11/10(日)……はげたうどん
▼昨日書いた「物語性」に関する問題についていくつか反応をいただいたので、整理するために検討に値すると思われる問題点をざーっと列挙してみた。もちろんこれ以外にもいろいろ考慮すべき事項は山ほどあろうし、改めて「いくらでも語りようのある問題だなあ」ということが分かる。まあそのうちまた何か書くかもしらんです。とりあえず個人的には全然悲観的になってもいないし、絶望もしていないということだけは記しておきます。
▼さくさく同人誌を消化。今日はわりとたくさん読めた。
▼9月1日コミティア読了分
【同人誌】「つゆくさ7」 <つゆくさ>
【同人誌】「定型集(2)」 三島芳治 <つゆくさ>
【同人誌】「協定領域」 弘岳粟高 <あわたけ>
【同人誌】「取水塔・4」 粟岳高弘 <あわたけ>
【同人誌】「魔女っ娘アキラ」 らいだゆず <HATA HATA>
【同人誌】「STEEL HEART」 大野ツトム <トラウマヒツジ>
【同人誌】「空間アーカイブス」 高見知行 <流線型工房>
【同人誌】「限界通信 創刊号」 <限界通信社>
【同人誌】「MPX」 すすき野なお <広域避難場所>
【同人誌】「i,」 鈴木ちょく <直立不動産>
【同人誌】「騒音カット」 上倉旧 <ロボ音>
【同人誌】「よくあるはなし」 上倉旧 <ロボ音>
【同人誌】「青田宇宙興信所」 上倉旧 <ロボ音>
【同人誌】「LDK」EPISODE 5 橋本しん <プロペラ>
【同人誌】「コミツカアニツヂ」 <駆動系>
【同人誌】「秘密基地」 袴田めら <逆ギレ刑事>
【同人誌】「PURITY」 MDM/江戸川春泥 <MDM>
【同人誌】「ジ・ガレガレ」 堀池さだひろ
【同人誌】「グリーンスノードニアの教会」 堀池さだひろ
【同人誌】「南の空」 堀池さだひろ
【同人誌】「A DAY IN THE LIFE」 堀池さだひろ
【同人誌】「ジ・ガレガレ BOOTLEG SERIES Vol.1」 堀池さだひろ
【単行本】「全日本妹選手権!!」3巻 堂高しげる 講談社 B6 [bk1][Amzn]
この巻でもベタなオタクネタをいじりつつギャグを展開。おまけページでは、今年の6月ごろにネット上で巻き起こった妹選手権がらみのいろいろについて自ら言及していたりもする(といっても「そういうのがあったらしいね〜」的なことしか書いていないけど)。ネット上の議論に対する興味が最近はあんまりないので当時は静観を決め込んでいたが、「妹選手権」については「普通に楽しめるオタクネタのギャグ漫画」というくらいの感想だった。同人女やオタク男に関する表現はオーバーだけど、ギャグ漫画ってたいていそういうふうに事実を拡大したり裏返したりするものだし、さほど気にするほどのものでもないかな、と。それよりもほかのジャンル、例えばプロ野球4コマにおける選手に対する扱いとか、絵柄的にほのぼのしてるから目立たないけど「妹選手権」どころでなくヒドいのとかあるしね。……それとは全然関係ないけど、この巻で恵美と愛が男根神輿に乗ってわっしょいわっしょいとかいうシーンがあるけど、オースーパージャンプで小谷憲一がときどきやってる「DESIRE」のイラストレーションに素でありそうなシーンだなとか思った。
【単行本】「外道ハンター X-BOX仕様」 小野寺浩二 大都社 B6 [bk1]
いつもながらに勢い良くオタクネタと妄想をぶつける男らしい作品が満載。表題作で単行本のメインとなっている「外道ハンターX」は、凶悪性悪犯罪のせいでエロ漫画が規制されることを恐れるエロ漫画家が、変質者たちを退治して回るというヒーローもの。変質者相手にねこみみへのこだわりを競ってみたり、下らない展開が楽しい作品。なお収録作は「外道ハンターX」全7話のほかに、「うるるちゃん1年生」「女王様とお呼び♥」「保健室へようこそ」「ち○く○サンチョ」「倒錯日本昔話」「激!ブルマー教団」「ぶる魔法少女 すこぶる★まりん」「黒薔薇の宴」を収録。以前雄出版から出ていたA5判の「外道ハンターX」との異同を調べたいところだが、単行本がどこだかに埋もれているのでよく分からない。
11/9(土)……結婚筋クリート
▼結婚式。もちろん他人の。そんなわけで礼服を着たのだが、二日くらい前に散髪したばかりのバリバリのスポーツ刈りと黒服の取り合わせは、かなりヤクザっぽいなあと自分でも思った。
▼先日、「昔は漫画に熱中していたけど今はそうでない」人とお話する機会があった。その人は「昔の漫画は物語性が強くて熱中できたが、今の作品は物語性が薄い」という方向にお話を持っていこうとしており、現役読者である自分としては「たとえ本当にそうであったとしても、そう決めつけてしまったら頑張ってる作り手の人たちに失礼だし、漫画を面白がってる自分が馬鹿みたいだし、絶対にそういう結論で終わらせたくはない」という想いもあって、たいへん複雑な気分になった。普段は「今も楽しんでいる人」と話すことのほうが多いので、そういう話は出ないのだけど、真剣に考えてみるとなかなか難しい。この手の話はいろんな論者がすでに語っていて、自分としては「物語性が薄くなっているといわれるとそんな気も確かにするけど、もしかしたらそうでもないかもしらん」的な想いが渦巻いてて、どうも自分の気持ちの整理がついていない。
語り始めちゃうと長くなるので細かい検証とかはしないけど、まず最も問題なのが「本当に現在の漫画は昔と比べて物語性が落ちているのか」ということ。比較対照となる時期は、週刊少年チャンピオンの全盛期や、「デビルマン」とかのころの週刊少年マガジンの時代といったことになると思うのだけど、そのころにはまだ生まれていないor幼かったということで、正直自分の感覚としてよく分からない。「王長嶋と松井のどちらが上か」みたいな問に結論が出ないのと同じで。定量的な比較ができないからなんともいえないんだよね。「記憶が美化されているのでは」「今の漫画についていけてないだけでは」「そんなふうにいうほど昔の漫画って今読んでも面白い?」といった言い分についても、一理あるようには思えてしまうし。また、「時を超えて現在も語り継がれている作品はそりゃ面白いかもしれないけど、その時代のほかの作品はどうだったのよ?」とか。
もし本当に物語性が弱まっているのだと仮定したとしても、「それは一部のジャンルだけなのではないか」「長いスパンで見た場合の一時的な現象でありこれからぶり返しがあるのではないか」「むしろ物語性が強かった時代のほうが特異点なのではないか」「それって悪いことなの?」「物語が薄くなったけど、それに代わる何かが今の漫画にはあるのではないか」「それはそれとしてこれからどうすんのよ?」など検討に値しそうな物事はたくさんある。さらに「それはなぜか」ということを考えると、「すでにそういう作品に慣れてしまったから」「荒唐無稽な話が作りにくくなった」「作品が複雑化した」「お話が高度になったので間口が狭くなった」「作り手・受け手双方の感性が変化した」と、これまたいろんな仮説が出てくる。「そもそもここでいう物語って何よ?」というちゃぶ台返し的な問題も存在する。しばらく考えてみようとは思うし面白い問題ではあるんだけど、テーマがデカすぎてそう簡単には結論が出なさそうな気がするなあ……。
▼未読物
【単行本】「全日本妹選手権!!」3巻 堂高しげる 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「外道ハンター X-BOX仕様」 小野寺浩二 大都社 B6 [bk1]
【単行本】「霊能探偵ミコ」11巻 井荻寿一 ワニマガジン B6 [bk1][Amzn]
【雑誌】ビッグコミック 11/25 No.22 小学館 B5中
今号の表紙は貴乃花だが、結局九州場所は休場。なかいま強「黄金のラフ 〜草太のスタンス〜」。次号あたりからチーム・きりたんぽの新しい戦いが始まるのかな。今までよりもさらに泥臭い展開になるっぽくて面白そう。あと、岡崎二郎の「アフター0」著者再編集版の9〜10巻として「トワイライト・ミュージアム」が収録されることが決定。ビッグゴールドコミックスということで、これまではけっこう入手しづらかったと思うのでこれはめでたい。発売は2003年春と告知されている。
【雑誌】メガキューブ Volume21 コアマガジン B5平
今号も「プラスチック製」の下敷きが付録。絵柄は平木直利の描き下ろし。でもやっぱりエロ漫画雑誌最高値クラスの880円はちょっと……。下敷きよりも内容アップを望みたい。天織龍樹「ドキドキおニャンコ学園」が可愛かったり、初登場ナイロン「よるのなせるわざ」が爽やかな読み心地だったりはするんだけど、全体に薄味であることは否めない。
【単行本】「闘破蛇烈伝DEI48」10巻 前川かずお 講談社 B6 [bk1][Amzn]
この巻も激しく馬鹿馬鹿しい。とくにカズマ総統の最終形態は、ゴテゴテしてるけど身体の各所のアイテムは間抜けで、一見して爆笑するインパクトの強さ。何度見てもすごいデザインだ……。毒尻兄弟とかも端々でいい味を発揮している。
【単行本】「お三十路の町」2巻 東陽片岡 小学館 A5 [Amzn]
いつもとまったく変わりばえがなく面白い。しみったれた日常ではあるけれど、別にそれを卑下もしないし理想化・正当化もしない。ただずっと同じ視点で物事を眺めて、その中からおかしみを生み出していくというスタンスの不変ぶりは立派であるとさえ思う。
【単行本】「一緒がいいな。」 りえちゃん14歳 富士美出版 A5 [Amzn]
いつもながらに少女たちの姿は非常に可憐。ロリ系の中でも、この人の描く少女たちはいわゆる「ティーンズ」の17以下あたりくらいという感じ。昔っから作風にあまり大きな変化はないが、最近は体型がアンバランスになっているのが気になる。丸顔のわりに頭身が非常に高く、足とお尻が不釣り合いに大きくなってしまった。あと胸も。出始めのころのパターンから脱却し、実用度を高めようとしたのだろうけど、結果的にちょいといびつになってしまっている。やはりりえちゃん14歳の少女は、胸がつるつるで手足がすごく細くて、お尻がちっちゃくあってほしくはある。あの絵は、かなり危ういバランスの上に立脚していたんだなあと思う。
11/8(金)……You in 万緑
【雑誌】ヤングアニマル 11/22 No.22 白泉社 B5中
森恒ニ「ホーリーランド」では、ちゃんと伊沢マサキが格の違いを見せつけてくれてちょっとホッとした。さすがに今のユウの状況で無敵状態になられても困りそうだし。山口貴由「蛮勇引力」は最終回。単行本とかでまとめて読むとけっこうちゃんと面白いのだけど、やはり「覚悟のススメ」のときほどの迸る勢いは感じられなかったかな。梅丸茶「戦場の中の私」は、28歳で周りから結婚しろしろいわれることに嫌気がさしてるOLさんが主人公のコメディ。相変わらず可愛らしい絵でコンスタントに楽しく読める。あと今号にはぢたま某と文月晃の美少女漫画あがりでアニメ化にまで出世した作家同士の対談も掲載。
【雑誌】コミックバンチ 11/22 No.49 新潮社 B5中
今号から4号連続で、「蒼天の拳」の拳志郎の「ペーパーフィギュア」パーツが付属。組み立てると全長40cmのフィギュアが完成するそうです。
春日光広の新連載「サムライ刑事」がスタート。オールマンでやってた「高杉刑事キバります!」同様、またしても刑事物。この人のヌルい作風は相変わらずで手堅いが、それがコテコテで暑苦しい作品の多いバンチという雑誌の中でどう生きるかに注目。日高建男「満腹ボクサー徳川」。ちゃんと面白い。そういえば2002年の青年誌シーンでは、けっこうボクシング漫画が増えたような気がする。松家幸治「ガキんちょ強」。最近「ええ話率」が高まってて面白くなってきているように思う。
【雑誌】近代麻雀オリジナル 12月号 竹書房 B5中
「駐禁ウォーズ」「交通被告人前へ!」のウヒョ助が読切「ノックアウトキング」で登場。ボクサーあがりの雀士が、一番にのし上がるために奮闘するという作品。相変わらずアクの強い絵柄だがけっこう読みやすい。この人は交通違反とかそういうチマチマしたネタでやるにはちとクドすぎるような気がするので、スピリッツに今度再登場するときは別ネタでお願いしたいところ。あと、漫画ではないのだが、今号では坂本タクマの描いている「ラブ★マージャン!」というゲームの広告に描いていたイラストがちょっと笑った。このゲームは「脱がない脱衣ゲーム」をうたってて、勝つとポリゴンなアイドルがコスプレしたり水着で腕立てするものらしいのだが、坂本タクマはそれに対して「そんなもので喜ぶなー!!」と実にストレートなツッコミを入れている。
【雑誌】YOUNG YOU 12月号 集英社 B5平
榛野なな恵「パンテオン」。芹沢彰子さんを中心に、シリアスな妹→兄のラブストーリーとなっているけど、最近重富桃子さんもだいぶ活躍している。桃子は絵的には「美少年」といわれても別に違和感ないキャラだけに、「ピエタ」みたいな方向に行く可能性もあるかな? 谷地恵美子「君住む夢都」はだいぶラブストーリー風味が高まり中。手堅く読める。羽海野チカ「ハチミツとクローバー」。いよいよ山田を巡って男たちの動きが活発化。とはいえそう簡単に気持ちに区切りはつけられないだろうけど。あと今号から、池谷理香子の新連載「FUTAGO」がスタート。見た目も性格も全然違うけど実は双子であるらしい女性二人の物語といった感じ。
【雑誌】FEEL YOUNG 12月号 祥伝社 B5平
南Q太「こどものあそび」は最終回。なんかラストの締めくくり方はちょっと性急だったような気もするけど……。坂井恵理「ラブユー☆トーキョー」。北海道の田舎で、都会というものに焦がれ退屈しきっている少女の物語。東京から来た先生に、「東京」というだけでトキめいてみたりもするが気持ちは空回り。その様子を眺めるのはけっこう楽しくもあり。ヤンマガ系の出ではあるけど、こっちでも全然違和感ないな。現在「マニマニ」を連載中の宇仁田ゆみ同様、そのうち女性誌がメインになってくる可能性もありかな。
【雑誌】ヤングヒップ 12月号 ワニマガジン B5中
12月6日の日記でChuッスペシャルと間違えて感想書いちゃったので改めて。今回の漫画執筆陣は、河本ひろし、らいうん、DON繁、草津てるにょ、武林武士、井荻寿一、おおくぼマタギ、猫戦車マリィ。草津てるにょ「おてつき」は、不思議な手を持つ家庭教師が人妻さんを揉みまくるというお話。最近の草津てるにょはわりと馬鹿っぽいお話で力を発揮している。しかも相変わらず女体の描き方はつやつやしててエロい。とろけそうなほどの乳の熟れ具合がいいねえ。井荻寿一「霊能探偵ミコ」。今回はカンロクに対する恋のライバル的男が登場。こういうガッチリ相手が決まっていたはずのヒロインに別の男が迫るネタはけっこう燃えるものがあるので、次回以降の展開に期待。
【雑誌】comic天魔 12月号 茜新社 B5平
ああ!今回のうるし原智志による表紙絵はパンツ履いてる。丸出しじゃない! おいたわしや。きっとうるし原先生は丸出しにしたかっただろうに……とか思ったりはするも、全プレのテレカでは丸出しなんですな。きっと表紙絵のほうでは諸般の事情を鑑みたのではないかと推測。
木村義浩 with うるし原智志「凌辱の刻」は、今回モノクロページも含めて11ページ。輪姦シーンがいちおう一段落して百合系なお話に突入。まあ相変わらずたいへん開けっぴろげにエロいことやっとります。水無月十三「我が肉に群れ集い喰らえ」は前編が掲載。被輪姦願望のある女教師が、男子生徒に自ら進んで肉体を提供……というお話。後編は女生徒も巻き込んでテンションアップしていきそう。たいらはじめ「聖王女フェリシア」は最終回。この人の描く作品はいつもおんなじで、相変わらずファンタジー世界で姫様が性奴隷調教されているわけだが、この道一筋っていうのもなんだか凄いような気がする。需要は確実にあるジャンルだし。
11/7(木)……生肉の美
▼昨日の日記で、ヤングヒップのつもりで感想を書いてた本はChuッスペシャルでした。お詫びして訂正いたします。不覚にもなんだかものすごい勢いで勘違いしてで、買うときも買ってからもヤングヒップだと信じてまったく疑わなかった。作家陣がいつもと違うなとは思ってたんだけど……。掲示板でご指摘くださったゲルマン助さん、木川キムネさん、どうもありがとうございます。ホンモノのヤングヒップは明日買ってまた改めて。
▼自分の場合、雑誌の入手先は主に書店とコンビニ、そして駅の売店である。んでもって先日も最寄り駅の売店で漫画雑誌を購入したのだが、駅の売店では1冊しか買わない人が多いせいか、複数冊買うと売店のおばちゃんが手こずることが多い。先日も4冊ほど買ってしかも1万円札しかなかったのでそれで支払いをしたところ、折悪しくちょうど人の流れがたまたま多くて何人かの人を待たせるハメに。ところがそれでキレた一人の青年が、新聞をばしゃんと叩きつけておばちゃんを睨みつける……などという事態に遭遇した。まあそのときはそれ以上のことは何もなかったんだけど、今日も同じ売店で雑誌を4冊買ったら、なんだか向こうのおばちゃんもこちらのことを覚えていて、「この前はすみませんでした」とかいって笑っていた。どうも「毎日のように漫画を何冊も買っていく客」として記憶されてしまった模様。なんとなく屈辱。
▼そういえば「闘破蛇烈伝DEI48」の作者は前川かずおだけど、児童向け小説の「ズッコケ三人組」シリーズの絵をやってる人も「前川かずお」という名前なのね。さっき調べてて気づいた。この絵を同じ人が描いていたらびっくりだが、まあさすがにいくらなんでも別人でしょう。
▼未読物
【単行本】「闘破蛇烈伝DEI48」10巻 前川かずお 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「お三十路の町」2巻 東陽片岡 小学館 A5 [Amzn]
▼早売り(8日)
【雑誌】comic天魔 12月号 茜新社 B5平
▼早売り(9日)
【単行本】「一緒がいいな。」 りえちゃん14歳 富士美出版 A5 [Amzn]
▼早売り(10日)
【雑誌】メガキューブ Volume21 コアマガジン B5平
【雑誌】モーニング 11/21 No.49 講談社 B5中
新連載、林明輝「Big Hearts」はボクシングもの。サラリーマンを辞めてプロボクサーを志した、天才でも超人でもない男がボクシング道を描いていくという感じの作品。主人公はデビュー戦からして黒星と、プロボクサーとしての道も険しいスタート。でもなぜか同じジムに通っているアイドルとつき合っていたりもする。2000年の11/16 No.49に掲載された、第8回MANGA OPEN大賞受賞作「A BIG HEART」の続編的作品。その当時の感想は2000年11月1日の日記を参照のこと。爆発力はあまりなさそうな感じだけど、作画作劇ともにまとまりが良く、手堅い連載になりそうな感じ。
作:西村ミツル+画:かわすみひろし「大使閣下の料理人」。今回は倉木大使がやたら大食いのアメリカの臨時大使を迎えるというシチュエーションで、けっこう丁々発止の緊張感あるやりとりもされているのだが、何より目についたのがこの臨時大使の秘書。大使の大食いっぷりを恍惚のまなざしで見つめる姿が色っぽすぎる! しかも巨乳。かわすみひろしの描く女性はいいなあ。石川雅之「週刊石川雅之」の第4話「ただそれだけで」は、なかなか恋ができずにいる高めなOLが、日常のふとした瞬間に見出したやすらぎを描いたエピソード。あと今号は、読者コーナーの月イチ小田扉漫画「男ロワイヤル」の掲載号。
【雑誌】ヤングサンデー 11/21 No.49 小学館 B5中
北崎拓「なんてっ探偵アイドル」は新章スタートらしい。今回はアキラが誘拐されるというお話なのだが、アキラが手を縛られて天井から吊るされている構図の扉絵が妙にエロっちい。本編のほうもいきなりパンチラ。秋重学「學ビノ國」は最終回。キッチリきれいに締めくくり。楽しんで読んだけれども、やっぱり秋重学は単体だとお話が軽めなんで原作付きのほうがいいなあと思う。
【雑誌】ヤングジャンプ 11/21 No.49 集英社 B5中
本宮ひろ志の新連載「国が燃える」がスタート。作者名クレジットは「本宮ひろ志AND(株)サードライン」。一人の商工官僚の青年を通して、戦前の激動のさなかにある日本の姿を見つめていくという感じの連載。物語開始時点は昭和二年春。本宮ひろ志作品としては主人公の毛並みは良さげ。
【雑誌】週刊少年チャンピオン 11/21 No.50 秋田書店 B5平
能田達規「ORANGE」はアツい展開。とくに弱小時代から応援し続けてきたサポーターの感慨を描写したシーンとかは泣ける。やまさき拓味「優駿の門GI」はかなりショッキングなシーンが。競馬漫画でこれだけハードな描写をした作品って記憶にないな。水島新司「ドカベンプロ野球編」はいよいよレギュラーシーズンが終わって日本シリーズ編に突入。今年は現実のプロ野球で西武がコテンコテンにされてしまったので、水島新司がどう料理するのか気になるところ。山田と微笑がいるから去年みたいに1ページとかで済ますわけにもいかんだろうし。それにしてもレギュラーシーズンの締めくくりで不吉霊三郎が出てきたのは意外だった。そろそろ忘れられているんじゃないかと思ってた……。伯林「しゅーまっは」は次号最終回を控えて最後の盛り上がり。ラストはオールスターキャストで派手に行ってもらいたい。しゅーまっはたちも含めて。
【雑誌】コミックPOT 12月号 メディアックス B5平
先月号で告知されたとおり、休刊したファンタジーライズと合流して大幅ボリュームアップ。先月の告知にあったメンツの中では、夕凪薫、しろみかずひさ、ジェームスほたてが掲載されていないが、しろみかずひさとジェームスほたてについては次号予告に名前あり。花丸木リカ(おがきちか)も次号には掲載予定とのこと。
巻頭カラー4ページ、フジヤマタカシ「Homemaid Pai」は巨乳メイドさんにパイズリさせるという、ただそれだけのお話。この人は目の描き方とかけっこう好きなんだけど、どっちかというとモノクロのほうが味があるかな。乳はかなり仰山な感じです。木静謙二「チャイナな母さん」は、4ページながらけっこう笑える馬鹿話。でも相変わらずエロい。扉ページの「国際派エロス!」というアオリ文句がちょっといい。EB110SS「たまに泥棒!?」。この人の描く女の子にしては珍しくセーラー服を着ている。ランドセルとかはヤバいという配慮か。まあ体型とかは相変わらずロリロリ丸出しだけど。
【執筆陣】フジヤマタカシ、神楽雄隆丸、安藤裕行、木静謙二、砂川多良、さいとうつかさ、甘夏真琴、乙、竹村雪秀、EB110SS、刻江尋人、にしむらはるか、みさわひろこ、あまあま、ムラさん、necoJET、片桐火華、猫玄、★ありんこ★、九巴昭彦、未宇、伊沢慎壱、亜木祭&もりもと海、マツシマ愛コ、上田夢人
(ピンナップ)十羽織ましゅまろ
【雑誌】MUJIN 12月号 ティーアイネット B5平
甘詰留太「キミの名を呼べば」後編。うはー、切ねえ! 学校の生徒の性欲処理用として配属されている肉便器少女・満子と少年の恋の物語なのだが、満子ちゃんの表情がとてもいいだけに染みる。今回はかなりホロリとさせられるものがあった。小暮マリコ「家庭教師」は、可愛いけどなんだか頭はワルい家庭教師の先生が、暗記の勉強のために身体を張る……というお話。「イチゴパンツ(1582)は本能寺の変」と、か、たいへん強引なノリが良いです。実用性も高いし。あと斉藤佳素理(蜈蚣Melibe)がMUJINでのペンネームを「冬長(ふゆなが)」に変更している。
11/6(水)……部屋着屋
▼11月17日(日)に東京ビッグサイトで開催されるコミティア62のカタログを入手。さすがにそろそろヤバいなと思って、9月コミティアの分をちょっと読む。でもあと40冊以上残ってる……。次の土日あたりが勝負だ。
▼9月1日コミティア読了分
【同人誌】「Tableau4」 志賀彰 <憂貧局>
【同人誌】「悲しみばかりじゃないけれど」 滝沢千尋・コバヤシヒロキ
【同人誌】「菊男ちゃんのおしゃゆめビビム」 鵜匠カシヲ <赤色オレンヂ>
【同人誌】「地中に敵・迷子の遍路」 三五千波 <つくりもの>
【同人誌】「スペーストルネード江古田」 <地味頁>
【同人誌】「江古田バッテリー」 <地味頁>
【雑誌】週刊少年サンデー 11/20 No.49 小学館 B5平
橋口たかし「焼きたて!!ジャぱん」。今回は勝負、それから審査員のリアクションともにわりと淡白なような。黒柳やデーブと比べるとだいぶ大人しくあっさりした印象。松江名俊「史上最強の弟子ケンイチ」。今回の扉は乳首透けすぎだなあとか思った。相変わらず無駄にパンチラ感のある漫画だ。そこが魅力の重要な一つではあるんだけど。井上和郎「美鳥の日々」。今回はセイジに秘かに恋する綾瀬さんが攻勢。ラブコメは恋のライバルが出てきてこそですな。田中モトユキ「鳳ボンバー」。今回は江夏豊的ストッパーの稲垣が爆発。やっぱり力と力の勝負は見ていて胸のすくものがある。
【雑誌】週刊少年マガジン 11/20 No.49 講談社 B5平
大暮維人の新連載「エア・ギア」がスタート。要するに「エア・トレック」と呼ばれる、屋根を伝ったり空を飛んじゃうほどの大変高い機動性を誇るローラースケートを駆使してストリートファイトする喧嘩モノといった感じの作品。大暮維人らしく主人公の周りにはギャルも一杯。本能に忠実な感じではある。塀内夏子「ROAD〜ふたつの太陽〜」はなんか展開早いような。
【雑誌】花とゆめ 11/20 No.23 白泉社 B5平
読切のふじもとゆうき「STAND BY YOU」がなかなか。とある理由により離れ離れになってしまうことになった、昔からずーっと一緒だった女友達同士の別れの物語。爽やかで切なくてあったかい物語で気持ち良く読めた。スッキリした絵柄も、ちゃんと自分なりの味があってグッド。星占いコーナーのイラストとかもやってる山口舞子の学園ショートギャグ「もうすこしがんばりましょう」は、絵的にちょっと気になる。コミカルモードのこがわみさきチックな感じで、端整で軽やか。
【雑誌】Chuッスペシャル 12月号 ワニマガジン B5中
今回漫画は4本。環望、うらまっく、井上克春、ちば・ぢろうと、手堅いメンツで固められている。さすがに手慣れてて、それぞれの作家の標準レベルといった感じの出来。
11/5(火)……コンポーザー
▼取引先に打ち合わせに行ったところ異物混入騒ぎに遭遇。先日、ウチの職場から返送した荷物の中に耳かきが入っていたという。そういえば見当たらなくて探していたのだがまさかこんなところに。「いや、あれは梱包材の代わりだったんです」と説明し九死に一生を得たが、もう少しで取り返しのつかないことになるところだった。危ない危ない。で、打ち合わせの後は軽く飲み。ビールしか飲まなかったけどやっぱり酔っ払って、帰ってきてからは風呂にも入らず爆睡。そんなこんなでまたしても更新時間が遅れてしまったというわけ。
【雑誌】コミックフラッパー 12月号 メディアファクトリー B5平
3周年記念ということで和田慎二「超少女明日香」のクリアファイルが特別付録としてつけられている。表紙と違う絵柄のにしてくれればいいのに。なお、3周年記念で3か月連続でアンケートキャンペーンというのもやるらしい。アンケートを送った人に抽選で毎月5名に現金1万円をくれるのだそうな。
で、今月の巻頭カラーは柳沼行「ふたつのスピカ」。ロケットの打ち上げ見学に行ったアスミは、打ち上げ反対運動をしている少年と出会うが……。プラネタリウムのシーンの演出がなかなかドラマチック。なんだかこの作品を読んでるとプラネタリウムを見に行きたくなるな。新居さとし「地球防衛OLいちご」はいつもながらにお気楽な展開。みんなで雨の中バーベキューパーティ。防衛OLたちの知られざる側面も。楽しくていいですな。佐々木泉「ベイカーSt.フーリガンズ」は、ホームズがいなくなった後、残された「ホームズの弟子」が先生に代わって事件を解決……という少年探偵モノ的ストーリー。上品な絵柄と堅実なストーリー運びでなかなか楽しく読める。石黒正数の読切「ネジまで愛して」は、マッドサイエンティストの作り出した少女型アンドロイドが活躍するドタバタコメディ。絵はスッキリしててきれいだし、お話のほうもこの少女アンドロイドの行動がムチャで面白かった。
【雑誌】ヤングマガジンUppers 11/19 No.22 講談社 B5中
藤沢とおるの「GTO」後の初連載がスタート。5/21 No.10に読切で掲載された「Rose Hip Rose」が連載化。スゴ腕の特殊犯罪対策スペシャリストで、普段は女子高生なローズ・ヒップの活躍を描くアクションものといった感じ。小林賢太郎「鼻兎」は、鼻兎の女装姿がけっこう良かった。一色まこと「ピアノの森」では、カイと冴の恋のエピソードが引き続き展開。最後のコマなんかはなかなかに美しくて印象的。で、次号は休載で、その次の号から新章がスタートするとのこと。
【雑誌】キングダム 12月号 少年画報社 B5中
志村貴子「ラブ・バズ」は2回め。主人公・藤かおるは子育てと女子プロの2足のわらじ状態。娘は幼稚園に入ったけど、地方巡業のときとかはどうするんだろうなあとか思った。全般的にはなんだかすごくほのぼの。カサギヒロシ「ROUTE16」は、次号からの連載開始前に読切が掲載。バイト先のコンビニでもグラサンを外さない独自のポリシー持ちのバイクマンが、彼の腰巾着的な男とツーリングに行くが、腰巾着男のおかげでトラブルに巻き込まれることに……という感じ。なんかそのまま連載第1回にしちゃっても良さそうなお話だけど。岡田正尚「温泉女将一直線」は最終回。勢いがあってエロサービスもたっぷりで、わりと好きな作品だった。単行本は買ってないけど、雑誌連載ではけっこう楽しんで読んでいた。
【雑誌】ビッグコミックオリジナル 11/20 No.22 小学館 B5中
太田垣康男の新シリーズ「DEEP」がスタート。深海に魅せられたダイバー・アルベルト藤波が、深さ620メートルの海底に沈んだUボート内の財宝の引き揚げに挑むという物語。「MOONLIGHT MILE」でも海底のシーンは出てきたけど、今回はより深い世界を舞台にドラマが展開している。宇宙っぽい感じでもある。なかなか力の入る、読みごたえのある作品になりそう。水島新司「あぶさん」では、さりげなく日本シリーズがすっ飛ばされているような。
【雑誌】漫画アクション 11/19 No.47 双葉社 B5中
ながしま超助「ジェット上司」。今回も面白いなー。「この人……童貞である前に真のラーメンバカなのね!!」というセリフに爆笑した。 国友やすゆき「夜の覇者」。キャバクラで働き始めた主人公→女の子スカウト→店のNo.1と関係→そんなことやってる間にスカウトした女の子が売上金持ち逃げ→ピンチ、とたいへんベタベタすぎる展開にもう夢中。
【雑誌】漫画サンデー 11/19 No.45 実業之日本社 B5中
今年は数々の漫画にオリバー・カーン(サッカードイツ代表GK)をモデルとしたキャラが登場したが、新田たつお「静かなるドン」にも最近カーン様が登場中。その名もオリパー・ハーン。好物はバナナで鉄の手袋を装着し、飛んで来る弾丸をすべてはたき落とすジャングル最強の男。一人称は「オリ」。オリはだりなんだよう。なかなか笑えます。
【雑誌】桃姫 12月号 富士美出版 B5平
第六天魔王グレート「BOTH NEO HEAVEN」は、女装校医と女生徒が保健室でくんずほぐれつというお話。相変わらず筋!肉!という感じの力強い作画で女体(および男体)を描写。やたらめったら力強いのに、雰囲気的にはけっこうほのぼのしてるのが楽しい。THE SEIJIときらら萌の、なんとなく似た印象の二人は手堅くエロし。とくにTHE SEIJI「進路」は、ベランダでオナニーしている変態若奥様というネタで、人妻スキーな人間向け。
11/4(月)……地域優評価維持機
【単行本】「社会不適合者の穴」2巻 田村マリオ 太田出版 A5 [bk1][Amzn]
完結。2187年のニッポンを舞台に、スラム生まれの少年たちが政府の目を逃れつつ、地下社会を行く。シャレた感じの絵柄や退廃的なイメージなどなど、カッコイイ感じの作品だった。ただ政府の恐るべき計画や地下社会の広がりなど、かなり大がかりな舞台設定があり、いじろうと思えばもっといじれそうな作品ではあった。2巻ではいささかボリューム不足。最後のほうもバタバタとお話を畳んじゃった感があった。例えば主人公の少年たちは、恐ろしい生物たちが救う地下のスペースに落とされそうになるんだけど結局は落ちない。でもいっそ落としちゃってそこで冒険させたほうが面白かったような気はする。世界の設定が大がかりだったわりには、主人公の少年たちの手の届く範囲の話だけに終始しちゃった感じ。絵もカッコイイしなかなか魅力的ではあるんだけど、もう少しお話を膨らませてくれるとなお良かった。
【単行本】「地球氷解事紀」上下巻 谷口ジロー 双葉社 A5 [bk1:上/下][Amzn:上/下]
10年以上前のアフタヌーンに掲載された本格SFアドベンチャー。主人公は氷河に閉ざされた惑星で資源の採掘をやっていた青年ヤマト・タケル。最初は採掘坑で退屈な日常を送っていたタケルだが、惑星に異変が起こり気候が激変、氷河期が終わりを告げさまざまな動植物がいっせいに進化を遂げていく中で、彼も己の進むべき道を模索していく……という大河ロマン。まあ正直なところ、いろんな設定が詰め込まれすぎててほとんどが未消化のまま終わっちゃってる感はあるんだけど、わりと一気に読んでいけるような作りになっているので読んでいる間はあまりそれらのことは気にならない。設定的にはスター・ウォーズっぽいところとかあったり、いささか古めかなとも思うけれども、こういう大風呂敷なSFモノ自体は嫌いじゃない。本格的にやろうと思ったら、10巻レベルのボリュームは必要かもしれない。
【単行本】「空室あります」4巻 やまあき道屯 講談社 B6 [bk1][Amzn]
これにて最終巻。最初のうちは単行本が出ずどうしたもんかなと思っていたが、いつの間にか4巻までちゃんと出た。「どうしたもんかな」と思った理由として、全部切り抜きするほどではないと思うんだけど、とっとかないと後悔するかも……という微妙なラインの作品だったから。内容的にはこの巻でも、木造アパートの美人大家さんな珠子さんを中心に下町人情系のお話を展開。珠子さんがあんまりにものんきな感じだったせいか、新たにキレ者系のキャラである珠子さんの弟も登場。とても良心的に作られた作品ではある。ただあまりにもきれいに人情系のことをやろうとしてて、少々生ヌルいかなという感もあり。絵がもったりしてるんで、これがもう少し洗練されてキレが出てくるとだいぶ印象が変わったような気もする。
【単行本】「宅配ビンちゃん」 Moo.念平 リイド社 B6 [bk1][Amzn]
お客さんの笑顔を見ることが生きがいの宅配便屋の青年ビンちゃんが、変形したり空を飛んだりする意志を持ったトラックのタックとコンビを組んで奮闘する人情モノ系の作品。良心的であることは確かだが、一話一話がわりと短いので若干読み足りないかなー。まあ単行本としては1冊に全58話収録されているんでボリューム感はあるけれども。
【単行本】「鬼道天外かなめ」1巻 乾良彦 秋田書店 B6 [bk1][Amzn]
人間などにとりつく怪異をあやつり、本来進むべき道へと戻す「あやつり師」の女性・かなめの活躍を描く、和風妖怪退治系ストーリー。まだあんまり洗練はされてないけど、丁寧に描いている描線がちょっと気になってて購入。内容としてはわりとよくある妖怪退治モノといったところ。作画でモロに沙村広明やら岩明均の影響を受けてるっぽいところが見えて、安くなってる感じは否めない。
11/3(日)……チャイナ衣装よ
▼今日はまんがの日だそうですな。あと手塚治虫の誕生日でもあるとか。これ書いてるのは4日になってからだけど。
【雑誌】ビッグコミックSPECIAL増刊 12/1 小学館 B5中
「時代歴史コミック」特集の増刊。地味な印象はあるけれども、ベテラン作家が多いせいかけっこう読める作品があってなかなか面白い。
まず平田弘史「白虎隊」は、戊辰戦争のさなか、白虎隊が迎えた最期と残された唯一の少年の無念を描く作品。平田弘史の力強い筆で描かれた物語からは、望みなき闘いの末に絶望して自害した少年剣士たちの悲壮な想いが伝わってくる。谷口ジロー「山へ」は、引退した老マタギが、息子の命を奪った手負いの渡り熊を追って山に入るという物語。あまり「時代歴史コミック」って感じじゃないけれども、老マタギの決意には胸を打たれるものがあり、ググッと力が入る。みなもと太郎「日本剣客伝」は、日本史上最強の剣客は誰かという難問に対し、みなもと太郎が語るという感じのエッセイコミックといったところ。気楽に語るという感じではあるけれども、実際の戦場では刀が使われることはあまりなかったといったことなど、しっかりと資料に基づいて考察が行われていてなかなか興味深い。下村富美「鬼舞」は相変わらずクオリティの高いクリアな絵柄がかっこいいけど、お話的にはちと感覚的すぎて分かりにくいかな。
【単行本】「泣いちゃいそうよ。」 タカハシマコ 芳文社 B6 [bk1][Amzn]
蜜のように甘〜いボーイズラブもの。基本的にやることはせいぜい告白→キスくらいまでなのでドギツいシーンとかは全然なく、とにかく微笑ましさ、可愛らしさが際立つ。お話のほうも可憐な絵そのままに、茶目っ気もあるいい感じの雰囲気になっている。きれいすぎるくらいきれいで、可愛すぎるくらい可愛い。ショタ心をつくコントロールは抜群で安定感もばっちり。
【単行本】「どんまい!」3巻 作:矢島正雄+画:若狭たけし 集英社 B6 [bk1][Amzn]
なかなか読みごたえのあるいいお話が多い。老人介護を行うヘルパーをやってる元気娘、古沢優の奮闘を描いていくという作品。簡単には結論が出ない問題であっても、思いきって体当たりで挑んでいく姿勢が清々しいし、ときにほろりとさせるようなエピソードもある。矢島正雄の手堅い原作と、若狭たけしの勢いのある画風がよくマッチした良作。あと今回は、オレンジを基調とした表紙がなかなかキレイ。
【単行本】「サユリ1号」3巻 村上かつら 小学館 B6 [bk1][Amzn]
面白い。今回は大橋さんがピンチに陥るも、ますます彼女の底知れぬ恐ろしさを感じさせる結果に。村上かつらの脂っ気のない描線が、大橋さんの虚無、ナオヤの空虚さを際立たせているように思う。素っ気なく癒しもなく、居心地がとても悪い。そこらへんがスリリングでゾクッとくる。ナオヤが調子はいいけど気は小さい、本当にどこにでもいそうな兄ちゃんだけに、よけいリアルに身にしみるものがある。
【単行本】「ギャラリーフェイク」26巻 細野不二彦 小学館 B6 [bk1][Amzn]
今さら新しく書くこともないんだけど、これだけ長くやっててそれでも飽きずに読めるというのは大したもんだと思う。普通の美術品だけでなく、錠前だとかアフリカの民芸品だとか、珍しいものをときどき紹介してくれるのも新鮮。
【単行本】「イケてる刑事」5巻 佐野タカシ 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]
エンターテインメントですなー。この巻は、いちおう刑事物ではあるけれども主人公近藤と後輩刑事がタッグを組むプロレス編がメイン。いつもながらにお色気サービスむんむん。後ろパンチラだけでなく、前パンチラも多し。あとお話のほうもけっこう好きで、カラッと明るくてなんかしみったれたところがないのがいい。
【単行本】「Dr.リアンが診てあげる」2巻 竹内元紀 角川書店 B6 [bk1][Amzn]
開けっぴろげに下ネタ小ネタを連発しまくる。一つ一つのギャグは下らなくとも、これだけ立て続けにテンポ良くやられると思わず笑ってしまう。この巻あたりになると、天然系で恥ずかしげもなく脱ぐももじ、ツッコミ役である岡崎さん、一見まともそうだけど一番下品なことをいっているような気もする直人が目立って、主人公であるリアンの影が薄くなっているような……。まあどうでもいいんだけど。
【単行本】「蒼天航路」26巻 王欣太 講談社 B6 [bk1][Amzn]
劉備と孫権の会談の模様が描かれた後、お話は曹操サイドに移る。「唯才是挙」という儒の常識を無視するような令を発した曹操に対し、心根は儒である荀イクは埋めがたい溝を感じるようになっていく。そしてもう一人、「才」に当たる人物、「神医」と呼ばれた華陀と曹操も出会い、また両者の差異があらわになっていく。才を求めるという志は同じながら、それぞれのポリシーの違いが対照的に呈示されていく構図は興味深い。まあなんにせよ、芯のあるキャラだけにみんなかっこいいなあ、と。
【単行本】「バガボンド」15巻 井上雄彦 講談社 B6 [bk1][Amzn]
相変わらずの高値安定ぶり。この巻では、これまではかっこようないところばかりが目立っていた鐘巻自斎が、かつて剣豪といわれたときを伺わせるような腕を見せている。小次郎もいよいよ剣の才能の片鱗を見せ始めており、巣立ちの時は近しという感じだろうか。
11/2(土)……鳥使い聖書集め
▼なんか最近、妄想力が強まっている。寝床で本を読みながらうとうとしていると、そのうとうと状態の中で漫画や小説などの続きのストーリーとかが詳しいセリフや絵付きで頭に浮かび、延々一話分くらい妄想が進行する。んでもってなんか本当に読んだような気になった後で「これ妄想じゃん」という具合にハッと気がつくといった具合。ときどきオリジナル作品や現実の出来事が妄想内で展開することもある。いったいどうしてしまったんだろう。ヤバいぞ俺。
【雑誌】ヤングマガジン 11/18 No.49 講談社 B5中
松本光司の新連載「彼岸島」がスタート。物語は、寂れた山奥の孤村でゾンビのごとき吸血鬼に男が追い回されている、おどろおどろしいシーンから始まる。その後、舞台は打って変わって町中に移り、とある少年の前に謎めいた女性が出現。さてどうなるか……という状態で次号へ。「クーデタークラブ」のときと同様、やたらと強い物語のヒキは健在。かなり血みどろでショッキングな話になりそう。まずは期待。それから日本橋ヨヲコが2年ぶりにヤンマガに登場。読切「ハイジャンパーズ・ハイ」が掲載。走り高跳びの選手をしている二人の少女の青春物語。さほど強烈なインパクトはなかったけど、後味良くきれいにまとめているなという印象。
【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 11/18 No.49 小学館 B5中
ヒラマツ・ミノル「アグネス仮面」。マーベラス虎嶋がかっこいい〜。リングの鬼神がどういう闘いっぷりを見せてくれるか、次号が楽しみだなあ。三宅乱丈「ペット」。超能力バトルというか脳内バトル。アクションとかが激しいわけじゃないのに緊張感バリバリ。とても不穏で面白い。読切「アドレナリンガール」の稲井雄人は、「新僧」「漫戦スピリッツ」でのデビュー組。やたら力が強くて困ってる少女のドタバタ恋愛物語。なかなか絵が達者で楽しく読める作品。なお漫戦スピリッツの第3号は12月21日発売とのこと。
【雑誌】週刊少年ジャンプ 11/18 No.49 集英社 B5平
河下水希「いちご100%」。かわるがわる3人娘の攻勢があって、恋愛気分を天井知らずで高めていってる。いやあもう骨抜かれまくりですわ。叶恭弘「プリティフェイス」。こっちはボンデージっぽいファッションで大蛇とからんだり。こちらはこちらで骨抜き系。
【単行本】「銀河ガールパンダボーイ」 かわかみじゅんこ 祥伝社 A5 [bk1][Amzn]
「銀河ガールパンダボーイ」「忘れじのレイドバック」と、「クラブハリケーン」全4話を収録。思春期の少年少女の気持ちを描いた感覚的なお話が多く、なんだか評しにくい本ではあるんだけど、絵もストーリーも雰囲気も美しい。かわかみじゅんこ作品の特徴であるキャラのまっすぐな目の光同様、作品世界全体がキラキラ眩しい。
【単行本】「必ずお読み下さい。」 一條裕子 マガジンハウス A5 [Amzn]
電化製品などの取扱説明書に書かれている「長時間ご使用にならないときは、乾電池を取り出してください。」などの一つひとつの文句をネタに、一條裕子がしなくてもいい想像の翼をはためかせてヘンなお話を作っちゃうという趣旨のお話。「取扱説明書は、いつでも見られる場所に保管してください。」という文句から、ゲートボール倶楽部内の人間関係に悩むおばあちゃんのお話を展開するなど、いちおう使用者に誤解されないように書かれているはずの定型文からよくぞここまでお話を作るもんだと感心させられる。一條裕子らしい、しれっとした嘘話テイストが出ていて面白かった。
【単行本】「低俗霊DAYDREAM」4巻 作:奥瀬サキ+画:目黒三吉 角川書店 B6 [bk1][Amzn]
この巻では深小姫女王様が失踪し(ていうか温泉に行っちゃって)、残された者たちを中心にお話が進む。深小姫がいない分、わりと普通の妖怪系のお話として展開している中、惣一郎のみっともなさが光っている。キャラが立ってくるにつれ面白くなってきている。ただ、一つの事件が終わったらまた一つの事件という感じで、あんまりエピソード間のつながりがなく進むので、ちと断片的な感じもする。作品全体を貫く筋みたいなものがあったほうがいいかもしれないなあ。
【単行本】「アフター0」7〜8巻 岡崎二郎 小学館 B6 [bk1][Amzn:7巻/8巻]
これにて新版は全部刊行終了。やっぱり一つひとつのお話が丁寧に作られてて、とても良心的。しみじみ面白い。細かい収録状況等は、データを岡崎二郎ページに追加しておいたのでそちらを参照のこと。7巻はけっこう初収録作品が多かった。全8巻購入者の中から抽選で200名に、岡崎二郎直筆サイン入り色紙プレゼントもあるらしいので、欲しい人は応募期限の12月21日までの間に買っておくといいです。
11/1(金)……奴婢の肝
▼未読物
【単行本】「どんまい!」3巻 作:矢島正雄+画:若狭たけし 集英社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「銀河ガールパンダボーイ」 かわかみじゅんこ 祥伝社 A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「鬼道天外かなめ」1巻 乾良彦 秋田書店 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「ワイルド7 愛蔵版」1〜2巻 望月三起也 実業之日本社 B6 [bk1:1巻/2巻][Amzn:1巻/2巻]
【雑誌】近代麻雀 12/1 vol.425 竹書房 B5中
今号はすごいなー。まずはなんといっても高橋のぼる「ジャンロック」の最終回だ。愛しい人の陰部を賭けた砂漠麻雀が最高潮。主人公雀平の「マージャンズ・ハイ」を呼ぶ恐ろしい踊り。イカれた表情。クライマックスシーンも圧巻。爆笑した。馬鹿すぎる。素晴らしい。それからみやわき心太郎の「人気麻雀」もイカれすぎだー。その人がいるだけでなぜかそこに人が集まってしまう「人気」。これをやたら持っている看護婦さんが麻雀をやるという話なんだけど……。いくらなんでも人気の効果がてきめんすぎる。ローエングリンやヒランヤだってこうはいかない。その人がいるだけで病院に急患が来まくっちゃうって、そりゃ迷惑なだけでは? 扉絵の「いい人たち→」「わるいひと→」とかいう、注意書きなど、端々まで芸が……。ところでこの作品には「協力:堀達哉」ってあるんだけど、何を協力したんだろう。口を挟む余地はないと思うのだが……。
正直その2作品が、「アカギ」の展開がどうでも良くなっちゃうくらい凄すぎるのだけど、天獅子悦也「むこうぶち」(原作:安藤満)の、有閑マダムさん編もけっこう面白いと思った。「ごめんあそばせ!」とアガるときのフキダシがゴージャスすぎる。
【雑誌】マンガ・エロティクスF vol.18 太田出版 B5平
近藤ようこの新連載「絹の紐」が連載開始。新婚早々夫を失い残された妻が、彼が死んでからその秘められた姿をじょじょに発見していくという物語。和服姿の別の女も登場し、しっとりとエロチック。残された女同士の関係性の緊張感など、いかにもこの人らしいしなやかな粘着力がある。けっこう面白くなりそう。松田洋子「赤い文化住宅の初子」も新連載。同じ学校の男子と恋を育んでいるけれども、家の事情で中学卒業後は就職しなくてはならなくなった少女の日々を描いていくって感じかな。少女は垢抜けないが、現実は厳しく、これからどうなっていくのかーという感じ。地味めだけれども心惹かれるものある作品。
志村貴子「どうにかなる日々」は、実は同性愛的嗜好を持っているんだけど、それを隠して日々暮らしている男子高の先生のお話。4回めだが、12月中旬には早くも単行本1巻が発売されるらしい。たぶん読切も何本か収録されるんだろう。麗人に掲載された奴とか入らないかな。小田扉「ともみの親友」は、親友の断片的な言葉から彼女の恋愛模様を推理していく女が主人公。親友の友人関係を図に書いて整理していく持って回ったやり方がなんか面白い。やっぱり図はいいな、図は。比古地朔弥「残骸」。村の守り神である巫女と彼女に魅了された男のお話。背徳感があってエロチックにお話は進むけど、ラストはなかなか残酷ですな。
安田弘之「紺野さんと遊ぼう」では、紺野さんが男子に恋を。いつもはヘンなことばかりしている紺野さんだけど、たまには恋に浮かれる様子もいいもんです。雁須磨子「保健室のせんせい」。タイトルどおり、保健医をやっている女性が主人公。彼女は自分の中で生徒が相談してくる病状に点数をつけていて、その数値がたまるとなんかうれしい気分になるというヘンなクセがある。まあセックスシーンもあったりはするけど、点数のつけ方の冷静さとかやるときも保険医的気配りを欠かさないとか、キャラのノリが独特なのが見てて楽しい。駕籠真太郎「あつめもの4」は、他人の吐瀉物を集めている女性の話。やはり駕籠真太郎は、こういうグロいテイストがあったほうが面白い。
【雑誌】ビジネスジャンプ 11/15 No.23 集英社 B5中
冬目景「イエスタデイをうたって」。うーむラブコメだなあ。微妙で、かつ居心地の良い距離を保ちつつ、少し波風を起こすってあたりが。作:夢枕獏+画:谷口ジロー「神々の山嶺」は、もうそろそろラストが近そう。羽生は、深町はどうなるのか。最後まで展開が気になる。作:近藤雅之+有賀照人「警視総監アサミ」は、なんというかいつもながらにどうしようもない。今回は結局のところ、萬田警部補と原田くんがやっているうちに、いつの間にか事件が解決していた。そして次号も萬田警部補らしい。
【雑誌】ビッグコミックスペリオール 11/15 No.23 小学館 B5中
星里もちる「本気のしるし」は最終回。いや〜満喫しました。途中までのドロドロした展開も良かったし、最後もきれいに締めくくってくれてホッとした。というかこんな前向きな結論に至るとは思ってもみなかった。星里もちるの青年誌作品は、わりと後半ダレ気味な話が多かったように思うけれども、この作品はそんなこともなかったし。作:武論尊+画:池上遼一「HEAT」はあれから5年後。いくら唐沢がいなかったからといって、いくらなんでも変わりすぎだろう歌舞伎町。バーガー1500円のスーパーインフレに、ムショあがりの唐沢もビックリ。町並みはほぼラスベガスだし、なぜかスラムもあるし。面白すぎ。石川優吾の短期集中連載「スプライト」は最終回。この人はお色気系のお話の印象が強いけど、マジメな作品描いてもうまいと思う。何気にけっこう読ます。
【雑誌】コミックバンチ 11/15 No.48 新潮社 B5中
原哲夫「蒼天の拳」は、前回から出てきたやたらデカい男が笑える。最初火炎放射器持った男が出てきたときは何かと思った。以前10/18 No.44に読切で掲載された八潮路つとむ「ひもの道」が掲載。干物職人の泣き笑いを描いた意欲作ではもちろんなくて、いわゆる女に食わせてもらう「ひも」になるための学校に通う青年のお話。連載っぽい話だなと思っていたがやっぱりシリーズ連載となる模様。
【雑誌】ポプリクラブ 12月号 晋遊舎 B5中
パニックアタック「ぜったい萌えだもんっ!!」は新機軸というかなんというか、今度は「お兄ちゃんが死ぬ程超大好きな男の子」を出してきたー。この弟ちゃんが兄のために、萌え萌えファッションをしようとして、姉にいたづらされてしまうというお話だー。「大人になる呪文」同様、小動物を愛でるような感があって楽しい作品。へかとん「しあわせういるす」が相変わらずほにゃほにゃしてていいね。めがねっ娘が幼なじみの男の子を看病しにいって、猫耳のずきんかぶってHをするというお話。