2005年1月下旬


1/31(月)……寒いラストとスライムさ

OHP月極アンケートのテーマを入れ替えました。2月は「男らしい漫画」で行きます。いわゆる「男らしさ」をウリにした漫画について語るというアンケートです。今の世の中、男性のあり方も変わって来ているので「男らしさ」という言葉を使うのもどうかというところもあるのですが、そういったマッチョで硬派な作品を求めるニーズはやはり根強く存在すると思うのです。なお、「男」という言葉からホモだのゲイだのいう世界を連想する方も多いでしょうし、男社会にはつきまとう話ではありますが、以前同性愛モノはやったこともありますし今回はそういった方向はなしということでお願いします。男ばかりというのもなんなので、そのうち「乙女チックな漫画」というテーマもやろうかと思ってます。それではよろしくお願いします。

▼2005年1月分の「ベスト雑誌2004」は終了。過去の順位と並べてみるとこんな感じ。

順位2000年2001年2002年
1コミックビームコミックビームコミックビーム
2アフタヌーンIKKIIKKI
3アワーズライトシーズン増刊
アワーズライト
週刊少年サンデー
4週刊少年ジャンプアワーズライト
5モーニングアフタヌーンシーズン増刊

順位2003年2004年
1コミックビームアフタヌーン
2アフタヌーンコミックビーム
3ビッグコミックスペリオール
ヤングジャンプ
週刊少年ジャンプ
4ヤングマガジンUppers
5ビッグコミックスピリッツ
モーニング
ヤングアニマル

▼このテーマでアンケートを取ってみて、5年目にして初めてコミックビームが2位に。そして昨年2位だったアフタヌーンがついにトップ。自分にとっても2004年のアフタヌーンはすごく面白かった。票を集めた原動力となったのは、やはりひぐちアサ「おおきく振りかぶって」。それからとよ田みのる「ラブロマ」あたりの力も大きかったと思う。アフタヌーンはマニア向けという印象の強い雑誌だけど、野球漫画、ラブコメという少年誌や少女誌では基本中の基本的であるジャンルの良作が出てきたことで、間口がググッと広がった感がある。そのおかげで誌面にアクセントがついて、その他のマニアックな連載も生きた。厚さのわりに読みやすい誌面になったと思う。また2004年のアフタヌーンは、滝沢麻耶「リンガフランカ」、田中ユキ「神社のススメ」など新顔の登用も多く、2002年くらいまでマンネリ感の強かった誌面が一気に華やいだ感がある。

▼コミックビームは安定飛行で相変わらずクオリティは高い。2004年は今まで面白かった人がこれまでどおりの面白さを発揮したという印象。週刊少年ジャンプについてはやはり「デスノート」。ただそれ以外にも「アイシールド21」「BLEACH」「NARUTO」や、まだまだ強い「ONE PIECE」などのヒット作のほか、積極的な新人登用で躍動感のある誌面を作っていた。ヤングマガジンUppersの休刊は2004年の漫画雑誌シーンでは印象的なトピック。個性的な誌面を作っていただけに名残惜しいところ。

▼あと個人的に気になっていたのが月刊IKKI。2002年にはビームと1票差の2位だったのが、今回はわずか2票。ウチのページのアンケートは全体の投票数がそう多くないので、さほど参考にはならないかもしれないけれど、投票している人たちの漫画マニア率は高いほうだと思う。そういった人たちの支持を得られていないというのは、この手の雑誌としては厳しいのでは。個人的には「面白いメンツを山のように連れて来ていながら、その持てる力を引き出せていない雑誌」というイメージがある。他誌である程度の実績がある人で、IKKIに移ってきてキャリアの中で最高の作品を描いたって人ってほとんどいないんじゃないかな。ただメンツからいって潜在能力は高い雑誌だと思うので、今年は大手ならではの底力を見せてほしい。そういう意味では2005年に最も期待している雑誌といってもいいかもしれない。

▼で、漫画雑誌全般で見ると2004年は概して元気がなかったなあという印象が強い。Uppersの休刊もそうだけど、攻めに来ている雑誌自体が少なかった。雑誌自体が7年連続の前年実績割れという厳しい状態なんで仕方ないとは思うんだけど、やっぱり自分は雑誌好きなんで、雑誌が元気でないといまいち楽しくない。なんとかならんもんかなあと思うけど、うーん、雑誌自体の売上をアップするのは、現実的には難しいでしょうなあ。あと考えられる路線としては、現在の雑誌のリソースをもっと有効活用し、ネット通販や海外輸出など、新たな販売ルート、販売方法を開拓して利益を増やしていく方向くらいっすかねえ。自分としても、2005年はもう少し今まで読んでなかった雑誌を開拓していければいいなとは思っています。手が回るかどうかは分かんないけど。

▼話変わって訃報。いろいろなメディアで報じられているけど、中尊寺ゆつこが死去。享年42歳。バブル期に「オヤジギャル」で一気にブレイクして流行りモノというイメージが強かったが、漫画としても何気にけっこう面白かったと思う。今となっては積極的に評価する人は少ないかもしれないけれども、流行っていた当時も積極的に批判していた人はあんまり見なかったような気がする。この人がもっと年をとってから、どんなものを描くかも見てみたかった気はしますねえ。

【雑誌】ヤングマガジン 2/14 No.9 講談社 B5中

 松本剛「ハナモモ」の2話めが掲載。今回は、転校直前の少年と、その近所に建築中のおうちの娘さんが出会い、お互いの家庭環境などを知り、つながりが生まれていく、といったお話。ふとした出会いから生まれた絆を丁寧に描いてて、心地よいお話に仕上げている。あとヒロイン格のおねえちゃんがなかなかかわいかった。小田原ドラゴン「チェリーナイツ」。いつもの二人が「おニャン子クラブファイナルコンサートごっこ」をしている姿がたいへん不毛で良かった。山本マサユキ「ガタピシ車でいこう暴走編」。今回出てきた、漫画家志望のヘビ目の中山君が持っていた原稿の部分が袴田めら作画っぽい。だからどうというわけじゃないんですが気になったもんで。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 2/14 No.9 小学館 B5中

 細野不二彦「ギャラリーフェイク」が最終回でちょっと驚いた。最後はちょっと急ぎ気味だった感もあるけれど、長いこと安定したクオリティでスピリッツを底支えしてくれた作品だったと思う。美術のうんちくを盛り込みながら、過度にマニアックになることなく、きちんと話を構築していたのはさすが細野不二彦といった感じ。お疲れさまでした。小田扉「団地ともお」。子供たちの言葉の乱れに警鐘を鳴らすようでいて鳴らさない今回。手作りスライムに熱中する子供たちの馬鹿っぽさが面白かった。あとオチが下らなくて笑った。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 2/14 No.9 集英社 B5平

 岸本斉史「NARUTO」の第二部がスタート。最近話がおっきくなっちゃってたので、ここらへんでいったん仕切り直しするってのはいいんじゃないですかね。作:大場つぐみ+画:小畑健「デスノート」。なるほど、さすがライトは小細工をいろいろ仕掛けているのだなあ。でも竜崎に真実が露見するかしないかはいまだ紙一重のライン。スレスレの緊張感があって面白い。長友圭史の読切「征次郎の道」は、プロレスラーの息子で、自分ならではの工夫を盛り込んだハチャメチャな柔道をする少年・征次郎が頑張るという柔道漫画。作品としてはキッチリまとまってて手堅く読める。ただもう少しアクションはムチャなほうがインパクトはあったかも。


1/30(日)……魔女は大マジよ

▼2月の購入スケジュールは以下。データはbk1まんが王倶楽部の新刊予定を参考に作成。リンク先はAmazonのワード検索。リンク先URLはスクリプトによる自動生成なので、まだAmazonのデータベースに登録されておらず、該当物件が表示されないリンクもありますのでご了承ください。

▼2005年2月購入予定
2/4 「しあわせ団地」7巻 蓮古田二郎 講談社
2/4 「ユキポンのお仕事」9巻 東和広 講談社
2/4 「武装錬金」6巻 和月伸宏 集英社
2/4 「デスノート」5巻 作:大場つぐみ+画:小畑健 集英社
2/4 「RING」2巻 島袋光年 集英社
2/7 「デ・ジ・キャラット ぴよぴよぴよこちゃん」 ひな。 ジャイブ
2/8 「子供学級」3巻 桜井のりお 秋田書店
2/8 「監督不行届」 安野モヨコ 祥伝社
2/9 「P.I.P プリズナー・イン・プノンペン」 作:沢井鯨+画:深谷陽 新潮社
2/9 「満腹ボクサー徳川。」11巻 日高建男 新潮社
2/10 「こっこさん」 こうの史代 宙出版
2/10 「天国にいちばん遠い家」 飛龍乱 ワニマガジン
2/12 「イナカナかれっじ」5巻 法田恵 双葉社
2/15 「きゃらめるいろ」 KURO 茜新社
2/17 「新世紀エヴァンゲリオン 鋼鉄のガールフレンド2nd」4巻 林ふみの(原作:GAINAX) 角川書店
2/17 「おれはキャプテン」7巻 コージィ城倉 講談社
2/17 「ちゅちゅ」 BENNY’S 松文館
2/18 「皇国の守護者」1巻 作:佐藤大輔+画:伊藤悠 集英社
2/18 「からくりサーカス」36巻 藤田和日郎 小学館
2/18 「となりのメガネ君。」 ふじもとゆうき 白泉社
2/18 「てるてる×少年」10巻 高尾滋 白泉社
2/18 「ラバーズ7」3巻 犬上すくね 小学館
2/20 「チキタ★GUGU」5巻 TONO 朝日ソノラマ
2/21 「黒田三十六計」5巻 平田弘史 リイド社
2/23 「神戸在住」7巻 木村紺 講談社
2/23 「EDEN」12巻 遠藤浩輝 講談社
2/23 「リンガフランカ」 滝沢麻耶 講談社
2/23 「サトラレ」8巻 佐藤マコト 講談社
2/23 「はるか17」5巻 山崎さやか 講談社
2/23 「昭和の男」2巻 入江喜和 講談社
2/23 「駅前の歩き方」 森田信吾 講談社
2/23 「蒼天航路」33巻 王欣太 講談社
2/24 「ease」Vol.2  宙出版
2/25 「not simple」1巻 オノ・ナツメ ぺんぎん書房
2/25 「よみきりもの」8巻 竹本泉 エンターブレイン
2/25 「青 オールー」5巻 羽生生純 エンターブレイン
2/25 「不死身探偵オルロック 完全版」 G=ヒコロウ エンターブレイン
2/25 「STAYラブリー 少年」1巻 西炯子 小学館
2/25 「アニメがお仕事!」2巻 石田敦子 少年画報社
2/25 「少女幻想」 藤原薫 太田出版
2/25 「天竺浪人作品集(仮)」 天竺浪人 三和出版
2/25 「LOVE STORE」 井ノ本リカ子 晋遊舎
2/25 「飛び出す妄想」 駕籠真太郎 久保書店
2/25 「SAD−古典名作集」 千之ナイフ 青林堂
2/25 「林静一画文集」1巻 林静一 青林工藝舎
2/26 「ケロロ軍曹」10巻 吉崎観音 角川書店
2/26 「おこさまランチ」 ねんど。 東京三世社
2/26 「愛犬擁護週間」 ほりほねさいぞう 東京三世社
2/28 「ナンバーファイブ」8巻 松本大洋 小学館
2/28 「ドロヘドロ」6巻 林田球 小学館
2/28 「アカシヤの星」2巻 たくまる圭 小学館
2/28 「ホムンクルス」5巻 山本英夫 小学館
2/28 「中退アフロ田中」2巻 のりつけ雅春 小学館
2/28 「MOON LIGHT MILE」10巻 太田垣康男 小学館
2/28 「医龍」8巻 乃木坂太郎(原案:永井明) 小学館
2/28 「」38巻 村上もとか 小学館
2/28 「ベルセルク」28巻 三浦健太郎 白泉社
2/28 「ゆびさきミルクティー」4巻 宮野ともちか 白泉社
2/28 「どいつもこいつも ワイド版」1巻 雁須磨子 白泉社
2/28 「ギャラリーフェイク」32巻 細野不二彦 小学館
2/28 「破戒」 山本直樹 小学館
2/28 「CUE」3巻 村上かつら 小学館

【単行本】「魔女」2巻 五十嵐大介 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 この巻も素晴らしい。さまざまな生き方をしている魔女たちの物語を、オムニバス形式で描いていく連作。細かいペンタッチで描かれた幻想的な光景が非常に美しく、魔女たちの運命を描いていく物語もミステリアスでドラマチック。自分としてはとくに「PETRA GENITALIX」が好きで、普段は人里離れた地で弟子のアリシアとともに暮らしている魔女・ミラが、一般の人々には蔑まれながらも、世界を救うために身を捧げていく姿が崇高でとても美しい。『いちども空を見たことがない人が、「晴れた空は青い」と言ったら、言葉は間違ってなくてもそれはウソなんだわ。』などなど、心に残るセリフもしばしば。読んでいると物語世界の中にググッと吸い込まれる感じで、ゾクゾクするような気持ち良さがある。このファンタジー構築能力はやはり凄い。なお今回は「PETRA GENITALIX」「うたぬすびと」に加えて雑誌未掲載の「ビーチ」も合わせて収録。どの作品もそれぞれ読みごたえ十分。うーん、しみじみ素晴らしいな。

【単行本】「ライドバック」3巻 カサハラテツロー 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 なかなかいい調子。ライドバックと呼ばれるバイクとロボットが融合したような機械と、それを駆る少女たちの姿を印象的に描き、そこに学生運動、それから世界的な抗争をからめてお話を構築。ライドバックによるアクションシーンはダイナミックで痛快。主人公の少女・琳も可憐。一介の大学生である琳の生活に、世界的な陰謀が陰を落とすというのは、ちょっと唐突な気がしないでもないけど、そこらへんは今後の物語展開でどうにかなっていくんでしょう。脇キャラもだいぶ目立ってきたし面白くなってる。ライドバックはカッコイイのでアニメで動かして見せてくれると良いなあとも思うが、もしやることがあるようならもう何巻かたまってからのほうがいいでしょうな。

【単行本】「フリージア」5巻 松本次郎 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 敵討ち執行代理人・叶ヒロシ、そして彼を取り巻く人々の状況はますます混沌。独特の細かいタッチで殺伐とした世界の物語をじっくり描き出しててかっこいい。先の予想がつかず、何が起こっても不思議でない感じがいいです。

【単行本】「コドモノコドモ」1巻 さそうあきら 双葉社 B6 [bk1][Amzn]

 小学校5年生の少女・春菜が、友達の男の子と公園で行ったちょっとした遊びによって妊娠してしまい、出産することになるまでの騒動を描いていく物語。この巻ではまだお腹が大きくなるところまでは行っていないが、春菜は周囲の大人の理解を得られず、一人で悩みを抱えていくこととなる。とはいえ、事態の深刻さはあまり理解していないので、子供らしい生活も滞りなく営んでいってはいるのだけれども。春菜の今どきの子供らしさをしっかり描きながら、着々とお話を進めていて、さすがにさそうあきらはうまいなあと思う。今のところすごく面白いというほどではないけど、とくに目立つアラもなく隙がない。

【単行本】「職業・殺し屋。」4巻 西川秀明 白泉社 B6 [bk1][Amzn]

 濃い描写、濃いエロ、濃い殺人。ということで今回も殺し屋たちのお話を、濃厚に描いていく。カルト教団の教祖殺し編が最初にあって、後半では蟷螂の負傷事件をきっかけに、「お犬番」と呼ばれる暗殺集団と職業・殺し屋たちの対決が始まっていくという展開。この巻では教祖の娘である小夜子がお話の中心的位置にはいるんだけど、キャラとしては蟷螂が目立つ。「蜘蛛とSEXするぞわりゃー」ってな感じで叫びまくり、酒飲んで暴れる姿は見てて面白い。あとはちょっとだけ出てくる、「一緒になった男が必ず原因不明の死を遂げてしまう奥さん」のエピソードのところは、いつもと違ったタッチで描かれていて印象的。

【単行本】「ピピンとピント☆」2巻 大石まさる 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]

 たいへんゴチャゴチャとラブコメ展開。地元でモモネェやミナト、あとサっちゃんらにモテモテなピントくんが、夏休みを利用して自転車旅行に。その行く先々でもかわいい女の子たちにモテ。物語全体として、どういう方向に向かっているのかいまいちよく分からないが、とりあえず楽しんで描いている感じ。モモネェの肩幅とかお尻が大きめなボリューム感のある肢体、それからピントへの迫りっぷりとかがとくに印象的。

【単行本】「天然幼液」 ほしのふうた 東京三世社 A5 [Amzn]

 「秘蜜のささやき」「晴れときどきぬれねずみ」「みちくさ」からの再録をメインとした単行本で、今回の初収録は「仲間入り」「オレンジのバス停」の2本のみ。相変わらず絵はかわいいんだけど、これまでの文を全部持っている人にとっては、お買い得感は若干低めか。ところでこの単行本には新旧の作品が入り混じっているので、「いつもかわいい」というイメージがあるほしのふうたも、けっこう絵柄が変わってるんだなあということが感じられる。自分としては昔のも今のもどちらも味があって好きですな。


1/29(土)……ゆーたーんぽ

▼日曜朝に見たアニメだけど、最近シリアス路線が続いていた「レジェンズ〜甦る竜王伝説〜」[Amzn:(1)/(2)/(3)/(4)/(5)/(6)]がだいぶ盛り上がってきた。母親にまで危害が及び、沈み込んでいたシュウが再び立ち上がり、止まっていた風が動き出す。この作品は風の描写が気持ち良い。お話もだいぶクライマックスに近づいてきた。DVDが全13巻らしいので、まだあと10話くらいあると思うので、ラストへ向けて盛り上げる余地は十分。どんなふうに持ってくか期待してます。

【雑誌】コミックバーズ 3月号 幻冬舎コミックス B5平 [定期購読:出版社

 玉置勉強「東京赤ずきん」は、すでに単行本2巻に入っているお話が掲載。反映が早いのはいいけど、雑誌を読むときのワクワク感がなくなるのでもう少し我慢して欲しかった。PEACH-PIT「Rozen Maiden」は、ジュンの気を惹こうと余計な頑張りを魅せる翠星石がカワイイ。人形たちの中ではこのコが一番好きだなー。

【雑誌】ヤングキングアワーズ 3月号 少年画報社 B5中

 表紙でイチ乃がコスプレ姿を披露している石田敦子「アニメがお仕事!」。イチ乃とニ太を取り巻く状況はますますシビアに。アニメというよりも、アニメーターの生活が主題という色合いがますます濃くなってまいりましたな。志村貴子「ラヴ・バズ」。ようやくゆりちゃんの怒りっぷりを思い知った藤かおるが、頭を丸めて彼女に謝罪。二人のやりとりは気まずいながらも、友情というか腐れ縁の強さを感じさせてなかなか楽しい。小野寺浩二「妄想戦士ヤマモト」。松下に幼なじみの女の子がいることが発覚して、なぜかハーレム状態に。不意に出現したラブコメ状態が楽しうございました。まあオチはこの作品らしいものではありましたが。あと大石まさる「ピピンとピント☆」もかなりラブコメ中。モモネェの必死なモーションかけっぷりが意地らしい。それにしてもモモネおねいちゃんは乳がデカい。

【雑誌】フラワーズ 3月号 小学館 B5平 [定期購読:出版社/7andyicon

 巻頭カラー、さいとうちほ「ブロンズの天使」。何がなんだかよく分からんまま、プーシキンと結婚してしまったナターリアは、社交界のスタアであるところのダンテス伯爵に恋心を抱いてしまい……という展開。ゴージャス感たっぷりの雰囲気と、許されぬ恋の盛り上がりっぷりに心踊る回。面白いです。今回、プーシキンは完全に脇役。マナベウミ「瑠璃色ボタン」は点描、カケアミを駆使した繊細で丁寧なタッチがとても美しい。とくに無機物の描写が好きだなあ。フラワーズではもうけっこうな数の読切を描いているので、そろそろ単行本化してほしい。雑誌じゃなくて、もっといい紙質で読んでみたいです。

 曙はる「合縁奇縁」は、第55回小学館新人コミック対象の入選作。主人公の一ノ瀬は、学生時代から後輩であり近所の駄菓子屋の娘である二階堂はなに迷惑をかけられていたが、それが社会人になってから再会。彼女は相変わらず一ノ瀬に厄介ばかりかけるけれども、それがまた縁となって……という感じ。とんがったところ、とくに強烈に目立つ部分はないけれども、作画も話もまとまりが良く、なかなか楽しく読めた。わりとコンスタントに描いていけそうなタイプという感じ。

【雑誌】コーラス 3月号 集英社 B5平

 そのだつくし「Uターン」は、10年ぶりに地元に帰ってきてUターン就職した女性が、故郷で意外な再会や出会いをして……というお話。いつもながらのサバサバした話運びが気持ち良い。主人公のおねえちゃんが、久々に太鼓を叩いているシーンとかが良かった。短期集中連載、榎本ナリコ「星の光はむかしのひかり」。中年オヤジが精神だけ16歳のころに戻ってしまい、かつて恋していた女の子によく似た、息子の彼女に恋をする……という感じ。相変わらず榎本ナリコの描く男はメソメソしすぎで気持ち悪いが、今回は息子の彼女がわりといい感じでそれをフォローしていたので楽しく読めた。

 くらもちふさこ「月のパルス」は、ウタくんとツキちゃんがご対面。なかなかいい感じで盛り上がってきた。最初はふわふわしてたが、何気にけっこうガチンコな少年少女恋愛ストーリーになってきている……のかな。よしまさこ「うてなの結婚+」。順調に愛を育んでいるかに見えたあのんと丸山だが、そこに丸山の昔の彼女が登場して……と、ちょっと雲行き怪しげな展開。いつもながらきっちり面白く読ます。あのんさんが昔「インラン」といわれたことがある、というあたりにちょっと萌え。

【雑誌】メロディ 3月号 白泉社 B5平

 よしながふみ「大奥」がとても面白かった。女が政治を司る、パラレルワールドな江戸時代。女が将軍、大奥は美青年ばかり……という状況でお話を進める。で、今回はここまで主役格だった水野のエピソードの完結編とでもいうべき感じのお話。ここまでの大奥のしきたりや人間関係の見せ方も楽しかったし、水野の物語の締めくくり方も、よく考えてみると時代劇的な人情話になって粋だった。設定がユニークで、お話の展開も鮮やか。いや〜よいお話でした。設定が秀逸だと思う。時代劇自体は日本人にとってはなじみ深いし、そこに自分ならではのヒネりを加えて、新鮮なものに仕上げている。これからもいろいろ転がしていけそう。

【雑誌】快楽天 3月号 ワニマガジン B5中

 かるま龍狼「ヤブナース」。やたらエッチな看護婦さんでいっぱいの病院ライフ〜という内容。いろんな看護婦さんが出てきてエロコメしてて楽しかった。さすがのエンターティナーぶり。上月まんまる「Brother ComPlex」は、主人公が「デスノート」のライトみたいで、双子姉妹がミサミサを二つに割ったみたいな感じ。線がシャープで良い具合。島本晴海「はれ☆ゆき」。姉の晴と勘違いして、妹の雪とつき合いはじめた岡島くんだが、二人の仲は円満に進行。でも晴のほうも、実は岡島が好きという自分の気持ちに気づいてしまって……という三角関係。しっかりラブコメしてて面白く、続きも気になる。陽気婢「内向エロス」はついに最終回。うーん、締めくくりとしてはちょっと中途半端かな。陽気婢は安定しているんだけど、ちょっと不調気味にも思えるので、ここらへんでも一つなんかやってもらいたいところ。ハマダユタカは快楽天初登場。「姉尻パンドラ」。今回はちょっと田中ユタカっぽいタッチじゃなくしようとしているのかな。

【雑誌】キャンドール 3/14 実業之日本社 B5中

 むつきつとむ「小あくま天使 桃色系」。げじげじ眉毛の天然系、明日香が今回も引き続きかわいい。コンスタントに良いですね。そのほかの作品も安定。琴の若子「奥さまDEナイト」、すずきみら「恋来〜koikoi〜」あたりが今号は良かったかな。

【雑誌】エンジェル倶楽部 3月号 エンジェル出版 B5平 [定期購読:Fujisan

 奴隷ジャッキー「0PULLTOWNへようこそ!」が最終回。一見女の子がいっぱい学園漫画でありながら、ヒロインがうんこ仮面として活躍したり、不思議なテンションの高さを最後まで維持。読者を置き去りにしてすっ飛んでいく、陽気で異様なエロ漫画でした。「りぶるらぶる」にも笑ってしまった。なんだかよく分からないけどスゴかった。単行本でまとめ読みするのが楽しみ。


1/28(金)……エキサイティングサマー

▼WOWOWに移って再開した、アニメ「GIRLSブラボー」[1st/Amzn:BOX(1)/(2) 単巻(1)/(2)/(3)/(4)/(5)][2nd/Amzn:BOX(1)]Second Seasonの1話め。R-15指定になって誰はばかることなくエロができるようになってうれしかったのか、オープニングからして乳首出しで、本編もサービスシーンだらけ。内容のほうは、プールで人格入れ替わりモノ的なことをドタバタとやってて、ゴチャゴチャ楽しい。乳好きな人は楽しく見れるのではないかと。もう少し寸止めっぽいほうが、かえってエロっちいかも……?という気はしないでもないけど。

【単行本】「日本の夏、天狗の夏。」 藤本和也 宙出版 A5 [bk1][Amzn]

 以前からコミティアや「何の雑誌」とかで掲載作品は読んでいた人だが、これが初の商業単行本となる。この人の特徴は、非常にコミカルでありながらしみじみとした情緒がにじみ出ている独特な作画。とても完成度の高いきっちりまとまった絵柄は、現代風とはいえないかもしれないが、なんともいえないじんわりとした暖かみがある。「中央線系マンガ家」というキャッチが振られているが、たしかにそんな感じ。コミカルでポップな雰囲気でありながら、四畳半とか銭湯とか赤ちょうちんとかが妙に似合う、独特の感触がある。お話のほうも気が利いたものが多い。うーん、この雰囲気の良さは言葉だとなんとも説明しにくいな。餅屋ブックでイラストや絵日記が見られるので、そちらも参照してみてください。

【単行本】「年上ノ彼女」2巻 甘詰留太 白泉社 B6 [bk1][Amzn]

 同棲を始めて距離が縮まったかに思えた努とアゲハだが、アゲハが突然彼の前から姿を消す。そして努は周囲の人々の声にも助けられ、アゲハを追って彼女の実家へと向かう。前巻同様、ラブストーリーが濃密に展開。この巻では二人の恋愛感情がさらに激しく盛り上がっていてクライマックスシーンはかなりテンションが高い。とくに努が改めてアゲハに対する想いを口にする電車内のシーンなどは、若さと勢いにあふれていて非常にドラマチック。あ〜もうたいへんアッツアツで、ニヤニヤしちゃいますよ。絵柄も表現も濃く、恋愛シーンの熱量が大きい。エロ表現も濃い目なのでちょっと気恥ずかしく思う人もいるかもしれないけど、この押しの強さは素晴らしい。いつも書くけど、女性キャラの表情も印象的。ストーリー的にはこの巻でほぼ決着しちゃっているけれども、次の巻もあります。秋発売予定とのこと。

【単行本】「CUE」2巻 村上かつら 小学館 B6 [bk1][Amzn]

【単行本】「村上かつら短編集」2巻 村上かつら 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 2冊同時発売。このうち、やはりうれしいのは短編集。今回は「いごこちのいい場所」全8話と、「父伝説」「(仮)スマ未満」を収録。「いごこちのいい場所」は、予備校でバイトをしている青年・耕平が主人公。そこに耕平の家の隣に住み今は予備校で講師をやっているヨシオ、ヨシオを慕う受付嬢の堀川さん、ヨシオの姉であるまり江をからめて青春群像劇を展開。このころの作品は、絵柄的にはいくぶん頼りない感じの線なんだけど、お話についてはしっかり読ませる。村上かつらの作風は一見上品ながら、意外と生臭い感情をすくいとって物語の俎上に乗っけてしまう。「いごこちのいい場所」でも、耕平がまり江に抱いていた劣情やヨシオに対する嫉妬、堀川さんが抱く他人と関わることへの拒否感、モテ男であるヨシオの耕平に対する複雑な想いなどなどをつぶさに描写。登場人物に対してけっこう容赦がない。そのお話はときに苦かったり痛かったりもするのだけど、その繊細さと鋭さに心引かれる。

 「CUE」2巻は、同級生で演劇部の少女・伊藤さんに導かれ、演劇の世界に導かれた竹田が、岩本向という役者および劇団との出会いをきっかけにさらにその深みへ足を踏み込んでいくが……といった展開。もう連載は終わっているが、この岩本+劇団編はちと引っ張りすぎたかなあという気はした。その前に演劇部でもいいので、竹田くんを一本、劇に出演させておいて、演劇の魅力部分をもう少し描いておいたほうが読者を引っ張り込みやすかったのでは、という気はする。

【雑誌】コミック三国志マガジン 蒼天已死号 メディアファクトリー  B5平

 前々から「三国志」専門の漫画誌やったらウケるんじゃないかと思っていたが、なんか本当に出てしまった。「アジアNo.1ヒット作」という触れ込みの、陳某「三国志群雄伝 火鳳燎原」110ページが第1号の目玉。その「火鳳燎原」だが、主役が若き日の司馬仲達なのかな。作画は写実的で迫力がありなかなかカッコイイ。ただ、今のところ出てくるキャラが、日本ではメジャーでない人が多いので、読み始めとしては敷居はちょっと高めかも。それから今回購入した一番のお目当ては、「墨戯王べいふつ」を描いていた佐々木泉による「江南行」。これは呉を支えた二人、周瑜と魯粛が出会ったころのお話を描いたエピソード。魯粛がサバけた感じのかっこいいおっさんに描けててなかなか良かった。佐々木泉のすっきりとした品のいい絵柄も好感度が高い。天真楼亮一「禰衡咆哮」は、希代の毒舌家・禰衡が実は時代を陰から操っていた大物だった……という設定で、荒唐無稽なストーリーを展開。配役といい絵柄といい、ちょっと意外性のあるユニークな作品。

 で、全体的に見ると、中途半端な出来という印象。「三国志」好きな人にとっては漫画のほうのマニアック度が不足気味で物足りなさそうだし、ライトなファンにとってはミーハー度が低め。作家陣も、光る人はいるものの、基本的にはタレントが足りておらず、陳某を招いてきて、あとは手持ちの材料だけで勝負しちゃったという感じ。あと変化球的な作品が多い。雑誌がどのくらい続くか分からないので、オーソドックスに劉備や曹操が出てきて「三国志演義」の物語を追っていくという作品はやりにくかったのかもしれないけど、もう少し直球勝負でも良かったのでは。お金はかかるだろうし保守的といわれるかもしれないけど、横山光輝「三国志」を再録して柱にするのが、最もキャッチーだったかもしれない。

【執筆陣】正子公也、陳某、作:夏秋のぞみ+画:SHINYA、大沢良貴、荒木風羽、大西巷一、佐々木泉、天真楼亮一

【雑誌】ヤングアニマル 2/11 No.3 白泉社 B5中

 森恒ニ「ホーリーランド」。神代クンと伊沢妹が急接近してドッキドキ〜☆という展開。ユウを救えるのは彼女の愛だけだにゃ〜とか思ったりもするものの、下手に近づくと伊沢妹さんのほうにも危害が及んだりしそうで……ちょっと萌えるかも……。甘詰留太「もてね!?」は、二人の男が自分を巡って争う中、本当の気持ちを押さえつけてる操が魅せた表情が良かった。お話としてはゴチャゴチャ感はあるものの、見せ場のコマはしっかり印象的でいいです。宮野ともちか「ゆびさきミルクティー」。なんかまたも池田由紀くんが男にちょっかいかけてるよ……。あっちゃこっちゃに手を出して人を惑わしながら、自分はその自覚を持たず、なんか落ち込んだりさえする。いい男ですね。あと、まつもと剛志「まじかるストロベリィ」は、バレンタインデーに向けていちことヒナがチョコ作り強化合宿をしちゃうというお話。オチの部分もしっかり決まって、かわいく楽しい。

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 2/11 No.4 小学館 B5中

 作:久武緑郎+画:河合単「ラーメン発見伝」。激辛ラーメンという切り口は面白かったが、けっこう藤本も芹沢も辛さは唐辛子で出すのかー。ほかにもカレー系の辛さとか、胡椒系の辛さとか、そういった違った味わいを探ってみるのも面白いかなあと思ったんだけど。

【雑誌】コミックバンチ 2/11 No.9 新潮社 B5

 坂本タクマ「屈辱er大河原上」。大河原上の部屋にTV局と若手お笑い芸人たちがやってきて、室内で勝手に10種競技を始めてしまい、大河原上、大屈辱を味わうというお話。メディアの傲慢さを如実に描き出していて、激しいもらい屈辱を感じた。

【雑誌】阿ウン 3月号 ヒット出版社 B5平 [定期購読:7andyicon

 今月号は柱である師走の翁がお休みで、幸田朋広「Petit-ろいど3」もこの前終わっちゃったので、インパクトは若干弱いかな。それでも安定感のある人が多いので、けっこう楽しめるけれども。

 久々登場、春籠漸『「娘」特区』前編。肉体関係のある父と娘が複数組集まって、みんなでパーティという内容。いつもながらこの人は乱交ネタが好きですなあ。自分も好きですが。高岡基文「Gift−ギフト−」。男遊び大好きなグラビアアイドルが、町でナンパされてエッチにふけったり、所属会社の女性社長がそのアイドルの男友達に手を出してみたり。やはり高岡基文は、巨乳、おちんちんともにエッチだ。

 わたんかづなり「エロノート」前編は、とある男が「書き込まれたエロい事が何でも実現してしまうノート」を拾って、それを落とした女神様とエッチしまくりというお話。まあ要するに「デスノート」のエロ版。ベタだけどちょっといいネタだなと思った。Boichi「Lupo」。実は狼男な彼氏が、彼女と別れようとするが……というところから始まるドタバタラブコメ。狼男に変身した彼氏がイヌに欲情しちゃったり、変身した姿が妙に可愛かったり、ユーモラスな話に仕上がってて面白かった。

【雑誌】COMIC夢雅 3月号 オークラ出版 B5平

 ありゃー。ダーティ・松本「エロ魂!」が、「さまざまの複雑な事情により」連載終了。さらに「単行本第2巻もある事情により出すことができません」とのこと。エロ漫画の激動の歴史を、実際にその時代を生き抜いてきた作家ならではの視点で描いていて興味深かったし、ぶっ飛んだ表現も面白かっただけに残念。以後の情報は作者ホームページにて告知されていく予定。とりあえずはCD-Rの形で販売していく模様。

 草津てるにょ「2泊3日」は2回め。人妻さんが温泉宿でみっちりエロ責めされてていやらしい。やはりこの人の描く人妻は熟れ熟れでよろしうございます。まだ続きがあるようなんで期待。大波燿子「アイドルはやめられない」。主人公の少年が友達の家に遊びに行ったら、友達ママが元アイドルの美人さんで、二人一緒に彼女とエッチというお話。なんとなくBENNY'Sとかを思い起こさせる作風で、ばいんばいんなお母様がかわいくてエロし。柿ノ本歌麿「チャイドル天使 ラ・リルクル」。またしてもリルクルらが、人間業とは思えぬ激しい触手レイプを体験。リルクルの性器は、「俺はいったい何を見ているのだろう」と思っちゃうくらい、原型を止めないほどに変型&拡張されている。柿ノ本歌麿の集団輪姦シーンはものすごくヒドいんだけど、これだけスケールが大きくてぶっ飛んでいると、現実世界とのリンクがほとんどなくなるので、自分としてはそんなに殺伐とした気分にはならない。あとムチャクチャなレイプシーンと、日常シーンのキャピキャピ(←死語ですかね)っぷりのギャップも天然っぽく、柿ノ本歌麿ならではの味だなあと思います。


1/27(木)……ひときりひとりきり

▼未読物
【単行本】「日本の夏、天狗の夏。」 藤本和也 宙出版 A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「フリージア」5巻 松本次郎 小学館 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「魔女」2巻 五十嵐大介 小学館 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「ライドバック」3巻 カサハラテツロー 小学館 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「CUE」2巻 村上かつら 小学館 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「村上かつら短編集」2巻 村上かつら 小学館 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「コドモノコドモ」1巻 さそうあきら 双葉社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「職業・殺し屋。」4巻 西川秀明 白泉社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「年上ノ彼女」2巻 甘詰留太 白泉社 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「ピピンとピント☆」2巻 大石まさる 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]
【雑誌】コミック三国志マガジン 蒼天已死号 メディアファクトリー  B5平
【雑誌】ヤングアニマル 2/11 No.3 白泉社 B5中
【雑誌】ビッグコミックスペリオール 2/11 No.4 小学館 B5中
【雑誌】コミックバンチ 2/11 No.9 新潮社 B5中
【雑誌】フラワーズ 3月号 小学館 B5平 [定期購読:出版社/7andyicon
【雑誌】コーラス 3月号 集英社 B5平
【雑誌】メロディ 3月号 白泉社 B5平
【雑誌】阿ウン 3月号 ヒット出版社 B5平 [定期購読:7andyicon

【雑誌】電撃コミックガオ! 3月号 メディアワークス/角川書店 B5平

 PEACH-PIT「DearS」が巻頭カラー。こうさぎの飼育がきっかけで、DearSとの生命に対する感覚の違いに直面して、タケヤはレンに対していかんともしがたい違和感を覚える。なかなかいい感じでお話を盛り上げている。そんな中、ミゥがタケヤに対して思い余って調子っぱずれなアプローチをしている姿も面白い。コゲどんぼ「恋姫草紙」は最終回。意外と短かくスパッと終わりましたな。

 濱元隆輔による漫画版「アルティメットガール」は、アニメ版とストーリー的にはほぼ同じながら、エロさよりもコミカルさが目立つギャグ展開。かわいく楽しくやれててええんじゃないでしょうか。榊原薫奈緒子「どうぶつ温泉」。人間の女の子に見える森のどうぶつたちが、温泉でいろいろ。お話の流れの中で出てきた、メイドさんがアニソンを一緒に歌ってくれるカラオケというのはいいですな。あったら楽しそう。エッチなことはしなくても満足できると思う。また今回は岩原裕二も「ようこそ!名湯柳の湯。」という4ページの読切も描いている。

【雑誌】モーニング 2/10 No.9 講談社 B5中

 弘兼憲史「取締役島耕作」がついに最終回! といってもどうせ続きがあるんだろーと思った人も多いだろうけど、No.11から新シリーズが始まるそうです。ツジトモの読切「スリー・ストライクス」は、ベテランと新鋭、二人のプロ野球選手の姿を描いた物語。投手からショートにコンバートされた若手の渡辺は、自分にポジションを追われながら教育係に任命され、そのポジションに甘んじている高見の姿にイラついていたが……。はねっかえりな若手と、それをバックアップする職人的なベテラン選手の信頼関係を小気味よく描いた作品。小品ながらきっちり読める。

【雑誌】ヤングサンデー 2/10 No.9 小学館 B5中

 「青春くん」は600回記念で、スペシャル編。いつもは漫画を描いているとがしやすたかが原作だけ担当、吉田戦車、山本直樹、伊藤理佐、喜国雅彦、西原理恵子が絵を入れるということをやってます。間瀬元朗載「イキガミ」はシリーズ新連載がスタート。国家が、1000人に一人の確率で18〜24歳の国民が死んでいくようなプログラムを国民に課しており、主人公はその死ぬ人間として選ばれた人に、死亡予告証、通称「イキガミ」を届ける役人をやっているという設定。そういう状況下に置かれた人間がどういう行動をとるかを描いていく、ブラックな人間ドラマといった感じの作品。「バトル・ロワイアル」以来、この手の設定の作品はいくつか見たけど、今のところあまりピンときたことがない。国家がそんな回りくどいことをする理由がいまいち納得できなくて、ドラマに感情移入できないことが多い。この作品はどんなもんでしょうな。

【雑誌】ヤングジャンプ 2/10 No.9 集英社 B5中

 武富智の久々の連載「EVIL HEART」がスタート。複雑な家庭環境のせいもあって、周囲と衝突ばかりしていた少年が中学に入学。そこで合気道に初めて出会い、それに魅せられていく……という出だし。どうやら本格合気道漫画になるのかな。武富智のスッキリとしたスタイリッシュな絵柄はやはり魅力的。まだどんなふうになっていくのかは分からないけど期待します。作:外薗昌也+画:別天荒人「ガールフレンド」。今回の主人公の少年が告白してつき合いだした女の子は、学校での活発で元気な姿とは裏腹に、二人になるとすぐセックスを求めてくるすごくエッチな女の子で、少年はそのギャップに戸惑うのだった……というストーリー。彼女のイタズラっぽい表情で、サバサバした態度が見ていて楽しく、ラブラブな締めくくりも良かった。漫¥画太郎「珍入社員 金太郎」は2回めも好調。本宮パロをふんだんに盛り込んで、ハチャメチャなギャグを展開。この勢いのままどんどんお願いします。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 2/10 No.9 秋田書店 B5平

 水島新司「ドカベンスーパスターズ編」。うおー、水島先生がまたやってくれた。スーパースターズが開幕シリーズでパの各チームと一当たりしたと思ったら、速攻でシーズン終了。日本シリーズはわずか1コマ。球界再編も3コマというさすがのすっ飛ばしぶり。こういうの見るたびに、水島先生はもう日本のプロ野球には興味ないのでは……とか思ってしまう。このところ、野球の面白さや醍醐味、白熱したペナントレースなどはちーとも描かず、山田と岩鬼が打った打たなかったという話ばかり。あれだけ球界が揺れた再編問題についても、このくらいの立場にある人ならもう少し何かいっても良かろうもんなのに、漫画では結局「あぶさん」でボンとかが適当な論を繰り広げる程度で終わらせちゃったし。こんな虚無的なプロ野球漫画を描けるのは水島先生だけでしょう。

 作:森高夕次+画:松島幸太朗「ショー★バン」では、一回マウンドを下ろされてもう一度登板したショーバンが、開き直ったピッチングを展開。ショーバンくんの腹黒さがバリバリ出てて面白かった。「君達は僕に妙な優越感を与えてくれます」というセリフはとくに笑えた。相変わらずすぐ増長する人だ……。佐渡川準「無敵看板娘」はいつもながらの安定感。今回はベタだけどオチがしっかり利いてて良かった。やぎさわ景一「ロボこみ」。委員長はかわいくていいなあ。

【単行本】「お父さん物語」 平田弘史 青林工藝舎 A5 [bk1][Amzn]

【単行本】「人斬り」 平田弘史 マガジン・ファイブ A5 [bk1][Amzn]

 「お父さん物語」は、平田弘史がヤングマガジンで連載した、自身の日常を描いたエッセイ的作品。普通のエッセイ漫画はわりと軽めだけど、平田弘史の場合、主張や述懐など、やたら密度が濃い。セリフもむちゃくちゃ多く、正直なところたいへん読みづらいのだが、その凝り固まりっぷりがいかにも平田弘史らしくて圧倒された。通常の日常描写でさえ妙な気合いが入ってておかしい。とくに娘婿が結婚の承諾を求めに挨拶に来たところで、彼を指差し「う 海になれるか!」などと語り出すところとか、とても面白かった。なんていうか物凄く骨のある「THE 大市民」といったテイスト。時代劇だとあれほど似つかわしい絵柄が、日常漫画だとこんなに奇妙な味を醸し出してしまうのかと思った。不思議な作品だ……。

 「人斬り」のほうは、幕末に生き、武市半平太のもと要人暗殺に明け暮れた剣客・岡田以蔵の不器用な人生を描いていく物語。1969年公開の映画「人斬り」と同時発表された作品だそうだが、力強い作画は今もって古びないものがあり、さすがの迫力。新時代に適応するような頭を持たず、無類の強さを持ちつつも、人に利用される不遇な人生を送るほかなかった岡田以蔵の人生を骨太に描写。以蔵の武骨で愚直、どこかユーモラスなキャラ作りが秀逸で、その末路はもの哀しい。しっかり読ませる力の入った作品。

【単行本】「かの人や月」2巻 いくえみ綾 集英社 新書判 [bk1][Amzn]

 だんだん羽上家の面々にも親しみが湧いてきて、ホームコメディとしての楽しみがずんずんアップしてきた。とくに羽上家の娘たちの彼氏二人が、今回はいい味を出している。ラブコメ的なシーンは楽しいし、心情描写も丁寧でうまい。いくえみ綾は安定して面白いですのう。

【単行本】「カミヤドリ」3巻 三部けい 角川書店 A5 [bk1][Amzn]

 人間を異形の怪物に変えてしまう「カミヤドリ」という業病。その感染者を破壊していく任務にあるジラルド、彼とコンビを組んでいる少女のヴィヴィの活躍を描いていくという伝奇アクションもの。三部けいの黒々とした画面作りやアクション、おどろおどろしいムード作り、それからむっちりした女の子の描写は魅力的。全般にカッコヨイ。ただ、そう複雑な作りのお話でないわりに、全体像がどんな感じだったかともすれば忘れちゃいそうになったりもする。ジラルドのキャラが脇キャラと比べていくぶん弱く、かといってヴィヴィも不思議少女チックであまり能動的ではなく、物語を引っ張れてない感じがする。その点はちと惜しい。


1/26(水)……交響詩篇 高校教師編

▼未読物
【雑誌】モーニング 2/10 No.9 講談社 B5中
【雑誌】ヤングサンデー 2/10 No.9 小学館 B5中
【雑誌】ヤングジャンプ 2/10 No.9 集英社 B5中
【雑誌】週刊少年チャンピオン 2/10 No.9 秋田書店 B5平
【雑誌】電撃コミックガオ! 3月号 メディアワークス/角川書店 B5平
【雑誌】COMIC夢雅 3月号 オークラ出版 B5平
【単行本】「かの人や月」2巻 いくえみ綾 集英社 新書判 [bk1][Amzn]
▼28日売り
【単行本】「天然幼液」 ほしのふうた 東京三世社 A5 [Amzn]
▼29日売り
【雑誌】コミックバーズ 3月号 幻冬舎コミックス B5平

【雑誌】少年エース 3月号 角川書店 B5平 [定期購読:出版社

 ここのところシリアスな展開が続いていた吉崎観音「ケロロ軍曹」だか、今回で決着。このまま最終回まで行っちゃうんじゃないかと思わせるような雰囲気もあったが、別にそんなこともないようで。また、今号から作:BONES+漫画:片岡人生・近藤一馬「交響詩篇エウレカセブン」が連載開始。この作品は4月からアニメ版の放映が決定。アニメ版のキャラクターデザインは吉田健一。「キングゲイナー」系のキャラ造形がかっこよさげで、けっこう期待している。漫画版のほうけっこうまとまった感じで、悪くない出だし。天津冴「がぁ〜でぃあんHearts♥」は、真夜が和也に激しく告ってて甘切なくて良かった。

【雑誌】ガンダムエース 3月号 角川書店 B5平 [定期購読:出版社

 あきまん「月の風 ∀ガンダム外伝 ロランの日」が終わっちゃうのが残念……。でも最後までロランくんはかわいらしくて良かった。あと大詰めの展開もけっこうはっちゃっけてて、案外のどかだったりするところは∀らしい。単行本化されたら買うと思います。

【雑誌】コミックガム 3月号 ワニブックス B5平 [定期購読:7andyicon

 イマイヒヅルがガムでは初の漫画連載開始。「ぱりあんの園」。ちびっちゃくて頼りないけど、身体はむちぷにな感じのカワイイ女子柔道部員・芍薬ぼたんが主人公。彼女が愛する柔道部部長のため頑張っちゃうというお話。百合系の甘〜い香りを充満させつつ、テンポ良くドタバタやっててまず初回は十分楽しめた。宗我部としのり「あまえないでよっ!!」では、逸剛を誘惑して彼の力を誤った方向に導こうとするエロ・テロリストが出てきたおかげで、また賑やかなことになりそう。尼僧2陣営による誘惑合戦になるんすかね。

【雑誌】手塚治虫マガジン 3月号 KKベストセラーズ B5平 [定期購読:7andyicon

 今号では読切中編100ページ「火の山」が面白かった。戦中戦時にまたがり、活発な火山活動を始めた山を見つめ続けた、二人の男の奇妙な物語。要するに昭和新山をモチーフにしているのだけど、兵隊くずれの半端者・井上と、山の記録を録ることに異様な執念を燃やした民間人・三山の妄執を、ドラマチックに描いてて読みごたえがあった。テーマ的にもシブい。

【雑誌】週刊少年サンデー 2/9 No.9 小学館 B5平

 モリタイシ「いでじゅう!」。森さんがかどわかしに遭い、林田くんが柔道の大会を投げ出し救出に向かわんとす。林田がカッコイイところを見せているし、潔く身を引く中山さんも良い。てなところで以下次号。 新連載、小笠原真「兄ふんじゃった!」は、弟を溺愛する兄が、弟の学校まで押しかけてっていろいろ騒動を巻き起こすというギャグ漫画。ネタとしては頓狂で悪くないと思うけど、もう少し絵とかこなれてくるといいかな。

【雑誌】週刊少年マガジン 2/9 No.9 講談社 B5平

 作:マスヤマコム+画:浅井信悟「M.I.Q.」はあっさり最終回。以前にも書いたけど、少年誌でお金の話をやるというコンセプト自体は悪くなかったと思う。まあぶっ飛んでる部分が多かったのでなんともいえない話になっちゃったけど。個人的には第2部の喫茶店編よりも、株式編のほうが嘘臭くてもハッタリは利いてて良かったんじゃないかと思う。

【雑誌】スーパージャンプ 2/9 No.4 集英社 B5中

 オースーパージャンプでやっていた作:武内伸+画:大泉孝之介の「−ラーメン人物伝−一杯の魂」のスペシャル版が掲載。その内容は大泉孝之介が、武内伸のアドバイスを受けて究極のラーメン作りに挑戦してみるというもの。今回はいつもと違ってギャグテイストが強く、金平色が前面に出てました。島袋光年「リング」。やっぱり試合シーンだと盛り上がる。期待のルーキー佐織の投入で、ゲームの流れは山学に。リングでの股抜きプレーとかパスワークとか、動き自体もなかなか面白い。


1/25(火)……紅蓮台座

OHP月極アンケート1月分「ベスト雑誌2004」の締切が近づいて参りました。1月いっぱいは受け付けますので、よろしくお願いします。

粋な発泡酒 ▼仕事場の近くにある肉のハナマサで食材を見繕っていたところ、ハナマサオリジナルの発泡酒、「粋な発泡酒」が期間限定で1本31円というむちゃくちゃなお値段で販売されていた。缶のデザインはこちらにある通りで、とにかくアヤしさ抜群。でも1本31円なら6本買っても普通のビール1本分程度だし……とか思って6本セットを購入。で、飲んでみたけど……うーん、こりゃマズいわ。最近は発泡酒もだいぶおいしくなってるからと思って甘く見てた。なんといっても味が薄い。激薄。缶には「JUST DRY」とか書いてあるけど、麦の味がほとんどしなくて、なんか「タンサン」を飲んでるみたい。今まで飲んだ発泡酒の中で、「ビールっぽくなさ」ではぶっちぎりのトップレベル。飲み終わった後に、これほどビール飲みたい欲をそそられる飲料はなかなかないんじゃないかな。……とかなんとか文句をいいつつも、まあ31円なのでいいか、という気もした。うまい棒3本の値段でとりあえず酔えるし、31円で買える炭酸飲料なんてほかにないし。よく「外国ではビールは水代わり」みたいなことをいいますが、まさにそんな感じ。焼肉とか食うときに水代わりに飲むには良いかも。安物買いではあるが、銭失いというほどではなかった。なんだかんだで飲んでいるうちに慣れてきちゃって、結局1日で全部飲んじゃったし。

【雑誌】アフタヌーン 3月号 講談社 B5平

 「ああっ女神さまっ」のフィギュア付きなのはいいのだが、次号付録の台座とセットで完成というのは何かなと思った。次号だけ買った人はうれしくなさすぎると思う。まあいいんすけどね。

 ひぐちアサ「おおきく振りかぶって」は、いよいよ地区予選が開始。西浦高校の初陣となる試合が始まってワクワクする展開。ここまで丁寧に作られて来たチームが、どのような試合を見せてくれるのかとても楽しみ。木尾士目「げんしけん」。荻上さんがげんしけんのメンツを見て、やおい女子なら当然するであろう妄想をひとくさり。まあこれはそういう生き物なので仕方ないと思います。瀬尾浩史「アキバ署!」。死んだの娘から届いたメールをめぐるちょっといい話。今回は丁寧なお話作りでなかなか。ただアキバ署のメンツは大して生きてないかも。高橋ツトム「爆音列島」は、マニヨンに不吉な気配漂う。マニヨン君は人が良さげでけっこう好きなキャラなので、先が気になるところ。平本アキラ「俺と悪魔のブルーズ」は緊張感のあるストーリーおよび画面作りが今回もかっこよくて面白い。見開きの使い方とかもインパクトがある。

 あと今回の四季大賞は、瀧波ユカリの4コマ漫画「臨死!!江古田ちゃん」だったけど、これは個人的にはいまいち笑えなかった。四季賞は4コマ作品少なそうなんで、その分得したかもなあという気がしました。とか思ったら次号から連載化だそうで。かわぐちかいじ特別賞の吉川友加里「夏のぐうぞう」のほうはいい感じ。同級生の女の子が、教師といやらしいことをしているのを目撃してしまった純情な野球部の少年が、彼女との触れ合いの中でさまざまなことを感じていくというお話。まだ絵柄的には洗練されてないとは思うけど、スッと溶けていってしまいそうな淡いタッチが印象的。ガンガン描いて腕を上げて、また再登場してほしい。

【雑誌】月刊IKKI 3月号 小学館 B5平 [定期購読:出版社

 今月号はなかなか面白かったと思う。まずトピックとしては、松本大洋「ナンバーファイブ」が連載終了。ちとよく分からん感じの終わり方ではあったが、これについては単行本でまとめて読みましょう。巻頭カラーは作:綾辻行人+画:佐々木倫子「月館の殺人」。列車の中で起きる殺人事件を推理していくというふうになるのかな〜とも思うのだが、乗り合わせた客は皆、重度の鉄ちゃんみたいで、話は大して進まない。その進まなさ加減が面白い。推理モノっぽいのに今のところ緊迫感は全然なくてすっとぼけた調子で推移。どこまでも佐々木倫子ノリなのがいい味を出している。

 原一雄「のらみみ」。今回のキャラは、多数で一つの意識を共有して、ときに増えたり減ったりするという変わり種。こういうのが家にいたら面白そうだなー。造形もかわいいし。そしてお話の作りもうまい。コミカルに話を進め、ラストはこのキャラの性質をしっかり生かして、ちょっと切なさも残してスッときれいに締めくくり。ラストは「さようならドラえもん」的な、じんわりくるものがあった。笠辺哲「フライングガール」は新連載。マッド・サイエンティストのトッド博士の見張り番の役目をすることになったお役人の青年が、博士のところに行ってみたところ、その助手のキュートな女性と出会ってなんだかいい感じの雰囲気に。お話的にはまだどうなるか分からないけど、ほのぼのとしたムードが心地よいし、助手の女の子もかわいいと思う。

 イキマン第12回受賞作、黒背骨実角(くろせぼね・さねつの)「夢層」は風変わりで面白い作品。寝たままの状態で相手と剣を交える「寝合い」に命をかけた侍の物語。基本的に侍はずっと寝っ転がったままなんだけど、アクションはダイナミック。絵的には荒削りながら着想はとてもユニーク。けっこう気に入りました。

【雑誌】イブニング 2/8 No.4 講談社 B5中

 安野モヨコ「さくらん」が連載再開。これはとてもうれしい。跳ねっ返りな花魁のきよ葉(のちに改名)の女としての生き様を、凜と鮮やかに描いた作品。安野モヨコの作劇作画は、一本筋がピンと通っていてカッコイイ。女を描くのがすごくうまいなーと感心させられる。なお連載ぺースは月イチになる模様。高倉あつこの新連載「山おんな壁おんな」。「おっぱい大きすぎてごめんなさ〜い」的な巨乳さんと、美人だけど胸が平らな人、二人のデパガによるドタバタコメディといったところ。「桜井くん」シリーズもそうだけど、高倉あつこって人間の身体的特徴をクローズアップした作品が多いですなあ。まあハゲネタよりも巨乳ネタのほうが個人的には好きです。まあ巨乳が好きというのを抜きにしても、ハゲってギャグとしてそんな面白いもんでもないと思うので……。

 くさか里樹「ヘルプマン」。今回はとても生臭いネタで面白かった。老人ホームでショボくれていたおじいさんが、介護士をやってるにいちゃんにそそのかされてアダルトビデオを見たことがきっかけで、男としての機能に目覚めてイキイキし始めるようになるが……という内容。なかなかこの手の漫画や通常の記事では扱わないような、老人の性の問題に迫っていくという視点が新鮮。今後の展開も興味深い。

【雑誌】ヤングチャンピオン 2/8 No.4 秋田書店 B5中

 葉月京「恋愛ジャンキー」。ここまでずっと引っ張り続けたエイタローと姿子がついに結ばれる……という今回。とてもラブラブしてて良い具合でございました。あと今号からいのうえさきこの連載「倒れるときは前のめり。」がスタートしている。まあいつもの……という感じだけど、安定しておりますね。

【雑誌】ビッグコミック 2/10 No.3 小学館 B5中

 柴門ふみ「小早川伸木の恋」。小早川はカナに対する想いを深めていくが……。なかなかドラマチックに恋愛しててしっかり面白い。やっぱうまいですなあ。作:小池一夫+画:森秀樹「花縄」。池田候と決着をつけるために、鬼平と花太郎が仕組んだ策とは。花太郎は意外とぶっとんだことするなあ。クライマックスっぽいシーンなんだけど、やることがムチャでちょっと笑ってしまった。

【雑誌】漫画サンデー 2/8 No.5 実業之日本社 B5中

 新田たつお「静かなるドン」が連載800回めに到達。これを記念して新田たつおのインタビューも掲載されている。新田たつおの写真は初めて見たなー。「静かなるドン」は途中から読み始めたけど、どこから読んでもちゃんとお話が分かるし、読めば読んだで楽しめる。長続きするのも頷ける。末松正博「親子ゲーム」。なんだかんだでいい感じの親子関係が築けそうな感じだった京極と、自称・娘の未来だが、DNA鑑定の結果が出て……という展開。ちゃんとファミリードラマしててきっちり読ませる。笠原倫の短期集中連載「沈め屋」は最終回。あと今号では「東陽片岡煩悩劇場」でおでんの話てて、汁の濃いおでんが無性に食いたくなった。

【単行本】「ぼくのためのきみときみのためのぼく」 きづきあきら ぺんぎん書房 A5 [bk1][Amzn]

 現在はCOMIC SEED!などで活躍しているきづきあきらの同人誌作品を収録した短編集。このころの作品は、絵柄が現在の「ヨイコノミライ!」とはだいぶ違ってて、切り絵を思わせるようなクッキリとしたタッチ。お話のほうは可憐な少年少女らが登場する物語ながら、ときにビターな後味を残すお話が多め。このころから同人誌で追っかけていた人だけど、久々に昔の作品を読んで、やっぱりいいなあと思った。例えば巻頭作の「BLUE」は、お互いに惹かれ合っていて一線を越えてしまいかねない境界で揺れる兄と妹の物語。といってもただ単純に兄と妹が結ばれてハッピー・エンドというわけではなく、そこに至るまで、そしてその後の二人の心理のアヤを巧みに描いている。弱いようでいて実は芯に強いものを持った妹の振る舞いに、ゾクゾクさせられた。あと手の表情をテーマにフェティッシュな要素をからめつつ恋愛物語を展開する「ヤサシイ ユビ」も非常にうまい。ときに甘く、ときに優しく、ときに冷酷に、お話を見せていく技量は大したもの。同人誌で見てた人も見てなかった人も、この機会にぜひどうぞ。

【収録作品】「BLUE」「SWIMMING LOVERS」「彼女の秘密」「ヤサシイ ユビ」「愛する私の…」「prohibition」「恋のたまご」「DISCOVERY OF LOVE」


1/24(月)……命日新聞

▼未読物
【単行本】「カミヤドリ」3巻 三部けい 角川書店 A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「お父さん物語」 平田弘史 青林工藝舎 A5 [bk1][Amzn]
【単行本】「人斬り」 平田弘史 マガジン・ファイブ A5 [bk1][Amzn]
▼25日売り
【雑誌】月刊IKKI 3月号 小学館 B5平 [定期購読:出版社
【雑誌】手塚治虫マガジン 3月号 KKベストセラーズ B5平 [定期購読:7andyicon
▼26日売り
【雑誌】少年エース 3月号 角川書店 B5平 [定期購読:7andyicon
【雑誌】少年エース 角川書店 B5平 [定期購読:出版社
【雑誌】ガンダムエース 3月号 角川書店 B5平 [定期購読:出版社

【雑誌】ヤングキング 2/21 No.4 少年画報社 B5中

 佐野タカシ「イケてる2人」。最近は佐次に惚れてしまった真ちゃんの話が多い。まあだいぶこの娘さんのお話も煮詰まってまいりました。6話連続集中連載の黒岩よしひろ「永遠のそら」は最終回。最後は幼なじみ二人がくっついてハッピー・エンド。パンチラがとても印象的で、けっこう華やかな感じでありました。

【雑誌】ヤングマガジン 2/7 No.8 講談社 B5中

 「Deep Love[REAL]」に代わっての掲載となった読切、岡田純一「菊ちゃんはどこまでも」が気になった。ひきこもり気質でこけしみたいな顔をした中3女子・菊田さんが、自分はあやや似であると偽り、担任のカッコイイ先生とメル友になる。彼女が困った努力をしまくって先生を偽り続けるのを、友達の女の子が見つめていくというコメディ。丸っこくてもこもこした絵柄が個性的だが、女の子は意外とかわいく描けそうな感じでもある。親しみやすい絵柄で、まったり飄々とした作風が面白い。そのうちまた登場してきてほしいところ。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 2/7 No.8 小学館 B5中

 作:雁屋哲+画:花咲アキラ「美味しんぼ」。今回はオチの適当感が素晴らしかった。世界奇術師大会に出場することが決まった奇術師が、「日本ならではの奇術をやれ」といわれて思い悩み山岡に相談。山岡は彼にヒントとして魯山人の茶漬けを食わすのだが、これいったいどうしろっていうつもりだったのかな……。こんなんでヒントを得ちゃう奇術師もなかなかのタマだ。ラストの奇術も「どこが日本ならではなんだ……」と思わずにはいられない。不覚にも笑ってしまった。のりつけ雅春「中退アフロ田中」。なんか井上が「デスノート」みたいなことやってる……(ポエム帳を隠すために)。お話のほうでは、ロボとの関係が修復不能状態になった井上に新たな出会いが訪れようとしている。ロボがどうなるかが気になります。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 2/7 No.8 集英社 B5平

 作:稲垣理一郎+画:村田雄介「アイシールド21」。ヒル魔の見せ場が到来。彼のトリッキーなプレーが巨深ポセイドンを翻弄。なかなかカッコ良かった。作:大場つぐみ+画:小畑健「デスノート」。ライトの仕組んだデスノートにまつわるトリックが明らかにされる。いろいろ入り組んでて一読しただけだとスパッと分かりにくいけど、まあ最低限「なんかいろいろ手の込んだことをしている」ということを承知しておけば、読み進めるのに支障はなし。今回もライトのスーパー悪役ヅラが炸裂してて良かったなあ。許斐剛「テニスの王子様」では、敵側キャラに田仁志慧(たにし・けい)というキャラが出てくるけど、これってプロ野球中日ドラゴンズの谷繁がモデルなのかな。新人ギャグ漫画枠、風間克弥「多摩川キングダム」は、いまいち小粒かなー。

【雑誌】近代麻雀ゴールド 3月号 竹書房 B5中

 なんか今号はものすごいな……。ただでさえ雀鬼色の強いこの雑誌だが、今号からちばゆうこ「鬼ごっこ〜雀鬼と愉快な仲間たち」が連載開始。これがもう作画がどうにも商業誌レベルでなくて、雀鬼会がらみだから載っているとしか思えない内容。表紙が雀鬼様のご尊顔の写真で、巻頭で安田サンとの対談。さらに画:中村毅士+作:安田潤司「牌の音」と来てからちばゆうこなんで、もう頭がクラクラします。すごい雑誌だよう。さらに作:河本茂樹+画:戸田尚伸「激突〜タッキーVSヒサト」は最終回。これでますます濃度が高まりそう。

 なお今号には桑沢アツオ先生が登場。「手相雀王 ミスター大吉」という、手相さえ良ければ麻雀でもなんでもオッケーみたいな漫画を描いてて、こちらは適当感バリバリ。いや手相のほうは適当じゃないのかもしれませんが……。次号に後編が掲載される模様。ラストはぜひ「麻雀終わったからパーッとソープにでも繰り出すかー」ってな感じで終わって欲しい。施川ユウキは読切で初登場。「森の雀卓」という動物が麻雀やる漫画を執筆。次号から「自模っ子どうぶつ」という新連載を始めるようだが、タイトル見る限り、今回の読切と内容一緒なのかな。

【雑誌】LaLa 3月号 白泉社 B5平

 森生まさみの読切「人差し指姫」が掲載。直接目を合わせた相手を一瞬で催眠状態にしてしまう力の持ち主で、裏世界の仕事もこなしてきた少年が、偶然出会った花屋のバイトのおねえちゃんが、自分と同種の力の持ち主だと思い込んでしまうが……という内容。きっちり微笑ましく恋愛気分たっぷりにまとめてて、手堅く面白い。読切もう1本。和泉明日香「非常識バニー」。主人公の女子高生・春日が居候することになった神社には、兎の能力を持ち、うさみみが生えた3兄妹がいて……というところから始まり、その真ん中の男子と春日のラブコメ話になっていく。作画はかなりきれいで見映えのする作品。ただ結局、兎3兄妹のうちまともに機能しているのは真ん中くらい。春日を置き去りにして出奔した父親の存在もあまり生きていない。もう少しシンプルにしたほうが、パッと分かりやすかったと思う。

【単行本】「東京命日」 島田虎之助 青林工藝舎 A5 [bk1][Amzn]

 初単行本「ラスト・ワルツ」[bk1][Amzn](感想は2002年12月31日の日記にあり)で、マニア筋にインパクトを与えた島田虎之助の2冊目。今回は小津安二郎の60回めの命日に、その墓のある寺を訪れた人々の生き様を追っていくという内容。「ラスト・ワルツ」でもそうだったが、最初は一見まったく関係ないかのようにパラパラと登場してきた人物たちの物語が、お話が進むにつれて有機的に結びついていき、ラストに向かって収束していくという構成が見事で見てて気持ちがいい。今回は1点から始まったお話が拡散し、また1点に戻っていくという感じ。雑誌掲載時だとお話が断片的すぎてよく分からないんだけど、単行本になるとその全貌が見えて、「ああ、そうだったのか」と感心させられる。この人の作品は、本当に単行本でまとめ読みしてナンボ。淡々とした調子でお話は進み、終わってみればなんだか胸にジンと染みる何かを残してくれる。作画も独特のモノがあるし、たいへんユニークな才能だと思う。

【単行本】「東京赤ずきん」2巻 玉置勉強 幻冬舎コミックス B6 [bk1][Amzn]

 淫らで極悪な殺戮赤ずきんちゃんの物語。赤ずきんちゃんやその他のキャラがたいへん邪悪で刺激的。今回も赤ずきんちゃんを殺すために送られて来た刺客が、ムツゴロウさんが体操服&ブルマ着用したような、強烈にキモいキャラだったり、かなりやり放題。赤ずきんちゃんの反撃も、とても主役のものとは思えないほどのぐちょぐちょさ加減。いやー毒性が強くて面白いです。

【単行本】「知る辺の道」 紺野キタ 幻冬舎コミックス B6 [bk1][Amzn]

 「知る辺の道」「オランジュリー幻想」「天女」「きつねの火」「匣〜はこ〜」「天使のはしご」「Summer School」の6本を収録した短編集。今回はファンタジー風味の作品が多め。いつものとおり紺野キタの清楚で上品な作画は美しい。ただお話のほうは若干弱めかな。数六作品の中では、身体が弱いくせに憎まれ口ばかり叩く姉のはる、彼女に振り回されてばかりだった妹のみお、二人の絆を描いた「天使のはしご」が美しくて良いなあと思った。


1/23(日)……幻影は眩むかい?

【単行本】「ゑびす銀座天国」 東村アキコ 集英社 新書判 [bk1][Amzn]

 ドライアイス屋のぶきっちょで無口な青年コオロギが、なんか不思議な雰囲気をまとったおねいさんと知り合ったのを皮切りに、ちょっと変わった女の子たちの間でゆらゆらする……という恋愛コメディ。基本的にはたいへん面白い作品だったのだが、この作品の前段階として発表された「ドライアイス」3話が収録されていないので、かなり困った状態に。途中からお話が始まる形になっているので、誰が主人公なのかいまいちよくわからん状態になってしまい、コオロギよりもむしろ彼に惚れてしまう牛乳屋の天然娘ひずみちゃんのほうが主役みたいな感じにも見えてしまう。あとコオロギくんのキャラも3話分の描写がぶったぎられちゃっているため印象が薄くなっている。あー、もったいない。ぜひそのうち完全版で出し直していただきたいもの。

【単行本】「学園ノイズ」4巻 オオシマヒロユキ+猪原大介 一賽舎/スタジオDNA B6 [bk1][Amzn]

 最終巻。閉鎖された学園の支配を突破するべく、風来坊のハナガタが、学園の統治者的存在である加納のもとへと突っ走る。ラストは束縛なんかふっきって自由になろうという強い意志に満ちた、熱いセリフの連続でしっかり盛り上がった。絵柄はシャレた感じではあるけどその実心意気はアツい、男らしくて清々しい番長モノに仕上がっている。アクションシーンがもう少し分かりやすいとより痛快だったかなと思うけど、基本的には気持ち良く読める作品だった。

【単行本】「二十面相の娘」4巻 小原愼司 メディアファクトリー B6 [bk1][Amzn]

 お友達もでき、平和な学園生活を謳歌していたチコだが、彼女と二十面相を狙う白髪の者の魔の手が迫る……というわけで緊迫した展開に突入。だんだんお話としても盛り上がってきた。チコと小糸さん、それからトメさんの仲睦まじき微笑ましきさまももっと見たかったような気もするけれども、ストーリー展開のほうにももちろんグッと引き込まれる。チコはこれからどうなっていくのか、それからどう育つのか、続きが楽しみ。

【単行本】「幻影博覧会」1巻 冬目景 幻冬舎コミックス B6 [bk1][Amzn]

 帝都で探偵業を営んでいる松之宮のもとに、助手として不思議な少女・真夜がやってきて、そのコンビネーションでさまざまな事件を解決していく……という内容。戦前日本、和洋折衷、可憐な少女、謎めいた事件、といかにも冬目景らしい材料がそろっていて雰囲気は良好。でもお話的にはなんかあんまりグッと来ないというか……。全般に淡々と読めてしまってフックが弱い。探偵さんのキャラが弱いってのもあるのかなあ。

【単行本】「にらぎ鬼王丸」4巻 作:荒仁+画:坂本眞一 集英社 B6 [bk1][Amzn]

 星の鉄を探す鬼王丸の旅は続く。職人魂を感じさせる鬼王丸の一徹な性格、力強くて緻密な作画、ボリューム感があって読みごたえのある物語など、力の入った一作となっている。ヤングジャンプ本誌での連載が終わってどうなるかなと思っていたが、漫革のほうで再開されてくれて一安心。なおこの巻には2001年にオールマンで掲載された読切バージョンも収録。このころと比べると絵はずいぶんカッコ良くなってるなあ。


1/22(土)……ケロロフォルム

【単行本】「雲の上のドラゴン なつこの漫画入門」 塀内夏子 講談社 新書判 [bk1][Amzn]

 「Jドリーム」「オフサイド」「フィフティーン・ラブ」などで知られる塀内夏子が、漫画の描き方について語ったエッセイ漫画を1冊にまとめた本。これはなかなか参考になる部分が多くて面白かった。まあテクニックについて事細かに述べているわけではないけど、実際の新人さんの漫画を添削しながらの説明とか、なるほどなあと思わされるものはあった。

 塀内夏子はすでに実績のある作家さんであり、実際にスポーツ漫画の描き方はとてもうまいと思う。とくに「オフサイド」「Jドリーム」なんかは、その技巧が存分に発揮された作品。まずサッカーはフィールドにいる人数が多いので、個々のキャラの描き分けが難しい。また個人技、組織プレー、どちらにも面白みがあるスポーツなのだが、個人技はまだしも、組織プレー、とくにディフェンスのテクニックをちゃんと描けている作品はそう多くない。塀内夏子はそういう部分をきちんとクリアしつつ、ちゃんと読みやすい漫画に仕上げることができている。するする読めちゃうので普段はあんまり意識しないけど、そこらへんは職人芸的。漫画の解説もきちんとしてて分かりやすい。あとモノの見方はけっこうシビアでクール。日本サッカーがW杯に初出場したときに、3戦全敗と予想していたサッカー漫画家はこの人くらいなんじゃないかと思う。

 最近の連載作品「覇王の剣」等は正直なところあまりノレないし、エッセイ漫画とかだとちょっとエラそうで鼻につくところはあるものの、こういう確かな実績を持つ人が漫画の描き方について語るというのは良いことだと思う。スポーツの分野では引退した名選手が解説者やコーチをやったりするけど、漫画の世界でも似たような感じのことをもっとどんどんしていってくれると面白そう(やっている人はいるけど、もっと多くてもいいと思う)。まあ漫画家さんは、そういうのよりも「生涯現役」を目指す人のほうが多そうではありますが。

【単行本】「制服ぬいだら♪」5巻 渡辺航 秋田書店 B6 [bk1][Amzn]

 いつもながらお気楽でかわいく、馬鹿っぽくて楽しい。とくに今回は、登場する美少女たちがみんなねこみみになっちゃってにゃんにゃんいいまくる話とか良かった。必殺技ネタとかもオチがしっかり利いてたし、何より頭のネジがゆるそうな女の子たちが跳ね回る様子は心和むものがある。あと1巻は出るようだけど、渡辺航が「電車男」漫画を描くことになって、連載が中断しちゃったのはすごく残念。

【単行本】「プラレスラーVAN」4巻 作:牛次郎+画:神矢みのる 秋田書店 B6 [bk1][Amzn]

 残念ながら最終巻。昔の「プラレス3四郎」のノリをそのまま今に甦らせ、けっこう健闘していたとは思うのだけど。ただこの作品で一つ惜しいのは、現代のテクノロジーを生かした、ハッタリの利いたギミックがあまり見られなかった点。「プラレス3四郎」のころはまだパソコンも進化しておらず、プラモが動き出してレスリングするというだけでかなり新鮮だった。ボディ素材にセラミックを使うとか、敵が未来の映像メディアであるVHDでメッセージを送ってくるとかいったネタも、当時は見ててワクワクしたものだった。そういったものも盛り込んではいたんだけど、もう少し派手なネタが欲しかったような気はした。

【単行本】「かりんと。」4巻 作:氷幻嵩人+画:THE SEIJI 秋田書店 新書判 [bk1][Amzn]

 大沢くんと花梨ちゃんがくっつき、城戸修一と委員長の距離も近づいて、4人はすっかり仲良し……となったところにそれをジャマする奴が現れて、という展開。最初は主役だった大沢くん、それから普通に美少女だった花梨ちゃんはすっかりバカップル化。バカみたいにイチャつくというよりは、なんかやたら大食いだったりヘンな顔したりで、行動そのものがバカっぽい。ヘンなノリで独特な味。

【単行本】「シグルイ」3巻 山口貴由 秋田書店 B6 [bk1][Amzn]

 今回は虎眼流の面々が総出で、不埒者である伊良子清玄に仕置きを加えるという内容。超人的な剣技と、剣の道を極めんとする執着の狂おしさ、虎眼流の人々の情け容赦のなさ。いずれも禍々しく、しかもカッコよく描かれている。漫画表現的にも凄みがあってたいへん面白いです。

【単行本】「美女で野獣」6巻 イダタツヒコ 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 今回も楽しく美少女格闘バトル。大阪編でゴーという感じ。この巻ではお笑いに賭けるアイリーンの妄執が面白かった。ときどきシリアスで、だいたいは馬鹿騒ぎ。ノリが良くていいんじゃないでしょうか。

【雑誌】ケロロランド冬号 角川書店 B5変型

 吉崎観音「ケロロ軍曹」のこども向けマガジン。基本的には「ケロロ軍曹」の中から、アニメ化された話をピックアップして再録、プラスちょっとした記事モノという形式の本だが、吉崎観音本人による描き下ろし新作や長壁えんらによる「ケロロ軍曹」4コマも収録した。この本の大きな特徴として、漢字にふりがながふられている点が挙げられる。これまで漢字が苦手な読者には、いくぶん読みにくい点が見られた「ケロロ軍曹」の欠点が解消され、ぐんと読みやすくなっている。このおかげで子供のみならず、漢字が苦手な大人や、日本語習得中の外国人や異星人にとっても「ケロロ軍曹」の世界がより身近になった点は評価に値するだろう。また特別ふろくとして、「特大ケロロポンポンボール」「ケロロぶらぶら貯金箱」「お年玉袋2まいセット」「クルル特製頭のう派パズル」「お誕生日カード」も同梱されており、コストパフォーマンスの向上に寄与している。

【雑誌】純愛果実 3月号 光彩書房 A5中

 今号はいつもの看板作家、ゼロの者がイラストのみの掲載。それに代わる巻頭カラーは、葵ひとり「かわいいヒト」。うぶな年上のおねーさん(といっても19才)を落とした高一男子の主人公が、彼女にHを教え込んでいきつつ、どんどんその魅力にハマっていくという内容。女体描写にボリューム感があるし、汁気のじゅくじゅくした描写もエロチック。ヒロインさんも年上ながら初々しくて、なかなかええ雰囲気だった。つつみあかり「〜淫行生徒会〜LOVE COUNCIL」。生徒会役員をやってる、実の姉と弟が、生徒会室でエッチ。得意の姉モノをきっちりまとめていて安定感十分。甘えたい欲をきっちり満たしてくれてええんんじゃないでしょうか。

 ところでこの雑誌には「THE BEST 10」という、エロ漫画単行本の売上ランキングをネタにしたコラムのページがあっていつも参考にさせていただいているのだけど、今回その記事中に『おそらく人類史上初の(大げさか?)ロリータ専門美少女Hコミック誌「COMIC LO」』という記述があって、ちょっと気になった。LOの第1号が出たのは2002年9月。この手の本の元祖的存在「COMICアリスくらぶ」シリーズはアンソロジーといったほうがいいかもしれないが、少なくとも今出てる本でいえばミニモンが2002年4月創刊。LOが初というのはちょっと違うかなーと思いました。細かいこといっちゃってなんですが。

【雑誌】ドルフィン 3月号 司書房 B5中 [定期購読:7andyicon/Fujisan

 天崎かんな「フユドウジョウ」。巨乳空手少女がかわいかった。いつもながらホッとする味わい。くどうひさし「おともだち」は、普段は仲の良い女友達同士がお互いを裏切り……という話で、久々にビターなテイスト。まあたまにはこういうのもいいかな。


1/21(土)……十字路を牛耳ろう

▼第50回小学館漫画賞が決定(小学館漫画賞公式サイト)。顔ぶれは以下のとおり(リンク先はAmazon)。個人的にはほぼ納得のいく顔ぶれ。

一般向け部門:乃木坂太郎「医龍」(原案:永井明)
児童向け部門:吉崎観音「ケロロ軍曹」、曽山一寿「絶体絶命でんぢゃらすじーさん
少年向け部門:久保帯人「BLEACH
少女向け部門:芦原妃名子「砂時計」、小畑友紀「僕等がいた
審査員特別賞:秋本治「こちら葛飾区亀有公園前派出所」、さいとう・たかお「ゴルゴ13

▼これは22日朝に見た奴なんだけどついでに。BSフジでSECOND SEASONの放映が始まった「サムライチャンプルー」[Amzn:(1)/(2)/(3)/(4)/(5)/(6)/(7)]。なんかもう、SECOND SEASON開幕とは思えないダラダラっぷり。といっても別にクオリティが低いわけじゃなくて、作画はこの作品らしく高品質で、お話のほうも気が利いている。今回は広島の町で、ストリートペインティングしている道場主の息子2人組がメイン。ヒップホップなノリで馬鹿話をかますというノリは、地上波放映分とまったく変わらず。ていうか本当に続き物の18話めとして作ったんだなあといったところ。オープニング・エンディングくらい変えてくるかなと思ったらそのままだったし。まあ構えずにこのままずずーっと行きそうな感じではあります。

▼未読物
【雑誌】ドルフィン 3月号 司書房 B5中 [定期購読:7andyicon/Fujisan
【単行本】「制服ぬいだら♪」5巻 渡辺航 秋田書店 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「プラレスラーVAN」4巻 作:牛次郎+画:神矢みのる 秋田書店 B6 [bk1][Amzn]
【単行本】「かりんと。」4巻 作:氷幻嵩人+画:THE SEIJI 秋田書店 新書判 [bk1][Amzn]
【単行本】「シグルイ」3巻 山口貴由 秋田書店 B6 [bk1][Amzn]

【単行本】「俺と悪魔のブルーズ」1巻 平本アキラ 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 待望の単行本化。平本アキラといえば、ヤンマガ連載の「アゴなしゲンとオレ物語」の下品ギャグのイメージが強いが、今回は完全にシリアス。「十字路で悪魔と取引すれば、すべての願いはかなえられる」という「クロスロード伝説」などで有名な伝説のブルーズマン、ロバート・ジョンソンの生涯を下敷きに、一人の黒人青年RJがたどった数奇な道程を描いていく。

 平本アキラはアゴゲンでも時折写実的で力の入った作画を見せることがあるが、この作品では全編にわたってそれを展開。黒々と描き込まれた画面が、狂気をはらんだ闇の存在感を際立たせ、作品を非常に迫力のあるものにしている。アメリカ黒人社会の雰囲気も、実際はどんなものだったのかは知らないけど、いかにもそれっぽく感じさせる、リアリティある描写で描き出している。ストーリーも骨太。クロスロード伝説のシーンはとてもドラマチックだし、それまで平凡な青年だったRJが、どんどん底無し沼のごときブルーズの深奥に引きずり込まれていく様子は緊張感バリバリ。

 基本的には重い話であるものの、コマ割り等、漫画的な技術はかなり高く、スムーズに読んでいけるのもいい。「アゴなしゲン」についてもネタが変化に富んでいるし、ときどき「オッ」と思わせるようなトリッキーな回があって、この人は漫画うまい人だなと思ってたんだけど、本作を読んでそれをさらに確信した。この人にはまだまだ作家的な奥行きがありそうな気がする。

【単行本】「米吐き娘」1巻 古林海月 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 なんか独特のゆるい作風が気になる作品。主人公の山田みのり22歳は米吐き娘。1日に何度か、身体の中から湧き出してくる米をざらざらと吐く不思議な体質の持ち主。そんな人間だけに、米に対する愛情は人一倍。たまたま県庁のごはん食を推し進める課でバイトを始めたのをきっかけに、さまざまな人に米食え米食えといったり、お米作りに携わる人たちと触れ合ったりしていく。……と書くとごはん大好き料理漫画になりそうだが、別にそんなことはなく、米吐き娘みのりちゃんの奇妙な日常を描くドタバタコメディとして展開。彼女が精米機よろしく「ざらざら」という擬音とともに米を吐く様子は、なんだか妙に気持ち良い。絵的にはまだまだなところがあるし、話もヘンなんだんだけど、独特のほんわかした雰囲気は妙な楽しさがあります。

【単行本】「おおきく振りかぶって」3巻 ひぐちアサ 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 この巻も面白いです。今回西浦高校は試合はしてないんだけど、他校の試合を観戦したり、練習したりしてるシーンをしっかり楽しく描写。こういう試合以外の部分もちゃんと描けてるっていうのは強いと思う。あと今回は読切で掲載された「基本のキホン!」も収録されている。榛名、香具山を中心とした武蔵野高校サイドのお話。阿部くんには最低呼ばわりされている榛名だが、こっちを見ると意外とイイ奴っぽくて、その対比も面白い。

 基本的にひぐちアサは、野球ファンとしてはミーハー、しかも熱心な部類のミーハーだと思う。塀内夏子なんかもそうだけど、スポーツ漫画を描く場合にはミーハーくらいのほうがちょうど良い。自身がミーハーであるだけに、そのスポーツのマニアというほどではないライト層が、そのスポーツを見るときどういった点に興味を持つのか、どんな点が分からないのかということを的確につかんでいる。この作品も、高校野球ファンが「高校球児のこういところを見たかったんだ〜」ってな部分を、しっかりすくい上げて作品化できていると思う。あと、きちんと「もっともらしく見える」部分の理屈は用意しつつも、過度にマニアックにしたりウンチクに偏ったりしないようにしているので、スムーズに読んでいける。とても作りが丁寧で、球児に対する愛情があふれているのが良いです。作者もものすごく楽しんで描いているのだろうなあということが、ヒシヒシ伝わってくる。題材と作者の好み、それから読者の嗜好が、ぴったりマッチした幸福な作品といえるんじゃないでしょうか。

【単行本】「昭和の男」1巻 入江喜和 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 孫を溺愛する昔気質の畳屋のガンコジジイ・箕浦茂雄が、軟弱な世間に憤りつつ、孫を硬骨漢として育て上げるべく奮闘するファミリードラマ。入江喜和は相変わらず絵がこなれていて粋です。こういう線はなかなか引けなさそう。お話のほうも地味ではあるけど暖かみがあっていいですな。こういうガンコ一徹だけど情にもろい、昔ながらのジジイはカッコイイですな。そばにいてほしいかどうかは別としても、共感できる部分は多々あります。

【雑誌】ヤングガンガン 2/4 No.3 スクウェア・エニックス B5中

 相変わらずゴチャゴチャした誌面で読みにくいんだけど、やる気は感じる。今号も読切で山田秋太郎「開錠ジャン.キー・ロック」、村田真哉「デアボリカ」、それから3号連続読切の策:深み眞+画:笠原夕生「ドラゴンズヘブン」が掲載。さらに次号でははっとりみつる、LINDA、No.5で楠桂とゲストが続々登場。新規メンツを湯水のごとく投入してくる姿勢はアグレッシブ。ただその反面、まだ「ヤングガンガンといえばコレ」という色が出てない感じもある。とりあえず今号で巻頭カラー&表紙の作:イム・ダリョン+画:パク・ソンウ「黒神」あたりは、看板っぽくなってきつつある。

【雑誌】コミックバンチ 2/4 No.8 新潮社 B5中

 富沢順「殺し屋麺吉」。今回もきっちり必殺仕事人系のお話を展開。「人間は本当にうまいラーメンを食うと心底ホッとして心の闇を吐露する」とかいって、悪人が自分の秘密をベラベラしゃべりまくるシーンはいつも笑っちゃうし、おかもちギロチンをはじめ、ラーメン道具を使った戦い方もいちいちユニーク。

【雑誌】COMIC LO Vol.13 茜新社 B5平

 いつもながら裏表紙の意見広告っぽい奴はカチンと来ますが、漫画のクオリティについては高値で安定。まず今号では町田ひらくが登場。「手をとりあって黄泉の国」という作品を描いている。内容のほうはいつもの町田ひらくテイストだが、主人公のおっさんの名前が「芝田」なのがどうにも気になります。顔も微妙に似ているような気がするだけになおさら。長月みそか「ふらいんぐぶるーみん」は、一回だけエッチして、それ以来なんとなく微妙な距離を置いていた幼なじみな少年少女が、お互いの気持ちを確認しあって再び……というお話。やわらかなスッキリした絵柄で描かれるお話は、ほの暖かくて気持ち良い。読後感も爽やか。

 うさくん「あんなちゃんしあわせ測定中」。この人のちんまりした絵柄は、ちょっと珍しい質感があって好きだなー。遊び心のあるお話作りも楽しく、けっこう目をつけてる人です。そうま竜也「もっちゃん大川家へ行く!!」は、LOの本誌に当たる天魔でやってたシリーズだが、LOの編集長が気に入ってこっちにぶっこぬいてきたんだとか。確かに天然ノリのめがねっ娘女子中学生もっちゃんはたいへんかわいく、田舎の少年少女のドキドキHって感じが見てて微笑ましい。そうま竜也のベテランならではの手慣れたタッチも安心感がある。鬼束直「Talk Show On Mute」。声を出せないタエちゃんという少女と、彼女が一心に慕っている義理のお兄ちゃんとのエッチ話。スッキリとした品の良い絵作りは、甘酸っぱい雰囲気が良く出てて魅力的。筋立てもきちんとしてて印象は良いです。

【雑誌】COMIC失楽天 2/20 ワニマガジン B5中

 MGジョー「隣のみなの先生」を中心とした女教師モノ再録漫画特集。えーとどれが再録でどれがそうでないかは、分かるのもあり分からないのもり。とりあえずかるま龍狼「先生の秘密」は再録。なぜかノーパンで学校に来ている女教師さんの目つき体つきがエロっぽくて好きな作品でした。あと恩田チロ「彼女のお仕事」はよがり顔の表情が豊かで、ジューシィな描写がけっこう好きです。


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