2002年9月下旬


9/30(月)……シャツ遺跡

▼GIGABEATの電源が入らなくなってしまったので修理に出す。何回か落としたのが明らかにマズかった模様。落下時の衝撃を和らげるような専用カバーを出してほしい……。

▼OHP月極アンケートのテーマ入れ替え。9月の「妖怪おばけ幽霊モンスター漫画」は、まあ順当に藤田和日郎「うしおととら」が1位に。このテーマについては実のところ、最初は「妖怪退治モノ」で行こうと思っていた。たいへん作品数が多いのに、名作といえるものが少ないジャンルということで、その中からいろいろ引っ張り出してくると面白いのではないかと思ったわけだ。でも妖怪だけじゃ範囲が狭いかなーとか退治じゃなくてもいいかなーとか思って、おばけ幽霊モンスターも加えたのだけど、その結果もしかしたら漠然としてしまったかもしれない。うーん、まあいいかー。

▼で、10月は「サラリマンまん」で行くことに。要するに会社が舞台のビジネスもの。こちらは範囲を広げすぎず、お仕事モノでも職人や肉体労働者系といった類の作品はなし、あくまで背広系ということでよろしく。まあ若干しょっぱいテーマであろうかとも思いますが。

▼未読物
【雑誌】トラマガ 11/1 vol.2 インフォレスト B5平
【単行本】「ササメケ」2巻 ゴツボ×リュウジ 角川書店 B6 [Amzn]
【単行本】「Dr.モローのリッチな生活」しょにょさん Dr.モロー FOX出版/文苑堂 A5 [bk1]

 トラマガは、「ガンバの冒険」がアニメのキャラを使って漫画化されるということで、これはもうしっぽを立てずにはいられない状態に。「ジャイアント・ロボ」のオリジナルコミック化計画というのも気になるところ。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ増刊 IKKI 11/1 No.12 小学館 B5平

 なんだかいろいろ入れ替わりが。次号で重大発表があるとのことだけど(噂どおり月刊化なんだろうか)、それに合わせてか最終回を迎えた作品がいろいろ。原一雄「麦わらドリル」、我妻朋視「津気乃雨滴」、永田綾「永田のすず」、山本直樹「安住の地」、ヒロモト森一「命+紅」、見ル野栄司「東京ソレノイド」が一挙に完結。あと竹熊健太郎「追跡者〜幻の漫画か・韮沢早を追え!」も終了。面白い企画だったが、最終ページはちょっと野暮だった。なしにするか、もしくは本編と離れたページに配置する、次号でやるなどの工夫をしたほうが粋だったと思う。ところで最近この雑誌はずいぶん読みやすくなってきたなと思う。2年も経つとずいぶんこなれるもんだなあ。

 最終回組では原一雄「麦わらドリル」が、シンプルながら味わい深い絵柄でけっこう面白かった。ちょっとシュールなネタをのほほんと料理していてなかなかセンスがいい。今回の「青空フック」「ぷみっちょん」はどちらも気の利いた良作。山本直樹「安住の地」は謎めいた雰囲気のまま終了。こちらは単行本でまとめ読みするのが楽しみ。

 小田扉「スペース・アポロジー」は、宇宙人のおっさんであるドミネさんに宿った昆虫学者の魂を成仏させるというお話。何気にちょっぴりほろりとさせられるようなお話になっている。こういう静かなお話ってのもいいね。ゲストのカネコアツシ「FUCK FOREVER」はいつもながらに完成された描線で、皮肉の利いた物語を展開。自分のスタイルをしっかり持ってて安定。菊地直恵「鉄子の旅」。毎回毎回、鉄な人たちの興味深い生態をリポートしてくれるこの作品。実は雑誌読みに限っていうと、この雑誌の中で一番楽しく読める作品かもしれない。単行本となるとまた別だろうけれども。この人についてはこの作品とともに、短編も単行本にまとめてほしいもの。

【雑誌】ヤングキングアワーズ 11月号 少年画報社 B5中

 最近のアワーズ系では期待株、読切で秀作をちょこちょこ描いていた水上悟志の初連載「散人左道」が連載開始。銀髪で黒眉毛の現代の仙人・左道黒月真君フブキが、いろいろと怪異を祓ったりするというお話。現代的妖怪モノらしく雰囲気はのんびり。悪くはないが、第1話を見る限りはわりとフツーという印象。やはり妖怪退治系の作品で独自色を打ち出すのはなかなか難しい。二宮ひかる「ベイビーリーフ」。SEXとかはしててもまだまだ少年少女、初々しくて微笑ましい。のではあるが、よく考えると初々しいとかいってられないよなーとも思う。でもまあとりあえず作品としてはまとまってるし、恋愛ゴコロも激しくくすぐられる。小泉真理「ジンクホワイト」。なんか静かに急展開。和田くんと真木さんはどうなってしまうというのかー。先が気になる。

【雑誌】ヤングマガジン 10/14 No.44 講談社 B5中

 平本アキラ「アゴなしゲンとオレ物語」。珍しく月形が主役のエピソードで、ケンヂも出てこず地味め。でもけっこうよくできたお話になってて面白かった。たまにはこういうのもいい。小田原ドラゴン「おやすみなさい。」。ガーン、ケニーくんがスケボーに……というのは嘘だけど今回の展開はわりとショックを受けた。性格はヒドいけど愛着のあるキャラだったので。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 10/14 No.44 小学館 B5中

 のりつけ雅春「高校アフロ田中」。いいねえ、面白い。最近の「高校アフロ田中」は、学生男部室ならではのグダグダ感だけでなくギャグとしてもうまいと思うことが多い。今回はいつものメンバーによる宇宙編という番外編的な内容だけど、やってることはいつもと変わらず。三宅乱丈「ペット」。緊張感があってすごく面白い。分類するとしたら超能力モノということになるかもしれないが、能力的な制限が厳然としてあるし、派手な展開に行かず一歩一歩詰めていく感じがいい。今回は非常に地味ながら、虚々実々の腹の探り合いという趣。下手に念動力とか使われるよりもこっちのほうがはるかにスリリングだ。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 10/14 No.44 集英社 B5平

 道元宗紀「A・O・N」が新連載。身長168cmの15歳の暴れん坊ギュンがプロレス界に殴り込み。人気レスラーの影武者として出場したと思ったら、全プロレスラーに喧嘩を売るわ……という感じ。破天荒なプロレス野郎物語という感じ。森田まさのり「ROOKIES」では、突如として例の疑惑のプレーに対する説明が。やはりちと苦しいが、まあ一応筋は通した。作:ほったゆみ+画:小畑健「ヒカルの碁」。しっかり面白い。ヒカルと社の対局模様は、よく分からないけどスゴそうだし、少年たちの成長をしっかり感じられる。あのメガネくんの越智でさえカッコよくなってきてる。河下水希「いちご100%」。なんか今回はわりとサービスシーンたっぷり。水着あり入浴シーンあり。あと樋口大輔「ホイッスル!」は最終回が近そうな展開。面白いけどサブタイトル「風の中のすばる」は若干脱力した。

【雑誌】コーラス 11月号 集英社 B5平

 伊藤理佐「結婚泥棒」。「ニッキニャッキニュッキ」とかいうわけの分からない奇声でもって語り合う夫婦の姿が面白い。伊藤理佐作品はいつも気楽に読めるし、コンスタントかつ適度にヘンだし、毎度楽しめる。そのだつくし「主婦のトモ」は連載2回め。いつもドツキ漫才ノリの仲良き夫婦だが、なぜか子供はできず。それで悩んでいる主婦トモの家に、できちゃった女子高生が転がり込んで来るという展開。基本的にはサバサバしてるけど、意外とナイーブな描写もうまい。

【雑誌】エンジェル倶楽部 11月号 エンジェル出版 B5平

 奴隷ジャッキーの柔道少女大凌辱漫画「巴」は今回で最終回。なんだか327発もかまされてたりテンション高し。最終話は「ポコチン」「乳ンポコ」「尻ポコ」「マンポコ」とまるで早口言葉みたいな状態で汁まみれ。ミルフィーユ「共に歩もう」。兄貴とその友達二人が、妹を使って脱童貞+誕生パーティをするというお話。元気良くやりまくりの肉弾系で気持ち良さそう。実用度は高い。

【雑誌】ヒメクリ 11月号 vol.10 FOX出版 B5中

 巻頭イッパツめの漫画はパニックアタック「大人になる呪文」だー。わーい。今回は触手。そしていちご120%。全然要約になっていないがそういう内容だー。いつもながらにロリロリで陽気で楽しい。ゴージャス宝田「キスが必要。」は、ロリコンで自分の生徒にMAJIでKOIしてる先生と、その家にやってきた美少女生徒のラブラブ物語。やることはやっててしかもアツアツ。ファンタジーだ。小林王桂「カズヒロくんの幸福論」。自分のことは恋愛対象としては見ていない、でもSEXはいつもしてる親友の女の子にホレてる男の子のお話。スッキリした絵柄は毎度のことながら好感度が非常に高い。いい絵だ。そろそろ単行本が出るとうれしい。

 単行本といえば、今号には粟岳高弘の初単行本「プロキシマ1.3」が10月末発売という朗報が掲載されている。9月1日のコミティアで配布されていたチラシではすでに告知されていた情報だけど、作者Webによれば、判型はB6でこれまでの商業誌掲載作がほぼ全部まとまって300ページ超らしい。わっほー。


9/29(日)……同意と言わせる巫

▼bk1が10月1日からリニューアルされて、合計金額1500円以上から送料無料に変更、Amazon.co.jpと同水準になるらしい。そしてブリーダープログラムのbk1ポイントが、自分のIDのリンクを経由した場合でも付与されるようになるとのこと。どちらもけっこううれしい。今まで毎月の単行本を購入予約するときは、ポイントがもったいないから兄貴にIDを作らせてそこのリンクから買うようにしてたんだけど、これからはそんな小細工もいらなくなる。自分ID分だけでも毎月3万円くらいは買ってるから、1000くらいはポイント発生してるんだよね。でもこれって実質的には値引き販売なんだけど、書店組合とかは文句いわんのかいな、と思う。Amazon.co.jpのアソシエイトについてもそう思ったが。

【単行本】「りんりんD・I・Y」1巻 大石まさる 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]

 「りんちゃんクッキーのひみつ」の続編。今度はりんちゃんが中学生になり、さらにいとこの花梨が一緒に住むことになって、二人がコンビを組んでザリガニを釣ったりイモ判作ったりなんだりと、まあDO IT YOURSELFでなんかやるというお話になっている。それにしてもこの人はマイペースというかなんというか。なぜいきなりDIYなのかはよく分からないし、ときには立ち食いソバにチャレンジとかいうだけの回もあってあんまりDIYっぽくなかったりもするのだが、まあとにかく毎回実にマイペース。それでも楽しく読める作品になっちゃってるあたり、自分のモノを持ってる人ってのはやっぱり強いなあとか思ったりする。

【単行本】「よみきり♥もの」3巻 竹本泉 エンターブレイン A5 [bk1][Amzn]

 なんというかもう独特だなあ。毎回毎回、へんなクセのある女の子を主人公にのほほんとしたお話を展開。他人の耳を掃除するのが大好きだったり、狭いところが異様に好きだったり、異常な方向音痴だったり。普通の漫画だったらそういった特徴はキャラクターの一要素に過ぎなかったりするし、それだけで話を作られても「だから?」ってな感じになっちゃいそうなネタだったりするのに、この人の手にかかると楽しくて仕方ないようなお話になってしまう。ラブコメっぽいのにラブコメには全然ならないっていうのもなんか不思議なノリだなー。なお今回は「よみきり♥もの」以外に他誌で掲載された「ねこだまり ねこどなり」「ブックスパラダイス」も併録されている。

【単行本】「マウス」8巻 作:あかほりさとる+画:板場広志 白泉社 B6 [bk1][Amzn]

 相変わらず頭が軽ーくなるような作品で、なんか読んでてスカッと気持ちがいい。難しいことなんかなんも考える必要がない。ヤッて盗んでまたヤッて。まあ最近ではマウスとメイの恋人関係が確立したおかげで、それがらみのお話は多くなっているけれども、まあマウスはマウス。とにかく読みやすい。

【単行本】「ホーリーランド」4巻 森恒ニ 白泉社 B6 [bk1][Amzn]

 シンちゃん、ショウゴとツルむようになってようやく街の中で自分の居場所を見つけたと思ったユウだが、その安寧が壊されたときのショックは大きかった。彼らに危害が及んだとき、ユウは怒りから自分の中の逃走本能を暴走させていく。ある意味人間らしくなってきたともいえるのだが、ユウの追い詰められっぷり、テンパりっぷりが加速してきててスリリングな展開になってきている。相変わらずストリートファイトの理論解説は細かく、読みでがある。繰り返しいうようだが、今のユウの暴走を止めるには愛が必要だと思う。マサキの妹は早くなんとかしてやるべきだ。

【単行本】「天の鷹」 谷口ジロー 双葉社 A5 [bk1][Amzn]

 元会津藩士で、戦に敗れた後、アメリカ大陸に渡った二人の男が、白人たちによって居住地を次々と奪われていくインディアンの部族たちと行を共にし、誇りを守るため戦い抜いていくさまを描いた作品。谷口ジローの精密なタッチで着々と語り進められる物語は、派手ではないけれども凄みがある。日本でも敗れ、そしてまたアメリカでも勝利なき戦いに身を投じる二人の日本人の姿は、義に殉じるもののふの心意気と悲哀を感じさせる。1巻できっちりまとまった力作。ところでこの単行本には「谷口ウエスタン最新刊」といううたい文句のついたシールが貼られてたんだけど、扉絵が見えなくなっちゃうんで帯にしてほしかった。

【単行本】「蛍の棲む川」 ポン貴花田 双葉社 B6 [bk1][Amzn]

 まあわりと普通のエロ漫画単行本ではある。絵は可愛いけれど飛び抜けてるってほどでもないし、ストーリー的にもいかにもコンビニ売りエロ漫画雑誌っぽい。でも肉付きのいい絵でピチピチしてて、手堅くヌケる作品を描いてきてるという点で評価したい。こういうパッと見華やかな万人受けのする絵柄で、お話的にもハズレのないコンスタントな描き手さんというのは、雑誌を底支えするという意味でも貴重だと思う。

【雑誌】フラワーズ 11月号 小学館 B5平

 西炯子の読切「WATER」が掲載。昔仲良くしていた男の子たち二人と、主人公のけっこうに美人な少女・リカが久しぶりの再会。かつてリカは彼らに「カッパと見つけたほうと結婚してもいい」と約束したことがあり、その片方の邦彦がついにカッパを見つけたという。キラキラしたキレの良い作画が美しい、平和な夏の日の一風景といった感じのお話。端整な作画が見てて気持ちいい。さいとうちほ「アナスタシア倶楽部」は新エピソードがスタート。今回はチャイコフスキーを巡る謎に、美少女鑑定士カムイが迫る。毎度、この作品は設定がゴージャスで浮き世離れしてていい。

【雑誌】メロディ 11月号 白泉社 B5平

 これまでシリーズ読切という感じで掲載されていた勝田文「あのこにもらった音楽」が連載化。手をケガして引退した元天才ピアニストの蔵之介と、その若奥様である梅子の生活を、軽やかなタッチで描いていくという作品。上品かつ力のヌケた洒落た絵柄はわりと好みで、前から気になっていた。単行本1巻も11月5日に発売されるらしい。今後の展開もけっこう楽しみ。ではあるけれど、第1回めは序盤がゴチャゴチャしててお話が頭に入ってきにくいかなとも思った。竹宮恵子「ブライトの憂鬱」は、エピソード「フレンドリーな悪魔」の後編。艶のある絵はさすがだし読みやすい。そのうち竹宮恵子作品はいろいろ読んでみたいところではある……とかいう感じで積み残した宿題がどんどん増えていくのだ。

 次号では高橋しんが登場(→メロディ次回予告)。66ページも読切で描くのだとか。相変わらず意外なところで仕事する人だなあ。


9/28(土)……AB−1

▼30日いっぱいで9月のOHP月極アンケート「妖怪おばけ幽霊モンスター漫画」の投票を締メ切リマース、まだ投票し足りてない方はここらでひとつよろしくお願いシマース。

▼未読物
【単行本】「ちょびっツ」7巻 CLAMP 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「マウス」8巻 作:あかほりさとる+画:板場広志 白泉社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「ホーリーランド」4巻 森恒ニ 白泉社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「蛮勇引力」3巻 山口貴由 白泉社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「りんりんD・I・Y」1巻 大石まさる 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「完全版 野望の王国」1〜2巻 作:雁屋哲+画:由起賢二 日本文芸社  B6 [bk1][Amzn:1巻/2巻
【単行本】「天の鷹」 谷口ジロー 双葉社 A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「蛍の棲む川」 ポン貴花田 双葉社 B6 [bk1][Amzn]

【画集】「おひるね」 YUG ワニマガジン社 変型判 [bk1][Amzn]

 この人くらい素直に「可愛い」って言葉が出てくる絵を描く人も珍しいなと思う。丸顔でつるつる柔らかそうな顔をした女の子たちが、それはまあ可愛く可愛く描かれている画集なり。なんかこの人の絵は、隅々まで甘くて邪気がなさげで、どうしたらいいものかと思うくらい。裸とか描いても邪な感じが全然しない。優しい系の美少女絵では一つの完成形といっていいのではないかと。だから今度はそのうち画集ではなく漫画で単行本を出していただけないかと強く思う。けれども絵だけでもすごくいいんだにゃー。素直に感心したっ。

【単行本】「快速!FREE NOTE Book!!」 すがわらくにゆき ワニブックス A5 [bk1][Amzn]

 コミックガム、ポプリクラブ、コミックライズに掲載された作品を収録した単行本。基本的に4ページのショートなんだけど、これ読んで、すがわらくにゆきってけっこう引き出し多いなあと思った。いつもの編集さんとぽいーんといーんいってる日記漫画的な奴はなくって、今回はぐだぐだなショートギャグあり、シュールなゆかい漫画あり、日常の一風景漫画あり、ラブコメあり、胸が締め付けられるような切ない話ありで、毎回バラエティに富んでいる。あとショタ。この人は、甘えん坊っぽくて可愛い男の子をよく描く。絵柄もいろいろ振れ幅があって、見ててすごく楽しい。肩の凝らない軽い絵柄だけど、描線の一本一本からセンスを感じさせるものがある。もっとたくさん作品描いてくれるといいのになーと常々思う。

【単行本】「エビアンワンダー」1巻 おがきちか 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]

 悪魔と契約をし地獄のエネルギーになる邪悪な魂を狩る「銀符」と呼ばれる存在であるフレデリカと、その弟であるハウリィの道中を描いたファンタジー系のアクション。軽やかで上品な絵柄で気の利いたストーリー展開を見せる作品。最初のほうはいまいち物語が頭に入ってこないようなところがあるのだが、回を重ねるにつれてだんだん読みやすくなっていっているように思えた。それだけに掲載誌であったアワーズライトがなくなっちゃったのはかえすがえすも惜しい。

【単行本】「生きなさいキキ」3巻 ジョージ秋山 実業之日本社 A5 [bk1][Amzn]

 強烈な漫画だ〜。豚小屋で生まれ母に虐待されて育った少年キキが、父親により金だけを信じるように躾けられ、異様な精神性を持った人間へと成長していくさまを描く。というベースとなる物語の業の深さ、ジョージ秋山のこれまた業の深い作画、そして回を重ねるにつれてコピー切り貼りなどの手抜きが目立ち始めお話そのものがグダグダになっていく様子がごちゃまぜになって、恐ろしいほど混沌とした読後感を残す作品となっている。そんでもって以前紹介したこの画像のような異様な光景が展開されていくわけだ。すでに漫画サンデー本誌での連載は終了しているのでてっきりこれが最終巻になるのかと思っていたが、まだもう1巻ある模様。最終巻は取り分けムチャクチャな展開になっているので、まとめて読むのが今から楽しみ。

【単行本】「べびー・ふぇいすっ!」 飛龍乱 富士美出版 A5 [Amzn]

 さすがに長いことエロ漫画の第一線でやってるだけあってうまい。ピチピチとジューシィで肉感的な女体描写と、わりとあからさまなちんちん描写、それからエロシーンのテンションも高めでけっこう実用的。ロリっ娘からめがねっ娘、人妻とそれぞれ魅力的に描けてていい感じ。コンスタントにきっちりヌケる作品を描いてるし、話としても読めるのが多いし、いい仕事してると思う。

【単行本】「ウタリア戦記 閃光のアーシュラ」 山本夜羽 エニックス A5 [bk1][Amzn]

 アイヌっぽい国土に住む民を率いて、大和朝廷っぽい侵略者たちと闘った女戦士・アーシュラとその仲間の活躍を描くといった作品。掲載誌がGファンタジーということを考慮してかかなり若向けに作り込んでいるのは伺えるが、その分道具立てがちと安い感じになっちゃってるのは否めない。

【雑誌】快楽天 11月号 ワニマガジン B5中

 SABEは今回「阿佐ヶ谷腐れ酢学園」と「ブルマー小競り合い」の2本立て。ブルマーのほうは、ナイロンブルマー派とポリエステルブルマー派の争いが繰り広げられていて、馬鹿馬鹿しくも面白い。北河トウタは快楽天初登場。「Smokin' sting」。北河トウタは司書房系の雑誌でよく描いていて、キュートな絵柄ながらしっかり実用的な作品も描ける人だが、今回はちゃんと誌面のカラーに合わせてエロは多少控えめに、女の子は小さくかわいくって感じできている。お話としては、とあるフリーター的な男の子が行くあてなさげな女の子をひろって自分の部屋に泊めるようになり、最初はそれほどでもなかったけどちょっとふわふわ不思議な感じのする彼女に主人公は惹かれていく……といった感じで展開。ラブラブな空気はあれど、途中の展開はちょいと痛々しくセンチメンタルでもあり。めがねでショートカットな娘さんはかなりかわいい。かるま龍狼「人妻姫」はなんだかクライマックスのようだ。んでもって次号でついに最終回。どういう展開が待っているんだか、今のところ全然予想がつかないなー。

【雑誌】阿ウン 11月号 ヒット出版社 B5平

 師走の翁「アギ」は、「シャイニング娘。」シリーズの番外編。茶魅川梨禍がエロエロな目に遭うというお話。今回は前編で次号に続く。やっぱり「シャイニング娘。」シリーズは作者もノリノリで面白ーい。エロいし可愛いし愛も感じるし。大井はに丸「妹と事に至る経緯」は、タイトルどおりあにいもうとモノ。この人の描く肉感的なHシーンはわりと好き。わりと上半身を全部脱がないシーンが多いような気が。11月12日には初単行本「click me」が発売予定とのこと。わたんかづなり「凌辱ゲーム」。感じやすい女の子を大きなちんちんでぐいぐいというあたりが、単純にエロっちくて良かったと思う。あと、高岡基文「まゆマテリアル」、牧部かたる「Reset」あたりもリンカーンリンカーンしてて個人的実用度は高め。


9/27(金)……義勇譚

23日の日記に書いた、吉祥寺のバックパック専門店「フィールドマークス」に行ってデイパックを物色。さすがに専門店だけあってそれなりの品揃えではあったが、正直なところ「これだ!」っていう感じのものはなかった。ただ、いつまでもぐちゃぐちゃいってると結局新しいのなんて買えないので、いちおう一つは買っておくべえと思ってゴールドウイン製のNM060004という品番の付いた奴を購入。容量は34リットル。わざわざ容量をメモしておくのは、今後買うときにスペックを調べるときの目安になるだろうと思ったから。実際に試したみたところ、今回のは底の部分の生地が薄いので雑誌を入れるとけっこうヒザにゴツゴツ来そうだ。失敗したかも。屈っ……。

 正直前に使ってた奴のほうが機能的に優れていたし、作りも良かったのだが、色が白の奴を選んでしまったためいい加減きちゃなくなっていたし、ファスナーが壊れかかっていたのでそろそろ……という感じがしていたのだ。とりあえず今回の奴はつなぎ的な感じなので、より良いのを見つけたら買い換えるつもり。とりあえずデイパックについては常にいいのを捜索しているので、品揃えの充実している店舗がありましたら掲示板とかに情報お寄せいただけると幸いです。こればっかりは実際に触ってみないと細かい使用感が分からないからネットショップで買う気にはなれないんだよねー。

▼以前日記で書いた職場近くにある牛舌専門の飲み屋さんで、新田五郎さん、立ち読み屋さん、実兄・本田健、俺の4人で呑む。やっぱりオタク飲みはいいよ。素晴らしい。店のほうは、さすがに専門だけあって牛舌の刺身とかステーキとかはおいしかったんだけど、あとはフツーかな。そのうち昼飯のときにでもランチメニューに挑戦するのはいいかなとか思った。まあとりあえず一回チャレンジしたということで、これからはもう気になることもあるまいと。ちなみに「アルマイト」ってアルミニウムの陽極酸化のことらしいですよ。よく知らないけど。

【単行本】「でじこのチャンピオンカップ劇場」 コゲどんぼ 秋田書店 新書判 [bk1][Amzn]

 DE-JI-KO-DA-NYO〜。というわけで、週刊少年チャンピオン誌の読者コーナーで展開されていた「デ・ジ・キャラット」漫画を集めた単行本。「萌え」がどーのこーのと巷でいわれるでじこではあるが、たぶんこの単行本読んで「萌え〜」とかいう人はあんまいないんじゃないかなあ。単純になんだかいい具合に力が抜けててドタバタやりまくるギャグ漫画としてきちんと面白い作品だと思う。きっちり描いてあるでじこより、崩したりヘンな顔してたりなでじこのほうが見てて楽しかったりするしー。非常にいい感じでエンターテインメントしてると思う。ただ惜しむらくは判型が小さすぎ。ただでさえちまちま描き込んでいる作品なのだから、これを新書判にされちゃうと読みにくい。どうせ固定層は絶対買うタイプの漫画なんだからさー、せめてB6、できればA5にしてほしかった。

【単行本】「ななか6/17」8巻 八神健 秋田書店 新書判 [bk1][Amzn]

 この巻で第一部は完。連載時はちゃんときれいにハッピー・エンドっぽくなってたから第二部はやらなくてもいいんじゃないかなあとか思ってたけど、こうして読み返してみると確かにななかの内面の問題って、まだあんまり解決してないのね。それにしてもねんじは意外とななかとも雨宮さんともラブラブしていない。そういった展開は今後に期待ということか。八神健は、前半非常に良かった「密・リターンズ!」が長くなって失敗したという前歴もあるので、今回そのリベンジの意味も込めていい作品にしてってもらいたいもの。

【雑誌】九龍 Vol.2 河出書房新社 A5平 [bk1][Amzn]

 うきょー、あんまり面白くないにょ〜。河出書房新社が最近出している単行本群は面白いのだけど、九龍は正直いまいちだー。九龍でよく分からないのは、なぜか田島昭宇と永福一成を特別扱いしすぎるきらいがあること。田島昭宇はとくに、漫画が20ページくらいなのに、30ページ以上もインタビューに割いているのは正直やりすぎのような気がする。そのほかの作品は尺が短いものが中心で食い足りないし、なんというかたいへんバランスの良くない本になってしまった印象。あ、でも柏木ハルコ「ぷにぷに」はちょっといい。一生懸命キャラを作ってクラス一の可愛い娘と目されるに至った女の子の、恥ずかしい性癖を描いたコメディといった感じの作品。

【執筆陣】田島昭宇、永福一成、とり・みき、大越孝太郎、イダタツヒコ、正木秀尚、萩原玲二、神山小夜子、内田雄駿、秋重学、柏木ハルコ

【雑誌】ヤングアニマル 10/11 No.19 白泉社 B5中

 ももせたまみ「ももいろシスターズ」が最終回。なんとなくアニマルがある間はずっと続くもんだと思っていたが終わるんだなあ。文月晃「藍より青し」。えーと繭って前からこんな顔だったっけか。わりと存在感薄いので忘れてたー。作:蘭佳代子+画:かたやままこと「プロフェッショナルスチュワーです!!」は最終回。いやーなんだか爽快な終わり方だな。なぜ水着。これぞホントのデスエロスって感じですか。

【雑誌】コミックバンチ 10/11 No.43 新潮社 B5中

 なんか気楽に読めていいですね、この雑誌は。作:江戸川啓視+画:クォン・カヤ「プルンギル −青の道−」。堅調に面白い。北朝鮮のこともあったし、時節柄わりとホットなお話になってきている。少しずつ事件の手がかりが見つかってきてはいるけれども、それとともにまた謎も深まるという感じで。謎が謎を呼ぶ展開。坂本タクマ「屈辱er大河原上」では、大河原上が「屈辱の拳」というタイトルの作品を探し回って感じなくてもよいような屈辱を得る。屈辱が屈辱を呼ぶ展開。

【雑誌】BJ魂 11/1 No.9 集英社 B5中

 井上紀良が北方謙三「水滸伝」を漫画化。まず最初は九紋竜史進と、彼に武術の手ほどきをした王進のエピソード。「水滸伝」を題材にした漫画は今まであんまり成功例がないような気がするけど、今回の作品はわりといいかなと思った。井上紀良は作画はさすがうまいので、普通にやっていけば手堅く読める作品になりそう。でもまあ「水滸伝」の場合は、多少遊び心を多少残したほうがいいかな。

 あと、この雑誌では実は桑澤篤夫の「占い刑事」という作品がすごく好きだ。今回も占い刑事が後輩の友達が入れあげているキャバクラ嬢との相性を見に行って締まりがどうのこうのいってたところ(ここまでの展開がお話の大半)、そこにキャバクラ嬢のヒモみたいな男が乗り込んでくるのだが、それが実は逃亡中の犯人でタイーホに至るというグダグダなことこの上ない展開。桑澤篤夫作品はこのスカッとするくらいの都合の良さが味だ。

【雑誌】LaLa 11月号 白泉社 B5平

 津田雅美「彼氏彼女の事情」。なんかますますきつーい展開になってきている。有馬も容赦なく自分の内面を吐き出し、覚悟を持って臨んだ宮沢もちと押され気味。そして今回のラストでは思わぬことに……。うーん、どうなっちゃうんだろう。

【雑誌】ヒメクリ銀華 Vol.01 FOX出版 A5平 [Amzn]

 A5平とじで単行本スタイルの本。内容的にはわりと普通のエロ漫画雑誌という感じで、この判型、装丁にした意味がどこらへんにあるのかはいまいちよく分からず。ヒメクリ本誌よりは若干ハードな、実用性の高い作品を集めたってところか。巻頭はポン貴花田「禁欲オフィス」。この人の描くエロスは、柔らかくて肉付き豊かで、パッと見のイメージよりも実用度は高いという印象がある。羽田としのり「恋はひそかに」は、ラブラブカップルである女教師と生徒のお話。瑞々しい絵柄と幸せそうな表情の描き方とかがけっこう好み。エロもちゃんとやってるしね。

【執筆陣】ポン貴花田、伊武秀吉、みかみ北都、狩野蒼穹、羽田としのり、みなこなみ、ぷりんはうす、天太郎、有頂天


9/26(木)……世は徘徊さ

▼いっぺん本屋に出かけた以外はとくに外出もせずぐーぐー寝てました。

【雑誌】ガンダムエース 11月号 角川書店 B5平

 安彦良和「機動戦士ガンダムTHE ORIGIN」は、「再会、母よ」のあたり。メカでの戦闘があんまりない回だけど、こういう回だからこそ安彦良和の描写力が際立っているという感もあり。こういう地味なエピソードでもちゃんと読ませられる。とはいえ雑誌全体でいうと、「THE ORIGIN」が地味だとちと盛り上がりにかけるというのも事実で、ときた洸一の「機動戦士ガンダムSEED −ASTRAY−」が始まってはいるもののそんなに「読んでみてえ〜」というほどの魅力はなかったりする。でもトニーたけざきの「男一匹!ガンダム番長」は面白かった。アムロたちガンダムキャラを使ってタイトルどおりのことをするという作品だけど、ちゃんと描き文字まで安彦チックにしているあたりがグッドだ。なんというか田中圭一の手塚パロに似た空気を感じる。長谷川裕一「バカがボオルでやってくる!」は、全国のボールファンにはたまらない内容。恐怖!機動ボールという感じ。

【雑誌】少年エース 11月号 角川書店 B5平

 ゴツボ×リュウジ「ササメケ」は、タレントが揃っていいチームになりそうな雰囲気。購入予定表作成のときに見逃していたが、10月1日に単行本第2巻が発売となるらしい。当然買う。というか角川書店だと告知された日付より早く出るから、今週末くらいには出てるんだろうなー。西川魯介「なつめヴルダラーク!」は毎度Hでいいと思います! 鹿淵くんが、玉澤さんと狼川さんをネタに妄想妄想。むちゃくちゃ直接的なことやってるわけでもないのにソソられてしまう。うまいよねー。祭丘ヒデユキ「強襲揚陸学園」は第1章であり最終章なんだそうな。力づくで変化球を投げまくるってえ感じのヒネリがあってかつ力づくなギャグがおもろい。しかもラブコメだー。立派だなあ。竹内元紀「Dr.リアンが診てあげる」は堅調に下ネタを連発。こういう作品を読んでると、ダジャレってのはやっぱりタイミングが命だなと思う。

 佐伯淳一の読切「パンダのポム」はちょっと泣ける読切。馬鹿正直で人に嘘をつくことができない清らかな心の持ち主で、子供達に風船を配る仕事をしているパンダの格好をした青年ポムが、人知れず死亡して霊になったものの、残された彼女になんとか自分がいなくなったということを伝えようとする。優しさが心にしみるいいお話。作画も達者です。それから木村ひかげの「架空の宿題」もええ話。入院しているおばあちゃんとの架空の想い出を孫娘が絵日記に記すというもの。木村ひかげ作品はそろそろ短編集にまとめてほしい頃合いだ。

【雑誌】モーニング 10/10 No.43 講談社 B5中

 うえやまとち「クッキングパパ」。今回は鶏のモモ焼きと、かなりシンプル。でもうまそう。鶏肉は好きだなー。きくち正太「おせん」は今号から2週連続で掲載。3週連続で掲載だった冬目景「黒鉄」は今回でこのエピソードはおしまい。モーニング系はこういうふうに、持ち札をときどきシャッフルしながら誌面に変化を加えてくるところがいいと思う。

【雑誌】ヤングサンデー 10/10 No.43 小学館 B5中

 作:魚柄仁之助+画:大谷じろう「おかわり飯蔵」は、どうでもいいシーンなのになぜかヒロインがアイドルの写真集みたいなポーズをしている不自然さが味だ。今回の、ご飯のうえに長めに切った万能ネギをしきつめて、キムチ+卵もしくは焼肉のたれ+卵をぶっかけるという食い方はけっこううまそうだなと思った。上に載っけるもんを工夫すればいろいろ応用が利きそう。今度試してみよう。なんか最近メシのことばかり考えている俺だ。

【雑誌】ヤングジャンプ 10/10 No.43 集英社 B5中

 読切のHiROTO「さよなら卒業ホームラン」は、若さゆえって感じの勢いがあってけっこう面白く読める作品だった。一方的に廃部にされた野球部の面々が、卒業式の日に一発ブチかましてみんなをアッといわせるという話。絵柄は荒削りだけど、スカッと爽やかでいい。静マリオネ「NEVER〜…」。茸狩りに行った男がとってきた茸は、死体のみに生えるトリップ性のあるものだったが、その食い方を間違えた彼はヒドい目に遭う……というお話。オチのベタさ加減にちょっと意表を衝かれた。本宮ひろ志「悪党」がひっそり終了。主人公が立ち上げた政党である「悪党」に対して信任投票を募ったが、思ったほどに投票が集まらなかったことに失意を抱いての連載終了とのこと。1500票超の投票があったわけだから、この手の企画としてはまあまあいいほうなんじゃないかと思うけど……。携帯とかインターネットを通じての投票とかのほうが良かったかもねー。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 10/10 No.44 秋田書店 B5平

 瀬口たかひろ「えん×むす」。最近なんだかいいな。ソーニャさんとギスケのアツアツぶりがのどかでほのぼのしててスバラシーボ。松山せいじ「エイケン」は、伝助を狙う巨乳小学生的な刺客が。でも意外に歯ごたえがないな……。それにしてもフリークスな人ばっかだ……。川島よしお「ナックルボンバー学園」はいきなり最終回。何週かしたらタイトル変えてひょっこり帰ってきそうな気もするけど。

【雑誌】コミックピンキィ 11月号 オークラ出版 B5中

 ダーティ松本の自伝的漫画「エロ魂!」がすごく面白いと思う。自分の親父が息子の作品に憤って原作を書いてやろうとしているのに対し、「俺の原作を書くには1000年早い!」「10回生まれ変わってこい!」とうそぶくダーティ先生の姿に感激。あと元痴漢のエロ漫画家、小多魔若史がアシスタント先のプロ漫画家(柳沢きみお)のファンの読者を食いちらかしてたとかいうエピソードもなかなか強烈。これほどテンションの高い自伝漫画というのもなかなかないと思う。単行本になったらぜひ買いたい。

 南勝海「奈津希」。上京して一人暮らしをしていた兄貴のところに、実家の妹が押しかけてきて……というあにいもうとモノ。なんかわりとロリロリで、顔とかプロポーションとかのでこぼこが少なめな妹さんがかわいい。やまのべきったは、巻頭4色4ページの「楽しい給食」と、モノクロ14ページの「妖精の飼て(そだて)かた」の2本立て。両方とも美幼女モノ。個人的にはこの人の作品だと大人の女を描いた作品のほうが好きなんだけど、相変わらず清楚な感じの女人が乱れてるという感じが出てて色っぽいです。舞登志郎は今回も「俺は男だ!」が掲載。「メジャーデビューへの道」はどうなってしまったのかー。魔道うに「はだかのキモチ」。ぷにぷにして栄養の行き届いた感じのロリっ娘がいいですな。この雑誌は全般にロリ系の作品が多い。


9/25(水)……反箒

▼ここしばらく繁忙期だったが、いちおう今日で一区切りついたかな〜♥といった具合。

▼それにしてもプロ野球・横浜ベイスターズの森監督解任は、個人的には残念だなあ。少なくともあそこまで面子を潰す形で辞めさせちゃいけない人だったと思う。後任と噂されている山下大輔は、なんかのんびりした人だし大丈夫なんかいなという気はする。でもまあしょせんは横浜だし、弱かったら弱かったでそれもまたよしという気もする。

▼未読物
【単行本】「快速!FREE NOTE Book!!」 すがわらくにゆき ワニブックス [bk1][Amzn]
【雑誌】LaLa 11月号 白泉社 B5平
【雑誌】九龍 Vol.2 河出書房新社 A5平 [Amzn]
【単行本】「ソラユメ展示会」 向井子夜 ラポート B6 [bk1][Amzn]

【雑誌】アフタヌーン 11月号 講談社 B5平

 これからしばらくリニューアル期間ということで、新連載、連載終了が相次ぐ模様。次号では高橋ツトム、五十嵐大介の新連載、それかqら山下博行の読切が掲載とのことでけっこう楽しみ。今号でも真鍋昌平「THE END」が最終回。これは単行本でまとめ読み予定。それから星野之宣の新連載「ムーン・ロスト」が始まっている。こちらは201X年の地球に落下しようとしている巨大隕石に対し、人類が回避する最後の手段を試す……というところから始まる。おそらくは隕石壊してめでたしめでたしというふうにはいかないであろう。本格的、かつ手堅く読めるSF漫画となりそう。

 そのほかの連載陣では鬼頭莫宏「なるたる」がショッキングな展開。なんというかこの人は情容赦がないな。木尾士目「げんしけん」は、紅一点状態から二点状態へ。なんかカワイイ外見をした帰国子女ながら、やることはかなりマイペース。うたたねひろゆき「セラフィックフェザー」は連載100回記念というのに12ページのみと相変わらず豪毅。ポスター描いている場合じゃなかろうという気がした人も多いのでは。

 今号は読切もいろいろ。まず鬼頭莫宏が読切でも登場。「よごれたきれいな」。美人で成績も良かった同じクラスの女の子が父親の自殺を契機として貧乏になり、しだいに格好とかも汚くなっていくとともにイジメのターゲットとなるのを、何もすることなく、いやむしろ加害者のほうに回ってしまっていた男子が、自分も似たような立場になって初めてその痛みを知るというお話。この人はこういう苦みのあるシチュエーションの中から、その中に埋もれたピュアな部分をすくい取るみたいな描写がうまいなと思う。四季賞2002年年夏のコンテスト準入選の竹内冬彦「インディヴィジュアル・オブジェクション」は、イジメのターゲットにされて憤り、学校をサボッて町をうろついていた少女が、街頭で歌をうたっているにーちゃんと彼の固定ファン的少女と出会って、彼らのウジウジした態度や自分に憤るという青春譚。ここで出した結論が本当に正解かどうかはよく分からないけれども、後味爽やかな物語ではある。

 浅山善匡「腰抜け十六挺拳銃」は1月号以来の掲載。美人保安官と、とにかく超弱虫だけどものすごい早撃ちテクを持った助手のハンクの凸凹コンビがなんだか悪党を退治する、ドタバタアクションコメディ。動きが派手だしキャラもユーモラスで面白い。この人はわりと手堅く行けそうだな、と思う。惣本巌「眠り姫」は2001年5月号以来の登場。とにかくものすごく眠くてどこでも寝ちゃう女の子と、彼女のことが気になってしまってつい振り回される女の子を描くお話。スッキリした絵とゆったりしたリズム、それから大ゴマの効果的な使用で気持ち良く読ませる作品。けっこうユーモアもある作風。

【雑誌】スーパージャンプ 10/9 No.20 集英社 B5中

 徳弘正也「狂四郎2030」は毎回面白いな。アルカディア編が最終局面で、狂四郎の剣技が冴えまくる。闘ってるときの表情がけっこう邪悪だったりするところもカッコイイ。平松伸二「マーダーライセンス牙&ブラックエンジェルス」。平松オールスターがまた一人復活。しかしこの展開はすごいな。理屈なんかなんもなし。これじゃ雪藤とか牙のやってたことってまったく意味ないじゃん。作:愛英史+画:里見桂「ゼロ」。今回はゼロと、「女ゼロ」といわれる中国人女性贋作師が対峙することになる。まあ当然のことながらゼロが勝つんだけど、最終コマでこの女贋作師が崩れ落ちたシーンの「ああう」ってうめき声はなんかヘンだから入れないほうがいいと思う。この作品は、ゼロが去るときに「ふん」というセリフを付けてみたり、最終コマに妙なセリフを入れることが多いような。味があって好きだけど。

【雑誌】ビッグコミック 10/10 No.19 小学館 B5中

 なかいま強「黄金のラフ〜草太のスタンス〜」。たいへん面白い。でも「いったいどうなってしまったんだ〜」という、ヒキの強すぎるところで終わっている。早く次号が読みたいなあ。作:鍋島雅治+画:はしもとみつお「築地魚河岸三代目」は、英ニが魚辰をやめて板前復帰するかも……というエピソードがいちおう解決。なんか今度から高級魚へも扱いを広げるということで、新たな魚知識が披露されそう。けっこうこういう食物系ウンチクネタが勉強になったりするので楽しみなところではある。

【雑誌】週刊少年サンデー 10/9 No.43 小学館 B5平

 橋口たかし「焼きたて!!ジャぱん」。黒柳(not徹子)殺害事件がめでたく解決。次回作は「炊きたて!!ごはん」です、お楽しみに。あおやぎ孝夫「ふぁいとの暁」。なんだか何の変哲もない、得点を数えてる脇キャラの女の子とかがかわいいとか思った。前回すごい設定で驚かせてくれた井上和郎「美鳥の日々」は、今回も萌え萌え路線で絶好調。個人的にはつなぎめの部分がどうなってるか見たいところではあるが……。それにしてもこれ、押しかけしている女の子がかわいいからいいけど、そうでなかったら怖い話だよなー。西条真二「365歩のユウキ!!!」。なんか豪快にぶった切って最終回。見どころはやっぱり最後の1ページでしょう。

【雑誌】週刊少年マガジン 10/9 No.43 講談社 B5平

 小林俊彦「ぱすてる」はなんか笑っちゃうくらいラブコメだー。今回は夏祭りでドキドキ編。浴衣姿が眩しすぎる定番的シチュエーション。でもまあ好きです。


9/24(火)……電気一途

【雑誌】ヤングキング 10/21 No.20 少年画報社 B5中

  巻頭カラーで長田裕幸の新連載「C [si:]」がスタート。今やスラムと化した元首都である東麻都を舞台に、ワルガキどもが暴れまくる様子を、その街を取材しに来た女性記者の目を通して描いていくって感じかな。スペクタクルなアクション漫画になりそう。長田裕幸については非常に微妙な作家だなと思っていて、絵柄といい描写力といい、読切とか新鋭作家が好きな漫画マニアだったら必ず「オッ」を思わせるモノを持った人ではあるのだけど、個人的にはその「オッ」の後がなかなか来ない。今にもハジけそうに見えて案外まとまっちゃってる。それは完成度の高さにつながる部分ではあるんだが、なんというか作品からあふれ出すほどの「描きたいもの」が、あんまり伝わってこないタイプの作家さんという感じがしている。技量的にはけっこうなモノがある人なんで惜しくはあるのだが……。

 月イチ連載の吉野ケイイチ「CHICKEN DAYS」。なんかいかにもラブコメっぽいラブコメになってて好きな作品。垢抜けないけど明るい絵柄もわりと好み。花見沢Q太郎「ももいろさんご」。三悟が湊に告白〜とか思ったらそんなオチか……。いい具合に適当だなあ。Hでもあるし。

【雑誌】ヤングチャンピオン 10/8 No.20 秋田書店 B5中

 あの男が帰ってきちゃった! ポエムヤクザの伝説が今再び!! というわけで立原あゆみ「本気!」が復活。いやー、久しぶりだけどやっぱり変わりませんな。作:高見広春+画:田口雅之「バトル・ロワイアル」。うーん相馬光子エロ過ぎ。中学生なのに乳デカすぎ。古泉智浩「路地裏のバッター」は、主人公がどんどん追い込まれていっててかなり鬱な展開。究極のバットスイングを身につけても、結局本来の目的ではまったく役に立たず。野球漫画とはいえないだろうけれどもなんだかすごい。

【雑誌】漫画アクション 10/8 No.41 双葉社 B5中

 作:DRAGON No.1+画:鈴木岳生の新連載「横須賀水中愚連隊」がスタート。なんかよく分からないが、破天荒だけど実力だけはバリバリな水球選手の悟が拉致されるというところからお話がスタート。扉ページに「青春国防潜水漫画」とあるので、潜水して湾岸警備でもすると思われる。この漫画もそうだけど、最近のアクションは泥くさめで絵柄もちょっと古い感じの漫画が増えている。もしかして漫画サンデーとかゴラクみたいな路線を狙ってるんだろうか。相変わらず迷走してるという印象は拭えず。ながしま超助「ジェット上司」。なんだかものすごくくだらないオチに笑った。ラーメン屋編になってからジェット上司にツッコミ役がいなくなって、もうやりたい放題だな。

【雑誌】漫画サンデー 10/8 No.39 実業之日本社 B5中

 作:田中誠一+画:千葉きよかず「剛球少女」はコンスタントに読める。女子野球選手ながらきちんと力感が出てていい感じ。あとは作:鍋田吉郎+画:原恵一郎「巌流小次郎」と画:松森正+作:ひじかた憂峰「湯けむりスナイパー」あたりかな、楽しみなのは。

【雑誌】近代麻雀ゴールド 11月号 竹書房 B5中

 せきやてつじ「おうどうもん」。ハッタリが利いてて力強くて面白いと思う。描線に勢いがあって非常に力強い。「リーチ!」「チー」などといった発声時の表情もやたら激しくて燃える展開。ロビン西は初登場。なかなかシブい作家が登場しますな、この雑誌は。今回の読切「キツネとタヌキ」は、かつてコンビを組んでいたがその後の運命は大きく明暗分かれた二人の雀士のお話。なんだか意外にほのぼの。とみさわ千夏「不思議なピーチ牌」。たいへん馬鹿馬鹿しくて好きだ。勝つたびに乳ふり尻ふりするのが人気の外人娘を目当てに、雀荘に人が集まってくるというお話だが、とみさわ千夏の無機的というか白々しいというかな独特のエロ描写と外人娘の素っ頓狂なキャラがよく合っていてすごくシュールな世界になっている。麻雀については正直どうでもいい感じなんだけど。で、次号では森左智の新連載「とっぱくれ」がスタート。

【単行本】「ムーちゃんが来たよ」 草津てるにょ ワニマガジン A5 [Amzn]

 この人がこんなお馬鹿っぽい作品を描くとはけっこう意外だった。ストーリーは、酔っ払った父親が100円で飼ってきた成人女性用の愛玩動物「エコペット」からHなことをされていくうちに、ヒロインの美和子がだんだんそのペースに巻き込まれていっちゃう様子を描くといった内容。このエコペットというのがなんだか「お風呂もいっしょ寝るのもいっしょ、いつもいっしょのムニュ・ムニュ」といった感じの罪のない外見をしているのだが、飼い主にちんちん突っ込んだり、夢まで制御したりとけっこう曲者。夢の中までHな妄想に支配された美和子は、だんだん何が現実なのやら分からなくなってきてしまうといった具合。んでもってお話がぐだぐだになって、なんだか思いもよらぬ結末へと行き着く。一つひとつのHシーンは、草津てるにょらしく女体がつやつやしててたいへんエロく実用的。乳首がツンと立ったりするところの表現とか、すごくソソる。それだけにこういうオチで来るとは……とたいへん意表を衝かれた。でもちゃんとお話としては意外なまとまりを見せていて、草津てるにょの長編としては今までで一番面白かったかもしれない。エロ描写については「夢幻画境」とかのほうが人間×人間なんで好きだけど。


9/23(月)……上限任意

▼いい加減毎日酷使しまくっているせいで、デイパックがいよいよ壊れてきた。そろそろ新しいのを買わなくてはならないのだが、日々の購入漫画体積およびデザインや付加機能などの諸条件を考えるとなかなか都合のいいものがない。どっかいろいろ揃ってるいい店ないかな〜とか思ってネットで検索をかけてみたところ、吉祥寺にあるフィールドマークスという店がなかなか良さげな感じだったのでちょっとメモっておく。今度ヒマになったらちと行ってみようと決意。

【雑誌】恋愛天国 10/19号 竹書房 A5平

 池部ハナ子「トモダチのミチ」が最終回。彼氏および自分の共通の友達である男と浮気してしまった彼女を巡る恋愛&友情の物語、といった趣のお話。最後はわりとアッサリとハッピー・エンド。きれいにまとまったが、もう少しなんらかの駆け引きはあっても良かったかなという気はする。この雑誌って単行本は出してくれるんだろうか。出そうにない感じはするなー。明治カナ子「兄と妹」。もうそのものズバリなタイトルだが、要するに妹に小遣い銭をせびってくる最低な兄と、それでも兄にベタ惚れな妹のお話。髪の描き方とか描線が細かくてきれいで心惹かれるところ。東雲水生「無敵のダーリン!」は5話め。なんでもよくできちゃう彼氏にちと遠慮気味な彼女が、危うく彼氏の友達に食われそうになっちゃうというお話。瑞々しくて華のある絵柄をしております。

 ところでどうでもいいのだが、この本に出ていた由美かおるの「ダイエット呼吸法」というビデオの広告を見て爆笑した。ちょっとイキイキしすぎだと思う。出たのは1999年らしいけど、竹書房ってこんなもんも出してるのね。

【単行本】「人間以上」 駕籠真太郎 久保書店 A5 [bk1][Amzn]

 長らく絶版になってて入手困難だった駕籠真太郎の初単行本「人間以上」が、久保書店の「リターンフェスティバル」シリーズの一環として復刻。今回は旧版では未収録だった「脳下垂体の機会論的世界観に関する一考察」を初収録。このころの駕籠真太郎はまだ絵は今のように洗練されておらず、内容的にもストレートで、内蔵をズルズル引っ張り出しておもちゃにしたりとかいうグロ系のネタを多用した狂騒的なスプラッタギャグといった趣が強い。でもそれだけに、素直に人を嫌な気持ちにさせるパワーはあって読んでてかなり刺激的。最近はわりときれいめなネタが多い駕籠真太郎だが、たまにはこういうグログロな作品もまた描いてほしいなーと思う。

【単行本】「純の魂」 早見純 青林工藝舎 A5 [bk1][Amzn]

 この単行本でも陰湿でねっとりとした早見純の変態的ワールドの魅力は出ているけど、わりとあっさりめの作品が多いので、早見純の単行本としては比較的インパクトが弱いかな〜という気はした。まあこの内容でそういう風に感じちゃうところが早見純ならではという気もするけれども。なおこの単行本では、巻末企画で早見純と二十代ギャル×3による座談会が収録されているんだけど、これが妙に味がある。早見純は嘘つきまくりだし、ギャルたちの合いの手もなんか微妙にポイントを外してるような気がするし。

【単行本】「REAL」2巻 井上雄彦 集英社 B6 [bk1][Amzn]

 たいへん面白い。かつては陸上少年だったが骨肉腫を患って今は車椅子バスケに情熱を注いでいる戸川、誰よりもバスケ好きだったが結局それを手離さざるを得なかった野宮、交通事故で歩けなくなってしまった元バスケ部キャプテンの高橋と、少年3人の挫折が描かれる第2巻。事情は3人それぞれだけど、どのエピソードについてその想いが確かな描写によってひしひし伝わってきて、とても読みごたえがある。早く続きが読みたいので非常にスローな連載ペースが恨めしい。

【単行本】「てるてる×少年」3巻 高尾滋 白泉社 新書判 [bk1][Amzn]

 やっぱり萌え漫画であるな、と。ショタ漫画であるな、と。めがね君な少年忍者・才蔵くんの涙顔に萌え、彼が守り敬愛してやまぬしの姫の意地っ張りだけど実はけっこう脆い様子を微笑ましく眺めるといった具合。この巻の表紙からして、えーと名前はなんつったけか、忘れたけど才蔵フレンドの少年が浴衣を着て胸のあたりをはだけているとこだったりしてなんかこうあざといくらいに狙い撃ち。なかなかやってくれますわい。

【単行本】「空室あります」3巻 やまあき道屯 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 暖かなムードは悪くないけど、ちと良心的すぎる感じで歯ごたえが足りないかなというのがこの作品の印象。アパートの大家さんをやってるおふくろさん的女性……というのは魅力的だが、やっぱり絵がもったりしすぎのような。全体的な雰囲気はいいので、全体にも少しシャープさが欲しいような気はする。

【単行本】「ジャイアント」1巻 山田芳裕 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 おーもーしろいなー。日本のドラフトにかからなかった巨漢野球選手・巨峰貢が、単身アメリカに渡りシングルA(つまりプロリーグとしては一番下)のチームに滑り込む。それまで巨体に似合わぬちまちましたバッティングしかさせてもらえなかった巨峰だが、アメリカののびのびした野球スタイルの元、雄大な自分の持ち味を存分に発揮して水を得た魚のごとく暴れ回る。とにかくデッカい選手がデッカいバッティング、デッカい守備をする様子が異様に痛快な作品。「デカスロン」で培った、めちゃくちゃデフォルメの利いた描写が冴えていて、とにかく気持ちがいい。巨峰のバットがとらえた球がひしゃげ、次の瞬間爆発的な勢いで吹っ飛んでいくさまは理屈抜きに痛快。まあ個人的には力だけの野球よりは、日本プロ野球の森監督時代の西武ライオンズみたいな抜け目なさと力強さがうまい具合にミックスした野球のほうが好きではあるのだが、でもこういうシンプルで豪快なのももちろんカッコイイし見ていて面白い。巨峰の今後のステップアップが楽しみ。

【単行本】「クロ號」4巻 杉作 講談社 A5 [bk1][Amzn]

 もう4巻めかー。独特の筆系のタッチでネコ視点でその生活を描いていく漫画。丸っこい絵柄でのんびりはしているけど、けっこうネコ社会の熾烈さも描かれたりしている。手慣れたタッチは、これが初連載作品とは思えないほどに完成している。個人的にはこの人が描く、人間主役の漫画もちと読んでみたいところではある。


9/22(日)……高速回線正確倉庫

▼未読物
【単行本】「人間以上」 駕籠真太郎 久保書店 A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「純の魂」 早見純 青林工藝舎 A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「空室あります」3巻 やまあき道屯 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「ジャイアント」1巻 山田芳裕 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「クロ號」4巻 杉作 講談社 A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「バングラデシュ日本」 天久聖一 太田出版 B6変形 [bk1][Amzn]
【単行本】「REAL」2巻 井上雄彦 集英社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「てるてる×少年」3巻 高尾滋 白泉社 新書判 [bk1][Amzn]
【単行本】「順風」 三本美治 青林工藝舎 A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「ウタリア戦記 閃光のアーシュラ」 山本夜羽 エニックス A5 [bk1][Amzn]
▼早売り(24日)
【雑誌】ヤングキング 10/21 No.20 少年画報社 B5中
【画集】「おひるね」 YUG ワニマガジン社 変型判 [bk1][Amzn]
▼早売り(25日)
【単行本】「べびー・ふぇいすっ!」 飛龍乱 富士美出版 A5 [Amzn]

【単行本】「高速回線は光うさぎの夢を見るか?」 華倫変 太田出版 A5 [bk1][Amzn]

 マンガ・エロティクスFに発表された作品を中心とした短編集なのだが、これを読んで改めて華倫変という作家の才能に惚れた。作画技術的に優れているわけではないけどなんだか落ちつかなげな画風は味があるし、なんといってもストーリー構成が素晴らしい。とくに多重人格の少女・岡田三奈さんと、彼女とよく話しをする少年・西野の触れ合いを描いた連作、「あぜ道」「下校中」「木々」には感動させられた。岡田三奈さんは、持って回った言葉遣いに特徴があるサバサバした性格の「芳子」、淫蕩な「ミレマ」、気の弱いオリジナル人格に近いと思われる「玉江」の三つの人格を持っており、それぞれのスタンスで西野と関わりを持っている。3人と西野の気持ちが響いてくるラストシーンは、なんとも切なくてかなり泣き泣き。

 それから自殺願望を持った少女がインターネットで100日後に自殺することを予告し、その100日間を描いていく「高速回線は光うさぎの夢を見るか?」は、少女自身の電波的な危うさから来る言動や、不特定多数のウォッチャーの適当な意見などがぐるぐると渦を巻き、頭の中がぐちゃぐちゃにされるようなお話。一見クレイジーな感じではあるが、物語は破綻しておらずしっかりコントロールが利いている。それからアルコール依存症の女性を描いた「酒とばらの日々」、カルト宗教にハマった女性を主人公にした「とかく現世はくだらなすぎる」あたりも、自分をあえて傷つけていくような女性たちの姿が印象に描かれている佳作。華倫変の作品は天性のものなのかもしれないけれども、お話の運び方がすごくうまいと思う。テクニカルでセンスの良さを感じさせる。ほかの誰にも似ていない個性を持っているのでやっぱり強い。そんなわけで今後の活躍にも激しく期待している。

【収録作品】「忘れる」「あぜ道」「下校中」「木々」「ねむる部屋」「コギャル 危ない放課後」「酒とばらの日々」「とかく現世はくだらなすぎる」「高速回線は光うさぎの夢を見るか?」

【単行本】「Rainbow Life」全2巻 里見満 集英社 A5 [bk1:1巻/2巻][Amzn:1巻/2巻

 この作品は、オールマンで連載されていたときからすごく好きだった。一言でいえばゲイたちの青春物語ということになる。主人公は非常に男らしいゲイの青年・コージ。第一話のサブタイトルからして「オレはGAYだ!」である。そして生粋のタチであったコージが、なんだかすごい美貌の持ち主である一夜の恋人にケツバージンを奪われた後、諸手を挙げて「サイコーだぜ!!」と叫ぶシーンなんか、もう非常にサバサバしてて痛快。とかいうとイロモノ的な作品に思われるかもしれないが、この作品の場合は、現代に生きる「ゲイという性別」の持ち主である男たちを非常に真っ正面から真摯に描いている。その逃げない、悪びれない姿勢がすごくいい。

 作者自身もバイであることを公言しているけれども、それだけに描写はしっかりしているし、現代のゲイたちの生の姿を垣間見ることができて興味深い。男女の恋愛モノでもちょっと見られないくらい、正々堂々とした純愛漫画である。あとこの漫画は言葉がいいねえ。「ああ!!ホモだよ!! 文句あっか!?」とか「男同士に愛なんて要るか!!」とか、「オレとナオキは互いのザーメンをぶちまけあってその真実を確認しあったんだ…」とか、実に男らしいセリフが満載。その気がない人でも面白く読める快作。

【単行本】「BWH」3巻 花見沢Q太郎 集英社 A5 [bk1][Amzn]

 これにて最終巻。たいへん楽しいお話だった。女子寮という舞台設定については後半わりとどうでも良くなっていくのだが、女の子たちがいっぱい群れていて、それが本当に楽しそうに騒いでいる様子を見ていると、こちらまで心が浮き立つようです。オヤジ臭い書き方だなあ。まあいいか。いやーでも本当に、花見沢Q太郎の適度にいい加減な描写が冴えまくってて、とてもいいい作品だったと思う。最終話では大人になったベルウッドハウスの面々の姿が描かれるんだけど、ここらへんは青春の1ページってのは戻ってこないんだなあという、これまたオヤジ臭くかつ甘やかでちょっぴり切ない感傷に浸れて、これまた良いものでありました。

【アンソロジー】ひな缶5 茜新社 A5 [Amzn]

 ロリ系のアンソロジー本。要約すると「ちっちゃいおんなのこがかわいいねー」という作品ばかりになってしまうので、一つ一つの作品のストーリーとかにはあまり言及しないけれども、この中ではあらきあきら、ゴージャス宝田、ほしのふうた、メラメラジェラシー、國津武士あたりが良かった。とくにゴージャス宝田「テイルキャノン おまわり砲」は、婦警姿にコスプレしたちっちゃい娘が「えっちな人はタイホですよー……」とか「「つ…罪は……ロ……ロリコン違反ですっ」とか可愛いこといってて破壊力が大きめだった。ほしのふうた「お見舞いメロン」は、風邪をひいた少年へのお見舞いが、女の子の形をしたメロン娘であった……というちょっと変わったお話だけど、ヘタが頭についたメロン娘が著しくかわいい。

【執筆陣】高円寺雪○、あらきあきら、ゴージャス宝田、あ〜る・こが、ほしのふうた、瑞井鹿央、LAZYCLUB、笹倉綾人、メラメラジェラシー、國津武士、鷹勢優、川本良樹

【雑誌】Vanilla 10月号 講談社 B5平

 うーん、なんかピチピチしてないなあ。新鮮味があまりないので、このボリュームを読むのはかなりおっくうな感じになっちゃってる。来年1月18日発売号で休刊するらしいけれども、それも仕方ないかなという気はする。石井まゆみ「カブキなさい」、小栗左多里「カナヤコ」など、手堅く面白い作品はあるんだけど、なんかも一つ、雑誌で読んでダイナミズムを感じる作品がない。来月は「レタスバーガープリーズ,OK,OK!」の松田奈緒子が登場するらしいけど、19日はやたらめったら雑誌が出る日なので、このかさばる雑誌を今後買い続けるかどうかはちと微妙。

【雑誌】まんがくらぶオリジナル 11月号 竹書房 B5中

 相も変わらず、かたぎりわかなの読者ページ4コマ1本のために買っている。もちろん中島沙帆子「電脳やおい少女」も好きなわけだが。多少誇張はあるんだろうけれども、基本的に実話っぽい部分がかなり多い点がよろしいかと思います。

【雑誌】別冊コミックドルフィン 11月号増刊 vol.1 司書房 B5中

 もしかして早売り物件かも。司書房はホームページとかにあんまり情報がないからよく分からないんだよねー。というわけでもし早売りネタバレになってしまったら申し訳ありません。

 まずは巻頭カラー。BENNY'S「R2」は、人間型をしていて感情もある女性ロボットR2と子供のころから一緒に暮らしていた少年が、長じて彼女に恋愛感情を抱くようになるという物語。とくにカラーページの優しい色使いが良くって、柔らかなタッチにメロメロ。Hシーンもちゃんと充実してるし、少年とR2の愛しい気持ちがよく出ている。火野聡司「Nextドア 〜となりのお姉さん〜」は、悪い男に惚れてしまっている隣のお姉さんに恋する青年の物語。Hは激しいけれど、最後のシーンの隣のお姉さんの泣き笑いでけっこう切ない気分にさせられる。

 あわじひめじ「鉄チン69号」は、タイトル通り「鉄人28号」のパロ漫画。アナルファックを世に広めようとする秘密組織AF団の女ボスと、少女探偵・金田正子&鉄チン69号が対決。この人のほんわか和み系な絵柄はわりと好きで、カラッと明るく元気の良いドタバタノリなストーリーもいと楽し。あわじひめじは、以前にも「ピクミン〜愛のうた」のパロディで「ピクチン〜愛のうた」という作品を描いていたけど、パロディ系のネタがわりと得意なようだ。

【執筆陣】BENNY'S、北方国明、笹峰ひでとし、火野聡司、KASHIみちのく、香月りお、Ryujin、小邑紗希、やがみだい、あわじひめじ、瑞東航、藤宮博士、五十嵐輝


9/21(土)……格子円並行

▼そういえばさー、日本の航空会社のANAとJALとJAS。つなげて読むと「アナル・ジャスティス」みたいだよねー、とかいったことを考えつつ今日も生きる。

【雑誌】ヤングマガジン 10/7 No.43 講談社 B5中

 三田紀房「甲子園へ行こう!」、馬場康誌「空手小公子小日向海流」の両スポーツ漫画が盛り上がってていい。とくに「小日向海流」のほうはアクションがいちいちダイナミックで痛快。「甲子園へ行こう!」は鎌西×横浜第一の試合の、絶望的な点差のついた9回裏の攻防を描いている。個人的にはこの点差でひっくり返しちゃったりするとウソ臭い感じもするので、ギリギリくらいで負けちゃうのがいいと思う。なんといっても四之宮はまだ2年生だから次もあるわけだし……という考え方は高校野球にはふさわしくないかもしれませんな。CLAMP「ちょびっツ」は、ヒデキがいよいよ決断を迫られる。この状況でイヤとはなかなかいいにくそうだが果たして。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 10/7 No.43 小学館 B5中

 稲光伸二「ナイトクレイバー竜一」。けっこう面白い。麻雀のイカサマネタは、大ざっぱにいって「通し」と「スリカエ」に分かれると思うのだけど、漫画で見ている分にはスリカエのほうが断然カッコイイし面白い。柏木ハルコ「花園メリーゴーランド」。村の夜祭がどんどん過熱していく中、ついに澄子と相浦が遭遇。この状況ではもう後戻りできそうにないけどどうするんだろう。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 10/7 No.43 集英社 B5平

 鈴木信也「Mr.FULLSWING」。なんかまたヘンなキャラが登場してきた……。なぜマカロニウエスタンなのかー。まあなんというこのくらいハチャメチャなほうが、ジャンプらしくていいなと思う。なんだかんだつい読んでしまう。叶恭弘「プリティフェイス」。今回は水泳編でスクール水着がわんさかと。最近流行ってますなあ、スクウル水着。

【雑誌】ファンタジーライズ 11月号 メディアックス B5中

 これで最終号。今後はコミックPOTと合併して平とじ雑誌になるそうで、詳細はコミックPOT11月号で発表するとのこと。ファンタジーライズは、木静謙二、EB110SS、ジェームスほたてと、好きなメンツが揃っててけっこう好きな雑誌だったのでちょっと残念。平とじよりも中とじのほうが切り抜きしやすいし軽い(ことが多い)し好きなんだけどなー。

 で、最終号の巻頭カラーは九巴昭彦「トラブルメーカー2」。なんかまろやかな身体つきをした人妻さんが。好みだ。しかしこの人はなんで風呂上がりに、誰にも命じられていないのに裸エプロンになっているのだろう。謎だ。EB110SS「一輪車に乗って」は、ロリなお兄ちゃんが幼女を手なずける手管がななんだか巧みで妙にリアリティのある作品。相変わらずこの人の描くヨウージョはたいへんよろしいものです。木静謙二「かてきょ」は今回もエロエロだぁ。家庭教師の由季子さんとその生徒の隆くんがデート。そしてその行く先々でやりまくり。おちんちんも大きいぞ。今回木静謙二はカラーで「女教師輪姦艶姿図」という作品を3ページほど描いているのだが、この人は本当にフェラチオシーンを描くのが好きなのだなあと思う。あと乙「TOILET-O」は、超強引な男子が自分のペースに女の子を巻き込み、女子トイレにて告白→Hとなだれ込むお話。けっこうムチャなことはしているが、最終コマはラブラブな具合でけっこういいなと思った。

【執筆陣】九巴昭彦、ジェームスほたて、EB110SS、仙台魔人、木静謙二、necoJET、みさわひろこ、乙、水田魚零一、鈴木美蘭、中山かつみ+高橋和明

【雑誌】ドルフィン 11月号 司書房 B5中

 うさぎのたまご「秘密クラブ」が掲載。この人は一見無邪気そうな淡くて可愛らしい絵柄をしていながら、やることがかなりムチャクチャなのがいい。今回も、主人公がその彼女に下着姿でエロ小説を朗読する姿をみんなに見せて金を取るなんてことをしてたりしてかなり鬼畜なんだけど、あくまでギャグタッチで楽しげにお話は進んでいく。最後は緊縛羞恥プレイで適当に「イエーイ」とかいっておしまい。この人の陽気さはいつもながらなんかすごい。もっとたくさん作品を描いてほしい人ではある。みやびつづる「肉嫁 〜高柳家の人々〜」は今回で最終回。熟れた女性がバンバンやりまくってこの人らしい作品だったが、ストーリーの完成度的にはちと弱いかな。でもみやびつづるにそういうことを求める人はあんまりいないと思うのでまあいいか。くどうひさしは今回2色カラー。「HOLY MONKEY MOUNTAIN」。動物園のサルの飼育係となった男が、少女のかっこうをしたおさるやいぬたちとやりまくったりするお話。相変わらず楽しげで気持ちの良い絵柄をしてて好感度が高い。

【単行本】「遠藤浩輝短編集2」 遠藤浩輝 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 たいへん長らく待たされたがようやく第2集が発売。今回は「Hang」「女子高生2000」「プラットホーム」と、描き下ろしの「ボーイズ・ドント・クライ」が収録されている。この中ではやはり「プラットホーム」が非常に良い。父親がヤクザで、彼と彼の生き様をトレースするかのようにヤクザになった兄に反発しながら生きていく少年・貴幸の物語。貴幸は父の情婦の娘の早紀に想いを寄せていたが、早紀は母の死後は同じく貴幸の父の情婦となる。そんな事情もあり憎悪していた父に、年齢を重ねるごとに似てくる自分を否定したい貴幸は、何者にもなれぬまま少年時代の日々を過ごす。やり場のない感情、自分では現実をどうにもできない青春の挫折を描いた物語はたいへん青臭いといえば青臭いのだけれども、遠藤浩輝の硬質で冴え冴えとした筆致によって非常に緊張感のある作品に仕上がっている。

 遠藤浩輝は最初っから非常に完成度が高い作品を描いていた作家なので、パッと見にはその成長ぶりが分かりにくいけれども、だんだん作風もこなれてきているし少しずつ伸びているとは思う。でも初期の作品の、今より若干固い描線のほうが、突き刺さるようなインパクトがあったように思えてしまうのも確か。こういうこといわれるのは作家にとっては嫌だろうけれども、そう思ってしまうのはこちらとしてもどもこもならんところではある。現在アフタヌーンに連載中の「EDEN」はだいぶ長期連載になってしまったけれども、今後も短編集に収録されているようなキレ味抜群な短編もときどきは描いていってほしい。一枚絵でハッと手を止めさせられてしまう遠藤浩輝ならではの印象的な見開きは、尺の短い話のほうがより生きるのではないかと思うので。


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