストで主人公が見せる表情の酷薄さ加減、根源的な殺意にゾクリとさせられる。唐沢なをき「漫画家超残酷物語」はなんともええ話だなあ。惰性で作品を量産し続け最近ではキャラの目くらいしか描かなくなっていた売れっ子先生が、アシスタントがコミケで出払っちゃって一人で漫画を描くことになってしまう。その過程で、かつて漫画を一生懸命描いていたころの気持ちを思い出していく。それだけならばただのいいお話だけど、きっちりオチもついててそれがさらにこの作品を味わい深くしている。このシリーズ、前回も良かったけど飄々としていてなかなか好きだ。最近の唐沢作品の中では一番いいかも。

 稲光伸二「フランケンシュタイナー」。常に監視下に置かれる環境で退屈しきっている政治家の娘。イライラしまくっている彼女が時折見せる妖しい表情にハッとさせられる。それにしてもこの人もやっぱりうまい。単行本がまだ出てないというのはなんとももったいないことだ。英時世「はーこ」。口裂け女である少女と、彼女の唯一の友達であった少年のちょっといいお話。アナクロな感じのするタッチは、武富健治をちょっと思い起こさせる(とたいへん分かりにくい例を挙げてみる)。なかなか表現的にしっかりとした漫画を描ける人だ。大向こう受けはしないと思うけれども気になる作風。比古地朔弥「まひるの海」。少女の奔放さとエロスは、同人誌作品「けだもののように」に近く、この人の持ち味が存分に出ていて面白く読める。

【雑誌】マンガ・エロティクスF vol.1 太田出版 B5平

 名前のとおりマンガ・エロティクスとMANGA Fが合体。リニューアル第1号。執筆陣はフレデリック・ボワレ、松本次郎、田村マリオ、安田弘之、安彦麻理絵、卯月妙子、中村明日美子、南Q太、やまだないと、山口綾子、町野変丸、雁須磨子、山田ユイジ、莢日梨央、マツシマ愛コ、深谷陽、駕籠真太郎、畑中純、月子、ひだまりん。エロティクスとFはほぼ同一路線だったので、合わさってもさほど変化はなし。新鮮味は全然ないが、まあいいんじゃないだろうか。表紙も田村マリオで、新雑誌という感じはもともとあんまりないし。おお、それから次号では華倫変が登場するという予告が。これはとってもうれしー。砂が次号予告にないけれど、vol.3から登場予定らしい。それから松本次郎「熱帯のシトロン」1巻は2月25日発売となった模様。25日は日曜なんで、実際にはその前後となるんだろう。

 卯月妙子「新家族計画」。ダメ母に呆れる息子と、その情夫によるおかしな家族模様。なんかむちゃくちゃやってるんだけど、家族ドラマとしてけっこう成立しちゃってるのが面白い。雁須磨子「あたたかいところ」。エロティックさもいいけれども、出だしのところの主人公のヘンな妄想ぶりがなんか妙におかしくて、実にこの人らしい。深谷陽「プラスティック職人の憂鬱」。この人、だいぶこちらに定着してきたなあ。独特の熱を感じさせる作画は非常に達者。駕籠真太郎「六識転想アタラクシア」。意識世界のほうでの人格いじりが本格化してきて、なんだか楽しいことになってきている。猫目の女の子が妙に可愛いな。それから第2回太田マンガ賞佳作の月子「ごめん。」は、筆ペンか何かと思われるタッチが美しい。ちょっと秋重学とかを思い起こさせる整った絵柄。今度はもっと長い作品を読んでみたい。マツシマ愛コ「姫と毒薬」は、絵柄がなかなかにキュート。第2回太田マンガ賞奨励賞作品なのだそうだ。じょじょにこっち方面からも新人を掘り起こしてきているようで好感が持てる。

【雑誌】週刊少年サンデー 2/14 No.9 小学館 B5平

 田中モトユキ「リベロ革命!」。今度の相手は、なんかやけにストリートでダンスなノリの高校。YOとかいって、やるねっやるねっやるねっ。こういうノリでくるとは思わなかったが、いちいちポーズつけたりしてくれてて面白い。

【雑誌】週刊少年マガジン 2/14 No.9 講談社 B5平

 「中華一番」の小川悦司の新連載「ジパング宝王伝」がスタート(原作:小笹和俊)。戦前日本を舞台にしたトレジャーハンターものであるらしい。小川悦司のハッタリの利く作風はわりと好きなので、ちょっと期待したい。

【単行本】「きのこ旅行」 友沢ミミヨ 青林工藝舎 A5

 友沢ミミヨのことを、ずっと「ともさわみみよ」だと思っていたのだが、「ともざわみみよ」であるということを最近知った。それが俺の不思議な世界への旅の始まりだった。で、この本は「いもほり」の増補改訂版らしい(ちょっと今手許に「いもほり」がないので異同を確認できないのだが)。多くは一度読んだことのある作品なはずだが、改めて読んでみても面白い。あの例のみっちりとしたデブいキャラによる、ちょっぴり下品で不可思議な物語は、意外なほどに懐が深い。よくよく読んでみると、何か哲学的でさえある一級のファンタジーに仕上がっているのだ。かなり奇妙なのに、それを実に何の変哲もないことであるかのようにサラリと見せる語り口に俺はもう夢中なのだ。ミ、ミミヨたん……ハァハァ。


1/30(火)……六葉のクローバー

 今さらながら会社でインパクを見て悶絶&爆笑。Flash版がとくに。インパクツアーのシュールさにシビれ、森総理のやさしいIT講座にあ然。

 いつもは末日に書いているけど今回は一日早めに。来月の購入予定であります。定期購読雑誌も含めた予定はスケジュールCGIのほうをどうぞ。

タイトル作者出版社
「BORN 2 DIE」井上三太祥伝社
1「おまかせ!ピース電器店」22巻能田達規秋田書店
2「PRAYER BJ」ひぢりれい茜新社
5「砂の鎖」1巻山文京伝コアマガジン
5「ナインハンドレッド」2巻カザギヒロシ小学館
5「シザーズ」2巻橋口たかし小学館
5「海猿」9巻佐藤秀峰小学館
5エース桃組 Vol.2角川書店
6「闘破蛇烈伝DEI48」6巻前川かずお講談社
6「すべてに射矢ガール」1巻ロクニシコージ講談社
6増刊ヤングチャンピオン秋田書店
9「0(ラヴ)リー打越くん!」6巻桑原真也講談社
10ビッグコミックオリジナル 3月増刊号小学館
11コミティア55@東京流通センター
13「おさなづま」7巻森高夕次/あきやまひでき双葉社
16「ちょびっツ」1巻CLAMP講談社
16「BECK」6巻ハロルド作石講談社
16「無頼伝涯」4巻福本伸行講談社
16「ちきゅうのひみつ(仮)」どざむら晋遊舎
17「桃色▽乳タウン」ながしま超助エンジェル出版
17ビッグコミック 増刊号小学館
19「BOiNG」7巻山口譲司集英社
19「警視総監アサミ」3巻近藤雅之/有賀照人集英社
19「アガルタ」5巻松本嵩春集英社
19「Happy World!」竹下堅次朗集英社
19「Papa tol dme」24巻榛野なな恵集英社
19「まじょてん」2巻小栗左多里集英社
19「MとNの肖像」2巻樋口橘白泉社
19「ディアマイン」2巻高尾滋白泉社
22「バガボンド」9巻井上雄彦/吉川英治講談社
22「サトラレ」1巻佐藤マコト講談社
22「犬神」11巻外薗昌也講談社
22「STAND★BY み〜ちぇ!!」1巻永野のりこ講談社
23「ZutuManコレクションS少女の季節」咲香里笠倉出版社
23「新装版WORK BOX」犬上すくねラポート
24「ジンクホワイト」1巻小泉真理少年画報社
25「熱帯のシトロン」1巻松本次郎太田出版
26「SEX MACHINE」1巻ヒロモト森一エンターブレイン
26「幽玄漫玉日記」4巻桜玉吉エンターブレイン
26「しあわせ桜玉吉画集(仮)」桜玉吉エンターブレイン
26「ゆずのどんぐり童話」須藤真澄エンターブレイン
26「変態性恥泡症」やまたのおろち桜桃書房
26「軍鶏」11巻橋本以蔵/たなか亜希夫双葉社
26「キラリが捕るッ」2巻高橋のぼる双葉社
26別冊ヤングサンデー No.8小学館
28「昴」4巻曽田正人小学館
28「月下の棋士」31巻能條純一小学館
28「黄金のラフ」3巻なかいま強小学館
28「赤松さん」1巻作:神尾龍+画:中原裕小学館
28Bstreet Vol.4ソニー・マガジンズ
激しくて変 Vol.3光彩書房
「SUZUKA」1巻友永和一水社

【雑誌】アワーズ増刊3月号 アワーズガール 少年画報社 B5中

 微妙な線。読める作品と読めない作品が、かなりクッキリ分かれてしまった。おがきちか「先生のラブ時計」。めがねっ娘と彼女を振った男(けっこうイイ奴)の、それぞれにうまくいかない恋愛模様が気持ち良く描かれている。結ばれはしないけれど爽やかで後味が良い。犬上すくね「君のためにできないこと」は、ずいぶん昔に「別れるときにひとりエッチを見せる」と約束の元、女が男に見せろと迫る。そんなこんなですったもんだやっているうちに、別れるということよりも見せる見せないのほうに問題がすり変わってしまい……というドタバタ恋愛コメディ。なんか最後のほうでは「ああもう好きなだけやってなさい」って感じになっちゃうのだけど、それもまた幸せそうで羨ましい。

 藤原薫「アダルトハーフ」は、登場人物がいかにも神経質そうで、ピリピリするような緊張感のある空気が漂っていてカッコイイ。手荒に扱うと壊れてしまいそうな危うさがいい。雰囲気作りですでに半ば勝っているという気がする。それとは全然違う雰囲気なのが、逆柱いみり「カッパドリル」。こちらは不思議でのたりとした空気が気持ちいい。薄暗いようで明るいような、独特の質感を持った背景描写などにとても心惹かれる。なにかもってまわったようなセリフ回しも面白い。あと巻末の水野純子「森の魔子さん」はいつもどおり可愛すぎるくらい可愛く、そして毒々しくもある不思議な世界を作り上げていて、スキがない。巻頭カラーの今市子「夜と星のむこう」あたりは、読んでいてとてももったいないと思う作品。絵は申し分なくうまいのだけど、コマ割りやネームの多さでだいぶ損している。もっとセリフを整理してほしいなあ。「百鬼夜行抄」のようにじっくり読ませる話ならいいんだけど、コメディタッチの場合、このテンポの悪さはかなりマイナス。

【雑誌】ヤングキングアワーズ 3月号 少年画報社 B5中

 平野耕太「ヘルシング」が掲載。今回は、ナゾの組織「ミレニアム」側の実質的なトップである少佐が主役で、アーカードとかは出てこず。でもこの人は、脇役のアクの強さが大きな持ち味なんでもの足りないとかいうことはない。まあアクションシーンはあってくれたほうがうれしかったけれど。そのほか、連載陣がやたら安定しちゃっている感じでいまいちワクワクしない誌面だった。

【雑誌】GOTTA 3月号 小学館 B5平

「阿弖流為II世」が終わってからちょっと寂しいな〜という印象。「新宇宙戦艦ヤマト」も地味になってきたし。そろそろ買うのはいったんやめとこうかな。橋口たかし「シザーズ」は絵がきれいでカッコよいけれど、ヘアーショーってこんなにドラマチックなもんなんだろうか。観たことないのでよく分からないんだが。

【雑誌】漫画アクション 2/13 No.7 双葉社 B5中

 ながしま超助「ぷるるんゼミナール」では、ヒロインの菜々美がレスリングをやることに。この漫画だからして当然のことながらおっぱいがこぼれまくりレスリングはほぼそっちのけになるのだが。それにしても菜々美って、極端なプロポーションだなあと改めて今回の最終ページを見て思った。末松正博「ED WOMAN」は、絵描きの男を愛してしまったくの一が主役のHなドタバタギャグといった趣の読切。まあ普通の出来。それから小本田絵舞の新連載「マグネットボディ」は、ほっといても男をひきつけてしまうフェロモンボディの持ち主である姉妹の物語。この人らしいサービス満点なHコメディという感じで、気楽に読める。それと国友やすゆき「幸せの時間」が、あれほどのことをやっときながらサラッとハッピーエンドに向かってしまいそうな気配でちょっとうれしい。

【単行本】「ハチミツとクローバー」1巻 羽海野チカ 宝島社 B6

 面白い。とても。美大のビンボー学生たちの楽しい学園生活が描かれるのだが、まず絵がたいへんに達者で、そしてやたらとかわいい。そしてキャラがみんな魅力的。やたらとちんまりしていて天然だけど美術の才能はむちゃくちゃ素晴らしい女の子はぐちゃん、無軌道で何をやるか分からない森田、森田にいいように使われている健気で純な後輩・竹本、それからちょいとヒネているプレイボーイな真山などなど、誰一人とっても非常に個性的だ。彼らがわきゃわきゃ動き回っている様子を見るだけで、なんともいえず楽しくなってしまう。実家が農家をやっている先輩が下宿に戻ってきて、おみやげのハムやソーセージなどの肉に野郎どもが群がるchapter.4などなど、かなり随所で笑わせてくれる。軽やかで気が利いた、各話のラストも気が利いててすごくいい。これはやっぱりもう天性のセンスなんだろうなあ。

 そんなわけでたいへんにコミカルなのだが、同時に切ない恋や、風変わりな恋、嫉妬などもきちんと織り交ぜてきて深みもある。コメディの中に、スルリとマジメな話も織り交ぜてくる手際に惚れ惚れ。絵も話も素晴らしくうまい。美人もちっちゃい子も、キレイに描くところ、ふざけたノリのところ、それぞれみんな良い。ごく自然で気負いのなさそうなタッチなんだけど、これがまたいちいち気持ち良くてたまらなくなってしまう。かわいくって楽しくっておかしくって切なくて美しくて、こりゃもう読まないわけには行かんでしょう。


1/29(月)……奇抜姫

 取材のためアキバへ。ついでにとらのあなにも寄ってくる。アキバとらのあなは、店員さんの接客態度が優秀でいつ行っても気持ちがいい。買った本の扱いも丁寧だし。

 本日購入して感想書いてないのは以下の3冊。「error」は、コミッカーズの別冊でなんかやたら絵のうまい人たちがいっぱい寄稿している本。詳しいことは読んでから。「Marieの奏でる音楽」については、下巻が出るまで手をつけずに置いておこうかと考えているところ。以前、古屋兎丸さんをインタビューさせていただいたときに「本当は2分冊にしないで1冊で出したい」とおっしゃってた作品ということもあり、上下巻出たときにまとめて読むほうが望ましいのではないかという気がするのだ。連載ではいつも読んでいるし、面白いということはよーく分かっているし。でもそのうち耐えきれなくなって読んじゃうかもしらんです。

【雑誌】「error」vol.00 preview issue 美術出版社 B5変形平
【単行本】「Marieの奏でる音楽」上巻 古屋兎丸 ソニー・マガジンズ A5
【単行本】「ハチミツとクローバー」1巻 羽海野チカ 宝島社 B6

【雑誌】週刊少年ジャンプ 2/12 No.9 集英社 B5平

 尾玉なみえ「純情パイン」が最終回。しまった。切り抜きしてなかった……。単行本出るといいなあ。最後の最後まで、妙な呼吸のギャグをやりまくっててとても面白かっただけに終わってしまったのは惜しい。今回はみちるのイカれた表情とかでかなり笑えた。でもここまで変化球な漫画だと、週刊ペースではなかなか続かないかな。打ち切りであるのかそうでないのかは微妙な線だと思う。笑ったといえば今号では、高橋和希「遊戯王」の、「破れはしまい!」「オレ様のオカルトコンボはな!」というコンボにしてやられた。それと秋元治「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の、本編とはまったく関係ない、扉ページの麗子&マリアの布面積がやたら小さい警官服にただならぬものを感じたりもした。

【雑誌】ヤングマガジン 講談社 2/12 No.9 B5中

 古谷実の新連載「ヒミズ」が始まった。第1回めは、「夢見る普通人」を憎悪する少年の苛立ちまみれな日常描写から始まる。ひょっとして今回は、完全にシリアスな作品だったりするのかも。いや、まだ分からないけれども。とりあえずそのうち爆発しそうなイライラ感は演出できているので、いろいろ持っていきようはありそうに思える。今後要注目。蓮古田二郎「しあわせ団地」は5号連続掲載の最終回。今度は春ごろ再登場とのこと。今回はまたダメ夫婦の情けなさが際立って、すごいことになっている。毎回自らの持ち味を出していて面白いなあ。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 2/12 No.9 小学館 B5中

 榎本ナリコ「センチメントの季節 2度めの冬の章」がスタート。虚無的な気持ちを抱えた普通の男子が、ネットの出会い系サイトで出会った、顔も名前も知らない相手に対して初めて心動かされるみたいなところから始まっている。この男子が好きな女の子とかも出てきてて、これからきっと物語にからんでくるのだろう。たぶんネットを通じて話しているのがこの女子で、そのうちオフで会ってビックリしてなんだかんだでセックスするんじゃないかと思う。それからロドリゲス井之介の新連載「ふたりの大井川 就職日誌」もスタート。昔は有望とされていた携帯電話販売会社に就職したものの、2010年にはそこがかなり没落してしまい、自分も親父くさいカッコ悪い男になってて……という主人公・大井川が10年前にタイムスリップ。就職前の自分に出会い、就職戦線をともにわたっていくみたいな話になりそう。就職活動漫画はそんなに好きじゃないんで、うーむ、といったところ。

【雑誌】快楽天 3月号 ワニマガジン B5中

 今月号は面白いなあ。捨てどころなく読める漫画揃い。巻頭カラーでは櫻見弘樹「はじめてのサスペンス」がスタート。なんだかケンカしてノックアウトされたところを、アヤシゲな男女に拾われ、そのままずるずると初体験をすることになってしまった男の子が主人公。まだこの男女が何者なのかてんで分からないけれど、しっかりお話を作れる技量の持ち主なだけに期待。それから読切でOKAMA+が登場。なにがプラスなのだかよく分からないけれども、今回の作品「椿」は、見開き扉の色彩の鮮やかさだけでももう惚れ惚れしてしまう。この人には全ページカラーで描いてほしいくらい。なんてうまいんだ。そして単行本「スクール2」が3月8日に出るのだそうだ。SABE「阿佐ヶ谷腐れ酢学園」は、ブルマちゃんを巡りなんかエロ欲が渦巻いていて怪しい展開。というかまあこの作品は、最初っからずーっと怪しい漫画ではあるんだが。

 朔ユキ蔵「脱性少年的カイテキ妄想生活」。ああ、なんかすごくええ話だ。日々のオナニーライフにおいて、クラスの女子すべて(一人を除く)をズリネタにすると誓った少年が、妄想のリアリティを強めるためターゲットの女子を徹底的に調べ上げ、彼女たちそれぞれに最適な設定を練り上げる。これだけの達者な画力を持ちつつ、これだけ馬鹿馬鹿しいネタをやってのけるっていうのはまったく素晴らしい。どんなブスでもズリネタにするという男らしさも立派だ。そのほか、米倉けんごの痛々しいお話をしっかり構築する気合い、かるま龍狼の芸達者さ、伊藤真美のカッコいい作画、ピロンタンのノリの良さ、松本耳子のキュートさ、町野変丸のギャグ、綾瀬さとみのエロとどれも見どころあり。レギュラーの陽気婢がお休みも、その不在をまったく感じさせない充実ぶりだった。頑張ってます。いい雑誌です。

【雑誌】ラッツ 3月号 司書房 B5中

 Benny's「桃色西遊記」。好調なようで今号は巻頭カラー。エロ方面がとても充実していながら、今度はラブなところもだいぶ見せつけてきている。この人の絵柄は柔らかみがあって非常にいい。単行本出してくだせー。森高たかし「青龍伝説 娘々」。明るいムードなんだけど、けっこうエロにもソソるものがあって気に入っている人。ピチピチと元気が良いのが長所。あと風船みたいに丸い顔の女の子が特徴な祭野薙刀、ねっとりしたエロのパワーが画力向上とともに発揮されてきている瑞東航あたりが良かった。

【雑誌】阿ウン 3月号 ヒット出版社 B5平

 ウンは口へんに云。カワイイ絵柄による華やかさと実用面のバランスが取れていて、充実した雑誌だと思う。巻頭カラーの師走の翁「宴一代」は最終回。ここまでのお話は読んでなかったんだけど、エロさ、甘さ、それから切ない恋模様などがきちんと描かれていて良いラストだということは伝わってくる。そのうち機会があったら通しで読んでみよう。道満晴明「タラレバ」。この人らしい軽やかな作品。ところで道満晴明といえば、今2ちゃんねるのモナー板に「道満晴明センセーも大好き!フサギコだよ!」というスレッドが立っているのを発見。ちなみにフサギコとは、正式名称「ギコ・フッサール」、ギコ猫の毛がフサフサになったようなキャラである。俺もけっこう好きだぞゴルァ。

 高岡基文「廻り道」。この雑誌をときどきしか読まないので、この人の作品もときどきしかチェックしてないんだけど、なんか見るたびにうまくなっているな〜という印象を受ける。絵柄がよりキャッチーになり、瑞々しいエロシーンも充実度を増している。大井はに丸「Click here」。新人賞作家のようだが、すでにかなりうまい。ぱっと人目を惹く華やかな絵柄、量感たっぷりな女体描写など定着できるだけのものは十分持っている。甘夏真琴「釦の行方」。柔らかくて繊細、かつ軽やかなタッチでありつつHシーンもどんどん充実してきている。甘い少女漫画テイストを、実に自然にエロ漫画に持ち込めている。とてもうまい。きむらしんや「ハナたれっ娘純情」はかなりユニークな作品。鼻の穴で感じてしまう女の子の話だが、この女の子が授業中に誰はばかることなく鼻をほじりまくり、感じると鼻汁出し放題。でもちゃんとゲテモノにならず、エロコメディとして成立している。こういうネタは、ほかには見たことがないような気がする。面白いですわい。

【単行本】「屈折リーベ」 西川魯介 白泉社 B6

 OHP月極アンケートの第1回、「単行本化希望の未収録作品」においてぶっちぎりの第1位だった作品がついに単行本化。女の子はめがねをかけていてこそ美しい、そんな主義の持ち主である男子・秋保くんが、ショートカットでクールで胸は薄めな篠奈(すずな)先輩に猛アタック。最初は迷惑がっていたカタブツ篠奈先輩も、だんだんとその熱意にほだされていく……という学園ドタバタめがねっ娘萌え萌えラブコメディ。まずそのめがねっ娘に対する深い愛に乾杯。ただ「女の子が眼鏡をかけている」というエセめがねっ娘でなく、めがねのガラス越しに世界をとらえ続けて生きてきた、そんな娘たちのパーソナリティをこそ愛するその心意気に感動。めがねという外界に対するガードが、ふとゆるむその瞬間。これを実に的確にとらえているのだ。そしてギャグがさりげなくそこかしこに埋め込まれていて楽しいうえに、全体として甘み十分な恋の物語になっているところがまた素晴らしい。ラブコメとしても一級品。あとこの単行本を買ったら、まず全部読み、それから単行本カバーをめくってみるべし。ちょっとした、でもイキな仕掛けにハッとするはずだ。まあ読む前にめくっちゃってもいいんだが、読み終えてからのほうが間違いなく効果はデカいと思う。

【単行本】「ポルノ・バスト」 天誅丸 一水社 A5

 おっぱい星人期待の新鋭、天誅丸の初単行本。先日出た純愛果実によれば、あのゼロの者も「あの乳はいい」といったとか。実際、この人の描くおっぱいにはかなり愛を感じる。自重や押しつけられることによる形の変化を実にうまいこと描き出している。まったく巨乳好きにはたまらない量感、質感、形状だ。作者自身も振り返るように人妻モノが多いのも(毎度のことですみませんが)俺ポイントにスマッシュヒット。今のままでも十分に実用的だと思うのだけど、作者コメントで「エロ度とか汁度とか全然足らないんスよね」と語るその意気や良し。


1/28(日)……天知る地知るステンシル

 ついでにミナス・イシルとかいったりしてー。皆吸い汁。いえー。

 町田駅周りで本とか買ったり。あと宝くじの末等などの当たり分を換金。わりといい額になったのは蓄積のたまもの。あんまり嬉しくないのはたぶん気のせいだ。

 本日購入したもので感想書いてないのは以下の単行本3冊。「きのこ旅行」は新刊予定表に「いもほり増補版」として出てた奴かな?

【単行本】「藤子・F・不二雄 SF短編PERFECT版 7 タイムカメラ」 藤子・ F・不二雄 小学館 A5
【単行本】「DOLL」2巻 三原ミツカズ 祥伝社 A5
【単行本】「きのこ旅行」 友沢ミミヨ 青林工藝舎 A5

【雑誌】プチフラワー 3月号 小学館 B5平

 まず吉野朔実「栗林かなえの犯罪」前編。プレイボーイな男が、よく行く水族館で不思議な雰囲気の美人を見かける。その後、ひょんなことから男とこの美人(「栗林かなえ」と名乗る)は再会し、公園などで語らうようになる。といっても「栗林かなえ」のほうは口がきけないらしく、男がしゃべり、それに筆談で答えるといった具合。吉野朔実の澄んだ表現、淀みのないペースで進められていくお話はスキがなく、思わず引き込まれていってしまう。後編もすごく楽しみ……なんだけど読めるのは2か月後なのかー。それから浮世絵調の絵柄と漫画という、一見合わなそうな組み合わせが絶妙のハーモニーを奏でる塩川桐子「なずな花咲く……」は、絵柄の面白さだけでなくお話も一級品。寺子屋の娘と塾の息子。想い合っているけどあと一歩が踏み出せない二人を、寺子屋の小僧たちが取り持つ、といったお話。読みすすめるうちに絵柄の特異さを忘れてしまうのは、それが物語世界と漫画的コマ割りに、実に見事にマッチしているから。もの珍しいだけでなく、それに実が伴っているのが素晴らしい。

 諏訪緑の諸葛孔明物語「時の地平線」は、劉備らも登場し、じわじわと確実に面白くなっている。萩尾望都「残酷な神が支配する」も今さらいうまでもなく面白いし、奈知未佐子「星の塔」、倉多江美「お父さんは急がない」あたりもほっとする味わいを与えてくれる。今月号も非常に充実していた。みっちり中身が詰まってて読みごたえばっちり。

【雑誌】コーラス 3月号 集英社 B5平

 くらもちふさこの新シリーズ「α」は、なんだか竜宮城のごときファンタジー世界の姫がヒロイン。姫は18回めの誕生日の日に婚約者を決められることとなっていたのだが、彼女には想い人もあり、それから親が決めようとしている婚約者もその申し出を拒否しているようであり……といった感じで始まる。扉のところに、「CAST」という四角い枠があって、登場人物の名前とそれを演じている人らしき名前がさりげなく併記されているのがとても気になるところだが……。なんか仕掛けがありそうだなあ。佐野未央子「君のいない楽園」は、相変わらず女の子の十萌ちゃんが可愛い。でもやっぱりこの人の描く男キャラはいまいち好きになれんなあ。二枚目すぎて。

【雑誌】ステンシル 3月号 エニックス B5平

 今号から新創刊で、毎月28日の月刊誌となるらしい。第一号の執筆陣は、峰倉かずや、七海慎吾、森永あい、藤枝とおる、斎藤カズサ、松葉博、天野こずえ、エノロッコ(金城マナブから改名)、幸宮チノ、南京ぐれ子、藤森なっつ、有栖川るい、咲良麻美、林ふみの、吉崎あまね。ここまでの号は「オトコノコにも読んでほしい少女コミック」をうたっていた、新創刊してだいぶオンナノコ寄りになったような気がする。PITTO!とかクリムゾンとかの方面に近づいた感じ。この路線が成功するかどうかはよく知らない。休刊する前のきみとぼくみたいな感じの、オリジナリティのある雑誌に育ってくれるといいなというのが俺希望。全体を見てみると、いまいち地味な印象。というかわりとほかにもありそうな誌面となった感じで、ステンシルならではのモノが今のところ出せてないような気がする。増刊だったころがかなり個性があっただけに、どんなふうに持ってくのかは気になるところ。

 天野こずえは「おひさま笑顔」収録作品がいずれも良かったので、ああいう読切ラブコメ路線でいってほしかったんだけど、続き物ファンタジーになる模様。タイトルは「AQUA」。藤枝とおる「渋谷君友の会」。背がちっちゃくて料理がうまくてかわいい男の子、揚羽くんが主人公の学園ドタバタモノになるのかな。くっきりした絵とコンスタントな話作りがわりと好きな人なんで頑張っていただきたい。あと、ちょっと生意気でオテンバな女の子と、彼女の母親の親友の息子で、女装が趣味でやたらかわいい男の子のコメディである、新人・咲良麻実の「SUPER KIDS」。絵は申し分なくかわいく、なかなかピチピチとイキも良くて楽しめる作品だった。ちょくちょく出てきてくれるとうれしい。

【雑誌】激漫 3月号 ワニマガジン B5中

 おりょ? 中とじになってる……。中とじのほうが角がゴツゴツしなくて好きなので、俺としては歓迎。

 巻頭カラーはISUTOSHI「おいでよ!ハラミー牧場」。ヒト型でグラマラスな身体をした牛やウサギたちがHなサービスしてくれる、しかも動物たちが自分たちでかってに営業している牧場の愉快なお話だよ〜。この人は絵にオリジナリティがあってかつ達者だし、ノリのいいお話も楽しいし、とてもうまい。RYU-TMR「2001年宇宙の封霊士マーコ」は、エロは全然ないけど可愛い絵柄とやりたい放題なお話で楽しい一作となっている。

 天竺浪人の新連載「POSSESION」は、それまでは真面目だったが高校になってからなぜかフラフラし始めた、どうも人の考えていることが分かってしまう能力の持ち主であるらしい男子が主人公。今回の最後のページで、物騒な事態が起こり始めているらしいことが示されており、今後お話は大きく動いていきそう。飛龍乱「STEP MOTHER」。若き義母と息子の許されぬ関係なお話。申し分なく絵もうまいし、Hシーンも瑞々しいし、いい仕事してますなあ。むちむちした体つきにソソられる。やまのべきった「僕のアリス」。生の人間と接することができず、周りの者にすべて着ぐるみを着させたうえで仕えさせているお嬢さまと、彼女が初めて身体を許したウサギさん(の着ぐるみを着た男)の物語。整った絵柄は完成度が高く、エロをしっかりやりつつ読ませるお話に仕上げている。奇矯なシチュエーションから始まるツカミもいい。西安「大樹」は、相変わらずのシャープでかっこいい絵柄で、濃密なエロワールドを形成。やっぱ絵がうまいのは強いですわい。エロシーンもボリューム感あるし。内容的には母娘どんぶりもの。母は巨乳で娘はミニ乳で、両方楽しめるのがおいしいところ。

【雑誌】少年エース 3月号 角川書店 B5平

 増刊の桃組Vol.2は2月5日発売とのこと。

 吉崎観音「ケロロ軍曹」がまずオタク心を直撃。今回は節分ネタなのだけど、ケロロたちの開発した兵器により夏美が……。いやいやネタバレはしないでおくっちゃー。それにしてもあの格好って、描く人によってずいぶんエッチさ加減が変わるなあ。手で隠すとなおさらだ。それから作:奥瀬早紀+画:目黒三吉「低俗霊DAYDREAM」もなかなかおかしくて良かった。今回はヒロインの深子姫のバイト先で、彼女のお得意さんであった男が首をくくり、目撃者となった深子姫が警察の尋問に答えるという展開。現場保持のため、女王様ファッションのまま死んだ男とのプレイをあけすけに語る深子姫と、思わず股間をもぞもぞさせる警察の面々の様子が楽しい。

 ゴツボ*リュウジ「青春のささめきキック手前」。なんだかかっこよさげな絵柄のわりに、とくに何かやるわけでもないのが面白い。基本は学園コメディなのだが、あくまでつまらない日常に終始するあたりが下らなくてグッド。ひな。「1ねん3くみ桃ちゃん先生。」はあと2回でおしまいとのこと。どこまででも引っ張れそうなおいしいネタだとは思うのだが。米倉静香の読切「寒鴉」は、雪の降った朝に神社の境内を掃除していた女の子が鴉にバカにされるというただそれだけの8ページなのだが、スッキリとしていながら強弱がかなり利いた線の質感が面白く印象に残る。岩原裕二みたいな感じに成長してくれるといいな。

【単行本】「いばら姫のおやつ」 石田敦子 少年画報社 B6

 とてもいい本。「いばら姫のおやつ」とその他の短編を収録しているのだけど、いずれも可憐な絵柄ながら息の詰まるような感情を描き出していて胸に響く。例えば表題作「いばら姫のおやつ」は、高校1年生なのに身長136cm、ロリ顔ロリ体系の女の子・知花が主人公で、「誰とでも寝る」と噂が立てられた彼女を幼なじみの雪彦が心配している……という構図から始まる。こういう出だしからいって二人のラブコメになるのかと思いきや、知花がその身体つきゆえに抱えてきた苦しみ、中途半端で流されるままでいた雪彦の後悔などなど、痛々しいものごとをごまかしたり隠したりすることなく語っていく。絵柄のイメージでぽかぽかほのぼのな漫画かと思って読み始めると、ショックを受けそう。そういう痛み、苦しみから逃げることなく、それをしっかり認識し向かい合ったうえで話を進めていくやり方はしんどいだろうけれども、それだけにより深く優しい。芯の強い美しさを感じる見事な一冊。


1/27(土)……パツキン?

 休みの日はぐうぐう寝るのだ。本当はライター仕事の打ち合わせもあったのだがブッチ。というのはウソで、雪のため順延。外に出る気も起きず、本は買えていない。そんなわけで11月コミティアの同人誌の残り分を読む。いちおうこれで漫画本については読了。2月コミティアには間に合って一安心。

【雑誌】コミックピンキィ 3月号 オークラ出版 B5中

 やはり舞登志郎「メジャー漫画家への道」(今回から改題)に心惹かれる。親に家を継げといわれた舞登志郎が苦悩。熱血ではあるけれども、そればかりではないまんが道が、いかにも生っぽい。そのほかでは羽衣翔「プチキュピット」がなんだかすごい。コスプレ姿の女の子とその彼氏のラブラブ物語といった感じなのだが、女の子のかっこがかなりダメダメだ。首のところにでっかい鈴をつけてて、背中には自分の背丈より大きいくらいの猫(だかなんだか)のぬいぐるみみたいなものをつけて、そのぬいぐるみの頭部を頭にかぶっている。口調は「ごめんにょろー」「痛い所をつっつかれたにょん」とかそんな感じ。そしてラストページではその妹も登場するのだが、これもまた同じようなコスプレ娘で「おせち持ってきたぎょろ」という具合。非エロのほうでも描いている人だけに(あんまりちゃんと読んだことないけど)、絵柄はかなりぷりぷり華やかきゅぴきゅぴ〜ん。破壊力ありだ。

 魔道うに「キレイにしようね」。あねおとうとでロリ&ショタ。丸みがあってなめらかなかわいい絵が良い。北原武志「Summer Practice」は、地味めで素直な良い女の子が派手めで意地悪な女の子たちにイジワルされるという北原武志のいつものパターン。途中までかなり陰湿ないじめをやってヒロインをかっこ悪く貶めつつ、最後はヌルいハッピーエンドに持っていくところも北原武志らしい。

【雑誌】MEN'Sドルフィン VOL,19 司書房 B5中

 山井坂太郎「百合菜の風俗街」が巻頭カラー。これはちょっといいお話だなあ。道に迷って風俗街に入り込んでしまい、執拗な客引きにうんざりしていた男が、この街でモグリの娼婦をしているという女の子に出会う。「ここはわたしの町」と語る彼女の姿は、どこかはかなげだけどなぜか男を安らがせる空気を持っている。巻頭カラーのわりに地味めな話なのだけど、なんだか印象的。黒崎灰二「こたつでみかん。」はあにいもうともの。こたつでアツアツな二人の様子が、ヌル甘くてなかなか心地いい。KASHIみちのく「クリーニングディスティー」、それから火野聡司「3年F組美雪先生」は、ともに相変わらず非常にノリが良くて楽しい。両人ともギャグをやりつつエロもちゃーんと繰り出してくるのが立派。MALUMI「美久里の気持ち」。この人なんかひさしぶりな気がする。丸っこくて和む味わいは昔と変わらずで、けっこう好きな作風。

【同人誌】「parking?」06 <parking?>

 つまらない。何がつまらないかというと、おそらく11月コミティアで一番面白い本はコレだろうと思っていた本が、予想どおり一番面白かったということが。まったくもってこの本は面白かった。執筆陣は、WATERMAN、オノ・ナツメ、山本昌幸、山川直人、南研一。それぞれ単体で描いているだけでもうれしい人たちばかりなのに、それが皆この本では気合いの入った作品を描いている。まあこのメンツの中に加わったら、そりゃ気合いを入れざるを得ないだろう。そして同人誌なのに、小原愼司インタビューまで収録されていて、お買い得度抜群。 小原愼司インタビューは内容が詰まってて面白かった。ただ、レイアウトの面で、インタビュワーと小原愼司のセリフ部分の字下げが半角1文字ほど違うのだが、これは揃えたほうが良かったかなあと思う。縦の基準線が二つになっちゃうと凸凹して読みにくいので。

 表紙も担当しているWATERMAN「Lodi and Flystone」は、オサレでキャラがたいへんキュート。ちょいとくすぐりもあっていい出来のコメディ。オノ・ナツメ「not simple」は、怖いお父さんを持つ娘が、恋人との駆け落ちのダミーとして利用しようとしたまるで浮浪者のような男、それからその周りの人たちをめぐる数奇な運命の物語。これがまたとても面白い。ページ数は40ページ強だけど、登場人物それぞれのドラマ がギュッと濃縮されていて読みごたえ抜群。この人のセンス、構成力にはうならされるばかり。まったくなんでいつもこんなに面白い作品が作れるんだろう、この人は。山本昌幸「Alf's key」もいいお話だなあ。人にいえないような仕事をしている父・アルと、その娘・ザジの物語。最近はヤンマガ系列の雑誌にちょこちょこ出てくるようになった山本昌幸だが、絵的にもだんだん洗練されてきてるし、血となり肉となるような食いごたえのあるストーリー作りは健在。

 山川直人「口笛」。輪郭線のない、カケアミの集合体のような絵柄の質感にホレボレする。いろいろしゃべりつつも静寂が支配する世界の手触りはこの人ならではのものだ。それから南研一「season」。いつか素晴らしい漫画を描くことを夢見ている男の物語、を描こうとしている大人になっても金にならない漫画描きを続けている男の物語である。もちろんこれはかなりの部分で作者自身のことであろう。物語、すなわち自分のやってきたこと、これからやっていくことに適当な答えは出さず、出さないままでいることの苦みを噛み締めながら、穏やかなラストに至る過程は非常に感慨深い。苦みと甘み、汚さと潔さ、絶望と希望。実際の人生においてはそれらのどちらが100%になってしまうことなどないように、相反する要素、揺れる自分を抱えながら進んでいこうとする姿勢には、多少なりとも似たような気持ちを抱え続けている人間にとってはひとかたならず共感できるものだ。自分の身に照らし合わせつつ、いろいろなことを考えるきっかけになってくれるいい作品でありました。

 いい本です。

【同人誌】「ファンシー段平」 小田 <みりめとる>

 小田扉であり小田智なあの人。いやあもう相変わらずたいへんに愉快。しれっと力の抜けた絵にものすごく味があって、それからサラリと繰り出されてくるセリフに爆笑させられてしまう。いい加減に描いたみたいな線が、まったくマイナスにならないどころか、かえってプラスになっちゃっているのがスゴい。動物の表情とかは見ているだけで何か幸せになる。こういうセンスを持った人は吉田戦車以来かも。

【同人誌】「flicker」 朋田のえ <郷民>

【同人誌】「パパママボクの家」 朋田のえ <郷民>

 中学以来のくされ縁な男に恋してしまっているけれども、相手は自分のような女は好みでなく、いい友達ではあるけれど恋愛対象外であることを知っている女子大生の切ない恋心を描いたのが「flicker」。冬の間しか家に帰ってこない、実は雪男である父を持った少年の物語である「パパママボクの家」。両方とも、品の良い絵柄でなかなか読ませるお話を作っている。地味めだけど、じっくりいいお話を作っていけるタイプで実力はなかなかのもの。ちょっと画面が白い感じもするので、もっとガシガシ背景とか描き込むと作品世界に厚みができそう。


1/26(金)……無芸人

 日記を書いていたら雪が降り出し、時を同じくして俺のヒトゲノムもやおら動き始めた。その横ではコタツがぶうんとうなりをあげていた。

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 2/9 No.4 小学館 B5中

 太田垣康男「MOONLIGHT MILE」。この主人公は、やっぱりNASAに来てもSEXしてるんですなあ。宇宙での事故の解決方法といい、なかなかやることが太い。そろそろ宇宙周りの話が増えてきているし、大気圏外行きも近そう。もりやまつる「親父」が最終回。そういえばこのお話って、物語時間ではたった一夜だったのだなあ。濃密だったので何日ものことであったように思えた。確かに一夜だけのほうがお話としては鮮烈だし、一夜となるとこれ以上の話数かけるのもキツいしで、だいたいちょうどいいボリュームだったんじゃないかと思う。作:花村萬月+画:さそうあきら「犬・犬・犬」。マヒケンの本当の怖さを分かっていない鳥井によって、マヒケンがどんどん悪事に加担することになっていきそうな気配。まあマヒケンにはそれが悪いことであるという実感はないんだろうけど。このまったく意識することのない自然さにゾクゾクする。彼はやはり暴力を振るっているときのほうが輝いているので、もっともっとものすごいところをやらせていってもらいたい。というわけで鳥井の暴走に期待。

【雑誌】ヤングアニマル 2/9 No.3 白泉社 B5中

 三浦建太郎「ベルセルク」。次号で断罪篇完結とのことだが、久々にヤツが登場して圧倒的な存在感を見せつける。どういうふうにこの章の決着をつけるんだろうか。とりあえず待つ次号! 田中ユタカ「愛人[AI-REN]」。いよいよあいとイクルの終わりが迫りつつある。そんな中で、イクルは性的な衝動に駆られ始めているが……。ここからは人間と愛人の間で子供が作れるかどうかといったあたりがキーになってくるのかな。何にせよ、二人のつながりは深く、そして決定的な別離の日も近い。また泣かされてしまいそうだ。あと今号は、山口よしのぶ「ダブル」を読んだ後、こいずみまり「コイズミ学習ブック」を読むと、「ダブル」の二人がどのようなキステクを使ったのかが気になってまいります。

【雑誌】近代麻雀ゴールド 3月号 竹書房 B5中

 秋重学が集中連載をスタート。タイトルは「ヒドく澄んだ瞳」。渋谷で「カリスマ雀士」といわれているカッチョいい男・凜と、彼のもとに押しかけて一緒に暮らし始め、それがきっかけでそれまでのチンピラ生活から脱け出そうとしている男・ジョーの物語。目標を得たことにより、ジョーが成長していく青春ストーリーという感じか。相変わらず絵はうまいのであとはどうお話を構築していくかというところ。それにしてもこの人は、うまいのになかなか単行本出そうにないなあ。

【雑誌】Cookie 3月号 集英社 B5平

 なにか全体的に非常〜に地味な印象を受ける。それぞれ手堅いんだけど、もう少し瑞々しさがある、ピチピチとした作品も配したほうがトータルバランス的に見て良いような気がする。今号で目についたのは、池野恋「ミスティボーイ」。連載第2回め。いとこで中3の美少年・有真と一緒に住むことになった、女子大生の涼音が、ストレートに気持ちをぶつけてくる彼にだんだん心惹かれていってしまい……という感じ。恋の始まり的トキメキに満ちていて、なかなか良い雰囲気。でも実は、有真のほうにはヒミツがあっていろいろ悶着がありそうな気配。

【単行本】「無限の住人」11巻 沙村広明 講談社 B6

 まずは前半が卍、ではなく凶戴人vs.尸良の激闘。そして後半は天津影久の加賀での行状へと話が移る。だいぶ長編連載になったんで、今さらがたがたいうような作品ではないが、この巻では天津影久の剣劇シーンが見られたのがなんといっても良かった。実際には絶対あり得ないであろう剣法だけれども、遠心力と異形の剣の重量を上手に使って敵をぶった斬るさまは非常にカッコいい。薬指と小指の間でトンと、剣の背を支えた構えとか立ち居振る舞いが美しく、しなやかな身のこなしは舞っているかのようでさえある。

【単行本】「鉄腕ガール」4巻 高橋ツトム 講談社 B6

 この作品の単行本を見るたびに、左上のコーナーがカットされた単行本カバーがカッコイイなあと思う。さて、今回はいよいよ迫った日米女子野球決戦を前に、さまざまな思惑が蠢くといった巻。トメはアメリカチームを挑発し、カツミは捕らわれの身となり、カツミの姉は屈辱と脅迫に揺さぶられる。野球シーンがほとんどないので、この巻ではカタルシスはあまり得られないけれども、これもまた次巻以降の試合を盛り上げるためには必要なエピソード。早く全部を吹っ切って力投するトメの姿が観たいところ。


1/25(木)……面白く黙示録

 いやー。なんつーか会社に泊まって仕事してたんだけどさー、ビール呑んでちょっといい気分なんだよね、今。そしてこの前、とあるインテル以外のCPUメーカーの発表会のときにおみやげとしてもらってきた日本酒が会社備品的冷蔵庫で冷えてるんだよねー。困ったなー。あはははは。

 23日発売予定となっていた鶴田謙二「Forget-me-not」1巻だけど、講談社BOOK CLUBマガジンニュースの新刊案内に載ってなかったんでたぶん延期かなー。2月3月の発行予定にも見当たらず。

【雑誌】アフタヌーン 3月号 講談社 B5平

 植芝理一の新連載「夢使い」がスタート。「ディスコミュニケーション」の最後のほうで、物語をほぼ乗っ取っちゃっていた三島姉妹が主役を張り、夢にまつわるさまざまな事件を解決していくという物語。三島姉妹のキャラはアフタヌーン読者にとってはすっかりおなじみなだけに、のっけから快調なペースで飛ばしている。キャラクターそれぞれの可愛らしさはもちろん、ドキッとするような性的なイメージも出てきたりして、刺激にも富んでいる。そういえば第一話は、男の子らしい男の子はまったく出てこないな。この作品はけっこう植芝理一のノリノリぶりが伝わってくる。思えば「ディスコミュニケーション」は、けっこう迷走した物語だった。主役格の二人は、松笛は風来坊で得体が知れないのが売りだし、戸川は松笛以外にはあまり興味ないしで、キャラを動かすのが難しかったんじゃないだろうか。学園編、精霊編でかなり弾けたけど、それは「ディスコミュニケーション」の最初のころとはだいぶ違った形になってしまっていたし。その点、三島姉妹シリーズは「事件が持ち込まれる」→「解決」という単純な構図が作れるし、目的も設定しやすいので、だいぶやりやすくなってるんじゃないかと思う。キャラはもちろん魅力的だしね。

 読切で岡崎二郎「緑の黙示録」が掲載。子供のころから植物が好きで、その声を聞く(といっても言語的にではなく感覚的に、ではあるが)ような能力の持ち主である少女が、学校の温室で起きた殺人事件を解決するといったお話。植物学的な知識をミステリにからませ、きっちりお話をまとめてくるあたりはさすが。ただ、ミステリ仕立てであることが、今回の場合はネックになっている部分もある。読者の推理を混乱させるためか登場人物をたくさん出しているが、この人数だと61ページではそれぞれのキャラが立ちきらない。とはいえ、謎については61ページを支えきるにはネタとしてちと足らないかなという感じもする。まあもちろん、もっとページ数があったらここらへんはもっと肉付けしたんだろうけど。でもそのほかの、キャラや全体の雰囲気作りは好ましいし、それからうんちく的部分は興味深いものはある。読切よりもシリーズ化して、ときどき掲載という形にするのがいいかも。

 それから四季大賞受賞作品、江戸沢敬史「僕の歌は君のうた」が掲載。受験のために、ギスギスした気持ちで絵を描いていた少女・麻衣子が、大学受験に失敗。浪人して通い始めた新しい予備校で、抜群のセンスを持っているもののフラフラしてばかりでなかなか絵を描かない男・伊勢に出会う。麻衣子はそのセンス、そしてそれを生かさずなかなか絵を描かない伊勢に嫉妬するものの、実は彼にもとても重い事情があった……といった感じで進んでいく青春物語。この作品からはものすごい爆発力こそ感じないが、この人、とてもうまい。しっかりした線による作画はツヤと潤いがあるし、ストーリーもきっちり構築できている。再び大学受験をすることを決意した朝に、伊勢に起こる出来事はちょっと展開が急な感じがするけれども、それは別に致命的なことでもない。今回の作品はいくぶん地味だが、実力はある人のようなので、これからガンガン描いて頻繁に登場するようになってもらいたい。

 木村紺「神戸在住」。やはり震災の話になるとズーンとくる読み心地。こういう圧倒的な体験の前には言葉がない。絵柄、語り口が抑えめなだけに、より迫ってくるものがある。だからといって、今さら読んでいるだけの立場の人間に何かできるわけでもなく、やるせない気分になる。とりあえず、安易に分かったような顔をすることだけは、絶対にすまい。芦奈野ひとし「ヨコハマ買い出し紀行」。アルファさんが久々に家に戻ってくる。ただ、それだけのことなのに、非常に感慨深いものを与えてくれる。ゆったりとしたコマ運び、出しゃばることのないネームなど、非常に気持ちがいい。黒田硫黄「茄子」。まさかこの路線を引っ張るとは。毎回見事に意表を衝いてくれるなあ。

【雑誌】ヤングサンデー 2/8 No.8 小学館 B5中

 山本英夫「殺し屋イチ」。いやー、素晴らしい。垣原という希代のええキャラを、こういう目に遭わせるとは。垣原とイチの絶妙な表情、そしてガキのようなセリフが、いちいちツボにハマる。これほどまでに血なまぐさくて、これほどまでにユーモラスなクライマックスは、ちょっとほかでは見られない。それにしてもこの漫画、この後はいったいどうするつもりなんだろう。遊人「PEACH!」。こちらもまた素晴らしい。というか最低。というか最高。コスプレアイドルの人はなんか主人公の奇策の前にいきなり欲情するし、契約書は射精で破れるし。そしてなんつっても社長。この人は、乳を出し、股を開かないとしゃべれないんだろうか。まったくもう、この「どんな場面でも、脈絡なんかなくていいからとにかくエロをぶち込む」という姿勢の潔さに毎回感動させられる。いや、感動はしなくてもいいんだが。

【雑誌】モーニング 2/8 No.8 講談社 B5中

 王欣太「蒼天航路」。いよいよ孫権が動き始めたなあという感じ。これまでずっと語らずにきて、溜めておいたものをここで一気に見せてくるか。次の回、次の言葉が楽しみになってきた。三宅乱丈「ぶっせん」。役に立たないことばかり考える、正助と北川(デブ)の組み合わせがとてもいい味を出してておかしい。北川の口調、正助のボケにより、かなり亜空間な世界が生み出されている。

【雑誌】ヤングジャンプ 2/8 No.8 集英社 B5中

 高橋陽一「キャプテン翼 ROAD TO 2002」。まだぶっ飛びぶりは本調子でないような気もする。今回は、翼を試すべく立ちはだかった黒い3連星、バルセロナのDF3人、なかでもフォンセカの「スキがない」構えがいい味を出しているように思う。読切、森脇シンゴ「サンデープロジェクト」は、ちょっとクセがある絵柄が面白い。二組のカップルが、夏祭りの会場ではぐれてしまって、それぞれ友達のほうの彼氏(彼女)と行動を共にする2組に分かれてしまい、そこからまあいろいろと、というお話。もう一ヒネリくらいはあってもいいかなとは思うけれども、ちゃんと読ます話は作れている。ただ、いろいろなトーンを使いすぎてて画面がうるさいのは気になるところ。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 2/8 No.9 秋田書店 B5平

 伯林「しゅーまっは」。彩のおともだちで垂れ目気味なちさちゃんがとてもかわいいな、と思った。思ったのだ。萌え〜(とかいってみたが、実はあんまりキャラ萌えはしない俺さ)。作:小宮さなえ+画:野々村秀樹「ファントム零」。今回もかなりパンチラ絶好調。この人のパンチラは、だいぶ布面積が小さくてむっちりとした肉にぴっちり食い込んでいる感じ。

【単行本】「ハニバニ!」2巻 いくえみ綾 集英社 新書判

「ハニバニ!」はこれにて完結で、短編「ラブレター」も併録。まず「ハニバニ!」。前から注目していたイケメン男子の椿 心に宇宙人の精神が乗り移ってしまい、宇宙人人格のほうが媒介となって主人公うのちよさんは椿に急接近。そして元々の椿人格に惚れているのはもちろんのこと、宇宙人人格のほうにも情が移ってしまったうのちよは、宇宙人人格が長く椿の中に留まり続けると椿人格が消えてしまうという事態に思い悩む。そんな感じで第2巻は進行。洗練されたほれぼれする作画はもちろん、さほど長くもない作品の中で、コメディとラブストーリーとラブコメ(この三つは似ているけれど、やはりそれぞれに違うものだと思うのだ)を局面局面で使い分けてくる手際の鮮やかさにまたうならされる。それから、この人の最近の作品は、とても読みやすいのも魅力。セリフの数、コマの数が必要最低限で、すらすらと物語が頭に入ってくる。「ラブレター」のほうでもそれは同様で、物語の運び方、作画、セリフのセンス、いずれも文句なし。いやあまったく実になんとも面白い。


1/24(水)……モーグル街の殺人

 なんか最近妙に食欲が旺盛。ごはんがうまい。冬はいい。うまい寿司食いてー!!

【雑誌】CUTiE comic 3月号 宝島社 B5平

 羽海野チカ描く表紙は可愛らしくて華やかでとても良いですなあ。で、「ハチミツとクローバー」の単行本も1月29日発売ときている。小野塚カホリ「そどむ」。絵の印象が強いのでいつも同じテイストっぽいけど、ちゃんと物語は動いている。そして面白い。かなり物語時間は進んでいて、ピリピリしびれるような展開。もうそろそろラストが近いのかなー、とか思ったら次号最終回とのこと。大倉かおり「ユカとまーくん」。ドタバタコメディが面白く、しかもちゃんと心暖まる愛があってけっこう好きな作品。登場人物がイキイキ動き回っているのも見てて楽しい。

 それから今号はかわかみじゅんこが登場。「つめたい水」。読む者を惑わすかわかみじゅんこ女の子キャラのまなざしに、主人公である少年も魅入られ振り回される。自分のことを好いているようにも、まったく意に介していないようにもとれる彼女の行動に、男も読者も翻弄されるばかり。意図しているのかナチュラルなんだか分からないけど、この人の描くキャラは何を狙っているのだかなかなか分かりにくい。でもなんとなく、理解もしくは誤解はできるような気がして、「あのときのアレはどういう意味なの?」という答え合わせをしたくなる。それが強い吸引力の一因ともなっているが、問いに対する分かりやすい答えは出ない。それはたぶん、これこれこうだとつまびらかにできるものでもないのだろう。しかしながら、かわかみじゅんこの表現に迷いは見られない。レーザービームのようにどこかの一点に焦点が絞り込まれていてヒリヒリと焼けつくよう。ビシッと強い。不思議で支配力が強く、その世界にどんどん引き込まれていってしまう。やっぱり面白い。しかも次号にもまた登場するそうだ。楽しみ。

【雑誌】LaLa 3月号 白泉社 B5平

 マツモトトモ「キス」が最終回。静かに、ふわっと溶けるような終わり方で後味良くおしまい。単行本は途中までしか買ってないんだけど、コンスタントにキレイなお話を作ってて良い作品だったと思う。新連載は6月号からスタートとのこと。津田雅美「彼氏彼女の事情」は、引き続き一馬とつばさの同年齢姉弟のエピソード。一馬が、つばさと音楽どちらかをとらなくなってしまったら迷わず音楽となってしまうことを自覚し、その苦さを噛み締める。どちらもそれが分かっているだけに、この二人の物語は痛みを伴う。そのあたり、かなり深く突っ込んでいて、これだけ明るい絵柄なのに凄みをも感じてしまう。光が鮮烈であるほど、影も際立ってくる。

 なかじ有紀「ビーナスは片想い」。紗菜と魚住がだいぶいい感じになってきている脇で、おじゃま虫な池内くんに紗菜も魚住もそれぞれヤキモチを焼いてみたりしてなんとも微笑ましい。恋愛って素晴らしいですね。田中メカ「お迎えです。」は、なんか読むたびに惜しいなと思ってしまう。柔らかくてスッキリとした絵柄は非常に魅力的なんだが、どうもいまいちストーリーがパッと頭に入ってきにくい。これはきちっと物語を読ませるだけの演出力が不足しているからのように思われる。例えば今回は、いつもの面々が雪あそびをしたがっている子供たちの霊の相手をするという話なのだが、まず最初に「雪がどっちゃり降り積もっている」という状況説明はもっと強調しておく必要があるだろうし、主人公たちが会話している場所がどういったところなのかを説明するロングなカットのコマも欲しい。いちおう一見さんな読者のためにも、この子供たちが霊であることを最初に分かりやすく示しておく必要もあろう。線が薄めであるとか、人魂がさりげなく浮いてるとかだけじゃ、印象がいまいち弱い。そういったこともあって、気を抜いて読んでるとなんかコマを目で追うだけになってしまってお話がつかみにくい。だからちゃんと注意しなくてはならず、読むテンポが悪くなってしまいがちだ。なんか文句ばかりになっちゃったけど、絵的にも作話能力的にもいいモノを持っている人だけに惜しい。もっとスラスラ読めるようになれば、今の何倍も面白いと思うんだけどなあ。

【雑誌】週刊少年サンデー 2/7 No.8 小学館 B5平

 椎名高志「MISTERジパング」。前からどのように処理するかとても気になっていた、藤吉郎のわらじ懐中暖め事件だが、なるほどこのように使ってきましたか。これならキャラ的に自然だ。史実を消化しつつ(わらじが史実かどうかはまあともかくとして)、きちんと椎名高志らしいオリジナルなお話を作ってくる腕前はさすがお見事。

【雑誌】週刊少年マガジン 2/7 No.8 講談社 B5平

 森川ジョージ「はじめの一歩」。今回はいつもの面々で沖釣りにレッツゴー。ボクシングの試合が白熱してすごく面白いのはもちろん、こういう息抜き的なところでもちゃんと笑える話を作ってくるのがエラい。大島司「シュート!新たなる伝説」。掛川高校サイドにお話が戻ったと思ったら、いきなりラブコメ色を強くしてきた。そして「妹」登場。このベタさ加減が持ち味。福本伸行「無頼伝 涯」。人間学園編も澤井クレイジーなあたりはすごく良かったのだが、結局中途半端で終わってしまった印象。

【雑誌】スーパージャンプ 2/14 No.4 集英社 B5中

 ガーン! よく読んでみるとなんかスゲェ話だわ、と思ったのが小谷憲一「DESIRE」。今回は、スキーのモーグル選手である美少女・舞ちゃん(たぶん上村愛子がモデル)がターゲットであるわけなのだが、17歳でW-CUPに優勝した彼女はプレッシャーで押しつぶされ、今はモーグルをあきらめんとしている。それを、彼女のファンだった主人公がスノボで勝負を挑んだりして刺激することによって復活を後押しする……というストーリーなのだが、その後、助力に感謝した舞ちゃんとその先輩・モーグル選手(そしてこっちのモデルはたぶん里谷多英)、それから主人公が一緒に混浴に入ることになり、ソルトレイク冬季五輪を目指すという決意の「誓いの3P」が始まる。あまりの急展開にあ然としていたら、最後はこの二人がナイタースキーに繰り出し下半身だけ裸でモーグルして開脚大ジャンプ〜!! どういう漫画だ、コレ。最近、中西やすひろとか国友やすゆきとか、このクラスの中堅〜ベテラン作家がやけにぶっ飛んだ作品を描いていて油断ができない。

【雑誌】ヤングチャンピオン 2/13 No.4 秋田書店 B5中

 葉月京「恋愛ジャンキー」。今度はエイタローが、巨乳めがねっ娘な人といいムードになりつつあり(娘という年齢でもないような)。ますますうらやましい状況に。このむやみなうらやましさ、都合の良さがたいへんに良いものであるなあと思うしだい。この場合は、絵がうまい、つまりは女の子がうまく描けるという能力がうらやましさをさらに増幅している。近藤佳文「鉄筋安坊」。安坊の意外にいいかもな感じのキャッチャーとしての才能が見え始めてきて、野球の試合における駆け引きがしっかりしてきた。それにしてもそろそろ単行本化してくれないかな。もしかしたら、と思うと雑誌を捨てられない。そういう感じでもう1年分近くたまっちゃっているのだが。

【単行本】「ぶっせん」4巻 三宅乱丈 講談社 A5

 ぶっせんは今日も平和だ。いや、実際のところは三条が女であることがバレてマナさん、ぶっせんの面々などを巻き込んだ騒動になってるし、そこからさらにぶっせん存続の危機も訪れてはいるんだけど。でもやっぱりトータルで見ると非常に平和だ。なんかどのキャラも呑気で(つまんだを除く……必要はないか)、頭悪くて罪がなくて。独特の生暖かい空気に浸りつつ読み、ときどきぷぷっと噴き出してしまう。たいへん愉快ないい漫画であります。


1/23(火)……日がな一日寝て+

 Webページを作るとき、どうも暖色がうまく使えない。もう少し明るい雰囲気にしたいとは常々思っているのだけど、いろいろ試してみてもどうもしっくりこない。まあこのページだけならそれでもいいんだけど、仕事でWeb作ったりもするんでそういうセンスはやっぱり欲しい。修行せねば。

 それはそうとアイコムのUSB接続無線LANユニットに激しく心が動く。む、むせんタン……ハァハァ。

【雑誌】漫画アクション 2/6 No.6 双葉社 B5中

 佐藤丸美の新連載「彩子」がスタート。何やら薄幸そうな美少女が悶えているところから始まり、実は彼女はその家の男に犬として飼われている存在であることをお隣さんの少年が知らされ、少女とその主人によって構築された魔界へと引きずり込まれていくといったお話。この人はさほど目立つ存在ではないしお仕事的な作品も多いけど、不意にすごく面白い作品を描いてきたりする人なんで油断はできない。国友やすゆき「幸せの時間」。朝倉家の物理的な崩壊で物語決着か? それにしてもここまでぐちゃぐちゃにすると、やっぱり何人か消さないと収拾つかんよね。個人的には、ここまでやっておきながらめでたしめでたしな結論で終わっていただけるとすごく脱力感があってよろしいかと思います。そうめぐみ「彼女は看護学生」。この人久しぶりに見たな。山本よし文「オッパイファンド」は、今度は足首で来たか〜。そのうちうなじファンドとかやりそうだな〜。

 月イチの谷口ジロー「天の鷹」は、インディアンたちの戦いにいよいよ日本人二人組が本格的に関与するようになり、読むほうも力が入るようになってきた。高橋のぼる「キラリが捕るッ」。いや〜、今回もスケベ外人JJがものすごくいい味出してる。そしてキラリの表情、リアクションがまた愉快だ。ええ感じでボケとツッコミをやってる。かなりワラタ。

【単行本】「プラネテス」1巻 幸村誠 講談社 B6

 オスマンのほうで書きました。というわけでそっちをどうぞ

【単行本】「奴隷立國」 海明寺裕 三和出版 A5

 海明寺裕ページのほうに追加。

【単行本】「みずいろ」2巻 大石まさる 少年画報社 B6

 これにて完結。田舎の町で、川の流れと太陽の光と戯れつつ、イキイキと暮らす女の子・川上清美さんと、彼女に恋する加藤くん、それからその他もろもろの面々をイキイキと描いた作品。大石まさるのなめらかで見ていて楽しい絵柄、それから美しい自然描写が一体となって、非常に清々しい読後感を与えてくれる。いいなあ。というのはもちろん川上清美さんたちがきれいでいいなあとかもあるんだが、水がきれいでいいなあとか、人と人との触れ合いがあったかくていいなあとか、そこらへんまで含めていいんである。

 ところでこの巻では、あんまり胸の量感が強調されてないですな。アレもまたとても良いものなのだが。

【単行本】「まじょてん」1巻 小栗左多里 集英社 A5

 うむ、面白いですわい。一見、ただの駄菓子屋のじじばば、でも実は天使と魔女であるとのたまう老夫婦のもとに、恋というか人生に悩んだ若いおねいちゃんたちが悩みを持ち込んでくる、というお話。とはいえ、実際にじじばばたちが魔法を使ったりするかというとそうではなく、テキトーに見えるけど実は的を射ているかもしれない助言によって、おねいちゃんたちは自分の力で幸せを見つけていくのだ。じじばばたちの表情やしぐさを楽しみつつ読んでいるうちに、なんだか元気付けられてくる。はっ、これが癒しって奴か!! くそう、癒されちまったぜ。

【単行本】「そこに布団はないけれど」 うらまっく 蒼竜社 B6

 本当にうまいなあこのヒトは。後先考えないで肉欲に走ってしまったワカモノの行為の後の苦々しさを描いたかと思えば、バカップルのはた迷惑なラブラブぶりをコメディタッチで楽しく展開。男同士のさりげない友情を匂わすような作品あり、ストーカーを取材する男がその魔に取り込まれていくさまを描いたサイコっぽい作品もあり。そのいずれもがまったく破綻なく、実にきれいにまとまっている。絵柄の口当たりの良さもあって、物語がするすると頭に入ってきて読みやすい。これだけハズレなくコンスタントに読ませる作品を描ける人っていうのは貴重だと思う。


1/22(月)……核投下

 本日購入した物件で感想書いてないのは以下の単行本6冊。花くまゆうさく「リングの汁」は本来1月24日発売らしいのだが、渋谷BOOK 1st.で先行発売されていた。発行元のアートンが渋谷・道玄坂にあるようなので、出版社から直で持ってきたのかも……とか推測。内容は、漫画よりも文字が中心なプロレス関係のコラム本といった趣。

【単行本】「リングの汁」 花くまゆうさく アートン B5
【単行本】「奴隷立國」 海明寺裕 三和出版 A5
【単行本】「みずいろ」2巻 大石まさる 少年画報社 B6
【単行本】「鉄腕ガール」4巻 高橋ツトム 講談社 B6
【単行本】「まじょてん」1巻 小栗左多里 集英社 A5
【単行本】「そこに布団はないけれど」 うらまっく 蒼竜社 B6

【雑誌】OURs LITE 3月号 少年画報社 B5中

 石田敦子が表紙。さすがアニメ畑の人だけあって、カラーもうまいですなあ。で、今号もとても充実してたと思う。ヌルいヌルいといわれがちだが(俺もいってるけど)、実は案外ヌルくないような気もしてきた。アワーズのほうはかなりヌルいと思うが、LITEは思いのほかクールで、思いのほかホットでもある。見どころが多くてLITEというわりに読みごたえはかなりなもの。

 巻頭カラーは恋のトキメキだけを求め続ける倶楽部の活動を描く、石田敦子「純粋!デート倶楽部」。今回はロリい顔・体型で妹役をやらされることばかり、だけど他人を見る目はやたらクールなみどり先輩が主役。華やかな絵柄のわりにかなりの業の深さを見せつけてくれる。なんというかもう設定の時点で勝ちという感じがする。で、絵で追撃。ストーリーでダメ押し。オオシマヒロユキ+猪原大介「What a Wonderful World」。ああ、いいお話だなあ。会社をやめてから「小説家になる」といいつつ何もしないできた男が、友人の常識家な男にイヤミをいわれ、さらに秘かに好きだった女の子もかっさらわれることになってしまう。主人公は落ち込むが、その中で自分の心にはまだ熱い火が燃えていたことを見出す。冷ややかな常識なんかでは消せない、そんな火が。なんだか非常に身につまされもし、元気づけられもする。なにくそ俺も、負けないぞ。そういうことを思わせてくれる漫画でありました。ああ、もちろん絵は今回もとても達者であります。線が伸びやかでセンスにあふれてて、気持ちがいいですわい。

 小野寺浩二「妄想戦士ヤマモト」。いや〜、ノッてますなあ。今回は、めがねっ娘主義をガンッガンッに主張してて、やけに熱くてパワフルに馬鹿馬鹿しい。愉快痛快妄想戦士。俺もこういう男になりたいよ。そろそろ時代的に見ても、現実世界でめがねっ娘アイドルをおおいに売り出すべきときが来ているんじゃないかなあ。前からいってることだけど。「めがねっ娘。」計画の発動だ! 犬上すくね「恋愛ディストーション」。部屋にカギをかけないまほちんに、江戸川くんは気が気でない。それはまあ確かに男としてはそうでありましょう。そこからとくに事件的なものは起こさないけれども、あまあまな締めくくりに持っていく手際はやはりうまい。連載陣では伊藤伸平「素敵なラブリーボーイ」も、コメディ風味をベースに甘さといたずらっぽさがあって楽しかった。

 西村竜「ウルトラニンジンケーキ」。今回とてもいいですな。帰郷して、なかなか笑わない女の子の子守をするはめになった主人公。女の子は無愛想ながら、だんだん彼になじみ、何やら不思議な空間へ導いてくれたりするのだ。今回は絵がコミカルで、お話ともよくマッチしててかなり良い雰囲気。背景の線がフリーハンドであるようで、定規でぴっちりひくよりもはるかに暖かみが出ている。初登場、山名沢湖「カエルBOX」は、引っ越してきたばかりで段ボール山積みな部屋で途方に暮れていた奥さんが主役。彼女がお隣さんに挨拶にいったところ、先方は格闘家を職業とするカエルさんでありまして……といったところからお話は進んでいく。軽やかに、コロコロとメルヘンしてて無性に楽しい。くすぐりの効いたセリフの数々は独特のテンポがあって心地よく響く。

 ……そんなわけで今号はかーなーり楽しめたしだいであります。

【雑誌】ヤングキング 2/19 No.4 少年画報社 B5中

 沖田龍児「間男」が最終回。ラストはきちんとギャグで締めくくってくれて良かった。終わりのほうはだいぶマジになったが、ギャグもふんだんに盛り込みしっかりエンターテインメントしてたと思う。 

【雑誌】週刊少年ジャンプ 2/5 No.8 集英社 B5平

 尾玉なみえ「純情パイン」。それぞれの登場人物の表情が、わりと性格悪そうなのが楽しい。今回はテンパった目つきの飯丘先生がとくに。和月伸宏「GUN BLAZE WEST」。マーカスは絶対に生きていると思う。きっと後に、記憶をなくした状態か、敵となった状態のどちらかで登場するんじゃないかとも思う。

【雑誌】ヤングマガジン 2/5 No.8 講談社 B5中

 ロクニシコージ「すべてに射矢ガール」の巻頭特集が。もしかしてけっこう人気アリ? 単行本も1巻が2月6日発売だそうだし。で、今回の本編のほうも、興奮剤ネタ&あすみちゃんへの告白ネタで突っ走りラブコメしまくってて良かった。この人の描く女の子って、なんかちょっと珍しい不思議なかわいさだ。平本アキラ「アゴなしゲンとオレ物語」。珍しくゲンとケンヂの、何もないフツーな日常が描かれていてかえって新鮮。パラパラ漫画とか小ネタが楽しい。ところでゲンさんがパラパラ漫画を描いているこの単行本は、やはりふくしま政美先生でございますか? 安達哲「バカ姉弟」。のんびりしててマイペース。楽しい〜。姉おでこが今回も輝いてます。それからいつもぼくらを幸せな気分にしてくれる、ダメ人間夫婦なさけな物語、蓮古田二郎「しあわせ団地」は今号も掲載。山本マサユキ「ガタピシ車でいこう!!」も。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 2/5 No.8 小学館 B5中

 作:坂田信弘+画:中原裕「奈緒子」。おお、今度こそついにケガしないで区間をまっとうできるか? 今回の走者は見るからに丈夫っぽいのでもしかしたらイケるかな、とは思っていたが。以前、出だしがちょっとだけ掲載された製菓会社勤務バリバリサラリーマン奮闘物語、作:矢島正雄+画:環ちひろ「365歩の竜太」が本格連載開始。サラリマンまんはあんまり好きなジャンルではないんだけど、画風がちょっと面白くてイキはいいのでそれなりに面白く読めた。でも面倒くさげな話になったら、ノッていけなくなりなそうな気もする。バリバリ働くよりも、趣味の世界に逃避したい私といたしましては。細野不二彦「ギャラリーフェイク」は、AIBOみたいなデジタルペット否定ネタ。なんか今回はやけに特定商品に対して明確な根拠なくトゲのある発言をしているようで、こういうもん作ってるメーカーさんが気を悪くしそう。個人的にもAIBOなどを買う人って、デジタルペットに対してペットの完全代替を望んでいるわけじゃないような気がするんで、そこまでいわんでもいいかなという気がした。

 曽田正人「昴」。ここにきてまた面白くなってきている。おばちゃんの死、それから高熱と、高い負荷をかけて昴を追い込み、そこからぐぐーっと話を盛り上げていっている。昴の表情がかっこいい。ただ、昴がものすごい力を出せるその根拠がちょっと軽く感じられもする。いくら精神的に追い詰められたとはいえ、やはり地力は必要。高熱であるにもかかわらず、普段以上の演技ができることの根拠も。昴は身近に強力なライバルがいてそれを意識してきたわけでもないし、鍛錬部分の描写が「シャカリキ!」とかに比べると弱いような気はするんだよね。あと、のぶみという人(よく知らん)の漫画「にじこしいいんちょう」が新連載。シンプルでほのぼのとしてセンス良しな絵柄にて、小学生モノの日常漫画を描いている。にじこしいいんちょうは、行動がけっこうヘンでたしかに見てて楽しい。

【雑誌】ドルフィン 3月号 司書房 B5中

 表紙に「ドルフィンといえば」とうたわれているみやびつづるが急病のため休載ということもあってか、今号は手堅く実用路線を進みつつもも少し欲しいかなという印象。

 そんな中、巻頭カラーは天崎かんな「東風荘の住人たち」。賭け事好きな美人大家さんのいる東風荘を舞台としたコメディ&Hといったところ。この人、むっちりとして肉感的なエロスにはボリュームがあるし、絵もだんだんうまくなってきている。いい感じで伸びてます。吉田蛇作「みんな幸せ▽」も同様に成長を感じる。ぷりぷりした体つきの女の子を中心に、キャラの造形は丸みがあって元気も良い。ちょっとホッとするような味わいなのがいいところ。描線にもまとまりがあって見やすい。LAZYCLUB「ビデオの時間ですヨ!」。この人はホントにオタク的男のリビドーを見事に刺激するような作品を描いてて、毎度ええ仕事してまんな〜と思う。女の子たちはきゃぴるんとしててかつ肉付き良いし、たいていの場合、まず一発フェラーリがあってそのぶっかけを顔に残したまま激しい本番へと移行していく。常にぶっかかったままであるあたりがエロさを強めているわけだ。

【単行本】「諸星大二郎自選短編集I 汝、神になれ鬼になれ」 諸星大二郎 集英社 B5

 タイトルを見れば一目瞭然だが、諸星大二郎自身が自作からセレクトした作品をまとめた短編集でB5サイズの豪華版。収録作品は「生命の木」「六福神」「鎮守の森」「復讐クラブ」「海竜祭の夜」「毛家の怪」「生首事件」「闇の客人」「沼の子供」「子供の遊び」「逆立猿人」「夢みる機械」の12本。古くは1974年、新しくは1995年と発表時期はかなりバラついている。セレクトの基準は、人間からそれ以外、もしくは人外のものから人間になるといったモチーフが扱われている作品ということだったようだ。

 この本に掲載されている作品については、濃い諸星大二郎ファンなら全部読んでいるものだと思うけれど、改めて読み返してみてもやはり面白い。揺るぐことのない独自のペース、メソッドで伝奇的な物語を創り出し語る力が素晴らしい。どれも読めるけれど、この中であえて一本といったら東北の隠れキリシタン村で起きた奇跡的な出来事を、おなじみ稗田礼二郎をからませて語る「生命の木」かな。

 2800円と価格的にはお高いが、固定ファンだけでなくこれから諸星大二郎世界に分け入って行こうという人もぜひ。大判だし、作品のほうは十二分に面白いし、それだけの金額払う価値は間違いなくあると思う。


1/21(日)……天然纐纈コー

 昼間から夜にかけてたまった雑誌の整理作業。今回はエロ漫画雑誌もいくらか切り抜いて縛ったりしたのでかなりな分量。ちかれた。その後は自宅メインマシンのOS入れ替え作業。なんかこの土日はこんなことばっかやってました。

 本日5冊読んで、ようやく11月コミティアで買った漫画同人誌が残り4冊に。最後はおいしいもので締めくくりたいと決めていたので、「parking?」を最後まで残しておいたのでした。あと小田扉も。

【雑誌】花とゆめ 2/5 No.4 白泉社 B5平

 まずは望月花梨の集中連載「緑の黒髪」がスタートしたのが注目。再婚した親同士の連れ子である、同い年の兄妹の物語。妹のいづみは子供のころ、きれいな黒髪を長く伸ばしていたのだが、ある日、兄のゴローが何を思ったか寝ていた彼女の髪の毛を切ってしまう。それがなぜだったのか、ゴローは語らない。そしてその出来事は、二人が高校生になった今も引っかかり続けていて、いづみは髪の毛を短くしたままだ。というわけでこの二人の距離、想いを描く作品となっていきそう。最初っからかなりいい感じに、微妙で繊細な心情を丁寧に浮き彫りにしていてかなり期待が持てそう。要注目。日高万里「世界でいちばん大嫌い」は、本庄と扇子のラブがかなり高まっていて、とても甘い。ええですなあ。それから高尾滋「ディアマイン」も、試練を経てより二人の関係が深いものになっていく様子を描いていて今回も好調。

【雑誌】コミックマオ 2月号 晋遊舎 B5平

 表紙にZERRY藤尾とあったので中身を確かめずに購入したら載ってなかった。でも、全体的にはそれなりに楽しめたんでまあ良い。まずは初登場であるらしい暮崎冬人「上海夜想」。なかなか線がシャープでうまい人だ。人間の娘と同じ姿をしていて、ヒトの精を吸収することで生きている「花妖」たちと、その中の一体に復讐せんとして花妖たちの住む街へとやってきた男の物語。重苦しく、かつ幻想的なムード作りができていてかっこいい作風だ。あとANI「FROTTAGE」もかなりうまそうな人。冒頭のCGによる4色カラーページよりも、むしろモノクロのほうがペンタッチが生きているとは思う。しかし、モノクロページはベタ、トーンなどの仕上げがなされてなくて白い。最初はわざとかと思ったけど、鉛筆によるラフだけのコマもあるんで単純に間に合わなかったということなんだろう。惜しいな。

【単行本】「天然コケッコー」14巻 くらもちふさこ 集英社 B6

 これにて最終巻。いや〜面白かった。この巻では大沢くんがいっぺん東京に帰ってなかなかそよたちの住む田舎に戻ってこず、彼を待つ間にそよが自分の想いの深さに気づいていく……といったあたりから始まり、ラストへと向かっていく。一話まるまる猫の行動を追っかけて、主要登場人物をほとんど直接は登場させぬまま、村の噂話だけでお話を進めていくラス前などなど、語り口の巧みさにぞくぞくさせられる。構図どり、作画テクニック、演出といったテクニカルな面で創意に満ち満ちている。ラストも実にいい。これから先の、登場人物たちそれぞれの生き方がいくらでも想像していけるような余韻を残しつつ、小さな村の空気にそっと包まれていくように静かに終わっていく。雑誌で読んだときよりも、単行本で読み返してみたときのほうが感動がデカかった。幕引き後のおまけ的な、あっちゃんによる作中作漫画も存在的にすごく気が利いている。読み終えてしみじみ「読んでよかったなあ」と思える漫画だった。

【同人誌】「そらみみにるの逆上。」 山科御行 <そらみみにる>

 鉛筆描き、といっても時間がなくてペンを入れてないといったタイプの本で、過去の作品も引っ張り出してきたものであるとのことらしいコピー本。爽やかで心暖まるような筋立てには好感が持てる。垢抜けないタッチがわりといいな、とか思ってたら最新作である描きかけの「空腹の代入値」あたりは線が細めになってて洗練されてきている(といっても古いほうの作品は5年くらい前のものだから当然といえば当然だけど)。微笑ましい学園ラブコメになっていて、きちんと完成したらまたもう一回読みたいなと思える作品だった。

【同人誌】「セクシーコップKISSS!」 加藤礼次朗 <大日本番長連合製作所>

 「加藤礼次朗まぼろし漫画館」と名付けられたシリーズの第1弾。「カーマガジンJAC」という、車オンリーな漫画誌に掲載された作品らしい。公共事業費使いまくりで密かに要塞都市に改造された温泉街を本拠地とする、色っぽさによって平和を守る正義の婦警「セクシーコップKISSS」の活躍を描くというもの。なんかミニスカポリスとかがモデルになってるらしい。加藤礼次朗らしい勢いのある馬鹿馬鹿しい作品となりそうだったが、連載は中途終了。

【同人誌】「カカ島区博物誌」 秋元なおと <メタ・パラダイム>

 これは面白いなあ。とても力が入っている。文明の発達で汚れた地球は一度荒廃したものの、エネルギーと食料を自らの地域で自給自足する「島区制」によりゆるやかな回復に向かい、物語の時点である2436年には自然と人間が共存する社会が作られていた。そんなときに、少年ルウと少女ギルの手により、かつて人類再生を計画を担うはずだったコンピュータの一つである「トスカ10」が400年の眠りから覚める。トスカ10は画面に人間のような顔を映し、一個の人格として振る舞う。そしてトスカ10は、ギルとルウにより400年後の世界に触れ、その穏やかさに徐々に惹かれていく……といったお話。

 まずなんといってもこのお話、設定的にとてもシッカリしている。それから物語全体に流れる優しい雰囲気作り、今っぽくはないけど丁寧に描き込まれた完成された絵柄もいい。そしてページ数が170ページほどあり、読みごたえバッチリ。トスカ10のことがきっかけで知り合ったギルに、ルウが惹かれていく恋心の描写も微笑ましい。今どき珍しいくらいにストイックで優しいSF物語となっていてしみじみ面白く読めた。

【同人誌】「Mary Banks」 県文緒 <Lady Maid>

【同人誌】「僕とネリーとある日の午後」 県文緒 <Lady Maid>

 メイドさん好きな筆者が描いたメイドさん本。といってもエロや萌え方面に走ることは全然なくって、ホントにお金持ちの家で働くメイドさんたちの、落ち着きのあるほっとする物語を描いている。「Mary Banks」は、イタズラ好きな老主人に手を焼くメイドさんのお話だけど、この老主人が亡くなった後のエピソードなどとても暖かいものとなっている。「僕とネリーとある日の午後」は、勤め先の坊ちゃんに母親よりもなつかれてしまったメイドさん・ネリーのお話。こちらもちょっとした事件を盛り込みながら、後味のいいお話を作り上げている。線はしっかりしてるけど柔らかい、「世界名作劇場」とか「ヨコハマ買い出し紀行」とかを思い起こさせるような味わいのある作画も達者。ガシガシ描き込むわけではないけど必要十分で効果的。両方とも良い本でありました。


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