2002年12月中旬


12/20(金)……板ズラす位置

▼未読物
【単行本】「電脳なをさん」5巻 唐沢なをき アスキー 変型判 [bk1][Amzn]
【単行本】「新世紀エヴァンゲリオン」8巻 作:GAINAX+漫画:貞本義行 角川書店 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「エイケン」8巻 松山せいじ 秋田書店 新書判 [bk1][Amzn]
【単行本】「ななか6/17」9巻 八神健 秋田書店 新書判 [bk1][Amzn]
【単行本】「ベルセルク」24巻 三浦建太郎 白泉社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「ヘウレーカ」 岩明均 白泉社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「ジャイアント」2巻 山田芳裕 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「えの素」7巻 榎本俊二 講談社 A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「BLAME!」9巻 弐瓶勉 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「蟲師」3巻 漆原友紀 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「茄子」3巻 黒田硫黄 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「トゥルー・カラーズ」 さそうあきら イースト・プレス A5 [bk1][Amzn]

▼2003年1月購入予定(リンク先はbk1の新刊予約コーナー)。12月にまとめて単行本が出る分、1月はちょっと楽だ〜……とか思ってたけど、意外とあるなあ。

1/6 「甘い水」1巻 松本剛 講談社
1/6 「いちご実験室」 山名沢湖 講談社
1/6 「アゴなしゲンとオレ物語」11巻 平本アキラ 講談社
1/6 「いちご100%」3巻 河下水希 集英社
1/9 「THE大市民」1巻 柳沢きみお 講談社
1/9 「貧民の食卓」4巻 おおつぼマキ 新潮社
1/9 「人妻姫」3巻 かるま龍狼 ワニマガジン社
1/9 「東京ダンジョン姉妹」 うらまっく ワニマガジン社
1/11 「東京家族」3巻 山崎さやか 双葉社
1/17 「ハチミツとクローバー」3巻 羽海野チカ 集英社
1/17 「てるてる×少年」4巻 高尾滋 白泉社
1/17 「鍵」 望月花梨 白泉社
1/17 「破壊魔定光」7巻 中平正彦 集英社
1/17 「SWEET LESSON」 BENNY’S 司書房
1/18 「からくりサーカス」26巻 藤田和日郎 小学館
1/18 「美鳥の日々」1巻 井上和郎 小学館
1/18 「World Wide Love」 泉ゆうじろ〜 コアマガジン
1/18 「めいどIn」 みた森たつや コアマガジン
1/22 「こもまん○が凄い」 摩訶不思議 ヒット出版社
1/23 「オーバーマン キングゲイナー」1巻 作:富野由悠季+画:中村嘉宏 メディアファクトリー
1/23 「樹海少年ZOO1」6巻 作:ピエール瀧+画:漫$画太郎 秋田書店
1/23 「ブラックジャックによろしく」4巻 佐藤秀峰 講談社
1/23 「プラネテス」3巻 幸村誠 講談社
1/23 「G組のG」3巻 真右衛門 講談社
1/23 「めもるは何もメモらない」 真右衛門 竹書房
1/23 「天水」上巻 花輪和一 講談社
1/24 「人妻みつ江」 ペンネームは無い 東京三世社
1/25 「弥次喜多 in DEEP」8巻 しりあがり寿 エンターブレイン
1/25 「楽園」 藤原薫 祥伝社
1/27 「デ・ジ・キャラット劇場 ぴよこにおまかせっ!!」2巻 作:コゲどんぼ+画:ひな。 メディアワークス
1/27 「完全版野望の王国」6巻 作:雁屋哲+画:由起賢二 日本文芸社
1/28 「イナカナかれっじ」2巻 法田恵 双葉社
1/28 「TAG」 すえひろがり シュベール出版
1/28 「千景」 作:山咲まさと+画:艶々 双葉社
1/29 「マウス」9巻 作:あかほりさとる+画:板場広志 白泉社
1/29 「蛮勇引力」4巻 山口貴由 白泉社
1/29 「職業・殺し屋。」 西川秀明 白泉社
1/30 「しゅーまっは」7巻 伯林 秋田書店
1/30 「無敵看板娘」2巻 佐渡川準 秋田書店
1/30 「サユリ1号」4巻 村上かつら 小学館
1/30 「ナイトクレイバー竜一」1巻 稲光伸二 小学館
1/30 「ペット」1巻 三宅乱丈 小学館
1/30 「ペット」2巻 三宅乱丈 小学館
1/30 「π」1巻 古屋兎丸 小学館
1/30 「SS」7巻 東本昌平 小学館
1/30 「ももいろさんご」4巻 花見沢Q太郎 少年画報社

【雑誌】大阪芸術大学 河南文藝 漫画篇 2003年新年号 大阪芸術大学 B5平 [Amzn]

 「日本初!大学が創る漫画誌です。」との触れ込みで創刊。大阪芸術大学文芸学科長である小池一夫が責任編集した雑誌。大学で劇画村塾か……と思った人もけっこういるかもしれない。基本的には小池ゼミの人たちが漫画を執筆。そのほかに弘兼憲史、池上遼一、里中満智子、バロン吉元、西村しのぶといったプロ作家の作品もちょっと載っかっている。この手の雑誌といえば、昔代々木アニメーション学院が出していたCOMIC PIAZZAを思い出したりしたが、小池一夫が編集しているだけあって学生作品も案外読めた。いってみればかなり豪華な学漫同人誌を書店売りしているようなもので、まあもちろん実力的にはまだ足りないんだけど、オーソドックスに漫画を描いていこうという意志は感じる。

 この中では、アメコミチックな描線によるカーアクションのCAPT.NYAKO「Pu239」、細かい描線でゴツゴツした骨太なタッチの絵を描く中見陽介「QUALITY FLAVOR」、それからヤクザの鉄砲玉のにいちゃんが主役の作:小野洋一+画:北野和寿「犬狗コロコロ」、気の利いた構成の政平直征「名前のない夜」といったあたりの人たちは、今すぐ商業誌に載ってもやっていけそうというレベルではないものの、それなりに健闘している印象。

 書店売りすることの是非はともかくとして、第一線でバリバリやっていた漫画家や原作者が学生に直接教えていくというのは、これからもっとやっていていいと個人的には思っている。というのは最近ベテラン漫画家のアガリポジションというのをちょっと考えていたりするから。自身の作家としての旬は過ぎちゃったけど実績のあるベテラン作家が若い人を指導したり、評論家などとして語っていくというのは、まあ人によるとは思うけれども有益なんじゃなかろうか。漫画を作るということのノウハウを伝授するという意味でも、旬を過ぎたベテラン作家に仕事を与えるという意味でも。個人的にはプロスポーツにおけるコーチや解説者みたいなのを意識している。漫画の場合は、後進の指導はアシスタントという形で仕事をしながら、もしくは編集者を通して間接的に行っていくという形がどちらかといえばメインのように思われる。だけどせっかく凄い実績を持ったベテラン作家がいるのだから、そういう人たちはもっともっと語っていっていいし、それができる場所がないために語ることができないならちょっともったいない。継承していくべき大事なモノというのは絶対にあるはず。漫画の場合は、作る人と語る人がハッキリ分かれすぎのような気がする。……話がずいぶんズレてしまいましたな。

【雑誌】アックス Vol.30 青林工藝舎 A5平 [bk1][Amzn]

 巻頭特集は山本タカト。気品のある耽美的な絵による縛り絵を特徴とする人だ。クオリティがとても高くて美しい。みうらじゅん「IDE&TITY」。末期ガンで死を前にした岩本をステージに立たせるべく中島が奔走する。病室で中島が岩本に語りかける言葉が泣ける。福満しげゆき「僕の小規模な失敗」。漫画家になろうとするも果たせず、定時制の学校で鬱々とした日々を過ごす主人公の日常を描く。最近はCOMICバズーカヴィーナスでちょっとHな作品も描いている福満しげゆきだが、こういう地味な作品ももの悲しい独特の空気があってやっぱりいい。

【雑誌】ヤングマガジン 1/11+15 No.4+5 講談社 B5中

 山本マサユキ「ガタピシ車でいこう!!」。短気で適当なツキキさんのキャラクターが面白い。こういう人は悩みとかなさそうでちょっと羨ましい。CLAMPの読切「むりくり」は、1〜4ページの、バラエティに飛んだショートギャグ漫画7本を集めたモノ。軽やかです。

【雑誌】花とゆめ 1/10 No.2 白泉社 B5平

 羅川真里茂「しゃにむにGO」。一時は絶好調の伊出に押され気味だった佐瀬古だが、結局は世界レベルのジュニアテニスプレーヤーたる実力を見せつける。このところ熱血してていいですな。そしてこの後も、その実力を肌で感じ取った伊出、そして刺激を受けた滝田らがずんずん鍛錬を積んでいくことになりそう。

【雑誌】ビッグコミックオリジナル 1/5 No.1 小学館 B5中

 福本伸行の新連載「最強伝説黒沢」がスタート。友もなく、家族もなく、金もなく、感動もない。建築会社の作業員として漫然と生きてきた男、黒沢44歳が自分の人生のわびしさを痛感するという鬱々とした出だし。正直この人は本当に読ませるなと思った。出だしの「感動などないっ…!」という心の叫びなんか本当にズーンと来る。あと黒沢が自分の人生を「カレンダーの四角いマスをただ漫然と塗りつぶしていく塗り絵」と表現しているが、こういう言葉選びのセンスなんかも何気に抜群だと思う。居酒屋のなんこつ揚げライスとかも、微妙に間が抜けているところがわびしさを加速。この徹底したダメ人間描写は凄いと思った。考えてみれば自分は、東陽片岡みたいなダメでもへっちゃら的スタンスも好きだし、こういう真剣に思い悩むスタンスも好きだ。要は中途半端でなければいいということなのか。でも中途半端さも群を抜いていればそれはそれで面白そうだしなあ。まあ何はともあれ、かなり強烈な連載になりそう。期待している。深巳琳子「沈夫人の料理人」。今回も鮮やかで面白い。沈夫人の悪戯っけと李三の慌てっぷりの対比が見てて非常に面白い。

【雑誌】コミックバンチ 1/10 No.3 新潮社 B5中

 おおつぼマキ「貧民の食卓」は次号で最終回。今回は珍しく料理勝負的なことをしているけど、赤柿父の身もフタもないセリフにちょっと笑った。日高建男「満腹ボクサー徳川」。ついに女の子キャラが登場するもあまりかわいくないかな。女性キャラはあまり得意でないっぽい。だから今までヒロインが出てなかったのか……。

【雑誌】ドルフィン 2月号 司書房 B5中

 吉田蛇作「妄想めぐみちゃん」。一見とても大人しそうなんだけど、常に頭の中をHな妄想が駆け巡っている女子大生めぐみちゃん。今日も好きな男の隣に座れてラッキーと思うも、妄想するばかりで表面的にはそっけない態度をとってしまう。明るくて楽しい。めぐみちゃんが丸顔でもちもちしてるのもけっこう好み。くどうひさし「POKA POKA」は2色カラー6ページを含む作品。最近のドルフィンではこの人が一番楽しみ。お兄ちゃんのことが大好きな妹が、兄の女友達に嫉妬して、その後Hに突入〜というお話。おでこの広い妹ちゃんがなかなか可愛くてよろしい。

【単行本】「いたずらスイッチ」 ほしのふうた 久保書店 A5 [Amzn]

 2002年はほしのふうたの単行本がいっぱい出た年だった。これが実に4冊め。どれもすごくかわいくていい本ばかりだったんだけど、これもまたいいなあ。とくに今回は表紙がとても良かった。いつものツルツルしたコート紙でなくて、和紙みたいなざらざらした触感の紙を使っていて暖かみがある。絵柄的にも、いかにもこの人らしい元気良さが出ている。収録作品についてはほしのふうたコミックスリストのほうに追加したとおりで、あまとりあ社の貧乳シリーズに収録された作品がメイン。楽しくて明るくてかわいくて元気良くて、そしてけっこうHでもあり。お話もいいと思う。とくに今回いいなと思ったのは「ゆきだるまのヨ〜デル」。動く雪だるまと女の子が楽しそうに遊ぶという内容のファンタジーをサイレント劇でやりつつ、Hなこともちゃんとしている楽しさにあふれた作品だ。邪気のなさとHさが、まったく違和感なく共存しててたまりませぬ。


12/19(木)……発火硫黄

▼未読物
【雑誌】まんがくらぶオリジナル 2月号 竹書房 B5中
【雑誌】ヒメクリ銀華 Vol.02 FOX出版 A5平
【単行本】「金色のガッシュ!!」8巻 雷句誠 小学館 新書判 [bk1][Amzn]
【単行本】「イケてる2人」14巻 佐野タカシ 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「ワイルド7愛蔵版」4巻 望月三起也 実業之日本社 B6 [bk1][Amzn]
▼早売り(20日)
【単行本】「いたずらスイッチ」 ほしのふうた 久保書店 A5
【雑誌】ビッグコミックオリジナル 1/5 No.1 小学館 B5中
【雑誌】コミックバンチ 1/10 No.3 新潮社 B5中
▼早売り(21日)
【雑誌】ドルフィン 2月号 司書房 B5中

 ほしのふうた「いたずらスイッチ」は、一部専門店と久保書店通販での販売分には特典ポストカードがおまけで付属。もらってきたけど、絵柄は収録作の「ゆきだるまのヨ〜デル」のカラーイラストだった。あとアキバの一部書店では、描き下ろしカラーイラストボードのプレゼント(抽選)もあるとのこと。こちらも応募用紙に記入してきました。実施店など、詳細はフリップ・サイドのWebを参照のこと。

【雑誌】イブニング 1月号 講談社 B5中

 来年4月から月2回刊化決定。なんかモーニングが月6回出るみたいな感覚。

 寺沢大介「喰いタン」。今回は高野の後見人的なおじさんが登場。もみあげがスゴい! 内容も相変わらず特殊で、喰いタン限定な推理を展開。キーワードは地中海ヨーグルト。ちょっと興味のある食品だ。アレってうまいんすか? 佐藤マコト「サトラレ」は非常にコンスタント。脇キャラの活かし方がうまい。吉田基已「恋風」。今回も小出しに恋ツボをつんつんと、的確につっついてくる。たまらない漫画だ……。

【雑誌】ウルトラジャンプ 1月号 集英社 B5平

 最近バンダナ付けてる雑誌が増えたなあ、といってもこの雑誌とキングダムくらいだけど。

 雑誌の中身については、どの作品が、という感じではなくてわりと全体的に普通に面白く読める作品が多いなと思う。19日発売のコレ系3誌、ウルトラジャンプ、サンデーGX、チャンピオンREDの中で一番物理的な重量が軽い。それもあってか気楽に読める感じ。サンデーGXは紙がいいのか、なんか重すぎるような気がいつもする。竹下堅次朗「Happy World!」。美少女悪魔のイスラの、少女形態、セーラー服形態、ナイスバディ形態、幼女形態と、一話でいろいろな煩悩に対応できるお得な作り。酒井貴弘の読切「−天国からの招待状−」は、雲の形状に直線を多用する、スッキリとした独特なタッチはわりと面白い。内容はとある理由で天国に招かれた少女の自分探しといったところかなあ。ちょっと自己完結しちゃってるきらいがある。ちょっと淡白なので、作画、ストーリーとももう一歩押しが欲しいところ。

【雑誌】月刊サンデーGX 1月号 小学館 B5平

 楠桂「ガールズザウルスDX」が開始。とある女の子の告白が原因で女性恐怖症になってしまった少年が、モテてモテて困りまくるというドタバタコメディ。自分がモテているわけではないのに、漫画内のキャラがモテている状況を見るのはなぜか楽しいものです。花見沢Q太郎「REC〜夢の記録」。サラリーマンのにいちゃんと声優な女の子のドキドキ同棲生活。けっこう今回はいいお話。意味なしパンチラとかの差し挟み方も堂に入っている。イダタツヒコ「美女で野獣」では、アカネの婚約者を名乗る新キャラ(男)が登場。ますます賑やかなことになりそう。あと、松浦聡彦「Wake up!」は今回で最終回。

【雑誌】チャンピオンRED 2月号 秋田書店 B5平

 作:車田正美+画:岡田芽武で「聖闘士星矢G」が連載開始……っていきなり袋とじですかい。これ単純に読みにくくしているだけのような気がしてならない。いつもハサミとか持ち歩いているわけでもないので、電車の中とかじゃ読めないよ……。少なくともより間口を広くとっておくべき本編の第1話でやることではないような。富沢ひとし「エイリアン9エミュレイターズ」は最終回。これでいちおう3人娘のエピソードもおしまいなのかな。単行本は企画満載で来年6月発売とのこと。半年も待たされるのか……。ようがす。待ちやしょう。伯林「最強委員長」。なんかキャラがこなれてきて面白くなってきているような感じ。

【雑誌】ヤングサンデー 1/9 No.3 小学館 B5中

 巻頭カラーで納谷昇の読切「拳骨王」が掲載。なんか絵柄的にはかなり高橋のぼるに近いんだけど本人なのかなあ。よく分からない。冒頭からして、自然を深く敬うきこりがふんどし一丁で巨木を登っているという構図から始まる異様なムード。彼が自然を破壊して開発しちゃおうという悪徳業者に、拳骨いっちょで立ち向かうというさまを描いた豪快な作品で面白いと思った。濃いキャラ、濃いリアクションはかなり高橋のぼるなんだけど……。

【雑誌】ヤングジャンプ 1/16 No.3 集英社 B5中

 たなかかなこの新連載「破戒王 〜おれの牛若〜」がスタート。破戒僧な武蔵坊弁慶が、実は女の子である牛若丸とコンビを組んで暴れるという伝奇アクションといったところ。この人は基本的な技量は十分高いのだけど、ちょっと絵柄にクセがあるというのもあってなかんなかブレイクしきらないところがある。わりとヤンジャンっぽい作風ではあると思うので、うまいこと波に乗れればといったところ。

【アンソロジー】アイラDELUXE VOLUME.6 三和出版 A5平 [Amzn]

 掘骨砕三「閉暗所同好会」。いやあなんかもうスゴいことになってますなあ。内容を紹介したいけど、びっくり箱的作品なのであまり書いちゃうわけにもいかない。とりあえず今回のサブタイトルは「カンガルー 大袋鼠」だ。狭く閉ざされた場所での変態的なプレイが発展して、めちゃめちゃにフリーキーな事態に発展。よくこんなこと考えつくなあ。いつも素直に感心してしまう。それでも絵は一級品の可愛らしさで読みやすかったりするもんだから大変だ。あと今回は山田一人「破壊完了!」の執拗なゲロ責めの模様もテンションが高かった。絵があんまりきれいでない分、迫力がある。ベギラマ「乙女失格」。今回も因果な方々との因果な体験をレポート。現実は小説よりも奇なりと申しますか。


12/18(水)……不達の対応

▼「ふぬけ共和国」のつれづれなるマンガ感想文12月後半の雑記「まあ、いろいろ」にはいろいろ考えさせられるモノがあった。ここしばらく、なぜだかいろいろ自分のスタンス、世間との違和感などについて考えを巡らすことが増えてきておる。物語問題もその一つだし、ほかにもいくつか。「まあ、いろいろ」にはそれと関係性のあるさまざまな事柄がいくつも含まれている。そしてそれぞれの事柄は、すべてどっかでつながっている。ただそれらの事柄について、現在のところかなり思考が未整理なので、「これはこれこれこういうことだ」みたいな結論はいまいち出せていない。ものごとを論理的に系統立ててとらえたり、そこから筋道立てて思考を発展させていくみたいなことはあんまり得意ではないし……。何はともあれもうちょっと考えてみたい。それにしてもこういうことを考えるようになってきたというのは、趣味人としての歩く速度がゆっくりになってきたってことかもしらんですな。

【雑誌】週刊少年サンデー 1/8 No.3 小学館 B5平

 雷句誠「金色のガッシュ!!」。今回のエピソードはけっこう笑った。相変わらずギャグもうまいな〜。絵柄的にもちゃんと笑える。まあ今回出てきたヤツも、きっと強敵なのではあろうけれども。高橋しん「きみのカケラ」。なんだかいつの間にか掲載順が一番うしろに。うーんやっぱりあんまり人気ないんでしょうな。この連載を通じて思ったことは、高橋しんという人は叙情は抜群にうまいのだけど、叙事はどうもからっきしであるらしい、ということ。「きみのカケラ」は、正直なところ今何をやってるんだかサッパリ分からない。「ちゃんと読んでないんだろ」といわれるかもしれないが、よく出来た作品は多少流して読んでもお話が頭の中にするする入ってくるものだ。「最終兵器彼女」は状況を説明しないことによって独特の世界観を作り上げていたので、叙事能力は問われなかったけど、週刊少年誌は明快さが強く求められるジャンルだけにちとツラかったかもな、と思う。

【雑誌】オースーパージャンプ 1月号 集英社 B5

 そろそろこの雑誌も連載入れ替え期かな。石川サブロウ「ゆきのいろ」と作:黒沢哲哉+画:里見桂「HAIKARA事件帖」、渡辺獏人「人事課長鬼塚 派閥抗争編」が最終回。この中で印象深かったのは石川サブロウ「ゆきのいろ」。けっこう楽しみにしていた作品だった。最後は暖かくきれいに締めくくり。

【雑誌】COMICマナ VOL.02 三和出版 B5平

 ムサシマル「REPLACE GIRL」前編は、姉の彼氏が浮気していないか調査するために、妹と入れ替わりそこからH〜というお話。この人の絵柄はなかなかピチピチしててけっこう好き。Benny's「人助け」は、ちょっぴりシュールでかつHなギャグテイストのお話。もうちょっと1回ごとのHのボリュームがあるといいけど、カラッ明るく楽しいです。古事記王子「はじめての妹」は、天然系の妹が兄に迫るという内容のギャグH漫画。脳天気なノリが面白い。あと、あんみつ草「パパにはないしょ」は以前COLORFUL萬福星に掲載された作品で、単行本「シュガータイム」に収録されたものの再録みたい。

【単行本】「ベスト・アルバム」 福山庸治 河出書房新社 A5 [bk1][Amzn]

 福山庸治自身による自選短編集。シャレた絵柄とブラックユーモアを特徴とする気の利いた作品世界。軽やかで乱れがなくて、やっぱりカッコイイ作家さんだと思う。収録作品は主に「ある朝パニック」からの再録で、「レコードのベスト盤」的なノリで製作されたとのこと。「F氏的日常」は単行本未収録分も掲載。

【収録作品】「ある朝パニック」「ある夜のピクニック」「嚢」「ズブズブズ」「シャワー」「愛ちゃんは太郎の嫁になりまくる」「長─────い夜」「母子像」「混とらバス独走による無伴奏ソナタ変ロ長調アンダンテ」「F氏的日常」

【単行本】「ROAD〜ふたつの太陽〜」4〜5巻 塀内夏子 講談社 新書判 [bk1][Amzn:4巻/5巻

 「ROAD〜輝ける道〜」で駅伝チームの一員だった天才ランナー如月が今回は完全に主役に昇格。駅伝編でも良きライバルであった期待の大学生ランナー、沢田とともに福岡マラソンに出場。「輝ける道」のほうが終わったときに続きがあるかなと思っていたら、案の定という感じだった。この二人の友情を軸として、2巻で1レースをきっちりまとめ上げたソツのない作り。マラソンの駆け引きはしっかり描かれていて、短いながらも読ませる。ただ最近の塀内夏子は、「Jドリーム完全燃焼編」とかもそうだったんだけど、友情や恋といったウェットな方向に流れる割合が多いのはちょっと気になる。もちろん選手の内面を描くという意味でそういう部分は必要。でもスポーツ部分、その競技ならではの技術論や厳しさのほうに、もう少しだけ重心が乗っかってたほうがスポーツ漫画としては読みごたえがあると思う。あと「輝ける道」のチームメートたちが、今回まったく出てこなかったのはちょっと寂しいような気はした。


12/17(火)……もうド遅延時

▼ああ、そういえば今年のクリスマスってまだ終わってなかったんだなあ、とかふと気づく。もうすっかり気持ちが年内の仕事を終えた後、忘年会とか新年会とかやりたいなあという方向に向かっていたうえに、漫画雑誌の日付表示でも25日は過ぎているので、完璧に脳裏から消えていた。自分でもちょっとびっくり。

【雑誌】ヤングマガジンUppers 1/7 No.1 講談社 B5中

 神崎将臣「鋼」と、すぎむらしんいち「クローン5」(相談:いとうせいこう)が連載終了。「クローン5」はわりと短め、かつスピーディにサクッと終わらせた感じ。単行本は来年2月7日に出る3巻が最終巻になるらしいので、発売されたらまとめて一気読みしたい。はっとりみつる「おとぎのまちのれな」。今回はHなシーンはないけど、展開が派手で面白いなあ。何がなんだか分からなくても読ませちゃえる勢いは貴重。小林賢太郎「鼻兎〜はなうさぎ〜」。珍しくちょっと切ないエピソード。

【雑誌】漫画アクション 12/31 No.53 双葉社 B5中

 次号からてこ入れが。矢口高雄、石原まこちんの新連載が始まるとのことで楽しみ。あと「我がふるさと」というタイトルの新連載が始まって第一話でちばてつやが登場するらしい。「現代日本人が忘れかけている懐かしきふるさとを漫画界の巨匠たちが描く」とあるところを見ると、持ち回り連載になるっぽい。

 倉田真由美「たま先生に訊け!」は今回で最終回。それを記念して成田アキラと対談しているけど、やっぱり成田アキラは役者が何枚か上手だなーと感じた。対談しつつも倉田真由美を口説いてるあたりさすが。あきやまひでき「バイバイマラソン」後編。陸上界から追い出された形のコーチとその教え子の女子選手が、思わぬ形でリベンジを果たすという内容できっちりまとめた。ラストはちょっと予想外だったかな。堀口純男「頼まれ屋健介」は3号連続登場の第1回め。仕事につかないでぷらぷらしてたにーちゃんが、祖父がやってたなんでも屋の仕事を引き継ぐことになるといった感じのお話。この人を見るとどうしても「広末涼子物語」を思い出しちゃうな。

【雑誌】漫画サンデー 12/31 No.51 実業之日本社 B5中

 このところ休載が続いていた作:ひじかた憂峰+画:松森正「湯けむりスナイパー」が連載再開。やはりあるとないとでは、誌面の締まり具合がだいぶ違う。作:末田雄一郎+画:川崎三枝子「蜜華」。けっこうヘンなことやってて最近ちょっと気になる存在。今回は催眠術を駆使する冷酷そうな男が、倉庫で女性をフックで逆さに吊るして、まるでエレキギターでも奏でるようなポーズでガボガボとイラマチオさせている構図がインパクト強くて良かった。

【雑誌】コットンコミック 2月号 東京三世社 B5中

 ん?なんかエロ度を弱めてきてるかな? 今号は西高坂耕平「恋する文化祭」と、すけきよ「もーどちぇんじ」がSEXシーンなしのラブコメになってた。どっちも微笑ましくてなかなか面白かったけど。それ以外の作品も全般的にエロは少なめ。でもこの雑誌の場合は、ハードなエロよりもむしろ全体的なまったり感こそが魅力だったりするので、これはこれでいいかなと思ったりはする。

【雑誌】コミックメガストア 2月号 コアマガジン B5平

 こちらは相変わらずエロは濃い目でガッツンガッツン。しかもハードコアからロリまで、けっこうな描き手が揃ってて今号も全般的にレベル高いと思います。先月から連載の始まった黒岩よしひろ「おうたま」は休載だけど、次号では登場する模様。あと来月は、玉置勉強がメガキューブに続いてメガストアにも初登場予定。

 まず巻頭カラーは、LINDA「扉の陰」。息子の嫁と絶倫の義父という、ヒトヅマスキーな俺としてはわりと好きなネタ。親父さんのおちんちんもやけてにテラテラしていてやらしい〜。鬼ノ仁「ROSE Perfume.」は前回の続きで、前回ずっとお付きだったメイドさん相手に初体験したお坊ちゃんが性的な暴走を始める。双子少女との3Pもあって、相変わらずテンション高くエロシーンを展開。それでいながらけっこうストーリー的なヒキも強く、次回へと続いていく。月野定規「妄想ダイアリーEX 〜はじめてのおるすばん〜」前編は、以前やった兄妹モノの続編的お話。妹が兄とSEXするという妄想を記した日記を書き続けていて、それが兄に見つかったことがきっかけで一線を越えてしまった二人。それが今回は3日間、親がいなくて二人っきりでおるすばん……という展開。

 月野定規の作品は、展開自体はコミカルであっても、女の子の感じっぷりが非常に派手で最近もりもりエロい。だらしなく開いた口やら、トロンとした目つきの描き方とかがたいへんよろしいと思う。来鈍「御家庭の快楽」は3話め。かわいい絵、柔らかそうな女体、近親相姦、巫女さん、めがねっ娘、ロリ、メイド……とサービス満点だー。りゅうとひさし「ペナルティ!?」は委員長な女の子と少年の若セックス。なかなかテンポ良くて一気に面白く読めた。絵柄のほうも、スッキリしたシャープな描線、ぐるぐるした目の描き方など特徴があっていい。

 EB110SS「イクまでオドロンパ!」は、バレエをやってる幼女3人がターゲット。さすがに身体が柔らかく、それをフル活用。THE SEIJI「Wパンチ」もロリ系。この人にしては珍しいかな。まあ子供のわりにはおっぱい大きめだけど。姉の代わりにその元彼氏とやっちゃう妹さんは、なかなか人が良さげで見ていてけっこう和んだりもする。ロリ系はもう一発。國津武士「Empress!」。ロリロリな女帝二人の間で主人公男の奪い合い。コミカルながら幼女エロもしっかりやってて、モテモテ風味な甘い味付けもありとても楽しい。


12/16(月)……エトワール

▼来年の年賀状を注文。キンコーズにて。ここは注文してから出来上がりまでが比較的短く、年内受け付けの締切もわりと遅いので昨年も使った。

【雑誌】近代麻雀 1/15 vol.428 竹書房 B5中

 本そういち「新フリー雀荘最強伝説ONE」は最終回。爽やかだけど、なんかすごくあっさりした終わり方のような。天獅子悦也「むこうぶち」(原案:安藤満)。面白い。異能の持ち主であるボクサー雀士のやり口が、丁寧に描かれているのでしっかりした読みごたえ。しかもきちんとハッタリも利いている。

【雑誌】ヤングマガジン 1/9増刊 GT6 講談社 B5中

 鬼頭莫宏の読切「AとR」は、バイク(Kawasaki AR50)が取り持ったボーイ・ミーツ・ガールな想い出のお話。じんわりトキめく青春話を、きれいにまとめた佳作。山本マサユキ「ルノーの彼女」は、大家に立ち退きを要求されてにっちもさっちも行かなくなってる旧車レストア屋のところへ、壊れたルノーと共に美少女がやってくる……というお話。クルマが分からない人でも分からないなりに、「クルマの話」を読んだような気になれる適度な力加減とかいいなと思う。あと女の子がとても可愛くていいですな。ヌレスケにはトキめきます。考えてみれば性交渉とかの直接的なHは全然ないんだけど、なんかぱーっと画面が華やぎ、ええもん見たような気持ちになれる。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 1/12+15 No.3+4 小学館 B5中

 細野不二彦「ギャラリーフェイク」は、たまにはフジタの人間らしいところも描く……といったお話。ときどきこういうキャラ寄りの話も混ぜてくるあたりうまいねえ。稲井雄人の恋する怪力少女が主役のコメディ「アドレナリンガール」は、11/19 No.49以来の再登場。描線とかはかなりしっかりしているし、気楽に読める楽しい作品に仕上がっていると思う。実力的には十分ありそうなんで、連載もOKなタイプという感じがした。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 1/10+15 No.3+4 集英社 B5平

 河下水希「いちご100%」。今回の扉絵は美少女4人がサンタルックで揃い踏みと、いかにもこの時期な絵柄。で、今回のメインは北大路さん。意外と初々しいことやってて微笑ましい。巻頭カラー、画:村田雄介+作:稲垣理一郎「アイシールド21」は表紙と巻頭カラー。新キャラも出てきたし好調。素質のある若手が順調に伸びているという感じ。絵はきれいだし、内容も健全だし隙がなくまとまってる。

【雑誌】ラブマニ VOL.2 平和出版 B5平

 加賀美ふみを「Lovely Memory(rerun)」は、彼女が現在の彼氏に、昔ちっちゃかったころに同性の親友としていたHなことの話を告白する……という内容。最初は珍しくロリでレズかなーと思ってたけど、結局のところはやっぱり彼氏彼女のラブラブものに落ち着くのがこの人らしい。それにしてもえらくかわいらしいですなあ。KASHIみちのく「もったいないザーメン」は、ザーメン嫌いな彼女のもとへ、もったいないおばけたちがやってきてその味を教え込む……というお話。相変わらずたいへん陽気かつドロドロです。汁まで元気がいい。増田逢羅「ジャックとマメ子さん」は、ファッションが「美鳥の日々」の美鳥みたい。内容のほうもマメの芽が頭に生えた小さな女の子マメ子さんに、彼女を作り出した研究者の兄ちゃんがめろめろになっているというかなりトロトロに萌え系なお話。しゃべらないのが良い感じ。この女の子との対比という観点は抜きにしても、やけにちんこが画面の中で大きいなあ。このご時世だというのに。

【雑誌】ヤングコミック 1月号 少年画報社 B5中

 北河トウタの新連載「怪盗ブルマー」が始まっていたので購入。入社試験の面接に来ていた女の子が、ひょんなことから先輩OLらしき女二人組に見込まれ、Hなことをさせられるという感じで始まるドタバタ劇。この人の作品はかわいらしさとHさが両立してて最近お気に入り。松本耳子「ナンでもしちゃうゾ♥」は4回連続集中連載の最終回だったらしい。相変わらず明るく楽しくエッチしている感じ。ここまでの話は読んでなかったけど、就職浪人中の女の子がなんでも引き受けるよろず会社に入っていろいろなことをやらされるという内容だったみたい。現在短編集発行のため原稿整理中だとか。この作品も収録されるのかな?


12/15(日)……トゥミと罰

▼やっちゃった……。値札を見ないで買い物をするというのは危険であることを痛感した。自分の場合、日常的に漫画をたくさん買い込む関係上、かばんは常時酷使する。そのせいで1〜2年に一つくらいのぺースでデイパックを壊してきた。というわけで常々良いデイパックを探し続けていることについては、この日記でもすでに何度か触れている。んでもって今日は、通勤途中にある三越にぷらっと寄ってみて、なんかいいのないかな〜と物色してみた。するとかなり良いのがあった。久々にビビッと来た。そのとき店員さんが話しかけてきたので、とくになんにも考えず「これ下さい」といっちゃったんだけど、その兄ちゃんがレジに持っていこうとする瞬間に値札が見えた。4万3000円……。ガーン!!!

 これまでブランドもののバッグにはまったく興味がなかったので相場は知らなかったし、デイパック(というかバックパック)でこんな値段は未体験。さすがに血の気が引いたが、「かなりイイものだし、これまでの経験上、コレを逃すとまたかばん探しにかけずり回らなければならない」などと考えている間に梱包が終わってしまった。しかもこういうときに限って、なぜだか現金が財布に入っている。もうしょうがないから、「こうなったらコレ買って10年使う!」とか思って支払いを済ませた。

 ちなみにモノはTUMIというメーカーのstyle 2682という製品。その後、いろいろ検索をかけてみたが、とりあえず同じモノを今在庫している国内のネットショップは見当たらなかった。一つ、過去に自分の買値より1万円以上安く売ってたところがあったが、現在は在庫切れのようだったので安心した。調べてみるとこのメーカーの製品は、耐久性がやたらと高いことで有名らしい。素材は防弾チョッキとかで使われているバリスティック・ナイロンとかいう生地だそうで、ナイフの刃が立たないとかいう噂もあるらしい。これなら酷使してもそう簡単には壊れなさそうだ。ただ買ったときはそんな予備情報は持ってなかったので、「ハズレだったらどうしよう……」とかなりヒヤヒヤした。まあ実際のところ、さすがに高いだけあって作りはしっかりしてて、背負い心地もかなりいいしポケットの数などの機能面でも満足。容量的にも相当入りそうだし、色も黒なので汚れが目だたなそう。でもこの値段払って入れるものが漫画というのはやっぱりちょっと……。もうしばらくかばん売場には行かない。もっといいのがあったり、同じのが安く売られてたら悔しすぎるから……。

【単行本】「陰陽師」11巻 作:夢枕獏+画:岡野玲子 白泉社 A5 [bk1][Amzn]

 ブ厚い! 通常の2冊分くらいあるんじゃなかろうか。最初っから全12巻と予告されていたので、収めるために詰め込んじゃったのかな。中身は相変わらずハイクオリティ。だいぶクライマックスに近づいている感じで、晴明の目指す最終到達点もほのかに見えるようになってきた。それとともに内容もずいぶんスピリチュアルなゾーンに突入していて、正直けっこう分かりにくい。とはいえ分かりやすくするためにくだくだしい説明を入れるというのは、この作品の美を損なうことになるだろうから、これはこれで良いのだと思う。分からないなら分かるまで読むほかない。

【単行本】「吼えろペン」6巻 島本和彦 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 この巻も相変わらず炎尾先生を中心に、マンガ家やアシスタント、編集者たちがドタバタ動き回る。熱血系ではあるけどけっこうまったり。安定してますな。

【単行本】「Blue Heaven」2巻 高橋ツトム 集英社 B6 [bk1][Amzn]

 豪華客船という密閉された空間に、一人の殺人鬼が迷い込んだことがきっかけで、欧米人とアジア人が殺し合う戦争状態に。かなりハイスピードでストーリーを展開、ショッキングな描写の連発で一気に読ます。邪悪なモノを、本当に悪そうに描く作画力はさすが。ハッタリが利いている。「人間なんて追い詰められれば容易にお互いを傷つけ合うが、そんな場面でどういう行動をとるのか」という問いを読者個々に突きつける、強力なメッセージ性も有している。

【単行本】「警視総監アサミ」8巻 作:近藤雅之+画:有賀照人 集英社 B6 [bk1][Amzn]

 相変わらず何をやっているのやら、という感じの婦人警官ストーリー。とはいえ、今回はアサミに殺し屋が迫るエピソードと、FBIの女刑事とともに麻薬コンツェルンのボスを追うエピソードの2本があり、比較的シリアス。まあその端々で強引にセクシー描写を入れていくあたりが実にこの作品らしいのだけど。


12/14(土)……秋刀魚楽器

▼ちょっとした調べモノのため漫画喫茶を立て続けに2軒利用。最初に行ったほうはシステムもしっかり整備されてる感じでなかなか快適っぽかったんだけど、もう片方は空気が澱んでて気分が悪くなったのですぐ出てしまった。割り当てられたインターネット用マシンも、CRTディスプレイの状態がかなり悪かった。自分で使うディスプレイについては毎日使うものなんで予算の範囲内でなるたけいいのを選ぶようにしてるし、最近のマシンに付属のディスプレイはそこそこのものが多いので、久しぶりにあんな画面がチラチラするうえにボケボケのCRTを見たなという感じだった。環境は店によってずいぶん違うもんなんですなー。

【雑誌】ビジネスジャンプ 1/10 No.2 集英社 B5中

 甲斐谷忍「ONE OUTS」。なるほどこういう手で来たか。お互いがお互いの盲点を探し、難癖をつけ合うというスタイルが相変わらずユニーク。野球漫画はこれまでさんざん描かれてきたけど、まだまだ新しい切り口ってのはあるもんなんだなと思う。

【雑誌】キカスマ Vol.11 松文館 B5平

 「お、大きい……」。しばたは眼前につきつけられた黒々としたそれを驚嘆の面持ちでまじまじと見つめた……。というわけで消しがスゴいっす。正直あんまりにも黒々と、ブラックホールのごとき存在感を発揮しているので、内容よりもそっちに目が行っちゃったくらい。例の逮捕事件を受けてのことではあるんだけど、これはとくにあからさまなちんちん描写による激しいエロがウリのLINDA「DISCODE-2」(作:ソフトさ〜くるクレージュ)あたりにとっては非常に痛い。まあしばらくはしょうがないとは思うけどコレは厳しいなあ……。作家も編集部も断腸の思いだったんじゃなかろうか。

 中村みずも「尾行少女A」は、街で見かけたにーちゃんを少女が尾行。んでもって見つかり、「お兄様って呼んで良いですか?」と押しかけ妹するというお話。こちらはちんちんが売りというわけでもないのでさほど黒塗りの違和感なし。鉛筆描きの淡いタッチの中で目立つといえば目立つけど。くりくりした目の女の子の表情とかがなかなか可愛い。人参・参「クラスH」。女教師と生徒が補習中にH。柔らかい絵柄は相変わらずいい感じ。

【単行本】「strawberry shortcakes」 魚喃キリコ 祥伝社 A5 [bk1][Amzn]

 正直に告白すると、読み始める前は「そろそろこういうオシャレっぽいのにも食傷気味になってきたかな」とか思っていた。でも読み終えるころには「ごめんなさい、私が間違っておりました」と思うようになっていた。よくできてます、この作品。内容については、現代の東京で生きる4人の女たちの生き様を描くとでもいったらいいだろうか。それだけじゃなんの説明にもなっていないのだけど。4人といってもこの4人の人生が重なり合うのは、そのうちのルームメイト同士である2人についてだけで、あとはまったく別の暮らし。それぞれの立場で悩んだり、モノを考えて生きている。考えるのは仕事のことであったり、東京での居場所のなさについてであったり、好きだけど友達にしかなれない男のことであったり、自分は恋ができないことについてであったり。描かれているシチュエーション自体は、本当にごく平凡といってもよく、その痛み自体もよくあるモノではあろうけれども、それをすくい取る手つきの繊細さは見事というほかない。シャープでクリアな作画も実に効果的。やっぱり魚喃キリコはカッコよかった。

【単行本】「どうにかなる日々」 志村貴子 太田出版 A5 [bk1][Amzn]

 マンガ・エロティクスFに掲載された「どうにかなる日々」全4話と「無毛信仰」に、麗人で掲載された「ハッピーなエンド」「先生のくせに」を加えた作品集。掲載誌からも分かるとおり、若干エロめなことも取り扱ってはいるものの、基本的にはいつもの志村貴子ペース。ちょっぴりヘンなモノゴトをスパイスにしてはいるが、概して平凡な日常を独自のリズムで描写。「どうにかなる日々」は夫と別れた元人妻が、居酒屋で出会った青年の家に転がり込んでそのまま居着いてしまう。まあ滅多にあることではないけど、だからといって世間的に大事件かっつたらそうでもない。志村貴子作品は万事この調子。激するでなくかといって沈み込むわけでもなし。淡々としたリズムで、ちょこちょこ心のどこか心地よい部分をくすぐりつつお話は進んでいき、最後は小粋に締めくくる。自分ならではのスタイルが確立されているし、テンポの良い語り口も小気味良くてたいへん読みやすい。

【単行本】「ひみつの階段」2巻 紺野キタ ポプラ社 A5 [bk1][Amzn]

 いいですなあ。女子寄宿舎。ある年頃の少女たちだけで構成され、毎年構成メンバーが移り変わっていく様子はさながら澄んだ小川のごとし。それはもう妖精の一つも現れようというもの。キラキラとした時間、去りがたく残る想い出だち。永遠でもあり束の間でもある、夢のようなものたちを優しく描写。すごく完成された、しみ一つない世界。美しい。

【単行本】「あなたと一緒」 りえちゃん14歳 松文館 A5 [Amzn]

 なんだかここ数年のりえちゃん14歳は微妙な状態。この体型はアンバランスでおかしいとも思うし、でもかわいいよねとも思う。なんだかんだいって、この無垢な丸顔の少女たちはやはり好きなのだ。見ていると華やかな気分になる。ストーリーについては相変わらず弱いんだけどね。

【単行本】「僕のアリスたち」 やまのべきった ワニマガジン社 A5 [Amzn]

 やまのべきったの描く女人がいいのは、表情とかがすごい上品なのに、むんむんと色気が漂ってるあたり。肌が色白に感じられるタイプの画風。個人的な好みのせいもあるんだけど、とくに人妻を描かせると素晴らしいと思う。口紅をほんのり塗った唇の感じがいいんだよね。この本では、最愛の妻を亡くした男が彼女そっくりのアンドロイドを作るも満たされずに迷走する「She says Good Night」と、普通の人の半分くらいの身長しかないためまともに世間に受け容れてもらえない女性と浪人の青年の短いラブストーリーである「「縮尺のちがう彼女」が良かった。両方とも切ないお話。個人的には夢雅で連載されていた人妻ハード調教ストーリーの「媚虐の音色」が収録されているといいなあと思ってたんだけど入ってなかった。たしか単行本未収録だったはず。


12/13(金)……緋色の英雄

▼職場のソファーベッド用にシーツとそばがら枕を購入。さらに本格的な宿泊体制を整えてしまったしばたの運命やいかに。本当は自宅でも使っているテンピュール枕というのも考えたのだが、値段が5倍くらい違うのでやめた。

▼未読物
【単行本】「どうにかなる日々」 志村貴子 太田出版 A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「吼えろペン」6巻 島本和彦 小学館 B6 [bk1][Amzn]

【雑誌】ヤングアニマル 12/27 No.24 白泉社 B5中

 竹内桜の読切「ちょこっとSister」は、雑破業が原作について作品。クリスマスの日にサンタさんから「妹」がプレゼントとして送られて来る……というお話。これを原作付きでやるのかーと、ちょっと思ったりはした。一話だけだと少々ボリューム的に足りないので、短期集中連載とかのほうが良かったかな。

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 1/1 No.1 小学館 B5中

 高田靖彦の新連載「ボールパークへようこそ」は日本プロ野球モノ。増刊の「PRO SPORTS BOOK 2002」に掲載された「ドライチ」の続きの話になっている模様(そのときの感想は9月13日の日記参照)。かつてドラフト1位でプロ野球チームに入団したが夢やぶれた男が、また思わぬ形で野球に関わることとなる。第一話を見た感じでは、FA、逆指名ドラフトでガタガタになってきている日本プロ野球に対する嘆きも覗かせている。手堅く面白く続いていきそう。細野不二彦「僕らはネットで恋をする」後編。いや〜、この人は本当にウマいね。ネット恋愛というかなり微妙なネタを扱っているのに、生臭さを感じさせずきれいに、いい話に仕上げちゃっている。まさに熟練のワザ。

【雑誌】ネムキ 1月号 朝日ソノラマ A5平

 すごく安定。爆発力こそないものの、波津彬子とか今市子とか高橋葉介とか伊藤潤二とか、しっかり自分の仕事をしているという感じ。その中で目立つのがやっぱりTONO「チキタ★GUGU」。内容もいいんだけど、この雑誌の中ではかなり読みやすい部類でもある。今回はクリップの相棒であるオルグが、自分のことを語り始める。切ないお話ですなあ。美しく透き通っていて、作品全体を流れる悲しみが心に響く。

【雑誌】別冊マーガレット 1月号 集英社 B5平

 アルコ「ハイスコア」が最終回。最初はギャグテイストだったんだけど、終盤の盛り上がりはなかなかに素晴らしくて正直けっこう感動した。非常にきれいで爽やか。好きという気持ちに衝き動かされて、やれることを精一杯やった後のキヨコの表情がとても良かったと思う。次回作は4月号で登場とのこと。中原アヤ「ラブ★コン」は、小泉さんが大谷にフラれるも、前向きに再スタート。若いっていいですね。巻頭カラーは高梨みつばの新連載「紅色HERO」。老舗の料亭の長女であるヒロインののばらが、親の圧力により好きだったバレーボールの部活をやめさせられそうになって反発。家出をしてでも続けていこうとする……という出だし。

【単行本】「最終シスター四方木田」2巻 イラ姫 集英社 A5 [bk1][Amzn]

 ウルトラジャンプの隠し味的存在。ページ数自体はあまり多くないけれど、軽やかでさりげなくファンタジー。やたら豪快なシスター四方木田、やたら小さい小人さん的なシスター八ツ頭の二人を中心にお話は展開するんだけど、一見この二人が関係なさげな感じで始まるお話も、ファンタジー風味が非常に強くてなかなかよろしかったりする。身近なところから始まって、パーッと視界が広がるように空想が広がるお話作りなんかはとても心地よい。

【単行本】「バトル・ロワイアル」8巻 作:高見広春+画:田口雅之 秋田書店 B6 [bk1][Amzn]

 この巻は絶対中学生とは思えない(というとこの作品の登場人物はたいていそうなのだが)、やたらエロい相馬光子さんが主役。冷酷さと場数の違いを武器に、少年たちを手玉にとって危ういバランスの中立ち回る。非常に濃くて田口版バトル・ロワイヤルの醍醐味満喫。とはいえ正直漫画版はずいぶん長くなっちゃったなあという気はしている。この巻の終了時点で生き残りは15/42。すでに60回以上になっているので連載期間としては2年を超えている。原作の小説のほうは、文章面で多少の瑕瑾があっても勢いで読ませちゃうスピーディな展開が良かったんだけど、漫画の場合は進行が遅いのでそのような一気にエンターテインメントを味わう……って感じにはなかなかなりづらい。でも42人いるからそれぞれ2話ずつでも84話になっちゃうし、雑誌が隔週発売なんで仕方ないかな。まあその分味付けを濃くすることで、別の面白さを作ろうとしている感じはありますな。

【単行本】「エリートヤンキー三郎」13巻 阿部秀司 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 まあいつもどおり。初期のヤンキーアナザーワールドって感じの異様さには慣れちゃって、すっかりまったり。正直かなり惰性で買っている。とはいえまあなんだかんだ、平和で楽しくはある。あと最近阿部秀司の描く女の子はちょっとかわいくなってきている。


12/12(木)……たけしの腸洗浄

▼ペントハウスジャパン 1月号を見たら、ひろもりしのぶの漫画が載ってて、ペンネームのところが「ひろもりしのぶ改めJET澤萌之」となっててびっくり。もちろん、ひろもりしのぶはみやすのんきのことね。

▼未読物
【単行本】「Blue Heaven」2巻 高橋ツトム 集英社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「警視総監アサミ」8巻 作:近藤雅之+画:有賀照人 集英社 B6 [bk1][Amzn]

【雑誌】コミックビーム 1月号 エンターブレイン B5平

 今号の読者プレゼントは一品モノシリーズということで、編集部で余ってた物品をプレゼントにしちゃえっという趣旨なんだけど、開けてみたら馬頭ちーめい「BREAK-AGE」のテレカが入ってた。50度数あるから、実は雑誌の定価490円よりも高い。なんか申し訳ないような気分。

 森薫「エマ」は表紙&巻頭カラーで、エマが奥様のもとに引き取られて来たころのお話が描かれる。恵まれない環境にあったせいか、ちっちゃなころから大人びた表情してますな。ウィリアムと出会ってからのほうがむしろ初々しいかも。志村貴子「放浪息子」。女装好きな少年・ニ鳥くんが何やらたいへんかわいい。甘く軽やかでくすぐられるようなお話。岩原裕二「いばらの王」はいまだ解決しないメドゥーサ病に、生き残りの人々が直面。いろいろと謎は多そうだ。現在のところ、主人公のカスミとイレズミ男くらいしか目立ってないので、ほかのメンツのキャラが立ってくると物語に厚みが増してくるんじゃないかと。福島聡「少年少女」は、夜の学校に忍び込んだ少年少女のラブシーンからお話が始まる。ハッキリは語られないけど、端々で昔っぽさを漂わせる演出はうまいなと思った。チューするときの女の子の表情なんかも垢抜けてなくて、なんだか無性に70年代っぽさを感じさせる。

 唐沢なをき「さちことねこさま」。今回の扉絵のさちこはなんかとてもかわいい。昔のSFブームっぽい感じのタッチがええですな。やっぱり唐沢ギャルはいいよ。堀池さだひろは久々の登場で、読切「まぼろしの世界」が掲載。やまだないと「夕陽の落ちるころ」の代原みたい。「ジ・ガレガレ」が終わってから約3年とか書いてあってびっくり。もうそんなに経ったのかー。「テルオとマサル」の市橋俊介もすごく久しぶり。読切「異常な博士の愛情」。月面に住んでいて、一人じゃ寂しいからロボットにひどいことばかりしている博士と、被害者のロボスケの物語。ヒドい話のような良い話のような……。とりあえず今回は、「テルオとマサル」みたいなアバンギャルドなことはしてなくて、けっこうキレイにまとまってる。

【雑誌】コミックバーズ 1月号 幻冬舎コミックス B5平

 南京ぐれ子「あかてん★ヒーロー」が巻頭カラー。悪の組織のプリンセスが、正義の味方のグリーンの部屋に居着いちゃってというドタバタコメディなんだけど、明るく元気良くなかなか楽しい。むらかわみちお「虚数霊」はシリーズ読切の第2話。今回は骨董屋さんにちょくちょく本を売りにくる学者先生のお話。途中アクションシーンがあるけれど、全般的にはのんびりしてて心地よい。

【雑誌】ビッグコミックオリジナル 1月増刊号 1/12 小学館 B5中

 今号は面白いな〜。読める作品が多い。こういう地味めだけど手堅い、よくできた作品の揃った雑誌の作りは、小学館ならではのものだなと思う。

 まず巻頭カラーは花輪和一「刑務所の前」。今回も刑務所の中の話、時代劇、銃の話と、3種類のエピソードが入り混じりつつ展開。それにしてもこの人は、よくこんなに細かい部分まで記憶してるもんだなあといつも感心させられる。あと根っからの現状肯定気質も素晴らしい。新連載、たくまる圭「アニキ」は、親に見捨てられた7歳の女の子・ゆずが、遠縁で「アニキ」と呼ばれて慕われている男のところに引き取られる。そしてゆずは彼と一緒に暮らしていく中で、アニキの男らしいところをいろいろ目撃していくことになる……ってな感じの連載。相変らず作画は暖かみがあって非常に気持ちいいし、お話のほうも人情味のある作品となりそう。まず出だしは上々。これからの展開にも期待。いずれ単行本になってくれることについても期待したい。

 秋山勇ニ(ジョージ秋山)の自伝漫画「WHO are YOU」は今回もすごく奇怪。第1回ほどではないが、今回も行動の不可解さに呆気にとられる。ただ最近のジョージ先生の作品の中では、かなり力入っているほうだと思う。唐沢なをき「けんこう仮面」。コーヒーを使ったご家庭でもできる腸洗浄のお話。著しく気持ち良さそうだが、最近はわりと快便なのでやる必要はなさそう。それでもやると新しい世界が開けそうな気はする。

 作:木村公一+画:テリー山本のプロ野球モノの新連載「刺者〜指先案内人〜」(監修:吉田一郎)は、裏方であるトレーナーにスポットライトを当てた物語。まずは出だしということで、主役の鍼師の男の顔見せといったところ。井浦秀夫「AV烈伝」は、今回からいよいよ加藤鷹編に突入。個人的にあまり加藤鷹のプレイには興奮しなかったりするが、コミュニケーションの巧みさとか、安定したプロらしい立ち回りには感心させられるものがある。今回は前編。後編も面白くなりそう。歌舞伎役者の青年の物語である小松珠世「HANAGATA」も、回を重ねるごとに良くなってきていると思う。あと佐々木泉「墨戯王べいふつ」も毎回キレがある。美術品に目がないべいふつの姿がユーモラスに描けているし、オチのつけ方なども気が利いている。

【雑誌】モーニング 1/2+9 No.2+3 講談社 B5中

 作:田島隆+画:東風孝広「カバチタレ!」(監修:青木雄二)。行方不明で死亡認定まで出て、保険金まで支払われた父親がボケ老人となって戻ってきて、家族を不幸が襲う。なんだかものすごくエグい展開になってきている。誰が悪いともいえない状態だけになんともやるせない。これはもういっぺんオヤジさんに死んでもらうしかないかもしれませんなあ。佐藤秀峰「ブラックジャックによろしく」ではベビーER編がおしまい。重い選択をつきつけ続けたエピソードで、これが最良の道だったかどうかはなんともいいがたいものがあるが、できる範囲で真っ正面から描ききったとは思う。このような話ばかりだと描くのもしんどそうだな……と思っていたら、次号は斉藤の生活を描くという話になる模様。多少は軽めな話になるんだろうか。山田芳裕「ジャイアント」。すっげえダイナミックだなあ。こんなプレーあるわきゃないとは思うけど、こんなプレーはできるもんなら見てみたい。漫画はそういう欲求をかなえてこそ。よろしいんじゃないでしょうか。

【雑誌】ヤングサンデー 1/1 No.2 小学館 B5中

 うーん。なんかごはん系の作品ばかりでアッサリ。全般にインパクト弱い。この中で、爆発力が期待できそうなのは一色登希彦「ダービージョッキー」(原案:武豊+構成:工藤晋)くらいかなあ。まあみんなそれなりに読めはするんだけどね。

【雑誌】ヤングジャンプ 1/9 No.2 集英社 B5中

 井上雄彦「REAL」。やっぱり面白い。連載ペースとしては非常にゆっくりなのに、いつ読んでもお話やキャラクターを覚えている。これはほかの作品のぺースが早い週刊誌においてはなかなかに稀有なことだと思う。それだけキャラの描写がしっかりできているってことなんだろう。野宮、戸川、高橋。それぞれが挫折を味わい、戸川は前進し始めたがあとの二人はどうなるか。続きも楽しみだ。高橋ツトム「ブルー・ヘヴン」は最終回。ショッキングな事件を読者に印象づけて、ハイテンションなまま、まとまりよく終われた。単行本3巻分というのは、このエピソードだとちょうどいい分量という気がする。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 1/2+9 No.2+3 秋田書店 B5平

 八神健「ななか6/17」が引き続き重〜い展開。今回も雨宮さんのセリフが切なすぎる。そしてヒキの部分はなんだか非常にドラマチック。うーんどうなってしまうんだろう。佐渡川準「無敵看板娘」。今回はクリスマスネタでサイレント劇。いかにも美輝らしいエピソードで良かった。オチも利いてる。


12/11(水)……君の瞳に海パン

▼本日はおうちに引きこもり。冬でも昼ビールはいいな〜。暖房をつけていると乾燥するので余計うまく感じるような。

【雑誌】スーパージャンプ 1/1 No.1 集英社 B5中

 宮下あきら「暁!!男塾」。最近は民明書房ネタがいろいろ出てきてて楽しい。今回はケン玉の武器としての来歴を詳細に解説。高見まこの読切「君の瞳にカンパイ」は、冴えない女編集者が、ひょんなことから美人ホステスにへんし〜んというお話。彼女はその後、昼の顔と夜の顔を使い分けていくことになるのだが、両方ともそれぞれに可愛げがあっていいなと思った。華もあるしさすが手堅い。

【雑誌】週刊少年サンデー 1/1 No.2 小学館 B5平

 新連載の藤崎聖人「WILD LIFE」は、絶対音感とバイタリティが武器の不良風のにーちゃんが、獣医となって活躍するという筋立てのお話。何かかなり強引な展開っぽいが、さてどーなりますか。井上和郎「美鳥の日々」。とりあえずは一安心といったところだけど、次回以降、伏線となってきそうなエピソードではあった。藤田和日郎「からくりサーカス」。いろいろな仕掛けが用意されていて面白いなあ。謎が解き明かされるたびに、なるほどと思わされる。椎名高志「一番湯のカナタ」は最終回。残念30回に届かず全29話。最後までいまいちノリきれなかったかな〜。

【雑誌】週刊少年マガジン 1/2+8 No.2+3 講談社 B5平

 真島ヒロが「RAVE」と読切の2本立て。読切のほうの「Xmas Hearts」は、クリスマスの夜にサンタの少年が活躍する冒険活劇。元気良く爽やか。きれいにまとまってる。

【単行本】「花園メリーゴーランド」5巻 柏木ハルコ 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 これにて最終巻。山奥の村に残る奔放な性文化を、都会からたまたまやってきた少年が目撃し、その空気に呑み込まれていく……というストーリーはなかなか面白かったけど、おしまいはわりとアッサリしちゃったかなという印象。戦前の日本とかではよくあったと伝え聞く夜這い文化には興味をそそられるものがあったし、物語全般にいけないことを覗き見するような感覚が常にあったのもスリリングで面白くはあった。ただ夜祭のシーンで一気にクライマックスに昇り詰めた後で、もう少ししつこくダメを押しても良かったような気はした。

【単行本】「眠狂四郎」6巻 作:柴田錬三郎+画:柳川喜弘 新潮社 B6 [bk1][Amzn]

 バンチだと若手の部類に入ると思うけど、作風はどっしり。ガッチリ乱れない作画、落ち着いたストーリー運び、女人の適度な艶と、過不足なくエンターテインメントしている。コンスタント。

【単行本】「春よ、来い」9巻 咲香里 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 未亡人のみさほさんにフラれた高史に、現役女子高生のアミちゃんが迫る……という第9巻。ここまでのアミちゃんは、モテモテのコギャル風でいかにも脇キャラという感じだったのだが、実は本気の恋は高史が初めてということで一気に健気系なキャラに。それでもせいぜい小ボスくらいのキャラという感じは否めないものの、高史の行動に彼女が一喜一憂するさまはなかなか微笑ましい。またそんな中で高史の軟弱ぶりも際立っている。

【単行本】「軍鶏」17巻 作:橋本以蔵+画:たなか亜希夫 双葉社 B6 [bk1][Amzn]

 連載で全部読んでるからほかの作品を優先〜とか思って後回しにし続けていたら、いつの間にか発売後1か月近くが経っていた。この巻きではお話はいったんリョウから離れ、天才ダンサーであるトーマへとメインが移る。驚異的なダンスの才能と人を惹きつける不思議な魅力の持ち主であるトーマだが、テレビで見たリョウの姿に運命的なものを感じ、格闘の道を歩むようになる。といったわけでおそらくは彼が、いずれはリョウのライバルとなっていくのであろう。これまでの相手とは毛色がまったく違うだけに、リョウとの対面が実現するのが楽しみ。

【単行本】「しりちち」 まぐろ帝國 富士美出版 A5 [Amzn]

 ときにぶっ飛んだ作品を描くまぐろ帝國の3冊め。エロ漫画的な作画力はけっこうなものがあって、汁気が多く押しも強い画風によるエロ描写は、けっこういやらしい作品を描けるだけのポテンシャルは感じさせるだけのものはある。ただこの人はギャグをやりたがりな人で、常に読者をなんとかして驚かしてやろうと企んでいる感じ。例えば今回の巻頭作である「魔法の萌エリスト リリカル☆リリンカ」なんかは、男子トイレでオナニー中の少女の前にいきなりマサカドの生首が現れて、彼女をエロエロでセーラームーンライクな魔法少女にしてしまうという、かなり唐突な展開。いちおう連作ではあるが終わり方も弾けている。とりあえず、常に「フツーのエロ漫画なんて描いてやるもんか」という意欲が感じられるのは買い。ただこの単行本に限っていえば、もう少し暴れてほしかったような気もする。


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