2007年11月下旬


11/30(金)……ボクの歯が痛いって

▼もうすでに告知済みですが、ここらへんでもう一度。OHP月極アンケート2007年12月分、「単行本収録希望作品2007」やってます。よろしくお願いします。

【雑誌】増刊ヤングガンガン 12/29 No.2 スクウェア・エニックス B5中

 大高忍の新作読切「まなみセンセイション」。アツさがあって良い作品だった。主人公のまなみは東大出のバリバリのエリートで、大学を出た後は東大予備校で働くことになっていた。しかし、予備校側の手違いで1か月だけ零細な塾の手伝いをすることになった彼女は、そこで成績オール1の女の子・ちよ子を受け持つことに。バリバリのエリート主義の持ち主で「素質のない子は絶対に勉強ができるようにならない」という主義の持ち主だったまなみだが、頭は悪いながらも一生懸命頑張るちよ子の姿を見ているうちに、自身の考えを改めていく。とくにラストのほう、東大予備校のドライで冷酷な教育方針に触れてブチキレた彼女が、落ちこぼれの生徒たちに涙ながらに熱く語りかけるシーンは、ほとばしるようなアツさがあって良かった。大高忍はかわいい絵柄もいいけれども、見せ場シーンで読者の心をゆさぶる爆発力があるのもいいですね。

 勇人「はなまる幼稚園」の特別編は、編集をやってる山本先生の妹さんが、担当してる漫画家の花丸先生のサイン会をお手伝い。そこで花丸先生は、杏たちと出会って勇気づけられるという内容。今回はつっちーとかは登場しないけど、相変わらずほのぼのする作風で楽しい。作:イム・ダリョン+画:パク・ソンウ「anather story of 黒神」。韓国の山神霊のナムが、自分の社を建て直すため、人間の巫女たちが集まる町に出てきてバイトするが……というお話。相変わらず作画は達者だし、奔放で元気なナムをイキイキと描いていて楽しめる。

 衛藤ヒロユキ「カマレロ」。ヤングガンガン系列初登場。すごくモテモテの主人公の前に、突然現れた魔王の娘を名乗る女の子。実は彼女は、主人公が少年のころに書いた落書きによって呼びだされたもので、現れるや否や彼に結婚を迫ってくるのだった。ドタバタした内容で賑やかにお話を展開しており、手堅くまとまった話となっている。

 大野ツトムの読切「ボクの破壊大帝」は、壺から出てきた破壊大帝を名乗る魔人が、ご主人様となったあんちゃんの願いをかなえようとするが……というドタバタコメディ。魔仁さんがグラマラスな美女で、なおかつツンデレ。ラストのほうのデレデレ化の様子がなかなか楽しい。この人は力強いゴツい絵のイメージが強かったけど、こういうやらかくて萌え度もある作品もうまいことこなしますねえ。

【雑誌】ヤングキングアワーズ 1月号 少年画報社 B5平 [Amzn]

 谷川史子「くらしのいずみ」。6回めで最終回ですかね。忙しさにかまけて、奥さんに実家へ帰られてしまった主人公。そんな彼が我に帰って彼女との思い出を反芻し、彼女の大切さに気づく。若夫婦さんたちの痴話げんかとラブラブぶりを、暖かく見せてくれる、後味の良い作品となっている。夫婦ともにけっこうかわいらしいとこがあっていいですのう。愛情たっぷりで爽やか。なお単行本は2008年1月28日発売予定。

 石黒正数「それでも町は廻っている」。今回は歩鳥の弟で小学4年生の男の子・タケルがメイン。ある日、いきなり隣の席の女の子が、家に遊びに行っていいかといいだしてきて、タケルくんは戸惑ってしまうが……というエピソード。ラブラブという雰囲気でもないけれど、普段は利口そうにしているタケルが、女子の気まぐれに振り回されてる様子は微笑ましいものがあった。女子のほうもツンデレなんだかどうだかって感じで、まずまずかわいい。

【雑誌】コミックバーズ 1月号 幻冬舎コミックス B5平 [Amzn][定期購読:出版社

 なんだかずいぶん分厚くなりましたなあ。先月号あたりから厚みが増している。11月号は550ページくらいで23mm、12月号は490ページくらいで29mm、1月号が580ページちょいで34mm。今号はページ数は多いけど、要するに12月号あたりから使う紙を変えたんでしょうな。

 で、内容のほうだけど、まず新連載で横山仁「戦国ゾンビ〜百鬼の乱〜」(原案:柴田一成)がスタート。巻頭ではなく巻中カラー。絵ヅラ的には派手だけど、個人的な印象は薄め。あと作:秋元康+画:OKAWARI+シナリオ:遠藤察男「象の背中」、高尾右京「天然家族みにっつめいど」は最終回となっている。

 読切では山田穣(山田X=ZERRY藤尾)「対怪生物防衛迎撃苦学生 鹿篠友香」が掲載。普段は平凡な苦学生をやってる平凡な女子・鹿篠さんが、変身ヒロインをやってることを知ってしまったクラスメート男子の高野くん。それが縁で高野くんは鹿篠さんの日常生活などを垣間見ることになる。まあラブコメというとこまではいってないんだけど、そのちょい手前って感じのとこで青春してる模様が見てて心地よい。なお最終ページ柱にようると新連載もそのうちやる模様。

 そのほかにも読切いくつか。町野マチコ「モダン・ルール」は、お調子者でお人好しの若手刑事ブルースくんの奮闘物語。アクションシーンとかの描線がも一つ弱いかなとは思うものの、まずまず整った絵柄でそこそこ楽しい雰囲気はある。ホコ「故郷」。脂っけの少ない落ち着いた絵柄で叙情的な物語を展開。丁寧でしみじみとした味わいのあるお話作りは、派手ではないけど好感が持てる。

【単行本】「ムーたち」2巻 榎本俊二 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 いつの間にか連載終了してたけど、これはやはりすごい作品だった。日常のちょっとしたことに対して、無用な思考を、徹底的に広げまくり積み重ねまくっていくその内容には毎回驚かされた。主役である虚山一家にとって、これらの思考はまだすごく手の込んだ知的娯楽って感じなんだけど、中にはそれが人生を著しく遠回りなものにしているケースも。過去の人生に登場したありとあらゆる数字に法則性を見出し、その法則に自分を頑なに当てはめ、さらに未来まで予測しようとする規理野なんかはその代表例。彼の無意味な徹底ぶりには感心させられる。

 とはいっても榎本俊二は、そこから何か教訓を導きだそうとか、いい話にしようとかまったくしない。フラットすぎるくらいフラットな姿勢はいかにもこの人らしい。とにかく思考はいっぱいあふれているけれども、それは軒並み実用的でなく、読者に何か考えさせようってわけでもない。あくまで思考ルーチンそのもののありようや、動きの面白さを楽しんでいる感じ。まあ例えていうなら、何を生み出すわけでもない機械の、歯車の動きの面白さを愛でているという感じ。役に立ちはしないけど、むやみに凄くて面白い。

【単行本】「BECK」31巻 ハロルド作石 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 アヴァロン・フェスが最高潮。いよいよBECKの演奏が始まり、メンバーたちも盛り上がり、観客たちもヒートアップ。ここまで長く前振りをしてきてタメにタメてきただけに、やっぱりえらくカッコいい。コユキ自身の歌の威力はまだ描かれてないけど、演奏シーンを見ているだけでゾクゾクするものはある。これだけ盛り上がったらあとはコユキ。次の巻に向かって期待がビンビン高まります。

【単行本】「ヘルシング」9巻 平野耕太 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]

 この巻もカッコ良くて面白い。そろそろ戦いは最終局面。なんだけど、むしろ本番はこれからって感じか。アーカードを倒すため、少佐が長い長い長い年月をかけて、練りに練りに練ってきた戦略が、ようやく結実しようとしている。この後、アーカード、セラス、ウォルター、少佐らが、どんな戦いを見せてくれるのかすごく楽しみ。

【単行本】「スピリチュアルぱらだいす」1巻 小野寺浩二 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 オカルトがらみの事象に迫る部活「スピリチュアル研究会」の面々の活動を描いたドタバタスクールギャグ。主人公の玉置は、彼が自殺するもんだと思い込んでいきなり放しかけてきた少女・美月に一目惚れする。しかし彼女は、霊感がまったくないのにものすごく霊を見たがってて、他人の目なんかおかまいなしに、自ら部長を勤めるスピリチュアル研究会の面々を巻き込んで霊探索活動を続ける、とってもイタイ少女だったのだ……というところからお話はスタート。

 玉置自身は美月とは逆に、霊感がすごく強くて、霊がバンバン見えちゃう体質。だけど怖がりなので、美月は何も感じない心霊スポットでいちいち怖い目に遭ってしまう。今のところ、心霊スポットにいっては騒動……という展開の繰り返しだけれども、とりあえず賑やかな様子と、報われない玉置の想いを描いたラブコメ模様が楽しい。

【単行本】「フロマンガ」2巻 吉田戦車 小学館 A5 [bk1][Amzn]

 風呂、およびその周辺アイテムだけをネタにして延々と4コマ漫画を展開していくシリーズ。まあ実に下らないんだけど、よく風呂ネタだけでこれだけギャグを作り続けられるものだなあと感心。登場キャラの中でとくに好きなのは「旅情を台無しにするする男/女」シリーズかな。旅先で出会ったひなびたいい雰囲気の事象に対して、あまり素敵でない来歴などを披露してぶち壊しにしていく、地味かつ下らない活動が興味深い。目のつけどころがさすがだと思う。

【単行本】「スポーツポン」1巻 吉田戦車 小学館 A5 [bk1][Amzn]

 こちらはビッグコミックスピリッツでやってる連載。「フロマンガ」と同じように、スポーツとその周辺物をネタにしてギャグを展開。まあそんなわけで似たテイストだけど、スピリッツでやっているということもあり、固定キャラもいろいろ出てくる。かわうそやら、「殴るぞ」に出てきた犬やらも頻繁に登場(まあ「フロマンガ」にもときどき出てくるけど)。吉田ファンにとっては、懐かしい友達に出会ったような喜びに浸れるのではないでしょうかー。

【単行本】「花輪和一初期作品集」 花輪和一 青林工藝舎 A5 [bk1][Amzn]

 タイトルどおり、花輪和一の初期作品をいろいろと収録した短編集。現在の作風とは違うけれども、花輪和一は初期のころからすごくうまかったんだなあと感心させられる。妖美な色気を持ちつつ、偏執的な雰囲気を漂わせた作風で、個々の作品は短くても読みごたえがある。作者自身による作品解説によると、このころは「毒婦を描こう」という意識が強かったそうで、女の怨念がからむ業の深い話が確かに多い。

 収録作品の中では、個人的には「戦フ女」が最も印象に残った。愛する男を徴兵に行かせまいとした女が、彼を自宅の軒下に生き埋めにして飼育するという内容。女の尿まみれの飯などを与えられるうちに、頭がおかしくなっていく男の様子がかなり印象的。イカれた目つきで楽しそうにヘンな歌を歌っている顔とか、たいへん愉快。

【収録作品】「肉屋敷」「怨乳」「怨獣」「赤ヒ夜」「猟人」「復讐 とかげ女」「復讐 ゴキブリ男」「かいだん猫」「捨子物語」「豚女」「戦フ女」「塗込め蔵」「日本妖怪おごろ草子」「垢嘗」「六富道」

【単行本】「刑務所の前」3巻 花輪和一 小学館 A5 [bk1][Amzn]

 花輪和一が刑務所にぶち込まれる前、それから刑務所内でのエピソードと、時代ものの内容をごちゃごちゃに織り交ぜながら進んでいく物語。花輪和一といえば時代ものの話のほうが本来の作風だとは思うけれども、この作品の場合は刑務所がらみの話のほうが興味深く、昔話のほうは少しかすんでしまってるような気がする。二つの要素がごちゃ混ぜになってるという構成はヘンで面白くはあるけど、どちらも中途半端になっちゃってる感じもする。分離して、それぞれの話をガッツリ読ませてくれるほうが個人的には好みだったかな。

【単行本】「惑星のさみだれ」4巻 水上悟志 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]

 淡々としているようだけど、少しずつ緊張感は高まって来ている。この巻では、主人公・雨宮夕日と彼が仕えるお姫様・さみだれの、新しい仲間たちのエピソードが中心。物語全体としてどこに向かっているのか、正直なところつかみづらい部分はあるのだけれども、漫画自体はテンポが良いのでそれなりに楽しんで読める。あと今回は、仲間たちのうちの少女2人組・星川昴&月代雪待の師匠であった秋谷稲近のエピソードが印象に残る。現在・未来のすべてのことを知ることができる能力の持ち主だった男の、幸福な生き様・死に様を描いた物語はけっこう目頭が熱くなった。このように、良いシーンは非常に良い作品なんで、もう少し焦点を絞ってお話を進めていってくれれば、もっと面白くなりそうなのになあって感じはする。


11/29(木)……チスジーテンダー

【単行本】「吉田家のちすじ」1巻 中島守男 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 吉田家の爺・義父・夫・義理の息子、4人の男たちと一緒に生活中の奥さん・多香子さんの生活を描いていくホームコメディ。吉田家の男たちは皆あんまり要領は良くないが、天然なセクハラ体質の持ち主。多香子さんは必要以上にむっちりしたボディの持ち主ということもあり、吉田家の男たちの視線はついつい多香子さんに集中してしまう。そんな状況に多香子さんが困っている状況を面白おかしく描いている。

 まあこんな感じだと、昨今のエロ漫画なら即ヤリなところではあろうけれども、吉田家の男たちは基本的にはチキンなのでそういうことにはならない。多香子さんの着替えを除いたり、尻を見つめたりと、その行動はかなり他愛ない。肉体をいじられるわけではなく、あくまで「ちょいとスケベ」「大人のスカートめくり」とでもいった感覚。

 基本的にはエロスを感じる情景をネタにしているにも関わらず、けして生々しくなることはなく、あくまで軽い調子で推移するのがこの作品の良いところ。おもろい家族の観察漫画といった感じで楽しめる一作。

【単行本】「喰いしん坊!」16巻 土山しげる 日本文芸社 B6 [bk1][Amzn]

 お話は喰いワングランプリ決勝の戦いへ。この巻も面白いことは面白いんだけど、やはりOKFF勢についてはちょっと残念。もう少し粘ってほしかった気が……。とくにたぶん誰もが思っただろうけど、西山についてはどうしたもんだかなという感じだった。まあ察するに、西山についてはちょっとモンスターっぽく描きすぎちゃってたんで、どうやって負けさせるかってのが土山しげるをもってしても思いつかなかったんじゃないでしょうか。感情がない大食いマシーンって感じで、底が見えなかった。できれば再戦のチャンスも与えてほしいとこですが。

【単行本】「極道めし」2巻 土山しげる 双葉社 B6 [bk1][Amzn]

 獄中でのバーチャルグルメ勝負は第1Rが終了。優勝者も決定して、今度は別の面子での第2Rも開始。といっても、この作品は語り手のキャラ自体はそんなに印象的ではないので、読者的には勝負の行方よりも、「次はどんな食い物を出してくるのかな」という点に興味が集中する。その点はやっぱり「喰いしん坊!」と比べると弱いかもしれない。あちらは「次はどんな料理で来るのか」という点に加えて、キャラクターのドラマもあるから。ただ「極道めし」には、「実際に食わないでどう共感を得るのか」という部分がよりクローズアップされている。これは料理漫画を描いている作家自身のノウハウに近いもんがあるだろうし、それを披露してくれているってのは面白いことだなあと思う。

【単行本】「オーレ!」5巻 能田達規 新潮社 B6 [bk1][Amzn]

 最終巻。上総オーレのN2リーグ残留をかけた決定戦、そしてその後のエピローグといった内容。決定戦の後の話はものすごく急ぎ足で、サッカークラブ運営に関する夢物語的なことが語られておしまい。正直今のJリーグでいい線行ってるといえるチームは少ないけれども、夢見なければ何事も実現しない。「すぐにこうなる、こうできる」といった話ではないかもしれないけど、プロサッカークラブを運営する側にはこのくらいの理想を持ってほしいとは思うし、サポーター側もそれを目指すのは悪いこっちゃない。これを読んだ人が、「地元にサッカークラブが欲しい」「地元のサッカークラブを盛り上げたい」という気持ちになってくれればいいんじゃないでしょうか。ちっちゃい種だったかもしれないけど、なにがしかの形で実るといいですねえ。

【単行本】「ろーてく 輝くぬめりの宇宙へ」 大見武士 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]

 「ろーぷれ」に続くローションぬらぬらエッチ漫画シリーズ第2弾。「ろーぷれ」は毎回ローションエッチをするカップルは変わっていたけれども、「ろーてく」ではメインキャラ固定。とあるマンションの管理人になった青年・松太郎と、彼を色仕掛けでたらしこんで家賃をタダにしようとするお姉さん・深見さんをメインにお話は進行。この作品でも毎回ローションは使っているものの、キャラのドラマのほうに目が行きがちで、ローションの存在感自体は前作のほうが上だったように思う。その分、ラブコメ度はこちらのほうが高いかな。回を重ねるごとに、深見さんが松太郎へのデレ度を高めていく様子はなかなか甘美なものがあって良かった。

【単行本】「よみがえりんね♪」1巻 森見明日 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]

 女の子に告白しては玉砕しつづけてきた主人公・主人公(もろと・あきら)が、ある日突然、モテ始める。しかし彼に告白してくる女の子は、皆彼と前世で恋人だったという「前世女」ばかりだったのだ……というドタバタラブコメ。主人公がなんだかモテモテになって、あっちでもこっちでもトキめくという内容は、ラブコメ的にはまずまず楽しい。まあ、設定が突飛すぎるきらいもあるけれども。あとストーリー面でいえば、個人的には前世女たちでなく、主人公をずっと見つめてきた幼なじみ娘さんが気になるところ。ていうかまあこの話の作りでは、彼女が気にならざるを得ないんですが。

【単行本】「小指でかきまぜて」 雨がっぱ少女群 茜新社 A5 [Amzn]

 COMIC LOの持ち込み大賞の初代受賞者であり、その後も精力的に作品を発表し続けている期待の注目株の初単行本。背景までしっかり描き込まれた美しい作画と、ときにページを大胆に使う表現力がこの人の魅力。アフタヌーンの四季賞作品っぽい雰囲気のある、叙情的な画面作りが何よりの特徴。

 とくにこの人の特徴がよく現れているのが、この作品の最後に収められている「ソラを渡る円盤」。エロ漫画としては非常に珍しい、エロでないシーンでの見開き2連発はとにかく印象的。信じていた年上の男に裏切られた少女の悲しい気持ちが胸にしみいるような、大胆なページ構成が素晴らしい。作画クオリティ、叙情性、風景の美しさなど、この4ページのインパクトは本当に凄くて、作者の持つ高い表現力をビンビン感じさせてくれる。

 とはいえ、単行本通しで読むと「すごくうまい」とは思うものの、案外物語に入っていきにくいなという印象も受ける。達者な絵を生かしてエロさで見せていくか、それとも萌え系に走るか、町田ひらくみたいな路線に行くか、それとも四季賞的な方向に行くか。どの方向に行ってもやれそうなだけに、作者自身も試行錯誤しているかのような印象を受ける。まあどれでも面白ければ個人的にはオッケーなんだけど、どの路線に行くにせよ、ストーリーを読ませる力を持ってて損はない。今後はキャラを印象づけ、お話を読ませる力をもっともっとつけていってほしい。素材はすごくいいと思うので、より高いレベルでの熟成を期待します。

【単行本】「ぴんくぱんつぁー」 あかざわRED マックス A5 [Amzn]

 かわいいい萌え絵とノリの良さがええ感じのあかざわREDの新刊。大人なんだけどロリ体型のおさななじみ姉ちゃん、それからその家族たちとラブラブエッチライフを繰り広げるドタバタコメディ「ろりあね」全6話、お嬢様と彼女によって女装させられてるかわいい少年の物語「絶対少女ism」全3話、それから読切作品の「おくちからのこいびと。」を収録。いずれもぷりぷりした萌え絵で元気良く、賑やかにお話を展開。かなり華のある萌え絵ながら、エロもみっちり濃密にやっているのが特徴的。ロリあり巨乳ありでいろいろこなすし、何より躍動感があってノリノリなお話作りが楽しい。サービス精神旺盛で、面白い作品描く人だなあと思います。、

【単行本】「スクールメイズDASH」 島本晴海。 松文館 A5 [Amzn]

 1999年に出た単行本「スクールメイズ」に、最近の作品である「蓮君と樹ちゃんの大好きの法則」をプラスした一冊。まあ昔の作品が多いので、絵柄の熟成度的にはまだまだなんだけど、ラブコメエロで読ませる力は昔から達者。とくに双子の兄妹のラブラブ物語である「(Twin)2」シリーズはあたりは、顔がそっくりな双子さんの物語が楽しく描けている。まあ「今どうしても」って感じではないけど、島本晴海。ファンならそのルーツを知る意味で読んでみるのも良いのではないでしょうか。

【単行本】「あねてぃ」 綾乃れな 茜新社 A5 [Amzn]

 たいへんぷよぷよした女体が印象的な綾乃れなの新刊。なよっちくてかわいい少年が、おっぱい大きめなお姉さんキャラ(姉とは限らず)とやるのが基本。おっとりした顔つきのお姉さんキャラがかわいいってのもあるんだけど、触感が気持ち良さそうなのがこの人の作品の特徴。あんまりエロ的にはハードってほどでもないのだけれど、もっちりした体つきはいかにも触り心地良さそう。そのおかげでエロ的にもけっこうソソるもんがあります。コンスタントで当たり外れの少ないタイプでもあり、手堅く良い仕事してるな〜という感じです。


11/27(火)11/28(水)……日常のもつれ

【雑誌】コミックアライブ 1月号 メディアファクトリー B5平  [Amzn]

 きづきあきら+サトウナンキの新連載「バーバ・ヤガー」が開始。山姥伝説をめぐるダーク・ファンタジーって感じでしょうか。子供のころに山姥を目撃し、それを信じているせいで周囲からイジメられている少女・犬丸ほのかを中心にお話は展開。ミステリアスな雰囲気で面白くなりそうではあるけど、今のところ出だしの段階なんでまだどうなるかは分からない。あと連載ペースが4か月に一度とのこと。それだと次の回まで話覚えていられるか正直不安なので、せめて隔月くらいになってくれないかなー。

 いけだたかし「ささめきこと」。純夏が同じ少女小説のディープなファンだと思い込んでしまったクラスメイト、蒼井さんが思い込み余って暴走。純夏と同人誌を作ると意気込んでものすごく入れ込むが、純夏はそこまで大事だとは考えておらず、すれ違うことに。まあ蒼井さんの妄想爆発ぶりは痛々しくはあるんだけど、純夏との楽しい日々を想像してワクワクしまくっている様子はなかなか微笑ましいものがあります。個人的にはかわいらしい娘さんだなあと思った。オヤジくさい感想ですみません。

 作:阿智太郎+画:まだらさい「陰からマモル!」。マモルがドロボーに変装して沢菓さんの豪邸に忍び込む編終了。彼女がマモルを好いているということは読者には見え見えではあるんだけど、今回のエピソードに関しては、もう少しその描写をあからさまにやっちゃっても良かったかなと思った。彼女がメインの回ってそう多くもないしね。

 あと「ゼロの使い魔」について、次号予告に重大発表って書いてあるんだけど、もしかしてアニメ第3期とかあるんですかねー。

【雑誌】電撃コミックガオ! 1月号 メディアワークス/角川書店 B5平 [Amzn]

 いわさきまさかず「ケメコデラックス!」がアニメ化決定。やっぱりなあ。いずれ絶対するだろうと思っていたけど案の定という感じ。原作もそこそこたまってきたし、アニメ映えする絵柄だしいいんじゃないですかね。

 そのほかの漫画では、今はやはり作:竹宮ゆゆこ+画:倉藤倖「わたしたちの田村くん」が盛り上がっていていいです。田村くんの学校の同窓会に乱入した相馬さんだが、そこで田村が松澤さんへの想いを引きずっていることを知って傷つく。そしてギクシャクする二人の関係。それでも田村くんへの想いが止まらない、相馬さんの涙が見てて切ない。少年少女ラブストーリーが、ええ感じで盛り上がっていると思います。相馬さんがかわいくてイイですなあ。

【雑誌】フラワーズ 1月号 小学館 B5平 [Amzn][定期購読:出版社

 吉田秋生「海街diary」。楽しいです。すずが所属するサーカーチームのもう一人の女子、ゴールキーパーをやっている美帆がメインの回。ガッチリした体格でチームのお母さん的な豪快女子だが、彼女は今は入院中のチームメート・裕也を好いていて、彼と親しくしているすずに対して複雑な感情を抱く。でもすずは、まだ恋愛とかは全然眼中になくて……といった感じ。子供同士の感情のぶつけあいが楽しく描かれていていい。あとすずの天然ぶりも見ていて面白かった。それと太っちょ系女子がわりと好きな自分としては、美帆ちゃんもわりとかわいく映ったりしたのだった。

 小玉ユキ「坂道のアポロン」は今回も好調。クラシック好きで自分もピアノも惹いている西見くんだが、町のレコード屋の地下で千太郎がドラムを叩いているのに触発され、ジャズの楽しさに目覚める。西見くんは、いちおう表面的にはクラスメート女子の迎さんに惹かれているものの、明らかに千太郎との絆が強くなってるし、作者的に描きたい部分もそっちなんでしょう。二人でぶつかり合うように演奏した後「歩きながら 体が跳ね上がってしまうじゃないか どうしてくれるんだ」とか考えている西見くんは、初恋の人に声かけられた少年みたいでなんだかもう。相変わらずBL臭がすごい濃厚な作品です。

【雑誌】コーラス 1月号 集英社 B5平 [Amzn]

 渡辺ペコ「ラウンダバウト」。料理がけっこううまい、というか包丁を扱うのがわりと得意な真と、その友達で、家庭科の調理実習が苦手なユッコちゃんとの友情物語。料理話はけっこう好きなんで、個人的にはけっこう楽しかった。またお話としても、中学生女子の生活を自然な感じで(本当に自然かはともかく、あくまで「感じ」)描写してて、なかなか微笑ましいものがあった。「ラウンダバウト」は大きな事件が起こるわけではないけど、読んでて楽しい。

【単行本】「駅から5分」1巻 くらもちふさこ 集英社 新書判 [bk1][Amzn]

 えーと、たしか雑誌掲載時とは、収録順番を変えてきてますよね。改めて読んでみてもやっぱりすごくうまいなあ……。駅から5分の花染町というごく平凡な町を行き交う人々の間で繰り広げられるドラマを、一話完結で描いていくオムニバス形式の連作ストーリー。主人公は話ごとに変わるけど、以前の話で出てきた人物が別の話にもさりげなく登場してきてり、ある話内で起きた何気ない出来事が別の話で重要な意味を持っていたりと、改めて単行本でまとめて読むと構成の妙にうなる。そしてどれか1話だけ切り出してきて読んでも、それはそれでキレ味抜群だったりするのも素晴らしい。描写の美しさ、感情の切り出し方のうまさにすごく感心させられます。空間の使い方と、時間の描写も素晴らしいっすね。

【単行本】「モテかわ★ハピネス」1巻 青木光恵 祥伝社 A5 [bk1][Amzn]

 大人気モデルだけど、スッピンだと全然目立たない、あまつさえ漫画家志望で持ち込みまでしてるという女の子・河合モネが主人公のコメディ。ものすごくモテるのに、それを自分では全然意識しておらず、ごく自然体。とにかく天然なモネがたいへん魅力的に描けていて楽しい作品。まあここまで天然だと普通だったらわざとらしいんだけど、読んでてそういう不自然さをあんまり感じさせない、カラッと明るい作風がこの作品の長所。モネ周辺のきらびやかな人物たちもけっこうヌケてるとこがあって面白いし、気楽な感じで楽しめる一作。

【単行本】「ZOOKEEPER」4巻 青木幸子 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 この巻も面白い。今回の巻でメインとなっているのは、絶滅したといわれているニホンオオカミらしき動物が目撃され、その正体を香也たちがつきとめようとするエピソード。オオカミに関する知識を分かりやすく説明し、さらに探索シーンでは「温度を目で見ることができる」という香也の能力を印象的に活用。そして読者に考えさせるような結末に持っていく話の流れはうまい。あとゾウに関するエピソードも面白かった。主人公である香也だけでなく、園長、それから各動物担当の飼育員、獣医らのサブキャラまで、しっかり個性的に描けている点も良い。最近は雑誌内での扱いも良くなってきてるように思えるし、このまま頑張ってほしい。

【単行本】「おたくの娘さん」3巻 すたひろ 富士見書房 B6 [bk1][Amzn]

 突然始まったオタクパパと小学生少女の父娘ライフ。しかし親子関係というものをいまいち軽く考えていたコータのミスで、叶ちゃんが入院するという事態に陥ってしまい……というヒキから始まる3巻。トラブルはあったものの、父娘の絆はかえって深まって良かった。あとこの巻では、コータの妹がやってきて、実家に娘ができたことを連絡していなかったコータが慌てまくるというエピソードもあり。親子の物語を着実に進めている。

 まあそんな感じで、なかなか面白いです。絵柄的には、不安定なところも見られるけれども、商業誌でコンスタントに活動していく中で、だいぶこなれてきつつあるなーって感じがうかがえます。実直にお話を作ろうとしているのも好感が持てる。今後はママのほうももっと出てくるといいですな。

【単行本】「日常」2巻 あらゐけいいち 角川書店 B6 [bk1][Amzn]

 素っ頓狂なギャグが面白い期待の新鋭。かわいい絵ながら、意表を衝くギャグの連発で楽しませてくれる。ギャグ漫画なんで面白さを文章で伝えるのがすごく難しいんですが……。とりあえず思いっ切りの良い作風。ちょっとかわいい絵柄と、不条理系なギャグは最近だと施川ユウキとかをちょっと思い出すけど、「日常」はああいった言葉いじり系のギャグとかとはちょっと違う。かわいいキャラたちがいきなり突飛でシュールなことをやる、というのが日常的に行われている状況を、ほのぼの楽しむって感じかなあ。まあある意味「ちんぴょろすぽーん」とか「いきなり尻見せ」みたいな、突発性意味不明ギャグを、かわいい絵柄で和らげているといった感じかもしれない。あー、やっぱギャグは説明がしにくいや。とりあえず面白くてかわいいことは確かです。


11/25(日)11/26(月)……恋人がサザンクロース

▼おた☆スケでやっている漫画レビュー連載、「しばた@OHPのオススメ漫画レビュー」のインデックスページのURLがまたまた変更になりました。なんだか変更の多いサイトですのう……。URL変わったのこれで5回めくらいじゃないかな。新しいURLは、
http://www.ota-suke.jp/html/manga.html
まだ旧来のURLでも接続はできますが、アンテナなどに登録しといたほうが確実かと思います。あと12月14日に最新のレビュー、
超エロくて超アツい! 30男×12少女のエロマンガロマン「キャノン先生トばしすぎ」
をアップしましたので、こちらもぜひどうぞ。

【雑誌】少年エース 1月号 角川書店 B5平 [Amzn][定期購読:出版社

 作:森見登美彦+画:琴音らんまる「夜は短し歩けよ乙女」が、増刊アサルトからエース本誌に引っ越してきた。京都の町を舞台に、黒髪の乙女に恋する男子(私)が悶々とする様子を描いていく、ドタバタラブコメといった感じの物語。琴音らんまるのスッキリとして、ほの甘い味わいのある絵柄は華やかで見映えがする。お話的にはちとゴチャゴチャ感があるけど、まずまず楽しめる。

 作:谷川流+画:ぷよのSDハルヒ漫画「涼宮ハルヒちゃんの憂鬱」は、今回もほのぼのしてて楽しかった。デフォルメされたハルヒキャラたちがかわいくて微笑ましい。それにしても半分くらいが4コマの、おまけ漫画っぽい作品(失礼な言いぐさですみません)のわりには16ページとけっこういっぱい描いているなあ。

【雑誌】ガンダムエース 1月号 角川書店 B5平 [Amzn][定期購読:出版社

 安彦良和「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」。ニュータイプとして覚醒しつつあるアムロが、宇宙で桁違いの戦闘力を見せて、ドレン散る。子飼いの乗組員たち、ドレンチルドレンたちも散る。それはともかくとして、今回の戦闘シーンはアニメ版と比べると、何やってるか今一つ分かりづらい感じがした。やっぱロボットアクションはアニメのほうがいいかなあ。まあ描き方しだいだとは思うけど。左菱虚秋「ガンオタの女」。賀ノ多さんがおともだちのミハルさんと密会。貧乏くさい顔したミハルさんの姿になんとなく心和んだ。おともだちがいてよかったなあ賀ノ多さん。あとお話はちょっとシリアス風味が多少入ってきてるけど、重い話ってわけでもないので、ほのぼのした味わいは基本的には変わらず。

【雑誌】コミックガム 1月号 ワニブックス B5平 [Amzn]

 かかし朝浩「暴れん坊少納言」。今回はラブコメ度が高くてニヤニヤする。則光と一緒におつかいに出された少納言が、牛車の事故で夜の山中に二人っきり……というエピソード。少納言のツンデレっぷりがかなりええ感じで極まってて良かった。珍しく見せたオトメチックな表情、振る舞いにもトキめくものがあった。たまにはこういうラブめいてるのもいいですな。とても。

 宗我部としのり「あまえないでよっ!!MS」は、ついに結子が自分の中の逸剛への想いをハッキリ自覚するというエピソード。うーむツンデレですなあ。まあサッパリした気性の娘さんながら、逸剛とは良いコンビだったので、そういったこともあろうかとは思ってましたが、今回はだいぶストレートに来ててちょっと意外。読切、黒川いづみ「月の荒川さん。」。月からやってきた幼女型絶対君主が暴れまくるドタバタギャグ。ちんちくりんで、最初っからパンツモロ出しというかスカートはいてない、荒川さんのデザインはちょいと面白い。

 あとパニックアタック「大人になる呪文新学期」は最終回。うーんせっかく復活したけど長持ちはしませんでしたなあ。最近はノリが良くなってきてたように思うんですが。最終話はロリコンな人たちにとっては重大な悩み。妹が成長してしまったら、真性ロリの兄はどうするのかー、というエピソード。ラストはほのぼのしているけど無常といえば無常。なお単行本4巻は来年1月発売予定とのこと。

【雑誌】月刊少年シリウス 1月号 講談社 B5平 [Amzn]

 新連載、上田悟司「ケンたま」は、美少女ロボット・タマ子と、そのマスターである少年ケンスケが繰り広げるドタバタアクションコメディといった感じ。ケンスケとタマ子には「バグタマ」と呼ばれる敵と戦う使命があるみたいなのだが、タマ子はむちむちのボディを駆使してケンスケにやたら迫ってくるんで、純情少年ケンスケは気が気でないといった感じ。けっこう見映えのする描線だし、崩したときの絵とかにも特徴がある。派手で元気が良くて悪くないのでは。

 伯林「ふぁにぃみゅうじあむ」はコンスタントに楽しい。かわいい萌えキャラと、グロキャラのコントラストが面白いし、ギャグのテンポも良いし。安定感あります。読切「めいぐる出張版」。シリウスのオフィシャルサイトでやってる漫画がこっちに出張してきたとのこと。Webのほうはちゃんとチェックしてなかったんで、これまで知りませんでした。内容のほうはズブズブのオタク高校生と、完璧だけど乱暴なメイドさんの生活を面白おかしく描くって感じ。道具立てとしては、ちゃんとメイド服を着てるメイドサンダーってとこかな。親しみやすい絵柄でドタバタやっててわりと楽しい。本誌連載でもいのでは。

【雑誌】BJ魂 1/1 No.38 集英社 B5中

 「東京クレーターのアカリ」の磯本つよしが読切で登場。「はなこフルストロットル!!」。主人公の隣に住んでるおねーさんの観察漫画的作品。普段は颯爽としていて、バイクに乗ればチョッ速だけど、実は案外ズボラでガサツな彼女を魅力的に描くという作品。もともと気持ちいい絵の持ち主だけに、この手のストレートに絵で見せるタイプの作品は良い雰囲気。きれいなおねいさんをフレッシュに描けている。

【雑誌】漫画ゴラクネクスター 1月号 日本文芸社 B5中

 次号予告にて12月26日発売の2月号で休刊との告知あり。個性的な作品が多くてわりと好きだったんでちょっと残念。とくに残念だったのは、由起二賢「サザンクロスの誘惑」。「野望の王国」で知られる由起賢二がペンネームを変えて始めた作品だったが、今月号で伏線を全部投げっぱなしにして最終回。とにかく濃い絵柄と、やたらめったら理屈っぽいセリフで、とにかくクドい作品だった。そしてそのクドさがすごく面白かったんだけ……。この状態だと単行本化があるかは微妙な感じ。

 深谷陽「スパイスビーム」は今回で9話め。これはいちおう次号できっちりまとまりそう。単行本も来春発売が決定したようで安心した。あとは神原則夫「エロ本探偵 安藤茂の事件簿」がどうなるかだけど、これはなんか細かいのいろいろまとめて、いつか単行本化してほしい。まあすぐにとはいかないでしょうが。


11/23(金)11/24(土)……襲来だー

【雑誌】アフタヌーン 1月号 講談社 B5平 [Amzn]

 「アンダーカレント」の豊田徹也の読切「スライダー」が久々の掲載。公園で野球やって遊んでた3人組と、彼らがボールを拾いに行った場所で出会った貧乏神のじいさんを巡る物語。ドタバタと軽妙にお話を進め、不思議ではあるけどスッキリしたラストに着地。クリアで乱れのない線で対象物をしっかり描き、味のある物語を分かりやすく見せる。「アンダーカレント」もそうだったけど、絵といい構成といい、作者の技量の高さを感じさせる一作となっている。次回作も準備中だそうだけど、またそのうち連載もやってほしい。

 吉原十「エロメガネ男子×女子」は、異性の服が透けて見えるメガネが引き起こすドタバタを、男子女子の2本立てで描いたショートギャグ。スッキリした絵柄で軽いギャグをやってて、まあまあ面白い。とはいえ、連載とかを狙うとなると、ギャグならもうちょっとパワフルなものが欲しい気はするし、ストーリーものだともう一段の洗練が欲しいかな。

 連載モノでは、惣本蒼「呪街」とか吉永龍太「チノミ」とかのホラー系がけっこう気になる。「呪街」に出てくる女の子は、細身な身体がなんとなくそそる。あと平本アキラ「俺と悪魔のブルーズ」は相変わらず怖い。演奏シーンも不気味だし、猟犬も凶暴そうで異様な迫力がある。

【雑誌】月刊IKKI 1月号 小学館 B5平 [Amzn][定期購読:出版社

 「乙女ウイルス」の鈴菌カリオの新連載、「Sillyなこだま」が開始。素っ頓狂でむやみに元気な女の子・コダマちゃんが、カッコイイけど性格は激悪という噂の男の子・阿童くんに猛烈アタックをかける。そうしたら案の定、ものすごい勢いで拒絶されるのだが、実は阿童くんには人にはいえない秘密があって……。てな感じで始まるドタバタ青春ラブコメという感じ。相変わらずたいへん勢い良く突っ走ってる感じの作風で、思いきりがイイ。まあちょっと作りすぎ、気負いすぎな感じもしないではないけど、基本的には元気良くやろうっていうのは伝わってくるので、この続きもまずは期待したい。

 戸田誠二「美咲ヶ丘ite」第7話「臆病者」は、バリバリ仕事はしているけれども、他人と違うこと、恋をすることにものすごく臆病で一歩を踏み出せないでいた女性の物語。一人の女性の悩み、そして変化を丁寧に描いてて読みごたえがあった。ラストのほうも、ホロリと泣かせるものがある。まあ「これが女の幸せ」みたいにいわれると気にする人もいるかもなあとは思うけど、「この人の場合はこう」という物語としては十分な説得力はあるし、よくまとまっている。やはり戸田誠二はこういう短編うまいですね。

 原一雄「のらみみ」では、ドッタリ君との別れを決意した半田が、失意のなかで放浪。そんな半田が、町中で居候先になかなかなじめないでいる、人見知りがヒドいキャラと知り合う……というエピソード。今回は続きモノだけど、ドッタリ君と半田のお話もずっとここまで引っ張ってきた話だし、なかなか読みごたえがある。続きも気になる。竹熊健太郎+相原コージ「さるマン2.0」。作者自身の脳梗塞までさっそくネタにするとは……という感じですな。10ページしかないけどやっぱり濃い。

【雑誌】LaLa 1月号 白泉社 B5平 [Amzn]

 読切、斉藤けん「亡鬼桜奇譚」。江戸時代だか風の時代の日本。生まれつき角が映えているということで、鬼女として見世物にされていた少女を、旅の青年が身請けして行動を共にする。その道中で二人の間には愛情が芽生えていくのだが……。お話としては泣かせる感じのラブストーリーに仕上がっていて好印象。鬼女のヒロイン・桜花の笑顔にジーンとくるものがある一作。

 なかじ有紀「ZIG★ZAG」。クールな園生に、諏訪の妹である桜子が猛烈アタック中〜というお話。バイト先にまで押しかけて桜子は頑張るが、園生はなかなか手強い。でもそれでもめげない桜子の懸命な姿が見てて楽しい。快活でなかなか良い感じの女の子だと思う。

【単行本】「ガンオタの女」1巻 左菱虚秋 角川書店 B6 [bk1][Amzn]

 パッと見はすごい美人で仕事もバリバリできるけれども、素顔はズブズブのガンダムオタクというOL、賀ノ多さんの日常を描いていくコメディ。なかなか面白いです。賀ノ多さんはいちおう普通に暮らす気はあるものの、ジオン派でありシャアファンでもあり、着る服や携帯電話などはついつい赤いモノで揃えちゃったり、自分の部屋にガンプラをためこんじゃうような業深きオタク。その周囲の人たちも壺大好きな真壁さん、その後輩の浦賀さん、イケメンの岸利くんなど、ガンダムキャラをモデルにした人たちがわーっと揃っており、賀ノ多さんと彼・彼女らがしょうもないやりとりをドタバタ繰り広げていく。

 この作品でいいなあと思うのは、ガンダムネタを豊富に盛り込みつつも、あんまりくどくないってところ。ガンダムネタで笑わせようっていうよりは、あくまでガンダム好きの人たちの行動の面白みで笑わせようとしてるってのが大きい。だからガンダムネタに対する知識がある程度薄くても、「そういうものなんだー」って感じで受け止めたうえで、キャラのしょうもない行動を見て楽しめるようになっている。

 あとオフィスもののギャグ漫画として面白いってのもあるし、全体の雰囲気がほのぼのしている点も魅力。何よりキャラに面白みがる。とくに賀ノ多さんのおともだち話とかは楽しい。あと賀ノ多さんが、ララァみたいな子供を預かることになってからは、さらにほのぼの感が増している。なかなかええ案配で推移してると思います。

【単行本】「福助」2巻 伊藤静 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 これはパッと見は地味だけど、なかなかに良い作品だと思う。「福助」と書かれた小さな箱の中から現れる神様・福助と、彼を取り巻く人間たちの物語。福助は最初は胎児の状態だが、一緒に暮らす人間たちの願いをかなえるたびに成長し、年老いていく。最初のうちは子供から少年へと成長していくのでけっこうかわいいんだけど、力を使えば使うほど、福助はぼろぼろになり衰えていく。

 この巻では、福助は子宝に恵まれないことが原因で離婚しようとしていた夫婦のもとに現れる。夫婦の絆は福助の存在によって再びつなぎ止められるが、以前福助と暮らしていた小説家と、その担当編集者により、事態は思わぬ方向へと進展する。

 この巻収録のエピソードでは「親子の絆」が大きなテーマとなっている。メインである若夫婦は福助を我が子のように扱い、編集者は福助を使って失った家族を取り戻そうとする。若夫婦、編集者の想いはどちらも悲痛なものがあって、読んでいるとしみじみ泣けてくる。また彼らの想いにこたえようとする福助の姿は、痛々しくも慈愛の心に満ちていて、その献身的な行動に心動かされる。最初にも書いたとおり、あまり目立つタイプの作品ではないけれども、すごく丁寧にいい話を作っていると思う。まとめて読むととくにそう感じる。1巻も良かったけど2巻も良かった。オススメいたします。

【単行本】「てるてる天神通り」1巻 児玉樹 角川書店 B6 [bk1][Amzn]

 「Canvas2」の漫画版を描いた児玉樹の、初のオリジナル連載。主人公・天使は、6年ぶりに故郷の町に戻ってきたが、そこでいきなり町内会長に任命されてしまう。その町の町内会長には、つけると「福の神」が見えるようになるバッジを与えられ、神通力も仕えるようになる。その力で天志は町のさまざまな厄介事の解決、というか雑用を押しつけられることになるのだが……。

 お話としては、ほのぼの暖かい雰囲気の中で、すごく賑やかに物語を展開している。素直で明るい絵柄のおかげもあって、まずまず楽しめる。現時点では、ちと賑やかすぎてとっちらかった感もあるので、これからお話を進めていくうえで、どのようにまとめていくか、絞り込んでいくかがカギになってくるかなーという感じです。

【単行本】「とある科学の超電磁砲」1巻 作:鎌池和馬+画:冬川基 メディアワークス B6 [bk1][Amzn]

 超能力開発がカリキュラムに組み込まれ、住民の大半が超能力者という学園都市で繰り広げられる物語。超能力をガンガン使って、さまざまな事件を解決していくのがメインではあるものの、まあ1巻の段階では電気系の超能力者を凄い勢いで使いこなす女の子・御坂美琴の生活を中心にお話が進み、けっこうのんびりしたところもある。

 で、この作品でとくにいいのは冬川基の作画。ときに鳴子ハナハルを思い起こしたりもする華のある絵柄で、キレ味もかなり良い。お話自体はまださわりの部分かなーって感じは受けるものの、テンポ良く進んでいくのでスルスル読んでいくことはできる。かわいい女の子たちが元気良く動いているので、見てて楽しい。お話的にも今後盛り上がっていってくれると良いんですが。

【単行本】「魔女の騎士 ヘクセン・リッター」 二ノ瀬泰徳 秋田書店 B6 [bk1][Amzn]

 なんだか無駄にエロい、剣と魔法系ドタバタギャグ。パッと見ロリっ娘だけど実は大魔女であるピーンに気に入られた少年コーディが、その口づけを受け、彼女に仕える騎士として忠誠を誓うことになる。そんでもってコーディはなぜか女装させられ、さまざまなピンチに巻き込まれたり、ピーンにかわいがられるなどして、エロエロな目に遭わされてしまうのだった。

 二ノ瀬泰徳はこれが初単行本ということもあり、絵自体はまだ垢抜けない感じなんだけど、これが妙にインパクトがある。女装少年コーディが触手にうねうねからまれて喘いだりする様子は、掲載誌がいちおうエロ雑誌ではないチャンピオンREDだったこともあって、かなりやりすぎ感にあふれている。やはり過剰なモノはそれだけエロく感じるってもんで。触手がにゅるにゅる乳首にからみついたり、ドロドロ粘液を出したりする様子は、その手のネタが好きな人にはグッとくるはず。あんまり絵がうますぎない点もかえって味になっていると思う。

 まあストーリー面を期待する人には向かないかもしれないけど、この元気の良さ、勢い、ほとばしる触手愛とかは好きな人は好くと思う。一芸のある面白い人なんで頑張ってほしい。

【単行本】「まちまち」1巻 かがみふみを 双葉社 B6 [bk1][Amzn]

 相変わらずなんともういういしい。背が高いことがコンプレックスな女の子・高木さん、逆に背が低いのを気にしている男の子・古賀くん。幼なじみでもある二人が、少しずつ距離を縮めて、恋人同士としてラブラブになっていく様子を描いていくラブコメ。前作「ちまちま」は、男の子がデカくて、女の子が小さい身長差ラブコメだったけど、今回はその逆。

 恋愛のステップについては、「ちまちま」が手をつなぐのが精一杯ってな感じだったのに対し、「まちまち」はもうちょっと先まで踏み込んでいく感じ。でも甘ずっぱさ、ラブラブ度は相変わらずで、絵もキャラ作りもたいへんかわいくて、読んでいると思わず顔がニヤけてきてしまう。初恋感バリバリ。若いって素晴らしい。

【単行本】「咲 −Saki−」3巻 小林立 スクウェア・エニックス B6 [bk1][Amzn]

 県予選の団体戦、次鋒・中堅戦が描かれる。相変わらず萌え萌えな女子共が、わらわらと集まって麻雀をやらかしてて実に華やか。隙あらばニアリーパンチラ(でも見せず)な描写やら、乳や身体のラインを強調したりする巧みなサービスっぷり感心させられる。あと麻雀シーンもちゃんと面白いと思う。例えば中堅戦で登場した清澄高校の主将・竹井さんの、あえて悪い待ちを選択する麻雀が、対局相手を苦しめていく様子などはけっこうハッタリがきいている。現実にそれが有効かはともかく、描写として一定の説得力があるのは確か。

 あとすごく多彩な萌えキャラを登場させつつ、ちゃんと各キャラにパッと見分けがつく特徴を用意しているのも良いところ。とりあえず「ぬいぐるみ持ってる巨乳ねーちゃん」「目から光の出てるロリっ娘」とかいえば、「あーあのキャラだな」ってパッとビジュアルが頭に浮かぶし。こういう女の子わらわら漫画において、個々のキャラをちゃんと把握できるってのは重要なことだと思いますよ。


11/21(水)11/22(木)……大手稲荷±

【雑誌】コミック電撃大王 メディアワークス/角川書店 B5平 [Amzn]

 作:有川浩+画:ふる鳥弥生「図書館戦争 SPITFIRE!」が連載開始。表現の保護を建前にメディアを規制しようとする「メディア良化委員会」と、それと敵対する図書館の間で繰り広げられる戦いを描いていくってな感じの作品。図書館なのになぜか図書館員が軍事教練を受けて、兵士としてバリバリ戦っているというシュールな状況の中で、アクションやら人間ドラマやらを繰り広げていくって感じかな。たいへん風変わりな設定だけどどんなもんでしょう。ふる鳥弥生は絵も整ってるし、漫画としてはまず悪くない感じの滑り出しですが……。

 あずまきよひこ「よつばと!」は連載50回め。今回は、よつばが「あべこべごっこ」と称して、自分の思ってることと反対のことをいいまくるというお話。よつばがいちいちそういうことしてると説明してるわけじゃないんで、周囲の人は振り回されっぱなし。その様子がなんともおかしくていいです。よつばのエネルギー、ポテンシャルは相変わらず凄いですね。

【雑誌】コミックハイ! 12月号 双葉社 B5平 [Amzn][定期購読:Fujisan

 かがみふみを「まちまち」。ついにファーストキスを体験した二人は、さらにアツアツになっていくが……という展開。この次はやっぱりアレですかのう。「ちまちま」のあたりで関係が進まないのに慣れちゃってたから、なんとなく「かがみふをにしては大胆な」って感じがしてしまうが、考えてみりゃ以前はエロ漫画も描いてた人なんですよね。

 読切、大沢周「スマイルのしくみ」は、ハンバーガー屋さんでバイトやっている女の子2人の物語。主人公女子のひなは、バイトに入りたてのころ、うまくスマイルができないでいた彼女を励ましてくれた1歳年上の涼音に好意的な感情を抱くが……といった感じ。スッキリした絵柄で、お話をきっちりまとめている。ちょい百合っぽい成分が入ってるあたりが楽しいところ。絵柄の印象としては、比古地朔弥をアッサリさせたみたいな感じ。

【単行本】「皇国の守護者」5巻 作:佐藤大輔+画:伊藤悠 集英社 B6 [bk1][Amzn]

 残念ながら最終巻。この巻ではすでに北領での戦いは終結していて、事後処理の模様が描かれていく。会話劇が中心だけれど、言葉に力があって歯切れも良いので緊張感があるし、しっかり楽しんで読める。これまでの戦闘の中では見られること少なかった、新城をはじめとした兵士たちのちょっとくつろいだ表情にホッとさせられる。あと妹尾や兵藤の戦いの模様は心打たれるものがありました。

 いやーそれにしてもこんなに面白いのになあ。連載始まって以来、しつこいくらいに面白い面白いいってきましたが、これで終わっちゃうのは惜しいとしかいいようがない。ただ正直なところ、続きをどこかでやるというのは望み薄かなーとも思っている。なので、現状では伊藤悠の次回作に期待するしか仕方がない。伊藤悠については、「面影丸」のころは「絵はうまいけどもう一つ面白くないかな」と思っていたが、この作品になって物凄い進歩を見せた。今の実力であれば、オリジナルでも原作付きでもきっと面白いモノを描いてくると思う。それを楽しみに待ちます。

【単行本】「Ordinary±」 高橋慶太郎 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 現在サンデーGXで「ヨルムンガンド」を描いている高橋慶太郎の初連載作品。女子高生でありながら殺し屋をやっている少女・的場伊万里が、「学校」にはびこる悪を銃でもって討ち果たしていく。このころの高橋慶太郎の作風は、今と比べるとだいぶ荒削り。エッジのきいた鋭い絵柄はカッコいいけど、ちょっとゴチャゴチャしていて読みづらく感じられるところが多い。また「学生でこんなことやらんでも」という感じもしてしまう。とはいえガラスの破片みたいな剥き出しの鋭さ、危険さを感じさせる画風は刺激的であり、現在につながる片鱗は感じさせる。この人の描くキャラは、目に独特の力があるのがいい。それは本作の主人公・伊万里にも見られる大きな魅力だと思う。

【単行本】「GAMBLE FISH」3巻 作:青山広美+画:山根和俊 秋田書店 新書判 [bk1][Amzn]

 ビリヤード完全犯罪編。この巻は裏プロの五木島と契約、特訓の後、世界的ハスラー少女の朝比奈さんとの対決に挑むという内容。やはりこの巻の主役は五木島でしょう。漫☆画太郎の漫画にでも出てきそうな、デブで暑苦しいツラしたおっさんが、くるくると実にいろんな表情を見せる。そのリアクションの豊富さに思わず笑ってしまう。なんだかこの脂っこいオヤジがかわいく見えてきちゃったりもするから困りもの。あと朝比奈さんと、獅子堂美華おぜうさまがレズっぽかったりするところとか、ディティールがいちいち過剰なのはこの作品ならではの魅力。好調に推移してるんじゃないでしょうか。

【単行本】「化け猫あんずちゃん」 いましろたかし 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 最末期のコミックボンボンに掲載された、いましろたかしの珍しい子供向け作品。長生きするうちに化け猫になってしまった「あんずちゃん」と呼ばれる猫の二途上をまったり描いていく。

 で、化け猫といってもあんずちゃんはとくに珍しいことをするわけではない。言葉をしゃべったり、人間みたいに立って歩いたりはするものの、それ以外はごくフツー。メシを食ったり仕事をしたり遊んだり。物腰もなんだかやたら落ち着いていて、猫の着ぐるみかぶったおっさんが日常生活を営んでいるといった具合。お話的にも事件らしい事件は起こらない。でもこれがなかなか面白い。とにかく飾ることのない、肩の力の抜けた作風が妙に心地いい。「癒し系」というのもなんだけど、なんかものすごくラクな気持ちでスーッと読めるんですよね。あんずちゃんもパッと見「カワイイ」ってタイプでもないんだけど、見てると心が安らかになってくるというか。味のあるいい漫画です。


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