2002年2月上旬


2/10(日)……クーデターを企てたー

▼今使っているCATVインターネットが、4月から下り8Mbpsに増速されるらしい。でも上りが512Kbpsのままなんで、そっちももう少し速くしてほしいものだが。

【雑誌】ヤングマガジン 2/25 No.11 講談社 B5中

 松本光司「クーデタークラブ」がドラマチックに最終回。ユウジと潤の対決という構図が浮き彫りになってからは正直迷走している感じはあったのだけど、通しでいえばすごくヒキの強い刺激的な作品だったことは間違いない。最高到達点はかなり高い作品だった。すごく真剣にお話を作ろうという意気込みを感じる作家さんだし、週刊連載を一本やり通した経験は松本光司にとって非常に大きな財産となるんじゃないかと思う。次回作でその成果を見せつけてほしいもの。それができる人だと思う。引き続き期待。

 安達哲「バカ姉弟」は巻末カラー漫画に。バカ姉弟のビッグさが伝わるお話。この姉弟はいったい何者なのだろうか。ますます得体が知れない。そういえばここ2号ほど山本マサユキ「ガタピシ車でいこう!!」が載ってない。No.8の作者コメントのところに「ベストカーで描くことになった」といったことが書いてあったけど、さすがにそこらへんはチェックしてないなー。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 2/25 No.11 小学館 B5中

 ヒラマツ・ミノル「アグネス仮面」がいつもながらにすごく面白え〜とか思っていたら、今回で第二部前半が終了らしい。で、続きは春ごろ連載再開とのこと。うー、早く続きが読みたいよう。村上かつら「サユリ1号」。今回もキッツ〜い内容。大橋ユキさんの底意地の悪さにシビれまくり。気がつけばもう8話が終了。たしか「いごこちのいい場所」が全8話だったはずだから、すでに村上かつらとしては最長連載となったわけだ。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 2/25 No.11 集英社 B5平

 小林ゆき「あっけら貫刃帖」。刀に宿った魔物「刀魔」を追い、不思議な槌を用いる不思議な少年と、若い侍が手を組んで奮闘するという時代モノ系のバトルアクション漫画。子供のほうはけっこう丸まっちくて可愛らしくキャッチーな作風ではある。まとまっているとは思うけれども果たして。島袋光年「世紀末リーダー伝たけし!」。バレンタインデー編。この人が時折描くセンチメンタルなお話はけっこういい。泣かせもうまい。

【雑誌】ビッグコミック 2/25 No.4 小学館 B5中

 青柳裕介「まぐろ土佐船」(原作:斎藤健次)。今回は海の男たちと風邪、そして仕事に賭ける誇りを描く。ドラマがすごく骨太で面白い。で、いよいよ次号が最終回とのこと。近藤ようこ「独りの夜も長くない」。今回はカタブツな予備校講師の男・35歳独身と、地味な容姿の事務員の女性の間に芽生えたほのかな恋心を描く。この事務員さんの地味なめがねっ娘っぷりがなんかすごく可憐でソソられる。

【雑誌】エースネクスト 3月号 角川書店 B5

 岩原裕二「地球美紗樹」はだいぶクライマックス。そろそろ終劇のときは近いかな。安倍吉俊「樹葬」第2回めが掲載。オールカラーですごく美しい。のだが、うー、8ページは短すぎだよう。かなり壮大な設定があるみたいだけど、この状態ではとっかかるとこまで行くのさえ難しい。この際、連載ぺースがもっと遅くなってもかまわないからまとめて読ませてほしいッス。

【雑誌】近代麻雀オリジナル 3月号 竹書房 B5中

 もしかして今この雑誌で一番面白いのは藤波俊彦「ビバ!ギャル雀」かも、とか思った。キャバクラ風味でキャバクラを描かれると当たり前に思えてしまうけれども、同じノリだけどジャンルはいちおう違うので、そのキャバクラさ加減がより強く意識される結果となっている。この人はきっと将棋漫画描いてもSF描いても一緒なんだろうなあ。

【雑誌】メガキューブ Vol.12 コアマガジン B5平

 最近雑誌の付録としてよくあるタイプのペナペナの厚紙マウスパッド(イラスト:ひよひよ)がついて、特別定価880円。この手の厚紙だとほかの雑誌はお値段据え置きでやってるところが多いだけに割高感あり。こーゆーのって使わないしなあ。

 瓦敬助「菜々子さん的な日常」は次回最終回とのこと。なんだかんだ思い返してみれば楽しかった学校生活を、お色気をまじえつつ描いた良作でありました。今回は卒業式編だけど、学生生活のおしまいまできちんと描ききったことで、ノスタルジックな味わいも出て非常に美しくなった。次号、終わってしまうのは寂しいけれどもいい話を読ませてくれそうでもあり、すごく楽しみ。単行本「ポケットに好奇心」(→Amazon.co.jp)が出たばかりのほしのふうた「おにいちゃん」が掲載。う、これはかわいすぎる。サッカー部員のお兄ちゃんをチアガールとして応援する妹さんが出てくるのだが、その応援シーンがすごくいい。この人の描く女の子ははつらつと動き回っているのがよく似合う。たぶんエロがなくても好いちゃうとは思うのだが、ほしのふうたはエロシーンもけっこういいんだよねー。


2/9(土)……倉庫迂回

▼オンラインでもオフラインでもかねがねお世話になっている方が転勤されるとのことで、今夜はその壮行会。一次会のふぐから始まり、結局最後は朝までコース。濃い人ばかりのメンツなのでとても面白かったが少々飲み過ぎ。ラストのほうはみんな眠さに耐えかねバタバタ倒れていき、あたりは死屍累々。俺も飲み会の間は大丈夫だったけど、早朝に帰宅してからはPCも立ち上げずに即眠。おかげで漫画は1冊も読めてませーん。いちおう買ったものだけ挙げておくと以下のとおり。

▼未読物
【雑誌】ヤングマガジン 2/25 No.11 講談社 B5中
【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 2/25 No.11 小学館 B5中
【雑誌】週刊少年ジャンプ 2/25 No.11 集英社 B5平
【雑誌】ビッグコミック 2/25 No.4 小学館 B5中
【単行本】「お父さんは急がない」 倉多江美 小学館 B6 [Amzn]
【単行本】「セックスのあと男の子の汗はハチミツのにおいがする」 おかざき真里 祥伝社 A5 [bk1]
【単行本】「ワイルドリーガー」3巻 渡辺保裕 新潮社 B6 [bk1]


2/8(金)……低温パン

▼Amazon.co.jpから、さねよしいさ子「Gold」と、1978年に制作された「指輪物語」アニメ版のDVDが到着。DVDのほうには「「映画を見る前にオリジナルを体験しよう!」というシールが貼ってあったけど、それはちょっと違う……と思うYO! まあアニメ自体はそんなによく出来てるものでもないので、「指輪物語」未体験の方はまず原作のほう読んでください、という感じ。でもハリウッドプライス2500円というのはありがたい。指輪ラーはまあいちおう的アイテム。

▼未読物
【単行本】「TO-mA 〜トーマ〜」2巻 桑原真也 講談社 B6 [bk1]
【単行本】「DOLL」4巻 三原ミツカズ 祥伝社 A5 [bk1]
【単行本】「カラオケバカ一代」 ジョージ朝倉 祥伝社 A5 [bk1]
【単行本】「人妻姫」2巻 かるま龍狼 ワニマガジン社 B6 [bk1]
【単行本】「魔人ベイベエ」 桐生知彦 ワニマガジン社 B6 [bk1]
▼早売り
【雑誌】コミックビーム 3月号 エンターブレイン B5平
【雑誌】近代麻雀オリジナル 3月号 竹書房 B5中
【雑誌】エースネクスト 3月号 角川書店 B5
【雑誌】コミックバーズ 3月号 幻冬舎コミックス B5平
【雑誌】アイラ Vol.17 三和出版 B5平
【雑誌】零式 Vol.38 リイド社 B5平
【雑誌】カラフルBee 3月号 ビブロス B5平
【単行本】「Fun,Fun,Fun,Fun」 ZERRY藤尾 笠倉出版社 A5 [Amzn]

【雑誌】ヤングキングアワーズ 3月増刊号 少年画報社 B5中

 平野耕太「HELLSING−外伝−」は執事ウォルターのヤングなりし日々を描くという作品。おっ、ウォルター美少年〜とか思ってたら続きモノなのか〜。次号の発売は5月の予定。それまで待て、と。殺生な。それから今号は、前号に引き続き登場のPEACH-PITによる、つぶれかけ水球部の少女たちの水球やらない日常漫画「みずたまII」がいい。シンプルな線ながら女の子たちがみんな可愛く、センスが良い。見てて楽しい。あとは、112歳の超能力者・弥一郎の人格が、20歳の女子大生の体に宿ってしまい、身体の所有権をめぐってバトルを繰り広げる水上悟志「弥一郎」が、イキが良くてなかなかいい感じ。この増刊号は継続的に発行していくみたいな感じだし、最近すっかり安定路線で読切が少なくなったアワーズ本誌とうまいこと相互補完していけるといいですな。

(掲載作品)平野耕太「HELLSING−外伝−」、六道神士「Holy Brownie」、山田ちゃか「シャドウプリズン」、ちば・ぢろう「オタが行く!!」、抜山蓋世「ニーモニック」、PEACH-PIT「みずたまII」、堤芳貞「猫はこの辺にいない」、井上博和「みのりの日々」、水上悟志「弥一郎」

【雑誌】ヤングアニマル 2/22 No.4 白泉社 B5中

 「ベルセルク」が載ってないので、今号はちょっとパンチ力弱いかも。文月晃「藍より青し」。新たな入居者が加わり、ますます魂のくされた展開になりそう。薫、モテモテすぎる。ある意味、子供のころからの思い込みのみを根拠に押しかけてきた葵よりも、現在の薫と接して惚れ込んだほかの女の子たちのほうが応援したいような気もするな。

【雑誌】YOUNG YOU 3月号 集英社 B5平

 今月は羽海野チカ「ハチミツとクローバー」がお休み〜。

 岩館真理子「アマリリス」掲載。相変わらずのボケっぷり。しかもツッコミようがない。このぽわぽわした感じはまるで天女さまのようです。榛野なな恵「パンテオン」第3話。けっこういい具合で着実にお話は進行中。メイン4人のキャラをしっかりつかむためには、やっぱり単行本でまとめ読みしたいところでもあり。

【雑誌】FEEL YOUNG 3月号 祥伝社 B5平

 三原ミツカズ「DOLL」。DOLL改造屋のエピソードが最高潮。非常にドラマチックで悲劇的。読ませるなあ。青木光恵「スウィート・デリシャス」。甘いラブラブ模様ってのも気持ちいいもんです。南Q太「こどものあそび」。これって実録なんかな。まあそれはそれとして、帰宅部なんだけど運動部の人たちを負かすことに躍起になっている女生徒さんの模様がスカッと気持ち良く描かれてて楽しい。最近の内田春菊の漫画は真剣に怖いのだが……というわけで「最近、蝶々は…」もかなりいい感じで進行中だ〜とか思ってたら、来月から産休に入るとのこと。あらまあ。

【雑誌】MUJIN 3月号 ティーアイネット B5平

 甘詰留太「お父さん調教中♥」。M奴隷な女の子は娘の同級生、という状況のお父さんのお話。娘や別れた妻もからんできて刺激的だけれど、アツくて幸せなラブストーリーでもある。この人はその手のお話描かせてもすごくいいなあ。女の子の表情が輝いてる。板場広し「sister」。彼氏の家に押しかけてきた女の子とその妹。それにしてもカラッと明るくノリがいい。古事記王子「アネモネ」。この人の絵は独自の持ち味があるし、線もどんどん洗練されてきてるうまいねー。眼のぐりぐりした感じ、唇の吸いついてくる感じ、いろいろ素晴らしい。

【雑誌】コミックオルカ 3月号 司書房 A5中

 おっ、久しぶりにうさぎのたまご。「たまごパニック」。妹さんが拾ってきた巨大な卵から、触手系ぬるぬる動物が出てきて、それがさらに美少年に変身して気持ちいいにゃ〜という漫画。この人は一見ウブいような絵柄でいつつ、出てくるたびにヘンなモノを描くのでけっこう好き。他雑誌の読者投稿欄に投稿しているのをときどき見かけたり、天然っぽいところも味。稲葉晃次「HEAVEN’S DOOR2」。シスターもの。明るめの絵柄とむっちりしたエロシーンで最近注目中。あとKASHIみちのく「お龍がイク!」。街角で捨て猫が入ってると思しき段ボールを開けてみたら、中に入っていたのは捨てくノ一でした〜というすごい設定。いつもながらに陽気かつヘンで楽しいもの描く人だなあ。


2/7(木)……工場です

▼2月8日発売の3月号からリニューアルされる日経クリックで、小田扉の新連載「エレクトロねえちゃん」(モノクロ2ページ)がスタート。扉ラーは要チェック。

▼未読物
【雑誌】MUJIN 3月号 ティーアイネット B5平
【単行本】「クーデタークラブ」5巻 松本光司 講談社 B6 [bk1]
【単行本】「怪傑蜃気楼」 谷弘兒 青林工藝舎 A5 [bk1]
▼早売り分
【雑誌】ヤングキングアワーズ 3月増刊号 少年画報社 B5中
【雑誌】メガキューブ Vol.12 コアマガジン B5平

 メガキューブには、ひよひよのイラストのとじ込みマウスパッドが付属。あとほしのふうたも掲載。

【雑誌】ヤングサンデー 2/21 No.10 小学館 B5中

 北崎拓「なんてっ探偵アイドル」。学園編はいいなあ。推理とかなしに、単純な学園ラブコメにしちゃってもいいとさえ思う。そういえば最近、純度の高い学園ラブコメって少年誌・青年誌ではあまり見かけないような気がする。何かとスポーツとかHとかがからんできて、「学園ラブコメ」としかいいようのない作品は少なくなっている。けっこう好きなジャンルなのだが。サイクロン猿橋「ときめきヒルズ高校白書」はいきなり最終回。まあこの作品の場合は、いきなりっぽいほうが似合うような気もする。

【雑誌】モーニング 2/21 No.10 講談社 B5中

 「海猿」の佐藤秀峰がモーニングで新連載。タイトルは「ブラックジャックによろしく」。超一流大学の付属病院に勤める研修医の若者の眼を通して、現代日本における医療現場の姿をセンセーショナルに描いていく物語。命の行方が問われるギリギリの環境下でのドラマを、第1回からフルスロットルで描き上げている。「海猿」でも見せたように、極限状況かでの人間の姿を描き出す佐藤秀峰の筆力には素晴らしいものがある。近年ではまれに見る正統派の有望株だけに、この作品もかなり読ませるものになりそう。医療の最前線という舞台設定も、佐藤秀峰の作風とすごくよくマッチしていると思う。期待大。

 高橋ツトム「鉄腕ガール」は今号で最終回。激動の時代に自分の意思を貫き通した一人の女の生き様を、最後まで力強く描ききった。途中の展開は雲行きが怪しかったけど、終始堂々としていて読後感は良好。満腹。弘兼憲史「部長島耕作」は次号で最終回。これはきっと「社長島耕作」があるに違いない。第一、部長でなくなってからすでにかなり長くなってたし。こうなるといっそのこと、島耕作は弘兼憲史のライフワークとしてずっと描き続けてもらいたい。「社長島耕作」のあとは「無職島耕作」。そして「鳳凰編」とか「未来編」などなどに突入だ。レッツゴー島。

【雑誌】ヤングジャンプ 2/21 No.10 集英社 B5中

 高橋陽一「キャプテン翼 ROAD TO 2002」。あまりにもスペクタクルな展開にあ然。反対側のゴールからペナルティエリアまで、たぶん80メートルくらい走ってきてボールを蹴る若林に虚を衝かれる相手ゴールキーパー。フィールドの端から端まで使った、まるでパチンコのごときプレー。どうツッコんでいいものやら。無敵だ。山花典之「妹 あかね*」。バレンタインデー編。濃厚な妹の誘惑に、お兄ちゃんはもうふらふら。罪深い!

【雑誌】週刊少年チャンピオン 2/21 No.11 秋田書店 B5平

 板垣恵介「バキ」。勇次郎、息子の部屋に突如出現。豪快な男女観を披露。なんとなく頑張れバキ。松山せいじ「エイケン」。今回は「浪漫ジュ」という擬音が見どころ。伯林「しゅーまっは」。なるほど。ゆまさんにはそのような萌えオプションがあったのか、と今回は感心。そばかすがいい。気にしないわけにはいかない。作:ピエール瀧+画:漫$画太郎「樹海少年ZOO1」。ワイン編じゃんじゃん行きまくり。感動してしまうほどにお話が進まない。主人公が誰であるかなんてささいなことは、ともすれば忘れてしまいそう。感動した! 八神健「ななか6/17」。ななか父の結婚話をめぐって6歳と17歳がいい具合に協調。6歳17歳の相互作用により、どっちの人格も成長していっている。いいお話だなあ。

【雑誌】COMIC A-GEKI Vol.02 晋遊舎 B5平

 ヒメクリ(FOX出版)で「大人になる呪文」を連載中のパニックアタックが初登場。ロリロリ萌え萌えな作品において、現在目を瞠る破壊力を発揮中の注目株である。今回の「お兄ちゃんにメロメロ」も、「大人になる呪文」同様、あにいもうとモノ。好意むきだしでわちゃわちゃとまとわりついてくる妹さんがやっぱりかわいい。でも「大人になる呪文」のほうが、より妹の愛らしさが爆発的であるな、と思った。とりあえずかなり楽しみな人なので、これから活動範囲が広がっていってくれるとうれしい。単行本が出ればなおのこと良い。

 宮崎摩耶「Bicycle」。河原のグラウンドで自転車を漕ぎ、サドルの揺れで性的興奮を得ている野球部の女子マネージャー。彼女を見つめていた男がある日、一念発起。自らの身体に車輪をくくりつけて「自転車の精」として彼女の前に登場。開放的な環境で性戯に耽るというお話。自転車の精の姿が相当に奇矯でダイナミックな作品。過剰な味がけっこう気に入った。おかのはじめ「四年前の残暑」は前後編で掲載。主人公の少年が四年前に中途半端な告白をしたまま会えないでいた、年上のお姉さんが帰郷。彼女はすでにほかの男との結婚を決めていたが、少年の胸には封印したはずの恋心が蘇り……という具合のセンチメンタルなお話。おかのはじめの画風は瑞々しく好感度が高い。爽やかに美しくまとまったいいお話。どざむら「MARKING ALGOLAGRIA」。性に目覚めた少女に対する、大人の男の徹底した調教劇が幕を開ける。ねっちりエロいお話になりそうで楽しみ。

【雑誌】コミック大我 3月号 桜桃書房 B5平

 最近なめぞうがちょくちょくいろんなところに出没しているのでうれしいな。「透明酒場」は、「実際には見えていないし周りの人も意識することはないけれど、絵としては透明になっている人物がしっかり画面に描かれている」という一連のシュールな透明人間シリーズの一貫。今回は中盤は濃くエロチックに、ラストはラブストーリーを爽やかにしめくくり。味付けが濃くてエネルギッシュ。百済内創の新連載「QuoVadis」がスタート。第1回は、公園でチンピラたちにレイプされ、そのショックで持病の喘息の発作が悪化、死亡した少女をまず描き、主人公の女の子がその思念にシンクロしてしまうところから物語が始まる。ここからどうお話が展開するかはまだ分からないけれども、かなりダークな感じのお話になりそう。やっぱり悲惨なレイプは殺伐としてていかんです。快楽責めならともかく。というわけで新妻がねっとりエロ責めされてる、やまのべきった「媚虐の音色」は著しくいやらしいなと思ったしだい。


2/6(水)……初芽銀杏人

▼いつかニコラ・テスラについてはちゃんと知っておいたほうが良かろうなあと思って以前買っておいた、「発明超人ニコラ・テスラ」(新戸雅章/ちくま文庫/bk1)を今さらながら読了。過去の日記を調べてみたら購入日は1999年の4月。2年近くも寝かしてたのか、俺。ダメだなあ。それはともかく本自体はかなり面白くて、サクサク読めた。やっぱりテスラはすごくカッコイイ。ダンディでエキセントリック。そこにシビれる憧れるゥ。

ダ・ヴィンチ(メディファクトリー)3月号の見本誌が到着。高橋ツトムインタビューのインタビュワーと原稿執筆をやらせていただきました。本当はデビュー当時のことや、かわぐちかいじのアシスタントをやっていたころのお話など、面白い話をほかにもいろいろうかがっていたのだけれど、そのあたりのエピソードはスペースが足りなくて全然入れられなかった。残念。「鉄腕ガール」がメインということで発注されていた原稿なので、どうしてもそちらについての記述を多くする必要があったのだ。高橋ツトムさんは実際にお会いしてみたところ、非常にエネルギッシュで豪快、男らしい人物だった。そういうところも原稿でもっと出せれば良かったんだけど……。

【雑誌】オールマン 2/20 No.4 集英社 B5中

 八月薫が登場。読切「LOVE AGAIN」(原作:方南久美)。結婚3年目で、奥さんとは倦怠期に入りかけたサラリーマンが、かつての恋人と再会してこれまでの自分の生き方を振り返るというお話。きっちりまとまっているけれど、サラリーマン的なくたびれ感もあり。八月薫って、青年誌で見るとなんか北条司、もしくは小谷憲一っぽい印象を受けるなー。作:樫田正剛+画:七瀬あゆむ「2ndハウス」。今回は濡れ場多し。理想的に甘い不倫の恋人関係が燃え上がっていて、読むたびにあてられる。こんな女の子に好かれたら、もうたまりませんな。春日光広「高杉刑事キバリます!」。今回は痴漢のオトリ捜査ってことでけっこう色っぽい。それはいいんだけど、なんで季節が真夏なんだ……。最高気温三十五度の真夏日とかいってるし。

【雑誌】週刊少年サンデー 2/20 No.10 小学館 B5平

 このところ猪熊しのぶ「旋風の橘」、西条真二「365歩のユウキ」、橋口たかし「焼きたて!!ジャぱん」と、少年漫画らしくオーバーでやんちゃな作品を増やそうとしているのかな〜という雰囲気が伺える。今号の新連載、作:若桑一人+画:武村勇治「ダイキチの天下一商店」もそんな感じになるんだろうか。うたい文句は「泣き笑い最強商人物語!!」。商才に優れた主人公・大吉が、いろんなお店に力を貸しててこ入れしてくって感じになりそう。第一話のターゲットは町のお弁当屋さん。お弁当屋さんをやっている姉妹がけっこう可愛い。雷句誠「金色のガッシュ!!」。フォルゴレは確かに無敵かも。味のあるいいキャラだ。

【雑誌】週刊少年マガジン 2/20 No.10 講談社 B5平

 星野泰視「哲也」(原案:さいふうめい)。目羅編決着だけど……ガーン、種明かしなしかいな。とか思ってたら最後のオチでまたガーン。ちょっとそれは最終定理をなめちゃおりませぬか。久保ミツロウ「3・3・7ビョーシ!!」。爽やか。キャラクター、とくに女性キャラの表情がいちいちいい感じ。

【雑誌】花とゆめ 2/20 No.5 白泉社 B5平

 高尾滋「てるてる×少年」。才蔵のことが大好きなライバルくノ一が登場して、しのお嬢さま心中穏やかならず。カワイイ男の子を取り合うショタなバトルが勃発。この作品は、なかなか欲望に忠実なような気がする。菅野文「夢色JUNK」。田舎の島から東京に出てきて何もアテがなくて困っていた女の子が、夢を持っている人しか入れないという建物「ジャンクヤード」に入居することに。でも実はたいそうな夢なんか持ってないけど夢があると偽り、他の住民に対して後ろめたい思いをするヒロインだが、それでもそこの住民は気持ちいい連中ばかりで彼女はそこでステキな時間を過ごす……といったお話。瑞々しいフレッシュな作風でパッと目を惹く。

【雑誌】ヤングヒップ 3月号 ワニマガジン B5中

 上連雀三平「飲尿女神」がまた掲載。今回は飲尿女神になりたての女の子と、その初めてのお客さんである、人生に倦んだ感じのおねーさんがメインのお話。前回掲載時にはげしくショックを与えてくれたちんちんの消しは、今回「主線を描かない」という方向で解消。まだまだもの足りないけれども、コンビニ売り雑誌としては精一杯の解決策か。かかし朝浩「ブッ契りラヴァーズ」は今回で最終回。最後まで勢いよく突っ走ってて面白かった。そして単行本が4月上旬に発売。そりゃーもう買いますとも。

 ポン貴花田「PLEASE EAT ME!」が巻頭カラー。主人公の男と、子供のころからしょっちゅう部屋に遊びに来ている大家の娘が、バレンタインデーの夜にめでたく結ばれる……というラブラブHストーリー。お話的にはありがちではあるけれど、素直な絵柄はいつもながらに好感度が高い。RaTe「靡乳」。この人の絵柄のふくよかさにはいつも惹かれる。たぷんたぷんと揺れるお乳が美しい。2か月に一度のお楽しみ、西川魯介「ラブ装填(コメ)電動ファイター」。今回はやけにHだ〜。攻めるほうも攻められるほうもめがねさん。けしかけるのもめがねさん。それにしてもクライマックスシーンのネタについては、若い世代だとわからんという人もすでにけっこういるんだろうな〜とか思ったり。面白いからいいんだけど。

【単行本】「なんてっ探偵アイドル」7巻 北崎拓 小学館 B6 [bk1]

 行く先々で、盗みが起きたり殺人が起きたりにももう慣れたアイドル3人組。とか書いてみたけど、実際に殺人が起きることは意外と少ないなーとこの巻を読んで思った。この巻は実質一人だけだ(未遂はもう一件あるけれど)。怪盗リスト編、学園編(今回はないけど)を差し挟むことによって、「探偵行くところ殺人あり」の法則からだいぶ逃れられている。それにしてもこの作品を読んでいると、なんだか和む。アイドルがアイドルなりに一生懸命やっている様子には好ましいものがある。トリコロール3人娘の中では可菜子が若干弱いような気がするけれど、ときどき活躍の場をきちんと設けているのもうれしい。まあ一番好きなのはアキラめがねっ娘バージョンだったりするわけだが。


2/5(火)……あと落胆と

▼仕事の相手先を訪問したときに、鈴木さんに用があったのに、つい受け付けで「佐藤さんいらっしゃいますか」などと口走ってしまいお姉さんに笑われる。いらん恥かいた。

▼これまで職場にスキャナがなかったので、かねがね速度に不満を持っていた自宅のUSB1.1スキャナCanoScan FB636Uを職場に持っていって、自宅のほうはUSB2.0の機種に買い換えることに。自宅ではTINAMIXでの連載などで一度に大量のスキャニングをすることがあるので、スキャナの速度が遅いとけっこうストレスがたまる。雑誌のモノクロページのスキャンとかだと、取り込んでいる間ずっと、雑誌を手でしっかりガラス面に押さえつけとかないとうまく取り込めないなんてケースも多いので、スキャン時間は短いほうが助かる。で、機種選択についてはいちおうエプソンのとキヤノンのものが候補に挙がったのだが、値段を考えてキヤノン CanoScan D1250U2に。ヨドバシのオンラインショップで1万2800円。ついでにメルコのUSB2.0インタフェースカード(IFC-USB2P/4480円)も購入。それが本日到着したのでさっそく試してみた。なるほど。これは確かに速い。いちおう解像度:300dpi/取り込み範囲:原稿台全面で大ざっぱに測ってみたところ、所要時間は以下のようになった。

・FB636U(旧機種)+USB1.1: 80秒
・D1250U2+USB1.1: 56秒
・D1250U2+USB2.0: 29秒

 この所要時間にはキャリブレーションの時間も含まれているが、キャリブレーションにかかる時間は解像度を上げても変わらないから、実際の所要時間は解像度によって変動するスキャン+データ転送の時間によって決まる。ということは、解像度を上げれば上げるほどUSB1.1と2.0の差はより顕著にあらわれてくるはず。すごいぜUSB2.0。PC周辺機器のグレードアップで、これだけ効果がハッキリ体感できるものも珍しいかもしれない。

【雑誌】コミックフラッパー 3月号 メディアファクトリー B5平

 柳沼行「ふたつのスピカ」。最近気になっているのは、アスミの幼なじみで憎まれ口を叩きつつもなんだかんだ彼女を心配しているメガネの府中野くん。登場人物がそれぞれに健気で一所懸命なのが清々しくて、とても気持ちいい。駕籠真太郎「パラノイアストリート」。今回も著しく目的と手段が逆転中。ゼネコンがからむだけにスケールがデカい。新居さとし「女神の鉄槌」。怪獣編が終わってからこっち、本当に何をやっているんだかという感じ。大きなストーリーがない分、小ネタが冴えまくっている。なんて陽気でマイペースな漫画なんだ。和六里ハル「魔法のエンジェル グリグリビューティ」は最終回。3月23日には単行本も発売されるとのこと。わーい。

 それから今月号には「今月の隠し玉」と題して、新鋭の読切が4本掲載。末弘「特命戦士マオ4649」、あとりゆうき「アヤミと奈々」、荒木風羽「はなまるっ!」、中西犬人「純愛生活」。この中では、アイドルをやっている美少女・奈々と、自分は魔界に行ったり来たりしていると話すヘンな友達・アヤミの友情を描いた「アヤミと奈々」が、サバサバした作風でわりと良かった。この雑誌は地道に新人作家を登用し続けてくれているのがうれしいところ。もしかして原稿料節約のためかも……とか思ったりしないでもないけれど、まあそんな事情を読者が慮る必要はない。載ってるものが面白ければそれでオッケー。

【雑誌】ヤングマガジンUppers 2/19 No.4 講談社 B5中

 サガノヘルマーの読切「あとらくたんと」の前編が掲載。盗撮ビデオのモザイク職人である青年が主人公。年がら年中ビデオを編集しているものだからその手の映像にもすっかり飽きていた彼だが、ある日見たテープに映っていた女に突如心を奪われる。なぜか彼女のことをずっと知っているような気がして、気になってたまらない。それはいったいなぜなのか……というところで以下は後編に続く。相変わらずクセの強い絵で、クセの強そうな話を描いている。とりあえずは次号待ち。一色まこと「ピアノの森」が巻頭カラー。

 今回は雨宮くんにとって大きな意味のある回。直接カイを使わないあたり気が利いてて美しい。咲香里「春よ、来い」。またしても二股か〜? というかたぶん何かしら理由をつけてそうなるのだろう。吹っ切れたようでいて進歩はなさそう。新井英樹「シュガー」。最近もりもり面白い。激しいアクションと、その一連の流れから一瞬の決めカットを切り取る演出が素晴らしい。堂高しげる「全日本妹選手権!!」。今回はいつもの面子が聖地アキバを襲撃。まったくもって迷惑千万。で、次号は巻頭カラーらしい。いいのかUpppers。いいんだUppers。

【雑誌】ビッグコミックオリジナル 2/20 No.4 小学館 B5中

 村上もとか「龍」。満州の地で料亭を構え、女一人で生きていこうとする小鈴の心持ちが、賢明であるだけに痛々しい。それにしても小鈴は、年齢を重ねて若い女性にはない艶が出てきている感じ。そういうところをきちんと描ける村上もとかの技量もさすが。弘兼憲史「黄昏流星群」。今回で「走れ!彗星ランナー」編が終了。きっちり泣かせて締めくくり。

【雑誌】漫画アクション 2/19 No.8 双葉社 B5中

 山崎さやか「東京家族」が連載再開。売れっ子作家の元に、次々と母親の違う実子が集まってきてたちまち父一人子六人の大家族が完成……というところから始まる物語。なんだかちゃんと、まとまりの良い暖かいホームドラマになっている。ながしま超助「ぷるるんゼミナール」。巨乳女を人間でないモノ扱いにする、巨乳の遣い手にメロメロな菜々美。ダメ人間ですなあ。

【雑誌】コミックバンチ 2/19 No.10 新潮社 B5中

 渡辺保裕「ワイルドリーガー」。ついにベテランの野間ガルシアも力を再び発揮して、心踊るアツい展開。これでまだシーズンが始まっていないんだもんなー。もしかして漫画のほうの開幕も4月に合わせるとかかな。坂本タクマ「屈辱er大河原上」は、銀行で大河原上が味わった屈辱を2本立てで描く。今回は珍しく大河原上がカッコイイところを見せているが、それでもやはり屈辱まみれ。最近泥沼ですな。おおつぼマキ「貧民の食卓」。今回の料理は4人分で399.6円。米や調味料、溶き卵の値段が入ってないことを考えると、そろそろ1人100円以下というのも苦しくなってきたか。とくに料理がのり巻きであるだけに、今回は米の値段を入れないというのはちとズルいかも。

【雑誌】漫画サンデー 2/19 No.7 実業之日本社 B5中

 画:勘崎順次+作:倉科遼「順子」。順子ママの大恋愛編終了。雨に濡れた順子ママが色っぽい。お話のほうもしっかりと読みごたえあり。小田扉「マル被警察24時」。今回は謹慎中の黒川刑事に新しい出会いが。ちょっとトキメキ。黒川刑事にごちそうしたおにぎりのサイズといい渡しっぷりといい、何気にけっこう豪快な人かも。

【雑誌】桃姫 3月号 富士美出版 B5平

 今号はテンション低めかな。

 たまちゆき「ご褒美を下さい」。塾の教え子の少女が、先生を誘惑してきてHなことを……というお話。少女の表情、とくに目の光に独特のもの欲しげで誘うような気配がある。第六天魔王グレート「お嬢様無頼控」。お嬢さまであろうとなかろうと、やはり第六天魔王キャラは豪快で力強い。そろそろこの人も単行本が出てくれるといいなあ。

【単行本】「ポケットに好奇心」 ほしのふうた コアマガジン A5 [Amzn]

 見かけるたびに書いているような気がするけれども、この人の作品はすごく好きだ。ロリ系の中では今最も好きな作家さんの一人。この人の描くお子様たちは、本当に邪気がない。「ぴょんぴょん」という擬音がよく似合う元気さで、とても楽しげに飛び回っている。年齢はともかくとして、「小学生っぽさ」がよく出ている。そして何よりかわいい。この単行本収録作品にしても、例えばタイトルからして「フレッシュぴーちももちゃん」「ぷりてぃちょうちょしじみちゃん」とくる。こういう可愛らしいタイトルがすごく似合ってる。そして陽気でありながらも、内容が案外Hだったりするのもいいところ。ここらへんは身体の線の柔らかさが、ぐぐっと訴えかけてきているような気がする。とにかく自然な感じがすごくいい。


2/4(月)……生ビヤー大戦争

▼Moo.念平「甘いぞ!男吾」の復刻2冊目「ぶっとび中学生編」。bk1に注文して安心してたら、出版社在庫なしってことで注文キャンセルのおしらせが到着。そういえば本屋さんであんまり見かけないなとは思っていたのだけれど。本日、神保町の高岡書店で聞いてみたところ、出版社でも在庫切れで増刷待ちであるとのこと。ということはけっこう売れてるのかも。わずかな在庫を探して本屋さんを回るのも面倒なので、とりあえずはAmazon.co.jpで再注文を入れておく。Amazonは何回か使ってみた感じでいうとこの手の注文への手配はあんまり早くないみたいなんで、のんびり待ちつつ書店で見かけたらそれ買ってAmazonのほうをキャンセルしちゃえばいいやーという感じ。

新文化のWebに、凸版印刷と米・イー・インクが発表した電子ペーパーの写真が。ちょっとカッコイイかも。

▼未読物(早売り物件)
【雑誌】コミックフラッパー 3月号 メディアファクトリー B5平
【雑誌】桃姫 3月号 富士美出版 B5平
【雑誌】コミック大我 3月号 桜桃書房 B5平
【単行本】「ポケットに好奇心」 ほしのふうた コアマガジン A5 [Amzn]

 ほしのふうたはロリ系では個人的に最も注目している作家さんの一人。この人の描く子供は本当にイキイキしてて楽しそうでいい。しかもH。eS!BOOKSに表紙の画像あり。

【雑誌】マンガ・エロティクスF Vol.13 太田出版 B5平 [bk1]

 今号はまず小田扉「学び舎大戦争」が掲載。机や校舎に穴を開けたり、同級生の角山くんに夢中なヘンな女子高生の古野さんが主人公。……とかいっても、この作品のおかしみは全然伝わらなくて困る。ナチュラルに味わいのあるヘンなことやってて、どのページ見てもなんだかすごく気持ちいい。駕籠真太郎「西川ちえりと愉快な仲間」。手足を失った芋虫状態の少女とその兄の生活に、もう一人メンバーが加わる。異様な状況の中でこういうこというのもなんだが、駕籠真太郎の描く女の子が最近とみにかわいい。今回の西川ちえりさんが、肘くらいまでしかない手で這って椅子に座ろうとするときの一所懸命な表情なんかすごくキュート。卯月妙子「新家族計画」。最初は平穏な展開かと思ったら、最後のところでまたすんごいことになってきた。平和な日常と、それを崩壊させるような不穏な事態が常に隣り合わせになってて実にスリリング。中村明日美子「コペルニクスの呼吸」は6話め。線が艶めかしくて美しい。田村マリオ「社会不適合者の穴」も線がかっちょいい作品だ。この雑誌は、独自の味を持っててうまい人が多いなあ。安田弘之しかり松本次郎しかり。

 最近定着しつつあるのが新鋭の藤田直哉。今回の「土曜日のポルノ映画館」は、ポルノ映画館に集う人々の人間模様を、覗かれるのが好きな変態カップルの視点を通して描くという作品。画風としては垢抜けないのだが、それがいい味になってる。それから今回は新人が2本。第6回太田エロティック・マンガ賞特別賞の山下黒男「××××に、なりたい。」と、佳作の国香「小夜子の穴」。山下黒男のほうは、ピアスから始まりタトゥーに手を出しそして……という具合に、自分を常に傷つけずにはいられない女性とその彼氏の生活を描いた作品。まだ粗いところはあるけれど、色気のある画風はなかなか。国香は連れ込み宿になってる宿屋に住んでいて、覗き穴を通して大人の世界を垣間見た娘さんのお話。太めの線は多少ぎこちないけれど、センチメンタルな雰囲気に見るべきところあり。エロティクスFは、特異な持ち味のある既存作家を集めてくるだけでなく、コンスタントに新人作家を登用して自前で育てようとしている様子が見受けられて好感が持てる。

【雑誌】キングダム 3月号 少年画報社 B5中

 今月号も読みやすくて楽しい。エロシーンが多めなので電車の中では少し恥ずかしいけれども、内容的には本当にするする読める。H系の作品がいい潤滑油になっている感じだし、硬派な作品もしっかりあるし。H系の作品では、清水としみつ「僕の歌子さん」、佐野タカシ「イケてる刑事」、私屋カヲル「青春ビンタ!」、法田恵「こんすとらくたーず」と、元気ハツラツとしたものから、はんなりHなものまでそれぞれ充実。あと今号は、米餅昭彦「けい×どろ」が掲載。内容は、下着ドロvs.町の巡査のドタバタ極まる追走劇。あれよあれよと周囲を巻き込んでドタバタアクションが激しく展開。相変わらず力余った感じのノリが愉快。最近はなめぞう名義のエロ漫画をちょくちょく見かけるようになってきたが、米餅昭彦名義は久しぶりかも。米餅昭彦名義ではキングダム初登場だけど、なめぞう名義では「東京BIGCITY」「ハイライト」「たいせつ」「遠足」などの作品が掲載されている。ここらへん単行本になってくれないかなあ。

【雑誌】ヤングマガジン 2/18 No.10 講談社 B5中

 山本マサユキ「ガタピシ車でいこう!!」。今回は気合いの入った濃いデコトラのお話。本当に今回ので出てきたみたいなデコトラがあるんなら見てみたい。阿部秀司「エリートヤンキー三郎」。ついに福士メインの回。なんというか、まさにオウヨッ!という感じ。この作品中でも屈指の得体のしれない人物といえる。松本光司「クーデタークラブ」はいよいよ次回で最終回。どういう決着がつくのか楽しみ。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 2/18 No.10 小学館 B5中

 村上かつら「サユリ1号」は、読むたびにゾクっとする。頭のいい美人っていうのは本当に怖いですな。柏木ハルコ「花園メリーゴーランド」。性に開放的であることはまた別に、ちゃんとそれはそれで恋愛の形を描いている。すごく興味深い。面白い。ヒラマツ・ミノル「アグネス仮面」。マチルダ仮面カッコいいー。このままですんなり行くはずもなかろうとは思うけれども。格闘モノでは、青山広美「格闘太陽伝ガチ」もしっかり面白い。太陽の成長ぶりがとても頼もしく感じられて痛快。原秀則「青空」は、暗黒な出だし&中盤とは打って変わって、きれいにまとめて最終回。伊藤潤二「ギョ」。うーん、ギョ、こえ〜。でもこの怖さって、生臭いぬるぬるしたものへの生理的嫌悪感という感じもする。映像的にはむしろユーモラス。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 2/18 No.10 集英社 B5平

 次号で小林ゆき「あっけら貫刃帖」、その次に河下水希「いちご100%」、その次が尾玉なみえ「少年エスパーねじめ」と3号連続新連載攻勢。「少年エスパーねじめ」がとくに楽しみ。今号はギャグ系の新鋭二人、長峰休次郎「つなげたいよ」とセジマ金属「抱きしめて!ベースボール♥ラブ」が掲載。「抱きしめて!ベースボール♥ラブ」は、高校球児な彼氏とマネージャーな彼女のバカップルコメディで、これまでにも何度か登場したことあり。愛のためなら公式戦でもしっちゃかめっちゃかにする馬鹿馬鹿しいノリはわりと好き。


2/3(日)……超香っとLOVE

▼ここのところ、休みのたびにたまった雑誌の始末と部屋の整理をしているような気がする。昨日本棚を整理したのに引き続き、本日はパソコン周りの環境整備。いつもこの調子でやっていけばいいんだけど、絶対続かないんだよなー。それを思うと、なんかこう、都合のいいメイドロボの一つも欲しくなるね。

【単行本】「ギャラリーフェイク」24巻 細野不二彦 小学館 B6 [bk1]

 相変わらず乱れがなくハイアベレージ。なんとなく読むと賢くなったような気にさせる(実際にはなっちゃいないんだろうけど)お話作り、そのときどきのネタを織り交ぜながらきっちりお話をまとめ上げる腕前はまさに職人芸。

【単行本】「橋無醫院」5巻 林光默(構成協力:崔成賢) エンターブレイン B6 [bk1]

 韓国での連載のほうも中断してしまったとのことで、現段階ではこれが最終巻になってしまった。韓国発の漫画であるだけに、日本の作品とは逆開きということもあってか、正直ストーリーは頭にスラスラと入ってきにくいところはあるのだけど「見れば分かる」ってくらいに作画レベルは高い。ビシッと芯が入っててカッコええ。アクションもダイナミックで力強いし、個性の強いキャラもどんどん出てきただけに惜しい。個人的には色っぽいカッコをした格闘ギャルギャルな感じのミールの活躍をもう少し見たかったところ。

【単行本】「超香少年サトル」全10巻 上田悦 秋田書店 新書判

 借り読み。初版は1995〜1997年。常人では及びもつかないほどの鋭敏な嗅覚を持ち、香りを自由自在に操る「香り師」の中学生男子・香野院悟。彼がその香りのテクニックを用いてさまざまな事件を解決していくというお話。香りという、そもそも漫画では描きにくいものを主題にしているということからしてまず珍しいが、さらにそれでときにバトルをやったりするのもまた珍しい。しかもお話が横道にそれるようなことがなく、一貫して香りにこだわり続けている。

 しかしテーマが新しめなわりに、絵もお話もびっくりするくらい古臭いし垢抜けない。1980年代前半の作品といわれてもまったく違和感がない。例えばサトルの友達である佐々木君。インチキ霊能力にだまされたと思ったら、今度は「やっぱ今は科学の時代!」とか言い出して「この雑誌にのってる睡眠学習装置を買ってだな…」とくる。一事が万事この調子で、お前ら本当に90年代の中学生か、といいたくなってしまう。そういえば各キャラの造形もすごくステロタイプ。マジメな奴は眼鏡かけてるし不良は口がひんまがっている。この「見れば分かる」感は懐かしいものがある。で、実際に読んでみると、それなりにまったりと楽しめはする。すごくマジメに描いてる感じはするし、古き良き勧善懲悪な少年漫画テイストが漂っている。ただやっていることが基本的にずっと一緒で一話完結なお話が続くので、10巻というのは長すぎかなー。


2/2(土)……要チェンジ

▼先日注文した書棚3本が到着。さっそく組み立てた後、本の移し替え作業を行う。一人で本棚3杯分の本を移動するには、最低でも(正確に数えたわけじゃないけど)30往復くらいはしなければならず、結局1日仕事に。しかも2階から1階への上げ下ろしだったので、階段の昇り降りの労力も馬鹿にならない。さらに今まで使っていた本棚を移動したり、付随して作業がいろいろ発生。いやー疲れた疲れた。かなりの量を整理したんだけど、そのわりには劇的に状況が改善された感じがあんまりしない。本というのはおかゆと一緒で、器を大きくして水を足すと、密度は薄まるものの容積も器に合わせて増えちゃうような気がしてならない。

【単行本】「富士山」 さそうあきら 小学館 A5 [bk1]

 IKKIでシリーズ掲載された短編漫画。富士山が大きな役割を果たしているものもあれば、そうでないのもあり。全般に、命というものに斬り込んでいくような重みのあるお話が多い。語り口があくまで静かで乱れることがないのが、かえって迫力を出している。人身事故を起こした電車の運転手、同僚に誘われて富士の裾野で自殺することになったOL、不倫関係にあり何度も妊娠中絶を続けている女性などなど、描かれる人間模様はさまざまだけど、いずれもしっかり物語を構築し、難しい局面もうやむやにせず答えを出しているっていうのはすごいと思う。この人は短編も長編も本当にうまい。鮮やか。

【単行本】「キーチ!!」1巻 新井英樹 小学館 B6 [bk1]

 染谷輝一。通称キーチ。職業:幼稚園児。無口で乱暴できかん坊。強くてカッコいいクソガキである。親の愛に包まれて生まれてきたが、その性向ははかりがたい。いずれ大物になる大器なのではと予感させるこの少年の、波乱万丈な生き様を思うさま描く物語。かなりキャラ主導なお話なので、はっきりいってどういうふうにお話が展開していくのか得体のしれないところがある。何かすごいことをやってくれそうでもあり、このままのぺースで行きそうでもあり。何が起こるか分からないので油断はできない。とりあえず、幼児でありながらも、ロックでビッグでハードな生き様を見せてくれそう。

【単行本】「警視正 大門寺さくら子」1巻 作:大西祥平+画:高橋のぼる 小学館 B6 [bk1]

 すべてのモノを「器の大きさ」ではかる、謎の美人警察署長・大門寺さくら子のメチャクチャな生き様を語る。最初のシーンからして、さくら子はジャージ姿で登場、牛丼を貪り食って講釈を垂れる。肉と飯のバランスをちまちま考えながら牛丼を食うオヤジに対し、器のデカい食い方を示す。デカいつっても牛丼だしなあとは思うけれども、そんなことは気にしない。一事が万事、ビシッと決まっているように見えて妙に間抜けている。高橋のぼるらしい、大西祥平らしい、たいへん味のある漫画。すごいコンビネーションだと思う。

【単行本】「恋の門」5巻 羽生生純 エンターブレイン A5 [bk1]

 これにて最終巻。石で漫画を描くことにこだわり続けた厄介な男と、コスプレ同人作家の女。二人の恋の物語もついに大団円。恋の始まりはいくぶん打算的なところはあったと思う。しかしさまざまな紆余曲折を経る中で、愛の形を問うてゆくストーリーはすごく読みごたえがあった。とにかくどちらもおっそろしく不器用だと思う。世の中を単純に割り切ったりはしない。世間からまったく受け入れられない偏屈者であった門はもちろんのこと、一見、調子よく世の中をわたっているように見えた恋乃でさえそうだった。罵り合い、自分の腹の底にあるものをぶちまけ合った者同士でなければいきつけないところもある。多少特殊なケースのようにも思うけれども、そんなことを考えさせてくれる漫画だった。とにかく登場人物、ストーリー展開、作画。すべてにおいて濃かった。面白かった。ラストは万感の想いが去来して、素直に感動。

【単行本】「おやつ」5巻 おおひなたごう 秋田書店 新書判 [bk1]

 こちらも最終巻。最後まで素晴らしくクールだった。途中わりとおやつはどうでもいい展開になっていたかに思わせて、最後はしっかりとおやつへ回帰。そして連載中一貫してこだわり続けた読者からの投稿キャラ「オリ・キャラ」も、最後までこれでもかってくらい手を加えずに、きちんと使ってしまうのも素晴らしかった。淡々としたぺースではあったが、最後までマイペース。とても気の利いた作品だった。ていうかよくこんなの描くよなー。おおひなたごう、スゴイ。

【単行本】「ジジメタルジャケット」 泉昌之 角川書店 A5 [bk1]

 かつて双葉社から出ていた「ジジメタルジャケット」が、なぜか角川から復刻。なんで今ごろ……とは思うけれども、ちょっと前に続編の「the Delta」(→bk1)も出たことであるし、ちょうどいいといえばちょうどいい。この作品は、2001年10月7日の日記の「the Delta」の感想のところでも触れたとおり、70だか80だかのジジイだけで結成されたソウルフルなバンド「ジジメタルジャケット」の活躍を描くという作品。ジジイなのにモヒカンだったり、デーモン小暮ばりの髪型でビシッと決めて、後先考えないシャウトを絞り出す。年寄りの冷や水どころか、スピリット的には若者にも負けず。奇妙なアツさのある作品。やはり泉昌之の作品には、得もいわれぬおもしろさがある。せっかくなんで、未読の方はぜひ「ジジメタルジャケット」「the Delata」を両方揃えて一気に読んでいただきたい。


2/1(金)……ガンツーリスモ

▼アキバを歩いていたら、中央通り沿いのアヤシイ雑貨屋さんMADの店頭にジンジャーっぽいもの発見。この製品は「JD RAZOR mini mini」といって、キックボードが進化したみたいな小型電動自転車だった模様。サイズが小さいわりにパワーはあるみたいだしちょっとした買い物とかにはかなり便利そう。物欲がちょっぴり刺激されたが、実際に乗ってたらけっこう珍奇な目で見られそうな気はする。アキバとかだと絶対ジンジャージンジャーいわれるだろうなー。

オスマン(オススメ漫画レビュー)に「1月の日記より」をアップ。これは、日記からオススメ単行本をピックアップ、感想をまとめたダイジェスト版。文章は全部日記からそのままコピー&ペーストしたものなので、日記のほうを普段から読んでいただいている方々は、読む必要ないと思います。手抜きといえば手抜きなんだけど、日記だけだととくにオススメしたい本が大量のログの中に埋もれていっちゃうのが前から気になっていたので、作らないよりは作ったほうがまあ良かろうと考えたしだい。最近オスマンは全然書けていなかったのだが、これからもどうせ書けなさそうな気はするので、その分日記のほうをきちんと書くことで代えるようにしようという目論見もあり。内容的にTINAMIXの連載と重なる部分はあるものの、こちらではカバーする基準をわりとゆるめにとったうえで単純コピペするに止め、きちんと厳選&リライトするのはTINAMIXの連載のほうで……という具合に差別化していくつもり。まあうまくいかなかったらオスマンのほうはやめちゃえばいいだけの話なんで、とりあえずやるだけやってみるってことで。

bk1ブリーダーズプログラム1月期は注文件数118。195件と入れ食い状態だった昨年12月に比べて大幅減。まあ正月期間もあったし、1月は目玉単行本も少なめだったのでこんなもんでしょう。Amazon.co.jpのアソシエイトのほうは23件。こちらはトップページに検索窓をつけたせいか、だいぶ堅調に出るようになってきた感じ。

【雑誌】ヤングアニマル増刊 嵐 3/17 Vol.6 白泉社 B5中

 岩明均「ヘウレーカ」は今回で最終回。読みごたえのある歴史モノとしてきっちりまとまった。控えめさを失わないトーンに、静かな迫力。単行本は夏ごろとのこと。西川魯介「野蛮の園」。さすがのめがねっ娘ぶり。トミフェブネタも! 志村宣哉「眼通力」。眼は口以上にモノをいう。強力な眼力の使い手であるセクハラ部長と、奇矯な営業マンが激突。大仰な語り口でなかなか面白い。荒削りな描線も勢いがあってよし。眼力といえば平井一郎「眼力王」を思い出したりするけど、あれとはまた違った感触。宇仁田ゆみ「ファースト」。憧れのおねーちゃんと、弟分的存在の初体験ストーリー。シャレててサッパリした読後感。

【雑誌】近代麻雀 3/1 Vol.406 竹書房 B5中

 中村毅士による実録ドキュメント「実録!!麻雀名人伝サッチー!!」が掲載。野村サチヨたんがやりたい放題やって第27期麻雀名人位決定戦で優勝し、麻雀界をあ然とさせた事件をルポする実録漫画。個人的にはもう少し強烈なのをやるかなと思ってたので、意外に大人しい印象。とりあえず扉ページのインパクトはスゴイです。立川志加吾が登場。「自腹10万年をギャンブルで24万円に増やす〜というのを漫画にする」という企画の安さもすごいけれども、作品タイトル「博打でポン!!」ってのもかなりテキトー感あふれているような。

【雑誌】ビジネスジャンプ 2/15 No.5 集英社 B5中

 作:夢枕獏+画:谷口ジロー「神々の山嶺」。いよいよ羽生の一世一代の登頂が始まりそうな雰囲気に胸踊る。やはりこの作品は、山、そして岩が出てくると盛り上がる。作:近藤雅之+画:有賀照人「警視総監アサミ」。今回はもうサブタイトルからして素晴らしい。「バイブ殺人事件」ですよ。このエピソードが、アサミたちにキャンギャルの衣装を着せたいがために作られたものであることは疑いない。

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 2/15 No.4 小学館 B5中

 作:秋月戸市+画:吉本浩二「こまねずみ常次朗」(監修:青木雄二)。前号に引き続き幼児虐待をやっててたいへんエグい。青木雄二系の作品の中では、今のところこの作品が一番生臭くてエグいような気がする。青木雄二も東風孝広も絵柄的にはけっこうサバサバしてるけど、吉本浩二についてはなんだかむんむんくる湿った情念を感じる。作:富樫ヨーコ+画:戸田尚伸「カルロス・ゴーン物語」は今回で最終回。この手の実録モノにしてはギトギトしてなくて、けっこう面白かった。星里もちる「本気のしるし」。うー、本当に登場人物の目が死んでる。なんかすごい。この作品で星里もちるは、何か一つのステップを上がったような気がする。


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