2002年12月下旬


12/31(火)……以下アキバ

▼OHP月極アンケートの2003年1月分開始しました。今回は年初恒例の「ベスト漫画雑誌2002」です。ご投票よろしくお願いします。12月の「長い!そして面白い漫画」は、「ジョジョの奇妙な冒険」と「ベルセルク」が並んで1位。やはりわりと最近の作品のほうが印象が強いというのがあったのかもしれない。

▼2002年の読書については、OHPで感想を書いたアイテム数が雑誌1585単行本773同人誌236アンソロジー15という結果に。毎年もう増えないだろうとは思ってはいるんだけど、結局2002年は初めて2500アイテム超え。毎日書いていくとなると、このくらいで頭打ちかな……という気はするんだけどまあやってみないと分からん。何はともあれ20002年もいろいろ楽しんだ。総括とかはちょっとすぐにはできないのでまたそのうち。やらないかもしれない。2003年もこのペースで行けるかどうかはよく分からないけど、まあ今までどおり、ぼちぼちやっていければと思います。

▼振り返ってみると2002年は個人的にわりと節目の年っぽかった。まず2001年の9月に前の会社を辞めた後、新しい職場で仕事を始めて1年めだった。あと7月には30歳になったし、8月にはホームページも開設5周年。だからといって大層なことをしたわけではないが、節目の年という意識があったせいか、自分の現在の立ち位置や資質、それから周囲の物事の見方についてなど、いくつか考えるところはあった。まあ1年を終えての感想として最大のものは、仕事があって良かったなあということ。とりあえず1年間、曲がりなりにも飯を食っていけたのは本当にありがたいことだった。ちなみにときどき聞かれるのでいちおう書いておくと、漫画関係のライター業をメインでやってるわけでは全然ないです。そちらでは全然食えません。2003年はもう少し効率的に、かつ高い精度で仕事をこなしていけるようになりたいにゃ〜♥

【同人誌】赤い牙 2号 <赤い牙2002>

 今回も執筆陣がやたら豪華な反則っぽい同人誌。2号のテーマはHなのかな。さすがに個性的なメンツだけあって、それぞれ気の利いた作品を描いている。とくに印象に残ったのは、鬼頭莫宏、小田扉、清田聡、玉置勉強あたり。ただ正直メンツのわりには物足りないかなという気もする。それぞれの作品が短いし。これだけのメンツとなると「気の利いた掌編」よりも「読ませる短編もしくは中編」あたりが何本か欲しいな、とか思ってしまいはする。

【カバーイラスト】沙村広明 【カラーリング&デザイン】メチクロ
【執筆陣】AK、安倍吉俊、長田裕幸、小田扉、鬼頭莫宏、沙村広明、清田聡、玉置勉強、D[di:]、Nao、弐瓶勉、平尾隆之、ヒロモト森一、古屋兎丸、ベギラマ、保谷ひばり+α、籬讒贓、松田洋子、真鍋昌平、三宅乱丈、メチクロ

【単行本】「ラスト・ワルツ」 島田虎之介 青林工藝舎 A5 [bk1][Amzn]

 正直予想をかなり大きく上回る面白さだった。カッチリとしたコミカルな描線の作画が印象に残っていたんだけど、ストーリーのほうもかなり良かった。この作品は、最初は草サッカーチームのメンバーそれぞれが出会ったちょっと不思議なお話を描いた読切シリーズ的にスタートする。ブラジルで作られた伝説的なバイク、チェルノブイリに入った消防士の唯一の生き残り、アメリカにわたったバイキング、ガガーリンの陰で宇宙に行けなかった飛行士……と、扱われるモノゴトはさまざま。途中まではそれでずっと進むのだが、中盤で折り返し、各話の後日談的なことが始まってだんだんお話とお話が結びついていく。そして最後に向かうにつれ、それが一点に収束していく展開は見事で読んでてゾクゾクさせられるものがあった。一編一編も気が利いたホラ話として楽しめるんだけど、一見関係ないかに思われたお話同士が相互作用して面白さが倍増していく様子は快感。完成度の高いよくできた1冊。

【単行本】「教祖タカハシ」 ジョージ秋山 ソフトマジック A5 [Amzn]

 怪作……というか怪人だよなー、ジョージ先生は。物語のほうは、会社では窓際、家庭では妻と子供にハブにされ、心臓の具合も悪いショボくれた中年サラリーマンが、マンションの一室で人を教えている教祖タカハシの導きで救済されていくというもの。雁の舞という呼吸法というか踊りみたいなものの効果もあって彼は健康を取り戻していくんだけど、妻のドドミはずっと悪妻のままだし、不倫もドロ沼状態になっていくし救われているんだか救われていないんだかという状態。まあ本編の内容もほうも異様なんだけど、圧倒されるのは巻末に収録されているジョージ秋山のインタビュー。もう完全に酔っ払い状態。宗教の話してると思ったら突然「キャバクラの話に切り替えていい?」とか言い出すし、おしっこに行っちゃうし、途中で寝るし。神とは何かと聞かれて「神も仏も無えよっ!!」と答え、それに対し無いものをなんでみんな信じるのかと問われたら「「無いもの」って何が??」と返す。直前に自分がいったことさえまったく覚えてない。インタビュー中にレミーマルタン飲んだくれてるし、最後は男性編集者に対して腰を使い出すし、もう何が何やら分からない。「オレにブチ込まれたら終わりだよ。セックスの濃さを知らねえな!オリはな、…なんだか分かる?……麻薬だよ。」とまあ終始こんな調子。ハッキリいってこのインタビュー読むだけでも本を買う価値はあると思う。ジョージ先生、ヤバすぎる。こういう人だからああいう作品を描くんだなあ。

【単行本】「ピルグリム・イェーガー」2巻 作:沖方丁+画:伊藤真美 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]

 絵のキレが良くてカッコイイ。キリスト教世界を舞台にした、強い女二人の伝奇アクションという感じで派手に展開していくかと思ったら、今回は戦闘シーンもあんまりなくわりと地味。その分、狂僧と呼ばれたサヴォナローラの予言を中心としてお話のスケール感が増して来ている。ミケランジェロ、イグナティウス・ロヨラ、フランシスコ・ザビエル、マキャヴェリ……と歴史を騒がした有名人たちもキャストとして揃ってきたし、物語はこれから本格的にヒートアップしていきそうな気配。

【単行本】「しあわせ団地」5巻 蓮古田二郎 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 すっかり安定。いつものごとく、野田夫婦は貧乏で情けなくてしみったれている。全然進歩せず、やることはたいてい裏目裏目に出るけれど、その行動はとりあえず見ていて楽しい。別に罪がないことばかりしてるわけでもないが(古道具屋をだまそうとしたり)、罪ではあったにしてもあまりにも取るに足らない行動なので笑って見ていられる。それにしてもはじめはどうしようもないし、さなえは辛抱強い。なんともお似合いな夫婦である。

【単行本】「昴」11巻 曽田正人 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 昴とプリシア・ロバーツという二つの才能が交錯したボレロ編が終了。そして昴の前に、彼女と同じく異能力を持ったFBI所属の男性が登場。珍しく昴の生身の人間っぽさが感じられるエピソードが展開される。このFBIの人は今後も物語にからんでくるのかな? よく分からないけれども彼との出会いがその後の昴の行動にどう影響を与えるのか楽しみ。

【単行本】「あかりをください」 紺野キタ 幻冬舎コミックス B6 [bk1][Amzn]

 以前ソニー・マガジンズから出ていた本の出し直し。ソニー・マガジンズ版のときの感想は2001年7月9日の日記を参照のこと。今回の幻冬舎コミックス版ではWALLFLOWERに掲載された16ページの短編「en reve アン・レーヴ」が初収録。


12/30(月)……愛・魔窟

▼本田健という人物に誘われ、渋谷のほうにあるワタリウム美術館というところに「ヘンリー・ダーガー展」というものを見に行ってくる。チャーリー・パーカーを見つけたらうれしいかもしれないが、ヘンリー・ダーガーの作品を見つけたアパートの大家さんはさぞかし厄介な気分になっただろうなと思った。世の中にはろくでもない人がいるものだ。

▼その後、コミケ帰りの「ふぬけ共和国」売り子チーム3人(新田五郎さんすわたかさん、沼田さん)と合流し新宿で飲み。飲み会自体は楽しかったのだが、新宿というところはあわただしい街で、予約でもないのに2時間制とかいわれてしまい小刻みに場所を変える。しかも2軒めの飲み屋の暖房がちょうどよく暖かかったこともあり、途中でうつらうつらしてしまう不覚。帰り道で本田健に「貴様はすぐ寝るよな」と苦々しげに悪態をつかれるも返す言葉なし。電車内で「ミサンガミサンガ、ミサンガロク」などと意味不明な会話を交わし合う姉妹らしき少女二人の隣に座るも、なんだかすぐ寝た。電車から降りた後、町田駅でタクシー待ちをしているときに力士の人を目撃し、「あいつは琴町田だな」「いや栃町田だよ」などといった会話もかわした。 

【雑誌】ガロ 2002年1号 青林堂 新書判

 コミックパークで注文したオンデマンド版ガロの第1号が到着したんだけど……。正直な感想は「何これ?」だった。掲載作品が、千葉徹弥(ちばてつや) 「霧の中の魔島」、久松文雄 「冒険ガボテン島」、桑田次郎 「Xマン」、画:一峰大二、作:加太こうじ 「黄金バット」、荘司としお 「サイクル野郎」、吉沢やすみ 「ど根性ガエル」と、過去の名作の再録のみ。今後は新人作家による新作も織り交ぜていくなどと書いてあるけど、こんなのガロじゃないよ……と思わざるを得なかった。せめてかつてガロに掲載された作品の再録とかだったらまだ納得できたのだが。まあ収録作品をろくに見ないで注文しちゃったほうも悪いんだけど、ガッカリさせられたことは確か。別に作品自体は悪くないというか、読んでみたら案外楽しくはあったのだけど、ガロに期待するものとはやはり違っていた。今後注文するかどうかは収録作品見てから決めます。

【単行本】「宇宙賃貸サルガッ荘」2巻 TAGRO エニックス A5 [bk1][Amzn]

 宇宙のドン詰まりサルガッソーにあるアパート「サルガッ荘」にて繰り広げられる日常。このアパートに拾われたテルがその生活になじみ始め、1巻のときよりも面白くなってきたように思う。アパートのその他の住人のパーソナリティとかもだんだん見えてきたし。あとカッチリした線で描かれるキャラクターは、とくに女性陣はやっぱりキュートで、単純に見ているだけでも楽しいな、と思う。

【単行本】「皆殺しのマリア」1巻 作:TKD+画:竹谷州史 エンターブレイン A5 [bk1][Amzn]

 カッコイイなあ。常にイライラしているヴォーカリストのマリアが、怒りを歌に込めてブツケるも、状況はなかなか彼女に利することなくイライラは募るばかり。女性ヴォーカルを描いた作品の中で、これだけ主人公がパワフルでエネルギッシュなものはそうない。美人だが人相は悪く、行動はエキセントリック。歌う姿はエロティック。でもその才能がフェイクであるといわれたりするのもかなり異色。普通こういう作品の場合、主人公の才能がホンモノであることのほうが多いわけだが、そういった幻想はない。そういう面も彼女のフラストレーションを加速させるばかり。荒々しくて邪悪でエロティック。このアクの強いキャラクターがどういう道を歩んでいくのか、今後も注目。

【単行本】「アイシールド21」1巻 作:稲垣理一郎+画:村田雄介 集英社 新書判 [bk1][Amzn]

 パシリで鍛えた超俊足を見込まれた少年・セナが、非常に横暴な先輩の蛭魔妖一によってアメフト部に引きずりこまれ、だんだんアメフトの面白さに目覚め男としても成長していくという物語。最近の週刊少年ジャンプの若手陣の中ではかなりの有望株で、実際絵はうまいし面白い。村田雄介は読切で掲載されたときから目を惹く存在ではあったけど、うまい具合に伸びて来ているなーと思う。ちょいときれいに洗練されすぎてるような印象もあり、ここからさらにブレイクしていくにはプラスアルファとなる何か過剰なモノがもう一つ欲しくはあるけれど、完成度が高いことは間違いない。とりあえず、ヒル魔以外にもアクの強いキャラがもっと出てくるといいなと思う。

【単行本】「NANASE」3巻 山崎さやか 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 この巻では七瀬に対し、超能力者を憎む何者かの魔の手が迫ってきて、なかなか緊迫感のある展開。七瀬はとても魅力的に描けているし、雰囲気が非常にいい。原作を読まないでも、原作を知ってても楽しめる良い漫画化だと思う。

【単行本】「おやすみなさい。」8巻 小田原ドラゴン 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 これにて最終巻。鉄郎の歩んで来た童貞的道程を思い出すと、けっこういろんなことやってるなと思う。鉄郎の情けなさ、意外な行動力などなど、いろいろと面白かった。巨大冷蔵庫のシグマとか、松屋やココイチに関するうんちくとかも味わい深かった。ケニーくんの退場はちょっと寂しかったかな。まあとりあえず最後まで下らなくて、意外にぶっ飛んでて良かったのではないかと。

【単行本】「警視正大門寺さくら子」4巻 作:大西祥平+画:高橋のぼる 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 さくら子はこの巻もやりたい放題。この巻ではとくに、さくら子を共演女優としてスカウトしようとしたハリウッドスター「トムピ」ことトム・ピッドの馬鹿さ加減が素晴らしいと思った。「アメリカたまんねぇ、世界一じゃん!!」「高い高いバア、のアメリカンだぜ!!」「次はもうゲバゲバよォ。」とか、もうテンション高い高い。ここらへんはかなり笑えました。

【単行本】「MOONLIGHT MILE」5巻 太田垣康男 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 宇宙空間で、ロストマンの率いるアメリカの戦闘機と中国が極秘裏に開発を進めていた兵器が激突。人類初の局地的な宇宙戦闘状態へと発展。そんな中でもその戦闘を繰り広げる人間が、非常に人間臭く描写されていて読みごたえがある。宇宙を目指すというロマンティックでストイックな描き方もいいけれど、こういう骨も身もある生っぽい描き方も面白い。

【単行本】「電脳なをさん」5巻 唐沢なをき アスキー 変型判 [bk1][Amzn]

 毎度毎度いろんなネタを駆使して、主にiMacをいじり倒しまくり。ネタ自体もツボをついてるし、収拾つかなかったらつかなかったでまあいいやと思えるし、見せ方も多彩だし、唐沢なをきってパロディが本当にうまいなあと思う。


12/29(日)……リサイクルを再履行

▼休みはいいな〜。楽だ。

▼OHP月極アンケート12月分「長い!そして面白い漫画」は年内で締め切りますので、お済みでない方は一つお早めにどうぞ。

▼未読物
【単行本】「ラスト・ワルツ」 島田虎之介 青林工藝舎 A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「教祖タカハシ」 ジョージ秋山 ソフトガレージ A5 [Amzn]

【雑誌】別冊ヤングマガジン 1/21 No.039 講談社 B5中

 久しぶりに永野カズマ(数馬)が登場しててうれしかった。「劣等25%」から、もうすでに4年も経っちゃったのか。月日の流れるのは早い。今回の作品「中野ブロッケンマン」は、ストリートファイトを繰り返すも負けてばかり。しかし毎日毎日ストリートに繰り出してはボコボコにされ、頭も壊れかかってしまっているような男・ケースケの生き様を描くというお話。普通こういうストリートファイトものの売りといえば勝利の快感とか、拳闘のカッコよさだと思うのだけど、この作品の主人公はおそらくほかの作品では雑魚扱いの存在だ。だけどそれをやめられない姿を描いた作風は、相変わらず青臭いけれども見ていてやるせなさと爽快感が不思議と共存している。街の隅っこにはこういう生き方もある。

 松本剛「甘い水」が再開。沢俣さんのやっていたことが明らかになり、戸田はいまだ気持ちの行き場を見出せないでいる。そんな中、一つのしらせが彼にもたらされるが。今後彼はどういう行動をとることができるのか。展開に注目。なお1月6日発売予定の単行本はハードカバーとなるらしい。「上巻」と書いてあるところを見ると、全2巻になるのかな。

【雑誌】ヤングキングアワーズ 2月号 少年画報社 B5中

 長谷川哲也「ナポレオン −獅子の時代−」が新連載。ナポレオン本人というよりは、ナポレオンを取り巻く人々にスポットを当てる歴史群像という感じかな。骨太な絵柄によるガチンコなお話がなかなか読ませる。わりと今っぽい作品の多い雑誌だけに、こういう泥臭い劇画調の硬派な作品が1本あるのはいいアクセントになるんじゃなかろうか。小泉真理「ジンクホワイト」は最終回。美大を目指す受験生である主人公の生活を、過剰に演出することなく淡々と描いたお話はなかなかに心地よく読めた。ラストはもっとドラマチックになるかとも思ったけれども、このくらいのほうがこの作品らしいような気もする。単行本最終巻となる3巻は春ごろに発売予定とのこと。

【雑誌】ミステリーBst. 2月号 幻冬舎コミックス A5平

 作:加納朋子+画:碧也ぴんく「ささらさや」が好印象。夫を失い、赤ん坊と二人で寄り添って生きる若い未亡人が、亡き伯母の残してくれた想い出の地「ささら」へと向かう。ゆったりと優しく、ちょっと謎めいた展開も見せるお話に上品な絵柄がよくマッチしている。次号は羽海野チカが表紙。あと作:乙一+画:山本小鉄子の「暗いところで待ち合わせ」が別冊付録。いろいろなところで漫画化されてるなあ、乙一。

【雑誌】恋愛天国パラダイス 1月号 竹書房 A5平

 ちょっと遅ればせながら購入。池部ハナ子「可愛い彼」は、まるで女の子みたいな可愛い容姿をした彼氏を持つ女の子が主役。まあそんなわけで女装っぽいこともするけれども、あくまで関係としては男と女。アツアツカップルぶりが微笑ましく、きれいにまとまったお話。うまいですなあ。笹鳥小町「秘密はなしよ」。やっぱり絵がきれい。お話のほうも親友同士な女の子二人が一人の男を取り合うという修羅場的お話ならがも、軽やかに締めくくって後味のいい甘いお話に仕立て上げている。ラストの展開はなるほどね、という感じ。

【雑誌】エンジェル倶楽部 2月号 エンジェル出版 B5平

 奴隷ジャッキー「A wish〜たった一つの…を込めて〜」は、初詣の混雑の中で、主人公の憧れの女の子が痴漢されまくるというお話。相変わらずのもみくちゃ感、テンションの高さがいやらしい。副題のところに「first wish」と書いてあるところも見るとシリーズ化されるのかな?山本よし文「淫乱巨乳中出しアパート」は3回め。相変わらず凄いタイトル。なんだかさりげなく奇矯な隠れ方をして覗きをしている人がいるあたりが山本よし文らしい。

【単行本】「ガタピシ車でいこう!!」3巻 山本マサユキ 講談社 B6 [bk1][Amzn]

【単行本】「六本木リサイクルショップシーサー」 山本マサユキ 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 今年の山本マサユキの躍進ぶりは著しいものがあった。「ガタピシ車でいこう。」の1巻が出たのが5月。それからあれよあれよという間にもう4冊目。気楽な作風に見えるけれども、以前コミティアのカタログ用にインタビューさせていただいたときに、そのプロ意識の高さに驚かされた覚えがある。実際ヤンマガ系列の本誌、別冊とすごく精力的に活動していて、自分の居場所をしっかりと作り出していく様子には目覚ましいものがあった。

 で、本のほう。「ガタピシ車でいこう!!」のほうは安定株。とか思ってたら次巻予告に「こいつで最後だ!!」の文字が。やっぱり風林火山(今回は火の巻)で終わらせてしまうのね。実体験をうまい具合にお話の中に溶かしこんだ作風は見ていて非常に楽しかっただけに、もっと続けてもいいかな〜という気はするが。なお3巻には読切「R2救急隊」と、単行本限定描き下ろし連載の「香奈ちゃんとFIAT500」も併録。「香奈ちゃんとFIAT500」のほうは、めきめきラブコメ度が高まっている。

 「六本木リサイクルショップシーサー」は、就職に失敗した青年がクセモノ揃いのリサイクルショップに店員として引きずり込まれ、いろいろな騒動に巻き込まれるというドタバタコメディ。慌ただしく展開するお話はとても楽しい。後半の展開はわりと急速なのでちょっと驚いたけど。あと、スーパーハッカーな女子高生、トト子ちゃんのサービスシーンも眼福。山本マサユキ描くところの女の子はたいへん良い。ガリガリ描き込んでいるわけではないけど、パッと目に飛び込んで来るキャッチーさがある。ちゃんと目立つように演出してるな、と思う。なお「香奈ちゃんとFIAT500」はこっちにも登場している。

【単行本】「賭博破戒録カイジ」8巻 福本伸行 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 化物パチンコ台「沼」を巡る最終勝負が開幕。いよいよカイジも出陣し、ボルテージは最高潮。パチンコという、ギャンブラー側の動きが極端に少なく、漫画には実は向いていないんじゃないかと思える種目でも、ちゃんと読ませてしまうあたり進め方がうまいなと思う。まあ「カイジ」シリーズ自体は長くなりすぎた感もあるのだけど、飽きさせないで読ませるだけの工夫はちゃんとされている。


12/28(土)……抵抗器の町

▼外出しなかったので買えてない雑誌がちらほら。でもストックは十分あるのでまずはそちらから。とりあえず今年の本は今年のうちになるべく読み終えておきたいな〜。

【雑誌】近代麻雀 2/1 vol.430 竹書房 B5中

 福本伸行「アカギ」。今回はインターバルな回。で、次からまた新たな半荘に入るという感じ。相変わらず引っ張る引っ張る。そのように心の中でツッコミを入れつつも、つい読んでしまうのが福本伸行。

【雑誌】ヤングマガジンUppers 1/21 No.2 講談社 B5中

 新井英樹「シュガー」。ようやくリンの東京での落ち着き先が決まりそうな気配になってきて、ボクシングのほうも本格化しそう。久しぶりにリンが思いっ切り動き回るシーンが見られそうで楽しみ。押川雲太朗「不死身のフジナミ」。いよいよ決着……なのかな。まあさすがにそうなんだろうとは思うけれども。そしていよいよ次回で最終回。

【雑誌】ビジネスジャンプ 1/15 No.3 集英社 B5中

 作:北方謙三+画:井上紀良「水滸伝」の第三話が掲載。今回は林冲と安道全のエピソード。このシリーズは、井上紀良の力強い写実的なタッチとストーリーがよくマッチしていてなかなか読みごたえがある。次回は1月28日発売のBJ魂に掲載らしい。本誌と増刊を行ったり来たりみたいなのは追っかけにくかろうから、どっちかに集中してほしい気はする。作:近藤雅之+画:有賀照人「警視総監アサミ」。今号はアサミに痴漢してきた男が実は学生時代の憧れの人で……というネタで引っ張る。とか思ったら最終ページで脱力。相変わらずテキトー感がスゴい。

【雑誌】フラワーズ 2月号 小学館 B5平

 竹宮恵子が自身の京都精華大学での指導風景を描いていく「K子ちゃんの教授生活!?」を面白く読んだ。今回は鎌倉海水浴場が発行する本に掲載する80ページの漫画を、学生たちに描かせるべく指導していくというお話。こういう大御所的作家が後進のためのコーチとして動いていくというのは賛成だし、そのテストケースとしても興味がある。ただ、竹宮恵子はまだ作家として枯れ切ってるわけでもないと思うので、こういう指導でその時間をとってしまうのはちともったいないような気もしてしまったりする。

【雑誌】コーラス 2月号 集英社 B5平

 くらもちふさこ「+α」が最終回。このシリーズは最後まであまり引き込まれるものはなかったんだけど、まとめて読むと印象が違ってくるかも。単行本は「α」「+α」を合わせ、上下巻で3月発売予定。

【雑誌】メロディ 2月号 白泉社 B5平

 清水玲子「秘密」がいい。今回は125ページ一挙掲載。人間の脳内の記憶を映像として引き出し捜査に役立てる、科学捜査班の人々の苦闘と苦悩を描いていくシリーズ。連続殺人犯として死刑に処された男の脳を覗いて、初めて分かった事件の闇を描く。一歩一歩真実に迫っていく展開は読みごたえがある。取り扱っているテーマも重い。乱れのない澄んだ語り口には凄みもある。よしながふみ「愛すべき娘たち」は、大学の非常勤講師である主人公に、やたら無防備な娘さんが迫ってきてパニック……というお話。軽やかに楽しく読ませる話運びはとてもうまい。なお「メロディ5月号(3月28日発売予定)よりシリーズスタート!」という予告もあり。えーと「シリーズスタート」というのが何を意味しているのかよく分からないのだが、要するにこの「愛すべき娘たち」シリーズの新作が定期的に掲載されるようになるってことなのかな。「読切」という言葉の扱いもそうだけど、どうも少女漫画雑誌用語はいまいち分からないときがある。

【雑誌】LaLa 2月号 白泉社 B5平

 津田雅美「彼氏彼女の事情」。この二人は若いのに大恋愛してるなあと改めて思う。あと宮沢さんは人間ができてるな、とも。それにしても今回の前半部、宮沢が有馬のわだかまりをさらに引っ張り出して解放してあげるシーンは緊迫感があって良かった。

【雑誌】快楽天 2月号 ワニマガジン B5中

 第12回快楽天新人漫画王賞で王子様賞を受賞した鳴子ハナハルの2作目「紅い水」が掲載。病弱なご主人様のため、強化された臓器を持つ人造人間の少女が、人口透析器の代わりとして派遣される。戸籍も家族もない彼女に対してご主人様はしだいに情を移していくが……という物語。上品な絵柄、語り口はともに快楽天の誌面によくマッチしている。三浦靖冬に続いて、またいい若手が出てきたな〜という印象。巻頭カラー4ページは、中平正彦の「新世紀闘女伝説 あんずが行く!」。横暴なお父さんに対して、元気者の娘あんずちゃんが対抗〜というお話。なんか威勢の良い語り口と、馬鹿馬鹿しいオチが楽しい。エロはないけどね〜。

 かるま龍狼「てこきの町」。うまいなあ。なぜだか知らないが、町中の女の人が手コキが大好きで、日常風景の中に手コキが溶け込む不思議な町での出来事。ヘンなネタを楽しく読ませ、オチも利いている。直接的なセックスはせずともいろいろやりようはあるもんだ。北河トウタ「卒業〜my graduation〜」は、卒業を間近に控えた生徒が、憧れの女教師さんに筆おろしを頼んでみるがそれがきっかけで彼女の意外な一面が見えてくるというお話。二人の立場が逆転したあたりでの女教師さんの振る舞いがかわいい。あと今号にはSABA、つまりまあ朔ユキ蔵だ、の「練馬腐れ酒学園」が掲載。要するに「少女、ギターを弾く」が落ちたっぽい。そのわりにはやけに堂々とした漫画が6ページも。そして次号予告には読切「檄!放尿少女隊(仮)」というのが載っている。ちなみに次号では西安も初登場の予定。

【雑誌】ポプリクラブ 2月号 晋遊舎 B5中

 星逢ひろ「雪どけキッス」が巻頭カラー。仲の良い友達だった二人の初H……ということで、微笑ましく可愛らしい恋愛模様。でもおっぱいは巨乳。この人は絵柄がソフトでマイルドであるだけに、むしろつるぺたなのを描きそうなタイプに見えるけれども実はいつもわりと大きめだ。お話のほうも甘くていいねえ。


12/27(金)……遺憾!寝坊

▼ささやかに忘年会。12月に入ってから飲み会は初めて。しかもこのごろ酒を飲まなくても生きていけるということを発見したため、酒を飲むのも2週間ぶりくらい。さらに本日はカラオケにも行ったのだが、これも1年ぶりくらい。まあそんなこんながあったのでWebの更新が遅れてしもうたというわけですわい。

▼未読物
【雑誌】フラワーズ 2月号 小学館 B5平
【雑誌】コーラス 2月号 集英社 B5平
【雑誌】メロディ 2月号 白泉社 B5平
【雑誌】近代麻雀 2/1 vol.430 竹書房 B5中
【雑誌】ヤングマガジンUppers 1/21 No.2 講談社 B5中
【雑誌】ビジネスジャンプ 1/15 No.3 集英社 B5中
【雑誌】ポプリクラブ 2月号 晋遊舎 B5中

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 1/22 No.5 小学館 B5中

 上條淳士「8」が完全週刊化。……なんだけどここまではいまいち存在感が希薄だった。週刊化を契機に盛り返せるといいんだけど。三宅乱丈「ペット」は、謎の美女登場でまた事態は新たな方向へ。単行本1、2巻が1月発売になるんで一気に読み返すのが楽しみ。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 1/22 No.5 集英社 B5平

 作:乙一+画:小畑健「はじめ」の前編が掲載。二人の少年が想像の中で作り出した少女が現実に現れる……という不思議なお話、といったところか。「ヒカルの碁」の小畑健が作画ということで、非常に洗練された美しいお話になってる。うーん、やっぱり原作読んでみないとなあ。そういえば乙一は少年エースでも大岩ケンヂが漫画化してたけど、そこらへんけっこう積極的な人なのかな。鈴木央「Ultra Red」はちょっとラブ的展開?

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 1/17 No.2 小学館 B5中

 安田弘之の新連載「先生がいっぱい」がスタート。中学校を舞台に、アクの強い教師たちがいろいろしでかすギャグ漫画というところか。わりとほのぼのしてます。土田世紀「ギラギラ」(原作:滝直毅)。けっこう面白い。ライバル店にホストたちを引き抜かれ、補充のために公平が動き出す。ホストというテーマではあるけど、ナヨっちくなく男っぽい展開。カッコイイじゃないすか。

【雑誌】コミックバンチ 1/13+17 No.4+5 新潮社 B5中

 今号はけっこう面白いな。まず3号連続集中連載、深谷陽「スパイシー・カフェガール」が掲載。以前読切で登場した作品の続きで、主人公は小さなタイ料理店で下働きをしているテツヤという男。今回はその料理店に素性の知れない外国人の少女が預けられるが、彼女はなんかワケアリであるらしい……という出だし。いろいろといわくがありそうだが、この少女のふとした笑顔とかとてもいいし。今後の展開も楽しみ。柳川喜弘「眠狂四郎」。鼠小僧の生き様を描いた今回のエピソードはけっこう泣けた。おおつぼマキ「貧民の食卓」は平和に最終回。こういうお気楽な息抜き連載は、次も何かしら用意しておいてほしいものだが。坂本タクマ「屈辱er大河原上」は、大河原上の年末大掃除の模様。数々のゴミとともに蘇る屈辱の1年間。なんだか大河原上は自ら意味もなく屈辱を呼んでいる。よく分からない踊りに思わず笑ってしまう屈辱。

【雑誌】ヤングアニマル 1/10 No.1 白泉社 B5中

 スッキリした絵柄で叙情的な良いお話を描く宮野ともちかの短期集中連載、「ゆびさきミルクティー」がスタート。今回の主人公・由紀(ヨシノリ)くんは一見普通の男の子。幼なじみで大切にしているひだりちゃんという妹分的な存在もいる。でも秘かに女装に憧れる性癖があり、バイト先の店長に頼まれてモデルをやったりもしている。そんなこんなな環境で巻き起こる出来事を描くという感じのお話。とりあえず第一話はトキメキたっぷりに展開。まずは期待。関崎俊三「ああ探偵事務所」。今回の依頼者というか犯人というかな人は、小学生のころ女教師と恋仲にあった少年。7年ぶりにその女教師を見つけた彼は、再び彼女とコンタクトをとろうとするが……。なんか甘酸っぱくて良い感じ。文月晃「藍より青し」。だいぶシリアスな展開。どうでもいいことだが、ぶっちゃけた話、身体の相性で選ぶとかどうかなあ。全員いっぺんくらい試してみてはいかがか。

【雑誌】阿ウン 2月号 ヒット出版社 B5平

 魔訶不思議「不適切な関係」。たいへんエロくてよろしいと思います。純情な少年が同級生の女の子に告ったところ、そこにしゃしゃり出てきたのは彼女の兄。そしてその兄貴にぐるぐる巻きに縛られた後、兄妹のセックスを見せつけられる……という展開。エロシーンがみっちり濃厚であるうえに、羞恥・露出的なエッセンスも加わっている。兄貴のキャラが一見イケメン的なんだけど、いってることがかなり変態的なのも良い。大井はに丸「lose」は新連載。女子がはいていた10枚のパンツを手がかりに、その持ち主を見つけたら彼女を卒業まで自由にできる、という学校内で秘かに行われるエロっちいゲームを描く。1話めからこの人らしいジューシィなエロエロシーンが満載でなかなか期待が持てる。

 かたみこいみずえ「GHOST BOOSTERS」。未練が執着になって成仏できなかった兄が、その妹さんとHなことをするというお話。おっぱいの描き方がむっちりしてて好みだなあ。わたんかづなりはすっかり阿ウンに定着気味。「やる気の薦め」の主人公はドジな社長秘書。まあそんなわけで取引先の会社の社長に、あれやこれやあった後、エロエロ接待ということで。この人の描くエロシーンは相変わらずズンズン昇り詰めさせるという感じでテンションが高い。

【雑誌】コミックミニモン 2月号 東京三世社 A5中

 ほしのふうた「球あそび」。まあ今回もいつもながらに少女が元気良さげで可愛いのです。今回はサッカーボールで一人遊んでいる女の子の話。半ズボンがキュート。興津惣介「苺狩り」は、これまで不幸なことばかりだったいちごちゃんに、ちょっと頼りになる男子のおともだちが。甘酸っぱい子供恋愛な回だが、次はまた暗転しそうな気配。


12/26(木)……推理苦慮紆余

▼秋葉原のとらのあなとゲーマーズに行ったら、どちらにも「新世紀エヴァンゲリオン」7巻のフィギュア付きバージョンが売ってた。売れ残ったら来年のクリスマスに回したりするんだろうか。

▼あ〜ん、年末単行本ラッシュ〜♥

▼未読物
【単行本】「完全版野望の王国」5巻 作:雁屋哲+画:由起賢二 日本文芸社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「NANASE」3巻 山崎さやか 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「しあわせ団地」5巻 蓮古田二郎 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「賭博破戒録カイジ」8巻 福本伸行 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「おやすみなさい。」8巻 小田原ドラゴン 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「ガタピシ車でいこう。」3巻 山本マサユキ 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「六本木リサイクルショップシーサー」 山本マサユキ 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「ピルグリム・イェーガー」2巻 作:沖方丁+画:伊藤真美 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「警視正大門寺さくら子」4巻 作:大西祥平+画:高橋のぼる 小学館 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「MOON LIGHT MILE」5巻 太田垣康男 小学館 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「昴」11巻 曽田正人 小学館 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「宇宙賃貸サルガッ荘」2巻 TAGRO エニックス A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「皆殺しのマリア」1巻 作:TKD+画:竹谷州史 エンターブレイン A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「アイシールド21」1巻 作:稲垣理一郎+画:村田雄介 集英社 新書判 [bk1][Amzn]
▼早売り(27日)
【雑誌】コミックミニモン 2月号 東京三世社 A5中
▼早売り(28日)
【雑誌】快楽天 2月号 ワニマガジン B5中
【雑誌】阿ウン 2月号 ヒット出版社 B5平

【雑誌】少年エース 2月号 角川書店 B5平

 作:GAINAX+画:貞本義行「新世紀エヴァンゲリオン」は新章スタート。いつもだったら「あの人も登場」とかボカして書くけど、今回は表紙に「渚カヲル降臨!!」とか書いてあるんでその必要もないですな。吉崎観音「ケロロ軍曹」は5人めのエピソード。勢揃いしてどんなことが起こるか楽しみ。安定して楽しめる。作:乙一+画:大岩ケンヂ「GOTH」は、猟奇殺人を巡るミステリアスなお話。乙一はそろそろ読んだほうがよかろうなあとは思っているのでそのうち挑戦したい。漫画のほうも絵はうまいし、お話のほうもキレ良くまとまってて面白くできていると思う。祭丘ヒデユキ「水陸両用学園−僕達のアビス−」は、もちろん「強襲揚陸学園」のシリーズ。「今度こそ本当に最終話」とあるけど、なんかまたやってくるんじゃないかという気もする。なお今回の内容は、強襲揚陸学園にある全長1km以上で溺死者が相次ぐプールでの出来事。季節なんかまったく考慮しないでいつもながらにメチャクチャな展開。ちなみにレイプはいちおうしません。

【雑誌】モーニング 1/10+16 No.4+5 講談社 B5中

 作:西村ミツル+画:かわすみひろし「大使閣下の料理人」。今回は色っぽい秘書とかは抜きにしていいお話。きっちりまとまってるし、江口の活躍も頼もしい。石川雅之「週刊石川雅之」は今回で10回終わって最終話。毎回気の利いたギャグをきれいにかましていた。これだけコンスタントにやれるってのはけっこう大したもんだと思う。週刊誌で10回やる、というのもいい経験になったんじゃなかろうか。これを機にずいずいとのし上がっていってほしいもの。単行本もちゃんと出るといいなあ。佐藤真冬「プー太郎エヴリデイ」は、職にもつかずやる気のない男の生活を飄々と描いたコメディ。線は垢抜けないけどテンポ良く楽しんで読める作品だった。最初っから最後までまったく変わらないリズムが独特の読後感を残す。

【雑誌】ヤングサンデー 1/13+16 No.4+5 小学館 B5中

 ゆうきまさみ「鉄腕バーディー」が開始。作品としては力が入ってそう。最近のヤングサンデーは、だいぶ少年サンデーのヤング版化が進んで来た。これはもういっそあだち充も呼んで来るといいかもしれない。あの人はそろそろ少年誌よりも青年誌に行ったほうがいいころだと思っているので。

【雑誌】ヤングジャンプ 1/13+16 No.4+5 集英社 B5中

 作:金成陽三郎+画:山口譲司「ミステリー民俗学者八雲樹」は新シリーズ「わらべ謡殺人事件」に突入。今回は田舎の村での神隠しネタ。金成陽三郎お得意のパターンといったところでしょうか。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 1/23 No.4+5 秋田書店 B5平

 高橋陽一「ハングリーハート」第8話が掲載。なんだか高橋陽一先生の生声を聞けるというテレホンサービス「ハングリーハート・アニメダイヤル」というモノが始まってて絶句。ちなみに略称は「HH・AD」らしい。八神健「ななか6/17」はそろそろ決着が近いのかな。まあ雨宮さんは悪いようにしないでほしいもの。今のままじゃかわいそすぎるし。

【雑誌】別冊あすか Vol.1 角川書店 B5平

 高口里純「花のあすか組! VERSION 2003」と酒井美羽「その男、ワガママにつき+」がメインの別冊。「なつかしくて新しいプチレトロ・コミク」と書いてある。でも目当ては紺野キタ「天使のはしご」。病弱で八方美人だが自分には憎らしげな態度をとる姉・はると、その妹・みお、二人の少女の姿を描いた物語。自分に面倒をかけ続けるが周りからの好意を受けているはるに対し、みおは複雑な気持ちを抱いているが、その想いを嫌ったらしくなく写し取っていく澄んだ描写力はさすが。でも次号予告には名前がない……。

【単行本】「殴るぞ!」2巻 吉田戦車 小学館 A5 [bk1][Amzn]

 普通に4コマギャグ漫画としてすごく面白いと思う。単純に笑える。「伝染るんです。」みたいなスターキャラは確立できていないので多少地味な印象はあるけれど、ギャグは練れてるし、吉田戦車ならではの言語センスも光ってる。あと毎回ある1コマスペースのヘンな広告もいい。ただ130ページ弱というページ数はちと少なすぎはいたしませぬか、と思う。

【単行本】「肉嫁」 みやびつづる 司書房 A5 [Amzn]

 こりゃまさにみやびつづるですなあ、と思うお話だった。この単行本は短編集でなくて続き物。みやびつづるに期待されている、人妻、熟女、調教……という要素がてんこ盛りで非常に濃密な世界。

 地方の横溝正史的世界にありそうな旧家で、なんかやけに絶倫の家長・富蔵が息子・一郎の嫁であるみつ子さん(および自分の妻)を激!色責め中。それを目撃していた息子の弟・光ニがそれに興奮して、いみつ子さんを自分のモノにしようと迫る。んでもってお話は親父譲りの絶倫である光ニのペースで巨乳人妻をねっちり調教……というのをメインに進んでいく。光ニは顔はもっさり、しかもデブ。たいへん垢抜けない田舎のにーちゃんといった感じの容貌なんだが、それがもうねっちりみっちり、暑苦しくエロエロに熟れた人妻を責めまくるわけだ。実は隠しキャラとしてロリ系のも一人いるけど、まあみやびつづるだけにそれはあくまで添え物。基本的には熟女責めを激しくいやらしく。ただお話としては一本調子で途中でダレてたりもするし、作者あとがきでも「お話が最後まで決まっていたので作業的になってしまった」みたいなことが描かれている。エロ責めのコアが巨根・ザ・グレートに集約されてしまっているので、やはり単調になってしまうのは否めないか。個人的には多人数責めとか媚薬とか羞恥プレイとか、そういう変化球ももう少し駆使してほしかったところではある。


12/25(水)……チンピラ御坊

▼未読物
【雑誌】LaLa 2月号 白泉社 B5平
【雑誌】別冊あすか Vol.1 角川書店 B5平
【雑誌】恋愛天国パラダイス 1月号 竹書房 A5平

【雑誌】IKKI 2/1 Vol.13 小学館 B5平

 次号、2003年2月25日から月刊化。ズバリ、アフタヌーンとぶつけてきましたな。正直なところ同日発売はうえ〜という感じである。こんな重くて内容が濃くてページ数の多い本を1日のうちに2冊も読んでそのうえ感想も書くなんて!このうえ月末発売のエロティクスFとかが重なったりしたりしたら考えるだに恐ろしい……と白々しいことを書いたが、まあ分散してくれるほうがありがたいことは確かだ。個人的な希望をいわせてもらえば、ほかに月刊誌があんまり出ない3日とかにしてくれるとうれしかった。まあウルトラジャンプ、サンデーGX、チャンピオンREDが重なる19日じゃなかっただけマシではあるんだけど。

 それはまあともかくとして、このゴリゴリに気合いの入った誌面が月刊化でどのように変わっていくのかは楽しみ。次号以降の予告を見ると竹下堅次朗(原作:取山忠治)、山本直樹、ジョージ朝倉、さくらももこ、カサハラテツロー、五十嵐大介、本秀康、しおざき忍と、相当なメンツが並んでいるので内容が薄くなる心配はとりあえずなさそうだ。ところで2002年を振り返ると、今年は小学館の年だったな〜という印象がある。このIKKIもそうなんだけど、ビッグコミック系列の雑誌が軒並み面白かった。出版不況の中で他社が冒険できなくなっている分、手堅く読める漫画を数多く揃え、かついろいろなテコ入れも行った小学館の層の厚さがじわじわと威力を発揮してきた感じ。まあこれはあくまで読者として読んだ内容から見た印象で、セールス的なこと、経営的なことは全然知らないけど。

 で、今号はまず原一雄「のらみみ」が新連載。ドラえもんとかみたいな居候型キャラクターがやたらいっぱいいる世界を舞台に、彼らおよび居候される側の生き様を描いていくというお話。原一雄は、きっちりしたほのぼの風味の描線でなかなか味のある作品を描いており、最近自分内注目度が高まりつつある。今回の居候先に悩むクマの物語もユーモラスで良かった。木葉功一の読切「フルーツ」は、人を殺すことを生業としている女性・桃(タオ)の付き人としてやとわれている青少年が主人公。桃についてはその雇用先の組織が、付き人に対し肉体関係を持たないよう規則を定めており、それを破った場合は命を奪われる。しかしダメだとは分かりつつも少年は彼女に惹かれていってしまう。殺意とあどけなさが共存する危ないバランスの描きようが見事な一本。

 黒田硫黄「セクシーボイスアンドロボ」は、ちゃんと文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞受賞のおしらせが間に合ってる。今回出てきたおねえさんはなかなかいろっぽい。セクシーウーマンアンドセクシーボイス。そのほか連載陣、松本大洋「ナンバーファイブ」、林田球「ドロヘドロ」、菊地直恵「鉄子の旅」、小田扉「スペース・アポロジー」その他もろもろ、いろいろ安定して面白い。厚さは今回ちょっといつもより薄めだが、ボリューム的にはこのくらいがちょうどいいかも。

【雑誌】アフタヌーン 2月号 講談社 B5平

 一時期はかなり低調気味だったアフタヌーンだが、最近はかなり盛り返し気味。雑誌で読んで面白い作品が増えてきた。IKKIが強力なライバルとして立ちはだかってきたのもいい刺激になっているのではなかろうか。こういう競争は好ましい。次号では岩明均の新連載が開始し、田中ユキの読切も掲載される。ここらへんは楽しみ。

 まずは漆原友紀「蟲師」がシーズン増刊からお引越。蟲たちを含む自然を美しく描写し、そこに人間の想いをからめる丁寧なエピソード作りはこちらでも健在。隔号連載とのことなのでクオリティも当面は落ちそうにないし、ある程度のボリュームでかつ一話完結形式だから雑誌を初見の人でも入っていきやすい。本誌においてもいい戦力になっていくと思う。木尾士目「げんしけん」のヌルいオタクテイストも、ハードなお話ばかりでは読みにくいので、雑誌全体の中でいいアクセントになってる。

 高橋ツトム「爆音列島」。暴走族モノというと抵抗のある人も多かろうけれども、自分は意外と好き。この連載はちょいと昔の、1980年代くらいの風俗とかを絡めて生っぽくゾクになっていく少年の生態が描かれており個人的には興味深い。今回はステッカーを買えといわれた兄ちゃんが「『成りあがり』買っちまって金ねェんだよ」と答えるシーンがなんか好き。五十嵐大介「リトル・フォレスト」はつきたての柔らかいおもちがおいしそう。私も齢30になってようやく納豆が普通に食えるようになりました。芦奈野ひとし「ヨコハマ買い出し紀行」は、ココネと親しげなアルファさんにちょいとジェラシー抱き気味な丸子さんに対し、いつもと違うアルファさんの一面が発揮される。たまにはこういう立ち居振る舞いも新鮮でいいですな。物語全体としてはこれからもいつも通り続いていくのだろうけれども。一條裕子「蔵野夫人」は最終回だが、最後の最後でこういうネタをかましてくるとは意表をつかれた。さすが一條裕子は一筋縄ではいかない。

 小田ひで次の読切「きんぴら」は、妙に男を惹きつける魅力を持った少女に、ヒモをやってる主人公らが振り回されるというドタバタ劇。これまで小田ひで次が描いてきたお話とはテイストが異なるものの、しっかり読ませることに変わりはない。岡崎二郎の読切シリーズ「緑の黙示録」も掲載。シリーズ4話めだが、これはあと1話か2話やったら単行本出るくらいの分量になるかな? 今回も植物学的な知識をうまいことからめてまとまったエピソードを作り上げている。職人だなー。四季賞秋のコンテスト入賞作、吉永龍太「死神DJレッド・ホット・チリペッパー」。不良どもを撲滅したいという自治体の依頼を受けて、凄腕DJがハーメルンの笛吹き的に活躍。ところでこの作品内に出てくる「M市」って町田市だよなー。町の風景からしても間違いなく町田だ。さすが関東南部有数のオタク都市。

【雑誌】マンガ・エロティクスF Vol.19 太田出版 B5平 [Amzn]

 鬼頭莫宏がピンナップで登場。山本直樹、松本次郎、小田扉も描いているので、アフタヌーンとIKKIの後に読むとデジャヴな感じ。さらに次号では沙村広明も新連載を始めるという。このほか藤原薫、よしながふみも連載開始予定。

 志村貴子「どうにかなる日々」。今回は百合なお話。かつて二人の女の子と恋仲にあった百合という名の女性が結婚し、その式のときに残された二人が知り合いくっついちゃうというお話。似た者同士が寄り添い相性も抜群。描きようによってはいくらでもベタベタにできるネタだと思うけれども、軽やか鮮やかに料理、きれいに盛りつけて見せるあたりうまいなあと感心。砂「新聞記者 涼子」。久々の涼子シリーズ。新聞記者の涼子が真実を世に伝えるため、アナルを掘られている状況でも口で状況をレポートするという特訓を受ける。1ページぶち抜きのコマの前に、コーチ役の男が見せるタメが妙なテンポを作ってて面白かった。あと例の機関銃のごときセリフの乱射も健在。やっぱりインパクトあるなあ。

 松田洋子「赤い文化住宅の初子」は第2回め。不幸な少女の恋愛ストーリー。木造住宅のじめじめしたいじましい雰囲気がよく出ている。最終ページがわりとほのぼのしているのはホッとする。これはしばらく続けた後、一気読みするとかなりいい具合になりそうな作品という気がする。雁須磨子「へるもんじゃあるまいし」。ああ、本当にリズムが独特だなあ。主人公の女性はストーカーにつきまとわれてたり、しかもそれが自分が悪いからであるっぽいのに、なんかあんまり深刻になりすぎない。ほわほわ浮き世離れしている。不思議だ。比古地朔弥「背中合わせのリルケ」は、駅のホームにある椅子で詩を朗読している少女と、その裏側の席でじっとそれを利いている少年の初恋物語。エロチックでもあり美しいお話でもある。最終ページの構図なんかはゾクゾク来た。やはりこの人はとても漫画がうまいと思う。

【雑誌】スーパージャンプ 1/8 No.2 集英社 B5中

 宮下あきらの読切シリーズ「天下無双」は、江田島平八の若き日を描いていくというもの。これからときどき登場することになるんかな。ちなみに今号は「暁!!男塾」との2作同時掲載。

【雑誌】ビッグコミック 1/10 No.1 小学館 B5中

 作:鍋島雅治+画:はしもとみつお「築地魚河岸三代目」を読んでいたら、無性に越前に行ってカニが食いたくなった。物凄いカニスキーってわけでもないんだけど、これはうまそうだ。あと今回は青柳プロダクション「まぐろ土佐船」(原作:斎藤健次+協力:上農ヒロ昭)も掲載で、魚系が充実。

【雑誌】週刊少年サンデー 1/12+15 No.4+5 小学館 B5平

 雷句誠「金色のガッシュ!!」がアニメ化決定で、表紙&巻頭カラー。アニメは2003年4月からスタートのこと。現在の少年漫画誌の中でも有数の良作だとは思うけれども、終盤の展開がまだ全然見えてないので、まだ時期尚早なのではないかな〜という気がしなくもない。井上和郎「美鳥の日々」は誰もが気になっていたであろうお風呂のときどうしているのかというお話。

【雑誌】週刊少年マガジン 1/10+15 No.4+5 講談社 B5平

 杉山真弓「つんく♂物語」が掲載。今回は「モーニング娘。」増員に関するエピソード。このシリーズ、漫画としてわりと普通に面白いと思う。個々のメンバーが似てるかっつったらあんまり似てないけれども、まあそれはいいんだ。


12/24(火)……ビニール細に入る

▼bk1が11月18日〜25日というスケジュールでクリスマスフェアというのをやってて、その間に届いた本には「オリジナルビニールバッグ」なるもの(要するにbk1のマークが描かれたビニール袋)が付いているのだが、これが40cm×50cmくらいとサイズがデカすぎていまいち使い途がない。でも捨てるのは惜しいような、とか思ってたらなんかもうもりもりたまってしまった。今数えたら18枚あった。それでなくとも毎日のように予約した本が届くので、梱包用の段ボールやら厚紙パックやらもがんがん蓄積されていく。何か良い利用法を考えねば。とかいって捨てないで取っておくと部屋が段ボール帝国になっていってしまうんだけど。

▼早売り(25日)
【雑誌】アフタヌーン 2月号 講談社 B5平
【雑誌】マンガ・エロティクスF Vol.19 太田出版 B5平 [Amzn]
▼早売り(26日)
【雑誌】少年エース 2月号 角川書店 B5平
【単行本】「肉嫁」 みやびつづる 司書房 A5 [Amzn]
▼早売り(27日)
【雑誌】ヤングアニマル 1/10 No.1 白泉社 B5中

【雑誌】漫画アクション 1/7+14 No.1+2 双葉社 B5中

 新シリーズ、矢口高雄「愛蝶記」の1回めが掲載。趣味が原因で妻と離婚し、子供とも離れ離れになってしまった男のエピソード。この人の自然描写はやはり美しいなあ。あと採集シーンとかも、何か胸踊るものがある。石原まこちんも新連載「カワラバーン」。今回はリストラされた親父と、その息子の会話。この雑誌でもじんわりとした面白みを発揮していきそう。柳沢きみお「翔んだカップル21」では、親も子供もラブコメ中。なんだか微妙なつかず離れずの距離感の描き方が適度かつ軽妙でやっぱり面白い。

【雑誌】漫画サンデー 1/7+14 No.1 実業之日本社 B5中

 先週号で再開した作:ひじかた憂峰+画:松森正「湯けむりスナイパー」は初詣のエピソード。静かで渋い。旅館の従業員がデジカメ使ってたのがなんとなく意外。

【雑誌】ヤングチャンピオン 1/14 No.2 秋田書店 B5中

 ひのき一志の新連載「ツインテール」は、主人公のリンという男子が実はアイドル候補の生き別れの兄で、ある日突然再会。顔がそっくりなもんだからときどき入れ替わったりしてアイドルとHな体験をしたりするといる、萌え系エロコメといったところ。なんか妹が採用されるアイドルグループの名前が「ロリフリ」で、「フィーリンフィーリンフィーリンループ 私のフリルが感じるの」とか歌ってたり、アイドルのおっかけをやってる主人公が「うおおーっ俺もフリルを感じるぜー」とか叫んでたりするあたり、なんかヘンテコな路線を路線を狙ってるんだろうか。微妙な場違い感もある不思議な作品。隔号連載になるとのこと。

 それからいとう杏六が読切で登場。以前週刊少年チャンピオンで「東洋妖人伝 用神坊」を連載していた人。今回の「ちずるサスペンス」は、犯罪心理学を学んでいる女子大生が、実際の事件の現場に乗り込んで自分の推理を試してみるというお話。24ページと推理モノとしては短いながら、ちゃんとヒネリもあるししっかりまとめている。この人は一話完結タイプの話を作るのがうまいなーと思う。

【雑誌】Hip&Lip VOL.3 ワニマガジン B5中

 ヌードグラビア+漫画という最近のワニマガジンのお得意パターンな雑誌。漫画執筆陣は桐生知彦、西安、やまのべきった、飛龍乱、麻生我等、越野卯月、武林武士、たこりーな画伯、いのうえたくや。この中ではやまのべきった「体操のお姉さん」で、熟れた身体の持ち主の体操のお姉さんが、慰問先の老人会の集会所で、老人たちにメロメロにされていく様子がなかなかいやらしくて良かった。西安「噂の心臓」は、淫乱という噂を流されている保健室の女医と男子生徒のエピソード。彼女の悪戯っぽい表情、それから爽やかに締めくくられるお話が好印象。相変わらず描線はシャープでカッコイイです。飛龍乱の「わーきんぐうーまん」は女上司モノ。こっちも大人の女性の色香が漂ってて好きなタイプの作品。

【単行本】「えの素」7巻 榎本俊二 講談社 A5 [bk1][Amzn]

 今回も下品でセンス良くて面白くはある。でもスピード感がいつもよりないかなという気もした。あと葛原さんと菖蒲沢さんの出番はもう少し多いほうが良いと思った。

【単行本】「DEAD SPACE」2巻 SUEZEN 幻冬舎コミックス B6 [bk1][Amzn]

 SUEZENの描く女性は色っぽいなあ。吊り目の流し目にゾクゾクするようなお色気が。とくにこの巻では、山奥の辺鄙な村で暮らす女郎の娘・乕(とら)が、少女から女へと成長を遂げていく過程を描いた「神隠しの章」がとくにいい。子供らしい表情からふと覗かせる艶にドキッとさせられる。子供っぽく描けているのに同時の女っぽくもあるんですな。

【単行本】「イケてる2人」14巻 佐野タカシ 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]

 すごく安定してますなあ。パンチラとかHなサービスに目が行きがちだけど、学園ラブコメとしても爽やかでいいお話だと思うんす。女性陣もいいのだけど、馬鹿でスケベだけど元気が良くて思いやりもある佐次の男らしさが爽やかで頼もしい。

【単行本】「甘美少女」 おがわ甘藍 松文館 A5 [Amzn]

 最近の松文館の本は、例の逮捕事件以来、作品内容よりも修正のドギツさに目が行っちゃうようなモノが増えて来つつあったのでちょっと心配していたが、この本は意外にも修正が薄かった。引いたカットでのタテスジ程度だったら無修正なコマもあり。

 で、この単行本でもおがわ甘藍らしく、可憐な少女の肢体が非常にエロチックにねちっこく描かれていていやらしかった。声をあげるときにおもわず人差し指を下唇にあてたり、自分の髪を口に含むことで声をかみ殺すなど、なんかもう今どきの娘さんらしくないおしとやかな動作がたまらない。ほっそい身体をくねらせて、快感にたえる恥じらいのポーズがなんともエッチいのだ。線自体もまろやかさが増して来ているような。あとセリフの大仰さとかも独特の味がある。「時には(手が滑って)薔薇水晶の如き乳首に指が触れる事があってもこれ全て仕事熱心であるが故」とか。こういう男側のねちっこいセリフ回しが、少女たちの可憐さをさらに引き立てているような気がする。

 あとストーリー面では前中後編の3話構成の「チェンジング・ツアー」が良かった。ロリコンで少女たちをさんざん金で買っていた男が、その金の力で一週間限り、自分の人格を少女の身体に移し替えるという体験をするというものだ。つまり今まで犯す側だったほうが犯される側に回るという体験を描いているのである。「願わくば自分自身が少女になってしまいたい」という偏執的な欲望、そしてほろ苦い結末は、単純な「少女をやれて嬉しいな〜」といった作品とは一線を画している。「少女の身になって考えてみろ」というのを本当にやっちゃっている作品といえる。


12/23(月)……妹ともいう

クリックで拡大 ▼この3連休はちゃんと休めたので、雑誌の切り抜き作業にいそしむ。切り抜いたモノについては封筒に入れたうえで本棚に収納しているのだが、そろそろそちらもだいぶ埋まってきた。この本棚はこれまで単行本を収納していたもので、切り抜きが増えるたびに単行本を少しずつほかに移し棚を切り抜きに割り振るようにしているのだが、あふれた分の単行本をどこに収納するかはいつも悩ましい問題だ。ちなみに写真(クリックで拡大)は現在の切り抜き用本棚の様子。茶色く見えるのが切り抜きの入った封筒。いちおうアカサタナ順で並べてある。現在は180cm高90cm幅の本棚の3分の2を使っている状態。以前は切り抜き頻度が今よりも低かったし、切り抜かずに丸のまま保存している雑誌もけっこうあるので分量はこの手のマニアとしては少なめなほうなのではないかと思う。だからまだいちおう整理はできている。

 ちなみにこれまでの実績からいうと、90cm幅が2列になっている本棚の場合、一つのブロックに並べられる単行本は大体25冊。それを前後2列にするので1ブロック50冊。180cm高90cm幅の本棚の場合、このブロックが12個あるので、収納できる本は計600冊+α程度。自分の購入冊数を数えてみるとだいたい年間700冊くらいなので、1年間につき本棚が一つずつ埋まっていくぺースということになる。ということは5年で本棚を5個増やす必要があるわけで、いくら実家住まいとはいえそれはちょっと無茶だ。これにさらに雑誌も加わるわけだから、対策はどうしたっていずれ考えなければならない。……売るしかないのかなあ。

【雑誌】ヤングマガジンUppers 妹増刊 1/20 講談社 B5中

 氏家卜全「妹は思春期」と堂高しげる「全日本妹選手権」からのより抜きを中心とした増刊。でも考えてみると両方とも妹をギャグとして使ってるけど、真っ正面から妹萌えな作品でもないので、吉田基已「恋風」みたいな破壊力のある作品が一つ欲しかったところではある。でも本気で妹萌えでハァハァってな作品で埋め尽くしちゃうと、けっこう引いちゃう人もいるのかもしれない。まあ妹については「俺は女きょうだいがいるので萌えねえっ!」という人もけっこう多いだろう。しかし妹萌え系作品に対しては、自分内に「バーチャル妹萌え兄人格」を構築し、それを駆使して読んだほうが得であろうと思う。その他もろもろのフェチとか萌え系なモノについても同様。だってそっちのほうが楽しいから。

 で、今回の柱となった両作品については、「妹は思春期」のほうはわりと小ネタ系の4コマ漫画なので正直たくさんあると読むのが面倒くさかった。「妹選手権」のほうは展開がダイナミックで読みやすいな、と思う。本の作りとして前半に「妹は思春期」、後半に「妹選手権」をまとめているけれども、小分けにして少しずつ交互に配置していくほうがリズムが出て良かったのでは。なお漫画についてはこのほか、遠藤浩輝と小野寺浩二、西本英朗英雄が執筆。さすがに小野寺浩二は自家薬籠中にあるネタなので面白い。

【雑誌】ヤングキング 1/20 No.2 少年画報社 B5中

 花見沢Q太郎「ももいろさんご」。今回はとてもH。後輩の女の子の目を意識しながらの羞恥プレイっつー感じがなんとももどかしくてよろしいかと。吉野ケイイチ「CHICKEN DAYS」は今回もラブコメ度高くて良かった。垢抜けてないところがいいのです。

【雑誌】近代麻雀ゴールド 2月号 竹書房 B5中

 今号の表紙はけっこう強烈で思わず笑ってしまった。そんなわけでせきやてつじ「玄海麻雀太陽傳 おうどうもん」。強敵「毒蛇」の底知れぬ迫力にケンタは圧される。ハッタリがよく利いててなかなか面白い。アツいいい表情描きます。

【雑誌】トラマガ Vol.3 英知出版 B5平

 今号から「ジャイアントロボ誕生編」の連載が開始。原作:横山光輝+作画:富士原昌幸+脚本:伊達拳星という組み合わせ。もともとの原作ではなく、「ジャイアントロボ THE ANIMATION」のほうがベースになった別ストーリー。まだ1話めなんでどうなるか分からないけど、とりあえず絵はもう少し横山ライクなほうがいいなあ。作:斎藤惇夫+画:一色まさと「ガンバ! 〜冒険者たち〜」は、忠太がやってきてノロイのことを告げるまで。こちらは絵がかなりアニメ版に近くて違和感なし。楽しみに読んでいる。

 あと今号には、すがやみつる「ゲームセンターあらし」、のむらしんぼ「とどろけ!一番」、桜多吾作「釣りバカ大将」をまとめた小冊子が付いている。こういうことをやっていながら本誌のほうに、末松正博「右曲がりのマイ・ダーリン」や「アニメーション制作進行くろみちゃん」「十兵衛ちゃん”シベリア柳生の逆襲”」が載ってたりするあたり、この手の懐かし系な路線を狙った雑誌の中でも飛び抜けて混沌とした不思議なラインナップといえる。

【単行本】「マル被警察24時」 小田扉 実業之日本社 A5 [bk1][Amzn]

 無事単行本になってホッとした。マンサンで週刊連載されていた刑事モノの作品。1話4ページで全50話。最初は初の週刊連載ということでどうかと思ったが、最後までまったく息切れしなかった。最初は老刑事の赤山と、若くてちょっと抜けた黒川のコンビによるおとぼけギャグ漫画であった。それがしばらく続いた後、ラストに向かって15話分くらいはシリアスっぽい刑事ドラマとなっていく。序盤のお気楽展開は笑えるし、後半のシリアス展開がこれまたいいのだ。渋さの中にも飄々とした小田扉ならではの風味がある。そしてけっこう感動させられもしてしまう。最後のほうはとくに老警察犬のホルモンがいい味を出してくる。なんか見ていてすごく楽しい。小田扉の描く犬の表情はとてもいい。あと悪役であるマカナイと過原。これもシブい。連載当時、女性刑事「藤蜂子」のことをずっと「藤峰子」と勘違いしていたのも今となってはいい想い出だ。

【単行本】「生きなさいキキ」4巻 ジョージ秋山 実業之日本社 A5 [bk1][Amzn]

 最終巻まで読んでみて、改めてイカれている、というか作品の壊れっぷりにあ然とする。3巻では小学生だったキキは、この巻では17歳になっていてビッグハウス商事という会社の社長に収まっている。しかもなぜか幼妻もいる。この幼妻が物語に対して果たす役割。それはハッキリいってゼロだ。だって、例えば161ページ。1コマめで幼妻が「あっあなたお帰りなさい」っていっているのに、キキは3コマめで「あれっ町子は?」と不思議がる。2コマ前にデカデカと描かれているこの顔が不自然にデカい幼女は幻なのかー、という具合に存在感がない。しかもその後物語は100ページ以上続くのに、1コマたりと登場せず言及もない。このほかにもいろいろ何がなんだかな描写だらけなので、細かい不整合性とかは本当にどうでも良くなってくる。そして最後はもう放り投げるようにブチッと終わる。まあハッキリいって物語としてはぶち壊れている。でも情念はやたらドロドロと濃い。得体が知れない迫力がある。怪作といって間違いない。最近ジョージ秋山は、ビッグコミックオリジナルの増刊号で「WHO are YOU」という自伝的漫画を描いているが、ああいう作品を描きたくなるのも分かるほどに「生きなさいキキ」は混沌とした作品だった。

【単行本】「ジェット上司」2巻 ながしま超助 双葉社 B6 [bk1][Amzn]

 最後までパーッと華々しく馬鹿だった。爆笑した。1巻でバブル期から続いた長い眠りから復活した伝説の広告マン浅野Wだが、この巻ではリストラされてかつての部下だった斉藤の部屋に居候を決め込む。そして就職先として流れ着いた先が行列のできるラーメン屋。しかしここでもラーメンの修行なんかはすこぶるいい加減で、店主がラーメンバカで童貞であることにばかり注目。「巨乳ラーメン」構想といい、やることなすこととにかく下らない。なんでこんなに気持ち良くスコーンと抜けた馬鹿漫画を描けるんだろう。天性の才能であると思う。

【単行本】「金色のガッシュ!!」8巻 雷句誠 小学館 新書判 [bk1][Amzn]

 高値安定。ギャグあり熱血ありで、どちらもとてもよく出来ている。やっぱり努力・根性・勝利というのは気持ちいいものなのだ。そういえばこの作品、週刊少年サンデー連載作品にしてはあまりベタなラブコメ的展開はない。もちろん清麿とスズメ、アイドルの恵あたりの関係性にちょっとそれっぽいところはあるんだけど、匂わす程度であくまで戦闘とギャグがメイン。サッパリ爽やか。クライマックスへ向けてどう盛り上げていくのか、そこらへんの料理の仕方は課題になってくるだろうけれども、とりあえず現在のところまではとてもよく出来ている。個人的にはスズメとウマゴンがコンビを組んでほしい。


12/22(日)……ずらかるルート

▼そういえば12月20日からコミックパークでオンデマンド版「ガロ」の販売が開始されてたので購入申し込みをしてみた。PDFとかじゃなくて、紙の本が届くというほうが、漫画だと確かにいいなあ。

▼未読物
【単行本】「ジェット上司」2巻 ながしま超助 双葉社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「生きなさいキキ」4巻 ジョージ秋山 実業之日本社 A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「マル被警察24時」 小田扉 実業之日本社 A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「DEAD SPACE」2巻 SUEZEN 幻冬舎コミックス B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「あかりをください」 紺野キタ 幻冬舎コミックス B6 [bk1][Amzn]

【単行本】「花」 松本大洋 フリースタイル A4 [bk1][Amzn]

 劇団黒テントの公演用に脚本として描かれ、ペン入れしたものがビッグコミックスピリッツ1998年7/6号、7/13号に掲載、さらに雑誌掲載時のものに大幅な加筆・修正を施した本。やけに装丁がカッコイイなと思ったら、これ平野甲賀がやってるんですな。なるほど。

 内容のほうは精霊を呼ぶ舞のときにつけるための面を作る、「面打ち師」の家に生まれた兄弟の物語。兄のユリは天性の面打ちの才能を持つが外に出ることを拒否し家にこもり続け、弟のツバキは才能には恵まれないが兄に憧れなんとかそれに近づこうとする。しかし両者の間には超えられぬモノが確かに存在する。真っ暗な森、そこに潜む精霊たち、捧げられる舞、異形の面など、構成アイテムがそれぞれ非常に神秘的。内容自体は分かりやすいとはいわないけれど、表現の冴えにはいちいちハッとさせられるし、霊的なモノの描写には凄みもある。松本大洋の筆には淀み、濁りがなくてたいへんカッコイイ。

【単行本】「続 お父さんは急がない」 倉多江美 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 すごくのんびりしていていい。万年4段の囲碁棋士で、300年は生きたいと常々語っているのんびりした父親と、彼を見つめる娘さんやその家族の生活をゆっくり描いた作品。お父さんのあまりのゆっくりさ加減がほのかにおかしく、またちょっと羨ましくもある。描線もいい具合に枯れてて読んでいると非常にリラックスできる。

【単行本】「ぼくトンちゃん」 いましろたかし エンターブレイン A5 [bk1][Amzn]

 ブタ仙人のもとで修行を続ける不器用な男と牛山とトンちゃんという小さなクマの日々を描いたお話。トンちゃんは意外とかわいくて作品全体はほのぼの。しかしラストあたりはいかにもいましろたかしという感じで、牛山の姿に哀愁が漂っていたりする。気楽に読めるけど余韻も案外深い。

【単行本】「いましろたかし[傑作短編集]クール井上」 いましろたかし エンターブレイン A5 [bk1][Amzn]

 いやあ素晴らしいですね、これは。いかにも人生やる気なさ気な人たちを描いていることが多いのだけれど、それぞれの作品がなんとも沁みる。とくにパチンコだけで年収600万円と人もうらやむ生活を送る「ダウナー打法!パチゴロマモちゃん」のマモちゃんが、胸の中に抱え続ける空虚、退屈なんかはリラックスして読めるのにずーんと来る重みもある。ある種のどうにもならない「人生」ってもののいたたまれなさ、やりきれなさとかが伝わってくる。深いな、と思う。

【収録作品】「ダウナー打法!パチゴロマモちゃん」「ドライブ」「釣れんボーイ習作 夏の思ひ出」「釣れんボーイ外伝 エサをやる」「釣りキチ三平」「猫対カラス」「おへんろさん」「非国民」「新世紀トコトコ節」「僕の会社訪問」「ゴッドドリーム」「クール井上」

【単行本】「蟲師」3巻 漆原友紀 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 この巻も面白い。現在でも過去でもなさげな和風世界で、美しいファンタジーを毎回丁寧に作り上げている。それぞれの話に出てくる蟲たちも、ありきたりな発想ではなくきちんとオリジナリティがあって、しかもその蟲たちが起こす怪異に説得力がある。何か声を出しても吸い込まれていきそうな深い森とか、自然描写も美しい。基本的に抑えめなタッチではあるけれども抑え込みすぎることもなく説明もきちんとなされてて、均衡がうまい具合にとれた作品だと思う。

【単行本】「トゥルー・カラーズ」 さそうあきら イースト・プレス A5 [bk1][Amzn]

 全ページカラー。1話4ページの短編連載で、各話は色の名前がタイトルとなっていて、その色にちなんだショートストーリーを描いている。普通の赤、青、緑……といった扱いやすそうな色ではなく、例えばアイボリー、浅葱色、ターコイズグリーンなどを取り上げている。一見料理しにくそうな色も少なくないが、それぞれ鮮やかにお話をまとめあげる腕前はさすがと思わせるものがある。職人ですなあ。

【単行本】「ベルセルク」24巻 三浦建太郎 白泉社 B6 [bk1][Amzn]

 24巻で累計1700万部ですか。スゴイなあ。内容のほうも力強く、かつ手堅く面白い。この巻ではさらに新キャラも登場して、ガッツ様御一行のRPGのパーティーっぽさが増した。この巻はどちらかといえば次の激闘までの助走期間という感じなので、わりとゆったりした感じ。

【単行本】「エイケン」8巻 松山せいじ 秋田書店 新書判 [bk1][Amzn]

 だいぶ異形なパワーは落ちてきてて、すっかり学園ラブコメ度が増している。ちょっと思うのは、画面がごちゃごちゃしすぎかなあということ。もう少し構成要素を減らして、その分小萌乳とかが画面の中で目立つようにしたほうがびっくり度が増すのではなかろうか。

【単行本】「BLAME!」9巻 弐瓶勉 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 もうとっくの昔にお話のほうは分からなくなっているが、この巻でもやはり分からない。しかしヴィジュアルの力は圧倒的。なんとなく納得させられてしまいはする。下手すると「ものすごくカッコイイSFイラスト集だなあ」とか思ってしまいそう。数えてはいないけど、ページ数よりもセリフの数のほうが少ないだろうと思う。


12/21(土)……ヘウレーカ社会

▼分かりにくいと思うが、いちおう「高齢化社会」と引っかけている。「ヘウレーカ」と「コウレーカ」は1文字しか違わないが、最初の一文字を変えるととたんに分かりにくくなる。文字数とかは全然合っていないのに、むしろ「天皇ヘウレーカ万歳」とかのほうが分かりやすいという当りにダジャレの一つの性質を見ることができる。もちろん適当に思いつきを書いている。

▼2002年の日記も最終ファイルに突入。もう、おしまいだ!

▼未読物
【単行本】「続 お父さんは急がない」 倉多江美 小学館 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「ぼくトンちゃん」 いましろたかし エンターブレイン A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「いましろたかし[傑作短編集]クール井上」 いましろたかし エンターブレイン A5 [bk1][Amzn]

【雑誌】漫戦スピリッツ 1/21 No.3 小学館 B5中

 ツギノツギオ「スッパニタータ」がついに最終回。最後まで異常な濃さを発揮していて刺激的だった。そして今回は作者コメントで「猿ハンター」単行本化のおしらせが。時期とかは書いてないけど、待ちこがれていた人間は狂喜乱舞ってとこでしょう。南暁東一「號−GO!−」は、盲目の1万メートル走選手がトラックを出て、42.195kmのフルマラソンに挑むというストーリー。最後のほうの「ランナーズハイ」状態を描いていく表現は解放感があってなかなか良い。イワシタシゲユキ(=そらみみくろすけ)「ライズドロップ」は、頑張っている女子ソフトボール部の女の子の夢をかなえるために、主人公の少年が女子になりすまして捕手として試合に出場するというお話。読後感爽やかでまとまりのいいお話。この人は細々とではあるが、けっこう長いことやってるなあ。幸多かれ。

 吉田戦車「山田シリーズ」では驚愕の事実が。なんと山田の正体が○○○○(ひらがな4文字)であることがついに判明したのだ! そのいきさつについては、皆様の目で確認していただきたい。そこには聞くも涙、語るも涙の物語が……。あと今号には、作:川崎ぶら+画:秋重学「愛と青春の成り立ち」の最新作第6話が掲載。やはりこのコンビはいい。青臭くて心地が良い。

【雑誌】まんがくらぶオリジナル 2月号 竹書房 B5中

 今回も、かたぎりわかなの読者ページ4コマと、中島沙帆子「電脳やおい少女」あたりが目当て。

 ところでこういう4コマ雑誌を見てていつも思うこととして、「課長に対する行いがヒドすぎる」というのと、「ハゲ頭ってそんなにおかしいかなあ」ということがある。あんなにOLに虐待されて、ハゲ頭の課長が可愛そうだ。巨悪ってわけでもなかろうに……。あとハゲってある程度年行った男性には非常によくある身体的特徴、つまりありふれたものだし別にそんなに面白いネタでもないよなあと常々思っているんだけど、非常にしばしばギャグのネタにされる。まあありふれているだけに安心してネタとして使えるんだろうけど、個人的には安心感のないギャグのほうが好きなんでツボにハマッたためしがなかったりする。しかし安心感があるだけに、これからもハゲネタのギャグは大量に生産され続けていくのであろう。

【雑誌】ヒメクリ銀華 Vol.02 FOX出版 A5平

 羽田としのり「こいぬばなし」が微笑ましくていい。幼なじみな歳下の女の子に捨て犬を押しつけられて、だんだんハマッていっちゃうにいちゃんのお話。犬かわいがりの様子も見てて楽しいし、幼なじみのほうとの甘い雰囲気もなかなか。明るく瑞々しいタッチの絵柄もけっこう好み。大竹久和「君嶋さん。」は、バイト先で熟れたHな雰囲気を出してる君嶋さんと、主人公がHするというお話。顔つきは地味だけど男好きのする身体……いいですな。

【単行本】「ヘウレーカ」 岩明均 白泉社 B6 [bk1][Amzn]

 カルタゴとローマの間に挟まれたシラクサ市が、カルタゴについてローマと戦う。その中でアルキメデスの発明がさんざんローマを苦しめていくのだが……。アルキメデス自身はすでに年老いてボケかかった時代のお話であり、物語は主にスパルタからの流れ者、ダミッポスの視点で語られる。アルキメデスの発明が次々とローマの軍を撃退していくさまが壮観で、まず読者をグッと物語に引き入れる。ところがその効果のあまりのデカさは無残な結果を生む。アルキメデスはボケているのであまり深刻さは漂わせていないけど、彼が望んでいなかった発明の使われ方、その大きすぎる効果、また彼がたどった運命などを照らし合わせると世の無常も感じたりする。1巻と短いけれども無駄がなく読後の余韻も深い、よくまとまった作品に仕上がっている。

【単行本】「ジャイアント」2巻 山田芳裕 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 3Aに上がっても巨峰の快進撃は続く。レベルの高い相手と勝負する喜びを、デッカい身体いっぱいで感じ取りながらプレイする姿は、見ていて単純に面白い。「そんなわきゃあない」という誇張が聞きまくりな野球シーンについても、「でもこのくらいやってくれればありだよな」と思えてしまう。読むほうとしては理屈抜きだが、描いているほうには理屈が必要。そういうノウハウをちゃんと持ってますな。

【単行本】「茄子」3巻 黒田硫黄 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 これにて最終巻。最後まで飄々と鮮やかで、面白かったなあ。高い表現力、落ち着いた味のある雰囲気、変幻自在な構図取りなど、揺るぎない実力をしみじみと感じる。最終巻では例の茄子作ってるおっさんの周りを中心に、けっこう大人な事情もかいま見せて、ストーリー的にも深めてきた。このおっさんのエピソードだけ拾い読みしてまとめて一気に読むのも良さそう。そういう構成の単行本が1冊あってもいいかもしらんですな。本当に出したらあこぎな商売と取られそうだけど。

【単行本】「新世紀エヴァンゲリオン」8巻 作:GAINAX+漫画:貞本義行 角川書店 B6 [bk1][Amzn]

 1年ぶりの第8巻。今年はフィギュア付きはさすがにない模様。目を通してみて、かなりアニメに忠実だなあと思った。もちろんこっちのほうが綾波に人間味があるとか多少の味付けの違いはあるけれども。同じくヒットアニメの正史的なことをやっている安彦良和「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」と比べると、こちらはよりアニメをなぞっている感がある。面白いんだけど、もう少し一気に読みたいなあ。

【単行本】「ななか6/17」9巻 八神健 秋田書店 新書判 [bk1][Amzn]

 この巻から新章に突入。洋行していたななかと雨宮さんが帰国し、稔ニに賑やかな日常が戻るも、今までどおりではいられない……という感じ。ななかはよりミステリアスになり、雨宮さんはさらに報われない状態に。それにしても新章に入ってからの雨宮さんはちょっとかわいそすぎる。ストーリーとしては、シリアスパートのほうがだいぶ煮詰まって来ている分、コメディな回との落差が激しくなってきているかなという感じはする。


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