2005年8月上旬


8/10(水)……がらくしサーカス

▼12日売り
【単行本】「Swing Out Sisters」 東雲太郎 茜新社 A5 [Amzn]

【雑誌】コミックデ・ジ・キャラット Volume6 ブロッコリー/ジャイブ B5平

 今回は「ギャラクシーエンジェルのっとり号!!」と題してGA関係が増量中。かなん「ギャラクシーエンジェル天使図鑑」では、タクトがエンジェル隊の面々と結婚したら……という過程で、それぞれのパターンを描いている。ランファのデレデレっぷりと、フォルテの肝っ玉母さんぶり、あとちとせの純な幼な妻っぷりが良かった。好みでいうなら自分はフォルテ派。ガイア・マッシュ・フォルテ派。あさき「Once upon a time...」は、エンジェル隊に配属される前の、ランファとミルフィーユのお話。二人の友情模様が微笑ましく描かれていて楽しい。ランファのツンデレぶりはキャラとしていじりやすそう。

 「デ・ジ・キャラット」系では、ひな。「にゅ!」が良い。オールカラーの淡い彩色がきれいで、ぷちこもほっけみりんも申し分なくかわいい。あと、コゲどんぼ「デ・ジ・キャラット劇場 でじこちゃん」はやはり定番。人を食ったようなタイトルも好きです。

【雑誌】スーパージャンプ 8/24 No.17 集英社 B5中

 作:城アラキ+画:長友健篩「バーテンダー」。佐々倉と、その師匠格&先輩バーテンダーのエピソードおしまい。しみじみとした人間ドラマに仕上がってて良かった。この作品は内容的にも安定してるし、けっこう好きです。宮下あきら「暁!!男塾」。引き続き大河内民明丸がドーピング薬でムキムキになって大活躍。民明丸つえー。決めポーズもカッコイイんだかカッコ悪いんだかって感じでいちいと面白い。

【雑誌】ビッグコミック 8/25 No.16 小学館 B5中

 柴門ふみ「小早川信木の恋」。ようやく小早川が妙子との離婚を決意し、交渉に入ったが、それでも妙子は小早川への執着を捨てない。手段を選ばず小早川を追い詰めていくその姿は、かえってパワーアップしている感もある。完全に主役を食ってるなあ。いつ見ても怖いです。地の果てまで追っかけてきそう。

【雑誌】週刊少年サンデー 8/24+31 No.37+38 小学館 B5平

 畑健二郎「ハヤテのごとく!」。ハヤテの片想いしている同級生の女の子が再登場。しかしキャラの薄さから見て、しょせんお嬢さまには敵し得ないか。まあお嬢さまのほうも恋愛対象にはなってないけどねー。井上和郎「あいこら」。ハチベエもキレると激強なんですなあ。ますますセイジくん状態。満田拓也「MAJOR」。日本代表との対戦で実力の差を思い知った吾郎がアメリカに戻ることに。その前にちょっと清水さんとの一時。今回の扉絵(水着姿)とか見ると、ちゃんとかわいい娘さんなのになあ。登場頻度が少ないのがもったいない。まあメジャーに昇格すれば収入は増えるだろうから、早いとこ嫁化して、帯同するのが良いと思う。

【雑誌】まんがタイムきらら 9月号 芳文社 B5平

 しおやてるこ「Pocket」。今回はダイちゃんの年上の幼なじみ・ケイコちゃんが、ダイちゃんへの恋心に区切りをつける。楽しそうに会話しつつ、ふと見せる諦めの表情が切ない。ケイコちゃんがらみのエピソードは、そう多くないけど恋愛色が濃くて好きです。

【雑誌】メガプラス Vol.23 コアマガジン B5平

 巴天舞「保健室パーティー」は、欲求不満なめがねっ娘女教師が、保健室で生徒たちと乱交。まあそれだけの内容ではあるんだけど、普段は大人しそうな女教師が盛大にやっていてしっかりエロい。ゆきやなぎ「えろ♥つま」は8回め。前回、義理の息子の家庭教師によって自分が淫乱女だと自覚させられた奥さんはいっそうエスカレート。家庭教師のあんちゃんが引き連れてきた男数人に囲まれてちんこ三昧。すっかり覚醒してしまったむちむちの若奥様の姿がいやらしい。安定して実用一直線な肉感的なエロシーンを描いていて、いい仕事してますなあという感じ。

 ichi「美肉の誘惑」。メガプラスは初登場。この人のつやつや感のある女体描写はけっこう好き。目の潤みっぷりとかもエロっちくて良い。お話はちと弱めだが、実用性は十分。狩野蒼穹「僕の時間あたしの時間」は、弟にベタボレなお姉ちゃんがついに告白エッチというお話。かわいらしい絵柄で毎度微笑ましいお話を描いてて好感度高し。それから今号では犬星「午後のミルク」が巻中カラーで掲載。相変わらずきれいでかわいいロリロリ系の絵柄でパッと目を惹きます。お話のほうは妹モノ。そういえばこの人もメガプラス初登場か。新しい人も加わって、だいぶ雑誌的に充実してきたなあ。今コアマガジン系は、コミックメガストアが相変わらずハイクオリティだし、メガストアH、メガプラスも底上げされてきて、だいぶ層が厚くなってきた印象がある。

【雑誌】ヤングコミック 9月号 少年画報社 B5中

 愛染太郎の新連載「ピーカン夫婦」(原作:永森裕二)が巻頭カラーでスタート。えーとこれは実写のピンク映画の漫画化ということでいいのかな。レコード会社でディレクターをやっている青年が、ある日、草野球をしにグラウンドに行ってみたところ、草むらの中で裸の女の子を見つけてわけもわからぬままエッチしちゃう……という第1話。愛染太郎の絵柄はスッキリ整っているし、女の子もかわいく、まあまあの出だし。中田ゆみ「下町マドンナ食堂」は、おかみさんの濡れ透け乳首浮きがええです。あっけらかんとした健康的なお色気サービスがいつものごとくたっぷり。前川工房(前川たけし)はヤングコミック初登場。「湯煙幽玄奇譚〜あっぱれ大往生〜」という、美人幽霊3姉妹が、この世への未練を断つべく温泉宿を取材に来たお兄ちゃんにむらがるというお話。幽霊という特質を生かして、3人が下半身合体、3人で1本を共有するというプレイがちょっと面白いなと思った。


8/9(火)……家庭ホルモン

【雑誌】イブニング 8/23 No.17 講談社 B5中

 川畑聡一郎「S60チルドレン」は最終回。ラストは光子の転校をきっかけに、晶が今自分にできること、できないことをハッキリと自覚し、苦みを呑み込んで一つ成長する。昭和60年代という短い時間に小学生時代を過ごした子供たちの視点で、子供社会を鋭く描写。コミカルな画風、シニカルな語り口に独特のものがあり、子供ならではの人間関係の軋轢や打算などを緻密に描いていく物語は、ただのノスタルジックな子供時代回顧に止まらない面白みがあった。単行本最終第4巻は8月23日発売。この個性的な描き手が、次にどんな作品を送り出してくるかも楽しみにしてます。

【雑誌】ヤングチャンピオン 8/23 No.17 秋田書店 B5中

 「ブラック・ジャック」系の新企画がスタート。今度は田口雅之が作画を担当し、「BLACK JACK NEO」が連載化。田口雅之は「ブラック・ジャックALIVE」でも描いていたけど評判良かったんですかね。なお「ブラック・ジャックALIVE」「ブラック・ジャックM」を収録した総集編増刊の第2号は、9月13日に発売予定とのこと。今回はあの北見けんいち版や、村生ミオ版、佐藤マコト版、八神健版などが収録されるとのこと。千之ナイフ版なんてのもあったんですなあ。井荻寿一「魔月館奇譚」。優平と管理人の月子さんが二人っきりで温泉に行くことになるが……というエピソード。ちょっとエッチなシーンはあるが、せっかくのラブコメ展開なのでもう少し引っ張っても良かったかも。高倉あつこ「泌尿器科 一本木守!」は今号で最終回。

【雑誌】漫画サンデー 8/23 No.32 実業之日本社 B5中

 画:本庄敬+作:末田雄一郎「蒼太の包丁」。真夏に獲れるカニの話。ミソがたっぷりなようでなかなかうまそう。蒼太の実家の料理屋はなんだかピンチな感じで、次が気になる展開。料理漫画としては地味な部類だが、しっかり手堅く作られてて面白いです。

【単行本】「ライジングガール!」 比古地朔弥 祥伝社 A5 [bk1][Amzn]

 日本人女性としては初めて、オリンピックでメダルを獲得した人見絹枝の生涯を描いた伝記モノ。比古地朔弥の力強くてキレのある作画が冴えて、なかなか読ませる力作になったと思う。競技シーンの躍動感、爆発力が鮮烈な印象。ラストのほうの人見絹枝の若すぎる死、そして残されたものを描いていくあたりの展開はグッと泣かせるものもある。なおこの作品の掲載誌はFEEL YOUNG。オシャレな誌面の中で、一つだけバリバリの熱血モノをやっていたので、連載時は激しく浮いていた作品だった。そんなこんなで独特の光芒を放つ作品だったなあと思います。

【単行本】「秘密の新選組」1巻 三宅乱丈 太田出版 A5 [bk1][Amzn]

 新選組には密偵時などに使われる、一時的に女性ホルモンを増幅して男に乳を生やす薬があったのだが、近藤勇がイタズラでそれを幹部連に飲ませてしまい、新選組がタイヘンなことになっていく……というドタバタギャグ。多少唇の艶とかは女性的になるものの、基本的に新選組の面々の顔は男のまま。そんな状態で乳房は大きくなるものだから、見た目はかなり異様。幹部連の人間関係がだんだんヘンな方向に進んでいく様子が、見ていて面白い。新選組を扱った作品の中でも、かなり妙な雰囲気に満ちた一作となっている。

【単行本】「ロボこみ」4巻 やぎさわ景一 秋田書店 新書判 [bk1][Amzn]

 これにて最終巻。クラスの女の子がロボ娘なんだけど、それをロボとして認識しているのは主人公の石神ただ一人……という状況で繰り広げられるギャグ漫画。まあ基本的にはそのネタ+α程度で最後まで押しきった作品だったわけだが、ロボ子のデザインや「どみゅん」という足音などなどロボ描写は気が利いてたし、多彩な脇役キャラの活躍も面白い。委員長の女の子ら、ほのかに萌え要素もあったし。毎度爆発とかはあるものの、基本的にはまったりムードで楽しく読める作品だった。最終回のロボ子ボディニューバージョンもこれはこれで。

【単行本】「スティール・ボール・ラン」5巻 荒木飛呂彦 集英社 新書判 [bk1][Amzn]

 レースが過熱していくにつれ、華やかなレースの裏に隠されていた真の目的も明らかになってきた。だんだんスタンド系の要素も増えて来ている。最初のころほどのインパクトはないけど、この巻ではシュトロハイムも出てきてるし、次に何が出てくるのかなというワクワク感はやはりある。


8/8(月)……チャイナあんちくしょう

▼アニメ「創聖のアクエリオン[Amzn]がムチャクチャで素晴らしい。第18話で各キャラにコスプレさせたと思ったら、第19話もものすごい勢いで遊んで来た。作画監督うつのみや理のテイスト全開で、今までとのあまりの違いにずっと爆笑しながら見ていた。無限パンチそのほか、とにかく毎回毎回ぶっ飛んでるし、それでいながらお話もちゃんと進めているところがスゴい。今一番楽しみにしている作品。「負けた」と思ったのでDVD購入を決意。さっそくAmazonで全巻予約してしまいました。

▼未読物
【単行本】「ロボこみ」4巻 やぎさわ景一 秋田書店 新書判 [bk1][Amzn]
【単行本】「ライジングガール!」 比古地朔弥 祥伝社 A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「しまいもん」2巻 IKARING 祥伝社 A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「秘密の新選組」1巻 三宅乱丈 太田出版 A5 [bk1][Amzn]

【雑誌】ヤングキング 9/5 No.17 少年画報社 B5中

 一色登希彦「モーティヴ −原動機−」が最終回。途中まですごくアツくて面白かったのに、終盤が急ぎ気味で尻すぼみ感が出てしまったのはとても残念。ただ今回の最終ページには「GP・MONO編」完とあるし、新シリーズも考案中だそうなので、続きもあるのかもしれない。このまま終わらせてしまうのは甚だ惜しい作品なので、ぜひ続けてもらいたい。佐野タカシ「イケてる2人」は、ニセ小泉明編が最終回。このシリーズ自体はいまいち盛り上がりに欠けたかなあとは思うものの、今回も佐次がイイ男だったので、その点は満足。

【雑誌】近代麻雀オリジナル 9月号 竹書房 B5中

 近代麻雀本誌の普通の面白さ、ゴールドのイカレっぷりに挟まれて、オリジナルはどうもいまいち。いまいち独自色が打ち出せてないし、柱となる作品も確立できてない。4コマの三ツ森あきら「雀バカ三姉妹物語」、有元美保「せれぶリーチ」あたりは良いかなと思うけど、まあここらへんは箸休めだしねえ。

【雑誌】ヤングマガジン 8/22+29 No.36+37 講談社 B5中

 福本伸行「賭博堕天録カイジ」。なんか牌を落としてワタワタしてるカイジは小物っぽさにあふれてて面白いです。とはいえ、このアクシデントはお話のうえではカギになりそうだなあ。下手な小細工をするよりは、こっちのほうがプラスに働きそうな気はする。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 8/22+29 No.36+37 小学館 B5中

 「ルサンチマン」の花沢健吾が新連載開始。「ボーイズ・オン・ザ・ラン」。冴えない26歳のサラリーマンが主人公の青春ストーリーという感じか。今回の段階では、まだ今後の展開がどうなるかといったことは全然分からないけど、見せ方自体はやはりうまい。まずは期待。石原まこちん「THE 3名様」は、袋とじで実写漫画をやるというなんかヤンマガ的な企画をやっている。なんか実写だと例の3人がカッコ良すぎるぞ。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 8/22+29 No.36+37 集英社 B5平

 作:稲垣理一郎+画:村田雄介「アイシールド21」。試合が大詰めで今号も面白い。一つひとつの駆け引きやアクションに見応えがあっていいです。大亜門「太臓もて王サーガ」。今回もジャンプパロが山のように。下らないけどギャグの出し方は思いっ切りが良くて楽しい。作:大場つぐみ+画:小畑健「デスノート」ではパパンがカッコイイのだけど、展開はショッキング。さてこの後はどうしていくんですかね。読切、天野洋一「ウサギとカメとストライク」は、天才的な剛球投手である同級生に馬鹿にされ続けていた努力家の野球少年が、その類まれなコントロールを生かして一泡ふかす……という内容。作画はかなりきれいで、内容的にもきちんとまとまっている。ただソツがなさすぎてインパクト的には弱いかも。

【雑誌】FEEL YOUNG 9月号 祥伝社 B5平 [定期購読:7andyicon

 IKARINGの新連載「OL三國志」がスタート。原作は大川豊。あの大川興業の前総裁だ。なんかスゴい組み合わせだけど、1回めは微妙かな……。消費者金融・郵便局・銀行の三つが合わさった巨大金融機関のOL3人が、熾烈な縄張り争いを繰り広げるという感じか。まだ滑り出し段階なのでよく分からないが、IKARINGの持ち味を殺さないように、面白い作品にしてほしい。南Q太「旅のあとさき」は旅日記漫画だけど、例の離婚話がちょくちょく顔を出すので、旅漫画なのに読んでてキツくなる。あと今号では桜沢エリカ「天使II」は最終回。これはいまいち話追えてなかったなー。

【雑誌】YOUNG YOU 9月号 集英社 B5平

 羽海野チカ「ハチミツとクローバー」。それぞれのメンツがこれからの進路について思いをめぐらす。なんだかだいぶ終わりが近そうな雰囲気もありますが……。この作品の内容からすると、いくら楽しいからといっても、いつまでも青春モラトリアムやっててもしょうがないんで、適度なところで区切りをつけるのは正解だと思いますね。鴨居まさねの読切「ぜんぶ糸のせい」は、メジャーデビューを夢見るミュージシャン希望の女の子が、ベタボレの彼氏に先に行かれてしまって焦りまくる……というお話。お互いのすれ違いはあるものの、最終的にはほのぼのとした暖かみのあるラブコメとしてまとまっていて面白く読めた。あと岩館真理子「アマリリス」はいつもながらの有無をいわさぬマイペースぶりで良いです。

【雑誌】コミックPOT 9月号 メディアックス B5中

 今号はチャイナ服特集なのかな? 木静謙二、安藤裕行、ひねもすのたり、ぽん酢、いぬぶろ、八月朔日珈瑠、みさわひろこと、チャイナ娘がもりだくさん。

 誌面全体でいうと木静謙二の復帰がうれしい。この人が載ってると載ってないとでは、お楽しみ度がだいぶ違う。今回の「来来!中華な母さん」は、単行本「かてきょ」に収録された「中華な母さん」の続編。いつもチャイナ服なお母さんが、息子を誘惑してエロエロな行為にふけりまくるという内容。基本的にギャグベースのお話なので実用面ではちと弱いけど、エロ顔の色っぽさや、グラマラスな女体、ごつごつしたちんこ描写はやはり巧み。もっとコンスタントに登場していただきたいところです。ひねもすのたり「らんぷ・らんぷ」のチャイナ服娘は、女性漫画家のアシスタントがチャイナ服着ているという設定。やわらかい線とキュートな絵柄で安定して良い。まご「猫田式」はいつもより多めで8P。カラッと明るく、ネコも女の子もかわいいです。


8/7(日)……靴屋を襲名か?

【単行本】「シューメイカー」 鳩山郁子 青林工藝舎 A5 [bk1][Amzn]

 鳩山郁子の作品は、やはり凜として美しい。繊細で何者をも寄せつけないかのような気高い美しさと、フェティッシュで官能的なお話作りが素晴らしい。今回の単行本には、描き下ろし作品の「シューメイカー」と、アックスで発表された「滴翠珠」「Passage」を収録。「シューメイカー」「滴翠珠」で共通して描かれているのは、纏足と虚勢歌手(カストラート)。体を強制的に改造されて作られた彼らの持つ、妖しい官能美を描き出す筆致はとても周到。「シューメイカー」はとある腕利き靴職人が、奇妙な男に纏足者用の靴を依頼され、その製作作業を通じて彼らの世界を覗き見るという筋立て。妖美な世界に足を踏み入れていくスリリングな感覚と、ちょっとしたユーモアがうまいことマッチした小粋な作品。「滴翠珠」は強制労働の地で見出された、虚勢歌手の生き残りを巡る物語。こちらは美青年の描写の艶めかしさが印象に残る。多少絵柄的には敷居が高いかもしれないけれども、ハマる人は強烈にハマる魅惑的な美しさのある一冊です。

【単行本】「反逆の家紋」 平田弘史 青林工藝舎 A5 [bk1][Amzn]

 なんか最近、過去作品を収録した作品集がバンバン発行されていて、毎月のように平田弘史の単行本買ってるような気がする……。この本もその一つで、「吉田松陰」「介錯」「豪傑」「反逆の家紋」「嘘」の五作を収録。発表時期は1971〜1976年。まあこれだけ大量に復刻されているというのは、それだけ平田弘史の作品に、今も古びることのない力があるということなんでしょう。実際今のCG絵よりも、このころの雄渾な手描きのタッチのほうが好みという人もいると思う。内容に関してもやはり力強く今読んでも面白いし。

【単行本】「デビルマン黙示録 STRANGE DAYS」 作:永井豪+画:衣谷遊 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 「デビルマン黙示録」のアナザーストーリー的な作品。不動明らが織り成すメインストーリーとはまた別に、ロックバンドを組んでいた仲の良い少年たちが、デーモンたちの出現によって引き裂かれた後に再会する。悲劇的ながらも、鮮やかな青春友情ストーリーにもなっていて、なかなか面白く読めた。衣谷遊の作画も相変わらずカッコイイし。「デビルマン」をネタにした作品はほかにもいろいろな作家が挑戦していて、けっこうハズレも多かったりするが、このシリーズは原作のテイストは生かしつつ、また違ったものを高いクオリティで見せてくれて、とても良かった。

【単行本】「アゴなしゲンとオレ物語」19巻 平本アキラ 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 まあいつもの調子なので、あえて書き足すようなこともないですが、いつも変わることなく下品でパワフルなギャグをやっていて面白い。平本アキラはスゴイと思いますよ。

【単行本】「ほんわかちづる先生」1巻 かがみふみを 竹書房 A5 [bk1][Amzn]

 かがみふみを(加賀美ふみを)の初4コマ単行本。先生二人のちっちゃな学習塾につとめる、ちびっこ先生であるちづると、男の先生である山本、それから生徒たちの姿を描いていくドタバタコメディ。ちづる先生はロリロリでかわいいけど、授業中だろうとなんだろうとおかまいなしに、すぐ寝てしまう極度のねぼすけ。山本先生はそんな彼女にツッコミを入れたりフォローしたりと大忙しで、その模様がとても微笑ましい。まあなんつっても加賀美ふみをキャラらしく、ちづる先生がちまちましててかわいらしいのがいいです。4コマは単行本は初挑戦ながら、キャラを主体にして、繰り返しギャグで見せていくところなんかは、4コマ漫画連載のセオリーをきちんとつかんでて良いんじゃないでしょうか。ほんのりラブコメチックなところも、ベタベタしないながらトキメキ感があってグッド。

【単行本】「宇宙賃貸サルガッ荘」5巻 TAGRO スクウェアエニックス A5 [bk1][Amzn]

 これにて最終巻。宇宙の墓場的空間でのほのぼのライフが続くのかな〜と思っていたら、ラスト近辺はけっこうお話が大きくなってシリアスな展開も。キャラの可愛らしさ、ポップなデザインが印象に残る作品だったが、それだけじゃなくてSFっぽい風味もけっこうあり。終盤は展開が詰まってきて、ちと分かりづらかったかもという気はするものの、序盤ののんびりムードとか、可愛げのあるキャラとか、見てて楽しい作品でした。

【単行本】「GOGO★HEAVEN」 ヒロモト森一 集英社 B6 [bk1][Amzn]

 人間界にあふれる余剰な魂を選別するためにやってきた死神少女のブー(およびその相棒のキル子)が、生きる価値のない魂を狩っていく中で、バカでダメだけどときどき熱血な人間の少年・ヒトシに出会い、それをきっかけに変化していく。雑誌掲載時はわりと地味めな印象を受けていたけど、こうやってまとめて読んでみると面白い。ブーはいでたちはヘンだけど、よく見るとけっこうキュートだし、熱血バカのヒトシの男らしさも読んでて清々しいものあり。最初はシニカルなお話になるのかなーと思っていたが、意外に直球勝負な青春ストーリーになってる。読後感が爽やかで良いです。

【単行本】「平凡ポンチ」3巻 ジョージ朝倉 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 この巻でもお話はあっちゃこっちゃへ揺れ動く。自主映画監督の真島と、巨乳アイドルを殺してしまった女の子・ミカの逃避行が延々続くかと思いきや、ミカは真島の知り合いの監督・新開とともに失踪。真島監督はくるくるブオトコになったりイケメンになったりするし、ミカの行動とかもエキセントリックすぎるし、お話は縦横無尽に展開。無軌道といえば無軌道なんだけど、猛烈な勢いで驀進しているので引き込まれる。この力強さはやっぱりスゴいし、ムチャクチャながらも読ませる。

【単行本】「医龍」9巻 乃木坂太郎(原案:永井明) 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 医局、そして医師たちの思惑が複雑にからみ合う中、決戦のバティスタ手術開始。朝田・加藤チームの存否を左右する大一番。というわけでさすがにすごく盛り上がってます。手術前の駆け引きも虚々実々で興味深く読める。充実してると思います。

【単行本】「職業・殺し屋。」5巻 西川秀明 白泉社 B6 [bk1][Amzn]

 職業・殺し屋たちと、警察を守るために組織された闇の暗殺集団「御犬番」の激闘の最終局面。これまで同様エロ・グロ・バイオレンスが過剰なくらいにあふれてて、たいへん濃い口なアクションに仕上がっている。いわゆる「不健全」な内容ではあろうかと思うけれども、これだけ開き直ってエログロに徹してやってると、かえって嫌ったらしい感じはしないかな。女殺し屋である蟷螂のメリハリ効きすぎなツンデレっぷりはけっこう楽しいです。


8/6(土)……狂ったタックル

【単行本】「佐藤秀峰傑作短編集 ハードタックル」 佐藤秀峰 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 ようやく出た短編集。「おめでとォ!」「ハードタックル」「キムラ!」「エロ兄弟」と、佐藤秀峰が「海猿」「ブラックジャックによろしく」でブレイクする前に描いた短編・中編を収録した作品集。「おめでとォ!」「キムラ!」がヨットもので、「ハードタックル」はラグビー。このころの佐藤秀峰は、今ほど完成度は高くなかったけど、岡村賢二似の絵柄で、すごく勢いのあるアツい青春漫画を描いていて、鮮烈な印象があった。今ほどの完成度はないけど、ガムシャラなパワーがあって一読の価値はあり。個人的にはちょっと発売が遅かったような気もするんだけど……。まあ「海猿」が今ドラマになってるのでいいといえばいいんだけど、漫画のほうが騒がれたのはむしろ「ブラックジャックによろしく」のほうだったし、あちらが旬だった時期に便乗しといたほうが良かったかも。

【単行本】「ラララ劇場」 いましろたかし エンターブレイン B6 [bk1][Amzn]

 すごく脱力感のある面白さ。この単行本には「ラララ劇場」「ギャンブル人生」「盆堀くん」「盆堀課長」「ギョーザマスター」「ナベツネのクリスマスッ!」「アテもなくハムトースト」を収録。単行本のほとんどは盆堀さんシリーズが中心。盆堀さんはまあそこそこヘンな人ではあるものの、社会の枠をハミ出すほどヘンな人でもなく、基本的には平凡。そんな男のなんでもない日常を、淡々と描写。とくに大きな事件もなければ、物珍しいドラマもない。退屈で平凡でやる気なし、希望も夢も絶望も悲劇もない、そんなまったりとした世界にどっぷり浸れる。ものすごく絶望に満ちた作品群ともいえるかもしれないけれど、どうしようもないユルさ、うだつのあがらなさに、ホッと一息つけることも確か。味があります。

【単行本】「恋する花々」1巻 佐野タカシ 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]

 男の子の体に触れると、相手のエロ妄想が頭に流れ込んで来ちゃう特殊体質の女の子・透が、処女であるにも関わらずいろいろエッチな疑似体験をしちゃうとうドタバタエロコメ。佐野タカシのサービス精神と、カラッとしたお話作りは好きだけど、この作品についてはちょっと弱いかなあ。基本的に「妄想である」と分かっている時点で、エロシーンも何割引かされてしまうので……。処女性は保ちつつ、いろんなエロシーンが盛り込めて、エスカレートさせていくことも可能な便利な設定ではあるのだけど。

【単行本】「イケてる2人」21巻 佐野タカシ 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]

 佐野タカシもう一発。こちらは安定して面白くてすごく好きな作品。エッチなサービスはいつものごとくてんこ盛りならが、気のいいキャラが揃っているので気持ち良く読める。この巻は最初は小泉を追っかけてやってきたけど、後に佐次に惹かれていった瀬波真のエピソードが一段落。どんどん乙女チックになっている真の様子が可愛らしく、それに対する佐次の接し方も、正々堂々としていて気持ち良かった。個人的にはラブコメの男主人公の中では、屈指のイイ男だと思う。

【単行本】「あまえないでよっ!!」4巻 宗我部としのり(原作協力:ボヘミアンK) ワニブックス A5 [bk1][Amzn]

 いつもながら健康的なお色気たっぷりで、楽しく読ませてくれる。逸剛たちの学校に新入生としてライバルキャラの一希がやってきて、千歳は心中穏やかならず……といった具合。パンチラや乳見せなども盛大に。エロ系だとヌかせるには淫靡さがちと不足気味やもしらんけど、ガムあたりだと宗我部としのりの絵はジャストフィット。このジャンルとしてはギリギリラインくらいながら、淫靡になりすぎない。なんかお得感がある絵柄だなあと思う。

【単行本】「殴るぞ」7巻 吉田戦車 小学館 A5 [bk1][Amzn]

 いつもながらの飄々とした味わい。一時期ほどの面白さはないけど、肩の力を抜いて気楽に読める。あとスペリオールでやってる映画評とかのこなれた文章とか読んでると、この人はいい年の取り方してるなあと思う。なんか淡々と枯れていってるというか。

【単行本】「沈夫人の料理人」3巻 深巳琳子 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 毎度面白い。食通でイジワルな奥さまと、彼女に翻弄されまくりな料理人・李三の掛け合いが見ていてとても楽しく、描かれる料理もすごくおいしそう。見ていると中華料理食いたい欲がむらむらと高まってきてしまって困る。

【単行本】「渡良瀬医院へようこそ」 みた森たつや 実業之日本社 B6 [bk1][Amzn]

 子供みたいな外見ながら、実はずっと昔から存在していて、特殊な能力を用いてどんな願いをも叶えることのできる不思議な医者・渡良瀬と、その助手のたがめちゃんがいろんな難題を解決していくという話。みた森たつやはエロ系ではかなり長編作品のうまい部類な人だけど、この作品は一話完結形式なんでもう一つかなあ。「さらくーる」が名作で、「めいどin!」「終末にしましょ!」も面白かっただけに、この作品はいくぶん物足りなく感じてしまう。一定レベルはクリアしてるとは思うのだけど。

【雑誌】MUJIN 9月号 ティーアイネット B5平 [定期購読:7andyicon

 今号もすごく分厚いけど、個人的にはいまいち合わない雑誌でもある。最近は板場広し、甘詰留太、小暮マリコといった好きな作家さんがあんまり登場しなくなってしまったし。今号の執筆陣で目についたのは、初登場のN.O-茶々丸。相変わらずボリューム感のある濃い絵柄してるな〜としみじみ思った。あと、くりつよしひろ「はざーど・ティーチャーズ」の、女教師と男子生徒の掛け合いは下らなくてちょっと良かった。普通のセックスシーンなのに、女教師が「不気味な生物みたいなのがお腹の奥に侵入して」「なんかホラー映画思い出しちゃう!」とかいってるし。


8/5(金)……獣脂を重視する銃士

▼未読物
【雑誌】MUJIN 9月号 ティーアイネット B5平 [定期購読:7andyicon
【単行本】「万祝」5巻 望月峯太郎 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「赤灯えれじい」4巻 きらたかし 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「デビルマン黙示録 STRANGE DAYS」 作:永井豪+画:衣谷遊 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「アゴなしゲンとオレ物語」19巻 平本アキラ 講談社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「佐藤秀峰傑作短編集 ハードタックル」 佐藤秀峰 小学館 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「スティール・ボール・ラン」5巻 荒木飛呂彦 集英社 新書判 [bk1][Amzn]

【雑誌】コミックフラッパー 9月号 メディアファクトリー B5平 [定期購読:7andyicon/Fujisan

 巻頭カラーは岡本一広「トランスルーセント 彼女は半透明」。白山さんたちの学校に、卒業生である大女優が訪れるが、白山さんは透明病であるために彼女に自分の演技を見せられなくて打ちひしがれる。切ないお話ではあるけど、悩み苦しむ少女の姿を前向きにとらえて気持ち良い結論に持っていくお話作りには好感が持てた。あと今号には、単行本発売記念のおまけまんがが8ページ掲載。こちらは軽いギャグっぽいお話でほのぼの。作:鹿島潤+画:石黒正数「アガペ 犯罪交渉人 一乗はるか」は、なんかすごく投げやりになってるような……。はるかを無意味に色っぽくして無理なアングルで強引にパンツ見せたり、巨乳にしたり、表情を妙な崩し方したり。背景の効果とかもヘンだし、異様な雰囲気になってる。石黒正数もノッてなさそうだし、これは一回連載たたんじゃったほうがいいんじゃないかな……。いい絵をしてる人だけにもったいないと思う。

【雑誌】ヤングアニマル増刊 嵐 9/18 No.4 白泉社 B5中

 作:永久保貴一+画:増田剛「御石神落とし」。最近は明治時代あたりの田舎の農村の、開けっぴろげな夜這い文化を描いていて面白い。エロ系の話としては地味といえば地味なんだけどそこが良いです。あと今号から亜桜まるが新連載。「14(ジューシー)」(原作:朝田光)。運動部のマネージャーをやってる女子3人のまったりライフという感じ。

【雑誌】ヤングガンガン 8/19 No.16 スクウェア・エニックス B5中

 浦地コナツ「どきどきパペット」最終回。ちょっとエッチもありのほのぼのラブコメ4コマという感じで、最近けっこう面白くなっていたのだが。分量的に見て、単行本化は厳しいか。このほかでは大高忍「すもももももも〜地上最強のヨメ〜」、作:原田宗典+画:井田ヒロト「戦線スパイクヒルズ」がコンスタントに面白いです。あと巻末カラーでは大橋ツヨシが登場。

【雑誌】ビッグコミックオリジナル 8/20 No.16 小学館 B5中

 石塚真一「東京チェックイン」。主人公のワタルが、NGOで送られて来た義足を作った日本人職人に会うため来日した黒人男性をエスコートする。今回も、人情味にあふれたお話をしっかり構築していて面白い。「岳」同様、作画・話作りともに安定感があってうまい。

【雑誌】花とゆめ 8/20 No.17 白泉社 B5平

 樋口橘「学園アリス」は恋愛路線まっしぐら。ルカ&棗&蜜柑がキスをめぐっていろいろ揺れる。最近は棗が意外にも攻勢をかけていて、ルカ穏やかならずといった図式。ちょっと3人とも色ボケしすぎかなあとは思うけど、トキめくことは確か。松月滉「幸福喫茶3丁目」。潤のお母さんが、彼女の喫茶店のバイト先に突然現れ、彼女の勤務状況を厳しくチェーックという内容。松月滉の描くキャラは笑顔が暖かくて良いなあ。 松月

【雑誌】コミックバンチ 8/19 No.36 新潮社 B5中

 坂本タクマ「屈辱er大河原上」がついに最終回。最後まで大河原上は大河原上らしかったが、人間的には最初のころと比べてだいぶ丸くなったと思う。いちおうケータイバンチのほうは続くっぽいけど。単行本未収録分が大量にあるので、ぜひ拾い上げてもらいたいところだが。永井豪「新バイオレンスジャック」。8話めでいったん連載中断。お話は途中も途中という感じでブツリと切れていて、連載再開は「乞うご期待」とのこと。単行本1巻は今秋発売予定とのこと。ペ・ジュンゴルの韓国徴兵漫画「ホテルココナッツ」も最終回。

 木暮峰は久々の登場。16P読切「もず日和」が掲載。吉原の遊郭を舞台に、動物の物まねで人を笑わせる芸人と、一人の遊女の一夜の恋を描くという内容。古賀新一に似た感じの影のある絵柄は独特の色気があるし、お話作りもうまくて気に入っているのだが、こちらも単行本化は難しそう。バンチは雑誌全体としては最近面白くないが、単行本にならない作品が多いので油断はできない。あと今号では、「くだらんKING」に「サトラレ」の佐藤マコトが登場している。これはケータイバンチと連動した2ページ企画で、週替わりでけっこういろいろな作家が登場しているのだが、これもまとめて単行本化されることはなさげだなあ。

【雑誌】桃姫 9月号 富士美出版 B5平

 瀬奈陽太郎「センパイ狂想曲♥」が安定して面白い。スケベで調子の良い後輩男子と、ツンデレ女子先輩とのラブコメHをドタバタ賑やかに展開。今回はゆえあってセンパイがしゃべらず、無口っ子プレイ状態になるのだが、たまにはこういうのもいいですな。


8/4(木)……タイやヒラメの舞乙り

▼帰宅。忙しさも一段落したんで、たまった単行本類も少しずつ読んでいきます。問題はアニメだな……。毎日録画済みの動画をCMカットして、エンコ設定するだけでもけっこう時間がかかります。まあ別にエンコなんかしないでも、見終わったら消していけばいいんだけど、なんか性分でついついやっちゃうんですよね。

【雑誌】モーニング 8/18+25 No.36+37 講談社 B5中

 読切シリーズとなった吉田基已「水の色 銀の月」の2話めが、巻中カラーで掲載。相変わらず亜藤は、へらへらしつつうじうじもしている。吉田基已には、そう簡単に読む人をスカッとさせず生殺し状態に止めておく、いくぶんサディスティックなところがありますな。一色まこと「ピアノの森」。うーん、面白い。演奏中にトラブルが起きるが、カイはそれをも利用して聴衆を魅了する。彼の天才ぶりがいかんなく発揮されていて痛快。次号からは山田芳裕の新連載がスタートするとのことだが、今号は合併号なんで、次号が出るのは8月18日。

【雑誌】ヤングサンデー 8/18+25 No36+37 小学館 B5中

 あだち充が登場。「アイドルA」というタイトルの読切。グラビアアイドルをやってる女の子が実は凄い野球の才能の持ち主で、顔がそっくりな幼なじみ男子の名前を借りて、高校野球で大活躍……という内容。まあ現実的には、野球の投手やるような筋肉つけたらグラビアアイドルは無理かとは思うけれども、内容的にはいつものあだち充って感じで手堅い。それにしても本当にヤングサンデーは、少年サンデーOB雑誌になった(あだち充は現役だけど)。これで高橋留美子が来たら完璧でしょう。雑誌として面白いかどうかは別として。北崎拓「クピドの悪戯」。怜子と睦月の初体験編。なんかものすごくページ数使ってるなあ。前回今回とセックスシーンがずっと続いているのに、まだ前戯さえ終わってないし。原秀則「電車男」は残り2回。見開き連発で、告白シーンをドラマチックに盛り上げる。いつもいうけどうまいなあ。

【雑誌】ヤングジャンプ 8/25 No.36+37 集英社 B5中

 読切でやってた高橋秀武「野獣は眠らず」が連載化。不可抗力ながら犯人を殺害してしまった元刑事が、背後霊となったその犯人とともに、探偵としてさまざまな事件を解決していくという内容。月イチ連載だが、最初は2号連続前後編での掲載。すでに読切版でも読んでることもあり一話目についてはすごく面白いという感じではなかったものの、高橋秀武は絵もうまいし、まあそれなりの出来はキープしてきそうな感じではある。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 8/18+25 No.36+37 秋田書店 B5平

 「舞-HiME」の後継作品である「舞-乙HiME」が連載開始。漫画版担当は前作同様、佐藤健悦。前作とは舞台はガラリと変わり、ヨーロッパ風の王国。王族や政治家を守ってサポートするプロフェッショナル「乙HiME」を養成する学校を舞台にストーリーは展開。主人公のは男子だけど、王女であるマシロ姫に変装して学校に編入することになる。まあ今回はキャラの顔見せメインだが、前作のキャラも名前をちょっと変えていろいろ登場してきている。誰が出てるかは見てのお楽しみということで書かないけど、キャラが魅力な作品なんでいいんじゃないでしょうか。佐藤健悦の漫画版はけっこう面白いと思うのでまずは期待。アニメもたぶん見ます。

 ひのき一志「ガン×ソード」は、今回もむちゃくちゃで面白い。ヴァンがギャンブルに挑戦するという話だが、最後のオチが大ざっぱすぎて笑った。もうひのき一志テイスト全開。アニメのほうもこうだったら面白かったのに(たぶん放送できないだろうけど)。作:森高夕次+画:松島幸太朗「ショー★バン」。またしてもすごく引っ張る。新チームの全貌はいまだ明らかにされず。くそー、気になるぜ。作者のやり口に、うまうまと引き込まれてしまってます。浜岡賢次「元祖!浦安鉄筋家族」は、先日急逝した橋本真也をモデルとした、橋友真也の回。別にお涙頂戴的な展開にはしておらず、いつもどおりなギャグなのに、ちょっと切ない気分になった。小沢としお「ナンバMG5」は、ご主人様を心配する犬の松がいい味。考えてることはヤンキー風だけどかわいい。

【雑誌】コミックメガストアH 9月号 コアマガジン B5平 [定期購読:7andyicon/Fujisan

 巻頭カラーはきのした順市「π+」。今回もお肉たっぷり。もっちりした熟女がエロい行為にふけっている様子は、とても気持ち良さそう。この人の描く女の子はすごく触り心地が良さそうで好き。RAYMON「躾の教育実習」は新連載。教育実習生の兄ちゃんが、学校でいとこの娘やそのほかの女教師とやりまくるって感じかな。つやつやとしたテカリのある肌の描き方がエロっちい。ゆきみ「NATIVE HEART」。なんかヒロインの黒人娘さんがかなりナディアっぽい。乳はナディアよりもだいぶ大きいですが。

【単行本】「化けの皮」 戸田誠二 ぶんか社 A5 [bk1][Amzn]

【単行本】「唄う骨」 戸田誠二 ぶんか社 A5 [bk1][Amzn]

 戸田誠二といえば、自身のホームページCOMPLEX POOLで発表されたショートコミックが単行本化されて、漫画マニア層の注目を集めた人だが、この2冊は「まんがグリム童話」を中心に発表された作品を収録したもの。東西の童話から題材をとって、独自の味付けで作品を展開。そのどれもがすごく読ませる。基本的に童話を元ネタにしているが、そこから悲喜こもごもの人間ドラマを展開。ちょっとしたことをきっかけにすれ違ってしまう人間たちの想いを、深みのある物語に仕立てており、読んでいると得もいわれぬ感動に包まれる。すごくジーンとする、心に染み入るものがある。お話自体は全体で見ると悲劇が多いけど、基本的にそれは人を想う気持ちから発しており、優しさも同時に感じさせてくれる。それ切なさをさらにかきたて、物語をいっそういとおしいものにしている。お話作りがすごく丁寧で、素朴な絵柄のおかげもあってキザになりすぎることもなく、真っ正面から物語を受け止めやすいのも長所。2冊ともすごく面白かったです。

【単行本】「団地ともお」5巻 小田扉 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 安定していつつとても面白い。回が進むにつれ、好きなキャラが増えていく。とくにこの巻では元裁判官で今は退職し、ひまを持て余している間さんの思考が面白い。いちいち杓子定規に物事を解釈するが、それに対して自ら疑義を差し挟み、自縄自縛状態になっている様子が笑える。あと個人的にけっこう好きなのが、ともおの友達でありちょっと優等生的な思考の持ち主・吉本くん。ともおの天然ぶりに嫉妬したり、周囲の反応をやたら気にする小心者ぶりがなんかたまらない。あと基本はギャグだけど、ともおたちの学校の女先生と、彼女の人生の師であった元教師のおっちゃんのエピソードなんかは、すごくしんみりさせてくれる。ちょっと泣かせるお話であっても、ユーモアのおかげでベタになりすぎないところもイイです。

【単行本】「ゆびさきミルクティー」5巻 宮野ともちか 白泉社 B6 [bk1][Amzn]

 無軌道に突っ走る天然ジゴロ、池田由紀がさらに加速。これまで幼なじみのひだり、同級生の黒川水面さん、あまつさえ親友である亘などを次々と陥落せしめてきたが、この巻では実姉、なんか同級生の絵が好きな男の子らのハートをゲット。ひだりの親友女子にもちょっかいをかけるなど、相変わらずの大活躍ぶり。なんかすごい作品になってきました。もうこうなったら行き着くところまで行ってほしい。


8/2(火)8/3(水)……ショウギズTODAY

▼土曜日からなんだかんだでずっと仕事場にいます。そんなわけで2日分まとめての更新なうえ、量的にも少ないです。アニメもこのところたまりまくり。ただようやく繁忙期は抜け出しつつあるので、ここらでガッツリ……といいたいところなんだけど、そろそろお盆進行とかあるんだよなー。まあ前向きに善処しようかなとか思ったりしてます。

【雑誌】漫画アクション 8/16 No.17 双葉社 B5中

 今号は湯浅ヒトシ「耳かきお蝶」がすごくいいなあ……。江戸の夜空に、誰も見たことのないような花火をあげようと、執念を燃やした一人の花火職人の職人魂を描いたお話。すべてを失ってもなお、一瞬にすべてを賭けた職人の生き様に、大いに心動かされた。この作品はパッと見地味だけど、普段は飄々とした味があるし、今回のような泣かせる回もある。なかなか良い作品です。

 作:末田雄一郎+画:吉本浩二「昭和の中坊」は、エロいものを見てみたいという想いで悶々となっていた昭和の中学生どもを描いていく、青臭い新シリーズ。空き地で友達とエロ妄想に夢中になったり、エロ本の自販機を見てドギマギするという微笑ましい内容だが、吉本浩二の暑苦しい絵柄がムンムンした雰囲気を出している。なんかたまりまくった中学生の匂いがプ〜ンと漂ってきそう。ウザいんだけどつい見ちゃう、吉本浩二にはそんなところがある。

【雑誌】漫画サンデー 8/16 No.31 実業之日本社 B5中

 創刊46周年記念だそうです。というわけで巻頭カラーも新田たつお「静かなるドン」。単行本は累計3800万部突破したとか。個人的には単行本買いというタイプの作品じゃないけど、途中のどこから読んでも面白く読める作り方はうまいな〜と感心する。

【雑誌】週刊少年サンデー 8/17 No.36 小学館 B5平

 井上和郎「あいこら」。今回は声担当の女の子、鳳さんのお話。実は歌がうまいんだけど、恥ずかしがり屋のため、人前でそれを披露したことがない彼女をハチベエがアシスト。ハチベエがいい奴っぷりを発揮していてなかなか良かった。こういうバカで単純だけど気のいいヤツって感じの主人公は、ステロタイプではあってもやはり好き。鈴木央「ブリザードアクセル」は、試合とかじゃないけどちゃんと面白い。寮に入るための試練に吹雪が挑む。フィギュアスケートの具体的な技術は、一般的にはあまりなじみのない領域だけど、熱血なお話をやりつつそういう点もきちんと解説しているところがいいと思う。あと最初はライバルキャラだった五反田がけっこういい人だなあという感じ。

【雑誌】週刊少年マガジン 8/17+24 No.36+37 講談社 B5平

 新連載、米林昇輝「コマコマ」が巻頭カラーでスタート。将棋漫画。普段はヘラヘラしてるけど実は天才少年な主人公が、偶然出会った将棋指しのにーちゃんに才能を見出され、将棋の道を歩んでいくという感じ。ガチでいくのかコメディでいくのかは不明ながら、出だしとしてはまずまず。森川ジョージ「はじめの一歩」は間柴vs.沢村の闘いは、結果的にとても重く切ないものになった。ネタバレしないように書くのは難しいけど、結末の重さがズシーンとくる回だった。小林尽「スクールランブル」。天満17歳のお誕生会風景。播磨の愚直さがちょっとじーんときた。


8/1(月)……顔拓

【雑誌】近代麻雀 9/1 竹書房 B5中

 やっぱり能條純一は、「哭きの竜」を描いているとイキイキしてるなあ。メインキャラクターがどうのこうのしてるのもいいけど、「あんちゃん何ゆった!?」とかいってるチンピラさんの顔がええです。すごく味がある。清田聡「戦略機甲麻雀遊具ガンタック 再会」。このシリーズは見た目は地味っぽいけど、内容は意外とぶっ飛んでるし面白いなあ。清田聡はやっぱ才能あると思う。いちおうおさらいしとくと、ガンタックは人工知能を内蔵しており、足や手が生えてて自分で動いたりもできる、本当の全自動麻雀卓です。その制作者であるおっさんが、ガンタックと一緒に旅しているという設定が面白い。でも今回で最終回なのか……。単行本は当然のことながら出ないでしょう。

【雑誌】ビジネスジャンプ 8/15 No.17 集英社 B5中

 作:河合香織+画:田中健一郎「ニュー・プログラム!!」は、かつて大ヒットしたクイズ番組「なるほど!ザ・ワールド」の誕生秘話。わりとしっかり描けてて読ませる。そういえば益田由美なんて人もいましたなあ。あと36.4%という視聴率が出て「巨人戦の視聴率を超えました」といっているシーンに時代の流れを感じた。今だと6.4%でもときどき巨人戦超えちゃうし。

【雑誌】ヤングマガジン 8/15 No.35 講談社 B5中

 久しぶりに市川ヒロシ「2人暮らし」が掲載。今回も変わらず、一郎が同棲中の彼女・モモコに振り回されっぱなし。モモコの大ざっぱぶりと、一郎の無口さ、不器用加減が見てて面白い。なかなか登場の機会はないだろうけど、単行本の次の巻が出るまで頑張ってほしい。平本アキラ「アゴなしゲンとオレ物語」。そうか、肥後ずいきって具体的にはこういうふうな感じなのか……と妙に勉強になった気分に。自分で手にすることはあんまりなさそうな物件だけど。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 8/15 No.35 小学館 B5中

 作:雁屋哲+画:花咲アキラ「美味しんぼ」。今回はマグロのお話。一度その上等なマグロを食ってみたいものだけど、それにしてもこんな奴らにそんなうまいものを食わすこたあないのに……。やはり世の中、声のデカい人が勝つのだなあ。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 8/15 No.35 集英社 B5平

 ついに河下水希「いちご100%」が最終回。長いこと引っ張りまくった本作だが、終わり方としては、まあきれいにまとめてきたといっていいんじゃないでしょうか。真中の出した結論についても、いちおう納得。ストーリー全体で見ると迷走気味なところもあったけど、局面局面ではなんだかんだで楽しめたし、好きか嫌いかでいったらやっぱり好きな作品でした。作:稲垣理一郎+画:村田雄介「アイシールド21」はワイルドガンマンズ戦の大詰め。最後のワンプレーになるかってな感じで、ガツガツ盛り上げてきてます。今だアメフトのルールをよく理解していない私ではありますが、ちゃんと楽しめます。まあアメフトの場合は、「分からなくても読める」くらいにしとくのがちょうどいいと思う。新規読者のためにいちいちルールを説明することはできないし、途中からでも読めるようにしとかないと読者層が広がらないんで。大亜門「太臓もて王サーガ」は2回め。今回もパロディネタたっぷり。。いろいろネタが山盛りで今のところはまずまずの滑り出し。天野晃「家庭教師ヒットマンREBORN」。ツナに恋する乙女、ハルちゃんがかわいい回でした。あとツナがわりと普通にイイ男だったような。

【雑誌】ポプリクラブ 9月号 晋遊舎 B5中

 お、へかとんが久しぶりに登場。「おあずけ花火」。幼なじみ(?)の年上の彼氏に、ノーバンノーブラで浴衣着て夏祭りに恋といわれた女の子が、スースーする感触にドッキドキ……ってな漫画。へかんとんの場合、強く「めがねっ娘」だということは意識させないけど、ヒロインはだいたいおっとり顔のめがねっ娘。線に愛敬があってやっぱいいっすね。見てて楽しい。巻頭カラーは天櫻みとの「夢よりリアル」。同じクラスの好きなコが実は自分のことを好きで、ちょっとした事件をきっかけに二人が結ばれるという学園ラブラブエッチ。絵柄が華やかでかわいい。あと乳がけっこうデカめで良い形だなあとか思いました。

 なぎさわゆう「大好きって言わせたい」。主人公に対してやたらにべたべた引っ付いてくるロリっ娘がかわいいです。なかなか「好き」っていってくれない主人公に、なんとかそれをいわせようと頑張りまくっている様子が微笑ましい。井ノ本リカ子「おさななじみ」は、おさななじみだけど恋人というわけでもない、でもいつも一緒にいる二人がエッチなことをするという内容。いつもながらの柔らかい絵柄で、安定して良い。BENNY'Sは今回載ってないけど、単行本「らぶねえ」が19日に発売なんで、単行本作業のためお休みってとこでしょうか。


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