2002年8月下旬


8/31(日)……明日メトロイド

▼OHP月極アンケートのテーマ入れ替え。8月の「車&バイク漫画」は山本マサユキ「ガタピシ車でいこう!!」が1位に。個人的には「頭文字D」「湾岸ミッドナイト」あたりで鉄板だろうと思っていたので意外といえば意外な結果。でもまあウチのWebに通ってくれている層を想像すると、確かに「ガタピシ」のほうが好きな人多そうな気もする。で、9月は「妖怪おばけ幽霊モンスター漫画」です。妖怪退治モノから怪物の日常モノとかまで、怪力乱神に関わる漫画についていろいろ語るという感じです。それでは今月もよろしくお願いします。

【雑誌】恋愛天国 VOL.6 竹書房 A5平

 池部ハナ子「トモダチのミチ」。友達だった男と一度だけ浮気をしてしまってから、彼氏との仲がギクシャクしてしまったサトミ。だいぶ修羅場っぽい雰囲気に。今回で5回めだが、次号で最終回となるらしい。後藤羽矢子「プラントボーイアニマルガール」。なんだか物腰上品な美少年のことが、植物みたいな存在に思えて気になり始めてしまった女の子。彼女の家族はガサツな人ばっかりだったので、彼が自分のことを「キミ」と称する言葉遣いなど、一つひとつにぞくぞくソソられるものを感じてしまっている。柔らかくて丸みのあるかわいい絵で、ちょっとした言葉がもたらす心と身体に及ぼす効果……みたいな繊細なところを描いているのがいい感じ。東雲水生「無敵のダーリン!」は、成績優秀で容姿端麗、ナルシストな彼氏と、普通の女の子の恋愛模様が、たいへんにアツアツで微笑ましい。大久保ニュー「東京アンアン娘」は、主人公の女の子が絶妙に馬鹿でカラッと笑える楽しい作品。

【単行本】「STONe」2巻 ヒロモト森一 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 最終巻。砂の海を舞台にしたダイナミックな冒険活劇ということで、壮大な展開を期待してたんだけど、最後はドタバタと話を畳んでしまった感があってちと残念。砂の中を見渡せることのできる能力の持ち主である主人公の少女・ジジも、よく見るとけっこうキュートだし惜しい。せめてあと1巻分くらいあれば旅立ち、冒険、決着でそれぞれ1巻くらいずつ使えたのになーと思う。

【単行本】「夢使い」3巻 植芝理一 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 水蛭子編完結。アフタヌーンは連載が長期化して行き詰まったり雑誌で読むにつはつらい作品が増えてきているけれども、植芝理一に関してはうまいこと方向転換できたなと思う。美少女や美少年を描くフェティッシュな性向、ごちゃごちゃとガラクタで画面を埋め尽くす作画、レトロ趣味なんかがうまいことお話の中で生きている。夢使い・三島塔子およびその妹の燐子らを中心に据えたことで、キャラクターも動かしやすくなった気がするし、明確な方向性が見えた。おもちゃがぎゅぎゅいーんととんでもない変形を見せるギミックなんかも、単純に見てて楽しいし。少女たちのつるりとした体つきも、エロチックに描けている。過剰だけど軽さも失っていない。この作品なんかはアニメ化してもけっこう面白いかも。もちろん今の段階では原作のストック量が全然足らないが。

【単行本】「雲のグラデュアーレ」4巻 作:木原浩勝+画:志水アキ メディアファクトリー B6 [bk1][Amzn]

 リシュ=コトが修行して空賊ザラストロの一員として認められるところまで描いて第一部完。たぶん連載終了なんじゃないかとは思うけど、これで終わってしまったらかなりもったいない。品の良い作画、伸びやかでスピーディなアクションシーンなど見どころのけっこう多いスペクタクルな冒険モノであっただけに。とはいえ雑誌掲載分がすべて単行本にまとまっただけでもまだいいほうなのかもしれない。同じコミックフラッパー連載作品でも、SABEの「串やきP」なんかは3巻が出ないままだし……。

【単行本】「東京家族」2巻 山崎さやか 双葉社 B6 [bk1][Amzn]

 小説家の父親の元に、それぞれ母親の違う5組6人の子供たちが集合。父一人子六人、しかも成長するまでお互い面識のなかった家族の共同生活が始まる……という感じのホームドラマ。最初は山崎さやかがこういう作品を描くとは思ってなかったんだけど、これがけっこう面白い。それぞれの子供たちの抱える悩みなどにちゃんとつき合ってやるお父さんの姿は、外見とは裏腹に案外頼もしい。子だくさん家族のだんらんという、わりとよくありそうなテーマではあるんだけど、よく考えてみるとこういう作品って最近なかったような気がする。しかもお話としてはちゃんと現代的なものとなっているし。なんだかんだいって家族のみんながけっこう楽しそうにしているところが心暖まる。やっぱ家庭って大事だーねー。

 余談だが帯にダ・ヴィンチの書評からの引用があるんだけど、これが自分が書いた原稿の一部であることに気づいてニヤリとした。帯デビューだ、イェーイ。

【単行本】「つゆダク」1巻 朔ユキ蔵 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 1日平均オナニー回数11回、でもセックスではなぜかイケないというサル的男が、その類まれなる素質を見込まれてTV局に入社。タレントたちの性欲を解消するという特別職に就くことに。でも発射は厳禁。そんなうれしいような厳しいような状況に立たされた男の、ドタバタした日々を描いていくというお話。エロ漫画ではキレイな絵柄と爆発力のあるヘンなお話で読者を驚かせていた朔ユキ蔵の初週刊連載。しかも掲載誌はビッグコミックスピリッツというメジャーどころ。どんなふうになるんかなあとか思っていたら、意外とスタンダードなドタバタエロコメ的になってきている。まあさすがにエロ方面でやってるようなイカれたネタは、なかなか週刊ではブチかましにくいだろうなあ。まあとりあえずコンスタントにけっこう楽しめてはいる。あとは今後の展開しだいでしょうな。

【単行本】「警視総監アサミ」7巻 作:近藤雅之+画:有賀照人 集英社 B6 [bk1][Amzn]

 刑事ドラマ的部分は相変わらず適当だー。そしてその適当さ加減と、強引かつ唐突に挿入されるエロシーンのマッチングが毎度笑いを誘う。デスエロース。キャンギャルの殺人事件の謎を解く鍵が、トイレで使用中のバイブの音だったなんて……。いやー本当にどうでもいい。刑事モノであるにも関わらず、このようなネタバレしてもたぶん全然問題ないくらい。それにしても原田君と萬田警部補はすっかりオチ要員だなあ。

【単行本】「アストロメイド」 榊原薫奈緒子 笠倉出版社 A5 [Amzn]

 「アストロメイド」全話と「おきらく仮天使エンジェルR」シリーズ3話を収録。「アストロメイド」は強化メイド服を着た女の子が、世界を征服せんとする宇宙人たちと闘うというお話。天使のようにかわいい絵柄ながら、細部にどかどかとブラックなネタを突っ込みまくる作風がこの人の持ち味。「アストロメイド」も「おきらく仮天使エンジェルR」も、本来の目的を忘れているわけではないんだけど、そのブラックな出来事なんかのおかげでお話が取り返しのつかない方向にばかりごろごろ転がっていくさまが楽しい。個人的にはけっこうエロ方面の実用度もけっこう高いと思う。そのやたらかわいい絵柄とかについては、本人のWebを見ていただくと手っ取り早い。絵もそうだしブラックなネタのセレクション、調理などすごくセンスがいい。全体にすごく細かいところまでこだわり抜く人であるなと思う。ただ「アストロメイド」については、連載間隔がわりと空きがちだったこともあって、各話のつながりはいまいち良くない。ゴチャゴチャとネタ満載なので読みにくくもある。そんなわけで、細部のネタをほじくりながらわりとのんびり読んでいくのがいいんではないかと思います。


8/30(金)……獣医の認識

▼遅ればせながら今日から夏休み〜、というか金、月と休んで4連休にしようとしているだけなのだが。しかし実際のところ本日は、朝6時くらいまで会社で仕事しててそれを家に持ち帰り夕方くらいまでやってたので実質的にはもう1日ツブれてしまったし、もういっちょやらなきゃならない仕事も残っていたりはする。

▼仕事が終わった後、買ったまま放置していた「紅の豚」のDVD[Amzn]を観賞。美術も美しいし面白かったが、徹頭徹尾、宮崎駿の趣味てんこ盛りで異様に濃い作品だなとも思った。お話自体は陽気ではあるけれども、なんか宮崎駿の暗黒面を見せつけられたような気もした。

【単行本】「エマ」1巻 森薫 エンターブレイン B6 [bk1][Amzn]

 祝発売。19世紀末のロンドンを舞台に繰り広げられる、メイドのエマと貴族のジェームスを中心としたロマンス。エマは、昔ジェームスの家庭教師をしていたケリーの家に勤めるメイド。物静かで慎ましやか、知性を感じさせるもの柔らかな美貌の持ち主。この作品を語る場合、「メイド」という言葉がどうしても出てしまうのだけど、じゃあ「メイド萌え〜」な作品かというと、まあそうでないとはいわないがそれだけじゃないと思う。何よりいいのが全体に漂う均整のとれた優しいムード。絢爛というのではなく、いかにもイギリス〜という感じの紳士的、淑女的な雰囲気が醸し出せている。しかもそれが全然嫌味じゃない。それから登場人物たちの精神性も気持ちがいい。高潔で上品。気も利いている。

 エマについては、メイドというのもものすごく重要な要素ではあるんだけど、メイドという属性がなくとも好きになれるタイプであることは間違いない。そういえばメイド服も、装飾過剰なひらひらしたものではなく家事をきちんとこなせそうな実用的なデザインだ。眼鏡はかけているけど、「眼鏡っ娘萌え〜」とかいうのともちと違う。個人的にはメイド属性はほとんどない。衣装はいいと思うけど、基本的にメイドはご主人様のいうことに従順なのであんまり面白いと思えないでいた。でもエマの場合は、いわゆる「ドジで健気でご主人様のいうことはなんでも聞く」というタイプのステロタイプなメイドではない。ちゃんと自分でものを考え動く、騒がないけれども知的な良い娘として描かれているのがすごくいいと思う。考えてみるとこういう目立たなさげなヒロイン像というのも珍しいかもしれない。そういう娘さんだからこそ、その気持ちが表面に出たときの奥床しい態度に興をそそられる。彼女に想いを寄せるジェームスも基本的にいいヤツで、二人が並んでいるショットは微笑ましいし、彼らを優しく包み込むように見守るケリー奥様もこれまたいい人だ。そういう人たちであるだけに「幸せになってほしいなあ」と素直に思える。

 きゃーきゃー騒ぎ立てたり、萌え萌えいうような作品では本来ないような気がする。でもこの作品はしみじみいい。読んでて気持ちが良く、好ましい雰囲気に満ちている。エマだけでなく、物語世界全体に惚れる。

【単行本】「敷居の住人」7巻 志村貴子 エンターブレイン B6 [bk1][Amzn]

 これにて最終巻。めでたしめでたし……なのであろう。結局のところ少年少女たちの日常をただ描いていく、しかも彼らは別に偉い人になるでなく(無職だし)何か大きなことをするわけでもない。しかしこれが不思議なくらい面白かった。「恋愛」というにも控えめだったけど、見てて気持ちいいきれいな絵、軽やかなテンポ、気の利いたセリフの数々などなんだかとても楽しかった。トキめいちゃうようなシチュエーションをあけすけに描くでなく、ちょいとヒネて、でもやっぱうれしい……みたいな感じのシャレているけどカッコつけすぎってほどでもないスタンスが良い。連載期間が5年に及んだこともあるけど、志村貴子はこの連載中にすごく進歩して完成された感がある。この次のステップアップがどの程度望めるかは分からないけれども、とりあえず次回作も楽しみに待つ。

【単行本】「復讐のように」 二宮ひかる 白泉社 B5 [bk1][Amzn]

 短編集。かなり昔の作品から最近のものまで幅広くカバー。描かれているのはおおむね、セックスを分かちがたく含むいろいろな形の恋愛模様。「友達と恋人の中間くらい」とか「恋愛とそうでないものの中間くらい」とか、微妙かつ越えがたいラインでの押し引きを描く呼吸はやはり絶妙。昔の短編は今のものと比べると若干青さが伺えるが、これはこれでまたいい味。しなやかに艶がある良い本。作品の出来自体は多少バラツキはあるけれども、どの作品もちゃんと自分ならではの雰囲気、空気で満たすことができているので納得できる。

【収録作品】「ニ番目の男」「乱れる」「ラブレター」「寄生MIND」「のら」「Beige−べーじゅ−」「あしたの女王」「復讐のように」「みじかいお別れ」

【単行本】「鼻兎」2巻 小林賢太郎 講談社 変型判 [bk1][Amzn]

 鼻兎はいいね。実のところかわいい動物はけっこう好きなほうだが、鼻兎はかわいいとかだけではなく、シュールで落ち着いたところが気に入っている。あの何も考えてなさそうな顔がいいし、脈絡なさげな行動もいいと思う。こういうのがそばにいたらきっと飽きないだろうなあ。いくらでも暇をつぶせそう。

【雑誌】ヤングキングアワーズ 10月号 少年画報社 B5中

 平野耕太「ヘルシング」は戦争開始〜ということで少佐もウキウキ大笑い。ロンドンの町を戦火で染め上げる鉤十字。戦争礼賛をするつもりはないけど、この作品の描き方がすごくカッコイイことは間違いない。二宮ひかる「ベイビーリーフ」。毎度鮮やか。今回のお話は中学生らしくていいなあ。仲睦まじくて微笑ましく羨ましい。水上悟志「怪人夏伍郎」は、「魔法少女マジカル・マリー」のサイドストーリー的位置づけ。この人は絵の好感度も高いしズバッと大ゴマを使う画面構成もなかなかのもんだし、やっぱり楽しみな存在。次号でも登場するようで。

【雑誌】コミックバンチ 9/13 No.39 新潮社 B5中

 渡辺保裕「ワイルドリーガー」。今回は羽根田の奥さんが登場したのが見どころ。なんかこの作品らしく、奥さんまで濃いキャラだ。どのように活躍するのか楽しみ。あと今回のサブタイトル「凄絶!夏門狩り!!」はちょっと笑った。坂本タクマ「屈辱er大河原上」。大河原上もたまには勝つなあ。

【雑誌】快楽天 10月号 ワニマガジン B5中

 月野定規「おませなプティ♥アンジュ」は最終回。面白い作品だったなあ。エロも十分あったし、途中で出てきた麻耶の可愛さも印象的だったし、おふざけも気が利いてる。ラストの締めくくり方もこの作品らしい、いい加減かつ平和なものでグッドだった。SABE「阿佐ヶ谷腐れ酢学園」。なんか思わぬ展開。男が一人減りギャルが一人増えた。ますます混沌、かつ適当な状態に。まとめて読んだら凄そうなんで、早く単行本にしてくださいよう。三浦靖冬「あめのちあめのふるまち」。いつもながらに健気だが無力な女の子たちが大人たちの欲望に穢されるさまを、美しい絵で描く。今回はやけにエロいなとか思った。内向エロス「はらニいちモツ」。なんだかすごくタイトルどおりのお話だな……。地味めな顔つきの主人公の女性に惹かれます。朔ユキ蔵「少女、ギターを弾く」。最近は週刊連載のペースにも慣れてきたかこっちにも登場。週刊連載で抱え込んだストレスをこちらで爆発させるかのごときヤケクソな展開。

 で、次号予告を見たら北河トウタ初登場とのこと。これはけっこううれしい。あとYUGも画集発売記念で「でりしゃすあどべんちゃーず」が再開。なお今号には9月発売予定の画集「おひるね」の情報が3ページほど。またOKAMAのが「華札」も10月上旬に発売決定。


8/29(木)……箱、大移動

▼えー、東京三菱銀行のアキバ支店なくなっちゃうの? そりゃ困る。あそこらへんって金おろせるところ全然ないし。ショップの人とか両替するのにすげー苦労しそうだ。東京三菱銀行があっても、あそこの両替コーナーっていつも長蛇の列だったからなー。とりあえずとある方に教えていただいた秋葉原金融機関一覧を参考に、今後利用する場所を見繕うとします。

▼カラフルコミックピュアガールが9月発売号で休刊(最後通牒 8/29より)。最近、B5平とじは厳しいですなあ。

▼asahi.com:ネット掲示板で漫画家へ名誉棄損、550万円賠償命令。伯林事件がいちおうの決着。まあ被告の全面敗訴は当然でしょうな。これでケリがついてくれるといいんだけど……。

【雑誌】モーニング 9/12 No.39 講談社 B5中

 土田世紀「恋はどうだい」。これは面白かった。久々にツッチーらしい、馬鹿馬鹿しいこと限りない展開。金と色欲にまみれた腐れきった町・品下市に、東京からハイソな美少女が転校してきて新聞部を作り、このダメな町を変えていこうとするけどやっぱり変わらないよねーというお話。転校生の娘の父ちゃんがまんま課長→部長→社長という感じの人だわ、悪徳建設業者が「銭道」とか連載してそうな顔つきしてるわでなんかもうやりたい放題。途中の展開もたいへんに適当で下らなくていい。幸村誠「プラネテス」が掲載。今回はだいぶウエットな展開。でもまあこれはたぶん、今後ずいずいと宇宙に向かって邁進していくためには必要なエピソードでしょう。後顧の憂いは絶っておかないとね。

 第12回MANGA OPEN大賞受賞作、青山理市「スプリングロール」は、同じ家で暮らす従姉妹同士な二人の少女の物語。そのうちの一人、由美は阪神大震災で親を亡くし引き取られて来た娘。受け入れた家族の実の娘であった唯理は、なんだかガサツな物腰の由美を避けがちであったが、二人が成長して由美のことが分かるにつれ唯理の気持ちが和らいでいく……というお話。絵柄は望月峯太郎風。丁寧なお話作りはなかなかのもんだし、少女たちの微妙な距離感もうまく描けていると思う。唯理の心変わりの動機の描写は若干弱いかなと思わないでもないけどなかなかいいお話ではある。とりあえず次回作も読んでみたい。あと今号は月イチ1ページ連載の小田扉「男ロワイヤル」登場号。

【雑誌】ヤングサンデー 9/12 No.39 小学館 B5中

 守村大「パラダイス」。ガクトがリング上で窮地に追い込まれ、だんだん本性を目覚めさせていく様子がカッコイイ。なかなかに狂的なものを内に秘めているようだ。描写もしっかりしているしさすがに読ます。秋重学「學ビノ國」。試験が終わって一ヶ月、合否の通知が届くもドキドキして開封できないいつもの面々。というわけでそろそろこの作品も大詰めって感じかな。そういえば最近こういうストレートに受験をテーマにした漫画ってあんまりなかったような気もする。

【雑誌】ヤングジャンプ 9/12 No.39 集英社 B5中

 高橋ツトム「ブルー・ヘヴン」。面白くなっている。ちゃんと敵役的な奴らの凶悪さ加減もバリバリ出てきて、主人公と合わせて大きな柱が2本できた。どっちにも正義がなさそうなのがカッコイイ。山花典之「妹 あかね」。おにーちゃん、ちと我慢強すぎはしまいか。健康に悪そうだ。梅沢俊一「いつ果てるとも知れぬ夏の日」。平凡で快活な少年と、不思議な雰囲気を持った少女が出会ったとある夏の日の物語。わりと写実的っぽいタッチで丁寧に描き込まれた、帰ってこないちょっとホロ苦い夏の風景が印象的。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 9/12 No.40 秋田書店 B5平

 小沢としお改め小沢利雄の新連載「ダンコン(団塊)」がスタート。高校では自分を変えようと思っていたイジメっ子が、入学早々出くわした非常に乱暴でケタ外れな感じの男・椿誠。彼がメインとなって活躍する応援団モノという感じのお話。相変わらず読みやすく、コンスタントに行ける連載になりそう。高橋陽一「ハングリーハート」はアニメ化直前ということで、今週から3号連続で登場。まあいつもの通りの高橋節です。能田達規「ORANGE」。オレンジに新外国人加入か。アメリカから選手獲ってくるあたりはなんかシブくていいですな。案外強いんだよなー、アメリカサッカーは。しかも本国では全然盛り上がっていないところが憎い。伯林「しゅーまっは」。今回の見どころは「こけしを持ったちっちゃな女の子」。そんなに強調せんでも……。いやいいんですが。

【雑誌】ラッツ 10月号 司書房 A5中

 愛澤銀次「まじわりについての考察 −田中君のモノローグ−」がいい。この人は絵はまだまだだと思うんだけど、話作りが好み。今回は中学の同窓会で再会してつき合うようになった内気な男・田中君と、昔から彼を励ましてくれていた村田さんの物語。二人の相手を慈しみ恋い慕う気持ちが、田中君のモノローグとともに暖かく描かれていていいお話だった。口を大きく開けた幸せそうな村田さんの笑顔もいい。この人はこの手のいいお話も描けるし、ギャグ方面での爆発力もけっこうあるし、なかなか見どころありだと思う。

【雑誌】エンジェル倶楽部 10月号 エンジェル出版 B5平

 奴隷ジャッキー「巴」。柔道少女輪姦物語もクライマックス。今回は最初っから最後までやりっ放しで非常に激しい。あと今号の奴隷ジャッキーは巻頭のピンナップもなんか微笑ましく、かつダイナマイツな感じでけっこういいなと思った。中華なると「裕子課長肉接待」。肉奴隷調教されつつある女課長が、取引先のエロ社長を肉接待。描線が柔らかめで熟れた女っぽさが出てるのが好みなライン。なんとなく鷹月助教授っぽい。山本よし文の岡ヒロミさんによるSEX授業物語「淫絶の薔薇」は今回で最終回。なんか最後の3コマあたりの適当な終わらせぶりがけっこうすごい。


8/28(水)……尻にペン

▼OHP月極アンケート 8月分「車&バイク漫画」は、31日いっぱいで締切ますんで、投票お済みでない方はお早めにどうぞ。

【雑誌】スーパージャンプ 9/11 No.18 集英社 B5中

 村上もとか「JIN −仁−」。今回のシリーズで仁は、梅毒に犯されていた花魁たちのため、この当時は発見されてさえいなかったペニシリンの精製に挑む。歴史を変えてしまうことを意識しつつも、決然とその挙に挑んでいく姿が力強い。今回は前後編の登場だったが、もう少し続けて読みたいところではある。

【雑誌】週刊少年サンデー 9/11 No.39 小学館 B5平

 ここのところの満田拓也「MAJOR」は名門校好きな自分としてはわりと好みの展開。どう考えたって海堂の選手たちのほうが苦労して練習してるわけで、こんなところでポッと出の聖秀に負けたりしたら彼らとしては悲劇だと思う。頑張れ海堂。田中モトユキ「鳳ボンバー」は、みんなして野球小僧って感じなのが見てて面白い。鳳父のガキっぽさとかヘンな一言とかも良し。

【雑誌】週刊少年マガジン 9/11 No.39 講談社 B5平

 大島司「シュート!新たなる伝説」。今回は田仲トシvs.伊東ヒロの個人技の応酬、一対一のぶつかり合いが激しくてなかなか面白かった。最近わりといい子っぽかったトシがここまでムチャやるのは珍しい。サッカーとしてはムチャなことも多い作品ではあるが、なんだかんだ読める。

【雑誌】フラワーズ 10月号 小学館 B5平

 今号の目玉は羽海野チカ「スピカ」が掲載されていること。いやー、これは面白いですわ。野球部の準レギュラーながら学業優秀な高崎君と、好きなバレエをやるため学校ではほかの人とつき合っていなかった女の子の美園さんがお話の中心。高崎くんが、美園さんに勉強を教えたりバレエをやりたいという気持ちを応援したりしているうちに、だんだん二人は親しくなっていく。恋愛の一歩手前という段階の描写がとても気持ちいいし、美園さんがバレエを続けることに対する親の反対、高崎くんの背負っているものなど、ちゃんとドラマもある。絵はいつもながらに可愛らしくてきれいだし、笑いどころもしっかり装備で隙なし。そのうちまた登場してほしい。

 西炯子の読切「LETTER」。演劇の夏休み講習会に出席した、如才なさげな男子の佐藤とぼーっとした女子・山王さんが一日デート。思いもよらぬ山王さんの行動にドギマギする佐藤と、あくまでマイペースを貫く山王さんの取り合わせが面白い。吉野朔実「記憶の技法」は今回で最終回。うーん、これはちとバタバタとしすぎな畳み方のような……。ここまでがかなり面白く展開してただけにもったいないという気がした。

【雑誌】コーラス 10月号 集英社 B5平

 別冊コーラスで掲載されていたそのだつくし「主婦のトモ」が本誌で連載化。別コ(と略すのかどうかは知らない)のほうは読んでなかったので知らないが、今回読んでみたら面白かった。お話としては、夫に対して恋する気持ちを残しながら日々暮らす、お笑い系専業主婦トモの生活を描くというもの。ケンカもメチャ強でおもろい女ではあるけれども、夫に対する愛情は人一倍。サバサバした読み口が気持ちよく、カラッと明るく楽しい。聖千秋「VIP&Celeb」。学園のきれいどころである「ビップ」だの「セレブ」だの呼ばれる人たちとお近づきになるために頑張るひたむきな女の子のお話。純朴な女の子が、優雅な人たちの空気に染まっていってしまうのかと考えるとなんとなくもったいないような。

【雑誌】メロディ 10月号 白泉社 B5平

 創刊5周年記念号だが、最近全体にテンション低めかなーと思う。その中では魔夜峰央「パタリロ西遊記」と、中華な王朝を舞台とした4コマギャグな加藤四季「お嬢様と私」がわりと楽しみ。「お嬢様と私」はずっとドタバタやりつつ、皇后暗殺みたいなキナ臭い話題も出し、なおかつそれでもほのぼの気楽なノリを失わないあたりが独特。それにしてもコレって「メロディ1の長寿連載まんが」だったのか……。あと今号には5周年記念ということで、竹宮恵子「ブライトの憂鬱」が掲載。今回は「フレンドリーな悪魔」というエピソードの前半が掲載。

【雑誌】阿ウン 10月号 ヒット出版社 B5平

 魔訶不思議「惚れたは惚けたにさも似たり」。最近の摩訶不思議の漫画はエロくていいなあ。今回はボケたおじいちゃんが孫娘を死んだばあさんだと混同してセックスを迫るというお話。そのエロシーンも強力だが、描かれてはいないけど買い物とかいってお母さんがあわてて家から出ていく風情なんかも、それまで起きていたことを想像させてさりげなくHくさいと思う。こういう演出は好き。わたんかづなりは初登場。「総務部 神奈月榊」という読切。社長秘書を目指す新入女性社員が、だまされてHなことをされまくるというお話。実用性高め。ジャム王子の西遊記ネタのエロ作品「BAD SLAMMERS」は第8回。今回は牛魔王の娘がなかなかかわいいなといったところ。で、今号も師走の翁はお休み。


8/27(火)……見づれい刺青入れ済み

▼わーい。町田にもBフレッツのニューファミリータイプが来よる〜(→NTTのリリース)。提供開始が10月下旬ってことでどうせ工事にはけっこうな時間がかかるんだろうけど、それでも100Mbps環境がやってくるってーのはベリーグッド。さっそく導入を激しく決意。

【雑誌】ヤングチャンピオン 9/10 No.38 秋田書店 B5中

 岡田和人「教科書にないッ!」は、大楽先生が思いきった行動に出る。そして次号で最終回。集中連載2回め古泉智弘「路地裏のバッター」は、究極のバットスイングに目覚めた主人公がプロ野球にでも挑むんかいなと思っていたら、彼が捕まっている酒癖の悪い女の話が出てきてなんかそんなスカッとしたことはなさそうな展開に。このままダークな話になってくのかな。それもまた良しだが。作:高見広春+画:田口雅之「バトル・ロワイヤル」は相馬光子がエロすぎ。本当に中学生か……というのはこの作品ではいつもいうところであるが。作:戸梶圭太+画:大西和文「ギャングスタードライブ」は新連載。ダンサー志望のヒロイン敏子が、おばさんに頼まれてヤクザな父親からその娘を取り戻すべく、腐れ縁の男と一緒に彼女をかっさらうカーチェイスに乗り出すといった感じのお話になりそう。

【雑誌】漫画アクション 9/10 No.37 双葉社 B5中

 山崎さやか「東京家族」。父親1人+子供6人という最初の状態でもたいへんそうだったのに、今度はさらに母親3人。なんかむちゃくちゃ賑やか。大変そうだけど楽しそうな感じもないでもない。父親である壮がこの状況をどのようにさばいていくのかけっこう楽しみ。

【雑誌】漫画サンデー 9/10 No.35 実業之日本社 B5中

 作:原恵一郎+画:鍋田吉郎の新連載「巌流小次郎」は、巌流島の戦いの後、奇跡的に生き残った佐々木小次郎の生涯を描いていくという時代劇モノ。佐々木小次郎のキャラクターはけっこうカッコよく描けていてわりと面白そう。画:片山誠+作:鷹匠政彦の新連載「刺青刑事」は、背中に刺青を背負ってて悪党には容赦なくショットガンを浴びせるバイオレンスな刑事の活躍を描くポリスアクション。片山誠というと、つい「ワルGの……」と書きたくなってしまうけど、この人意外といろんなところで描きますな。作:田中誠一+画:千葉きよかず「剛球少女」。女性選手の体力的な限界はちゃんと描きつつもそこからどうするかって話になってて最近盛り上がっている。

【雑誌】P.マーガレット 10/1 集英社 集英社 B5平

 なんだか位置づけのよく分からない「プレミアム新増刊」。実績のある作家さんにたまには読切でも……という感じかな。この中では、いくえみ綾「あっさりショコラ(仮)」がやっぱり一段上という感じ。コンビニの店員である宮本に告白したけどソッコーで断られ、店外にあたふたと飛び出していった女性が、店を出た瞬間に交通事故に遭遇。再び出会ったときには記憶喪失になってたとのことで、宮本は彼女に振り回されるようになる。それまでは女なんて面倒くさいと思ってハナっから拒絶していた宮本の心が、ちょっとずつ和らいでいく様子がうまい具合に描かれていてさすがの面白さ。技術レベルも相変わらずしっかりしてて読みやすいのがとてもいい。

 アルコ「僕の右手、君の左手」。告白してやっと仲良くなった女の子から突然聞かされた別離の言葉。その欠落感と彼女の美しい想い出に少年は浸る。最終ページの透明感のある美しさはこの人の持ち味がよく発揮されていていいシーンだった。ただアルコについては「ラブレター」を読んだときの衝撃が非常にデカく、ついそれを基準に考えてしまいがちなので、今回の作品くらいだと若干物足りなくもある。もう少し切なさをぐぐーっと盛り上げてほしかった。永田正実「花火散る咲く」。けっこう良い。テニス部所属の女の子の言い出せなかった恋、その相手の少年のはかなく散った恋のお話。いかにもありそうな展開になるかなーと思ったら、そうはならずちょっと意表を衝かれる。でもすごく少女漫画らしい少女漫画という気がして、個人的にはかなり楽しめる作品だった。なおこの作品は「恋愛カタログ」連載開始以来、初の読切となるんだそうな。

【執筆陣】永田正実、山川あいじ、いくえみ綾、アルコ、山田雨月、藤井あけみ、羽柴麻央、日向まひる、あいかわ菜都、神矢純、川崎のぞみ、岡本ミリ、緑川彩子、すどうかなみ、あらいあやこ

【雑誌】LaLa 10月号 白泉社 B5平

 津田雅美「彼氏彼女の事情」は、宮沢が有馬の今まで知らなかった面を知ったうえで、黒白合わせて支えていくことを決意。若い少女ならではの健全な意志の強さを感じる。これからどのように展開していくかはもちろん分からないけれども。なかじ有紀「ビーナスは片想い」。最初は魚住くんを巡る紗菜の恋敵であったはずが、いつの間にか紗菜のほうに強く惹かれていってしまったユッキーのお話が多くなってきている。なんか紗菜の代わりにくっつきそうな娘も出てきてはいるけど、今回はアクシデントも起こってますますたいへんな状況になりそう。川瀬夏菜「カルテットカルタ」。これけっこういいと思った。クラス対抗の校内百人一首大会に出る代表に選ばれていってしまった女の子が、共通の目的に向かって頑張る中で、仲間の一人とくっついちゃうというお話。最終的には恋愛になるものの、百人一首大会で頑張ろうっていう盛り上がりもけっこうちゃんと描かれていて爽やか。

【雑誌】コミックミニモン 10月号 東京三世社 A5中

 今号は全般に手堅い作品は多いけどインパクトは弱めかなー。相変わらずほしのふうた「ミルキィツインズ」は、ロリっ娘たちがかわいいうえにエロチックでもあってすごくいいんだけど。なおほしのふうたは、9月13日に茜新社から発売される予定の単行本「ほおずり」[Amzn]に続いて、10月にも東京三世社から単行本が1冊出るらしい。たのしみだー。

【単行本】「MとNの肖像」6巻 樋口橘 白泉社 新書判 [bk1][Amzn]

 これにて最終巻。ヒロインがマゾヒストで、彼女とくっつくのがナルシストという異色の組み合わせで、最後まで怒涛の展開を見せた面白いラブコメだった。マゾ・ナルという設定自体も面白くはあるんだけど、基本的に両方とも不器用かつラブラブなところが初々しく、その恋愛模様そのものがちゃんと勢いのついたコメディになっていたのが良かった。ドタバタしつつ丸く収まっちゃうのもこの作品らしい。これ以上引っ張っても苦しそうな気はしていたので、6巻で締めくくったのはちょうど良いボリュームだと思う。


8/26(月)……リスと葛藤

▼可及的速やかに終わらさなければならない火急の仕事があったため、さすがにWebを更新するわけにも行かず、更新が遅れてしまいました。

▼なんか思うんだけど、最近疲れて頭が回らなくなってからのほうが仕事がはかどるような気がする。これはつまり、元気があって頭がある程度働いているうちは余計なことにも気がいっちゃって集中できないというのがあると思われる。さすがに弱ってくるともうあっちゃこっちゃ考えてるわけにもいかなくなるから、目の前の仕事にしか反応できなくなってくる。酒呑まないと文章書けないってのもきっとコレだな。

【雑誌】少年エース 10月号 角川書店 B5平

 原作:gimik/GONZO+漫画:ひよひよ「キディ・グレイド −リバース−」は、今秋からのアニメ化がすでに決まっているメディアミックス系の新連載。美女二人がコンビを組んで暴れ回るスペースオペラ……という構造はどうしても「ダーティ・ペア」を思い出しちゃうんだけど、もしかして古いすかね、もう。作:乙一+画:大岩ケンヂ「GOTH −リストカット事件−」は、人間の手というモノに惹かれてやまず、同級生の少女の腕がどうしても欲しくなってしまった少年の物語。これはなかなか面白くできていると思った。シャープな描線の絵柄はシッカリしてるし耽美なストーリーがよく生きている。乙一の原作のほうは読んでないのでどの程度忠実に漫画化してるかは分からないけど、単体で読んでちゃんと面白い作品だと思った。そのうち乙一の小説のほうも読んでみなくちゃなー。

 吉崎観音「ケロロ軍曹」。扉ページの「ママナニオ」は何を意味している言葉なのだろうと一瞬首をひねったが、「ママ十二才」だと気づいてショックを受ける。で、今回はお祭りのお話。浴衣がいっぱい。ゴツボ×リュウジ「ササメケ」は、まつり先輩が遅刻して的確なパスを得られなくなった楽市が個人技に走って前線で孤立。なんか本当にしっかりサッカー漫画してるなー。面白いです。

【雑誌】ヤングキング 9/16 No.18 少年画報社 B5中

 高橋秀武「7(セブン)〜環状七号線のやさぐれ天使〜」。伝説的なゾクのリーダーを兄に持つ主人公・笑次が、兄の単車を受け継いでマジモンな公道バトルを繰り広げるという第1回。しっかりした描線はなかなかカッコイイ。けっこう面白くなるかも。花見沢Q太郎「ももいろさんご」。今回、三悟は入江の友人である久保田さんに説教されるも結局やってしまう。そうか三悟ってテクニシャンだったのか。さんざん揉まれただけのことはある。いや、むしろ揉んだのか。吉野ケイイチの月イチシリーズ「CHICKEN DAYS」。これはけっこう好き。垢抜けてはいないけれども、なんかすごくラブコメらしいラブコメになってる。主人公成田の想い人であるタネ子がぱーっと明るく元気が良いのにも好感が持てる。

【雑誌】ヤングマガジン 9/9 No.39 講談社 B5中

 望月峯太郎の久しぶりの新連載「万祝」が連載開始。漁師の家に生まれ海辺の街に住む格闘技大好き少女・フナコが主人公なのかな。なんかポマードバリバリでダサく決めまくった妙に濃い男も登場して、なんだか下らなくも面白い作品になりそう。楽しみ。高田裕三「3×3EYES」はついに最終回。ちゃんとおっかけてなかったのだが、けっこう感動的でいい最終回であるように思えた。なんにせよ一時代を築いた作品であることは確かだし、今はごくろうさまといいたい。阿部秀司「エリートヤンキー三郎」。三郎と春菜ちゃんが夏祭りデート。いろいろトラブルはもちろんあるが、けっこう微笑ましい。たまには三郎にもいい目を見させてやりたいような気はするが、まあ当然このままでは終わるまい。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 9/9 No.39 小学館 B5中

 最近充実してますな。先週からの稲光伸二とかもそうだけど、「高校アフロ田中」「サユリ1号」とか、ここ1年以内くらいに連載が始まった作品も健闘してるし読みごたえがある。反面、ちょっと読みごたえがありすぎて電車内読み捨て雑誌にするにはヘヴィすぎるかも。

 三宅乱丈「ペット」。精神世界を扱った物語の中ではかなりいいものになりそうな感じがする。他人の記憶の中に潜り込み、それを改竄したりする作業と行為の危うさ、難しさがよく描けている。脳内イメージも陳腐になりすぎることなく、リアリティを感じさせる。柏木ハルコ「花園メリーゴーランド」。面白い。ますます盛り上がる村の淫らな秘祭。情欲が情欲を呼び、夜は混沌と更ける。その空気の中で若い相浦くんの心情がぐちゃぐちゃに乱れていく様子が非常に面白い。村上かつら「サユリ1号」は、大橋さんの役者っぷりがすごい。怖い女だなあ。すごく緊張感のあるストーリーとなっていて目が離せない。中野ハジメ「保土ヶ谷最中速派 セブン」は新連載。ヤンマガテイストのある車漫画で、絵柄は山口かつみ系かなってところなのだが、技量的にまだこなれてなくてなんかいまいち感あり。ところでヤングキングの高橋秀武の新連載も「セブン」だけど、ひょっとして今セブンがアツい? とか適当な思い付きをほざく。そんなことがあるとはどうにも思えない。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 9/9 No.39 集英社 B5平

 西野さん登場でさらに状況がしっちゃかめっちゃかになりそうな河下水希「いちご100%」。なんでこんな男がモテモテなのであろう、ということはたぶんどうでもいいのだ。凡庸な男がモテモテなほうが夢みたいだと思うし。樋口大輔「ホイッスル!」。今回はシゲの隠れた努力を描くエピソード。やっぱり熱血っていいなとかちょっと思った。


8/25(日)……無線は嫌れす

▼小田扉のホームページで告知されていたイベント「Wireless」がちょっと面白そう。酒を呑みながら音楽を聞いたり即売されている漫画同人誌を読んだりしてまったり過ごすというもののようで、小田扉は漫画、演奏ともに参加するらしい。漫画ではこのほか、個人的に気になるところでは大庭賢哉(krbk)、DIG、こーわといった面々も参加する模様。ただ9月22日だと仕事が佳境な時期だけに行くのは難しいかな……。

▼自分でもびっくりするくらい仕事したくなくて困る。なんか気がつくと、つい食器洗いを始めちゃったり、コンビニに行っちゃったり明日の朝御飯の仕込みをしてみちゃったり現実逃避。ごはんっておいしいよねー。

【雑誌】アックス 青林工藝舎 A5平 [bk1][Amzn]

 ふーん、花輪和一「刑務所の中」って映画になるんだー(もちろん実写)。渋谷シネクイントでお正月ロードショーとのこと。

 みうらじゅん「アイデン&ティティ32」はちょっと泣かせる展開。ガンにより余命いくばくもないと診断された岩本が、最後の力を振り絞って歌い続ける。岩本作詞の曲の「死にたくない」という言葉がしみる。福満しげゆき「僕の小規模な失敗」はまた別の意味でしみる作品。工業高校に入学したがその授業内容、校風になじめず、心を閉ざして漫画を描き始めた少年のお話。しかしその結果は芳しいものとならず、彼は一人絶望の中に沈んでいく。ラストシーンの主人公の生気のないまなざしがこたえる。逆柱いみりはなんか久々の登場のような。「赤タイツ男」。時代劇風の髪型をして、赤いタイツだけ履いた男が、街をうろうろするというお話……かと思ったら後半はまたヘンな展開。どういう話か要約してもしょうがないくらいのマイペースっぷり。素晴らしいねえ。石川次郎「Suzzy」「コマった」「つぶマル夫くん」は、「あっ、実験漫画だ!」と一目で思う実験漫画。ぜーんぶ細かい数字などでうめつくされたコマが延々続くという作品。面白くはないのだが、今どきこういうのを見るとなんだかホッとしてしまう。

【単行本】「そらトびタマシイ」 五十嵐大介 講談社 A5 [bk1][Amzn]

 アフタヌーン四季賞が生み出した最良の果実の一つであろうと思われる五十嵐大介による待望の短編集。非常に細かく慎重に引かれた線を集めて作られた画面、そして描き出されるファンタジーの数々は問答無用の説得力を持っている。例えば「le pain et le chat」で、万引き少女の目を見つめていたパン職人の男がその潤んだ瞳に引き込まれていき眼球の中の海をじゃぶじゃぶ渡るシーンなどは、もちろん現実にはあり得ないけれどそのイメージの豊かさに圧倒される。とくに自然や生物の描写については見事の一語。この人のファンタジーはまじりっけがない。教訓とか説教とか主張だとか、そういうモノにファンタジーを利用するといったところがまったくない。あるのはただただイメージ。そしてそれを美しく描く切るだけの画力。父母の喧嘩に嫌気がさした少女が、体から砂が出るという特異体質の女性と似顔絵描きの男性の部屋に居候をするという「すなかけ」なんかはストーリー面もきっちりしたいいお話なんだけど、だからといって何かを読者に押しつけるわけではない。でも心に残る。素晴らしい作品集なのでぜひ手にとってみていただきたい。

【収録作品】「産土」「そらトびタマシイ」「熊殺し神盗み太郎の涙」「すなかけ」「le pain et le chat」「未だ冬」

【単行本】「AMONデビルマン黙示録」4巻 衣谷遊(原案:永井豪) 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 この巻で「古代シレーヌ編」が決着。相変わらず高品質で力強く、美しい作画が際立っている。とくにシレーヌの描写は絶品。デーモンたちの美しさ、強さ、哀しさなどがすごくよく表現できていると思う。数あるデビルマンものの中でも最高クラス。なお、10月26日発売のマガジンZ12月号から始まる第五部は「世紀末魔女伝説編」と題されており、ついに牧村美樹にスポットが当たるストーリーとなるらしい。美樹といえば誰しもがあの魔女狩りのシーンをすぐ思い浮かべるだろうが、あの漫画史上に残る衝撃的なシーンをこの作品がどう料理するのか。すごく楽しみ。

【単行本】「不思議庭園の魔物」 大越孝太郎 河出書房新社 A5 [Amzn]

 猟奇的な雰囲気の作品に絞った短編集。この人の特徴であるシャープかつ耽美的な艶めかしい線の魅力が、ちょっとエロティックなイメージのからむお話によくマッチしている。この人の場合、最初のころの作品については絵はうまいけどお話的にはちょっと足りないかなーといったものが多かったように記憶しているんだけど、猟奇という方向に目覚めてからはすごく良くなっていると思う。そしてそれが現在もガロで連載中の「天国に結ぶ戀」へ、非常にいい形でつながっていっている。この作品集の中では、人形のような女しか愛せない男が出会った天職の物語「人形姫」がとくに面白かった。この人の確かなゆるぎない線は、人形を描写するのにすごく適していると思う。

【収録作品】「転生術綺譚」「青空少年」「膨張のトルーソー」「猟奇刑事マルサイ」「ピータンの壺」「夜の漁」「伍右衛門屋敷」「ベトナムチーム」「サルベージ」「ミステリーチャットタイム」「猟奇探訪小説(文:和嶋慎二)」「人形姫」

【単行本】「私がいてもいなくても」2巻 いくえみ綾 集英社 新書判 [bk1][Amzn]

 最終巻だと思ってたら違った。たぶん次の巻で完結。さすがに面白い。自分に向いた職業ややりたいことを見出せないでいた晶子が、かつての同級生で売れっ子漫画家である真希のもとでアシスタントをすることになる。この二人と、真希の彼氏である日山および晶子の元彼などを含めてそれぞれの人間模様が描かれていく。一直線に恋愛ややりたいこと・自分探しに行くわけではなく、道筋はくねくね曲がったりしているんだけど、読んでいてまったくつっかえるところを感じないのは素晴らしい。間合いの取り方、コマの配置など抜群にうまくものすごく読みやすい。しかも作画のクオリティもいつもながらに高いし。読んでて素直に関心してしまう。

【単行本】「パンテオン」1巻 榛野なな恵 集英社 新書判 [bk1][Amzn]

 「Papa told me」がしばらくお休みになって始まった連載作品。これは個人的にはかなり楽しみにしている。物語の中心人物は高校生4人。

芹沢彰子:親の都合で離れ離れになっていた兄・遼一を恋慕う少女。高校入学とともに兄と母の住む家に越してくる
芹沢遼一:彰子の兄。一見性格は軽そうだが意外とちゃんとしたところもあるモテ男子。
御倉弥生子:遼一の先輩で彼女。才色兼備の優等生だが、その仮面を維持しつつ遼一との性交渉を持つしたたかな面も。
重富桃子:成金の娘で演劇部。将来への目標をしっかり持ったポジティブな少女。外部の中学からやってきた彰子に惹かれるものを感じている。

 第一話は桃子視点で語られる部分が多いので彼女が主役なのかと思っていたら、その後は彰子の兄に対する切ない恋心を描くのがメインとなっている。美少女の口に出してはならない秘められた想い。なんとも切ないし、榛野なな恵の上品な作画が独特の美しい緊張感を作り出している。個人的には「Papa told me」は、甘口なキャラ設定と榛野なな恵が描きたいのであろう厳しい主張がすでに乖離しちゃっているという印象を受けてたんで、別口の連載に挑んだというのはこの人が作家として新しいステップを踏み出すためにも非常にいいことだと思っている。この作品についてはまず滑り出しは好調。次は桃子のキャラがもう少し生きてくるといいなー。

【単行本】「ななEろ」 おかのはじめ 晋遊舎 A5 [Amzn]

 たいへん滑らかな絵で肉感のむんむんしたHな絵を描くおかのはじめの2冊めの単行本。この手の作家さんだと「カラーはいいんだけどモノクロはちょっと……」ってな感じの人も多いのだが、おかのはじめはカラー・モノクロともにいいと思う。カラーは張りのある女体のつやつやした感じが出ててたいへん色っぽいし、モノクロはモノクロで鉛筆っぽい質感もある描線がきれい。女性の表情にも華があって、基本的に人が良さそうな顔つきをしているところが好み。ただお話的には若干弱いかなー。あとおちんちんが、顔のついているコミカルな描き方なのは個人的にはマイナス点。やはりTM-Revolution以後、ちんこはリアル志向が主流になった現代のエロ漫画としては表現的にちと弱いかと。


8/24(土)……B-SHOCK

▼ちょっと仕事を脱け出して末広町の「鳥つね自然洞」でうまいものを食ってくる。味がたいへん濃厚な親子丼は、やっぱりたいへんうもうございました。たまには贅沢してみるのもええもんです。でもさすがに1合5000〜6000円する、品評会出品用の日本酒には手を出せず。

【雑誌】アフタヌーン 10月号 講談社 B5平

吉岡康ニ「はこべ屋」は、母親をなくして居酒屋を切り盛りしている娘とその弟の物語。二人とも気丈に生きてはいるけれども、母への思慕はやはり残る。人情味を感じさせる作品。構図取りとかにフレッシュな風味があってなかなか。岩岡ひさえ「ゆめの底」。四季賞2002年夏のコンテスト入賞作品。独特の丸い顔、小さい目のキャラ造形がユニーク。コミティアで音々堂本舗というサークル名で出ている人ですな。不思議なファンタジー風味のある物語も雰囲気よろし。同じく四季賞夏のコンテストで谷口ジロー特別賞を受賞したトミイマサコ「ブキミ横丁」は、キュートな絵柄と黒っぽい仕上げ、それからメルヘン風味の取り合わせが面白い。おつかいに出された女の子が不思議な横丁で体験した、フシギな出来事を描く。時折挿入される1ページぶち抜きコマが印象に残る。

 外薗昌也「犬神」が最終回。スケールの大きな話を最後までしっかりと描ききった。最終14巻は11月発売とのこと。黒田硫黄「茄子」も最終回。最後までマイペース。じんわりとした面白さを持った作品だった。木尾士目「げんしけん」はみんなでコミケにゴー編。あまりドラマはないが、それだけに生っぽくはある。木村紺「神戸在住」は、辰木さんの旧友が神戸にやってきて彼女たちをもてなすというお話。女の子ならではの友情という感じでなかなかいいお話。鬼頭莫宏「なるたる」はけっこうエグい展開。まあこの作品らしいけれども。

【雑誌】ビッグコミック 9/10 No.17 小学館 B5中

 細野不二彦による新連載「ダブル・フェイス」がスタート。普段は下手な手品が趣味の冴えない消費者金融会社の社員、その実は裏で会社を仕切る驚異のマジシャンといった感じの男が主人公。わりと怪盗ものに近い雰囲気。細野不二彦だけあってさすがに手堅く読める。星野之宣「太陽馬」は、女性研究者・忌部神奈を主人公とする作品で、シリーズ化が決定為た模様。考古学的な要素に謎解きを加えた感じの作品。一つひとつ謎をときほぐしていく様子は読みごたえがあり。

【雑誌】Hip&Lip 9月号 ワニマガジン B5中

 ヤングヒップ同様のヌードグラビア+漫画といった感じの本。フェチをテーマに本作りがされているようで、漫画もそういうものが多かった。で、これが案外面白い。直接的なセックスシーンはあまりないのだが、その分エロく見せるための工夫を各人が凝らしているという感じでけっこう楽しめた。

 まずは西安「ホワイトスキン」は、母親のウエディングドレス姿に欲情したというトラウマを抱えている男が、教会で彼の嫁と淫戯に耽るというお話。シルクのすべすべ感に欲情しまくるという構図がかなり扇情的。山田タヒチ「教えて♥マナミ」は、喫茶店のバイトに入った新人が、先輩の巨乳ウエイトレスさんと店内で……というお話。かなり馬鹿漫画チックで楽しかった。この人はいろんなものを器用に描きこなすなあ。やまのべきった「業」は、足フェチ漫画。椅子職人のおっさんと、彼がずっと見つめてきた娘さんのお話。彼女の姿を思い浮かべながら、椅子の足に頬ずりし続ける姿は男の妄執が出ていてグッド。わりと美しく仕上がっている。桐生知彦「エマ」は唇。たいへんエロチックな唇を持つ娼婦に憧れる、娼館の下働きの少年の切ない恋の物語。肉厚な唇にむんむんした色気が。上月まんまる「R」は、女体をモデルに壺を作っている男のお話。こちらは女性の身体の曲線にこだわりを見せる。濡れた壺のフォルムは、風変わりだがこういうのもなかなかエロチックなものであるなと思わせる出来。

【漫画執筆陣】いのうえたくや、こばやしひよこ、西安、やまのべきった、桐生知彦、上月まんまる、天竺浪人、椿孝四郎、山田タヒチ


8/23(金)……観光費

▼Yahoo!BB 12Mを試しに導入。1.2Mbpsしか出ない。局からそこそこ離れているうえに、電話線を分岐しているので信号がけっこう減衰しちゃってるんだと思われる。ただウチで使ってるCATVインターネットが最近調子悪くて、深夜だと300kbpsとかまで落ち込むことがある。しかもわりと頻繁に接続が切れる。ピーク時は3Mbpsくらいは行くのだが。コンスタントに1.2Mbps出るほうを使うか、それともピークは速いけど遅いときはすごく遅くなる回線を使うか、ちと悩む。どっちかは解約しようと思うのだが……。いっそBフレッツ入れちゃうかなあ。でも100Mbpsのベーシックコースだとプロバイダ料金込みで月額2万円くらいとられるし、10Mbpsのファミリーや100Mbpsのニューファミリーは回線共有タイプだからCATV同様パフォーマンスが落ちる可能性があるし。うーん。悩むところだな。

【雑誌】別冊ヤングマガジン 9/6 No.035 講談社 B5中

 松本剛「甘い水」がかなりキツい展開。沢俣さんが隠し続けてきた秘密がついに露見し、夏生は激しいショックを受ける。ここまでしっかりキャラに感情移入させられているだけに、一見爽やかな恋愛モノっぽいところもあっただけに、厳しい現実を呈示されるとずどーんと心が重くなる。これはきっと描いているほうもかなり息が詰まると思うけれども、それでも描いてしまうあたりすごい。このまま最後まで正面から描いていったら相当なもんになると思う。目が離せない。天田草太「ワルサー606号室」はデビュー作。勢いがあってかなりいいんじゃないかと思った。ちょっと情けない感じでチャラい男・工藤優作と、その彼女である新蜂たまきが同棲している部屋に、拳銃を持った男が立て籠もり二人はピンチに陥る。終盤のひどくみっともないけど愛あふれる展開は、ガムシャラなパワーがあってかなり良かった。けっこう面白い存在。

 最近のお気に入り、藤寿男「サイキックソルジャー正義」は今回もいい感じ。生理中で超能力を使えなくなっているあいちゃんを襲う、正義のいつもの脳天気ぶりと、不良たちの悪意。すごく平和でいい。坂井理恵「ラブホルモン」。一時期疎遠になっていた達也と日野さんだが、再び正面から向かい合う。そろそろクライマックスが近いかな。こうのこうじのボウリング漫画「カラコカコ〜ン」は連載再開。なんとなくだんだん女子キャラが可愛くなってきているような。前川かずお「闘破蛇烈伝DEI48」は最終章がスタート。この手の、最初っから48手とか101引匹の妖怪だの宣言してしまう作品はなかなか最後まで行き着けなかったり途中をすっ飛ばしてしまったりすることが多いけど、この作品はきちんと48手やり遂げようとしている。すごい話だったがなんだかんだいってエラい。山本マサユキ「六本木リサイクルショップシーサー」。精力的に描いているな〜。女の子も可愛いしコンスタントに面白い。ハズレがなくすっかり安定株。市川ヒロシ「2人暮らし」。単行本が10月4日に発売されるらしい。めでたい。

【雑誌】ヤングアニマル 9/13 No.17 白泉社 B5中

 文月晃「藍より青し」。正直なところ、本筋な展開をされるよりもダメな展開のときのほうが面白いと思ってしまったり……。森恒二「ホーリーランド」。ブチ切れたユウがかなり怖い。粗暴な人間の暴力はある意味普通だけど、ユウの場合は抑制が利いてないので相手もユウも壊れそうに思えてしまう。作:あかほりさとる+画:板場広志「マウス」。今回は落ち込むマウスを奴隷たちがみんなして慰めるというお話。やりまくって裸の女が累々と横たわってるときに「宙太さんがこんなに苦しんでいる」とかいわれても……。なんか最近、マウスのタバコでも吸うかのごときやりっぷりがけっこう笑える。

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 9/6 No.18 小学館 B5中

 高田靖彦「ざこ検マルチョウ」が最終回。すっきりしたいい終わり方だった。この作品の場合、潮が検事ということでそれぞれの事件ごとに敵というか容疑者たちが変わるため、敵のレベルアップみたいな継続性が作りにくいところもあっただろうし、あんまり引っ張らずにスパッと終わっちゃうのは正解だと思う。作:鍋田吉郎+画:一色登希彦「会社を変えた男たち キリンビバレッジ(株)佐藤章の巻」後編。缶コーヒーのFIREを立案した人のお話だけど、実録モノとしてはなかなかいい出来だった。何が会社の上層部の心を打ったのかというところはちと分かりにくかったけど、展開はドラマチックだったし一色登希彦のコミカライズの出来栄えも良好。

【雑誌】コミックバンチ 9/6 No.38 新潮社 B5中

 最近けっこう面白い。電車の中で読んでる人もそこそこ見かけるし、週刊誌として定着してきた感じはする。読んでて肩凝らないし、単行本でというよりも、むしろ雑誌で読みたいなと思わせる誌面になってきてるように思う。ジャンプ大御所勢以外の作家の作品も読めるものが揃ってきたし。まあ売上に結びついているのかどうかは知らないけど。

 日高建男「満腹ボクサー徳川」は2話め。けっこういい具合。絵は濃いめだが、「ワイルドリーガー」の渡辺保裕ほどではなく十分読みやすいし、太っちょボクサーというコンセプトも分かりやすくていい。この雑誌の中では、現在一番期待している。こせきこうじ「株式会社大山田出版仮編集部 山下たろ〜くん」。「ハムちゅー仮面」のアニメをいいものに仕上げるのは重要だが、「ハムちゅー石鹸」に社運を賭けるのはやめといたほうがいい、と思った。

 作:上之二郎+画:小野洋一郎「報復のムフロン」。これもいいね。読みやすいし緊張感あるし。今回は主人公・佐野羊兵の家族にまでテロリストたちの魔手が迫り、よりのっぴきならない状況になってきた。どうでもいいけど最後のコマで出てきた刑事さんは「プルンギル」の猪瀬さんに似てますな。坂本タクマ「屈辱er大河原上」。ついに9月9日に単行本第1巻が発売ということでめでたいが、ハシラのところに「レア本化必至!!」とか書かれるのはさぞ屈辱であろうかと。たくさん刷ればレア本にはならないんだけど……。

【雑誌】近代麻雀ゴールド 10月号 竹書房 B5中

 せきやてつじ「おうどうもん」がけっこう面白くなってきてる。かつて伝説の雀士だったオヤジに息子が挑むという展開になって、キャラのかっこよさが増してきた。闘牌の内容自体はかなり大ざっぱっぽいけど、ストーリーとしては盛り上がってきている。これちゃんと単行本になってほしいな。まだ3話めなのに早くもそんなことをいうのは、第1話と第2話を切り抜きそびれてしまったから。とみさわ千夏の読切「不思議なピーチ牌」。上半身ビキニ下半身短パンの色っぽい外人ねーちゃんが、あがるたびに胸を寄せたり尻を振ったりして「チートイチートイ 私ニマタ来テクダサ〜イ」と踊って、男たちがそれを見ておおーっと声をあげて盛り上がるという非常にシンプルなお色気もの。かなり脳味噌トロけ気味。しょうもなさすぎてけっこう好きだ。


8/22(木)……平安書道公開

【単行本】「そっと好かれる」 小田扉 太田出版 A5 [bk1][Amzn]

 出てくれてすごくうれしい。「こさめちゃん」に続く、小田扉2冊めの単行本。今回は商業誌、同人誌合わせて各所で小田扉が描いた短編を集めた単行本となっている。すごく面白いんだけど、どのように面白いかというとなかなか説明しづらいのが小田扉。絶妙の呼吸で飄々と繰り出されけしてうるさくなることのないギャグ、そしてときにはそういったギャグをやりつつも読み終わった後でちょっと切ない気持ちが残る作品も描いちゃったりするあたり素晴らしい。絵もいい。別にガリガリ描き込んでいるわけではなく、シンプルでいい加減っぽい線なんだけど、得もいわれぬ味があってなんだかずっと見ていたくなるような心地よさがある。人間の表情なんか最高だ。このさりげなさ、肩の力の抜けっぷりは天性のもんだと思う。

 窃視癖があって課長のことが大好きなOLの野木さんの日々を描いた「そっと好かれる」とかはほのかにおかしくていいし、サイボーグ4人がファミレスで自分たちの能力について下らない話をする「サイボーグ大作戦」なんかは純粋に馬鹿馬鹿しくてイカしている。まだ小学生な子供たちの日常を描いた「子供で雪の子」あたりはしみじみとした味わいがあるし、同人作品の「放送塔」は何かヤバいヤマを抱えた4人の会話を淡々と描いて何やらもの悲しい読後感を残す。どの作品も小田扉ならではの味が十分発揮されててたいへんに面白い。独自のリズムを持った人だから何を描いても小田扉らしくなる。こういう人は強い。

【収録作品】「そっと好かれる」「学び舎大戦争」「高枝さん」「古野さんのワールド・カップ」「サイボーグ大作戦」「子供で雪の子」「マシンガンでぶっ放せ」「お知らせ怖し」「飽きの来ない」「バルコニー知らんぷり」「世界一周スクール☆ウォーズ」「ロングT」「エレクトロねえさん」「大江戸君」「宇宙温泉」「革むくじゃら」「放送塔」

【単行本】「FADE OUT」1巻 いけだたかし 小学館 B6 [bk1]

 この世でただ一人の、霊界と物質界を行き来することのできる「幽霊族」に属する14歳の少女・こかげが、その体質のおかげで出会うさまざまな出来事を描いていくというお話。優しい絵柄で丁寧に描かれた物語は、暖かい思いやりに満ちていて気持ち良いお話となっている。とくに第一話で、霊界に行ったまま元に戻れなくなりそうになったこかげを、彼女の幼なじみであるトシアキが飛びついて引き戻すシーンなんかはとくにいい。この作品を契機に、けっこういっぱいある未収録の短編とかも単行本にまとまってくれると非常にありがたい。

【雑誌】モーニング 9/5 No.38 講談社 B5中

 佐藤秀峰「ブラックジャックによろしく」。新生児集中治療室に斉藤が配属されるというER編がスタート。未熟児ということで身体も小さいだけに、投与する薬の単位もすごく少ないし、ものすごくデリケートな医療であるということが伝わってくる。しかも新生児を取り巻く親たちの人間ドラマも複雑に絡み合って、医療以外の部分でも厳しさを感じさせる。熱く激しく、相変わらず読みごたえは抜群。山田芳裕「ジャイアント」。面白い。力強いし爆発力がある。問答無用なパワフルさは見てて非常にスカッとする。

 国友やすゆき「コッコちゃん」。同性をムカつかせるように描いていると作者自身がいうだけのことはある。すごいぜコッコちゃん。無自覚でお色気を発揮しのし上がっていってしまう様子は、確かにムカつくわなあ。さすが国友先生。やることが惚れてしまいそうなくらいにあざとい。この前「暁星記」の第二部が完結した菅原雅雪は、コロポックルみたいな妖精たちが現代日本に出てきて放浪するほのぼのした4コマ「蕗のお便り」を再開。とりあえず継続して登場し続けてくれるというだけでもうれしい。

【雑誌】ヤングサンデー 9/5 No.38 小学館 B5中

 作:魚柄仁之助+画:大谷じろう「おかわり飯蔵」。今回はマヨラーのライターさんを飯蔵&さくらのコンビが助けるというお話なんだけど、正直いってこんなの助けなくてもいいような……。和食の店の取材で来ているのに、店が出してきたモノに対していきなり手持ちのマイマヨネーズをぶちゃぶちゃぶっかけるなんていくらなんでも……と思うんだが。マヨラーという生き方自体は否定しないが、ライターとしてはさすがにマズかろう。

【雑誌】ヤングジャンプ 9/5 No.38 集英社 B5中

 小手川ゆあ「死刑囚042」が掲載。人を殺したいという衝動に駆られると爆発するチップを埋め込まれた状態で学校の用務員をやるという、死刑廃絶へ向けた実験の被験者となっている死刑囚と、彼を取り巻く人々のドラマを描く作品。今回は主人公の優しい面が発揮されて、わりとほのぼのした展開。なんか最初の冷酷無情な殺人鬼という設定とは、イメージがずいぶんかけ離れてきちゃってるけど……。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 9/5 No.39 秋田書店 B5平

 八神健「ななか6/17」が連載再開してたいへんうれしい。ななかと雨宮さんも海外から帰ってきたし。とはいっても雨宮さんは傷心の帰国。相変わらず報われないというか……。ともあれけっこうオドロキの新展開もあったし今後に期待。松山せいじ「エイケン」。今回はけっこう面白かった。やっぱりフリークスなキャラが活躍してこそ「エイケン」。

【雑誌】ドルフィン 10月号 司書房 B5中

 くどうひさし「Natsu bana」。子供のころからよく遊びに来ていた妹分的な女の子・ゆかりちゃんと男が、とある夏の日に恋人同士になる……というお話。くどうひさしの作風はいつもながら清々しくていい。めがねっ娘のゆかりちゃんもなかなかにかわいいし。

【アンソロジー】アイラDELUXE Vol.2 三和出版 A5平 [Amzn]

 すごいうんちだなあ。すごいちんこだなあ。そう思わされるのがしのざき嶺「Camp♥Heaven」。樹脂状に固まったうんちを手で引っ張ってずろーりと引き出すシーンは、スカトロ趣味はない自分としてもなんだかすごく気持ち良さそうに思えた。掘骨砕三「閉暗所同好会」。今回主人公がお仕えする女性、三倉岳さんは非常にかわいらし。横から見るとあの福引きで使うようなガラガラ(正式名称なんていうんだろう)みたいな形をした車輪付きの閉暗所を、自分の手でぺたぺたと床を押して移動する姿はさながら蝸牛のよう。プレイのさいのイタズラっぽい表情もいい。まあやってることはかなりスカトーロでハードなんだけど。このシリーズも回を重ねてきて、主人公の変わりっぷりにもおどろかされる。環境に応じた進化とでもいうべきか。ベギラマ「乙女失格」。相変わらず実録なんだけど面白いなあ。今回は掃除機を使った蒲団圧縮袋みたいなものに入るというAV撮影の話。作品名は「窒息パラダイス」でアロマ企画というところから出ているらしい。すごい勢いで酸欠でハイになっていく姿が面白おかしい。なんかこのビデオ観たくなっちゃったよー。


8/21(水)……サラダ十勇士

▼おっ、ついにUSB2.0に対応したビデオキャプチャーデバイスが出るんですな。アイ・オー・データ機器「GV-MPEG2/USB2」。問題は環境が適合するかどうかだけど……。正直欲しいけど、USB2.0の導入についてはこれまでけっこう苦戦してきたんでつい慎重になってしまう。とりあえず現物を見てみたいところではある。

【雑誌】FEEL Salada 祥伝社 B5中

 Zipper comicなき後の後継誌だかなんだかな、という増刊。表紙には「新世紀ガールズ・コミック誕生!!」とあるんだけど、これって2号めは果たして出るのだろうか? と思ってしまったのは今号の内容が基本的に読切メインであり、なおかつ、ジョージ朝倉「ハートを打ちのめせ!」は2003年1月号から、朝倉世界一「地獄のサラミちゃん」は11月号からと、Zipper comicから引き継いだW朝倉のおいしそうな連載が揃ってFEEL YOUNG本誌への移籍が決定しているほか、魚喃キリコ「strawberry shortcakes」も最終回となっていたりするからだ。次号予告もないし。とりあえず1冊出してみて、続きはこの号の売れ行きを見て出すか出さないか決める……という感じかな? まあなんでもいいといえばいいんだけど。

 で、内容のほう。ジョージ朝倉「ハートを打ちのめせ!」。今回は中学生ながらちょっとススんでる男子に惚れてしまった女の子が、体は許さないでいたら彼は浮気をしてしまい……というお話。背伸びなんかしたくないけど自然とそうなってしまった女の子の切ない気持ちを描き出している。メリハリの利いた線は相変わらず力強くて、ぐいぐい読者を引っ張り込む力がある。相変わらず面白いなー。藤原薫「楽園」は、「赤ずきんちゃん」をモチーフに、森の中で出会った男に処女を散らされるがその男に心を奪われてしまった少女を描いた作品。硬質で美しい描線が冴えている。それまで汚れなくいた少女がより暗い方向へと魅了されていく様子が艶めかしい。

【執筆陣】安野モヨコ、ジョージ朝倉、魚喃キリコ、藤末さくら、三原ミツカズ、かわかみじゅんこ、羽央、帯賀友紀、藤原薫、近藤悦子、藤田貴美

【雑誌】週刊少年サンデー 9/4 No.38 小学館 B5平

 高橋しんが登場して新連載。「きみのカケラ」がスタート。文明があらかた滅び壁に囲まれて雪ばかり降っている世界を舞台に、実際的な権力をなくした王女イコロと空から落ちてきた少年が、「太陽」を探す旅に出るという冒険ファンタジー。この二人とも、笑いや痛みといった感情や身体感覚の一部を失っており、それを探すための旅でもある模様。初回からいきなり物語は大きく動き、カラーページの使い方などでもあっと驚かせる仕掛けが。正直なところ、高橋しんの作風についてはなんだか作品に対する自分の態度が定まりきらないってのがあって、どうも居心地が良くない。でもそうであったとしても、認めざるを得ないようなことをわりと高い頻度でやってくるあたり、凄い描き手であることは確かだと思う。

【雑誌】週刊少年マガジン 9/4 No.38 講談社 B5平

 川口憲吾「脳みそプルン!」が最終回。最後はけっこうヒネったネタをかましてきた。ギャグ漫画だけにこういう仕掛けはちょっとうれしい。

【雑誌】ファンタジーライズ 10月号 メディアックス B5中

 EB110SS「となりの真由ちゃん」は最終回。結局おにいちゃんはちっちゃい女の子の尻にしかれることに。「真由はお兄ちゃんのお嫁さんになるよ!」。うーん、決めゼリフですな。木静謙二「かてきょ」。ここまで手と口と胸で5発。引っ張り続けた少年とめがねっ娘巨乳の家庭教師がついに本番突入。なんかまだ続くらしい。それにしてもこの人の描くエロ顔はいいね。風情がある。ジェームスほたての、まるで人間型パソコンみたいな感じの抱き枕シリーズ「まくらといっしょ」。今回はショタ型も登場してますます好調。最近この人は女体の描き方がねっちりしてきてホントにHくなってきた。


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