2007年3月中旬


3/20(火)……コミック茶味

▼アニメ「Pumpkin Scissors[Amzn]最終回。結局のところ最後まで秘密結社的な組織とのガチンコ対決はなく、「勝負はこれからだ!」的に終了。キャラが立っているおかげもあってまあまあ楽しく見られたことは確かなんだけど、「戦災復興」というテーマの大きさから考えればもう少し歯ごたえは欲しかったし、中途半端なところで終わっちゃって食い足りなさが残った。伏線張るだけ張っておしまいという感じ。2ndシーズンがあるようなら見るとは思うし、伏線に落とし前をつけるためにもやってほしい。

【雑誌】コミックチャージ 4/3 No.1 角川書店 B5中 [Amzn]

 新創刊。公式サイトはhttp://www.comiccharge.jp/。発行ぺースは毎月第1・第3火曜日でアクションと同じ日。「働く男を充電する!」というキャッチフレーズどおり、ビジネスマン向けの誌面といった趣。雰囲気としてはビッグコミックスペリオールと似た感じかな。あとドキュメンタリーものが多いという点では、アクションが復刊した当初にちょっと似てるかもしれない。あれをちょい薄味にした感じですかね。

 で、第1号の全体的な印象としては、つまらなくはないです。ただ面白いってほどでもないなあ……というのが正直なところ。なんというか普通。抜群に面白い作品があるわけではないが、かといってすごくつまらないっていう作品もなく、それなりには読める。ただ1号読んで「次号も読みたい!」と積極的には思わないかなあという気もする。まあ自分はしばらく買い続けるつもりではありますが。

 とりあえず第1号で印象に残ったのは、作:たかはまこ+画:貞本義行「アルカイックスマイル」あたり。会社の慰安旅行の幹事に任命されてしまった、マイペースでクールなことで評判のある男が、その旅行の途中で会社にナイショで自分の趣味欲を満たす。で、同僚OLであるヒロインさんは、彼に何かとつっかかっていくうちに、なぜだか彼に惹かれていってしまうという内容。まあ軽いお話ではあるんだけど、1話完結である分、読んだって気はするし絵もさすがにうまい。

 また田中圭一が自分のサラリーマン時代を描いた「サラリーマン田中K一がゆく!」も初回のインパクトはあるほう。実録ではあるけれどもギャグ漫画調だし、そもそも主人公が田中圭一である分、キャラにも親しみは湧くのでスタート段階では有利。あと作:森由民+画:本庄敬「ASHIYAMA−旭山動物園物語−」も取り上げている題材がすでに名が売れている分スッと入っていきやすかった。

 まあそんなわけでまだ「どうなんじゃろうなあ」という感じで先行き不透明ではあるものの、雑誌の第1号は読むほうも連載陣に慣れ親しんでない分、えてして微妙な印象は受けがちなもの。月2回刊で、月刊誌よりは発行サイクルが短い分、何かあったときも軌道修正はしやすかろうと思うし、なんとかうまいこと軌道に乗せていってほしい。

【雑誌】コミック電撃大王 5月号 メディアワークス/角川書店 B5平 [Amzn]

 いろいろと最終回。まず脳みそホエホエ「夜明け前より瑠璃色な」。主人公・達哉が菜月とくっつくまでのラブコメ展開は良かったのだが、フィーナの母親の探していたものをめぐる最後のほうのエピソードは正直今一つ。絵はかわいかったし、ストーリーも途中まではとても面白かったのでちょいと残念な締めくくり。御形屋はるか「ToHeart2」。きっちりまとめてきた印象。絵がかわいらしかったしラブコメ的にもけっこう良かったと思う。

 桂遊生丸「かしまし〜ガール・ミーツ・ガール〜」もおしまい。三角関係にはきちんとケリをつけて、きれいに締めくくったとはいえる。ただ終盤の展開はちと強引だったなーという印象は否めず。とくに計算ミスのくだりは納得がいかないものがあった。あとはずむたちの恋愛模様を考えると、同性同士になってしまったわけで、乗り越えていかなければならないことが多いのはむしろこれから。まあそこらへん描いていくとかなりガチなレズものになっていかざるを得ず、この雑誌でやるにはちとハードすぎるかもしれない。でも今後の彼らがどうなるのかは気になるところではあります。

 あずまきよひこ「よつばと!」。風香のともだち、しまうーがケーキを作るために遊びにきて、よつばもケーキ作りに参加するという内容。しまうーさんがまともな人なようで、案外ノリが良かったりする様子が面白い。風香、しまうー、よつばの3人でかなりバカやってて笑える。あと今回はよつばのシェフ姿がなんとも愛らしかった。

【雑誌】週刊少年サンデー 4/4 No.16 小学館 B5平

 畑健二郎「ハヤテのごとく!」。今回は西沢さんとヒナが一緒に温泉。なんだかすっかり仲良くなっちゃっていい雰囲気。西沢さんはこの前もナギと仲良くなってたし、この温泉編で株がだいぶ上がった感がある。西沢・ヒナに百合的空気も漂わせ始めたし、だいぶいじり甲斐がアップしてますな。出番増えるかも。麻生麻呂の読切「鬼神呵文」は、一見平凡っぽいが鬼神の力を持ったにーちゃんが、化物のような力を持つ男に付け狙われていた女の子を救う。絵は整っていて連載もOKクラスの実力はあると思うが、少年誌としてはよくあるタイプの作品なので、連載にするなら主人公にもう少し特徴が欲しいかなという気はする。あと田村光久「妖逆門」は今回で最終回となっている。

【雑誌】週刊少年マガジン 4/4 No.16 講談社 B5平

 佐藤友生「妖怪のお医者さん」。絵がかわいく、前号今号と出てきた二口女の少女もなかなかキュートで良かった。まあお話的にはこれからかな。主人公である妖怪のお医者さん少年の明確な敵となる存在も出てきそうではあるし。そいつらを出したうえで、違和感なくお話を盛り上げていけるかがカギでしょう。単純に妖怪の病気治していくのを繰り返していくだけだとキツいだろうし。

【雑誌】漫画アクション 4/3 No.7 双葉社 B5中

 武富健治「鈴木先生」。小川さんが恋する相手は誰なのかをめぐって、学校中が騒然となり、鈴木先生もどんどん正気を保てないような状況になっていく。心を乱し、オロオロしまくる鈴木先生の様子が相変わらず見てて面白い。あといつの間にかぶっ壊れている同僚女教師の足子先生も気になる存在。

 河村ヒロク「デスマッチ・ガール」。この人は2006年11/7 No.21に読切「拝啓 西村修様」でデビューした人だが(そのときの感想は061017日記参照)、今回もプロレスものの漫画で来た。蛍光灯デスマッチを得意とする女子プロレスラーの主人公が、かつてのクラスメートの結婚式の余興として、レスラー2人を新郎新婦に見立てたデスマッチを披露する。「こんなん結婚式でやってOKなのか?」ってな感じではあるけれど、むやみに勢いがあっておめでたい気持ちにはなれる。河村ヒロクはけっこう個性的な作品を描く人なんで、これからも注目して見ていきたい。

【雑誌】ビッグコミックオリジナル 4/5 No.7 小学館 B5中

 石塚真一「岳」。腕利きヘリコプター運転士の牧と、要救助者の引き上げを任された久美を中心とした今回の3話連続エピソードも終了。効率重視の牧の指示にいったんは反発する久美だが、それが理に適った指示であったことを彼女は身を持って知る。今回も厳しくて人間味のある読みごたえ十分なエピソードだった。西岸良平「三丁目の夕日」。今回は六郎を訪ねて、同じ故郷出身の娘さんがやってくるが、彼女は東京で失踪した自分の父親を探していて……というお話。彼女と六郎がくっつくとかいうこともあるかな?

【雑誌】漫画サンデー 4/3 No.13 実業之日本社 B5中

 作:倉科遼+画:みね武「艶恋師 放浪編」が巻頭カラー。で、扉のところで3月29日発売予定の単行本の予告が記載されているのだが、そこに「”きぬた”Tシャツプレゼントあります!!」との告知が。後向女性仰臥男性座位! これはきぬたファンにとってはマストアイテムだなあ。あと本編は、雪国のとある村に宿をとった菊之介が、その村に伝わる奇祭に巻き込まれるというモノ。要するに夜這い祭みたいな奴である模様。それにしてもいきなり布団に潜りこんできて、鬼の面かぶってフェラチオする女性……。なんかけっこう強烈な話になりそう。


3/19(月)……寝込み値

【雑誌】ウルトラジャンプ 4月号 集英社 B5平 [Amzn][定期購読:出版社

 このところ休載の続いていた作:佐藤大輔+画:伊藤悠「皇国の守護者」が連載再開して新章開始。敵軍の捕虜となった新城がさまざまな思惑蠢く皇国に引き戻されることになるか……といったところからお話はスタート。今回は地味な展開だが、ともあれ再開してくれて良かった。北領編はものすごく面白かったし、新章でどういうものを見せてくれるのかもすごく楽しみ。

【雑誌】月刊サンデーGX 4月号 小学館 B5平 [Amzn][定期購読:出版社

 「GX新人賞出身者祭り」と称して、藤那トムオ「ラブこす」、原尾有美子「コスモス便り」、宮下裕樹「正義警官モンジュ」の3本が掲載。まあ「正義警官モンジュ」はレギュラー連載なので、別段企画がどうのこうのって感じでもないですが。原尾有美子の読切「コスモス便り」はわりといい雰囲気。ボケてしまった祖父の世話をさせられてウンザリしかけている女の子の前に、ある日現れた不思議な少年。彼が女の子を導いて、たどり着いた先で見せたものとは……。スッキリとした暖かい絵柄で後味の良いお話を描いててなかなか良かった。絵柄もかわいく読切としてきっちりまとまっている。

【雑誌】チャンピオンRED 5月号 秋田書店 B5平 [Amzn]

 作:南條範夫+画:山口貴由「シグルイ」がアニメ化の情報が掲載。7月からWOWOWで放送。マッドハウス制作だけに期待できるかな? 本編のほうは牛股権左さんが大活躍。鬼の形相で大剣を振り回し、バッタバッタと斬りまくる。それにしても藤木の復活はないのかな……。さすがにこの状態では無理か? もう一発くらいなにかありそうな気もするのだけれど。

 作:藤見泰高+画:カミムラ晋作「ベクター・ケースファイル」は3話めにして本格連載化。「サイカチ」にも出てきた昆虫博士少女の稲穂が、虫にまつわるさまざまな事件を解決していくシリーズ。今回はシロアリのお話だが、シロアリこえーという感じ。ウチも以前実家がヤラれたことあるんで、けっこう身にしみて感じるものはある。ところで前2話はチャンピオンREDに合わせてか、ちょいとエッチめな要素も入れてたけど、今回はそういうのはちょっと弱め。もう一つ新連載。廣瀬周「エル・カサド」は、4月からアニメ開始予定の美少女ガンアクションもの。二人の美少女ガンマンがコンビを組んで荒野を舞台に大暴れという感じ。

 吉富昭仁「BLUE DROP〜天使の僕ら〜」はトバし気味。宇宙人のせいで女の子にさせられた主人公男子の親友が、自分とエッチしろと迫ってくるが、主人公はなかなか割り切れない。そこで一計を案じた親友は、主人公に女装させて攻守逆転することによって想いを果たそうとするが……ってな連載2回め。かなり割り切って萌え度・エロ度を高めた内容で、あざといっちゃあざといけど頑張ってるなあと思う。

 糸杉柾宏「MONOクロ」は最終回。以前エロ系で描いていた人らしくサービスシーンたっぷりにドタバタコメディを展開したが、最後はわりとしっとり、けっこういい話調で締めくくった。終わりよければすべてよしということで、途中まではエロエロだったが読後感はほの暖かくまとめた。単行本は5月20日発売とのこと。

【雑誌】COMICリュウ 5月号 徳間書店 B5中 [Amzn][定期購読:7andyicon

 萩尾望都が日本SF大賞を受賞したということで特別企画をやってて、吾妻ひでおと萩尾望都の合作漫画、高野文子、鶴田謙二、寺田克也、とり・みき、水玉螢之丞、道原かつみ、吾妻ひでお、あさりよしとおのおめでとうエッセイ・コミックも掲載。メンツは豪華でけっこうなのだが、「なんでこの雑誌で?」という気がしてしまうのも事実。もう少しハッキリ「ウチはSF盛り上げて行きまっせ〜」とか大々的にうたっていれば「なるほどそうか」って思いもするんだろうけど。

 連載陣では、アサミ・マート「木造迷宮」がいつもよりページ数多く、20ページ掲載されてたのがうれしかった。この人はキャラもうまいけど、独特な暖かみのあるペンタッチがええです。女中のヤイさんはかわいくて好ましいし、お話もほのぼのしてて雰囲気が良い。天蓬元帥「ちょいあ!」は、女の子二人が仲良くデートしている様子が華やかでウキウキ気分たっぷり。

 あと読切、坂木原レム「モンスターキネマトグラフ」はちょっと変わった設定でユニーク。ドキドキすると巨大怪獣に変身してしまう体質で、戦争にも駆り出されていた女性の物語。絵柄はキレがあってなかなか達者。比古地朔弥の線を細くしたみたいな感じかな。表情の付け方がわりと似てると思います。

【雑誌】月刊ヤングキング 5月号 少年画報社 B5中 [Amzn]

 岩岡ヒサエが初登場。新連載「ねこみち」。初回は息子が小学5年生になって親離れしていこうとしているのをちょいと寂しがっていたお母さんが、猫を飼い始めて溺愛するようになっちゃって……というお話をかわいくほのぼの展開。猫のいる暮らしを描いていく和み系の連載になる模様。続き物ではなく1話ごとにキャラは変えていく方式かな? 今のところちょっと分からないけど。

 あと今号には、サンデーGXで「正義警官モンジュ」を描いている宮下裕樹が読切で登場。「リュウマのガゴウ」というお話。巨大な虫たちの脅威におびえて暮らす辺境の町を訪れた一人の男、不死身の伝説を持つ英雄と同じ「サカザキリュウマ」を名乗る男が、人々の心に火を灯し、活力を甦らせていく。よくある風来坊が町を救う英雄譚かなーと思っていたら、ラストのほうはなかなか意外な展開に。宮下裕樹は絵もうまいし、お話のほうもしっかりまとめる力がある。ちょっと淡々とした印象はあるので、あと一つ人をグッと引き込むようなメリハリ、華みたいなもんがあれば、ってとこかな。

【雑誌】ヤングマガジン 4/2 No.16 講談社 B5中

 やはり今週も注目は村田ひろゆき「元工業哀歌バレーボーイズ」。末期ガンの母親にせめて卒業証書だけでも見せようと頑張る谷口に対して、教師も粋なはからいを見せるが……。すっかり心を入れ替えた谷口の姿にしんみりしてしまう。谷口母はさすがに助からないだろうけど、問題はその後。谷口とその弟妹たちがどうなっていくのか、引き続き気になる。松本光司「彼岸島」は、クモババアとの戦い編が続く。この前の五十嵐のしゃべり方がゴクリ調だったのに続き、「指輪物語」の影響をかなり受けてるなあと思うくだり。そのまんまで行くとクモババアが明たちを押しつぶそうとして……となるんだろうけど、さすがにそれはないかな。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 4/2 No.16 小学館 B5中

 巻頭カラーの新連載、作:北沢末也+画:梶川卓郎「バロンドリロンド」は、女性ジョッキーが主役の競馬モノ。主人公・佐倉真子は「カリスマ馬主」と呼ばれた大馬主の娘で、デビュー当時はもてはやされた女性ジョッキーだが、なかなか好成績を挙げられず、「親の七光り」と馬鹿にされる日々を送っていた。そんな泣かず飛ばず状態で行き詰まっていた真子は、三冠馬と四冠馬の間に産まれたがダメダメ状態だった新馬・バロンドリロンドと組んでのし上がっていくことを目指す。競馬には詳しくないけど、これはなかなか面白かった。絵はシャープながらも力強さもあって好感が持てるし、はねっかえりな主人公のキャラも魅力的。乗馬シーンもけっこう迫力はある。うまいこと波に乗ってくれると良いのですが。

 朔ユキ蔵「ハクバノ王子サマ」。こちらも馬モノ。というのはもちろん嘘ですがー。えーと、ついに小津のタカコサマに対する気持ちがあふれ出しちゃってノンストップ状態に突入。キスしてこのままやっちゃうのか?ってところでガンガン焦らす。実にスローペースな作品だけど、これだけ焦らされるともうそれが快感になってきちゃいますな。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 4/2 No.16 集英社 B5平

 秋本治「こちら葛飾区亀有公園前派出所」が1500回記念。区切りの回名物の、両津が子供だったころのちょっとええ話。今回は上野動物園でやってたお猿の電車のお話。こち亀は昨年で連載30周年。お猿の電車がなくなったのが1974年らしいので、連載時期とはかぶってないんですな。

 三上龍哉「ドンマイ!!地球防衛軍」は読切で前後編が掲載。この人はスピリッツで 「極道一直線」を描いていた人だが、まさかジャンプに出てくるとは。お話のほうは、突然かなりいい加減な感じの地球防衛軍にスカウトされた青年が、うやむやのうちにその活動につき合わされてしまう……というドタバタギャグ。地球防衛軍の隊長の人がやけにゴツいおっさんであり、リアルタッチでふざけたギャグをやるというのはいかにも三上達哉っぽい。ただこの画風はジャンプの誌面だと地味めな気がするし、トーンをいっぱい使った画風もちょっと見づらい気がする。あとこれはどうでもいいことなんだが、この作品に出てきた宇宙人、ヤンマガの不定期連載、鈴木一世「ゲヘヘのヌベコ」のヌベコに似てると思う。


3/17(土)3/18(日)……ばら色のホイコーロー

【雑誌】コミックメガストア 4月号 コアマガジン B5平 [Amzn][定期購読:Fujisan

 石恵の巻頭カラー漫画シリーズ最新作「こりずにいろいろ」が掲載。いつもは兄のぺースにノセられまくりの妹が、今回は別の女と親しげに電話している兄にヤキモチやいて、電話中の兄にエロい攻めを仕掛けてくる。妹のほうもかなり分かりやすく兄ラブですなあ。それにしてもいつもながら石恵は塗りがうまくて、乳のボリューム感とかが抜群。ストーリーがあっけらかんとしてて、淫猥という感じではないけど、絵の威力でしっかりヌかせる。とにかく華があるし目立つ。天太郎「まひるね!」も最初の4Pがカラー。今回はエロ妄想しまくりな女の子が主人公のドタバタHもの。軽いノリだが、エロシーンはやはりインパクトあり。こっちも乳がデカくて塗りがつややかで見映えがする人です。

 マイノリティ「魔法のコトバ」。主人公に告白とともに抱きつかれてしまった女の子が、そのせいで同じ刺激を与えられないとおしっこが出ない体になっちゃって……というもの。この人の描く女の子が着るラバースーツのようなヘンテコはずかし衣装は本当に独特。絵柄もクセが強い。ただそれでいながらラブラブシーンもかなり甘ったるく展開できるのがこの人の良いところ。なんだかすごく押しの強さを感じる作風なんですよね。みつや「チューリップ」は女教師とかわいい男子生徒のラブラブエッチ。みつやのつるつるぷりぷりした女体描写は好み。ちょっと太めでもっちりぷにぷにした様子がたまらんです。

 養酒オヘペ「麻美ちゃん最後のゆーわく」。兄のことが好きで好きでしょうがない妹が、彼と結ばれたくて一生懸命誘惑するという内容。明るい性格なんだけど必死な妹さんがかわいい。あと風呂場で泡でぬるぬるになったエッチシーンも密度が高い。結之「まぼろしインビテーション」は、お父さん大好きっ娘さんが母親の死後にパパを誘惑するようになってきて……ってな内容。といっても濃厚インモラル路線ではなく、あくまでカラッと明るいエッチもの。イタズラっ気のある内容になっててなかなか楽しい。顔とかはあっさりした描き方だけど、体のほうはきちんとむっちり感もあって、エロ度も上々。商業誌は初登場らしいけど、相変わらずコミックメガストアはおいしいところを連れてきますねえ。

 佐々原憂樹「きみになりたい −後編−」は、大好きだった姉の体に脳移植された少年が、姉の体の記憶と父に抱かれる快感の間で揺れ動くという物語。なかなか面白い設定で、センチメンタルなお話運びも良かった。絵柄のほうも繊細なテイストで、物語によくマッチしているし。竹村雪秀「TAKE ON ME」はそろそろ物語大詰め。津田が一歩前に進む勇気を出し、クライマックスへと向かおうとしている感じ。最終回も近いかな?

 御免なさい「ハルカとケンくん」。最近よく載るようになってきたロリ系の人だけど、ペンタッチに独特の味があっていいです。髪の毛の描きかたとかも丁寧だし。よしの「お風呂の梅子さん」。この人もロリ系。主人公が銭湯の男湯に一人で入っていたところ、そこに誰が連れてきたのか入ってきた幼女さんにより、主人公は誘惑されてしまう。主人公を攻める幼女さんのクールな目つきが特徴的。なかなか達者ですな。

【単行本】「サタニスター」2巻 三家本礼 ぶんか社 B6 [bk1][Amzn]

 猟奇的な殺し屋連中と、その殺し屋を退治する猟奇的なシスターが血みどろなバトルを繰り広げるアクションもの。やってることは過激で、出てくる奴らもイカレれた連中ばかりだけど、思いっ切り良く殺し合ってて読んでると痛快で気持ちイイ。残酷だけどユーモアたっぷりで楽しい作品。今後どんな激闘が見られるのかワクワクする。

【単行本】「ばら色の頬のころ」 中村明日美子 太田出版 A5 [bk1][Amzn]

 面白かった。「Jの総て」の前日譚ということで、ポールとモーガンが出会った中学生時代の物語を展開していく。モーガンは市長の息子、不真面目ではねっかえりで生意気。ポールはクールで真面目。ぶつかりながらもお互い引き付け合っていく、とくにモーガンがいろいろな出来事を重ねながらポールへの想いを強めていく様子がじっくりと描かれている。中村明日美子の絵はシャープで艶めかしく、お話のほうもしっとりした色気がむんむんしていてたいへんステキ。この人はますます腕を上げてますね。あー、そういえば「Jの総て」は単行本買ってなかったな。そのうち買おう。

【単行本】「みたむらくん」6巻 えりちん 白泉社 B6 [bk1][Amzn]

 編集部の下っ端みたむらくんのしょうもない日常を暑苦しく描き続けるギャグ漫画。この巻も下品でパワフルなのは変わらず。ずっと似たような話が続いてマンネリ気味かなあって気もしないではないですが。

【単行本】「でろでろ」9巻 押切蓮介 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 いつもどおり。ホラー的要素を日常的に扱ってギャグに仕立てあげちゃうドタバタ漫画。別段いつもと変わったことはやっていないが、9巻分もこうやってコンスタントに描き続けていられるってのは大したもの。この巻では、カップヤキソバのお湯を捨てるときに、流しのステンレスが「ボコッ」って鳴るときの、「ボコッ」って音を鳴らしている妖怪とかが個人的にはなんか好き。あとサイトーさんのふかふか感が良いと思う。触りたい。

【単行本】「アゴなしゲンとオレ物語」24巻 平本アキラ 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 最近しみじみ面白いなーと思うようになってきた。やってることはずっと変わらず下品ギャグの連続なんだけど、意表をつくようなネタがしばしば見られるし、センスも凄い。この巻では、アゴなし運送の面々がマヨネーズに凝って、北海道の食材をマヨネーズで食い尽くす旅に出る話とか、とくに好き。アゴゲンのエセアウトドアネタはキレが素晴らしい。そのほかの話もヒネリがきいてるし。飽きるどころかますます好きになってます。

【単行本】「ピースオブケイク」4巻 ジョージ朝倉 祥伝社 A5 [bk1][Amzn]

 ヒロインの志乃はバイト先の店長・京志郎とラブラブ中。しかし巷で話題になっている小説が、彼の元カノであるナオミさんの書いたものであると思しく、そして京志郎への未練を後書きに書いていて、志乃の恋に暗雲漂う……という展開。この巻は本編よりもむしろ作中作であるナオミの描いた小説の内容のほうがインパクト強いかな。古本屋をやっている叔父になついている女の子の心情を描いたお話で、彼女が田舎の人間関係にからみとられて息苦しい想いをしながらあがいている様子はなかなか読ませるものがある。まあ作中作としては長すぎる気もしないでもないけど、面白いからいいやー。

【単行本】「彼女を守る51の方法」3巻 古屋兎丸 新潮社 B6 [bk1][Amzn]

 お台場を脱出した後、ジン、なな子、そして途中で合流したリカの3人は六本木を通ることになる。そこには被災した多くの外人、そして日本人たちが集っていて、ジンたちはさまざまな人と出会い、災害の厳しさをまた一つ知る。この巻はなな子の女の子としての純情っぷりがちょっと微笑ましいが、リカを襲った出来事は悲痛。自分が災害に遭ったときにもし生き残れたら、他人に危害を加える側に回らないでいられるといいなあと思ったりした。まあ実際にそういう状況にならないと、自分がどうなるかは分からんですが。

【単行本】「ドロヘドロ」9巻 林田球 小学館 A5 [bk1][Amzn]

 けっこう長くダラダラ楽しくやってきた作品だけど、この巻のあたりではずいぶん物語もシリアスになってきた。カイマンが自分の過去に迫るにつれ、ニカイドウたちとの別れの予感も強くなってくる。まあそんな中でも毎回のようにある食事シーンにはちょいとホッとさせられる。ゴチャゴチャ混沌としたユニークなお話だったが、どういう終着点に向かっていくのか今後が気になるところ。

【単行本】「鉄子の旅」6巻 菊池直恵 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 最終巻。鉄の横見さんの活動を観察し続けた横見さん漫画。という趣ではあるんだけど、最後のほうになるとさすがに菊池直恵も鉄道の知識がだいぶついてきたなーという感じで、まあわりとしみじみ締めくくったのでは。たぶん鉄の人からすれば、異論・反論もあるだろうとは思うけれども(オタク界隈ってのはそういうもんだから)、鉄でない人にも分かりやすい切り口で、「こういう濃い人たちもいる」と紹介し続けた内容はけっこう楽しかった。なんか最後のほうに「つづく?」とか書いてあるけどどうなるんでしょうなあ。アニメ版の反響次第ですかね。


3/16(金)……うしろのそうめんだあれ

▼アニメ「すもももももも 〜地上最強のヨメ〜[Amzn]最終回。いやー、なんだかもう、素直につまらなかった。作画、脚本、演出、すべての面において作りが安かった。それでも1クールめは健闘しててまずまず楽しめたんだけど、オリジナル脚本が増えた2クールめはダメダメ状態に。ラストのほうの虎金井兄妹との対決編も、ものすごく急ぎでこなしたせいで、いろはの実家をめぐる因縁とかは付け足しみたいな感じになっちゃってたし、犬塚の少しはあるいいところも全然目立たなかった。

 原作漫画は好きだし、アニメ向きの素材でもあったと思うので、これは非常にもったいない。そもそもアニメ化の報を見たとき、「時期尚早なんじゃないか」と危惧したが、オリジナル脚本のあたりでは原作ストックの不足がモロに出た。それでありながら最後のほうでは尺が足りず、物語を詰め込まなければならなくなるという非常にアンバランスな状態になってしまった。全22話、世界水泳の放映のために本来の予定よりも短い尺でやらざるを得なくなってしまったのかもしれないけれども、それを差し引いても「これはちょっと」という出来。6点標準の評価でいえば前半は6.0くらいで、後半3.0くらい。トータルで4.5ってとこか。

【雑誌】ヤングガンガン 4/8 No.7 スクウェア・エニックス B5中

 勇人「はなまる幼稚園」。以前も書いたと思うけど、単行本1巻が4月25日発売決定でうれしいなー。で、今回はツッチーの妹さんが、彼が勤める幼稚園を訪ねてくるというお話。ツッチーは現在は自宅を出てしまったけれども、妹さんは兄のことが大好きで、その想いが余って押しかけてきてしまったのでしたという回。この妹の人もなかなかのツンデレさんでかわいいです。まあ杏のほうがいいけど。

 金田一蓮十郎「ニコイチ」。一歩一歩、着実にカミングアウトの日が近づいてますな。今回は菜摘と、男版の真琴と一緒に、女版のほうへのプレゼント選びのお買い物に出かけるが……という展開。なんかもう少し焦らすかなと思ってたけど意外とサクサクお話を進めている。この後どんどん急展開していきそうで、どうなるのか気になる。

【雑誌】週刊漫画ゴラク 3/30 No.12 日本文芸社 B5中

 村生ミオ「SとM」。主人公と若いOLねーちゃんが仲良くしてるのを見て、いまだ沙耶にこだわり続ける部下が陰ながらブチ切れ状態に。ほんの脇キャラだと思ってたのに、こんな奴まで激濃であったとは。きっとコイツもしょうもないことするんだろうなあ。楽しみにしてるぞ! 土山しげる「喰いしん坊!」は、鳥飼vs.錠二のそうめん対決がスタート。鳥飼がやたら気合い入っててちょっとカッコイイ。そうめんも邪道喰いしにくそうな気がするんだけどどんなもんですかねえ。絞って水分減らすとかいうのはアリかもしれないけど。

【雑誌】コミックバンチ 3/30 No.16 新潮社 B5中

 渡辺航「ゴーゴー♪こちら私立華咲探偵事務所」。最近面白かったけど今号で最終回。単行本は4月9日に3〜4巻同時発売決定で、「バンチ史上最大量のおまけ漫画満載」とのこと。そのあたりから見ても、まだ力があり余っていたっぽい。それだけに急な終了は残念だー。作者ページによると1〜2巻の売上が不振で、4巻までしか出せなくなったとのこと。ただ単行本の売上によっては連載復活の可能性もなくはないらしいので、復活希望の人は購入するよろし。いちおうAmazonリンクも張っておく(3〜4巻の情報はまだないけど)。

【雑誌】COMIC RIN 4月号 茜新社 B5平 [Amzn]

 山本雲居「恋敵徹底排除主義」。片想い中の男子に近づく女はすべて排除しちゃうという独占欲の強いお嬢様のお話。彼女はたいへんな癇癪もちで、恋敵はすべて引っさらってきて地下に監禁、多数の男を使って肉奴隷にしちゃうにょ〜んというヒドいお方。まあやってることは実に不穏だけど、ギャグ漫画としてやっているので、殺伐とした感じではない。トロけるような目つきで男の子を眺めるお嬢様と、その後の悪鬼のごとき表情の落差とかが見てて楽しい作品。

 猫玄「花粉症の症状に対する考察とその対処法」。花粉の時期になるとアソコが愛液だらだらになってしまう妹と、その治療行為にいそしむ兄のお話。花粉症自体はポピュラーなものだけど、このネタはちょっと新鮮。あとちゃんと兄妹エロの話としてまとめる猫玄の手腕もさすが。妹さんはかわいいし、エロシーンもちゃんとやってるし。ひねもすのたり「窓」は、隣の窓越しに入ってくるおとなりの妹分的女子と、主人公のあんちゃんがエッチ。まあこれも妹系の作品だけど、素直になれない女の子がしっかりかわいく描けてて楽しめる。

 綾乃れな「あねてぃ」はタイトルどおりの姉もの。おねいちゃんが教師をやってて、カワイイ弟と肉体関係を結んでいると。ぷにぷに感あふれる女体描写と甘ったるいラブラブエッチが魅力。乳も尻も含めて、全身にもっちり感がある。上連雀三平「わたしを有明へつれてって!」は5話め。内容はいつもどおりの上連雀節。各話がどうのこうのいうより、ちゃんと安定して載っているのが何よりうれしい。

【単行本】「びんちょうタン」2巻 江草天仁 マッグガーデン B6 [bk1][Amzn]

 通常版は3月30日発売。初回限定版のほうを買いました。

 内容なのですが、いやー、泣かせますなあ。この巻はびんちょうタンのおばあちゃんが生きていたころのお話がいくらか描かれるんだけど、年老いて、びんちょうタンの成長を見届けられないであろうことを覚悟していたおばあちゃんの思いやりがしみることしみること。あと貧乏ながらも健気に働くびんちょうタンの姿は、かわいいんだけれども切なくて。びんちょうタンのびんは不憫のびん。

 あとは大金持ちの娘だけれども、それがゆえに同年代のおともだちがおらず一人ぼっちなくぬぎタンが、これまた胸を締めつけてくる。村のおまつりに行くこともできず、ラムネ1本飲んだだけで「お祭り楽しかった」などと思ってしまう様子なんぞを見ていると、しあわせのなんたるかというものを考えさせられてしまう。貧しく不遇ながらも生活を楽しむことを知るびんちょうタン、すべてを持ちながら楽しむことを知らないくぬぎタン。対照的な二人の姿にグッとくる。たまらんです。

【単行本】「fine.」4巻 信濃川日出雄 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 最終巻。「芸術家」であろうとして悩み続ける馬鹿野郎・上杉と、彼に引き付けられてしまった二人の女性、りお、斉藤を中心とした青春ストーリーもこれでおしまい。結局、上杉は芸術家として何を作っていきたいのか、芸術家であるとはどういうことなのかというのはハッキリとは示されなかったけれども、青くて泥臭い、暑苦しい青春劇は楽しめた。とくに斉藤さんとの関係を巡るドラマはスリリングだった。ラストの上杉の暴れっぷりも、彼らしかったしアツさもあったし。

 まあ正直なところ、すべてのことに決着がついたとはいいがたいし、完成度という面では物足りないところがあるのは確か。しかし信濃川日出雄という作家が現在持っているもの、足りないもの、ポテンシャルは十分示せた作品だったんじゃないだろうか。登場人物だけでなく、作品としても青臭くて発展途上。そして作家自身もまた発展途上。今後この人がどういう作品を描いていくのか、次回作も楽しみに待ちたい。

【単行本】「スマッシュ!」3巻 咲香里 講談社 新書判 [bk1][Amzn]

 だいぶ面白くなってきた。まずバドミントン側では、主人公である翔太が、同じ部所属の良きライバル・亜南とダブルスを組んで試合をしていく中で、翔太の地味ながらも特異な才能が見えてきた。これまではどこかつかみどころのないにーちゃんという感じだったけれども、その才能の一端が示されたことでキャラも立ってきたし、スポーツ漫画としての痛快さがアップしたと思う。あともう一方の柱である、口がきけないバドミントン少女・優飛ちゃんとのラブラブ度がぐぐーっと強まり、こちらも微笑ましい。フラレキャラの幼なじみ子ちゃんはちとかわいそうだが、亜南くんとちょっといい雰囲気になってきてはいるので、まあなんとかなるだろうなーという安心感もある。


3/15(木)……おばはんがオーバーハング

【雑誌】近代麻雀 4/15 竹書房 B5中

 最近、前田治郎「ナグモ」が面白くなってるなー。最初は「福本伸行系の人かー」って感じで出てきて、まあ今もその影響はすごく強いんだけど、この作品なりの魅力がだいぶ目立つようになってきた。そんな中、今回はちょっと一休み的なエピソードだったのだが、これがかなり面白かった。博打島で点棒を稼ぐことの難しさを知ったナグモだが、博打島で無料配布されているカンパンにも飽き、カツ丼食いたい欲が鬼のように高まりまくってきた。カツ丼食いてえ、カツ丼食いてえという渇望が、これでもかとばかりに描かれていく様子は妙に勢いがあった。あとカツ丼を賭けた一勝負を終えた後のナグモの顔も良かった。これ見てたらなんかもうすごくカツ丼食いたくなってしまって困った。「カイジ」の地下労働編におけるビールみたいな感じ。

 ケニー笹原「ゴールデンルーキー」。最近「小田原ドラゴンくえすと!」に出てくる、アシスタントだった人ですな。甲子園を元ネタにした麻雀ギャグ4Pを描いている。クセはあるけど、けっこう目立つ&適度な無難さもある絵柄なんで、雑誌的にはイラストとかショートマンガとかで重宝しそうなタイプ。実際この雑誌でも読者コーナーのイラスト描いてたりするし。

【雑誌】ビジネスジャンプ 4/1 No.8 集英社 B5中

 袋とじちょいエロ漫画で村生ミオが登場。タイトルは「鯨夫人〜イケない妻と二人の夫〜」。なぜ夫人が鯨なのか。「イケない妻」とは、そして「二人の夫」とは何を意味するのか。その答えは袋とじの中にある!! ……という作品。最近の村生ミオは「SとM」を筆頭にとにかく馬鹿馬鹿しい漫画ばっかり描いてすごくハジけているのだが、この袋とじの内容もかなり躍動感があった。「鯨」の意味が判明する見開きなんかあまりにも馬鹿すぎる。村生先生の邪進化ぶりには今後も注目していきたいところ。

 冬目景「イエスタデイをうたって」は新シリーズがスタート。ちゃんと続きが始まって良かった。最近はシナ子がだいぶリクオ側に向いてきてる感じもあるので、彼女がどう行動するかが今シリーズの注目点といったところでしょうか。あと小田原ドラゴン「ホスト一番星」は最終回。一番星が宇宙に行っちゃってどうなるのかと思ったら、なんとも壮大かつ下らないラストへと行き着いた。ホストものは「華やかに見えるホストの世界も実は厳しいんやでーっ!」ってな感じの作品が多いけど、この作品はそういう正統派なところは皆無。ホストらしいこともほとんどしておらず、なかなかぶっ飛んだ漫画だった。

【雑誌】モーニング 3/29 No.15 講談社 B5中

 作:綱本将也+画:ツジトモ「ジャイアント・キリング」は安定して面白い。達海がキャンプでチームに課した型破りな練習の中で、使える選手が誰なのかだんだん見えてくるという展開。このチームがどういうサッカーをしていくのか楽しみ。あと今号には、うえやまとち「クッキングパパ」のメーカータイアップ漫画が掲載。アサヒ飲料の十六茶の宣伝漫画をカラー8Pで描いている。その中で、十六茶を使っておかゆを作る「十六茶粥」というのを紹介してて少し気になった。ほうじ茶を使う一般的な「茶がゆ」は自分もけっこうよく作るのだけど、十六茶で作ったことはなかったんで今度やってみようかなあと思ってしまった。メーカーの戦略にやすやすと乗せられてしまう俺だ。

【雑誌】ヤングサンデー 3/29 No.15 小学館 B5中

 浅野いにおの新連載「おやすみプンプン」が開始。とある町に住む小学生プンプン君の日常を描いていくという物語。いちおうプンプンはフツーの男の子という設定だが、作品内では銘菓ひよこに足が生えたような、らくがき調のキャラとして常に描写される。そのプンプン君が転校生の女の子に一目惚れするのだが……。第1話の時点では、「まだつかみどころがないな」というのが正直な感想。軽めなノリでシュールなことをやろうとしてる雰囲気はあるけれども、ここからグッと重くしていく可能性もあるし、キャラの扱いが特異なだけに先の展開はなんとも予想しづらい。まあしばらくは読んでみるしかないでしょう。とりあえずあんまりオシャレにしすぎないでほしいところですが。

 北崎拓「さくらんぼシンドローム クピドの悪戯II」。いったん痴話喧嘩状態に陥った阿川&麻生さんだけど、麻生さんが自分の気持ちを認めてなんとか元サヤに。前半はシリアス、最後のほうはちょっとユーモラスに。力の出し入れがうまいですなあ。しっかり面白く作ってあります。あと今号には万乗大智の読切「トゥモローホープ」が掲載。「DAN DOH!!」に出てきたプロゴルファー赤野拓の知り合いを主人公にした競馬モノ。赤野を出したのは、お話の糸口としては良いかもしれないけど、そっちに引っ張られちゃって競馬のほうの印象が弱くなっちゃってるような。

【雑誌】ヤングジャンプ 3/29 No.15 集英社 B5中

 この前連載が終了したこばやしひよこ「おくさまは女子高生」の特別編読切が掲載。麻美が中学生で、だんなさまがその家庭教師をやっていたころのお話。この時点ではまだ13歳であるにも関わらず、麻美はやたら乳がデカい。顔がよりあどけない分、よりエロっぽいような気がした。個人的には20台中盤まで育ったバージョンも見てみたい気がする。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 3/29 No.16 秋田書店 B5平

 新連載、大村県士「オーバーハング」がスタート。ロッククライミング漫画というスポーツ漫画としてはちょっと珍しいジャンルに挑戦した作品。主人公はイジメられっ子タイプなのだが、奔放なクライミング野郎との出会いをきっかけに、その才能に目覚めていくって感じになりそう。絵的にはまだ垢抜けないところはあるものの、ハッタリはそこそこきいてて初回としてはまずまずの出来だと思う。

 高橋てつや「ペンギン娘」はコマ割りが普通になり、お話的にもだいぶ整理された面白さになってきているような。ここ数回は、さくら・鯨たちが実は子供のころ出会ってて、そのころ自分のことを男だと思っていた鯨がさくらに告白しちゃってた……などという想い出が語られている。けっこう普通にドタバタラブコメとして楽しいし、萌え系の元気の良い絵も生きてる。このまま連載続けていけば、もう一化けくらいするかもしれませんな。


3/14(水)……ハラマセクン

【雑誌】週刊少年サンデー 3/28 No.15 小学館 B5平

 鹿賀ミツル「ギャンブルッ!」。ニコニコしてるクセして実は冷酷な勝負師であるマサルに乗せられて、臆病者の少年・草太もだんだん勝負師の顔になってきた。マサル少年の外見と、ギャンブラーとしての厳しさとのギャップがハッタリ十分に描かれてて最近好調。読切、石井あゆみ「佐助くんちの秘密」。忍者マニア一家に育った中学生男子が、家に遊びに来たクラスメート女子に、家族の忍者クレイジーぶりをさとられまいとドタバタするというギャグ漫画。絵柄的にはまだこなれてないものの、細かい部分まで描き込もうとする丁寧さは買える。洗練されてくれば面白くなるかもしれない。

【雑誌】週刊少年マガジン 3/28 No.15 講談社 B5平

 はっとりみつる「全裸系水泳部ウミショー」。重大発表というのはやっぱりアニメ化でしたか。夏からの放映だそうで。制作は「蟲師」「ギャグマンガ日和」を手がけたアートランド。監督はそ〜とめこういちろうとのこと。まずまず期待できそうかな? あと「ウミショー」の漫画のほうは、静岡さんが子供だったころの淡い初恋模様を描いた特別編が掲載。ちっちゃい静岡さんも、今のようにエッチではないものの、なかなかかわいらしくて良かった。

【雑誌】スーパージャンプ 3/28 No.7 集英社 B5中 [Amzn]

 宮下あきら「暁!!男塾」。今号から新しい勝負がスタート。対戦相手は江田島平八のライバル・熊田金造率いる羅漢塾で、勝負の名前は「裏箱根地獄駅伝」。いやー、ネーミングが素晴らしいね。普通だったら「裏箱根駅伝」とか「箱根地獄駅伝」とかに止めそうなもんなのに、「箱根」にも「駅伝」にも冠をつけちゃう欲張り感がいい。ちなみに勝負の内容は、走者が毒を飲んで、毒消しをタスキ代わりにして駅伝をやるというもの。無駄に命賭けまくりなところが実に下らなくて素晴らしい。

【雑誌】快楽天BEAST 4月号 ワニマガジン B5中

 いつもながら、さめだ小判の作品は華がありますねえ。今回の「はぷえろ」は、卒業式の後の飲み会の流れで、そのうちの一人の家に転がり込んだ面々が、酔った勢いでエッチなことしまくっちゃうという内容。カラー4Pは塗りが美しいし、キャラクターの表情も変化に富んでいて見ていて楽しいものがある。ねこまたなおみ「HERE COMES A NEW CHALLENGER!」は、ゲームを通じて知り合った男女のエッチ漫画。ぷにぷに感のある肉感的で明るい絵柄がわりと好みです。

 よしき龍馬は快楽天BEAST初登場。「この想い いつか愛に変わるまで」というタイトルで姉弟モノ。彼氏をボコボコにして別れた後の姉と、血のつながらない弟がエッチなことしちゃうというお話。お姉ちゃんのグリグリしたツリ目の描き方に特徴あり。まあ目つきは悪いんだけど、そういう姉がヤッたりしているうちに顔を赤らめたりするようになっていく様子がなかなかかわいくて良かった。あとCuvie「おべんきょう」は相変わらず手堅い。スッキリした絵柄で、ラブもエロもしっかりこなして実にコンスタント。「ものすごい傑作」って感じの作品でなくとも、キャラのかわいさだったり、ラブコメエッセンスがイイ具合だったりと、各作品何かしら見どころがあってハズシがないのがこの人の良いところだと思う。

【単行本】「セクハラマン」3巻 ながしま超助 双葉社 B6 [bk1][Amzn]

 相変わらずとってもくだらない作品。伝説的な社長だった爺さんが残したマニュアル本の言葉のとおりに行動することで、主人公ハヤタが会社内で大活躍していくというエロギャグ漫画。そのマニュアル本は通常は白紙だが、精液をかけると文字が浮かび上がるという発想がまず天才的に下らない。そしてそのマニュアル本の内容も「女子社員の尻をバンバン触れ」とかいうしょうもないものばかりなのに、どうしようもなく強引な理屈で、それがプラス方向に働きまくり、美女とエッチして仕事も偶然うまくいっちゃう……という展開の連続がこれまたアホすぎる。

 ただあまりにもアホすぎるためいやったらしくなることがなく、なんだかスカッとする作品に仕上がっちゃっているのがながしま超助ならでは。主人公のバカっぷり、スケベ面などが、どうにも憎めないんですよね。あと出てくる女の子たちが、みんなその他大勢って感じの、ただ乳がデカくて尻がバーンとしてるだけの女性ばかりだっていうのもいいのかもしれない。セクハラどころじゃないことやってるのに、女性がそんなのばっかりだから、けして生々しくならず別世界の出来事として楽しめてしまう。読んでてすごく気が楽。


3/13(火)……マンブローグの森

▼ここしばらくOHPの更新が遅れがちで、新しめな情報を入れにくくなってきたため、なんとかしてみようとか考えて、ブログ「OHP+」(http://picnic.to/~ohp/plus/)を始めてみました。ブログ始めるといっても、OHP本体の更新は今までと変わらず、ブログはあくまでOHP本体の補助用という位置づけ。ブログのほうでは、更新停滞時の言い訳や、ちょっとしたメモ、思いつき、買い物メモなどを記していくつもりです。まあOHP本体のほうは、読んだ漫画の感想書かないと更新しづらい形式で、そちらが足を引っ張っちゃうことがままあるんで、本格的な更新は本体、ちょっとしたものはブログといった感じで使い分けていく予定です。

 ちなみにブログツールについては最近はレンタルのほうが主流だと思いますが、せっかく自前でレンタルサーバー借りてるので、サーバー設置型の奴にしてみました。ざっと調べてみていくつか試してみた結果、Serene Bachがわりと良さげだったのでコレに決定。Serene BachはPerlだけで動き、DBは必要としないので、CGIにある程度慣れてれば設置はけっこう簡単。あとブログの各記事を静的HTMLで生成できるとか、日本製なのでドキュメント類がなじみやすそうだったとかいうのが選択の理由。Perlなんで、「記事がたまってくると再構築に時間がかかるようになっちゃうかな?」とは思わないでもなかったけれど、まあそれはたまってから考えるということで。いざとなったらレンタルブログに乗り換えちゃうというのでもよかろうし。

▼アニメ最終回。「RED GARDEN[Amzn]。これはかなり良かった。最初のほうは物語につかみどころがなかったし、登場人物の少女たちが脈絡もなく歌い始めるなど妙ちきりんなところがあったが、アレはアレで味があって個人的にはかなり好きだった。そして後半はストーリー的にも大いに盛り上がって、かなりまっとうに面白い作品になっていたと思う。この作品でとくに良かったのが、メインの少女4人および周囲の人間関係をすごく丁寧に描いていた点。脇役たちもしっかり描写していたこともあり、感情移入して見ることができた。最終決戦前夜のエピソードは泣けたし、決戦のシーンも「みんな強くなったなあ」などとしみじみ。ラストも切なさと美しさ、そして希望、いろんなものが混ざり合ってジーンとくるものがあった。作画のほうも安定。動かしにくそうなキャラデザだったのに、頑張ってたと思う。

 なお本作は8月にOVA版が出るらしいんだけど(公式サイト参照)、そのストーリーが本編とはまったく違ったモノとなっててビックリ&笑った。DVD-BOXのTV CMもけっこう笑えたし、スタッフもけっこうノリノリで作ってたんじゃないですかね。それにしてもGONZOはなんでこう、独特の味のある作品ばかり作るのか。「スピードグラファー」や「SoltyRei」も、傑作とはいいがたいもののすごく味のある作品だったし。「RED GARDEN」については素直に良作、良いGONZOだったと思う。

【雑誌】イブニング 3/27 No.7 講談社 B5中

 くさか里樹「ヘルプマン」。痴呆症の母親を弟から押しつけられ、その介護をめぐり家族が分裂するが……といったお話を展開中。フィリピン人ケアマネージャーのジェーンさんの頑張りが、だんだん家族の心を動かしていく。深刻な問題ではあるが希望も垣間見せてくれるし、読みごたえも十分でいい作品だなーと思う。

 山本直樹「レッド」。1970年、革命を目指す若者たちの活動はどんどん行き詰まっていっている。もはや引き返せない流れの中で、若者たちがもがき続けている様子が興味深い。今後の展開も楽しみ。青木幸子「ZOOKEEPER」。今回は動物園でも最大級の動物、ゾウをめぐるエピソードが開始。ゾウという動物の頭の良さ、そしてあまり知られていない生態などがまず語られていて面白かった。主人公の香也自体は今回あんまり動いていないけど、うんちく部分だけでも読ませる。整然とした作風で、説明がうまい。

【雑誌】ヤングチャンピオン 3/27 No.7 秋田書店 B5中

 新連載、作:森高夕次+画:松山せいじ「琴子の道」がスタート。ド貧乏で母親も余命いくばくもない病気にかかっている薄幸な少女・琴子が、歌手を目指して健気に頑張っていくという物語。最初、原作者の名前見ないで読んだとき「『おさなづま』の作中作の『めぐみのピアノ』」みたいだなとかチラッと思ったんだけど、原作者名見返してみて納得(「おさなづま」の原作は森高夕次)。松山せいじのコンビというのは、作画者も原作者も押しが強い。うまくハマれば面白くなりそう。まあとりあえずKOTOKOちゃん頑張れということで。

 井荻寿一「魔月館綺譚」は今回で最終回。まあ普通におしまいといった感じ。ただ魔月館管理人の月子さんはじめ、女性キャラは相変わらず品が良くてちょいとエッチで魅力的ではあったので、その点は楽しめました。あと最近ラブコメとしてけっこう面白くなってた松本タカ「ナニワのコッチー」は来週で最終回とのこと。

【雑誌】漫画サンデー 3/27 No.12 実業之日本社 B5中

 作:倉科遼+画:みね武「艶恋師」。小料理屋のおかみの間男になる編は、本当の旦那の帰還であっさり終了。拍子抜けするくらいに淡白な展開ですなー。まあさすがに素人とセックス勝負というわけにもいかないだろうけど。

【雑誌】コミック・ガンボ 3/13 No.9 デジマ B5中

 江川達也「坊ちゃん」の連載がスタートしたけど、うーん正直あんまし期待できませんのう。第1話はなんか夏目漱石の文章に、ちょっとハッタリ利かせた挿絵をつけただけみたいな内容に終始。作者自身は斬新な描き方だと思っているのかもしれないが、あんまり面白くないので、もう少しオーソドックスに描いても良かったのでは。

【雑誌】別冊マーガレット 4月号 集英社 B5平 [Amzn]

 中原アヤ「ラブ★コン」の番外編、「ラブ★コンプラス」がスタート。3回連続掲載で、今回は大谷くんが中学1年生だったころのお話。バスケ部に入ってきた無愛想な少年と、大谷くんの友情ストーリーといった趣。恋愛色は薄いけど、爽やかなお話に仕上がってて手堅い出来栄え。椎名軽穂「君に届け」は、これまでくるみがやってきた悪さが貞子にバレてしまうが……というお話。本当ならブチキレてもおかしくない局面での貞子の優しさがしみるエピソード。まあちょいといい子ちゃんすぎる気もしますが。

【雑誌】comic天魔 4月号 茜新社 B5平 [Amzn]

 木静謙二「Mix Edge」はシリーズ再開で3話め。多重人格姉とその弟がエロいことをしまくるという姉弟モノ。肉感的でむっちりしたエロシーンはやはりこの人ならではのエロさあり。あとこのシリーズは、多重人格姉の各人格がそれぞれ違った性格なので、異なる趣のエロスが楽しめるというお得感がある。

 大和川「Witchcraft」。今回は続きモノになるようで。イジメられっ子だった少年が、怪しげな暗示や催眠を使う占師女性の元に転がり込んで、その力でパワーアップ。で、占師とエッチした後、そのままバイトとして雇われるというお話。大和川のピチピチ瑞々しい作画は魅力的で、女占師の人も普段は素っ気ないが、エロシーンになるとけっこうカワイイものがある。乳の大きさ的には中乳といったところ。この人はデカいのから小さめなのまで、けっこういろんな乳を描きますな。

 浅草寺きのと「まんが喫茶で…♥」。主人公男子が同窓会で酔っ払ってぐでんぐでんになった女の子を送っていくことになるが、泊まるところとかはなくて漫画喫茶で一夜を明かすことに。そうしたら酔った勢いからか、彼女のほうが主人公にエッチなことを仕掛けてきて……といった感じ。ツンデレ系のヒロインが華やかな容姿でけっこうかわいいし、ちょいとラブラブな締めくくりも後味上々。


3/12(月)……バレボルツカイ

▼「ハレハレユカイ」に引っかけたつもりだけど分かりにくい。もうだめだ。

【雑誌】コミックビーム 4月号 エンターブレイン B5平 [Amzn]

 作:夢枕獏+画:ドヘの新連載「大帝の剣」が巻頭カラーでスタート。映画化がすでに掲載されている作品とのこと。大阪夏の陣から20年余り後のまだ戦の匂いの残る時代を舞台にして、万源九郎という名の侍が戦いを繰り広げていく伝奇アクションらしい。お話のほうはまだ、「源九郎ってヤツが出てきましたーっ」てとこまでしかやってないのでよく分からないが、韓流作家ドヘの作画はとても力強く、迫力はあった。画面が暗めなのでちと読みづらいかもしれないけど、とりあえずゴツい作品だなという印象は持たせる。

 吉田戦車「宇宙巨人アムンゼン」も新連載。4コマではなくストーリーもののギャグらしい。人間に似たヘンな宇宙人の住む星に現れた微妙な顔をした巨人アムンゼン。その星の少年・ゾリーがアムンゼンの体と融合し、巨人を操ってなにかする。こちらもまだ序の口なんでどうなるかまったく分からない。ただ妙な間抜けた味のある作品になりそうではある。

 竹本泉「よみきりものの… ヒトライフ」は、小人の家にとりかえられてきて育てられた人間の少女が、大きく成長してあちこちに頭をぶつけつつ暮らすというお話。わりと「ラブコメのようなそうでないような」っていう漫画を描くことの多い竹本泉だけど、今回はちゅーもしてて、だいぶラブコメでした。心華やぎます。志村貴子「放浪息子」は、修一くんにニキビが出来始めた! という大事件な回。このまま声変わりして喉仏が出てきてしまったらどうなってしまうのかー、といった不安に駆られてしまう回でした。あと安那ちゃんが今回はけっこう良かった。

 作:しりあがり寿+画:安永知澄「なぎ」後篇。前篇は、可憐な少女がどんどん化物状に変化していく様子、後篇ではその顛末が描かれる。前回はかなりミステリアスで怖かったが、結末も意外なものに。師弟コンビということだけど、安永知澄のきれいな絵柄と、しりあがり寿の意外性のあるストーリー作りが相まって、なかなか面白い作品になったといえるんじゃないでしょうか。

【雑誌】ヤングキング 4/2 No.7 少年画報社 B5中

 塩野干支郎次「ブロッケンブラッド」。今回も健一くん(アイドル名:桜子)が、バニーガール姿にさせられたりしてて華やか。今後は変身したときの衣装がさらにこっぱずかしいモノになるといいなあとか期待。あっちだとだいぶ普通に見えるようになってきたので、モデルチェンジが欲しい。と贅沢をいってみる。花見沢Q太郎「ももいろさんご」。キャバクラ嬢を彼女に→堕落してヒモ化→別れるという紆余曲折の後、さんごが元通り復帰。真人間になろうとするも、湊さんがそれを許さずといった感じ。まあこれで元サヤではあるけど、さんごが何かあるたびに右肩下がりで堕落していってる様子が楽しいです。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 3/26 No.15 集英社 B5平

 新連載、高橋一郎「バレーボール使い郷田豪」が開始。バレーボール漫画ではなく、あくまで「バレボール使い」の漫画。バレーボールという競技はやらないけれども、そのボールは使って正義のため(だかなんだか知らないが)とにかく戦う暴れん坊が主人公のドタバタギャグ。アクションとかは派手だし内容も馬鹿馬鹿しくてまずまずの出来。ただ端々でうすた京介の影響が色濃く出てしまっているのは気になる点。ジャンプのギャグ系の新人は、うすた京介の影響下にある人が多すぎるので、うすた臭がすると「またウスターか!」とかつい思ってしまう。本作の場合はそれ以外の部分でけっこう光るものはあるので、そういう印象持たれちゃうのは、ちと惜しいような気がする。

 福島鉄平「サムライうさぎ」は、第1話の完成度が高かった分、2話め以降の方向性をどう持っていくかが難しそうな感じで、インパクト的には前回よりも弱い。主人公のヨメさんはカワイイし、モノローグのリズムは気持ち良いので、そういった魅力を生かしつつうまく軌道に乗せてほしい。

【雑誌】ヤングマガジン 3/26 No.15 講談社 B5中

 「バレーボーイズ」が載ってないのがこんなに残念なのは初めてだ! まあそれはともかく、このところ平本アキラ「アゴなしゲンとオレ物語」がずっと絶好調でスゴいなーと思う。今回はゲンたちが住む町のシャウト界の大御所、J山B作が死去するとショッキングなニュースが。町中の人が悲しみに暮れた葬儀は、やがて参列者揃ってのシャウト大合唱へと変貌。ゲロッパ! ゲローレ!! ダイナミック! ダイクマァーッ!! 内容はしょうもないけど、とにかくパワフルでテンション高くて圧倒される。いやー、平本アキラすごいなー。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 3/26 No.15 小学館 B5中

 以前ヤングサンデーで「おしゃれ手帖」を描いていた長尾謙一郎がスピリッツに初登場。タイトルは「ギャラクシー銀座」。初回は吉川晃司的なファッションに身を固め、自分はロックンローラーだと独り言をいいながら、深夜の自室でしょうもないことをしている男の話。たいへんしょうもないけど、妙な味と勢いはたっぷり。かなり奔放でぶっ飛んだギャグを描ける人なので期待。

 ヒラマツ・ミノル「毎月父さん」。生意気な若手格闘家に対し、地上最強の男、鈴木・グレーテスト・総四郎が、闘士として、一家の長としての格の違いを見せつける。それにしてもこのお話、父さんがものすごくバカであることは最初っからガチだったけど、奥さんのほうもけっこうなもんだったんですな。まあこの人と結婚した時点で、それなりのタマだったことは明らかなんだけど。あと今回の小田扉「団地ともお」では、いつもともおに背中なでられてヒーといっている犬が出てきてうれしかった。あの犬すごく好き。

【単行本】「街角花だより」 こうの史代 双葉社 A5 [bk1][Amzn]

 帯には「待望の最新作!!」と書いてある、中身のほうは一部を除いて1995〜1999年あたりに描かれたものが中心。といってもこうの史代の、手描きの暖かみのある気持ちいい絵柄や基本的な作風は昔から変わっちゃいないので、とくに問題はなかろうと思いますが。内容は何誌かを渡り歩いた「街角花だより」シリーズと、短編の「俺様!」「願いのすべて」を収録。

 中心となっている「街角花だより」は、のんびりした花屋の女性店長・うららさんと、会社をやめてその花屋さんでバイトすることになった女性・凜とのほのぼのした日々を描いていくというもの。ものすごく大きな事件が起きるわけではないのだけど、ゆったりとした絵柄、話運びで朗らかにコメディを展開してて楽しめる。あと、ときにハッとさせてくれる美しい風景描写もやはり素晴らしい。ところで「街角花だより」の最終話で取り扱う花が百合なのは、やっぱそういうことなんでしょうか。店長さんと凜のやり取りがけっこうそういう雰囲気があるんで、ちょっと心トキめいたりもした。


3/11(日)……反重苦少女

【単行本】「掃除当番 武富健治作品集」 武富健治 太田出版 A5 [bk1][Amzn]

 「鈴木先生」で話題を呼んでいる武富健治の短編8本を収録した作品集。このような本が出るとは、売れるって素晴らしい!

 で、収録作品についてなのだが、もうどの作品を見ても武富健治の個性、作家性がものすごい勢いであふれてて圧倒されてしまう。「鈴木先生」は商業誌で描き慣れてきたためこなれた部分もあるけど、今回の収録作品についてはまだ売れてなかったころの作品群ということもあって、武富風味がさらに濃厚。あの「萌え」だの「サービス」だのといった要素とはまったくかけ離れた、クセの強いシリアスタッチがより荒削りな生の形で提示されている。

 お話のほうも特徴的。「掃除当番」「ポケットにナイフ」といった作品は、学校内で起きた事件や意見の衝突などを、ねっちりみっちり描いた作品で、「鈴木先生」に通じる要素がかなり色濃い。「掃除当番」の、「真面目にやっている人間が、不真面目な奴らのせいで理不尽な想いをする」ということに対する複雑な心情を掘り下げていく描写は迫力さえある。「ポケットにナイフ」は「鈴木先生」にも出てくる小川さんが登場するエピソード。スリリングなストーリー展開も凄いが、ラストシーンも独特のセンスだなあ。小川さん面白い。「シャイ子と本の虫」についても、本好きの女の子が友達の女の子の行動を見て、グラグラと揺さぶられていく様子がとにかく劇的に描かれていて凄い濃厚。

 「8月31日」なんかはちょっと異色作だが、「女みたい」と言われ続けている主人公の心情を緻密に描写。とにかく人間の内面描写をものすごくしつこくやるというのは、どの作品にも共通している。あと「まんぼう」はオチが……。この作品みたいにギャグっぽいこともいきなりやってくるので、武富健治は油断がならない。万人向けとはいいがたいけれども、読めば心に深く刻み込まれる。そういう作品を描ける、稀有な才能だと思う。

【収録作品】「掃除当番」「ポケットにナイフ」「シャイ子と本の虫」「まんぼう」「勇」「康子」「8月31日」「カフェで」

【単行本】「喰いしん坊!」12巻 土山しげる 日本文芸社 B6 [bk1][Amzn]

 喰いワングランプリは、高丘桃子vs.マスクマンの羊羹勝負→満太郎vs.安の豚マン勝負と続いていく。最近は何をもって「邪道喰い」とするのかが分かりづらくなっている本作ではあるけれど、まあそれでも巧みな演出でしっかり読ませてくれて依然面白い。とくに個人的には羊羹勝負がスゴいと思った。これはマジで大喰いしたくない。桃子はジャンルさえ絞れば、登場人物中最強じゃないかなあ。この勝負の場合、技がどうのこうのという問題じゃないし。あとマスクマン(正体はナイショ!)の散りっぷりも、カッコイイようなアホらしいようなって感じで楽しかった。

【単行本】「へべれけ」 かるま龍狼 ワニマガジン社 B6 [bk1][Amzn]

 相変わらずエロとギャグがしっかり融合してて楽しい。この単行本の中心となるのは、家人のみならず家に来る人、近所の男とまで物凄い勢いでやりまくるパワフル家政婦・酔子さん大活躍の「へべれけ」シリーズ全6話。ムチムチ感あふれる酔子さんが、とても楽しそうにのべつまくなしエッチなことをしまくる様子はエロいし面白い。あとそのほかの作品では、家のドアに女性型のカギが埋め込まれた形になっていて、それをイカさないとドアが開かない……というドタバタギャグ「ドア端会議」も、エロシュールで個人的にはけっこう気に入っている。基本的にどれもお話はギャグベースなので、「いざヌカん!」とするとギャグが邪魔になったりすることもままあるんだけど、やっぱり体のラインの描き方、見せ方がうまくて、きちんとエロ心のツボは突いてくる。申し分なくうまいです。

【単行本】「すごくしてね」 EB110SS メディアックス A5 [Amzn]

 ロリコン漫画としておなじみ、EB110SSの新刊。いつもながら幼い少女たちとのエロ模様を濃密に展開している。あどけなくて無邪気な顔つきの女の子たちは独特なかわいさ。あと「こんなおいしいシチュエーションはないだろう」ってなお話が多いんだけど、どこか生の手触りを残した作風も特徴的。あとがききで「『ファンタジー』ではありますが、『リアル』な臭いをちゃんと感じれる物を描きたい」と語っているけれども、作品読むと「なるほどなあ」と思ったりもする。

【単行本】「半熟少女」 大庭佳文 久保書店 A5 [Amzn]

 えーと初単行本でしたっけか? アンソロジーの「貧乳××」シリーズで描いた作品を集めたものということで、基本的にはつるぺた系で、スッキリしたキュートな絵柄が魅力的。まだ線にいくぶん固さはあるものの、ほんのり甘やかなテイストがあって、なかなか雰囲気がよろしい。あと浮気性な友達の彼氏に抱かれちゃった女の子の話である「佐藤敬子さんは○○な人ですけど」とか、親友女子に切ない恋心を抱いている娘さんの気持ちを綴った「SUGAR BABY LOVE」など、女の子の気持ちを描いたセンチメンタルなお話など、話作りも上々な部類。ヌキ用としては弱いけど、絵柄がキュートで作劇も心地よく読ませるものがあり、なかなかいい感じの1冊だった。


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