2005年12月中旬


12/20(火)……興奮度C

【雑誌】漫画アクション 1/3 No.1 双葉社 B5中

 新連載「ぬけぬけと男でいよう」は、原作が内田春菊で、作画が「バドフライ」を描いたイワシタシゲユキというなんだか意外な組み合わせの作品。「男と女、愛と性の不条理をリアルに描く新連載」とのこと。1話めは、外に愛人を作りつつ自分ではうまくやってるつもりだけど妻にはバレバレ、でもシラを切り通すやり手サラリーマンのお話を展開。まあまあの出来か。イワシタシゲユキについては、そらみみくろすけ名義で「放課後戦隊ゴタッキー」を描いていたころから気になっている人なので、うまいこと定着できると良いなあとか思ったりします。

 作:新堂冬樹+構成:八潮路つとむ+画:西崎泰正「カリスマ」は最終回。新興宗教の教祖やカルト教団からの脱会を手助けする業者の男らが、我も我もと人妻さんに群がっている様子がなんかエロい作品だった。漫画アクションは2003年9月に一度休刊し、2004年4月に復刊。その当時は北朝鮮による拉致問題を扱った「奪還」(本そういち+蓮池透)など、ドキュメンタリー色の強い誌面を作っていたが、この「カリスマ」や、「17歳。」(作:藤井誠治+画:鎌田洋次)が終了し、当初のドキュメンタリー系の作品は郷田マモラ「モリのアサガオ」を残すのみとなり、ほぼ通常の青年誌となった。コンセプト優先で生き残っていくのもなかなか難しいもんだなあと思ったりする中、一人シュールな世界を突っ走り続けている、相原コージ「真・異種格闘対戦」が復刊からずっと続いているのはなんだか凄い。

【雑誌】ビッグコミックオリジナル 1/5 No.1 小学館 B5中

 福本伸行「最強伝説黒沢」。黒沢さんのカリスマ化が著しい。最近はホームレスの人たちを守るため、弱者をいじめる若者たちと一戦を交えようとしている。いつの間にか「黒沢人脈」なるものまで形成されてるし。このまま行けば、本当に最強伝説を作ってしまうかもしれん。黒沢さん恐るべし。

【雑誌】漫画サンデー 1/3 No.1 実業之日本社 B5中

 作:みね武+画:倉科遼「艶恋師」では、菊之介の名を騙り、女とやりまくらんとする偽物が登場。下らなすぎる……。本家が偽物を懲らしめるために、本物のセックスを見せつけるシーンも笑える。菊之介が着物を脱いだ瞬間、偽物が「フンドシ! 俺はブリーフ……」「外見だけ真似してたってことか……」などと驚嘆する。いや、それも十分外見だと思うんだけど。ちなみに今回もいつもどおり「きぬた」を決めてます。アヒイ〜ッ!!

【雑誌】花とゆめ 1/10 No.2 白泉社 B5平

 読切掲載のトビナトウヤ「潔癖少年完全装備」は、極端に汚れを嫌う潔癖症の少年が、修学旅行の最中に好きな娘ができて、彼女への恋心でもって潔癖症を乗り越えてしまう……というラブコメ。ピチピチ華やかな絵柄がパッと目をひいた。ちとコマ割りがゴチャゴチャしてて読みにくい部分もあるけれども、なかなか可愛らしい作品です。


12/19(月)……寿司好き

【雑誌】別冊ヤングマガジン 1/10 No.13 講談社 B5中

 ぢたま某が最近いろいろ復活気味。こちらでも新連載「kiss×sis」を開始している。ヤングマガジン2004年2/2 No.8(当時の感想は20041119日記にあり)に読切で掲載された作品の続きで、血のつながらない姉二人に告白されちゃった弟くんが、姉二人のラブラブ攻撃の前に翻弄されるというドタバタコメディ。朝起こすときからいきなりベロチュー。お風呂にまで入ってきたりして、弟くんはもうタイヘン。お姉ちゃん二人ははた迷惑だけどかわいいし、エッチなサービスシーンももりっと用意されててウハウハ感のある作品。カラッと明るく仕上がってて楽しく読んだ。

 記伊孝「犯罪交渉人峰岸英太郎」は最終回。ラストのカルト教団交渉編は、お話自体はそう複雑ではないけど印象としてはゴチャゴチャした感じだったかな。個性的な作画と大胆なストーリー進行で、面白い作品ではあったけれども。なお記伊孝の次回作は「早ければ来春」とのこと。

 あと別冊ヤンマガ名物、荒削り新鋭組も今号は面白かった。まず、もみのき「東京ハコ入りROCKERS」2話め。絵はうまくないけど気になる存在。今回は登場キャラはヘンながらも、意外とアツい青春ドラマになっていた。青臭い言葉の使い方には、ちょっとタイム涼介に通ずるものがあるかな。村岡優「モエ系」。幼なじみの女の子が成長して柔道金メダリストになったが、容姿もほとんどゴリラみたいになってしまって複雑な想いを抱えている少年の悶々とした日常を描く物語。こちらは暑苦しい作風ではあるけど、オーソドックスな作りで普通に面白い。

 阿部寛行「ロックンロール先生サソリダ」(取材&原案:大西祥平)は久々の登場。リーゼントで頭をガチッと固め、教育ともなんともつかないものを生徒たちに施す、ファンキーな教師のお話。クセのある絵柄、ヘンなキャラ作りとには惹かれるものがある。ぶっ飛んでいるようでいて、意外にお話としてもまとまっているような。あとルノアール兄弟「官能小説家カリオカ」も下らなくて良かった。普通のモノを見ても、官能小説調で奇矯な内容の文章に仕上げてしまうカリオカ先生の行動が笑える。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 1/13+16 No.3+4 小学館 B5中

 窪之内英策の新連載「チェリー」が巻頭カラー。ど田舎の村で、日常に退屈しつつもそこそこ楽しく過ごしていた夢見がちな少年が、ある日天使のような美少女と出会う。そして彼女から思いもよらぬ告白を受けて、その日常が動き出していく……といった感じの第一話。少年はいくぶんチャラめだが、美少女さんは可憐で美しい。まずは様子見だけれども、甘酸っぱいお話になりそうな感じ。柏木ハルコ「QUOJUZ」は堅調。イケメン主人公が女の子たちに囲まれ、ハプニング続出。賑やかでノリが良くていいです。真鍋昌平「闇金ウシジマくん」では、美人局に引っかかったおっさんがチンピラにーちゃんに吊るし上げられてるシーンが何気にキツいですな。34歳で18歳の女の子と援交しようとして引っかかって、「ヘタしたらてめェの娘でもおかしくねェ年の差だぞ」とかいわれてるんだけど、自分ももう33歳なんで……。若者はもう少し優しくなったほうがいいです。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 1/15 No.3 集英社 B5平

 澤井啓夫「ボボボーボ・ボーボボ」が連載再開。第2部がスタート。内容が内容だけに、それで何か変わるわけでもなさそうだけど。江尻立真の読切「World4u」は、以前にも掲載されたことのある都市伝説をネタにしたオムニバスストーリー。絵がきれいでまとまった内容。少年少女もかわいい。ただやっぱ一編一編が短くてキャラが強烈に立つことがないので、うまいんだけど読みごたえという点ではもう一歩か。

【雑誌】チャンピオンRED 2月号 秋田書店 B5平

 山口貴由「シグルイ」では、伊良子清玄と虎眼先生の対決が実現。まだお互いに間を測り合っている状態で、刃を派手に交えているわけではないものの、じりじりと確実に沸点に近づいていってて手に汗握るものがある。体の各部の描写に非常に迫力があって、ビンビン来てます。あと渡辺航の「電車男」は前号の順番入れ違い掲載のフォローで、2話をまとめて掲載。

【雑誌】まんがくらぶオリジナル 2月号 竹書房 B5中

 中島沙帆子「電脳やおい少女」が巻末の2色枠で掲載。でもあんまり2色はうまくないかも。それはともかくとして、実はけっこうやおいに染まってきている玉垣くんが、美月のやおい仲間な人とお知り合いになって多少なんかありそうななさそうな、という感じ。

【単行本】「小池田さんと遊ぼう!」 みた森たつや コアマガジン A5 [Amzn]

 ラブラブで甘甘、エロエロで濃密。いやあいいですね。普段は愛想がなくてとっつきにくい、でも実はよく見ると美人で巨乳な小池田さん。そのクラスメートの木村くんが彼女が学校をノーパンで歩き回っているところを目撃してしまい、そこから彼女との変態セックスまみれの生活が始まっていく。小池田さんは普段は目立たないけど、エッチになるとたいへん積極的。そしてMっ気バリバリ。そんな彼女に触発されて、木村くんも自分の中に眠っていたSとしての素質を見る見る開花させていく。

 で、この二人がほぼ全編にわたってのべつまくなしやりまくる。放課後の教室で、屋上で、学校や公園のお便所で、町中で、木村くんのおうちで……。とにかくセックスの相性が良すぎな二人の行為はどんどんエスカレート。終盤は木村くんが所属する「バイト部」に恨みを持つ生徒会長によって二人はピンチに陥るんだけど、それがまたいっそう絆を強化。そのセックスがディープになっていくのに伴い、二人の恋愛感情もまた高まっていく。エロのハードさと恋愛感情が正比例している。そのラブラブな様子には、トロけるような甘美さがある。

 また小池田さんのキャラは終始魅力的。エッチには貪欲ながらもさまざまな恥じらいの表情を見せてくれて飽きない。初めて木村くんの家に行ったときに、彼の匂いのついたふとんに欲情しまくって恥ずかしがるあたりなんかは、くわーっとくるかわいさ。エロシーンの前の欲情と好奇心、期待に満ちあふれた表情なんかもいいし。まあ正直、バイト部がらみの話はちと説明不足な感もあるけれども、そういった細かいことは吹っ飛ばしてくれるくらいにこのカップルのテンションは高いし、見てて面白い。といったわけでとても満腹感のある作品でした。


12/18(日)……いたちの痴態

【単行本】「シートン 第二章 少年とオオヤマネコ」 谷口ジロー  双葉社 A5 [bk1][Amzn]

 谷口ジローが描く「動物記」の第2弾。第一章は「狼王ロボ」で、大人のシートンさんが主人公だったけれども、第二章ではシートンさんの少年時代のエピソードを描く。これはまだシートンさんがナチュラリストとして目覚める前の物語。彼が知り合いのトム一家が暮らす山奥の農場でしばらく過ごすことになるが、一家とシートン少年が皆熱病にかかってしまい、周囲から隔絶した状況で極限的な生活を送ることになる。その状況をさらに苦しくしたのが一匹のオオヤマネコ。折しも山も疫病のためウサギたちが姿を消し、餓えたオオヤマネコは、熱病で弱ったシートンたちの暮らす家に忍び込み、ニワトリなどの食料を奪っていくようになっていた……。

 というわけでこの巻では、シートン少年たちが生死の境をさまよい、自然の厳しさやオオヤマネコと戦っていくことになる。お話が進むにつれて食料が枯渇、栄養分も足りなくなり、シートンたちがどんどん弱っていく様子はかなり息詰まるものがある。またたかが一匹のオオヤマネコであっても、弱った人間に脅威的な存在になり得るということが、ひしひしと伝わってくる。オオヤマネコ側の苦しい状況も緊迫感を持って描かれており、自然の厳しさ、世界の無常を感じさせる。淡々とした筆致でいながら、少しずつ事象を積み重ねてお話を盛り上げていく手腕はさすが谷口ジロー。前章の「狼王ロボ」編がお話としては最も面白いといっていいだろう部分だったので、「今回はちょっと落ちるかも」とか思っていたが、まとめて読むとこちらはこちらで面白いし読みごたえがある。第三章も楽しみ。

【単行本】「スナック鳥男」 見ル野栄司 コアマガジン A5 [bk1][Amzn]

 あちらこちらでヘタウマ系のショートギャグ作品をいろいろ描きつつも、なかなか単行本が出なかった見ル野栄司だが、なんだか意外なところから初単行本が登場。クセのある絵柄でヘンなギャグをやってて、個人的には爆笑というほどでもないんだけど、なんか妙なまったり感があって気になる存在。収録作品の中では、タイトルにもなっているセキセインコ顔の男子が奇矯な行動を繰り返す「よろしく鳥男」シリーズがインパクトあり。また、冴えないサラリーマン3人が呑んでくだを巻き続けるだけの漫画「とりあえず生」は脂の浮いた生ぬる〜いビールのような味わいで捨てがたいものがある。荒削りなようでいながら、意外と汎用性の高い作風だとは思うんですが。

【単行本】「新世紀エヴァンゲリオン 鋼鉄のガールフレンド2nd」6巻 作:GAINAX+画:林ふみの 角川書店 新書判 [bk1][Amzn]

 これが本当の最終巻かな。5巻ではゲンドウ、ユイらの若いころのお話をやったけど、この巻ではまたシンジ、アスカ世代に話を戻す。4巻のラストでいったん離れ離れになり、その後成長して再会するエピソードが描かれたチルドレンたちだが、この巻ではちょうどその間のあたりの人間模様が描かれる。ミサト×カジ、レイ×リツコ、ヒカリ×トウジ、そしてラストはシンジ×アスカに話が戻る……といった感じ。ここまで作ってきたキャラたちそれぞれの物語を、きれいに締めくくっててしみじみする内容だった。エピソードの中では、シンジとアスカの話はもちろんいいんだけど、フラレ組の似た者同士であるレイとリツコにスポットを当てたエピソードが、ほろ苦くも爽やかな後味で好印象。「今さらエヴァアンソロ系かよ」みたいにいわれがちな作品かもしれないけど、個人的には楽しく読めたシリーズだった。

【単行本】「学園アリス」9巻 樋口橘 白泉社 B6 [bk1][Amzn]

 いやー、もうラブコメ度が高まりまくりでございますなあ。この巻ではアリス学園のクリスマスパーティの模様が描かれるのだけれども、蜜柑とルカ、蜜柑と棗、それぞれにロマンスが生まれてたいへんラブラブ。どう見ても棗のパートのほうがラブ度が高くてルカぴょんがちとかわいそうな気もするが、彼と蛍も悪くない組み合わせかと思うので、まあなんとでもなるでしょう。あと女の子キャラで、凄い力の持ち主で危険能力系だけど天然なのばらちゃんという娘も新たに登場してて、彼女もなかなかええ感じ。性格的には「MとNの肖像」のヒロインさんをちと思い出すものが。それと樋口橘の絵もずいぶんうまくなったなーと思う。昔は線が太めでちと垢抜けないところもあり、そこが味でもあったんだけど、最近はずいぶん線が細く、華やかになってる。まあ昔のほうが好きだったという人もいるかもしれないけど、絵がきれいになったことで蜜柑の美少女度が増し、それがラブコメ度上昇に寄与している感じもします。

【単行本】「特殊能力アビルEXTRA」 おおひなたごう イースト・プレス A5 [bk1][Amzn]

 「TV.Bros」発表作品を中心に、こまごまとしたギャグ漫画を収録した作品集。時事ネタが多いけど、ネタのヒネり方が鮮やかで、この人でなきゃ出てこないって感じの作品を描いているので、今読んでもけっこう面白い。いちおう中心となっている、役に立たない特殊能力をいろいろ持っている少年の話である「特殊能力アビル」もかなり下らなくていいし。短めでネタ満載の漫画を多く収録しているので、読むのにはけっこう時間がかかる。ただ、どこから読み始めてもOK、どこで読み終えてもOKという作品なので、寝床の脇にでも脇にでも置いといて、手持ちぶさたなときにちょっと手を伸ばすといった感じの読み方に最適なタイプの作品だと思う。

【単行本】「ゆめの底」 岩岡ヒサエ 宙出版 A5 [bk1][Amzn]

 「夢ができる場所」である、生と死の中間点みたいな不思議な世界にあるコンビニを舞台にしたファンタジー。主人公はそこで手伝いをやってる女の子。そのコンビニの店長さんや、店を訪れる魂たちらの間で、胸を締めつけるような切なさ、そして暖かさが同時に存在する、静かで優しい物語が展開される。元は同人誌で描かれた作品だけど、完成度はかなり高い。独特の細い線で丁寧に描かれたちんまりした絵柄がとてもかわいく、また情景描写も幻想的で不思議な感触がある。新鋭ながらもすでに作風は完成されてて、パッと見てすぐ岩岡ヒサエだと分かるオリジナリティもある。ただ完成された作風だけに、このあとどういうふうに伸ばしていけばいいのかはちと見えにくいタイプだとは思うので、そこらへんはうまいことやってってほしいところではあります。

【単行本】「純情痴体 リクエスト版」 ジェームスほたて メディアックス A5 [Amzn]

 以前、「高橋くるみ」名義で出た単行本を、「ジェームスほたて」名義で出し直し。当時の感想はオス単2003年8月分にあるので、とくに書き足すこともないんだけど、とりあえずペンネームがいくつもあると把握するのも面倒なのでその点はまあいいんじゃないでしょうか。ジェームスほたての作品自体も、このあたりからグンと良くなってきたと思う。エロの密度も高くなり、かわいいけどじゅくじゅく汁っ気のある絵が威力を発揮している。作劇面ではもう一押し欲しいかなあとも思うけれども、いい仕事してるエロ漫画家さんの一人だと思う。


12/17(土)……オー、ペラペラペラリンコ

【アンソロジー】OPERA VOL.01 茜新社 A5平 [Amzn]

 ボーイズラブとうたってはいるけど、特集は紳士萌え。とくにbasso(オノ・ナツメ)を強くプッシュしていて、3作品でほぼ100ページを掲載。「LA SCORTA」は経済学者のヴィットーリオと、そのボディガードに雇われた紳士さんのお話。この作品が一番ページ数も読みごたえもあり。ボディガードさんのあごひげがセキシー。2作めは「GELATRIA DI MARCELLO」。「ジェラート組の3人組の話」というサブタイトルどおりの作品。3作めは「partita」。こちらは短めのショート・ストーリー。いずれもスーツ着用の渋みのある美紳士を、色っぽく描いててそのスジの方を萌えさずにはおかないような内容となっている。いちおうからみのシーンもあるけど、それ抜きでも十分楽しめそう。作者の煩悩が出まくりなのに、品が良いってのが素晴らしい。

 そのほかの漫画執筆陣は、松尾マアタ、柊のぞむ、草野奈央、ルネッサンス吉田、石野アヤ、イケダコーコ、多田由美、片山蕨。この中では硬質な細い線で、ちょっと混沌とした感じの画面を作っているルネッサンス吉田が気になった。コマ割が細かくてちょっと読みにくいところはあるけど、なかなか面白い雰囲気。

【単行本】「DearS」8巻 PEACH-PIT メディアワークス B6 [bk1][Amzn]>

 最終回で大団円。おめでたく賑やかに終わってくれて後味は良かった。DearSたちの最終選択にまつわるゴタゴタの部分は、武哉パパの登場が突然だったり、もう少し整理して描いたほうが良かったかなーという気もするけれども。まあ全般的には可愛げのあるキャラも多かったし、楽しい作品に仕上がったと思う。登場キャラの中では、片想い組のミゥとねね子ちゃんがいいですな。まあレンももちろんいいんですが。

【単行本】「かみちゃまかりん」7巻 コゲどんぼ 講談社 新書判 [bk1][Amzn]

 神化して戦う少年少女、かりんと和音の秘密がいろいろと明かされて、お話は急展開。とか思ったら第1部完結巻だった。ちとゴチャゴチャしてて読みにくく、説明も舌足らずな感じは受けるものの、かりんと和音のラブラブっぷりは微笑ましくその点は楽しめた。ただ第1部の最終ページの構成はいまいち。上3分の1が余韻のコマで、下3分の2が新シリーズが始まるよってな告知カットになっている。もう少ししみじみした感じにすれば良いのになと思った。第2部も買うかどうかはそのときの気分で。

【単行本】「からくりサーカス」40巻 藤田和日郎 小学館 新書判 [bk1][Amzn]

 この巻ではフェイスレスがしろがねを宇宙に連れてっちゃうよーん、ということになってその瀬戸際での攻防が各所で繰り広げられる。マサルとフェイスレスの戦いも見どころだが、やっぱりこの巻はゴスロリ人形と化したコロンビーヌさんの存在感が大きい。マサルとからんでいい味を出してきたキャラだけに、その散りっぷりは泣かせるものがあった。それにしてももう40巻。あと5巻くらいですかねえ。

【単行本】「ブリザードアクセル」3巻 鈴木央 小学館 新書判 [bk1][Amzn]

 週刊少年サンデーで連載中のフィギュアスケート漫画。なかなか面白いです。この巻では特待生になれるかどうかを賭けて試練に挑むことになった主人公・吹雪が、学園の寮に入ることに。そこで寮の先輩たちから厳しい入寮テストを課せられることに……ってな過程を経て、彼らに認められて仲間になっていくという感じ。美少女スケーターな六花とペアを組むことになったり、いろいろな新しいことに吹雪は貪欲に挑戦。楽しく熱血しているのが良いです。あとアクションシーンが爽快で、フィギュアスケートの技術的なことを無理なく説明できている点もポイントが高い。ちゃんと作者が楽しんで描いてるなーということが伝わってくる作品。

【単行本】「義経ちゃん剣風帖」3巻 小野寺浩二 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]

 最終巻。めがねっ娘のめがねに義経が憑依するという設定自体はいいけど、盛り上がりという面ではもう一歩かな? メインのストーリーが若干弱めだったような。これまで萌え系のネタをいろいろといじってやってきた小野寺浩二だけど、最近は一時期ほどの勢いはない感じがする。オタ系のネタはちりばめつつも、基本的な作風は少年漫画的な人だと思うんで、本筋を強化しつつ燃えと萌えをうまく取り混ぜてやってってくれるといいなと思います。

【単行本】「おませなプティアンジュ complete」 月野定規 ワニマガジン社 A5 [Amzn]

 愛蔵版での出し直し。旧版は、1巻が2001年8月、2巻が2002年11月。月野定規は出始めのころはわりと線が固めであまり実用的な作風とはいえなかったけど、この作品の途中あたりからどんどん化けていった感があります。線がまろやかになり、エロ度もどんどん上がっていった。

 内容のほうは羽がとれちゃって天界に帰れなくなってしまった天使のアンジュと、彼女に惚れ込んだ人間のタイスケが一緒に暮らし始め、そこに悪魔っ娘の麻耶や天界でアンジュの家の使用人をやってたラヴィアンも加わって、気楽でバカチンでエロエロな生活が繰り広げられていくのでした……という感じ。

 この作品では、登場人物たちがそれぞれいい味を出していた。中でもとくに良いのが悪魔っ娘の麻耶。最初は小生意気そうな感じで登場したが、だんだんエッチに開発され、さらに主人公のタイゾウに惚れてメロメロ状態になっていく。麻耶が恥ずかしがったり、快楽に溺れちゃっていくありさまはなんともキュート。途中からは完全にアンジュを食って、メインヒロイン化していた感がある。お話のほうも毎回ノリノリでエロをやってたし、ギャグも利いてて、愛敬のある面白い作品だった。久々に読んでみたけど、今読んでも十分楽しめる作品だと思う。

【雑誌】コミックメガストア 2月号 コアマガジン B5平 [Amzn][定期購読:7andyicon/Fujisan

 米倉けんごの巻頭カラーマンガ「スィートモンスターズ」は三角関係ラブコメH漫画。主人公が、隣に住んでる幼なじみツンデレ女子にナイショで彼女を作ったところ、激しくヤキモチを焼かる。しかしそんな幼なじみ女子が無性にかわいく思えてしまった主人公は、彼女ともエッチしちゃって、事態は混迷……ってな感じ。これは続きもあるんかな。なかなかいい感じでラブコメしてて好きなタイプの作品だけど。

 三浦靖冬はメガストア初登場。「櫻ノ國ノ旗フツテ」。いつもながら繊細な絵柄でレトロな風景を美しく描写し、そこに美少女を配置。画面作りは非常に美しい。ただこの人の場合いつもそういうテイストなんで、そろそろ新しい何かは欲しい感じもする。この人はほかにはない絵の持ち主だし、もう一皮むけることを期待してます。おりもとみまな「ふたちゅ」。こちらも初登場で、ふたなりもので勝負。ラストのオチとか、ふたなりのちんこいじりぶりがわりと面白い。

 稍日向「Perverseness」は妹モノ。憎まれ口を叩きつつも、お兄ちゃんにかまってかまってする妹さんの様子がなかなかかわいいですな。エロもラブも色濃い。ゴージャス宝田「クラッシュ!」は4話め。地震で地底に閉じ込められた男性教師と少女たち……という閉鎖空間パニックものだけど、なんか立て続けに女の子たちの抱えるシリアスな事情が明らかになってきましたなあ。それぞれの設定をどう着地させていくのか、引き続き気になるところ。


12/15(木)12/16(金)……吹っ飛ぶオール

▼16日売りの雑誌あたりから、コミックとらのあなの広告で「とらのあなの美虎ちゃん」100回めが掲載されておりますな。いやーめでたいめでたい。勢いあるし、広告漫画ながらときどきさらりとシュールなネタもやってくるし、毎回楽しみにしてます。最近はだいたい月1、多いときで月2程度の掲載だから、200回まではあと5年くらいでしょうか。

▼購入物件
【単行本】「スナック鳥男」 見ル野栄司 コアマガジン A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「DearS」8巻 PEACH-PIT メディアワークス B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「新世紀エヴァンゲリオン 鋼鉄のガールフレンド2nd」6巻 作:GAINAX+画:林ふみの 角川書店 新書判 [bk1][Amzn]
【単行本】「学園アリス」9巻 樋口橘 白泉社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「特殊能力アビルEXTRA」 おおひなたごう イースト・プレス A5 [bk1][Amzn]
▼17日売り
【雑誌】コミックメガストア 2月号 コアマガジン B5平 [Amzn][定期購読:7andyicon/Fujisan
▼19日売り
【雑誌】ウルトラジャンプ 1月号 集英社 B5平 [定期購読:出版社

【単行本】「青い花」1巻 志村貴子 太田出版 A5 [bk1][Amzn]

 マンガ・エロティクスFにて連載中の、たいへんステキな百合漫画。すでににゅーあきば.comのほうでレビューをアップしちゃっているので、そちらのほうをご参照いただくのもよろしいかと思います。あっちは画像付きですし。まあそんなわけで繰り返し書くことになっちゃいますが、本作の舞台は鎌倉。高校入学とともに、久しぶりに幼いころに過ごした地に戻ってきた女子・万城目ふみさんは、そこでひょんなことから子供のころの親友であった奥平あきら、通称あーちゃんと再会。それによって昔彼女に抱いていたほのかな恋心が蘇るが、通い始めた学校でバスケ部の先輩女子・杉本サンに気に入られ、彼女とおつき合いを始めることに……。

 ってな感じで女の子同士の恋愛物語が、トキメキたっぷりに、美しく展開していきます。志村貴子といえば抜群に漫画がうまい人だけど、この作品もまた素晴らしい。まずはキャラがいい。美人でなんでもできそうでいながら実は恥ずかしがり屋で泣き虫のふみちゃんが、なんともおくゆかしくてかわいらしい。そして彼女が杉本センパイにアタックされてドギマギしたり、あーちゃんのことを思ってもやもやするあたりの甘酸っぱさにも、これまたドキューンとくるものがある。それから見せ方もうまい。そんな激しくお話が動いているわけではなくとも、間の取り方が絶妙なんで、スルスルと物語に引き込まれていってしまう。

 このままふみちゃんと杉本センパイがラブラブなままでいくのか、それともあーちゃんのほうに傾くのか、そのどちらでもない道に行くのか。今のところまだそこらへんは全然分からないけれども、どうなっていこうと面白そうだし、このまま物語に身を任せてればオッケーだろうなあという信頼感みたいなものはあります。続きも楽しみだー。

【雑誌】近代麻雀 1/15 竹書房 B5中

 青山広美「東風のカバ」は安定。いよいよ決勝戦になるが可馬山は苦境。あと2〜3回で勝負はつくかな? 展開が早くてサクサクお話が進む。あと今号には渡辺保裕が読切で登場。「麻雀ストラックアウト」。この人らしく、麻雀と野球をからめたドタバタコメディ。

【雑誌】ビジネスジャンプ 1/10 No.2 集英社 B5中

 新連載、作:宮崎克+画:あだちつよし「殴人K」。普段は公園で「殴らせ屋」をやっているけど、裏では人の恨みを拳で晴らす「殴り屋」という、必殺仕事人的な商売をやってる男が主人公。ストレートな勧善懲悪もので手堅そうな内容。

【雑誌】モーニング 1/12+15 No.3+4 講談社 B5中

 安野モヨコ「働きマン」。すれ違いの続いていた松方女史とその彼氏の仲がついに……というエピソード。彼氏さんが松方に対して抱くコンプレックスみたいな感情は、読者である自分がこの作品に対して抱く感想と相通じるものがある。つまり有能でパワフルな職業人の輝きが強すぎて、立派だと思う反面身につまされるという感覚。それだけに今回は「あー分かる分かる」という感じがすごくした。塀内夏子「イカロスの山」。主人公のザイルパートナーであった平岡の前に、なんか若い相棒候補が出現。ウホッ、なんか三角関係な気配?

 小山宙哉の新連載「ハルジャンプ」は、昨年12月発売の別冊モーニング 1/12 No.4で読切掲載された「ハレジャン」が連載に昇格したもの(当時の感想は20041216日記)。学校の屋上から、隣接する裏山にジャンプするという遊びに興じていた少年が、新任教師の導きによりスキーのジャンプ競技に挑戦する……というお話。最近日本のジャンプ競技はかなり低迷してるけど、面白いネタだとは思うし、漫画のほうも青臭い作風は悪くないと好感が持てるので頑張ってほしい。

【雑誌】ヤングサンデー 1/15 No.3 小学館 B5中

 長尾謙一郎「おしゃれ手帖」がついに最終回。ヘタウマ系で長年すごく頑張ってきた作品だと思うので、感慨深いものがあります。バブル時代を意地でも続けようとするトレンディー先生とか、秀逸なネタも多かった。ラストシーンでは、なんだかしんみりした気持ちになりました。北崎拓「クピドの悪戯」。恋愛模様がずいぶんドロドロしてきましたなあ。彼女の怜子から思わぬ拒絶の言葉を浴びせられ、睦月は失意のどん底に沈みそう。もう一人の学生時代からの知り合いねーちゃんにとっては大チャンス。まあ個人的にもあっちのほうがいいと思いますが……。

【雑誌】ヤングジャンプ 1/15 No.3 集英社 B5中

 作:小宮英之+画:水無月すうの読切「La Sorciele 魔女」の後編。魔女狩りの嵐が吹き荒れる世の中に翻弄され、思い悩む男女の姿を描いている。少女はしっかり可愛いけど、お話はなかなかハードだった。オーソドックスな作りで悪くない出来かと。

【雑誌】ヤングガンガン 1/6 No.1 スクウェア・エニックス B5中

 山田秋太郎「解錠ジャンキー・ロック」が月イチで連載開始。凄腕の錠前破り屋のあんちゃんが活躍する痛快活劇といったところ。この手の解錠をネタにしたアクションモノはいくつか見たことがあるけど、大きく成功した例はあんまりないかな? 錠前破り自体は普通にやったらアクションは地味になりがちなんでそこをどう見せられるか、あと錠前破りに持ってくまでの盛り上げ方、どちらも大事になってきそう。大高忍「すもももももも〜地上最強のヨメ〜」。最近シリアス展開で萌え度とかはちょい弱まり気味だが、今回はすももが素晴らしいヨメっぷりを見せてて良かった。こうまで献身的なところを見せられては犬塚もなかなか逆らえますまいて。

【雑誌】コミックバンチ 12/30 No.3 新潮社 B5中

 「U-31」の吉原基貴が新連載。「Foot!!」というタイトルからも分かるとおり、こちらも「U-31」に続くサッカー漫画。主人公はJリーグのチームをクビになった若きサッカー選手が、再び夢を追いかけるべく、イチから出直していく……という内容。最近はJリーグをネタにしたサッカー漫画は少ないだけに、この作品はなかなか楽しみ。「U-31」で示したように、作者はプロサッカーをよく知っている人らしいので、力の入った内容が期待できそう。最近バンチはいまいち面白くなかったので、楽しめそうな作品が出てきてうれしい。

【雑誌】ネムキ 1月号 朝日ソノラマ A5平

 今号はオガツカヅオが「イカしたマスターのいる店」と「りんたとさじ」の2本立てで登場。「りんたとさじ」は、ヘンなものが見えてしまう異能力の持ち主である男子リン太とおつき合い中の女の子が、彼によって奇妙な事件につき合わされるというお話。オチについては生理的嫌悪感のある人もいるかな。この人は構図取りがうまいし、着想も面白い人なので好きです。絵も細かくなっているような。それにしてもしつこいようだけど、「いついたるねん」はどこか単行本出してくれないかなあ。TONO「チキタ★GUGU」。ラー・ラム・デラルがなぜ人食いになったかが明らかになり、ラーは衝撃を受ける。ヒキの強い展開で先が気になるところ。単純なめでたしめでたしではいけないかもしらんですなあ。

【雑誌】COMIC RIN No.13 茜新社 B5平

 関谷あさみが好調。「放課後恋愛(2)」。つきあい始めたばかりの先輩男子と後輩女子が、彼女のおへやでエッチ……というほのぼのラブコメH。それだけといえばそれだけなんだけど、いかにも純な感じで妹感を漂わせた後輩女子がたいへんかわいくて良い。顔を真っ赤にしているとことかとてもキュートでございます。糸杉柾宏「お姉ちゃんのお願い2」は、お姉ちゃんに命令されて女装して町に出た主人公が、その姿をクラスメート女子に目撃されてしまって弱みを握られ、エッチなことをされちゃう……という内容。お姉ちゃん&同級生&主人公で三角関係になって、ラブコメとして面白くなってきた。続きもあるかな? LEE「きまぐれサンタ」は、ぷにぷにな幼女サンタさんがかわいい作品。くるくる変わる表情も良いです。

【雑誌】Colorful Drops 1月号 Vol.002 ビブロス B5平

 2号めだけど、いまいちパッとしない印象かなあ。執筆陣では、内々欅「名状しがたい生もの」が線に強弱が激しいユニークな絵柄と馬鹿馬鹿しいノリで目立つ。ちんこの生えちゃった女の子が主人公のドタバタコメディを面白おかしく展開。絵柄的にはちょっと大石まさるっぽいかなー。後藤寿庵「従姉温泉」は、温泉旅館でいとこ姉ちゃんとかわい少年がエッチするというお話。昔のギャグ主体のころの面影はないけど、姉&ショタもののエロ漫画としてはこれはこれで悪くない出来。


12/14(水)……遠し神託

▼購入物件
【雑誌】Colorful Drops 1月号 Vol.002 ビブロス B5平
【単行本】「おませなプティアンジュ complete」 月野定規 ワニマガジン社 A5 [Amzn]
【単行本】「ゆめの底」 岩岡ヒサエ 宙出版 A5 [bk1][Amzn]

【雑誌】スーパージャンプ 1/1 No.1 集英社 B5中

 オースーパージャンプ7月号に読切で掲載された、作:周良貨+画:岩田やすてる「ザ・ファンドマネージャー」が連載化。投資信託会社の凄腕ファンドマネージャーを主人公としたビジネスもの。目新しさはないものの、今アツい分野のお話ではあるし手堅く行きそうな感じではある。岩田やすてるは、昔は「MAD JAM」のようなヘンな作品も描いてたけど、最近はビジネス系が多くなってきましたな。徳弘正也「バンパイヤ」。バンパイヤのマリアをかついでクーデターを起こそうとしているマリア会のパイプ役としてマリアに接触し続けてきたおっちゃん・梅津が、会を裏切ってマリア側につくかどうかで思い悩む。ちょっとしたトラブルの後ショッキングな事件が起きるが、緩急をしっかりつけた見せ方がうまい。お話のほうも緊迫感がどんどん増してきててとても面白い。

 作:早川光+画:橋本孤蔵「江戸前鮨職人 きららの仕事」。今回はやっぱ坂巻でしょう。特大のウナギを手に入れるため、漁師の船に乗り込んだ坂巻。なんか突然上半身裸になって「どりゃっしゃあ!」とばかりに(←実際にはこんなふうには言ってません)、銛で超特大ウナギをゲット。「これぞ天然”下りウナギ”」とかいいながら、ビチビチ動くウナギを握り締めているシーンに思わずニヤリとしてしまう。その坂巻を「親方……」とかいいながらうっとり眺めている弟子のあんちゃんもなんかいい味。

【雑誌】週刊少年サンデー 1/11 No.2 小学館 B5平

 水口尚樹「地底少年チャッピー」。巻頭カラーで新連載。地底人の少年チャッピーが突然現れて、女子高生さんのおうちに住みついちゃって……というドタバタギャグ漫画。作者は「思春期刑事ミノル小林」の人。サンデーにしてはちょっと幼年寄りのギャグだけど、あんまり年齢層上のほうの人ばかり相手にしてても間口が狭まると思うので、こういう作品が掲載されている意義はあると思う。井上和郎「あいこら」。天幕さんに貧乏&ケチという新たなキャラ属性が追加。ツンデレオンリーで押すよりも、こちらのほうが親しみやすくて良いかも。あと藤田和日郎「からくりサーカス」はギイのラストステージ。主要キャラのエピソードもだんだん片づいてきて、一歩一歩最終章に向かっている感がありますな。ちょっと長すぎるくらい長く続いてきた作品だけど、最後はガッツンガッツン盛り上げていってほしい。まあそこらへん抜かりなさそうではありますが。

【雑誌】週刊少年マガジン 1/7+11 No.2+3 講談社 B5平

 森川ジョージ「はじめの一歩」。板垣のスピードスターとしての潜在能力が覚醒し、新しい段階に到達。こんだけ速いと一歩とかとやっても勝てたりするんじゃないかって気もするけど、まあそれはないか。亜桜まる「090〜えこといっしょ〜」。えこがヒロシのためにキレイな携帯になろうと風呂に入って故障というネタで、珍しく続きモノ。お話のほうはドタバタしてますが、そんな中で会長さんの私服姿がちょろりと出てきててトキめくものがありますな。

【単行本】「魔法少女ミルキーベル」2巻 旭 ヒット出版社 A5 [Amzn]

 たいへん柔らかそうな巨乳の描き手として気になっている人。お話は、最初はダメダメだったけど、乳から出る汁によって人々を癒す力を身につけたおかげで、スーパー化した魔法少女ミルキーと、その仲間たちの活躍を描くエッチコメディといった感じでこれが最終巻。だいたいいつも多人数エッチシーンが出てくるけれども、お話としてはさほどハードコアってわけでもなくけっこうほのぼの。魔法少女同士のかけあいはまったりしているし、ボケ役のめがねっ娘魔法少女らを動かして、ギャグ展開も多め。陰惨なことはやらず、明朗快活で気楽に読める。あんまり淫靡・淫猥ではないので、抜きツールとしては個人的には若干物足りなく感じはするものの、柔らかいお乳をたっぷり鑑賞しつつほのぼのまったりするには良いのではないかと。ジョークと茶目っ気の利いた、楽しい作品だった。


12/13(火)……まんが日本のレクス

▼未読物
【雑誌】ネムキ 1月号 朝日ソノラマ A5平
【単行本】「シートン 第二章 少年とオオヤマネコ」 谷口ジロー  双葉社 A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「義経ちゃん剣風帖」3巻 小野寺浩二 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]

【雑誌】COMIC REX 1月号 一迅社 B5平

 12月9日に創刊された新雑誌。ホームページはhttp://www.ichijinsha.co.jp/rex/。表紙のパッと見の印象はコミックエースとかに近いけど、ZEROSUMより少年誌寄りに持ってきてるって感じかな。掲載作品は、藤枝雅「ティンクルセイバーNOVA」などZEROSUM系列の雑誌からの移籍組が少々と、藤村あゆみ「テイルズ オブ レジェンディア」(原作:ナムコ)らのメディアミックス、その他オリジナル作品を配しての立ち上げ。

 とりあえず読んでみた個人的な印象だと、今のところ引っかかりは少ない。自分の場合、この手の雑誌はなじむまで数号かかるのが常なんですぐに判断しようとは思わないんだけど、まだ目玉となる作品が確立されておらずインパクト不足。そこそこのメンツは揃っていて悪くはないんだけど、第1号なんだし、もう少しガツガツあざといくらいにしちゃっても良かったような。現時点では似たような雑誌の中から、あえてこれを手に取ってみようと思わせる要素は、あんまり多くないかな。

 掲載作品の中で目に付いたのは、仏さんじょのメイド喫茶漫画「ろりぽアンリミテッド」、絵がきれいで癒し系ファンタジーテイストの瑚澄遊智「ディアエミリー」、巨乳さんなランドセル娘が主人公の結城心一「ひめなカメナ」、鬼魔あづさ「みてぐら」、10円玉擬人化女子が出てくる絶叫「じゅっTEN!」といったところ。高遠るい「CYNTHIA THE MISSION」は移籍組で10話からのスタート。なめらかな絵柄とかわいい女子キャラはいいです。あと女の子が鼻とか眼から血を噴いてるシーンは、ちょっと氏賀Y太っぽいかなーとか思った。

 次号からは梅川和実「わうわうがー太2」が始まるほか、まりお金田、結城さくや、宗田豪が登場予定。「天才料理人味の助」で肉汁の王として活躍した宗田豪の連載は気になるところだけど、買うかどうかは様子を見て決めます。あと3月号では佐野タカシ、黒柾志西、大森葵、4月号から峰倉かずや、水谷悠珠、2006年春に藤沢とおるが登場予定。黒柾志西はCOMIC RINとかに描いているベンジャミンと同一人物かな。

【雑誌】ヤングジャンプ増刊 漫革 1/20 VOLUME-49 集英社 B5中

 尾玉なみえが登場。読切「燃えよセールス!!」3本立て。なんかやたら強引なセールスマンが、だまされやすい奥さんに商品を売りつけるという内容。「童謡」だの「輪唱」だの、セールスマーンのトークのヘンなところがフックになって、つい商品くぉ買ってしまいそうになる奥さんの馬鹿っぽさが面白い。夫の人のボケっぷりもいいな。今回は3本同じ舞台でやったせいか、なんとなくドリフ的舞台コントみたいな印象だった。

【雑誌】イブニング 1/1 No.1 講談社 B5中

 寺沢大介「喰いタン」と「ミスター味っ子II」は、最近味っ子のほうがだいぶハジけて面白くなってる感じ。今回もまぐろを丸焼きするための燃料が足りないからって、店をバカバカ壊して薪にしちゃったりしてるし。以前の無重力調理といい、やけに料理法が豪快になっててすごいです。長岡敦子「君は、あしたのスーパーマン」は、イブニング新人賞で優秀賞と小林まこと大賞を受賞した作品。将来の夢はスーパーマンとかいっていた男が、結局そんな夢は果たせぬまま書店員になるが、そこでしっかり仕事をしている店長さんにスーパーなものを見出す……という人間ドラマ。作画はまだこなれてない部分もあるものの、丁寧にエピソードを積み上げていくドラマ作りには好感が持てた。

【雑誌】ヤングチャンピオン 1/1 No.1 秋田書店 B5中

 漫革の今号で「女子恋愛百科」が最終回となった加藤マユミが、こっちで新連載「月とたまご」を開始。尻フェチで学校中の女子の尻に点数をつけて吟味していたスケベ男子の所属するクラスに、目立たない顔つきだが実は尻は極上というめがねっ娘が転入してくる。彼らの住む町にはかぐや姫伝説があって、美尻女子はなんかそれに関係あるっぽいが……ってな具合で展開するエロコメといった感じ。絵柄にちょっと垢抜けないところはあるものの、めがねっ娘さんはわりとかわいいかな。まあ今後の展開しだいといったところ。道家大輔「電車男」は今号クライマックスで次号最終回。

【雑誌】漫画サンデー 12/27 No.50 実業之日本社 B5中

 作:ひじかた憂峰+画:松森正「湯けむりスナイパーPARTII」が最終回。源さんを巡る恋愛模様はいちおう決着がついたような、という感じか。まあすべて晴れ晴れって感じではないんだけど。

【雑誌】別冊マーガレット 1月号 集英社 B5平

 椎名軽穂の新連載「君に届け」が連載スタート。9月号に掲載された読切版が好評だったのかな。真っ黒でストレートな長髪と青白い肌、内気で器用に振る舞えない性格のため、おばけっぽい不吉な雰囲気を醸し出してしまい、「貞子」というあだ名をつけられてしまった女の子が主人公。そんな彼女でも好いてくれる男子がいて、貞子さんも彼に見る見る惹かれていく……ってなお話。主人公の貞子(本名は黒沼爽子)の周囲からは敬遠されてるけど実は心優しい女の子というキャラが面白く描けていて、楽しく読めるラブコメになってると思う。彼女が笑ったときの表情もいい。

 いくえみ綾「バイ・アンド・バイ」前編。やたら携帯メールを打ってくる彼氏をプチウザく思っていた女の子が主人公。彼女が、なんかいろいろ重なって面倒になって学校をサボってみたら、あれよあれよという間に事態は思わぬ方向へ……という感じのドタバタコメディ。これは後編を読んでみてから判断といった感じでしょうか。河原和音「高校デビュー」はいつも楽しい。ユウとラブラブで幸せ満喫状態の晴菜が、ユウとその前カノの間に挟まれ立ち往生という状況を楽しく展開。晴菜の悪意のないサバサバしたキャラが好ましくて良いです。

【雑誌】comic天魔 1月号 茜新社 B5平

 琴義弓介「温泉DEイこう!!」。大学のサークルの男1人女3人で温泉に行ったら、普段は目立たないチビのめがねっ娘が、実は髪をほどいたりするとけっこう派手な美人さんで、しかも巨乳だったり……ってな感じのお話。地味めバージョンのほうがかわいいような気もするけど、4人で組んずほぐれつやるエロシーンはボリューム感もあってグッド。神楽坂雄隆丸「グリコと森永」。いつも校舎裏で更衣室を除いてオナっていたスケベ男子と、援交少女がなんだか仲良くなってエッチに突入というエロコメディ。まあシチュエーション的にはかなりあり得ない感じだけど、奔放な援交少女がなんかてれてれな様子はちょっとかわいくて良かった。


12/11(日)12/12(月)……橋無醫院長お手をどうぞ

【雑誌】コミックビーム 1月号 エンターブレイン B5平 [定期購読:7andyicon

 今号は新鋭作家の読切作品が目立つ号だった。まずきなみなみ久々の掲載。「いばしょのない場所」。仲の良い兄妹が誰もいない浜辺で素敵な時間を過ごすほのぼの漫画かと思いきや、実はけっこうハードで重たいお話だったので驚き。独特のゆるめな描線の作画ともギャップがあり、意外性があり、その分ズーンと響くものがある。面白い作品を描く人なんで、またちょくちょく登場してもらいたい。次に佐々木一浩「恋のボフェッティ」もペンタッチが面白い。リアルっぽいけど表現に過剰さもあって、今風ではないかもしれないがインパクトがある。お話のほうは、川向こうの窮屈で残酷だが文化的な地に憧れる、未開の地の少女の物語……といったところ。とてもシリアス、かつ幻想的な雰囲気作りが独特で印象に残った。

 ももな哲は11月号(感想は20051012日記)掲載の「ばかねこ」に続いての登場。今回は「桜の頃」という作品。兄が殺人を犯してハブにされていた少女が高校を卒業。やっと地元から離れられるということで、解放感と一抹の寂しさに包まれていたときに、「彼女のファンだった」というオタク男子3人が声をかける……という卒業物語。スッキリしたシャープな通常シーンの絵柄と、コミカルなドタバタシーンのQ.B.Bっぽい絵柄を使い分け、センチメンタルでほの暖かいお話をうまいこと構成。爽やかな読後感を残す佳作だった。奈良佳子も11月の「奥さんコメ屋です」以来の再登場。「月とスッポンチョ」。この人も絵柄がちょっとシャレた感じでなかなか面白い。

 前谷至竜「ルパカ」。こちらも個性的。ルパカと呼ばれる生き物を虐待することで、ストレスを解消することをつながりとしていた少年少女のお話。ルパカはぐちゃぐちゃでグロく、それをつぶして喜ぶ二人の表情には倒錯的なものが。それでいてスウィート&ビターな青春ストーリーっぽいものも同時にやっちゃってるところが面白い。カイトモアキ「三角心中」は相変わらずアクが強い。心中しにやってきた3人の少女が、心中直前の土壇場でその人間性の浅ましさ、醜さを露呈する……といった感じ。ダイナミックで激しい展開に驚かされる。ホームページもできたんすね(http://kaidukusi.fc2web.com/)。てなわけで個性的な新鋭を多く登用した今号。ユニークな作品が多くお腹いっぱい。この中から一人でも二人でも定着する人が出てくると良いのですが。

 連載陣では、森薫「エマ」が良かった。新しい眼鏡をかけてみた瞬間のエマさんのトキめいた表情がええですな。ウィリアムの顔がよく見えすぎて恥じらう女心の奥床しい心情の描写にニンマリとします。あと上野顕太郎「夜は千の眼を持つ」の特別編「日本ギャグ漫画家図鑑」も古今のギャグ漫画家についての記述がまとまってて興味深いものが。

【雑誌】ビッグコミックオリジナル 1月増刊号 1/12 小学館 B5中

 小田扉「フィッシュパークなかおち」が掲載。とか思ったらこれ新連載なのか。あんまり人がいない閑散としたつりぼりで繰り広げられる人間模様。フィッシュパークなかおちは、主人が客に無関心で、何をやっても見とがめられることがなく、それだけにちょっと風変わりな人々が集う。今回はつりぼりで釣った魚をその場で調理して食う気まんまんの女性と、それを見つめる常連青年の話。しみじみとしょうもなくて味がある。平々凡々としているようで、地味にヘンなところが楽しい。

 石塚真一「岳 みんなの山」。今回は二人の登山者を救助に向かった三歩が、彼らとともに雪崩に巻き込まれて動けなくなる……というエピソード。いつにも増して状況が厳しく、それだけに彼らの描くドラマもグッと心を動かされるものがある。説得力のある作品です。あと業田良家「女はつらいよ」は今回で最終回。夫と別れ働きつつイイ男を探していた主婦が主役のホームコメディという感じで、最後はほのぼのハッピー・エンド。急展開ながらきれいにまとまってます。

【雑誌】ヤングキング 1/2 No.1 少年画報社 B5中

 小野寺浩二の読切「おにいちゃんといっしょ」が掲載。街の片隅で暮らす、貧しいけれど愛にあふれていて、しかも馬鹿な兄妹が主役のドタバタギャグ漫画。借金まみれなのにやたら明るくイチャつきまくる兄妹のアホさ加減、妹のステロタイプすぎる兄甘えのセリフが、いかにも小野寺浩二らしくベタで面白い。

【雑誌】ヤングマガジン 1/7+9 No.2+3 講談社 B5中

 オジロマコトの集中連載「女王様が死んじゃった」が最終回。幼なじみの女王様が死んでしまい悲嘆にくれた男子がラグビーと出会い、そのどつき合いの中に快感を見出していく……というドタバタもの。キレの良いフレッシュな作画が魅力的で、ネタとしても下らなくて楽しんで読めた。実際のMは「誰からやられようが痛ければそれでいい」というもんでもないとは思うけど、まあそこはギャグなんで……。オジロマコトは非常に魅力的な絵を持ってるし、見せ方もけっこううまい有望株。今のネタ系の作品も良いのだが、たまには普通のストーリー漫画とかも読んでみたい気もするかな。どっちが向いてるかよく分からないので、比べてみたくはある。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 1/9 No.2 小学館 B5中

 作:雁屋哲+画:花咲アキラ「美味しんぼ」。東西新聞の面々が、究極のメニューを完成させる段階に入った山岡夫妻のために激励会を開く、という展開で、こんなの東西シンブナーじゃないよ!とか思ったりした。いつもさんざんひどいことばかりしているのに、なに殊勝なこといってやがんでぇ、ってなもんです。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 1/8 No.2 集英社 B5平

 樹崎聖が読切「フォールン」で登場。この人が週刊少年ジャンプで描くのっていつ以来だろう。「とびっきり!」を描いてたのはもう15年以上前か……。ちなみに今回の作品はマウンテンバイクレース漫画。さすがに経験のある人だけにうまいけど、今のジャンプの中で魅力的に映るかというと微妙なとこかな。

【単行本】「こどものじかん」1巻 私屋カヲル 双葉社 B6 [bk1][Amzn]

 今ネット上では旬な作品となっているようですな。ロリで萌えでわりとエロいということで話題になっているけど、漫画自体の内容も面白いと思います。ストーリーのほうは、新任の男性教師が、担当クラスの小学3年生小悪魔的女子・九重りんちゃんに迫られちゃって、ドキドキな日々を送る……という「そりゃヤバいでしょ」的ラブコメ。りんちゃんは学校で下着を見せつけてみたり、迫り方がなかなかきわどい。突き放したり甘えてみたりのヒット&アウェイ戦法も駆使して、先生を翻弄。でもまだまだ子供だという弱さも見せてみたり、なかなか駆け引きが巧み。その揺れ動きっぷり、濃厚で甘いラブコメ風味が読んでいてとても楽しい。

 表現についても大胆。大人と小学生という年の差ラブコメで、しかもちょっとエッチっぽいという、今時ヤバめなネタをコミックハイ!というマニア誌だがどちらかといえば一般誌寄りにある雑誌で展開。でもきわどいことやりつつも、ちゃんと抑えは利かせてる見せ方はうまいですな。見えそで見えないチラリズム感覚に近いとでも申しましょうか。いやまあパンツくらいはモロに見せてはいるんですが。そんなわけで、わりと「エロい」ということが強調されがちな作品ではあるけれども、りんちゃんがなぜ先生に惹かれているかといった内面的な描写も少しずつやってて、ストーリー的にもなかなか楽しめるものがある。

 脇役では、りんちゃんに同性愛的な好意を抱く、おともだちの黒ちゃんも面白いキャラ。自分は巨乳派なので、先生の同僚の巨乳先生も気になるところではありますが……。まあそんなわけでいろいろ楽しく、私屋カヲルの芸達者ぶりが存分に発揮された一作といえましょう。

【単行本】「委員長お手をどうぞ」2巻 山名沢湖 双葉社 B6 [bk1][Amzn]

 委員長オムニバスストーリー完結巻。学校内の委員長さんたちの生活を軽やか、ほのぼの、ステキなお話に仕立て上げた一作。ときにラブコメだったり、ときにファンタジーっぽかったり、それぞれの委員長に合わせた切り口でお話を展開していて楽しかった。また少年少女さんたちが、学校生活を楽しんでいる様子が微笑ましかったりかわいらしかったり。2巻ではとくに、卒業アルバム委員長のお話がいいと思う。学校にいながら過去・現在・未来を見つめている立場っていうあたりに、ファンタジーごころをくすぐられるものが。あと最終話はこれまで出てきた委員長さんが総登場でしみじみするものが。まあ委員長ネタだけで続けるのもキツいだろうし、全2巻というのもちょうどいいボリュームだった気がします。楽しい作品でした。


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