2002年11月下旬


11/30(土)……捨てたトロ

OHP月極アンケート12月分を始めました。12月は「長い!そして面白い漫画」ということで、非常に長いけれども手間ひまかけて読んでみるだけの価値はある、という作品にご投票ください。いちおう長〜いドラマということで、一話完結タイプで巻数が出ているものよりも、一本ドーンとストーリーがあって長いって感じの作品でお願いできればと思います。また12月からアンケートの最新分のURLはhttp://picnic.to/~ohp/cgi-bin/anquete/_new/fvote.cgiで固定にして、月が変わったら内容を入れ替えていくという形に変更します。そんなわけで2002年最後のテーマもよろしくお願いします。

▼11月分の「ラブストーリー」は、二宮ひかる作品がワンツーフィニッシュ。個人的にはもっとドロドロした恋愛のもつれを扱ったタイトルが上がってくるのに期待していたのだけど、よく考えてみるとそういう作品って、普通かなり嫌漫画の部類に入るので票が伸びるわきゃないわなあと後で思った。

▼未読物
【単行本】「戦え!梁山泊 史上最強の弟子」一〜五 松江名俊 小学館 新書判 [bk1][Amzn]
【単行本】「史上最強の弟子ケンイチ」1〜2巻 松江名俊 小学館 新書判 [bk1][Amzn]
【単行本】「藍より青し」10巻 文月晃 白泉社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「青春ビンタ!」3巻 私屋カヲル 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「エビアンワンダー」2巻 おがきちか 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「こんすとらくたーず」5巻 法田恵 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「陰陽師」11巻 作:夢枕獏+画:岡野玲子 白泉社 A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「ワイルド7愛蔵版」3巻 望月三起也 B6 [bk1][Amzn]

【単行本】「刑務所の前」第1集 花輪和一 小学館 A5

 うーん、まだbk1にもAmazonにも入ってないのかな?

 現在ビッグコミックオリジナルの増刊号で連載中の作品で、「刑務所の中」に至るまでの年月を描くという趣旨で始められたもの。というわけでお話は、花輪和一が入手してきた古い拳銃を一生懸命磨いたりハンダを盛ったりしながら補修していくという話がメインになるのであるが、しかしそれと並行して武家時代に刀鍛冶の娘として生まれた少女の姿を描いていく物語や、獄中生活の話も同時進行。あるコマまでは時代劇をやったかと思えば、その次のコマでは花輪和一が参加したサバイバルゲームのキャンプの話が始まるといった具合で変幻自在。しかしこれがまったく違和感なく溶け込んでいるあたり凄いなあと思う。そしていつもながらに驚かされる描写の恐ろしい精密さ。錆びついた銃の各部を詳細に眺め、いとおしそうに修理していく様子はむやみやたらと楽しそう。

 ところでこの人で面白いなと思ったのは、投獄されたことをちゃんと反省してるっぽいこと。普通この程度のことなら、「ただ拾った使い物にならないような銃を磨いてただけなのに……」とか言い訳の一つもしそうなもんだけど、「あ〜っ! やだやだ! 犯罪だ。 ハジだ! ハジ!」などと自ら語ってしまうあたり吹っ切れてる。そして獄中でも、別に不平とかを持つでなしに、自分とこれまで縁がなかったような銀行のエリート支店長さんと獄中で隣り合わせになっていることに対して、「ああ、肩を並べてなあ、こんなことが本当におれの人生になあ。」などとありがたがってたりするあたり「この人は違う」と思ってしまう。

【単行本】「テスタロト」4巻 三部敬 角川書店 A5 [bk1][Amzn]

 どうやら打ち切りだったようで……。教皇派と王室派の対立する中世ヨーロッパ風の世界観は壮大だったし、陰鬱な雰囲気、厳しい物語運びはカッコ良かったので惜しい作品ではある。ただやはり説明を省略していくやり方は、月刊誌とかだとキツいかなという気はする。読者は次の号読むまでに、前回の話を忘れちゃいがちだから。

【雑誌】ヤングキングアワーズ 1月号 少年画報社 B5中

 平野耕太「ヘルシング」。かっこいい、んだけど今回の話ってアワーズ増刊も読んでる人でないと会話の意味がピンと来ないんじゃないかなあ。まあ単行本ではフォローされるのだろうけど、こういうのはどうなんだろう。二宮ひかる「ベイビーリーフ」は最終回。これも「ハネムーンサラダ」を読んでからのほうが良いことは確かではあるが、さすがに雑誌を変えているだけあって少年少女恋愛ストーリーとしてこちらだけでもまとまっている。脚本:田畑由秋+画:余湖裕輝「コミックマスターJ」は、島袋光年事件に題材をとったお話ですな。あの事件に関しては、社会的制裁が大きすぎはしなかったかという意味で個人的にも非常に割り切れない思いがある。16歳といえば結婚できる年齢でもあるわけだし。あの事件に対する対応が、今回の「コミックマスターJ」で描かれたようなモノだったならまだしも納得はいったと思うのだが……。

【雑誌】ビジネスジャンプ 1/1 No.1 集英社 B5中

 作:近藤雅之+画:有賀照人「警視総監アサミ」。今回はラブホテルから犯罪の証拠となるルミノール反応を検出するために、アサミたちが奮闘。ルミノール反応さえ出りゃいいってもんでもなかろうに……という思いは頭をかすめるが、今回はきっとラブホテルの利用者たちの痴態を描くことのほうが重要であったのではないかと。

【雑誌】ポプリクラブ 1月号 晋遊舎 B5中

  巻頭カラーで始まった新連載、吉川かば夫「ぱにくるクロニクル」は、明るく元気な学園ラブコメという雰囲気。なんか妖怪退治っぽい展開もあるのかな。巫女さんとかも出てくるようだけど。なぎさわゆう「ミコミコ」は、もうタイトルどおり巫女さん漫画。しかもねこみみ。ここ数年でねこみみはすっかり復活した感があるなー。

【雑誌】ヒメクリ 1月号 FOX出版 B5中

 パニックアタック「大人になる呪文」。今回もかわいいですなあ。脱いでもせいぜいぱんつまで。この作品にはこのくらいがベストだと思う。ゴージャス宝田「ザリガーマン」は、小学生ではないけどツルペタな少女がケダモノのようにやりまくり。テンション高いですな。羽田としのり「早送りな関係」は、レンタルビデオ屋のおねーさんと常連の少年がHなことをする……というお話。羽田としのりのこなれた明るい雰囲気の絵柄にはけっこう惹かれるものがあり、前から気になってはいる。あともう一押し、何か強烈な武器があると単行本購入ライン。小林王桂「クリスマスプレゼント」は、難病で余命いくばくもない少女と担当の先生の、クリスマスの夜の物語。スッキリとした画風が切ないストーリーにマッチしている。

【雑誌】エンジェル倶楽部 1月号 エンジェル出版 B5平

 相変わらずの大味ハードコア洋ピン風味なこの雑誌。一本筋がビシッと入ってて好きだなあ。奴隷ジャッキー「スパン女王」は、子供のころから尻を叩かれるのがクセになってしまった少女のH話。まっ赤に腫れ上がった尻が、ぷるぷるしててけっこういいかも。スパンキングは美少女漫画であまり扱われないネタなのでけっこう新鮮だった。ちなみにタイトルは「スパンクイーン」と読む。草津てるにょ「優しく激しく貫いて」。熟れた女体を描かせるとやはり素晴らしい。この人の描く人妻は、お人好しっぽいところが良いです。

【雑誌】知的色情 Vol.2 光彩書房 A5平 [bk1][Amzn]

 クオリティ高め、かつちょい暗めなトーンの作品で固めたエロ漫画本。A5平とじの単行本形式な装丁。今回もなかなかクセのあるメンツが揃っていて面白かった。

 まず巻頭は玉置勉強「妹萌ゆ」。タイトルは一見軽そうだけど、中身は業が深い。男の子っぽい妹が、女の子っぽい兄に女装させたうえで彼を責めさいなむというお話。二人の関係は愛憎入り混じるという感じで、痛々しくもその中に甘美さも溶け込んでいる。町田ひらく「piano man」は、とある一つのピアノが持ち主を転々としていく間に、その前に座った少女たちの姿を映し出していくというちょっと変わったつくりのお話。たしかに考えてみれば、現在の日本ではピアノを使う層といえば少女であることが多いわけで(成長するとやらなくなって下取りに出されちゃったりするので)、いろいろな少女の姿を追っていくという意味では効果的なアイテムという気がする。そして作品の出来のほうはこの人らしく、高品質で苦い。

 明治カナ子「電話線の向こう」はかわいい絵だけど不思議な雰囲気。ラストになると「なるほどこうなってたのか」と納得。牧田在生「わたしを取り戻すまでに」は、愛する男から邪険に扱われ続ける女の悲しいお話。かなり生々しくて突き刺さるよう。で、ここまではずっと暗めな話が続いていた中で、町野変丸「うなぎ100%♥」だけはいつもながらのマイペース。内容はタイトルどおりといいますか。なお今回は、町野変丸に憧れた漫画家になったという日向琴子がその半生を語る漫画「Life」も掲載されている。

【執筆陣】玉置勉強、町田ひらく、早見純、西牧徹、日向琴子、ゆうきあきら、町野変丸、牧田在生、華麗王女、藤黄広誠


11/29(金)……ワニ止める弓

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 12/13 No.25 小学館 B5中

 細野不二彦「僕らはネットで恋をする」前編。ネットアイドルにハマってしまった男のラブストーリー。なんというかネットアイドルのために作曲したりなんかもしてしまって、非常に香ばしいネタを扱っているのにちゃんと読める。この微調整のうまさは本当に職人芸だなあと思う。作:大西祥平+画:高橋のぼる「警視正大門寺さくら子」。冒頭で副署長が「デスロイヤああああああ〜」と叫んでいるシーンが笑った。すごい絵づら。作:鍋田吉郎+画:一色登希彦「会社を変えた男たち」はオートバックスセブン白木裕次の巻の後編。今回もアツくて面白かった。デキる男の確信に満ちたセリフがカッコイイ。

【雑誌】コミックバンチ 12/13 No.52 新潮社 B5中

 こせきこうじ「株式会社大山田出版仮編集部員 山下たろ〜くん」。小松崎たかし先生の若い頃の蛮行が今明らかに。このくらいやりすぎだと心動かされるものはある。ここらへん、少年ジャンプ魂、って感じがした。渡辺保裕「ワイルドリーガー」は、ついにあの男が復活。相変わらず面白い顔と容姿だ〜。

【雑誌】快楽天 1月号 ワニマガジン B5中

 巻頭カラーは三浦靖冬の「とわにみるゆめ。」。ギイチという青年が、街に打ち捨てられていたロボットの少女を拾い、彼女との生活を始めるところからお話はスタート。第1話と書いてあるところからも分かるとおり続き物。いつもながら繊細なタッチが美しい。とくにセピア調な色使いの映えるカラーページがいい。登場人物ではギイチと同じ職場で、彼のことを心配そうに見つめている内気そうな少女が気になるところ。タカハシマコ「ココアシガレット」はシリーズ読切第1回。「1/3」となっているから、たぶん全3回なんだろうなあと思う。安定して綺麗でキュートな絵柄、まとまったお話とソツがない。

 月野定規「おませなプティ♥アンジュ」は、これまでの連載の後日談。麻耶に子供ができてうらやましくなったアンジュが、タイスケを逆レイプ。いつもながら明るく楽しくエロチック。単行本2巻は12月9日発売だけど、この話は収録されるのかな? 上連雀三平「飲尿女神」は、声優さん大好きな少年の願いを女神さまがかなえるという話。コレを読んでみんなも声優に対する間違った知識を仕込もう! SABE「ブルマー小競り合い」は今回後編でいちおう一件落着。まったくもう本当にどうしようもないブルマー野郎どもだ……。なお今月は「阿佐ヶ谷腐れ酢学園」はお休み。作者急病のためらしいですよ。吉田蛇作「楽しい雨降り」。ほのぼのラブラブでいいなあ。この人の健康的な絵柄は好きだー。女の子が細すぎないのがいい。まあ細すぎなのも好きだけどー。巻末のYUG「でりしゃすあどべんちゃーず」は、今回も猛烈にかわいい。

【単行本】「ハイスコア」1巻 アルコ 集英社 新書判 [bk1][Amzn]

 「スターレスブルー」「ラブレター」で、非常に繊細にオトメゴコロを描いた短編を連発し、俺のピュアハートをわしづかみにしたアルコの最新作。今回は同じクラスの千葉くんという男子がすごく好きなキヨコという女の子が、彼に少しでも近づくために、同じ趣味、ボウリングを始めるというお話。このキヨコはかなり天然系なキャラで元気が良くて怪力、千葉くんに何十回となく告白してはそのたびにフラれているという変わった女子。そのわたわた忙しい奮闘ぶり、くるくる変幻自在でコミカルな絵は、見ていてストレートに楽しい。連載が始まってからずっと「アルコはこういうギャグっぽいのもいいけど、もう少しオトメチックなものを描いてほしいなあ」という気持ちは常にあった。でもまとめて読んでみたら、これはこれでいいかなと思った。なんというかこの人の漫画には、人の心を揺さぶる大切な何かがあるような気がした。キヨコの頑張りっぷりが、けっこういい具合にキタのだ。まあセンチメンタルなあたりについては、併録されている「僕の右手、君の左手」で今回は満たすということで……。

【単行本】「青 オールー」1巻 羽生生純 エンターブレイン A5 [bk1][Amzn]

【単行本】「サブリーズ」 羽生生純 エンターブレイン A5 [bk1][Amzn]

【単行本】「強者大劇場」 羽生生純 エンターブレイン A5 [bk1][Amzn]

 羽生生純3連発。

 まず現在連載中の「青 オールー」は、編集者・安対が、今は断筆中の人気漫画家・差能構造に作品を描かせようと単身沖縄に渡るところからスタートする。ところが差能はすでに漫画に対する情熱は失っており、自分は空っぽであると語る。ヤケになった安対は、差能を伴って夜の街に繰り出すが、そのとき起きたトラブルが彼らの人生を変える。連れ込まれたヤクザの事務所で出会った狙撃事件の中で、差能は銃で人を撃ち殺すことに自分の存在意義を見出すようになり、安対もそれに巻き込まれていく……。空虚に蝕まれた男の狂気が読む者を呑み込んでいくようで、圧倒的な存在感がある。お話はまだ途中ながら、弓の弦をギリギリ引き絞っていくような展開から、どんな矢がはなたれどこに突き刺さるのか、すごく楽しみな一作。

 「サブリーズ」は1995年〜1996年の間にコミックビームで連載された作品。太宰的な破滅型の編集長に率いられ、この世の不可思議な出来事のみを扱う新聞「サブリーズ」。最初の展開からして、あり得ない超常現象をメインに扱っていくお話になっていくかと思いきや、お話はサブリーズの製作スタッフである3人、それからサブリーズに資金を提供しているキチガイ夫婦の内面にグリグリと斬り込んでいく。一見派手にスペクタクルなことをしそうでいて、そこには退屈と絶望が満ちあふれている。かなりドスンとくる衝撃を感じる作品だった。

 「強者大劇場」は、以前発売された短編集「強者劇場」に6本の作品を追加したパワーアップバージョン。これはもう素晴らしいなあ。イカれた人々がごく当たり前のごとく登場する短編の数々のインパクトは物凄い。とくに好きなのが「セイギノミカタ」という作品。これは知恵遅れな大金持ちの息子が、正義の味方を志し、父母から金を得て正義の道を邁進するというお話。この息子の思考を追いながら展開される物語は、空恐ろしくもあるし、ラストシーンの解放感も強烈。そのほかの作品もクセがありまくりなものが揃っていてとてもいい。

 こうやってまとめて読むと……というより、どの本読んでも「羽生生純ってすっげえなあ」と圧倒された。3冊ともオススメ。

【単行本】「桃色乳タウン」 ながしま超助 双葉社 B6 [bk1][Amzn]

 自分のHな身体を持て余し気味な奥さんが、Hな妄想のもとに町内会長に立候補し、いろいろな男とヤリまくって町内をまとめていってしまうという非常におめでたいお話。相変わらずこの人の作品は、とんでもないことをやっていながらカラッと明るくて面白い。ながしま超助の作風は、いいかっこしようとか、逆にあえてかっこ悪いことしてみようとか、そういう気負いが全然感じられず臭みがまったくないところが素晴らしい。


11/28(木)……万民トド

▼トップページ生成用に使っていたJGAWKのスクリプトを改良。今度は3日分を掲載できるようにした。これまでずっとやろうやろうと思っていたのだが、やっと手をつけられた。ただこの方法だと、トップページのTABLEサイズがやたらデカくなって表示が遅くなってしまいそうなのが難点ではある。そのうちまたレイアウト変更は考えるかも。

▼OHP月極アンケート11月「ラブストーリー」は、もうそろそろ締切が近いんで投票お済みでない方はお早めにどうぞ。

▼未読物
【単行本】「完全版 野望の王国」4巻 作:雁屋哲+画:由起賢二 日本文芸社 B6 [bk1][Amzn]

【雑誌】モーニング 12/12 No.52 講談社 B5中

 第12回MANGA OPEN優秀賞受賞作の細川幸恵「バド・ガール」が面白かった。平凡な日常に退屈していたOLの中沢ヒロコが、昔の彼氏だった一徳に再会し彼と親しくなろうと、つぶれかけのバドミントンクラブの助っ人をやることに。実は一徳にはそのバドミントンクラブに綾香という彼女がいたのだが、ヒロコは彼女と張り合っていくうちにバドミントンの面白さに目覚め、ダブルスで綾香と絶妙のコンビネーションを発揮していく。まず上品でキレのいい作画が目を惹き、恋のライバル関係(というほどではないけれど)で興味をかきたて、バドミントンのほうも面白く見せていく……という展開はなかなかに巧み。3人の関係、とくにじゃじゃ馬なヒロコとお嬢さまな綾香のコンビは見てて楽しく、読後感は爽やか。58ページの読切だが、これは続きもぜひ読んでみたい。連載向き、というか10話くらいで1巻にまとめてくれるとすごく良さそう。というわけで鋭意制作中であるという続編が掲載されるといいなー。

 あと今回では新田瀕死「セカイカンボツ」、石川雅之「週刊石川雅之」と、巻末のギャグ系なショート二つもけっこう面白かった。モーニングは最近連載で読みごたえのあるものが増えてきているのに加え、こうして読切やシリーズ連載で時折オッと思わせるものを拾ってきてくれるのがうれしい。

【雑誌】ヤングサンデー 12/12 No.52 小学館 B5中

 作:武論尊+画:原秀則「G」がスタート。「G」とは「GOKUDO GIRL」のことを表し、中学を卒業したばかりの少女が、つぶれてしまった極道の組を再建すべく立ち上がるという、コギャル任侠ストーリーといったところ。なんか「カイカン……」とかいいそうですな。これがスタートしたので「レガッタ」のほうはしばらくお休み。北崎拓「なんてっ探偵アイドル」。今回から学園編だけど健康診断とかやってる。やっぱり最近サービスシーンを強化しているような。

【雑誌】ヤングジャンプ 12/12 No.52 集英社 B5中

 高橋ツトム「ブルー・ヘヴン」はクライマックスかな。わりと短くまとまるのかも。あと高橋ツトム作品では、「スカイハイ」が連続ドラマ化決定。テレビ朝日系で2003年1月17日23時15分から全10回放送。主演は釈由美子だそうな。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 12/12 No.53 秋田書店 B5平

 八神健「ななか6/17」は、ななか&稔ニが傷心旅行。それを見過ごしてはおけなかった雨宮さんが、二人を追跡……という状況。悪意はないけれども、「イヤな女の子」になる道を選択せざるを得ない雨宮さんの姿がすごく切ないなあ。あと17歳ななかは思いきった行動に。うーん、次号が気になる。馬場民雄「虹色ラーメン」。麺打ちの決め手はしなやかな身のこなしにあり! ということで太陽はバレエの修行中。今回の見どころはなんといっても扉ページ。すごい図案だ……。馬場民雄はときどきすごい狙ったことやってきて面白い。

【雑誌】フラワーズ 1月号 小学館 B5平

 西炯子「スパーキン・ベイビーズ」シリーズ。とある田舎の高校の、演劇部員の少女たちそれぞれの姿を描いていくこのシリーズも今回で最終回。最後は親の都合で東京へ越していくことになったそのうちの一人のエピソードを中心に、楽しげに、かつちょっとおセンチにお話を展開。作画もきれいだったし、締めくくりも暖かい良作でありました。

【雑誌】コーラス 1月号 集英社 B5平

 よしまさこ「うてなの結婚」。今回は女教師をやってる長女・あのんと、彼女の教え子・カイトのラブストーリー。学校ではモテモテなあのんだけれども、その実、特定な相手はいないままだったのだが、カイトの登場で様相はガラリと変わる。自分の教え子と付き合うかどうかで揺れるあのん、ということで今後はいろいろありそう。よしまさこはドタバタもシリアスも面白いなあ。

【雑誌】メロディ 1月号 白泉社 B5平

 勝田文「あのこにもらった音楽」が今回もいい。クリスマスに向かう日々の、ちょっと寄り道あり、でも全体的にはほのぼのした物語。軽やかな作画によるゆるゆるとした雰囲気がなんとも心地よい。魔夜峰央「パタリロ西遊記!」は相変わらず面白い。軽妙なギャグの連発と揺るぎない絵柄はまさに名人芸という感じ。

【雑誌】阿ウン 1月号 ヒット出版社 B5平

 今月号はかなり充実していたと思う。華やかな美少女絵、かつ実用性も高い作品が巻頭からぽんぽんぽんと連続。各面々もちょうど脂が乗ってていい感じ。

 まずは幸田朋弘「Petit-ろいど3」が巻頭。3人のロボット娘に囲まれた平凡な男子が、彼女たちにごほうびをねだられヘロヘロになっていくというお話。ロリっ子な3人娘はそれぞれかわいく、彼女たちがきゃいきゃい動くさまは見てて微笑ましい。エロ方面に来てからの幸田朋弘は、非常にのびのびやってていいと思う。師走の翁「ヨシモト!」は、ひさびさにシャイ娘。以外のお話。とある男子の家庭教師に来ていたセンセイと、その生徒の妹さんにHなことをいろいろ仕掛けるというお話。相変わらず瑞々しく可愛らしいし、エロシーンも充実している。

 魔訶不思議「レンタガール」。この人の作品は最近たいへんエロい。ちんちんの修正が甘くなっている昨今、その描写が非常に冴えている。柔らかい描線によるねちっこいエロ描写がいいねえ。ちなみにお話のほうは、妹が欲しいと強く願っていた少年の元に、テレビの画面から妹が現れるも顔が姉貴とそっくりで……というモノ。妹なのに姉であるというあたりがミソ。ちなみにヒロインはめがねっ娘で三つ編み。わたんかづなり「3年×組金髪先生」は、下着姿で授業してそれをエサに問題児を矯正させようと体当たり授業をしていた女教師が……という感じのお話。感じ方とかが非常に派手でストレートにエロい。そのほか水無月皐月「駅前留学MOVA」、牧部かたる「パーティー★タイム」、ジャム王子「BAD SLAMMERS」、高岡基史「まゆマテリアル」なんかも手堅くエロくてボリューム感がある。そして最後はますだ直紀「LADYリンクス」で口直し。

【単行本】「AFTER S」 天竺浪人 シュベール出版 A5 [Amzn]

 天竺浪人が挑んだ夢の女教師モノ。ここで描かれるシズカ先生は、普段はカタブツ、全体的な雰囲気も非常に地味、だけど放課後は複数の生徒グループたちによってさんざんに奴隷調教されているHな女教師だ。最初は抵抗を見せる彼女だが、生徒たちの激しい責めにじょじょに理性は崩れ、快楽を受け容れていき、楽しむような素振りさえ見せていくようになる。そんな姿に生徒たちも夢中。シズカ先生に惚れる生徒、遊びで肉便器として扱う生徒……といった具合に、肉欲の宴はみんなを呑み込んでいく。でも授業時はまったく乱れることなく、キッチリ厳しい女教師ぶりを発揮。なかなか強いシズカ先生なのであった。

 というわけで、全編これシズカ先生の痴態を描き続ける本作。これはもう、天竺浪人の「こんな女教師がいてほしい」という欲望が、ストレートに爆発しているといえる。この手の女教師輪姦モノって、けっこう「授業中にもやっちゃってタイヘンなことに……」みたいなふうに展開していくことが多いのだが、それをあえてしないところにこだわりを感じる。それをやってしまったらただの変態女。あくまで授業中は凜々しく、女教師としての顔を保っていてこそ、女教師を凌辱することへの欲求が満足されるということで。流されるまま、あくまで受け身なようでいて、その中でふてぶてしさを見せていくシズカ先生の丈夫差、あと彼女と生徒たちのやりとりがなかなか楽しかったりもする。エロシーンも濃厚。天竺浪人は絶対フェラチオスキーだなと思う。個人的にはかなり楽しめる女教師エンターテインメントだった。

 ところでAmazon.co.jp。「天竺浪女」とはどういう誤植だ……。


11/27(水)……はっけよい、このうた

【雑誌】スーパージャンプ 12/11 No.24 集英社 B5中

 徳弘正也「狂四郎2020」。これからの展開でキーになりそうな人物が出てきて、ゲノムの中核に向けてまた一歩。シリアスなことをやりつつも、ギャグは忘れないし、そこらへんのバランスの取り方は堂に入っている。平松伸二「マーダーライセンス牙&ブラックエンジェルス」は、最近は北のアノ国がらみのお話になってて、平松先生らしいものすごい大胆発言がいつ出るかいつ出るかという感じ。小谷憲一「DESIRE」。今回も頭がトロけそう〜。主人公の藤井がアメリカのビデオ製作会社による、日本向けボルノビデオの男優としてスカウトされる。そしてその会社の日系の女社長とまあいつものように……という感じなんだけど、かなり強引な和風ファックぶりに笑った。このストレートさはむしろアメリカンなような。

【雑誌】週刊少年マガジン 12/11 No.52 講談社 B5平

 森川ジョージ「はじめの一歩」。やっぱり面白い。一つ一つのパンチが激しく痛そう。描写に迫力があっていちいち説得力がある。激しくぶん殴りまくりで痛快。

【雑誌】週刊少年サンデー 12/11 No.52 小学館 B5平

 こちらでもボクシング漫画、あだち充「KATSU!」がだんだん面白くなってきている感じ。最近、他誌でも野部利雄「モナコの空へ」(ヤングジャンプ)、日高建男「満腹ボクサー徳川」(コミックバンチ)、守村大「パラダイス」(ヤングサンデー)、新井英樹「シュガー」(アッパーズ)、車田正美「リングにかけろ2」(スーパージャンプ)と、ボクシング漫画がなぜか増加傾向にある。作:坂田信弘+画:万乗大智「DANDOH Xi!!」。最近エバによるサービスがすごい。今回はパンチラありはだしあり。このキャラを出してきたのは、男装しているラミアではパンチラしようがないからかもしれないなあ。ていうかたぶんそうだ(決め付け)。

【雑誌】リトルピアス 1月号 東京三世社 A5中

 東京三世社がミニモンに続いてロリ系のA5中とじ雑誌を創刊。発売日は偶数月の28日。最近では児ポ法とかいろいろありそうなんだけど、そういうギリギリのゾーンだけにかえって元気いいなーとか思ってしまった。

 まず一番の目当てはいつもながらにほしのふうた「巣穴」。生物学者の父親にくっついてきて、奇妙な生態系のある島にくっついてきた女の子が出会った不思議でHなできごと……という感じのお話。水着姿で元気良く遊び回っている姿がなんとも微笑ましくていいねえ。ほりほねさいぞう「Betsy Robbin」は、「TV OZ」シリーズの最終回。オズの魔法使いのTVドラマをやっている少女たちのHなお話。こちらは肉体改造系のネタはないので、グロいのは苦手という人でもほりほねさいぞうの絵のキュートさが楽しめるんではないかと。興津惣介「なかよし」。わりと無邪気な感じのロリ絵がなかなかかわいい。

【執筆陣】松原香織、奏亜希子、ほりほねさいぞう、興津惣介、ほしのふうた、みみずしき、たまちゆき、MANA-KO、万利休、となみむか、みこと

【単行本】「嬲 〜なぶりっこ〜」FraKctured Red/Black しろみかずひさ 富士美出版 A5 [Amzn:Red/Black

 ……これは凄いなあ。物語は、麻理果という一人の女性を、彼女を十年以上にもわたって手塩にかけて飼育し続けてきた兄の、麻理果を競売で見初めて人生唯一のメス奴隷とすることを誓った男・清彦の3人の姿を描いていくことで進行する。清彦は麻理果に奴隷契約をさせるも、兄のことが心に引っかかっている彼女を見て一つのアイデアを出す。清彦と兄でかわるがわる麻理果を調教し、その中で麻理果自身に主人を選ばせようというのだ。そして彼らの愛と肉の物語が始まる。

 作品内での描写はたいへんに激しい。麻理果は狂おしく雄のチンポを求め、二人の主人は彼女にザー汁を大量に注ぎ続ける。そして回を重ねるごとにテンションは上がり続ける中、あるとき転機が訪れ、それとともに三人の関係は変化していく。その中で描かれていく麻理果という女性の魔性にはゾクリとさせられるものがあるし、そんな麻理果に試されることによって二人の男の「愛」がその形をくっきりと表していく。そして愛と欲望が極限にまで膨れ上がり、テンションが高まったまま終わるラストには、正直なところ感動してしまった。雑誌で読んでいたときは1か月おきだったため、調教がエスカレートしていく様子を一気に味わうことができなかったが、単行本でまとめて読むと調教の進行具合や三人の関係の変化などもよく分かり、その真価が初めて分かったような気がした。これは研ぎ澄まされた、ピュアな愛の物語だ。飽くことなく相手を求め貪り続ける中でしかたどり着けない愛の姿を描いた物語だ。

 しろみかずひさという人は、たいへんなロマンチストだと思う。そしてこの作品も、ファックシーンは激しいけれども、とてもロマンチックな作品だった。ヌケるエロ漫画、萌えるエロ漫画はよくあるけれども、エロス表現を突き詰めたその先で感動できるエロ漫画はなかなかない。久々にそういう漫画に出会ったような気がした。

【単行本】「よいこの唄」1巻 竹下堅次朗 コアマガジン A5 [Amzn]

 ヤングサンデー連載の「カケル」などで活躍していた竹下堅次朗が、ガチンコのロリータエロ漫画を描き始めたということで、この連載が始まったときはかなり驚いた。確か自分でエロ漫画を描き始めたのは、自分で希望して企画を持ち込んだはずだったと記憶している。このお話は成績優秀でクラスの人気者な女の子・香坂理香さんが、同じクラスの暗い影を宿した少年・徳永誠くんによって、Hなことを仕込まれていくという物語。その中で二人の間には、幼いながらも愛情が芽生えていき……といった具合。キャラクターは、もうバリバリ小学生。表紙でもバッチリランドセルを背負っている。そんな感じではあるのだが、安易に小学生を使っているわけではなさそうなところには好感を持った。竹下堅次朗は本当に少女が好きそうだ。そして自分の描いているキャラクターにもちゃんと愛情を持っている。真摯に子供の性を描き、しかもエンターテインメントとしても成立させているあたり、立派だなあと思う。とかいうとしかつめらしい感じになってしまうが、香坂さんを始め、女の子たちは非常に可愛く描けてます。1巻となっており、本人は続ける気はあるそうだけど、今忙しそうだししばらく無理そうなのが残念。

【単行本】「一騎当千」5巻 塩崎雄二 ワニブックス A5 [bk1][Amzn]

 パンツ。そして格闘。さらに三国志。見せすぎなくらいパンツを見せ、そして激しく闘う。なんというか快楽原則一直線な作品。孫策や呂蒙や陳宮などなどが美少女で、しかもパンツを見せまくって闘うという世界観にはもう慣れたといえば慣れたんだけど、それでも見るたびに凄い異世界を覗いたような気分になる。塩崎雄二はやはり女の子を描いてこそだなあと思う。


11/26(火)……電動マン

ガロの書店売りがなくなり、オンデマンド出版のみになるとのこと。ガロはこれまでもオンラインで定期購読サービスとか提供してたけど、こういうふうに発行形態がコロコロ変わるから申し込みできなかったんだよなー。ガロが書店からなくなることについては寂しいという気持ちはあるものの、実際売ってる書店のほうが珍しい状態だったし、買ってる人も相当少なかっただろうから、頼めば確実に入手できるこっちのほうがひょっとしたらいいのかもしれない。今後の発行スケジュールについてはコミックパークのメルマガでおしらせが送られてくるとのこと。とりあえずメルマガには登録しておいた。

▼まあガロはこういうことになったけど、たぶん今どきの漫画誌、とくに月刊誌なんかはどこも売れてないことに変わりはないと思う。それを考えるとこれからは少部数出版でいかに食っていくかが勝負になるとは思っていた。なんにせよ、ガロはより同人誌に近い発行形態になった。今後これに続くところがあるかは気になるところ。例えば作家10人編集者3人を抱えて200ページくらいの雑誌を毎月作ってそのたびに赤字を発生させていくのと、作家5人編集者1人で100ページくらいの本を確実に売れる部数だけ刷ってほそぼそと赤字にならない程度でやっていくのとどちらがいいか。これからのマイナー漫画雑誌は、そういうことに直面していかざるを得ないだろう。でも編集者としては「書店で売る」ということにこだわりはあるから、思いきるのはなかなか難しいとは思うけれども。

▼親御さんにパソコンを与えるべく、アキバでキーボードとマウスを購入。合計で900円なり。安いなあ。まあ実際、中身も安っぽいけど。

▼早売り(27日)
【雑誌】リトルピアス 1月号 東京三世社 A5中
▼早売り(28日)
【雑誌】阿ウン 1月号 ヒット出版社 B5平
【単行本】「AFTER S」 天竺浪人 シュベール出版 A5

【雑誌】ヤングマガジン 12/24増刊 スポ僧 No.1 講談社 B5中

 ヤンマガGTに続いて、今度はスポーツモノの増刊号がシリーズ化。次号予告では2号が来年3月ごろ発売とある。

 今回の掲載作品の中では、八坂考訓「バックスロー伝説」(原案:中村素至「もうひとつのフィールド・オブ・ドリームス」)がとくに面白いと思った。この作品は、昭和30年代末から昭和40年代半ばにかけて活躍した、中日ドラゴンズの小川健太郎を描いた実録モノの作品。小川健太郎といえば、プロ野球好きなら一度は聞いたことがあるだろう、王貞治に伝説的なピッチングをした投手だ。彼の飄々とした野球人生を描いたドラマは、味があって面白かった。八坂考訓の作画もストーリーに合っていたと思う。それにしてもやっぱりアンダースローって好きだなあ。惚れる。このほかの作品も、まあ全般的にそれなりのレベルかな。スポーツ漫画は伝統あるジャンルだけに、さすがにそんなにハズシはなさそう。

【執筆陣】射手前三郎+ター、中村素至+八坂考訓、かわぐちかいじ、古谷実、田中宏、CLAMP、島村敏之、守屋直樹、望月峯太郎、小田原ドラゴン、風間やんわり、チャーリー★正+木山道明、氏家卜全、中山ラマダ、三田紀房

【雑誌】少年エース 1月号 角川書店 B5平

 まずは山名沢湖が初登場しているのが注目。「ホシスミレ」は、やたらヲトメチックな女学校で巻き起こるメルヘンチックかつおかしな出来事を描いたドタバタコメディ。少年エースに合わせてか、ギャグを微妙に派手めにしているような感じで、軽やかに楽しい。コレをとっかかりにして定着してくれるとうれしい、ので同じように思う人はアンケートでも出そう。それから今回は、樋口彰彦の読切「恋するエレクトロン」もなかなか。人の心を読めるために周囲から忌み嫌われている孤独な少女と、今はもう打ち捨てられたロボットの触れ合いを描いた作品。柔らかい描線がなかなかに気持ち良い。暖かいけど切ないお話なんです。

 吉崎観音「ケロロ軍曹」は、なるほどついに……という展開。新キャラも登場して楽しいですな。西川魯介「なつめヴルダラーク!」。どんなときにでも眼鏡にこだわるその姿勢たるや立派! 色眼鏡についてはどうかという話もあるかもしれないけれども。竹内元紀「Dr.リアンが診てあげる」は2話掲載。下らないけど下品なお話なんです。

 で、次号には貞本義行「新世紀エヴァンゲリオン」が掲載。なんか「重大情報も!?」とか書いてあるけどもしかして……アニメ化!?(もうしてます)

【雑誌】ガンダムエース 1月号 No.008 角川書店 B5平

 単行本の感想のほうでも書くけど安彦ガンダムはやっぱり面白い。それから今回は、トニーたけざきの安彦ガンダムパロ「機動戦士ガンダム 弾幕の午後 〜ブライトの憂鬱〜」が面白かった。本家安彦のタッチをしっかりマネしたうえでこれだけやるってのは凄い。そういえば安彦良和はこの雑誌で毎回いろいろな人と対談してるけど、トニーたけざきと対談したらいったいなんというのだろうか。ちょっと読んでみたい。

【雑誌】BJ魂 1/1 No.10 集英社 B5中

 甲斐谷忍「太平天国演義」が再開。今回はこれまでの出来事が、2話でダイジェスト的にまとめられている。今後本格化していくのが楽しみ。中国モノでいえば、作:北方謙三+画:井上紀良「水滸伝」もけっこう面白い。ここ数年はなんとなく微妙な存在になっていた感のある井上紀良だけど、「水滸伝」という物語にはかなり合っていると思う。なかなかいい題材に巡り合えたんじゃなかろうか。

 そして今号の注目は、なんといっても桑澤篤夫「占い刑事」だ! これがもう桑澤イズムバリバリで、正直かなり笑った。主人公はタイトルどおり占いを得意とする刑事。その刑事が殺人事件の捜査会議で容疑者の顔写真を見比べながら、人相占いの知識を披露しだす。やがてお話は、人相からその人の性器の具合を占う方法へと突入! そして会議が終わったら、そこにいた男性警察官でみんなでソープにくり出し占いを実践で検証。「占いの力って本当に凄い! 最高だ!!」「いやっはっはっはっはっ これで事件はきっと解決する!!」ときて、その直後の2コマで本当に事件は解決してしまいました……。衝撃。でもこの漫画、ちょっとウソがあるね。「八の字眉毛はペニスが長い」とかいってるけど、俺長くなんかないぞ。

【雑誌】ヤングチャンピオン 12/10 No.24 秋田書店 B5中

 最近全体に薄味かなあと思う。葉月京「恋愛ジャンキー」は、絵夢、ミホ、エイタローの三角関係が過熱して盛り上がっているけれども。あと作:高見広春+画:田口雅之「バトル・ロワイアル」は安定して濃い。とはいえこの2作とかは安定どころなんで、イキのいい作品がなんか新しく出てきてほしいところではある。

【雑誌】漫画アクション 12/10 No.50 双葉社 B5中

 山崎さやか「東京家族」、柳沢きみお「翔んだカップル21」と、家族モノ二つがどちらも面白い。とくに今号は「翔んだカップル21」かな。杉村母の背負ってきた事情が語られ、家族の絆が強化。漫画の2モノはあんまりうまく行かないものが多いけど、この作品はいい感じに来ていると思う。元の「翔んだカップル」の人たちがこうなったんだなあとか考えると、年輪を感じたりもする。榎本ナリコ「力の在り処」。徐々に良くなって来ているような。そういえばこの作品でもうらぶれたサラリーマンである父と、女子高生の娘の触れ合いが描かれている。

【雑誌】漫画サンデー 12/10 No.48 実業之日本社 B5中

 これまであんまり注目してなかったが、作:末田雄一郎+画:川崎三枝子「蜜華 〜男コロガシ麗子〜」ってもしかしてけっこうヘンな漫画なのかな。劇画調のタッチでセックス勝負みたいなことをしてて、「1秒3往復1分180往復の高速ピストンだ!」とかいってるんだけど……。

【雑誌】LaLa 1月号 白泉社 B5平

 津田雅美「彼氏彼女の事情」。今回はすべてをさらけ出した有馬が、かつての自分を振り返るというエピソード。しみじみと人の情が感じられるいいお話。緑川ゆきの読切「ひび、深く」も良かった。父母の不仲により離れ離れになった兄と妹が、8年ぶりに親が復縁したことで再会。当初は喜び合うも、二人はお互いに異性を見てしまい思い悩む。お互いを思いやる心が美しく、幕切れは切ない。

【雑誌】キカスマ vol.10 松文館 B5平

 ちょっと前に出てたはずなんだけど、そういえば買い忘れていた。たちばなとしひろ「お部屋へようこそ!」が掲載。この人の描くラブラブ風味の濃密な作品は、最近かなり好き。今回は彼女が落としたコンタクトレンズを探しているうちに、彼氏が眼鏡をかけたその姿に新鮮な刺激を感じて欲情してしまう……というお話。幸せそうでたいへんよろしい。中村みずも「IDOL」は、平凡な男子が、アイドルになってしまったかつての彼女であるいとこの少女の想い出に耽るというお話。鉛筆描きタッチは相変わらずきれいで、お話は甘酸っぱく、ちょっとほろ苦い。

【単行本】「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」3巻 安彦良和 角川書店 B6 [bk1][Amzn]

 いや〜、ガンダムって面白いなあ、と改めて思った。ORIGINのほうでは、アニメ版のイメージをまったく崩すことなくディティールも申し分なく細かくなっていていい。とくにそれぞれのキャラクターの人間性ってものが、すごくよく出ていると思う。この巻はガルマ編だが、ガルマとアムロというお坊ちゃん二人の対比が、アニメ版よりも際立っている。アムロには父親でさえやらなかった殴打行為をしてくれるブライトがいたけど、ガルマは友達と思っていたシャアにさえ腹の底では馬鹿にされキシリアには試され実は孤独。ガルマとイセリナのラブシーンと、アムロがマチルダに初めて出会うシーンなんかも対照的といえるかもしれない。そのほかではシャアが本当に悪者くさいなとか、民間人のエピソードがしっかり描かれているのが戦争というものを実感させてくれるな、とか。


11/25(月)……Hit me!

10/25の日記でりんご味炭酸飲料のことを書いたが、今日ヤマザキデイリーストアに行ったら新製品が出ていたのでさっそく購入。TropicanaのWinter Style Sprklingという製品。名前から分かるとおり、この製品も冬季限定。ファンタのゴールデンアップルは無果汁だったが、これはいちおうりんごを原材料として使っている模様。味はやはり好きだが、微炭酸なのはイマイチ。りんご味の場合は炭酸がもっとビシバシ効いているもののほうが望ましい。それにしても500mlって多いよな……。30過ぎるとこの量はちとキツい。最近はビールも、夜に軽く飲むくらいなら250ml缶がちょうど良いかなと思うようになってきた。

【雑誌】アフタヌーン 1月号 講談社 B5平

 今号はわりと面白いな。読切がバラエティに富んでいるし、連載陣もぽつぽつと雑誌で読んで面白い作品が増えてきた。

 まずは読切から。とよ田みのる「ラブロマ」。これはかなり良い。2002年6月号に掲載された同タイトルの作品の後日談で(そのときの感想は(4/25の日記参照)、単刀直入すぎる告白をした星野くんと、彼とつき合うことになった根岸さんの微笑ましい恋愛模様を描いていくという作品。絵はたいへんシンプルながら親しみやすいし、何よりお互いの、「好き」という気持ちにまっすぐ向かい合っていく様子がきちんと描かれている点に好感が持てる。最近の恋愛漫画、それから伝聞による若者的恋愛事情(実際は知らないけど)のスピードの速さからすると、こういう一歩一歩進んでいく感じは読んでいてすごく気持ちがいい。変にスカしたり、奇策を用いたりしないのも良い。作者本人のWebでも、18〜64ページのけっこう長い作品が読めるので、興味を持った人はちょっとアクセスしてみるといいと思う。

 番次郎士「POWER!!」もユーモラスな作品でけっこう面白かった。超怪力、だけど蝶を病的に恐れる男が巻き起こす騒動を描いた作品。最初はなんかゴツい武闘派な作品なのかなと思ったが、そこからの展開がなかなか軽妙。サガノヘルマー「BLACK ORGAN」は、とある少年の中に、未知の未来人が住みつく……みたいな感じで、わりと「BLACK BRAIN」に似た感じの雰囲気。読切よりもむしろ連載向きかも。あの毒気が染みとおるにはちとボリュームが不足しているように思う。あと冬目景がカラー4Pの「ACONY」という作品を描いている。

 連載のほう。木尾士目「げんしけん」は、げんしけんが休会の危機にさらされるが……というエピソード。いかにも大学っぽいのんべんだらりとした空気が心地いい。部室のあるサークルってのは羨ましいなあ。あさりよしとお「るくるく」は新キャラ登場。幼なじみな大家の娘〜ということで。この人にしてはかなりストレートに萌え漫画ですなあ。鬼頭莫宏「なるたる」は、前回のショッキングなできごとの後、また思わぬ展開に。うーん、今後どうなっちゃうんだろう。引き込まれる。あと今回の五十嵐大介「リトル・フォレスト」に出てきた「ひっつみ」という食品って、もしかしてすいとんと同じものかなーとか思って検索をかけたら、やっぱり同じモノであった模様。こんなふうにして作るそうです。個人的にはさほど好きではないが……。

【雑誌】近代麻雀ゴールド 1月号 竹書房 B5中

 せきやてつじ「おうどうもん」は、毒蛇と呼ばれる男と主人公ケンタの大勝負が始まる。今回も緊張感があって面白い。せきやてつじの迫力ある描写、ハッタリ力が存分に生きている。とみさわ千夏「不思議なピーチ牌」。中身は全然ないんだけど思わず笑ってしまった。外人娘がツキを呼び込むために、セクシーな踊りをしながらマージャンをやるという大変脳天気な漫画で、扉のアオリ文句からして「ファイト一発 エロ連発 ちなみに私は乳バクハーツッ!! YEAH♥」だもんなあ。頭軽すぎる。そんでもって今回は、やたら邪悪な表情の黒魔術を操る女が相手役で、こちらもまた強烈。外人映画女優に関する知識がないのでモデルとなっていそうな人は知らないんだけど、アクションがいちいちおかしくて、全体的に物凄くシュールでしょうもなさすぎる。この場合のエロは、デスエロスとは若干違うような気がする。いちおうエロが生きてるから。ヘンな方向にだけど。

【雑誌】ヤングキング 12/16 No.24 少年画報社 B5中

 花見沢Q太郎「ももいろさんご」。ははは、花で隠してるよ。こういうしょーもないことを、いけしゃあしゃあとやっちゃってそれが面白くなるあたり、得な作風ですなあ。大石まさる「りんりんDIY」。今回はちょっと切ない展開、とか思っていたら最終章に突入なんだそうな。春じゃなくてこの時期に中学3年生にしちゃうあたり、大石まさるは独自時間の中を突っ走ってるなと思う。

【雑誌】ビッグコミック 12/10 No.23 小学館 B5中

 なかいま強「黄金のラフ〜草太のスタンス〜」は毎回きっちり面白い。今回から草太たち、というか草太は新たな戦いの場に移ることになったけど、こちらでも道は険しいようで。

【雑誌】ヤングマガジン 12/9 No.52 講談社 B5中

 最近けっこう良くなってるなーと思っていた、宮下英樹「ヤマト猛る!」は巻頭カラー。主人公といつも一緒にいる霞ちゃんが今回はやけに子供っぽい感じに見えた。高橋権吾「マスク・クラブ」は第47回ちばてつや賞で大賞を受賞した作品。都会のとある一室で、お互い顔を見せることなくマスクをつけて集い、いろいろなことを話しあうという会員制クラブの裏側にある人間模様を描いていくというお話。ツカミの部分とかはなかなか面白げだし、破綻なくきれいにまとまっている。ただ最後のあたりは意外とアッサリしているので、もう一歩押しが欲しいという気はした。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 12/9 No.52 小学館 B5中

 三宅乱丈「PET」おもしれー。得体はしれないんだけど、多少分からなくても読者を物語に引き込んで来るパワーはある。浦沢直樹「20世紀少年」は相変わらずすごいなと思う。肝腎な部分は隠蔽したまま引っ張りに引っ張るんだけど、それでも飽きさせないだけのモノはある。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 12/9 No.52 集英社 B5平

 許斐剛「テニスの王子様」。なんか青学の面々でボーリング編。楽しそうではある。あと今回はキャラクター人気投票の結果発表も。こういうのを必ずやるところは、ジャンプだよなーと思う。河下水希「いちご100%」は急展開だけど……もしかして新キャラの予感? 南ですか?

【雑誌】コミックピンキィ 1月号 オークラ出版 B5中

 だいぶロリ系が多くなっているな〜という印象。Gody「YES!ぷろぶれむ」は、ヌルめな学園ラブコメ風味がけっこう良さげ。琴の若子「ふしぎマイ・メイド」は、不思議なしびんからメイドさんが現れて何くれとなく世話を焼いてくれるというおしかけ女房モノ的なお話。この人の明るく滑らかな絵柄はやっぱ好きで、エロシーンもわりとヒットする。幼百合マリベ「逃太郎侍」。けっこうユニークな作品。幼女好きな放浪の侍が、巻起こる騒動をヨソにずっと小娘とやりまくっているという漫画。明るく元気な作風がけっこう面白いし、幼女たちの表情もなんか楽しそう。舞登志郎「俺は男だ!」。これまでは妹モノが多かった舞登志郎だけど、これはスッカリ弟モノですなあ。当然ちょいとショタっぽい。それにしても「メジャーデビューへの道」は……。ダーティ・松本のエロ漫画家一代記「エロ魂!」は相変わらず強烈。なぜかダーティ・松本と編集者が空き地でチャンバラやってるし。すっごいノリにいつも圧倒される。


11/24(日)……早熟児が充足時に塾掃除

▼そういえば最近パソコン雑誌でやたら年賀状特集を見るけど、モデラを使って超精密な芋判を作るとかいうのはできないもんだろうかとかちょっと思った。

▼うきょー。なんか家に帰ったら本がいっぱい届いてるー。

▼未読物
【単行本】「無限の住人」13巻 沙村広明 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「てんでフリーズ!」2巻 ISUTOSHI 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「新しい変態(激アツ目2003)」 尾崎弘 白夜書房 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「私がいてもいなくても」3巻 いくえみ綾 集英社 新書判 [bk1][Amzn]
【単行本】「ハイスコア」1巻 アルコ 集英社 新書判 [bk1][Amzn]
【単行本】「青 オールー」1巻 羽生生純 エンターブレイン A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「サブリーズ」 羽生生純 エンターブレイン A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「強者大劇場」 羽生生純 エンターブレイン A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「一騎当千」5巻 塩崎雄二 ワニブックス A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」3巻 安彦良和 角川書店 B6 [bk1][Amzn]

【単行本】「恋風」2巻 吉田基已 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 この巻も初恋風味が非常に濃密だー。親の都合で離れ離れになっていた歳の離れた兄妹が思わぬ形で再会し、同じ家で暮らすことになった……というとなんかいかにもどこにでもあるっぽい作品に聞こえちゃうんだけど、丁寧な作画と細やかな心理描写のおかげで、そんじょそこらの安めな妹モノとは一線を画す作品となっちゃっている。もちろん妹は凶悪にかわいい。描写がおくゆかしげなだけに、かえってドギマギしてしまう。あと「妹に恋してはいけない」と思っているお兄ちゃんの逃げ道を、じわじわじわじわふさいでいっているのがニクい。毎回、読者の予想するラインをちょっとずつちょっとずつ踏み越えてくるんだよね、この作品は。あとこの巻ではおまけ漫画がこれまたたいへんなことに。間違いなく作者は狙ってやっているんだろうけど、コントロール抜群です。

【単行本】「喰いタン」1巻 寺沢大介 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 いやー、これ最初はマジなんだかよく分からなかったけどすごく面白いよ! 大マジでふざけてるんだと思います。主人公は一見颯爽とした青年に見えるけど、とにかく大食いで食い意地の権化的存在である探偵・高野聖也。殺人現場に残された食い物でさえ、平気で食い散らかしてしまうような男である。かなり人格的にはムチャクチャなのだが、起こる事件も一見マトモそうに見えてなんだかすごい。大食漢である高野でなければ解けないような事件が、なんだか物凄い確率で起きる。たぶん地道に物的証拠を集めていけばいずれの事件も解けてしまうのだろうけれども、まあそれは置いといて。食のウンチクを基準にいつの間にか事件が解決しちゃう、独特のノリに何やら狐につままれたような感じになりながら、高野の言動が不意にツボに入って思わず爆笑してしまう。

 実はハチャメチャな話ではあるのに、それが非常に面白く読めてしまうのは、テンポが抜群に良く描写の一つ一つがとても分かりやすいからだと思う。こういう明快さは、やっぱり週刊少年誌で長年看板を張っていただけのことはあるなあと思う。月刊でやっているせいもあってかネタも毎回練り込まれているし、うまいこと馬鹿馬鹿しさを演出している。なんかすごく感心した。

【単行本】「犬神」14巻 外薗昌也 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 ついに最終巻。犬神という存在をキーにして人間という存在を照らした物語はスケールが大きかったし、個人的にはかなり面白く読んだ。ラストへと至る展開は、「なぜそうなったのか」という点の追求は若干弱かったものの、「なるほどこうなったのね」という点では納得がいった。最近のアフタヌーン掲載作品の中では珍しく、絵やスタイルで見せるというよりは、物語を読み込ませていくというタイプの作品だった。こういう雑誌読みでもちゃんと読んでいけるタイプの作品が、今のアフタヌーンにはもう何本か必要であるような気はする。

【単行本】「THE END」4巻 真鍋昌平 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 これで最終巻。要約すると特殊なDNAの持ち主である男女たちが、主人公シバシロウの元へと集い襲いかかってくる敵に対して逃亡しつつつ抵抗を続けていくというストーリー。正直にいうと、お話のほうは途中まで何が起こっているんだかよく分からなかった。いや、もちろん目の前で展開されていることが理解できないわけじゃない。迫力のある作画や描写は説得力があったし、ゴツゴツとアクの強いキャラ造形、乾いた風景描写なんかもカッコイイ。でも全体として今主人公がどこにいるのか、そして物語がどこへ向かっていくのかという点についてはかなりつかみづらかった。登場人物もシバシロウと、彼が最初に出会った謎めいた女性ルーシー以外は若干印象が薄かったような。物語のスタート時のインパクトは凄かったし、最後のほうで全体の構造が明らかになり仲間たちの絆が描かれていく様子は心に響くものもあったけど、中盤のヒキが足らなかったような気がするのが惜しまれるところ。

【単行本】「恋愛ジャンキー」9巻 葉月京 秋田書店 B6 [bk1][Amzn]

 女子高生の絵夢とつき合い続けているエイタローだけど、かつてフラれたこともあるミホと急接近。絵夢のことが好きな男子高校生なんかも出てきて多少関係がギクシャクしていただけに、三角関係のバランスはかなり拮抗状態。ここにさらに地井さんもいるわけだからさあたいへん。華やかな作画によるHなサービスシーンが目立つ作品ではあるが、何気にラブストーリーとしてもちゃんとお話を動かしているような。

【単行本】「ふたつのスピカ」3巻 柳沼行 メディアファクトリー B6 [bk1][Amzn]

 この巻も丁寧に描かれているなあという印象。宇宙へ行くことを目指す物語系の漫画というと、これまで「まっすぐな情熱」もしくは「深甚な思索」みたいな作風が多かったような気がするけど、この作品はそれとはまた違った、垢抜けない健気さがあって読んでいて非常に気持ちがいい。小さな女の子の小さな気持ちを、大事に描いていて好感が持てる。とはいえ個人的には、今回併録されている読切「アスミの桜」のころの読切シリーズのほうが、描写が細部まで細やかで情景が強く印象に残っている感はある。

【単行本】「ネコの王」3巻 小野敏洋 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 今回はシリアスな展開多し。西海龍王という妖怪の復活に、ネコの王である修の姉に対する想いをからめてストーリーを進めている。それだけに今回はブルマーだのスク水だのはないけど、読ませはする。今後はけっこうシリアスな展開が増えてくるのかもしれないな〜。それっぽい伏線も張ってあるし。

【単行本】「早熟児」 海明寺裕 久保書店 A5 [Amzn]

 今回の単行本は「早熟児」をはじめとして、子供が大人の女性を肉奴隷化するというタイプのお話が多めで、なんか久々に海明寺裕が直接的なセックスシーンを描いているのを見たような気がする。とはいえやっているとはいっても、ここで主眼に置かれているのは「肉の悦楽」よりも、むしろ「精神的な屈服」のほうがメインであるように思われる。でも何気に各作品の結末は殺伐とはしてない。幸せそうでさえあるのは一つ特徴といっていいだろう。

 あとこの単行本でもう一つ目立つのが、海明寺裕が一時期よく描いていた「全裸スポーツ」モノとでもいうべきシリーズ。まあ実際には全裸ではなかったりすることもあるんだけど、ほぼ全裸、場合によっては全裸よりも恥ずかしげな格好でアメフトしたりチアリーディングをしたりといった具合。こちらは「精神的な屈服」というよりも、むしろ「精神の開放」といった感じか。トータルで見ると、どの作品でも「露出」「他人の視線」を効果的に使いつつ、大人の女性が自ら望んでしっぽを振るという状況に至るまでを描いている。そこまで持っていくための描写は周到で巧み。なんというか若者みたいにガツガツしない、大人の懐の深さみたいなものも感じる。とはいえ「全裸スポーツ」モノなんかは、大人の稚気という感じもして、これはこれで楽しい。


11/23(土)……禁・老間者

▼ちょーっと自宅に帰れなかったもんで、本日は1冊だけ。今日発売の雑誌はないのかな〜とか思ってたら、そういえば23日って祝日だったのね。近代麻雀ゴールドとか探してコンビニはしごしちゃったけど、どうりで見つからないわけだ。

【雑誌】Vanilla 12月号 講談社 B5平

 巻頭カラーで環ちひろの新連載「Walkin’ Butterfly」がスタート。……って、確かVanillaって1月18日発売の号で休刊が決定してなかったっけか(新文化の9月2日付け過去のWebニュースに情報あり)。ってことは全3回の集中連載になるのかな。裏表紙には「大型新連載スタート」とか書いてあるけど。ちなみに内容は、元ヤンキーで現在はどうもあらゆる面で絶不調な女が、スーパーモデルを目指して奮闘するという話しになる模様。広田奈都美「女のたましい」は最終回。なんかけっこう泣ける展開のような。元はブスだった女の子のブンブンが頑張ってきれいになったと思ったら、片想いだった男子には「前のお前のほうが好きだった」と拒絶され失意のどん底に。最終回はそこから自分の気持ちに整理をつけて立ち直り、新しいスタートを切るというエピソード。このほかにも、海埜ゆううこ「アムニージア」も最終回を迎えている。次号には志村志保子ほか、5本の読切が掲載。休刊が近づくとこうやって読切率は高まるものだが、実はそういう状態の雑誌って思わぬ作品が載ったりして何気に面白かったりもする。


11/22(金)……検討案国電

▼昨日書いた、「PCI」「DVI端子付き」のビデオカードの件だが、調べてみるとMatorxのMillennium G450のPCI版と、ASK SELECTのATI RADEON搭載カード、それから今自分が使っているInno3DのTornado GeForce2 MX400の3シリーズくらいしか該当する製品はなさそうだということが分かった。なぜこんな七面倒くさい選択をしているかというと、今ウチでは液晶×2のデュアルディスプレイ環境を構築していて、両方のモニターの色合いをできる限り同じにしたいと考えているからだ。1チップで2系統に出力するカードは、コネクタごとに出力レベルが微妙に違うので、色合いがけっこう異なる(最近のG550とかだとけっこうマシになっているそうだけど)。これをなるべく近づけるには「まったく同じビデオカード2枚」「まったく同じディスプレイ2個」、そして「出力もデジタル(DVI)」がベストであろうと考えたわけだ。そうなるとAGPは1本しかないので、必然的にPCIのビデオカードを選ぶことになる。まあこれにしてもスロットごとの電圧差とかの問題はあるだろうから、厳密にいえば完璧とはいえないだろうけれども。

▼で、今度はその難しい条件にさらに騒音問題を考え「ビデオチップにファンが付いていない」を付け加えようとしている。先に挙げた3シリーズのうち、Tornado GeForce2 MX400は今使っているものの、ファンが付いており発熱も大きいのでできれば交換したい。Millennium G450のPCI版はファンレスだが、デュアルヘッド対応なので2枚差したときにどのような動作するのかがいまいち不明瞭。まあたぶん大丈夫だろうけど。残るASK SELECTのRADEONカードだが、これも条件的にはピッタリ合う。ただウチで使っている液晶ディスプレイ、ナナオのFlexScan L465はRADEONのビデオカードと相性問題がある(参考記事:PC Watch「ナナオFlexScan L465とRADEONの危険な関係」)。RADEON 7500は少なくともダメらしい。そんなわけで諦めていたのが、RADEON 9000ならばその問題が解消されているっぽい。そうなるとASK SELECTのR9-CDT-P64Dは断然候補に挙がってくる。ただ2枚いっぺんに買うと2万5000円くらいするし、おいそれとはいかないなあ……。うーむ。

▼早売り(25日)
【雑誌】ガンダムエース 1月号 No.008 角川書店 B5平
【雑誌】アフタヌーン 1月号 講談社 B5平
【雑誌】コミックピンキィ 1月号 オークラ出版 B5中
【単行本】「嬲 〜なぶりっこ〜」FraKctured Red/Black しろみかずひさ 富士美出版 A5 [Amzn:Red/Black
【単行本】「よいこの唄」1巻 竹下堅次朗 コアマガジン A5 [Amzn]

【雑誌】ヤングアニマル 12/13 No.23 白泉社 B5中

 技来静也「拳闘暗黒伝セスタス」が連載再開で第VIII章開幕。まずはセスタスではなくルスカとネロのほうから話が始まっているところを見ると、この章では彼らの登場機会が増えるのかな? なんにせよ読みごたえのある展開になりそうで先が楽しみ。あと今号には、作:蘭佳代子+画:かたやままこと「プロフェッショナル スチュワーです!!」の特別編が掲載されている。

【雑誌】コミックバンチ 12/6 No.51 新潮社 B5中

 日高建男「満腹ボクサー徳川」。徳川が攻勢で面白く展開中。ストーリーの堅実な進め方もいいけど、それぞれのパンチの凄さについてちゃんと分かりやすく解説できてるところがいいと思う。こせきこうじ「株式会社大山田出版仮編集部員 山下たろ〜くん」。一つの読切作品がつまらなかったからっていきなり部数半減なんてことあるわきゃねえ〜、逆にいえば凄く面白かったからといって部数倍増もねえ〜、とは思いつつなんだかんだ楽しんで読んでいたりもする。坂本タクマ「屈辱er大河原上」。漫画のほうも面白いが、作者の欄外コメントも毎度面白くてつい笑ってしまう屈辱。

【雑誌】ドルフィン 1月号 司書房 B5中

 巻頭カラーの吉田蛇作「ラブラブ・バイブレーション」は、女の子の家にパソコンを教えに行った男子が彼女とラブラブになるというHコメディ。ストーリー的にはなんてことないけれどもこの人の作品は好きだなあ。女の子の顔が丸くて健康的なのが好み。井上眞改は久々の登場で「TOKYO POP」という作品を描いている。相変わらずの手慣れたタッチは見てて楽しい。くどうひさし「クラッシュ万事休ス」は、誕生日を一人で過ごしている寂しい男の部屋に、いきなりプロペラ機が突っ込んできて中から幼なじみの少女が出てきた……というダイナミックな展開のギャグタッチの作品。スッキリした絵はやはり魅力的で、かつラストのダラダラな終わり方もけっこう笑えた。この人はセンスいいと思う。

【単行本】「健全変態少女」 町野変丸 久保書店 A5 [Amzn]

 この単行本もヒロインは全部、最終兵器痴女ゆみこちゃん。マンネリといえばマンネリなんだけど、これはなんというか尊敬すべきマンネリとでもいうか。「あ〜んチコクチコク〜ッ」から始まってヘンな奴が出てきて道端でやるというパターンは全然変わらないのに、毎度新鮮な驚きと面白さがある。今回の巻頭作である「ウサギと亀頭♥」なんかを読むと、やっぱりこの人本当にすごいなと思う。まさか道端にあんなものがねえ。オチもスバラシイと思った。町野変丸でなければやらないようなダイナミックな展開。収録作品自体は快楽天に掲載されたものが中心で、作者あとがきでは「わりとソフトな内容」とか書いてあるけどこれがソフトなんだからなあ。いやまあ確かに町野変丸作品としては十分ソフトなんだけど。


11/21(木)……投機用グラフ不一致

▼家のマシンにはデュアルディスプレイ用にPCIビデオカードが2枚差さってるんだけど、いい加減うるさいのでビデオチップにファンの付いてない奴が欲しくなってきた。「PCI」で「DVI端子あり」で「ファンレス」で「デュアルヘッドでない奴」というのが条件なんだけど、探してみると条件に合うのが本当にない。ATIのチップを積んだ奴で確か1枚そんなのがあったはずだけど、ファンはあったような気がするし、ウチのディスプレイとはどうも相性が悪いらしい。MatroxのMillenium G450にはPCIでDVIありのがあるようだが、デュアルヘッドみたいだし。速度は遅くて画質もそんなに良くなくていいから、発熱が少なくてファンレスの奴どっか出してくれないかなー。そういえばもう一つ探したけどなかったものとして、サイズの小さな液晶ディスプレイというのが挙げられる。1024×768ドット表示ができるものだと14.1インチが最小といっていい状況。デュアルディスプレイだとけっこう横幅を使うから、ノートPCでよく使われているような10.3インチとか12.1インチくらいのほうが設置しやすかったりするんだけど。なかなか都合のいい製品ってのはないもんですのう。

【雑誌】モーニング 12/5 No.51 講談社 B5中

 幸村誠「プラネテス」は、ハチマキの木星探査の話に行くかと思いきや、残されたタナベ(元、というべきか)のエピソード。最近わりとヌルめな話が続いているような。次回は1月登場予定。単行本も1月に第3巻発売が決定。佐藤秀峰「ブラックジャックによろしく」。ベビーER編はいちおうこれで一区切りっぽい。今回のエピソードで、新生児の親や斉藤たちに突きつけられた選択は非常に重く悩ましいものだっただけに、正解だったかどうかの答えは非常に出しにくい。とはいえ真っ向勝負で難問にぶつかっていて読みごたえはあった。次のエピソードは海での話になるらしいが、個人的にはベビーER編についてはもう一例分くらいは引っ張ってほしいような気もする。井上雄彦「バガボンド」。一刀斎カッコイイ〜。ドアップの表情とかは、描写に凄みがある。弘兼憲史「取締役島耕作」。今回の話で出てきたパフォーマンスは、新入社員研修でマネする企業とか出てきそうだなとか思った。石川雅之「週刊石川雅之」のその6「WILD BOYS BLUES」は、かつて殺し屋だった男の日常を描いていくコミカルなお話。

【雑誌】ヤングサンデー 12/5 No.51 小学館 B5中

 いわしげ孝「新・花マル伝」が爽やかに最終回。普段は手堅く、クライマックスシーンはアツく、しっかり読んでいける作品だった。昔だったらこういう作品は週刊少年誌に載っていたんだろうなあ。作:安部譲二+画:柿崎正澄「RAINBOW 二舎六房の七人」は新連載。戦争が終わって10年後の日本を舞台に、人を人とも思わないような扱いをする特別少年院に、さまざまな理由で放り込まれた6人の少年+その前からいた1人の生き様を描いていくという物語。作画の柿崎正澄は、高橋ツトムっぽい印象のガチンコな感じの絵柄の持ち主。出だしはハードでハッタリが利いているけど果たして。北崎拓「なんてっ探偵アイドル」は引き続きアキラ誘拐編でサービスカット増量気味。何か非常に骨抜きな展開にちょっと笑った。

【雑誌】ヤングジャンプ 12/5 No.51 集英社 B5中

 井上三太の「TOKYO GRAFFITI」が久々登場。4話め。ストリート系な若者の青春物語で、今はアイドルになっちゃったクラスメートの女の子との恋物語。ヒロインの女の子は何気にけっこうかわいいと思った。井上三太の作品は読みやすいし、意外とスカしてないのが良いと思う。山花典之「妹 あかね」。うーん、前半のバター犬のエピソードは全然必然性がないな……。これだけ必然性がないとなんだか清々しい。清野とおる「桜の木の下で」は、在学中は非常にアナーキーな活動を繰り広げていたヤヴァい3人組が、卒業して10年後、想い出の場所で集まるというお話。キャラクターたちの表情がいちいち邪悪で、相変わらずアクが強い。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 12/5 No.52 秋田書店 B5平

 八神健「ななか6/17」は、父親の再婚に、亡き実母のことを想って複雑な気分のななか。気持ちに整理のつかないななかを思いやる稔次は雨宮さんに相談するが、といった感じでわりと怪しい雲行き。相変わらず報われない雨宮さんの姿は切ない。この作品はシリアスパートが前触れなくやってくるのでなかなか油断できない。今井智文「柔道放物線」。今回はけっこうシュールなネタ。最近だいぶ面白くなってきててわりと好き。単行本1巻が出ているのでそろそろ手を出しておくべきか。


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