4/30(火)……白痴生む白昼夢
▼OHP月極アンケートの入れ替え。4月のテーマ「ほのぼのまんが」終了。「ヨコハマ買い出し紀行」が1位というのは、作品の出来からして納得できる結果といえましょう。で、5月は「音楽漫画」で行きます。バンドものや演奏者ものなど普通の音楽漫画から、「〜物語」みたいなアチドル漫画(アーティスト&アイドル漫画の略。蒼馬社「RELEASE」で提唱された用語)も歓迎。というわけでよろしくお願いしまーす。
▼アワーズライトがあと2号で休刊の報は、いくつかの方面からお話を聞いたので確かみたいです。少年画報社は利益の出る雑誌に絞って着実に出していく会社というイメージがあるので、まあそんなに意外ではなかったのだけれど、貴重な読切とかを載せていってくれる雑誌だったのでやっぱり惜しいなあ。
▼とかいってたら自分が連載させていただいていたTINAMIXも、しばらく定期更新がお休みになるとのお知らせが到着。というわけで連載のほうも休眠。まあ個人的には、あの連載って雑誌や単行本からのスキャニングも自分でやってたしむやみに長文だし、原稿料からすると全然合わないくらいの労力がかかっていたので(といってもこれは自分からああいうやり方でやると言い出してしまったので仕方ないことなのだが)、しばらく休めるのは正直ありがたい。あの連載の締切のあたりは、ちょうどほかの仕事の〆も重なる時期なので。
【雑誌】ビッグコミックスピリッツ増刊 新僧 6/1 Vol.6 小学館 A5平
現在の形での新僧はこれが最後となり、夏ごろかリニューアル、新たな形での新人増刊が創刊されるらしい。ヘンな新人の作品がいっぱい載っかる本ということでかなり贔屓にしていた雑誌だけに、この路線をこれからも残していってくれるというのはありがたい。そして何より、ツギノツギオ「スッパニタータ」がリニューアルされた本でも続くらしいのがうれしい。
というわけでツギノツギオ「スッパニタータ」。性欲の疼きに悩む仏堂修業中の主人公の放浪は続き、今度は山奥で女二人を従え、奇妙な修行をやっている男と出会う。今回はこれまでの展開と比べるとまだ大人しいほうのような気もするが、それでもやはりどうしようもなく濃い。もう連載9回めかー。そのうち単行本になる日を切に願うものの、アクが強すぎて無理かなという気はしないでもない。どっちみち雑誌は丸ごと保存しておくけれども。そのほかの作家では韓国発の新人、ビョン・ビョンジュン「UTILITY」の乾いた絵柄が目を惹いた。ストーリーも都会の小学生の生活を、クールに描いていてなかなか。主人公の少年がピアノとテコンドーの塾に通わされていて、今度はインターネットの塾にも行けといわれるあたりは韓国っぽい。ほかの作品も、絵的な洗練度は低いものの、ちゃんと読むと楽しめる作品が多くけっこう手堅い。
(執筆陣)赤松整、赤峰亮介、ビョン・ビョンジュン、信濃川日出雄、大塚志郎、井上航太、武田ゴーユー、池田圭司、山本幸子、若杉公徳、東野のりこ、白発中也、加藤蟹郎、爪谷丹、小林紀子、中村裕、ツギノツギオ
【雑誌】増刊ヤングジャンプ 漫革 6/5 Vol.27 集英社 B5中
武富智の読切はやっぱりキレがいいなあ。というわけで「ひととき全て」。前から好きだったけど、向こうは自分のことを知らないという男が引越してしまうことに。そのことを知った女の子はやむにやまれぬ気持ちになるが……。なかなか思いきって言い出すことのできない秘めた恋心を印象的に描き出すいいお話。主人公の女の子もたいへんかわいいなあ。読切、佐々木拓丸「ベストピクチャー」も気になる作品。バイクに人生を賭けているような主人公が、理由あって別居中の娘と一緒に、サイドカー付きのバイクで北海道を旅し今は亡き妻の想い出を蘇らせるというお話。黒の部分がしっかり利いた絵柄には好感が持てるし、画面作りも爽やかな味がある。作:甘露+画:別天荒人「CAT PEOPLE」。神様によって野良猫に変えられてしまった女の子が、猫の視点から見慣れていた世界を見ることで、自分がいかに恵まれて生きてきたかを知る。別天荒人のシャープな線が作品の中で生きてて、お話的にもまとまりがあって面白く読める佳作。
【雑誌】ヤングキングアワーズ 少年画報社 B5中
平野耕太「ヘルシング」。リップヴァーン中尉散る。そばかすめがねっ娘最高。表情がすごく色っぽい。きっと今回はみんなリップヴァーン中尉に萌えたね。
【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 5/13+20 No.22+23 小学館 B5中
山本康人「僕」。いきなり時間が飛んだかと思ってちょっとびっくりした。村上かつら「サユリ1号」。大橋ユキさんの性悪女ぶりがますます際立つ今回。いよいよもって不穏だ〜。スリリングでとても面白い。
【雑誌】コミックバンチ 5/14+21 NO.22+23 新潮社 B5中
5月17日発売の次号から、発売日が金曜日になるとのこと。これまで金曜日は週刊誌を買ってない曜日だったので、発売日が分散してくれて個人的にはけっこうありがたいかも。
岸大武郎の新連載「レムリア−海の黙示録−」が掲載。かつて軍で「海賊」と呼ばれた男が、「レムリア」と呼ばれる最新鋭潜水艦を操り、世界を支配しようとする科学者集団「OZ」の野望に立ち向かうという海洋バトルストーリー。しっかりした作品を作れる人だけに今後の展開に期待。設定が大掛かりなのも良い。
【雑誌】漫画サンデー 5/14 No.19 実業之日本社 B5中
小田扉「マル被警察24時」。藤蜂子の昔のエピソードは、なんだかわけが分からないが妙にシリアス。トボけまくっているお話の中で、一つのアクセントになっている。ジョージ秋山「生きなさいキキ」。あらら、またもや急展開。この作品ではもう何があっても驚かない、といつも思うのだが、それでもやっぱ驚かされてしまう。さすがジョージ先生。
【雑誌】週刊少年ジャンプ 5/13+20 No.22+23 集英社 B5平
河下水希「いちご100%」。東城さんはええのー。どー見てもこっちを選ぶべきじゃろ。武井宏之「シャーマンキング」はようやく本編に戻ってきた感じ。尾玉なみえ「少年エスパーねじめ」はいつもながらにクセがあって面白い。そういえば、るきじたちの担任の先生(飯岡あん)って「純情パイン」と同じなのね。ということは同じ学校なのかー。小林ゆき「あっけら貫刃帖」は今回で最終回。絵の完成度は高かったけど、ジャンプの中ではいまいちアピール度が弱かったかも。なんだかんだいってアクの強い作品が多い雑誌なだけに。
【単行本】「金色のガッシュ!!」5巻 雷句誠 小学館 新書判 [bk1]
安定して面白い。ギャグフェーズとシリアスフェーズが交互して展開し、そのどっちもいい出来。まあ、とっちらばってるといえばとっちらばってるともいえるんだけど、きちんと少年漫画らしい努力・友情・勝利も、自然に物語の中で生かせているし気持ちのいい作品であることは確か。てなわけで今後も楽しみ。
【単行本】「低俗霊DAYDREAM」3巻 作:奥瀬サキ+画:目黒三吉 角川書店 B6 [bk1:1〜2巻/3巻]
だんだんいい味が出てきてると思う。後味の悪い事件の合間合間に、SM女王にして口寄せ師の主人公・みさきち、いや深小姫(みさき)の恥ずかしい昔話みたいな笑えるエピソードが差し挟まれて、うまい具合にバランスがとれている。目黒三吉の作画はさすがに達者だし、それぞれのキャラが立ってきてずいぶんいい具合。
4/29(月)……低姿勢な警視正
▼「雑誌の住人」の4/29の項を見て、管理人のMiLKMANさんにコミティアのたびに目撃されていたということが判明。いやー、悪いことはできませんなー。わりと覚えやすい顔らしいのでとくに。とりあえず知らないうちに見られているというのもなんか悔しいので、今度はすれ違う人の顔をこちらからじっくりと見つめてみるというのはどうだろうか。意味ありげに。そこから芽生える恋もある……わけないYO! だからもちろんそんなことしません。僕は薄暗い部屋の片隅で一人、胸のむかつくようなものをくちゃくちゃと食べながら、その日その日を生きていくのです。
【単行本】「それいけ!ぼくらの団長ちゃん」1巻 小野寺浩二 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]
応援団長をやってる兄貴が入院したことで、その妹さんが代役団長をやることに。ちんまりとした和み系の容姿の女の子が、身体をいっぱいに使って応援に血道をあげる一生懸命な様子は、何はともあれ応援してくなろうってもの。ぶかぶかのガクラン、そしてサラシ。ルックス的には萌え系ではあろうかと思うけど、萌えだけで語るにはカラッと明るすぎる。非常に健康的なドタバタ漫画であります。
【単行本】「カネヒラデスカ?」 金平守人 エンターブレイン B6 [bk1][Amzn]
コミックビームのラスト8ページのお楽しみ。毎回毎回、画風を変え、ネタを変え、すごくいろいろやってる。一歩間違うと器用貧乏になっちゃうタイプだし、もしかしたらすでになっているのかもしれないけれど、ハマったときのキレ味はけっこうなもの。絵もうまいし。ギャグにどこか照れくさそうなところがあるので、そこらへんで一皮むけてくれるといいんだけど。
【単行本】「一騎当千」4巻 塩崎雄二 ワニブックス A5 [bk1][Amzn]
ストーリー面はなんなんだかという感じではあるのだけど、見てて無性に楽しい。毎度のことながら無駄に色気がありまくりなところがすごいと思う。格闘しつつ、パンツは見せるし乳出しも厭わない。そういう女の子たちの名前が孫策だったり呂蒙だったりするという不可思議なマッチング。やはり塩崎雄二作品は女の子目当てに読むべし。
【単行本】「警視正大門寺さくら子」2巻 作:大西祥平+画:高橋のぼる 小学館 B6 [bk1]
最初のころと比べるとだいぶまったりしてきた感はあるけれど、やはりときどきヘンなところを見せてくれて面白い作品ではある。さくら子がバイクを盗まれる話とか、1コマだけなんだけどさりげなくタケちゃんマンの衣装で牛丼食ってたりとか、場違いなんだけど不思議に風景に溶け込んでいる感じがシュール。この前、近代麻雀に掲載された「ジャンロック」とかを見ると、大西祥平原作でもまだ高橋のぼるには大人しいのかもしれないかも……と思ってしまうところがスゴい。
【単行本】「ホーリーランド」3巻 森恒二 白泉社 B6 [bk1]
いつもビクビクしてるのになんだかんだで戦ってしまう、そして強くなっていってしまうという主人公・ユウの姿が新鮮。弱っちそうで引きこもりだったのに強いというのは、キャラクターに親近感を持たせそこから成長させていくということで、実はこの手の漫画の王道を踏んでたりもして素直に面白い。とはいえ、やっぱあれだけ普段から技を磨いていれば、ガタイ的にはも少し筋肉ついたり強そうになりそうなもんだけど、とは思う。ひょろっこいのに強いというがウリであるとはいえ。
【単行本】「ひまあり」2巻 上野顕太郎 講談社 A5 [bk1]
今回も、いかにもヒマな人がこね回しそうな考えを追求しているのが下らなくて良い。とくに言葉遊び系のネタは好きで、ラジオを聞いてつい聞き違えた言葉が頭を離れなくなってしまうみたいなお話とかとくに笑った。でも最近の上野顕太郎はちと破壊力が落ち気味かも。もしかしたらヒマでないのかもしらん。
【単行本】「イハーブの生活」3巻 小路啓之 講談社 B6 [bk1]
これにて最終回。ごちゃごちゃしててお話が非常につかみづらかった作品なのだが、最後のイハーブ、キリコ、それからそれぞれの親との関係を軸としたスペクタクルな展開はなかなか読ませるものがあった。とはいえこの人の読切の切れ味からいうとまだまだもの足りないのは確か。たぶん意識的にやってるんだとは思うけど、いろいろな種類のトーンを使いすぎで画面がうるさくなってるのもマイナス。それぞれのギミックは気が利いているとは思うものの、詰め込みすぎちゃったかなあという感じ。
【単行本】「いいコにしてる?」 みなすきぽぷり ジェーシー出版 A5 [eS]
ロリ系期待のホープの一人。線が細やかで非常にしっかりした画力の持ち主。少女さんとのラブラブムードなお話もいいし、ちょい鬼畜入ったお話もこれまた。小さい女の子と同時に男ちんこもや汁も生々しく描いていて、けっこうヌケるタイプ。女の子たちの、打ちひしがれた顔、イタズラっぽい笑み、恥じらいなどなど、表情がいちいち可憐なのも良い。
【単行本】「むずむず」 中田ゆみ シュベール出版 A5 [Amzn]
中田ゆみの描く女の子は、全体にすごく柔らかそう。身体のラインもそうだし全体から醸し出す雰囲気ももの柔らか。アツアツのラブシーンにエロをからめていくのも巧みで、読んでいると非常に華やいだ気分にさせられる。顔を赤らめて、視線を斜めに逃がす表情が、恋しちゃいそうに愛らしい。
【単行本】「バストEROS」 天誅丸 一水社 A5 [Amzn]
巨乳好きな人が巨乳を見てヌクための作品集であると思う。正直なところストーリー的な深みはないのだが、この人の描く乳の量感は個人的にかなりヒットする。ちゃんと巨乳の柔らかさ、重たさというものを感じる。とくに乳が下を向いたときがいい。これでもっとエロっちいシチュエーション作りがうまくなって、キャラクターの表情のバリエーションが増えてくればなあ。せっかくの乳を生かすためにもそこらへんをぜひ。
4/28(日)……気分は妄想戦
▼しばた的雑誌切り抜きライフに新たな1ページ。とじの奥行き310mmを誇り、中とじ製本までできてしまう大型ホッチキス、マックスHD-3LDIIIを購入。デカいわりに意外と安く、オフィスデポの通販で5199円。ついでにこのホッチキスに適合するNo.3-3Mサイズのホッチキス針3000本入りも3箱(1箱229円)注文。
最近、中とじ雑誌についてはホッチキスの針をペンチで外して解体し、対向ページとともに保存している。はさみもホッチキスも必要ないので手間はかからないのだが、これだとその作品の2倍のページ数を保存することになるため、かさばるという問題も存在した。以前は手で必要なページをぶっちぎってホッチキスでとめるという荒っぽい方式を採用していて、この場合だと対向ページは保存されないので量的にはかさばらない。でも紙をちぎるときに仕損じることもままあったし、ホッチキスのとじ位置がのど(折り目)の部分よりも内側になるため、見開きの再現性が悪くなるという問題も存在する。
で、大型ホッチキスについてはこの問題点を解決するために導入。まずはペンチでホッチキスを外して雑誌を解体し、対向ページごと取り外した切り抜きの、のどの部分をホッチキスでとめる(写真参照)。そうして固定した後、のどの部分よりちょっと対向ページ寄り側の部分で紙を裁断。つまりB5よりちょっとだけ幅のあるサイズとなる。ちなみに例のジャッキンいう裁断機はすでに購入済み。これで雑誌時同様の開きを残したまま、量的にもかさばらない切り抜きが可能になったわけだ。しかし「なんでここまで手間かけてんだ俺」という感じは、そこはかとなくする。
【単行本】「マフィアとルアー」 TAGRO スタジオDNA A5 [bk1][Amzn]
すごい。素晴らしい。正直こういった作品群の前には言葉がおっつかなくて困る。言葉で表現できないからこそ漫画で読むんだけど、それにしても打ちのめされるなあ、こういう本には。
正直いってどの1本を取り上げても書きにくいくらい素晴らしいのだ。炊飯器を抱えて一人暮らしの男の家に上がり込んでくる女の子……という不思議ちゃん的な娘をまず登場させ、じょじょに彼女がそういうことをするのかということを解き明かしていく「トリコの娘」のミステリアスな展開にはうならされるし、一つひとつのセリフの鋭さ、こまごまとしたアイテムの醸し出すムードも絶妙。さらにデザイン会社を辞めようとする男の、心の甘えを描き出してしまう「R.P.E」のズドンとした痛みを伴う作劇にもノックアウトされる。単行本「MAXI」にも収録された、自殺願望のある女を愛してしまい、彼女と暮らしながら心に傷を負い続ける男の物語「LIVEWELL」の透き通った表現には何度読んでも泣かされそうになってしまう。そして彼女にフラれた男が傷心のまま旅に出て、釣りをしながら今までのことを振り返っていく「マフィアとルアー」の物悲しくかつ前向きでもあり、開放感のある読後感を味わうと、もう言葉を失ってしまう。
「6年1組」「イキガミ様」「トラベリングムード」といった、ノスタルジックな雰囲気のあるお話が差し挟まれて緊張感を和らげてくれる構成も絶妙。カチッとしたタッチのポップな絵柄なんだけど、その中には何かこう胸をキューッと締めつけられるような寂寥感が潜んでいる。こういう本は滅多にない。漫画好きなら絶対に買っておくべし。そう思う。
(収録作品)「トリコの娘」「6年1組」「イキガミ様」「R.P.E」「トラベリングムード」「Anothe Time Life Time」「DRUG STORE」「LIVEWELL」「マフィアとルアー」
【単行本】「宇宙賃貸サルガッ荘」1巻 TAGRO エニックス A5 [bk1][Amzn]
こちらは打って変わってポップなデザインが目を惹くキュートな作品。宇宙のどこかにある魔の空間、サルガッソーに迷い込んでしまった男・テルが、脱出極めて困難なサルガッソーの発生原因でもあるらしい魔女・メウさんに拾われる。メウさんはサルガッソーに迷い込んでしまった人に、せめて気持ち良く暮らしてもらおうとこじんまりとしたアパート「サルガッ荘」を営んでいる。そこでの日常をコミカルに描いていくという物語。この巻ではお話はまだ序ノ口といったところで、テルは状況にとまどいっぱなし。でもだんだんサルガッ荘になじんできつつもある。完全になじんでまったりとした生活が営まれるようになってきてからのほうが、より持ち味が出てきそうな作品という感じがする。それにしてもメウさんは可愛いな。あとその他の住人の女性陣もそれぞれ魅力的でええ感じ。
【単行本】「サユリ1号」1巻 村上かつら 小学館 B6 [bk1][Amzn]
主人公は大学3年生、イベント系でっちあげサークルの部長をやっている上田直哉。彼には昔っからずっと空想の中で、細かな設定も施して繰り返し使っていたズリネタの少女「サユリちゃん」がいたのだが、彼女にそっくりな女の子・大橋ユキさんがサークルの新歓コンパに、ある日突然登場する。容姿は理想。しかし実は恋愛や性体験についてははるかに上手、性格も相当悪い大橋さんに、甘ちゃんな直哉は翻弄されていく。そして直哉の幼なじみであるちこちゃんこと児玉知子がそれを心配して見つめているという構図。
と書くと一見普通の恋愛ドラマだし、まあそうといえばそうなんだけど、読んでいてこんなに居心地の悪い作品も珍しい。大橋ユキさんは完全に直哉のことをからかってるし、一見サバサバして自然体っぽく振る舞っているちこちゃんの虚飾もズバズバ見抜いてしまう。よくあるラブコメだったら、二人ともいい奴っぽいしそれなりに報われそうなのに、この作品は全然甘えを許さない。パサパサした絵柄もその傾向に拍車をかけていて、痛い所をざくざくと抉るかのよう。しかもその手つきがとても細やかだったりするからすごい。こんなに癒されない、苦みを伴う恋愛漫画は珍しい。今後どうなっていくのかすごい楽しみでもあり怖くもある。
【単行本】「高校アフロ田中」1巻 のりつけ雅春 小学館 B6 [bk1][Amzn]
ある日、同じクラスに転校してきたアフロな高校生田中。というのはわりとどうでも良くて、要するに田中とか、彼が転校してきた朝に出会った岡本、それからやる気のないボクシング部の面々と、総勢5人がつるんでうだうだと頭の悪い高校生活を送るという作品。ビッグコミックスピリッツ連載作品だけど、テイストはむしろヤンマガ系。ぐだーっとした空気、レベルの低い行いの数々。高校男子的なぬるま湯うだうだムードが下らなくて楽しいのだ。暑苦しい絵柄、読みやすい構成など、この人についてはけっこう買っている。のびしろがどの程度あるかはよく分からないけど。
【単行本】「気分はもう戦争2.1」 作:矢作俊彦+画:藤原カムイ 角川書店 B5 [bk1][Amzn]
なんだか藤原カムイがこの作品を描いてるというのは不思議な感じがする。「気分はもう戦争」といえば、いわずとしれた大友克洋の代表作の一つ。藤原カムイといえば、漫画史的には大友克洋ショックの後、「ニューウェーブ」と呼ばれて台頭してきた世代の人になるわけだよね、当時のことはよく知らないけど。その人が「気分はもう戦争」を描くとは、似つかわしいといえばこれほど似つかわしい人もいないのかもしれないけれども、なんだか時代が一回転したような感覚はある。お話としては2001年の世界が舞台で、アメリカなどとの戦争体制に突入していく日本の様子がじょじょに描かれていくという感じ。物語内の状況がまだ混沌としているし、主人公的な人物が誰かも見えてきてないので分かりにくいといえば分かりにくい。でもやっぱり注目していきたい作品であることは確か。
(参考リンク)大友克洋版「気分はもう戦争」[bk1][Amzn]
【単行本】「ジンクホワイト」2巻 小泉真理 少年画報社 A5 [bk1][Amzn]
美大志望の高校生男女二人の青春ストーリー。ラブのほうも重要なんだけど、絵を描くことについて何かつかんだりして一喜一憂する青春模様もこれまた良い。絵画で世に認められるとかそんな段階では全然なく、あくまで高校生レベルを離れるところがないのが生っぽくて良い。
【単行本】「ももいろさんご」3巻 花見沢Q太郎 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]
すばらしー。脱力して読めるうえにかなりH。三悟くん憧れの人、ゆりこさんが海外留学でいなくなってしまったと思ったら、下宿先の3姉妹(というかそのうちの二人)との肉欲の日々にズブズブと。なんかもう女の子はかわいいしトロけるよう。テケトーに描かれた背景とかも、肩が凝らない雰囲気につながってしまってて味があったりするから強い。ここんところの花見沢Q太郎は、リラックスした独自のスタイルを獲得していい具合に熟成が進んでいると思います。
【雑誌】メロディ 6月号 白泉社 B5平
勝田文「あのこにもらった音楽〜風色奏鳴曲〜」連載化でなかなか良い感じ。元天才ピアニストの蔵之介32歳に嫁いだ18歳の女の子・梅子。この二人を中心としたコメディといったところ。和風情緒のあるカラーの扉絵がいい。色白の娘さんの和服から覗くうなじが。あと2回めの掲載となった武壱志穂「リリカルランチ」。非常にマメで裁縫とかもしまくりの男子・能美くんに好かれまくりの女の子・春原さん。フレッシュな絵柄が目を惹く。
【雑誌】ビッグコミックギャグカーニバル 中島徹劇場 5/25 B5中
中島徹「玄人のひとりごと」「五月原課長のつぶやき」を中心に、森田フミゾー「どつぼね様がゆく」、のむらしんぼ「おげんきママ」、森真理「銀のしっぽ」、真右衛門「影武者いっこく道」、あの花田正樹「世界選抜へっぽこ物語」を併録。基本的にはほぼ再録だが、真右衛門目当てで購入。まあふだんから中島徹を単行本で追っかけてる人は買わなくてもオッケーかなといったところ。
【雑誌】コミックテンチュウ Vol.8 ホーム社 B5平
今号も高橋よしひろ「銀牙」を単行本1冊分再録が目玉。うーん。篠原とおる「82分署」とか、ならやたかし「帰ってきたケンペーくん」も載ってるし、相変わらず不思議な雑誌だなあ。しかも今回は4コマギャグフェスティバルという企画の中で、こいずみまり「セクシー120%」が掲載されていたりする。わからん。しかも次号では、ちばあきお「プレイボール」が213ページ再録されるほか、内山亜紀が読切「陰陽師バトルロワイヤル」で登場するんだそうな。びっくし。
4/27(土)……北欧の木々
▼未読物
【雑誌】メロディ 6月号 白泉社 B5平
【単行本】「サユリ1号」1巻 村上かつら 小学館 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「高校アフロ田中」1巻 のりつけ雅春 小学館 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「警視正大門寺さくら子」2巻 作:大西祥平+画:高橋のぼる 小学館 B6 [bk1]
【単行本】「ホーリーランド」3巻 森恒二 白泉社 B6 [bk1]
【単行本】「蛮勇引力」2巻 山口貴由 白泉社 B6 [bk1]
【単行本】「気分はもう戦争2.1」 作:矢作俊彦+画:藤原カムイ 角川書店 B5 [bk1][Amzn]
【単行本】「りりむキッス」全2巻 河下水希 集英社 新書判 [bk1]
【雑誌】フラワーズ 6月号 小学館 B5平
別冊少女コミック勢が合流しプチフラワーからリニューアル、月刊になって新創刊。特別付録で小冊子がついているのだが、これがたいへん豪華。主力連載の第一話を収録した130ページちょいの冊子となっており、1ページつき4ページ分が印刷されている。これは新規読者向けのフォローとしてはけっこういいと思った。マウスパッドだのベネトンのトートバックを付録につけるよりも、こっちのほうが漫画を楽しみたい人間にとってははるかに価値がある。なお収録作品は、名香智子「パンドラ★パニック」、神坂智子「花ばなの歌声」、諏訪緑「諸葛孔明 時の地平線」、さいとうちほ「アナスタシア倶楽部」、新井理恵「うまんが」、木原敏江「杖と翼」、吉田秋生「YASHA 夜叉」、渡辺多恵子「風光」、田村由美「7SEEDS」、赤石路代「AMAKUSA1637」。
で、本誌のほうだが、吉野朔実の新連載「記憶の技法」が初っぱなから緊張感があっていい感じ。なんだか意識して心をあらぬところに飛ばす癖の持ち主である少女・華蓮が、海外への修学旅行用のパスポート取得に伴い戸籍抄本をとったことから、自分が今いる親御さんたちの実子ではなく養子だったのではないかという疑いを抱く。失われた幼い頃の記憶をめぐるミステリアスなお話になりそう。全体的な印象としては、別コミ組の合流により、以前より若干ナウくなったというか。プチフラワー特有の雅やかさは、現代漫画雑誌としてはたいへん貴重なものだと思うので保存していってほしいところではある。
(漫画執筆陣)吉野朔実、渡辺多恵子、諏訪緑、吉田秋生、木原敏江、さいとうちほ、名香智子、田村由美、赤石路代、神坂智子、奈知未佐子、竹宮恵子、柘植かおる、新井理恵、大竹サラ
【雑誌】コーラス 6月号 集英社 B5平
小沢真理「ニコニコ日記」が連載再開。今度はニコが中学に入学することに。ニコの成長とともに、ケイとの関係性もまた変わってきてお話はかなり動きそうな気配。名取ちずるはコーラス初登場。読切シリーズ「料理店『ねこのひたい』」が掲載。のんなさんというおばあさんがやっている暖かみにあふれたパスタ屋さんが舞台。その空気に憧れていたねこのたまが、人間に姿を変えてご奉仕するにゃん……いやまあ手伝ったりするというお話。パスタのレシピがやけに詳細(見開きも使用したり)なのも特徴。
【雑誌】ビジネスジャンプ 5/15 No.11 集英社 B5中
作:平山譲+画:石川サブロウ「還暦ルーキー 逃げたらあかん」が新連載。神戸の震災をくぐり抜け、周囲の人のバックアップもあり、60歳にしてプロゴルファーのテストにチャレンジした男・古市忠夫の物語。ノンフィクションなんだそうな。
【雑誌】コミックミニモン 6月号 東京三世社 A5中
新創刊のロリ系エロ漫画雑誌。この雑誌も今流行りのA5中とじだが、だいぶこの判型の本も増えてきたので、そろそろ新規参入はどうかなという時期にさしかかってきた感じがする。個人的には今創刊するならB5中とじの厚めの本はリスキーなんで、無難なB5中とじ本で様子見かなーとか思う。
で、掲載作品的に注目は表紙も描いているほしのふうた。そしてほりほねさいぞう。まずほしのふうた「ミルキィツインズ」は、Hな双子の少女が教室でHなことを……というお話。相変わらずこの人の描く女の子は邪気がなくてすごくカワイイ。しかもH方面での柔らかい身体のラインが出ていてとても気持ちいい。今ロリ系ではこの人とEB110SS、それからパニックアタックの作品が個人的なキラーコンテンツ。ほりほねさいぞう「タダとフロル」は、ロリ系ではないかな。見る見るボーイズラブにハマッちゃった女の子が、ショートカットにして男装して、自分のことを好きな男子と疑似ボーイズラブをしてみる……というお話。変態方面でのドギツさはないけれど、この人の持ち味であるスタイリッシュでかわいい絵柄が生きててよくまとまってる。
たまちゆき「タスケアイ」は巻頭カラー。この人の描く女の子は、妙に男を惹きつける目つきが良い。今回は親を失って、イカれてしまった兄と二人暮らすかわいそうな妹さんのお話。となみむか「魔法少女まりん」。いつも変わらないといえば変わらないが、ファンシーな絵柄による丸顔な少女は可憐でかわいらしい。
(漫画執筆陣)たまちゆき、佐野ユウ、奏亜希子、MANA-KO、万利休、いちご留夏、となみむか、つもたきまこ、ほしのふうた、DASH、ほりほねさいぞう、みこと
【雑誌】ラッツ 6月号 司書房 A5中
天太郎「昼下がりの診療所」は、肉感的な作風がけっこう実用的で目を惹く。KASHIみちのく「オー!ブラジャー 〜愛のトライアングル」。相変わらずたいへん明るく、ぼよんぼよんと肉弾系な作品を展開。乳輪のデカさといい、全体に大ぶりな感じがよろしいかと。あんまり細かい設定とかこねくり回すタイプでもなさそうだが、そろそろステップアップをはかるためにも続きモノにもいっぺんチャレンジしてみてほしいところ。
【雑誌】阿ウン 6月号 ヒット出版社 B5平
絶好調「シャイニング娘。シリーズ」は表紙&巻頭カラー。今回の「Part Time4」では序盤はシャイ娘。勢ぞろい輪姦の競演というシーンから入り、後半はいよいよ最後のお楽しみ、矢内凌辱編に突入。ああいうキャラであるにも関わらず初々しくていいな、矢内。あと個人的にはゴットーのパイズリシーンがツボ。魔訶不思議「大槻人妻相談室」は、人妻専門のセックスカウンセラー、大月秋彦氏、人呼んで「人妻博士」の素敵な日常を描いた作品。人妻がもりもり出てきて個人的にはかなり満足。ヤングキングアワーズとかで描いている幸田朋弘は阿ウン初登場。「あっちのカナカ」というお話。この人はうまいんだけど、いまいちアクのない人なんで一般誌作品はちょっともの足りなく思っていたんだが、エロ系では絵のうまさでストレートに勝負できるのでけっこう合ってるかも。
村正みかど「放課後セブン」は最終回。この人の元気のいい作風はけっこう好き。ハッタリが利いてるのがいい。ラストもあっけらかんとしててよかった。牧部かたる「姦護しましょ★」は、セックスサービスありな病院での看護婦ファックもの。相変わらずベタにエロで実用性は高い。こういった作品が実用面で底ざさえしてるってのはエロ漫画雑誌としてはデカい。ジャム王子「BAD SLAMMERS」は5話め。催淫剤系のお話は好きだ。どうも自分は女の子が痛がるのよりも、とにかくヨガりまくるタイプの作品のほうが好きみたいです。開発済みの人妻であるとか、媚薬であるとか、ちんちんがデカいとか、本数が多いとか、ヨガりまくるための説明は何かしらないとイヤなんだけど。
【雑誌】快楽天 6月号 ワニマガジン B5中
櫻見弘樹の新連載「GODS」が巻頭カラーでスタート。妹の友達を次々と食っちゃう性癖のある兄貴が主人公。彼は人の心を感じとれる能力があるのだが、その源泉であると思われる女性がある日、現実のものとして目の前に出現。そして自分の本当の気持ちを指摘される……という感じ。まだ物語は序の口だけど、絵も話作りもシッカリしててこれからの展開に期待したくなろうというもの。SABA「練馬腐れ酒学園」は、SABEに代わっての登場。なんかどうも朔ユキ蔵だ。そのSABEは、「ブルマー2002 4.27」で登場。おなじみブルマー野郎、ジャッキー兄弟が、「トゥームレイダー」のララ・クロフトみたいなブルマー履いた女と冒険&エッチ。相変わらずめちゃくちゃで面白いなあ。
【雑誌】エンジェル倶楽部 6月号 エンジェル出版 B5平
奴隷ジャッキー「巴」。なんかYAWARAちゃん的天才柔道少女の公開凌辱ショーになりそう。こんなに乳デカくて柔道のジャマにならないのだろうか。それにしても「谷間ンマン」とか、相変わらず奴隷ジャッキーの言葉づかいは独特で面白い。
4/26(金)……憎き違法大工や
▼最近、職場でのメシはすっかり自炊が多くなり食費も1食300円程度と安く抑える日々が続いていたのだが、ゴールデンウィーク前だしたまにはゴリゴリ食おうと思って仕事帰りに焼肉食い放題の店へ。タンを中心に存分に肉欲を満たすが、満腹になってぼーっとしていたせいか、本とか読んでいたわけでもないし座ってもいなかったのにふと電車を乗り過ごしてしまう。ハングリー精神を失った人間なんてこんなものだ。
▼未読物
【単行本】「低俗霊DAYDREAM」3巻 作:奥瀬サキ+画:目黒三吉 角川書店 B6 [bk1:1〜2巻/3巻]
▼早売り
【雑誌】コミックミニモン 6月号 東京三世社 A5中
【雑誌】阿ウン 6月号 ヒット出版社 B5平
【雑誌】快楽天 6月号 ワニマガジン B5中
【雑誌】エンジェル倶楽部 6月号 エンジェル出版 B5平
【単行本】「バストEROS」 天誅丸 一水社 A5 [Amzn]
【単行本】「まひるの海」 比古地朔弥 小学館 A5 [Amzn]
コミックIKKIで連載された作品で、比古地朔弥ひさびさの単行本。お話は、高校2年生の歩が夏休みを利用して海辺のマリンショップで住み込みのバイトを始めるところから幕を開ける。彼はそのマリンショップでバイトを続けるうちに、その近所に住んでいる一人の娘、まひるに惹かれていく。彼女は非常に美しいが奔放でなんともとらえづらい性格の持ち主で、近隣の男たちに誰彼かまわず股を開く女であるとの風評もあった。しかしそんなことを耳にしつつも抑えきれない恋心、そして結局は自由に生きる彼女の心を捕まえきれなかった苦みなどを描いていく。
この性に奔放な少女という題材は、比古地朔弥が同人誌「けだもののように」で描いてきたヨリ子に酷似している。同人誌のほうはすでに物語時間もロングスパンな長寿作品になっているが、こちらは季節を夏のワンシーズンに絞ってその間の気持ちの揺れを描き上げていくことで、適度な長さできれいにまとまったお話を構成している。あとこの作品でいい味を出しているのは、欲求不満で歩にもあの手この手で迫ってくるデブ女の五十嵐さん。美人だけど貞操にはまったく執着がなくふらふらと男と身体を重ねていくまひる、ブスではあるけれどやりたくてやりたくてたまらなくてあけすけに男に迫るけれども拒絶される五十嵐さん。このコントラストがあるからこそ、まひるの妖しい美しさが光る。あ、でも五十嵐さんも強烈なキャラしててけっこう好きなんだけど。
ともあれしなやかなまひるの美しさ、夏の官能的な想い出と後悔などなどが、鮮やかに描かれていて非常に優れた作品である。オススメ。
【単行本】「K.A.A.R. [夏の巻]」 すえひろがり コアマガジン B5 [Amzn]
同級生の女子・小野寺さんと親しくなり、彼女に恥ずかしいカッコをさせられたりしながら、Hなことを探求していく小学生男子・鷹野くん。この二人の物語を中心としながら、裸になったりHなことをしたりするのに興味津々な小学生たちのドキドキにあふれた日々を描いていく。もともとは同人誌作品だが、「春の巻」(→Amzn)に続いて単行本化される運びとなった。で、まとめて読んでみたけどやっぱりすごくうまい。この人は「他人の視線」というアイテムを意識させるのがすごくうまくて、ものすごい激しい描写ではないにも関わらず、扇情的なエロシーンを描くことに長けている。しかも子供的な初々しさもきちんと残しながら、ドキドキ、熱に浮かされたような季節を描き出していく。すっきりスタイリッシュな絵柄もすごく好きだ。とてもHなことをしつつも、ちゃんと恋心も描いていくし。終盤の主人公少年が女の子4人に囲まれて、それぞれ20秒ずつちんちんを愛撫していくというロシアンルーレットゲームなんかたまらないもんがある。ハッキリいってうらやましい。
【単行本】「菜々子さん的な日常」2巻 瓦敬助 コアマガジン A5 [Amzn]
これにて完結。最後まで面白かった。どこにでもありそうな田舎の高校の平凡な男子高校生・瓦くんと、その同級生で天真爛漫な元気者・菜々子さんを中心に、学園生活のさまざまなシーンを描いていくという物語。無防備ではからずもHな姿を見せてしまう、でも本人は気にしているふうもない菜々子さんのキュートでイキイキした姿はこの作品の華。これは惚れます。でもそれだけでなく、今はもう過ぎ去ってしまった楽しい高校生活を楽しく、ちょっとノスタルジックに描いていく呼吸も素晴らしい。実際に過ごしている間は退屈にしか思えないけど、後から考えるとキラキラまばゆい学園生活ってものを、なんとも魅力的な作品に仕立て上げている。連載期間も入学から卒業までの3年間できちんとシンクロしているのも美しくて良い。いつまでも続けられなくもない作品だとは思うけど、ここであえて終わらせたことで非常に綺麗にまとまった。いやーいい作品でした。満足満足。
【雑誌】ヤングゴラク 5/31 No.1 日本文芸社 B5中
なんだか新創刊していた雑誌。表紙を見たときは、一瞬ヤングチャンピオンかと思った。立原あゆみも描いているし、ヤンチャンおよびヤングキング的な路線を狙ってるのかなーと推察される。そこそこまとまってはいるのだが、強烈な印象を残す作品はなかった。次号は6月下旬発売らしい。
で、俺的目当ては小田扉「お知らせ怖し」。なんか最近の小田扉の仕事量はすごい。毎週のように小田扉作品を読んでるような気がする……のは週刊連載をやっているから当然なのだが。でも露出度が増えたのは確か。今回は同じ日常を何年も繰り返しているちょっと神経病み気味な女性のお話。けっこう怖い話でもあるのだが、最後にホッと一息、リラックスさせてくれるのでありがたい。桑澤篤夫「応援団緑山高校」は、頭悪げで力押しなところがこの人らしい。
(漫画執筆陣)立原あゆみ、富田安紀良、こしばしげる、古沢優、市原剛+小川浩二、旭凜太郎、白銀章、桑澤篤夫、小田扉、ふじのはるか、松井雪子
【雑誌】ヤングマガジンGT4 5/15 講談社 B5中
あっ、「ぶかつどう」(参考:ふぬけ共和国)とかの伊藤清順だ! ここに出てくるとは意外。で今回の読切「フルスロットル魂 カゼキョー」は、超速な車と、遅くなるように遅くなるように改造された車がバトルするという奇矯なレース。しかもコースがファミレス一周とこれまた素晴らしい。そして繰り広げられるバトルに最終決着をつけるドライビングテクニックとは……。いやー、こりゃ馬鹿馬鹿しくて面白いわ。むやみにパワフルなのもいい。作風的にヤンマガ系列は合ってるような気はするので、これからもバシバシ登場してもらいたい。アッパーズとかすごくハマりそう。
山本マサユキ「R2救急隊」は、ゾクあがりの男が救急車を駆り、患者の命を救うべく町を行く。救急車でドリフトしたり、はちゃめちゃなことやってるのが楽しい。あと毎回、作品の華とでもいうべきヒロインがちゃんといるのがいいですな。
【雑誌】ビッグコミックスペリオール 5/17 No.10 小学館 B5中
画:乃木坂太郎+原案:永井明による本格医療ドラマ「医龍」がスタート。かつてアフリカの難民キャンプのNGO医療施設で極限ギリギリの現場での医療を目の当たりにした女医が、日本の腐った医療界の常識を覆すべく、NGOキャンプで神技的なメスさばきを見せていた日本人医師をスカウトする。乃木坂太郎のシャープで凜とした絵柄がなかなかかっこいいし、ドラマにも重みがありそう。けっこう面白く読んでいけそうな作品。
【雑誌】ヤングアニマル 5/10 No.9 白泉社 B5中
田中ユタカ「愛人[AI-REN]」は次回で最終回。今号も泣かされるお話だった。最後の最後でもやられてしまいそうだ。この作品に関しては、作者が今持てる力を出し切り、長すぎもせず短すぎもせず、適正な分量描ききったという感じがする。とにかく次号に期待が高まる。
【雑誌】少年エース 6月号 角川書店 B5平
ひな。「ちま×2ぱぺっと」。かわいい新キャラ登場。妹分的なロリキャラがむやみになついてきているさまは、ごく当たり前のごとくうらやましい。そういえばあのお人形な女の子にはまだ名前がついていなかったのだなあ。吉崎観音「ケロロ軍曹」。今回はタママが著しく増長する回。オチのネタ元はけっこう意外で笑った。ゴツボGリュウジの「ギレンの野望」宣伝漫画を読んでいたら、ヤングキシリア&ヤングギレンのお兄ちゃん好き好きモノとかもいいかもな、とか思った。あとキャスバル少年にキシリア嬢ちゃんが女装プレイをさせるとか羞恥プレイをさせるとか。なんか発想がすえひろがりチックになっている。僕は汚れてしまった。
4/25(木)……髑髏部
▼今日は試しにbk1とAmazon.co.jp両方リンク張ってみたけど、こりゃ想像どおりうっとうしいな。実は前から両方張ったほうが偏りがなくていいと思ってはいたのだが、見映えもゴチャゴチャするわ面倒くさいわで、どうしようか考えあぐねていたのだった。とりあえず今後は、注目本だけ両張りにしていくのが一番現実的かな。
▼未読物
【雑誌】コミックテンチュウ Vol.8 ホーム社 B5平
【単行本】「ももいろさんご」3巻 花見沢Q太郎 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「それいけ!ぼくらの団長ちゃん」1巻 小野寺浩二 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「ジンクホワイト」2巻 小泉真理 少年画報社 A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「振袖いちま」1巻 須藤真澄 エンターブレイン A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「カネヒラデスカ?」 金平守人 エンターブレイン B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「一騎当千」4巻 塩崎雄二 ワニブックス A5 [bk1:1〜3巻/4巻][Amzn]
【単行本】「雪夜の告白」 近藤ようこ 青林工藝舎 A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「ウオの目君パーフェクト」3巻 青林堂 B6 [bk1][Amzn]
▼早売り
【雑誌】コーラス 6月号 集英社 B5平
【雑誌】ラッツ 6月号 司書房 A5中
【単行本】「K.A.A.R. [夏の巻]」 すえひろがり コアマガジン B5 [Amzn]
【単行本】「菜々子さん的な日常」2巻 瓦敬助 コアマガジン A5 [Amzn]
【雑誌】アフタヌーン 6月号 講談社 B5平
五十嵐大介の久々の読切作品「Le Pain et le Chat 《パンと猫》」が掲載。カツアゲしたり万引きしたりしていた少女を、万引き先のパン屋の店員が捕まえるが、店員は彼女は彼女なりに生きるための戦いを一人ぼっちで続けていたのだということを知る。五十嵐大介の非常に細密な描線の積み重ねが、吸い込まれるような深みのある画面を作り出している。この人の描写はやはり美しく素晴らしい。なお、五十嵐大介は現在新連載を企画中なんだそうな。YEAH!
木尾士目の新連載「げんしけん」は、とある大学の「現代視覚文化研究会」、まあ要するにアニメだのなんだのが好きなオタクたちが寄り集まるサークルをモチーフにした、部活もの、というか部室ものといった趣の作品。ぐだぐだとした部室の空気感が、なんだかすごく羨ましい汚れてしまって友達の少ない29歳、それが俺。それはともかくとしてなんかダメな若者像がいろいろ描かれそうで楽しげな雰囲気。今回はわりと気楽なお話になるのかな?
四季賞春のコンテストで四季大賞を受賞したとよ田みのる「ラブロマ」。お昼休み、みんなが弁当を食っている教室で、突如根岸さんという女の子に告白を始めた男子・星野くん。やけにハッキリと悪びれることなく好意を口にする星野の態度に、根岸さんは最初はびっくりするんだけど、じょじょに好意を抱くようになる……という学園ラブドラマ。はっきりモノをいう、スパッとした潔い描写がなかなか心地よい。恋愛模様としても実に微笑ましい。かなり好感度の高い作品で、次回作にも期待したくなる。ぜひ再登場していただきたい。
【雑誌】アックス Vol.26 青林工藝舎 A5平 [bk1][Amzn]
今号はなんだかいつもより厚め。そして特集は早見純。インタビューと1993年のクリスティ7月号に掲載された「激痛100%」の再録が掲載。アックスマンガ新人賞で花くまゆうさく賞を受賞した、横山裕一「ネオ体育」は、キクチヒロノリ的なデザインンのキャラクターがぶんぶん動き回るダイナミックな画面作りが面白い。とはいえ8ページというのはもの足りない気もする。三本義春「順風」は最終回。編集やったりやめたり、ふらふらしっぱなしの若者の人生を描く。意志薄弱で何も実を結ばないところが、いかにもありそうで味わい深い。
【雑誌】モーニング 5/9+16 No.21+22 講談社 B5中
そういえば前号のときに日記に記述し忘れていたんだけど、書かないでおくとあとで検索するとき不便なので。「牛のおっぱい」の菅原雅雪が前号から、「暁星記」再開までのプレ連載「蕗の便り」をスタート。4コマ漫画形式のコマ割りで、人間界に迷い込んでしまったコロポックル的な精霊の冒険を描いていくという感じ。山下和美「不思議な少年」。今回はやけに不思議な少年がアクティブに動き回ってるなと思ったらラストで納得。なるほど。
【雑誌】ヤングサンデー 5/9+16 No.21+22 小学館 B5中
作:魚柄仁之介+画:大谷じろう「おかわり飯蔵」。今回はゴールデンウィークを利用して古米で酒を作ってみる話。まあ要するににごり酒なんだけど、これはちょっと自分でも作ってみたくなった。というよりその前段階のどぶろく飲みたい。
【雑誌】ヤングジャンプ 5/16 No.21+22 集英社 B5中
清野とおる「青春ヒヒヒ」の単行本化(→bk1予約)が決まって喜んでいる俺。あと今号は、こばやしひよこ「おくさまは女子高生」の特別編「いつか愛してくれますか?」が掲載。一挙33ページ。それにしてもこの漫画といい、「妹 あかね*」といい、生殺し漫画の多い雑誌であることよ。
【雑誌】週刊少年チャンピオン 5/9+16 No.22+23 秋田書店 B5平
新連載、内海甲介「熱血鉄拳忍者絵巻 キャラメルリンゴ」は、奔放な山暮らしを続けていた少年が、忍者を目指して旅立つというお話。なんだか全体にジャンプテイストが強めな感じだけど、さてどうなるか。作:森高夕次+画:松島幸太朗「ショー☆バン」。女房役であるはずのノブチンにまで「よくもまああそこまでカンジ悪くできるもんだぜ」といわれるショーバン。本当にすごい主人公だ。八神健「ななか6/17」。いよいよ次回最終回とのこと。ここまでは非常に面白い、いいお話だった。最後の締めくくりにも期待したい。
【雑誌】ビッグコミック 5/10 No.9 小学館 B5中
山本おさむ「聖」。今回の村山の、「死ぬまでに…女を抱いてみたい…」という独白は実に重みがあった。確かにこれは笑いごとでは済まされない問題だし。で、次回からいよいよ最終章突入とのこと。
【単行本】「てんでフリーズ!」1巻 ISUTOSHI 講談社 B6 [bk1][Amzn]
一見チビでスケベなマヌケな少年、でも実は超能力者と接するとその力を増幅してしまうという特殊な能力の持ち主である主人公・梅八。それから他人の未来が覗けちゃう能力の持ち主の、非常に色っぽいおねーさん・九曜小雪が出会うところからお話がスタートして、梅八の能力を試したりしつつ日常が過ぎていく。キッカリした線による作画は非常に達者だし、安定感のある読み口。とはいえ、事件らしい事件は1巻終わった段階でもほとんど起こっておらず、なんだかすごくまったり展開中であるというのも否めないところ。本誌連載のほうではテコ入れで新キャラの女の子を出してきたが、今後、物語において何が目的になっていくんだろう。まああんまり考えなくても楽しく読めはするけれども。
【単行本】「STONe」1巻 ヒロモト森一 講談社 B6 [bk1][Amzn]
巨大な海獣が人類やその他もろもろを喰らい尽し、砂の海が地表を覆うようになった荒れ果てた地球を舞台に、砂の海を見通すことのできる不思議な能力を持った少女・ジジが暴れまくる。舞台的には大掛かりだが、パワフルな描写に身を任せていればするする読める。ダイナミックでスリリング。ときには砂海に単身乗り出し、巨大な海獣に銛を突き立てるジジは、しなやかで強くてたいへんカッコイイ。でも女の子っぽい柔らかな体のラインとかはけっこうキュートだったりして魅力的。エンターテインメントとして素直に面白いと思う。
4/24(水)……頑張るだ
▼人間には性別や年齢等、自分では変えようのない属性がある。そのため、どうしても明らかに自分が対象ターゲット層に入らないようなジャンルというのは存在してしまう。例えば自分にとっては少女漫画なんかがそうだ。こういうジャンルの作品を味わうときは、さすがに自分は少女じゃないので、自分の中に少女的なモノをシミュレートして作り出して、ある種モードチェンジして読むことになる。感覚としてはある種の別人格、パソコンソフトでいえばエミュレータに近い。そういうモノのことを個人的には「ヴァーチャル少女マシーン」と呼んでいる。そのような「ヴァーチャルほにゃららマシーン」をいろいろ持つこと、複数のヴァーチャルほにゃららマシーンを作品に合わせてインテリジェントに使い分けること、そして個々のヴァーチャルほにゃららマシーンの処理性能を高めること。いずれも読者として重要なことだと思う。
とはいえこれはあくまでたくさんのモノを読みたい場合に重要なことであって、たとえ一つの作品しか読まなくても、それだけで何も付け足す必要がないほどの快楽を得ている人がいるなら、そっちのほうがコストもかからないしカッコイイかもしれない。まあ要するに、いかにたくさん読むかより、いかにたくさん楽しむかが重要っつーことですな。
▼未読物
【単行本】「ひまあり」2巻 上野顕太郎 講談社 A5 [bk1]
【単行本】「BLAME!」8巻 弐瓶勉 講談社 B6 [bk1]
【単行本】「イハーブの生活」3巻 小路啓之 講談社 B6 [bk1]
【単行本】「てんでフリーズ!」1巻 ISUTOSHI 講談社 B6 [bk1]
【単行本】「STONe」1巻 ヒロモト森一 講談社 B6 [bk1]
▼早売り
【雑誌】アフタヌーン 6月号 講談社 B5平
【雑誌】ビッグコミック 5/10 No.9 小学館 B5中
【雑誌】ヤングマガジンGT4 5/15 講談社 B5中
【雑誌】ビッグコミックギャグカーニバル 中島徹劇場 5/25 B5中
【単行本】「いいコにしてる?」 みなすきぽぷり ジェーシー出版 A5 [eS]
【単行本】「山下和美短編集」 山下和美 講談社 B6 [bk1]
近年の山下和美の短編はいずれも素晴らしい。上品でキレが良くて、実に鮮やかだ。そのような短編を集めたこの単行本が面白くないわけがない。どの作品もいいんだけど、とくに素晴らしいのが「ROCKS」。リストラされたバーコードオヤジが、年を食った今も活動を続けているかつてのバンド仲間のライブに乱入し、ベースを握って咆哮するという物語。と聞くとしみったれたお父さんにもけっこうカッコイイところがあった……という月並みなお話のようだし、まあ実際そうといえないこともないんだけど、そんなことどうでもよくなってしまうくらいこの作品はカッコイイ。カタルシスがある。クライマックスのシーンは何度読んでも鳥肌が立つし、作品として非常に美しい。あと憧れの名女優が引退して、人を避けて暮らしている屋敷の庭園に忍び込んだ青年が、その娘と出会い恋に落ちる「プライベート・ガーデン」もすごく幻想的で美しくていい。技巧うんぬんいうよりも、もう身に染みついた芸という感じさえする。面白いなあ。
(収録作品)「ガラクタ成人宙を駈ける」「ROCKS」「ブルー・スパイス」「プライベート・ガーデン」「昨日の君は別の君 明日の私は別の私」
【単行本】「ふたつのスピカ」2巻 柳沼行 メディファクトリー B6 [bk1:1巻/2巻]
本当に良心的な作品。宇宙飛行士を目指すちっちゃな女の子・アスミの健気な姿を優しく描いた本編もいいけど、併録されている読切で掲載されたシリーズ「「カムパネルラの森」「ふたりの星 はっぱ星」もしみじみいい。この2本はアスミの子供の時代を描いた物語で、切なさと暖かさの入り混じる、心洗われるファンタジー譚となっている。最近の宇宙モノはただまっすぐに宇宙を目指すだけでなく、人間のいろいろな葛藤が描かれた興味深い作品が多いけれど、この作品もまた宇宙モノ好きな人には欠かすことのできないモノとなっていきそう。宇宙へのロマンうんぬんいわなくても、メルヘンチックないいお話として読んでも素晴らしい。
【単行本】「ガンダルヴァ」1巻 正木秀尚 講談社 B6 [bk1]
いや〜面白い。お見事。主人公は、匂いに非常に敏感な鼻と、匂いを心ゆくまで楽しむメンタリティの持ち主である男・香田尋。匂いというのは漫画では描きにくいものだけど、この作品ではその難物を実にうまいこと料理している。描かれる香りは普通に「いい匂い」とかではなく、体臭とかだったりするんだけど、それをとても官能的に描き出している。ラム酒と入り混じった女を惹きつける甘い匂い、普通に嗅ぐと臭いけれどもほかの匂いと入り混じると人間を思わず発情させてしまうような濃密な香りなどなど。空間の中でたなびく匂いの帯が、香水などとはまた違った、どちらかというとアルコールに近いかな、頭をくらくらさせるような空間を演出している。匂いを題材に、イカした大人の男女のドラマになっているところがどうにも気が利いている。大したもんです。
【単行本】「ひみつの階段」1巻 紺野キタ ポプラ社 A5 [bk1]
以前は偕成社から出ていたけど、今度はポプラ社から。「ひみつの階段」シリーズ7本が収録されているが、うち2本は初収録。こりゃあもう買うしかないでしょ。舞台はお嬢さま学校。そして寄宿舎! その一室で繰り広げられる楽しいお茶会、旧校舎の幽霊、受け継がれていく言い伝え。少女たちが過ごした季節を、澄みきったガラスの瓶に封じ込めたような作風は、何かファンタジー空間のものであるかのごとく清らかで美しい。現実にはこんな夢見るような空間はないのかもしれないけれど、でもやっぱ夢は見たいです。
【雑誌】Betsucomi 5月号 小学館 B5平
リニューアル記念の特別付録、ベネトン特製ミニトートバッグに目がくらみ購入。とはいえ今まで全然読んでなかった雑誌なのでさすがに勝手は分からず。でも確かに噂どおり、若向けの恋愛漫画が多めな印象。連載モノとかはさすがによく分からなかったけど、まあたぶん続けて読んでいけばそのうち良くなるんでしょう。とりあえず今回の掲載作品の中では、相原実貴「ホットギミック」、小畑友紀の新連載「僕等がいた」あたりで俺のヴァーチャル少女マシーンが刺激された。
(漫画執筆陣)小畑友紀、桜小路かのこ、芦原妃名子、かねなりりえ、おおや和美、彬聖子、藤井みつる、相原実貴、和泉かねよし、浦本直見、西条うた子
【雑誌】LaLa 6月号 白泉社 B5平
田中メカの新連載「天然パールピンク」がスタート。芸能プロダクションをやっている親父を持つ少年と、そこの所属アイドルの隠し子であるボーイッシュな女の子を中心としたラブコメという感じの作品。実は前作の「お迎えです。」は人物アップのカットが多めで状況が分かりにくいページ構成とかもあっていまいちピンときてなかったんだけど、今回、まず1回めはそんなこともなくすんなり楽しんでいけた。作品の基本構造もシンプルで分かりやすいし、田中メカのスタイリッシュな絵の魅力が存分に発揮されている。なかじ有紀「ビーナスは片想い」。毎回驚くほどに甘〜くてラブラブだ。ビーナスは両想いでアッツアツ〜。このくらい甘口だとかえってすがすがしい。
【雑誌】スーパージャンプ 5/8 No.10 集英社 B5中
月刊少年ジャンプでサッカー漫画「イレブン」をやっていた高橋広が読切で登場。「夢見野C.C.へようこそ」。小さな工場の社長さんが、胃ガンの手術前に、最後の願いとしてこれまでどうしてもパーを獲れなかったホールに最後の挑戦をする……というお話。泣かせ系なんだけど、意地ましすぎてなんか辛気くさい気分に。
【雑誌】週刊少年サンデー 5/8+15 No.21+22 小学館 B5平
巻頭カラーで椎名高志の新連載「一番湯のカナタ」がスタート。銭湯をやってる父子の家庭に、宇宙からさる王家の王子&王女であるという姉弟が転がりこんできて……というところから始まるドタバタ。まずは賑やかで楽しい雰囲気。松江名俊「史上最強の弟子ケンイチ」は本誌移籍後2回め。格闘シーンのアクションとかダイナミックで面白い。そしてパンチラはまったくしていないにも関わらず、こんなにパンチラ感のある作品も珍しい。藤田和日郎「からくりサーカス」。アンジェリーヌ、けっこう純で初々しい。
【雑誌】週刊少年マガジン 5/8 No.21 講談社 B5平
三ツ森あきら「わんる〜む」。今回は巨乳の話。「巨乳に悩みなんてありませんよ」。いい言葉だ。今まで内緒にしてたけど(してねー)、好きだな、ぼかあ。
4/23(火)……殿だ乳揉み
▼仕事の打ち合わせに行った会社が新宿2丁目にあって、ビルのすぐそばにゲイ専門のショップが。きっとあの会社の人は毎日その店の前を通って出勤しているのだなあ。
【単行本】「まんがアベノ橋魔法☆商店街 〜アベノの街に祈りを込めて〜」 鶴田謙二 講談社 B5 [bk1][Amzn]
出口竜正版もアレはアレでおめでたくって面白かったけど、こちらもまたいいねえ。鶴田謙二の絵が素晴らしいのはもう何をかいわんやという感じで、さらにちゃんとB5の大判サイズで出してくれたのがうれしい。巻末の山賀+あかほり+鶴田対談でも触れられている金科玉条、「メカとオッパイ」についてはとりあえずこの巻で「オッパイ」をある程度達成。鶴田謙二の描くおっぱいはホント美しいわー。もちろんお尻もなんだけどさー。気品も色気も十分あって、ええもん見せてもらいました眼福眼福、という感じ。あと、あるみが恥ずかしがって顔を赤らめる表情とかもすごくいい。ストーリーについては1話完結形式ではないので雑誌掲載時はちょいと分かりにくかったけど、こうやってまとまってみると全体が見えてきて楽しめる。まだまだ続きもあるので、このままサクサク描き続けていってくださいませ。
【雑誌】ヤングチャンピオン 5/14 No.10 秋田書店 B5中
岡田和人「教科書にないッ!」。学園ドラマとしてよくできてるなーと思う。けっこう泣かせるいいシーンが最近多い。大楽先生はいい教師だなあ。張慶二郎の読切「跳ね男」は、父も母も腕っこきの雀士で、家族麻雀しかやったことないけどバカ強な男子高校生を主人公とした麻雀漫画。この人の濃い絵柄はわりと好き。キャラの表情とかイッちゃってていいと思う。葉月京「恋愛ジャンキー」は16ページ全部4色カラーでサービス。主要女性キャラ4人が総登場。
【雑誌】近代麻雀ゴールド 6月号 竹書房 B5中
なぜか戸田尚伸が巻頭極道漫画「煩悩(ボンノ)」(作:芹沢耕二)を執筆。絵的には良くて、ボンノこと菅谷政雄もかっこよくはあるんだけど、無理に麻雀のエピソードにからめてるせいで歯ごたえのない物語になっている感じ。これなら麻雀の話なんか描かずに、ただ極道としての、侠としてのカッコよさをつづっていったほうが面白かったような。金井たつお「THAT'SまくりDEロン」(作:南条一寛)。今回はムネオネタ。ホントーにベタな漫画だ。
【雑誌】漫画アクション 5/7+14 No.19+20 双葉社 B5中
以前集中連載で掲載されていたロドリゲス井之助「リーマン戦記 独身3」が本格連載化。モテないリーマン3人組が、結婚する日を夢見て日々悪戦苦闘するというお話。相変わらず脂ギトギト。だけどいつの間にか楽しみにしているタイプの作品。
【雑誌】コミックバンチ 5/7 No.21 新潮社 B5中
今号は坂本タクマ「屈辱er大河原上」が2本立て。大河原上のメチャクチャな英会話がおかしい。屈辱ってhumilationなのかー。
【雑誌】漫画サンデー 5/7 No.18 実業之日本社 B5中
清田聡「トビルリ」。2号連続登場の2話めが掲載。鳶の家を継ぐことになったガテン系な女性・ルリがヒロイン。恋はしたいけれど軟弱な男はお断り。かっこいー。こりゃあもう萌えとかいってる場合じゃないよ。小田扉「マル被警察24時」。藤蜂子の衝撃の過去に迫る……というお話。そして衝撃的な毛も描かれる。ジョージ秋山「生きなさいキキ」。今度は死姦かー。濃すぎる。さらに死体とダンス。スゲー。あと今回出てきたチンピラ三人衆の顔も邪悪すぎ。
【雑誌】恋愛天国 VOL.3 竹書房 A5平
池部ハナ子「トモダチのミチ」は続きものになるのかな。昔からの親友である男友達としてしまい、彼氏に申しわけなく思いつつもついつい親友のほうも気になってしまう女性の物語。男女間の微妙な感情の揺れを描かせるとさすがにうまい。池部ハナ子といえば来月の18日にえらく久しぶりの単行本「恋愛レシピ」(bk1予約)が発売になる。「ラヂオ屋の電波使い」がes!BOOKSで調べたら1996/02だったから、実に6年ぶりなのかー。作品はけっこう描いてるんだけどねえ。小石川ふに「教えてアゲル♥」は、かつて家庭教師で教えたことのある男子生徒が育って、主人公の女性に告白……というお話。マイフェアボーイという感じですか。微笑ましい。
【雑誌】ミルクコミックひまわり vol.2 松文館 A5平 [Amzn]
今回はまず巻頭のGRACE「仲良きことは」が面白かった。喧嘩するほど仲がよい、少年少女の仲をHな男性教諭が取り持つというお話で、ラストの少年の一言とかすごくときめく。中村みずも「TWINS」。今回はキャラの表情の付け方とかが、なんとなくすけきよに近い感じがしたんだけど気のせいかな。お話のほうはわりと明るいラブラブHモノ。
4/22(月)……ミス家電
▼未読物
【雑誌】恋愛天国 VOL.3 竹書房 A5平
【雑誌】Betsucomi 5月号 小学館 B5平
【雑誌】ミルクコミックひまわり vol.2 松文館 A5平
【単行本】「カスミ伝△」2巻 唐沢なをき 講談社 B6 [bk1:1巻/2巻]
カスミ伝シリーズらしく、紙に穴開けて読ませる漫画だの袋とじ漫画だのギミックもりだくさん。とはいえ旧シリーズと比べると実験ネタは大掛かりでなくなってしまっているので、その点はもの足りなく思えてしまう。たぶん「カスミ伝」というくくりで見なければいいんだろうけど、これまでもずっと読んできたシリーズだしやっぱり要求レベルは高くなってしまおうというものです。
【単行本】「盆暮れ進行!!ドルフィンマン」 Dr.モロー&スタジオ寿 司書房 A5 [Amzn]
いや〜、まさか本当にこの作品が単行本になるとは。「ドルフィンマン」という作品は、司書房が出しているエロ漫画雑誌のコミックドルフィンに年2回だけ載る作品。年2回というのは夏冬のコミケ前で、それがすでに10年間続いている。んでもって内容はドルフィンマンという、コミケカタログでおなじみの「共信マン」や「戯画マン」とそっくりな怪人が、ドルフィン編集部から漫画原稿を強奪してはコミケで同人誌にして売る〜というもの。まあDr.モローのあの絵で、たいへんすっとぼけた味のあるのほほんとした楽しい漫画なのだが、内輪ネタといえばこれほど内輪ネタな作品もなかなかない。これが単行本になるんだったらそのうち「共信マン」も単行本になるかもなあとか思った。そういえば最近ヒメクリに司書房系の作家が増えたと思ったら、なるほど司書房編集者サイトー氏が手伝っていたわけですか。
【雑誌】ビッグコミック SPECIAL増刊 5/22 小学館 B5中
けっこう読みごたえがあって面白い時代劇専門増刊。今回の目玉は平田弘史の新作「我 平穏也」であろう。伊予宇和島藩の分家、吉田藩を専横する町医者上がりの家老・山田仲佐衛門を誅する気骨の士の物語。作画もストーリーも隆々と、野太い気骨がビシッと貫かれている。お見事。いけだたかし「御存知三国英傑伝 外」は、ヤング曹操のエピソード。才気は走れどこのとき曹操、いまだ11歳。なかなか可愛いところもありますな、というかそういう風に描かれているのです。
【雑誌】ヤングキング 5/20 No.10 少年画報社 B5中
今号から花見沢Q太郎「ももいろさんご」がオール2色カラー連載に。2色カラーは暖かみがあっていいね。そして三悟はますますピンクな空気の中で脳味噌をとろかしていくのです……。中西やすひろ「愛DON’T恋」。新展開で最終章開始。で、いきなり冒頭から爆笑。なんか守ってばいきなり外車乗り回してジゴロになってるよ! あんたそりゃ、いくらなんでも変わりすぎってもんでしょう。この作品のベタベタぶりは、国友やすゆき「幸せの時間」を彷彿とさせる。なんかいっぺん最初っから通しで読みたくなってきちゃったよ。まあいっぺんくらいでいいんだけどね。
【雑誌】ヤングマガジン 5/6+13 No.21+22 講談社 B5中
今号が合併号で4月26日に増刊のヤンマガGT4が発売。で、今号から別冊ヤンマガで連載中のこうのこうじ「カラコカコ〜ン」が5話連続で本誌に集中掲載。暑苦しさが持ち味のボウリング青春漫画。こうのこうじはけっこう注目している作家なのだが、本誌に出張ってきたってことは単行本化も期待できるかな? ロクニシコージ「すべてに射矢ガール」。雨降って地固まるという感じの、あすみちゃんと山田くんの仲。山田くんのほうもそれなりに成長している感じではあります。
【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 5/6 No.21 小学館 B5中
村上かつら「サユリ1号」はやっぱりキツいお話だ。人間関係がいちいちぎすぎすぎこちなくすれ違っていて痛々しい。絵もパサパサしてるし、こんな癒されない話を描ける人はなかなかいない。希有な才能だと思う。山本康人「僕」。最近のひろしvs.時雄の戦いは、画面の使い方など非常にダイナミックですごく面白い。ボルテージが高まりっぱなし。アツすぎるぜ!
【雑誌】週刊少年ジャンプ 5/6 No.21 集英社 B5平
今回の河下水希「いちご100%」はいつにも増してサービスシーンは多めだが、乳首はやはり隠している。でもいいんだよ。尾玉なみえ「少年エスパーねじめ」は、メガネを外したるきじの目のうるみっぷりにドッキン。
【雑誌】花とゆめ 5/5 No.10 白泉社 B5平
望月花梨の読切「鍵」が掲載。非常に仲のいい男子中学生二人の物語で、片方が親友というのを越えて恋に近い感情を抱いてしまうものの、その気持ちをなんとか押さえつつ学園生活を送っていくというお話。もちろん肉体方面には行かず、ピュアな感情をきれいに描いている。ちょいときれいすぎるかなーとも思うけれども、そこはそれ、ファンタジーですから。
【雑誌】ドルフィン 6月号 司書房 B5中
なんか最近司書房の雑誌は大人しめ。くどうひさし「ももいろドリーム」。この人のすっきりと伸びやかな絵はけっこう好き。お話のほうもサキュバス見習いの女の子ちゃんとのラブラブムードが居心地良さげでなかなか。吉田蛇作「淫妖快怪」。明るく健康的で見映えがするのがいいところ。
4/21(日)……ブラクラ群
▼日曜の明け方まで仕事をし、帰宅してぐうぐう寝る。
▼未読物
【単行本】「SM〜スウィート・ミルフィーユ〜」 佐野タカシ 大都社 B6 [bk1]
【単行本】「ひみつの階段」1巻 紺野キタ ポプラ社 A5 [bk1]
【単行本】「柳生十兵衛死す」4巻 作:山田風太郎+画:石川賢 集英社 B6 [bk1]
【単行本】「吼えろペン」4巻 島本和彦 小学館 B6 [bk1]
【単行本】「金色のガッシュ!!」5巻 雷句誠 小学館 新書判 [bk1]
【単行本】「からくりサーカス」22巻 藤田和日郎 小学館 新書判 [bk1]
【雑誌】クイック・ジャパン Vol.42 太田出版 A5平 [bk1][Amzn]
クイック・ジャパンは黒田硫黄特集と小田扉漫画目当て。小田扉のは12ページあり、しかも連載らしいから今後もクイック・ジャパンを買い続けなくてはならなそうだ。でもまあこの雑誌はネット書店で買えるからわりと楽。
【雑誌】Vanilla 5月号 講談社 B5平
2号め。けっこう面白く読めはするのだけど、個人的にはもう少しピチピチというか動いている感じは欲しいなあ。落ち着き過ぎてるような気がする。その中でも最もどっしり腰が据わっている感じの吉田まゆみ「カブキなさい」が巻頭カラー。思いがけず歌舞伎役者に心奪われてしまった女性のラブストーリーといった感じなのだけど、しっかり見せ場シーンを作ってて面白い。海埜ゆうこ「アムニージア」は、不思議の国におっこってきた男が旅の相棒として意地悪な猫娘を誌名するというところからスタート。なんだけど、今のところはまだどうなるんだか全然分からない。小栗左多里「カナヤコ」。前回は妄想おねえちゃんの突っ走りっぷりが目立ったが、今回を読む限り、彼女が職人の道に目覚め鍛冶屋に弟子入りする……というお話になるみたい。まだ何が起きるかよく分からないけど、なんだかんだ天然っぽいところが面白い。あと、今号発表されてる新人賞で奨励賞をとってる「やすだりょう」って、コミティアとかで本出してるピコピコリョウですな。
【雑誌】ウルトラジャンプ 5月号 集英社 B5平
大暮維人イラストのクリアファイル付き。クリアファイル自体はオフィス用品店で安いのだと単価10円台で売ってるものなので、原価は比較的安いかもしれないが、中にモノが入る分マウスパッドよりいいなと思った。大暮維人のイラストはきれいだしね。漫画では、花見沢Q太郎「BWH」がすごい話だなー。マイ、マサハルともにバカップルというか本能的には正しいというか。しかも今どき花の受粉のイメージをぬけぬけと使ってくるあたりのふてぶてしさも花見沢Q太郎ならでは。
【雑誌】月刊サンデーGX 5月号 小学館 B5平
広江礼威の新連載「ブラック・ラグーン」が新連載。会社辞めて海賊をやることになった青年が主人公で、なんだかメチャ強なおねーさんがおやびん格といった感じのお話。イダタツヒコ「美女で野獣」。今回はいつもの面々が戦隊モノをやるわ、パンチラもしまくりだわでノリノリ。楽しんで描いている感じ。むつきつとむの読切「アンバランすGirl」は、ロリ顔巨乳の夜梨ちゃんと、彼女をガードするキリコ、そして夜梨ちゃんが好きな男・琢人のドタバタ学園ラブコメ。どちらかというとストレートロングで強い女タイプのキリコのほうがいいなあと。
【単行本】「キャラメラ」2〜3巻 武富智 集英社 B6 [bk1]
全3巻で完結。少年時代を過ごしたゲーセンとそこで働いていた店員・アッ子さんへの想いを一途に抱えたままの青年・数井くんの青春物語。武富智の初週刊連載ということですごく期待して読んでいたのだが、残念、いまいち盛り上がりきらないままパタパタと終わってしまった印象あり。でも単行本で読み返してみるとテンポはいいし、けっこう気持ち良く読めた。惜しいな〜と思ったのは、「キャラメラというゲーセンが特別であった理由」がいまいち不明瞭に感じられる点。根っこにある部分のはずなんだけど、ここの描き込みに重みが不足していた感はある。まあ初連載はこのような形で終わったけど、これまで発表してきた読切はいずれも傑作揃いだったし絵は文句なくうまいし、実力はある人なんで、初の週刊連載経験が次のステップへいい形でつながってってくれればいいなあと思う。
【単行本】「Body Language」 けろりん 大都社 A5 [bk1]
現在はアワーズライトで袋とじカラー4PのHな漫画を描いているけろりんの初単行本。この人の非常に華やかで甘やかで、濃密な桃色空気とでもいうようなものが充満している漫画はいつ見てもいいなあと思う。この単行本については、できればオールカラーでやってほしかったが、新人の初単行本だけにそこまではさすがに難しいかな。図柄とか色使いとか似てるなあと思ったけど、やっぱり柴田昌弘のアシスタントとかやってた人なんですな(参考ページ)。
【単行本】「チキタ★GUGU」3巻 TONO 朝日ソノラマ A5 [bk1]
どんどんお話は厳しい方向へと進んでいく。今回はかつてはラー・ラム・デラルの敵だったニッケルとチキタたちの距離が縮まっていく。悲劇の予感をはらみながら。このお話は回数を重ねるたびに透明度が増していっていて、この巻なんかはもうホント素晴らしい。次の巻あたりはさらにたいへんなことになるはずなので、早く出ないかなあ。
【単行本】「幻の小松左京モリ・ミノル漫画全集」 小松左京(=モリ・ミノル) 小学館 B6変形 [bk1]
小松左京が、昔モリ・ミノル名義で漫画家として活躍していたころの作品を集めたもの。話題になったのは2か月くらい前だが、なんとなく今ごろ読んでみた。作品自体が描かれたのは昭和25〜27年くらいらしいので、要するに50年以上前のモノ。どうせ古臭いのだろうなあと思って読み始めたのだが、まあ確かに古いんだけど(言葉なんか旧かな遣いだし)、これが意外に面白く感じた。描線は手塚調。物語は古き良き科学冒険漫画や「イワンのばか」をベースにした作品など。テンポは良くて読みやすいのだが、読むのに案外時間がかかるのは文字が多いから。でもこの文字が、科学的な事象を丁寧に説明してて読みごたえあるし、文章がしっかりしてるんでけっこうイケる。とくに結末の悲劇性が際立つ「第五実験室」あたりは良いお話だなと思った。
そりゃまあ科学のレベルは50年間でずいぶん進歩しちゃってるんだけど、最近の漫画でも科学的な考証がしっかりしてるモノなんてそう多いわけじゃないから、今の目で見ても大して気にならなかった(まあ気になる人は気になるだろうけれども)。レトロ・フューチャー的に見ても面白いのかもしれないが、個人的にはけっこう今の普通の漫画と変わらず楽しめてしまった。