2001年5月4日コミティア購入物件


2001/08/31読了分

 兄買い本最後。

【同人誌】「海のプリンセスエミちゃん」 木持隆司 <木持アート出版>

【同人誌】「タイムパトロールユカちゃん」前編 木持隆司 <木持アート出版>

【同人誌】「タイムパトロールユカちゃん」後編 木持隆司 <木持アート出版>

【同人誌】「スーパーレディレナちゃん」予告編 木持隆司 <木持アート出版>

 一気読みしたらかなりクラッときました。まったくすごい漫画群であります。スズキトモユさんが以前詳しくレビューしていたけど、実際圧倒されます。作画についてはうまくない、というか積極的に下手といっていいと思う。どの作品でも、30年くらい前の子供がアメリカンな文化に憧れて描いたような、グラマラスな女性たちが主人公。その伸びやかさには何か見るべきものがすごくあるような気もするのだが、まったくなんだかどうしたものやら、ドギマギしてまう。この絵柄に代表されるような、レトロな、でも恐らく間違いなくナチュラルなんであろうなあと思われるセンスは、物語全体に蔓延している。

 例えば「タイムパトロールユカちゃん」は、タイム・トラベルの犯罪を防ぐ宇宙パトロール隊に所属するユカちゃんが主人公。という設定を聞いただけですでにかなりレトロテイスト。さらに登場する隊のメンバーは、女の子はみなビキニ系の水着のような服しか着用せず、その伸びやかに発達したボディを惜しげもなくさらしてくれてるんですゾ! だからといって読んでいるほうとしては別にうれしくもなんともなかったりはするんですが。いや、むしろここまでやってくれるとステキすぎるのでうれしいか。セリフもすごいですよ。「なにするの!! エッチ!!」「ウッシッシッシッいいながめユカちゃんのヒップ」などなど。

 なんかいろいろな点で間違ってる漫画だと思います。服装センス。関節がヘンな方向に曲がった人体の描写。古臭いセリフ回し。セリフの文字を印刷した紙が大き過ぎてフキダシの線からハミだしちゃってたり、集中線や擬音の書き文字が異様にカッコ悪かったり。しかししかし。そんなことは木持漫画の持つスケールの大きさと比べれば、実はどうでもいいことなのです。すべての要素がからみ合って構成される、異様な極彩色のパラダイスは、脳髄を直撃してやまず。「タイムパトロールユカちゃん」なんて、そんなビューティフルワールドが200ページも続き、僕らを夢の地平線へと誘ってくれたりするのだ。これだけのモノを作り上げた、木持先生の情熱に敬服。「タイムパトロールユカちゃん」前編の冒頭に記された「寝ころんで、お菓子でも、食べながら楽しんでもらえたら」という木持先生の言葉に従い、寝ころんでお菓子でも食べながら読むことを推奨いたします。


2001/08/25読了分

 ここらへんは兄買い本。

【同人誌】「塔」 星園すみれこ <テヲレマ館>

 塔の中に監禁され、一人また一人と天井からぶら下がった縄で縊られて殺されていく少女たち。切り絵のような、トランプやタロットの図柄のようなクッキリ黒々とした線で描かれるホラー世界は、耽美的でなかなか良い雰囲気。細かくはないけどコントラストが利いてパンチのある作風なんで、商業誌に載ってもけっこう映えそうな気がする。

【同人誌】「歌うてづるもづる」 三五千波 <つくりもの>

 女学校。少女たちの園。スカートの下にスラックスをはく少女。女同士の甘い関係。怪しい。いやいや、相変わらずこの人の描く閉鎖世界は業が深い。何か唐突な感じがするところもまた良いのです。

【同人誌】「庭只海」 <おじゃなみ>

 おじゃき、hir.、d2ac、塔南光器が執筆。この中では塔南光器「川姫」がよろしい。ベタの黒々とした感じが気持ち良く、タッチの強弱が利いている。何かを歌いたいという衝動に駆られる少女のウズウズとした様子に心惹かれる。なんだか力強いお話を描けそう。長い作品にも向いていそうな感じ。

【同人誌】「けめへな e.p.」 きつきしんなり <TUMBLEWEED>

【同人誌】「March けめへな e.p.2」 きつきしんなり <TUMBLEWEED>

「けめへな e.p.」のほうは恋愛中の恋人たち。それから「けめへなe.p.2」のほうは、それとはガラッと変わって別れ際。どちらも青春模様をスッキリとしたタッチで描いててよくできている。あとはなんかもう一つ、なんか過剰なものというか、ハッと目を引きつけられる特徴的な部分が出てくるといいな。洗練度を高めていくのでもいいし、甘ったるくするのでも苦くするのでもいいんで。

【同人誌】「虫」 衣羅ハルキ / 藤ノ木いらか / 桃井葉月 <HEE-HAW>

 2月コミティアで買った「鳥」「獣」「魚」と同じシリーズの3冊目(「獣」と「魚」の間)。う〜ん、みんなうまいなあ。上品だし、物語をまとめる力も十分。作画はなんといっても藤ノ木いらかのタッチが好き。「おにいちゃんと遊ぼう」は、虫の研究をしているお兄ちゃんになついている妹が、そのフィールドワークの現場についていってみてより兄のことを理解するようになるというお話。もやもやとした気持ち、そしてそれがときほぐされていくさまが丁寧に描かれている。百井葉月「草がくれ」。こちらは転校生の女の子と、同じクラスの虫好きで変わり者とされている女の子のエピソード。日常のちょっとした情景を効果的にお話の中に生かせている。それから衣羅ハルキ「夢を見ている」。妻や子を捨てて逃げ出し、地方の待ちで料理人としてそれなりに落ち着いた暮らしを手に入れた男のお話。喪失感や安心感、その他もろもろの感情を細やかに描けていて短編としての完成度は高い。

【同人誌】「バトルマハラR」 衣羅ハルキ <HEE-HAW>

 オバカな感じのドタバタ学園ケンカもの。シリアスな作品もいいけど、こういうコメディ系の作品もいいですな。なかなか芸達者な人。

【同人誌】「ミキとギーガー」 ピコピコリョウ <ぴこぴこ>

 けっこう面白かった。少女のミキちゃんと巨大ロボットギーガーのお話。画材は色鉛筆の黒かな? 描き込むのでない走り描きっぽいタッチは、ラフだけど線に開放感があって気持ちいい。同人誌ならではって感じがする。

【同人誌】「FATMAN AND THE SLIMGIRL」 John TuRner

 とある家に泥棒に入った女の子と、彼女とコンビを組んでいて、悪魔的感性を彼女に諭すFATMANの物語。モノトーン、というかハーフトーンというかな質感が気持ちのいい画面。何かもう一つ大きな事件が起きる前の導入段階という感じで、思わせぶりながらあまり事態は進展せず。というわけでちょっと不完全燃焼な感じはあるかな。

【同人誌】「けだもののように II-9」 渋蔵 <ぐんたまカンパニー>

 あらすじとか詳しくは本田健ページのほうを参照。今回はおっさんとヨリ子の出会いのエピソードが描かれる。次号で東京編は最終回らしい。現在IKKIで連載されている「まひるの海」の原型的なエッセンスを多く含む作品なので、そちらが気に入った人は即売会に行ったときにまとめ買いするのが吉かと。ちなみに池袋、秋葉原のとらのあな、中野ブロードウェイのタコシェでも委託販売されているとのこと。

【同人誌】「プリン」 佐藤礼夫 <アンテナ犬>

 友達の家に集まってうだうだたむろっている男子学生たち。それぞれ進路にならんだり、他愛ない話をしたり。そういうまったりとしたともだち空間の雰囲気は懐かしくて落ち着く。個人的にはもう少しむさ苦しく、無益っぽいほうが好みかな。

【同人誌】「みるく★きゃらめる10号 特集・わんこ」 <みるく★きゃらめる>

 おなじみ、吉本松明さんたちによるみるく的評論エンターテインメント&まんが本。9月2日コミティアのカタログではインタビューされてたりもするし、注目度上がってきてますな。よきかな。というわけで今回は犬的人間たちの特集。石川ひでゆき「改造人間の夜」は、ネタがネタだけに、下品度が増してていい感じ。おっぱいが、おっぱいが。吉本松明による評論部分もさすがの力入りっぷり。こういうのをコミティアのたびに書いてたら、そりゃ時間もなくなりますわな。


2001/05/13読了分

【同人誌】「PADRE」 オノ・ナツメ <KENNEDY U.S.M.>

【同人誌】「YOUR SMILE LIKE THE CARTOON SHORT STORIES」 オノ・ナツメ <KENNEDY U.S.M.>

 いつもすごく楽しみ。「PADRE」は新刊で、父と子の物語を集めたショートストーリーを何本か集めた本。独立したストーリーとして楽しめるけど、これまでの作品、「nove」や「MATE」やNYPDシリーズなどに出てきたキャラのサイド・ストーリー的なものにもなっているのでKENNEDY U.S.M.の作品をずっと読んできた人はより楽しめる。どの作品もキャラクターへの愛情が感じられるしお話としても優しくきれいにまとまってて、しみじみ面白い。「YOUR SMILE〜」のほうは1998/11/4発行の本で、当時のコミティアでは買い逃していたものだったらしい。このころはちょうど「MATE」が佳境だったあたりかな。これもまた自作のキャラのサイド・ストーリーなどを展開。やはりこの人の頭の中では、登場人物たちがちゃんと生きて動いているんだと思う。それぞれの背景や思考をもって。そういう世界を頭の中で構築したうえで、それぞれのキャラクターの生活の中から「いいシーン」を切り出してきているという感じ。

 ああ、でもしばらくお休みなのかー。次作が待ち遠しいよう。

【同人誌】「失調古地」 三島芳治

 前回のコミティア時に買った「創作雑誌つゆくさ」に描いていた人。そちらのほうでもひときわ目を惹く作家さんだったが、今回は個人誌。これがまたいいなあ。学校に転入してきた話すことのできないロボットとそれを見つめる少女の話。といっても友情物語とかにはならず、あくまで観察。ロボットさんはほとんど動かないし。1ページ1エピソードで、実に淡々とクライマックスなくお話が進展していくのだが、その独自のリズムがいい。例えばこんな具合だ。「毎朝同じ道で三人の外国人とすれ違う。」「いつも外国語で何か話している。」「私の家の方向に歩いてゆく様だが、」「どこに向かっていくのかはよくわからない」「帰りにも又同じ所ですれちがう。」「どこかこの辺に家があるのだろう。」。これで1エピソード終了。山もなければオチもない。でもなんだか見ていて楽しい気分になる。この人はなかなか面白いセンスしてるなあ。素っ気ない絵柄もなんだかいい。

【同人誌】「ラヂオキッチン2」 <ラヂオキッチン>

 コンセプトは「仮面舞踏会」なんだそうで、コミティアでよく見かける作家さんたちがこのときだけは違う名前で登場。「知らぬ顔するのがこの舞踏会のオキテ」らしいんであんまり細かいことは描けないのだが、好きな作家さんがいっぱい。ただそれぞれのページ数は少ないのでちとものたりないかな。

【同人誌】「Fish Pieをめしあがれ」 Saku <Lapp>

【同人誌】「marguerite」 Saku <Lapp>

 シンプルながらまとまりのいい線が気持ちいい。優しいお話の描き手という感じで、一つのオルゴールと少女の物語である「Fish Pieをめしあがれ」はちょっとジンとするいいお話。

【同人誌】「自転車盗まれ侍」 らいだゆず <HATA HATA>

 コミックフラッパーでも活躍中。それもあってか今回はだいぶ薄いけど、気楽で明るいこの人の持ち味は感じとれる。作風は確立してるんで、あとは描画技術の向上とともに順調に伸びていけるんじゃないかなーという気がする。

【同人誌】「有触れた二人・3」 おざわゆき

【同人誌】「ONE THE HILL」 おざわゆき

 おざわゆきの描く物語は読んでいてすごく切ない。一見コミカルな線なのに、寂寥感がひしひしと伝わってくるし、描かれている内容もなかなかやりきれない一口で片付けられないものが多い。歳の離れた男女の恋愛物語である「有触れた二人・3」あたりは、女性側の大人の分別・遠慮も分かるし、恋する心も分かる。難しい問題に安易な回答を与えようとせず、きっちり煮詰めていく姿勢はすごいなあと思う。

【同人誌】「Over The Rainbow」 袴田めら <逆ギレ刑事>

 全ページカラー本。きれいだなあ。お話のほうも、短いながらもちゃんと女の子同士の友情物語が描かれてて後味が良い。

【同人誌】「BITTER CAKES」 きづきあきら <GRAIL>

【同人誌】「RECOLLECTIONS」 きづきあきら <GRAIL>

「BITTER CAKES」のほうは、目の見えない女性とその彼氏、そして彼女を気遣うその親友の物語。五体満足(という言い方もなんかデリカシーがなくてこういう場合に使うのは好かないが)な人間がなんの気なしの行動がもたらす痛みを、直接描くでなくしっかり押さえながらお話を進めているのがうまい。細やかな視点が素晴らしい。「RECOLLECTIONS」はこれまでの作品の再編集本。改めて読み返してみてもやっぱりこの人うまいなーと感心する。ところどころ記憶が薄れちゃってる作品もあって、けっこう新鮮に読めてしまった。

【同人誌】「Abaddon」 瀧元駱駝 <GRAIL>

 この人の線はシャープでカッコイイ。今回はストーカー男と少女が中心の短編。短いけれども十分世界ができている。思わせぶりなセリフとか、雰囲気がとてもいい。そろそろまた長いの読みたいなー。

【同人誌】「SF少女エス子ちゃん3」 はしもとさちこ

 SF大好き少女エス子ちゃんの日常。相方のエフ子ちゃんともども健在。最近即売会はコミティアにしか行ってないんで買うのは久々だけど、線が柔らかくて相変わらずほのぼのと楽しい。ラフな描き方してるんだが、この作品の場合それは味になってる。この人は昔のばりばりエスエフテイストな作品のほうもかなり面白く、個人的には「見たら買い」作家。

【同人誌】「ノット ア サウンド ワズ ヒアド」 上倉旧 <ロボ音>

 軽やかでセンス良し。今回は妄想がちなにーちゃんが、シチューを作りつつ怖い考えになってしまって困るというお話。気楽に読めて後味もいい味わい。好調ですな、この人。

【同人誌】「楠ノ瀬古書店」 本井広海 <メタルジグザグ>

 デジタル化が完全に進んで、その国唯一となってしまった本屋さん。そこに入り浸る女の子のお話。まずは細かくて美しいペンタッチがすごくいい。あと構図取りがいいなあ。ちゃんと引いたカットとか使いこなせているし、背景できちんと見せられるというのは高い実力の証。大ゴマで気持ち良く見せることもできてるし、なんかすごくいい本。

【同人誌】「ジ・ガレガレ」 堀池さだひろ <TADONMARIMOLTD>

 単行本未収録作なのだそうだ。基本的にビームでの連載時と同じ雰囲気。美人な榧森さんがいて、彼女に恋する西山田くんがいて、自然の中にジ・ガレガレたちがいて……。個人的にはあと一皮むけてくれればすごく良くなりそうなんだけど、という作家さんではある。


2001/05/05読了

【同人誌】「The Dawn Of The Jinnda Bonio.」 西村竜 <universal kidology>

 本の作りがまず面白い。B4の紙を縦に VVV ←こんな形状に折った細長ーい判型なのだ。枠線は映画のフィルム状。収納方法は悩むけどこういうお遊びは同人誌ならではで、持っててうれしい。内容はかわいい小人さんたちのお話。色使いもきれい。

【同人誌】「どっか行こうや!! その1」 藤井ひまわり <ひまわりデザイン事務所>

 この人の絵は楽しいなあ。くにゃくにゃした手足の描き方とか、適当にテキトーでちょっぴりSFで、実に和む。陽気で陰がなく、ホントに気楽に楽しめる。いいなあ。

【同人誌】「Night-Marchenの幻想雑誌 2001.5.4版」 村山慶

【同人誌】「流架の記3」 村山慶

 毎度同じことを書いているけど、この人の絵柄とセリフのリズムはとても好き。性的なことを匂わせつつも、ちょっと引いた感じのスタンスもいいし。で、今度からは長編にも挑戦するようで、そちらもすごく楽しみ。

【同人誌】「ハッピーアイスクリーム1」 果竜 <竜の子太郎>

 毎度、少女ゴコロを感じさせるキラキラした絵柄がキュートで美しい。今回は「1」となってるんで新シリーズであるようだ。魔女見習いの少女と、彼女を見守る花の精の物語。そんなわけで続きにも期待。

【同人誌】「永遠に泳ぐ」 長縄 <数学とミシン>

 今回、お話的にはあんまりまとまってないようでもあるんだけれど、やはりこの人はうまい。一つ一つの線がとても美しいし画面も整理されていてかっこいい。セリフのセンスも良好。たいへん技量の高い人なんでバリバリ描いていってほしいけれども、そういうタイプの人でもないようなんでちと惜しい。

【同人誌】「SLIDE.」 ミナミケンイチ

 PARKINGが出なかった代わりといってはなんですが……のコピー本。ちゃんとした製本はされてないけど、けっこう面白かった。「脇役」の物語という着想が面白いし、短いながらもじんわりいい雰囲気。

【同人誌】「うたげのさかづき」×2 暁悠宇 <B突堤>

【同人誌】「宴のさかづき Ver.4.0」 ガース <ガ茶屋>

 ペンネームは変わってるけど3冊とも同一作家の本。「うたげのさかづき」は2バージョンあって、両方ともプロ野球パロ+美少女という感じ。故障した選手を美少女がなめて治したりヘッドコーチになったり。「宴のさかづき」は同様の少女たちが登場するオリジナルなストーリー。ユルめの線による美少女がけっこうかわいくていい。Hなことはしないんだけど、ぱんつが……。下着程度のH描写が、何か80年代的な懐かしさも感じさせてくれるのです。

【同人誌】「ALWAYS 2つめ」 <吉岡企画>

 はっとりみつるが参加。1000円はちと高いような……と思ってたら、表紙と同じ絵柄のテレカサイズのカードをラミネート加工したものが付いてました。

 内容的にもやはりはっとりみつるがやはり目立つ。お話としては少年たちがかくれんぼしている最中、その一人である「たかひろ」が不思議な生命体だかなんだかに出会って、地球の守り神的な存在にさせられてしまう……というもの。雰囲気的には気持ちいいんだけど、少年の仲間である女の子がかくれんぼの途中、自慰してるっぽいシーンがなんだか脈絡もなく出てきたり、いまいちまとまりがなくてなんだよく分からん。

【同人誌】「ぼくら」 <Junk Mobile>

 執筆者はJIMMY、加賀美ふみを、たにまき淳史、神薫、KUROKO。発行は2000年8月27日。全体に真面目に創作しようとしている意気込みが伺えて好感が持てる。中でも、幼少時の両親の不仲がトラウマとなって、異性との接触に抵抗を持つようになった少女の目覚めを描いた加賀美ふみをの作品が、甘ずっぱくていい。商業誌で活躍してるだけあって絵もこなれててかわいいし。

【同人誌】「ラフナスの葉トカゲの歌 第1話『嵐』前編」 白井弓子 <メタ・パラダイム>

 前回のコミティアで出ていた「ラフナスの結婚の歌」(感想はこちらのほうに。主人公たちは異星の環境に適応して浮遊能力を身につけた人類で、世界設定はけっこうSF的。絵柄も非常にしっかりしてるし大したもの。もう200ページくらいネームが切ってあるそうで、これからにも期待できそう。

【同人誌】「『女神さまっ』的マンガの研究・仮説」 新田五郎&滑川ニュッピー <WAIWAIスタジオ>

 「ふぬけ共和国・マンガ」で展開されている「SFおしかけ女房モノ」+αといった内容。「仮説」とあるだけに図版もないし、新田さん自ら書いているように「まだ途上」段階。でもやっぱり新田さんの文章は面白いなあ。「念で殺す」が個人的にバカ受け。いわれてみれば「SFおしかけ女房モノ」についての考察はまだ十分になされてないし、これからの成果にも期待したい。これまでのも十二分に面白いんだけど。


▼その他

【同人誌】「鉄のぎざぎざ2」 九紫奇寧+無氏名 <メタルジグザグ>

 しまった。1を持ってない……。1を手に入れたら読みます。

【同人誌】「シアワセ行進曲」 山川直人

 以前は3分冊だったものが1冊にまとまって再版。

【ポストカード】安井誠太郎


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