2007年4月下旬


4/30(月)……海産物

▼遅ればせながらOHP月極アンケート入れ替え関連について。2007年5月のテーマはトップページで告知したとおり「今このギャグ漫画がオモシロイ!2007」で。2004年7月に実施いして以来、久々の開催。この手の定番ジャンルについては2〜3年にいっぺんはやっておきたい。その間に出てきた作品もいろいろあろうかと思いますんで、ぜひそういった面白ギャグ漫画について、語っていっていただければと思います。

 あと2007年4月分「職人・専門職モノ」は、大河原遁「王様の仕立て屋」が1位で終了。ものつくり系、サービス系などなど、専門的な知識や経験を要する職業モノの作品について語るというテーマで実施してみましたが、これもどこからどこまでを範囲とするかというくくりがちょっと難しかった。投票総数も少なめ。職業モノの作品はわりとよく見るんで一度やってみたかったというのはあるんですが、ちと「職人」というイメージに引きずられてしまった感があったかな。あと職業モノって、それなりに読めるけど、投票して語りたくなるほど面白いっていうのはさほど多くなかったりするのかもしれません。

【単行本】「福助」1巻 伊藤静 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 モーニングで短期集中連載された作品で、雑誌連載時から気になっていたが、これはまとめて読んでみると、思った以上に良い作品だった。

 祖母の死後、ひとりぼっちになってしまい、収入も少なく、前につき合っていた男との子供まで宿してにっちもさっちも行かなくなっていた主人公・千晶。そんな千晶がある日、祖母の遺品である「福助」と書かれた箱を開けるとそこから小さな男の子が出てくる。彼は千晶にしか見えず、彼女に福をもたらすたびに年をとり、成長していく。二人の暮らしはちょっとヘンだけど暖かく過ぎていくが、福助を狙う謎の集団の出現により、その生活はしだいに脅かされていくことになる。

 伊藤静の作画は、絵的にはまだこなれてない部分もあるんだけど、描写自体は非常に丁寧。物語もしっかり作り上げられており、ひとりぼっちだけど頑張って生きる千晶、彼女を支えようとする福助の暖かい気持ちが伝わってくる。途中千晶と福助は、福助を狙う集団によって危地に陥るが、非常にハラハラさせられる。またラストも気持ち良い締めくくりとなっていて、しみじみと心打たれるものがあった。いくぶん地味ながらも、お話をちゃんと作り、キャラも大切にしていることがうかがえて好感が持てた。1巻となってるってことは、続きもあるのかな? あるとしたらそちらにも期待したい。

【単行本】「ふぁにぃみゅうじあむ」1巻 伯林 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 「しゅーまっは」の伯林の最新作だが、これは本領発揮という感じで面白かった。「世界一怪しい」と悪名高い博物館にやってきた女の子・田中由佳が、300億円するとかいう展示物を壊してしまったせいで、そこで住み込みのバイトをさせられることに。しかしそこにはわけの分からん怪物たちが寄り集まるデンジャラスゾーンで、由佳は毎日生きるか死ぬかのヒドい目に遭わされまくるのだった。

 といった感じのドタバタギャグなんだけど、特筆すべきは登場するモンスターたち。最初は全部ミイラ、巨大土偶、チュパカブラといったモンスター姿で登場するんだけど、一暴れした後はみんなかわいい女の子姿に変身。そして由佳になついてくるけど、しょっちゅう元の姿に戻ったりもする。ちょうど「しゅーまっは」のまはみたいなチビキャラが、わらわら複数いる感じ。かわいい女の子とグロキャラがドタバタ動き回るお話は、たいへん賑やかでとにかく楽しい。あと伯林の描く女の子たちはやっぱりとてもかわいくて、見ててほのぼのさせられる。萌えとグロがごく自然かつ絶妙に溶け合った、とても楽しい一作。

【単行本】「おかめ日和」 入江喜和 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 「杯気分!肴姫」とかの入江喜和の最新刊。短気でヘンクツな鍼灸医の旦那と、太くて気のいい主婦のやすこさん。それからじい様、子供たちの御家庭生活をほのぼの描いてクホームドラマ。主役は奥方のやすこさんなんだけど、彼女は本当にいい人すぎる。旦那さんの彼女に対する扱いは相当つっけんどんなんだけど、いつもにこにこ笑顔を絶やすことなく、家族のために頑張る姿は実にかいがいしい。カバのごときど太い体がなんとも頼もしく、慈愛に満ち満ちている。読んでると旦那さんのあまりのワガママぶりにちと腹が立ったりもするんだけど、その分奥さんのいい人ぶりがしみてきたりもする。入江喜和の描くおばさんはチャーミングだなあ。これは惚れる。

【単行本】「邪眼は月輪に飛ぶ」 藤田和日郎 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 藤田和日郎がビッグコミックスピリッツで描いた短期集中連載。その目で見られた者は皆死んでしまう邪眼の持ち主であるフクロウと、彼を撃ち落そうと狙う老猟師たちの対決を描いたアクション漫画。ダイナミックかつしっかりまとまっていて面白い。なぜそのフクロウに見られた者は死んでしまうかについての合理的な説明はされず、一歩間違うと荒唐無稽でハチャメチャになりそうな作品を、力づくで読ませる剛腕ぶりはさすが藤田和日郎。

 藤田和日郎はカッコイイ爺を描くのが好きな作家さんだが、この作品に登場する猟師の鵜平も、不器用で無愛想だが、超絶的な技量と誰にも屈せぬ気高さ、そして男としての優しさを兼ね備えたカッコイイキャラ。鵜平の養女であり、邪な力を祓う力のある輪、フクロウ退治に駆り出された米国軍人といったキャラたちも、それぞれのポリシーをしっかり持っていてアツい。悪役であるフクロウも、狂的で邪悪ながらどこかもの哀しげな雰囲気をたたえていて、これもユニークな存在といえる。

 アクションはとにかく激しく迫力満点に。それと同時に人間の強さ優しさといった魅力もしっかり描き出す。メリハリが効いてるし、1巻でちょうど収まったボリュームもちょうど良い。よくできた一品。

【単行本】「魔法少年マジョーリアン」1巻 石田敦子 双葉社 B6 [bk1][Amzn]

 ナヨナヨしていて女の子にしか見えないほどかわいすぎる少年・イオリと、彼のことをいつもイジメている同級生・マサル。そんな二人がある日ひょんなことからウサギみたいな感じの不思議な生き物によって魔法少女に変身させられ、地球の平和のために戦っていくことを強要されていく。

 そんなわけで「少年なのに魔法少女」という、すごくベタベタな設定に基づいたお話なんだけど、パッと見の派手さとは裏腹に、なかなかどうして読みごたえがある。マサルがイオリをいじめているのは秘められた恋心の裏返し、イオリはイオリで健気なようでいながら何かもやもやしたものを心に抱えている様子。さらにサブキャラでもマサルの姉たちは、ちょっと危なっかしい娘さんが多く、ずっと年下なイオリに恋しちゃったりする娘や、実の姉ながらマサルに執着する娘などがいる。

 最初はちょっとバカっぽい変身美少女モノかと思ったら、お話が進むにつれて、それぞれのキャラの心の歪んだ部分などが浮き彫りに。いつもの石田敦子よりは煩悩丸出しではあるけれど、ダークな部分を真っ向から描いていく作風もやはり健在。なかなかにスリリングで刺激的な作品となっており、今後の展開に期待を持たせる。

【単行本】「暁色の潜伏魔女」1巻 袴田めら 双葉社 B6 [bk1][Amzn]

 わりと百合系な魔法学園モノ。主人公の暁は、魔力があることがバレて、外界とは隔絶された魔法学園に編入させられてしまった少女。暁には名前も顔も知らない姉がおり、彼女が学園にいるらしいと知った彼女は、学園で生活しつつ姉探しも行っていく。というわけで1巻時点での主なストーリーは、学園ほのぼの物語と、姉探しの2本立て。百合についてはむちゃくちゃ濃厚というわけではないけれど、お話のあちこちでその手の雰囲気を出しており、全体的に華やかで微笑ましい。基本的には明るく健全、ほのぼのしたお話なんで、楽しく読んでいけます。

【単行本】「コーヒーもう一杯」3巻 山川直人 エンターブレイン B6 [bk1][Amzn]

 コーヒーにからめたショートストーリー連作3巻め。この巻も、これまでの2巻同様、味わい深いお話がいっぱい詰まっていてとても良い。山川直人ならではの丁寧で情緒のある物語は、ちょっぴり甘く、ちょっぴり切なく、渋味も深みも兼ね備える。しみじみ面白い。

【単行本】「ナルミさん愛してる その他の短篇」 山川直人 エンターブレイン B6 [bk1][Amzn]

 こちらは2002年に少年画報社から単行本が出版された「ナルミさん愛してる」に、新たに「おねえちゃん」「コートと青空」「ふたり暮らし」の短篇3作を加えた単行本。「ナルミさん愛してる」は、アパートで一人暮らししているナルミさんという女性と、彼女のことを見守っているぬいぐるみのドミノの生活を、暖かく優しく描いた物語。ほのぼのした雰囲気と、胸をキュッと締め付けるような切なさが同居する物語はこの人ならではの味わい。とくにラストシーンは、ナルミさんの幸せを願うドミノの気持ちが暖かくて切なくて、ホロリとさせられるものがある。短篇3本についてもそれぞれ完成度が高い。読み終わったときに満足の吐息がこぼれる良い本です。

【単行本】「怪物さん」 西川魯介 幻冬舎コミックス B6 [bk1][Amzn]

 妖怪にからまれていやらしいことをされそうになっていた主人公・種村くんが、不思議な先輩女子・立烏帽子さんに助けられて彼女に一目惚れ。でも立烏帽子さんは強い力を持つ、なんだか得体の知れない人で……と続いていくお気楽怪異学園ストーリー。まあそんなわけでこの作品では妖怪がらみの事件がいろいろ起きるんだけど、いずれもエロげな事件ばかりで、襲われるほうもけっこういい想いしてなし崩し的にそれを受け入れちゃったり。西川魯介の絵柄は柔らかくて明るいけどけっこうエッチいので、エロ系のネタが光っている。まあ気楽に読めて、エロや萌えもあり、小ネタも効いている。ラストの〆の部分は話がいきなり大きくなりすぎな感はあるけど、楽しめる一作だと思う。

【単行本】「愛気」4巻 ISUTOSHI 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]

 この巻もわりと気楽な格闘漫画を展開。この巻では承久はだんだん調子を上げてきて、襲いかかってくるヤングどもを次から次へとギタキタに。その強すぎる様子を見るのは痛快。ええ加減なノリで努力とは無縁っぽいけど、掟破りな強さを発揮する承久のキャラがやはり見てて面白い。あと今回は承久ママも出てきて、彼に関する重大かつ情けない事実が判明。まあ肩の力抜いて読んでいけていいんではないでしょうか。


4/29(日)……首磁気アンバランス

▼ゴールデンウィーク中にたまってた更新終わらすつもりがますます遅れてしまった! これ書いてるのは5月7日の昼)。でもまあこの後は多少ぺース上げる予定です。GW期間中の日記は複数日分まとめて書くつもりですし……。

【単行本】「預言者ピッピ」1巻 地下沢中也 イースト・プレス A5 [bk1][Amzn]

 長年待ち続けた単行本がようやく。COMIC CUEで2003年夏に単行本化という告知が出てから延期されること4年。正直なところ「今回も期待薄だろうな……」とか思ってたんで、ちゃんと出たときにはえらく驚いた。

 で、内容のほう。本作の主人公は、「ピッピ」という名前の人間型のロボット。ピッピは科学技術の粋を集めて作られた超高性能なコンピュータで、最初は地震を予知するのが役目だった。しかし親友であったタミオ少年を失って、そのショックによりいったん機能を停止する。その後しばらくして機能停止から復活したピッピは、地球上のありとあらゆるデータを取り入れ、予知の範囲を地震のみならず、すべての事象へと拡大していこうとする。「すべてのものの行く末を知る存在」の出現は、人類に何をもたらすのか。この作品はそんな大きな命題に真っ正面から取り組んでいく。

 というわけで要するに「ラプラスの悪魔」を近未来社会に出現させ、その影響を描いていく作品なわけだが、これが実に面白い。「完璧な未来予知は人を幸福にするのか?」というテーマ自体は、SFとしては古典的なのかもしれないが、回が重ねるごとに、ページが進むごとに緊張感が高まっていくストーリーは迫力満点。地下沢中也の絵柄自体はどちらかといえばコミカルなものだが、お話はシリアスそのもの。最初はうっすらとした不安程度のものだったのが、だんだんに膨れ上がり、それが人類全体の行く末を左右するほどのものへと変貌していく物語にグイグイと引き込まれていってしまう。

 ……とすごく面白い作品なのだが、本作品は2003年5月に出た COMIC CUE Vol.300に掲載された第7話を最後に中断している。というかCUEがその号を最後に出ていないので続きようもないのだが。ただ「今どきこんなガチンコな作品を描く人はそうそういまい」と思えるくらいに大きなテーマであり、シミュレーションもやっかいそうな内容であるだけに、収拾をつけるのは難しかろうなという気もする。ここまでがすごく本格的に作られてきただけに、ハンパなケリの付け方するわけにもいかないだろうし。でもやっぱり未収録分も単行本化してほしいし、できれば続きも読ませてほしい。なんとかならんもんですかね。

【単行本】「しゃべれどもしゃべれども」 作:佐藤多佳子+画:勝田文 白泉社 B6 [bk1][Amzn]

 メロディの別冊付録で読んだときも面白いと思ったけど、改めて読み返してみてもとても良い。読み終わって「あー、面白かった」という気分に包まれた。これはすごくよくできてると思いますよ。

 お話の内容を大ざっぱに説明すると、半人前の落語家である主人公・今昔亭三つ葉と、それぞれの事情から彼のもとで落語を習うことになった老若男女4人組の物語ということになる。一人ひとりはちょいと変わり者でなかなかうまく世を渡っていけないような5人だけれども、みんなが集まったことで、ちょっとずつスムーズに物事に対していけるようになっていく。その様子を非常に軽やか、ほのぼのと描いていて、読んでいてすごく楽しい。人情味があるし、ラブストーリーとしてもうまくできている。あとキャラクターたちがみんな親しみやすいのも良い。原作がいいってのもあるだろうけど、それが勝田文のほんわかした作風にすごくよく合っていると思う。とても爽やかで、かわいらしい良作。

【単行本】「かわたれの街」 勝田文 白泉社 B6 [bk1][Amzn]

 勝田文もう1作。こっちも面白いなあ。別れた妻への想いを断ち切れないまま、商店街で料理教室をやっている男と、彼に片想いしている気のいい豆腐屋の娘さん、そしてそれを取り巻く町の気安い人々の日常をのんびり描いた一作。これはお話としてはたいへんゆるゆるなんだけど、勝田文独特のほのぼのとした空気がものすごくよく出ていると思う。とくに個人的に気に入っているのが第3話で、二人が潮干狩りに行ったときの見開きシーン。見開きで砂浜の風景描いてるんだけど、それがなんか浮世絵の風景画的なまったり感が漂いまくってて、緊張感のかけらもない。あまりにも能天気な風景に思わずニヤけてしまった。なんなんだろう、この呑気さは。実に愉快だ。

【単行本】「海街diary1 蝉時雨のやむ頃」 吉田秋生 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 父親と母親が出ていって以来、鎌倉の一軒屋で姉妹3人で暮らしていた香田家に、ある日突然父の訃報が届く。しかし子供の頃の記憶しかない3人にとって、父の死はなんとも実感のない、赤の他人のものに思えてしまう。その後いろいろあって、3姉妹の暮らす家に、父が出ていった先でこさえた腹違いの妹も越してくることになり、女の子ばかり4人の生活が始まる。そして、一緒に暮らすうちにだんだん新たな家族の絆が生まれていく。

 まあそんなわけで本作では父親母親不在の姉妹たちの生活が描かれる。劇的といえるような事件は第1話の父の死とその葬儀のみだけど、これがなかなか面白い。整然とした絵柄、キレのいい物語運びで非常に読みやすいし、4姉妹それぞれのキャラも個性的で見てて楽しい。ほのぼのとしてるけどヌルすぎもしないし、スルスル読んでいけて気持ちイイ。「ここがスゴイ!」とはなかなかいいにくいんだけどしっかり面白いです。

【単行本】「かよちゃんの荷物」1巻 雁須磨子 竹書房 A5 [bk1][Amzn]

 これは雁須磨子らしいなあ。なんてゆるいんだろう……。本作の主人公・かよちゃんは30歳を迎えた女子。「必要になることは少ないけどあったら便利そうなモノ」をやたら持ち歩いてしまうので、ついつい荷物が大きくなりがち。お母さん的な性格で良い人なんだけどどうも間が抜けている。そんなかよちゃんの日常をだらだらと描いていく。

 で、「だらだらと」って書いたけど、本当にこれがだらだらしてるんだよね。例えば「かよちゃんが太りましたー」というだけで終わっちゃう回とか、「部屋の掃除しましたー」ってだけの回とか。本当にヤマもなければオチもない。意味は漠然とあるようなないような……。普通だったらちゃっかりネタとかずっこけネタとかで落としそうなお話でも、常に斜め上を行くというか、するりするりと予想をハズしてくる。この締まりのなさ、ゆったり感は本当に独特。それがマイナスに作用せず、無性に楽しかったり気持ち良かったり感じられてしまうのは、雁須磨子にしか出せない味といえましょう。

【単行本】「マイガール」1巻 佐原ミズ 新潮社 B6 [bk1][Amzn]

 23歳の駆け出しサラリーマン・笠間正宗の許に、5年前に別れた彼女・陽子が正宗に内緒で産んで育てた娘・コハルが転がりこんできて、一緒に暮らすようになる。というわけでこの作品では、不器用だけど心優しい青年と、突然できた娘との親子生活をしみじみと描いていく。最初のうちは多少ギクシャクした部分もあった正宗とコハルだが、ともに過ごすうちにだんだん打ち解け、親子としての絆も強まっていく。その様子が優しく暖かく描かれていてしっかり読ませる物語に仕上がっている。コハルちゃんは健気で素直でかわいらしいし、コハルを悲しませないよう一生懸命頑張る正宗も、なかなかの好青年ぶりで好感が持てる。一つ一つのエピソードが丁寧に作られてて、ときにほろっとさせられたりもするいいお話です。

【単行本】「すてんばいみ〜!」1巻 本井広海+本澤友一郎 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]

 都会から転校してきたカワイイけど生意気な女の子・大塚さくらと、地元の体力自慢な少年ショート。二人を中心に展開される小学生友情ストーリーといった感じの物語。さくらはかわいくて優等生で社交的に見えるが、実はけっこう屈折していて、心の中では田舎者な同級生たちを馬鹿にしている節あり。しかしショートはそんなさくらに全力でぶつかっていって、彼女の凍て付いた心を少しずつ変化させていく。

 スクリーントーンを使わず、ペンでガリゴリ描き込んだ感じの作画は、シャープな造形なのに暖かみがあって、独特な雰囲気あり。このコンビの作品は同人誌でも何作か見ていたけど、商業誌で描くときもトーンを使わず、同人時代の絵の風味を殺すことなくそのまま持ってきてる点はちょっと驚き。まあそのおかげで画風的にはちょっとクセがあるんだけど、個人的にはけっこう好みではある。お話のほうもイヤらしいところがなく、ちょいとほろ苦いお話もあるものの、基本的にはまっすぐな友情ストーリーに仕上がってて読後感は良い。この画風を維持したままやっていくのはけっこう厄介かもしれないけど、好きなユニットではあるのでぜひ頑張ってもらいたい。

【単行本】「モナミちゃんねる!」 さそうあきら 双葉社 B6 [bk1][Amzn]

 呑気な家族ものコメディ。小学生のモナミちゃんと、ホラー漫画家の父、お琴の先生をやっている母の3人家族のドタバタしょうもない生活をのんびり描写。まあ他愛ない内容ではあるんだけど、3人の掛け合いが下らなくてけっこうクスリと笑わせてくれる。こういうのやっても問題なくうまいですねえ。さすがの職人芸といったところ。

【単行本】「くじびきアンバランス」1巻 作:木尾士目+画:小梅けいと 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 木尾士目「げんしけん」からのスピンオフ企画という奴で、アニメ化もされた「くじびきアンバランス」の単体漫画バージョン。作画にはエロ方面で人気の小梅けいとを起用と、話題性は上々な作品。ただ内容のほうは正直そんなに面白くはないかな。小梅けいとの作画は華やかで、やたら体つきがエロっぽい時乃をはじめ、女性キャラもかわいかったりはするのだけど、物語的にはもう一つ弱い。あと小梅けいとの絵作りも、パッと見は派手なんだけど、キャラが誌面から浮き出てくるようなメリハリには欠けてるような気がする。なんかキレイなんだけど読み流しちゃうっていうか。


4/28(土)……素行難とか

【アンソロジー】「OPERA」Vol.6 茜新社 A5平 [bk1][Amzn]

 ボーイズラブ系のアンソロジー。最近は中村明日美子「同級生」を楽しんで読んでます。同じ学校でラブラブな男子2人、佐条くんと草壁くんの仲睦まじき日常を、たいへん楽しく描いていく。中村明日美子の絵柄はオシャレでシャープではあるんだけど、この作品にはけっこうほのぼのした雰囲気もあり、あんまりとんがり過ぎてないあたりが読みやすさにつながっている感じがする。あとめがね男子の佐条くんのはにかみぶりがかわいらしくてよろしいと思う。

 basso「amato amaro」は安定した出来。めがね男、ヒゲ男をそれぞれ色っぽく描いております。子毬和「真夜中商店街 −星月夜神社−」は、妖怪たちの集まる商店街にただ一人の人間の少年と、彼を見守っているうちに恋してしまった神様の物語。この本ではあからさまにショタって感じのはちょいと珍しいかな。こぎれいな絵で温かい雰囲気。あとルネサンス吉田の新連載「茜新地花屋敷散華」はシリーズ連載がスタート。花街で「花屋」の店長をやっているあんちゃんの日常を描いていくというもの。まだボーイズラブ的展開には入ってないけれども、独特の味のある画風が面白い。ちょっとごちゃごちゃしてるけど、その混沌としたところも味か。

【雑誌】フラワーズ 6月号 小学館 B5平 [Amzn][定期購読:出版社

 岩本ナオの新シリーズ「街でうわさの天狗の子」がスタート。天狗の父と人間の母の間に産まれた女の子・秋姫の日常をほのぼの描いていく物語。天狗の子といっても見た目は完全に人間で力がちょっと強いくらい。舞台も現代。周囲の人たちも天狗がいるということ、彼女が天狗の子であるということをごくフツーに受け入れてて、日常シーンはおだやか。まあそんなわけでちょっと不思議な状況にあるけど普通にかわいらしい女子の、ほのぼの恋愛ストーリーといった感じになっていきそう。落ち着いてるけどフレッシュな感覚の独特の絵柄が心地よい。秋姫が片想いしている男子・タケル君、幼なじみで天狗の父の元で修行している瞬君、ともに好感の持てる男子でラブコメとしても楽しくなりそう。まずは良い感じの滑り出し。

 岩館真理子の読切「夕暮れバス」は、ブザーのない不思議なバスに乗った少女が主人公のファンタジー。途中までなんかよく分からない感じだったけど、最後まで読むとなるほどなという感じ。ふわふわとした感触の、岩館真理子らしい独特の味わいのある作品。西炯子「電波の男よ」は、アマチュア無線が趣味でそこで声だけ知っていた女性に恋心を抱いていた不器用なサラリーマンの物語。パッと見カッコ良さげなんだけど、やってることはかなり滑稽。続きは女性側からの話になるのかな? 次号「電波の女よ」に続くとのこと。

 小玉ユキ「羽衣ミシン」は今回けっこうお話が動いた。と思ったら次号で最終回かな? わりとコンパクトにまとめてきましたな。諏訪緑「諸葛孔明 時の地平線」も次号でおしまいとのこと。あと今号にはどうぶつものコミック特集の小冊子「フラワーZOO」が付いている。執筆陣は吉田秋生、田村由美、松井雪子、萩尾望都、吉野朔実、奈知未佐子、岩館真理子、さいとうちほ、清原なつの、大武サラ、高倉あつこ、小玉ユキ、奈々巻かなこ、荒木淳子、柘植かおる、岩本ナオ、ヒガアロハ。

【雑誌】メロディ 6月号 白泉社 B5平 [Amzn]

 よしながふみ「大奥」がやはり面白い。将軍・家光と固く結ばれた有功だったが、なかなか家光が懐妊しなかったため、春日局の策謀により引き離されることになる。ここから有功の精神は安定を欠いていくことになるのだが……という穏やかならぬ展開。最終ページのヒキも強くて、次がどうなるのか激しく気になる。けっこう掲載されないことも多い作品だが、次号はちゃんと連続して掲載される模様なので楽しみ。

 麻生みことの新シリーズ「そこをなんとか」。キャバクラ嬢あがりで司法試験に合格したヒロイン・改世楽子が、弁護士就職難時代の中、弱小弁護士事務所に転がり込んで持ち前の機転・明るさでもって頑張っていくという物語。ヒロインの楽子は快活でバイタリティあふれていて見ていてなかなか楽しいキャラだし、その弁護士事務所に元からいたクールなメガネ弁護士の東海林との掛け合いも見てて楽しい。コミカルで賑やかで、面白い作品になりそう。

 あと今号では、カラスヤサトシが「カラスヤサトコ」と名乗ってアフタヌーン宣伝漫画1ページを描いててちょっと笑った。この人、本当にどこにでも出てくるな。

【雑誌】コーラス 6月号 集英社 B5平 [Amzn]

 松田奈緒子の新連載「少女漫画」がスタート。なかなかすごいタイトルだけど、第1話からしてサブタイトルが「ベルサイユのばら」。お話としては漫画マニアである女性派遣社員が、自分の今の状況を「ベルサイユのばら」に重ね合わせることで、新たな一歩を踏み出す活力を得る……というもの。といっても別にベタベタにああいう格好するとかではなくて、あくまで現代風のドラマを描きつつ、そこに漫画をエッセンス的にからめていくという感じになりそう。普通に「ベルサイユのばら」抜きでも成立するお話ではあるけれども、それがからむことで読者側もちょっと心が沸き立つものがある。自分は「ベルサイユのばら」の漫画は読んだことがないんだけど(不勉強ですみません)、読んでる人にとってはより思うことは(よかれあしかれ)多かろうと思う。けっこうちゃんとできたお話なので、今後もどういうネタを持ってきてどう調理するか楽しみ。

 河内遥の読切「はてなの花」は後編が掲載。倦怠期に陥ってもやもやしたものを抱えていた夫婦。夫が実はMだったことが判明し、奥さんも彼に合わせようとSの勉強をするが……といった内容。状況を見るとドタバタコメディ的ではあるが、奥さまがいろいろ考える様子は真剣そのもので、笑うというよりちょっと切ないような不思議な気持ちになる。河内遥のやわらかいしんなりした絵柄も魅力で、しょうもないといえばしょうもないけどわりと読ませる。

【雑誌】コミックバーズ 6月号 幻冬舎コミックス B5平 [Amzn][定期購読:出版社

 新連載、作:雨宮ひとみ+画:中臣亮「なまコイ」がスタート。作画の中臣亮は、たぶんムサシマルと同一人物じゃないかなーといわれている作家さん。学校ではすごくカッコイイ美男子として過ごしているけど、中身はズブズブのオタクという主人公・真神。ある日アキバ巡回中に交通事故に遭った彼だが、そこから奇跡的に無傷で生還。と思ったら、突然彼の従妹を名乗る見知らぬ少女が部屋に押しかけてきて迫ってくるが……というドタバタ感たっぷりな出だし。まあそんなわけで華やかな押しかけ女房型ラブコメという感じだが、まださわりだけなんで面白くなるかは分からない。とりあえず中臣亮のシャープで華のある絵柄は目を惹く。

 うめ「大東京トイボックス」。新ゲームをどのプラットフォームで作るかということで一悶着。今回は大手や新キャラもからんでガチンコ対決になりそうな気配で楽しみ。あと今号から3号集中連載として、作:福谷修/「こわい童謡」製作委員会+画:此元和津也「こわい童謡」がスタートしている。

 それから次号予告で、しばらく休載していたPEACH-PIT「Rozen Maiden」が最終回と記載されている。どういう事情があったかは知らないけど、人気作だっただけに残念。移籍するなら引く手あまただろうけれどもどうなりますか。

【雑誌】ヤングキングアワーズ 6月号 少年画報社 B5平 [Amzn]

 新連載、森見明日「べじたぶる」が開始。スタッフが女の子だらけのCG製作会社の社長に就任した18歳の少年が、女の子たちに翻弄されながらドタバタした日々を過ごしていくといった感じの作品。まあ女の子がいっぱい出てきて、お色気描写を入れつつ軽く進んでいくお話といったところ。前作の「ラブ・ぽっ!!」はけっこう好きだったけど、この作品はどんなもんかな。まあ肩凝らずに読んでいけそうではありますが。

 石田敦子「アニメがお仕事!」。今回はイチ乃や二太の先輩だった美人アニメーターの三鷹さん視点で物語を展開。若くなくなって、改めてアニメの仕事を見直してきたときに、自分が何を残せたか、これからどうするかといった思いに耽るさまを描いていく。若い頃の闇雲さがなくなり、立ち止まりそうになってしまったときにどうするか。なかなか難しい問題ですな。なかなか考えさせられるお話だろうけど、やっぱり老いも若きも、最後に自分を支えるものはさほど変わるわけではないってことなんでしょう。

【雑誌】阿ウン 6月号 ヒット出版社 B5平 [Amzn][定期購読:Fujisan

 ついに師走の翁「シャイ娘。外伝 IV来襲」が最終回。これまでずっとガッツンガッツンやりまくっていたけれども、最後はやっぱりアイドルとファンのみんなの絆を確認して爽やかに締めくくりという感じ。魔界がどうのこうのという部分はなんかよくわからんちんな感じではあったけど、そこはあんまり云々してもしょうがないとこな気がするんでまあいいです。とりあえず長きにわたったお話が、爽やかに締めくくられて良かった。次回作はどうなるのかな? とりあえずシャイ娘。外伝読切はもうちょっと続くらしいです。

 また今号ではDISTANCEが初登場。この前はコアマガジンで描いてて驚かされたが、これでまた活動の場を広げたことになる。ボリューム感があって実用性の高い、キャッチーな巨乳の描き手だけに、欲しがる雑誌はかなりありそう。今回の「したせい?」は、つきあって一度Hして以降、彼氏そっちのけでそのちんこばっかり欲しがるようになっためがねっ娘彼女さんをなかなかエッチに描いている。ばいんばいんした乳揺れは相変わらずの迫力で、巨乳好きにはたまらないものが。

 高岡基文「Dogwalker」は5話め。巻頭カラー。ヒロインの娘さんが罠にかかって触手や、彼氏以外の男にエロ責めされまくっている。嫌がりつつも、激しくヤラれて感じまくってしまう彼女の様子はさすがにエロくてソソられる。シチュエーション的にも好み。田倉まひろ「すきスキSCREAMSHOW」。やたら好き好きいってくる幼なじみ男子の態度にとまどっているちびっ娘女子がかわいい作品。ほかの男に狙われてピンチになるも、その後はラブラブ。キャラがかわいくお話も甘ったるくて読後感上々。初単行本「たくらまかん展覧会」[Amzn]は5月14日発売予定。

 春籠漸「秘湯〜乱れの宿〜」。主人公とその友達連中がみんなで温泉に行って、主人公は彼女を作ろうと張り切る。しかし主人公を除く全員が、彼に隠れて乱交してて……というお話。ハーレムものかと思いきや、逆ハーレムものだったというちょいと珍しいタイプ。オープンな乱交なわりに寝取られ感もあってけっこうエロっちかった。あと、おおとりりゅうじ「お嬢様の非日常」はこなれたコミカルな作風でわりと楽しく読めた。

【雑誌】快楽天 6月号 ワニマガジン B5中 [Amzn]

 今号は鳴子ハナハル表紙号。恒例の表紙の続きカラー漫画も掲載。小梅けいと「さくら聖戦」。絵柄は相変わらず華やかだけど、モノクロだと弱いかなあ。お話的にもあまりエロっぽくはないし。士土大介「せけんてい」は、のどかな田舎の村に済む少女と先生が、川原の橋の下で結ばれるという内容。ラブラブで爽やか。後味の良い作品。ゆきやなぎ「しかって!双子姉妹」は4話めが掲載。家庭教師やってる先生とその家の双子姉妹、奥さんらがエロいことをしまくるという内容。ハーレム感があって華やかだし、巨乳がぷるぷるするエロボディはやっぱり実用的だなあと思う。

 馬鈴薯「ロデオエンペラー」。「こういったマンガは初めてですが」と作者近況に書いてあるけど、わりとエロについては手慣れてる感じ。うーん、どっかで見たことある絵だと思うんだけど……。漫画のほうはロデオマシンを使いつつエロをやっているという感じ。といってもあんまり激しく揺れるわけではなく、よっかかる台的な使い方だけど。エロ描写もこなれているし、女性キャラも色っぽいしで、なかなか良かったと思う。尾崎未来「Sweet Toys」。隣の人妻が実は昔好きだった人で、わりと軽いノリでエッチという感じ。「The Great Escape」同様、ヒロインさんは尻軽だが、こちらもきっちり使える感じ。ただこの人の場合は、もう少しちんちんが見える雑誌のほうがエロさは出るかもしらんです。

 北河トウタ「あれふぇち」。今回は人妻さんとエッチして、そこに娘さんもからんできて3P。華やかでエッチさもあって安定感抜群。かるま龍狼「プルルン感染記」はくだらなくて面白い。巨乳漫画においては乳揺れというのは欠かせない要素であるが、この作品では乳が触ってないのにプルプル揺れるという病気が蔓延。本当に意味もなく、乳が上下左右にぷるんぷるん跳ね回っている様子はコミカルで面白い。「うおっこいつは想像以上のあばれ乳だ!」ってセリフで思わず笑ってしまった。

 次号の予告を見ると、YUG「でりしゃすあどべんちゃー」のところに「ご長寿プリティ連載ナミダの大団円!?」と書いてあるけど最終回なのかな。それから宮内由香とけものの★が初登場予定とのこと。けものの★はけっこういろんなとこで描いてるけど、もう少し活動場所を絞ってまずは単行本1冊出してほしいとおろ。あとぼっしぃの初単行本が夏頃発売決定したとか。

【雑誌】COMICパピポ 6月号 フランス書院 B5中 [Amzn]

 大朋めがね「イガイガ君」。スッキリとしたペンタッチの華やかな絵柄。女性キャラの表情にけっこういろんなパターンがあってなかなか達者です。お話としてはちょっと読みづらいかなあという気もしないではないけど。友原道哉「保険委員のお仕事」。学校のクラス内に設けられた、生徒の性欲処理をする委員さんの活動を描いていくというお話。いちおう子供系で、やってること自体はエロづくめではあるけど、あくまで「活動紹介」って感じの淡々とした描き方をしているのが面白かった。

 あとRIKI「ラブラブ♥ポンチ」の見事なまでの頭の軽さ、内容のなさはいつ見ても素晴らしすぎる。ページ欄外柱部分のぞんざいすぎる登場人物紹介も楽しい。

【雑誌】キャンドール 6/9 No.41 実業之日本社 B5中 [Amzn]

 新連載、あまなつまこと「ぷち☆うぃっち」が開始。魔女と人間のハーフである幼なじみ女子が、淫魔術の勉強のため、主人公にエッチなお願いをしてくるというお話。二人とも口には出さないもののお互いのことが好きなんで、まあ基本的にやることはだいたいラブラブエッチ。あとはお話を進めるにつれて、魔術にからめてエッチのバリエーションを増やしていくという感じかな。けっこうほのぼのした作品。きくぢんはキャンドール初登場「アナタのお願い叶えましょ」。こちらはカラー4Pでわりと華やか。

 すえひろがり「花のいろ」。ガチ百合もので今回はお得意の町中羞恥プレイも駆使。お姉様に導かれて、少しずつ大胆になっていくヒロインさんの様子が、甘やかで華もある。なかなか好調。あと中田ゆみ「奥さまは生徒会長」もラブラブで甘ったるくイチャついていて毎回楽しい。西野映一「ひめゆら」もだいぶラブコメ色が強くなって面白くなっていると思います。

【雑誌】エンジェル倶楽部 6月号 エンジェル出版 B5平 [Amzn][定期購読:Fujisan

 山本よし文「ボクの中出し日記」。なんか最近っぽい要素を取り入れようと頑張ってるなあ……。絵柄的にも萌え系な色合いを強めて来ているし、マルチヒロインな構成はエロゲーっぽい。今回もからむ相手はツンデレお姉ちゃん。あと断面図もかなり頻繁に使ってるし。「オッパイファンド」のころとはずいぶん違う作風になってきた。この人の挑戦がどこまで行くのか、興味あり。舞原マツゲはエンジェル倶楽部初登場。今回の「隠蔽拘束」は、運動部の女子マネージャーが部室でエロいことをされまくるという内容。この人の最近の絵柄はつややかでボリューム感もあって、だいぶエロいと思う。


4/27(金)……乙姫と秘孔防止

▼本日はエロ漫画単行本をまとめて。

【雑誌】コミックアライブ 6月号 メディアファクトリー B5平 [Amzn]

 作:阿智太郎+画:まだらさい「陰からマモル!」は、ホタル登場編がとりあえず一件落着。これで5人娘が同じラインについたといったところ。ホタルの告白に対してマモルがどうするか案じてやきもきする、ゆうな、愛里の二人の表情がかわいくてええです。もちろんホタルもかわいいことはかわいいのだけど、個人的には、ゆうな、愛里、椿の3人のほうが、山芽、ホタルよりプライオリティ高め。

 國津武士「神ぷろ。」は安定。今回は景綱が赤ちゃんに変身しちゃっていろいろ……という内容。おっぱい吸われてもだえる刀鳴がかわいいけど、それ以上に赤ちゃんバージョンの景綱もほのぼのして良かった。やはりちっちゃいキャラ描くと抜群ですな。石川マサキ「私立トアール学園2年☆組物語」。今回は☆組にネコミミ少女登場。けっこうカワイイ。なんか最近あちこちの漫画でネコミミ少女を見かける気がするなあ。この雑誌でも、山本鈴「かのこん」とか、888「あそびにいくヨ!」、龍炎狼牙「ムクロヒメ」に猫耳いるし。

 新連載、タスクオーナ「神太刀女」(原作:ため我井徹)が開始。そのときどきで女の子姿になったりする剣を駆使して、主人公少年が戦っていくバトルアクションといった感じ。この手のファンタジーものではわりとよくありそうなタイプの作品なんで、何をウリにしていくかなーといったところ。藤井理乃「はぴねす!」(原作:ういんどみる)、龍炎狼牙「ムクロヒメ」は今回で最終回。

【雑誌】電撃コミックガオ! 6月号 メディアワークス/角川書店 B5平 [Amzn]

 新連載2本。作:GAINAX+画:森小太郎「天元突破グレンラガン」(監修:中島かずき)、作:ユニゾンシフト+画:水島空彦「ななつい★ドロップスPure!!」(キャラデザ:いとうのいぢ)がスタート。どちらもメディアミックス系でまあまあの出来か。作:有沢まみず+画:松沢まり「いぬかみっ!!」は、劇場版が公開されたこともあって本誌掲載の本編のほかに、別冊付録で番外編も掲載。「私立犬上女学院 −奥様は女子高生♪−」というタイトルで、「いぬかみっ!!」キャラを使った女学院モノを明るく楽しく展開しております。

 そのほかでは、作:竹宮ゆゆこ+画:倉藤倖「わたしたちの田村くん」が調子を上げて来ている。最初はツンドラとかなんとかいってたツンツン系女子・相馬さんの事情、内面が明らかになるにつれて、主人公・田村くんも彼女にどんどん感情移入していく。なかなかかわいらしい女子じゃないですか。ラブコメ的にも盛り上がりつつある。

【雑誌】ヤングアニマル 5/11 No.9 白泉社 B5中

 若杉公徳「デトロイト・メタル・シティ」はヘルヴェタとの対決編がクライマックスになってて、いろいろ思わぬ展開を見せていてけっこうアツい感じ。まあクラウザーさんなら負けるはずもないだろうけど。東雲太郎「キミキス」。崎野さん編は爽やかさが目立っていたけど、今回は一緒に海に行ったりしたこともあって、水着もあるわ、その後の濃厚展開もあるわで、なんだかエロっちい。光一もカワイイ顔してなかなかやるじゃねーか、といった感じ。

 作:加藤公平+画:肥谷圭介「俺と自販と、時々、オッサン」。会社で仕事がうまく行かなくってムシャクシャしていた若者が、昔は人間だったと語るしゃべる自販機によって励まされ、自分を取り戻していくという青春ストーリー。肥谷圭介はバサバサした荒削りな絵柄が特徴的だが、案外ハートフルなお話も描ける。今回の作品はまずまず読ませる内容だったが、ちょっとこじんまりまとめすぎな気もしないでもないかな。

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 5/11 No.10 小学館 B5中

 今谷鉄柱の新連載「お受験の星」がスタート。親馬鹿なヤングパパが、息子を私立中学に入れようと、お受験に一生懸命になるという内容。けっこう受験のノウハウみたいなこともやるようで、中学受験版「ドラゴン桜」といった雰囲気。二番煎じ的な感は否めないけれども、東大受験と違って中学受験のほうが、読者にも出題内容や答えが理解しやすいだろうから間口は広いかもしれない。まずまず面白そうではあると思う。

【雑誌】週刊漫画ゴラク 5/11+18 No.18 日本文芸社 B5中

 作:西塔紅一+画:ふくしま政美の読切「樹海マン」前編が掲載されたが、これが馬鹿馬鹿しいくらいに力強い。樹海に一人こもって暮す、元自衛隊の教官である鬼のように屈強な男・祈太郎。彼のもとに、昔の部下だった女性自衛官が訪ねてくるが、彼女には何やら思惑があるようで……という出だし。ふくしま政美作品だけに、主人公は恐ろしい勢いで筋肉てんこ盛りで、力強いことこの上ない。あと女性自衛官のほうもこれはこれで豪快。インパクトがあって面白かったが、後編でどんなふうにケリをつけるのか気になるところ。

 土山しげる「喰いしん坊!」。鳥飼vs.ハンター錠ニの最初の一戦、伝説のそうめん対決の模様がアツいです。そうめんを食べる手が鳥飼が実行したアクションが、馬鹿馬鹿しいようなカッコイイような。でもまあやっぱ錠ニのほうも当然対抗策は練っているのでしょうなあ。作:森高夕次+画:太田正樹の集中連載「花とおじさん」は「発端の章」がおしまい。ここからトントン拍子のアイドルものになっていきそうではあるけど、続きはあるかな?

【雑誌】コミックバンチ 5/11+18 No.22+23 新潮社 B5中

 新連載:猫井ヤスユキ「北斗の拳 レイ外伝 −餓狼編−」が開始。まあ「北斗の拳」劇場版に合わせた作品。ただこれよりもスペリオールから出張してきた、ロドリゲス井之介「世界の北斗でくだをまく[仮]」のほうが注目かも。V論尊先生が、ロドリゲス井之介の司会で磯山さやかと対談したときの模様をレポート。酒のみながらセクハラ的なことばっかいってて、本当にしょうもないなあという感じ。なおV論尊先生は、スペリオール連載の「世界の中心でくだをまく[仮]」のほうでも似たような感じで登場して、磯山さやかと対談してます。

 原哲夫「蒼天の拳」。秘孔防止装置を身にまとった杜天風だが、思わぬ誤算が発生! ていうかこういうの着た時点でどう見てもダメだろう。「ぱぴりや〜っ」という悲鳴にも笑わされてしまった。いやーしょうもないなあ。

【単行本】「キミキス 〜lylical contact〜」 作:エンターブレイン+画:黒井みめい エンターブレイン B6 [bk1][Amzn]

 ヤングアニマルで東雲太郎がやってるのとは別のバージョン。星乃さんがメインだけど、そのほかのヒロインたちも星乃さんのおともだちとして登場し、どの娘さんを選ぶか……ってな感じでラブコメが展開する。さすがに東雲太郎版ほどの押しの強さはないけど、こっちも絵はけっこう華やかでかわいいしラブコメとしてまあまあ楽しめる。悪くないです。

【単行本】「イツかのアノこ」 みなすきぽぷり ジェーシー出版 A5 [Amzn]

 みなすきぽぷり2冊め。ロリ系の作家さんだが、ペンタッチがとても細かくて美しくて魅力的。人物描写についても線に艶があっていいけど、背景描写もしっかりやっているので、作品世界に奥行きが感じられるのも評価したい点。十分に可愛らしい絵柄だが、作品の流れによってセンチメンタルな雰囲気も出せるし、明朗快活なふうにもできる。なかなかの実力派といえる。

 今回の収録作品の中で個人的に印象に残ったのは「大人になるってどういうこと?」。ヒロインのめがねっ娘さんの表情も楽しいが、色付きリップクリームというアイテムで、口紅はつけないけどちょっと背伸びはしてみたいという、微妙な年代の心理を演出しているあたりにグッとくる。「あたしは、こう!!」もイイ。親友女子に同じアパート住まいのお兄ちゃんを紹介したけど、彼への気持ちが抑えられない主人公少女がとてもかわいく描けている。

 このほかビターなお話から、ほの甘いお話まで、ストーリーはそのときどきでトーンが変わるけど、どれもしっかり描きこなすだけの作風の幅広さはある。なおみなすきぽぷりは、現在はCOMIC CROSSで「椎木冊也」名義で活躍中。この単行本にはCROOSS掲載作品も含まれてたけど、単行本はこっちの名義で出すのかな? それとも3冊めから変えてくるんだろうか? まあどっちにしろ買うだろうけど。

【単行本】「ひよこのたまご」 裏次郎 茜新社 A5 [Amzn]

 COMIC LOで最近かなり楽しみにしている裏次郎の初単行本。この人の絵は非常に丁寧でかわいくて良いです。細いスッキリしたペンタッチながら、オシャレになりすぎることもなく、親しみやすさも残した絵を描いてくる。

 この単行本の中では、とくに番外編とおまけ漫画を含めて6本が掲載されている「はらませ!」シリーズがタイヘン良い。妹とヤッているところを親に目撃されて、家を出ていった兄の許へ、その当人である妹が押しかけ女房として転がり込んで来る。そして親に関係を強引に認めさせるべく、毎日赤ちゃん作りに励むのであった……というお話。妹のほうはランドセル年代なのだが、けっこう芯が強くてしっかり者。でも方言は丸出し。年端もいかない少女がばあちゃんしゃべりでエロいことを迫ってくる様子は、なんともいえないほのぼの感を醸し出している。

 あとこの人で良いのは、女の子の表情が豊かなこと。元気な笑顔はもちろんいいけど、恥ずかしがってる表情とか泣き顔も良い。はなみず垂らしてぐちゃぐちゃになってる顔とかも、とても愛らしく描いているのは大したもの。はなみず娘としては「わかば」に出てくるわかばちゃんが良い。あと初期の作品でまだペンタッチは描線太めだが、小学4年生の幼なじみ娘が、母子家庭に押しかけママとしてやってくる「おしかけ!」とかも遊び心がきいてて楽しく読める。

 少女たちのキャラが立っているおかげで、おこさまとやっているけど「性を搾取している」とか殺伐とした雰囲気になることはなく、むしろ明るくほのぼのした感じになっているのが良いところ。絵がわりと細かいので、単行本サイズになるとキャラの顔のサイズが小さくなりすぎてるかなーというコマはあるけれども、線自体は整理されているので見にくいというほどではない。最近のロリ系作家の中では屈指のオススメ度。今後も楽しみな作家さん。

【単行本】「&er Grils」 大孛輝*はな 茜新社 A5 [Amzn]

 端整な絵柄でちょっとロリっぽい少女エロを描く人。作風は基本的に明るめでわりと気楽に読める。ピチピチした華やかさがあってお話面でのまとまりも良い。この作品では、先輩男子と後輩女子のカップル+その女子の妹の3人で展開される「千真と千夏と先輩と」シリーズ3話で前半。あとは学校でおともだち同士の女の子たちの、それぞれのH事情を描いていくシリーズが何話かが中心となっている。いずれのエピソードもわりと楽しくかわいくエッチ。ちとヌルめではあるものの、整っていて、鬼畜的なネタも少ないのでエロ漫画初心者の人にも読みやすいのでは。

 余談だけど、このペンネームの読みは「DAIBOKKI*HANA」。つまり「だいぼっきはな」なんだけど、他人にペンネームで呼ばれるときは「だいぼっきさーん」とかいわれるのかな……。あ、あと単行本タイトルのほうは「アンダーガールズ」と読みます。

【単行本】「やわあね」 綾乃れな 茜新社 A5 [Amzn]

 タイトルどおりとしうえのおねいさん系の作品が多い。ナヨっちくてかわいい少年と、それを甘やかし包み込むようにしてエッチをするおねえさんキャラの組み合わせがメイン。お話のほうもトゲがなくて甘ったるい。マイルドな絵柄ではあるものの、柔らかくてたぷたぷしたボリューム感に包まれるようなエロシーンは、実用度の面でもなかなか。ちんちんもものすごく描き込んでいるというわけではないものの、けっこういい形していてエロさはある。むっちりもっちりした柔らかいおっぱいが好きという人には、十分使えると思う。自分もこういう乳はけっこう好きなんでなかなかよろしうございました。

【単行本】「巨乳至上主義」 吉川かば夫 コアマガジン A5 [Amzn]

 タイトルは「巨乳至上主義」だけど、現在の巨乳化極まったエロ漫画市場においては、そんなにすげーデカいってほうでもないです。吉川かば夫の特徴は、わりとぷにぷに感がある画風と、明るく楽しい朗らかな作風。ノリが良くてエロ度もまずまずある作品を描いてくるので、気軽にサクッと楽しんでいける。淫靡さという面ではもう一つではあるんだけど、この元気の良さは魅力的だしピチピチ感もある。ただ、コメディとエロを兼備している分、作品によってはどっちつかずになりがちなところもあるかな。現時点でも楽しく読めるけど、確実に笑わせるか、確実にヌカせるか、どちらか一つでも確立できればより強いと思う。

【単行本】「調教団地妻」 天誅丸 富士美出版 A5 [Amzn]

 団地に住まうさまざまな奥さん方のエロスを描いていく人妻系連作。天誅丸の絵は、ちょいとだらしなめに垂れ下がった、量感あふれる乳の描写が特徴。ペンタッチ的にはもう一つ垢抜けないけど、わりとむんむんした色気はある。ストーリー面が都合よすぎなところがあり、もう一つ歯ごたえがないのは以前から変わらぬ点ではあるものの、奥さま方の濡れ場をサクッといただくということを考えればこのお手軽感覚もありか。いくぶん物足りないところは常にあるものの、昔から巨乳好きには魅力的に映る乳を描く人なんで、やっぱ思い出したように買ってしまう。

【単行本】「少女は犬の夢を見る」 栗田勇午 三和出版 A5 [Amzn]

 今や日本を代表する獣姦漫画家となった感のある(というかほかにほとんどいない)、栗田勇午先生の新刊が出て欣喜雀躍。この巻もタイトルどおり、少女と犬の愛とセックスをたっぷりみっちり描いた内容となっている。

 お話のほうは、主人公の和実が愛犬のリュウと散歩中に、クラスメイトのヒカリちゃんと愛犬ミッキーが森の茂みの中で性行為に耽っているところを目撃してしまうところから始まる。それがきっかけとなり、ミッキーは和実に惚れてしまい、彼女との性行為を執拗に求めるようになる。ヒカリはそれに嫉妬し、代わりにリュウを差し出すよう和実に強く迫るが……。

 ここまでが前半のあらすじ。クラスメイトの存在により犬とスルという行為があることを知り、その魅力にとりつかれてしまった和実ちゃん。そして和実によってミッキーの愛を奪われたヒカリちゃんの間で、一匹の犬をめぐる三角関係が展開されていく。これだけでももうものすごく濃いのだが、お話はこれでは終わらない。ミッキーは結局和実と結ばれ、和実とヒカリの間にも友情が成立するのだが、ミッキーを襲った悲劇から束の間の幸福はぼろぼろと崩れていく。そしてミッキーのことが忘れられない和実は自暴自棄となり、以前ヒカリと知り合う前の親友だった少女たちも巻き込んで、ドロドロの愛憎劇が繰り広げられていく。

 本作品でやっぱスゲえなあと思うのは、ただ「犬とヤル」という好奇心的な描写だけに収まらず、そこからグッと少女たちの心理面にまで深く踏み込んでいっているところ。「犬チンポしゅごーい」だけで終わっていたら浅薄な物語になってしまっただろうが、こういうネタをやりつつも、しっかりとした物語を構築しようとしているところが素晴らしい。ラブストーリー、友情ストーリーとしても何気にちゃんとしている。ミッキーと和実が結ばれ、ヒカリちゃんによって祝福されるシーンなどは感動さえした。起伏の激しいストーリー、そしてなんともいえない気持ちにさせられるラストなど、読んでいると心がグラグラ揺さぶられてしまう。

 絵のほうもけっこういいと思うんですよね。栗田勇午のこれまでの作品の中でも、少女の萌え度はかなり高め。ストーリーのまとまり、ボリューム感もある。獣姦というとイロモノ扱いされがちだが、それに止まらない物語に仕上げていたのはすごく立派。フラミンゴRの休刊以降、こういう稀有な作家さんが、自由に才能を発揮できる場所がほとんどなくなってしまったのはすごく残念。作者後書きにも「ボクの役目も、そろそろ終わりかな…。」とか書いてあるけど、いやいやそんなことはなし。むしろ始まったばかりだと思うし、次回作を待っている読者も、数は多くないかもしれないけど確実にいると思う。少なくとも自分は強く待望している。ぜひ今後も、なんらかの形で作品は発表し続けてほしい。


4/26(木)……古瀬戸!

【雑誌】少年エース 6月号 角川書店 B5平 [Amzn][定期購読:出版社

 新連載が2本。まずは片岡人生+近藤一馬の「交響詩篇エウレカセブン」漫画版コンビによる「デッドマン・ワンダーランド」。大震災で東京の70%が水没してしまった後の世界。疎開先の長野の学校で平穏な日々を過ごしていた普通の少年・丸太のクラスメイトたちが、全員何者かによって惨殺されるという事件が起き、丸太はわけもわからぬまま刑務所に送られることとなる。その事件がきっかけで不思議な少女に出会い、謎の力を得た丸太は、生きるか死ぬかの過酷な戦いを強いられていくことになるが……といった出だし。まだけっこう大きめであると思われる設定についてはほとんど語られておらず、どういうお話になるかは分からないけど、まずは派手な出だしといえる。個人的には「エウレカセブン」もアニメ版より漫画版のほうをより評価してたし、そのコンビがどういう作品を描いてくるのか、楽しみなところではある。

 新連載もう1本は、「Canvas2」シリーズの児玉樹による「てるてる天神通り」。久方ぶりに昔済んでいた商店街に戻ってきたあんちゃん・幸村天志が、いきなり町内会長に任命されてしまうところからお話が始まる。その町内会には、会長しか見ることのできない不思議な神様がいて、その力でもって天志はさまざまな出来事に対処していく。まあそんなわけでご近所が舞台のドタバタハートフルコメディといった感じ。この人も「Canvas2」シリーズがとても面白かったので、オリジナルでどこまでやれるか楽しみにしてます。

 あらゐけいいち「日常」。かわいい絵柄とマイペースなギャグが毎度面白い。タイトルどおり、お話は日常ベースで、そこから逸脱することはないんだけど、オリジナリティのあるギャグを展開できてるのがいいです。作:滝本竜彦+画:大岩ケンヂ「NHKにようこそ!」は次号で最終回。このほか今号では、読切2本、須藤清正郎「怪奇!!花人間!!」と、大橋隼人「荒天風水」が掲載されている。どちらも絵はけっこう華やかでまずまずの出来だけど、エースだと似たようなタイプはけっこういるんで、何かプラスアルファがないとあんまり目立たないかな?

【雑誌】ガンダムエース 6月号 角川書店 B5平 [Amzn][定期購読:出版社

 安彦良和「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」はオデッサ編。オデッサ作戦を前にして、ガンダムとシャアザクが再び激突。セイラがパイロット候補になりフラウが後釜候補になったということで、「アムロ聞こえて?」とかいってもらえなくなるのを残念がるアムロが男の子らしくていいなあとか思った。あとなんだかアニメと順番がいろいろ違うんで頭がゴチャゴチャしてきたので再確認。アニメの順番では、ガルマ→ランバ・ラル→三連星→オデッサ→ミハル→ジャブローだったのが、漫画ではジャブロー→ミハル→オデッサと、順番が逆になっているんだよね。途中でシャア・セイラ編が入ったので、なんか余計に頭がこんがらがってたけど、整理していちおうスッキリ。

 新連載、曽野由大「オレら連邦愚連隊」。主人公は連邦のジム・ストライカー乗りで、登場キャラがみんなヤンキー調。ジムを使ってキャラ同士がタイマン張ったりと、けっこうしょうもない。ただこういう話は嫌いではないです。パワーはあると思うんで今後に期待。唐沢なをき「機動戦士ぶよガンダム」は、「犬ガンダム」に続くシリーズ。タイトルどおり、登場キャラ、モビルスーツ、戦艦などがすべてでぶ。唐沢なをきは前からこの手のでぶネタはよくやるけど、それをガンダムでやってくるとは。それにしてもキャラだけでなく、このメカのデザインはすごい。ハンプティ・ダンプティのごときガンダムは圧倒的な存在感がある。やっぱ唐沢なをきはうまいわー。

 桂よしひろ「ガンフリ」は今回で最終回。その番外編はガンダムエーススペシャルのほうにも登場。このほかにも、大和田秀樹、アキバ鉄工、トニーたけざき、左菱虚秋、唐沢なをき、曽野由大といったところはスペシャルにも描いている。

【雑誌】ガンダムエーススペシャル vol.1 角川書店 B5中 [Amzn]

 昨年の9月にいっぺん出たガンダムエースのギャグ漫画系増刊が再来。「vol.1」とついたところを見ると、今後も継続して出していくことになるんでしょう。売れ行きが好調で作家さんのメドさえつけば、定期刊行に昇格する可能性もあるでしょうな。やっぱガンダムは強し。

 で、今回の号だけど、一番笑ったのは巻末に掲載されている唐沢なをき「シャアガンダム」。非常にアホみたいな漫画なんだけど、これだけしつこくやられるともう笑うしかない。この赤さは異常。唐沢なをきの凄さを改めて感じた。左菱虚秋「ガンオタの女」は本誌での連載も好調だけど、こっちのほうも下らなくて楽しい。美人だけどガンオタで、下らない行動を繰り返す賀ノ多さんのキャラがしっかり立ってる。これは今後もイジりやすそう。

 あと4コマのアキバ鉄工「あつまれ!SEEDきのこ味」もわりと好き。SEEDは見てないからよく分からんけど、このシンプルで味のある絵はけっこう好き。ガンダムエースのほうで描いていた「あつまれ!ガンダムきのこ味」も、まったく同様のテイストでけっこう良かったと思う。

【執筆陣】大和田秀樹、トニーたけざき、大森倖三、ことぶきつかさ、左菱虚秋、冬凪れく、Ark Perfomance、曽野由大・クラップス、緒方剛志、津島直人、桂よしひろ、アキバ鉄工、ハラヤヒロ、赤津豊、井上行広、カネシゲタカシ、唐沢なをき

【雑誌】月刊少年シリウス 6月号 講談社 B5平 [Amzn]

 新連載が2本。まずは恋緒みなと改めこいおみなと「アルト」。ファンタジーっぽい世界を舞台に、空に憧れて、飛行機を作ろうと奮闘する少年少女の物語を描いていくという内容。その世界では空を飛ぶ好意は純潔な巫女のみに許されているという設定で、主人公・アルトは飛行機に乗るため、その研究を盛んにやってるらしい全寮制(?)の女学校(?)に入学した……といった感じの出だし。ちょっと世界設定的には「魔法使いのたまごたち」にかぶるところがあるかな。まあ萌え要素とかも入れつつ、爽やかなドラマを展開してくれそうで、初回としてはまずまず好印象といったところ。

 もう1本新連載、RAN「メイド戦記」は、没落した王家の生き残りである王子が、王室付きのメイドたちを騎士として従えて、王家再興を目指すというドタバタストーリー。メイドさん乱舞ということで、まあ華やかであり、馬鹿馬鹿しくもある。とりあえず賑やか。このほか読切、黒巻瑠基「魔法少女マキちゃん」。スケバンの人が魔法少女として活躍するというドタバタコメディ。高橋祐「今日のミカド☆」、タグチホシノ「DESIRE」の2作も掲載。

 次号では尾玉なみえ「マコちゃんのリップクリーム」が始まるほか、2周年記念の付録小冊子が付属。小冊子には村枝賢一、大和田秀樹、東村アキコ、氏家卜全、大島永遠、x6suke、渡辺航、カラスヤサトシ、市川ヒロシら、50名が寄稿予定ということでなかなか豪華っぽい。まあ50名ってことは、一人一人のページ数は多くて4ページってとこじゃないかと思うけど。

【雑誌】コミックガム 6月号 ワニブックス B5平 [Amzn]

 パニックアタック「大人になる呪文」、Dr.モロー「Dr.モローのリッチな生活」と、他誌からの移籍新連載が2本スタート。どっちも知ってる人にとってはすでにおなじみの作品なので、ここらへんはまあ安心して読めそう。パニックアタックはわりと遅筆な人だけに、継続性が鍵ですかね。秋風白雲「いいんちょ」も新連載。この人はガム初登場。めがねっ娘な学級委員たちが織り成すドタバタコメディといった感じの内容。スッキリしたシャープな描線で、いいんちょたちを描いていくのが主眼。でこ娘たちも多く、そういうのが好きであれば、といった感じ。

 かかし朝浩「暴れん坊少納言」は新キャラ・藤原香子が登場。と書くとネタバレといえなくもないけどまあいいかー。クセのあるキャラの登場で、お話はますますもって賑やかに鳴りそう。それにしても清少納言・清原諾子(←本当は清少納言の本名は不詳らしいですが)の元気良すぎなキャラはやはり見ていて楽しい。あと今号では、読切で脚本:マテバ牛乳+漫画:バーニア600「シェルタアヲトコ」、中山かつみ「えりか」が掲載されている。中山かつみのほうは、最終ページに「連載準備進行中!!?」という文字も。

【雑誌】モーニング 5/10+17 No.21+22 講談社 B5中

 東村アキコ「ひまわりっ」。漫才トリオ「信頼関係」のコントがなんかけっこう面白い。作品の中では全然ウケてないんだけど、女二人がぐるぐる回るアクションとかリズミカルでいいと思う。作:綱本将也+画:ツジトモ「GIANT KILLING」。毎度面白いなあ。達海の指揮の下、ETUが椿&ジーノを中心に縦横無尽なサッカーを繰り広げている様子が痛快。ジーノの食わせ者っぷりも見てて楽しい。

【雑誌】ヤングサンデー 5/10+17 No.21+22 小学館 B5中

 木根ヲサム新連載「まつろはぬもの〜鬼の渡る古道〜」が開始。原作は恒川光太郎。木根ヲサムは「ネモト摂」からの改名。以読切で掲載された「風の古道」が連載化されたもの。初回は、死んだ兄の霊(?)に招かれて、妖怪(神々)たちが使う道に迷い込んでしまった少女が、古道を徘徊する「母神殺し」と異名をとるレン、そして犬神に出会う……といったところからスタート。シャープな描線を駆使した絵柄はなかなかに達者。お話的にもきちんとまとめてきそうで、まずは期待できるんじゃないかと思う。

【雑誌】ヤングジャンプ 5/17 No.21+22 集英社 B5中

 おおひなたごう「犬のジュース屋さん」が復活新連載。といっても昔やってた内容と全然変わらず、相変わらず犬さんは、野球のグラウンド内で粉ジュースを販売している。飄々としたナンセンスギャグは下らないし、犬さんもこれはこれでなんだか愛らしいものはある。柴田ヨクサル「ハチワンダイバー」。二こ神さんと、かつて彼に破れたプロ棋士が再戦。その対局の模様は気合いが迸ってて大迫力。河原の段ボールハウスに男3人という狭苦しさが、かえって圧迫感、緊張感を高めているような感じ。あと将棋の盤面を湾曲させてググーッと見せる画面構成も迫力たっぷり。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 5/10+17 No.22+23 秋田書店 B5平

 佐渡川準「無敵看板娘N」がついに最終回。前シリーズが始まったのが2002年5月ということで、5年近く続いた長期連載だったが、その間ずっと楽しくドタバタ劇を展開してくれた良作だった。ずっと商店街からほとんど出ず、キャラもむやみに増やさなかったにも関わらず、飽きさせず読ませた技量は大したものだった。暴力的ではありつつも、殺伐としない作劇も好感度が高かったし、何よりキャラに愛着が持てた。なお佐渡川準の新連載は初夏始動予定とのこと。なんか新連載の予告ページにはいろいろメモ描きみたいな絵もあるけど、「無敵看板娘」の単行本でさんざん嘘予告を描いている佐渡川準だけに、このカットがアテになるかはまったく不明。まあ初夏ってことなんで、さほど間があくわけでもなかろうし、次回作が始まるまで楽しみに待ちます。

 新連載、梅田阿比「フルセット!」がスタート。バレーボールもの。体が弱くて引っ込み思案だった少年が、転校先の学校でバレー部に入り頑張っていくというストーリー。お話としては普通のバレーボールものっぽいが、主人公の少年・入谷火野がけっこうスゴい。なんかものすごい勢いでナヨっちいのだ。まるで女の子みたいにかわいくて、彼がヘシゴかれてあえいだり、鼻血出したり、よだれ垂らしたりしているシーンは妙なエロっぽさがある。わざとそういう路線を狙ってるんだろうか。だとしたらイケるかも。まあお話的には、体が弱いはずの主人公が、いきなり一晩中バレーボールの特訓をやらかしたりと、かなり無茶はあるけれども。

 作:青山広美+画:山根和俊「ギャンブルフィッシュ」。手品娘がすごい勢いでツンデレっつーかデレデレになっている……。ツインテール娘もいるし、金髪お嬢様もいるし、新キャラも出てくるしで、けっこう欲望全開で突っ走ってますね。作:森高夕次+画:松島幸太朗「ストライプブルー」はなんだかラブコメのウェートがすごく高い。メインヒロイン2人もけっこう可愛かったりするし。こうやってみると「ショー★バン」でレギュラー女子キャラがいなかったのはちょっともったいなかったかもしらんですな。まあショーバンのムチャクチャな性格についていける女子は、そう多くはなかろうって気もするけど。

【雑誌】漫画ゴラクネクスター 6月号 日本文芸社 B5中

 由起二賢「サザンクロスの誘惑」が相変わらずむやみに濃い。本筋と関係あるんだかなんだか分からないが、主人公がいきなり現代社会を憂い、格差社会とか捕鯨問題を滔々と論じ始める唐突さ、セリフの長大さとかが妙な味わい。恐らくは本筋と直接は関係ないんだろうけど、普段から語りたいと思っていることに話が差しかかると、作者自身止まらなくなっちゃうんだろうなあと推察。絵柄のほうもものすごくゴッツくて濃すぎるくらいに濃いし、よく分からないまま力づくで読まされてしまう。


4/25(水)……ハルニア国物語

▼遅ればせながら見たアニメ第1話感想。「英國戀物語エマ 第二幕[Amzn]>。第一幕がかなりブツ切れ感のある終わり方だったので、第二幕に続いてくれて良かった。まあそんなわけで続編ということもあり安定感はある。アニメの出来については可もなく不可もなくといったところ。ただ原作のクオリティと比べちゃうと何段か落ちる印象で、もう少し頑張ってほしかったなーという気もする。

 これで4月スタートアニメでチェック予定だったのは一通り見た。2話以降で積み残しちゃってる分があるので、そちらをある程度見たら、暫定評価をまとめてみるつもりです。なんか最近は漫画感想の更新も遅れがちなんで、いつになるかよく分かりませんがー。

【雑誌】アックス Vol.56 青林工藝舎 A5平 [Amzn]

 イラストレーターで元ガロ編集長でもある渡辺和博の追悼特集が掲載。どこかイラストをまとめた見られるホームページでもあるとリンク張りやすいんだけど、あまりいいところがないな……。まあ有名な人なんで、青林工藝舎のWebとかで今号のアックスの表紙見ていただければ「あっこの人か」っていうのは分かっていただけるかと思います。

 藤枝奈己絵「夢色お兄ちゃん」。最近はお兄ちゃんのところによく遊びにくるマイナーアイドルの広田さんが、どんどん存在感を増している感じ。広田さんの適当すぎる性格、ダメ人間ぶりは見ててかなり面白い。今回はエコロジーアイドルとして売りだそうとしてるんだけど、主張が適当すぎて笑ってしまった。清水おさむ「JUKU第二部」。清水おさむが官能劇画誌で描いていたころのお話で、今回は編集者・高取英の出番が多め。高取英の名前自体は以前からかねがね聞いてはいるけど、リアルタイムな世代じゃないんで、なんだか伝説上の人物という感じがしてしまう。自分が勉強熱心な人だったらいろいろ調べるところなんでしょうけど……。こういう不熱心さ、ヌルさが自分の良くないとこなんでしょうね。

 で、次号は「トロイメライ」発売を記念して、島田虎之介特集をやるそうです。これは真ってたひとも多いのでは。「トロイメライ」の連載は次号で完結予定。

【雑誌】月刊IKKI 6月号 小学館 B5平 [Amzn][定期購読:出版社

 最近では青野春秋「俺はまだ本気出してないだけ」が味があって面白い。漫画家を目指すとかいって仕事をやめた四十過ぎのオヤジのしょぼくれた日常を描いていくという内容。まあダメ人間ものなんだけど、オヤジが意外と明るくて、何いわれてもへいちゃらな感じで丈夫なので、わりと安心して気楽に読んでいられる。

 新連載、足立和律「FOR SEASON」が開始。煽り文句によると「春夏秋冬を舞台に送る”カタオモイ”読切連作」とのこと。第1話の「春”near”」は、学生時代から似たもの同士であることをお互いに意識して、好意も持っていたけど結局は距離が近すぎたせいでくっつくには至らなかった男女が、別の人と結婚してから再会して思い出を語るという内容。センチメンタルな青臭い作風でけっこう読ませる。ただちょっと小さくまとめすぎかなあという気もする。こういう叙情的な内容の作品の場合、背景とかの描き込みがもうちょっと細かくないと、作品世界に奥行きが出ないと思う。「あえて描き込まなかった」って部分もあるとは思うけど、商業誌でこの手の内容やるときは、やっぱ一見のお客さんはそのくらいの作画レベルは求めちゃうとは思うんですよね。連載を続けていく中で洗練されてくれば良いのですが。

 あと読切でイキマン受賞作が2本。大澄剛「トウ」。生活にくさくさして疲れていた女性の家にある日不思議な少年がやってきて、その少年と暮らすうちに彼女は知らず知らずのうちに癒されていく……といった内容。浅野いにおとか松本大洋とかの影響が感じられる、わりと青くさい感じのお話。まずまずまとまっているけど、この手の作風だとやっぱもう一つヒネリがないと「またか」的な印象は持ってしまうので、多少評価は辛めになる。イキマンもう一つ。畑中純一「教えて進ぜよう。」。一瞬「畑中純の変名か?」と思ったが、全然違う人だった。こちらはわりとコミカルな絵柄で、じわじわくるようなギャグを展開。基本的な絵柄自体はカワイイほうだと思うんで、もう少し技量レベルが上がって線とかがこなれてくれば、といったところ。

【雑誌】アフタヌーン 6月号 講談社 B5平 [Amzn]

 なぜか西本英雄が新連載。幸村誠「ヴィンランド・サガ」を元ネタに、トルフィンの姉であるユルヴァちゃんを主人公に「元祖ユルヴァちゃん」というギャグ漫画を執筆。この連載を始めた経緯は週刊少年マガジンのほうにも掲載。本編とはまったく趣の違った内容だけど、続けて載ってても案外違和感ないな……。

 もう一つ新連載、吉永龍太「チノミ」。毎週1日は血入りの料理を食べる習慣のある家庭で育った男・鉈上雄一郎(21歳フリーター)が主人公。彼は一家が血の料理を食べるのは普通のことだと思ってずっと暮らしてきたが、ある日それが実は世間一般では普通とされていないことに気づく。そして血を飲んで生きる人々に関する不吉な物語が幕を開ける……といった出だし。最初はちょっとコミカルなお話かなあと思ったが、読み進めていくにつれじわじわと不穏な雰囲気が増大。どうやらホラー系のお話になる模様。ゴツゴツした絵柄はけっこう迫力もあるし、ガチでグロめの描写とかをやってきたらけっこう怖くなるかもしれない。まずはちょっと期待。

 植芝理一「謎の彼女X」は連載再開。つきあいが長くなり、卜部さんもだんだんキスとか、椿くんとの直接的な接触を意識するようになってきた。そのうちなんぞやるのか、それともこのまま焦らし続けるのか。どっちにしても面白そう。

【雑誌】スーパージャンプ 5/9 No.10 集英社 B5中

 村上もとか「JIN −仁−」。和宮暗殺のぬれぎぬをかけられ、牢に入れられてしまった仁は苦難の連続。それにしても耳に虫が入ってしまうというのはけっこう怖いな……。こんなデッカいのが入っちゃうんだ……。作:早川光+画:橋本孤蔵「江戸前鮨職人 きららの仕事」。坂巻の逆襲がスタートでいきなり絶好調。ウナギを獲るために、本職の漁師顔負けの腕前を発揮してしまう坂巻の男っぷりに改めて惚れる。まったく、息を呑むほど太くて黒光りしてやがるぜ……ウナギが。

【雑誌】ビッグコミック 5/10 No.9 小学館 B5中

 いわしげ孝「単身花火」がたいへんいやらしいですね。単身赴任中の主人公の近辺に、思わせぶりに出没し続ける初恋の女。まだヤッたりはしてないけど、すごくべっとり貼り付いてくるような雰囲気があり、それに主人公がからめとられていく様子がなんだかたまらない。不倫3秒前的雰囲気のまま、じりじり煮詰めていくやり口がいやらしいです。

【雑誌】週刊少年サンデー 5/9+16 No.21+22 小学館 B5平

 畑健二郎「ハヤテのごとく!」はホワイトデー話。今回は西沢さんがメインになるかと思いきや、ヒナギクのほうもかなりからませてきていて、なかなか混戦模様。それにしてもナギ、西沢さん、ヒナギクの女子3人との関係は今後どう処理していくんでしょうな。マリアも含めて、どれとくっついても問題ありそうな気はしないでもないし。

【雑誌】週刊少年マガジン 5/9+16 No.21+22 講談社 B5平

 はっとりみつる「ケンコー全裸系水泳部ウミショー」。揉乳同盟大ブレイク編完結。静岡さんの乳が揉まれまくる馬鹿馬鹿しいノリが楽しかった。村上よしゆき「花形」(原作:梶原一騎+川崎のぼる)。改めてこの絵で大リーグボール養成ギプスを見るとインパクトある。こんなもん作るなんて、どう考えても性格破綻してるよなーと思ってしまう。今だったら「超回復」がどーのこーのとかいいそうだけど、まあこの世界だったら超超超回復くらい普通にしそう。

【単行本】「はなまる幼稚園」1巻 勇人 スクウェア・エニックス B6 [bk1][Amzn]

 待望の単行本。ヤングガンガン連載時から単行本化をすごく楽しみにしていた作品。

 この作品は、とある幼稚園で繰り広げられるドタバタした日常を描いていくというお話。主人公の杏ちゃんは、幼稚園のセンセーである土田(つっちー)がとっても大好き。年の差離れまくりだし、つっちーは同僚の巨乳な山本先生が好きなんだけれども、杏はそれにまったくメゲることなく、つっちーを振り向かせようと、子供ながらに日々頑張る。その様子を中心に、毎回ドタバタとても楽しく描いていく。杏をアシストしようとするその友達の小梅ちゃん、柊ちゃんもこれまたかわいいし、つっちー・山本先生と、園児たちを見守る大人たちも人が良くて暖か。

 まあそんなわけで、幼女がわらわら動き回る作品ではあるんだけど、邪な要素はまったくナッシングで、お話はあくまで朗らか、無邪気に展開。元気良く動き回る子供たちの様子は微笑ましいことこのうえないし、絵のほうも明るいトーンでポカポカした暖かみがある。もこもこしたかぼちゃぱんつもチャームポイント。いちおうラブコメ的なこともやってはいるんだけど、さすがに幼稚園児なのでベタベタしたものになるはずもなく、他愛なくかわいらしい。おひさまではなまるでひまわりでひだまりで……ってな感じの、陰りない明るい雰囲気に満ちている。読んでいると、なんかもうあまりのかわいらしさに、思わず知らず顔がニコニコほころびまくってしまう。

 にゅーあきば.comのレビューでも紹介したけれど、この作品の感想を書こうとすると、どうしても文章が「かわいい」「微笑ましい」「ほのぼの」といった言葉で埋まってしまう。まあそんなわけで長く書いても、その手の言葉の繰り返しになっちゃうので、このくらいにしときますが、本当に読んでて暖かい気分になるし、癒されまくる良い作品だと思う。隅から隅までかわいいオススメの一作。

【単行本】「聖痕のクェイサー」2巻 作:吉野弘幸+画:佐藤健悦 秋田書店 B6 [bk1][Amzn]

 吉野弘幸+佐藤健悦の漫画「舞-HiME」シリーズコンビが贈る、女人の乳を吸って強くなってバトルするという、実に欲望に忠実なアクション漫画。「舞-HiME」シリーズほどにはまだキャラが立ってない部分があるためか、ちょっとゴチャゴチャしててお話が頭に入ってきにくい部分はあるかな。まあ女の子たちはかわいいんだけど。佐藤健悦の絵柄は、描線自体はわりと上品なんだけど、けっこう露骨にエロもやったりして独特な味がありますな。


4/24(火)……象キーパー

23日の日記のスピリッツの項で、花津ハナヨの新連載「ヴァージンハウス」について触れるのを忘れていたので追記しときました。

【雑誌】イブニング 5/8 No.10 講談社 B5中

 門辺美沙「ビビリメガネ」が連載化。読切のときもなかなか楽しい話を連発していたので、これは嬉しい。お話のほうは、猟奇犯罪本マニアの少年・黒部くんと、マイペースすぎる女の子・浮風さんによるドタバタラブコメ。主人公・黒部くんの、小心者だけど猟奇犯罪について知るのは大好きで、つい思い込みでヘンな行動をしてしまうキャラが見てて面白い。浮風さんのリアクションも笑えるし。まあキャラの性格とかはずいぶん違うけど、「ラブロマ」に似た雰囲気もありますな。絵的にはまだあんまりうまいとはいえないけど、それはかえって味になっている。今後も楽しみな一作。

 青木幸子「ZOOKEEPER」はゾウ編が続く。ゾウという動物の凄さ、扱いにくさをしっかり説明しながら進んでいくストーリーは読みごたえ十分。突きつけられた難題に対して、香也たちがどんな答えを出すのか、次の展開がとても気になる。丁寧に作られたいい作品です。

 読切・北叢鼎「手」上編。時代劇モノで、ぎっくり腰になったご隠居さんを治療すべく呼ばれてきた按摩さんの女性だが、彼女のとる治療法は実に奇異なるもので……。絵はまだ上達の余地があるけれども枯れた味わいがある。お話のほうもまとまりがあって完成度は高い作品。あと今号には、カラスヤサトシがアフタヌーンから出張してきている。この人は本当いろんなとこに顔出しますね。

【雑誌】ヤングチャンピオン 5/8 No.10 秋田書店 B5中

 村生ミオ「Xenos2 ルームシェア」。だんだん濃くなってきた。イケメン男・高志の寵愛を受けているヒロイン・ショコラをて、高志に異様に執着しているストーカー女・美花が狙う。このストーカー女の人が、高志に対して決定的な愛情を持つに至ったきっかけが今回描かれていたのだが、これがまたしょうもなくて……。最近の村生ミオはとにかくぶっ飛んでてスゴい。当然好き嫌いは分れるだろうけど、問答無用なパワーがありますな。

 読切、作:長尾エボシ+画:いくるみかおる「サダナリ君の休日の現実」。モテない感じの主人公が、電車で居眠りしてるねーちゃんに寄っかかられてちょっと心トキめかせるが……ってなお話。まあ他愛ない内容ではあるけど、暖かみのある絵柄はなかなかいい雰囲気。派手ではないけどわりと好き。あと今号にはもう1本読切で、平澤健司「ヒラサワールド」が掲載されている。

【雑誌】漫画サンデー 5/8+15 No.18 実業之日本社 B5中

 画:木村栄志+作:橋本一郎「孫子伝」。タイトルどおり古代中国の軍師・孫子を描いていく集中連載であることは予告段階で分かってたけど、けっこうすごい出だしだなあ。お話は現代から始まり、中国で働いている投資顧問会社の代表さんが、いきなり古代中国へタイムスリップしてしまうという出だし。このファンドマネージャーの人に何か特殊能力があるようにも見えないし、余計な仕掛けをしないで、普通に孫子について描いていっても良かったようにと思うんだけど……。ただそういう仕掛けがある分、ぶっ飛んだ作品になりそうな気配も感じるんで、次号以降もちょっと注目してみたい。

 作:倉科遼+画:みね武「艶恋師 放浪編」。農家の男の純情を弄んだロシア女に対して菊之介さんご立腹。彼女に対する制裁を決意するが……ってなお話。vs.外国人編だけに面白そうなんだけど、制裁っつってもロシア女側としては、菊之介とやっても気持ちイイ思いするだけだしなあという気はする。どうやってお仕置き色を出すのかが見ものか。まあこの作品のことだけに、とりあえずイカせれば一件落着となるんだろうけれども。

【雑誌】コミック・ガンボ 4/24+5/1 No.15+16 デジマ B5中

 作:岩下はがね+画:司馬亘「品子のお仕事」が巻頭カラー。万引きGメンをやっている女性が主人公のお話。いつもはめがねっ娘な品子が、今回はめがねを外した状態で活躍。今回は万引きされたものもメガネ。品子はけっこう美人さんに描けていて華のある回だったが、事件そのものについては話運びはちょっと強引な気はしないでもないかな……。

【雑誌】LaLa 6月号 白泉社 B5平 [Amzn]

 田中メカ「キスよりも早く」。かなりラブコメしてますなあ。連載化してから2回目だけど、すでにヒロインの文乃は旦那様である先生にベタボレのメロメロ状態。教師と生徒という立場もあって、手こそ出してはいないけど、生殺し状態でこのままずっと行くんだろうか。これだけベタボレ状態だと、今後どうやってヤリもせずに話を持っていったものやらという気はするけど、とりあえず楽しいのでいいです。

 津田雅実「eensy-weensyモンスター」。好調。モテモテ王子である葉月が、フツー女子であったはずの七花がどんどん好きになっていってしまって困っちゃっている状態。七花を意識して彼女の一挙手一投足にどきどきしまくっている王子の様子が微笑ましい。七花のほうもちまちましててかわいらしいですな。あと今号には、初登場読切、雪村ゆに「ココロにひと針」が掲載。絵が華やかでなかなかうまい人だと思う。

【雑誌】Comicモエマックス 6月号 Volume.1 モエールパブリッシング A5平 [Amzn]

 新創刊。「ちょっと過激な萌エロリ美少女コミック」というキャッチがついているけど、女教師モノもあるし、たいらはじめのいつもの姫様陵辱漫画もあるしで、とくにロリ専門というわけでもない。全体的な印象としては可もなく不可もなくって感じだけど、ちょっと地味かなあ……。

 執筆陣の中では大波耀子が個人的には気になるあたり。今回の「うそつきなきみ。」は、距離が近すぎて結局はくっつかなかった幼なじみが、最後に一回Hして長年の関係に区切りをつけるというお話。センチメンタルなお話なのであまりヌクという感じではないが、幼なじみ二人の心情を切なく描いていてなかなか読ませる。土居坂崎「むりやり種付ける話」。最近はすっかりギャグベースな話ばかりになってきたけど、ぶるぶる揺れる乳についてはやはりエロ心をくすぐるものがある。あと舞原マツゲは線がシャープでわりと押しの強いエロを描くのでけっこう気になるかな。今回の「先生イジリ」はゴスロリチックなファッションの小学生女子が、先生と無理やりエッチしちゃうというお話。

【執筆陣】影乃いりす、大波耀子、土居坂崎、ちんじゃおろおす、あ〜る・こが、藤瀬あきら、どざむら、しまたか、トリノ宗肉、みにおん、さだこーじ、舞原マツゲ、こうのゆきよ、たいらはじめ

【単行本】「仮面ライダーをつくった男たち」 村枝賢一 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 これは燃えマックス。タイトルどおり、「仮面ライダー」という番組を作るために尽力した人々を描いた実録ストーリーなのだが、漫画としてもとてもよくできている。

 この単行本では、前半で「泣き虫プロデューサー」といわれた平山亨、後半で仮面ライダーのアクション部分を担当した殺陣師集団「大野剣友会」の面々の活躍を描いていく。このような実録ストーリーであれば、監督さんや主演の役者さんにスポットライトを当てるのが普通だろうけど、そういった面々ではなく裏方といわれるような人々を取り上げているところはシブい。

 とくに泣かせるのは、やはり平山亨のエピソード。普通だったら低く見られがちな特撮番組なんぞにアツくなり、子供たちに夢を与えるヒーローを作り出そうと必死になる彼の姿には心動かされるし、彼が涙を浮かべながら仮面ライダーへの想いを語るシーンでは読んでるほうもつられて泣けてきてしまう。バイク事故で負傷した藤岡弘を代役を立てるかどうかでモメるシーンなんかは、その一言一言からアツいものが迸っている。まあ実際のやりとりがここまで泣けるものだったかは分からないけれども、漫画としての盛り上げ方がうまい。大野剣友会編でも、仮面ライダーを支えながらも顔は出せず、人々からも認知されることのない殺陣師たちの職人根性、心意気をしっかり描いて骨太なドラマを構成しており、こちらもまたアツくなれる。

 あと、村枝賢一の「仮面ライダー」に対する思い入れ、製作に関わった人たちへのリスペクトが、漫画の端々からビシバシ伝わってくるのも良い。セリフ回しや演出は、一歩間違うとクサく感じられてしまいかねないものだが、それがいちいちツボにハマっており、ストレートにアツくなれる。題材と村枝賢一の資質がすごく良くマッチしているってことなんでしょう。たいへん面白かった。この作品については、にゅーあきば.comのレビューでも取り上げているのでそちらもどうぞ。

【単行本】「仮面ライダーSPIRITS」12巻 村枝賢一 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 「仮面ライダーをつくった男たち」と同時発売された第12巻。この巻ではV3がアツかったです。世代的にいってもV3が一番燃えるあたりかな。ライダーマンも好き。ただ正直なところ、ゼクロス編は長くなりすぎかなーとは思う。連載開始当初みたいに、短篇連作形式のほうが歯切れ良く読めると思う。


4/23(月)……フローズンジャイキリ

【雑誌】ヤングキング 5/21 No.10 少年画報社 B5中

 礒本つよし「東京クレーターのアカリ」がシリーズ最終話。この人の場合、作画的にはかなり好みなんだけど、ストーリーがもう一つ印象に残ってこない感がある。今回も41ページと頑張ってるけど、ストーリー自体は単純な追っかけっこドタバタコメディということもあり、中だるみしてるような気がした。気持ちの良い絵はとても好感度が高い人なので、惜しいなーと思ってしまう。あと才谷ウメタロウ「WE NEED KISS」も今号で最終回となっている。こちらももう一つノリ切れなかったかな。

【雑誌】ヤングマガジン 5/7+14 No.21+22 講談社 B5中

 村田ひろゆき「元工業哀歌バレーボーイズ」。母の死後、谷口は働き口を探して右往左往。上向きになったかと思ったらまた不安感を煽り、非常にアップダウンが激しい。弟さんや妹さんもいるだけに、彼がちゃんと仕事をやっていけるのかどうかは死活問題。どうなっちゃうんですかのう。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 5/7+14 No.21+22 小学館 B5中

 作:神尾龍+画:中原裕「ラストイニング」が面白いなあ。さほど派手な作品ではないけど、最近の野球漫画の中では個人的にはトップクラスだと思う。高校野球に関わる連中の一癖も二癖もあるキャラがしっかり描けているのが面白いし、プレーの様子も分かりやすいし、駆け引きや戦略性みたいなものをしっかり感じさせてくれる。最近は対戦相手の高校の元監督・熊谷が解説役、盛り上げ役としていい味を出している。高校野球の酸いも甘いもかみ分けた百戦錬磨の元監督の存在が、鳩ケ谷監督の監督としての凄みを浮き彫りにしていて読みごたえがある。あとプレーのレベル的に、きちんと高校生レベルってものを意識してるところがいいですな。

 新連載。花津ハナヨ「ヴァージンハウス」。リストラされた独身女3人が集まって、一つの家を借り、ルームシェアして再出発……といった出だし。女盛りの3人のドタバタ同居生活を描いていくコメディといった感じで、まずはスムーズな滑り出し。大外しとかはなく手堅くいきそう。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 5/7 No.21 集英社 B5平

 矢吹健太朗「ToLOVEる」(脚本:長谷見沙貴)が連載1周年ということで表紙&巻頭カラー。ちょいとエッチっぽい描写が話題な作品ではあるけれども、ラブコメとしてもけっこういいんじゃないでしょうか。ただ春菜ちゃんにはもう少し積極的になってほしいところではある。いちおうメインヒロインの片割れではあるが、現在のところ、主要な役割は「入浴中のしずかちゃん」であるような気が……。許斐剛「焼肉の王子様」。単発ネタかと思っていたけど続くとは。相変わらずトバしてるなあ。素晴らしい。

【単行本】「GIANT KILLING」1巻 作:綱本将也+画:ツジトモ 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 面白いです。最近のサッカー漫画の中では個人的にはイチオシ。日本国内のプロサッカーチームで活躍したあと海外に渡り、現役引退後はイングランドの片田舎のアマチュアクラブで監督を勤めていた主人公・達海。彼が日本の古巣チームに呼び戻されて、ときにエキセントリックにも映るやり方で、チームを強豪撃破(ジャイアント・キリング)へと導いていくという物語。

 綱本将也は「U-31」(作画:吉原基貴)でも原作を担当した人だが、この作品でもサッカーマニアぶりが伝わってくる。そもそも主人公の出発点がイングランドの5部リーグで、FAカップの試合から始めているあたり、マニアだなあと思う。フツーのサッカー漫画で5部リーグなんぞ描くことはまずないし、そもそも5部リーグなんてものが存在するなんてことを意識している人さえ多くないと思う。そういったマニアックな知識を分かりやすく説明できてるのも良い。

 作画担当のツジトモも頑張っていると思う。これが初連載ということで、作画的にこなれていない部分はあるけれども、ペンタッチに独特の味があるし、サッカーのプレーも分かりやすく、印象的に描けていると思う。キャラ作りも上々。とくに達海は飄々としてるけど頭はキレそうで、「なんか面白いことやってくれそうな監督だな」という期待感を持たせてくれる。チーム作りも型破りなようでいて、理屈を聞かされると納得できる。

 このほか選手やフロント、そしてサポーターと、それぞれのサッカーに対する熱い想いもしっかり感じさせてくれるし、読みごたえは十分。まだお話のほうは初期段階ではあるけれども、これからどういうふうにチームを作っていくのかというワクワク感にあふれている。今後のチーム、そして監督がどのようなパフォーマンスを見せてくれるのか、すごく楽しみ。ただちょっと惜しいのが、単行本1巻の表紙だけ見るとサッカー漫画だとパッと分かりにくい点。絵柄自体はわりと目立つかなとは思うんですけどね。


4/22(日)……テスト楽勝

OHP月極アンケート、2007年4月のテーマ「職人・専門職モノ」は今月いっぱいで締切です。ちょいと難しめなテーマかもしれませんが、また投票お済みでない方、あるいは投票された作品についてコメントされたい方は、ぜひ書き込んでいってやってください。

【単行本】「井上和郎短編集 葵DESTRUCTION!」 井上和郎 小学館 新書判 [bk1][Amzn]

 ゴッツくてメチャ強な息子の父親が、とにかくかわいすぎてもうたまらんのです!……ってな状況で繰り広げられるシリーズ「葵DESTRUCTION!」を中心とした短編集。やはり目玉となっている「葵DESTRUCTION!」は話題になっただけあって面白い。葵パパがやたらカワイイし、見せ方も楽しい。本来はオヤジなはずなのに、その匂い、容姿、チラリなどにいちいちトキめかされてしまう。分かっていても反応せざるを得ない男心をグラグラ弄ぶ、罪な作品といえましょう。葵パパについては、「女の子みたいな存在」としてとらえるのもアリだし、「すげーカワイイショタっ子」と見てもOKでしょう。あとその他短篇「古書店夜光奮戦記」「フルスクラッチ・エイジ」「音禰のないしょ」も、技量的にはまだ至らぬところもある時代のだけれど、それぞれ元気が良くて楽しく読める。

【単行本】「あいこら」7巻 井上和郎 小学館 新書判 [bk1][Amzn]

 この巻では、ついにハチベエが天幕さんへの恋心をハッキリ意識。というわけでこの作品的にはこれまでで最もラブコメ的な盛り上がりを見せている。お互いを意識しまくる二人の様子が微笑ましい。あとはそれを複雑な気持ちで見守る弓雁ちゃんが注目といったところ。あとは八ツ橋さんですか。今後は天幕さん以外のメンツの巻き返しにも期待しつつ、気楽に読めるフェチネタもがんがん盛り込んでいってもらえれば。

 最近の井上和郎は、この作品や「葵DESTRUCTION!」では、フェチネタだったり変態っぽいネタを盛り込んできているけど、読んでみるとあんまりイヤらしい感じはせず、きっちりエンターテインメントに仕立て上げてきている。変態ネタっつっても、例えば早見純みたいなゾッとするような気持ち悪さはなくて、絵はかわいいしけっこう健全。セックスには直接結びつかないサービスであり、「スカートめくり」的な感覚に近いかもしれない。それだけに安心して、気軽にサクッと楽しめるっていうのがいいんじゃないでしょうか。

【単行本】「ヨルムンガンド」2巻 高橋慶太郎 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 パンチが効いてて面白い。女性武器商人・ココと、その部下となった武器を憎む少年兵ヨナらを中心に繰り広げられるガン&バトルアクション。独特の鋭さ、荒々しさ、そして華やかさのある作画がカッコ良い。あとこの作品でいいのは、ココを中心に、キャラにそれぞれ愛敬があるってことかな。彼女たちの会話はテンポとキレ味が良いし、ユーモアもある。ただ単純にドンパチやってるだけでない、けれんみみたいなものがあるのがいい。

【単行本】「もずく、ウォーキング!」2巻 施川ユウキ 秋田書店 B6 [bk1][Amzn]

 やたらいろいろ考えるちょっと変わった犬・もずくの、おおむね平凡な日常を描くお話。ほのぼのしてはいるんだけど、なんだかものすごく創意工夫が凝らされたほのぼの感。「サナギさん」や「酢めし疑獄」で見せている面白い言葉いじりとかを随所に生かしつつ、ほのぼの漫画らしく、しっかり角をまとめてあるところもうまいなと思う。癒されるようなそうでもないような、不思議な感覚のある作品。

【単行本】「イエスタデイをうたって」5巻 冬目景 集英社 B6 [bk1][Amzn]

 ダラダラと青春ラブコメが続く。この巻では幼なじみで弟分的存在だった浪の想いを受け止めきれなくなったシナ子がうろたえて、魚住に接近していくが……という展開。そのおかげでハルはちと存在感が薄め。なかなか終着点がどうなるか見えない雲行きのままずーっと来ているけど、まあ青春ということで迷い道くねくね、この手の作品としては似つかわしい。冬目景の絵の良さも出ているし、ラブコメとしてもけっこう楽しい。近年の冬目景作品の中では一番まとまりが良い作品だと思う。

【単行本】「幻影博覧会」2巻 冬目景 幻冬舎コミックス B6 [bk1][Amzn]

 もう1冊冬目景。こちらは大正浪漫漂う探偵物語。1巻の段階では謎の存在であった、主人公である探偵・松之宮の助手・真夜の能力に、だんだんと迫っていく展開。探偵としての事件もいろいろあるけれど、やはり主題となるのは真夜がらみのお話でしょう。だんだん真夜のキャラが見えてきて、面白くなりつつあると思う。この舞台設定と冬目景の絵も合うし。あとこの巻では、松之宮の後輩でどうやら彼に惚れてるらしい勝ち気な女性・竹下さんが出てきて、ちょっといい感じです。少しツンデレな風味もあるし。

【単行本】「ヤンキー君とメガネちゃん」2巻 吉河美希 講談社 新書判 [bk1][Amzn]

 ドタバタしてて楽しい。不良の品川と学級委員の足立さん。二人のコンビもすっかり板についてきて、ドタバタ夫婦漫才状態が楽しく展開。まあ凸凹コンビは両方とも元ヤン系だけど、どっちも基本的には気がいいので、わりと清々しい友情ストーリー&コメディになっている点に好感が持てる。あとまあ足立さんはけっこうかわいかったりもするし。今のところ、ベタに恋愛モノとして盛り上げようとしてはしてないけど、今後どうなっていくのかは気になるところ。まあネタにツマるようなときやテコ入れが必要なときに、恋愛っぽい話で盛り上げるって手もあるだろうから、手つかずで残しておくってのは手かもしれませんな。

【単行本】「ケンコー全裸系水泳部ウミショー」5巻 はっとりみつる 講談社 新書判 [bk1][Amzn]

 大会を前にしてウミショー水泳部があむろの故郷で合宿。南の島で皆さんは解放感たっぷりってことで、この巻でもノリ良くドタバタ劇が展開。なんかいちおう恋愛モノ的なこともやってたし、盛り上がりましたな。とにかく賑やかでドタバタで、サービスシーンもてんこ盛り。このテンションの高さ、スコーンと突き抜けた明るさはやはりスゴいと思う。アニメ版は2007年7月からだそうで。この絵をどう動かすか楽しみです。

【単行本】「カラクリオデット」3巻 鈴木ジュリエッタ 白泉社 新書判 [bk1][Amzn]

 回を重ねるごとにだんだんオデットさんが成長中。アンドロイドだけれども、人間のことに興味しんしんで、恋や友情を知ろうとするオデットさんがかわいらしくてええです。人間の微妙な心の機微は理解できないものの、人間以上に優しかったり誠実だったりする部分も多いオデット嬢ちゃんの様子に心ひかれる。やっぱ頑張ってるところがええと思いますね。

【単行本】「幸福喫茶3丁目」7巻 松月滉 白泉社 新書判 [bk1][Amzn]

 潤を狙う男どもがあっちでもこっちでも活性化といった感じでしょうか。学園祭で安倍川草が恋愛生物になっただけでなく、進藤のほうもだいぶメロメロ度が増してきている模様。さらに一郎もあまり顔とかには出さないがこだわりはあるようで。朗らかないい娘さんだけにすごい勢いでモテますなー。まあ確かにこの笑顔は好感度がムチャクチャ高いので、惚れるのも無理ないですが。


4/21(土)……メチャ掘りクラブ

【雑誌】コミックハイ! 5月号 双葉社 B5平 [Amzn][定期購読:Fujisan

 創刊2周年記念ということで、各作家がおいわいイラストとかを描いてます。

 私屋カヲル「こどものじかん」。今回はビシビシ厳しい女教師・白井先生にスポットライト。りんに恋する女の子・黒川さんが、白井先生のことをいたく気に入っちゃって彼女に接近していくが、白井先生はそれにどう対処してよいのか分からなくて戸惑う……といったエピソード。自分も子供あしらいが苦手なんで、けっこう共感できるものがある内容だった。あと白井先生はけっこうツンデレ系っぽくて最近どんどん存在感が増している。作者的にも気に入ってるのかもしれませんなー。その影響で、今回はりんも青木先生も影薄し。

 紺條夏生「妄想少女オタク系」。ドタバタしてて楽しい。今回はオタク女子である浅井さんが、妙に阿部君を意識して、その影響で暴走してしまう。彼女のオタオタ慌てっぷりが面白い。かがみふみを「まちまち」はいつもながらの初々しさが微笑ましい。どうしても身長差を気にしてしまう高木さんだが、古賀くんの気遣いもあって、だんだん普通につき合えるようになりつつあり。幼なじみが恋人になって、また新たな関係性を作り上げていく様子がほのぼのしててええ感じです。

 KUJIRAは読切「乙女の祈り」で初登場。これまではエロティクス・FやIKKI、ヤングジャンプなどで読切を描いていたのを見かけたことがあるが、スッキリした絵柄でなかなかうまい人だと思う。お話のほうは、親友女子・利理がマジで好きだった主人公女子・風花だが、利理が風花の幼なじみである男子・一太のことが好きになってしまって関係がギクシャク。しかも一太は風花のことが好きとかいいだして……というわけでどうどうめぐりな三角関係に。でも絵柄がスッキリ品が良いこともあり、あんまりドロドロすることはなく、センチメンタルかつちょっと楽しくもある青春ストーリーに仕上がっていると思います。誌面の雰囲気にも合ってると思うし、定着してほしいな。

【雑誌】コミデジ+ vol.7 モビーダ/SBCr B5平 [Amzn]

 コゲどんぼ「かみちゃまかりん+」が連載開始。元は講談社での連載だけど、こっちではアナザーストーリーでもやるんですかね? あとコゲどんぼでは「デ・ジ・キャラット」が新展開。デ・ジ・キャラット星に戻ったはずのでじこがアキバのゲーマーズに戻ってくるが、なんだかいつもと調子が違ってゲマ困惑という出だし。そういえば衣装もフリルが増えてマイナーチェンジしてるし、髪の毛の分け方も違うかな? でじこに何が起こったか、そしてどう変わるのかは「次号を見るにょ」ということなんでそちらを待つしかないか。あと今号では、加曽利りあら「エミる☆みらくる」が最終回。なかなか面白いペンタッチの持ち主で、ちょっと気になる存在ではありましたが。

【雑誌】コミック電撃大王 6月号 メディアワークス/角川書店 B5平 [Amzn]

 新連載、烏丸渡「マリンアタック」(原案:TEAM PLUs+南波謙二郎・堀江佐智代)が開始。客船で旅行中だった女の子が津波によって流されて、なんだか不思議な島にたどりつき、その島に住む「うみんちゅ」と名乗る少年と一緒に暮らし始める……という出だし。お子様二人が南の島の楽園で繰り広げるドタバタコメディといった具合。絵はかわいく、賑やかな雰囲気のお話もまずまずといったところ。気楽に読める作品になりそう。

 たあたんちぇっく「まなびストレート!」。学園祭が終了。アニメ版の学園祭は、大騒ぎしたわりに普通すぎるくらい普通の学園祭だったが、漫画版の学園祭はけっこうオリジナリティがあってユニーク。アニメでもこういうのやって欲しかった気はする。そっちのほうが説得力だっただろうしね。

【雑誌】COMIC LO 5月号 茜新社 B5平 [Amzn]

 最近のLOでは雨がっぱ少女群が注目株。風景などを非常に丁寧に描き、奥行きのある世界観を作ってくるのが特徴。今回の「ソラを渡る円環」は東京から来た男にダマされて、悪戯を受けている少女が主人公だが、ラストのほうの見開き2連発がなかなかゾクッとくる見せ場。この手の漫画でこういうふうに見開き使ってくる人は珍しい。ビターな味わいのお話に加え、絵自体の美しさもあって、かなり印象に残る一作となった。

 裏次郎「コロの発情期」。発情した猫さんが猫耳少女に変身して、ご主人様に甘えてエッチするという内容。まあ他愛ないお話だけど裏次郎の描く女の子はやっぱかわいいなー。表情がイキイキしてて良いです。よしの「ころころ」。田舎の学校に転入してきた女の子だったが、その学校はクラスの全員が授業の合間とかにみんなでセックスしまくってるスゴイところだった……という内容。この人は線もきれいだし、キャラの表情にも特徴がある。続きモノみたいだけどけっこう楽しくなりそう。朝木貴行「彼女なヒミツと秘密な僕」。本屋さんでエロ本が縁で知り合った二人が街角エロス。我を忘れてヨガリまくる女の子の表情が豊かでいいですな。

 ガビョ布「日本野ちんこの会」。コミカルな絵柄でコミカルなお話。寸詰まりな感じの娘さんが、楽しそうにエロにふけってて見ているほうとしても楽しい。うさくん「メタボリックらぶ。」。前回は獣姦をやったと思ったら、今回はデブ専ですか。だんだんやりたい放題になってきてますなあ。今回はクラスの中でもおでぶさんで食いしん坊な女子、彼女とつき合っている少年のエッチを描く。ぽちゃぽちゃ少女もかわいくていいんだけど(とりわけおいしそうにごはんを食べるシーンは好感が持てる)、 5年生のくせして「あぁ…♥たまりませんこの肉づき…」「桃香の体は僕がひとりじめなのです」とかいってる主人公少年のキャラがなかなかにディープ。若ぇのにええ趣味してますなあ。「しあわせももりんご」の桃彦くんみたいだ。

【雑誌】美少女的快活力 Vol.15 光彩書房 A5中 光彩書房 A5中 [Amzn]

 犬「ストレンジ・カインド・オブ・ウーマンズ」。3回めだけどだんだん人間関係がゴチャゴチャしてきましたな。主人公は記憶喪失で、彼を藤乃&三田さんが争奪。それに加えて、なんかいわくありげな保険医ねーちゃんと、彼女と昔関係があったカッコいいけど生徒を食っちゃうのが趣味なエロ教師も出現。もうちょいとシンプルにやってもいいかなーとは思うけど、藤乃あるいは三田さんが寝取られるといった展開は嫌いではないので今後に期待。あと単行本「初犬2」と、「初犬」のアニメ版DVD前編[Amzn]は5月25日に同時発売となった模様。ただこのぺースだと「初犬2」も、最初の「初犬」同様、お話が途中でぶった切り状態で収録されちゃうのかなあ。せっかく面白いし、キャッチーな作品なんだから、もう少しキッチリまとめてから出してほしいとこだけど。

 あとこの雑誌で最近注目は廣田眞胤。今回の「Brave New World」は、画材屋でバイトをやってる美術教室の女センセーと、その生徒である男子が、店内でエッチしちゃうという内容。絵に少しクセがあるけど、それだけに目を引かれるものがあるし、表情のつけかたも上々。また、今号には第六天魔王グレートが久しぶりに掲載。タイトルは「筋肉美女的『豪・快活力』」。こういうタイトルであるだけに、相変わらずの筋肉ぶり。この人の描く女性は、筋肉ムキムキで強いんだけど、エッチシーンになると案外しおらしくてかわいかったりするんですよね。

【雑誌】メンズヤングスペシャル雷 Volume02 双葉社 B5中

 新増刊第2号。次号は7月中旬発売とのことなんで、今後もちょこちょこ出していく感じのようですな。最近コンビニ売りエロ雑誌はワニマガ系が強いけど、ほかの雑誌もそこそこ元気な感じはするし、多少景気は良くなってるんですかねえ。

 で、掲載陣のほうは、カラーが北河トウタ、浅草寺きのと、せんばた楼。巻頭の北河トウタはカラーが最近増えてるけど、塗りがだいぶ今風な感じで上達してきましたなあ。エロ漫画家としてのキャリアはもうけっこう長くなるけど、近年になってますます上り調子な感があるのは大したもんです。チャーリーにしなか「なりきりっ!」。手堅い。小柄な先輩女子が、彼氏であるでっかい後輩男子に乗せられて、コスプレエッチしちゃうという漫画。まあ彼氏のほうは強引でスケベではあるが、二人がけっこうラブラブな様子であるのは微笑ましい。

 ZUKI樹「おぼえてナイ!!」。会社の先輩女子が、かわいがってる後輩男子と酔った勢いでやっちゃったけど、何したか全然覚えてなくて……というドタバタHコメディ。美人だけどけっこうウッカリさんなヒロインがなかなか。ポニーR「♂なんだから仕方ない!」は、こなれたコミカルな絵柄が魅力だけど、キスシーンが何気にねばっこいのに惹かれるものがある。舌をねろねろからませまくる様子がエロっちいですね。

【執筆陣】北河トウタ、ドリルムラタ、チャーリーにしなか、ミル・フィーユ、柚木N’、矢凪まさし、せんばた楼、浅草寺きのと、はらざきたくま、ZUKI樹、ポニーR、DAIGO、牧部かたる

【雑誌】Dokiッ! 5月号 竹書房 B5中 [Amzn]

 ZUKI樹「彼女のおもてなし」がカラー付きで掲載。シャープな描線がなかなかええ感じの人だが、今回の作品はわりとコミカル。なかよし4姉妹の中の1人が彼氏とコスプレエッチするという内容。朗らかでラブラブ。肩が凝らずに読める。あと今回読んでみた感じだと、高橋こばと「シエスタ!」がわりといいかな。菓子職人やってる女性と、甘いモノ大好きで店に通いつめてる男がくっついちゃうというお話。甘いモノをたいへんうまそうに食べる男が感じイイなと思ったりした。


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