購入物件@2001年9月2日コミティア


2001/11/17読了分

【同人誌】「parking?7」 <parking?>

 今回のpariking?は志賀彰、山本昌幸、紅茶羊羹、本田健、南研一が参加。ていうか兄貴の文章が載ってるなんてコミティア行くまで知らなかったよ。まあそれはともかくとしては、なんかもうどの人の作品もすごく面白かった。身内なんで本田健の文章については置くとして、3人しか人がいない世界を舞台にした志賀彰「「ちたでれ」は短いのに爽やかさと切なさを同時に残してくれる印象的な作品だったし、紅茶羊羹のノリのいいストーリー回しも楽しい。山本昌幸もさすがうまくなってる。さらに南研一の、自分のオタク的生い立ちの思い出を各所にちりばめながら語られていく「あるかもしれなかった現在」話は、漫画者としてついつい泣かされそうになった。なんかこう大事なところを衝かれたような気がします。やっぱりこの本はすごく面白いです。

【同人誌】「十一月の四畳半」 <つくりもの>

 四畳半がテーマということで4ページ半漫画が4本(三五千波、山川直人、鵜匠カシヲ、天野春彦坊)。+0.5人ということで果竜と西尾ちゃちゃが1ページずつという構成。それぞれの持ち味が出ててなかなか楽しい。この本で案外いいなと思ったのは4ページ半という形式。漫画は4の倍数ページであることが多いため、4ページのショートストーリーというのもけっこうよく見る。4ページ半だとそれに加えてあと半ページあるおかげで、4ページ漫画にはない最後の一押しというのができているような気がして、普通の4ページ漫画よりもインパクトがあった。

【同人誌】「短編集2」 浅間聡太郎

 あまり描き込んでいるふうではないけれど雰囲気のある作画に惹かれるものがある。青春モノとかその他いろいろ面白い作品を描けそうな人なんで、ガシガシに描き込んだ作品も読んでみたいなーと思った。

【同人誌】「鉄のぎざぎざ」 九紫奇寧 <メタルジグザグ>

【同人誌】「鉄のぎざぎざ2」前後編 九紫奇寧 <メタルジグザグ>

 3冊ともえらく作画がカッコイイです。鉛筆描き調で描き込まれた画面は圧倒的な質感があって、陰の部分をカケアミでガシガシ描き込んでいくのも暖かみがあって好み。ゴシックな世界を、漫画の中で魅力的に描き切れてると思います。とはいえお話のほうは多少つかみづらいかな、と思う。一つ一つのコマはそりゃもうやたらめったら魅力的で、一枚絵としても良い雰囲気なのだけど、そのコマをつなぎ合わせて物語としての流れを作る分子間力的なものはいささか弱いかなという気がする。多少注意して読まないとお話が頭に残りにくいかも。

【同人誌】「高く。」 山野さかな <そらおよぐ>

 絵が好み。首が細くて手足が長くて、動きを感じさせて。SUEZEN的な雰囲気がちょっとある。もっと長いの読んでみたいなという気になりました。

【同人誌】「ピンクロボット」 <天使堂>

 少女型をした電気家具をモチーフにした作品集で、苺鳥キホ(本当は苺ではなく、くさかんむりに毎)、壱原奈ツコ(虫へんに胡)、パールY。中でも苺鳥キホのがとってもうんまいなーと思うのだった。細い線とキュートな造形がお見事。

【同人誌】「CHILD にちじょうしばい#005」 ein+Nie<AIRカプセル+新屋>

 両方ともいい絵です。einはかっちりした線のキャラクターもの的なかわいさ、それに対してNieはゆったりした自然なタッチが美しい。両方とも見てて楽しい。とくに好みなのはNie。スッと抜けるような心地よさがある。

【同人誌】「TESTER-0」 大野ツトム <トラウマヒツジ/STEEL SHEEP>

【同人誌】「トカゲ女とギョロ目玉」 大野ツトム <トラウマヒツジ/STEEL SHEEP>

 なかなかしっかりしたタッチ。剣と魔法チックな舞台(といっても実は裏があったりはするのだけど)的扮装に身を包んだ男の筋肉や骨格とかがちゃんと描けている。男をしっかり描けてアクションもできるというのはなかなか重要な技能だと思う。ちょっとアメコミチックなテイストもありカッコイイ。

【同人誌】「魚類正義魚マン」2巻 森砂季 <トラウマヒツジ/STEEL SHEEP>

 久しぶりだなあ魚マン(うおまん)。改造人間魚マンの、とくに大した事件もないのんびりした日々を描いている。なんか妙にのどかで楽しい。絵柄についても省略のセンスが良くて、線は単純なんだけど味がある。意外と読みごたえもあって好きだ、このシリーズ。

【同人誌】「ココハシガレット vol.1」 面影/丸愚 <ココハシガレット>

 面影のほうははかわいい絵ながら投げ遣りな感じが良い。ツッコミ役の女の子はもしかしたらいらないかも。自殺死亡の女の子と男の子が、屋上でいつの間にか仲良くなってチュッチュッチュッチュします。丸愚「漫画飽食時代」のほうは、敏腕漫画編集者がしょうもない漫画描きを罵りまくるというお話。けっこう展開がダイナミックで思いのほか楽しめた。

【同人誌】「月光荘(1)」 ピコピコリョウ <ぴこぴこ>

【同人誌】「七夕展」 ピコピコリョウ <ぴこぴこ>

 「七夕展」は画集なんだけど珍しく買ってしまった。シンプルな線だけどとてもセンスが良くて、ゆったりとした画面使いにかなり惹かれるものがある。漫画のほうも絵本的な優しいお話が美しくて良い。

【同人誌】「ポスターポエジー」 夏目わらび <水燈>

【同人誌】「少女処方読本」 夏目わらび <水燈>

 けっこう耽美な絵を描く人。お話のほうもなかなか。とくにポスター貼りの仕事をしていてその中の女優たちに恋する青年と、ポスターに載るような女優になりたがる女の子のエピソードを語った「ポスターポエジー」は、お話としてのまとまりもいいし面白く読めた。

【同人誌】「武富健治選集 第三巻」 武富健治 <胡蝶社>

 素晴らしい。この人の絵柄はものすごく深刻そうで、明るいお話を描いてもどこか陰ができてしまう。お話も作画も本当によく出来ているのだ。でもクセがある。例えば思春期の少女の恋愛観を綴った「康子」なんて、ほかの人が描いたら絶対もっとサバサバしたりセンチメンタルになったりするはずなんだけど、この人の場合、純文学的というかあまりのストイックさに引いちゃうくらいなお話になっている。でもそれがイイのだ。このものすごい不器用な真摯さに、いつも惹かれてやまない。

【同人誌】「HARMONICS Intro.」 鈴木ちょく <直立不動産>

 それまでのパートナーに裏切られたバンド青年が、ふとしたことから新しい相棒と出会う……みたいな青春物語。この本ではまださわりだけなんで全体の出来はうんぬんできないけれど、なかなか面白い作品になりそうな気配はある。


2001/11/15読了分

【同人誌】「菊男ちゃんの回転三角木馬」 鵜匠カシヲ <赤色オレンジ>

 菊男ちゃんシリーズ最新作。永遠の美少年・菊男ちゃんのカリアゲ、タートネルネック、つなぎズボンなどの取り合わせは非常にヘンなんだけど、この作品はどうも妙に切ない。精神の孤独と愛がこの人なりの形で切々と綴られていて、美しいとさえ思う。

【同人誌】「かおりちゃんのジンギスカンタクシーなまはげ90分」 鵜匠カシヲ <赤色オレンジ>

 いやあこっちはもうすんごいな。「まむし」と頭に書いてあるいい加減な造形のレティクル星人に悩まされるかおりちゃんの独白を24ページ。レティクル星人に対するコンプレックスのグルグル感、途中からの意外な急展開など、読んでいると頭がもうクラクラしてくる。静かにクレイジーで、後に残るドラッグのような体験を与えてくれる業深き漫画。

【同人誌】「Night-Marchenの幻想雑誌 2001.9.2版」 村山慶 <Night-Marchen>

 黒くてツヤのあるスミ、それから独特の節回しを持つ硬質で美しいネーム。短い4コマ基調でお話はそれぞれバラバラなんだけど、どの4コマにも共通して何か美しい諦念的なものがあって……、ああうまくいえないや。うまくいえないけど雰囲気がとても好き。

【同人誌】「星に願いを」 袴田めら <逆ギレ刑事>

【同人誌】「StrawberrY Short Cakes」 袴田めら <逆ギレ刑事>

 どちらもキレイにできてる。「星に願いを」は昔映画監督になるとかほざいていた主人公が、大人になってみたらそんな人間にはなれなくて、彼に憧れててつきまとっていた友達のほうが夢に近いことをやっていることを知って苦い想いをするというお話。絵柄とは裏腹に、何気に救いはなくキツいです。こういう痛みもちゃんと描いていく姿勢には好感が持てる。ただ、難点をいうなら子供のころの回想から現在へお話を持っていくところのつなぎがうまくないと思う。ページ数が少ないだけに、出だしはなるべくスムースにやってほしかった。ちょっとした描き方の問題だけど、そこがクリアされてるかされてないかで大きな違いが出ると思う。「StrawberrY Short Cakes」は、幼なじみの男の子にフラれてしまった女の子と、彼女を励ますオカマな友達のお話。まさにスウィート&ビターというか、甘さで包んで苦い気持ちを描き、そこからまた立ち直っていく過程をスッキリと描いている。こちらは立ち合いがあって変化があって回り込んで寄り切り……という具合にお話に変化をつけつつ、きれいにまとまっている。

【同人誌】「取水塔・1」 粟岳高弘 <あわたけ>

【同人誌】「瓜頭(前)」 弘岳粟高 <あわたけ>

 名前の違う人の本2冊を一くくりにしちゃうのもアレですが。最近のあわたけの本のエッチさ加減は、かなり俺にとってヒット率が高い。柔らかそうなおっぱいと、ちちくびの感じがたまらんのです。女の子たちが普通に健康っぽいところも個人的には好ましいところ。なんというかこの人の、あんまりそういうことやらなそうに見えるほのぼのSF系の絵で、羞恥系のネタとかやられると、ホントに「あん、こんなことしちゃっていいのかしら」的な、背徳感……というとちょっと言葉が重すぎるけどイケナイコトしてる感があってソソられるのだった。なんつーか、同じ女の人の裸の映像にしても、アダルトビデオで見るのとそれがテレビで放送されてるのって違う感じがしませんか? 俺はするのだ。テレビで流されているというほうがよりエッチに感じられるんだけど、それは場違いっぽさが作用しているからなんじゃないかと思う。国語辞典に「イラマチオ」とか載ってるとやけにいやらしく感じるみたいな。あわたけエロ漫画にはそういう感覚があるのです。

【同人誌】「池袋沈黙の塔」 あびゅうきょ

 池袋の街並みとあびゅうきょ少女の取り合わせ。あびゅうきょ自身と池袋は相性が悪いそうなんだけど、自分としては好きな街です。新宿のオヤジ的まったり感のある空気も嫌いじゃないけど。それはともかく、あびゅうきょの描く美しい少女たちは、ゴミゴミした風景の中でも映える。というよりそういう場所のほうが、聖なる少女と世俗のコントラストが引き立って、絵ヅラとしてのインパクトは強いかも。

【同人誌】「ぴあのno気持ち〜総集編1〜」 石川ひでゆき

【同人誌】「ぴあのno気持ち6」 石川ひでゆき

 素晴らしいなあ。この人、ホント才能あると思う。このどうしようもなく頭の軽い、目のやり場に困るようなエッチコメディのテイストは、狙ってもなかなか出せるもんじゃないと思う。ネタ的にはすっげー下らないんです。でも面白い。しかもエッチ。正直に告白すると私はぴあのちゃんに欲情しております。こんな娘さんに俺のリコーダー吹かせてえと思います。

【同人誌】「みるく☆きゃらめる最終号」 <みるく☆きゃらめる>

 いよいよみるくも最終号。馬鹿げたネタは真面目に取り組めば取り組むほど奇妙な面白さを発揮する。それを実践しまくっていた本であり、これまで幾度となく楽しませていただきました。まあ正直、文章が長いこともありちゃんと読み込んでない号もあります。でも存在自体が非常に楽しい本でありました。

【同人誌】「ぶっとびマンガ大作戦 Vol.6」 新田五郎/滑川ニュッピー <WAIWAIスタジオ>

 風邪ひいて咳が止まらなくて困っているのだが、そんな体に追い打ちをかけてくれる本だ。最初のページから「コメットさん☆」のネタできたと思ったら、亜月裕のとんでも漫画「OMETTOすわん」の紹介へと突入。相変わらずの図版引用の絶妙さ、味のある文章に爆笑。さらにスカムファミコン(格闘)漫画「最強拳士ファミコマンドー竜」(安田タツ夫)の項に至ると、笑いすぎちゃって息が苦しくてたいへん。この人の文章にはホントかなわんなあと思います。


2001/11/13読了分

【同人誌】「海上のトラ」 おざわゆき <おざわ渡辺>

 いやあ面白い。とある青年の目の前で、その友人が自殺していくところから物語が始まり、けして人に知られることのなかった南方の島へと物語は展開していく。ほとんど外界とつながりがない秘境のはずなのになぜか妙に進んだ文化を持つ島で、主人公の青年と島の娘の恋が進展していくが……といった感じで、ミステリアスなお話に読者はどんどん引き込まれていく。お話は出だしからは予想もつかないような地点まで到達し、美しく締めくくられる。ページ数は100以上。実に面白く、読みごたえもバッチリ。丸っこいんだけどどこか寂しさも漂わせる絵柄は非常に独特なものがあるし、作劇の面でも素晴らしい。この人は、本当にすごいと思う。

【同人誌】「blue」 さくらのりたか <DARUMAYA FACTORY>

 再録短編集。端から端までさくらのりたか。満喫できました。こちらが引けめを感じてしまうくらいストレートに青臭いお話は、作画の面ではラフだけど、語りたいことはこれ以上ないくらい表に出ている。衒いのなさが眩しい。なんというか隙は非常に多い。だけど面白いからなんだか悔しいような気分にさせられてしまう。いっそのことギチギチに絵を修行してムチャクチャうまくなってくれたりしたら悔しくないんだろうけれど。

【同人誌】「OVERDOSE」 きづきあきら/瀧元駱駝 <GRAIL>

 看護婦をテーマに実力者二人が競作。どちらもたいへんうまい。両方ともエロティックではあるのだが、きづきあきらの作品からは背徳が、瀧元駱駝の作品からは頽廃が、それぞれ漂っている。滑らかなタッチのきづきあきら、シャープで硬質な瀧元駱駝。改めて絶妙のユニットだなと思う。

【同人誌】「CAMEL Script」 瀧元駱駝 <GRAIL>

 再録を何本か含む短編集。「自転車に乗ッテ。」「pudgala」「猫を隠す」「IN THE HOT SEAT」「Old Testament」「ヨコドリ」「ごきげんななめ」を収録。他サークルで描いた作品も多く、読んでない作品がけっこうあったんでうれしかった。ちょっとラフっぽく描いているところはあるけれど、デッサンはシッカリしてるんで、この人が気合い入れて細部までガシガシ描き込んだらさぞすごい画面を作ってくるだろうなあと思う。カッコイイ。

【同人誌】「suicide note」 きづきあきら <GRAIL>

 不幸な家庭環境にある双子の姉妹が、共に自殺することを決意するが……。生きることを拒絶せんとするミチ、そして彼女を非常に大切に思い続けるリナ。二人の姿を見ていると、その痛々しさになんとも胸が締めつけられるよう。ラストの美しさも素晴らしいし、ゾクゾクするうまさ。この人は商業誌にも挑戦していてコミックガムに時折作品が掲載されているけれども、まだ同人誌で見せているような素晴らしさは十分に発揮できていないようだ。なんかどこがどうとはうまくいえないんだけれど、掲載誌とはロジックが若干異なっている部分があるような気もする。単体でカンペキなだけに、他の作品とのバランスが難しいところはあるかも。

【同人誌】「ドコヘ行クノ?」 音子or寿 <音々堂本舗>

 このうえなく丸顔の女の子に独特な可愛さがある。空白の大胆な使い方とかキャラ者的キュートさのある作画とか、独特のシャレたセンスのある描き手さんだ。見てるだけでも楽しい。

【同人誌】「千年喜劇」 衣羅ハルキ <Hee-Haw>

 霊能医師と不老美少年助手によるドタバタコメディ。しっとりとした話もうまい人たちだけど、こーゆーギャグものもなかなか愉快。芸達者な人だと思う。

【同人誌】「こっこさん」 こうの史代 <の乃野屋>

 まんがタイムジャンポに連載されていたけど、単行本化されないまま終わった「こっこさん」を1冊にまとめた本。普通の小学生女子やよいちゃんと、彼女が拾ってきた白色レグホンのにわとり「こっこさん」の日々を楽しく暖かく描いた作品。基本的にはコメディだが、毎回1カットくらいはあるとても美しい決めゴマにほぅっと見とれてしまう。細部の描き込みまでなんとも柔らかく優しい、一枚絵でも見せられるようなカットにしびれる。後半はセリフが写植になっているけれども、ここは手書き文字のほうがいいなあ。こうの史代の場合はひねもすのたりという感じの、独特の書き文字も欠かせない味なんで。

【同人誌】「INDECO」 <漫画科2A>

 コミックフラッパーにときどきノッている元気者・守安啓行が所属する学漫系の同人誌。この人のカッキリした絵、それから明るく楽しい作風はけっこ好き。あとこの本では子供向けキャラ者っぽい絵柄がかわいい滝口和もなかなか良いな、とおもった。


2001/11/12読了分

【同人誌】「エトセトラ3」 らいだゆず <HATA HATA>

 コミックフラッパーで新居さとしとして活躍中のらいだゆず。この人独特の明るいノリが存分に発揮されてて、短いページでもちゃーんと楽しめる。とくにお酒大好きな女の子とその彼氏のラブコメ「SAKENOMI Fight」は、女の子の享楽的な思考に同調しちゃったりするし、ラブラブ〜な見せ場もええ感じ。

【同人誌】「Home Project」 きりはらただし <迷画座>

 1990年に描いた作品のリメイク版だそうです。健全な少女が未来世界で、健全な志を持って科学を勉強していかんとするお話。鉛筆描きタッチはいつもながらにきれいで落ち着いてて、お話のほうもきっちりまとまってる。コンピュータのキーボードがさりげなくエルゴノミクスなデザインであったり、小技にもソソるものが。

【同人誌】「覗いたビー玉」 入江アリ <にら>

 以前コピー誌で出てたのの再録本。コピー誌のほうで読んだときの感想は2000年8月28日の日記に記述済。改めてみても透明感のある涼やかな絵が美しいなあ。

【同人誌】「横浜」 ニシムラリョウ <universal kidology>

 今やすっかりアワーズライトのレギュラーとなりつつあるニシムラリョウだけど、商業誌経験も生きているのか、最近とみにうまくなっているな〜という印象。一人暮らしの女の子のマンションを窓の外から固定視点で眺める寸劇。電話や手紙などのアイテムをうまく使って、遠距離恋愛中の女の子の気持ちをうまいこと描いて、最後はきっちり後味良くシメている。なかなか鮮やかにまとまった。

【同人誌】「mer29」 <mer>

 なんとサークル創立20周年記念本。個人的にははちまき(=長島泉)作品がきっかけで購入してたもんだから、代表者が最初は違ったとか全然知らなかった。俺が初めてここの本を買ったのって就職する前だったかなあ後だったかなあ。なんかもうすっかりそこらへん記憶があいまいになっちゃってるなあ。たぶん大学生のころにコミケで買ったことがあるような……。今回の本は記念号ということでその企画が多くて興味深かったけれど、それとはまた別に独立した漫画であるはちまき「yonin2」の軽やかなノリも楽しい。

【同人誌】「けだもののようにII-10 −東京編終了−」 渋蔵 <ぐんたまカンパニー>

 タイトルからも分かるとおり、今回でいよいよ東京編が終了。これまでのあらすじ等は本田健の植民地あたりを参照していただくとよろしいかと思うが、ここまで流され流され東京をさすらってきたヨリ子も、いよいよ自分の行くべき場所を見つけた模様で次からの展開がまた楽しみになってきた。すでにかなりの長期連載になっているが、この物語はいったいどこらへんまで行くのだろうか。今はIKKI連載で忙しいだろうし、「まひるの海」のまひるとヨリ子はカブる部分も多いのでその兼ね合いは難しいとは思うけれども、無理せずこちらも進めていっていただきたい。ここまで来たら最後まで見届けなければ気が済まないし。

【同人誌】「SF少女エス子ちゃん 図書館篇」 はしもとさちこ

【同人誌】「SF少女エス子ちゃん エンディミオン編」 はしもとさちこ

 はしもとさちこはやっぱりいいなあ。SF読者の人が本当に楽しんでほのぼの漫画を描いてるなあって感じがしみじみする。自然体な感じがすごくいいんだよ〜。「エンディミオン」については門外漢なんでよく知らないけど、知り合いの人にひどく重たい本だということは伺っております。

【同人誌】「Short Game!」 紅茶羊羹/南研一/トキワ

 SF&Fantasyをテーマにしたショートストーリーを3人がそれぞれ描くという形式。紅茶羊羹のドタバタっぷり、センチでポエティックな南研一、それから短い中で読みごたえのあるお話を構成するトキワ(=山本マサユキ)と、ショートストーリーながら、いやだからこそなのかな、3人の持ち味がよく出てるな〜といった感じ。3人とも好きな描き手さんなので個人的にはおいしい本でした。


▼未読分

【同人誌】「つゆくさ(一)改訂版」 <つゆくさ>

【同人誌】「つゆくさ(4)」 <つゆくさ>

【同人誌】「翼人世界記I」 村山慶 <Progressive>

 あ、小説本だった。これはそのうち。


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