2002年7月下旬


7/31(水)……愛しの御蛆様

▼恒例のOHP月極アンケートテーマ入れ替え〜。8月は「車&バイク漫画」で一つ。7月に引き続き、メカメカしい路線で攻めてみました。

▼で、7月の「ロボットもの」をやってみて思ったのは、ロボットってのはやっぱりアニメのものだなあということ。とくに直線をメインに構成されたいかにも鉄でできてるっぽいロボについては、上位に入った作品はほとんどアニメになってるものだった。これは思うに、やっぱりロボットものは動かしてなんぼってところがあるからじゃないだろうか。止まってるよりも動いているほうが、素直に「凄い」って感じがする。逆に漫画の場合は止まっているメディアだけに、曲線を美しく描き、動きの中からある一瞬を切り出してこそというところがあるような気がする。これは漫画が実写やアニメよりも、人間が行うスポーツモノの作品を得意としていることにも相通ずるところがあると思うんだけど。

▼ちょっと酒呑んでたので、いろいろ読めてません。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ増刊 IKKI 9/1 No.11 小学館 B5平

 誌面的にもこなれてきてるしいいんじゃないでしょうか。連載陣で手堅いのがいろいろあるうえ、読み切りとかもぽこぽこあるし。今はアフタヌーンよりこっちかなあと思う。

 初登場・小田扉の新連載「スペース・アポロジー」。現世に想いを残して死んだ人々の魂を宿す体質のあるおっさんが、その心残りを代わりに晴らしていく……というお話になっていくのかな。この人らしく、非常にマイペースで味のある物語進行が特徴。安田弘之「守って!愛しの王子様」。美少女と彼女にとりついたスケベなオヤジ守護霊、そしてその守護霊が見えないのをいいことにいかにセクハラ的行動に励んでいるかが見えてしまうクラスメートの女の子を描いたコメディ。力が抜けてて気楽に読める。こういう軽めな漫画があると、誌面にメリハリもつくしいい感じ。菊池直恵「鉄子の旅」。今回は新メンバーとして22歳女子のきなこちゃんが鉄道系引き回され旅に参加。なんかこの鉄女子、妙に可愛く描かれていて、文系女子好きな身にはたまらないものがある。現実のきなこちゃんがどんな感じなのかは分からないけれども。とりあえず今までの「鉄子の旅」にはなかった華やぎっぷりだ。黒田硫黄「セクシーボイスアンドロボ」。スパイという仕事に対して疑問を持ち始めたニコが、元スパイのおばさんに出会う。静かなお話ながら、ニコの気持ちが試されるような展開はなかなか読みごたえがある。林田球「ドロヘドロ」。ハードな局面とほのぼのした局面、どっちもうまい。どんどん良くなっていると思う。

【雑誌】週刊少年サンデー 8/14 No.35 小学館 B5平

 あおやぎ孝夫「ふぁいとの暁」は爽やかバスケット漫画。そういえばマガジンでも最近バスケット漫画が始まったけど、なんか流行ってたりとかするんすかね。橋口たかし「焼きたて!!ジャぱん」。カビパン食って復活したカツヲくんと河内の対決……だけど、なんかムチャクチャでごじゃりますなあ。すっかりネタ漫画として定着してきてて楽しい。

【雑誌】週刊少年マガジン 8/14 No.35 講談社 B5平

 屋代川隆史「〜ガンプラ開発物語〜 究極のガンダムを創れ!」(ストーリー原案:小林徹也)は、目のキラキラした大人たちがガンプラを開発するお話。なんかマニア筋からいろいろツッコミがありそうでステキです。

【雑誌】ヒメクリ 9月号 FOX出版 B5中

 今号は単行本作業のためかパニックアタックが描いていないのは残念。そうなると個人的な注目は小林王桂「ひと夏」へ。今回は昔大好きだったけど別の男と結婚してしまった隣のお姉さんの娘と、少年・淳くんのエピソード。というと、その娘とやっちゃうストーリーを連想するかもしれないけれども、このお話的には隣のお姉さん、つまり母親のほうとの想い出話が中心。相変わらずきれいにまとまった、爽やかな良い絵柄。そろそろ単行本とか出てほしいところではある。あと羽田としのり「スマートに恋したい。」のラブラブHぶりもなかなか良い。ジューシィな質感の絵にけっこう惹かれる。


7/30(火)……自作自演道

▼ロリ萌え系なH小説誌「ドレグラ」vol.2(英知出版)を購入してくる。目当ては小説ではなくて、まだ子のシャイニング娘。みたいな女性アイドルグループH漫画「ぬぞみちゃん嬉々一発」。前回は匣、槌、じゃないや、まあそれに似た人たちがメインだったけど、今回は怖いモノ嫌いのりかちゃん(仮名)が肝試しに行きたくないと駄々をこねて寝たふりをしているところを、スタッフの人たちがHなことを仕掛けていくというお話。今回はあんまりロリくないけどやっぱりかわいくていい。あともう一つ漫画では、姫はじめ「幼顔AV嬢」もけっこういい。身長147cmでロリ顔だけど27歳のAV嬢という設定が……。毛も生えてないし力技ですなー。

【雑誌】漫画サンデー 8/13 No.32 実業之日本社 B5中

 ジョージ秋山「生きなさいキキ」が最終回。これまでのまともでない展開からしてたぶんまともな最終回にはなるまいと思っていたが、案の定まともでなかった。なんじゃこりゃー。柱に書いてある前号までのあらすじからして、いかにヘンな漫画だったかがよく分かる。「17歳でピッグ商事の社長となったキキは、幼妻・町子と暮らす日々。そこへ原子力発電所にからみ福山内閣官房長官がお忍びでやってきた。さらに死んだはずのお母ちゃんが、父子に復讐するために記憶喪失のフリをして現われたが!?」。……分かんねえよなあ。そういえばあの幼妻っていったいなんのために出てきたんだろう。それから女子高生・真紀は。いろいろな謎を残しつつ、キキは生きていくのだった。ともあれなんだかすごい満腹感のある作品だったし、みっちり楽しませていただきました! 小田扉「マル被警察24時」は一つのクライマックス。なんかすごくアクションしていてカッコいいんですけど……。

【雑誌】ヤングキングアワーズ 9月号 少年画報社 B5中

 六道神士「エクセル・サーガ」。今回の展開はひょっとして「アグネス仮面」ですか、もしかして? 二宮ひかる「ベイビーリーフ」。中学生のクセしてやりまくっているのに「PUREな恋愛物語」というのは、羨ましいというか妬ましいというかふざけんなというかだが、でもしっかり初々しかったりもするあたりうまい。こんな中学生時代を送れていたら、今ごろ俺もこんなじゃ……いやいや。平野耕太「ヘルシング」。いっせーのせで戦争スタート。少佐がウキウキしまくりでかっこいいな。フキダシの数も、多いんだけど使うべきところで思いっ切り使ってるんで、かえってメリハリが利いてテンポを良くしている。いやー面白い。

 最近けっこう注目株な水上悟志「読書の時間」。今回は電車の中で隣り合わせる女の子の読んでる本が気になってしょうがない書店員の青年のお話。確かにちょっと覚えがありそうななさそうなって感じの本って気になるので「あるある」という感じ。物語としても爽やか。ただ、その本の内容を漫画内漫画として展開するという仕掛けは、正直いらなかったかも。意図は分かるけど、それほどに効果的ではなかったように思う。脚本:田畑由秋+画:余湖裕輝「コミックマスターJ」。いちおうこれでコミック規制編は一見落着なのかな。前回までの展開よりはいいけど、さすがにこんなふうに単純に物事は解決しないだろうと思うし、1990年代初頭の有害コミック騒動という実例などと照らし合わせるまでもなく、言葉がいまいち軽いという印象は否めない。

【雑誌】漫画アクション 8/13 No.33 双葉社 B5中

 作:橋本以蔵+画:たなか亜希夫「軍鶏」。トーマが番竜会の空手を初体験。空手の中にあっても独特の身のこなしは効果を発揮しそう。これまでの登場キャラとは一味違った強さを持っていそうで楽しみだ。

【雑誌】快楽天 9月号 ワニマガジン B5中

 今号は三浦靖冬「極東ニ夜ガ降ル」の後編が巻頭カラー。この人のカラーはやっぱり美しいね。青みがかったセピア調の色合いが、切ない物語をより際立たせている。星逢ひろ「海育ちのブルー」。慣れない都会での生活がうまく行かず帰省した美大生が、故郷で高校の美術部の後輩だった女の子と再会する。柔らかくて優しいタッチの絵柄は相変わらず好感度高し。後輩の女の子がすごく健気でかわいらしい。神宮千寿「花火」。主人公の青年を、近所で評判のちょっと頭のネジがゆるんでいて衝動を抑えられない女の子がいたく気に入ってつきまとってくる。そんな主人公が彼女に口走ってしまった言葉がやがて苦い結末を招くことに。絵柄はかわいさとは裏腹にビターな読後感を残す物語。SABE「ブルマー1998」。ついにジャッキーが理想のブルマっ娘と出会う。なんかブルマ好き、ブルマっ娘ともに業が深い。

【雑誌】エンジェル倶楽部 9月号 エンジェル出版 B5平

 奴隷ジャッキー「巴」。YAWARAちゃん的柔道少女大輪姦モノ。今回は柔道部員たちが巴ちゃんの体をエンジョイしまくるんだけど、「こ…こんな新しい乳り方があったなんて…」「こ…これぞまさしく……!」「ブラン乳(BRAND-NEW)時代の…」「幕開けだあぁ!!」。キミたちセンスありすぎ。あと乳に顔をうずめて全身スパイラルハリケーン状態の部員とかもうタイヘンな状態。テンション高いなあ。

【単行本】「軍鶏」16巻 作:橋本以蔵+画:たなか亜希夫 双葉社 B6 [bk1][Amzn]

 中国編クライマックス。修行を積んだリョウだが、孫悟空こと劉の前では形勢不利。リョウの闘いぶりよりも、むしろ劉の身のこなしの軽やかさ、冷酷さに惹かれるものがある。つまりサル野郎かっこい〜という巻だ。それにしてもリョウは強くはなっているけれども救われない。

【単行本】「THE END」3巻 真鍋昌平 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 仲間を加えながら、シロウたちと得体の知れない敵たちの戦いは続いていく。肉体を使って相手を破壊していくハードなアクションの連続は、ハッタリが利いててインパクトがある。今回の巻ではシロウのリミッターが外れ、驚異の身体能力が見せつけられる。ゴツゴツした骨太な作画で、まとめ読みするとドスンとこたえるヘヴィな読みごたえ。雑誌読みだと物語の進み方が遅いせいかいまいち入っていけないところがあるんだけど、単行本読みすると各話のつながりが分かってくるので面白く感じられる作品。

【単行本】「藍より青し」9巻 文月晃 白泉社 B6 [bk1][Amzn]

 いつもながら本当にしょうもないが、そこが面白い。バレンタイン編では住人の女の子たち全員からチョコをもらった薫とキスした葵が、「ふふ 今日の薫さまのキスとっても甘いです」。かー。脳味噌腐りそう……。素晴らしい。あとこの巻ではティナに関する伏線が張られて、いい加減、薫は彼女をなんとかしてやれという気持ちが強まる。真剣な話、登場する女性の好意がすべて薫に向かっているというこの状況をすべて丸く収めようとしたら、この洋館を薫用大奥にして順繰りに彼女たちを幸していくしかないと思う……ってこんなことを真剣に語ってもな。

【単行本】「メイドロイド雪之丞」2巻 井荻寿一 実業之日本社 B6 [bk1][Amzn]

 ああ、雪之丞はかわいいな。というわけで押しかけメイドロイドの雪之丞とご主人様の愛が深まってHざんまいな第2巻。あんまり普段は気にしないけど雪之丞は猫耳だ。物語として大きな流れはあんまりないけれども、キャラの魅力で読ませる。


7/29(月)……Let's ボイーン

▼もうすぐOHP月極アンケート7月「ロボットもの」が締切なんで、投票お済み出ない方はお早めに。そろそろ新しいテーマも決めないと。

【単行本】「初期のいましろたかし」 いましろたかし 小学館 B6変形 [eS]

 祝・復刻。「ハーツ&マインズ」「ザ★ライトスタッフ」に、単行本初収録の短編「アホ族の男」「ランラン青果店」「美奈子と先生」「ピアノの先生」を収録。「ハーツ&マインズ」「ザ★ライトスタッフ」は、ともにボロっちいアパートで暮らす格好悪い青年たちの、不器用極まりない生きざまを描いた作品。「いつかなんとかしてやる」と思いつつも、結局どうにかする手段も力も持たず、ただ虚しく年月を重ねていくだけの物語。たぶん怠惰な性質を持っている青年男子なら、きっとここで描かれる青年たちのようなことを思ったり行動をとったことは、何かしらあると思う。それだけにしみる。なんか昔読んだときよりも、今読んだほうがしみた。たぶん30代になって、人生がある程度確定してしまってからのほうが、この作品は味わいを増してくると思う。

【単行本】「釣れんボーイ」 いましろたかし エンターブレイン B6変形 [eS]

 そしてこちらが現在のいましろたかし。作品は売れずこれからブレイクしそうもない漫画家のヒマシロタケシ先生の、釣りに溺れる日常を淡々と描き続けるという物語。それ以外にとくに大きな筋というか、物語はないのだけれど、これがすごく面白い。ヒマシロ先生の人生を諦めたかのような言動と、しかしそんなことをいいつつけして本業のほうを捨て去ることのない煮え切らなさ、あと日々脳裏をよぎっては消えていく都合のいい煩悩や妄想の数々などを、なんとも屈託なく描いている。心に映りゆくよしなしごとを、悩んだり諦めたり執着したりといった心の動きを全部含めて漫画の中に描き込んじゃっている作風は、その懐の深さに驚かされたり、身もふたもなさに笑わされたりしてしまう。例えば、アユを釣りにいって「まんが描いてるより100倍おもしろい!」と叫んだかと思えば、次のコマでは「そんなこと言ってていいのか……」と呟くなんてのは、実にこの人らしいシーンだと思う。あとアユ釣りに差し支えると思って久しぶりの隔週連載の仕事を断ったかと思えば、あとでまた思い直して受けることにするとか。釣りという趣味にのめり込みつつも、やっぱり留保を残しちゃう姿勢は多少かっこ悪いのだが、「人間ってこんなもんだよなあ」と思う。

 ちなみに今回の2冊、「初期のいましろたかし」が700ページ弱2500円、「釣れんボーイ」が800ページ超で1980円。値段的には少々張るし、ボリュームもかなりすごい。でもこれを逃したらきっとそう簡単には買えなくなると思うので、欲しい人は急いだほうがいいんじゃないかと思う。聞いた話によると、いましろたかしの単行本は発行部数が少ないうえに、買った人はなかなか手離さないから古本市場にもあまり出回らないんだそうな。

【雑誌】YOU&SUPER JUMPできちゃった増刊 集英社 B5中

 女性誌+青年誌という変わった枠組みの増刊。YOUもSUPER JUMPも個人的にはさほど好きな雑誌ではないけれども、試み自体はけっこう面白いと思う。どちらかというと女性誌側から見た場合のほうが、こういうのは有益なんじゃないかな。青年誌が女性誌の作家を引き抜いて誌面にバリエーションを加えるというのはよく見るケースだけれども、逆はあんまり見ないから。女性誌的な誌面に青年誌的な作品が混ざっていたらどんなふうな読感になるのかを試してみるとかいうふうに活用できると面白いのではないかと。ちなみに今回の執筆陣は以下に示すとおり。わりとどちらでも描けそうな人を中心としたセレクションという感じがする。

 掲載作品の中では、高梨みどり「HANABI」が手堅く面白かった。父親の後を継いで花火職人となった女性・森永千星が主人公。「Order-Made」以来、すっかり働く女性モノがうまうなったなーと思う。高見まこ「桜の木の下で会いましょう」は、人生に絶望した男女が偶然桜の木の下で出会った後、共に雷に打たれたショックで人格が入れ替わり。そのトラブルのさなか、二人は恋に堕ちていく……というお話。この二人あたりは女性作家ということもあって、女性誌でもOKっぽい絵柄なんだけど、文法的にはやっぱり青年誌育ちだなあという感じがそこはかとなくしてなんとなく興味深いものがある。

YOU側;森本梢子、亜月裕、しらいしあい、井上(き)みどり、入江紀子、岸本景子、尾形未紀、佐田静、林まつり
SJ側:小谷憲一、あおきてつお(原作:さだまさし)、高梨みどり、高見まこ、山下京子(原作:矢島正雄)

【雑誌】ヤングマガジン 8/12 No.35 講談社 B5中

 三田紀房「甲子園へ行こう!」。横浜第一打線の猛攻に押された鎌倉西は、四之宮を再びマウンドへ。エースの負けん気に火をつける作戦が吉と出るか凶と出るか。ごく当たり前の高校生が野球をやってるという感じがよく出ていて非常に生っぽく面白い。蓮古田二郎「しあわせ団地」。今回もまたしょうもなくていい。それにしてもはじめたちに関わる人物はやたらヘンな人が多いな。類は友を呼ぶということか。小田原ドラゴン「おやすみなさい。」。最終ページ。鉄郎もこんな顔をするのだなあ。巨乳マジック。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 8/12 No.35 小学館 B5中

 三宅乱丈の新連載「ペット」が期待を持たせる。脳に障害があるのか白痴状態の少年・悟の、他人の脳内にダイブする能力を見出した男達が、彼をさらおうとするところから物語はスタート。かなりシリアスな出だしでいろいろ謎も多そう。本格的な超能力漫画になるんだろうか。何はともあれ楽しみ。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 8/12 No.35 集英社 B5平

 梅澤春人の新連載「ソードブレイカー」がスタート。最強の剣と最強の盾が闘う「矛盾」冒険活劇漫画。読切、天野洋一「クロスビート」は、それまでなんも目標を持てないでいた少年が、ある日出会ったギタリストによってヴォーカルの才能を見出され、二人でバンドをやっていこうとする漫画。第63回手塚賞準入選。絵はけっこううまいしまとまった作品。個人的にはもう一歩、押しというか過剰なものが欲しい感じはするけれども。


7/28(日)……名無しの認知

▼朝までかかって仕事を終わらせて帰宅。ちょっと寝た後、夜は町田で飲み。先週の日曜日もガリガリ働いた後飲みにいって、その後は月曜から土曜までずーっと働いてたので、なんか似たようなことを繰り返しているなあとか思った。今回も漫画関係の飲みで、メンバーはKouji@B館さん、立ち読み屋さん、志賀彰さん、新田五郎さん、スズキトモユさん、兄、俺の7人。いずれ劣らぬ漫画オタクな方々ばかりで非常に楽しかった。今回はあらかじめ町田グルメ情報というページを見て、五つ星のついていた「開II」というお店に行ったのだが、たしかに料理はうまかった。とくにいわしの刺身とかは脂が乗ってて良かったし、そのほかの料理も皆上々。比較的用心して呑んだせいか、二日酔いにもとくにならず。とりあえずうまい飲み屋についてはこれからも鋭意開拓していきたい。

▼早売り
【単行本】「釣れんボーイ」 いましろたかし エンターブレイン B6変形 [eS]
【単行本】「初期のいましろたかし」 いましろたかし 小学館 B6変形 [eS]

 いえーい。出たぜー。29日発売のはずだけど、まだAmazon.co.jpとかには置いてないみたい。なぜか「初期のいましろたかし」は、eS!BOOKSではすでに「絶版・重版未定」とかになってるのはどうしたわけか……。でも実際、重版があるとは思いにくいので、「釣れんボーイ」1980円、「初期のいましろたかし」2500円と高いけれども、多少荷物が重くなろうと見かけたら買っておくべし、と断言しておきます。

【雑誌】メロディ 9月号 白泉社 B5平

 最近のメロディでは武壱史穂が気になっている。まとまりのいい絵柄は好感度が高いし、お話のほうもなかなか。今回の「フラワーリング」は誰も住んでいないで放置されている公団住宅の一室にこもっていつも絵を描いてばかりいる少年と、その隣の家に住んでいる女の子の、心暖まるエピソード。まだ恋愛とまではいっていない二人の関係性が微笑ましい佳作。

【単行本】「東陽片岡哀愁劇場」 東陽片岡 青林工藝舎 A5 [bk1][Amzn]

 東陽片岡の漫画はいいなあ。なんだか心が洗われるようだ。ここで描かれるのは、じめじめしたアパートで暮らす貧乏な庶民たちがメインなんだけど、「下町はあったかい人情にあふれてて……」だの「現代人の忘れてしまったものが」「庶民のしたたかさを描いた」などという、いかにもステロタイプな物言いとはまるっきり無縁。東陽片岡世界の住人はおおむね貧乏で、これからのし上がっていく可能性も皆無なんだけど、そういうことに対してなんとも思っていなさげなのがいい。なんかそういうギラギラしたものが、概念的にすぽーんと抜け落ちた上で生きているというか。だから罪がないし、揃いも揃っていい人に見える。「人間はあるようにあればいいんだ」「人生に意味なんかなくったって人間は生きていけるし実際に生きている」というようなことをしみじみ感じてリラックスできる。「癒し系」という言葉とは程遠い位置にありながら、これほど癒される漫画もなかなかない。そういえば8月末には小学館から「お三十路の町」も発売になるそうだ。

【単行本】「七人のナナ」3巻 作:今川泰宏+画:国広あづさ 秋田書店 新書判 [bk1][Amzn]

 これにて最終巻。主人公の女の子が七人に分裂……という設定を初めて見たときは、強引な萌えシチュエーションだなあとか思ったものだけど、それだけには終わらないいい漫画に仕上がったと思う。国広あづさの丸っこい親しみやすい作画は好きだし、お話としても最終的には七人の女の子たちによる気持ちのいい友情と成長の物語となった。アニメのほうは結局ちょっとだけしか観なかったのでどんなふうだったかよく知らないのだが、とりあえず漫画版は漫画版できれいにまとまった。あとはそろそろ国広あづさの新作が読みたいな〜といったところ。

【単行本】「エイケン」6巻 松山せいじ 秋田書店 新書判 [bk1][Amzn]

 エロ方向に偏ったアンバランスでパワフルな萌え表現は相変わらず健在なものの、最近はだいぶ普通のラブコメっぽくなってきたなという印象。少なくとも最初のころの「得体の知れなさ」は少しだけ薄らいで来たような気はする。慣れというのは恐ろしい。

【単行本】「ハートを打ちのめせ!」1巻 ジョージ朝倉 祥伝社 A5 [bk1][Amzn]

 今年がこんなにジョージ朝倉の当たり年となるとは、作者本人でさえ予想してなかったかもしれない。現在の恋愛漫画家の中でも屈指のイキの良さを感じる。この作品もすごくいい。相手に好きな人がいると知りながら、体を使って同級生の野球少年・荒井くんを誘惑した根岸さん、それから荒井の思い人であった瑠璃といった地方の中学生男子女子の恋愛模様を描いていく作品。ストーリー自体は、別に珍しいシチュエーションを描いているわけではないし、恋愛漫画としてはごく標準的なものだと思う。でもこの人は、その恋心を描き出していく力が非常に強い。メッセージを美しく、かつ明快に伝えられる「声の大きさ」とでもいうべきものを持っている。とりあえずこれまで出した単行本、「恋文日和」「カラオケバカ一代」「ハッピーエンド」「水蜜桃の夜」については、いずれも当たりだった。女性向け漫画を描く作家としては、現在最注目株の一人。

【単行本】「なるたる」9巻 鬼頭莫宏 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 ロシアに渡ったシイナ父が、かつて空軍のパイロットをしていて行方不明になった息子を探そうとする老婆に手を貸したことから、不思議な存在と出会う。お話の本筋としてはさほど進んでないのかな? でも竜の子たちが人間と関わろうとする意図とかがじょじょにかいま見えてきて面白い。今回は痛い表現もないのでお子様でも安心。あ、シイナの入浴シーンがあるからそうでもないか。

【単行本】「空想科学エジソン」3巻 カサハラテツロー 幻冬舎コミックス A5 [bk1][Amzn]

 これで最終巻。一級品の技術者の腕と底抜けのバイタリティを持つ少女ミロの冒険を描く活劇。カサハラテツローの伸びやかな絵、ダイナミックなアクションなどなど、見るべきところの多い作品だっただけに、途中で展開をすっ飛ばしてしまってお話的にわけが分からなくなってしまうのは残念。すごくロマンのあるいいお話だっただけに激しくもったいない〜。


7/27(土)……取れかかったトレカ買った

▼ようやく仕事が一山越えて、日曜の朝方に帰宅したら未読単行本がもりっと。でもさすがにここらへんは明日以降だなー。

【雑誌】フラワーズ 9月号 小学館 B5平

 萩尾望都の新連載「バルバラ異界」がスタート。外から来た子供はなぜかちゃんと育つことが少なく、地面から浮いたり、体に草をはやしたりしている不思議な人々が住む島バルバラを舞台に、そこで暮らす3人の子供たちを中心に物語を進めていく。サブタイトルには「餓えないためのレシピ」と書いてあるけど、その意味についてはまだよく分からない。きっとこれから明らかにされていくのだろう。なんか大仕掛けな設定がありそうな気配も漂っていて、先が楽しみ。吉野朔実「記憶の技法」。自分の出生の秘密と記憶に、高校2年生の少女・華蓮が迫っていく物語は今回で第4話。少しずつ小出しに、手がかりが出現する構成は緊張感があって面白い。久々掲載、倉多江美「お父さんは急がない」はいつもながらにたいへん飄々とマイペース。のんびりしていていいなあ。

 で、次号はゲストで羽海野チカの読切が掲載されるらしい。単行本になるかどうか分からんから買っておくべーし。

【雑誌】コーラス 9月号 集英社 B5平

 巻頭は新連載・くらもちふさこ「+α」。くらもちふさこは、この連載の前に「α」というオムニバス形式の読切シリーズをやっていたのだが、それの続編という扱い。「α」のときは、毎回まったく違う話であるのに、なぜか扉ページに登場人物名とそれを演じる人間の名前が記載されていて「ん?」とか思っていたのだが、なるほどそれはこの伏線だったのかー。つまり「α」で描かれたお話を演じていた若き役者たちを描いていくお話になる模様。松田奈緒子「レタスバーガープリーズ. OK,OK!」は、ともに彼氏持ちとなった綾とその妹の景子がダブルデートに。姉妹という長いつきあいの中では、つい見逃してしまいがちだったお互いの成長を発見し合うという展開は、別に他人事ではあるのだがなんとなく感慨深い。

【雑誌】阿ウン 9月号 ヒット出版社 B5平

 「シャイニング娘。」がないと寂しいよっ! とかいう人のことを考えてか、今回は「シャイニング娘。」トレカが2枚袋入りでおまけに。トレカは全部で4種類あるらしいので、コンプしたい人はきっと買うんでしょう。草野紅壱「MONTAGE」後編。血はつながってなくて肉体関係もある姉弟を描くお話。姉の香澄の素直に気持ちを明かせない恋心がたいへん切ない良いお話。魔訶不思議「夏の忘れ物」。最近の摩訶不思議のHシーンはいいなあ。フェラチオ描写がねちっこいのがとても好み。柔らかく練れた絵柄の持ち主だけに、ちんこフォルムの神々しい曲線を描くのもうまい。

【単行本】「はぢめてのせっくす」 魔道うに オークラ出版 A5 [Amzn]

 コミックピンキイでロリ系なエロ漫画を描いている魔道うにの初単行本。ほっぺたがぷにっとして八重歯が可愛いなかなかいいロリ娘さんたちを描く人だ。あとこの人はめがねっ娘がけっこういいと思う。お話としては小さな娘さんたちの、大好きな男の子への想いが高まってHな行為に突入〜という感じのお話が多い。というわけでわりと甘いラブラブHなお話のほうが多い。小さな娘のセックスもある恋愛ということで、男的なファンタジーのツボを押さえた1冊。


7/26(金)……条理人

▼このところ職場に泊まりが多いので、その間に読んだ漫画については宅急便で自宅に送り返すようにしちゃっている。正直、送料がもったいないような気もするんだけど、3日分とかになると相当な分量になっちゃっうんで、通勤時間の長い身にとってはけっこうツラいのだ。座って荷物を脚の上に置くと石抱き状態になって、降りるころには脚がしびれちゃう。ましてや仕事明けでもあるわけだし。

【単行本】「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」2巻 安彦良和 角川書店 B6 [Amzn]

 面白い面白い。シャアザクとガンダムの戦闘はバリバリかっこいいし、戦いの中でのそれぞれのキャラクターの葛藤も見事に描かれている。とくにエリート意識と実戦経験の少なさによる劣等感が渦巻くブライトの様子、それから彼に反発するアムロという構図はどちらも非常に人間くさい。いいねえ。あとアニメと違って、気軽に前の部分に遡って読み直せるので戦局が掴みやすくなっているのもうれしいところ。ところでこの巻についてはガンダムの前半部で昔から気になっている部分が描かれている。それは大気圏突入のシーン。アニメではなんか薄いヘンな膜を使って燃え尽きるのを防いでいたと思うんだけど、ORIGINではそれがない。まあそれがあったにせよなかったにせよ、初代ガンダムはちょっと丈夫すぎるんじゃないかと思う。「逆襲のシャア」のラストーシーンでも最新型でさえ生死不明(だったよな)になっちゃうほどの負荷がある行為のはずなのに、最初のモデルのガンダムがやすやすとそれをこなすというのはなんか違うような気がする。まあだからといって作品の面白さに影響が出るわけじゃないんだけど。

【雑誌】ガンダムエース 9月号 角川書店 B5平

 安彦良和「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」はますます好調。ホワイトベースの民間人を抱えながらの戦いが、よりシビアなものとして伝わってくる。メカはメカらしく、人間は人間らしく、ちゃんと描けていて面白い。安彦良和といえば、今号では高千穂遙との対談が掲載されている。全体的な構図としては、「ガンダムはSFでない」という高千穂遙の発言として伝えられる言葉を巡って、二人が押し問答を繰り広げるという感じ。全体的には安彦良和が「あんたはSF界の偉い人なのだから、実際にいったにせよいわなかったにせよ影響が大きかった」とSFについての見識をあまり持たず感情論的に語るのに対し、高千穂遙はとりつくしまのない論理でにべもなくそういったものいいを斬って捨てるといった具合。全然話が前に進まないところが見てて面白かった。

 で、安彦以外の作品(と括ってしまうのは失礼かもしれないが)は、相変わらずいまいち弱い。いつも書いてるようにこの雑誌にガンプラ漫画が一つ欲しいというのはあるんだけど、それはガンプラ漫画は、ガンダム世界とある程度のつながりは保ちつつも、それを外から描けるジャンルだからだ。ガンダム世界を元ネタにしてそれをいじって話を作るという場合、オリジナルを安彦良和が最高品質でやっている以上、ほかの人ができるのは外伝かパロディくらいになってしまう。でもそれだとやっぱりよりマニアックになっちゃうし、間口は狭まってしまうのでうまくない。トニーたけざきのパロはけっこういいと思うけど。もう一つできる路線としては、Z以降のガンダムの「THE ORIGIN」をやることくらいか。これは個人的にはぜひ欲しい。Zはわりとちゃんと視てたけど、それ以降はいい加減もしくはまったく視ていないので、初代ガンダム以外の正史的なものは読んでみたい気がする。あと作品を外側から描く路線でやれるとしたら「ガンダムを創った男たち 〜安彦良和物語〜」とかかな。

【雑誌】少年エース 9月号 角川書店 B5平

 貞本義行「新世紀エヴァンゲリオン」(原作:GAINAX)が掲載で表紙はアスカ。ゴツボ×リュウジは今回、「ササメケ」とサッカーワールドカップ決勝レポ漫画、それからガンダムのゲームの宣伝漫画と、なんだか微妙な3本立て。この人はガンダムエースでも描いてたし、案外筆は速いのかもしらん。「ササメケ」は新しいタレントも登場して、また面白くなりそう。吉崎観音「ケロロ軍曹」。扉絵がいいなあ。介錯「鋼鉄天使くるみ」。今回はサキが具合悪くなってくるみが看病することになって、サキはうれしくて仕方ない〜という展開。本当にしょーもなくて素晴らしい。介錯って人は、どうしてこんなに吹っ切れているんだろう。西川魯介「なつめヴルダラーク」。いつもながらにHくさい。めがねっ娘で巨乳でいいですのう。木村ひかげ「夏の短編」。うん、美しい。強い夏の日射しの中で、大気がキラキラ輝いているかのような空間を印象的に描写。単行本出してほしいですのう。

【雑誌】BJ魂 9/1 No.8 集英社 B5中

 桑澤篤夫「占い刑事」。実にこの人らしい作品だー。要するに占いを得意とする刑事が、手相によって女のあそこの具合を見分ける方法をずっと解説して「今夜はジョビジョヴァ〜」とかいってやるだけのお話かと思ったら、最後の3ページで、それまでまったく話も出ていなかった会社員殺し事件が何の脈絡もなく解決〜。すごい適当感だ。素晴らしい。

【雑誌】ヤングアニマル 8/9 No.15 白泉社 B5中

 梅丸茶「ダメ男くんのススメ」が掲載。彼氏を甘やかしているうちに、すっかりダメ男にしてしまった女の子がその悩みを語るというお話。絵柄が非常にカワイくて、最終的に馬鹿馬鹿しくも微笑ましいラブラブ話になっているあたりがよろしい。文月晃「藍より青し」。今回は薫と葵の二人が珍しく二人だけのデ───ト。自分で自分のことを「一途」とかいっちゃう葵はやっぱり怖い。

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 8/9 No.16 小学館 B5中

 星里もちる「本気のしるし」。ついに二人が再会。でもまた面倒くさいことになりそうだなあ。脇田の浮世に対する「あなたは、勘違い男を呼び寄せる名人ですからね」というセリフが最高。なんかこう、いろいろ経てきて登場人物の言葉がどんどん自分を偽らないものになってきてていい。

【雑誌】コミックバンチ 8/9 No.34 新潮社 B5中

 読切、佐藤いづみ「ELEVEN」がなかなか良い。才能の壁に突き当たって悩んでいた七宝焼職人の青年が、自分の作品を「光で出来てるみたい」といってくれた女の子に、自分の納得するものを作ってくれといわれてさらに悩み抜いた末、職人として一つ成長を遂げるというお話。トーンを使わずカケアミ主体で描く暖かみのある画風は好感度が高い。濃くて力強いタイプの絵柄が多いバンチにあって、一服の清涼剤となった。

【雑誌】コミックピンキィ 9月号 オークラ出版 B5中

 やまのべきった「新妻日記」。10歳以上歳が離れている男の子の許婚となった女子高生が、旦那様のお父さんによって犯されてしまうというお話。この人の絵はパッと見キレイで品がいいんだけど、服を剥くとちゃんとみっちりいやらしくなるところがいい。魔道うに「はぢめてのせっくす」。単行本なかなか見かけないなーと思ってたけど扉ページに「好評発売中」とあるので「あれ?」と思って調べたら、たしかにAmazon.co.jpにもあるなあ。買っとかないと。ダーティ・松本の自伝的漫画「エロ魂!」は、ついにエロマンガ幕開けの時代が到来。脳内麻薬出しまくりでエロマンガに没頭するダーティ先生がカッコイイ。この作品はテンションが高すぎるくらい高くてかなりいい。漫画家漫画の中でも特異な部類ではあるまいか。


7/25(木)……カスにミニスカ

▼今週はわりと忙しいので更新状況がちょっと不安定な状態になっております。

【雑誌】アフタヌーン 9月号 講談社 B5平

 今号の注目は四季賞2002年夏のコンテストで賞をとった2作。まずは大賞の町田周「半永久ハッピーエンド」。タイトルからしてなんかヒネリが利いているが、中身もそれにふさわしいものだった。一人の凡庸な少女に悪魔から三つの願いを叶えてやるという申し出がなされるが、それは少女が自分で自由に願いをいえるというものではなく、二つの、非常に選びにくい選択肢が与えられるものだった……というところからお話は始まる。その後の展開はどんどん錯綜していき、最後は夢と現実がどんでん返しを続ける悪夢的なものになっていく。何度も読者に揺さぶりをいれ、一筋縄な読み方をさせないお話作りはなかなか面白い。トリッキーな作風だけど、それがちゃんと作品としてまとまりを見せている。なかなかにうまい。

 それからもう1本、準入選の西山友子「少年よ 大志を抱け」なんだが、この人って以前コミックフラッパーの新人マンガ賞で16歳にして佳作を受賞してえらくビックリさせられた小松菜子と同一人物なんじゃないかなあ(そのときの感想は昨年12月5日の日記を参照)。今回の受賞者プロフィールを見る限り17歳らしいから年齢的にも適合するし。で、内容のほうだけど、これもかなり面白い。母に捨てられ父親を頼って街へ出てきたものの、父親が自殺し天涯孤独で生きていかなくてはならなくなった少年が、日々絶望的な気分のみが募る状況の中で、それでも死にたくないという気持ちをもってあがき続けるというお話。上品でクリアな作画で、生きることの苦しさをストレートに描いていく作風は胸を打つものがある。小松菜子と同一人物であるにしろないにしろ、17歳でこれを描いちゃうってのは、大した才能だなあと思う。

 連載陣では次号で最終回を迎える外薗昌也「犬神」の盛り上がりがまず注目。それから木尾士目「げんしけん」。大学のオタサークル内での人間模様を楽しく描写。馬鹿馬鹿しくも幸せ……なんだかよく分からない結末が良。いつもいうことだけど、これからのオタクに必要なのは誰かを憎んだりあざ笑ったりすることではなく、お互いに愛し合うことだと思う。なあみんな。

【雑誌】ビッグコミック 8/10 No.15 小学館 B5中

 山本おさむ「聖」は次号で最終回。村山聖とその師匠・森信雄の最後の別れのシーンが泣ける。この人の描く涙の熱さには、身を震わすような力がある。あと今号には松本零士「銀河鉄道999」が特別読切として掲載。松本零士オフィシャルページの999コーナーで前編が公開された第39話「涙の表面張力」を、前後編まとめて掲載している。

【雑誌】モーニング 8/8 No.34 講談社 B5中

 弘兼憲史「取締役島耕作」最終ページの柱の言葉に心を打たれる。「島耕作は、愛する女性を決して裏切らない」。そうだったのかー! まあ裏切る女は愛してないってことですな、たぶん。所十三「DINO2 」は恐竜の世界の事件を描く作品。セリフがあることを除いては擬人化なし。人間が出てこないんで、パッと見には所十三と気づかなかった。

【雑誌】ヤングサンデー 8/8 No.34 小学館 B5中

 以前読切で掲載されていた、原誠治「ミニスカサッカー部」が連載化。要するにパンチラで相手を攪乱して男子を次々なぎ倒していく女子サッカー部のお話。こういう下らないギャグはわりと好きだが、これってネタが続くのかなあ。そのうちふんどしサッカー部と対決したりとかするんだろうか。

【雑誌】ヤングジャンプ 8/8 No.34 集英社 B5中

 本宮ひろ志の政治家漫画「悪党」第3回。ああ、本当にハッタリがビンビン利いてて本宮ひろ志らしい。札束の山がドーンというシーンとか。こういう漫画はなんか突き抜けないと描けないもののような気がする。やっぱり100万部超の雑誌をしょって立つだけの器だなあと感じる。高橋陽一「キャプテン翼」。マチルダ尽之助のあまりのファッションに感動。サンバイザーか……。あと高橋陽一のTシャツセンスのダサさは毎度素晴らしいと思う。たぶんはらざきたくまの別名義であろうと思われる、わごむ「LOVE&PEACE」は、気弱な少年が正義に目覚めるのを後押しして一緒に闘いもする女子高生を主役にしたいシリーズで3/7 No.12に続いて2回めの掲載。この人の絵柄はスラリとしていて誌面の中でわりと目を惹く。お話は手堅くまとめてきている感じ。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 8/8 No.35 秋田書店 B5平

 作:ピエール瀧+画:漫$画太郎「樹海少年ZOO1」。すごいすごい! こんな思いもよらない展開初めて見たよ。サイコー。爆笑した。ネタバレになるので、当然どこに感動したかは書けないんだけど。それから作:森高夕次+画:松島幸太朗「ショー★バン」は、最後のページでの清田の申し出に笑った。こりゃもうショーバンを追い込む目的以外の何物でもないな。さらにイヤなヤツっぷりを発揮するのか、次号が楽しみだ。


7/24(水)……明日トロの鬱

▼未読物
【単行本】「ピンポンビジュアルシネブック」 松本大洋 小学館 [Amzn]
【単行本】「青い春ビジュアルシネブック」 松本大洋 小学館 [bk1][Amzn]
【単行本】「なるたる」9巻 鬼頭莫宏 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「THE END」3巻 真鍋昌平 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「おさんぽ大王」6巻 須藤真澄 エンターブレイン A5
【同人誌】「ふらふらふらり」第一部/第二部 藤本和也 <餅屋ブック>
【同人誌】「藤本和也作品集」 藤本和也 <餅屋ブック>

【雑誌】スーパージャンプ 8/14 No.16 集英社 B5中

 巻頭カラーで連載がスタートした伊藤圭一「ソラリウム」は、宇宙で生まれた「宇宙の仔(スペース・チャイルド)」と呼ばれる存在である主人公カジカワが、宇宙飛行士であった父との約束を守るために宇宙を目指すという物語。宇宙生まれの人類はこの作品の時代ではまだ38人と多くはなかったが、彼らのうちの一人が引き金となってテロが行われたこともあって、主人公の宇宙への道はいったん閉ざされる。でも彼はやはり諦めない……というところで第一話は終了。わりと本格的なスペースロマンとなりそうな感じ。宇宙モノは好きだし、まずはしばらく注目していきたい。

 それから今号では、7月29日に発売されるYOUとスーパージャンプの合同増刊についてネタにした小谷憲一の「DESIRE」番外編漫画が掲載されているのだが、これがけっこう笑えた。いきなり、「DESIRE」の新担当を命じられたスーパージャンプの編集者が、作品を見てそのあまりの都合の良さに「ひじょーに滅入っている!!」というところから入る。しかもその後の展開は、いかにも「DESIRE」らしい、調子良すぎなものになってるのも馬鹿馬鹿しくていい。ちゃんとそこらへん自覚して割り切ってやってるあたり、小谷憲一は歯止めが利いてなくて面白い。

【雑誌】週刊少年サンデー 8/7 No.34 小学館 B5平

 佐藤周一郎「カラス」は、ゲームをやっていると自然に裏技が見えてしまう天才少年が主人公のゲーム漫画。最後のオチがなんかすごく適当でけっこういいなと思った。サンデー掲載の読切だけあってちゃんとまとまってる。

【雑誌】週刊少年マガジン 8/7 No.34 講談社 B5平

 小林俊彦「ぱすてる」。今回は乳+尻な回。ラブコメですなあ。開発者の実録ストーリー漫画、「作った男たち」シリーズ、じゃなくて「夢を忘れなかった男たち」シリーズ第1弾はトヨタ自動車のプリウスがネタ。日和一悟。「プリウス 〜21世紀への翼〜」。ちなみに表紙および扉ページでの作者名表記は「日和一悟。」で、目次では「日和一吾。」。こういうペンネームで「。」をつけるのも珍しい。

【雑誌】LaLa 9月号 白泉社 B5平

 樹なつみ「八雲立つ」が最終回。LaLa歴は浅いもんであんまりちゃんとチェックしてなかったんんだけど、一応情報まで。津田雅美「彼氏彼女の事情」。黒アリーマと白アリーマの融合がそろそろ始まっていくのかな〜という感じだけど、宮沢に関しては今回ちょっとツラめな展開に。なかじ有紀「ビーナスは片想い」。今回はユッキーに恋するバレー部女子が登場。モテそうな男にはちゃんと次候補が現れる。羨ましい限りだ。

【単行本】「アベノ橋魔法★商店街」2巻 出口竜正 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 完結巻。アニメのほうは2話分くらいをちらっと見たくらいなのであんまりよく知らないのだけど、漫画のほうは、ゴチャゴチャ加減、スピード感、お色気サービスと、出口竜正らしい持ち味が出てて楽しめた。なんか全編にわたってお祭りをやってるって感じで、おめでたくていいと思う。あるみもムネムネも越智さんもそれぞれかわいいし。個人的には越智さんかな、この3人の中では。


7/23(火)……モノリスと貝

スズキトモユさんのところのひとこと掲示板でちょっと書いたとおり、毎月20日にアップする買い物リストの作成は、だいたいいつも1時間くらいかかっている。手順としては、

(1)bk1の予約ページがアップされたらその中から買うものをリストアップ
(2)Excelの表の、月、日、タイトル、作者名、出版社、判型、予約ページのURLの欄を埋めていく
(3)まんが王倶楽部の新刊リストを見て、エロ系を中心にbk1になかったタイトルを補完
(4)この表を日付順にソートしてから適当なテキストファイルにタブ区切りテキストとして貼り付けてセーブ
(5)JGAWKとバッチファイルを使ってHTML形式と購入スケジュールCGI用のデータ形式に自動で吐き出し

という手順。(4)までの作業が終わってしまえば、あとは1分もあれば終わっちゃうのだが、とにかく(2)に時間がかかる。タイトルとか作者名は、ネット書店側のミスタイプがけっこうあるので基本的には全部自分で手打ちしてるのと、あとURLのコピペに案外時間がかかる。ただ購入リストを作るだけならブックスケジューラを使えばいいんだろうけど、これbk1の予約ページには対応してないっぽいのと、以前使ってみていまいち合わなかった。本当はbk1がなんか買う本にチェック入れてボタンを押すと一覧を作ってくれるとか、そういうプログラム作ってくれればいいんだけど。んでもってボタン1個で全部買い物カゴに入れられるようにしたら売上アップすると思う。

▼ちなみにこうやってリストを作ったあとさらに、

(6)購入スケジュールCGIの表をコピー
(7)Excelに貼り付ける
(8)見やすいように加工して縮小印刷
(9)システム手帳のリフィルに貼り付け

という作業も行う。これで雑誌も含めた買い物リストができ上がるので、購入したらマーカーでチェックを入れておく。こうやって買い逃しを防止してるわけです。

【単行本】「紅陽」 もみじ拓 講談社 A5 [bk1][Amzn]

 とても良い本。「紅陽」「哀愁のシマキマン」「かいじゅうの背番号」「キリエ」前後編が収録された短編集。素朴で飾りっ気はないけれども、青春模様の中で心に刺さったトゲのような引っかかりを、柔らかく丁寧に描写していく作風はしみじみとした読後感を残す。

 その中でもとくに素晴らしいと思ったのが「キリエ」。ごくごく平凡な少年である主人公・安芸と、極度の個人主義だが憎めないところのあるクラスメート、自称「キリエ」、本名青木太郎の二人を軸とした青春模様を描く物語。キリエはあまり人とツルんだりすることはないが、学園祭のときに屋上から自作のわけの分からない詩を大声で叫んでみたり、ライブハウスに出てみたりとエキセントリックな行動をときに起こす少年。でもその行動には、実は真摯なある想いが込められていて、キリエと接するうちにその想いに触れるにつけ安芸は知らず知らずのうちに自らのうちに芽生えていた煮え切らなさや卑怯さに気づいていく。語り口は静かなんだけど、微妙な心の動きをすくい上げていく描写の数々は、ページをめくるごとに胸に迫ってくる。あとどんどんボルテージが上がっていくキリエの言葉、そしてその後の静けさが心にしみる。

 「紅陽」は、親がどうもうっとうしく感じられて小さな反抗期を迎えている平凡な少年である主人公の親子関係を、クラスの中での「からかわれ役」であるが高校生とは思えないくらい子供っぽくて天真爛漫な笑顔を見せるクラスメートをからめて描いていく。いくつかの紆余曲折を経た後、主人公が再び親に向かい合うシーンは泣ける。「哀愁のシキシマン」。突然好きな女の子の体が発光して見えるようになってしまった少年に親から告げられた真実は、想いもよらぬ皮肉なものであった。こちらはタイトルこそギャグっぽいけど切ないお話。「かいじゅうの背番号」は、実は自分たちの親が怪獣であり、自分もその血を引いていることを知った少年が、母の死に際に自分が口にしてしまった言葉の残酷さに成長してから気づくという、これまた苦い物語。

 どの作品も自分が今まで気づかずにしてしまっていた無神経な行動に対する後ろめたさがベースになっているのだが、それに対する苦悩を描くというよりは追憶の色合いのほうが濃いような気がする。絵柄的にはパッと見にうまいとは映らないかもしれないけれども、ストーリーを語る確固たる力がある。良作揃いなので強くオススメ。

【雑誌】ヤングチャンピオン 8/13 No.16 秋田書店 B5中

 葉月京「恋愛ジャンキー」。コンパニオンをやっているミホが、ステージの陰に隠れたストーカーによって痴漢行為に遭うが、ステージ上で取り乱すわけにもいかないのでそれに堪える。羞恥プレイっぽくてけっこうエロい。なんか「恋愛ジャンキー」のキャラの中で、このミホは取り分けヒドい目に遭ってるね、いつも。岡田和人「教科書にないッ!」。いよいよ綾が卒業して大楽は一人。綾の別れのセリフの一コマは、万感の想いが一言に凝縮されている感じでとても良い。でもまだ何かありそうな気配ではある。

【雑誌】近代麻雀ゴールド 9月号 竹書房 B5中

 荒井清和の4コマ「号外!麻雀ワイドショー」が連載開始。芸能人とかがいっぱい出てきて麻雀にからめた時事ネタギャグをカマすという、いつもの荒井清和ノリ。下らなすぎて和む。谷口亜夢「進め!無敗への道」も新連載だけど、基本的に「雀鬼サマへの道」とほぼ一緒。変わった点といえば谷口亜夢の髪がショートになったことくらいか。

【雑誌】漫画アクション 8/6 No.32 双葉社 B5中

 作:橋本以蔵+画:たなか亜希夫「軍鶏」。新たにリョウのライバルとなるであろうトーマが、リョウと関わりの深いある人物のもとを訪れる。天才性を感じさせる柔らかい物腰は、これまでの敵役とはまた違ったオーラを醸し出していて、リョウとの対決の日が楽しみになってくる。作:かわさき健+画:宮田淳一「颶風」では薬物を投与されたオーリーが禁断症状に苦しむ。このシーンは、下手な拷問や格闘の描写よりもはるかに苦しそうでかなりの迫力。

【雑誌】漫画サンデー 8/6 No.31 実業之日本社 B5中

 小田扉「マル被警察24時」は老警察犬ホルモンがやけにカッコイイ。珍しくリアルなタッチで描かれているし。ハードボイルド。でもそのハードボイルドなホルモンの思考も、人間には理解されないで終わっていくのだなあと思うとちょっぴり切ない気分になる。


7/22(月)……南蛮亭

▼リニューアルされたフレッシュアイに「本日発売です!」というその日発売の雑誌の表紙と目次を画像で見ることができるコーナーができているんだけど、オールジャンルで1日10誌程度と、まだあんまり便利じゃないかな。漫画雑誌は数えてみたところ1週間で7誌。しかしその少ない中になぜか花音が入ってたり。あと漫画以外でいうと、金型の総合技術誌「型技術」が入ってるあたり不思議なセレクションである。あとバックナンバーを1週間分しか残さないのはイマイチ。ずっと残しておいてくれるとありがたいんだが。とりあえず今後掲載雑誌数が増えることに期待。コンビニ売りの雑誌くらいはほぼカバーするようになってくれると使えるんだけど……。

【雑誌】ヤングキング 8/19 No.16 少年画報社 B5中

 佐野タカシ「イケてる2人」。南の島で佐次&桜井、小泉&龍虎がコンビを組んでのビーチバトル編。ちょっとカップリング的にヒネって、その状況でのドタバタを描いていく。でも3人とも佐次が好きだったりするあたり羨ましい限り。高橋秀武「デボル」後編。やり口が天才的な犯人に一本気な刑事が翻弄されるという刑事ドラマ。線がしっかりしててお話にも味があっていい出来。花見沢Q太郎「ももいろさんご」は、三悟が入江さんのドライブにつき合わされた挙げ句、まあいつものように。分量は多くないのだけどしっとりH。

【雑誌】ヤングマガジン 8/5 No.34 講談社 B5中

 今回は山本マサユキ「ガタピシ車でいこう!!」が2本掲載。毎回ムチャなことやってる道楽者が出てきて楽しい。蓮古田二郎「しあわせ団地」。はじめが自殺しようとしている少女の説得に乗り出す。そのあまりにもはじめらしいバカバカしいやり方が素晴らしい。コンスタントに面白いなあ。あと今号にはアスシタント募集の告知が出ているのだけど、松本光司と望月峯太郎が新連載に向けて募集をかけているのが気になる。とくに望月峯太郎に関しては「今夏より新連載決定」とのこと。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 8/5 No.34 小学館 B5中

 巻頭カラーで山本康人の新連載「モンキーズ」が開始。子供のころに出会った婦警さんによって正義の道に目覚めた二人のプータローの男、サル顔の照彦とクールな道彦が、大人になってからその婦警さんらしき女性を町で見かけ、彼女にまとわりついていたヤクザに向かって正義の鉄拳をぶつけんとするという第一話。腐りきった世の中で、無力な二人が正義を遂行しようとするお話らしいけど、とくに巨悪とかが見えているわけではないので今後の展開はよく分からない。「打撃マン」系のお話になるのかな? それほど主人公二人は強くないけど。柏木ハルコ「花園メリーゴーランド」は連載再開。相浦くんが完全に追い詰められてから非常に怖い展開になっているけれども、今回もまた。とくに澄子の無表情ぶりにゾクゾクさせられる。外部から遮断された社会の中で、孤立無援の状態になった心細さ、不気味さがヒシヒシと伝わってきてスリリング。作:雁屋哲+画:花咲アキラ「美味しんぼ」。なんだ、この玉虫色な結論は。どう見たって今回は「後出し勝利の法則」からいっても雄山の勝ちだろうに。きっと東西新聞社と審査員の間で最初から話がついていたに違いない。最近引き分け多すぎ。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 8/5 No.34 集英社 B5平

 以前読切で掲載された作:稲吉理一郎+画:村田雄介「アイシールド21」が連載化。実はものすごい俊足の持ち主である少年が、その才能をアメフト部の暴力的な先輩に見出され、強引に部員にさせられてしまうところから始まるアメフト漫画。村田雄介は絵もうまいし、漫画としての演出力もなかなかのモノを持ってる人なんで、連載化はけっこううれしい。でもアメフトというスポーツは日本ではあんまりメジャーじゃないんで、どこまで受け入れられるかってところかなー。その点「テニスの王子様」とかはいいとこついていたといえるかもしれない。メジャーな競技ではありつつ、今はあんまり流行ってないからかえってテニス漫画も少なく新鮮に映るし。キユ「NUMBER10」はあっさり最終回。わりと普通に少年サッカー漫画らしくていいんじゃないかと思ってたんだけど、それだけにイマイチ押しが足りなかったか。河下水希「いちご100%」。今回は体育倉庫で東城さんと真中くんが密着ということでサービスシーン満載な回だが、それでもパンチラは4回のみ。やはり意外と少ない。

【雑誌】ドルフィン 9月号 司書房 B5中

 最近司書房系の雑誌は全体に元気がないような気がする。

 くどうひさし「Pの誘惑 −の恩返し2002−」。やはりこの人の絵柄はシンプルで明るく好感度が高い。お話は、海辺でイジメられたペンギンらしきもの(中には巨乳人入り)を助けた男が、彼女ほったらかしで砂浜ファーックというもの。以前より少しエロさも増したような。ドルフィンの中では最近楽しみにしている北河トウタが2ページの単行本宣伝漫画のみだったのはちと残念。


7/21(日)……痛ましい魂

▼仕事をやる気が全然出ないので困っていたところ、飲み会があるとのしらせがメールで届き、「このスケジュールじゃ絶対無理だな、ていうか普通行かない」といったん諦める。でもよく考えてみると、「仕事が終わったら飲み会だ」という目標を設定すれば、尻に火がついてやる気が出るに違いないことに気づき、いちかばちか行く方向性で仕事を進める。そうすると本当にやる気が出てしまい24時間くらい寝ないで仕事をしまくる。なんかこういうときだけは根性出るね、俺。ただ通常の3倍くらいの密度で仕事をこなしたせいか、その後は脳味噌がオーバーヒート気味になっていて、山手線を逆回りに乗っちゃうわ、人にあってもなんか反応が鈍いわでちと困った。帰りも電車乗り過ごしちゃうし。でも飲み会は楽しかった。いいリフレッシュになった。アルコールがしみた。

【単行本】「ネコカッパ」 逆柱いみり 河出書房新社 A5 [bk1][Amzn]

 逆柱いみり的ふしぎワールドが全開。猫の耳の生えた河童、ネコカッパの生活を描くというお話。ストーリーはたぶん書いてもしょうがない。ネコカッパがただ町を歩いているだけだから。でもそれを見るのはすごく楽しい。豚らしきもののごろごろ首がならべてあるおみせやさん、頭のたくさんあるフタコブラクダに乗った不気味な少年、猿みたいな毛むくじゃらの生き物を呑み込んでいる蛇のようなトカゲのような生き物……などなど、グロテクスクなようだけど遊び心もあるモノの数々が、あっちゃこっちゃに画面狭しと詰め込まれていて、そのごちゃごちゃした世界を見ているだけで著しく楽しい。なかなか言葉ではうまく表現できないけれども、読んでて妙に落ち着く。

【雑誌】花とゆめ 8/5 No.16 白泉社 B5平

 高雄滋「てるてる×少年」。ショタ萌え度強し。才蔵がかわいすぎる。しのとの関係がどうなるかはまだまだ混沌としてるけど、作品的には才蔵が出てればもう勝ちという感じがする。桜井雪「ショート寸前!」。今回はヒロインさつきの長〜い髪のお話。まっすぐでキレイ。なんかこの人の絵柄は、こういう伸びやかな物体がより引き立つ味があるなーとか思った。長い手足とか。

【雑誌】Vanilla 8月号 講談社 B5平

 一つひとつの作品はけっこう読めるものが多い。でも雑誌としての華はいまいちないかなあ。今回の巻頭カラーと表紙は広田奈都美「女のたましい」。ブスなんだけど愛敬はある女の子、通称ブンブンが、ブスをウリにしてテレビに出演、反響を得るも心は静に傷ついていく。心根は美しい娘っぽいだけに哀れを誘うし、お話の展開としても読ませる。

【雑誌】まんがくらぶオリジナル 9月号 竹書房 B5中

 小坂俊史「月刊フリップ編集日誌」は今回で最終回。まあ4コマだけにいつ終わってもいいお話でもありいつまでも続いてもいいお話だったとは思う。なお、小坂俊史は来月から新連載を始める予定とのこと。中島沙帆子「電脳やおい少女」。最終ページのおわびコメントがちょっと気になった。やっぱりやおいをやり続けるってのはタイヘンなんすねー、とか思った。


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